(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-11
(45)【発行日】2023-12-19
(54)【発明の名称】液浸顕微鏡対物レンズ、液浸顕微鏡および観察方法
(51)【国際特許分類】
G02B 21/02 20060101AFI20231212BHJP
【FI】
G02B21/02
(21)【出願番号】P 2020054156
(22)【出願日】2020-03-25
【審査請求日】2022-12-07
(73)【特許権者】
【識別番号】000004112
【氏名又は名称】株式会社ニコン
(74)【代理人】
【識別番号】100092897
【氏名又は名称】大西 正悟
(74)【代理人】
【識別番号】100157417
【氏名又は名称】並木 敏章
(72)【発明者】
【氏名】畑田 仁志
【審査官】瀬戸 息吹
(56)【参考文献】
【文献】特開2002-148519(JP,A)
【文献】特開2015-135440(JP,A)
【文献】特開2003-029157(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02B 9/00 - 21/36
G02B 25/00 - 25/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
物体側から順に並んだ、正の屈折力を有して物体からの光束を収斂光束にする第1レンズ群と、負の屈折力を有して前記第1レンズ群からの収斂光束を平行光束にする第2レンズ群とを有し、
前記第1レンズ群は、正の屈折力を有して最も物体側に配置される第1の接合レンズと、正の屈折力を有して前記第1の接合レンズに代えて最も物体側に配置される第2の接合レンズとを有し、
前記第1の接合レンズおよび前記第2の接合レンズのうち一つが選択的に最も物体側に配置され、
前記第1の接合レンズは、像側に凸面が形成された第1の正レンズと、物体側に凹面を向けて前記第1の正レンズの像側に接合された第1のメニスカスレンズとからなり、
前記第2の接合レンズは、像側に凸面が形成された第2の正レンズと、物体側に凹面を向けて前記第2の正レンズの像側に接合された第2のメニスカスレンズとからなり、
前記第2の正レンズの屈折率が、前記第1の正レンズの屈折率と異なる液浸顕微鏡対物レンズ。
【請求項2】
以下の条件式を満足する請求項1に記載の液浸顕微鏡対物レンズ。
0.85<nL1/np1<0.95
0.85<nL2/np2<0.95
但し、np1:前記第1の正レンズの屈折率
np2:前記第2の正レンズの屈折率
nL1:前記第1の接合レンズが最も物体側に配置される場合の浸液の屈折率
nL2:前記第2の接合レンズが最も物体側に配置される場合の浸液の屈折率
【請求項3】
以下の条件式を満足する請求項1または2に記載の液浸顕微鏡対物レンズ。
1.33≦nL1≦1.51
1.33≦nL2≦1.51
但し、nL1:前記第1の接合レンズが最も物体側に配置される場合の浸液の屈折率
nL2:前記第2の接合レンズが最も物体側に配置される場合の浸液の屈折率
【請求項4】
以下の条件式を満足する請求項1~3のいずれか一項に記載の液浸顕微鏡対物レンズ。
0.80≦NA≦1.30
但し、NA:前記液浸顕微鏡対物レンズの開口数
【請求項5】
浸液の屈折率に応じて、前記第1レンズ群と前記第2レンズ群との間隔が変化する請求項1~4のいずれか一項に記載の液浸顕微鏡対物レンズ。
【請求項6】
前記第1レンズ群は、正の屈折力を有して前記第1の接合レンズおよび前記第2の接合レンズに代えて最も物体側に配置される第3の接合レンズを有し、
前記第1の接合レンズ、前記第2の接合レンズ、および前記第3の接合レンズのうち一つが選択的に最も物体側に配置され、
前記第3の接合レンズは、像側に凸面が形成された第3の正レンズと、物体側に凹面を向けて前記第3の正レンズの像側に接合された第3のメニスカスレンズとからなり、
前記第3の正レンズの屈折率が、前記第1の正レンズの屈折率および前記第2の正レンズの屈折率と異なる請求項1~5のいずれか一項に記載の液浸顕微鏡対物レンズ。
【請求項7】
以下の条件式を満足する請求項6に記載の液浸顕微鏡対物レンズ。
0.85<nL1/np1<0.95
0.85<nL2/np2<0.95
0.85<nL3/np3<0.95
但し、np1:前記第1の正レンズの屈折率
np2:前記第2の正レンズの屈折率
np3:前記第3の正レンズの屈折率
nL1:前記第1の接合レンズが最も物体側に配置される場合の浸液の屈折率
nL2:前記第2の接合レンズが最も物体側に配置される場合の浸液の屈折率
nL3:前記第3の接合レンズが最も物体側に配置される場合の浸液の屈折率
【請求項8】
以下の条件式を満足する請求項6または7に記載の液浸顕微鏡対物レンズ。
1.33≦nL1≦1.51
1.33≦nL2≦1.51
1.33≦nL3≦1.51
但し、nL1:前記第1の接合レンズが最も物体側に配置される場合の浸液の屈折率
nL2:前記第2の接合レンズが最も物体側に配置される場合の浸液の屈折率
nL3:前記第3の接合レンズが最も物体側に配置される場合の浸液の屈折率
【請求項9】
請求項1~8のいずれか一項に記載の液浸顕微鏡対物レンズを備える液浸顕微鏡。
【請求項10】
液浸顕微鏡を用いた観察方法であって、
前記液浸顕微鏡は、請求項1~5のいずれか一項に記載の液浸顕微鏡対物レンズを備え、
浸液の屈折率に応じて、前記第1の接合レンズおよび前記第2の接合レンズのうち一つを選択して前記液浸顕微鏡対物レンズの最も物体側に配置する観察方法。
【請求項11】
前記液浸顕微鏡は、請求項6~8のいずれか一項に記載の液浸顕微鏡対物レンズを備え、
浸液の屈折率に応じて、前記第1の接合レンズ、前記第2の接合レンズ、および前記第3の接合レンズのうち一つを選択して前記液浸顕微鏡対物レンズの最も物体側に配置する請求項10に記載の観察方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液浸顕微鏡対物レンズ、液浸顕微鏡および観察方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、先端部と物体との間を浸液で満した状態で当該物体を観察する液浸顕微鏡用の対物レンズが種々提案されている(例えば、特許文献1を参照)。このような対物レンズでは、浸液の種類が異なっても高い光学性能を維持することが求められている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【0004】
本発明に係る液浸顕微鏡対物レンズは、物体側から順に並んだ、正の屈折力を有して物体からの光束を収斂光束にする第1レンズ群と、負の屈折力を有して前記第1レンズ群からの収斂光束を平行光束にする第2レンズ群とを有し、前記第1レンズ群は、正の屈折力を有して最も物体側に配置される第1の接合レンズと、正の屈折力を有して前記第1の接合レンズに代えて最も物体側に配置される第2の接合レンズとを有し、前記第1の接合レンズおよび前記第2の接合レンズのうち一つが選択的に最も物体側に配置され、前記第1の接合レンズは、像側に凸面が形成された第1の正レンズと、物体側に凹面を向けて前記第1の正レンズの像側に接合された第1のメニスカスレンズとからなり、前記第2の接合レンズは、像側に凸面が形成された第2の正レンズと、物体側に凹面を向けて前記第2の正レンズの像側に接合された第2のメニスカスレンズとからなり、前記第2の正レンズの屈折率が、前記第1の正レンズの屈折率と異なる。
【0005】
本発明に係る液浸顕微鏡は、上記液浸顕微鏡対物レンズを備える。
【0006】
本発明に係る観察方法は、液浸顕微鏡を用いた観察方法であって、前記液浸顕微鏡は、上記液浸顕微鏡対物レンズを備え、浸液の屈折率に応じて、前記第1の接合レンズおよび前記第2の接合レンズのうち一つを選択して前記液浸顕微鏡対物レンズの最も物体側に配置する。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】第1実施例に係る第1の液浸顕微鏡対物レンズの構成を示す断面図である。
【
図2】第1実施例に係る第2の液浸顕微鏡対物レンズの構成を示す断面図である。
【
図3】第1実施例に係る第3の液浸顕微鏡対物レンズの構成を示す断面図である。
【
図4】第1実施例に係る結像レンズの構成を示す断面図である。
【
図5】浸液の屈折率が1.33の場合における、第1実施例に係る第1の液浸顕微鏡対物レンズの諸収差図である。
【
図6】浸液の屈折率が1.33の場合における、第1実施例に係る第1の液浸顕微鏡対物レンズのコマ収差図である。
【
図7】浸液の屈折率が1.35の場合における、第1実施例に係る第2の液浸顕微鏡対物レンズの諸収差図である。
【
図8】浸液の屈折率が1.35の場合における、第1実施例に係る第2の液浸顕微鏡対物レンズのコマ収差図である。
【
図9】浸液の屈折率が1.38の場合における、第1実施例に係る第2の液浸顕微鏡対物レンズの諸収差図である。
【
図10】浸液の屈折率が1.38の場合における、第1実施例に係る第2の液浸顕微鏡対物レンズのコマ収差図である。
【
図11】浸液の屈折率が1.44の場合における、第1実施例に係る第3の液浸顕微鏡対物レンズの諸収差図である。
【
図12】浸液の屈折率が1.44の場合における、第1実施例に係る第3の液浸顕微鏡対物レンズのコマ収差図である。
【
図13】第2実施例に係る第1の液浸顕微鏡対物レンズの構成を示す断面図である。
【
図14】第2実施例に係る第2の液浸顕微鏡対物レンズの構成を示す断面図である。
【
図15】第2実施例に係る第3の液浸顕微鏡対物レンズの構成を示す断面図である。
【
図16】第2実施例に係る結像レンズの構成を示す断面図である。
【
図17】浸液の屈折率が1.33の場合における、第2実施例に係る第1の液浸顕微鏡対物レンズの諸収差図である。
【
図18】浸液の屈折率が1.33の場合における、第2実施例に係る第1の液浸顕微鏡対物レンズのコマ収差図である。
【
図19】浸液の屈折率が1.35の場合における、第2実施例に係る第2の液浸顕微鏡対物レンズの諸収差図である。
【
図20】浸液の屈折率が1.35の場合における、第2実施例に係る第2の液浸顕微鏡対物レンズのコマ収差図である。
【
図21】浸液の屈折率が1.38の場合における、第2実施例に係る第2の液浸顕微鏡対物レンズの諸収差図である。
【
図22】浸液の屈折率が1.38の場合における、第2実施例に係る第2の液浸顕微鏡対物レンズのコマ収差図である。
【
図23】浸液の屈折率が1.44の場合における、第2実施例に係る第3の液浸顕微鏡対物レンズの諸収差図である。
【
図24】浸液の屈折率が1.44の場合における、第2実施例に係る第3の液浸顕微鏡対物レンズのコマ収差図である。
【
図25】第3実施例に係る第1の液浸顕微鏡対物レンズの構成を示す断面図である。
【
図26】第3実施例に係る第2の液浸顕微鏡対物レンズの構成を示す断面図である。
【
図27】第3実施例に係る第3の液浸顕微鏡対物レンズの構成を示す断面図である。
【
図28】第3実施例に係る結像レンズの構成を示す断面図である。
【
図29】浸液の屈折率が1.33の場合における、第3実施例に係る第1の液浸顕微鏡対物レンズの諸収差図である。
【
図30】浸液の屈折率が1.33の場合における、第3実施例に係る第1の液浸顕微鏡対物レンズのコマ収差図である。
【
図31】浸液の屈折率が1.35の場合における、第3実施例に係る第2の液浸顕微鏡対物レンズの諸収差図である。
【
図32】浸液の屈折率が1.35の場合における、第3実施例に係る第2の液浸顕微鏡対物レンズのコマ収差図である。
【
図33】浸液の屈折率が1.38の場合における、第3実施例に係る第3の液浸顕微鏡対物レンズの諸収差図である。
【
図34】浸液の屈折率が1.38の場合における、第3実施例に係る第3の液浸顕微鏡対物レンズのコマ収差図である。
【
図35】第1の先端側レンズ保持部材と本体側レンズ保持部材とが結合した状態を示す断面図である。
