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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-11
(45)【発行日】2023-12-19
(54)【発明の名称】定着装置および画像形成装置
(51)【国際特許分類】
   G03G 15/20 20060101AFI20231212BHJP
【FI】
G03G15/20 515
【請求項の数】 12
(21)【出願番号】P 2020069111
(22)【出願日】2020-04-07
(65)【公開番号】P2021165798
(43)【公開日】2021-10-14
【審査請求日】2023-02-13
(73)【特許権者】
【識別番号】000006747
【氏名又は名称】株式会社リコー
(74)【代理人】
【識別番号】100090527
【弁理士】
【氏名又は名称】舘野 千惠子
(72)【発明者】
【氏名】吉浦 有信
【審査官】藤井 達也
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-174849(JP,A)
【文献】特開2017-181877(JP,A)
【文献】特開2015-111243(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G03G 13/20
G03G 15/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
無端状の定着ベルトと、
前記定着ベルトの外周面に当接する加圧部材と、
前記定着ベルトの内側に前記加圧部材の長手方向に沿って配置され、前記定着ベルトを介して前記加圧部材と当接して記録媒体が挟持搬送されるニップ部を形成するニップ形成部材と、
前記ニップ形成部材を支持する支持部材と、を備え、
前記ニップ形成部材と前記支持部材とが、少なくとも前記記録媒体の搬送方向に離間して対向する複数の当接部で互いに当接し、
前記複数の当接部の前記記録媒体の搬送方向における離間量が、長手方向の中央部と端部側とで異なることを特徴とする定着装置。
【請求項2】
前記支持部材は、
前記加圧部材による荷重の方向と平行な面を有し、前記ニップ形成部材と当接する複数の支持部を有する第一の板状部材と、
前記加圧部材による荷重の方向と垂直な面を有し、前記支持部が嵌合する開口を有する第二の板状部材と、が接合されてなり、
前記複数の当接部は、前記複数の支持部と前記ニップ形成部材とが互いに当接する部位であり、
前記複数の支持部の前記記録媒体の搬送方向における離間量が、長手方向の中央部と端部側とで異なることを特徴とする請求項1に記載の定着装置。
【請求項3】
前記複数の支持部の前記記録媒体の搬送方向における離間量は、長手方向の中央部よりも、端部側の方が小さいことを特徴とする請求項2に記載の定着装置。
【請求項4】
前記複数の支持部の前記記録媒体の搬送方向における離間量は、長手方向の中央部よりも、端部側の方が大きいことを特徴とする請求項2に記載の定着装置。
【請求項5】
対向する前記複数の支持部は、
いずれも前記ニップ部の外側にあり、前記記録媒体の搬送方向における離間量が前記ニップ部の幅より大きい領域と、
いずれも前記ニップ部の内側にあり、前記記録媒体の搬送方向における離間量が前記ニップ部の幅より小さい領域と、を有することを特徴とする請求項2から4のいずれかに記載の定着装置。
【請求項6】
前記加圧部材は、長手方向の一方端部に駆動ギヤを備え、
前記複数の支持部の前記記録媒体の搬送方向における離間量は、前記加圧部材が前記駆動ギヤを備える側の端部より、前記加圧部材が前記駆動ギヤを備えていない側の端部側の方が大きいことを特徴とする請求項2から5のいずれかに記載に記載の定着装置。
【請求項7】
前記複数の支持部の前記記録媒体の搬送方向における離間量の変化が連続的であることを特徴とする請求項2から6のいずれかに記載の定着装置。
【請求項8】
前記複数の支持部の前記記録媒体の搬送方向における離間量の変化が不連続的であることを特徴とする請求項2から6のいずれかに記載の定着装置。
【請求項9】
前記ニップ形成部材は、前記支持部材と当接する複数の凸部を有し、
前記複数の当接部は、前記複数の凸部と前記支持部材とが互いに当接する部位であり、
前記複数の凸部の前記記録媒体の搬送方向における離間量が、長手方向の中央部と端部側とで異なることを特徴とする請求項1に記載の定着装置。
【請求項10】
前記複数の当接部は、長手方向においても互いに離間する不連続な形状を有し、長手方向における離間量が、中央部と端部側とで異なることを特徴とする請求項1から9のいずれかに記載の定着装置。
【請求項11】
前記複数の当接部は、前記ニップ形成部材と前記支持部材との当接面が長手方向の中央部が端部側よりも前記加圧部材側に凸となることを特徴とする請求項1から10のいずれかに記載の定着装置。
【請求項12】
請求項1から11のいずれかに記載の定着装置を備えたことを特徴とする画像形成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、定着装置および画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、複写機、プリンタ、ファクシミリ等の画像形成装置では、電子写真記録・静電記録・磁気記録等の画像形成プロセスにより画像が形成され、画像転写方式または直接方式により未定着トナー画像が記録媒体(記録材シート、印刷紙、感光紙、静電記録紙等。以下、単に「用紙」ともいう)に形成される。未定着トナー画像を定着させるための定着装置としては、熱ローラ方式、フィルム加熱方式、電磁誘導加熱方式等の接触加熱方式の定着装置が広く採用されている。
