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特許7400415液体を吐出する装置、ヘッド駆動制御方法、ヘッド駆動制御装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-11
(45)【発行日】2023-12-19
(54)【発明の名称】液体を吐出する装置、ヘッド駆動制御方法、ヘッド駆動制御装置
(51)【国際特許分類】
   B41J 2/015 20060101AFI20231212BHJP
   B41J 2/01 20060101ALI20231212BHJP
   B41J 2/045 20060101ALI20231212BHJP
【FI】
B41J2/015 101
B41J2/01 205
B41J2/045
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2019217359
(22)【出願日】2019-11-29
(65)【公開番号】P2021084424
(43)【公開日】2021-06-03
【審査請求日】2022-09-14
(73)【特許権者】
【識別番号】000006747
【氏名又は名称】株式会社リコー
(74)【代理人】
【識別番号】230100631
【弁護士】
【氏名又は名称】稲元 富保
(72)【発明者】
【氏名】木田 仁司
【審査官】中村 博之
(56)【参考文献】
【文献】特開2014-172177(JP,A)
【文献】特開2014-058091(JP,A)
【文献】特開2018-058320(JP,A)
【文献】特開2017-159643(JP,A)
【文献】特開2011-062821(JP,A)
【文献】特開2015-231735(JP,A)
【文献】米国特許第08353567(US,B1)
【文献】米国特許出願公開第2004/0136130(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B41J 2/01-2/215
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
液体を吐出するノズルを有する液体吐出手段と、
前記液体を吐出させる複数の駆動パルスを含む共通駆動波形を生成出力する手段と、
前記共通駆動波形から1又は2以上の前記駆動パルスを選択して前記液体吐出手段の圧力発生素子に与える手段と、
前記圧力発生素子に与えられる少なくとも2つの前記駆動パルスの印加波形形状を異なる調整値で調整する手段と、を備え
前記調整する手段は、
ノズル毎に前記異なる調整値を保持する手段と、
前記保持された前記調整値に従って、前記駆動パルスを入力するスイッチ手段をON/OFFするタイミングを変化させるスイッチ切替え手段と、を備えている
ことを特徴とする液体を吐出する装置。
【請求項2】
前記スイッチ切替え手段は、
前記調整値を選択する信号を入力し、
カウント手段のカウント結果と保持された前記異なる調整値に基づいて前記スイッチ手段をOFF状態にする手段であり、
前記カウント手段によるカウントを開始するトリガとなるカウント開始トリガ信号が第1状態から第2状態へ遷移するときに前記調整値を選択する信号の状態を読み込み、
前記カウント開始トリガ信号が前記第2状態から前記第1状態へ遷移したときからのカウント値が前記選択された調整値になったときに前記スイッチ手段をOFF状態にする
ことを特徴とする請求項に記載の液体を吐出する装置。
【請求項3】
前記共通駆動波形の前記駆動パルスは、第1立下り波形要素と、第1立下り波形要素で立ち下がった電位を保持する第1立下り保持波形要素と、第1立下り保持波形要素で保持された電位から立ち下がる第2立下り波形要素と、を含み、
前記第1立下り保持波形要素の部分で前記スイッチ手段をOFF状態にする
ことを特徴とする請求項1又は2に記載の液体を吐出する装置。
【請求項4】
少なくとも2つの異なるサイズの滴をそれぞれ第1滴、第2滴とし、
前記第2滴の吐出に使用する前記駆動パルスは、前記第1滴の吐出に使用する前記駆動パルスを含み、
前記第1滴の吐出と前記第2滴の吐出に共通に使用する前記駆動パルスが前記圧力発生素子に印加されるときの印加波形形状は同じである
ことを特徴とする請求項1ないしのいずれかに記載の液体を吐出する装置。
【請求項5】
前記第1滴は小滴であり、前記第2滴は大滴又は中滴である
ことを特徴とする請求項に記載の液体を吐出する装置。
【請求項6】
前記第1滴及び前記第2滴のいずれか一方は吐出量が調整され、他方は吐出速度が調整されている
ことを特徴とする請求項又はに記載の液体を吐出する装置。
【請求項7】
複数のノズルを有する液体吐出手段の前記ノズルから液体を吐出させる複数の駆動パルスを含む共通駆動波形を生成出力し、
力発生素子に与えられる少なくとも2つの前記駆動パルスの印加波形形状を異なる調整値で調整するとき、
ノズル毎に前記異なる調整値を保持しておき、
前記保持された前記調整値に従って、前記駆動パルスを入力するスイッチ手段をON/OFFするタイミングを変化させる
ことを特徴とするヘッド駆動制御方法。
【請求項8】
液体を吐出する複数のノズルを有する液体吐出手段の前記ノズルから前記液体を吐出させる複数の駆動パルスを含む共通駆動波形を生成出力する手段と、
前記共通駆動波形から1又は2以上の前記駆動パルスを選択して前記液体吐出手段の圧力発生素子に与える手段と、
前記圧力発生素子に与えられる少なくとも2つの前記駆動パルスの印加波形形状を異なる調整値で調整する手段と、を備え
前記調整する手段は、
ノズル毎に前記異なる調整値を保持する手段と、
