(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-11
(45)【発行日】2023-12-19
(54)【発明の名称】クリーニング装置及び画像形成装置
(51)【国際特許分類】
B41J 29/17 20060101AFI20231212BHJP
B41J 2/475 20060101ALI20231212BHJP
B65H 5/00 20060101ALI20231212BHJP
B23K 26/00 20140101ALI20231212BHJP
【FI】
B41J29/17
B41J2/475 Z
B65H5/00 B
B23K26/00 A
(21)【出願番号】P 2019226208
(22)【出願日】2019-12-16
【審査請求日】2022-10-17
(73)【特許権者】
【識別番号】000006747
【氏名又は名称】株式会社リコー
(74)【代理人】
【識別番号】100090527
【氏名又は名称】舘野 千惠子
(72)【発明者】
【氏名】杉本 奈緒美
(72)【発明者】
【氏名】米田 優
(72)【発明者】
【氏名】穐山 翔
【審査官】大関 朋子
(56)【参考文献】
【文献】特表2019-529151(JP,A)
【文献】実開昭61-022277(JP,U)
【文献】実開平04-083758(JP,U)
【文献】特開平06-161187(JP,A)
【文献】特表2016-518988(JP,A)
【文献】特開平04-059259(JP,A)
【文献】特開平05-158384(JP,A)
【文献】特開2011-112708(JP,A)
【文献】特開2017-032892(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B41J 29/17
B41J 2/475
B65H 5/00
B23K 26/00
G03G 21/00
G03G 13/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
記録媒体にレーザーを照射し、前記記録媒体の少なくとも一部を炭化させて画像を形成する画像形成装置に用いられるクリーニング装置であって、
前記画像形成装置は、前記記録媒体における前記レーザーが照射される箇所を担持する担持部材と、前記記録媒体を介して前記担持部材と対向する対向部材と、を有し、
前記レーザーは、前記担持部材を通過して前記記録媒体に照射され、
前記担持部材は、前記レーザーの通過する箇所が透明であり、
当該クリーニング装置は、
ケース部材と、前記ケース部材の中に配置され、前記担持部材と接触して前記担持部材をクリーニングするブレードと、前記ケース部材内に保持され、前記ブレードにより掻き落とされた除去物を捕捉する捕捉粒子と、を有することを特徴とするクリーニング装置。
【請求項2】
前記ブレードは、ゴムブレードであることを特徴とする請求項1に記載のクリーニング装置。
【請求項3】
前記捕捉粒子は、ゴム材料からなることを特徴とする請求項1又は2に記載のクリーニング装置。
【請求項4】
前記レーザーが照射された前記記録媒体の表面をローラ部材によりクリーニングすることを特徴とする
請求項1~3のいずれかに記載のクリーニング装置。
【請求項5】
前記ローラ部材は、ブラシローラ、スポンジローラ又はゴムローラであることを特徴とする請求項
4に記載のクリーニング装置。
【請求項6】
前記ローラ部材に付着した付着物を脱離する脱離部材を有することを特徴とする請求項
4又は5に記載のクリーニング装置。
【請求項7】
前記脱離部材は、板形状の部材、又は、前記付着物を吸引する吸引部材であることを特徴とする請求項
6に記載のクリーニング装置。
【請求項8】
前記ローラ部材は、前記記録媒体を搬送する機能を有することを特徴とする請求項
4~
7のいずれかに記載のクリーニング装置。
【請求項9】
請求項1~
8のいずれかに記載のクリーニング装置を有する画像形成装置であって、
前記記録媒体にレーザーを照射し、前記記録媒体の少なくとも一部を炭化させる照射手段と、前記照射手段を制御する制御手段と、を有することを特徴とする画像形成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、クリーニング装置及び画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
画像形成装置として、トナーやインクを使用せずに、記録媒体に印字を行うトナーレスプリンターが知られている。従来のトナーレスプリンターでは、感熱紙など、紙が普通紙ではなく特殊処理された紙を使わなければならなかった。
【0003】