このような定着装置の一例として、ベルト方式の定着装置(例えば、特許文献1参照)やセラミックヒータを用いたサーフ定着(フィルム定着)の定着装置(例えば、特許文献2参照)が知られている。
【0003】
ベルト方式の定着装置では、近年、さらなるウォームアップ時間(電源投入時など、常温状態から印刷可能な所定の温度(リロード温度)までに要する時間)や、ファーストプリント時間(印刷要求を受けた後、印刷準備を経て印字動作を行い排紙が完了するまでの時間)の短縮化が望まれている。
また、画像形成装置の高速化に伴い、単位時間あたりの通紙枚数が増え、必要熱量が増大しているため、特に連続印刷のはじめに熱量が不足する(所謂、温度落ち込み)が問題となっている。
【0004】
前者の問題を解決する方法として、セラミックヒータを用いたサーフ定着が提案されており、この方式により、ベルト方式の定着装置に比べ、低熱容量化、小型化が可能となったが、ニップ部のみを局所加熱しているため、その他の部分では加熱されておらず、ニップの用紙などの入口においてベルトは最も冷えた状態にあり、定着不良が発生しやすくなるという問題がある。特に、高速機においては(ベルトの回転が速く、ニップ部以外でのベルトの放熱が多くなるため)、より定着不良が発生しやすくなるという問題がある。
【0005】
上述の課題を解決するために、無端ベルトを用いる構成において、そのベルト全体を温めることを可能にし、加熱待機時からのファーストプリントタイムを短縮することができ、かつ高速回転時の熱量不足を解消して、高生産の画像形成装置に搭載されても、良好な定着性を得ることができるようにした定着装置が提案されている(例えば、特許文献3参照)。
図1は特許文献3の定着装置の概略図である。
無端ベルト1の内部にパイプ状の金属熱伝導体2を、無端ベルト1の移動をガイドすることが可能に固定し、金属熱伝導体2内の熱源3により金属熱伝導体25を介して無端ベルト1を加熱する。さらに無端ベルト1を介して金属熱伝導体2に接してニップ部Nを形成する加圧ローラ4を備え、該加圧ローラ4の回転に連れ回りするようにして無端ベルト1を周方向に移動させる。この構成により、定着装置を構成する無端ベルト全体を温めることを可能にし、加熱待機時からのファーストプリントタイムを短縮することができ、かつ高速回転時の熱量不足を解消することが可能となっている。
【0006】
また、更なる省エネ性およびファーストプリントタイム向上のため、無端ベルトを金属熱伝導体を介して間接的に加熱する構成から、無端ベルトを(金属熱伝導体を介さずに)直接加熱する構成が考案されている。この構成では伝熱効率が大幅に向上させることにより消費電力を低減すると共に、加熱待機時からのファーストプリントタイムを更に短縮することが実現できる。また、金属熱伝導体レスによるコストダウンが可能となる。
【0007】
無端ベルトを直接加熱する構成では、無端ベルト内でニップ形成部材が内周面に接するように配置され、加圧部材(加圧ローラ)が無端ベルトをニップ形成部材に押し付け、無端ベルトとの間にニップ部を形成する。無端ベルトの内面が加圧部材からの加圧力によってニップ形成部材に対して圧接されながら摺動する。
ニップ形成部材を支える支持部材は、無端ベルト内の長手方向全長にわたって設けられるが、定着装置の小型化や余分な熱容量の削除のためニップ支持部材はなるべく体積が少ないことが望ましい。これに対し、従来、離間した2枚の板状部材が両持ち梁として機能する態様の支持部材が知られている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
ニップ形成部材の支持部材は、加圧ローラから受ける荷重を支えてニップ幅を形成す必要があるため、離間した部材が両持ち梁として支持する態様では、支持されていない部位においてニップ形成部材が変形するという課題があった。
ニップ形成部材の変形は、定着ベルトの摺動負荷(トルク)の増大や破断、線速変動(スリップ)による搬送不良を招くおそれがあり、また装置寿命を低下させる要因ともなる。
【0009】
そこで本発明は、ニップ形成部材の変形を抑制し、定着ベルトの摺動負荷の増大や破断、線速変動による搬送不良の発生を防止できる定着装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題を解決するために、本発明の定着装置は、無端状の定着ベルトと、前記定着ベルトの外周面に当接する加圧部材と、前記定着ベルトの内側に前記加圧部材の長手方向に沿って配置され、前記定着ベルトを介して前記加圧部材と当接して記録媒体が挟持搬送されるニップ部を形成するニップ形成部材と、前記ニップ形成部材を支持する支持部材と、を備え、前記ニップ形成部材と前記支持部材とが、少なくとも前記記録媒体の搬送方向に離間して対向する複数の当接部で互いに当接し、前記複数の当接部の前記記録媒体の搬送方向における離間量が、長手方向の中央部と端部側とで異なることを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、ニップ形成部材の変形を抑制し、定着ベルトの摺動負荷の増大や破断、線速変動による搬送不良の発生を防止できる定着装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】従来の定着装置の構成の一例を示す説明図である。