前記保持された前記調整値に従って、前記駆動パルスを入力するスイッチ手段をON/OFFするタイミングを変化させるスイッチ切替え手段と、を備えている
ことを特徴とするヘッド駆動制御装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は液体を吐出する装置、ヘッド駆動制御方法、ヘッド駆動制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
液体吐出ヘッドは、製造上のばらつきなどにより、ノズル間で、液体の吐出速度、吐出量にばらつきが生じる。
【0003】
従来、駆動波形の放電時間(駆動波形の立下り部)を調整することで、ノズル毎に圧電素子に印加する印加波形の電圧を調整して複数ノズル間で吐出量(吐出液滴重量)を揃えるようにしたものが知られている(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特許第3753075号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、特許文献1に開示の構成にあっては、ノズル単位で駆動波形の調整を行うため、共通駆動波形に含まれる複数の駆動パルスの1又は2以上の駆動パルスを選択して異なるサイズの滴を吐出させる場合、複数の駆動パルスの調整量が同じになる。
【0006】
そのため、例えば1つの駆動パルスで吐出させる小滴について調整を行っても、2以上の駆動パルスで吐出させる中滴、大滴などの吐出時にはノズル毎の吐出特性が揃わなくなるという課題がある。
【0007】
本発明は上記の課題に鑑みてなされたものであり、吐出特性のばらつきを低減することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の課題を解決するため、本発明に係る液体を吐出する装置は、
液体を吐出するノズルを有する液体吐出手段と、
前記液体を吐出させる複数の駆動パルスを含む共通駆動波形を生成出力する手段と、
前記共通駆動波形から1又は2以上の前記駆動パルスを選択して前記液体吐出手段の圧力発生素子に与える手段と、
前記圧力発生素子に与えられる少なくとも2つの前記駆動パルスの印加波形形状を異なる調整値で調整する手段と、を備え
前記調整する手段は、
ノズル毎に前記異なる調整値を保持する手段と、
前記保持された前記調整値に従って、前記駆動パルスを入力するスイッチ手段をON/OFFするタイミングを変化させるスイッチ切替え手段と、を備えている
構成とした。
【0009】
本発明によれば、吐出特性のばらつきを低減できる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明の第1実施形態に係る液体を吐出する装置としての印刷装置の概略説明図である。
図2】同印刷装置の吐出ユニットの平面説明図である。
図3】ヘッドの一例のノズル配列方向と直交する方向の断面説明図である。
図4】同じくノズル配列方向に沿う断面説明図である。
図5】本発明の第1実施形態におけるヘッド駆動制御装置のブロック説明図である。
図6】ヘッドドライバの共通駆動波形の選択を行う部分とトリミング(波形形状の調整)の概要も説明に供する同ヘッドドライバのスイッチ部分の説明図である。
図7】印加波形の波形形状の調整(トリミング)の一例の説明に供する説明図である。
図8】本発明の第1実施形態におけるトリミング制御の説明に供する説明図である。
図9】本発明の第2実施形態におけるヘッド駆動制御装置のブロック説明図である。
図10】同実施形態におけるトリミング制御の説明に供する説明図である。
図11】本発明の第3実施形態におけるトリミング制御の説明に供する説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の実施の形態について添付図面を参照して説明する。本発明の第1実施形態に係る液体を吐出する装置としての印刷装置について図1及び図2を参照して説明する。図1は同印刷装置の概略説明図、図2は同印刷装置の吐出ユニットの平面説明図である。
【0012】
印刷装置1は、シート材Pを搬入する搬入部10と、前処理部20と、印刷部30と、乾燥部40と、搬出部50とを備えている。印刷装置1は、搬入部10から搬入(供給)されるシート材Pに対し、前処理手段である前処理部20で必要に応じて前処理液を付与(塗布)し、印刷部30で液体を付与して所要の印刷を行い、乾燥部40でシート材Pに付着した液体を乾燥させた後、シート材Pを搬出部50に排出する。
【0013】
搬入部10は、複数のシート材Pを収容する搬入トレイ11(下段搬入トレイ11A、上段搬入トレイ11B)と、搬入トレイ11からシート材Pを1枚ずつ分離して送り出す給送装置12(12A、12B)とを備え、シート材Pを前処理部20に供給する。
【0014】
前処理部20は、例えばインクを凝集させ、裏写りを防止する作用効果を有する処理液をシート材Pの印刷面に付与する処理液付与手段である塗布部21などを備えている。
【0015】
印刷部30は、シート材Pを周面に担持して回転する担持部材(回転部材)であるドラム31と、ドラム31に担持されたシート材Pに向けて液体を吐出する液体吐出部32を備えている。
【0016】
また、印刷部30は、前処理部20から送り込まれたシート材Pを受け取ってドラム31との間でシート材Pを渡す渡し胴34と、ドラム31によって搬送されたシート材Pを受け取って反転機構部36に渡す受け渡し胴35を備えている。
【0017】
前処理部20から印刷部30へ搬送されてきたシート材Pは、渡し胴34に設けられた把持手段(シートグリッパ)によって先端が把持され、渡し胴34の回転に伴って搬送される。渡し胴34により搬送されたシート材Pは、ドラム31との対向位置でドラム31へ受け渡される。