これに対して、特許文献1ではレーザーにより紙の一部を炭化し、変色させて印字することが提案されており、特許文献1によれば特別な感熱紙ではなく、普通紙に対しても印字できるとしている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、今までのトナーレスプリンターでは、用紙を炭化することで生じる炭粉等により、装置や印刷物が汚れてしまうという問題があった。このため、印刷物に炭粉等が付着して画像品質が劣化する、装置が汚れることによりレーザーの照射効率が低下する、また装置が汚れることによりオペレータの手が汚れるという問題があった。
【0005】
そこで本発明は、記録媒体を炭化することで生じる炭粉等により装置や印刷物が汚れることを防止できるクリーニング装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本発明は、記録媒体にレーザーを照射し、前記記録媒体の少なくとも一部を炭化させて画像を形成する画像形成装置に用いられるクリーニング装置であって、前記画像形成装置は、前記記録媒体における前記レーザーが照射される箇所を担持する担持部材と、前記記録媒体を介して前記担持部材と対向する対向部材と、を有し、前記レーザーは、前記担持部材を通過して前記記録媒体に照射され、前記担持部材は、前記レーザーの通過する箇所が透明であり、当該クリーニング装置は、ケース部材と、前記ケース部材の中に配置され、前記担持部材と接触して前記担持部材をクリーニングするブレードと、前記ケース部材内に保持され、前記ブレードにより掻き落とされた除去物を捕捉する捕捉粒子と、を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、記録媒体を炭化することで生じる炭粉等により装置や印刷物が汚れることを防止できる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】本発明に係るクリーニング装置及び画像形成装置の一例を示す断面概略図である。
【
図2】本発明に係るクリーニング装置の他の例を示す断面概略図(A)及び(B)である。
【
図3】本発明に係るクリーニング装置の他の例を示す断面概略図(A)及び(B)である。
【
図4】本発明に係るクリーニング装置の他の例を示す断面概略図(A)及び(B)である。
【
図5】本発明に係るクリーニング装置の他の例を示す断面概略図(A)及び(B)である。
【
図6】本発明に係るクリーニング装置及び画像形成装置の他の例を示す断面概略図である。
【
図7】本発明に係るクリーニング装置の他の例を示す断面概略図である。
【
図8】本発明に係るクリーニング装置の他の例を示す断面概略図(A)及び(B)である。
【
図9】本発明に係るクリーニング装置の他の例を示す断面概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明に係るクリーニング装置及び画像形成装置について図面を参照しながら説明する。なお、本発明は以下に示す実施形態に限定されるものではなく、他の実施形態、追加、修正、削除など、当業者が想到することができる範囲内で変更することができ、いずれの態様においても本発明の作用・効果を奏する限り、本発明の範囲に含まれるものである。
【0010】
(第1の実施形態)
本発明に係るクリーニング装置及び画像形成装置の一実施形態について説明する。
本実施形態について
図1を用いて説明する。
図1は、クリーニング装置を備えた画像形成装置の断面概略図である。
【0011】
本実施形態のクリーニング装置は、記録媒体にレーザーを照射し、記録媒体の少なくとも一部を炭化させて画像を形成する画像形成装置に用いられるクリーニング装置であって、レーザーが照射された記録媒体の表面をローラ部材によりクリーニングする。
【0012】
本実施形態の画像形成装置は、本実施形態のクリーニング装置と、記録媒体にレーザーを照射し、記録媒体の少なくとも一部を炭化させる照射手段と、照射手段を制御する制御手段と、を少なくとも有する。その他、記録媒体を給紙、搬送、排紙する手段等を有していてもよい。
【0013】
以下、本実施形態における画像を形成する処理の一例を説明する。
給紙トレイ1から給紙ローラ2(ピックアップローラとも称する)により用紙8がピックアップされると、搬送ローラ14、15、3により用紙8がレーザー照射領域まで搬送される。搬送ローラ14、15、3は、2個で1対のローラで構成されており、配置する箇所や搬送ローラの組の数などは適宜変更することができる。図中の矢印は、用紙8の搬送方向を示す。
【0014】
用紙8(記録媒体)としては、適宜変更することができ、例えば、普通紙、段ボール、ボール紙、あるいは光沢紙や凹凸紙などの特殊紙、表面にコーティングを施した紙などが挙げられる。表面にレーザー光を照射して炭化するセルロースや、その他、表層に炭素原子が含まれる成分が存在している記録媒体を用いることができる。
【0015】