図2】本発明が適用される定着装置の一例を示す概略構成図である。
図3】本発明が適用される定着装置の一例を示す概略構成図である。
図4】本発明が適用される定着装置の一例を示す概略構成図である。
図5】遮光部材の動作の一実施形態を示す説明図である。
図6】遮光部材の一例を示す説明図である。
図7】ニップ形成部材の一例を説明する分解斜視図である。
図8】本発明が適用される定着装置の概略構成を示す説明図である。
図9】支持部材の一例を示す斜視図である。
図10】従来の定着装置の支持部材の一例を示す模式図である。
図11】本実施形態に係る定着装置の支持部材の例を示す模式図である。
図12】本実施形態に係る定着装置の支持部材の例を示す模式図である。
図13】本実施形態に係る定着装置の支持部材の例を示す模式図である。
図14】本実施形態に係る定着装置のニップ形成部材の例を示す模式図である。
図15】本発明に係る画像形成装置の構成の一例を示す概略構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明に係る定着装置および画像形成装置について図面を参照しながら説明する。なお、本発明は以下に示す実施形態に限定されるものではなく、他の実施形態、追加、修正、削除など、当業者が想到することができる範囲内で変更することができ、いずれの態様においても本発明の作用・効果を奏する限り、本発明の範囲に含まれるものである。
【0014】
〔定着装置〕
本発明を適用可能な定着装置の例を図2図8に基づき説明する。
図2図4は、本発明が適用される定着装置の一例を示す概略構成図である。
図2に示す定着装置は、無端ベルト状に形成された回転可能な定着ベルト1と、定着ベルト1の外周面に当接し、未定着トナー像が転写された記録媒体が挟持搬送されるニップ部Nを形成する加圧部材(以下、「加圧ローラ」ともいう)3と、定着ベルト1の内側に配置され、該定着ベルト1を加熱する熱源2とを備え、定着ベルト1が内周側から輻射熱で直接加熱される構成である。
【0015】
また加圧部材3の長手方向に沿って定着ベルト1の内側に配置され、該定着ベルト1を介して加圧部材3と当接してニップ部Nを形成するニップ形成部材6と、潤滑剤を含有し、ニップ形成部材6と定着ベルト1との間に配設される摺動部材(以下、「摺動シート」ともいう)13とを備える。
さらに、ニップ形成部材6を支持する支持部材7と、熱源2の輻射熱を反射する反射部材9と、定着ベルト1を保持するベルト保持部材8と、遮光部材11とを備える。
【0016】
図2の例ではニップ部Nの形状が平坦状であるが、凹形状やその他の形状であっても良い。ニップ部Nの形状を凹形状とすることにより、記録媒体(用紙)先端の排出方向が加圧ローラ寄りになるため、分離性が向上し、ジャムの発生が抑制される。
【0017】
定着ベルト1はニッケルやSUSなどの金属ベルトやポリイミドなどの樹脂材料を用いた無端ベルト(もしくはフィルム)とする。ベルトの表層はPFAまたはPTFE層などの離型層を有し、トナーが付着しないように離型性を持たせている。ベルトの基材とPFAまたはPTFE層の間にはシリコーンゴムの層などで形成する弾性層があっても良い。シリコーンゴム層がない場合は熱容量が小さくなり、定着性が向上するが、未定着画像を押し潰して定着させるときにベルト表面の微小な凹凸が画像に転写されて画像のベタ部にユズ肌状の光沢ムラ(ユズ肌画像)が残るという不具合が生じる。これを改善するにはシリコーンゴム層を100μm以上設ける必要がある。シリコーンゴム層の変形により、微小な凹凸が吸収されユズ肌画像が改善する。
【0018】
定着ベルト1の内部にはニップ部を支持するための支持部材(ステー)7を設け、加圧ローラにより圧力を受けるニップ形成部材6の撓みを防止し、軸方向で均一なニップ幅を得られるようにしている。この支持部材7は両端部でベルト保持部材(フランジ)8に保持固定され位置決めされている。また、熱源2と支持部材7の間に反射部材9を備え、熱源2からの輻射熱などにより支持部材7が加熱されてしまうことによる無駄なエネルギー消費を抑制している。ここで反射部材9を備える代わりに支持部材7表面に断熱もしくは鏡面処理を行っても同様の効果を得ることか可能となる。
【0019】
熱源2としては、図示した例のようにハロゲンヒータでも良いが、IHであっても良いし、抵抗発熱体、カーボンヒータ等であっても良い。また、後述の他の例で示すように、熱源2を構成するハロゲンヒータの数は限定されない。
【0020】
加圧ローラ3は芯金5及び弾性層4を備え、離型性を得るために表面に離型層(PFAまたはPTFE層)が設けてある。
加圧ローラ3は例えば、長手方向一方端部に駆動ギヤを備え、画像形成装置に設けられたモータなどの駆動源からギヤを介して駆動力が伝達され回転する。
【0021】
また、加圧ローラ3はスプリングなどにより定着ベルト1側に押し付けられており、弾性層4が押し潰されて変形することにより、所定のニップ幅を有している。
加圧ローラ3は中空のローラであっても良く、加圧ローラ3にハロゲンヒータなどの加熱源を有していても良い。弾性層4の材料としてはソリッドゴムでも良いが、加圧ローラ3内部にヒータが無い場合は、スポンジゴムを用いても良い。スポンジゴムの方が、断熱性が高まり定着ベルト1の熱が奪われにくくなるので、より望ましい。
【0022】
定着ベルト1は加圧ローラ3により連れ回り回転する。
図2に示す例では、加圧ローラ3が図示しない駆動源により回転し、ニップ部Nでベルトに駆動力が伝達されることにより定着ベルト1が回転する。定着ベルト1はニップ部Nで挟み込まれて回転し、ニップ部以外では両端部でベルト保持部材8(フランジ)にガイドされ、走行する。
