(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-11
(45)【発行日】2023-12-19
(54)【発明の名称】伝搬特性推定装置、伝搬特性推定方法、及び伝搬特性推定プログラム
(51)【国際特許分類】
H04W 16/18 20090101AFI20231212BHJP
H04W 16/22 20090101ALI20231212BHJP
H04B 17/391 20150101ALI20231212BHJP
【FI】
H04W16/18
H04W16/22
H04B17/391
(21)【出願番号】P 2021550926
(86)(22)【出願日】2019-10-04
(86)【国際出願番号】 JP2019039353
(87)【国際公開番号】W WO2021064999
(87)【国際公開日】2021-04-08
【審査請求日】2022-03-17
(73)【特許権者】
【識別番号】000004226
【氏名又は名称】日本電信電話株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003199
【氏名又は名称】弁理士法人高田・高橋国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】久野 伸晃
(72)【発明者】
【氏名】山田 渉
(72)【発明者】
【氏名】守山 貴庸
(72)【発明者】
【氏名】鷹取 泰司
【審査官】吉村 真治▲郎▼
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-122008(JP,A)
【文献】特開2019-029915(JP,A)
【文献】特開2013-026884(JP,A)
【文献】久野 伸晃 Nobuaki KUNO,電子情報通信学会2019年総合大会講演論文集 通信1 PROCEEDINGS OF THE 2019 IEICE GENERAL CONFERENCE,2019年03月
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04B 7/24- 7/26
H04W 4/00-99/00
H04B 17/391
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
無線通信を行う送信局と受信局との間の電波の伝搬特性を推定する伝搬特性推定装置において、
外部からの入力情報に基づいて、前記送信局及び前記受信局の位置情報、並びに前記送信局が送信する電波の周波数をそれぞれ抽出する抽出部と、
前記位置情報及び前記周波数それぞれに基づいて、前記送信局と前記受信局との間の三次元距離及び電波の自由空間損失を算出する計算部と、
前記送
信局、前記受信局
、及び1つ以上の電波を反射し得る建造物を含む領域の二次元画像から、電波を反射する建造物の前記二次元画像上のエッジをそれぞれ抽出する処理を行う処理部と、
前記位置情報、前記三次元距離、前記自由空間損失、及び前記エッジに基づいて、機械学習に用いる入力データを生成する生成部と、
前記生成部が生成した前記入力データを用いて前記送信局と前記受信局との間の電波の伝搬特性を推定する機械学習を行う学習部と
を有することを特徴とする伝搬特性推定装置。
【請求項2】
前記生成部は、
前記送信局と前記受信局とを結ぶ線分と、前記エッジとが交差するか否かを判定する判定部と、
前記線分と前記エッジとが交差すると前記判定部が判定した場合には、前記送信局から最寄りの建造物の前記エッジまでの距離を第1距離として、前記受信局から最寄りの建造物の前記エッジまでの距離を第2距離とする設定を行い、前記線分と前記エッジとが交差しないと前記判定部が判定した場合には、前記送信局と前記受信局との二次元距離を第1距離及び第2距離であるとする設定を行い、設定した前記第1距離及び前記第2距離を前記入力データに含めるように決定する決定部と
を有することを特徴とする請求項1に記載の伝搬特性推定装置。
【請求項3】
無線通信を行う送信局と受信局との間の電波の伝搬特性を
伝搬特性推定装置が推定する伝搬特性推定方法において、
外部からの入力情報に基づいて、前記送信局及び前記受信局の位置情報、並びに前記送信局が送信する電波の周波数をそれぞれ抽出する抽出工程と、
前記位置情報及び前記周波数それぞれに基づいて、前記送信局と前記受信局との間の三次元距離及び電波の自由空間損失を算出する計算工程と、
前記送
信局、前記受信局
、及び1つ以上の電波を反射し得る建造物を含む領域の二次元画像から、電波を反射する建造物の前記二次元画像上のエッジをそれぞれ抽出する処理を行う処理工程と、