【
図36】第2の先端側レンズ保持部材と本体側レンズ保持部材とが結合した状態を示す断面図である。
【
図37】変形例に係る第1の先端側レンズ保持部材と本体側レンズ保持部材とが結合した状態を示す断面図である。
【
図38】変形例に係る第2の先端側レンズ保持部材と本体側レンズ保持部材とが結合した状態を示す断面図である。
【
図39】液浸顕微鏡対物レンズを備えた液浸顕微鏡の要部概略図である。
【
図40】液浸顕微鏡を用いた観察方法の概要を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本実施形態の液浸顕微鏡対物レンズ、液浸顕微鏡、観察方法、および液浸顕微鏡対物レンズのシリーズについて、図を参照して説明する。本実施形態では、浸液の種類が異なっても高い光学性能を維持することが可能な液浸顕微鏡対物レンズについて説明する。
【0010】
本実施形態に係る液浸顕微鏡対物レンズは、先端部と物体との間を浸液で満した状態で当該物体を観察する液浸顕微鏡用の対物レンズである。本実施形態に係る液浸顕微鏡対物レンズOLの一例として、
図1に示す液浸顕微鏡対物レンズOL(1a)は、物体側から順に並んだ、正の屈折力を有する第1レンズ群G1と、負の屈折力を有する第2レンズ群G2とを有して構成される。第1レンズ群G1は、物体Obからの発散光束を集光して収斂光束にするレンズ群である。第2レンズ群G2は、第1レンズ群G1からの収斂光束を平行光束にするレンズ群である。なお、
図1等において、物体Obは光軸上の物点を示す。
【0011】
第1レンズ群G1は、最も物体側に配置される第1の接合レンズCL11a(
図1を参照)と、第1の接合レンズCL11aに代えて最も物体側に配置される第2の接合レンズCL11b(
図2を参照)とを有している。第1の接合レンズCL11aおよび第2の接合レンズCL11bは、共に正の屈折力を有する交換レンズであり、第1の接合レンズCL11aおよび第2の接合レンズCL11bのうち一つが選択的に最も物体側に配置される。以降、説明容易化のため、第1の接合レンズCL11aが最も物体側に配置された状態の液浸顕微鏡対物レンズを第1の液浸顕微鏡対物レンズOL(1a)と称し、第2の接合レンズCL11bが最も物体側に配置された状態の液浸顕微鏡対物レンズを第2の液浸顕微鏡対物レンズOL(1b)と称する場合がある。
【0012】
第1の接合レンズCL11aは、像側に凸面が形成された第1の正レンズL11aと、物体側に凹面を向けて第1の正レンズL11aの像側に接合された第1のメニスカスレンズL12aとから構成される。第2の接合レンズCL11bは、像側に凸面が形成された第2の正レンズL11bと、物体側に凹面を向けて第2の正レンズL11bの像側に接合された第2のメニスカスレンズL12bとから構成される。第2の正レンズL11bの屈折率は、第1の正レンズL11aの屈折率と異なっている。すなわち、第2の正レンズL11bの屈折率は、第1の正レンズL11aの屈折率よりも高くなっている。これにより、浸液IMの屈折率に応じて、第1の接合レンズCL11aおよび第2の接合レンズCL11bのうち一つを選択して液浸顕微鏡対物レンズOLの最も物体側に配置することができ、浸液IMの種類が異なっても高い光学性能を維持することが可能になる。
【0013】
本実施形態の液浸顕微鏡対物レンズOLにおいて、第1の液浸顕微鏡対物レンズOL(1a)は、
図13に示す第1の液浸顕微鏡対物レンズOL(2a)でもよく、
図25に示す第1の液浸顕微鏡対物レンズOL(3a)でもよい。また、第2の液浸顕微鏡対物レンズOL(1b)は、
図14に示す第2の液浸顕微鏡対物レンズOL(2b)でもよく、
図26に示す第2の液浸顕微鏡対物レンズOL(3b)でもよい。
【0014】
本実施形態の液浸顕微鏡対物レンズOLは、次の条件式(1)および条件式(2)を満足してもよい。
0.85<nL1/np1<0.95 ・・・(1)
0.85<nL2/np2<0.95 ・・・(2)
但し、np1:第1の正レンズL11aの屈折率
np2:第2の正レンズL11bの屈折率
nL1:第1の接合レンズCL11aが最も物体側に配置される場合の浸液IMの屈折率
nL2:第2の接合レンズCL11bが最も物体側に配置される場合の浸液IMの屈折率
【0015】
条件式(1)は、第1の正レンズL11aの屈折率と浸液IMの屈折率との関係を規定する条件式である。条件式(2)は、第2の正レンズL11bの屈折率と浸液IMの屈折率との関係を規定する条件式である。条件式(1)および条件式(2)を満足することで、浸液IMの種類が異なっても、高い光学性能を維持することが可能になる。
【0016】
条件式(1)の対応値が上記範囲を外れてしまうと、第1の接合レンズCL11aが最も物体側に配置される場合に、高い光学性能を維持することが困難になる。具体的には、条件式(1)の対応値が下限値を下回ると、軸上色収差を補正することが困難になる。条件式(1)の対応値が上限値を上回ると、球面収差を補正することが困難になる。本実施形態の効果を確実にするために、条件式(1)の下限値を好ましくは0.90としてもよい。
【0017】
条件式(2)の対応値が上記範囲を外れてしまうと、第2の接合レンズCL11bが最も物体側に配置される場合に、高い光学性能を維持することが困難になる。具体的には、条件式(2)の対応値が下限値を下回ると、軸上色収差を補正することが困難になる。条件式(2)の対応値が上限値を上回ると、球面収差を補正することが困難になる。本実施形態の効果を確実にするために、条件式(2)の下限値を好ましくは0.90としてもよい。
【0018】
本実施形態の液浸顕微鏡対物レンズOLは、次の条件式(3)および条件式(4)を満足してもよい。
1.33≦nL1≦1.51 ・・・(3)
1.33≦nL2≦1.51 ・・・(4)
但し、nL1:第1の接合レンズCL11aが最も物体側に配置される場合の浸液IMの屈折率
nL2:第2の接合レンズCL11bが最も物体側に配置される場合の浸液IMの屈折率
【0019】
条件式(3)は、第1の接合レンズCL11aが最も物体側に配置される場合の浸液IMの屈折率について適切な範囲を規定する条件式である。条件式(4)は、第2の接合レンズCL11bが最も物体側に配置される場合の浸液IMの屈折率について適切な範囲を規定する条件式である。条件式(3)および条件式(4)を満足することで、浸液IMの種類が異なっても、高い光学性能を維持することが可能になる。
【0020】
条件式(3)の対応値が上記範囲を外れてしまうと、第1の接合レンズCL11aが最も物体側に配置される場合に、高い光学性能を維持することが困難になる。本実施形態の効果を確実にするために、条件式(3)の上限値を好ましくは1.45としてもよい。
【0021】
条件式(4)の対応値が上記範囲を外れてしまうと、第2の接合レンズCL11bが最も物体側に配置される場合に、高い光学性能を維持することが困難になる。本実施形態の効果を確実にするために、条件式(4)の上限値を好ましくは1.45としてもよい。
【0022】
本実施形態の液浸顕微鏡対物レンズOLは、次の条件式(5)を満足してもよい。
0.80≦NA≦1.30 ・・・(5)
但し、NA:液浸顕微鏡対物レンズOLの開口数
【0023】
条件式(5)は、液浸顕微鏡対物レンズOLの開口数について適切な範囲を規定する条件式である。条件式(5)を満足することで、観察に適した明るさ及び最適な解像力を得ることができる。条件式(5)の対応値が上記範囲を外れてしまうと、観察に適した明るさ及び最適な解像力を得ることが困難になる。
【0024】
本実施形態の液浸顕微鏡対物レンズOLにおいて、浸液IMの屈折率に応じて、第1レンズ群G1と第2レンズ群G2との間隔が変化するようにしてもよい。第1レンズ群G1と第2レンズ群G2との空気間隔を変化させることにより、所謂補正環として機能し、浸液IMの屈折率に応じて変化する球面収差を補正することができる。
【0025】
本実施形態の液浸顕微鏡対物レンズOLにおいて、第1レンズ群G1は、第1の接合レンズCL11aおよび第2の接合レンズCL11bに代えて最も物体側に配置される第3の接合レンズCL11c(
図3を参照)を有してもよい。この場合、第1の接合レンズCL11a、第2の接合レンズCL11b、および第3の接合レンズCL11cは、共に正の屈折力を有する交換レンズであり、第1の接合レンズCL11a、第2の接合レンズCL11b、および第3の接合レンズCL11cのうち一つが選択的に最も物体側に配置される。以降、説明容易化のため、第3の接合レンズCL11cが最も物体側に配置された状態の液浸顕微鏡対物レンズを第3の液浸顕微鏡対物レンズOL(1c)と称する場合がある。
【0026】
第3の接合レンズCL11cは、像側に凸面が形成された第3の正レンズL11cと、物体側に凹面を向けて第3の正レンズL11cの像側に接合された第3のメニスカスレンズL12cとから構成される。第3の正レンズL11cの屈折率は、第1の正レンズL11aの屈折率および第2の正レンズL11bの屈折率と異なっている。すなわち、第3の正レンズL11cの屈折率は、第1の正レンズL11aの屈折率および第2の正レンズL11bの屈折率よりも高くなっている。これにより、浸液IMの屈折率に応じて、第1の接合レンズCL11a、第2の接合レンズCL11b、および第3の接合レンズCL11cのうち一つを選択して液浸顕微鏡対物レンズOLの最も物体側に配置することができ、浸液IMの種類が異なっても高い光学性能を維持することが可能になる。
【0027】
なお、第3の液浸顕微鏡対物レンズOL(1c)は、
図15に示す第3の液浸顕微鏡対物レンズOL(2c)でもよく、
図27に示す第3の液浸顕微鏡対物レンズOL(3c)でもよい。また、説明容易化のため、第1の液浸顕微鏡対物レンズOL(1a)、第2の液浸顕微鏡対物レンズOL(1b)、および第3の液浸顕微鏡対物レンズOL(1c)をそれぞれ規定したが、これに限られるものではない。第1の液浸顕微鏡対物レンズOL(1a)、第2の液浸顕微鏡対物レンズOL(1b)、および第3の液浸顕微鏡対物レンズOL(1c)のうちいずれか一つを、第1の接合レンズが最も物体側に配置された第1の液浸顕微鏡対物レンズとし、他の一つを、第2の接合レンズが最も物体側に配置された第2の液浸顕微鏡対物レンズとし、残りの一つを、第3の接合レンズが最も物体側に配置された第3の液浸顕微鏡対物レンズとすればよい。
【0028】
本実施形態の液浸顕微鏡対物レンズOLにおいて、第1レンズ群G1が第3の接合レンズCL11cを有する場合、上述の条件式(1)および条件式(2)に加え、次の条件式(6)を満足してもよい。
0.85<nL3/np3<0.95 ・・・(6)
但し、np3:第3の正レンズL11cの屈折率
nL3:第3の接合レンズCL11cが最も物体側に配置される場合の浸液IMの屈折率
【0029】
条件式(6)は、第3の正レンズL11cの屈折率と浸液IMの屈折率との関係を規定する条件式である。上述の条件式(1)および条件式(2)に加え、条件式(6)を満足することで、浸液IMの種類が異なっても、高い光学性能を維持することが可能になる。
【0030】
条件式(6)の対応値が上記範囲を外れてしまうと、第3の接合レンズCL11cが最も物体側に配置される場合に、高い光学性能を維持することが困難になる。具体的には、条件式(6)の対応値が下限値を下回ると、軸上色収差を補正することが困難になる。条件式(6)の対応値が上限値を上回ると、球面収差を補正することが困難になる。本実施形態の効果を確実にするために、条件式(6)の下限値を好ましくは0.88としてもよい。
【0031】
本実施形態の液浸顕微鏡対物レンズOLにおいて、第1レンズ群G1が第3の接合レンズCL11cを有する場合、上述の条件式(3)および条件式(4)に加え、次の条件式(7)を満足してもよい。
1.33≦nL3≦1.51 ・・・(7)
但し、nL3:第3の接合レンズCL11cが最も物体側に配置される場合の浸液IMの屈折率
【0032】
