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特許7400571画像形成装置、データ出力方法、データ統合方法およびプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-11
(45)【発行日】2023-12-19
(54)【発明の名称】画像形成装置、データ出力方法、データ統合方法およびプログラム
(51)【国際特許分類】
   H04N 1/00 20060101AFI20231212BHJP
   B41J 29/38 20060101ALI20231212BHJP
   B41J 29/42 20060101ALI20231212BHJP
   G03G 21/00 20060101ALI20231212BHJP
   G03G 21/14 20060101ALI20231212BHJP
【FI】
H04N1/00 127Z
B41J29/38 201
B41J29/42 F
G03G21/00 388
G03G21/00 380
G03G21/14
【請求項の数】 11
(21)【出願番号】P 2020049956
(22)【出願日】2020-03-19
(65)【公開番号】P2021150859
(43)【公開日】2021-09-27
【審査請求日】2023-01-16
(73)【特許権者】
【識別番号】000006747
【氏名又は名称】株式会社リコー
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(72)【発明者】
【氏名】浅川 和宏
【審査官】豊田 好一
(56)【参考文献】
【文献】特開2006-080902(JP,A)
【文献】特開2018-120269(JP,A)
【文献】特開2011-188344(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04N 1/00
B41J 29/38
B41J 29/42
G03G 21/00
G03G 21/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
データと、前記データを管理するための管理情報と、を記憶する記憶部と、
前記データの追加または削除の結果を前記管理情報に記録するデータ管理部と、
前記データと前記管理情報とを前記記憶部から出力するデータ移行部と、を備え、
前記データ管理部は、前記管理情報を複製して複製管理情報を生成し、前記データ移行部が前記データの出力を開始すると、前記データの追加または削除の操作を受けた場合の記録先を前記複製管理情報に変更する、
画像形成装置。
【請求項2】
前記データ管理部は、前記データ移行部による出力が完了すると、前記複製管理情報で前記管理情報を更新し、前記データの追加または削除の操作を受けた場合の前記記録先を前記管理情報に戻す、
請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
ユーザから前記データの追加または削除の操作を受けるための画面を操作部に表示させる表示制御部をさらに備え、
前記表示制御部は、前記データ管理部が前記管理情報の複製を開始すると、前記複製を完了するまで前記操作の受付を停止する旨を示す画面を前記操作部に表示させる、
請求項1または2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記表示制御部は、前記データ移行部が前記データと前記管理情報の出力を開始すると、前記出力を完了するまで、前記出力の進捗状況を示す画像と、前記データの追加または削除の操作を受けるための画像と、を含む画面を前記操作部に表示させる、
請求項3に記載の画像形成装置。
【請求項5】
データと、前記データを管理するための管理情報と、を記憶する記憶部と、
前記データの追加または削除の結果を前記管理情報に記録するデータ管理部と、
移行元の画像形成装置から出力されたデータを示す移行データおよび移行管理情報を取得して、前記データに前記移行データを統合するデータ移行部と、を備え、
前記データ管理部は、前記管理情報に前記移行管理情報を統合し、前記データ移行部が前記データに前記移行データを統合している間に前記データの追加または削除が発生した場合には、前記移行管理情報が統合された前記管理情報に記録する、
画像形成装置。
【請求項6】
ユーザから前記データの追加または削除の操作を受けるための画面を操作部に表示させる表示制御部をさらに備え、
前記表示制御部は、前記データ管理部が前記管理情報への前記移行管理情報の統合を開始すると、前記統合を完了するまで前記操作の受け付けを停止する旨を示す画面を前記操作部に表示させる、
請求項5に記載の画像形成装置。
【請求項7】
