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特許7400728液晶配向剤、液晶配向膜及びそれを用いた液晶表示素子
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-11
(45)【発行日】2023-12-19
(54)【発明の名称】液晶配向剤、液晶配向膜及びそれを用いた液晶表示素子
(51)【国際特許分類】
   G02F 1/1337 20060101AFI20231212BHJP
【FI】
G02F1/1337 525
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2020553300
(86)(22)【出願日】2019-10-17
(86)【国際出願番号】 JP2019040943
(87)【国際公開番号】W WO2020080477
(87)【国際公開日】2020-04-23
【審査請求日】2022-09-09
(31)【優先権主張番号】P 2018196761
(32)【優先日】2018-10-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000003986
【氏名又は名称】日産化学株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000095
【氏名又は名称】弁理士法人T.S.パートナーズ
(74)【代理人】
【識別番号】100082887
【弁理士】
【氏名又は名称】小川 利春
(74)【代理人】
【識別番号】100181331
【弁理士】
【氏名又は名称】金 鎭文
(74)【代理人】
【識別番号】100183597
【弁理士】
【氏名又は名称】比企野 健
(74)【代理人】
【識別番号】100161997
【弁理士】
【氏名又は名称】横井 大一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100090918
【弁理士】
【氏名又は名称】泉名 謙治
(72)【発明者】
【氏名】名木 達哉
(72)【発明者】
【氏名】須賀 貴裕
(72)【発明者】
【氏名】小西 玲久
【審査官】植田 裕美子
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-198975(JP,A)
【文献】特許第4840137(JP,B2)
【文献】特開2010-070537(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第108165281(CN,A)
【文献】特表2014-527555(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02F 1/1337
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記式[1]で表される構造を有するジアミンを含有するジアミン成分とテトラカルボン酸二無水物成分との反応で得られるポリアミック酸、及び該ポリアミック酸をイミド化して得られるポリイミドからなる群より選ばれる少なくとも1つの重合体を含有することを特徴とする液晶配向剤。
【化1】
(式[1]中、A及びAは、それぞれ独立して、置換基を有していてもよい単環基又は縮合環基であり、A及びAは、同時に単環基であることはない。X は、酸素原子又は硫黄原子であり、は、単結合、酸素原子又は硫黄原子である。Qは、炭素数1又は2のアルキレン基である。m及びnは、それぞれ独立して、1~3の整数である。)
【請求項2】
前記式[1]において、Qが炭素数2のアルキレン基である、請求項1に記載の液晶配向剤。
【請求項3】
前記式[1]において、X及びXが酸素原子である、請求項1又は2に記載の液晶配向剤。
【請求項4】
前記式[1]で表される構造を有するジアミンが、下記で表されるいずれかのジアミンである、請求項1~3のいずれか1項に記載の液晶配向剤。
【化2】
【化3】
【化4】
【請求項5】
前記ジアミン成分中の式[1]で表される構造を有するジアミンの含有量が、5~95mol%である、請求項1~4のいずれか1項に記載の液晶配向剤。
【請求項6】
前記テトラカルボン酸二無水物成分が、下記式[7]で表されるテトラカルボン酸二無水物又はその誘導体である、請求項1~5のいずれか1項に記載の液晶配向剤。
【化5】
(式[7]中、Zは、4価の有機基である。)
【請求項7】
が、下記式(X1-1)~(X1-19)のいずれかで表される構造のいずれかである、請求項6に記載の液晶配向剤。
【化6】
(式(X1-1)及び(X1-2)中、R~R12はそれぞれ独立して、水素原子、ハロゲン原子、炭素数1~6のアルキル基、炭素数2~6のアルケニル基、炭素数2~6のアルキニル基、フッ素原子を含有する炭素数1~6の1価の有機基、又はフェニル基である。但し、R~Rの少なくとも一つは水素原子以外の基である。)
【請求項8】
が、式(X1-1)で表される構造である、請求項7に記載の液晶配向剤。
【請求項9】
請求項1~8のいずれかに記載の液晶配向剤から得られる液晶配向膜。
【請求項10】
請求項9に記載の液晶配向膜を具備する液晶表示素子。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液晶配向剤、液晶配向膜及びそれを用いた液晶表示素子に関する。
【背景技術】
【0002】
現在、液晶表示素子に用いられる液晶配向膜には、多くの場合、ポリイミド膜が使用されている。このポリイミド膜の液晶配向膜は、ポリイミドの前駆体であるポリアミック酸の溶液又は溶媒可溶性のポリイミドの溶液を基板に塗布し、焼成して得られる膜をラビング処理などの配向処理する方法により作製されている。このポリアミック酸や溶媒可溶性のポリイミドは、一般的に、テトラカルボン酸二無水物などのテトラカルボン酸誘導体と、ジアミン化合物との縮重合反応によって製造されている。
【0003】
かかるポリアミック酸やポリイミドなどの原料であるジアミン化合物は、これから得られる液晶配向膜の特性、ひいては、液晶表示素子の特性に影響するので重要であり、従来から種々のジアミン化合物が使用されており、提案されている。
【0004】
例えば、特許文献1には、以下のジアミン化合物から得られた液晶配向剤が提案されている。
【化1】
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】日本特開2005-157346号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、近年、液晶表示素子の高性能化、大面積化、表示デバイスの省電力化等が進み、それに加えて様々な環境下で液晶表示素子が使用されるようになり、液晶配向膜に求められる特性も厳しいものになってきている。とりわけ、液晶表示素子の利用が進むにつれ、良好な液晶配向性を確保するのが困難となる問題や、液晶配向膜を作製する際の感度マージンが小さい問題が顕著となってくる。なお、ここで感度マージンとは、偏光紫外線を照射した際に良好な液晶配向特性を得ることが出来る感度領域の事を言う。
【0007】
良好な液晶配向性を確保できなくなると、光抜けや配向不良が発生しやすくなる。また、感度マージンが小さいと、長期駆動時の表示ムラや、紫外線照射機の照度ムラから液晶配向方位の面内バラつきを引き起こし、黒表示にした際に光抜けやムラの原因となる。このため、良好な液晶配向性や向上した感度マージンに対して強い要求があるものの、従来提案されている技術では、かかる要求を十分に満たすことができない。
【0008】
本発明は、上記の事情を鑑みてなされたものであり、良好な液晶配向性を有する液晶配向膜を得ることができ、且つ、感度マージンが増大した液晶配向剤を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意検討を行った結果、新規なジアミンから得られる重合体を含有する液晶配向剤が、上記の課題を満たすことを見出した。
本発明は、かかる知見に基づくものであり、下記を要旨とするものである。
下記式[1]で表される構造を有するジアミンを含有するジアミン成分とテトラカルボン酸二無水物成分との反応で得られるポリアミック酸、及び該ポリアミック酸をイミド化して得られるポリイミドからなる群より選ばれる少なくとも1つの重合体を含有することを特徴とする液晶配向剤。
【化2】
(式[1]中、A及びAは、それぞれ独立して、置換基を有していてもよい単環基又は縮合環基であり、A及びAは、同時に単環基であることはない。X は、酸素原子又は硫黄原子であり、は、単結合、酸素原子又は硫黄原子である。Qは、炭素数1又は2のアルキレン基である。m及びnは、それぞれ独立して、1~3の整数である。)
【発明の効果】
【0010】
本発明の液晶配向剤によれば、良好な液晶配向性を有する液晶配向膜を得ることができ、且つ、感度マージンを増大させることができる。
【発明を実施するための形態】
【0011】
<本発明の特定ジアミン>
本発明の液晶配向剤の原料として使用されるジアミンは、下記の式[1]で表される構造を有するジアミンである。
【化3】
上記式[1]中、A及びAは、それぞれ独立して、置換基を有していてもよい単環基又は縮合環基であり、A及びAは、同時に単環基であることはない。X は、酸素原子又は硫黄原子であり、は、単結合、酸素原子又は硫黄原子である。Qは、炭素数1又は2のアルキレン基である。m及びnは、それぞれ独立して、1~3の整数である。
【0012】
単環基とは、単環から水素原子を2個除いた残りの原子団をいう。単環としては、例えば、ベンゼン;フラン、チオフェン、ピロール、オキサゾール、チアゾール、イミダゾール、ピラゾール等の5員複素環;ピラン、ピロン、ピリジン、ピリダジン、ピリミジン、ピラジン等の6員複素環が挙げられる。単環は、好ましくは、ベンゼン又はピリジンである。なお、単環がベンゼンである場合、単環基はフェニレン基である。
【0013】