【0018】
ドラム31の表面にも把持手段(シートグリッパ)が設けられており、シート材Pの先端が把持手段(シートグリッパ)によって把持される。ドラム31の表面には、複数の吸引穴が分散して形成され、吸引手段によってドラム31の所要の吸引穴から内側へ向かう吸い込み気流を発生させる。
【0019】
そして、渡し胴34からドラム31へ受け渡されたシート材Pは、シートグリッパによって先端が把持されるとともに、吸引手段による吸い込み気流によってドラム31上に吸着担持され、ドラム31の回転に伴って搬送される。
【0020】
液体吐出部32は、液体吐出手段である吐出ユニット33(33A~33D)を備えている。例えば、吐出ユニット33Aはシアン(C)の液体を、吐出ユニット33Bはマゼンタ(M)の液体を、吐出ユニット33Cはイエロー(Y)の液体を、吐出ユニット33Dはブラック(K)の液体を、それぞれ吐出する。また、その他、白色、金色(銀色)などの特殊な液体の吐出を行う吐出ユニットを使用することもできる。
【0021】
吐出ユニット33は、例えば、図2に示すように、複数のノズル104を配列したノズル列を複数列有する複数の液体吐出ヘッド(以下、単に「ヘッド」という。)100をベース部材331に千鳥状に配置したフルライン型ヘッドである。
【0022】
液体吐出部32の各吐出ユニット33は、印刷情報に応じた駆動信号によりそれぞれ吐出動作が制御される。ドラム31に担持されたシート材Pが液体吐出部32との対向領域を通過するときに、吐出ユニット33から各色の液体が吐出され、当該印刷情報に応じた画像が印刷される。
【0023】
反転機構部36は、受け渡し胴35から渡されたシート材Pに対して両面印刷をおこなうときに、スイッチバック方式で、シート材Pを反転する機構であり、反転されたシート材Pは印刷部30の搬送経路360を通じて渡し胴34よりも上流側に逆送される。
【0024】
乾燥部40は、印刷部30でシート材P上に付着した液体を乾燥させる。これにより液体中の水分等の液分が蒸発し、シート材P上に液体中に含まれる着色剤が定着し、また、シート材Pのカールが抑制される。
【0025】
搬出部50は、複数のシート材Pが積載される搬出トレイ51を備えている。乾燥部40から搬送されてくるシート材Pは、搬出トレイ51上に順次積み重ねられて保持される。
【0026】
なお、本実施形態では、シート材がカットシート材である例で説明しているが、連帳紙、ロール紙などの連続体(ウェブ)を使用する装置、壁紙などのシート材を使用する装置などにも本発明を適用することができる。
【0027】
次に、ヘッド100の一例について図3及び図4を参照して説明する。図3は同ヘッドのノズル配列方向と直交する方向の断面説明図、図4は同じくノズル配列方向に沿う断面説明図である。
【0028】
本実施形態の液体吐出ヘッド100は、ノズル板101と、個別流路部材である流路板102と、壁面部材としての振動板部材103とを積層接合している。そして、振動板部材103の振動領域(振動板)130を変位させる圧電アクチュエータ111と、ヘッドのフレーム部材を兼ねている共通流路部材120とを備えている。
【0029】
ノズル板101は、液体を吐出する複数のノズル104を配列した複数のノズル列を有している。
【0030】
流路板102は、複数のノズル104に通じる複数の圧力室106と、各圧力室106にそれぞれ通じる流体抵抗部を兼ねる個別供給流路107と、2以上の個別供給流路107に通じる液導入部となる中間供給流路108を形成している。
【0031】
振動板部材103は、流路板102の圧力室106の壁面を形成する変位可能な複数の振動板(振動領域)130を有する。ここでは、振動板部材103は2層構造(限定されない)とし、流路板102側から薄肉部を形成する第1層103Aと、厚肉部を形成する第2層103Bで構成されている。
【0032】
そして、薄肉部である第1層103Aで圧力室106に対応する部分に変形可能な振動領域130を形成している。振動領域130内には、第2層103Bで圧電アクチュエータ111と接合する厚肉部である凸部130aを形成している。
【0033】
そして、振動板部材103の圧力室106とは反対側に、振動板部材103の振動領域130を変形させる駆動手段(アクチュエータ手段、圧力発生素子)としての電気機械変換素子を含む圧電アクチュエータ111を配置している。
【0034】
この圧電アクチュエータ111は、ベース部材113上に接合した圧電部材にハーフカットダイシングによって溝加工をして、ノズル配列方向において、所要数の柱状の圧電素子112を所定の間隔で櫛歯状に形成している。そして、圧電素子112は、1つおきに、振動板部材103の振動領域130に形成した厚肉部である凸部130aに接合している。
【0035】
この圧電素子112は、圧電層と内部電極とを交互に積層したものであり、内部電極がそれぞれ端面に引き出されて外部電極(端面電極)に接続され、外部電極にフレキシブル配線部材115が接続されている。
【0036】
共通流路部材120は共通供給流路110を形成している。共通供給流路110は、振動板部材103に設けたフィルタ部を兼ねる開口部109を介して液導入部となる中間供給流路108に連通し、中間供給流路108を介して個別供給流路107に通じている。
【0037】
この液体吐出ヘッド100においては、例えば圧電素子112に与える電圧を基準電位(中間電位)から下げることによって圧電素子112が収縮し、振動板部材103の振動領域130が引かれて圧力室106の容積が膨張することで、圧力室106内に液体が流入する。
【0038】