前記制御手段は、コントロールユニットとも称し、レーザーのパワーの調整やスイッチのオン、オフ等の制御を行う。レーザーのパワーの調整やスイッチのオン、オフ等の制御を行うことにより、記録媒体の炭化のレベルをコントロールすることができる。
【0016】
照射手段は、例えば、レーザーダイオード4、モータドライバ5、ポリゴンミラー6、レンズ7を有する。
レーザーダイオード4から照射されたレーザービームは、図示しないミラーによって光路を設定され、ポリゴンミラー6に入射する。
レーザーとしては、近赤外領域の赤外線を用いることができる。
【0017】
コントロールユニット41は、モータドライバ5を制御し、ポリゴンミラー6を回転させる。ポリゴンミラー6を回転させることにより、照射箇所の制御やプリントスピードの調整等を行うことができる。なお、図示されるコントロールユニット41は、模式的に示すものであり、構成は特に制限されるものではなく、適宜変更することができる。
【0018】
ポリゴンミラー6としては、適宜変更可能であり、本実施形態では6角形ミラーとしている。また、ポリゴンミラー6の設置個所や大きさ等は適宜変更することが可能である。
【0019】
ポリゴンミラー6を通過したレーザーは、必要に応じてレンズ7を通過する。レンズ7によりレーザーを集束させることができ、またレーザーが照射される箇所を調整することができる。
【0020】
コントロールユニット41は、パソコンやスマートフォンなど、印刷指示を行うデバイスからの印刷要求により、要求されたテキストやイメージをプリントするための画像データを作成する。次いで、画像処理を行うことによりドットデータを作成する。
【0021】
コントロールユニット41は、用紙8の搬送状況やドットデータに基づいて、レーザーダイオード4にオンオフ信号を送信する。これにより、レーザー照射位置まで搬送された用紙8に対してレーザーの照射を行い、用紙8を選択的に炭化し、画像16を形成する。画像16が形成された用紙8は、搬送ローラ9、10によって排紙トレイ11まで搬送される。なお、図示される画像16は模式的に示したものであり、画像16の厚みは問わない。
【0022】
このような画像形成方法において、用紙8における炭化された箇所(炭化部)では、炭粉や、炭酸カルシウムなどの填料に炭粉が付着したものなどが紙表面から脱離しやすい。脱離のしやすさは、記録媒体の種類によっても異なるが、炭粉などの脱離したものが非印字箇所(炭化部ではないところ)に付着すると汚れになってしまう。
【0023】
以下その不具合について詳細を説明する。紙は主にセルロースと、填料と呼ばれる無機物の添加剤を含む。填料は炭酸カルシウムを多く含むことが多く、炭酸マグネシウムなども含むことがある。またそれ以外のコーティング剤やサイズ剤も含んでいる。
【0024】
レーザー照射による炭化は、主に紙の主成分であるセルロースの炭化が挙げられる。セルロースにレーザーが照射されると照射された箇所が高温になり、その温度が閾値を超えると炭化する。その際、無機物、その多くは炭酸カルシウムであるが、これが多く含まれる紙の場合、無機物は炭化しないため、炭化せず白く残ることがある。
【0025】
積極的に白色化や脱色化を行っていない段ボールなどの茶色の色付きの紙は、無機填料を多く含まないため、均一に炭化されやすい。
一方、紙に関しては、製造方法によって紙表面の凹凸が大きい粗面紙(平滑度が低い紙)や凹凸の少ない紙など、色々な種類の紙がある。紙表面の凹凸が小さい場合、熱の影響を均一に受けるために均一に炭化するが、凹凸の大きい粗面紙の場合、不均一に炭化し、紙に密着しない、離脱しやすい炭粉が発生する。
【0026】
これらのことから、例えば段ボールは填料が少なく、さらに表面凹凸が少ないため、均一に炭化されやれやすく、離脱する炭粉は発生しにくい。一方、平滑度が低く、かつ白色度が高い紙は、不均一に炭化され離脱する炭粉が発生しやすいのと同時に、セルロースに担持された炭酸カルシウム粉が炭化部から離脱することがある。これらの炭粉や、炭粉を付着させた炭酸カルシウム粉が離脱すると、紙を汚すことがある。また、炭粉等が紙から落下、飛散した場合、装置内部が汚れてしまう。
【0027】
これに対して、画像形成後の記録媒体をクリーニングすることが好ましく、本実施形態では、レーザーが照射された記録媒体の表面をクリーニングするクリーニング装置20を用いている。
【0028】
本実施形態において、クリーニング装置20は、搬送ローラ9と搬送ローラ10との間に設けられている。レーザーが照射された記録媒体は、クリーニング装置20を通過して排紙トレイ11に搬送される。クリーニング装置20の配置場所は、適宜変更することが可能であり、レーザー照射後であればよい。
【0029】
本実施形態のクリーニング装置20の一例を
図2(A)に示す。本実施形態のクリーニング装置20は、ブラシローラ21と、用紙8を介してブラシローラ21と対向する対向ローラ22とを有している。