縮合環基とは、縮合環から水素原子を2個除いた残りの原子団をいう。縮合環としては、例えば、ナフタレン、テトラリン、インデン、フルオレン、アントラセン、フェナントレン、ピレン等の縮合多環芳香族炭化水素;ベンゾフラン、チオナフテン、インドール、カルバゾール、クマリン、ベンゾ-ピロン、キノリン、イソキノリン、アクリジン、フタラジン、キナゾリン、キノキサリン等の縮合多環式複素環が挙げられる。縮合環は、好ましくは、ナフチレン、アントラセン、ピレン、インドール、カルバゾール、クマリン、ベンゾ-ピロン、キノリン、又はイソキノリンである。
【0014】
単環基及び縮合環基は、更に置換基を有していてもよい。単環基及び縮合環基が有していてもよい置換基としては、炭素数1~4のアルキル、炭素数1~4のアルコキシ、ハロゲン原子等が挙げられる。
【0015】
及びXは、好ましくは、酸素原子である。Qは、液晶配向規制力の観点から、好ましくは、炭素数2のアルキレンである。m及びnは、好ましくは、1である。
【0016】
特定ジアミンの好ましい具体例としては、以下のものが挙げられるが、これらに限定されない。
【化4】
【0017】
<テトラカルボン酸二無水物成分>
本発明のポリイミド前駆体を得るためには、下記式[7]で表されるテトラカルボン酸二無水物(特定テトラカルボン酸二無水物ともいう)又はその誘導体をテトラカルボン酸二無水物成分の一部として用いることが好ましい。
【0018】
【化5】
【0019】
式[7]中、Zは、4価の有機基であり、例えば、下記式(X1-1)~(X1-19)の構造が挙げられる。
【0020】
【化6】
【0021】
上記式(X1-1)及び(X1-2)において、R~R12はそれぞれ独立して、水素原子、ハロゲン原子、炭素数1~6のアルキル基、炭素数2~6のアルケニル基、炭素数2~6のアルキニル基、フッ素原子を含有する炭素数1~6の1価の有機基、又はフェニル基である。但し、R~Rの少なくとも一つは水素原子以外の基である。
【0022】
液晶配向性の観点から、Xの構造は、上記式(X1-1)、(X1-3)、(X1-4)が好ましく、(X1-1)の中では、下記式(X1-1-1)~(X1-1-5)で表される構造から選ばれる少なくとも1種がより好ましく、下記式(X1-1-1)が特に好ましい。式[7]で表されるテトラカルボン酸二無水物又はその誘導体は2種以上を混合して用いてもよい。
【0023】
【化7】
【0024】
上記式[7]で表されるテトラカルボン酸二無水物又はその誘導体の使用割合は、本発明の重合体に用いられるテトラカルボン酸二無水物成分1モルに対して50モル%以上が好ましく、70モル%以上がより好ましく、80モル%以上が更に好ましい。
また、本発明の重合体の重合に用いられるテトラカルボン酸二無水物成分は、上記式[7]で表されるテトラカルボン酸二無水物又はその誘導体を含むと、分解物による輝点の抑制や液晶配向性の観点から好ましい。
【0025】
本発明の重合体の重合に用いられるテトラカルボン酸二無水物成分は、上記式[7]以外のテトラカルボン酸二無水物又はその誘導体を含有していてもよい。
上記式[7]以外のテトラカルボン酸二無水物又はその誘導体は、形成される液晶配向膜の液晶配向性、電圧保持特性及び蓄積電荷などの特性を考慮して、1種又は2種以上を用いることができる。
【0026】
<本発明の重合体>
本発明における重合体とは、ポリアミック酸、及び/又は該ポリアミック酸をイミド化して得られるポリイミドを意味する。
【0027】
<ポリアミック酸>
本発明のポリアミック酸は、特定ジアミンを含有するジアミン成分とテトラカルボン酸二無水物成分との反応によって得られる。
上記テトラカルボン酸二無水物成分との反応によりポリアミック酸を得るためのジアミン成分において、特定ジアミンの含有割合に制限はない。ジアミン成分における特定ジアミンの含有量は、100%であってもよい。しかし、液晶配向膜に要求される種々の特性、例えば、液晶のプレチルト角を大きくする特性、液晶の垂直配向性を高める、などの特性を満足させることから、種々のジアミンが併用することができる。重合に用いられるジアミン成分における特定ジアミンの含有割合は、1~50mol%が好ましく、特に好ましくは5~30mol%が好ましい。
【0028】
上記ジアミン成分において、特定ジアミンが100mol%未満の場合に併用される、特定ジアミン以外のジアミン(以下、その他のジアミンともいう。)としては、脂環式ジアミン、芳香族-脂肪族ジアミン、芳香族ジアミン、複素環式ジアミン、脂肪族ジアミンなどが挙げられる。
【0029】
脂環式ジアミンの例としては、1,4-ジアミノシクロヘキサン、1,3-ジアミノシクロヘキサン、4,4’-ジアミノジシクロヘキシルメタン、4,4’-ジアミノ-3,3’-ジメチルジシクロヘキシルアミン、イソホロンジアミン等が挙げられる。
芳香族ジアミン類の例としては、o-フェニレンジアミン、m-フェニレンジアミン、p-フェニレンジアミン、2,4-ジアミノトルエン、2,5-ジアミノトルエン、3,5-ジアミノトルエン、1,4-ジアミノ-2-メトキシベンゼン、2,5-ジアミノ-p-キシレン、1,3-ジアミノ-4-クロロベンゼン、3,5-ジアミノ安息香酸、1,4-ジアミノ-2,5-ジクロロベンゼン、4,4’-ジアミノ-1,2-ジフェニルエタン、4,4’-ジアミノ-2,2’-ジメチルビベンジル、4,4’-ジアミノジフェニルメタン、3,3’-ジアミノジフェニルメタン、3,4’-ジアミノジフェニルメタン、4,4’-ジアミノ-3,3’―ジメチルジフェニルメタン、2,2’-ジアミノスチルベン、4,4’-ジアミノスチルベン、4,4’-ジアミノジフェニルエーテル、3,4’-ジアミノジフェニルエーテル、4,4’-ジアミノジフェニルスルフィド、4,4’-ジアミノジフェニルスルホン、3,3’-ジアミノジフェニルスルホン、4,4’-ジアミノベンゾフェノン、1,3-ビス(3-アミノフェノキシ)ベンゼン、1,3-ビス(4-アミノフェノキシ)ベンゼン、1,4-ビス(4-アミノフェノキシ)ベンゼン、3,5-ビス(4-アミノフェノキシ)安息香酸、4,4’-ビス(4-アミノフェノキシ)ビベンジル、2,2-ビス[(4-アミノフェノキシ)メチル]プロパン、2,2-ビス[4-(4-アミノフェノキシ)フェニル]ヘキサフロロプロパン、2,2-ビス[4-(4-アミノフェノキシ)フェニル]プロパン、ビス[4-(3-アミノフェノキシ)フェニル]スルホン、ビス[4-(4-アミノフェノキシ)フェニル]スルホン、1,1-ビス(4-アミノフェニル)シクロヘキサン、α、α’-ビス(4-アミノフェニル)-1,4-ジイソプロピルベンゼン、9,9-ビス(4-アミノフェニル)フルオレン、2,2-ビス(3-アミノフェニル)ヘキサフロロプロパン、2,2-ビス(4-アミノフェニル)ヘキサフロロプロパン、4,4’-ジアミノジフェニルアミン、2,4-ジアミノジフェニルアミン、1,8-ジアミノナフタレン、1,5-ジアミノナフタレン、1,5-ジアミノアントラキノン、1,3-ジアミノピレン、1,6-ジアミノピレン、1,8―ジアミノピレン、2,7-ジアミノフルオレン、1,3-ビス(4-アミノフェニル)テトラメチルジシロキサン、ベンジジン、2,2’-ジメチルベンジジン、1,2-ビス(4-アミノフェニル)エタン、1,3-ビス(4-アミノフェニル)プロパン、1,4-ビス(4-アミノフェニル)ブタン、1,5-ビス(4-アミノフェニル)ペンタン、1,6-ビス(4-アミノフェニル)ヘキサン、1,7-ビス(4-アミノフェニル)ヘプタン、1,8-ビス(4-アミノフェニル)オクタン、1,9-ビス(4-アミノフェニル)ノナン、1,10-ビス(4-アミノフェニル)デカン、1,3-ビス(4-アミノフェノキシ)プロパン、1,4-ビス(4-アミノフェノキシ)ブタン、1,5-ビス(4-アミノフェノキシ)ペンタン、1,6-ビス(4-アミノフェノキシ)ヘキサン、1,7-ビス(4-アミノフェノキシ)ヘプタン、1,8-ビス(4-アミノフェノキシ)オクタン、1,9-ビス(4-アミノフェノキシ)ノナン、1,10-ビス(4-アミノフェノキシ)デカン、ジ(4-アミノフェニル)プロパン-1,3-ジオエート、ジ(4-アミノフェニル)ブタン-1,4-ジオエート、ジ(4-アミノフェニル)ペンタン-1,5-ジオエート、ジ(4-アミノフェニル)ヘキサン-1,6-ジオエート、ジ(4-アミノフェニル)ヘプタン-1,7-ジオエート、ジ(4-アミノフェニル)オクタン-1,8-ジオエート、ジ(4-アミノフェニル)ノナン-1,9-ジオエート、ジ(4-アミノフェニル)デカン-1,10-ジオエート、1,3-ビス〔4-(4-アミノフェノキシ)フェノキシ〕プロパン、1,4-ビス〔4-(4-アミノフェノキシ)フェノキシ〕ブタン、1,5-ビス〔4-(4-アミノフェノキシ)フェノキシ〕ペンタン、1,6-ビス〔4-(4-アミノフェノキシ)フェノキシ〕ヘキサン、1,7-ビス〔4-(4-アミノフェノキシ)フェノキシ〕ヘプタン、1,8-ビス〔4-(4-アミノフェノキシ)フェノキシ〕オクタン、1,9-ビス〔4-(4-アミノフェノキシ)フェノキシ〕ノナン、1,10-ビス〔4-(4-アミノフェノキシ)フェノキシ〕デカンなどが挙げられる。
【0030】
芳香族-脂肪族ジアミンの例としては、3-アミノベンジルアミン、4-アミノベンジルアミン、3-アミノ-N-メチルベンジルアミン、4-アミノ-N-メチルベンジルアミン、3-アミノフェネチルアミン、4-アミノフェネチルアミン、3-アミノ-N-メチルフェネチルアミン、4-アミノ-N-メチルフェネチルアミン、3-(3-アミノプロピル)アニリン、4-(3-アミノプロピル)アニリン、3-(3-メチルアミノプロピル)アニリン、4-(3-メチルアミノプロピル)アニリン、3-(4-アミノブチル)アニリン、4-(4-アミノブチル)アニリン、3-(4-メチルアミノブチル)アニリン、4-(4-メチルアミノブチル)アニリン、3-(5-アミノペンチル)アニリン、4-(5-アミノペンチル)アニリン、3-(5-メチルアミノペンチル)アニリン、4-(5-メチルアミノペンチル)アニリン、2-(6-アミノナフチル)メチルアミン、3-(6-アミノナフチル)メチルアミン、2-(6-アミノナフチル)エチルアミン、3-(6-アミノナフチル)エチルアミンなどが挙げられる。
