(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-11
(45)【発行日】2023-12-19
(54)【発明の名称】ガラス板および窓
(51)【国際特許分類】
C03C 4/00 20060101AFI20231212BHJP
C03C 3/085 20060101ALI20231212BHJP
C03C 3/083 20060101ALI20231212BHJP
C03C 3/091 20060101ALI20231212BHJP
C03C 3/093 20060101ALI20231212BHJP
C03C 3/087 20060101ALI20231212BHJP
C03C 3/089 20060101ALI20231212BHJP
【FI】
C03C4/00
C03C3/085
C03C3/083
C03C3/091
C03C3/093
C03C3/087
C03C3/089
(21)【出願番号】P 2022095009
(22)【出願日】2022-06-13
(62)【分割の表示】P 2019514662の分割
【原出願日】2018-04-27
【審査請求日】2022-06-13
(31)【優先権主張番号】P 2017090141
(32)【優先日】2017-04-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(31)【優先権主張番号】P 2017140687
(32)【優先日】2017-07-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000000044
【氏名又は名称】AGC株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100083806
【氏名又は名称】三好 秀和
(74)【代理人】
【識別番号】100101247
【氏名又は名称】高橋 俊一
(74)【代理人】
【識別番号】100095500
【氏名又は名称】伊藤 正和
(74)【代理人】
【識別番号】100098327
【氏名又は名称】高松 俊雄
(72)【発明者】
【氏名】前田 枝里子
(72)【発明者】
【氏名】梶原 貴人
(72)【発明者】
【氏名】永井 研輔
(72)【発明者】
【氏名】黒岩 裕
(72)【発明者】
【氏名】加賀谷 修
(72)【発明者】
【氏名】園田 龍太
(72)【発明者】
【氏名】土屋 博之
【審査官】有田 恭子
(56)【参考文献】
【文献】米国特許第04430108(US,A)
【文献】米国特許第04298389(US,A)
【文献】特開平01-103929(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2014/0356576(US,A1)
【文献】特開2004-323310(JP,A)
【文献】特開2001-080933(JP,A)
【文献】特開2003-119048(JP,A)
【文献】特開2013-115741(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C03C 1/00-14/00
INTERGLAD
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
18mm厚さに換算した周波数100GHzにおける電波透過率が20%以上であり、
酸化物基準のモル百分率表示で、各成分を下記含有量:
55≦SiO
2≦75
1.3≦Al
2O
3≦3.35
0≦B
2O
3≦15
0≦MgO≦4.8
0≦CaO≦20
0≦SrO≦4
0≦BaO≦15
0≦Li
2O<0.01
0.1≦Na
2O≦11
1≦K
2O≦16
0≦ZrO
2≦2
0.001≦Fe
2O
3≦5
0.001≦TiO
2≦1.5
1.1≦R
2O≦20
0≦RO≦20
85≦SiO
2+Al
2O
3+MgO+CaO+SrO+BaO+Li
2O+Na
2O+K
2O+Fe
2O
3+TiO
2≦100
0≦7Al
2O
3+3MgO≦23.5
0.05≦Na
2O/R
2O≦0.8
0≦R
2O+B
2O
3≦22
0≦PbO<0.001
0≦ZnO≦8
で含
み、
ROは、MgO、CaO、SrO、およびBaOの含有量の合計を表し、
R
2
Oは、Li
2
O、Na
2
OおよびK
2
Oの含有量の合計を表す、ガラス板。
【請求項2】
18mm厚さに換算した周波数100GHzにおける電波透過率が25%以上である請求項1に記載のガラス板。
【請求項3】
18mm厚さに換算した周波数100GHzにおける電波透過率が84%以下である、請求項1または2に記載のガラス板。
【請求項4】
周波数10GHz、電界強度1V/mの平面波を、開口から2λ離れた波源より、厚さ1.2λのガラス板に入射した場合に、開口から10λ離れた観測点での電界強度をy(V/m)、開口面積S(mm
2)をλ
2で割った値をxとして、線形近似がy>(0.0607×x)である、請求項1~3のいずれか一項に記載のガラス板。
【請求項5】
周波数100GHzにおける近似透過率をy’、ガラス板の厚さをx’(mm)として、指数近似がy’>exp(-0.081×x’)である、請求項1~4のいずれか一項に記載のガラス板。
【請求項6】
18mm厚さに換算した、周波数6~20GHzにおける周波数x’’と電波透過率y’’との関係をy’’=[定数1]×e
[定数2]×x’’という関数に近似した指数近似において、
y’’>0.8619e
-0.015x’’
である、請求項1~5のいずれか一項に記載のガラス板。
【請求項7】
面積が900mm
2以上である、請求項1~6のいずれか一項に記載のガラス板。
【請求項8】
比重が2.40~3.00であり、ヤング率が60GPa~100GPaであり、50℃~350℃の平均線膨張係数が35×10
-7~120×10
-7/℃である、請求項1~7のいずれか一項に記載のガラス板。
【請求項9】
耐水性試験でのNa
2Oの溶出量が0.001mg~0.6mgである、請求項1~8のいずれか一項に記載のガラス板。
【請求項10】
T
2が1750℃以下、T
4が1350℃以下、T
4-T
Lが-150℃以上である、請求項1~9のいずれか一項に記載のガラス板。
(但し、T
2はガラス粘度が10
2(dPa・s)となる温度であり、T
4はガラス粘度が10
4(dPa・s)となる温度であり、T
Lはガラスの液相温度である。)
【請求項11】
ガラス転移点T
gが400℃~750℃である、請求項1~10のいずれか一項に記載のガラス板。
【請求項12】
板厚3.85mmに換算した可視光透過率Tv_Aが30~92%である、請求項1~11のいずれか一項に記載のガラス板。
【請求項13】
板厚3.85mmに換算した日射透過率Teが35~91%である、請求項1~12のいずれか一項に記載のガラス板。
【請求項14】
A×電波透過率が0.0225m
2・%~8400m
2・%であり、ここで、Aはガラス板の面積(m
2)である、請求項1~13のいずれか一項に記載のガラス板。
【請求項15】
電波透過率/tが0.7%/mm~84%/mmであり、ここで、tはガラス板の厚み(mm)である、請求項1~14のいずれか一項に記載のガラス板。
【請求項16】
請求項1~15のいずれか一項に記載のガラス板を備える窓。
【請求項17】
自動車用または建材用である請求項16に記載の窓。
【請求項18】
請求項1~15のいずれか一項に記載のガラス板を備える無線通信機器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、乗物、建物などの窓材として使用されるガラス板に関する。
【背景技術】
【0002】
自動車をはじめとする乗物や、建物の室内で、レーダー、携帯電話など、電波を利用する機器(以下、「電波利用機器」という)が用いられることが日常的になっている。特に最近、高周波数帯(マイクロ波~ミリ波)、より具体的にはギガヘルツ周波数帯、例えば3~300GHz領域の電波を使用する機器が積極的に開発されるようになってきている。
【0003】
自動車や建物の窓材として使用されるガラスは、例えば特許文献1に記載されている。特許文献1には、可視光透過率が高く、紫外線および日射の遮蔽性能が高く、視覚的にも良好であるガラスが得られることが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、窓材用のガラスにおいて、電波利用機器の使用という観点での適性を特に考慮した例はこれまで見当たらなかった。
【0006】
本発明は、窓ガラスが存在する環境での電波利用機器の使用において当該機器による電波送受信の障害となりにくい、窓材用のガラス板および窓を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、18mm厚さに換算した周波数100GHzにおける電波透過率が20%以上であるガラス板、該ガラス板を備える窓、及び該ガラス板を備える無線通信機器を提供する。
【発明の効果】
【0008】
本発明のガラス板および窓によって、高周波数帯の電波を利用する電波利用機器を、自動車や建物の室内でも支障なく使用することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】電波透過率を決定するための条件の概要を示す概略構成図である。
【
図2A】厚さ18mmにおける、比較例1および実施例1~6のガラス板の電界強度比を示すグラフである。
【
図2B】厚さ18mmにおける、比較例1および実施例7~12のガラス板の電界強度比を示すグラフである。
【
図2C】厚さ18mmにおける、比較例1および実施例13~17のガラス板の電界強度比を示すグラフである。
【
図2D】厚さ18mmにおける、比較例1および実施例18~20のガラス板の電界強度比を示すグラフである。
【
図3A】比較例1および実施例1~6の近似透過率を示すグラフである。
【
図3B】比較例1および実施例7~12の近似透過率を示すグラフである。
【
図3C】比較例1および実施例13~17の近似透過率を示すグラフである。
【
図3D】比較例1および実施例18~20の近似透過率を示すグラフである。
【
図4】比較例1の合わせガラスの電波透過量の測定値と指数近似により求められる電波透過量の計算値を示すグラフである。
【
図5】比較例1、実施例3、実施例4、実施例11および実施例25の合わせガラスの電波透過量の測定値と指数近似により求められる電波透過量の計算値を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
特に示されない限り、以下に提供される用語の定義が本明細書、図面、および特許請求の範囲を通じて適用される。
数値範囲を示す「~」は、その前後に記載された数値をそれぞれ下限値および上限値として含むことを意味する。ガラスがある成分を「実質的に含まない」とは、不純物として不可避的に混入する場合を除き、その成分は積極的には添加されないことを意味する。ガラス中の各成分の含有量は、酸化物基準のモル百分率として表す。
【0011】