前記位置情報、前記三次元距離、前記自由空間損失、及び前記エッジに基づいて、機械学習に用いる入力データを生成する生成工程と、
生成した前記入力データを用いて前記送信局と前記受信局との間の電波の伝搬特性を推定する機械学習を行う学習工程と
を含むことを特徴とする伝搬特性推定方法。
【請求項4】
前記生成工程は、
前記送信局と前記受信局とを結ぶ線分と、前記エッジとが交差するか否かを判定する判定工程と、
前記線分と前記エッジとが交差すると判定した場合には、前記送信局から最寄りの建造物の前記エッジまでの距離を第1距離として、前記受信局から最寄りの建造物の前記エッジまでの距離を第2距離とする設定を行い、前記線分と前記エッジとが交差しないと判定した場合には、前記送信局と前記受信局との二次元距離を第1距離及び第2距離であるとする設定を行い、設定した前記第1距離及び前記第2距離を前記入力データに含めるように決定する決定工程と
を含むことを特徴とする請求項3に記載の伝搬特性推定方法。
【請求項5】
請求項1又は2に記載の伝搬特性推定装置の各部としてコンピュータを機能させるための伝搬特性推定プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、伝搬特性推定装置、伝搬特性推定方法、及び伝搬特性推定プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
無線通信システムにおいて、送信局から受信局へ送信される電波の伝搬損失を推定する方法は、例えばサイトスペシフィックな方法とサイトジェネラルな方法の2種類に大別される。サイトスペシフィックな推定方法は、場所固有の伝搬損失を推定する方法である。一方、サイトジェネラルな推定方法は、場所固有ではない一般的な伝搬特性の傾向を推定する方法である。
【0003】
例えば、サイトスペシフィックな推定方法では、国土地理院などが発行する土地利用分布と地形情報を主に利用して周辺建物の影響を考慮することによって電波の伝搬損失の推定を行う(特許文献1,2、非特許文献1,2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2014-158110号公報
【文献】特開2019-122008号公報
【非特許文献】
【0005】
【文献】N.Kuno, Y.Takatori, “Prediction Method by Deep-Learning for Path Loss Characteristics in an Open-Square Environment,” ISAP 2018, pp. 1-2, Oct. 2018.
【文献】N.Kuno, W.Yamada, M.Sasaki, Y.Takatori, “Convolutional Neural Network for Prediction Method of Path Loss Characteristics considering Diffraction and Reflection in an Open-Square Environment,” 2019 AP-RASC, pp. 1-3, March 2019.
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、送信局及び受信局を含む領域が広範囲である場合、電波の伝搬損失を推定するために読込むべき周辺の建物情報が膨大となり、建物情報の読込に用いるメモリや、読込に必要な時間が増大してしまうという問題があった。
【0007】
本発明は、電波の伝搬特性を推定するために必要なデータの記憶容量及び読込時間を削減することができる伝搬特性推定装置、伝搬特性推定方法、及び伝搬特性推定プログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の一態様にかかる伝搬特性推定装置は、無線通信を行う送信局と受信局との間の電波の伝搬特性を推定する伝搬特性推定装置において、外部からの入力情報に基づいて、前記送信局及び前記受信局の位置情報、並びに前記送信局が送信する電波の周波数をそれぞれ抽出する抽出部と、前記位置情報及び前記周波数それぞれに基づいて、前記送信局と前記受信局との間の三次元距離及び電波の自由空間損失を算出する計算部と、前記送信局、前記受信局、及び1つ以上の電波を反射し得る建造物を含む領域の二次元画像から、電波を反射する建造物の前記二次元画像上のエッジをそれぞれ抽出する処理を行う処理部と、前記位置情報、前記三次元距離、前記自由空間損失、及び前記エッジに基づいて、機械学習に用いる入力データを生成する生成部と、前記生成部が生成した前記入力データを用いて前記送信局と前記受信局との間の電波の伝搬特性を推定する機械学習を行う学習部とを有することを特徴とする。