【0031】
複素環式ジアミンの例としては、2,6-ジアミノピリジン、2,4-ジアミノピリジン、2,4-ジアミノ-1,3,5-トリアジン、2,7-ジアミノジベンゾフラン、3,6-ジアミノカルバゾール、2,4-ジアミノ-6-イソプロピル-1,3,5-トリアジン、2,5-ビス(4-アミノフェニル)-1,3,4-オキサジアゾールなどが挙げられる。
脂肪族ジアミンの例としては、1,2-ジアミノエタン、1,3-ジアミノプロパン、1,4-ジアミノブタン、1,5-ジアミノペンタン、1,6-ジアミノヘキサン、1,7-ジアミノヘプタン、1,8-ジアミノオクタン、1,9-ジアミノノナン、1,10-ジアミノデカン、1,3-ジアミノ-2,2-ジメチルプロパン、1,6-ジアミノ-2,5-ジメチルヘキサン、1,7-ジアミノ-2,5-ジメチルヘプタン、1,7-ジアミノ-4,4-ジメチルヘプタン、1,7-ジアミノ-3-メチルヘプタン、1,9-ジアミノ-5-メチルノナン、1,12-ジアミノドデカン、1,18-ジアミノオクタデカン、1,2-ビス(3-アミノプロポキシ)エタンなどが挙げられる。
【0032】
側鎖にアルキル基、フッ素含有アルキル基、芳香環、脂肪族環、複素環、又はそれらからなる大環状置換体を有するジアミンを併用してもよい。具体的には、下記の式[DA-101]~[DA-130]で示されるジアミンを例示される。
【化8】
(Rは、炭素数1~22を有する、アルキル基又はフッ素含有アルキル基である。)
【0033】
【化9】
(Sは、-COO-、-OCO-、-CONH-、-NHCO-、-CH-、-O-、-CO-、又はNH-であり、Rは炭素数1~22を有する、アルキル基若しくはフッ素含有アルキル基である。)
【0034】
【化10】
(Sは、-O-、-OCH-、-CHO-、-COOCH-、又はCHOCO-であり、Rは炭素数1~22を有する、アルキル基、アルコキシ基、フッ素含有アルキル基若しくはフッ素含有アルコキシ基である。)
【0035】
【化11】
(Sは、-COO-、-OCO-、-CONH-、-NHCO-、-COOCH-、-CHOCO-、-CHO-、-OCH-、又はCH-であり、Rは炭素数1~22を有する、アルキル基、アルコキシ基、フッ素含有アルキル基若しくはフッ素含有アルコキシ基である。)
【0036】
【化12】
(Sは、-COO-、-OCO-、-CONH-、-NHCO-、-COOCH-、-CHOCO-、-CHO-、-OCH-、-CH-、-O-、又はNH-であり、Rはフッ素基、シアノ基、トリフルオロメタン基、ニトロ基、アゾ基、ホルミル基、アセチル基、アセトキシ基、又は水酸基である。)
【0037】
【化13】
【化14】
(R10は炭素数3~12のアルキル基であり、1,4-シクロへキシレンのシス-トランス異性は、それぞれトランス体である。)
【0038】
【化15】
【化16】
【0039】
光により配向処理する場合においては、特定ジアミンと上記[DA-101]~[DA-130]のジアミンを併用させることで、更に安定したプレチルト角を得ることができるため好ましい。併用できるより好ましいジアミンとしては、式[DA-110]~[DA-130]が好ましく、より好ましくは[DA-110]~[DA-116]のジアミンである。これらのジアミンの好ましい含有量は、特に限定はされないが、ジアミン成分中の5~50mol%が好ましく、印刷性の点では5~30mol%が好ましい。
また、以下の式[DA-131]~[DA-138]で表されるジアミンを併用させてもよい。
【0040】
【化17】
(mは0~3の整数であり、式[DA-138]中、nは1~5の整数である)。
【0041】
式[DA-131]、式[DA-132]等のジアミンを含有させることにより、液晶配向膜とした際の電圧保持特性を向上させることができ、式[DA-133]~[DA-138]のジアミンは蓄積電化の低減に効果がある。
【0042】
更に、下記の式[DA-139]で表されるジアミノシロキサンなども、その他のジアミンとして挙げることができる。
【化18】
(mは、1~10の整数である。)
【0043】
更に、下記の式(8)で表されるジアミンも、その他のジアミンとして挙げることができる。
【化19】
(式(8)中、Yは芳香族基に結合する窒素原子又は含窒素芳香族複素環を有する2価の有機基である。)
【0044】
式(8)中のYの例としては、下記式(Y2-1)~(Y2-12)が挙げられる。
【化20】
【0045】
その他のジアミンは、液晶配向膜とした際の液晶配向性、電圧保持特性、蓄積電荷などの特性に応じて、1種、又は2種以上を混合して使用することもできる。
【0046】
<ポリアミック酸の製造>
テトラカルボン酸二無水物成分とジアミン成分との反応により、本発明のポリアミック酸を得る方法は、既知の手法を用いることができる。例えば、テトラカルボン酸二無水物成分とジアミン成分とを有機溶媒中で反応させる方法である。この場合、テトラカルボン酸二無水物成分とジアミンとの反応は、有機溶媒中で比較的容易に進行し、かつ副生成物が発生しない点で有利である。
【0047】
テトラカルボン酸二無水物成分とジアミンとの反応に用いる有機溶媒としては、生成したポリアミック酸が溶解するものであれば限定されない。その具体例を以下に挙げる。
N,N-ジメチルホルムアミド、N,N-ジメチルアセトアミド、N-メチル-2-ピロリドン、N-エチル-2-ピロリドン、N-メチルカプロラクタム、ジメチルスルホキシド、テトラメチル尿素、ピリジン、ジメチルスルホン、γ-ブチロラクトン、イソプロピルアルコール、メトキシメチルペンタノール、ジペンテン、エチルアミルケトン、メチルノニルケトン、メチルエチルケトン、メチルイソアミルケトン、メチルイソプロピルケトン、メチルセルソルブ、エチルセルソルブ、メチルセロソルブアセテート、エチルセロソルブアセテート、ブチルカルビトール、エチルカルビトール、エチレングリコール、エチレングリコールモノアセテート、エチレングリコールモノイソプロピルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコール、プロピレングリコールモノアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコール-tert-ブチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコール、ジエチレングリコールモノアセテート、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノアセテートモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノエチルエーテル、ジプロピレングリコールモノアセテートモノエチルエーテル、ジプロピレングリコールモノプロピルエーテル、ジプロピレングリコールモノアセテートモノプロピルエーテル、3-メチル-3-メトキシブチルアセテート、トリプロピレングリコールメチルエーテル、3-メチル-3-メトキシブタノール、ジイソプロピルエーテル、エチルイソブチルエーテル、ジイソブチレン、アミルアセテート、ブチルブチレート、ブチルエーテル、ジイソブチルケトン、メチルシクロへキセン、プロピルエーテル、ジヘキシルエーテル、ジオキサン、n-へキサン、n-ペンタン、n-オクタン、ジエチルエーテル、シクロヘキサノン、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート、乳酸メチル、乳酸エチル、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸n-ブチル、酢酸プロピレングリコールモノエチルエーテル、ピルビン酸メチル、ピルビン酸エチル、3-メトキシプロピオン酸メチル、3-エトキシプロピオン酸メチルエチル、3-メトキシプロピオン酸エチル、3-エトキシプロピオン酸、3-メトキシプロピオン酸、3-メトキシプロピオン酸プロピル、3-メトキシプロピオン酸ブチル、ジグライム、4-ヒドロキシ-4-メチル-2-ペンタノン、3-メトキシ-N,N-ジメチルプロパンアミド、3-エトキシ-N,N-ジメチルプロパンアミド、3-ブトキシ-N,N-ジメチルプロパンアミドなどが挙げられる。これらは単独で使用しても、混合して使用してもよい。更に、ポリアミック酸を溶解させない溶媒であっても、生成したポリアミック酸が析出しない範囲で上記溶媒に混合して使用してもよい。
【0048】
また、有機溶媒中の水分は重合反応を阻害し、更には生成したポリアミック酸を加水分解させる原因となるので、有機溶媒はなるべく脱水乾燥させたものが好ましい。
テトラカルボン酸二無水物成分とジアミン成分とを有機溶媒中で反応させる際には、ジアミン成分を有機溶媒に分散あるいは溶解させた溶液を攪拌させ、テトラカルボン酸二無水物成分をそのまま、又は有機溶媒に分散あるいは溶解させて添加する方法、逆にテトラカルボン酸二無水物成分を有機溶媒に分散あるいは溶解させた溶液にジアミン成分を添加する方法、テトラカルボン酸二無水物成分とジアミン成分とを交互に添加する方法などが挙げられ、これらのいずれの方法を用いても良い。また、テトラカルボン酸二無水物成分又はジアミン成分が複数種の化合物からなる場合は、あらかじめ混合した状態で反応させても良く、個別に順次反応させても良く、更に個別に反応させた低分子量体を混合反応させ高分子量体としても良い。
【0049】
テトラカルボン酸二無水物成分とジアミン成分とを反応させる温度は-20~150℃のうちの任意の温度を選択することができるが、好ましくは-5~100℃の範囲である。また、反応は任意の濃度で行うことができるが、濃度が低すぎると高分子量の重合体を得ることが難しくなり、濃度が高すぎると反応液の粘性が高くなり過ぎて均一な攪拌が困難となるので、テトラカルボン酸二無水物成分とジアミン成分の反応溶液中での合計濃度は、好ましくは1~50質量%、より好ましくは5~30質量%である。反応初期は高濃度で行い、その後、有機溶媒を追加することができる。