本明細書におけるガラス板の「電波透過率」は、以下のようにして求められる。
図1に示すように、無限大の面積と有限の厚さを有する完全導体の枠10中に、90mm平方(8100mm
2)の正方形の開口20があることを想定する。この開口から垂直方向に60mm離れた波源30から、電界強度1V/mの平面波を、波面が開口と平行になり偏波方向が開口の一辺と平行になるように、開口に対して垂直に入射させる。そして、開口を挟んで波源とは反対側において、開口の中心点から垂直方向に300mm離れた点(観測点40)で、電界強度を観測する。ここで、その開口20に、開口20と同形状かつ同面積のガラス板試料が嵌められている場合に観測される電界強度を、ガラス板試料が嵌められていない場合(すなわち、ガラス板試料が、対応する厚さの空気塊に置き換えられている場合)に観測される電界強度で割ったものが、そのガラス板の電界強度比である。この電界強度比は、上述した各条件を用いて電磁界シミュレータ(CST社 Microwave Studio 2016)にてシミュレーションを行うことにより求めることができる。
電界強度比は、上記条件下で、空気を通って観測される電界強度に対するガラス板試料を通って観測される電界強度の比率であり、特に単位が表示されていない場合は無次元数であるが、百分率(%)として表示されることもある。電界強度比は、ガラス板の厚さ、比誘電率、および誘電損失、ならびに入射波の周波数に応じて決定することができる。ガラス板試料の比誘電率および誘電損失を測定する方法は当業者に知られており、例えば空洞共振法により測定される。
【0012】
本明細書では、特段の定めがない限り、下記の用語の意味は以下の通りである。
開口とは、無限大の面積を有する完全導体の枠中にある正方形の開口である。ガラス板に関して電波の透過率または透過後の電界強度を観測する際には、開口と同形状かつ同面積のガラス板試料が開口に嵌められる。平面波の波面は開口面と平行であり、平面波の偏波方向は開口の一辺と平行であり、平面波は、開口に対して垂直方向に入射される。開口からの距離についての記載は、開口面からの垂線に沿った距離を表す。開口からある距離だけ離れた観測点についての記載は、開口の中心点からの垂線に沿ってその距離だけ開口面から離れた一点を表す。波源と観測点は、開口を挟んで互いに反対側に位置する。
ガラス板の厚さはmm、開口の面積はmm2、電波の波長はmm、周波数はGHz、電界強度はV/mで表す。
【0013】
本発明によるガラス板は、18mm厚さに換算した、周波数100GHzにおける電波透過率が20%以上である。これにより、レーダーや携帯電話等の電波利用機器による送受信の障壁となりにくいガラス板となる。本明細書では、特段の定めがない限り、電波透過率は、後述する指数近似を行って得られる。この電波透過率は好ましくは21%以上であり、より好ましくは22%以上であり、より好ましくは25%以上であり、より好ましくは29%以上であり、より好ましくは33%以上であり、より好ましくは37%以上、より好ましくは40%以上、さらに好ましくは43%以上、特に好ましくは45%以上、一層好ましくは48%以上、最も好ましくは50%以上である。
なお、電波透過率の厚さ換算は、例えば電磁導波論入門(橋本正弘著 日刊工業新聞社刊)における「第2章 電磁波の伝送」で示される平面電磁波の伝搬式などを用いて解析的に行うことができる。
本発明によるガラス板は、18mm厚さに換算した、周波数80GHzにおける電波透過率が23%以上であることが好ましい。これにより、レーダーや携帯電話等の電波利用機器による送受信の障壁となりにくいガラス板となる。この電波透過率はより好ましくは25%であり、より好ましくは26%以上であり、より好ましくは30%以上であり、より好ましくは35%以上であり、より好ましくは40%以上であり、さらに好ましくは44%以上、特に好ましくは48%以上、一層好ましくは52%以上、最も好ましくは54%以上である。
本発明によるガラス板は、18mm厚さに換算した、周波数28GHzにおける電波透過率が39%以上であることが好ましい。これにより、レーダーや携帯電話等の電波利用機器による送受信の障壁となりにくいガラス板となる。この電波透過率はより好ましくは40%以上であり、より好ましくは44%以上であり、より好ましくは50%以上であり、より好ましくは56%以上であり、さらに好ましくは60%以上、特に好ましくは62%以上、一層好ましくは65%以上、最も好ましくは68%以上である。
【0014】
本発明によるガラス板は、18mm厚さに換算した、周波数100GHzにおける電波透過率が84%以下であることが好ましい。この電波透過率を84%超とするためには、ガラスのSiO2成分を過剰に多くする必要が生じ得る。そのようなガラスは溶解しにくく、かつ成形温度も高くなり、フロート法、フュージョン法、ロールアウト法、ダウンドロー法等での大きな板の製造が困難になる。また、電波透過率が高いとB2O3成分を多く添加しなければならなくなり、それにより溶解・成形中にアルカリ元素が揮散しやすくなり、ガラス品質の悪化につながるおそれがあるだけでなく、平均線膨張係数が小さくなり物理強化がしにくくなる。さらに、B2O3やSiO2成分の増加はヤング率の低下を招きやすく、それにより基板の剛性が低下し使用時における強度が確保できないおそれがある。また、電波透過率を高めるためにはアルカリ元素の含有率を下げる必要があり、その結果、溶解性の悪化に繋がり、粘性が著しく悪化するため好ましく無く、また、失透しやすくなりガラスの製造に支障をきたすおそれがある。そのようになると、特に自動車用や建築用の窓ガラスとしては不向きである。よって、この電波透過率は、より好ましくは80%以下であり、より好ましくは70%以下、より好ましくは60%以下、より好ましくは55%以下、さらに好ましくは50%以下、特に好ましくは47%以下、一層好ましくは45%以下、最も好ましくは43%以下である。
本発明によるガラス板は、18mm厚さに換算した、周波数80GHzにおける電波透過率が84%以下であることが好ましい。この電波透過率を84%超とするためには、ガラスのSiO2成分を過剰に多くする必要が生じ得る。そのようなガラスは溶解しにくく、かつ成形温度も高くなり、フロート法、フュージョン法、ロールアウト法、ダウンドロー法等での大きな板の製造が困難になる。この電波透過率は、より好ましくは80%以下であり、より好ましくは70%以下、より好ましくは61%以下、より好ましくは58%以下、さらに好ましくは55%以下、特に好ましくは52%以下、一層好ましくは49%以下、最も好ましくは47%以下である。
本発明によるガラス板は、18mm厚さに換算した、周波数28GHzにおける電波透過率が84%以下であることが好ましい。この電波透過率を84%超とするためには、ガラスのSiO2成分を過剰に多くする必要が生じ得る。そのようなガラスは溶解しにくく、かつ成形温度も高くなり、フロート法、フュージョン法、ロールアウト法、ダウンドロー法等での大きな板の製造が困難になる。この電波透過率は、より好ましくは82%以下であり、より好ましくは80%以下、より好ましくは78%以下、より好ましくは76%以下、さらに好ましくは75%以下、特に好ましくは72%以下、一層好ましくは68%以下、最も好ましくは64%以下である。
【0015】
本明細書においてλは電波の波長(単位:mm)を表す。本発明によるガラス板は、周波数10GHz、電界強度1V/mの平面波を、開口20から2λ離れた波源より、厚さ1.2λのガラス板に入射した場合に、開口から10λ離れた観測点での電界強度をy(V/m)、開口面積S(mm2)をλ2で割った値をxとして、線形近似がy>(0.0607×x)であることが好ましい。開口面積に応じて変わるこの観測電界強度yは、上述した各条件を用いて電磁界シミュレータ(CST社 Microwave Studio 2016)にてシミュレーションを行うことにより決定することができる。線形近似は、当業者によく知られているように最小二乗法を用いて得られる線形近似である。なお、上記の「厚さ1.2λのガラス板に入射した場合」という記載は、ガラス板を厚さ1.2λに換算することを表すのであって、本発明のガラス板の実際の厚さが1.2λである必要はない。
【0016】
ガラス板の上記線形近似がy>(0.0607×x)であるということは、そのガラス板から求められるxとyの関係を線形近似して得られる一次関数のグラフの傾きが、y=(0.0607×x)のグラフの傾きより大きいことを意味する。この線形近似がy≦(0.0607×x)であると、すなわち傾きが0.0607以下であると、高周波数帯における電波利用機器の機能発揮を妨げることになりやすい。上記線形近似で得られる一次関数の傾きは、より好ましくは0.0625以上であり、さらに好ましくは0.0644以上である。この傾きは、大きい分には問題無いが、0.0879(ガラス板の代わりに空気塊を置いて観測した場合に得られる値)以上になることはあり得ない。
上記線形近似で得られる一次関数の傾きは、好ましくは0.0796以下である。0.0796以下であれば、ガラス中のSiO2やB2O3の割合を下げられ、ガラスが製造しやすくなるとともに、ガラスの耐候性や熱膨張特性等の調整が可能となることにより、各種用途における窓の作製に適した大きなガラス板が製造しやすくなる。上記線形近似で得られる一次関数の傾きは、より好ましくは0.0750以下、更に好ましくは0.0700以下、更に好ましくは0.0690以下、更に好ましくは0.0680、更に好ましくは0.0670以下であり、一層好ましくは0.0665以下、最も好ましくは0.0657以下である。
【0017】
本発明によるガラス板は、周波数100GHzにおける近似透過率をy’、ガラス板の厚さをx’として、指数近似(本明細書において、「100GHzにおける指数近似」という)がy’>exp(-0.081×x’)であることが好ましい。
【0018】
この100GHzにおける指数近似は、次のようにして決定されるものである。
まず、対象となるガラス板を厚さ12mm、18mm、24mm、30mm、36mm、および40mmに換算したものそれぞれについて、周波数x’’(GHz)に応じた電界強度比の変動の曲線を決定し、x’’と電界強度比の関係の指数近似(本明細書において、この指数近似を「周波数と電波透過率の関係の指数近似」ともいう)を求め、これを電波透過率y’’とする。すなわち、y’’=[定数1]×e[定数2]×x’’という関数に近似する。指数近似は、当業者によく知られているように最小二乗法を用いて得られる指数近似である。例えば、あるガラス板(比較例1)の厚さ12mmについてはy’’=0.7628e-0.003x’’、同ガラス板の厚さ18mmについてはy’’=0.8619e-0.015x’’という指数近似が得られる。
なお、この近似式は、電磁界シミュレータによる6~20GHzにおける解析結果をもとに作成されたものである。電磁界シミュレータの特性上、解析周波数帯の中心周波数よりも離れるほど計算精度が悪化し、特に低周波数帯での精度は著しく悪くなることが知られていることから、6GHz以上の周波数帯で適用することが好ましい。なお、本計算では20GHzまでを解析上限周波数としているが、減衰項の周波数依存性は無視できるほど小さいことから、本近似式は20GHz以上の周波数に適用することも可能である。