【0009】
また、本発明の一態様にかかる伝搬特性推定方法は、無線通信を行う送信局と受信局との間の電波の伝搬特性を伝搬特性推定装置が推定する伝搬特性推定方法において、外部からの入力情報に基づいて、前記送信局及び前記受信局の位置情報、並びに前記送信局が送信する電波の周波数をそれぞれ抽出する抽出工程と、前記位置情報及び前記周波数それぞれに基づいて、前記送信局と前記受信局との間の三次元距離及び電波の自由空間損失を算出する計算工程と、前記送信局、前記受信局、及び1つ以上の電波を反射し得る建造物を含む領域の二次元画像から、電波を反射する建造物の前記二次元画像上のエッジをそれぞれ抽出する処理を行う処理工程と、前記位置情報、前記三次元距離、前記自由空間損失、及び前記エッジに基づいて、機械学習に用いる入力データを生成する生成工程と、生成した前記入力データを用いて前記送信局と前記受信局との間の電波の伝搬特性を推定する機械学習を行う学習工程とを含むことを特徴とする。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】一実施形態にかかる伝搬特性推定方法の概要を示す図である。
【
図2】一実施形態にかかる伝搬特性推定装置が有する機能を示す機能ブロック図である。
【
図3】処理部が建造物の二次元画像上のエッジをそれぞれ抽出する処理を模式的に示す図である。
【
図4】学習部が用いる多層パーセプトロンを例示する図である。
【
図5】伝搬特性推定装置が機械学習を行う場合の動作例を示すフローチャートである。
【
図6】入力データ生成部の具体的な動作例を示すフローチャートである。
【
図7】一実施形態にかかる伝搬特性推定装置のハードウェア構成例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下に、図面を用いて伝搬特性推定装置及び伝搬特性推定方法の一実施形態を説明する。
図1は、一実施形態にかかる伝搬特性推定方法の概要を示す図である。
【0012】
一実施形態にかかる伝搬特性推定方法では、例えば衛星写真などの地表の状態や建物などを示す二次元画像から建物のエッジを抽出し、当該エッジからなる建物情報を取得する。そして、二次元画像内に固定局(送信局)の位置を設定し、移動局(受信局)における伝搬特性を推定する。この推定には、任意の非線形関数への回帰が可能なニューラルネットワーク(
図4参照)を用いる。
【0013】
図2は、一実施形態にかかる伝搬特性推定装置1が有する機能を示す機能ブロック図である。伝搬特性推定装置1は、例えば衛星写真などの地表の状態や建物などを示す二次元画像を記憶する画像記憶部2から、衛星写真などの二次元画像を取得し、二次元画像に含まれる領域内の電波の伝搬特性を推定する。画像記憶部2は、伝搬特性推定装置1内に設けられていてもよい。
【0014】
図2に示すように、伝搬特性推定装置1は、入力部10、入力データ生成部12、学習部14及びモデル記憶部16を有する。入力部10は、電波の伝搬特性を推定する対象となる送信局及び受信局の位置を示す位置情報、並びに送信局が送信する電波の周波数fなどを含む情報を、ユーザの操作に応じて入力データ生成部12へ入力する入力装置としての機能を備える。
【0015】
入力データ生成部12は、抽出部120、計算部122、取得部124、処理部126及び生成部128を有する。
【0016】
抽出部120は、入力部10から入力された情報から、送信局及び受信局の位置情報、並びに電波の周波数fなどの情報を抽出し、抽出した情報を計算部122に対して出力する。
【0017】
計算部122は、抽出部120から入力された情報を用いて、送信局と受信局との間の三次元距離(斜距離d3D)及び電波の自由空間損失LFSを算出し、算出結果及び抽出部120から入力された情報などを、取得部124及び生成部128に対して出力する。
【0018】
例えば、計算部122は、下式(1)によって斜距離d3Dを算出する。ここでは、送信局の位置をPTx=(xTx,yTx,zTx)とし、受信局の位置をPRx=(xRx,yRx,zRx)としている。
【0019】
【0020】
また、計算部122は、下式(2)によって自由空間損失LFSを算出する。自由空間損失LFSは、後述する学習部14が学習する伝搬損失Lの基準として用いられる。
【0021】
【0022】