条件式(3)は、第3の接合レンズCL11cが最も物体側に配置される場合の浸液IMの屈折率について適切な範囲を規定する条件式である。上述の条件式(3)および条件式(4)に加え、条件式(7)を満足することで、浸液IMの種類が異なっても、高い光学性能を維持することが可能になる。
【0033】
条件式(7)の対応値が上記範囲を外れてしまうと、第3の接合レンズCL11cが最も物体側に配置される場合に、高い光学性能を維持することが困難になる。本実施形態の効果を確実にするために、条件式(7)の上限値を好ましくは1.45、より好ましくは1.38としてもよい。
【0034】
また、本実施形態の液浸顕微鏡対物レンズOLの倍率は、10倍~40倍であることが望ましい。
【0035】
なお、本実施形態の液浸顕微鏡対物レンズOLにおいて、第1の接合レンズCL11aは、
図35に示すように、外周形状がキャップ状の第1の先端側レンズ保持部材BR1aに保持される。第1の先端側レンズ保持部材BR1aの内縁部に、雌ねじを用いて構成された第1の先端側結合部J1aが設けられる。第2の接合レンズCL11bは、
図36に示すように、外周形状がキャップ状の第2の先端側レンズ保持部材BR1bに保持される。第2の先端側レンズ保持部材BR1bの内縁部に、雌ねじを用いて構成された第2の先端側結合部J1bが設けられる。
【0036】
第1の接合レンズCL11aおよび第2の接合レンズCL11bよりも像側に配置されるレンズ(正メニスカスレンズL13等の非交換レンズ)は、
図35に示すように、外周形状が筒状の本体側レンズ保持部材BR2に保持される。本体側レンズ保持部材BR2の先端外縁部に、雄ねじを用いて構成されて第1の先端側結合部J1aおよび第2の先端側結合部J1bと螺合可能な本体側結合部J2が設けられる。また、本体側レンズ保持部材BR2の胴部に、補正環(図示せず)が回動可能に設けられてもよい。補正環が回動して第2レンズ群G2を光軸に沿って移動させることで、第1レンズ群G1と第2レンズ群G2との間隔を変化させることが可能である。
【0037】
図35に示すように、第1の先端側レンズ保持部材BR1aの第1の先端側結合部J1aを、本体側レンズ保持部材BR2の本体側結合部J2に螺合させることで、第1の先端側レンズ保持部材BR1aが本体側レンズ保持部材BR2の先端部に結合され、第1の接合レンズCL11aが液浸顕微鏡対物レンズOLの最も物体側に配置される。
図36に示すように、第2の先端側レンズ保持部材BR1bの第2の先端側結合部J1bを、本体側レンズ保持部材BR2の本体側結合部J2に螺合させることで、第2の先端側レンズ保持部材BR1bが本体側レンズ保持部材BR2の先端部に結合され、第2の接合レンズCL11bが液浸顕微鏡対物レンズOLの最も物体側に配置される。このように、第1の先端側レンズ保持部材BR1aおよび第2の先端側レンズ保持部材BR1bのうち一つを本体側レンズ保持部材BR2と結合させることで、第1の接合レンズCL11aおよび第2の接合レンズCL11bのうち一つが選択的に液浸顕微鏡対物レンズOLの最も物体側に配置される。
【0038】
また、
図3に示した第3の接合レンズCL11cについても同様に、第3の接合レンズCL11cを保持する第3の先端側レンズ保持部材に設けられた第3の先端側結合部(図示せず)を、本体側レンズ保持部材BR2の本体側結合部J2に螺合させることが可能である。従って、第1の接合レンズCL11a、第2の接合レンズCL11b、および第3の接合レンズCL11cのうち一つが選択的に液浸顕微鏡対物レンズOLの最も物体側に配置される。
【0039】
本実施形態の液浸顕微鏡対物レンズOLにおいて、
図37および
図38に示すように、第1の先端側レンズ保持部材BR1´aの内縁部に、永久磁石を用いて構成された第1の先端側結合部J1´aが設けられてもよい。第2の先端側レンズ保持部材BR1´bの内縁部に、永久磁石を用いて構成された第2の先端側結合部J1´bが設けられてもよい。本体側レンズ保持部材BR2´の先端外縁部に、第1の先端側結合部J1´aおよび第2の先端側結合部J1´bと吸着可能な環状の本体側結合部J2´が設けられてもよい。このようにしても、第1の先端側レンズ保持部材BR1´aおよび第2の先端側レンズ保持部材BR1´bのうち一つを本体側レンズ保持部材BR´2と結合させることができ、第1の接合レンズCL11aおよび第2の接合レンズCL11bのうち一つが選択的に液浸顕微鏡対物レンズOLの最も物体側に配置される。
【0040】
また、
図3に示した第3の接合レンズCL11cについても同様に、第3の先端側レンズ保持部材(図示せず)の内縁部に、永久磁石を用いて構成された第3の先端側結合部(図示せず)が設けられてもよい。これにより、第1の接合レンズCL11a、第2の接合レンズCL11b、および第3の接合レンズCL11cのうち一つが選択的に液浸顕微鏡対物レンズOLの最も物体側に配置される。
【0041】
本実施形態の液浸顕微鏡対物レンズOLにおいて、図示省略するが、第1の先端側レンズ保持部材および第2の先端側レンズ保持部材は、硬質ゴム等の樹脂材料を用いて、本体側レンズ保持部材の先端部と嵌合可能に形成されてもよい。また、第3の先端側レンズ保持部材は、硬質ゴム等の樹脂材料を用いて、本体側レンズ保持部材の先端部と嵌合可能に形成されてもよい。
【0042】
本実施形態の液浸顕微鏡は、上述した構成の液浸顕微鏡対物レンズOLを備えて構成される。本実施形態に係る液浸顕微鏡対物レンズOLを備えた液浸顕微鏡の具体例について、
図39に基づいて説明する。この液浸顕微鏡100は、スタンド101と、スタンド101のベース部102に取り付けられたステージ111と、スタンド101のアーム部103に取り付けられた鏡筒121と、鏡筒121に連結された撮像部131とを有して構成される。ステージ111上には、不図示の観察物体(生物試料等)を浸液とともに収容保持した試料容器Bが載置される。また、ステージ111上には、カバーガラス(図示せず)との間で観察物体(生物試料等)を保持したスライドガラス(図示せず)が載置されてもよい。ステージ111の下側には、透過照明装置116を構成するコンデンサレンズ117が取り付けられる。なお、スタンド101のベース部102には、ステージ111の他、上述の透過照明装置116と、透過照明用光源118等が取り付けられる。
【0043】
鏡筒121の下方に設けられたレボルバ126に、対物レンズ122が取り付けられる。ステージ111上に試料容器Bが載置される場合、対物レンズ122の先端部と試料容器B内の観察物体との間に、浸液が満たされるようになっている。ステージ111上にスライドガラス(図示せず)が載置される場合、対物レンズ122の先端部とカバーガラス(図示せず)との間に、浸液が満たされるようになっている。鏡筒121の下方に取り付けられる対物レンズ122として、本実施形態に係る液浸顕微鏡対物レンズOLが用いられる。鏡筒121には、結像レンズ123と、プリズム124が設けられる。鏡筒121に設けられる結像レンズ123として、後述の結像レンズILが用いられる。なお、鏡筒121には、落射蛍光装置127と、落射蛍光用光源128と、接眼レンズ129等が取り付けられる。撮像部131には、撮像素子132が設けられる。
【0044】
このような液浸顕微鏡100において、観察物体からの光は、浸液(および、ステージ111上にスライドガラスが載置される場合はカバーガラス)と、対物レンズ122と、結像レンズ123およびプリズム124を透過して、撮像素子132へ到達する。結像レンズ123により、観察物体の像が撮像素子132の撮像面上に結像され、撮像素子132が観察物体の像を撮像する。撮像素子132により撮像取得された観察物体の画像は、外部のコンピュータPCを介してモニターMTに表示される。外部のコンピュータPCは、撮像素子132により撮像取得された観察物体の画像データに対して種々の画像処理を行うことができる。このような構成によれば、上記実施形態に係る液浸顕微鏡対物レンズOLを搭載することにより、浸液の種類が異なっても、高い光学性能を維持することが可能な顕微鏡を得ることができる。なお、液浸顕微鏡100は、正立顕微鏡であってもよく、倒立顕微鏡であってもよい。
【0045】
次に、本実施形態の液浸顕微鏡100を用いた観察方法について、
図40を参照して概略的に説明する。まず、液浸顕微鏡100の各種設定を行う設定工程(ステップST10)を実施する。そして、設定工程(ステップST10)を実施した後、液浸顕微鏡100により観察物体の観察を行う観察工程(ステップST20)を実施する。上記設定工程(ステップST10)において、浸液の屈折率に応じて、第1の接合レンズCL11aおよび第2の接合レンズCL11bのうち一つを選択して液浸顕微鏡対物レンズOLの最も物体側に配置する。このようにすれば、浸液の種類が異なっても、高い光学性能を維持した状態で観察を行うことができる。
【0046】
上述の観察方法では、第1レンズ群G1が第1の接合レンズCL11aおよび第2の接合レンズCL11bを有する場合について説明した。ここでは、第1レンズ群G1が第3の接合レンズCL11cをさらに有する場合について説明する。この場合、上記設定工程(ステップST10)において、浸液の屈折率に応じて、第1の接合レンズCL11a、第2の接合レンズCL11b、および第3の接合レンズCL11cのうち一つを選択して液浸顕微鏡対物レンズOLの最も物体側に配置すればよい。このようにしても、上述の場合と同様の効果を得ることができる。
【0047】
本実施形態の液浸顕微鏡対物レンズOLにおいて、第1レンズ群G1は、最も物体側に配置される第1の接合レンズCL11aと、第1の接合レンズCL11aに代えて最も物体側に配置される第2の接合レンズCL11bとを有しているが、これに限られるものではない。例えば、第1の接合レンズCL11aが最も物体側に配置された状態の第1の液浸顕微鏡対物レンズOL(1a)と、第2の接合レンズCL11bが最も物体側に配置された状態の第2の液浸顕微鏡対物レンズOL(1b)とを別個に設けて、シリーズ化してもよい。
【0048】
そこで、本実施形態の液浸顕微鏡対物レンズのシリーズについて説明する。本実施形態の液浸顕微鏡対物レンズのシリーズは、例えば、
図1に示す第1の液浸顕微鏡対物レンズOL(1a)と、
図2に示す第2の液浸顕微鏡対物レンズOL(1b)とを含む。
【0049】
図1に示す第1の液浸顕微鏡対物レンズOL(1a)は、物体側から順に並んだ、正の屈折力を有する第1レンズ群G1と、負の屈折力を有する第2レンズ群G2とを有して構成される。第1レンズ群G1は、物体Obからの発散光束を集光して収斂光束にするレンズ群である。第2レンズ群G2は、第1レンズ群G1からの収斂光束を平行光束にするレンズ群である。第1の液浸顕微鏡対物レンズOL(1a)の第1レンズ群G1は、正の屈折力を有して最も物体側に配置される第1の接合レンズCL11aを有している。第1の接合レンズCL11aは、像側に凸面が形成された第1の正レンズL11aと、物体側に凹面を向けて第1の正レンズL11aの像側に接合された第1のメニスカスレンズL12aとから構成される。
【0050】
図2に示す第2の液浸顕微鏡対物レンズOL(1b)は、第1の液浸顕微鏡対物レンズOL(1a)と同じく、物体側から順に並んだ、正の屈折力を有する第1レンズ群G1と、負の屈折力を有する第2レンズ群G2とを有して構成される。第2の液浸顕微鏡対物レンズOL(1b)の第1レンズ群G1は、正の屈折力を有して最も物体側に配置される第2の接合レンズCL11bを有している。第2の接合レンズCL11bは、像側に凸面が形成された第2の正レンズL11bと、物体側に凹面を向けて第2の正レンズL11bの像側に接合された第2のメニスカスレンズL12bとから構成される。第2の正レンズL11bの屈折率は、第1の正レンズL11aの屈折率と異なっている。すなわち、第2の正レンズL11bの屈折率は、第1の正レンズL11aの屈折率よりも高くなっている。これにより、浸液IMの屈折率に応じて、第1の液浸顕微鏡対物レンズOL(1a)および第2の液浸顕微鏡対物レンズOL(1b)のうち一つを選択して用いることができ、浸液IMの種類が異なっても高い光学性能を維持することが可能になる。