ポリアミック酸の重合反応においては、テトラカルボン酸二無水物成分の合計モル数とジアミン成分の合計モル数との比は、0.8~1.2であることが好ましく、0.9~1.1がより好ましい。通常の重縮合反応と同様に、このモル比が1.0に近いほど生成するポリアミック酸の分子量は大きくなる。
【0050】
<ポリイミド>
本発明のポリイミドは、前記のポリアミック酸を脱水閉環させて得られるポリイミドであり、液晶配向膜を得るための重合体として有用である。
本発明のポリイミドにおいて、アミド酸基の脱水閉環率(イミド化率)は、必ずしも100%である必要はなく、用途や目的に応じて任意に調整することができる。
ポリアミック酸をイミド化させる方法としては、ポリアミック酸の溶液をそのまま加熱する熱イミド化法、及びポリアミック酸の溶液に触媒を添加する触媒イミド化法が挙げられる。
ポリアミック酸を溶液中で熱イミド化させる場合の温度は、100~400℃、好ましくは120~250℃であり、イミド化反応により生成する水を系外に除きながら行うのが好ましい。
【0051】
ポリアミック酸の触媒イミド化は、ポリアミック酸の溶液に、塩基性触媒と酸無水物とを添加し、-20~250℃、好ましくは0~180℃で攪拌することにより行うことができる。塩基性触媒の量は、アミド酸基の0.5~30モル倍、好ましくは2~20モル倍であり、酸無水物の量は、アミド酸基の1~50モル倍、好ましくは3~30モル倍である。塩基性触媒としてはピリジン、トリエチルアミン、トリメチルアミン、トリブチルアミン、トリオクチルアミンなどを挙げることができ、中でもピリジンは反応を進行させるのに適した塩基性を持つので好ましい。酸無水物としては、無水酢酸、無水トリメリット酸、無水ピロメリット酸などを挙げることができ、中でも無水酢酸を用いると反応終了後の精製が容易となるので好ましい。触媒イミド化によるイミド化率は、触媒量、反応温度、反応時間等を調節することにより制御することができる。
【0052】
本発明の液晶配向剤に含有される重合体の分子量は、得られる塗膜の強度、塗膜形成時の作業性、及び塗膜の均一性を考慮した場合、GPC(Gel Permeation Chromatography)法で測定した重量平均分子量で5,000~1,000,000とするのが好ましく、より好ましくは、10,000~150,000である。
【0053】
<液晶配向剤>
本発明の液晶配向剤は、液晶配向膜を形成するための塗布液であり、樹脂被膜を形成するための樹脂成分が有機溶媒に溶解した溶液である。ここで、前記の樹脂成分は、上記した本発明の重合体から選ばれる少なくとも一種の重合体を含む。樹脂成分の液晶配向剤中の含有量は、1~20質量%が好ましく、より好ましくは3~15質量%、特に好ましくは3~10質量%である。
樹脂成分は、全てが本発明の重合体であってもよく、それ以外の他の重合体が混合されていてもよい。その際、樹脂成分中における前記他の重合体の含有量は0.5~15質量%、好ましくは1~10質量%である。
かかる他の重合体は、例えば、テトラカルボン酸ニ無水物成分と反応させるジアミン成分として、特定ジアミン化合物以外のジアミン化合物を使用して得られるポリアミック酸又はポリイミドなどが挙げられる。
【0054】
本発明の液晶配向剤に用いる有機溶媒は、樹脂成分を溶解させる有機溶媒であれば特に限定されない。その具体例を以下に挙げる。
N,N-ジメチルホルムアミド、N,N-ジメチルアセトアミド、N-メチル-2-ピロリドン、N-メチルカプロラクタム、2-ピロリドン、N-エチルピロリドン、N-ビニルピロリドン、ジメチルスルホキシド、テトラメチル尿素、ピリジン、ジメチルスルホン、ヘキサメチルスルホキシド、γ-ブチロラクトン、3-メトキシ-N,N-ジメチルプロパンアミド、3-エトキシ-N,N-ジメチルプロパンアミド、3-ブトキシ-N,N-ジメチルプロパンアミド、1,3-ジメチル-イミダゾリジノン、エチルアミルケトン、メチルノニルケトン、メチルエチルケトン、メチルイソアミルケトン、メチルイソプロピルケトン、シクロヘキサノン、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート、ジグライム、4-ヒドロキシ-4-メチル-2-ペンタノンなどが挙げられる。これらは単独で使用しても、混合して使用してもよい。
【0055】
本発明の液晶配向剤は、上記以外の成分を含有してもよい。その例としては、液晶配向剤を塗布した際の膜厚均一性や表面平滑性を向上させる溶媒多物質など、液晶配向膜と基板との密着性を向上させる化合物などである。
膜厚の均一性や表面平滑性を向上させる溶媒(貧溶媒)の具体例としては、次のものが挙げられる。
【0056】
例えば、イソプロピルアルコール、メトキシメチルペンタノール、メチルセロソルブ、エチルセロソルブ、ブチルセロソルブ、メチルセロソルブアセテート、エチルセロソルブアセテート、ブチルカルビトール、エチルカルビトール、エチルカルビトールアセテート、エチレングリコール、エチレングリコールモノアセテート、エチレングリコールモノイソプロピルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコール、プロピレングリコールモノアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコール-tert-ブチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコール、ジエチレングリコールモノアセテート、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノアセテートモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノエチルエーテル、ジプロピレングリコールモノアセテートモノエチルエーテル、ジプロピレングリコールモノプロピルエーテル、ジプロピレングリコールモノアセテートモノプロピルエーテル、ジプロピレングリコールジメチルエーテル、3-メチル-3-メトキシブチルアセテート、トリプロピレングリコールメチルエーテル、3-メチル-3-メトキシブタノール、ジイソプロピルエーテル、エチルイソブチルエーテル、ジイソブチレン、アミルアセテート、ブチルブチレート、ブチルエーテル、ジイソブチルケトン、メチルシクロへキセン、プロピルエーテル、ジヘキシルエーテル、1-ヘキサノール、n-へキサン、n-ペンタン、n-オクタン、ジエチルエーテル、乳酸メチル、乳酸エチル、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸n-ブチル、酢酸プロピレングリコールモノエチルエーテル、ピルビン酸メチル、ピルビン酸エチル、3-メトキシプロピオン酸メチル、3-エトキシプロピオン酸メチルエチル、3-メトキシプロピオン酸エチル、3-エトキシプロピオン酸、3-メトキシプロピオン酸、3-メトキシプロピオン酸プロピル、3-メトキシプロピオン酸ブチル、1-メトキシ-2-プロパノール、1-エトキシ-2-プロパノール、1-ブトキシ-2-プロパノール、2-ブトキシ-1-プロパノール、2,6-ジメチル-4-ヘプタノール、1-フェノキシ-2-プロパノール、プロピレングリコールモノアセテート、プロピレングリコールジアセテート、プロピレングリコール-1-モノメチルエーテル-2-アセテート、プロピレングリコール-1-モノエチルエーテル-2-アセテート、ジプロピレングリコール、2-(2-エトキシプロポキシ)プロパノール、乳酸メチルエステル、乳酸エチルエステル、乳酸n-プロピルエステル、乳酸n-ブチルエステル、乳酸イソアミルエステルなどの低表面張力を有する溶媒などが挙げられる。
これらの貧溶媒は1種類でも複数種類を混合して用いてもよい。上記溶媒を用いる場合は、液晶配向剤に含まれる溶媒全体の5~80質量%であることが好ましく、より好ましくは20~60質量%である。
【0057】
膜厚の均一性や表面平滑性を向上させる化合物としては、フッ素系界面活性剤、シリコーン系界面活性剤、ノ二オン系界面活性剤などが挙げられる。
より具体的には、例えば、エフトップEF301、EF303、EF352(トーケムプロダクツ社製)、メガファックF171、F173、R-30(大日本インキ社製)、フロラードFC430、FC431(住友スリーエム社製)、アサヒガードAG710、サーフロンS-382、SC101、SC102、SC103、SC104、SC105、SC106(旭硝子社製)などが挙げられる。これらの界面活性剤の使用割合は、液晶配向剤に含有される樹脂成分の100質量部に対して、好ましくは0.01~2質量部、より好ましくは0.01~1質量部である。
【0058】
液晶配向膜と基板との密着性を向上させる化合物の具体例としては、次に示す官能性シラン含有化合物、エポキシ基含有化合物などが挙げられる。
例えば、3-アミノプロピルトリメトキシシラン、3-アミノプロピルトリエトキシシラン、2-アミノプロピルトリメトキシシラン、2-アミノプロピルトリエトキシシラン、N-(2-アミノエチル)-3-アミノプロピルトリメトキシシラン、N-(2-アミノエチル)-3-アミノプロピルメチルジメトキシシラン、3-ウレイドプロピルトリメトキシシラン、3-ウレイドプロピルトリエトキシシラン、N-エトキシカルボニル-3-アミノプロピルトリメトキシシラン、N-エトキシカルボニル-3-アミノプロピルトリエトキシシラン、N-トリエトキシシリルプロピルトリエチレントリアミン、N-トリメトキシシリルプロピルトリエチレントリアミン、10-トリメトキシシリル-1,4,7-トリアザデカン、10-トリエトキシシリル-1,4,7-トリアザデカン、9-トリメトキシシリル-3,6-ジアザノニルアセテート、9-トリエトキシシリル-3,6-ジアザノニルアセテート、N-ベンジル-3-アミノプロピルトリメトキシシラン、N-ベンジル-3-アミノプロピルトリエトキシシラン、N-フェニル-3-アミノプロピルトリメトキシシラン、N-フェニル-3-アミノプロピルトリエトキシシラン、N-ビス(オキシエチレン)-3-アミノプロピルトリメトキシシラン、N-ビス(オキシエチレン)-3-アミノプロピルトリエトキシシラン、エチレングリコールジグリシジルエーテル、ポリエチレングリコールジグリシジルエーテル、プロピレングリコールジグリシジルエーテル、トリプロピレングリコールジグリシジルエーテル、ポリプロピレングリコールジグリシジルエーテル、ネオペンチルグリコールジグリシジルエーテル、1,6-ヘキサンジオールジグリシジルエーテル、グリセリンジグリシジルエーテル、2,2-ジブロモネオペンチルグリコールジグリシジルエーテル、1,3,5,6-テトラグリシジル-2,4-ヘキサンジオール、N,N,N’,N’,-テトラグリシジル-m-キシレンジアミン、1,3-ビス(N,N-ジグリシジルアミノメチル)シクロヘキサン、N,N,N’,N’,-テトラグリシジル-4,4’-ジアミノジフェニルメタン等が挙げられる。