このような構成により安価で、ウォームアップが速い定着装置を実現することが可能となる。
【0023】
図3及び図4は、本発明を適用可能な定着装置の他の例を示す構成図である。
図2に示した例では、熱源2がハロゲンヒータ1本で構成されているのに対し、図3に示す例では熱源2が記録媒体(用紙)幅対応のため、ハロゲンヒータ3本で構成されている点が異なる。用紙幅に対応したヒータを設けることで過度の熱量供給を抑制でき、省エネ性の向上に繋がる。
図4に示す例では、熱源2がハロゲンヒータ2本で構成されている。また、図4には遮光部材11が図示されている。
【0024】
遮光部材11について図5及び図6に基づき説明する。
遮光部材11は、図6に示すように、記録媒体の幅(紙幅)に合わせた遮光面積が設けられた段付き形状となっている。図6に示す例では、W1はハガキに対応し、W2はB4サイズの記録媒体、W3はA3サイズの記録媒体に対応している。
また図5に示すように、定着ベルト1の内側に沿って非接触で回動するように配置され、各紙幅に対応した位置に回動して加熱に不必要な領域を遮光する。これにより紙幅の狭い転写紙を連続通紙した場合でも、非通紙領域が過昇温状態になることがなく、過昇温領域をキャンセルするために生産性を落とす等の制御を行う必要がない。
【0025】
図7はニップ形成部材6を説明する分解斜視図である。
図7に示す構成は、非通紙領域の過昇温低減を目的としたものであり、熱源2としてのハロゲンヒータの本数を低減しつつ、遮光部材11の代用機能をも有している。これにより、遮光部材11およびそれを駆動させる駆動部材一式を削除でき、大幅なコスト低減が可能となる。
なお、図中の矢印85はヒータの発光長を示し、矢印Dは通紙方向(用紙搬送方向)を示している。
【0026】
図7に示すように、ニップ形成部材6は、第1の熱移動手段としての均熱部材66と、均熱部材66に備わる摺動シート13を有している。定着ベルト1が回転する際は低摩擦特性の材料からなる摺動シート13により摩擦負荷が軽減され、駆動トルクが低減される。
均熱部材66は熱伝導率の高い材料、例えば銅から成り、定着ベルト1の長手方向に亘って形成され、定着ベルト1の非通紙部に過剰に蓄積する熱を吸熱し、長手方向へ移動させる。
【0027】
均熱部材66は曲げ部66bと66cを有しており、定着ニップの上流側の曲げ部66bの先端は鋭利な形状を有している。定着ベルト1が回転すると摺動シート13は摺動方向に引っ張られるが、曲げ部66bの先端が摺動シート13に引っ掛り、強固に保持される。定着ベルト1が逆回転する場合は曲げ部66cの先端に鋭利な形状を設けると有効である。
【0028】
第1の断熱部材83a(幅方向両端部)および83b(幅方向中央部)は均熱部材66より熱伝導率の低い、例えば樹脂からなり、第1の吸熱部材81が定着ベルト1から過剰に吸熱することを防止している。その結果、通紙部の温度落ち込みを防止し、定着不良、ウォームアップ時間、消費電力の悪化を抑制している。
第2の断熱部材83cも同様、例えば樹脂からなり、均熱部材66から第2の吸熱部材82を介して第1の吸熱部材81に移動する熱量を調整する役割を担う。第2の断熱部材83cの厚みや長さは発生する非通紙部温度上昇の大きさに応じて最適化される。
第1の吸熱部材81および第2の吸熱部材82は熱伝導率の高い材料からなり、第2の吸熱部材82は非通紙温度上昇の発生位置に配置され、第2の断熱部材83c同様、その大きさに応じて厚みや長さが最適化される。
【0029】
図8は、本発明を適用可能な定着装置の他の例を示す構成図である。
図8に示す定着装置も非通紙領域の過昇温低減を目的として構成され、断熱機能を有する摺動シートを配設しないことにより均熱性能の向上がはかられている。
また、図7に示した第1の吸熱部材81、第2の吸熱部材82、及び断熱部材83を配設しないことにより、大幅なコスト低減が可能となる。
【0030】
図8に示す例では、ニップ形成部材6は均熱部材66のみで構成され、支持部材7で支持される。
ニップ形成部材6としての均熱部材66は、温度分布の均一化の観点から熱伝導率の高い材料が好ましく、例えば、銅やアルミ等が挙げられる。ウォームアップ時間や部品コストのバランスからアルミが好ましい。
熱源2と記録媒体(用紙)Pの長手方向の位置関係から、連続通紙を行った場合は非通紙部の温度が上昇し、各部材の耐熱温度を超え、異常画像や搬送不良、破損などを招くことがある。これに対し、ニップ形成部材6の長手方向の均熱性能を向上させることにより、過昇温を抑制することができる。なお、図中Dは記録媒体Pの搬送方向(通紙方向)を示している。
【0031】
また、均熱部材66の定着ベルト1との摺動面には摺動層のコーティングを有し、さらに摺動負荷(トルク)の低減を図るためにグリス等の潤滑剤が塗布されている。
【0032】
図8の構成によれば、定着ベルト1と均熱部材66の間に断熱機能を有する摺動シートが介在しないため、長手方向の均熱性能が高く、非通紙領域の過昇温低減に有効である。また、均熱部材66の厚みの最適化を行うのみでよく、吸熱部材及び断熱部材の材料や形状の最適化が不要となる。
【0033】
本発明が適用される定着装置は、無端状の定着ベルト1と、定着ベルト1の外周面に当接する加圧部材(加圧ローラ)3と、定着ベルト1の内側に加圧部材3の長手方向に沿って配置され、定着ベルト1を介して加圧部材3と当接して記録媒体Pが挟持搬送されるニップ部Nを形成するニップ形成部材6と、ニップ形成部材6を支持する支持部材7と、を備え、ニップ形成部材6と支持部材7とが、少なくとも記録媒体Pの搬送方向Dに離間して対向する複数の当接部12で互いに当接している。