【0051】
本実施形態の液浸顕微鏡対物レンズのシリーズにおいて、第1の液浸顕微鏡対物レンズOL(1a)は、
図13に示す第1の液浸顕微鏡対物レンズOL(2a)でもよく、
図25に示す第1の液浸顕微鏡対物レンズOL(3a)でもよい。また、第2の液浸顕微鏡対物レンズOL(1b)は、
図14に示す第2の液浸顕微鏡対物レンズOL(2b)でもよく、
図26に示す第2の液浸顕微鏡対物レンズOL(3b)でもよい。
【0052】
本実施形態の液浸顕微鏡対物レンズのシリーズにおいて、上述の条件式(1)および条件式(2)を満足してもよい。条件式(1)および条件式(2)を満足することで、上述の液浸顕微鏡対物レンズOLの場合と同様に、浸液IMの種類が異なっても、高い光学性能を維持することが可能になる。本実施形態の効果を確実にするために、条件式(1)の下限値を好ましくは0.90としてもよい。また、本実施形態の効果を確実にするために、条件式(2)の下限値を好ましくは0.90としてもよい。
【0053】
本実施形態の液浸顕微鏡対物レンズのシリーズにおいて、上述の条件式(3)および条件式(4)を満足してもよい。条件式(3)および条件式(4)を満足することで、上述の液浸顕微鏡対物レンズOLの場合と同様に、浸液IMの種類が異なっても、高い光学性能を維持することが可能になる。本実施形態の効果を確実にするために、条件式(3)の上限値を好ましくは1.45としてもよい。また、本実施形態の効果を確実にするために、条件式(4)の上限値を好ましくは1.45としてもよい。
【0054】
本実施形態の液浸顕微鏡対物レンズのシリーズにおいて、上述の条件式(5)を満足してもよい。条件式(5)を満足することで、上述の液浸顕微鏡対物レンズOLの場合と同様に、観察に適した明るさ及び最適な解像力を得ることができる。
【0055】
本実施形態の液浸顕微鏡対物レンズのシリーズにおいて、浸液IMの屈折率に応じて、第1レンズ群G1と第2レンズ群G2との間隔が変化するようにしてもよい。第1レンズ群G1と第2レンズ群G2との空気間隔を変化させることにより、所謂補正環として機能し、浸液IMの屈折率に応じて変化する球面収差を補正することができる。
【0056】
本実施形態の液浸顕微鏡対物レンズのシリーズは、
図3に示す第3の液浸顕微鏡対物レンズOL(1c)を含んでもよい。
図3に示す第3の液浸顕微鏡対物レンズOL(1c)は、第1の液浸顕微鏡対物レンズOL(1a)と同じく、物体側から順に並んだ、正の屈折力を有する第1レンズ群G1と、負の屈折力を有する第2レンズ群G2とを有して構成される。第3の液浸顕微鏡対物レンズOL(1c)の第1レンズ群G1は、正の屈折力を有して最も物体側に配置される第3の接合レンズCL11cを有している。第3の接合レンズCL11cは、像側に凸面が形成された第3の正レンズL11cと、物体側に凹面を向けて第3の正レンズL11cの像側に接合された第3のメニスカスレンズL12cとから構成される。第3の正レンズL11cの屈折率は、第1の正レンズL11aの屈折率および第2の正レンズL11bの屈折率と異なっている。すなわち、第3の正レンズL11cの屈折率は、第1の正レンズL11aの屈折率および第2の正レンズL11bの屈折率よりも高くなっている。これにより、浸液IMの屈折率に応じて、第1の液浸顕微鏡対物レンズOL(1a)、第2の液浸顕微鏡対物レンズOL(1b)および第3の液浸顕微鏡対物レンズOL(1c)のうち一つを選択して用いることができ、浸液IMの種類が異なっても高い光学性能を維持することが可能になる。
【0057】
ところで、浸液の屈折率が高くなる場合、浸液の屈折率が高くなるのに応じて、液浸顕微鏡対物レンズの最も物体側の接合レンズにおける正レンズの屈折率を高くすることが有効である。また、当該正レンズの屈折率を高くすることで生じる収差を抑えるため、正の屈折力を有する第1レンズ群と、負の屈折力を有する第2レンズ群との間隔を変えることが有効である。この傾向については、後述の実施例についても同様である。そして、液浸顕微鏡対物レンズの最も物体側の接合レンズにおける接合面、当該接合レンズにおける正レンズの像側に凸面を向けたレンズ面の曲率半径、当該接合レンズにおける正レンズの厚さ等を変えることで、収差をより小さく抑えることが可能な場合がある。
【0058】
なお、第3の液浸顕微鏡対物レンズOL(1c)は、
図15に示す第3の液浸顕微鏡対物レンズOL(2c)でもよく、
図27に示す第3の液浸顕微鏡対物レンズOL(3c)でもよい。また、説明容易化のため、第1の液浸顕微鏡対物レンズOL(1a)、第2の液浸顕微鏡対物レンズOL(1b)、および第3の液浸顕微鏡対物レンズOL(1c)をそれぞれ規定したが、これに限られるものではない。第1の液浸顕微鏡対物レンズOL(1a)、第2の液浸顕微鏡対物レンズOL(1b)、および第3の液浸顕微鏡対物レンズOL(1c)のうちいずれか一つを、第1の接合レンズが最も物体側に配置された第1の液浸顕微鏡対物レンズとし、他の一つを、第2の接合レンズが最も物体側に配置された第2の液浸顕微鏡対物レンズとし、残りの一つを、第3の接合レンズが最も物体側に配置された第3の液浸顕微鏡対物レンズとすればよい。
【0059】
本実施形態の液浸顕微鏡対物レンズのシリーズにおいて、第3の液浸顕微鏡対物レンズOL(1c)を含む場合、上述の条件式(1)および条件式(2)に加え、上述の条件式(6)を満足してもよい。条件式(6)を満足することで、上述の液浸顕微鏡対物レンズOLの場合と同様に、浸液IMの種類が異なっても、高い光学性能を維持することが可能になる。本実施形態の効果を確実にするために、条件式(6)の下限値を好ましくは0.88としてもよい。
【0060】
本実施形態の液浸顕微鏡対物レンズのシリーズにおいて、第3の液浸顕微鏡対物レンズOL(1c)を含む場合、上述の条件式(3)および条件式(4)に加え、上述の条件式(7)を満足してもよい。条件式(7)を満足することで、上述の液浸顕微鏡対物レンズOLの場合と同様に、浸液IMの種類が異なっても、高い光学性能を維持することが可能になる。本実施形態の効果を確実にするために、条件式(7)の上限値を好ましくは1.45、より好ましくは1.38としてもよい。
【0061】
また、本実施形態の液浸顕微鏡対物レンズのシリーズにおいて、第1の液浸顕微鏡対物レンズOL(1a)、第2の液浸顕微鏡対物レンズOL(1b)、および第3の液浸顕微鏡対物レンズOL(1c)の倍率は、10倍~40倍であることが望ましい。
【実施例】
【0062】
以下、本実施形態の実施例に係る液浸顕微鏡対物レンズOLを図面に基づいて説明する。各実施例に係る液浸顕微鏡対物レンズOLは、先端部と物体Ob(もしくはカバーガラス)との間を浸液IM(例えば、水やシリコーンオイル等)で満した状態でこの物体(観察物体)Obを観察する液浸顕微鏡用の対物レンズである。
【0063】
図1~
図3は、第1実施例に係る液浸顕微鏡対物レンズOL{OL(1a)~OL(1c)}の構成を示す断面図である。
図13~
図15は、第2実施例に係る液浸顕微鏡対物レンズOL{OL(2a)~OL(2c)}の構成を示す断面図である。
図25~
図27は、第3実施例に係る液浸顕微鏡対物レンズOL{OL(3a)~OL(3c)}の構成を示す断面図である。これらの図において、各レンズ群を符号Gと数字(もしくはアルファベット)の組み合わせにより、各レンズを符号Lと数字(もしくはアルファベット)の組み合わせにより、それぞれ表している。この場合において、符号、数字の種類および数が大きくなって煩雑化するのを防止するため、実施例毎にそれぞれ独立して符号と数字の組み合わせを用いてレンズ等を表している。このため、実施例間で同一の符号と数字の組み合わせが用いられていても、同一の構成であることを意味するものでは無い。
【0064】
表1~表4は第1実施例における各諸元データを示す表である。表6~表9は第2実施例における各諸元データを示す表である。表11~表13は第3実施例における各諸元データを示す表である。各実施例では収差特性の算出対象として、d線(波長λ=587.6nm)、g線(波長λ=435.8nm)、C線(波長λ=656.3nm)、F線(波長λ=486.1nm)を選んでいる。
【0065】
[全体諸元]の表において、fは液浸顕微鏡対物レンズOLの焦点距離を示し、NAは開口数を示し、βは倍率を示す。D0は、作動距離(ワーキングディスタンス)であり、(カバーガラスの厚さの分を除いた)物体Obから液浸顕微鏡対物レンズOLにおける最も物体側のレンズ面(後述の第1面)までの光軸上の距離を示す。
【0066】
[レンズデータ]の表において、面番号は物体側からのレンズ面の順序を示し、Rは各面番号に対応する曲率半径(物体側に凸のレンズ面の場合を正の値としている)、Dは各面番号に対応する光軸上のレンズ厚もしくは空気間隔、ndは各面番号に対応する光学材料のd線(波長λ=587.6nm)に対する屈折率、νdは各面番号に対応する光学材料のd線を基準とするアッベ数を、それぞれ示す。曲率半径の「∞」は平面又は開口を示す。また、空気の屈折率nd=1.00000の記載は省略している。また、浸液の屈折率が変わると変化する値、具体的には、最も物体側の接合レンズにおける正レンズの屈折率およびアッベ数の値と、第1レンズ群と第2レンズ群との空気間隔の値に、「**」印を付している。
【0067】
以下、全ての諸元値において、掲載されている焦点距離f、曲率半径R、面間隔D、その他の長さ等は、特記のない場合一般に「mm」が使われるが、光学系は比例拡大又は比例縮小しても同等の光学性能が得られるので、これに限られるものではない。
【0068】
ここまでの表の説明は全ての実施例において共通であり、以下での重複する説明は省略する。
【0069】
(第1実施例)
第1実施例について、
図1~
図12および表1~表5を用いて説明する。第1実施例に係る液浸顕微鏡対物レンズは、先端部と物体Obとの間に浸液IMが満たされた状態で用いられる。
図1は、第1実施例に係る第1の液浸顕微鏡対物レンズの構成を示す断面図である。第1実施例に係る第1の液浸顕微鏡対物レンズOL(1a)は、物体側から順に並んだ、正の屈折力を有する第1レンズ群G1と、負の屈折力を有する第2レンズ群G2とから構成される。第1レンズ群G1は、物体Obからの発散光束を集光して収斂光束にするレンズ群である。第2レンズ群G2は、第1レンズ群G1からの収斂光束を平行光束にするレンズ群である。
【0070】
第1の液浸顕微鏡対物レンズOL(1a)における第1レンズ群G1は、物体側から順に並んだ、第1の接合レンズCL11aと、物体側に凹面を向けた正メニスカスレンズL13と、物体側に凹面を向けた正メニスカスレンズL14と、両凹形状の負レンズL15および両凸形状の正レンズL16を接合してなる接合レンズCL12と、物体側に凸面を向けた負メニスカスレンズL17および両凸形状の正レンズL18を接合してなる接合レンズCL13と、両凸形状の正レンズL19とから構成される。第1の接合レンズCL11aは、物体側に平面を向けた平凸形状の第1の正レンズL11aと、物体側に凹面を向けて第1の正レンズL11aの像側に接合された第1のメニスカスレンズL12aとから構成される。また、第1の接合レンズCL11aは、全体として正の屈折力を有する。
【0071】
第2レンズ群G2は、物体側から順に並んだ、物体側に凸面を向けた負メニスカスレンズL21、両凸形状の正レンズL22、および両凹形状の負レンズL23を接合してなる接合レンズCL21と、両凸形状の正レンズL24および両凹形状の負レンズL25を接合してなる接合レンズCL22と、両凹形状の負レンズL26および両凸形状の正レンズL27を接合してなる接合レンズCL23とから構成される。
【0072】