前記表示制御部は、前記データ移行部が前記データへの前記移行データの統合を開始すると、前記統合を完了するまで、前記統合の進捗状況を示す画像と、前記データの追加または削除の操作を受けるための画像と、を含む画面を前記操作部に表示させる、
請求項6に記載の画像形成装置。
【請求項8】
データと、前記データを管理するための管理情報と、を記憶する画像形成装置によるデータ出力方法であって、
前記データの追加または削除の結果を前記管理情報に記録する第一のステップと、
前記データと前記管理情報とを出力する第二のステップと、
前記管理情報を複製して複製管理情報を生成する第三のステップと、を備え、
前記第一のステップでは、前記第二のステップで前記データの出力を開始すると、前記データの追加または削除の操作を受けた場合の記録先を前記複製管理情報に変更する、
データ出力方法。
【請求項9】
データと、前記データを管理するための管理情報と、を記憶する画像形成装置によるデータ統合方法であって、
前記データの追加または削除の結果を前記管理情報に記録する第一のステップと、
移行元の画像形成装置から出力されたデータを示す移行データおよび移行管理情報を取得して、前記データに前記移行データを統合する第二のステップと、
前記管理情報に前記移行管理情報を統合する第三のステップと、を備え、
前記第一のステップでは、前記第二のステップで前記データに前記移行データを統合している間に前記データの追加または削除が発生した場合には、前記移行管理情報が統合された前記管理情報に記録する、
データ統合方法。
【請求項10】
データと、前記データを管理するための管理情報と、を記憶するコンピュータに、
前記データの追加または削除の結果を前記管理情報に記録する第一のステップと、
前記データと前記管理情報とを出力する第二のステップと、
前記管理情報を複製して複製管理情報を生成する第三のステップと、を実行させるためのプログラムであって、
前記第一のステップでは、前記第二のステップで前記データの出力を開始すると、前記データの追加または削除の操作を受けた場合の記録先を前記複製管理情報に変更する、
プログラム。
【請求項11】
データと、前記データを管理するための管理情報と、を記憶するコンピュータに、
前記データの追加または削除の結果を前記管理情報に記録する第一のステップと、
移行元の画像形成装置から出力されたデータを示す移行データおよび移行管理情報を取得して、前記データに前記移行データを統合する第二のステップと、
前記管理情報に前記移行管理情報を統合する第三のステップと、を実行させるためのプログラムであって、
前記第一のステップでは、前記第二のステップで前記データに前記移行データを統合している間に前記データの追加または削除が発生した場合には、前記移行管理情報が統合された前記管理情報に記録する、
プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像形成装置、データ出力方法、データ統合方法およびプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
蓄積されたデータを他の画像形成装置に移行する機能を有する画像形成装置が開発されている。
【0003】
例えば、データ移行などのサーバ機能と、コピーなどのユーザ操作による画像形成機能と、を有し、データ移行の実行中にコピーなどのユーザ操作を受け付けることができる画像形成装置が開示されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述した画像形成装置では、データ移行の実行中にコピーなどの画像形成機能を受け付けると、画像形成処理のリアルタイム性を確保するために、データ移行を一時的に中断する。しかし、データ移行の実行中に、移行対象のデータの追加、削除等のユーザの操作に応じた処理を実行すると、移行中のデータ間の整合性が失われる可能性があるという問題がある。
【0005】
開示の技術は、データ移行に影響を与えることなく、ユーザの操作に応じた処理を実行することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
開示の技術は、データと、前記データを管理するための管理情報と、を記憶する記憶部と、前記データの追加または削除の結果を前記管理情報に記録するデータ管理部と、前記データと前記管理情報とを前記記憶部から出力するデータ移行部と、を備え、前記データ管理部は、前記管理情報を複製して複製管理情報を生成し、前記データ移行部が前記データの出力を開始すると、前記データの追加または削除の操作を受けた場合の記録先を前記複製管理情報に変更する画像形成装置である。
【発明の効果】
【0007】
データ移行に影響を与えることなく、ユーザ操作に応じた処理を実行することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】データ移行システムの概要の一例を示す図である。
図2】第一の画像形成装置のハードウェア構成の一例を示す図である。