【0034】
支持部材7は、加圧部材3による荷重の方向と平行な面を有し、ニップ形成部材6と当接する複数の支持部7a、7bを有する第一の板状部材7dと、加圧部材3による荷重の方向と垂直な面を有し、支持部7a、7bが嵌合する開口を有する第二の板状部材7cと、が接合されてなる。
複数の当接部12は、複数の支持部7a、7bとニップ形成部材6とが互いに当接する部位である。
【0035】
支持部材7は、ニップ部Nの荷重の向きと垂直でニップ荷重を受ける面を有した2枚の板材からなる第一の板状部材7dと、ニップ部Nの荷重の向きと垂直な面を有した1枚の板材からなる第二の板状部材7cとで構成される。
第一の板状部材7dのニップ部側の端部は支持部7a、7bを構成し、支持部7a、7bは記録媒体Pの搬送方向Dに離間して対向している。支持部7a、7bにより定着ベルト1が回転した際のニップ形成部材6の倒れが抑制される。
なお、第一の板状部材7dは、ニップ部側の端部が離間した支持部7a、7bを有する限り、図8に示すように2枚の板状部材からなる態様であってもよく、1枚の板状部材が屈曲した態様(例えば、コの字状)であってもよい。
【0036】
支持部7a、7bの離間量Sがニップ部の幅NWよりも大きくなるように配置することで、ニップ形成部材6の姿勢を安定させることができる。
一方、ニップ部Nの荷重によりニップ形成部材6が図中点線で示すような変形を生じることがある。ニップ形成部材6の変形は、定着ベルト1の摺動負荷(トルク)の増大や定着ベルト1の破断、線速変動(スリップ)による搬送不良を招くという問題がある。
加圧部材3は、一般に、記録媒体のシワの発生を防止するために長手方向にツヅミ形状となっているため、ニップ荷重は長手方向で中央よりも端部の方が大きくなる。
また、支持部材7の長手方向両端は側板に支持されており、支持部材7の長手の中央部の撓みは両端部よりも大きく、ニップ荷重を受けやすくなっている。
一方、ニップ形成部材6のニップ荷重による変形は、長手方向の中央部より端部の方が顕著となる。アルミからなるニップ形成部材6の強度は弱いため、材料変更や強度向上のために部品を追加することが考えられるが、これらはウォームアップ時間や部品コストのバランスを崩すトレードオフの関係にある。
【0037】
本実施形態の定着装置は、ニップ形成部材6と支持部材7とが、少なくとも記録媒体Pの搬送方向Dに離間して対向する複数の当接部12で互いに当接し、複数の当接部12の記録媒体Pの搬送方向Dにおける離間量Sが、長手方向の中央部と端部側とで異なる。これにより、ニップ形成部材6の姿勢の安定化や変形防止をはかることができる。
複数の当接部12は、複数の支持部7a、7bとニップ形成部材6とが互いに当接する部位であり、すなわち、複数の支持部7a、7bの記録媒体Pの搬送方向Dにおける離間量Sが、長手方向の中央部と端部側とで異なっている。
【0038】
図10は、従来の定着装置における支持部材7の長手方向の平面図である。
従来の定着装置では、支持部7a、7bは記録媒体Pの搬送方向Dに離間して対向しているが、両端部E1、E2における離間量S1、S2と、中央部Cにおける離間量S3は同一である。
以下、本発明に係る定着装置の支持部7a、7bの配置の例について説明する。
【0039】
(第一の実施形態)
図9及び図11は第一の実施形態における支持部材7の例を示す図であり、図9は斜視図、図11は長手方向の平面図である。
本実施形態の複数の支持部7a、7bの記録媒体Pの搬送方向Dにおける離間量Sは、長手方向の中央部Cの離間量S3よりも、端部側(図11では端部E1、E2)の離間量S1、S2の方が小さい。
【0040】
ニップ形成部材6が変形しやすい長手方向端部側の離間量を小さくし、長手方向の中央に向かうほど離間量を大きくしている。
これにより、ニップ形成部材6の姿勢を安定化させるとともに変形を防止し、定着ベルト1の摺動負荷(トルク)の増大や定着ベルト1の破断、線速変動(スリップ)による搬送不良を防止することができる。
【0041】
支持部7a、7bの配置は、離間量がS1<S3及びS2<S3の関係を満たす限り限定されず、図11(A)に示すように、離間量Sの変化が連続的となる配置であってもよく、図11(B)及び図11(C)に示すように、離間量Sの変化が不連続的となる配置であってもよい。
なお、図11(C)において中央部Cの離間量S3とは、加圧部材の長手方向の中央に最も近い位置に配置された支持部7a、7bの離間量をいうものとする。
また、図11(C)において端部側の離間量S1、S2とは、加圧部材の両端部に最も近い位置に配置された支持部7a、7bの離間量をいうものとする。
図11(A)のように離間量Sの変化が連続的であると、ニップ形成部材6に対する姿勢維持や変形防止の効果のばらつきを抑制することができる。一方で、離間量Sが連続的に変化する形状となるように支持部7a、7bを加工することは加工の難度が上がり、コストアップを招くことがある。そこで、図11(B)及び図11(C)のように離間量Sが不連続となる形状であってもよい。
【0042】
対向する複数の支持部7a、7bは、いずれもニップ部Nの外側にあり、記録媒体Pの搬送方向Dにおける離間量Sがニップ部の幅NWより大きい領域と、いずれもニップ部Nの内側にあり、記録媒体Pの搬送方向Dにおける離間量Sがニップ部の幅NWより小さい領域と、を有することが好ましい。