よって、本発明のガラス板は、18mm厚さに換算した、周波数6~20GHzにおける周波数と電界強度比の関係の指数近似において、y’’>0.8619e-0.015x’’であることが好ましい。より好ましくはy’’>0.85e-0.012x’’ 、さらに好ましくはy’’>0.84e-0.010x’’ 、特に好ましくはy’’>0.84e-0.09x’’ 、一層好ましくはy’’>0.84e-0.008x’’ 、最も好ましくはy’’>0.84e-0.007x’’ である。
また、好ましくはy’’<0.84e-0.0005x’’ である。これにより、ガラス中のSiO2やB2O3成分の含有率を下げることができるようになり、ガラスが製造しやすくなるとともに、ガラスの耐候性や熱膨張特性等の調整が可能となることで、各種用途における窓の作製に適した大きなガラス板が製造しやすくなる。より好ましくはy’’<0.84e-0.001x’’、更に好ましくはy’’<0.84e-0.003x’、特に好ましくはy’’<0.84e-0.005x’、一層好ましくはy’’<0.8435e-0.006x’’、最も好ましくはy’’<0.8462e-0.007x’’である。
【0019】
次に、上記で各厚さについて得られた、周波数と電界強度比の関係の指数近似式に基づいて、100GHzにおける透過率(近似透過率)をそれぞれ算出する。すると、周波数100GHzに関して、厚さx’に応じた近似透過率y’の関係が求められ、この関係に対してさらに指数近似を行って得られるのが、上述した「周波数100GHzにおける指数近似」である。なお、指数近似を得る計算の目的で上記のように厚さx’を変動させているが、言うまでもなく、本発明の具体的なガラス板は任意の厚さを有し得る。
【0020】
一般に、ガラス板を通した電波の電界強度比は、その電波の波長の倍数がガラス板の厚さと一致するか否かによって大きく変動し、電波の反射、屈折、および干渉に複雑に影響される。従って、周波数を連続的に増加させていくと、電界強度比が周期性をもって、かつ不定型な軌跡で、上下することが観察される(例えば
図2A~
図2D参照)。このため、ある特定の周波数において実測される電界強度比がより大きいか小さいかを論じても、そのガラス素材の電波透過特性を本質的に記述することには必ずしもならない場合がある。つまり、その特定の周波数では第1のガラス板よりも第2のガラス板の方が多く電波を透過するとしても、より広い周波数範囲を巨視的に見ると、全体としては第1のガラスの方が電波透過特性が優れていることがあり得る(
図2A~
図2D参照)。従って、上述したような近似が有用となる。近似式により、電波透過特性の巨視的な傾向が記述されるからである。
【0021】
あるガラス板の周波数100GHzにおける指数近似がy’>exp(-0.081×x’)であるということは、そのガラス板から求められるx’とy’の関係を指数近似して得られる指数関数のグラフが、y’=exp(-0.081×x’)のグラフよりも上部にあることを意味する。これらのグラフはx’を横軸にy’を縦軸にプロットし、x’=0(ガラス板の厚さ無し)のときにy’=1(透過率100%)となる。この指数近似がy’≦exp(-0.081×x’)であると、高周波数帯における電波利用機器の送受信を妨げることになりやすい。この周波数100GHzにおける指数近似におけるx’の係数は、より好ましくは-0.075以上であり、さらに好ましくは-0.07以上であり、特に好ましくは-0.065以上であり、一層好ましくは-0.06以上、最も好ましくは-0.055以上である。x’の係数は、大きい分には問題無いが、通常は-0.01以下である。また、x’の係数は、好ましくは-0,02以下である。これにより、ガラス中のSiO2やB2O3成分の含有率を下げることができるようになり、ガラスが製造しやすくなるとともに、ガラスの耐候性や熱膨張特性等の調整が可能となることで、各種用途における窓の作製に適した大きなガラス板が製造しやすくなる。より好ましくは-0.03以下、更に好ましくは-0.035以下、特に好ましくは-0.04以下、一層好ましくは-0.045以下、最も好ましくは-0.05以下である。
【0022】
本発明によるガラス板は、好ましくは、面積が900mm2以上である。ガラス板の面積が900mm2以上であれば、電波利用機器の使用のための電波透過量を確保することが可能であり、また、建築用途、自動車用途等に好適に使用され得る。面積はより好ましくは2500mm2以上であり、より好ましくは10000mm2以上、さらに好ましくは90000mm2以上、特に好ましくは180000mm2以上、一層好ましくは360000mm2以上、最も好ましくは1120000mm2以上である。電波透過の観点からは面積の上限は特に設けられないが、100000000mm2より大きいガラス板は製造が困難となる。面積は、より好ましくは56250000mm2以下であり、さらに好ましくは25000000mm2以下、特に好ましくは9000000mm2以下、一層好ましくは4000000mm2以下、最も好ましくは2160000mm2以下である。ガラス板の面積が900mm2より小さいと、建築、自動車等における応用が限定され得、また、透過率に関わらず、ガラス板を透過する電波の絶対量が少なくなり得る。
【0023】
本発明によるガラス板は、A×電波透過率が、0.0225m2・%~8400m2・%を満たすことが好ましい。ここで、Aはガラス板の面積(m2)であり、電波透過率は、18mm厚さに換算した、周波数100GHzにおける電波透過率(%)である。
A×電波透過率が0.0225m2・%以上であれば、従来のガラス板よりも多い電場強度を得ることが出来るため好ましい。0.0225m2・%未満であると、高周波数帯での窓としての使用がより困難となる。A×電波透過率は、より好ましくは0.4m2・%以上、より好ましくは4m2・%以上、さらに好ましくは8m2・%以上、特に好ましくは16m2・%以上、一層好ましくは28m2・%以上、最も好ましくは50m2・%以上である。また、A×電波透過率を大きくすることで電波透過量を多くすることができる。A×電波透過率は大きい分には問題無いが、好ましくは8400m2・%以下である。Aが大きくなりすぎると、ガラス板の製造上困難になる。A×電波透過率はより好ましくは3000m2・%以下、更に好ましくは800m2・%以下、さらにより好ましくは400m2・%以下、特に好ましくは200m2・%以下、一層好ましくは120m2・%以下、最も好ましくは80m2・%以下である。
【0024】
本発明によるガラス板は、電波透過率/tが0.7%/mm~84%/mmを満たすことが好ましい。ここで、tはガラス板の厚さ(mm)であり、電波透過率は、18mm厚さに換算した、周波数100GHzにおける電波透過率(%)である。電波透過率/tが0.7%/mm以上であれば、従来のガラス板よりも高い近似透過率を得ることが出来るため好ましい。電波透過率/厚さtが0.7%/mm未満では、高周波数帯での窓としての使用がより困難となる。電波透過率/tは好ましくは1%/mm以上、より好ましくは2%/mm以上、さらに好ましくは3%/mm以上、特に好ましくは4%/mm以上、一層好ましくは5%/mm以上、最も好ましくは5.5%/mm以上である。電波透過率を高くする、もしくは厚さを薄くすることで電波透過率/tが大きくなり、近似透過率を高くすることができる。電波透過率/tは高くする分には問題無いが、好ましくは84%/mm以下である。tが小さくなりすぎると、たわみが大きくなるため大面積でのガラスの使用が困難になり、また、高い電波透過率のガラスはSiO2成分が多くなるためガラス板の製造上困難になる。また、電波透過率が高いとB2O3成分を多く添加しなければならなくなり、それにより溶解・成形中にアルカリ元素が揮散しやすくなり、ガラス品質の悪化につながるおそれがあるだけでなく、平均線膨張係数が小さくなり物理強化がしにくくなる。さらに、B2O3やSiO2成分の増加はヤング率の低下を招きやすく、それにより基板の剛性が低下し使用時における強度が確保できないおそれがある。また、電波透過率を高めるためにはアルカリ元素の含有率を下げる必要があり、その結果、溶解性の悪化に繋がり、粘性が著しく悪化するため好ましく無く、また、失透しやすくなりガラスの製造に支障をきたすおそれがある。よって電波透過率/tは好ましくは65%/mm以下、より好ましくは50%/mm以下、さらに好ましくは40%/mm以下、特に好ましくは30%/mm以下、一層好ましくは25%/mm以下、最も好ましくは20%/mm以下である。
さらに、用途に鑑みると、建築用として用いられる場合はガラス板の厚さが厚い場合が多いため、電波透過率/tの下限も小さいほうが良く、より好ましくは1.3%/mm以上、さらに好ましくは1.6%/mm以上、特に好ましくは1.8%/mm以上、一層好ましくは2.4%/mm以上、最も好ましくは3%/mm以上である。また、上限も小さいほうが良く、より好ましくは25%/mm以下、さらに好ましくは15%/mm以下、特に好ましくは11%/mm以下、一層好ましくは9%/mm以下、最も好ましくは8%/mm以下である。
【0025】
自動車用として用いられる場合はガラス板の厚さが例えば2mm~6mmであるため、電波透過率/tの下限は、より好ましくは5%/mm以上、さらに好ましくは6%/mm以上、特に好ましくは7%/mm以上、一層好ましくは7.5%/mm以上、最も好ましくは8%/mm以上である。また、上限は、より好ましくは25%/mm以下、さらに好ましくは20%/mm以下、特に好ましくは16%/mm以下、一層好ましくは13%/mm以下、最も好ましくは12%/mm以下である。
一方で、1~2mmの薄いガラス板を使用する場合は、電波透過率/tの下限は、より好ましくは15%/mm以上、さらに好ましくは17%/mm以上、特に好ましくは20%/mm以上、一層好ましくは25%/mm以上、最も好ましくは30%/mm以上である。上限は、より好ましくは70%/mm以下、さらに好ましくは60%/mm以下、特に好ましくは55%/mm以下、一層好ましくは50%/mm以下、最も好ましくは48%/mm以下である。
【0026】
本発明によるガラス板は、比重が2.40~3.00であることが好ましい。また、ヤング率は60GPa~100GPaであることが好ましい。また、50℃から350℃までの平均線膨張係数は50×10-7/℃~120×10-7/℃であることが好ましい。ガラス板がこれらの物性要件を満たせば、建築、自動車等の窓材として充分好適に使用することができる。
【0027】
耐候性を確保するために一定量以上のSiO2が含まれることが好ましく、また、B2O3含有量は少ないほうが好ましい。その結果、比重は2.40以上が好ましく、より好ましくは2.42以上、更に好ましくは2.44以上、さらにより好ましくは2.46以上、特に好ましくは2.48以上、一層好ましくは2.50以上、最も好ましくは2.52以上である。比重が3.0以下であることによって脆くなりにくく、かつ軽量化が実現されるため好ましく、より好ましくは2.90以下、さらに好ましくは2.80以下、さらにより好ましくは2.75以下、特に好ましくは2.70以下、一層好ましくは2.65以下、最も好ましくは2.62以下である。