その後、圧電素子112に印加する電圧を上げて圧電素子112を積層方向に伸長させ、振動板部材103の振動領域130をノズル104に向かう方向に変形させて圧力室106の容積を収縮させることにより、圧力室106内の液体が加圧され、ノズル104から液体が吐出される。
【0039】
次に、本発明の第1実施形態におけるヘッド駆動制御装置について図5を参照して説明する。図5は同ヘッド駆動制御装置のブロック説明図である。
【0040】
ヘッド駆動制御装置400は、ヘッド制御部401と、駆動波形生成手段を構成する駆動波形生成部402及び波形データ格納部403と、本発明に係るヘッド駆動装置としてのヘッドドライバ410と、吐出タイミングを生成するための吐出タイミング生成部404を備えている。
【0041】
ヘッド制御部401は、吐出タイミングパルスstbを受信すると、共通駆動波形の生成のトリガーとなる吐出同期信号LINEを駆動波形生成部402へ出力する。また、ヘッド制御部401は、吐出同期信号LINEからの遅延量に当たる吐出タイミング信号CHANGEを駆動波形生成部402へ出力する。
【0042】
駆動波形生成部402は、吐出同期信号LINEと、吐出タイミング信号CHANGEに基づいたタイミングで共通駆動波形Vcomを生成出力する。
【0043】
ヘッド制御部401は、画像データを受け取り、この画像データをもとに、ヘッド100の各ノズル104からの液体吐出の有無を制御するマスク制御信号MNを生成する。マスク制御信号MNは吐出タイミング信号CHANGEに同期したタイミングの信号である。
【0044】
そして、ヘッド制御部401は、画像データSDと、同期クロック信号SCKと、画像データのラッチを命令するラッチ信号LTと、生成した選択信号MNとを、ヘッドドライバ410に転送する。
【0045】
また、ヘッド制御部401は、トリミングデータTD1、TD2と、トリミングデータTD1、TD2のラッチを命令するラッチ信号LT1、LT2と、カウンタクロック信号CCKと、カウンタトリガ信号CTと、調整値選択信号CSと、調整値選択信号CSの「H」、「L」を判定するタイミングをとる調整値選択信号判定信号CSDと、をヘッドドライバ410に転送する。
【0046】
ヘッドドライバ410は、ヘッド制御部401からの各種信号に基づいて、共通駆動波形Vcomの内、液体吐出ヘッド100の各圧力発生素子(圧電素子112)に与える波形部分を選択する選択手段である。
【0047】
このヘッドドライバ410は、シフトレジスタ411、ラッチ回路412、セレクタ413、レベルシフタ414、及びアナログスイッチアレイ(スイッチ部)415を備える。
【0048】
また、ヘッドドライバ410は、シフトレジスタ421、422、ラッチ回路423、424、レジスタ425、426、427、カウンタ428を備える。
【0049】
シフトレジスタ411は、ヘッド制御部401から転送される画像データSD及び同期クロック信号SCKを入力する。ラッチ回路412は、シフトレジスタ411の各レジスト値を、ヘッド制御部401から転送されるラッチ信号LTによってラッチする。ラッチ回路412でラッチされた値はレジスタ425に保存される。
【0050】
同様に、シフトレジスタ421、422は、ヘッド制御部401からトリミングデータTD1、TD2として転送される異なる調整値(ここでは、2つの調整値T1、T2とする。)を入力する。ラッチ回路423、424は、シフトレジスタ421,422の各レジスト値を、ヘッド制御部401から転送されるラッチ信号LT1、LT2によってラッチする。ラッチ回路423、424でラッチされた値(調整値)は、異なる調整値を保持する手段としてのレジスタ426、レジスタ427に保存される。なお、レジスタ426、427で保持手段を構成している。
【0051】
セレクタ413は、選択手段であり、レジスタ425に保存された値(画像データSD)とヘッド制御信号MNとから結果を出力する。
【0052】
また、セレクタ413は、レジスタ426、427にそれぞれに保存された値(調整値)と、カウンタ428からの出力信号と、カウント開始トリガ信号であるカウンタトリガ信号CTと、調整値選択信号CSと、調整値選択信号判定信号CSDと、カウンタ手段であるカウンタ428のカウント結果を入力する。
【0053】
そして、セレクタ413は、液体を吐出するノズル104については、調整値選択信号CSで選択された調整値を調整値選択信号判定信号CSDで判定し、共通駆動波形Vcomの各駆動パルスについて、レジスタ426、レジスタ427に保持されている調整値T1,T2に従って、カウンタ428のカウント結果が調整値T1又はT2になったときにアナログスイッチASをオフさせる信号を出力する。
【0054】
レベルシフタ414は、スイッチ切替手段であり、セレクタ413のロジックレベル電圧信号をアナログスイッチアレイ415のアナログスイッチASが動作可能なレベルへとレベル変換する。
【0055】
アナログスイッチアレイ415のアナログスイッチASは、レベルシフタ414を介して与えられるセレクタ413の出力でオン/オフするスイッチ手段であり、共通駆動波形Vcomの通過/非通過(遮断)を行う手段である。
【0056】
このアナログスイッチASは、ヘッド100が備えるノズル104毎に設けられ、各ノズル104に対応する圧電素子112の個別電極に接続されている。また、アナログスイッチASには、駆動波形生成部402からの共通駆動波形Vcomが入力されている。
【0057】
したがって、レベルシフタ414を介して与えられるセレクタ413の出力に応じて適切なタイミングでアナログスイッチASのオン/オフが切り替えられることにより、共通駆動波形Vcomから各ノズル104に対応する圧電素子112に印加される波形部分が選択される。その結果、ノズル104から吐出される滴の大きさなどが制御され、異なるサイズの滴が吐出される。