本実施形態においては、中央部Cにおける支持部7a、7bが、いずれもニップ部Nの外側にありS3がニップ部の幅NWより大きく、端部E1及びE2における支持部7a、7bが、いずれもニップ部Nの内側にありS1及びS2がニップ部の幅NWより小さいことが好ましい。
支持部7a、7bをこのような配置とすることで、より確実にニップ形成部材6の姿勢を維持し、変形を防止することができる。
なお、具体的な離間量Sについては、使用頻度の高い記録媒体のサイズ、及びニップ形成部材6の変形や必要な安定化の程度等に応じて適宜最適化することが好ましい。
【0043】
複数の当接部を有する支持部7a、7bは、長手方向においても互いに離間する不連続な形状を有する態様(例えば、図11(C)の態様)において、長手方向における離間量は、一定であってもよく、中央部と端部側とで異なっていてもよい。
また、複数の当接部は、ニップ形成部材6と支持部材7との当接面が長手方向の中央部が端部側よりも加圧部材3側に凸となるように構成することができ、例えば、支持部7a、7bの高さを長手方向の中央部が端部側よりも高くなるようにすることができる。これにより、撓みの影響による加圧力偏差を小さくすることができる。
【0044】
(第二の実施形態)
図12は第二の実施形態における支持部材7の例を示す長手方向の平面図である。
本実施形態の複数の支持部7a、7bの記録媒体Pの搬送方向Dにおける離間量Sは、長手方向の中央部Cの離間量S3よりも、端部側(図12では端部E1、E2)の離間量S1、S2の方が大きい。
【0045】
長手方向端部E1、E2の離間量S1、S2を小さくすると、ニップ形成部材6の姿勢が不安定になることがある。そこで、長手方向端部側の離間量を大きくし、長手方向の中央に向かうほど離間量を小さくしている。
また、両端部の支持部7a、7bの離間量S1、S2が大きいことにより、当接するニップ形成部材6の端部が加圧に応じて変形しやすくなる一方、中央部の支持部7a、7bの離間量S3が小さいことにより、当接するニップ形成部材6の中央部は加圧に応じた変形が少なくなることで、撓みの影響による加圧力偏差を小さくすることができ、長手方向の均一な加圧力が得られる。
これにより、ニップ形成部材6の姿勢を安定化させるとともに変形を防止し、定着ベルト1の摺動負荷(トルク)の増大や定着ベルト1の破断、線速変動(スリップ)による搬送不良を防止することができる。
【0046】
支持部7a、7bの配置は、離間量がS1>S3及びS2>S3の関係を満たす限り限定されず、図12(A)に示すように、離間量Sの変化が連続的となる配置であってもよく、図12(B)及び図12(C)に示すように、離間量Sの変化が不連続的となる配置であってもよい。
なお、図12(C)において中央部Cの離間量S3とは、加圧部材の長手方向の中央に最も近い位置に配置された支持部7a、7bの離間量をいうものとする。
また、図12(C)において端部側の離間量S1、S2とは、加圧部材の両端部に最も近い位置に配置された支持部7a、7bの離間量をいうものとする。
図12(A)のように離間量Sの変化が連続的であると、ニップ形成部材6に対する姿勢維持や変形防止の効果のばらつきを抑制することができる。一方で、離間量Sが連続的に変化する形状となるように支持部7a、7bを加工することは加工の難度が上がり、コストアップを招くことがある。そこで、図12(B)及び図12(C)のように離間量Sが不連続となる形状であってもよい。
【0047】
対向する複数の支持部7a、7bは、いずれもニップ部Nの外側にあり記録媒体Pの搬送方向Dにおける離間量Sがニップ部の幅NWより大きい領域と、いずれもニップ部Nの内側にあり記録媒体Pの搬送方向Dにおける離間量Sがニップ部の幅NWより小さい領域と、を有することが好ましい。
本実施形態においては、中央部Cにおける支持部7a、7bが、いずれもニップ部Nの内側にあり、S3がニップ部の幅NWより小さく、端部E1及びE2における支持部7a、7bが、いずれもニップ部Nの外側にあり、S1及びS2がニップ部の幅NWより大きいことが好ましい。
支持部7a、7bをこのような配置とすることで、より確実にニップ形成部材6の姿勢を維持し、変形を防止することができる。
なお、具体的な離間量Sについては、使用頻度の高い記録媒体のサイズ、及びニップ形成部材6の変形や必要な安定化の程度等に応じて適宜最適化することが好ましい。
【0048】
さらに、支持部7a、7bのニップ形成部材6と当接する面を、長手方向の中央部に向かって高くなるように(凸となるように)形成することができる。支持部7a、7bの配置と当接面の傾斜を組み合わせることにより、撓みの影響による加圧力偏差を小さくしつつ、ニップ形成部材6の姿勢を維持し、変形を防止する効果を高めることができる。
複数の当接部を有する支持部7a、7bは、長手方向においても互いに離間する不連続な形状を有する態様(例えば、図12(C)の態様)において、長手方向における離間量は、一定であってもよく、中央部と端部側とで異なっていてもよい。
【0049】
(第三の実施形態)
図13は第三の実施形態における支持部材7の例を示す長手方向の平面図である。
本実施形態は、加圧部材3の片側駆動方式が採用され、長手方向の一方端部側に駆動ギヤを備える態様において、複数の支持部7a、7bの記録媒体Pの搬送方向Dにおける離間量Sは、加圧部材3が駆動ギヤを備える端部側より、加圧部材3が駆動ギヤを備えていない端部側の方が大きい。図13では、駆動ギヤを備える端部側をE1、駆動ギヤを備えていない端部側をE2として示しているが、これに限定されない。
【0050】