図3】第二の画像形成装置の機能の一例を示す図である。
図4】管理情報の一例を示す図である。
図5】データエクスポート処理のフローの一例を示す図である。
図6】(a)エクスポート準備画面の一例を示す図、(b)移行中画面の一例を示す図、(c)インポート準備画面の一例を示す図である。
図7】エクスポート中のスキャン処理のフローの一例を示す図である。
図8】エクスポート中のデータ削除処理のフローの一例を示す図である。
図9】データインポート処理のフローの一例を示す図である。
図10】インポート中のスキャン処理のフローの一例を示す図である。
図11】インポート中のデータ削除処理のフローの一例を示す図である。
図12】エクスポートの実行結果の一例を説明するための図である。
図13】インポートの実行結果の一例を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下に図面を参照して、本発明の実施の形態について説明する。
【0010】
図1は、データ移行システムの概要の一例を示す図である。
【0011】
データ移行システム1は、第一の画像形成装置10と、第二の画像形成装置20と、外部記録装置30と、を備える。データ移行システム1は、第一の画像形成装置10から第二の画像形成装置20にデータを移行するシステムである。
【0012】
第一の画像形成装置10は、データと、データを管理するための管理情報と、を記憶する。そして、第一の画像形成装置10は、データを第二の画像形成装置に移行するために、データと管理情報を外部記録装置30に出力(以下、エクスポートとも言う)する。なお、エクスポートされたデータと管理情報とは、それぞれ移行データ40と移行管理情報50と呼ぶ。
【0013】
第二の画像形成装置20は、データと、データを管理するための管理情報と、を記憶する。そして、第二の画像形成装置20は、移行データ40と移行管理情報50とを外部記録装置30から取得して、データと管理情報とにそれぞれ統合(以下、インポートとも言う)する。
【0014】
なお、外部記録装置30を介さずに、第一の画像形成装置10から第二の画像形成装置20にデータを移行しても良い。
【0015】
次に、各装置のハードウェア構成について説明する。
【0016】
図2は、第一の画像形成装置のハードウェア構成の一例を示す図である。
【0017】
第一の画像形成装置10は、コンピュータによって構成され、CPU(Central Processing Unit)101と、ROM(Read Only Memory)102と、RAM(Random Access Memory)103と、大容量記憶装置104と、高信頼性記憶装置105と、プロッタI/F(Interface)106と、プロッタ107と、スキャナI/F108と、スキャナ109と、操作部I/F110と、操作部111と、ネットワークI/F112と、を備える。これらはシステムバス210を介して相互に電気的に接続されている。
【0018】
CPU101はプロセッサであり、ROM102や大容量記憶装置104からプログラム、データをRAM103上に読み出し、処理を実行することで、第一の画像形成装置10全体の制御や機能を実現する。なお、CPU101の有する機能の一部、又は全部を、ASIC(application specific integrated circuit)やFPGA(Field-Programmable Gate Array)等の電子回路により実現させてもよい。
【0019】
ROM102は、電源を切ってもプログラムやデータを保持することが可能な不揮発性の半導体メモリである。ROM102には、第一の画像形成装置10の起動時に実行されるBIOS(Basic Input/Output System)、OS設定等のプログラムやデータが格納されている。
【0020】
RAM103は、プログラムやデータを一時保持する揮発性の半導体メモリである。
【0021】
大容量記憶装置104は、HDD、SSD(Solid State Drive)等であって、スキャン機能等によって生成したデータ等を記憶する。
【0022】
高信頼性記憶装置105は、NVRAM(Non-Volatile Random Access Memory)等であって、第一の画像形成装置10の動作を規定する設定データ等を記憶する。
【0023】
プロッタI/F106は、印刷機能を有するプロッタ107に接続するインターフェースである。
【0024】
スキャナI/F107は原稿等の読取機能を有するスキャナ109に接続するインターフェースである。
【0025】
操作部I/F110は、操作部111と接続するインターフェースである。
【0026】
操作部111は、設定値等の情報や機能の選択のための画像等を含む画面を表示させ、操作者からの入力を受け付けるタッチパネル等のパネル表示部を備えている。なお、操作部111は、濃度の設定条件等の画像形成に関する条件の設定値の入力を受け付けるテンキーや、コピー開始の指示を受け付けるスタートキー等を含む操作パネルを備えてもよい。