【0028】
ヤング率が大きいことによりガラス板が剛性を有することになり、建築用途、自動車用途等により適する。ヤング率は、より好ましくは65GPa以上、さらに好ましくは70GPa以上、さらにより好ましくは72GPa以上、特に好ましくは74GPa以上、一層好ましくは75GPa以上、最も好ましくは76GPa以上である。ヤング率を高くするためにSiO2を増やすと溶解性が悪くなるため、ヤング率は100GPa以下が好ましく、より好ましくは95GPa以下、さらに好ましくは90GPa以下、さらにより好ましくは85GPa以下、特に好ましくは82GPa以下、一層好ましくは80GPa以下、最も好ましくは78GPa以下である。
【0029】
平均線膨張係数は、ガラス板使用時のガラス板の温度分布に対する熱応力発生の観点からは小さいほうがよく、そのため、50℃から350℃までの平均線膨張係数は、120×10-7/℃以下が好ましく、110×10-7/℃以下がより好ましく、100×10-7/℃以下がより好ましく、90×10-7/℃以下がさらに好ましく、80×10-7/℃以下が特に好ましく、70×10-7/℃以下が一層好ましく、60×10-7/℃以下が最も好ましい。しかしながら、線膨張係数を小さくしすぎると金属サッシなどとの熱膨張差が大きくなり歪発生の原因となり割れに繋がるおそれもある。そのため、50℃から350℃までの平均線膨張係数は、35×10-7/℃以上が好ましく、40×10-7/℃以上がより好ましく、45×10-7/℃以上がより好ましく、50×10-7/℃以上がさらに好ましく、55×10-7/℃以上が特に好ましい。
また、建築用途、自動車用途等での使用においては、物理強化が可能であると好ましく、そのためには平均線膨張係数が大きいことがより好ましい。50℃から350℃までの平均線膨張係数は、より好ましくは60×10-7/℃以上、さらに好ましくは65×10-7/℃以上、特に好ましくは70×10-7/℃以上、一層好ましくは75×10-7/℃以上、最も好ましくは80×10-7/℃以上である。
【0030】
本発明によるガラス板は、耐水性試験でのNa2Oの溶出量が0.001mg~0.6mgであることが好ましい。尚、耐水性試験はJIS3502(1995年度)によるNa2Oの溶出量(mg)とする。
耐水性試験でのNa2Oの溶出量が0.6mg以下であるガラス板は、日常的に窓として問題なく使用できる。耐水性試験でのNa2Oの溶出量は、より好ましくは0.55mg以下、さらに好ましくは0.5mg以下、特に好ましくは0.4mg以下、一層好ましくは0.35mg以下、最も好ましくは0.3mg以下である。耐水性試験でのNa2Oの溶出量は少ないほどよいが、この溶出量を少なくするためにはSiO2を増やさねばならず、そうするとガラス製造時における溶融の際の粘性が高くなり溶解性が悪くなる恐れがあるため、耐水性試験でのNa2Oの溶出量は好ましくは0.001mg以上、より好ましくは0.01mg以上、さらに好ましくは0.05mg以上、特に好ましくは0.1mg以上、一層好ましくは0.15mg以上、最も好ましくは0.2mg以上である。
【0031】
本発明によるガラス板は、T2が1750℃以下であることが好ましい。また、T4が1350℃以下であることが好ましい。また、T4-TLが-150℃以上であることが好ましい。本明細書において、T2は、ガラス粘度が102(dPa・s)となる温度を表し、T4は、ガラス粘度が104(dPa・s)となる温度を表し、TLはガラスの液相温度を表す。
T2またはT4がこれら所定温度より大きくなると、フロート法、フュージョン法、ロールアウト法、ダウンドロー法等によって大きな板を製造することが困難になる。T2は、より好ましくは1700℃以下、さらに好ましくは1650℃以下、さらにより好ましくは1625℃以下、特に好ましくは1600℃以下、一層好ましくは1575℃以下、より一層好ましくは1550℃以下、最も好ましくは1500℃以下である。T4は、好ましくは1350℃以下、より好ましくは1300℃以下、さらに好ましくは1250℃以下、特に好ましくは1200℃以下、一層好ましくは1150℃以下、より一層好ましくは1100℃以下、最も好ましくは1050℃以下である。T2およびT4の下限は特に限定されないが、耐候性やガラス比重を維持するためには、典型的にはT2が1200℃以上、T4が800℃以上である。T2はより好ましくは1250℃以上、さらに好ましくは1300℃以上、特に好ましくは1350℃以上、一層好ましくは1400℃以上である。T4は、より好ましくは900℃以上、さらに好ましくは940℃以上、特に好ましくは960℃、一層好ましくは980℃以上、最も好ましくは1000℃以上である。
更に、フロート法での製造を可能とするためには、T4-TLは-150℃以上であることが好ましい。T4-TLが-150℃より小さいと、ガラス成形時にガラス中に失透が発生し、ガラスの機械的特性が低下する、透明性が低下する等の問題が生じ得ないため、品質の良いガラスを得られるため好ましい。T4-TLは、より好ましくは-140℃以下、より好ましくは-130℃以下、より好ましくは-120℃以下、より好ましくは-110℃以下、より好ましくは-100℃以下である。またT4-TLは、より好ましくは-90℃以上、より好ましくは-80℃以上、より好ましくは-70℃以上、さらに好ましくは-60℃以上、さらに好ましくは-50℃以上、さらに好ましくは-40℃以上、さらにより好ましくは-30℃以上、さらにより好ましくは-20℃以上、さらにより好ましくは-10℃以上、特に好ましくは0℃以上、一層好ましくは10℃以上、最も好ましくは20℃以上である。
【0032】
本発明によるガラス板は、Tgが400℃~750℃であることが好ましい。本明細書において、Tgは、ガラス転移点を表す。Tgがこの温度範囲内であれば、通常の製造条件範囲内でガラスの曲げ加工を行うことができる。Tgが400℃より低いと、成形性には問題は生じないが、アルカリ含有量、あるいはアルカリ土類含有量が大きくなりすぎて、ガラスの熱膨張が過大になる、耐候性が低下する等の問題が起きやすくなる。また、成形温度域において、ガラスが失透し成形できなくなるおそれがある。Tgは、より好ましくは430℃以上、さらに好ましくは450℃以上、特に好ましくは470℃以上、一層好ましくは480℃以上、最も好ましくは490℃以上である。またTgが高すぎると、ガラス曲げ加工時に高い温度が必要になり、製造がより困難になる。Tgは、より好ましくは650℃以下、より好ましくは600℃以下、より好ましくは575℃以下、より好ましくは565℃以下、さらに好ましくは555℃以下、特に好ましくは550℃以下、一層好ましくは520℃以下、最も好ましくは500℃以下である。
【0033】
可視光透過率Tv_Aは、JIS R 3106:1998に従い分光光度計により透過率を測定して算出される可視光透過率である。重価係数は、標準のA光源、2度視野の値を用いる。本明細書では、板厚3.85mmに換算した値で表す。
ここで、板厚3.85mmに換算した値とは、透過率を測定したガラス板の屈折率を測定し、セルマイヤーの式を用いて屈折率から算出した当該ガラス板の反射率により、多重反射を考慮して当該ガラス板の値(ここでは可視光透過率Tv_A)を板厚3.85mmの値に換算したものである。
可視光透過率Tv_Aは、用途にもよるが、視認性を確保するために、好ましくは30%以上、より好ましくは40%以上、さらに好ましくは50%以上、特に好ましくは60%以上、一層好ましくは65%以上、最も好ましくは72%以上である。また、可視光透過率Tv_Aは用途によっても上限が変わるが、高すぎると熱線も多く透過するために遮熱性が悪化するおそれがある。また、可視光透過率Tv_Aを高くするためには、不純物の少ない原料を使用せねばならず原料入手が困難になるという問題、さらに、SiO2成分の多いガラスにする必要があり溶解性が悪化し大きなガラス板を製造しにくくなるという問題もある。そのため、Tv_Aは92%以下が好ましい。Tv_Aはより好ましくは91.5%以下、さらに好ましくは91%以下、特に好ましくは90.5%以下、一層好ましくは90%以下、最も好ましくは89%以下である。
可視光透過率Tv_Aの調整は、Fe2O3やTiO2などの着色成分量の調整で主に行うが、ガラス成分によっても若干の調整が可能である。また、溶解温度や溶解雰囲気の調整など、ガラス製造条件の調整によっても行うことができる。
本発明によるガラス板は、車両用ガラスとして用いる場合、可視光透過率Tv_Aは、視認性を高めるために70%超であることが好ましく、より好ましくは71%以上、特に好ましくは72%以上である。
【0034】
日射透過率Teは、ISO-13837A:2008に規定されるものである。本明細書では、板厚3.85mmに換算した値で表す。
日射透過率Teは、用途にもよるが、小さすぎると可視光透過率が低下しやすくなり視認性が確保しにくくなる。また、溶解温度などを調整しても低いTeになりにくいため、製造するのが困難となる。日射透過率Teは好ましくは35%以上、より好ましくは40%以上、好ましくは45%以上、より好ましくは50%以上、さらに好ましくは55%以上、特に好ましくは60%以上、一層好ましくは65%以上、最も好ましくは70%以上である。また、日射透過率Teは、用途によっても上限が変わるが、高すぎると熱線も多く透過するために遮熱性が悪化するおそれがある。また、日射透過率Teを高くするためには、不純物の少ない原料を使用せねばならず原料入手が困難になるという問題、さらに、SiO2成分の多いガラスにする必要があり溶解性が悪化し大きなガラス板を製造しにくくなるという問題もある。そのため、日射透過率Teは好ましくは91%以下、より好ましくは90%%以下、さらに好ましくは88%以下、特に好ましくは85%以下、一層好ましくは80%以下、最も好ましくは75%以下である。
日射透過率Teの調整は、Fe2O3やTiO2などの着色成分やガラス成分によって、さらに、溶解温度や溶解雰囲気の調整など、ガラス製造条件の調整によって行うことができる。
遮熱性能を備えた車両用ガラスとして用いる場合、日射透過率Teは、遮熱性を上げるために、好ましくは65%以下、より好ましくは60%以下、さらに好ましくは58%以下、さらにより好ましくは55%以下、特に好ましくは53%以下である。一方でTeが小さすぎると可視光透過率が低下し、視認性が確保しにくくなるため、好ましくは35%以上、より好ましくは38%以上、さらに好ましくは40%以上、特に好ましくは41%以上である。