図2は、第1実施例に係る第2の液浸顕微鏡対物レンズの構成を示す断面図である。第1実施例に係る第2の液浸顕微鏡対物レンズOL(1b)は、第1の接合レンズCL11aに代えて最も物体側に第2の接合レンズCL11bが配置される他は、第1の液浸顕微鏡対物レンズOL(1a)と同様に構成される。第2の接合レンズCL11bは、物体側に平面を向けた平凸形状の第2の正レンズL11bと、物体側に凹面を向けて第2の正レンズL11bの像側に接合された第2のメニスカスレンズL12bとから構成される。また、第2の接合レンズCL11bは、全体として正の屈折力を有する。
【0073】
図3は、第1実施例に係る第3の液浸顕微鏡対物レンズの構成を示す断面図である。第1実施例に係る第3の液浸顕微鏡対物レンズOL(1c)は、第1の接合レンズCL11aに代えて最も物体側に第3の接合レンズCL11cが配置される他は、第1の液浸顕微鏡対物レンズOL(1a)と同様に構成される。第3の接合レンズCL11cは、物体側に平面を向けた平凸形状の第3の正レンズL11cと、物体側に凹面を向けて第3の正レンズL11cの像側に接合された第3のメニスカスレンズL12cとから構成される。また、第3の接合レンズCL11cは、全体として正の屈折力を有する。
【0074】
浸液IM(水)のd線(波長λ=587.6nm)に対する屈折率nd(IM)が1.33の場合、第1の液浸顕微鏡対物レンズOL(1a)が用いられる。すなわち、第1実施例に係る液浸顕微鏡対物レンズにおいては、第1の接合レンズCL11a、第2の接合レンズCL11b、および第3の接合レンズCL11cのうち、第1の接合レンズCL11aが選択されて最も物体側に配置される。第1実施例に係る液浸顕微鏡対物レンズのシリーズにおいては、第1の液浸顕微鏡対物レンズOL(1a)、第2の液浸顕微鏡対物レンズOL(1b)、および第3の液浸顕微鏡対物レンズOL(1c)のうち、第1の液浸顕微鏡対物レンズOL(1a)が選択されて用いられる。
【0075】
以下の表1に、浸液IMのd線に対する屈折率nd(IM)が1.33の場合における、第1実施例に係る第1の液浸顕微鏡対物レンズOL(1a)の諸元の値を掲げる。
【0076】
(表1)
[全体諸元]
f=8.0
NA=1.0
D0=2.04
β=25倍
[レンズデータ]
面番号 R D nd νd
1 ∞ 2.0 1.4585** 67.8**
2 -3.460 4.9 1.8830 40.8
3 -7.000 0.1
4 -22.816 3.5 1.4343 95.0
5 -12.395 0.1
6 -91.696 3.5 1.4978 82.5
7 -23.020 0.1
8 -382.205 1.0 1.6134 44.3
9 25.550 11.45 1.4339 95.2
10 -18.751 0.1
11 103.567 1.1 1.8160 46.6
12 21.493 9.1 1.4978 82.5
13 -34.993 0.2
14 31.731 5.1 1.4343 95.0
15 -92.975 1.0**
16 56.522 1.2 1.6516 58.6
17 21.047 6.25 1.4339 95.2
18 -41.902 1.0 1.8160 46.6
19 47.631 0.2
20 13.040 7.5 1.4343 95.0
21 -140.218 5.4 1.5638 60.7
22 9.070 6.35
23 -11.368 1.05 1.6228 57.0
24 24.469 5.15 1.8044 39.6
25 -17.991
【0077】
浸液IM(オイル)のd線に対する屈折率nd(IM)が1.35の場合、第2の液浸顕微鏡対物レンズOL(1b)が用いられる。すなわち、第1実施例に係る液浸顕微鏡対物レンズにおいては、第1の接合レンズCL11a、第2の接合レンズCL11b、および第3の接合レンズCL11cのうち、第2の接合レンズCL11bが選択されて最も物体側に配置される。第1実施例に係る液浸顕微鏡対物レンズのシリーズにおいては、第1の液浸顕微鏡対物レンズOL(1a)、第2の液浸顕微鏡対物レンズOL(1b)、および第3の液浸顕微鏡対物レンズOL(1c)のうち、第2の液浸顕微鏡対物レンズOL(1b)が選択されて用いられる。なお、浸液IMの屈折率nd(IM)が1.35の場合、第1レンズ群G1と第2レンズ群G2との間隔は、浸液IMの屈折率nd(IM)が1.33の場合と比較して変化する。
【0078】
以下の表2に、浸液IMのd線に対する屈折率nd(IM)が1.35の場合における、第1実施例に係る第2の液浸顕微鏡対物レンズOL(1b)の諸元の値を掲げる。
【0079】
(表2)
[全体諸元]
f=8.0
NA=1.0
D0=1.98
β=25倍
[レンズデータ]
面番号 R D nd νd
1 ∞ 2.0 1.4875** 70.3**
2 -3.460 4.9 1.8830 40.8
3 -7.000 0.1
4 -22.816 3.5 1.4343 95.0
5 -12.395 0.1
6 -91.696 3.5 1.4978 82.5
7 -23.020 0.1
8 -382.205 1.0 1.6134 44.3
9 25.550 11.45 1.4339 95.2
10 -18.751 0.1
11 103.567 1.1 1.8160 46.6
12 21.493 9.1 1.4978 82.5
13 -34.993 0.2
14 31.731 5.1 1.4343 95.0
15 -92.975 1.35**
16 56.522 1.2 1.6516 58.6
17 21.047 6.25 1.4339 95.2
18 -41.902 1.0 1.8160 46.6
19 47.631 0.2
20 13.040 7.5 1.4343 95.0
21 -140.218 5.4 1.5638 60.7
22 9.070 6.35
23 -11.368 1.05 1.6228 57.0
24 24.469 5.15 1.8044 39.6
25 -17.991
【0080】
浸液IM(オイル)のd線に対する屈折率nd(IM)が1.38の場合、第2の液浸顕微鏡対物レンズOL(1b)が用いられる。すなわち、第1実施例に係る液浸顕微鏡対物レンズにおいては、第1の接合レンズCL11a、第2の接合レンズCL11b、および第3の接合レンズCL11cのうち、第2の接合レンズCL11bが選択されて最も物体側に配置される。第1実施例に係る液浸顕微鏡対物レンズのシリーズにおいては、第1の液浸顕微鏡対物レンズOL(1a)、第2の液浸顕微鏡対物レンズOL(1b)、および第3の液浸顕微鏡対物レンズOL(1c)のうち、第2の液浸顕微鏡対物レンズOL(1b)が選択されて用いられる。なお、浸液IMの屈折率nd(IM)が1.38の場合、第1レンズ群G1と第2レンズ群G2との間隔は、浸液IMの屈折率nd(IM)が1.33、1.35の場合と比較して変化する。
【0081】
以下の表3に、浸液IMのd線に対する屈折率nd(IM)が1.38の場合における、第1実施例に係る第2の液浸顕微鏡対物レンズOL(1b)の諸元の値を掲げる。
【0082】
(表3)
[全体諸元]
f=8.0
NA=1.0
D0=2.13
β=25倍
[レンズデータ]
面番号 R D nd νd
1 ∞ 2.0 1.4875** 70.3**
2 -3.460 4.9 1.8830 40.8
3 -7.000 0.1
4 -22.816 3.5 1.4343 95.0
5 -12.395 0.1
6 -91.696 3.5 1.4978 82.5
7 -23.020 0.1
8 -382.205 1.0 1.6134 44.3
9 25.550 11.45 1.4339 95.2
10 -18.751 0.1
11 103.567 1.1 1.8160 46.6
12 21.493 9.1 1.4978 82.5
13 -34.993 0.2
14 31.731 5.1 1.4343 95.0
15 -92.975 0.32**
16 56.522 1.2 1.6516 58.6
17 21.047 6.25 1.4339 95.2
18 -41.902 1.0 1.8160 46.6
19 47.631 0.2
20 13.040 7.5 1.4343 95.0
21 -140.218 5.4 1.5638 60.7
22 9.070 6.35
23 -11.368 1.05 1.6228 57.0
24 24.469 5.15 1.8044 39.6
25 -17.991
【0083】
浸液IM(オイル)のd線に対する屈折率nd(IM)が1.44の場合、第3の液浸顕微鏡対物レンズOL(1c)が用いられる。すなわち、第1実施例に係る液浸顕微鏡対物レンズにおいては、第1の接合レンズCL11a、第2の接合レンズCL11b、および第3の接合レンズCL11cのうち、第3の接合レンズCL11cが選択されて最も物体側に配置される。第1実施例に係る液浸顕微鏡対物レンズのシリーズにおいては、第1の液浸顕微鏡対物レンズOL(1a)、第2の液浸顕微鏡対物レンズOL(1b)、および第3の液浸顕微鏡対物レンズOL(1c)のうち、第3の液浸顕微鏡対物レンズOL(1c)が選択されて用いられる。なお、浸液IMの屈折率nd(IM)が1.44の場合、第1レンズ群G1と第2レンズ群G2との間隔は、浸液IMの屈折率nd(IM)が1.33、1.35、1.38の場合と比較して変化する。
【0084】
以下の表4に、浸液IMのd線に対する屈折率nd(IM)が1.44の場合における、第1実施例に係る第3の液浸顕微鏡対物レンズOL(1c)の諸元の値を掲げる。
【0085】
(表4)
[全体諸元]
f=8.0
NA=1.0
D0=2.00
β=25倍
[レンズデータ]
面番号 R D nd νd
1 ∞ 2.0 1.5638** 60.7**
2 -3.460 4.9 1.8830 40.8
3 -7.000 0.1
4 -22.816 3.5 1.4343 95.0
5 -12.395 0.1
6 -91.696 3.5 1.4978 82.5
7 -23.020 0.1
8 -382.205 1.0 1.6134 44.3
9 25.550 11.45 1.4339 95.2
10 -18.751 0.1
11 103.567 1.1 1.8160 46.6
12 21.493 9.1 1.4978 82.5
13 -34.993 0.2
14 31.731 5.1 1.4343 95.0
15 -92.975 0.962**
16 56.522 1.2 1.6516 58.6
17 21.047 6.25 1.4339 95.2
18 -41.902 1.0 1.8160 46.6
19 47.631 0.2
20 13.040 7.5 1.4343 95.0
21 -140.218 5.4 1.5638 60.7
22 9.070 6.35
23 -11.368 1.05 1.6228 57.0
24 24.469 5.15 1.8044 39.6
25 -17.991
【0086】
第1実施例に係る液浸顕微鏡対物レンズは、無限遠補正型のレンズであるため、物体の像を結像させる結像レンズと組み合わせて使用される。そこで、第1実施例に係る液浸顕微鏡対物レンズと組み合わせて使用される結像レンズについて説明する。
図4は、第1実施例に係る液浸顕微鏡対物レンズと組み合わせて使用される結像レンズの構成を示す断面図である。第1実施例に係る液浸顕微鏡対物レンズの諸収差図は、この結像レンズと組み合わせて使用したときのものである。
図4に示す結像レンズIL(1)は、物体側から順に並んだ、両凸形状の正レンズL31および両凹形状の負レンズL32を接合してなる接合レンズCL31と、両凸形状の正レンズL33および両凹形状の負レンズL34を接合してなる接合レンズCL32とから構成される。この結像レンズIL(1)は、第1実施例に係る液浸顕微鏡対物レンズの像側に配置される。
【0087】
以下の表5に、結像レンズの諸元の値を掲げる。なお、[レンズデータ]の表において、面番号、R、D、nd、およびνdは、前述の表1~表4の説明で示したものと同じである。
【0088】
(表5)
[レンズデータ]