【0027】
ネットワークI/F112は、通信ネットワークを利用してデータ通信をするためのインターフェースである。通信ネットワークとして、LAN(Local Area Network)やインターネット等が挙げられる。具体的には、ネットワークI/F112は、外部記録装置30と通信可能に接続されている。
【0028】
プロッタ107は、スキャナ109によって原稿等から読み取った画像データを記録媒体に印刷する。
【0029】
スキャナ109は、原稿台に載置された原稿から画像データを読み取る。
【0030】
なお、第二の画像形成装置20は、第一の画像形成装置10と同様のハードウェア構成を有する。
【0031】
図3は、第一の画像形成装置の機能の一例を示す図である。
【0032】
第一の画像形成装置10は、記憶部11と、システム制御部12と、表示制御部13と、データ管理部14と、データ移行部15と、読取制御部16と、印刷制御部17と、を備える。
【0033】
記憶部11は、ROM102、RAM103、大容量記憶装置104または高信頼性記憶装置105によって実現され、各種の情報、データ等を記憶する。具体的には、記憶部11は、データ201と、管理情報202と、を記憶する。
【0034】
データ201は、スキャナ109によって読み取られた画像を示す画像データである。コピー、スキャン等を要求する操作をユーザから受けた際に、第一の画像形成装置10に蓄積する指定を受けると、画像データはデータ201として記憶部11に格納される。
【0035】
管理情報202は、データ201を管理するための情報である。管理情報202は、データ201の生成または削除に合わせて、データ管理部14によって更新される。
【0036】
システム制御部12は、第一の画像形成装置10の全体の動作を制御する。
【0037】
表示制御部13は、画面に描画する画像を生成して、操作部I/F110を介して操作部111に、生成した画像を含む画面を表示させる。具体的には、表示制御部13は、ユーザからデータ201の追加または削除の操作を受けるための画面を操作部111に表示させる。
【0038】
また、表示制御部13は、データ管理部14が管理情報202の複製を開始すると、複製を完了するまで操作の受付を停止する旨を示す画面を操作部111に表示させる。さらに、表示制御部13は、データ移行部15がデータ201と管理情報202の出力を開始すると、出力を完了するまで、出力の進捗状況を示す画像と、データ201の追加または削除の操作を受けるための画像と、を含む画面を操作部111に表示させる。
【0039】
データ管理部14は、データ201の追加または削除の結果を管理情報202に記録する。また、データ管理部14は、管理情報202を複製して複製管理情報を生成し、データ移行部15がデータの出力を開始すると、データの追加または削除の操作を受けた場合の記録先を複製管理情報に変更する。
【0040】
また、データ管理部14は、データ移行部15による出力が完了すると、複製管理情報で管理情報202を更新し、データ201の追加または削除の操作を受けた場合の記録先を管理情報202に戻す。
【0041】
データ移行部15は、データ201と管理情報202とを記憶部11から外部記録装置30に出力する。
【0042】
読取制御部16は、ユーザからデータ201の追加の操作を受けると、スキャナI/F108を介して、スキャナ109に画像を読み取る動作を実行させる。
【0043】
印刷制御部17は、ユーザから印刷の操作を受けると、プロッタI/F106を介して、プロッタ107に、データ201等に含まれる画像を紙等の印刷媒体に印刷させる。
【0044】
第二の画像形成装置20は、第一の画像形成装置10と同様の機能構成を有し、各機能部は、さらに下記の機能を有する。
【0045】
第二の画像形成装置20が備える表示制御部13は、データ管理部14が管理情報202への移行管理情報50の統合を開始すると、統合を完了するまで操作の受け付けを停止する旨を示す画面を操作部111に表示させる。
【0046】
また、表示制御部13は、データ移行部15がデータ201への移行データ40の統合を開始すると、統合を完了するまで、統合の進捗状況を示す画像と、データ201の追加または削除の操作を受けるための画像と、を含む画面を操作部111に表示させる。
【0047】
第二の画像形成装置20が備えるデータ管理部14は、管理情報202に移行管理情報50を統合し、データ移行部15がデータ201に移行データ40を統合している間にデータ201の追加または削除が発生した場合には、移行管理情報50が統合された管理情報202に記録する。
【0048】
第二の画像形成装置20が備えるデータ移行部15は、移行元の第一の画像形成装置から出力されたデータを示す移行データ40および移行管理情報50を取得して、データ201に移行データ40を統合する。