【0030】
ブラシローラ21と対向ローラ22は、回転してもよく、本実施形態では、用紙8の進行方向に対して連れ回るようにしている。例えば、モータドライバやモータを用いて、ブラシローラ21と対向ローラ22を駆動させ、回転するようにしてもよい。
【0031】
ブラシローラ21のブラシ繊維が、用紙8から脱離した炭粉等と接触することにより、炭粉がブラシ繊維に吸着する。これにより、用紙8のクリーニングを行うことができる。ブラシローラ21を用いる場合、ブラシ繊維が用紙8に接触することで用紙8との接触面積を大きくすることができ、炭粉等をより除去することができる。
【0032】
なお、汚れの要因となるものとして、炭粉以外にも、炭酸カルシウムなどの填料に炭粉が付着したものなどが挙げられるが、代表して炭粉を用いて説明する。
【0033】
ブラシ繊維としては、ナイロン、アクリル、PET(ポリエチレンテレフタレート)などが使用できる。吸着した炭粉が用紙8に戻るのを防止するため、表面凹凸が少ない繊維よりも、表面凹凸が多い繊維を選択する方が好ましく、八葉断面糸、撚糸、表面を粗面化した繊維がより好ましい。
【0034】
ブラシローラ21としては、SUSの金属棒の表面に、繊維を植毛した基布を巻きつけたものを用いてもよく、金属棒に接着剤を塗布し、繊維を静電植毛したものを用いてもよい。
【0035】
ブラシローラ21の材質、形状、大きさ等は適宜変更することができる。特に制限されるものではないが、毛足長さは3~5mm、繊維太さは2~4d(デニール)、植毛密度は5~10万本/inch2であることが好ましい。本実施形態では、例えば、アクリル繊維を用い、毛足の長さ4mm、繊維太さ2d、植毛密度5万本/inch2のブラシローラを用いる。
【0036】
ブラシローラ21の用紙8への食い込み量としては、適宜変更することが可能であるが、0.1~0.5mmが好ましい。用紙8の種類やブラシローラの種類等によっても異なるが、この範囲であると、用紙8への食い込み量が適切な値となり、炭化部から炭粉が脱離する量を抑えることができる。
【0037】
上述のように、本実施形態のクリーニング装置及び画像形成装置によれば、記録媒体を炭化することで生じる炭粉等により装置や印刷物が汚れることを防止できる。また、炭化部から脱離する炭粉等が他の記録媒体や装置内に移転、付着、飛散することを抑制でき、またオペレータの手を汚すことを抑制できる。また、炭粉等が他の記録媒体を汚して画像品質が劣化することを抑制できる。
【0038】
次に、本実施形態のクリーニング装置20の好ましい例を
図2(B)に示す。本例のクリーニング装置20は、ブラシローラ21に付着した付着物を脱離する脱離部材を有する。本例における脱離部材は、板形状のフリッカーバー23としており、フリッカーバー23はブラシローラ21に食い込み量をもって接触している。
【0039】
本例によれば、ブラシローラ21がフリッカーバー23に接触することにより、ブラシ繊維から炭粉を払い落とすことができ、ブラシが汚れたままにならないようにすることができる。
【0040】
また、本例では、ブラシローラ21を囲うように、カバー部材24を設けており、これにより、ブラシ繊維から炭粉を脱離する際に、装置や印刷物を汚さないようにすることができる。また、カバー部材を設けることにより、ブラシローラ21により除去された炭粉等が落下、飛散することを抑制でき、炭粉等が再び用紙8に付着することを抑制することができる。
【0041】
フリッカーバー23の材料としては、適宜変更することができ、例えばSUS、ナイロン樹脂、PTFE(ポリテトラフルオロエチレン)樹脂などが挙げられる。
【0042】
また、ブラシローラ21及び対向ローラ22の構成を適宜調整することにより、クリーニング装置20に記録媒体を搬送する機能を持たせてもよい。この場合、例えば搬送ローラ9、10等の部材を省略することができ、装置の小型化につながる。
【0043】
(第2の実施形態)
次に、本発明に係るクリーニング装置及び画像形成装置の他の実施形態について説明する。上記実施形態と同様の事項については説明を省略する。
【0044】
本実施形態について
図3を用いて説明する。
図3は、本実施形態のクリーニング装置を説明するための図であり、
図2と同様に、断面概略図を示す。本実施形態のクリーニング装置は、上記第1の実施形態と同様に、記録媒体の表面をクリーニングするものである。
【0045】
図3(A)に示されるように、本実施形態のクリーニング装置20は、スポンジローラ26と、用紙8を介してスポンジローラ26に対向する対向ローラ22を有している。スポンジローラ26を用いる場合、ソリッドローラに比べて記録媒体に対する接触圧が高くなることを防止できる。これにより、記録媒体上の炭化部の表面に衝撃を与えることを抑制し、用紙8から炭粉等が脱落しにくくなり、印字品質の劣化を防止できる。