面番号 R D nd νd
1 75.043 5.1 1.62801 57.03
2 -75.043 2.0 1.74950 35.19
3 1600.580 7.5
4 50.260 5.1 1.66755 41.96
5 -84.541 1.8 1.61266 44.41
6 36.911
【0089】
図5は、浸液IMのd線に対する屈折率nd(IM)が1.33の場合における、第1実施例に係る第1の液浸顕微鏡対物レンズOL(1a)の諸収差(球面収差、像面湾曲、および歪曲収差)を示す図である。
図6は、浸液IMのd線に対する屈折率nd(IM)が1.33の場合における、第1実施例に係る第1の液浸顕微鏡対物レンズOL(1a)のコマ収差(メリジオナルコマ収差、およびサジタルコマ収差)を示す図である。
【0090】
図7は、浸液IMのd線に対する屈折率nd(IM)が1.35の場合における、第1実施例に係る第2の液浸顕微鏡対物レンズOL(1b)の諸収差(球面収差、像面湾曲、および歪曲収差)を示す図である。
図8は、浸液IMのd線に対する屈折率nd(IM)が1.35の場合における、第1実施例に係る第2の液浸顕微鏡対物レンズOL(1b)のコマ収差(メリジオナルコマ収差、およびサジタルコマ収差)を示す図である。
図9は、浸液IMのd線に対する屈折率nd(IM)が1.38の場合における、第1実施例に係る第2の液浸顕微鏡対物レンズOL(1b)の諸収差(球面収差、像面湾曲、および歪曲収差)を示す図である。
図10は、浸液IMのd線に対する屈折率nd(IM)が1.38の場合における、第1実施例に係る第2の液浸顕微鏡対物レンズOL(1b)のコマ収差(メリジオナルコマ収差、およびサジタルコマ収差)を示す図である。
【0091】
図11は、浸液IMのd線に対する屈折率nd(IM)が1.44の場合における、第1実施例に係る第3の液浸顕微鏡対物レンズOL(1c)の諸収差(球面収差、像面湾曲、および歪曲収差)を示す図である。
図12は、浸液IMのd線に対する屈折率nd(IM)が1.44の場合における、第1実施例に係る第3の液浸顕微鏡対物レンズOL(1c)のコマ収差(メリジオナルコマ収差およびサジタルコマ収差)を示す図である。
【0092】
図5~
図12の各収差図において、dはd線(波長λ=587.6nm)、gはg線(波長λ=435.8nm)、CはC線(波長λ=656.3nm)、FはF線(波長λ=486.1nm)に対する諸収差をそれぞれ示す。球面収差図において、縦軸は入射瞳半径の最大値を1として規格化して示した値を示し、横軸は各光線における収差の値[mm]を示す。像面湾曲を示す収差図においては、実線は各波長に対するメリジオナル像面を示し、破線は各波長に対するサジタル像面を示す。また、像面湾曲を示す収差図において、縦軸は像高[mm]を示し、横軸は収差の値[mm]を示す。歪曲収差図(ディストーション)において、縦軸は像高[mm]を示し、横軸は収差の割合を百分率(%値)で示す。各コマ収差図は、像高比RFH(Relative Field Height)が0.00~1.00のときの収差の値を示す。なお、以下に示す各実施例の収差図においても、本実施例と同様の符号を用い、重複する説明は省略する。
【0093】
各収差図より、第1実施例に係る液浸顕微鏡対物レンズは、第1の接合レンズCL11a、第2の接合レンズCL11b、および第3の接合レンズCL11cのうち一つを選択することにより、浸液の種類(屈折率)が異なっても諸収差が良好に補正され、優れた結像性能を有していることがわかる。また、第1実施例に係る液浸顕微鏡対物レンズのシリーズは、第1の液浸顕微鏡対物レンズOL(1a)、第2の液浸顕微鏡対物レンズOL(1b)、および第3の液浸顕微鏡対物レンズOL(1c)のうち一つを選択することにより、浸液の種類(屈折率)が異なっても諸収差が良好に補正され、優れた結像性能を有していることがわかる。
【0094】
(第2実施例)
第2実施例について、
図13~
図24および表6~表10を用いて説明する。第2実施例に係る液浸顕微鏡対物レンズは、先端部と(物体Obを保持する)カバーガラスCvとの間に浸液IMが満たされた状態で用いられる。なお、カバーガラスCvのd線(波長λ=587.6nm)に対する屈折率は1.517とし、カバーガラスCvの厚さは0.17mmとする。
図13は、第2実施例に係る第1の液浸顕微鏡対物レンズの構成を示す断面図である。第2実施例に係る第1の液浸顕微鏡対物レンズOL(2a)は、物体側から順に並んだ、正の屈折力を有する第1レンズ群G1と、負の屈折力を有する第2レンズ群G2とから構成される。第1レンズ群G1は、物体Obからの発散光束を集光して収斂光束にするレンズ群である。第2レンズ群G2は、第1レンズ群G1からの収斂光束を平行光束にするレンズ群である。
【0095】
第1の液浸顕微鏡対物レンズOL(2a)における第1レンズ群G1は、物体側から順に並んだ、第1の接合レンズCL11aと、物体側に凹面を向けた正メニスカスレンズL13と、物体側に凸面を向けた負メニスカスレンズL14および両凸形状の正レンズL15を接合してなる接合レンズCL12と、両凸形状の正レンズL16と、両凸形状の正レンズL17、両凹形状の負レンズL18、および両凸形状の正レンズL19を接合してなる接合レンズCL13と、物体側に凸面を向けた負メニスカスレンズL120および両凸形状の正レンズL121を接合してなる接合レンズCL14とから構成される。第1の接合レンズCL11aは、物体側に平面を向けた平凸形状の第1の正レンズL11aと、物体側に凹面を向けて第1の正レンズL11aの像側に接合された第1のメニスカスレンズL12aとから構成される。また、第1の接合レンズCL11aは、全体として正の屈折力を有する。
【0096】
第2レンズ群G2は、物体側から順に並んだ、物体側に凸面を向けた正メニスカスレンズL21および物体側に凸面を向けた負メニスカスレンズL22を接合してなる接合レンズCL21と、両凹形状の負レンズL23および両凸形状の正レンズL24を接合してなる接合レンズCL22とから構成される。
【0097】
図14は、第2実施例に係る第2の液浸顕微鏡対物レンズの構成を示す断面図である。第2実施例に係る第2の液浸顕微鏡対物レンズOL(2b)は、第1の接合レンズCL11aに代えて最も物体側に第2の接合レンズCL11bが配置される他は、第1の液浸顕微鏡対物レンズOL(2a)と同様に構成される。第2の接合レンズCL11bは、物体側に平面を向けた平凸形状の第2の正レンズL11bと、物体側に凹面を向けて第2の正レンズL11bの像側に接合された第2のメニスカスレンズL12bとから構成される。また、第2の接合レンズCL11bは、全体として正の屈折力を有する。
【0098】
図15は、第2実施例に係る第3の液浸顕微鏡対物レンズの構成を示す断面図である。第2実施例に係る第3の液浸顕微鏡対物レンズOL(2c)は、第1の接合レンズCL11aに代えて最も物体側に第3の接合レンズCL11cが配置される他は、第1の液浸顕微鏡対物レンズOL(2a)と同様に構成される。第3の接合レンズCL11cは、物体側に平面を向けた平凸形状の第3の正レンズL11cと、物体側に凹面を向けて第3の正レンズL11cの像側に接合された第3のメニスカスレンズL12cとから構成される。また、第3の接合レンズCL11cは、全体として正の屈折力を有する。
【0099】
浸液IM(水)のd線(波長λ=587.6nm)に対する屈折率nd(IM)が1.33の場合、第1の液浸顕微鏡対物レンズOL(2a)が用いられる。すなわち、第2実施例に係る液浸顕微鏡対物レンズにおいては、第1の接合レンズCL11a、第2の接合レンズCL11b、および第3の接合レンズCL11cのうち、第1の接合レンズCL11aが選択されて最も物体側に配置される。第2実施例に係る液浸顕微鏡対物レンズのシリーズにおいては、第1の液浸顕微鏡対物レンズOL(2a)、第2の液浸顕微鏡対物レンズOL(2b)、および第3の液浸顕微鏡対物レンズOL(2c)のうち、第1の液浸顕微鏡対物レンズOL(2a)が選択されて用いられる。
【0100】
以下の表6に、浸液IMのd線に対する屈折率nd(IM)が1.33の場合における、第2実施例に係る第1の液浸顕微鏡対物レンズOL(2a)の諸元の値を掲げる。
【0101】
(表6)
[全体諸元]
f=10.0
NA=0.95
D0=1.06
β=20倍
[レンズデータ]
面番号 R D nd νd
1 ∞ 1.0 1.4585** 67.8**
2 -1.901 6.8 1.8830 40.8
3 -7.750 0.2
4 -71.995 3.0 1.6030 65.4
5 -17.100 0.2
6 87.799 1.2 1.7432 49.3
7 26.174 4.9 1.4339 95.2
8 -23.927 0.2
9 48.219 4.4 1.4978 82.5
10 -37.807 0.3
11 49.228 3.2 1.4978 82.5
12 -43.153 1.2 1.6935 53.2
13 21.400 6.2 1.4343 95.0
14 -24.558 0.2
15 40.229 1.2 1.8348 42.7
16 12.549 6.5 1.4343 95.0
17 -39.060 1.8**
18 10.751 4.9 1.4978 82.5
19 45.256 1.2 1.8160 46.6
20 9.791 6.9
21 -10.409 2.3 1.7292 54.6
22 92.148 5.0 1.8044 39.6
23 -14.53
【0102】
浸液IM(オイル)のd線に対する屈折率nd(IM)が1.35の場合、第2の液浸顕微鏡対物レンズOL(2b)が用いられる。すなわち、第2実施例に係る液浸顕微鏡対物レンズにおいては、第1の接合レンズCL11a、第2の接合レンズCL11b、および第3の接合レンズCL11cのうち、第2の接合レンズCL11bが選択されて最も物体側に配置される。第2実施例に係る液浸顕微鏡対物レンズのシリーズにおいては、第1の液浸顕微鏡対物レンズOL(2a)、第2の液浸顕微鏡対物レンズOL(2b)、および第3の液浸顕微鏡対物レンズOL(2c)のうち、第2の液浸顕微鏡対物レンズOL(2b)が選択されて用いられる。なお、浸液IMの屈折率nd(IM)が1.35の場合、第1レンズ群G1と第2レンズ群G2との間隔は、浸液IMの屈折率nd(IM)が1.33の場合と比較して変化する。
【0103】
以下の表7に、浸液IMのd線に対する屈折率nd(IM)が1.35の場合における、第2実施例に係る第2の液浸顕微鏡対物レンズOL(2b)の諸元の値を掲げる。
【0104】
(表7)
[全体諸元]
f=10.0
NA=0.95
D0=1.005
β=20倍
[レンズデータ]
面番号 R D nd νd
1 ∞ 1.0 1.4875** 70.3**
2 -1.901 6.8 1.8830 40.8
3 -7.750 0.2
4 -71.995 3.0 1.6030 65.4
5 -17.100 0.2
6 87.799 1.2 1.7432 49.3
7 26.174 4.9 1.4339 95.2
8 -23.927 0.2
9 48.219 4.4 1.4978 82.5
10 -37.807 0.3
11 49.228 3.2 1.4978 82.5
12 -43.153 1.2 1.6935 53.2
13 21.400 6.2 1.4343 95.0
14 -24.558 0.2
15 40.229 1.2 1.8348 42.7
16 12.549 6.5 1.4343 95.0
17 -39.060 2.25**
18 10.751 4.9 1.4978 82.5
19 45.256 1.2 1.8160 46.6
20 9.791 6.9
21 -10.409 2.3 1.7292 54.6
22 92.148 5.0 1.8044 39.6
23 -14.53
【0105】