加圧部材3が片側駆動方式により駆動する場合、駆動ギヤを備えた側は、駆動時の引き込み力によってニップ荷重が大きくなる。加圧部材3の回転が停止している静止時のニップ荷重と、駆動時のニップ荷重の変動を考慮して、駆動ギヤを備える端部側E1の離間量S1よりも、駆動ギヤを備えていない端部側E2の離間量S2を大きくすることにより最適化をはかっている。
これにより、ニップ部材6の姿勢を安定化させるとともに変形を防止し、定着ベルト1の摺動負荷(トルク)の増大や定着ベルト1の破断、線速変動(スリップ)による搬送不良を防止することができる。
【0051】
支持部7a、7bの配置は、離間量がS1<S2の関係を満たす限り限定されず、図13(A)に示すように、離間量Sの変化が連続的となる配置であってもよく、図13(B)及び図13(C)に示すように、離間量Sの変化が不連続的となる配置であってもよい。
なお、図13(C)において中央部Cの離間量S3とは、加圧部材の長手方向の中央に最も近い位置に配置された支持部7a、7bの離間量をいうものとする。
また、図13(C)において端部側の離間量S1、S2とは、加圧部材の両端部に最も近い位置に配置された支持部7a、7bの離間量をいうものとする。
図13(A)のように離間量Sの変化が連続的であると、ニップ形成部材6に対する姿勢維持や変形防止の効果のばらつきを抑制することができる。一方で、離間量Sが連続的に変化する形状となるように支持部7a、7bを加工することは加工の難度が上がり、コストアップを招くことがある。そこで、図13(B)及び図13(C)のように離間量Sが不連続となる形状であってもよい。
【0052】
複数の当接部を有する支持部7a、7bは、長手方向においても互いに離間する不連続な形状を有する態様(例えば、図13(C)の態様)において、長手方向における離間量は、一定であってもよく、中央部と端部側とで異なっていてもよい。
また、複数の当接部は、ニップ形成部材6と支持部材7との当接面が長手方向の中央部が端部側よりも加圧部材3側に凸となるように構成することができ、例えば、支持部7a、7bの高さを長手方向の中央部が端部側よりも高くなるようにすることができる。これにより、撓みの影響による加圧力偏差を小さくすることができる。
【0053】
(第四の実施形態)
上述の実施形態では、当接部12の離間量が支持部材7の支持部7a、7bの離間量により規定されているが、当接部12の離間量はニップ形成部材6側の凸部6aの離間量により規定される態様であってもよい。
図14は第四の実施形態におけるニップ形成部材6の例を示す長手方向の平面図である。
本実施形態において、ニップ形成部材6は、支持部材7と当接する複数の凸部6aを有し、複数の当接部12は、複数の凸部6aと支持部材7とが互いに当接する部位である。
本実施形態のニップ形成部材6の複数の凸部6aの記録媒体Pの搬送方向Dにおける離間量Sは、長手方向の中央部と端部側とで異なる。
【0054】
ニップ形成部材6が樹脂からなる場合、凸部6aの加工や形成が容易であり、離間量の設定の自由度が向上する。
本実施形態では、ニップ形成部材6と対向する支持部材7の面形状は、例えば、図2及び図3に示す定着装置のように平面であってもよい。
【0055】
また、凸部6aの長手方向における離間量は、一定であってもよく、中央部と端部側とで異なっていてもよい。
さらに、複数の当接部は、ニップ形成部材6と支持部材7との当接面が長手方向の中央部が端部側よりも加圧部材3側に凸となるように構成することができ、例えば、凸部6aの高さを長手方向の中央部が端部側よりも高くなるようにすることができる。これにより、支持部材7が平面であっても、撓みの影響による加圧力偏差を小さくすることができる。
【0056】
本実施形態によれば、上述の第一から第三の実施形態と同様、ニップ部材6の姿勢を安定化させるとともに変形を防止し、定着ベルト1の摺動負荷(トルク)の増大や定着ベルト1の破断、線速変動(スリップ)による搬送不良を防止することができる。
【0057】
〔画像形成装置〕
本発明に係る定着装置を備えた画像形成装置としての電子写真方式のプリンタの概略構成図を図15に示す。
図15に示した画像形成装置は、複数の色画像を形成する作像部がベルトの展張方向に沿って並置されたタンデム方式を用いるカラープリンタあるが、本発明はこの方式に限ることはなく、またプリンタだけではなく複写機やファクシミリ装置などを対象とすることも可能である。
【0058】
図15において画像形成装置100は、イエロー、シアン、マゼンタ、ブラックの各色に色分解された色にそれぞれ対応する像としての画像を形成可能な像担持体としての感光体ドラム41Y、41C、41M、41Bkを並設したタンデム構造が採用されている。
図8に示す構成の画像形成装置100は、各感光体ドラム41Y、41C、41M、41Bkに形成された可視像が、各感光体ドラム41Y、41C、41M、41Bkに対峙しながら矢印A1方向に移動可能な無端ベルトが用いられる中間転写体(以下、転写ベルトという)21に対して1次転写行程を実行してそれぞれの画像が重畳転写され、その後、記録シートなどが用いられる記録紙Sに対して2次転写行程を実行することで一括転写されるようになっている。
【0059】
各感光体ドラムの周囲には、感光体ドラムの回転に従い画像形成処理するための装置が配置されており、いま、ブラック画像形成を行う感光体ドラム41Bkを対象として説明すると、感光体ドラム41Bkの回転方向に沿って画像形成処理を行う帯電装置42Bk、現像装置40Bk、1次転写ローラ32Bkおよびクリーニング装置50Bkが配置されている。帯電後に行われる書き込みは、光書込装置68が用いられる。