紫外線透過率Tuvは、ISO-9050:2003に規定されるものである。本明細書では、板厚3.85mmに換算した値で表す。紫外線透過率Tuvは、高すぎると紫外線も多く透過するために人体に対して悪影響を及ぼすほか、本発明のガラス板が用いられる建物や乗物等の内装材の劣化を引き起こすおそれがある。Tuvは、好ましくは90%以下、より好ましくは80%以下、さらに好ましくは70%以下、特に好ましくは50%以下、最も好ましくは30%以下である。Tuvを下げるためにはガラス板にFe2O3、TiO2、CeO2などを含む必要があり、これらの含有量が多いと可視光透過率Tv_Aの低下や太陽光によるソーラリゼーションを引き起こすおそれがあるため、Tuvは1%以上が好ましく、5%以上がより好ましく、10%以上が特に好ましい。また、紫外線透過率Tuvは内装材の劣化を防ぎ、車内の冷房負荷の低減のために、好ましくは40%以下、より好ましくは35%以下、さらに好ましくは30%以下である。
【0035】
本発明によるガラス板は、レーザーレーダーなど赤外線を用いたセンサー用途にも使用できる。レーザーレーダーなど赤外線照射機器を備えた車両用ガラスとして用いる場合、レーザーレーダーに好適に用いるために、板厚3.85mmに換算した波長905nmの透過率は、好ましくは70%以上、より好ましくは75%以上、さらに好ましくは80%以上、特に好ましくは85%以上、特に好ましくは88%以上、最も好ましくは90%以上である。
本発明によるガラス板は、レーザーレーダーなど赤外線を用いたセンサー用途にも使用できる。レーザーレーダーなど赤外線照射機器を備えた車両用ガラスとして用いる場合、レーザーレーダーに好適に用いるために、板厚3.85mmに換算した波長1550nmの透過率は、好ましくは70%以上、より好ましくは75%以上、さらに好ましくは80%以上、特に好ましくは85%以上、特に好ましくは88%以上、最も好ましくは90%以上である。
【0036】
本発明によるガラス板は、ガラス組成を調整することで誘電損失を下げ、高い電波透過率を達成することができる。同様に組成を調整することで比誘電率も調整でき、用途に合わせた比誘電率を達成することができる。
【0037】
本発明によるガラス板は、酸化物基準のモル百分率表示で、SiO2の含有量が55%~75%であることが好ましい。また、Al2O3の含有量が0%~15%であることが好ましい。SiO2およびAl2O3は、ヤング率の向上に貢献することにより、建築用途、自動車用途等に必要とされる強度を確保しやすくする。Al2O3および/またはSiO2が上記の下限値より少ないと、耐候性を確保しにくくなり、また、平均線膨張係数が大きくなりすぎて熱割れしやすくなり、好ましくない。Al2O3および/またはSiO2は、多すぎても、ガラス溶融時の粘性が増加しガラス製造が困難になるため好ましくない。またAl2O3が多すぎると、電波透過率も低くなるおそれがある。
【0038】
SiO2の含有量は57%以上がより好ましく、60%以上がさらに好ましく、63%以上がさらにより好ましく、64%以上が特に好ましく、65%以上が一層好ましく、66%以上が最も好ましい。SiO2の含有量は、74%以下がより好ましく、73%以下がさらに好ましく、72%以下が特に好ましく、70%以下が一層好ましく、69%以下が最も好ましい。
Al2O3の含有量は、0.3%以上がより好ましく、0.5%以上がさらに好ましく、1.0%以上がさらにより好ましく、1.3%以上が特に好ましく、1.5%以上が一層好ましく、2%以上が最も好ましい。Al2O3の含有量は、ガラス粘性T2を低く保ちガラスを製造しやすくするために10%以下がより好ましく、6%以下がさらに好ましく、5%以下がさらにより好ましく、4%以下が一層好ましく、3.5%以下が最も好ましい。
【0039】
電波透過率を良くするために、SiO2+Al2O3、すなわちSiO2含有量とAl2O3含有量の合計は、50%~80%が好ましい。T2、T4を低く保ちガラスを製造しやすくすることを更に考慮すると、SiO2+Al2O3は好ましくは80%以下、より好ましくは75%以下、さらに好ましくは72%以下、一層好ましくは71%以下、最も好ましくは70%以下である。但し、SiO2+Al2O3少なすぎると、耐候性が低下し、平均線膨張係数が大きくなりすぎるおそれがあるため、SiO2+Al2O3は、55%以上が好ましく、64%以上が好ましく、より好ましくは65%以上、さらに好ましくは66%以上、一層好ましくは67%以上、最も好ましくは68%以上である。
【0040】
本発明によるガラス板は、B2O3の含有量が0%~15%であることが好ましい。B2O3が含有されることにより、溶解性やガラス強度が向上し、また電波透過率を高くする効果がある。B2O3が多すぎると、溶解・成形中にアルカリ元素が揮散しやすくなり、ガラス品質の悪化につながるおそれがある。またB2O3が多いと平均線膨張係数が小さくなり物理強化がしにくくなる。B2O3の含有量は、12%以下がより好ましく、10%以下がさらに好ましく、8%以下がさらにより好ましく、6%以下が特に好ましく、4%以下が一層好ましく、2%以下が最も好ましい。さらにB2O3を実質的に含まないことが極めて好ましい。
【0041】
本発明によるガラス板は、MgOの含有量が0%~20%であることが好ましい。MgOは、ガラス原料の溶解を促進し、耐候性を向上させる成分である。MgOの含有量は、0.1%以上がより好ましく、0.2%以上がさらに好ましく、0.3%以上が特に好ましく、0.5%以上が一層好ましい。MgOの含有量が20%以下であれば、失透しにくくなり、また電波透過率も高くするのにも効果がある場合がある。MgOの含有量は、15%以下がより好ましく、8%以下がさらに好ましく、4%以下が特に好ましく、2%以下が一層好ましく、1%以下が最も好ましい。
【0042】
本発明によるガラス板において、CaO、SrO、および/またはBaOは、ガラスの誘電損失量を低減させるために一定量含まれ得る。CaOの含有量は0%以上、20%以下であることが好ましい。SrOの含有量は0%以上、15%以下であることが好ましい。BaOの含有量は0%~15%であることが好ましい。CaO、SrO、および/またはBaOが含まれると、ガラスの溶解性も改善し得る。CaOの含有量は3%以上がより好ましく、これによりガラスの誘電損失量が減少しひいては電波透過率が向上する。また、CaOを3%以上含有することで、ガラスの溶解性の向上(T2の低下、およびT4の低下)ももたらされ得る。CaOの含有量は、さらに好ましくは6%以上、特に好ましくは8%以上、一層好ましくは10%以上、最も好ましくは11%以上である。CaOを20%以下、SrOを15%以下、およびBaOを15%以下にすることで、ガラスの比重の増加が避けられ、低脆性および強度が維持される。ガラスが脆くなるのを防ぐために、CaOの含有量は、15%以下がより好ましく、14%以下がさらに好ましく、13.5%以下が特に好ましく、13%以下が一層好ましく、12.5%以下が最も好ましい。SrOの含有量は、8%以下がより好ましく、3%以下がさらに好ましく、2%以下が特に好ましく、1%以下が一層好ましく、SrOを実質的に含有しないことが最も好ましい。BaOの含有量は、5%以下がより好ましく、3%以下がさらに好ましく、2%以下が特に好ましく、1%以下が一層好ましく、最も好ましくは実質的に含有されない。
【0043】
本明細書において、「RO」は、MgO、CaO、SrO、およびBaOの含有量の合計を表す。本発明によるガラス板は、ROが0%~20%であることが好ましい。ROが20%以下であれば、耐候性の向上が得られる。本発明によるガラス板におけるROはより好ましくは17%以下、さらに好ましくは16%以下、特に好ましくは15%以下、一層好ましくは14%以下、最も好ましくは13%以下である。
また、製造時におけるT2、T4を下げる観点から、あるいはヤング率を高くする観点から、本発明のガラス板はROが0%超であることが好ましく、より好ましくは0.5%以上、さらに好ましくは5%以上、特に好ましくは8%以上、一層好ましくは10%以上、最も好ましくは12%以上である。
【0044】
さらに、ガラス溶解時や成形時に失透が発生してガラス品質の悪化につながるのを防ぐために、MgO+CaO、すなわちMgOの含有量とCaOの含有量の合計は0%~30%が好ましい。MgO+CaOは、より好ましくは25%以下、さらに好ましくは20%以下、一層好ましくは15%以下、最も好ましくは13%以下である。但し、MgO+CaOが低くなりすぎると、溶解・成形時のガラス粘性が高くなりすぎて、製造が困難となるおそれがある。そのためMgO+CaOは、1%以上がより好ましく、さらに好ましくは2%以上、特に好ましくは3%以上、一層好ましくは4%以上、最も好ましくは5%以上である。
【0045】
本発明によるガラス板は、Na2Oの含有量が0%~20%であることが好ましい。Na2OおよびK2Oは、ガラスの溶解性を向上させる成分であり、いずれかまたは両方をそれぞれ0.1%以上含有させることにより、T2を1750℃以下、T4を1350℃以下に抑えやすくなるため、好ましい。また、Na2Oを含有させることで、化学強化が可能となる。Na2Oの含有量は、より好ましくは0.1%以上、さらに好ましくは1%以上、特に好ましくは3%以上、一層好ましくは5%以上、最も好ましくは6%以上である。
Na2OとK2Oをともに含有させることで、溶解性を維持しつつ、耐候性を改善することができるためより好ましく、さらに、電波透過率も高くするのにも効果がある場合がある。Na2Oおよび/またはK2Oの含有量が少ないと、平均線膨張係数を大きくすることができず熱強化ができなくなるおそれがある。上記所定量にすることで、他の部材との整合性も良い窓用材料として利用できるようになる。
Na2Oが多すぎると、平均線膨張係数が大きくなりすぎて熱割れしやすくなる。Na2Oの含有量はより好ましくは16%以下、さらに好ましくは14%以下、特に好ましくは12%以下、一層好ましくは10%以下、最も好ましくは8%以下である。
【0046】
本発明によるガラス板は、K2Oの含有量が0%以上~20%であることが好ましい。K2Oはガラスの溶解性を向上させる成分であり、T2を1750℃以下、T4を1350℃以下に抑えやすくなる点から、K2Oの含有量は0.1%以上がより好ましく、さらに好ましくは0.9%以上、特に好ましくは2%以上、一層好ましくは3%以上、最も好ましくは4%以上である。
また、K2Oが多すぎると、平均線膨張係数が大きくなりすぎて熱割れしやすくなる。K2Oの含有量が20%超となると耐候性が低下して好ましくない。K2Oの含有量は、より好ましくは16%以下、さらに好ましくは14%以下、特に好ましくは12%以下、一層好ましくは10%以下、最も好ましくは8%以下である。
電波透過率の観点からは、上記範囲とすることで高い電波透過率を得ることが出来る。
【0047】
本発明によるガラス板は、Li2Oの含有量が0%~20%であることが好ましい。Li2Oは、ガラスの溶解性を向上させる成分であり、また、ヤング率を大きくしやすくし、ガラスの強度向上にも寄与する。Li2Oを含有させることで、化学強化が可能となり、さらに電波透過率も高くするのに効果がある場合がある。Li2Oの含有量はより好ましくは0.1%以上であり、さらに好ましくは1%以上であり、特に好ましくは2%以上であり、一層好ましくは3%以上、最も好ましくは4%以上である。
Li2Oが多すぎると、ガラス製造時に失透もしくは分相が生じ、製造が困難になるおそれがある。Li2Oの含有量はより好ましくは16%以下であり、さらに好ましくは12%以下、特に好ましくは8%以下、一層好ましくは7%以下、最も好ましくは6.5%以下である。