【0058】
吐出タイミング生成部404は、ドラム31の回転量を検出するロータリエンコーダ405の検出結果から、シート材Pが所定量移動される毎に吐出タイミングパルスstbを生成して出力する。ロータリエンコーダ405は、ドラム31と共に回転するエンコーダホイールと、エンコーダホイールのスリットを読取るエンコーダセンサで構成される。
【0059】
次に、ヘッドドライバの共通駆動波形の選択を行う部分とトリミング(波形形状の調整)の概要について図6を参照して説明する。図6は同ヘッドドライバのスイッチ部分の説明図である。
【0060】
本実施形態では、共通駆動波形Vcomを入力するスイッチ手段であるスイッチSを介して圧電素子112に駆動波形を印加する。スイッチSは前記アナログスイッチASに相当する。
【0061】
スイッチSをオン/オフ(ON/OFF)することで、共通駆動波形Vcomの所要の駆動パルスPの所要の波形部分を選択して印加波形として圧電素子112に印加することができる。
【0062】
そして、スイッチSをオン/オフ(ON/OFF)するタイミングを調整することで、圧電素子112に与えられる駆動パルスの印加波形の波形形状を調整することができる。このとき、少なくとも2つの駆動パルスPについてスイッチSをオン/オフ(ON/OFF)のタイミングを異なる調整値で調整することで、少なくとも2つの駆動パルスPの印加波形形状を異なる調整値で調整することができる。
【0063】
ここでは、スイッチSをON状態からOFF状態に遷移させるタイミングを調整することで、駆動パルスPの電圧波形(立下り波形要素a)を調整する。スイッチSには共通駆動波形Vcomの入力側に圧電素子112の方向が順方向になるようにダイオードDがスイッチSと並列に接続されており、圧電素子112の充電(駆動パルスの立上り波形要素b)は、このダイオードDを通して行われる。
【0064】
そして、スイッチSはノズル毎(圧電素子112毎)に設けられているので、複数のノズル104毎に圧電素子112に与える駆動パルスの波形形状を調整して、吐出特性のばらつきを低減することができる。
【0065】
この場合、スイッチSのON/OFFのタイミングは、例えば、カウンタが内蔵されており、レジスタにセットされた調整値の数だけクロックのカウントを行ったらスイッチSをON/OFFする方法がある。
【0066】
また、スイッチSのON/OFF制御信号がスイッチS毎に用意されており、ON/OFF制御信号が「H」のときOFF、「L」のときONに遷移し、レジスタにセットされた調整値の値によってON/OFF制御信号の「H」、「L」の切替タイミングが調整されるようになっていて、それによりスイッチS毎にON/OFFタイミングを調整する方法もある。
【0067】
次に、印加波形の波形形状の調整(トリミング)の一例について図7を参照して説明する。図7は同説明に供する説明図である。なお、ここでは、調整値は調整値T1~T3の3つとする。
【0068】
例えば、図7(a)に示す共通駆動波形Vcomの駆動パルスPがスイッチSに入力される。駆動パルスPは、中間電位(基準電位)Vmから立ち下がって圧力室106を膨張させる立ち下がり波形要素aと、立ち下がり波形要素aの立下り電位を保持する保持波形要素bと、保持された電位から立ち上がって圧力室106を収縮させる立ち上がり波形要素cとを含む。
【0069】
この駆動パルスPが入力されたとき、図7(b)に示すように、スイッチSをON状態にして、タイミングAでセットされた調整値(スイッチSのON時間)のカウントを開始し、カウント値が調整値になった時点でスイッチSをOFF状態にする。
【0070】
ここで、調整値(スイッチSのON時間)が調整値T1であるときには、タイミングAから調整値T1に相当する時間が経過した(カウント値になった)時点t1でスイッチSがOFF状態になる。これにより、時点t1で圧電素子112の放電が止まり、電圧が維持されるので、圧電素子112には図7(c)に示す印加波形TPaが印加される。
【0071】
同様に、調整値T2であるときには、タイミングAから調整値T2に相当する時間が経過した時点t2でスイッチSがOFF状態になる。これにより、時点t2で圧電素子112の放電が止まり、電圧が維持されるので、圧電素子112には図7(c)に示す印加波形TPbが印加される。
【0072】
同様に、調整値T3であるときには、タイミングAから調整値T3に相当する時間が経過した時点t3でスイッチSがOFF状態になる。これにより、時点t3で圧電素子112の放電が止まり、電圧が維持されるので、圧電素子112には図7(c)に示す印加波形TPcが印加される。
【0073】
印加波形TPaは波高値が低いため、リファレンス駆動波形で駆動したときに、比較的駆動力の大きい圧電素子112に適用すれば、高過ぎる駆動力を下げることができる。
【0074】
印加波形TPbは波高値が中くらいのため、リファレンス駆動波形で駆動したときに、平均的な駆動力の圧電素子112に適用すれば、求める吐出力を得ることができる。
【0075】
印加波形TPcは波高値が高いため、リファレンス駆動波形で駆動したときに、比較的駆動力の小さい圧電素子112に適用すれば、低過ぎる駆動力を上げることができる。
【0076】
例えば、スイッチSをOFFするタイミングとして32のケースを用意すれば、32段階に波形形状を調整できる。
【0077】