浸液IM(オイル)のd線に対する屈折率nd(IM)が1.38の場合、第2の液浸顕微鏡対物レンズOL(2b)が用いられる。すなわち、第2実施例に係る液浸顕微鏡対物レンズにおいては、第1の接合レンズCL11a、第2の接合レンズCL11b、および第3の接合レンズCL11cのうち、第2の接合レンズCL11bが選択されて最も物体側に配置される。第2実施例に係る液浸顕微鏡対物レンズのシリーズにおいては、第1の液浸顕微鏡対物レンズOL(2a)、第2の液浸顕微鏡対物レンズOL(2b)、および第3の液浸顕微鏡対物レンズOL(2c)のうち、第2の液浸顕微鏡対物レンズOL(2b)が選択されて用いられる。なお、浸液IMの屈折率nd(IM)が1.38の場合、第1レンズ群G1と第2レンズ群G2との間隔は、浸液IMの屈折率nd(IM)が1.33、1.35の場合と比較して変化する。
【0106】
以下の表8に、浸液IMのd線に対する屈折率nd(IM)が1.38の場合における、第2実施例に係る第2の液浸顕微鏡対物レンズOL(2b)の諸元の値を掲げる。
【0107】
(表8)
[全体諸元]
f=10.0
NA=0.95
D0=1.035
β=20倍
[レンズデータ]
面番号 R D nd νd
1 ∞ 1.0 1.4875** 70.3**
2 -1.901 6.8 1.8830 40.8
3 -7.750 0.2
4 -71.995 3.0 1.6030 65.4
5 -17.100 0.2
6 87.799 1.2 1.7432 49.3
7 26.174 4.9 1.4339 95.2
8 -23.927 0.2
9 48.219 4.4 1.4978 82.5
10 -37.807 0.3
11 49.228 3.2 1.4978 82.5
12 -43.153 1.2 1.6935 53.2
13 21.400 6.2 1.4343 95.0
14 -24.558 0.2
15 40.229 1.2 1.8348 42.7
16 12.549 6.5 1.4343 95.0
17 -39.060 1.15**
18 10.751 4.9 1.4978 82.5
19 45.256 1.2 1.8160 46.6
20 9.791 6.9
21 -10.409 2.3 1.7292 54.6
22 92.148 5.0 1.8044 39.6
23 -14.53
【0108】
浸液IM(オイル)のd線に対する屈折率nd(IM)が1.44の場合、第3の液浸顕微鏡対物レンズOL(2c)が用いられる。すなわち、第2実施例に係る液浸顕微鏡対物レンズにおいては、第1の接合レンズCL11a、第2の接合レンズCL11b、および第3の接合レンズCL11cのうち、第3の接合レンズCL11cが選択されて最も物体側に配置される。第2実施例に係る液浸顕微鏡対物レンズのシリーズにおいては、第1の液浸顕微鏡対物レンズOL(2a)、第2の液浸顕微鏡対物レンズOL(2b)、および第3の液浸顕微鏡対物レンズOL(2c)のうち、第3の液浸顕微鏡対物レンズOL(2c)が選択されて用いられる。なお、浸液IMの屈折率nd(IM)が1.44の場合、第1レンズ群G1と第2レンズ群G2との間隔は、浸液IMの屈折率nd(IM)が1.33、1.35、1.38の場合と比較して変化する。
【0109】
以下の表9に、浸液IMのd線に対する屈折率nd(IM)が1.44の場合における、第2実施例に係る第3の液浸顕微鏡対物レンズOL(2c)の諸元の値を掲げる。
【0110】
(表9)
[全体諸元]
f=10.0
NA=0.95
D0=1.055
β=20倍
[レンズデータ]
面番号 R D nd νd
1 ∞ 1.0 1.5168** 64.1**
2 -1.901 6.8 1.8830 40.8
3 -7.750 0.2
4 -71.995 3.0 1.6030 65.4
5 -17.100 0.2
6 87.799 1.2 1.7432 49.3
7 26.174 4.9 1.4339 95.2
8 -23.927 0.2
9 48.219 4.4 1.4978 82.5
10 -37.807 0.3
11 49.228 3.2 1.4978 82.5
12 -43.153 1.2 1.6935 53.2
13 21.400 6.2 1.4343 95.0
14 -24.558 0.2
15 40.229 1.2 1.8348 42.7
16 12.549 6.5 1.4343 95.0
17 -39.060 0.1**
18 10.751 4.9 1.4978 82.5
19 45.256 1.2 1.8160 46.6
20 9.791 6.9
21 -10.409 2.3 1.7292 54.6
22 92.148 5.0 1.8044 39.6
23 -14.53
【0111】
第2実施例に係る液浸顕微鏡対物レンズは、無限遠補正型のレンズであるため、物体の像を結像させる結像レンズと組み合わせて使用される。そこで、第2実施例に係る液浸顕微鏡対物レンズと組み合わせて使用される結像レンズについて説明する。
図16は、第2実施例に係る液浸顕微鏡対物レンズと組み合わせて使用される結像レンズの構成を示す断面図である。第2実施例に係る液浸顕微鏡対物レンズの諸収差図は、この結像レンズと組み合わせて使用したときのものである。
図16に示す結像レンズIL(2)は、物体側から順に並んだ、両凸形状の正レンズL31および物体側に凹面を向けた負メニスカスレンズL32を接合してなる接合レンズCL31と、物体側に凸面を向けた負メニスカスレンズL33および物体側に凸面を向けた正メニスカスレンズL34を接合してなる接合レンズCL32とから構成される。この結像レンズIL(2)は、第2実施例に係る液浸顕微鏡対物レンズの像側に配置される。
【0112】
以下の表10に、結像レンズの諸元の値を掲げる。なお、[レンズデータ]の表において、面番号、R、D、nd、およびνdは、前述の表6~表9の説明で示したものと同じである。
【0113】
(表10)
[レンズデータ]
面番号 R D nd νd
1 128.670 5.0 1.49782 82.56
2 -65.000 3.0 1.62280 57.03
3 -154.409 0.5
4 84.000 3.0 1.61340 44.27
5 48.000 3.0 1.62280 57.03
6 70.000
【0114】
図17は、浸液IMのd線に対する屈折率nd(IM)が1.33の場合における、第2実施例に係る第1の液浸顕微鏡対物レンズOL(2a)の諸収差(球面収差、像面湾曲、および歪曲収差)を示す図である。
図18は、浸液IMのd線に対する屈折率nd(IM)が1.33の場合における、第2実施例に係る第1の液浸顕微鏡対物レンズOL(2a)のコマ収差(メリジオナルコマ収差、およびサジタルコマ収差)を示す図である。
【0115】
図19は、浸液IMのd線に対する屈折率nd(IM)が1.35の場合における、第2実施例に係る第2の液浸顕微鏡対物レンズOL(2b)の諸収差(球面収差、像面湾曲、および歪曲収差)を示す図である。
図20は、浸液IMのd線に対する屈折率nd(IM)が1.35の場合における、第2実施例に係る第2の液浸顕微鏡対物レンズOL(2b)のコマ収差(メリジオナルコマ収差、およびサジタルコマ収差)を示す図である。
図21は、浸液IMのd線に対する屈折率nd(IM)が1.38の場合における、第2実施例に係る第2の液浸顕微鏡対物レンズOL(2b)の諸収差(球面収差、像面湾曲、および歪曲収差)を示す図である。
図22は、浸液IMのd線に対する屈折率nd(IM)が1.38の場合における、第2実施例に係る第2の液浸顕微鏡対物レンズOL(2b)のコマ収差(メリジオナルコマ収差、およびサジタルコマ収差)を示す図である。
【0116】
図23は、浸液IMのd線に対する屈折率nd(IM)が1.44の場合における、第2実施例に係る第3の液浸顕微鏡対物レンズOL(2c)の諸収差(球面収差、像面湾曲、および歪曲収差)を示す図である。
図24は、浸液IMのd線に対する屈折率nd(IM)が1.44の場合における、第2実施例に係る第3の液浸顕微鏡対物レンズOL(2c)のコマ収差(メリジオナルコマ収差およびサジタルコマ収差)を示す図である。
【0117】
各収差図より、第2実施例に係る液浸顕微鏡対物レンズは、第1の接合レンズCL11a、第2の接合レンズCL11b、および第3の接合レンズCL11cのうち一つを選択することにより、浸液の種類(屈折率)が異なっても諸収差が良好に補正され、優れた結像性能を有していることがわかる。また、第2実施例に係る液浸顕微鏡対物レンズのシリーズは、第1の液浸顕微鏡対物レンズOL(2a)、第2の液浸顕微鏡対物レンズOL(2b)、および第3の液浸顕微鏡対物レンズOL(2c)のうち一つを選択することにより、浸液の種類(屈折率)が異なっても諸収差が良好に補正され、優れた結像性能を有していることがわかる。
【0118】
(第3実施例)
第3実施例について、
図25~
図34および表11~表14を用いて説明する。第3実施例に係る液浸顕微鏡対物レンズは、先端部と物体Obとの間に浸液IMが満たされた状態で用いられる。
図25は、第3実施例に係る第1の液浸顕微鏡対物レンズの構成を示す断面図である。第3実施例に係る第1の液浸顕微鏡対物レンズOL(3a)は、物体側から順に並んだ、正の屈折力を有する第1レンズ群G1と、負の屈折力を有する第2レンズ群G2とから構成される。第1レンズ群G1は、物体Obからの発散光束を集光して収斂光束にするレンズ群である。第2レンズ群G2は、第1レンズ群G1からの収斂光束を平行光束にするレンズ群である。
【0119】
第1の液浸顕微鏡対物レンズOL(3a)における第1レンズ群G1は、物体側から順に並んだ、第1の接合レンズCL11aと、物体側に凹面を向けた正メニスカスレンズL13と、両凸形状の正レンズL14、両凹形状の負レンズL15、および両凸形状の正レンズL16を接合してなる接合レンズCL12とから構成される。第1の接合レンズCL11aは、両凸形状の第1の正レンズL11aと、物体側に凹面を向けて第1の正レンズL11aの像側に接合された第1のメニスカスレンズL12aとから構成される。また、第1の接合レンズCL11aは、全体として正の屈折力を有する。
【0120】
第2レンズ群G2は、物体側から順に並んだ、物体側に凸面を向けた負メニスカスレンズL21、両凸形状の正レンズL22、および物体側に凹面を向けた負メニスカスレンズL23を接合してなる接合レンズCL21と、両凸形状の正レンズL24および両凹形状の負レンズL25を接合してなる接合レンズCL22と、両凹形状の負レンズL26および両凸形状の正レンズL27を接合してなる接合レンズCL23とから構成される。
【0121】
図26は、第3実施例に係る第2の液浸顕微鏡対物レンズの構成を示す断面図である。第3実施例に係る第2の液浸顕微鏡対物レンズOL(3b)は、第1の接合レンズCL11aに代えて最も物体側に第2の接合レンズCL11bが配置される他は、第1の液浸顕微鏡対物レンズOL(3a)と同様に構成される。第2の接合レンズCL11bは、両凸形状の第2の正レンズL11bと、物体側に凹面を向けて第2の正レンズL11bの像側に接合された第2のメニスカスレンズL12bとから構成される。また、第2の接合レンズCL11bは、全体として正の屈折力を有する。
【0122】
図27は、第3実施例に係る第3の液浸顕微鏡対物レンズの構成を示す断面図である。第3実施例に係る第3の液浸顕微鏡対物レンズOL(3c)は、第1の接合レンズCL11aに代えて最も物体側に第3の接合レンズCL11cが配置される他は、第1の液浸顕微鏡対物レンズOL(3a)と同様に構成される。第3の接合レンズCL11cは、両凸形状の第3の正レンズL11cと、物体側に凹面を向けて第3の正レンズL11cの像側に接合された第3のメニスカスレンズL12cとから構成される。また、第3の接合レンズCL11cは、全体として正の屈折力を有する。
【0123】