【0048】
本明細書において、「R2O」はアルカリ金属酸化物の総量を表し、通常、Li2O、Na2OおよびK2Oの含有量の合計を意味する。本発明によるガラス板は、R2Oが0%~20%であることが好ましい。R2Oが20%以下であれば、耐候性の向上が得られる。本発明によるガラス板におけるR2Oはより好ましくは19%以下、さらに好ましくは18.5%以下、特に好ましくは18%以下、一層好ましくは17.5%以下、最も好ましくは17%以下である。
また、製造時におけるT2、T4を下げる観点から、R2Oは0%超であることが好ましく、より好ましくは1%以上、さらに好ましくは5%以上、さらにより好ましくは6%以上、特に好ましくは8%以上、ことさら特に好ましくは10%以上、一層好ましくは11%以上、最も好ましくは12%以上である。
【0049】
Na2O/R2Oは電波透過率を高くするために0.01~0.98とすることが好ましい。Na2O/R2Oが小さすぎても大きすぎても、電波透過率を高くする効果が十分に得られないおそれがある。Na2O/R2Oは、好ましくは0.01以上、より好ましくは0.05以上、さらに好ましくは0.1以上、特に好ましくは0.2以上、一層好ましくは0.25以上、最も好ましくは0.3以上である。Li2Oが含有されない場合は、Na2O/R2Oの下限は、Li2Oが含有される場合と比べて若干大きいほうが良く、Na2O/R2Oは、好ましくは0.01以上、より好ましくは0.1以上、さらに好ましくは0.2以上、特に好ましくは0.3以上、一層好ましくは0.35以上、最も好ましくは0.4以上である。
Na2O/R2Oは、好ましくは0.98以下、より好ましくは0.8以下、さらに好ましくは0.6以下、特に好ましくは0.5以下、一層好ましくは0.45以下、最も好ましくは0.4以下である。Li2Oが含有されない場合は、Na2O/R2Oの上限は、Li2Oが含有される場合と比べて若干大きいほうが良く、Na2O/R2Oは好ましくは0.98以下、より好ましくは0.9以下、さらに好ましくは0.8以下、特に好ましくは0.7以下、一層好ましくは0.65以下、最も好ましくは0.6以下である。
【0050】
K2O/R2Oは電波透過率を高くするために0.01~0.98とすることが好ましい。K2O/R2Oが小さすぎても大きすぎても、電波透過率を高くする効果が十分に得られないおそれがある。K2O/R2Oは、好ましくは0.01以上、より好ましくは0.05以上、さらに好ましくは0.1以上、特に好ましくは0.2以上、一層好ましくは0.25以上、最も好ましくは0.3以上である。Li2Oが含有されない場合は、K2O/R2Oの下限は、Li2Oが含有される場合と比べて若干大きいほうが良く、K2O/R2Oは、好ましくは0.01以上、より好ましくは0.1以上、さらに好ましくは0.2以上、特に好ましくは0.3以上、一層好ましくは0.35以上、最も好ましくは0.4以上である。
K2O/R2Oは、好ましくは0.98以下、より好ましくは0.8以下、さらに好ましくは0.6以下、特に好ましくは0.5以下、一層好ましくは0.45以下、最も好ましくは0.4以下である。Li2Oが含有されない場合は、K2O/R2Oの上限は、Li2Oが含有される場合と比べて若干大きいほうが良く、K2O/R2Oは、好ましくは0.98以下、より好ましくは0.9以下、さらに好ましくは0.8以下、特に好ましくは0.7以下、一層好ましくは0.65以下、最も好ましくは0.6以下である。
【0051】
R2O×MgOは、電波透過率を高くするために低くすることが好ましい。R2O×MgO好ましくは100%2以下、より好ましくは80%2以下、さらに好ましくは66%2以下、さらにより好ましくは60%2以下、特に好ましくは50%2以下、一層好ましくは40%2以下、最も好ましくは30%2以下である。Li2Oが含有されない場合は、R2O×MgOの上限は、Li2Oが含有される場合と比べて大きいほうが良く、R2O×MgOは好ましくは250%2以下、より好ましくは200%2以下、さらに好ましくは150%2以下、特に好ましくは100%2以下、一層好ましくは85%2以下、最も好ましくは80%2以下である。
【0052】
さらに、溶解・成形中にホウ素やアルカリ元素が揮散して、ガラス品質の悪化につながるのを防ぐために、R2O+B2O3、すなわちR2Oの含有量とB2O3の含有量の合計は30%以下が好ましい。R2O+B2O3はより好ましくは25%以下、さらに好ましくは20%以下、一層好ましくは19%以下、最も好ましくは18%以下である。但し、R2O+B2O3が低くなりすぎると、溶解や成形時のガラス粘性が高くなりすぎて、製造が困難となるおそれがある。そのためR2O+B2O3は1%以上が好ましく、より好ましくは2%以上、さらに好ましくは3%以上、一層好ましくは4%以上、最も好ましくは5%以上である。
【0053】
本発明によるガラス板において、7Al2O3+3MgOは、0%~66%以下であることが好ましい。Al2O3、MgO、および7Al2O3+3MgOが、上記含有量範囲を満たすことで、ガラス材料の電波透過率の向上が可能となる。電波透過率の観点からは、7Al2O3+3MgOは小さいほうが好ましい。さらに、7Al2O3+3MgOが所定量より多いと、平均線膨張係数を維持しにくくなり、他の部材とのマッチングに支障をきたすおそれ、もしくは物理強化が困難になるおそれがある。7Al2O3+3MgOはより好ましくは60%以下、さらに好ましくは55%以下、さらにより好ましくは48%以下、特に好ましくは42%以下、一層好ましくは30%以下、最も好ましくは24%以下である。
しかしながら、耐候性の観点からは、7Al2O3+3MgOは多いほうが良く、0.5%以上がより好ましく、5%以上がさらに好ましく、10%以上が特に好ましく、15%以上が一層好ましく、20%以上が最も好ましい。これにより十分な耐候性が得られる。
【0054】
本発明によるガラス板において、7Al2O3+3MgO-4Li2Oは、-60%~66%が好ましい。Al2O3、MgO、Li2Oおよび7Al2O3+3MgO-4Li2Oが、上記含有量範囲を満たすことで、ガラス材料の電波透過率の向上が可能となる。電波透過率を高く、ヤング率を大きくする観点からは、7Al2O3+3MgO-4Li2Oは小さいほうが好ましい。さらに、7Al2O3+3MgO-4Li2Oが所定量より多いと、平均線膨張係数を維持しにくくなり、他の部材とのマッチングに支障をきたすおそれ、もしくは物理強化が困難になるおそれがある。7Al2O3+3MgO-4Li2Oは、より好ましくは50%以下、さらに好ましくは40%以下、特に好ましくは30%以下、一層好ましくは20%以下、最も好ましくは10%以下である。
しかしながら、耐候性の観点からは、7Al2O3+3MgO-4Li2Oは多いほうが良く、-50%以上がより好ましく、-40%以上がさらに好ましく、-30%以上が特に好ましく、-20%以上が一層好ましく、-10%以上が最も好ましい。これにより十分な耐候性が得られる。
【0055】
本発明によるガラス板は、ZrO2の含有量が0%~5%であることが好ましい。ZrO2は、ガラスの溶解時の粘性を下げ、溶解を促進する効果があり、また耐熱性および化学的耐久性の向上に寄与し得る。ZrO2の含有量が多いと、液相温度が上昇し、平均線膨張係数が増大するおそれがある。ZrO2の含有量はより好ましくは2.5%以下であり、さらに好ましくは2%以下であり、特に好ましくは1.0%以下であり、一層好ましくは0.5%以下であり、ZrO2が実質的に含まれないことが最も好ましい。
【0056】
本発明によるガラス板は、85%≦SiO2+Al2O3+MgO+CaO+SrO+BaO+Li2O+Na2O+K2O+Fe2O3+TiO2≦100%であることが好ましい。これにより、入手しやすいガラス原料でガラス板を製造することが可能になるとともに、ガラス板の耐候性も確保しやすくなる。上記合計量はより好ましくは88%以上、さらに好ましくは90%以上、特に好ましくは92%以上、一層好ましくは95%以上、より一層好ましくは98%以上、最も好ましくは99.5%以上である。窓材用のガラス板には典型的には着色剤、清澄剤等が添加されるため、上記合計量の上限は99.9%がより好ましい。
【0057】
本発明によるガラス板は、Fe2O3の含有量が0.001%~5%であることが好ましい。ここで、Fe2O3の含有量とは、二価鉄の酸化物であるFeOおよび三価鉄の酸化物であるFe2O3を含む全鉄量のことである。Fe2O3を0.001%未満とすると、遮熱性が求められる用途に使用することができなくなるおそれがあり、また、ガラス板の製造のために、鉄の含有量の少ない高価な原料を使用する必要が生じ、さらに、ガラス溶融時に、必要以上に溶融炉底面に熱輻射が到達し、溶融窯に負荷がかかってしまう恐れもあるため、好ましくない。Fe2O3の含有量はより好ましくは0.005%以上、さらに好ましくは0.01%以上、特に好ましくは0.015%以上、一層好ましくは0.02%以上、最も好ましくは0.05%以上である。
Fe2O3が5%超であると、輻射による伝熱が妨げられて原料が溶融しにくくなるおそれがある。さらに、Fe2O3の含有量が多くなりすぎると、可視域の光透過率の低下(Tvの低下)がおこるため、自動車用途での使用に適さなくなるおそれがある。Fe2O3の含有量はより好ましくは2%以下、さらに好ましくは1%以下、さらに好ましくは0.8%以下、さらにより好ましくは0.6%以下、特に好ましくは0.5%以下、一層好ましくは0.4%以下、最も好ましくは0.3%以下である。
【0058】
本発明によるガラス板は、レーザーレーダーなど赤外線照射機器を利用する場合にはFe2O3に換算した二価鉄(FeO)の含有量は、0.0001%~0.02%であることが好ましい。ガラス原料の溶解時にガラス融液の熱線吸収効率を上げ、溶解性を向上させるため、0.0002%以上であることが好ましく、より好ましくは0.0006%以上、さらに好ましくは0.0008%以上、特に好ましくは0.001%以上である。また、可視域から近赤外域の光を吸収するため、近赤外域における透過率を高めるため、0.015%以下であることが好ましく、より好ましくは0.01%以下であり、さらに好ましくは0.008%以下であり、特に好ましくは0.006%以下であり、特に好ましくは0.004%以下である。
本発明によるガラス板は、遮熱性能が求められる場合にはFe2O3に換算した2価鉄(FeO)の含有量は、0.05%~0.16%であることが好ましい。FeOは可視域から近赤外域の光を吸収し、遮熱性能を上げるため、FeOの含有量は0.07%以上であることが好ましく、より好ましくは0.08%以上、さらに好ましくは0.09%以上、特に好ましくは0.1%以上である。またFeOの含有量が多いと、製造時にガラスが熱を吸収し、製造しにくくなるため、FeOの含有量は0.015%以下であることが好ましく、より好ましくは0.01%以下であり、さらに好ましくは0.008%以下であり、特に好ましくは0.006%以下であり、特に好ましくは0.004%以下である。
【0059】