【0059】
更に、基板と膜の密着性向上に加え、バックライトによる電気特性低下などを防ぐ目的で、以下のようなフェノプラスト系の添加剤を含有させることが好ましい。具体的なフェノプラスト系添加剤を以下に示す。
【化21】
【0060】
基板との密着性を向上させる化合物を使用する場合、その使用量は、樹脂成分の100質量部に対して0.1~30質量部であることが好ましく、より好ましくは1~20質量部である。使用量が0.1質量部未満であると密着性向上の効果は期待できず、30質量部よりも多くなると液晶の配向性が悪くなる場合がある。
本発明の液晶配向剤には、上記の他、液晶配向膜の誘電率、導電性などの電気特性を変化させる目的で、誘電体、導電物質、更には、液晶配向膜にした際の膜の硬度や緻密度を高める目的の架橋性化合物等を添加してもよい。
【0061】
<液晶配向膜及び液晶表示素子>
本発明の液晶配向剤は、基板上に塗布し、焼成した後、ラビング処理や光照射などで配向処理をし、又は垂直配向用途などでは配向処理無しで液晶配向膜として用いることができる。この際、用いる基板としては透明性の高い基板であれば特に限定されず、ガラス基板、アクリル基板、ポリカーボネート基板などのプラスチック基板などを用いることができる。また、液晶駆動のためのITO電極などが形成された基板を用いることがプロセスの簡素化の点から好ましい。また、反射型の液晶表示素子では片側の基板のみにならばシリコンウエハー等の不透明な物でも使用でき、この場合の電極はアルミニウム等の光を反射する材料も使用できる。
液晶配向剤の塗布方法は、特に限定されないが、工業的には、スクリーン印刷、オフセット印刷、フレキソ印刷、インクジェットなどの方法で行うが一般的である。その他の塗布方法としては、ディップ、ロールコーター、スリットコーター、スピンナーなどがあり、目的に応じてこれらを用いてもよい。
【0062】
液晶配向剤を基板上に塗布した後の焼成は、ホットプレートなどの加熱手段により50~300℃、好ましくは80~250℃で行い、溶媒を蒸発させて、塗膜を形成させることができる。焼成後に形成される塗膜の厚みは、厚すぎると液晶表示素子の消費電力の面で不利となり、薄すぎると液晶表示素子の信頼性が低下する場合があるので、好ましくは5~300nm、より好ましくは10~100nmである。液晶を水平配向や傾斜配向させる場合は、焼成後の塗膜をラビング又は偏光紫外線の照射などで処理する。
本発明の液晶配向剤から得られる液晶配向膜を配向処理する方法は、ラビング処理法でもよいが、本発明の液晶配向剤では、上記のように、拡大された照射量マージンで配向処理が得られるために光配向処理法が好適である。光配向処理法の好ましい例としては、前記液晶配向膜の表面に、100~800nmの波長を有する放射線、好ましくは紫外線又は可視光線を用いることができる。なかでも、好ましくは100~400nm、より好ましくは、200~400nmの波長を有する紫外線である。
光配向処理法における光照射量は、1~10,000mJ/cmが好ましく、なかでも100~5,000mJ/cmがより好ましく、特に、100~2000mJ/cmが好ましい。
本発明の液晶表示素子は、上記した手法により本発明の液晶配向剤から液晶配向膜付き基板を得た後、公知の方法で液晶セルを作製し、液晶表示素子としたものである。
【0063】
液晶セル作製の一例を挙げるならば、液晶配向膜の形成された1対の基板を用意し、片方の基板の液晶配向膜上にスペーサーを散布し、液晶配向膜面が内側になるように、もう片方の基板を貼り合わせ、液晶を減圧注入して封止する方法、又は、スペーサーを散布した液晶配向膜面に液晶を滴下した後に基板を貼り合わせて封止する方法などが例示できる。スペーサーの厚みは、好ましくは1~30μm、より好ましくは2~10μmである。
【実施例
【0064】
以下に実施例を挙げ、本発明を更に具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。以下における化合物の略号及び各特性の測定方法は、次のとおりである。
NMP:N-メチル-2-ピロリドン、 GBL:γ―ブチロラクトン、
BCS:ブチルセロソルブ、
【化22】
【化23】
【化24】
【0065】
【化25】
【0066】
1.化合物[DA―3]の合成例
以下のスキームに従って化合物[DA-3]を合成した。
【0067】
【化26】
【0068】
化合物[1]の合成
ジメチルホルムアミド(1050g)に対して、6-ブロモナフタレン-2-オール(150g、672mmol)を加え、氷冷下に冷やした。それに対して水素化ナトリウム(60%、29.6g)を少しずつ加え、氷冷下で1時間撹拌した後、ベンジルブロミド(121g)を加え、室温で1時間撹拌した。更に、水冷下、純水(750g)を少しずつ加えて撹拌し、結晶を析出させた。得られる結晶を含む液を濾過し、濾物をメタノール(750g)でスラリー洗浄し、濾過し、濾物を乾燥させることで化合物[1]を得た(収量:207g、収率:98%、白色結晶)。
1H-NMR(400MHz, DMSO-d6, δppm):8.13(d, 1H, J = 2.0 Hz), 7.85(d, 1H, J = 9.2 Hz), 7.78(d, 1H, J = 8.8 Hz), 7.58(dd, 1H, J = 8.8 Hz, 2.4Hz), 7.53-7.48(m, 3H), 7.44-7.40(m, 2H), 7.38-7.33(m, 1H), 7.30(dd, 1H, J = 9.0 Hz, 2.6 Hz), 5.22(s, 2H).
【0069】
化合物[2]の合成
テトラヒドロフラン(1000g)に対して、tert-ブトキシナトリウム(82.6g)及びベンゾフェノンイミン(126g)を加え、室温で30分撹拌した。これに対して化合物[1](207g、661mmol)、Pd(dba)(3.03g)及びBINAP(6.17g)を加え、窒素雰囲気下、65℃で23時間撹拌した。室温まで冷却した後、1規定塩酸(1000g)を加え、室温で15分撹拌し、水層を分取した。更に有機層に対し、酢酸エチル(200g)、ヘキサン(100g)及び1規定塩酸(500g)を加えて、分取した水層に加えた。水冷下、水酸化ナトリウム(80g)を加えてアルカリ性とした。有機層を分取し、飽和塩化ナトリウム水溶液で洗浄した後、硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、濾液を濃縮することで粗体を得た(154g)。粗体に対し、酢酸エチル(462g)を加えて70℃で加熱溶解させた後、ヘキサン(770g)を加え、冷却した。そして、濾過し、濾物を乾燥させることで化合物[2]を得た(収量:124g、収率:74%、薄茶色結晶)。
1H-NMR(400MHz, DMSO-d6, δppm):7.50-7.43(m, 4H), 7.42-7.37(m, 2H), 7.35-7.30(m, 1H), 7.19(d, 1H, J = 2.8 Hz), 7.04(dd, 1H, J = 8.8 Hz, 2.8 Hz), 6.90(dd, 1H, J = 8.8 Hz, 2.0 Hz), 6.80(d, 1H, J = 2.0 Hz), 5.13(br, 4H).
【0070】
化合物[3]の合成
ジクロロメタン(1000g)に対して、化合物[2](124g、497mmol)及び二炭酸ジ-tert-ブチル(130g)を加え、室温で20時間撹拌した。反応が完結していなかったため、二炭酸ジ-tert-ブチル(10g)を追加添加し、更に室温で20時間撹拌した。飽和炭酸水素ナトリウム水溶液(1000mL)及びジクロロメタン(300g)を加え、分液した。有機層を純水(450mL)、飽和塩化ナトリウム水溶液(300mL)の順に洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥させた後、濾過し、濾液を濃縮することで粗体を得た(198g)。粗体に対し、酢酸エチル(600g)を加えて70℃で加熱溶解させた後、ヘキサン(1000g)を加え、冷却した。そして、濾過し、濾物を乾燥させることで化合物[3]を得た(収量:142g、収率:82%、白色結晶)。
1H-NMR(400MHz, DMSO-d6, δppm):9.46(s, 1H), 8.02(s, 1H), 7.69(t, 2H, J = 8.6 Hz), 7.52-7.49(m, 2H), 7.45(dd, 1H, J = 9.0 Hz, 2.2 Hz), 7.43-7.39(m, 2H), 7.37-7.32(m, 2H), 7.17(dd, 1H, J = 9.0 Hz, 2.6 Hz), 5.18(s, 2H), 1.50(s, 9H).
【0071】
化合物[4]の合成
エタノール(976g)に対して、化合物[3](122g、349mmol)及び5%パラジウムカーボン(12.2g)を加え、水素雰囲気下、40℃で96時間撹拌した。得られる撹拌液から触媒を濾別し、濾液を濃縮することで化合物[4]を得た(収量:89.3g、収率:99%、白色結晶)。
1H-NMR(400MHz, DMSO-d6, δppm):9.52(s, 1H), 9.37(s, 1H), 7.94(s, 1H), 7.62-7.59(m, 1H), 7.56(d, 1H, J = 9.2 Hz), 7.39(dd, 1H, J = 9.0 Hz, 2.2 Hz), 7.04-7.00(m, 2H), 1.50(s, 9H).