浸液IM(水)のd線(波長λ=587.6nm)に対する屈折率nd(IM)が1.33の場合、第1の液浸顕微鏡対物レンズOL(3a)が用いられる。すなわち、第3実施例に係る液浸顕微鏡対物レンズにおいては、第1の接合レンズCL11a、第2の接合レンズCL11b、および第3の接合レンズCL11cのうち、第1の接合レンズCL11aが選択されて最も物体側に配置される。第3実施例に係る液浸顕微鏡対物レンズのシリーズにおいては、第1の液浸顕微鏡対物レンズOL(3a)、第2の液浸顕微鏡対物レンズOL(3b)、および第3の液浸顕微鏡対物レンズOL(3c)のうち、第1の液浸顕微鏡対物レンズOL(3a)が選択されて用いられる。
【0124】
以下の表11に、浸液IMのd線に対する屈折率nd(IM)が1.33の場合における、第3実施例に係る第1の液浸顕微鏡対物レンズOL(3a)の諸元の値を掲げる。
【0125】
(表11)
[全体諸元]
f=4.5
NA=0.80
D0=3.30
β=40倍
[レンズデータ]
面番号 R D nd νd
1 80.0000 1.6912 1.51633** 64.15**
2 -8.8752 2.5950 1.78650 50.00
3 -6.0510 0.2000
4 -15.4999 2.3337 1.49700 81.61
5 -9.1373 0.2000
6 10.5626 3.7112 1.43875 94.97
7 -71.3466 1.0000 1.78650 50.00
8 15.0752 3.9298 1.49700 81.61
9 -22.3245 0.2000**
10 20.1621 1.3847 1.59551 39.29
11 8.9947 5.6341 1.43875 94.97
12 -6.6141 0.9018 1.78650 50.00
13 -19.8617 0.3000
14 6.6746 5.4724 1.49700 81.61
15 -10.8419 2.9912 1.52944 51.72
16 6.5021 4.7029
17 -3.2522 4.9352 1.50378 66.81
18 30.1585 3.6414 1.58144 40.75
19 -9.3897
【0126】
浸液IM(オイル)のd線に対する屈折率nd(IM)が1.35の場合、第2の液浸顕微鏡対物レンズOL(3b)が用いられる。すなわち、第3実施例に係る液浸顕微鏡対物レンズにおいては、第1の接合レンズCL11a、第2の接合レンズCL11b、および第3の接合レンズCL11cのうち、第2の接合レンズCL11bが選択されて最も物体側に配置される。第3実施例に係る液浸顕微鏡対物レンズのシリーズにおいては、第1の液浸顕微鏡対物レンズOL(3a)、第2の液浸顕微鏡対物レンズOL(3b)、および第3の液浸顕微鏡対物レンズOL(3c)のうち、第2の液浸顕微鏡対物レンズOL(3b)が選択されて用いられる。なお、浸液IMの屈折率nd(IM)が1.35の場合、第1レンズ群G1と第2レンズ群G2との間隔は、浸液IMの屈折率nd(IM)が1.33の場合と比較して変化する。
【0127】
以下の表12に、浸液IMのd線に対する屈折率nd(IM)が1.35の場合における、第3実施例に係る第2の液浸顕微鏡対物レンズOL(3b)の諸元の値を掲げる。
【0128】
(表12)
[全体諸元]
f=4.5
NA=0.80
D0=3.4273
β=40倍
[レンズデータ]
面番号 R D nd νd
1 80.0000 1.6912 1.53996** 59.46**
2 -8.8752 2.5950 1.78650 50.00
3 -6.0510 0.2000
4 -15.4999 2.3337 1.49700 81.61
5 -9.1373 0.2000
6 10.5626 3.7112 1.43875 94.97
7 -71.3466 1.0000 1.78650 50.00
8 15.0752 3.9298 1.49700 81.61
9 -22.3245 0.1800**
10 20.1621 1.3847 1.59551 39.29
11 8.9947 5.6341 1.43875 94.97
12 -6.6141 0.9018 1.78650 50.00
13 -19.8617 0.3000
14 6.6746 5.4724 1.49700 81.61
15 -10.8419 2.9912 1.52944 51.72
16 6.5021 4.7029
17 -3.2522 4.9352 1.50378 66.81
18 30.1585 3.6414 1.58144 40.75
19 -9.3897
【0129】
浸液IM(オイル)のd線に対する屈折率nd(IM)が1.38の場合、第3の液浸顕微鏡対物レンズOL(3c)が用いられる。すなわち、第3実施例に係る液浸顕微鏡対物レンズにおいては、第1の接合レンズCL11a、第2の接合レンズCL11b、および第3の接合レンズCL11cのうち、第3の接合レンズCL11cが選択されて最も物体側に配置される。第3実施例に係る液浸顕微鏡対物レンズのシリーズにおいては、第1の液浸顕微鏡対物レンズOL(3a)、第2の液浸顕微鏡対物レンズOL(3b)、および第3の液浸顕微鏡対物レンズOL(3c)のうち、第3の液浸顕微鏡対物レンズOL(3c)が選択されて用いられる。なお、浸液IMの屈折率nd(IM)が1.38の場合、第1レンズ群G1と第2レンズ群G2との間隔は、浸液IMの屈折率nd(IM)が1.33、1.35の場合と比較して変化する。
【0130】
以下の表13に、浸液IMのd線に対する屈折率nd(IM)が1.38の場合における、第3実施例に係る第3の液浸顕微鏡対物レンズOL(3c)の諸元の値を掲げる。
【0131】
(表13)
[全体諸元]
f=4.5
NA=0.80
D0=3.46515
β=40倍
[レンズデータ]
面番号 R D nd νd
1 80.0000 1.6912 1.56384** 60.67**
2 -8.8752 2.5950 1.78650 50.00
3 -6.0510 0.2000
4 -15.4999 2.3337 1.49700 81.61
5 -9.1373 0.2000
6 10.5626 3.7112 1.43875 94.97
7 -71.3466 1.0000 1.78650 50.00
8 15.0752 3.9298 1.49700 81.61
9 -22.3245 0.3000**
10 20.1621 1.3847 1.59551 39.29
11 8.9947 5.6341 1.43875 94.97
12 -6.6141 0.9018 1.78650 50.00
13 -19.8617 0.3000
14 6.6746 5.4724 1.49700 81.61
15 -10.8419 2.9912 1.52944 51.72
16 6.5021 4.7029
17 -3.2522 4.9352 1.50378 66.81
18 30.1585 3.6414 1.58144 40.75
19 -9.3897
【0132】
第3実施例に係る液浸顕微鏡対物レンズは、無限遠補正型のレンズであるため、物体の像を結像させる結像レンズと組み合わせて使用される。そこで、第3実施例に係る液浸顕微鏡対物レンズと組み合わせて使用される結像レンズについて説明する。
図28は、第3実施例に係る液浸顕微鏡対物レンズと組み合わせて使用される結像レンズの構成を示す断面図である。第3実施例に係る液浸顕微鏡対物レンズの諸収差図は、この結像レンズと組み合わせて使用したときのものである。
図28に示す結像レンズIL(3)は、物体側から順に並んだ、両凸形状の正レンズL31および物体側に凹面を向けた負メニスカスレンズL32を接合してなる接合レンズCL31と、両凸形状の正レンズL33および両凹形状の負レンズL34を接合してなる接合レンズCL32とから構成される。この結像レンズIL(3)は、第3実施例に係る液浸顕微鏡対物レンズの像側に配置される。
【0133】
以下の表14に、結像レンズの諸元の値を掲げる。なお、[レンズデータ]の表において、面番号、R、D、nd、およびνdは、前述の表11~表13の説明で示したものと同じである。
【0134】
(表14)
[レンズデータ]
面番号 R D nd νd
1 68.7541 7.7321 1.48749 70.20
2 -37.5679 3.4742 1.80610 40.95
3 -102.8477 0.6973
4 84.3099 6.0238 1.83400 37.16
5 -50.7100 3.0298 1.64450 40.82
6 40.6619
【0135】
図29は、浸液IMのd線に対する屈折率nd(IM)が1.33の場合における、第3実施例に係る第1の液浸顕微鏡対物レンズOL(3a)の諸収差(球面収差、像面湾曲、および歪曲収差)を示す図である。
図30は、浸液IMのd線に対する屈折率nd(IM)が1.33の場合における、第3実施例に係る第1の液浸顕微鏡対物レンズOL(3a)のコマ収差(メリジオナルコマ収差、およびサジタルコマ収差)を示す図である。
【0136】
図31は、浸液IMのd線に対する屈折率nd(IM)が1.35の場合における、第3実施例に係る第2の液浸顕微鏡対物レンズOL(3b)の諸収差(球面収差、像面湾曲、および歪曲収差)を示す図である。
図32は、浸液IMのd線に対する屈折率nd(IM)が1.35の場合における、第3実施例に係る第2の液浸顕微鏡対物レンズOL(3b)のコマ収差(メリジオナルコマ収差、およびサジタルコマ収差)を示す図である。
【0137】
図33は、浸液IMのd線に対する屈折率nd(IM)が1.38の場合における、第3実施例に係る第3の液浸顕微鏡対物レンズOL(3c)の諸収差(球面収差、像面湾曲、および歪曲収差)を示す図である。
図34は、浸液IMのd線に対する屈折率nd(IM)が1.38の場合における、第3実施例に係る第3の液浸顕微鏡対物レンズOL(3c)のコマ収差(メリジオナルコマ収差およびサジタルコマ収差)を示す図である。
【0138】
各収差図より、第3実施例に係る液浸顕微鏡対物レンズは、第1の接合レンズCL11a、第2の接合レンズCL11b、および第3の接合レンズCL11cのうち一つを選択することにより、浸液の種類(屈折率)が異なっても諸収差が良好に補正され、優れた結像性能を有していることがわかる。また、第3実施例に係る液浸顕微鏡対物レンズのシリーズは、第1の液浸顕微鏡対物レンズOL(3a)、第2の液浸顕微鏡対物レンズOL(3b)、および第3の液浸顕微鏡対物レンズOL(3c)のうち一つを選択することにより、浸液の種類(屈折率)が異なっても諸収差が良好に補正され、優れた結像性能を有していることがわかる。
【0139】
次に、[条件式対応値]の表を下記に示す。この表には、各条件式(1)~(7)に対応する値を、全実施例(第1~第3実施例)について纏めて示す。
条件式(1) 0.85<nL1/np1<0.95
条件式(2) 0.85<nL2/np2<0.95
条件式(3) 1.33≦nL1≦1.51
条件式(4) 1.33≦nL2≦1.51
条件式(5) 0.80≦NA≦1.30
条件式(6) 0.85<nL3/np3<0.95
条件式(7) 1.33≦nL3≦1.51
【0140】
[条件式対応値]
条件式 第1実施例 第2実施例 第3実施例
(1) 0.91 0.91 0.88
(2) 0.91 0.91 0.88
(2)-2 0.93 0.93 ―
(3) 1.33 1.33 1.33
(4) 1.35 1.35 1.35
(4)-2 1.38 1.38 ―
(5) 1.0 0.95 0.8
(6) 0.92 0.95 0.88
(7) 1.44 1.44 1.38
【0141】
上記各実施例によれば、浸液の種類が異なっても高い光学性能を維持することが可能な液浸顕微鏡対物レンズを実現することができる。
【0142】
ここで、上記各実施例は本実施形態の一具体例を示しているものであり、本実施形態はこれらに限定されるものではない。
【符号の説明】
【0143】
G1 第1レンズ群 G2 第2レンズ群
CL11a 第1の接合レンズ CL11b 第2の接合レンズ
CL11c 第3の接合レンズ