なお、駆動パルスPの電圧が、圧電素子112の個別電極の電圧(スイッチSをOFFにしたときの電圧と略同じ電圧)以上になれば、厳密には、(個別電極の電圧+ダイオードDがONする電圧)以上になれば、圧電素子112には駆動パルスPの立ち上がり波形要素が印加されるので、圧電素子112は充電される。なお、タイミングB以降はスイッチSをONしてもよい。
【0078】
次に、本実施形態におけるトリミング制御について図8を参照して説明する。図8は同説明に供する説明図である。
【0079】
本実施形態では、図8(a)に示すように、液体を吐出させる複数(ここでは3つ)の駆動パルスP1、P2、P3を時系列で含む共通駆動波形Vcomが生成出力されて、ドライバIC410の各圧電素子112に対応するアナログスイッチASに入力される。
【0080】
駆動パルスP1~P3は、前記駆動パルスPと同様に、中間電位Vmから立ち下がって圧力室106を膨張させる立ち下がり波形要素aと、立ち下がり波形要素aの立下り電位を保持する保持波形要素bと、保持された電位から立ち上がって圧力室106を収縮させる立ち上がり波形要素cとを含む。
【0081】
ここでは、調整値は調整値T1、T2の2種類とする。ヘッド制御部401は、ノズル104毎に、調整値T1(トリミングデータTD1)又は調整値T2(トリミングデータTD1)の2値をレジスタ426、427に書き込む。
【0082】
また、ヘッド制御部401は、図8(b)に示すカウンタトリガ信号CTと、図8(c)に示す調整値選択信号判定信号CSDと、図8(d)に示す調整値選択信号CSとを、共通駆動波形Vcomと同期してセレクタ413に送信する。
【0083】
ここで、図8(b)に示すように、カウンタトリガ信号CT及び調整値選択信号判定信号CDSは、共通駆動波形Vcomの調整を行う駆動パルスP1~P3毎に立っている。
【0084】
そして、調整値選択信号判定信号CDSのタイミングで調整値選択信号CSが「H」か「L」かが判定され、カウンタトリガ信号CTの立ち上がりでカウントが開始される。このとき、調整値選択信号CSが「H」である駆動パルスPについては、調整値T1の値だけカウントを行ったらスイッチASをOFF状態に遷移させる。また、調整値選択信号CSが「L」の駆動パルスPについては、調整値T2の値だけカウントを行ったらスイッチASをOFF状態に遷移する。
【0085】
例えば、図8(d)に示すように、調整値選択信号CSが「H」となっている駆動パルスP1、P2について調整値T1でカウントが行われ、調整値選択信号CSが「L」となっている駆動パルスP3について調整値T2でカウントが行われる。
【0086】
これにより、図8(e)に示すように、印加波形TPは、駆動パルスP1を調整値T1で調整した印加パルス(吐出パルス)TP1、駆動パルスP2を調整値T1で調整した印加パルス(吐出パルス)TP2,駆動パルスP3を調整値T2で調整した印加パルス(吐出パルス)TP3で構成される。
【0087】
このように、共通駆動波形Vcomの各駆動パルスについて、個別に、ノズル毎に2通りの調整を行うことができる。つまり、圧力発生素子に与えられる少なくとも2つ以上の駆動パルスが、ここではノズル毎に、2種以上の波形形状を有するように調整される。
【0088】
したがって、単一の駆動パルスで構成される小滴、複数の駆動パルスで構成される中滴や大滴の吐出特性(吐出速度や吐出量など)を揃えたり、吐出速度と吐出量の両方を揃えたりすることができる。
【0089】
ここで、異なるサイズの滴、例えば、小滴、中滴、大滴の吐出特性を揃える例について説明する。
【0090】
上記の図8の共通駆動波形Vcomを使用して、駆動パルスP1を選択して小滴を、駆動パルスP1、P3を選択して中滴を、駆動パルスP1、P2、P3を選択して大滴をそれぞれ吐出させるものとする。
【0091】
この場合、最初に小滴を、駆動パルスP1を調整することで、複数ノズル104の特性が揃うようにトリミングを行い、駆動パルスP1にはその時の調整値をセットする。次に、中滴は、駆動パルスP1は小滴でトリミングしたときの調整量を適用しながら、駆動パルスP3を調整することで、複数のノズル104の吐出特性が揃うようにトリミングを行い、駆動パルスP3にはその時の調整値をセットする。最後に、大滴は、駆動パルスP1と駆動パルスP3は小滴と中滴でトリミングしたときの調整量を適用しながら、駆動パルスP2を調整することで、複数のノズル104の吐出特性が揃うようにトリミングを行う。
【0092】
この結果、異なるサイズの滴をそれぞれ第1滴(小滴)、第2滴(中滴、大滴)とし、第2滴の吐出に使用する駆動パルスは、第1滴の吐出に使用する駆動パルスを含むときには、第1滴の吐出と第2滴の吐出に共通に使用する駆動パルスが圧力発生素子に印加されるときの印加波形形状は同じになる
【0093】
次に、吐出速度(滴速度)と吐出量(滴重量)の両方を揃える例について説明する。
【0094】
調整したときに吐出量について支配的な第1パルスと、吐出速度について支配的な第2パルスを、共通駆動波形として用意し、第1パルスでノズル104毎の吐出量を揃えた後、第2パルスでノズル104毎の吐出速度を揃える。
【0095】
次に、本発明の第2実施形態におけるヘッド駆動制御装置について図9を参照して説明する。図9は同ヘッド駆動装置のブロック説明図である。
【0096】
本実施形態では、ヘッド制御部401から前記第1実施形態における調整値選択信号判定信号CSDをセレクタ413に入力していない点のみが異なる。
【0097】
本実施形態では、スイッチ切替え手段としてのセレクタ413は、調整値を選択する信号(調整値選択信号)CSを入力し、カウント手段であるカウンタ428のカウント結果とレジスタ426、427に保持された異なる調整値T1、T2に基づいてスイッチ手段であるアナログスイッチASをOFF状態にする手段である。