【0049】
なお、上述した第一の画像形成装置10と第二の画像形成装置20は、同一の機能を有していても良い。すなわち、2つの装置がそれぞれ上述したすべての機能を有していても良く、その場合、いずれか一方の装置を選択してエクスポートした移行データ40および移行管理情報50を、他方の装置にインポートすることができる。
【0050】
図4は、管理情報の一例を示す図である。
【0051】
管理情報202は、項目として、「データID」と、「データ名」と、「スキャン条件」と、を含む。
【0052】
項目「データID」の値は、スキャナ109によって画像が読み取られ、データ201が生成される際に、データ管理部14によってデータ201に付与される識別子である。
【0053】
項目「データ名」の値は、データ201が生成される際にデータ管理部14によってデータ201に付与される名称である。項目「データ名」の値には、データ形式を示す拡張子が含まれていても良く、データ形式は、ユーザの選択操作によって指定される。
【0054】
項目「スキャン条件」の値は、操作部111を介してユーザの選択操作によって指定される読み取りの条件を示す値である。スキャン条件には、読取対象の用紙等のサイズ等が含まれ、スキャン条件を示す値と設定内容とが関連付けられた情報が、あらかじめ記憶部11に格納されている。
【0055】
次に、データ移行システム1の動作について、図面を参照して説明する。
【0056】
第一の画像形成装置10は、操作部111を介してユーザからデータ移行を要求する操作を受けると、データエクスポート処理を開始する。
【0057】
図5は、データエクスポート処理のフローの一例を示す図である。
【0058】
表示制御部13は、画面をロックする(ステップS101)。具体的には、表示制御部13は、操作部111にエクスポート準備画面を表示させる。
【0059】
図6(a)は、エクスポート準備画面の一例を示す図である。
【0060】
エクスポート準備画面300は、エクスポート準備中である旨のメッセージを含み、スキャン、削除等のデータ201に影響を与える操作を受けるGUI(Graphical User Interface)等を含まない。したがって、エクスポート準備画面300は、機能的にロックされている状態であると言える。
【0061】
図5に戻り、次に、データ管理部14は、管理情報を複製して複製管理情報を生成し、生成した複製管理情報を記憶部11に格納する(ステップS102)。そして、データ管理部14は、データ作成またはデータ削除が発生した場合の記録先を複製管理情報に変更する(ステップS103)。
【0062】
続いて、表示制御部13は、画面のロックを解除する(ステップS104)。具体的には、表示制御部13は、操作部111に移行中画面を表示させる。
【0063】
図6(b)は、移行中画面の一例を示す図である。
【0064】
移行中画面310は、進捗バー311と、データ追加ボタン312と、データ削除ボタン313と、を含む。
【0065】
進捗バー311は、後述する処理におけるデータ201の出力の進捗状況を示す画像である。
【0066】
データ追加ボタン312は、データ201を追加する操作を受けるGUIである。データ追加ボタン312の押下を受けると、第一の画像形成装置10は、スキャン処理を実行する。スキャン処理については後述する。
【0067】
データ削除ボタン313は、データ201を削除する操作を受けるGUIである。データ削除ボタン313の押下を受けると、第一の画像形成装置10は、データ削除処理を実行する。データ削除処理については後述する。
【0068】
したがって、移行中画面310は、機能的なロックが解除されている状態であると言える。
【0069】
図5に戻り、次に、データ移行部15は、データ201のエクスポートを開始する(ステップS105)。具体的には、データ移行部15は、データ201および管理情報202を記憶部11から外部記録装置30に送信する。
【0070】
そして、データ移行部15は、エクスポートの進捗率を取得する(ステップS106)。具体的には、データ移行部15は、データ201および管理情報202のデータ量と、出力した移行データ40および移行管理情報50の通信量と、に基づいて、エクスポートの進捗率を算出する。
【0071】
次に、データ移行部15は、エクスポートが完了したか否かを判定する(ステップS107)。具体的には、データ移行部15は、前述の進捗率に基づくか、または他の方法によってエクスポート対象のデータをすべて出力したか否かを判定する。
【0072】
データ移行部15が、エクスポートが完了していないと判定すると(ステップS107:No)、表示制御部13は、ステップS106で取得した進捗率に基づいて、移行中画面310に含まれるエクスポートの進捗状況を示す画像を更新する(ステップS108)。そして、ステップS106の処理に戻る。