本発明によるガラス板は、レーザーレーダーなど赤外線照射機器を利用する場合には、Fe2O3に換算した全鉄中のFe2O3に換算した二価の鉄の質量割合(以下、Fe-redoxともいう)が、0%超、35%以下であることが好ましい。ここで、Fe2O3に換算した二価の鉄の質量割合とは、二価鉄の酸化物であるFeOをFe2O3形式に換算し、当該換算後の含有量の、全鉄量に対する割合を意味する。すなわち、FeOの分子量71.85g/molに対して、Fe2O3の分子量159.7g/molであることから、FeOの含有量に対して{(159.7÷2)/71.85}をかけることにより、Fe2O3に換算した2価の鉄の含有量が算出される。Fe-redoxは、0%超とすることによりガラス原料の溶解時にガラス融液の熱線吸収効率を上げ、溶解性を向上させることができる。Fe-redoxを調整する方法としては、例えば、低温での溶解、および酸化セリウムまたは酸化クロムなどの酸化剤の使用が挙げられる。Fe-redoxは、好ましくは1%以上、より好ましくは2%以上、さらに好ましくは3%以上、特に好ましくは4%以上、最も好ましくは5%以上である。
【0060】
また、Fe-redoxが高くなると、近赤外域の透過率が低下するおそれがあるため、Fe-redoxは35%以下であることが好ましく、より好ましくは30%以下、さらに好ましくは25%以下、さらにより好ましくは20%以下、特に好ましくは15%以下、最も好ましくは10%以下である。
【0061】
本発明によるガラス板は、遮熱性能が求められる場合には、Fe-redoxが30%超であることが好ましく、より好ましくは35%以上、さらに好ましくは40%以上、さらにより好ましくは45%以上、特に好ましくは50%以上、最も好ましくは55%以上である。Fe-redoxを30%超とすることによりガラスの遮熱性を向上させることができる。Fe-redoxを上げる方法としては、例えば、高温での溶解、および酸化スズまたはコークスなどの還元剤の使用が挙げられる。
【0062】
本発明によるガラス板は、SO3を含有する場合、Fe-redoxを高めるために、還元雰囲気下で溶解させると、硫黄(S)はマイナス2価の硫黄となる。その結果、ガラス中のプラス2価の鉄と反応してアンバー発色を生じ、可視域の透過率が低下するおそれがある。そのため、Fe-redoxは80%以下であることが好ましく、より好ましくは75%以下、さらに好ましくは70%以下、さらにより好ましくは65%以下、特に好ましくは60%以下、最も好ましくは58%以下である。
【0063】
本発明によるガラス板は、TiO2の含有量が0.001%~5%であることが好ましい。TiO2の含有量が0.001%未満であると、本発明のガラス板の製造の際に、溶融ガラス表面に泡層が生成するおそれがある。泡層が生成すると、溶融ガラスの温度が上がらず、清澄しづらくなり、生産性が悪化する傾向がある。溶融ガラス表面に生成した泡層を薄化または消失させるために、消泡剤としてチタン化合物が、溶融ガラス表面に生成した泡層に供給され得る。チタン化合物は、溶融ガラス中に取り込まれ、TiO2として存在することとなる。このチタン化合物は、無機チタン化合物(四塩化チタン、酸化チタン等)であってもよく、有機チタン化合物であってもよい。有機チタン化合物としては、チタン酸エステルまたはその誘導体、チタンキレートまたはその誘導体、チタンアシレートまたはその誘導体、シュウ酸チタネート等が挙げられる。TiO2の含有量は、より好ましくは0.005%以上、さらに好ましくは0.01%以上、特に好ましくは0.02%以上、一層好ましくは0.05%以上、最も好ましくは0.06%以上である。また、TiO2は紫外域に吸収を持つため紫外線をカットしたい用途に関しては添加することが好ましい。その場合は、TiO2の含有量は好ましくは0.04%以上、より好ましくは0.1%以上、さらに好ましくは0.2%以上、特に好ましくは0.5%以上である。しかしながら、TiO2の含有量が多いと液相温度が上昇し、失透が生成するおそれがあり、また、可視域に吸収をもち、黄色の着色が生じるおそれもあるので、TiO2の含有量は5%以下に留めることが好ましい。TiO2の含有量は、より好ましくは1%以下であり、さらに好ましくは0.5%以下、特に好ましくは0.3%以下、一層好ましくは0.2%以下、最も好ましくは0.1%以下である。
【0064】
本発明によるガラス板は、レーザーレーダーなど赤外線照射機器を利用する場合にはガラス中に水分が存在すると、近赤外光領域に吸収を持つため、近赤外領域の透過率が減少し、赤外線照射機器の利用に好適ではない。ガラス中の水分は一般的にβ-OHという値で表わすことができ、β-OHは0.5以下が好ましく、0.4以下がより好ましく、0.3以下がさらに好ましく、0.2以下が特に好ましい。β-OHはFT-IR(フーリエ変換赤外分光光度計)を用いて測定したガラス板の透過率より、下記式によって得ることができる。
β-OH(mm-1)=(1/X)log10(TA/TB)
X:ガラス板の厚さ(mm)
TA:参照波数4000cm-1における透過率(%)
TB:水酸基吸収波数3600cm-1付近における最小透過率(%)
【0065】
本発明によるガラス板は、ガラス中に水分が存在すると、近赤外光領域に吸収を持つため、遮熱性を高めることができる。遮熱性を高める場合には、ガラス中のβ-OHは0.05以上が好ましく、0.07以上がより好ましく、0.1以上がさらに好ましく、0.15以上が特に好ましい。
【0066】
本発明のガラス板では、さらに以下の10の態様に記載の組成範囲とすることで、より優れた特性が得られ好ましい。
【0067】
本発明の態様1によるガラス板は、以下の条件を満たすことが好ましい。
酸化物基準のモル百分率表示で、各成分を下記含有量:
55≦SiO2≦75
0≦Al2O3≦9
0≦B2O3≦15
0≦MgO≦15
0≦CaO≦20
0≦SrO≦15
0≦BaO≦15
0≦Li2O<0.01
1.2≦Na2O≦15.6
3.5≦K2O≦12.5
0≦ZrO2≦2
0.001≦Fe2O3≦5
0.001≦TiO2≦5
4.7≦R2O≦19.5
0≦RO≦20
85≦SiO2+Al2O3+MgO+CaO+SrO+BaO+Li2O+Na2O+K2O+Fe2O3+TiO2≦100
42<7Al2O3+3MgO≦66
0.25≦Na2O/R2O≦0.8
R2O+B2O3≦23
0≦PbO<0.001
で含む。
態様1の範囲とすることで、高い電波透過率を示し、かつ所望の用途に要求される特性を満たすガラス板が得られる。
【0068】
電波透過率を高くするために、態様1において下記の範囲とすることがより好ましい。SiO2の含有量は、ヤング率および耐候性を高くするために、より好ましくは57%以上、さらに好ましくは60%以上である。粘度増加による粘性の悪化を抑制するため、より好ましくは70%以下、さらに好ましくは68%以下、特に好ましくは66%以下である。
Al2O3の含有量は、ヤング率および耐候性を高くするために、より好ましくは2%以上、より好ましくは3%以上、さらに好ましくは4%以上、特に好ましくは5%以上である。電波透過率を高くするために、より好ましくは8%以下、さらに好ましくは7%以下、さらにより好ましくは6%以下、特に好ましくは5%以下、最も好ましくは4.5%以下である。
MgOの含有量は、溶解性および耐候性向上の観点から、より好ましくは0.1%以上、さらに好ましくは0.25%以上、特に好ましくは0.4%以上である。粘性向上の観点から、13%以下がより好ましく、さらに好ましくは10%以下、さらにより好ましくは7%以下、特に好ましくは5%以下、特に好ましくは4.5%以下、ことさら特に好ましくは4%以下、一層好ましくは3%以下、より一層好ましくは2%以下、最も好ましくは1%以下である。
【0069】
CaOの含有量は、溶解性を改善し、かつ電波透過率を高めるために、1%以上とすることが好ましい。より好ましくは2%以上、さらに好ましくは4%以上、特に好ましくは5%以上、一層好ましくは6%以上、最も好ましくは8%以上である。CaOの含有量は、失透抑制の観点から18%以下がより好ましく、16%以下がさらに好ましく、15%以下が特に好ましく、14%以下が一層好ましく、13%以下が特に好ましく、12%以下が最も好ましい。
SrOは、溶解性を改善し、かつ電波透過率を高めるために含んでいても良く、SrOを含有する場合、その含有量は0.5%以上が好ましく、より好ましくは1%以上である。SrOの含有量は、ガラスが脆くなるのを防ぐために、12%以下がより好ましく、10%以下がさらに好ましく、8%以下が特に好ましく、5%以下が一層好ましく、3%以下がより一層好ましく、2%以下が最も好ましい。
【0070】
BaOは、溶解性を改善し、かつ電波透過率を高めるために含んでいても良く、BaOを含む場合、その含有量は0.5%以上が好ましく、より好ましくは1%以上であり、特に好ましくは2%以上である。BaOの含有量は、ガラスが脆くなるのを防ぐために、12%以下がより好ましく、10%以下がさらに好ましく、9%以下が特に好ましく、7%以下が一層好ましく、5%以下がより一層好ましく、3%以下が最も好ましい。
Na2Oの含有量は、溶解性を高め、平均線膨張係数を調整するために、より好ましくは3%以上、さらに好ましくは4%以上、特に好ましくは5%以上、一層好ましくは6%以上、最も好ましくは7%以上である。また、Na2Oが含まれると耐候性を悪化するため、その含有量は、より好ましくは15%以下、さらに好ましくは14%以下、特に好ましくは13%以下、一層好ましくは12%以下、より一層好ましくは11%以下、最も好ましくは10%以下である。
K2Oの含有量は、電波透過率を高くし、平均線膨張係数を調整するために、より好ましくは4%以上、さらに好ましくは4.5%以上、特に好ましくは5%以上、一層好ましくは5.5%以上、最も好ましくは6%以上である。また、K2Oが含まれると耐候性が悪化するため、その含有量は、より好ましくは12%以下、さらに好ましくは11.5%以下、特に好ましくは11%以下、一層好ましくは10.5%以下、最も好ましくは10%以下である。
【0071】
ZrO2は、化学耐久性向上のために含んでいても良く、ZrO2を含む場合、その含有量はより好ましくは0.5%以上である。平均線膨張係数が大きくなる恐れがあるため、その含有量は、より好ましくは1.8%以下、さらに好ましくは1.5%以下である。
R2Oの含有量は、溶解性向上の観点から、より好ましくは5%以上、より好ましくは6%以上、さらに好ましくは7%以上、さらにより好ましくは8%以上、特に好ましくは10%以上である。一方で、耐候性を向上させるために、より好ましくは18.5%以下、さらに好ましくは17%以下、さらにより好ましくは16%以下、特に好ましくは15%以下、最も好ましくは14%以下である。
【0072】
ROの含有量は、溶解性向上および電波透過率向上の観点から、より好ましくは5%以上、さらに好ましくは7%以上、特に好ましくは10%以上である。一方で、耐候性向上、失透抑制の観点から、より好ましくは19%以下、さらに好ましくは18%以下、さらにより好ましくは17%以下、特に好ましくは16%以下、最も好ましくは15%以下である。