【0098】
そして、セレクタ413は、カウント428によるカウントを開始するトリガとなるカウント開始トリガ信号が第1状態(ON状態)から第2状態(OFF状態)へ遷移するときに調整値選択信号CSの状態を読み込み、調整値T1、調整値T2のいずれが選択されているかを判別する。
【0099】
その後、カウント開始トリガ信号が第2状態(OFF状態)から第1状態(ON状態)へ遷移したときからのカウント値が選択された調整値になったときにアナログスイッチASをOFF状態にする。
【0100】
次に、第2実施形態におけるトリミング制御について図10を参照して説明する。図10は同説明に供する説明図である。
【0101】
本実施形態では、図10(a)に示すように、液体を吐出させる複数(ここでは3つ)の駆動パルスP1、P2、P3を時系列で含む共通駆動波形Vcomが生成出力されて、ドライバIC410の各圧電素子112に対応するアナログスイッチASに入力される。
【0102】
駆動パルスP1~P3は、前記駆動パルスPと同様に、中間電位(基準電位)Vmから立ち下がって圧力室106を膨張させる立ち下がり波形要素aと、立ち下がり波形要素aの立下り電位を保持する保持波形要素bと、保持された電位から立ち上がって圧力室106を収縮させる立ち上がり波形要素cとを含む。
【0103】
ここでは、調整値は調整値T1、T2の2種類とする。ヘッド制御部401は、ノズル104毎に、調整値T1(トリミングデータTD1)又は調整値T2(トリミングデータTD1)の2値をレジスタ426、427に書き込む。
【0104】
また、ヘッド制御部401は、図10(b)に示すカウンタトリガ信号CTと、図10(c)に示す調整値選択信号CSとを、共通駆動波形Vcomと同期してセレクタ413に送信する。
【0105】
ここで、図10(b)に示すように、カウンタトリガ信号CTは、共通駆動波形Vcomの調整を行う駆動パルスP1~P3毎に立っている。
【0106】
そして、カウンタトリガ信号CTの立下り(立ち上がりでも良い)のタイミングで調整値選択信号CSが「H」か「L」かが判定され、カウンタトリガ信号CTの立ち上がりでカウントが開始される。このとき、調整値選択信号CSが「H」である駆動パルスPについては、調整値T1の値だけカウントを行ったらスイッチASをOFF状態に遷移させる。また、調整値選択信号CSが「L」の駆動パルスPについては、調整値T2の値だけカウントを行ったらスイッチASをOFF状態に遷移する。
【0107】
例えば、図10(c)に示すように、調整値選択信号CSが「L」となっている駆動パルスP1について調整値T2でカウントが行われ、調整値選択信号CSが「H」となっている駆動パルスP2、P3について調整値T1でカウントが行われる。
【0108】
これにより、図10(e)に示すように、印加波形TPは、駆動パルスP1を調整値T2で調整した印加パルス(吐出パルス)TP1、駆動パルスP1を調整値T1で調整した印加パルス(吐出パルス)TP2,駆動パルスP3を調整値T1で調整した印加パルス(吐出パルス)TP3で構成される。
【0109】
このように、共通駆動波形Vcomの各駆動パルスについて、個別に、ノズル毎に2通りの調整を行うことができる。したがって、単一の駆動パルスで構成される小滴、複数の駆動パルスで構成される中滴や大滴の吐出特性(吐出速度や吐出量など)を揃えたり、吐出速度と吐出量の両方を揃えたりすることができる。
【0110】
次に、本発明の第3実施形態について図11を参照して説明する。図11は同実施形態におけるトリミング制御の説明に供する説明図である。
【0111】
本実施形態では、図11(a)に示すように、液体を吐出させる複数(ここでは4つ)の駆動パルスP1、P2、P3、P4を時系列で含む共通駆動波形Vcomが生成出力されて、ドライバIC410の各圧電素子112に対応するアナログスイッチASに入力される。
【0112】
駆動パルスP1~P4は、中間電位(基準電位)Vmから立ち下がって圧力室106を膨張させる立下がり波形要素aが、第1立下り波形要素a1、第1立下がり保持波形要素a2、第2立下がり波形要素a3で構成されている。
【0113】
第1立下り波形要素a1は中間電位(基準電位)Vmから所定電位まで立ち下がって圧力室106を膨張させる。第1立下がり保持波形要素a2は第1立下り波形要素a1の立下り電位を保持する。第2立下がり波形要素a3は、第1立下り波形要素a2で保持された電位から更に立ち下がって圧力室106を膨張させる。
【0114】
また、駆動パルスP1~P4は、第2立ち下がり波形要素a3の立下り電位を保持する保持波形要素bと、保持された電位から立ち上がって圧力室106を収縮させる立ち上がり波形要素cとを含む。
【0115】
さらに、駆動パルスP4の後には、駆動パルスP4の中間電位Vmを超えて立ち上がる立ち上がり波形要素cの立ち上がり電位を保持する保持波形要素dと、保持波形要素dで保持された電位から中間電位Vmに立ち下がる立下り波形要素eとが配置されている。
【0116】
ここでは、調整値は調整値T1、T2の2種類とする。ヘッド制御部401は、ノズル104毎に、調整値T1(トリミングデータTD1)又は調整値T2(トリミングデータTD1)の2値をレジスタ426、427に書き込む。
【0117】
また、ヘッド制御部401は、図11(b)に示すカウンタトリガ信号CTと、図11(c)に示す調整値選択信号CSとを、共通駆動波形Vcomと同期してセレクタ413に送信する。
【0118】
ここで、図11(b)に示すように、カウンタトリガ信号CTは、共通駆動波形Vcomの調整を行う駆動パルスP1~P4毎に立っている。
【0119】