【0073】
また、データ移行部15が、エクスポートが完了したと判定すると(ステップS107:Yes)、データ管理部14は、データ201の追加または削除の操作を受けた場合の記録先を管理情報202に戻す(ステップS109)。
【0074】
そして、データ管理部14は、複製管理情報で管理情報を更新する(ステップS110)。なお、データ管理部14は、ステップS109の処理とステップS110の処理を一連の処理として実行し、これらの処理の実行中にデータの追加や削除の操作を受けても、ステップS110の処理が完了してから、データの追加や削除の処理を実行する。
【0075】
次に、移行中画面310のデータ追加ボタン312が押下された場合の動作について説明する。読取制御部16は、データ追加ボタン312が押下されると、操作部111を介して、スキャン条件等の入力操作と、原稿の読み取り開始の操作を受けて、スキャン処理を実行する。
【0076】
図7は、エクスポート中のスキャン処理のフローの一例を示す図である。
【0077】
読取制御部16は、画像を読み取って、読み取った画像を示すデータを記憶部11に格納する(ステップS201)。次に、データ管理部14は、画像を示すデータをデータ201に追加し、複製管理情報にレコードを挿入する(ステップS202)。
【0078】
なお、エクスポート中以外の場合には、上述したステップS202において管理情報202にレコードを挿入する。したがって、エクスポート中におけるスキャン処理は、それ以外の場合のスキャン処理と比較して、データ追加の記録先が複製管理情報に変更されている。
【0079】
次に、移行中画面310のデータ削除ボタン313が押下された場合の動作について説明する。データ管理部14は、データ削除ボタン313が押下されると、操作部111を介して、削除するデータ201の選択操作を受けて、データ削除処理を実行する。
【0080】
図8は、エクスポート中のデータ削除処理のフローの一例を示す図である。
【0081】
データ管理部14は、複製管理情報のレコードを削除する(ステップS301)。具体的には、データ管理部14は、操作部111を介して選択を受けたデータ201を示すレコードを、複製管理情報から削除する。
【0082】
なお、エクスポート中以外の場合には、上述したステップS301において管理情報202のレコードを削除する。したがって、エクスポート中におけるデータ削除処理は、それ以外の場合のデータ削除処理と比較して、データ削除の記録先が複製管理情報に変更されている。
【0083】
上述したように、本実施形態に係る第一の画像形成装置10は、データ201のエクスポート中には、管理情報を複製した複製管理情報に、データの追加または削除の記録先を変更する。これによって、管理情報は、エクスポート中には影響を受けないため、移行データ40と移行管理情報50との整合性が保たれる。
【0084】
なお、エクスポート中にデータ201が追加されると、追加されたデータ201は記憶部11に格納されるが、移行開始時に移行対象のデータ201が確定しているため、追加されたデータ201は、移行データ40には含まれない。
【0085】
また、エクスポート中にデータ201の削除操作が行われても、複製管理情報からレコードが削除されるだけであり、管理情報202と、それに対応するデータ201はいずれも削除されないため、移行データ40および移行管理情報50は影響を受けない。
【0086】
次に、移行データ40および移行管理情報50を第二の画像形成装置20にインポートする動作について、図面を参照して説明する。
【0087】
第二の画像形成装置20の操作部111に対する操作を受けて、第二の画像形成装置20は、データインポート処理を開始する。
【0088】
図9は、データインポート処理のフローの一例を示す図である。
【0089】
第二の画像形成装置20の表示制御部13は、画面をロックする(ステップS401)。具体的には、表示制御部13は、操作部111にインポート準備画面を表示させる。
【0090】
図6(c)は、インポート準備画面の一例を示す図である。
【0091】
インポート準備画面320は、インポート準備中である旨のメッセージを含み、スキャン、削除等のデータ201に影響を与える操作を受けるGUI(Graphical User Interface)等を含まない。したがって、インポート準備画面320は、機能的にロックされている状態であると言える。
【0092】
図5に戻り、次に、第二の画像形成装置20は、外部記録装置30から移行管理情報50を取得する(ステップS402)。そして、第二の画像形成装置20のデータ管理部14は、記憶部11に格納された管理情報202に、移行管理情報50を統合する(ステップS403)。
【0093】
具体的には、管理情報202のデータIDが連番で管理されている場合、すでに存在するデータIDの最後の番号の次の番号から採番して、移行管理情報50に含まれるレコードに割り当てる。