【0046】
本実施形態において、スポンジローラ26と対向ローラ22は回転可能に設けられており、例えば、駆動モータを用いて連れ回るようにし、用紙8の進行方向と同じ方向に等速で回転するようにしている。図中の矢印はローラの回転方向を示している。
【0047】
スポンジローラ26の幅は、適宜変更が可能であり、例えば、搬送する用紙8の最大幅とすることができる。また、スポンジローラ26は、対向ローラ22に対して所定の寸法(例えば約1mm)だけ食い込むように当接させてもよい。
【0048】
スポンジローラ26の材料としては、例えば、オレフィン系、ポリウレタン、フッ素系、PVA(ポリビニルアルコール)等を用いることができる。
【0049】
画像形成後の記録媒体における炭化部とスポンジローラ26が接触することにより、離脱しやすい炭粉、炭酸カルシウムの粉体、繊維状で離脱したものなどがスポンジローラのセル(穴)の表面に入り込み、用紙8の表面から除去される。
【0050】
なお、スポンジローラ26は、スナップリングとギヤを用いるようにしてもよく、この場合、スナップリングを外し、ギヤを外すと容易に抜き取れるようにすることが好ましい。これにより、長期間の使用で汚れたスポンジローラを定期的に清掃、交換等を行いやすくなり、メンテナンスがしやすくなる。
【0051】
図3では、搬送ローラ9、10の図示を省略しているが、本実施形態においては、搬送ローラ9、10を省くことができる。スポンジローラ26と対向ローラ22の構成を適宜調整することにより、クリーニング装置20に記録媒体を搬送する機能を持たせてもよい。この場合、例えば搬送ローラ9、10等の部材を省略することができ、装置の小型化につながる。
【0052】
次に、本実施形態のクリーニング装置20の好ましい例を
図3(B)に示す。本例のクリーニング装置20は、スポンジローラ26に付着した付着物を脱離する脱離部材を有する。本例における脱離部材は、板形状のフリッカーバー27としており、フリッカーバー27はスポンジローラ26に食い込み量をもって接触している。
【0053】
本例によれば、スポンジローラ26がフリッカーバー27に接触することにより、スポンジローラ26に付着した炭粉、炭酸カルシウム、繊維等を衝撃により弾き飛ばして清掃することができる。また、本例では、スポンジローラ26を囲うように、カバー部材24が設けられており、これにより、スポンジローラ26から炭粉等を脱離する際に、装置内を汚さないようにすることができる。
【0054】
フリッカーバー27の材料としては、適宜変更することができ、例えばSUS、ナイロン樹脂、PTFE(ポリテトラフルオロエチレン)樹脂などが挙げられる。
【0055】
(第3の実施形態)
次に、本発明に係るクリーニング装置及び画像形成装置の他の実施形態について説明する。上記実施形態と同様の事項については説明を省略する。
【0056】
本実施形態について
図4を用いて説明する。
図4は、本実施形態のクリーニング装置を説明するための図であり、
図2と同様に、断面概略図を示す。本実施形態のクリーニング装置は、上記第1の実施形態等と同様に、記録媒体の表面をクリーニングするものである。
【0057】
図4(A)に示されるように、本実施形態のクリーニング装置20は、スポンジローラ26と、用紙8を介してスポンジローラ26に対向する対向ローラ22を有している。本実施形態のクリーニング装置20は、さらに、スポンジローラ26に付着した付着物を脱離する脱離部材を有しており、脱離部材は付着物を吸引する吸引部材28である。吸引部材28を用いることにより、スポンジローラ26から炭粉等が飛び散ることを抑制でき、装置内の汚染を抑制できる。
【0058】
吸引部材28としては、適宜変更することが可能である。例えば、スポンジローラ26の軸方向全域に対向する形状・大きさとしてもよい。また、スポンジローラ26に限られず、ブラシローラ21等に対して吸引するようにしてもよい。また、吸引動作を行うクリーニングモードを設けてもよく、画像形成後にクリーニングモードを行うようにしてもよい。
【0059】
また、
図4(B)に示されるように、スポンジローラ26を囲うように、カバー部材24を設けてもよい。これにより、スポンジローラ26から炭粉等を脱離する際に、装置や印刷物の汚染を更に抑制することができる。
【0060】
(第4の実施形態)
次に、本発明に係るクリーニング装置及び画像形成装置の他の実施形態について説明する。上記実施形態と同様の事項については説明を省略する。
【0061】
本実施形態について
図5を用いて説明する。
図5は、本実施形態のクリーニング装置を説明するための図であり、
図2と同様に、断面概略図を示す。本実施形態のクリーニング装置は、上記第1の実施形態等と同様に、記録媒体をクリーニングするものである。
【0062】