【0072】
化合物[5]の合成
ジメチルスルホキシド(500g)に対して、4-クロロニトロベンゼン(100g、635mmol)、エチレングリコール(551g)及び水酸化ナトリウム(23.1g)を加え、100℃で19時間撹拌した。室温まで冷却した後、酢酸エチル(560g)及び純水(700g)を加え、分液した。上層を回収したうえで、下層に酢酸エチル(300g)を加えて分液し、上層を合わせた。合わせた上層に純水(400g)及び飽和塩化ナトリウム水溶液(200g)を加えて再度分液し、酢酸エチル層を硫酸ナトリウムで乾燥後、濾過し、濾液を濃縮することで粗体を得た(110g)。粗体に対し、酢酸エチル(330g)を加えて60℃で加熱溶解させた後、ヘキサン(550g)を加え、冷却した。そして、得られる液を濾過し、濾物を乾燥させることで化合物[5]を得た(収量:64.2g、収率:55%、淡黄色結晶)。
1H-NMR(400MHz, DMSO-d6, δppm):8.21(d, 2H, J = 9.4 Hz), 7.16(d, 2H, J = 9.4 Hz), 4.97(t, 1H, J = 5.6 Hz), 4.15(t, 2H, J = 4.8 Hz), 3.77-3.73(m, 2H).
【0073】
化合物[6]の合成
ジクロロメタン(1264g)に対して、化合物[5](63.2g、345mmol)を加え、氷冷下に冷やした。これに対してトリエチルアミン(52.4g)、トシルクロリド(69.0g)及び4-ジメチルアミノピリジン(1.26g)を加え、室温で19時間撹拌した。純水(632g)を加え、分液してジクロロメタン層を回収し、1規定塩酸(300g)、純水(300g)、飽和塩化ナトリウム水溶液(300g)の順に分液洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥させて、濾過し、濾液を濃縮することで化合物[6]を得た(収量:108g、収率:93%、白色結晶)。
1H-NMR(400MHz, DMSO-d6, δppm):8.18(d, 2H, J = 9.2 Hz), 7.80(d, 2H, J = 8.6 Hz), 7.47(d, 2H, J = 8.6 Hz), 7.05(d, 2H, J = 9.2 Hz), 4.40-4.37(m, 2H), 4.35-4.31(m, 2H), 2.41(s, 3H).
【0074】
化合物[7]の合成
ジメチルホルムアミド(360g)に対して、化合物[4](45.0g、174mmol)、化合物[6](61.5g)及び炭酸カリウム(36.0g)を加え、80℃で21時間撹拌した。室温まで冷却した後、純水(720g)を加えて結晶を析出させた。得られる結晶を含む液を濾過し、濾物をメタノール(360g)でスラリー洗浄し、濾過し、濾物を乾燥させることで化合物[7]を得た(収量:67.2g、収率:91%、淡黄土色結晶)。
1H-NMR(400MHz, DMSO-d6, δppm):9.47(s, 1H), 8.23(d, 2H, J = 9.2 Hz), 8.02(s, 1H), 7.72-7.69(m, 2H), 7.46(dd, 1H, J = 8.8 Hz, 2.0 Hz), 7.31(d, 1H, J = 2.4 Hz), 7.24(d, 2H, J = 9.2 Hz), 7.14(dd, 1H, J = 9.0 Hz, 2.6 Hz), 4.56-4.53(m, 2H), 4.46-4.43(m, 2H), 1.50(s, 9H).
【0075】
化合物[8]の合成
クロロホルム(1096g)に対して、化合物[7](73.1g、172mmol)を加えて、水冷下で撹拌しながら、トリフルオロ酢酸(98.1g)を加え、50℃で19時間撹拌した。得られる撹拌液を室温まで冷却した後、トリエチルアミン(87.0g)及び純水(1096g)を加えて結晶を析出させた。得られる結晶を含む液を濾過し、濾物をメタノール(365g)でスラリー洗浄した後、濾過し、濾物を乾燥させることで粗体を得た(49.5g)。粗体に対し、ジメチルホルムアミド(124g)を加え、80℃で加熱溶解させた後、メタノール(248g)を加えて冷却し、結晶を析出させた。得られる結晶を含む液を濾過し、濾物を乾燥させることで化合物[8]を得た(収量:47.3g、収率:85%、橙色結晶)。
1H-NMR(400MHz, DMSO-d6, δppm):8.23(d, 2H, J = 9.2 Hz), 7.51(dd, 1H, J = 8.8 Hz, 2.4 Hz), 7.45(dd, 1H, J = 8.8 Hz, 2.4 Hz), 7.24(dd, 2H, J = 9.2 Hz, 2.4 Hz), 7.27(s, 1H), 7.01(d, 1H, J = 9.2 Hz), 6.91(d, 1H, J = 8.8 Hz), 6.80(s, 1H), 5.15(br, 2H), 4.55-4.51(m, 2H), 4.41-4.37(m, 2H).
【0076】
化合物[DA―3]の合成
ジメチルホルムアミド(371g)に対して、化合物[8](46.4g、143mmol)及び5%パラジウムカーボン(4.6g)を加え、水素雰囲気下、60℃で19時間撹拌した。反応があまり進行していなかったため、オートクレーブ中、0.4MPa水素雰囲気下、60℃で8時間撹拌した。窒素置換した後、触媒を濾別し、濾液を濃縮させて内容量を80gとした。ジメチルホルムアミド(46g)を加え、90℃で加熱溶解させた後、メタノール(210g)を加えて冷却し、結晶を析出させた。そして、得られる結晶を含む液を濾過し、濾物を乾燥させることで、化合物[DA―3]を得た(収量:33.4g、収率:79%、淡紫色結晶)。
1H-NMR(400MHz, DMSO-d6, δppm):7.50(d, 1H, J = 8.8 Hz), 7.44(d, 1H, J = 8.8 Hz), 7.13(d, 1H, J = 2.8 Hz), 7.00(dd, 1H, J = 8.8 Hz, 2.8 Hz), 6.90(dd, 1H, J = 8.8 Hz, 2.4 Hz), 6.79(d, 1H, J = 2.4 Hz), 6.71(d, 2H, J = 8.8 Hz), 6.52(d, 2H, J = 8.8 Hz), 5.13(br, 2H), 4.63(br, 2H), 4.28-4.25(m, 2H), 4.20-4.17(m, 2H).
【0077】
2.化合物[DA―4]の合成例
以下のスキームに従って化合物[DA-4]を合成した。
【0078】
【化27】
【0079】
化合物[4]の合成
化合物[3]の合成中間体である化合物[4]を使用した。
【0080】
化合物[9]の合成
ジメチルホルムアミド(607g)中、エチレングリコールジトシラート(60.7g、164mmol)、化合物[4](89.3g)及び炭酸カリウム(56.7g)加え、80℃で22時間撹拌した。撹拌液を室温まで冷却した後、純水(1200g)を加えて結晶を析出させた。そして、得られる結晶を含む液を濾過し、濾物をメタノール(450g)でスラリー洗浄し、濾過し、濾物を乾燥させることで粗体を得た(83.9g)。粗体に対し、ジメチルホルムアミド(839g)を加え、90℃で加熱溶解させた後、メタノール(839g)を加えて冷却し、結晶を析出させた。そして、得られる結晶を含むを濾過し、濾物を乾燥させることで化合物[9]を得た(収量:71.2g、収率:80%、橙色結晶)。
1H-NMR(400MHz, DMSO-d6, δppm):9.43(s, 2H), 7.99(br, 2H), 7.67(d, 4H, J = 8.8 Hz), 7.43(dd, 2H, J = 8.8 Hz, 2.4 Hz), 7.28(d, 2H, J = 2.4 Hz), 7.12(dd, 2H, J = 8.8Hz, 2.4 Hz), 4.42(s, 4H), 1.47(s, 18H).
【0081】
化合物[DA-4]の合成
クロロホルム(1143g)中、化合物[9](71.2g、129mmol)を加えて、水冷下に冷やした。これにトリフルオロ酢酸(160g)を加え、50℃で24時間撹拌した。室温まで冷却した後、トリエチルアミン(142g)及び純水(1143g)を加えて結晶を析出させた。そして、得られる結晶を含む液を濾過し、濾物をメタノール(400g)でスラリー洗浄し、濾過し、濾物を乾燥させることで粗体を得た(37.5g)。粗体に対し、ジメチルホルムアミド(225g)を加え、90℃で加熱溶解させた後、メタノール(225g)を加えて冷却し、結晶を析出させた。得られる結晶を含む液を濾過し、濾物を乾燥させることで化合物[DA―4]を得た(収量:33.5g、収率:75%、淡赤紫色結晶)。
1H-NMR(400MHz, DMSO-d6, δppm):7.51(d, 2H, J = 8.8 Hz), 7.45(d, 2H, J = 8.8 Hz), 7.17(d, 2H, J = 2.4 Hz), 7.02(dd, 2H, J = 8.8 Hz, 2.4 Hz), 6.91(dd, 2H, J = 8.8Hz, 2.4 Hz), 6.80(d, 2H, J = 2.4 Hz), 5.14(br, 4H), 4.37(s, 4H).