【0094】
例えば、管理情報202に含まれるレコードの項目「データID」の値が「1」、「2」、「3」であり、移行管理情報50に含まれるレコードの項目「データID」の値が「1」、「2」であるとする。
【0095】
この場合、データ管理部14は、移行管理情報50に含まれるレコードの項目「データID」の値が「1」と「2」のレコードに、管理情報202に格納されたデータIDの最後の番号である「3」の次の番号である「4」と「5」をそれぞれ割り当てる。
【0096】
これによって、統合された管理情報202に含まれるレコードの項目「データID」の値は「1」、「2」、「3」、「4」、「5」となる。
【0097】
続いて、表示制御部13は、画面のロックを解除する(ステップS404)。具体的には、表示制御部13は、操作部111に移行中画面を表示させる。
【0098】
表示される画面は、第一の画像形成装置10が、エクスポート中に表示する移行中画面310と同様に、進捗バー311と、データ追加ボタン312と、データ削除ボタン313と、を含む。したがって、移行中画面310は、機能的なロックが解除されている状態であると言える。
【0099】
次に、データ移行部15は、移行データ40のインポートを開始する(ステップS405)。具体的には、データ移行部15は、外部記録装置30から移行データ40を取得して、データ201に移行データ40を統合する処理を開始する。
【0100】
そして、データ移行部15は、インポートの進捗率を取得する(ステップS406)。具体的には、データ移行部15は、データ201および管理情報202のデータの増加量と、移行データ40および移行管理情報50のデータ量と、に基づいて、インポートの進捗率を算出する。
【0101】
次に、データ移行部15は、インポートが完了したか否かを判定する(ステップS407)。具体的には、データ移行部15は、前述の進捗率に基づくか、または他の方法によってインポート対象のデータをすべて統合したか否かを判定する。
【0102】
データ移行部15が、インポートが完了していないと判定すると(ステップS407:No)、表示制御部13は、ステップS406で取得した進捗率に基づいて、移行中画面310に含まれるインポートの進捗状況を示す画像を更新する(ステップS408)。そして、ステップS406の処理に戻る。
【0103】
また、データ移行部15が、インポートが完了したと判定すると(ステップS407:Yes)、第二の画像形成装置20は、インポート処理を終了する。
【0104】
次に、第二の画像形成装置20において、移行中画面310のデータ追加ボタン312が押下された場合の動作について説明する。読取制御部16は、データ追加ボタン312が押下されると、操作部111を介して、スキャン条件等の入力操作と、原稿の読み取り開始の操作を受けて、スキャン処理を実行する。
【0105】
図10は、インポート中のスキャン処理のフローの一例を示す図である。
【0106】
読取制御部16は、画像を読み取って、読み取った画像を示すデータを記憶部11に格納する(ステップS501)。次に、データ管理部14は、画像を示すデータをデータ201に追加し、管理情報202にレコードを挿入する(ステップS502)。
【0107】
なお、記録先の管理情報202には、すでにデータインポート処理のステップS403の処理によって、移行管理情報50が統合されている。したがって、ステップ502においては、データ管理部14は、統合された管理情報202に基づいて、データIDを採番するため、移行データ40と重複した番号を採番することは無い。
【0108】
次に、移行中画面310のデータ削除ボタン313が押下された場合の動作について説明する。データ管理部14は、データ削除ボタン313が押下されると、操作部111を介して、削除するデータ201の選択操作を受けて、データ削除処理を実行する。
【0109】
図11は、インポート中のデータ削除処理のフローの一例を示す図である。
【0110】
データ管理部14は、管理情報202のレコードを削除する(ステップS601)。具体的には、データ管理部14は、操作部111を介して選択を受けたデータ201を示すレコードを、管理情報202から削除する。
【0111】
なお、記録先の管理情報202には、すでにデータインポート処理のステップS403の処理によって、移行管理情報50が統合されている。したがって、ステップ502においては、データ管理部14は、統合された管理情報202に対して削除することができる。例えば、移行データ40に含まれるデータの削除も可能である。
【0112】
上述した各装置は、管理情報202(エクスポート中は複製管理情報)からレコードを削除する論理削除によってデータ削除を実現している。これに対して、各装置は、実データであるデータ201の削除を行う物理削除を行っても良い。
【0113】