図5(A)に示されるように、本実施形態のクリーニング装置20は、ゴムローラ29と、用紙8を介してゴムローラ29に対向する対向ローラ22を有している。
【0063】
ゴムローラ29としては、適宜変更することが可能であり、例えば芯金29aと弾性層29bの構成とすることができる。
芯金29aとしては、例えば、鉄、SUSなどの導電性の金属材料等を用いることができる。
弾性層29bとしては、例えば、エピクロルヒドリンゴム、ウレタンゴム、エチレンプロピレンゴム(EPDM)、シリコーンゴム、フッ素ゴム等を用いることができる。弾性層29bの厚みとしては、特に制限されるものではなく、例えば3mmとすることができる。
【0064】
次に、本実施形態のクリーニング装置20の好ましい例を
図5(B)に示す。本例のクリーニング装置20は、ゴムローラ29に付着した付着物を脱離する脱離部材を有する。本例における脱離部材は、板形状のフリッカーバー27としており、ゴムローラ29に接触している。
【0065】
本例によれば、ゴムローラ29がフリッカーバー27に接触することにより、ゴムローラ29に付着した炭粉、炭酸カルシウム、繊維等を衝撃により弾き飛ばして清掃することができる。また、本例では、ゴムローラ29を囲うように、カバー部材24が設けられており、これにより、ゴムローラ29から炭粉等を脱離する際に、装置や印刷物を汚さないようにすることができる。
【0066】
図5では、搬送ローラ9、10の図示を省略しているが、本実施形態においては、搬送ローラ9、10を省くことができる。ゴムローラ29と対向ローラ22の構成を適宜調整することにより、クリーニング装置20に記録媒体を搬送する機能を持たせてもよい。この場合、例えば搬送ローラ9、10を省略することができ、装置の小型化につながる。
ゴムローラ29を用いる場合、記録媒体を搬送する機能が向上する。
【0067】
(第5の実施形態)
次に、本発明に係るクリーニング装置及び画像形成装置の他の実施形態について説明する。上記実施形態と同様の事項については説明を省略する。
【0068】
本実施形態の画像形成装置は、記録媒体にレーザーを照射し、記録媒体の少なくとも一部を炭化させる照射手段と、照射手段を制御する制御手段とを有する。更に、本実施形態の画像形成装置は、記録媒体におけるレーザーが照射される箇所を担持する担持部材と、記録媒体を介して担持部材と対向する対向部材とを有する。
【0069】
本実施形態において、照射手段から照射されるレーザーは、前記担持部材を通過して記録媒体に照射され、前記担持部材は、レーザーの通過する箇所が透明である。また、本実施形態のクリーニング装置は、前記担持部材をクリーニングする。
【0070】
本実施形態について
図6を用いて説明する。
図6は、本実施形態のクリーニング装置及び画像形成装置を説明するための図であり、
図1と同様に、断面概略図を示す。本実施形態の画像形成装置の構成については、上記第1の実施形態との相違点を中心に説明する。
【0071】
本実施形態の画像形成装置は、記録媒体におけるレーザーが照射される箇所を担持する担持部材12と、記録媒体を介して担持部材12と対向する対向部材13を有している。本実施形態の担持部材12は、ガラスによって形成された中空の円筒形状の部材としており、円筒内部にモータドライバ5、ポリゴンミラー6、レンズ7を配置している。担持部材12は、レーザーの通過する箇所が高い透過効率を有しており、すなわち、レーザーの通過する箇所が透明となっている。
【0072】
本実施形態において、対向部材13は弾性層を有するローラ部材としている。
なお、対向部材13における弾性層としては、上記第4の実施形態の弾性層29bと同様のものを用いることができる。
【0073】
担持部材12と対向部材13は、例えば、駆動モータを用いて連れ回るようにし、用紙8の進行方向と同じ方向に回転するようにしている。担持部材12と対向部材13のうちの少なくとも一方が回転することにより、担持部材12又は対向部材13に、用紙8を搬送する機能を持たせることができる。そのため、上記第1の実施形態と比較すると、例えば搬送ローラ9を省略することができる。
【0074】
担持部材12により、用紙8に圧力をかけることができ、用紙8に圧力がかかることにより、炭化部に圧力がかかり、炭化部を用紙8に定着させる働きも得られる。
【0075】
上述したように、用紙8の炭化部からは、細かい炭粉、炭化された紙繊維、炭酸カルシウム粉などが脱離する。担持部材12と用紙8とが接触した後は、担持部材12に炭粉等が付着する。担持部材12に付着した炭粉等が、後に搬送される記録媒体の非炭化部に付着すると、画像の品質が低下してしまう。
【0076】
これに対して、本実施形態では、担持部材12における記録媒体と接触する箇所をクリーニングするクリーニング装置30を用いている。本実施形態のクリーニング装置30は、ゴムブレード31とケース部材32を有する。