取得部124は、画像記憶部2から衛星写真などの二次元画像を取得し、取得した二次元画像と、計算部122から入力された算出結果などの情報を処理部126に対して出力する。例えば、取得部124は、送信局と受信局とを含む所定の領域(推定範囲)の二次元画像を取得する。
【0023】
処理部126は、取得部124から入力された二次元画像から、電波を反射する建造物(建物等)の二次元画像上のエッジをそれぞれ抽出する処理を行い、抽出したエッジを含む情報(例えばエッジ画像)を生成部128に対して出力する。
【0024】
図3は、処理部126が建造物の二次元画像上のエッジをそれぞれ抽出する処理を模式的に示す図である。
図3に示すように、処理部126は、例えば、建物、車及び人が写っている衛星写真(衛星画像)から、電波を反射する建物のエッジのみを抽出したエッジ画像を作成する処理を行う。
【0025】
なお、処理部126は、送信局となっている建造物のエッジを除外して、その他の建造物のエッジを抽出する。送信局となっている建造物のエッジを除外する処理は、生成部128が行ってもよい。
【0026】
生成部128は、判定部130及び決定部132を有し、計算部122及び処理部126それぞれから入力された情報に基づいて、学習部14が行う機械学習に用いる入力データ(入力パラメータ)を生成し、当該入力データを学習部14に対して出力する。計算部122及び処理部126それぞれから生成部128に入力される情報には、送信局及び受信局の位置情報、三次元距離(斜距離d3D)、自由空間損失LFS、及びエッジ(エッジ画像)などがある。
【0027】
例えば、判定部130は、計算部122から入力された送信局及び受信局の位置情報と、処理部126から入力されたエッジ(エッジ画像)とを用いて、送信局と受信局とを結ぶ線分と、エッジとが交差するか否かを判定し、判定結果を決定部132に対して出力する。
【0028】
ここで、判定部130は、線分とエッジとが交差するか否かの判定の結果を、見通し判定FLOSの結果とする。例えば、判定部130が、線分とエッジとが交差すると判定した場合には、見通し判定FLOSが存在すると判定したこととする。また、判定部130が、線分とエッジとが交差しないと判定した場合には、見通し判定FLOSが存在しないと判定したこととする。
【0029】
決定部132は、見通し判定FLOSが存在すると判定部130が判定した場合には、送信局から最寄りの建造物のエッジまでの距離を第1距離(dnTx)とし、受信局から最寄りの建造物のエッジまでの距離を第2距離(dnRx)とする設定を行う。また、決定部132は、見通し判定FLOSが存在しないと判定部130が判定した場合には、送信局と受信局との二次元距離(斜距離d2D)を第1距離(dnTx)及び第2距離(dnRx)であるとする設定を行う。
【0030】
なお、送信局と受信局との二次元距離(斜距離d2D)は、下式(3)によって表される。
【0031】
【0032】
そして、決定部132は、設定した第1距離(dnTx)及び第2距離(dnRx)を、学習部14が行う機械学習に用いる入力データに含めるように決定する。学習部14が行う機械学習に用いる入力データには、例えば、三次元距離(斜距離d3D)、周波数f、自由空間損失LFS、見通し判定FLOSについての判定結果、第1距離(dnTx)及び第2距離(dnRx)が含まれる。
【0033】
学習部14は、生成部128から入力される上述した入力データと、例えばニューラルネットワークを用いて、伝搬損失Lを学習パラメータとする機械学習を行い、学習したモデルをモデル記憶部16に記憶させる。
【0034】
図4は、学習部14が用いる多層パーセプトロンを例示する図である。入力層、隠れ層及び出力層において、ωは重み行列を示し、bは定数項配列を示す。学習部14は、例えば三次元距離(斜距離d
3D)、周波数f、自由空間損失L
FS、見通し判定F
LOSについての判定結果、第1距離(d
nTx)及び第2距離(d
nRx)などを入力パラメータとして、各層の重みを調整する学習を行う。
【0035】
そして、伝搬特性推定装置1は、モデル記憶部16が記憶しているモデルを用いて、送信局と受信局との間の電波の伝搬特性を推定する。
【0036】
次に、伝搬特性推定装置1の動作例について説明する。
図5は、伝搬特性推定装置1が機械学習を行う場合の動作例を示すフローチャートである。
【0037】
図5に示すように、伝搬特性推定装置1は、計算部122が送信局及び受信局の位置(送受信局位置)から斜距離d
3Dを算出する(S100)。また、計算部122は、自由空間損失L
FSを算出する(S102)。
【0038】
取得部124が推定範囲の衛星写真を画像記憶部2から取り込む(S104)と、処理部126は、衛星写真に含まれるビルなどの建物のエッジを抽出する(S106)。