【0060】
転写ベルト21に対する重畳転写は、転写ベルト21がA1方向に移動する過程において、各感光体ドラム41Y、41C、41M、41Bkに形成された可視像が、転写ベルト21の同じ位置に重ねて転写されるよう、転写ベルト21を挟んで各感光体ドラム41Y、41C、41M、41Bkに対向して配設された1次転写ローラ32Y、32C、32M、32Bkによる電圧印加によって、A1方向上流側から下流側に向けてタイミングをずらして行われる。
【0061】
各感光体ドラム感光体ドラム41Y、41C、41M、41Bkは、A1方向の上流側からこの順で並んでいる。各感光体ドラム感光体ドラム41Y、41C、41M、41Bkは、イエロー、シアン、マゼンタ、ブラックの画像をそれぞれ形成するための画像ステーションに備えられている。
【0062】
画像形成装置100は、色毎の画像形成処理を行う4つの画像ステーションと、各感光体ドラム41Y、41C、41M、41Bkの上方に対向して配設され、転写ベルト21及び1次転写ローラ32Y、32C、32M、32Bkを備えた転写ベルトユニット20と、転写ベルト21に対向して配設され転写ベルト21に従動し、連れ回りする転写部材としての転写ローラである2次転写ローラ65と、転写ベルト21に対向して配設され転写ベルト21上をクリーニングするクリーニング装置23と、これら4つの画像ステーションの下方に対向して配設された光書き込み装置としての光書込装置68とを有している。
【0063】
光書込装置68は、光源としての半導体レーザ、カップリングレンズ、fθレンズ、トロイダルレンズ、折り返しミラーおよび偏向手段としての回転多面鏡などを装備しており、各感光体ドラム41Y、41C、41M、41Bkに対して色毎に対応した書き込み光Lb(便宜上、ブラック画像の画像ステーションのみを対象として符号が付けてあるが、その他の画像ステーションも同様である)を出射して感光体ドラム41Y、41C、41M、41Bkに静電潜像を形成する構成とされている。
【0064】
画像形成装置100には、感光体ドラム41Y、41C、41M、41Bkと転写ベルト21との間に向けて搬送される用紙Pを積載した給紙カセットとしてのシート給送装置61と、シート給送装置61から搬送されてきた記録紙Sを、画像ステーションによるトナー像の形成タイミングに合わせた所定のタイミングで、各感光体ドラム41Y、41C、41M、41Bkと転写ベルト21との間の転写部に向けて繰り出すレジストローラ対64と、記録紙Sの先端がレジストローラ対64に到達したことを検知する図示しないセンサとが設けられている。
【0065】
画像形成装置100には、トナー像が転写された用紙Pにトナー像を定着させるための定着装置10と、定着済みの用紙Pを画像形成装置100の本体外部に排出する排紙ローラ67と、画像形成装置100の本体上部に配設されて排出ローラ67により画像形成装置100の本体外部に排出された用紙Pを積載する排紙トレイ69と、排紙トレイ69の下側に位置し、イエロー、シアン、マゼンタ、ブラックの各色のトナーを充填されたトナーボトル90Y、90C、90M、90Bkとが備えられている。
定着装置10は、上述の本発明に係る定着装置である。
【0066】
転写ベルトユニット20は、転写ベルト21、1次転写ローラ32Y、32C、32M、32Bkの他に、転写ベルト21が掛け回されている駆動ローラ72及び従動ローラ73を有している。
従動ローラ73は、転写ベルト21に対する張力付勢手段としての機能も備えており、このため、従動ローラ73には、バネなどを用いた付勢手段が設けられている。このような転写ベルトユニット20と、1次転写ローラ32Y、32C、32M、32Bkと、2次転写ローラ65と、クリーニング装置23とで転写装置71が構成されている。
【0067】
シート給送装置61は、画像形成装置100の本体下部に配設されており、最上位の用紙Pの上面に当接する給紙ローラとしての給送ローラ63を有しており、給送ローラ63が反時計回り方向に回転駆動されることにより、最上位の用紙Pをレジストローラ対64に向けて給送するようになっている。
【0068】
転写装置71に装備されているクリーニング装置23は、詳細な図示を省略するが、転写ベルト21に対向、当接するように配設されたクリーニングブラシとクリーニングブレードとを有しており、転写ベルト21上の残留トナー等の異物をクリーニングブラシとクリーニングブレードとにより掻き取り、除去して、転写ベルト21をクリーニングするようになっている。
【0069】
クリーニング装置23はまた転写ベルト21から除去した残留トナーを搬出し廃棄するための図示しない排出手段を有している。
【符号の説明】
【0070】
1 定着ベルト
2 熱源
3 加圧部材(加圧ローラ)
4 弾性体
5 芯金
6 ニップ形成部材
6a 凸部
7 支持部材
7a、7b 支持部
7c 第二の板状部材
7d 第一の板状部材
8 ベルト保持部材
9 反射部材
10 定着装置
11 遮光部材
12 当接部
66 均熱部材
81 第1の吸熱部材
82 第2の吸熱部材
83 断熱部材
100 画像形成装置
D 記録媒体搬送方向
LD 長手方向
N ニップ部
NW ニップ部の記録媒体搬送方向の幅
P 記録媒体(用紙)
S 離間量
【先行技術文献】
【特許文献】
【0071】
【文献】特開2004-286922号公報
【文献】特許第2861280号公報
【文献】特開2007-334205号公報
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15