【0077】
ゴムブレード31は、担持部材12と接触し、担持部材12の回転に伴い、担持部材12に付着した炭粉等を掻き落とす。
ゴムブレード31としては、例えば、エピクロルヒドリンゴム、ウレタンゴム、エチレンプロピレンゴム、シリコーンゴム、フッ素ゴム等を用いることができる。
ゴムブレード31の幅は、適宜変更が可能であり、例えば、搬送する用紙8の最大幅とすることができる。
【0078】
ケース部材32は、本実施形態において必須ではないが、用いられていることが好ましい。ゴムブレード31により掻き落とされた炭粉等が、ケース部材32に捕捉され、装置や印刷物の汚染を防止することができる。
【0079】
上述のように、本実施形態のクリーニング装置及び画像形成装置によれば、記録媒体を炭化することで生じる炭粉等により装置や印刷物が汚れることを防止できる。また、炭化部から脱離する炭粉等が他の記録媒体や装置内に移転、付着、飛散することを抑制でき、またオペレータの手を汚すことを抑制できる。また、炭粉等が他の記録媒体を汚して画像品質が劣化することを抑制できる。
【0080】
(第6の実施形態)
次に、本発明に係るクリーニング装置及び画像形成装置の他の実施形態について説明する。上記実施形態と同様の事項については説明を省略する。
【0081】
本実施形態について
図7を用いて説明する。
図7は、本実施形態のクリーニング装置を説明するための図であり、
図6と同様に、断面概略図を示す。本実施形態のクリーニング装置は、上記第5の実施形態と同様に、担持部材をクリーニングするものである。
【0082】
本実施形態のクリーニング装置30は、ゴムブレード31とケース部材32をしている点で上記第5の実施形態と同じであるが、ケース部材32内に捕捉粒子33を有する点で上記実施形態と異なる。
【0083】
捕捉粒子33は、ゴムブレードにより除去された炭粉等の除去物を捕捉する。
炭粉は細かく、また軽いため、一旦ゴムブレード31で掻き取ってもケース部材32内の気流で巻き上がり、再度、担持部材12に付着しやすい。これに対して、捕捉粒子33を用いることにより、掻き取られた炭粉等が再度、担持部材12に付着することを防止でき、クリーニング性能を向上させることができる。
【0084】
捕捉粒子33としては、適宜変更が可能であるが、摩擦係数が高く、耐熱性が良いゴム材料が好ましい。ゴム材料であると、炭粉等を捕捉しやすくなる。
ゴム材料としては、例えばシリコーンゴム、アクリルゴム、エチレンプロピレンゴム、ブチルゴム、エピクロロヒドリンゴム等が挙げられる。
【0085】
捕捉粒子33の大きさとしては、特に制限されるものではないが、例えば直径3~5mmとすることが好ましい。この場合、十分な表面積を確保でき、炭粉等を捕捉しやすくなる。
【0086】
(第7の実施形態)
次に、本発明に係るクリーニング装置及び画像形成装置の他の実施形態について説明する。上記実施形態と同様の事項については説明を省略する。
【0087】
本実施形態について
図8を用いて説明する。
図8は、本実施形態のクリーニング装置を説明するための図であり、
図7と同様に、断面概略図を示す。本実施形態のクリーニング装置は、上記第5の実施形態等と同様に、担持部材をクリーニングするものである。
【0088】
図8(A)に示されるように、本実施形態のクリーニング装置30は、ブラシローラ34、ケース部材32、フリッカーバー35を有する。本実施形態におけるブラシローラ34は、担持部材12に接触しながら連れ回り方向に回転し、担持部材12をクリーニングする。特に制限されるものではないが、ブラシローラ34は、モータドライバやモータにより駆動されて回転する。
【0089】
用紙8から脱離した炭粉等にブラシローラ34のブラシ繊維が接触することによって、ブラシ繊維に炭粉等が吸着される。ブラシローラ34を用いる場合、ブラシ繊維が担持部材12に接触することで担持部材12との接触面積を大きくすることができ、炭粉等をより除去することができる。
【0090】
ブラシ繊維としては、ナイロン、アクリル、PET(ポリエチレンテレフタレート)などが使用できる。吸着した炭粉等が担持部材12に戻るのを防止するため、表面凹凸が少ない繊維よりも、表面凹凸が多い繊維を選択する方が好ましく、八葉断面糸、撚糸、表面を粗面化した繊維がより好ましい。
【0091】
ブラシローラ34としては、SUSの金属棒の表面に、繊維を植毛した基布を巻きつけたものを用いてもよく、金属棒に接着剤を塗布し、繊維を静電植毛したものを用いてもよい。
【0092】
ブラシローラ34の材質、形状、大きさ等は適宜変更することができる。特に制限されるものではないが、毛足長さは3~5mm、繊維太さは2~4d(デニール)、植毛密度は5~10万本/inch2であることが好ましい。本実施形態では、例えば、アクリル繊維を用い、毛足の長さ4mm、繊維太さ2d、植毛密度5万本/inch2のブラシローラを用いた。