【0039】
次に、判定部130は送受信局間の見通し判定FLOSを算出し(S108)、決定部132は送受信局間の建物までの距離情報(第1距離(dnTx)及び第2距離(dnRx))を決定する算出を行う(S110)。
【0040】
そして、学習部14は、自由空間損失LFS、見通し判定FLOSについての判定結果、及び建物までの距離情報などを用いて学習を行う(S112)。
【0041】
次に、入力データ生成部12の具体的な動作例について説明する。
図6は、入力データ生成部12の具体的な動作例を示すフローチャートである。
【0042】
図6に示すように、入力データ生成部12は、計算部122が送受信局位置から斜距離d
3Dを算出し(S200)、伝搬特性推定装置1における斜距離をd
3Dとする(S202)。
【0043】
また、計算部122は、上式(2)を用いて自由空間損失LFSを算出する(S204)。
【0044】
処理部126は、取得部124が取り込んだ二次元画像からエッジ画像を作成し、作成したエッジ画像から送信局のビルを除外する(S206)。
【0045】
次に、判定部130は、送受信局間線分とその他のエッジの交差を判定し(S208)、交差判定を見通し判定FLOSとする(S210)。そして、生成部128は、見通し判定FLOSが存在すると判定部130が判定した場合(S212:Yes)にはS214の処理に進み、見通し判定FLOSが存在しないと判定部130が判定した場合(S212:No)にはS222の処理に進む。
【0046】
決定部132は、送信局から最寄の建物までの距離を算出し(S214)、第1距離(dnTx)とする(S216)。また、決定部132は、受信局から最寄の建物までの距離を算出し(S218)、第2距離(dnRx)とする(S220)。
【0047】
S222の処理においては、決定部132は、送受信局間の距離(斜距離d2D)を算出し、第1距離(dnTx)及び第2距離(dnRx)とする(S224)。
【0048】
このように、伝搬特性推定装置1は、送信局と受信局とを含む領域の二次元画像から、建造物の二次元画像上のエッジをそれぞれ抽出して機械学習に用いる入力データを生成するので、電波の伝搬特性を推定するために必要なデータの記憶容量及び読込時間を削減することができる。
【0049】
なお、伝搬特性推定装置1が有する各機能は、それぞれ一部又は全部がハードウェアによって構成されてもよいし、CPU等のプロセッサが実行するプログラムとして構成されてもよい。
【0050】
すなわち、本発明にかかる伝搬特性推定装置1は、コンピュータとプログラムを用いて実現することができ、プログラムを記憶媒体に記録することも、ネットワークを通して提供することも可能である。
【0051】
図7は、一実施形態にかかる伝搬特性推定装置1のハードウェア構成例を示す図である。
図7に示すように、伝搬特性推定装置1は、例えば入力部40、出力部41、通信部42、CPU43、メモリ44及びHDD45がバス46を介して接続され、コンピュータとしての機能を備える。また、伝搬特性推定装置1は、記憶媒体47との間でデータを入出力することができるようにされている。
【0052】
入力部40は、例えばキーボード及びマウス等であり、上述した入力部10に対応する。出力部41は、例えばディスプレイなどの表示装置である。通信部42は、例えば有線及び無線のネットワークインターフェースである。
【0053】
CPU43は、伝搬特性推定装置1を構成する各部を制御し、上述した計算等を行う。メモリ44及びHDD45は、データを記憶する記憶部を構成する。特に、メモリ44は、上述した計算に用いる各データを記憶する。記憶媒体47は、伝搬特性推定装置1が有する機能を実行させる伝搬特性推定プログラム等を記憶可能にされている。なお、伝搬特性推定装置1を構成するアーキテクチャは
図7に示した例に限定されない。
【0054】
以上述べた実施形態は、本発明の実施形態を例示的に示すものであって、限定的に示すものではなく、本発明は他の種々の変形態様及び変更態様でも実施することができる。
【符号の説明】
【0055】
1・・・伝搬特性推定装置、2・・・画像記憶部、10・・・入力部、12・・・入力データ生成部、14・・・学習部、16・・・モデル記憶部、40・・・入力部、41・・・出力部、42・・・通信部、43・・・CPU、44・・・メモリ、45・・・HDD、46・・・バス、47・・・記憶媒体、120・・・抽出部、122・・・計算部、124・・・取得部、126・・・処理部、128・・・生成部、130・・・判定部、132・・・決定部