【0082】
3.化合物[DA―5]の合成例
以下のスキームに従って化合物[DA―5]を合成した。
【0083】
【化28】
【0084】
化合物[4]の合成
化合物[3]の合成中間体である化合物[4]を使用した。
【0085】
化合物[10]の合成
ジメチルホルムアミド(35g)中、4-ヒドロキシ-4’-ニトロビフェニル(5.00g、23.2mmol)及び炭酸カリウム(8.02g)を加え、80℃で30分撹拌した。そこに、2-ブロモエタノール(4.35g)のジメチルホルムアミド(5g)溶液を加え、100℃で16時間撹拌した。室温まで冷却した後、純水(80g)を加えて撹拌し、析出物を濾別した。濾物をメタノール(35g)でスラリー洗浄し、濾過し、濾物を乾燥させることで化合物[10]を得た(収量:4.35g、収率:72%、黄色結晶)。
1H-NMR(400MHz, DMSO-d6, δppm):8.27(d, 2H, J = 7.2 Hz), 7.92(d, 2H, J = 7.2 Hz), 7.76(d, 2H, J = 6.8 Hz), 7.09(d, 2H, J = 6.8 Hz), 4.90(t, 1H, J = 4.2Hz), 4.07(t, 2H, J = 4.0 Hz), 3.77-3.73(m, 2H).
【0086】
化合物[11]の合成
ジクロロメタン(80g)中、化合物[10](4.00g、15.4mmol)を加え、氷冷下に冷やした。これにトリエチルアミン(2.34g)、トシルクロリド(3.09g)及び4-ジメチルアミノピリジン(0.06g)を加え、室温で21時間撹拌した。純水(40g)を加え、分液してジクロロメタン層を回収し、1規定塩酸(40g)、純水(40g)、飽和塩化ナトリウム水溶液(20g)の順に分液洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥させて、濾過し、濾液を濃縮することで化合物[11]を得た(収量:6.10g、収率:96%、橙色固体)。
1H-NMR(400MHz, DMSO-d6, δppm):8.27(d, 2H, J = 7.2 Hz), 7.92(d, 2H, J = 7.2 Hz), 7.81(d, 2H, J = 6.8 Hz), 7.74(d, 2H, J = 7.2 Hz), 7.48(d, 2H, J = 6.8 Hz), 7.00(d, 2H, J = 7.2 Hz), 4.39-4.36(m, 2H), 4.26-4.23(m, 2H), 2.09(s, 3H).
【0087】
化合物[12]の合成
ジメチルホルムアミド(36g)中、化合物[4](3.64g、14.0mmol)、化合物[11](6.10g)及び炭酸カリウム(2.91g)を加え、80℃で21時間撹拌した。室温まで冷却した後、純水(72g)を加えて結晶を析出させた。濾過し、濾物をメタノール(36g)でスラリー洗浄し、濾過し、濾物を乾燥させることで化合物[12]を得た(収量:5.80g、収率:83%、淡黄色結晶)。
1H-NMR(400MHz, DMSO-d6, δppm):9.44(s, 1H), 8.27(d, 2H, J = 7.2 Hz), 8.01(s, 1H), 7.94(d, 2H, J = 7.2 Hz), 7.80-7.77(m, 2H), 7.71(d, 2H, J = 7.2 Hz), 7.47(dd, 1H, J = 7.2 Hz, 1.6 Hz), 7.31(d, 1H, J = 1.6 Hz), 7.19-7.15(m, 3H), 4.46-4.44(m, 4H), 1.50(s, 9H).
【0088】
化合物[13]の合成
クロロホルム(87g)中、化合物[12](5.80g、11.6mmol)を加えて、水冷下に冷やした。そこに、トリフルオロ酢酸(6.61g)を加え、50℃で22時間撹拌した。室温まで冷却した後、トリエチルアミン(5.86g)及び純水(87g)を加えて結晶を析出させた。得られる結晶を含む液を濾過し、濾物をメタノール(60g)でスラリー洗浄した後、濾過し、濾物を乾燥させることで粗体を得た(4.3g)。粗体に対し、ジメチルホルムアミド(43g)を加え、80℃で加熱撹拌した後、メタノール(43g)を加えて冷却し、濾過し、濾物を乾燥させることで化合物[13]を得た(収量:4.13g、収率:89%、橙色結晶)。
1H-NMR(400MHz, DMSO-d6, δppm):8.27(d, 2H, J = 6.8 Hz), 7.94(d, 2H, J = 6.8 Hz), 7.78(d, 2H, J = 6.8 Hz), 7.52(d, 1H, J = 6.8 Hz), 7.46(d, 1H, J = 6.8 Hz), 7.47-7.45(m, 3H), 7.03(d, 1H, J = 6.8 Hz), 6.92(d, 1H, J = 6.8 Hz), 6.82(s, 1H), 5.22(br, 2H), 4.46-4.42(m, 2H), 4.40-4.37(m, 2H).
【0089】
化合物[DA―5]の合成
ジメチルホルムアミド(41g)中、化合物[13](4.13g、10.3mmol)及び5%パラジウムカーボン(0.41g)を加え、水素雰囲気下、室温で25時間撹拌した。窒素置換した後、ジメチルホルムアミド(82g)を加えて120℃に加熱し、熱時濾過により触媒を濾別し、濾液を濃縮することで粗体を得た(3.84g)。粗体に対し、ジメチルホルムアミド(19g)を加えて100℃で加熱溶解させた後、メタノール(31g)を少しずつ加えて冷却し、結晶を析出させた。得られる結晶を含む液を濾過し、濾物を乾燥させることで、化合物[DA―5]を得た(収量:3.33g、収率:87%、茶色結晶)。
1H-NMR(400MHz, DMSO-d6, δppm):7.51(d, 1H, J = 6.8 Hz), 7.47-7.44(m, 3H), 7.29(d, 2H, J = 6.8 Hz), 7.16(d, 1H, J = 1.6 Hz), 7.03-6.99(m, 3H), 6.91(dd, 1H, J = 6.8 Hz, 1.6 Hz), 6.80(d, 1H, J = 1.6 Hz), 6.62(d, 2H, J = 6.8 Hz), 5.11(br, 4H), 4.35(br, 4H).
【0090】
4.化合物[DA-14]の合成例
1,2-エチレンジオールを1,3-プロパンジオールに変更したこと以外は、化合物[DA-3]の合成方法と同様の合成方法によって、化合物[DA-14]を得た。
【0091】
5.化合物[DA-15]の合成例
エチレングリコールジトシラートを1,3-プロパンジオールジトシラートに変更したこと以外は、化合物[DA-4]の合成方法と同様の合成方法によって、化合物[DA-15]を得た。
【0092】
[粘度]
E型粘度計TVE-22H(東機産業社製)を用い、サンプル量1.1mL、コーンロータTE-1(1°34’、R24)、温度25℃で測定した。
[分子量]
GPC(常温ゲル浸透クロマトグラフィー)装置によって測定し、ポリエチレングリコール、ポリエチレンオキシド換算値として数平均分子量(Mn)と重量平均分子量(Mw)を算出した。
GPC装置:Shodex社製(GPC-101)、カラム:Shodex社製(KD803、KD805の直列)、カラム温度:50℃、溶離液:N,N-ジメチルホルムアミド(添加剤として、臭化リチウム-水和物(LiBr・HO)が30mmol/L、リン酸・無水結晶(o-リン酸)が30mmol/L、テトラヒドロフラン(THF)が10ml/L)、流速:1.0ml/分
検量線作成用標準サンプル:東ソー社製 TSK 標準ポリエチレンオキサイド(重量平均分子量(Mw) 約900,000、150,000、100,000、30,000)、及び、ポリマーラボラトリー社製 ポリエチレングリコール(ピークトップ分子量(Mp)約12,000、4,000、1,000)。測定は、ピークが重なるのを避けるため、900,000、100,000、12,000、1,000の4種類を混合したサンプル、及び150,000、30,000、4,000の3種類を混合したサンプルの2サンプルを別々に測定した。
【0093】
<イミド化率の測定>
ポリイミド粉末20mgをNMRサンプル管(NMRサンプリングチューブスタンダード,φ5(草野科学社製))に入れ、重水素化ジメチルスルホキシド(DMSO-d6,0.05%TMS(テトラメチルシラン)混合品)(0.53ml)を添加し、超音波をかけて完全に溶解させた。この溶液をNMR測定機(JNW-ECA500、日本電子データム社製)にて500MHzのプロトンNMRを測定した。イミド化率は、イミド化前後で変化しない構造に由来するプロトンを基準プロトンとして決め、このプロトンのピーク積算値と、9.5ppm~10.0ppm付近に現れるアミド酸のNH基に由来するプロトンピーク積算値とを用い以下の式によって求めた。
イミド化率(%)=(1-α・x/y)×100
上記式において、xはアミド酸のNH基由来のプロトンピーク積算値であり、yは基準プロトンのピーク積算値であり、αはポリアミド酸(イミド化率が0%)の場合におけるアミド酸のNH基プロトン1個に対する基準プロトンの個数割合である。
【0094】
[FFS駆動液晶セルの構成]
フリンジフィールドスィッチング(Fringe Field Switching:FFS)モード用の液晶セルは、面形状の共通電極-絶縁層-櫛歯形状の画素電極からなるFOP(Finger on Plate)電極層が表面に形成されている第1のガラス基板と、表面に高さ4μmの柱状スペーサーを有し裏面に帯電防止の為のITO膜が形成されている第2のガラス基板とを、一組とした。上記の画素電極は、中央部分が内角160°で屈曲した幅3μmの電極要素が6μmの間隔を開けて平行になるように複数配列された櫛歯形状を有しており、1つの画素は、複数の電極要素の屈曲部を結ぶ線を境に第1領域と第2領域を有している。