【0093】
本実施形態のクリーニング装置30は、ブラシローラ34に付着した付着物を脱離する脱離部材を有する。本実施形態における脱離部材は、板形状のフリッカーバー35としており、フリッカーバー35はブラシローラ34に食い込み量をもって接触している。フリッカーバー35を用いることにより、ブラシローラ34が汚れたままにならないようにすることができ、クリーニング装置のクリーニング性能を向上させることができる。
【0094】
次に、本実施形態のクリーニング装置30の好ましい例を
図8(B)に示す。本例のクリーニング装置30は、ブラシローラ34に付着した付着物を脱離する脱離部材を有する。本例における脱離部材はゴムローラ36としており、ゴムローラ36はブラシローラ34に接触している。
【0095】
本例によれば、ブラシローラ34からゴムローラ36へ炭粉等を移行させやすく、ブラシが汚れたままにならないようにすることができ、ブラシローラ34がより長寿命となる。
【0096】
ゴムローラ36の材料としては、適宜変更することができ、例えば上記第5の実施形態におけるゴムブレード31と同様の材料を用いることができる。
【0097】
(第8の実施形態)
次に、本発明に係るクリーニング装置及び画像形成装置の他の実施形態について説明する。上記実施形態と同様の事項については説明を省略する。
【0098】
本実施形態について
図9を用いて説明する。
図9は、本実施形態のクリーニング装置を説明するための図であり、
図6と同様に、断面概略図を示す。本実施形態のクリーニング装置は、上記第5の実施形態等と同様に、担持部材をクリーニングするものである。
【0099】
本実施形態のクリーニング装置30は、ゴムローラ37、ケース部材32、スクレーパ38を有する。
本実施形態におけるゴムローラ37は、担持部材12に接触しながら連れ回り方向に回転し、担持部材12をクリーニングする。特に制限されるものではないが、ゴムローラ37は、モータドライバやモータにより駆動されて回転する。用紙8から脱離した炭粉等にゴムローラ37が接触することによって、担持部材12に付着した炭粉等が除去される。
【0100】
本実施形態のクリーニング装置30は、ゴムローラ37に付着した付着物を脱離する脱離部材を有する。本実施形態における脱離部材は、板形状のスクレーパ38としており、ゴムローラ37の表面に付着した異物(付着物)を除去し、ゴムローラ37の表面を清浄に保つことができる。
【0101】
スクレーパ38としては、適宜変更することが可能であるが、例えば金属を用いることができる。
ゴムローラ37としては、特に制限されるものではないが、摩擦係数の低いゴムを用いることが好ましい。この場合、担持部材12の回転の阻害要因になることを防止できる。
【0102】
(その他の実施形態)
次に、本発明に係るクリーニング装置及び画像形成装置の他の実施形態について説明する。上記実施形態と同様の事項については説明を省略する。本実施形態のクリーニング装置は、上記第5の実施形態等と同様に、担持部材をクリーニングするものである。
【0103】
上記実施形態では、担持部材12をクリーニングする部材として、ブラシローラ34、ゴムローラ37を説明したが、これ以外にも、例えば、可撓性を有するウェブ(不織布)を用いて担持部材12のクリーニングを行うことができる。
【0104】
本実施形態のクリーニング装置は、例えば、可撓性を有するウェブと、ウェブの供給を行うウェブ供給手段と、ウェブの巻き取りを行う巻き取り手段と、ウェブを担持部材12に押圧する押圧手段とを有する。
【0105】
本実施形態では、例えば、クリーニングモードを設け、クリーニングモードにおいてクリーニングを行うようにしてもよい。このモードでは例えば以下の処理を行う。画像を形成した後、ウェブ供給手段からウェブを担持部材12の接触位置に供給し、押圧手段によりウェブを担持部材12に接触させ、ウェブ供給を停止する。レーザーの照射を行わない状態で、担持部材12を回転させ、ウェブで担持部材の摺擦動作を行う。この後、担持部材12の回転を停止し、ウェブの巻き取り動作を行い、クリーニングモードを終了する。
【符号の説明】
【0106】
1 給紙トレイ
2 給紙ローラ
3、9、10、14、15 搬送ローラ
4 レーザーダイオード
5 モータドライバ
6 ポリゴンミラー
7 レンズ
8 用紙
12 担持部材
13 対向部材
20、30 クリーニング装置
21 ブラシローラ
22 対向ローラ
23、27 フリッカーバー
24 カバー部材
26 スポンジローラ
28 吸引部材
29 ゴムローラ
31 ゴムブレード
32 ケース部材
33 捕捉粒子
34 ブラシローラ
35 フリッカーバー
36、37 ゴムローラ
38 スクレーパ
41 コントロールユニット
【先行技術文献】
【特許文献】
【0107】