そして、カウンタトリガ信号CTの立下り(立ち上がりでも良い)のタイミングで調整値選択信号CSが「H」か「L」かが判定され、カウンタトリガ信号CTの立ち上がりでカウントが開始される。このとき、調整値選択信号CSが「H」である駆動パルスPについては、調整値T1の値だけカウントを行ったらスイッチASをOFF状態に遷移させる。また、調整値選択信号CSが「L」の駆動パルスPについては、調整値T2の値だけカウントを行ったらスイッチASをOFF状態に遷移する。
【0120】
例えば、図11(c)に示すように、調整値選択信号CSが「L」となっている駆動パルスP1~P3について調整値T2でカウントが行われ、調整値選択信号CSが「H」となっている駆動パルスP1について調整値T1でカウントが行われる。
【0121】
これにより、図11(e)に示すように、印加波形TPは、駆動パルスP1を調整値T2で調整した印加パルス(吐出パルス)TP1~TP3、駆動パルスP4を調整値T1で調整した印加パルス(吐出パルス)TP4で構成される。
【0122】
このように、共通駆動波形Vcomの各駆動パルスについて、個別に、ノズル毎に2通りの調整を行うことができる。したがって、単一の駆動パルスで構成される小滴、複数の駆動パルスで構成される中滴や大滴の吐出特性(吐出速度や吐出量など)を揃えたり、吐出速度と吐出量の両方を揃えたりすることができる。
【0123】
また、本実施形態のような複数段階(ここでは、二段階)立下り、あるいは、複数段階立上り波形を使用する場合のトリミングでは、トリミング前にスイッチを一旦OFFにする必要がある。そのため、一般的には、スイッチをOFFするためのタイミング信号が必要になるが、本実施形態の構成によれば、トリミング値の読み込み信号(カウンタトリガ信号)で上記タイミング信号を兼用することができ、信号線数の増加を抑えることができる。
【0124】
本願において、吐出される液体は、ヘッドから吐出可能な粘度や表面張力を有するものであればよく、特に限定されないが、常温、常圧下において、または加熱、冷却により粘度が30mPa・s以下となるものであることが好ましい。より具体的には、水や有機溶媒等の溶媒、染料や顔料等の着色剤、重合性化合物、樹脂、界面活性剤等の機能性付与材料、DNA、アミノ酸やたんぱく質、カルシウム等の生体適合材料、天然色素等の可食材料、などを含む溶液、懸濁液、エマルジョンなどであり、これらは例えば、インクジェット用インク、表面処理液、電子素子や発光素子の構成要素や電子回路レジストパターンの形成用液、3次元造形用材料液等の用途で用いることができる。
【0125】
液体を吐出するエネルギー発生源として、圧電アクチュエータ(積層型圧電素子及び薄膜型圧電素子)、発熱抵抗体などの電気熱変換素子を用いるサーマルアクチュエータ、振動板と対向電極からなる静電アクチュエータなどを使用するものが含まれる。
【0126】
また、「液体を吐出する装置」には、液体が付着可能なものに対して液体を吐出することが可能な装置だけでなく、液体を気中や液中に向けて吐出する装置も含まれる。
【0127】
この「液体を吐出する装置」は、液体が付着可能なものの給送、搬送、排紙に係わる手段、その他、前処理装置、後処理装置なども含むことができる。
【0128】
例えば、「液体を吐出する装置」として、インクを吐出させて用紙に画像を形成する装置である画像形成装置、立体造形物(三次元造形物)を造形するために、粉体を層状に形成した粉体層に造形液を吐出させる立体造形装置(三次元造形装置)がある。
【0129】
また、「液体を吐出する装置」は、吐出された液体によって文字、図形等の有意な画像が可視化されるものに限定されるものではない。例えば、それ自体意味を持たないパターン等を形成するもの、三次元像を造形するものも含まれる。
【0130】
上記「液体が付着可能なもの」とは、液体が少なくとも一時的に付着可能なものであって、付着して固着するもの、付着して浸透するものなどを意味する。具体例としては、用紙、記録紙、記録用紙、フィルム、布などの被記録媒体、電子基板、圧電素子などの電子部品、粉体層(粉末層)、臓器モデル、検査用セルなどの媒体であり、特に限定しない限り、液体が付着するすべてのものが含まれる。
【0131】
上記「液体が付着可能なもの」の材質は、紙、糸、繊維、布帛、皮革、金属、プラスチック、ガラス、木材、セラミックスなど液体が一時的でも付着可能であればよい。
【0132】
また、「液体を吐出する装置」は、液体吐出ヘッドと液体が付着可能なものとが相対的に移動する装置があるが、これに限定するものではない。具体例としては、液体吐出ヘッドを移動させるシリアル型装置、液体吐出ヘッドを移動させないライン型装置などが含まれる。
【0133】
また、「液体を吐出する装置」としては、他にも、用紙の表面を改質するなどの目的で用紙の表面に処理液を塗布するために処理液を用紙に吐出する処理液塗布装置、原材料を溶液中に分散した組成液を、ノズルを介して噴射させて原材料の微粒子を造粒する噴射造粒装置などがある。
【0134】
なお、本願の用語における、画像形成、記録、印字、印写、印刷、造形等はいずれも同義語とする。
【符号の説明】
【0135】
1 印刷装置
10 搬入部
20 前処理部
30 印刷部
40 乾燥部
50 搬出部
21 塗布部
33 吐出ユニット
100 液体吐出ヘッド(ヘッド)
106 圧力室
112 圧電素子
400 ヘッド駆動制御装置
401 ヘッド制御部
402 駆動波形生成部
403 波形データ格納部
410 ヘッドドライバ
413 セレクタ
415 アナログスイッチアレイ
426~427 レジスタ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11