なお、第1のガラス基板に形成する液晶配向膜は、画素屈曲部の内角を等分する方向と液晶の配向方向とが直交するように配向処理し、第2のガラス基板に形成する液晶配向膜は、液晶セルを作製した時に第1の基板上の液晶の配向方向と第2の基板上の液晶の配向方向とが一致するように配向処理する。
【0095】
[液晶セルの作製]
上記一組のガラス基板それぞれの表面に、孔径1.0μmのフィルターで濾過した液晶配向剤をスピンコート塗布にて塗布し80℃のホットプレート上で2分間乾燥させた。その後、塗膜面に偏光板を介して消光比26:1の直線偏光した波長254nmの紫外線を所定量照射し、次いで230℃の熱風循環式オーブンで30分間焼成を行い、膜厚100nmの液晶配向膜付き基板を得た。
次に、上記一組の液晶配向膜付きガラス基板の一方にシール剤を印刷し、もう一方の基板を液晶配向膜面が向き合うように貼り合わせ、シール剤を硬化させて空セルを作製した。この空セルに減圧注入法によって、液晶MLC-3019(メルク社製)を注入し、注入口を封止して、FFS駆動液晶セルを得た。その後、得られた液晶セルを120℃で1時間加熱し、一晩放置してから残像特性の評価を実施した。
【0096】
[長期交流駆動による残像特性評価]
上記で作製したFFS駆動液晶セルに対し、60℃の恒温環境下、周波数60Hzで±5Vの交流電圧を120時間印加した。その後、液晶セルの画素電極と対向電極との間をショートさせた状態にし、そのまま室温に一日放置した。
上記の処理を行った液晶セルに関して、電圧無印加状態における、画素の第1領域の液晶の配向方向と第2領域の液晶の配向方向とのずれを角度として算出した。
具体的には、偏光軸が直交するように配置された2枚の偏光板の間に液晶セルを設置し、バックライトを点灯させ、画素の第1領域の透過光強度が最も小さくなるように液晶セルの配置角度を調整し、次に画素の第2領域の透過光強度が最も小さくなるように液晶セルを回転させたときに要する回転角度を求めた。
長期交流駆動による残像特性は、この回転角度の値が小さいほど良好であると言える。液晶セルの角度Δの値が0.1°以下の場合には「良好」と評価した。
【0097】
[ポリアミック酸及びポリイミドの合成例]
以下、ポリアミック酸及びポリイミドの合成例を示す。なお、それらの命名において、Aは(A)成分であること、Bは(B)成分であること、Cは(A)成分と(B)成分のいずれでもないこと、及びPIはポリイミドであることを表す。
【0098】
<合成例1>
撹拌装置付き及び窒素導入管付きの200mL四つ口フラスコに、DA-1を1.95g(8.00mmol)、DA-2を1.30g(12.0mmol)、DA-3を3.53g(12.0mmol)及びDA-7を1.90g(8.00mmol)を取り、NMPを99.73g加えて、窒素を送りながら撹拌し溶解させた。このジアミン溶液を撹拌しながら、CA-1を7.35g(32.8mmol)、CA-2を1.50g(6.0mmol)添加し、40℃で24時間撹拌してポリアミック酸溶液(A-1)(粘度:460mPa・s)を得た。ポリアミック酸の分子量は、Mn=9100、Mw=28000であった。
【0099】
<合成例2~11、16~19>
ジアミン成分及びテトラカルボン酸成分を下記表1に示すものに変更したこと以外は、合成例1と同様に実施することにより、下記表1に示すポリアミック酸溶液(A-2)~(A-11)、(B-1)~(B-4)を得た。得られたポリアミック酸の粘度、及び分子量は、下記表1に示す。
【0100】
【表1】
【0101】
<合成例12>
撹拌装置付き及び窒素導入管付きの3L四つ口フラスコに得られたポリアミック酸溶液(A-1)を100g取り、NMPを50g加え、30分撹拌した。得られたポリアミック酸溶液に、無水酢酸を16.30g、ピリジンを5.05g加えて、50℃で3時間加熱し、化学イミド化を行った。得られた反応液を600mlのメタノールに撹拌しながら投入し、析出した沈殿物を濾取し、同様の操作を2回実施することで樹脂粉末を洗浄した後、60℃で12時間乾燥することで、ポリイミド樹脂粉末を得た。このポリイミド樹脂粉末のイミド化率は71%であり、Mn=11000、Mw=38000であった。得られたポリイミド樹脂粉末3.60gを100ml三角フラスコに取り、固形分濃度が12%になるようにNMPを26.4g加え、70℃で24時間撹拌し溶解させてポリイミド溶液(A-1-PI)を得た(下記表2参照)。
【0102】
<合成例13~15、20~21>
ポリアミック酸溶液(A-1)の代わりに、下記表2のポリアミックを使用したこと、及びイミド化条件を下記表2のイミド化条件に変更したこと以外は、合成例8と同様に実施することにより、ポリイミド溶液(A-2-PI)~ポリイミド溶液(A-11-PI)を得た。得られたポリイミドの分子量は、下記表2に示す。
【0103】
【表2】
【0104】
[液晶配向剤の製造]
<実施例1>
合成例12で得られた12質量%のポリイミド酸溶液(A-1―PI)4.0g、及び合成例10で得られた15質量%のポリアミック酸溶液(B-1)4.8gを50ml三角フラスコに取り、NMP1.20g、GBL6.00g及びBCS4.00gを加え、25℃にて8時間混合して、液晶配向剤(1)を得た(下記表3参照)。この液晶配向剤には、濁りや析出などの異常は見られず、均一な溶液であることが確認された。
【0105】
<実施例2~16、比較例1~2>
ポリイミド酸溶液(A-1―PI)及びポリアミック酸溶液(B-1)の代わりに、下記表3のポリアミック酸溶液及びポリイミド溶液を用いたこと以外は、実施例1と同様に実施することにより、液晶配向剤(2)~(18)を得た。これらの液晶配向剤には、濁りや析出などの異常は見られず、均一な溶液であることが確認された。
【0106】
【表3】
【0107】
[長期交流駆動による残像評価結果(紫外線照射前に焼成を行った場合)]
<実施例21>
実施例1の液晶配向剤(1)を孔径1.0μmのフィルターで濾過した後、準備された上記電極付き基板と裏面にITO膜が成膜されている高さ4μmの柱状スペーサーを有するガラス基板に、スピンコート塗布にて塗布した。80℃のホットプレート上で2分間乾燥させた後、230℃の熱風循環式オーブンで30分間焼成を行い、膜厚100nmの塗膜を形成させた。この塗膜面に偏光板を介して消光比26:1の直線偏光した波長254nmの紫外線を照射した後、230℃の熱風循環式オーブンで30分間焼成させて、液晶配向膜付き基板を得た。得られた上記2枚の基板を一組とし、基板上にシール剤を印刷し、もう1枚の基板を、液晶配向膜面が向き合い配向方向が0°になるようにして張り合わせた後、シール剤を硬化させて空セルを作製した。この空セルに減圧注入法によって、液晶MLC-3019(メルク社製)を注入し、注入口を封止して、FFS駆動液晶セルを得た。その後、得られた液晶セルを120℃で1時間加熱し、一晩放置して、長期交流駆動による残像評価を実施した。長期交流駆動後におけるこの液晶セルの角度Δの値は、上記紫外線の照射量が200mJ/cmの場合には、0.09°であり、300mJ/cmの場合には、0.1°であり、いずれも0.1°以下であるから、液晶配向剤(1)によれば良好な液晶配向性が得られた(下記表4参照)。
【0108】
<実施例22~32、比較例21、22>
実施例1の液晶配向剤(1)の代わりに、下記表4に示した液晶配向剤を用いたこと、及び紫外線照射量を下記表4の紫外線照射量に変更したこと以外は、実施例21と全く同様の方法によってFFS駆動液晶セルを作製し、長期交流駆動による残像評価を実施した。それぞれにおける長期交流駆動後におけるこの液晶セルの角度Δの値を表4に示す。
【0109】
【表4】
【0110】
[長期交流駆動による残像評価結果(紫外線照射前に焼成を行わなかった場合)]
<実施例41>
実施例1の液晶配向剤(1)を用いて孔径1.0μmのフィルターで濾過した後、準備された上記電極付き基板と裏面にITO膜が成膜されている高さ4μmの柱状スペーサーを有するガラス基板に、スピンコート塗布にて塗布した。80℃のホットプレート上で2分間乾燥させた後、この塗膜面に偏光板を介して消光比26:1の直線偏光した波長254nmの紫外線を照射した後、230℃の熱風循環式オーブンで30分間焼成させて、膜厚100nmの液晶配向膜付き基板を得た。得られた上記2枚の基板を一組とし、基板上にシール剤を印刷し、もう1枚の基板を、液晶配向膜面が向き合い配向方向が0°になるようにして張り合わせた後、シール剤を硬化させて空セルを作製した。この空セルに減圧注入法によって、液晶MLC-3019(メルク社製)を注入し、注入口を封止して、FFS駆動液晶セルを得た。その後、得られた液晶セルを120℃で1時間加熱し、一晩放置して、長期交流駆動による残像評価を実施した。長期交流駆動後におけるこの液晶セルの角度Δの値は、上記紫外線の照射量が200mJ/cmの場合には、0.07°であり、300mJ/cmの場合には、0.07°であり、いずれも0.1°以下であるから、液晶配向剤(1)によれば良好な液晶配向性が得られた(下記表5参照)。
【0111】
<実施例42~49、比較例41、42>
実施例1の液晶配向剤(1)の代わりに、下記表5に示した液晶配向剤を用いたこと、及び紫外線照射量を下記表5の紫外線照射量に変更したこと以外は、実施例41と全く同様の方法によってFFS駆動液晶セルを作製し、長期交流駆動による残像評価を実施した。それぞれにおける長期交流駆動後におけるこの液晶セルの角度Δの値を表5に示す。
【0112】
【表5】
【0113】
表4及び表5に示すように、実施例1~12は角度Δ(deg.)も0.1°以下の角度Δであり良好な残像特性であることから、液晶表示素子の表示品位改善に優れる。
【産業上の利用可能性】
【0114】
本発明の液晶配向剤は、高精細化、低コスト化が要求される大型液晶表示素子や、スマートフォン、携帯電話などのモバイル用液晶表示素子などの広範な分野で使用される。
なお、2018年10月18日に出願された日本特許出願2018-196761号の明細書、特許請求の範囲、図面、及び要約書の全内容をここに引用し、本発明の明細書の開示として、取り入れるものである。