具体的には、第一の画像形成装置10は、図5に示したデータエクスポート処理のステップS110の後に、管理情報202に含まれるレコードのうち、複製管理情報に含まれないレコードについて、データ201の削除を実行しても良い。
【0114】
また、第二の画像形成装置20は、図9に示したデータインポート処理のステップS407の処理の後に、インポート中のデータ削除処理において削除された管理情報202のレコードに対応するデータ201の削除を実行しても良い。
【0115】
図12は、エクスポートの実行結果の一例を説明するための図である。
【0116】
例えば、第一の画像形成装置10の記憶部11に、データ201として、管理情報202に含まれるレコードの項目「データID」の値が「1」、「2」、「3」であるデータが格納されていた場合を想定する。
【0117】
この場合、エクスポート中にユーザの操作によってデータ201を追加する要求を受けると、第一の画像形成装置10は、項目「データID」の値が「4」のレコードを複製管理情報に格納する。
【0118】
また、エクスポート中にユーザの操作によって項目「データID」の値が「1」のレコードを削除する要求を受けると、第一の画像形成装置10は、項目「データID」の値が「1」のレコードを複製管理情報から削除する。
【0119】
いずれの処理においても、管理情報202は影響を受けず、対応するデータ201も影響を受けない。項目「データID」の値が「4」のレコードに対応するデータ201は追加されても、移行対象ではないため、移行データ40には追加されない。
【0120】
このようにして、第一の画像形成装置10は、データ移行に影響を与えることなく、データの追加、削除等の操作を受けることが可能であって、そのユーザの操作に応じた処理を実行することができる。
【0121】
図13は、インポートの実行結果の一例を説明するための図である。
【0122】
例えば、第二の画像形成装置20の記憶部11に、データ201として、管理情報202に含まれるレコードの項目「データID」の値が「1」であるデータが格納されていて、移行データ40として、移行管理情報に含まれるレコードの項目「データID」の値が「1」、「2」、「3」であるデータが格納されていた場合を想定する。
【0123】
この場合、第二の画像形成装置20は、インポート処理によって、管理情報202には、先に登録されていた項目「データID」の値が「1」であるレコードに、移行管理情報50に含まれるレコードの項目「データID」の値が「1」、「2」、「3」であるレコードを、それぞれ項目「データID」の値が「2」、「3」、「4」として追加する。
【0124】
そして、インポート中にユーザの操作によってデータ201を追加する要求を受けると、第二の画像形成装置20は、項目「データID」の値が「5」のレコードを管理情報202に格納する。
【0125】
また、インポート中にユーザの操作によって項目「データID」の値が「1」のレコードを削除する要求を受けると、第二の画像形成装置20は、項目「データID」の値が「1」のレコードを管理情報202から削除する。
【0126】
いずれの処理においても、データ201と管理情報202との整合性は失われない。したがって、第二の画像形成装置20は、データ移行に影響を与えることなく、データの追加、削除等の操作を受けることが可能であって、そのユーザの操作に応じた処理を実行することができる。
【0127】
上記で説明した実施形態の各機能は、一又は複数の処理回路によって実現することが可能である。ここで、本明細書における「処理回路」とは、電子回路により実装されるプロセッサのようにソフトウェアによって各機能を実行するようプログラミングされたプロセッサや、上記で説明した各機能を実行するよう設計されたASIC(Application Specific Integrated Circuit)、DSP(Digital Signal Processor)、FPGA(Field Programmable Gate Array)や従来の回路モジュール等のデバイスを含むものとする。
【0128】
以上、各実施形態に基づき本発明の説明を行ってきたが、上記実施形態に示した要件に本発明が限定されるものではない。これらの点に関しては、本発明の主旨をそこなわない範囲で変更することができ、その応用形態に応じて適切に定めることができる。
【符号の説明】
【0129】
1 データ移行システム
10 第一の画像形成装置
11 記憶部
12 システム制御部
13 表示制御部
14 データ管理部
15 データ移行部
16 読取制御部
17 印刷制御部
20 第二の画像形成装置
30 外部記録装置
40 移行データ
50 移行管理情報
【先行技術文献】
【特許文献】
【0130】
【文献】特開2005-038096号公報
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13