本態様によるガラス板は、85≦SiO2+Al2O3+MgO+CaO+SrO+BaO+Li2O+Na2O+K2O+Fe2O3+TiO2≦100であることがより好ましい。これにより、入手しやすいガラス原料でガラス板を製造することが可能になる。
【0073】
7Al2O3+3MgOは、電波透過率を高くするために、より好ましくは43%以上、さらに好ましくは44%以上、特に好ましくは44.5%以上、一層好ましくは45%以上、最も好ましくは45.5%以上である。また、7Al2O3+3MgOは、より好ましくは60%以下、さらに好ましくは58%以下、特に好ましくは56%以下、一層好ましくは52%以下、最も好ましくは50%以下である。
Na2O/R2Oは、電波透過率を高くするために、より好ましくは0.3以上、さらに好ましくは0.35以上、特に好ましくは0.4以上、一層好ましくは0.43以上、最も好ましくは0.45以上である。また、Na2O/R2Oは、より好ましくは0.75以下、さらに好ましくは0.7以下、特に好ましくは0.65以下、一層好ましくは0.6以下、最も好ましくは0.55以下である。
【0074】
本発明の態様1において、SiO2+Al2O3は、好ましくは50%以上、さらに好ましくは55%以上、特に好ましくは60%以上、一層好ましくは65%以上、より一層好ましくは67%以上、最も好ましくは68%以上である。また、SiO2+Al2O3は、好ましくは80%以下、さらに好ましくは78%以下、特に好ましくは76%以下、一層好ましくは74%以下、最も好ましくは72%以下である。
R2O×MgOは、電波透過率を高くするために、低くすることがより好ましい。Li2Oを含有しない場合はR2O×MgOの上限が大きいほうが良く、好ましくは250%2以下である。
溶解・成形中にホウ素やアルカリ元素が揮散して、ガラス品質の悪化につながるのを防ぐために、R2O+B2O3は23%以下が好ましい。R2O+B2O3はより好ましくは22%以下、より好ましくは21%以下、さらに好ましくは20%以下、より一層好ましくは19%以下、最も好ましくは18.5%以下である。但し、R2O+B2O3が低くなりすぎると、溶解・成形時のガラス粘性が高くなりすぎて、製造が困難となるおそれがある。そのためR2O+B2O3は1%以上が好ましく、より好ましくは4%以上、さらに好ましくは8%以上、一層好ましくは10%以上、最も好ましくは12%以上である。
溶解・成形中にホウ素やアルカリ元素が揮散して、ガラス品質の悪化につながるのを防ぐために、B2O3の含有量は15%以下が好ましく、より好ましくは12%以下、より好ましくは10%以下、より好ましくは7%以下、さらに好ましくは5%以下、さらにより好ましくは4%以下、一層好ましくは3%以下、より一層好ましくは2%以下、最も好ましくは1%以下である。
ガラス溶解時・成形時に失透が発生してガラス品質の悪化につながるのを防ぐために、MgO+CaOは20%以下がより好ましく、さらに好ましくは18%以下、特に好ましくは16%以下、一層好ましくは15%以下、より一層好ましくは14%以下、最も好ましくは13%以下である。但し、MgO+CaOが低くなりすぎると、溶解・成形時のガラス粘性が高くなりすぎて、製造が困難となるおそれがあるため、MgO+CaOは1%以上が好ましく、より好ましくは2%以上、さらに好ましくは4%以上、一層好ましくは5%以上、より一層好ましくは7%以上、最も好ましくは9%以上、より最も好ましくは10%以上である。
ガラス板がこれらの条件を満たすことにより、高周波数帯における高い電波透過率を得ることができる。
【0075】
本発明の態様2によるガラス板は、以下の条件を満たすことが好ましい。
酸化物基準のモル百分率表示で、各成分を下記含有量:
55≦SiO2≦75
0≦Al2O3≦6
0≦B2O3≦15
0≦MgO≦14
0≦CaO≦20
0≦SrO≦15
0≦BaO≦15
0≦Li2O<0.01
4≦Na2O≦17
1.9≦K2O≦14.2
0≦ZrO2≦2
0.001≦Fe2O3≦5
0.001≦TiO2≦3
5.9≦R2O≦20
0≦RO≦20
85≦SiO2+Al2O3+MgO+CaO+SrO+BaO+Li2O+Na2O+K2O+Fe2O3+TiO2≦100
23.5<7Al2O3+3MgO≦42
0.22≦Na2O/R2O≦0.85
R2O×MgO≦66
55≦SiO2+Al2O3≦76
0≦PbO<0.001
で含む。
態様2の範囲とすることで、高い電波透過率を示し、かつ所望の用途に要求される特性を満たすガラス板が得られる。
【0076】
電波透過率を高くするために、態様2において下記の範囲とすることがより好ましい。
SiO2の含有量は、ヤング率および耐候性を高くするために、より好ましくは60%以上、さらに好ましくは65%以上、さらにより好ましくは66%以上、特に好ましくは67%以上、最も好ましくは68%以上であり、粘性向上の観点から、より好ましくは74%以下、さらに好ましくは73%以下、特に好ましくは72%以下、最も好ましくは71%以下である。
Al2O3の含有量は、ヤング率および耐候性を高くするために、より好ましくは0.5%以上、さらに好ましくは1%以上、特に好ましくは1.5%以上、最も好ましくは2%以上であり、電波透過率を高くするために、より好ましくは5%以下、さらにより好ましくは4%以下、さらに好ましくは3%以下である。
MgOの含有量は、溶解性および耐候性向上の観点から、より好ましくは0.1%以上、さらに好ましくは0.25%以上、特に好ましくは0.35%以上であり、粘性向上の観点から、13%以下がより好ましく、さらに好ましくは10%以下、さらに好ましくは9%以下、さらにより好ましくは7%以下、特に好ましくは5%以下、ことさら特に好ましくは4%以下、一層好ましくは3%以下、より一層好ましくは2%以下、最も好ましくは1%以下である。
【0077】
CaOの含有量は、溶解性を改善し、かつ電波透過率を高めるために、1%以上とすることが好ましく、より好ましくは3%以上、さらに好ましくは4%以上、特に好ましくは6%以上、一層好ましくは8%以上、最も好ましくは10%以上である。CaOの含有量は、失透抑制の観点から18%以下がより好ましく、17%以下がさらに好ましく、16%以下が特に好ましく、15%以下が一層好ましく、14%以下が最も好ましい。
SrOは溶解性を改善するために、かつ電波透過率を高めるために含んでいても良く、SrOを含有する場合、その含有量は0.5%以上とすることが好ましく、より好ましくは1%以上である。SrOの含有量は、ガラスが脆くなるのを防ぐために12%以下がより好ましく、10%以下がさらに好ましく、7%以下が特に好ましく、4%以下が一層好ましく、2%以下が最も好ましい。
【0078】
BaOは、溶解性を改善し、かつ電波透過率を高めるために含んでいても良く、BaOを含む場合、0.5%以上とすることが好ましい。より好ましくは1%以上であり、特に好ましくは2%以上である。BaOの含有量は、ガラスが脆くなるのを防ぐために、12%以下がより好ましく、10%以下がさらに好ましく、8%以下が特に好ましく、5%以下が一層好ましく、3%以下が最も好ましい。
溶解性を確保しつつ、電波透過率も高くするために、Na2Oの含有量は4%~17%が好ましい。この範囲とすることで、後述のNa2O/R2Oの範囲およびR2O×MgOの範囲を適切に保ちやすくなるために耐候性も確保される。Na2Oの含有量はより好ましくは4.5%以上、さらに好ましくは5%以上、最も好ましくは6%以上である。また、Na2Oの含有量はより好ましくは16%以下、さらに好ましくは14%以下、特に好ましくは12%以下、一層好ましくは11%以下、最も好ましくは10%以下である。
【0079】
K2Oの含有量は、電波透過率を高くするために、より好ましくは2%以上、さらに好ましくは3.5%以上、さらにより好ましくは4%以上、特に好ましくは5%以上、一層好ましくは5.5%以上、最も好ましくは6%以上であり、より好ましくは13.5%以下、さらに好ましくは12%以下、特に好ましくは11%以下、一層好ましくは10.5%以下、最も好ましくは10%以下である。
ZrO2は、化学耐久性向上のために含んでいても良く、ZrO2を含む場合、その含有量はより好ましくは0.5%以上である。平均線膨張係数が大きくなる恐れがあるため、ZrO2の含有量は、より好ましくは1.8%以下、さらに好ましくは1.5%以下である。
【0080】
R2Oの含有量は、溶解性向上の観点から、より好ましくは7%以上、さらに好ましくは8%以上、特に好ましくは10%以上である。一方で、耐候性を向上させるために、より好ましくは18%以下、さらに好ましくは16%以下、さらにより好ましくは14%以下、特に好ましくは13%以下、最も好ましくは12%以下である。
ROの含有量は、溶解性向上および電波透過率向上の観点から、より好ましくは2%以上であり、より好ましくは5%以上、さらに好ましくは7%以上、さらにより好ましくは8%以上、特に好ましくは10%以上である。一方で、耐候性向上、失透抑制の観点から、より好ましくは19%以下、さらに好ましくは18%以下、さらにより好ましくは17%以下、特に好ましくは16%以下、最も好ましくは15%以下である。
【0081】
態様2によるガラス板は、85≦SiO2+Al2O3+MgO+CaO+SrO+BaO+Li2O+Na2O+K2O+Fe2O3+TiO2≦100であることがより好ましい。これにより、入手しやすいガラス原料でガラス板を製造することが可能になる。
7Al2O3+3MgOは、電波透過率を高くするために、より好ましくは24%以上、さらに好ましくは25%以上、特に好ましくは26%以上、一層好ましくは28%以上、最も好ましくは30%以上である。また、7Al2O3+3MgOは、より好ましくは40%以下、さらに好ましくは38%以下、特に好ましくは37%以下、一層好ましくは36%以下、最も好ましくは35%以下である。
Na2O/R2Oは、電波透過率を高くするために、より好ましくは0.3以上、さらに好ましくは0.35以上、特に好ましくは0.4以上、最も好ましくは0.45以上である。また、Na2O/R2Oは、より好ましくは0.8以下、さらに好ましくは0.75以下、特に好ましくは0.7以下、一層好ましくは0.6以下、最も好ましくは0.55以下である。
【0082】
SiO2+Al2O3は、溶解性を改善させ、かつ電波透過率を向上させるために、より好ましくは60%以上、さらに好ましくは65%以上、特に好ましくは67%以上、最も好ましくは68%以上である。また、SiO2+Al2O3は、好ましくは76%以下、より好ましくは75%以下、さらに好ましくは74%以下、特に好ましくは73%以下、最も好ましくは72%以下である。
R2O×MgOは電波透過率を高くするために低くすることが好ましい。R2O×MgOは、好ましくは66%2以下、より好ましくは60%2以下、さらに好ましくは50%2以下、特に好ましくは40%2以下、一層好ましくは30%2以下、最も好ましくは25%2以下である。
溶解・成形中にホウ素やアルカリ元素が揮散して、ガラス品質の悪化につながるのを防ぐために、R2O+B2O3は30%以下が好ましく、より好ましくは28%以下、さらに好ましくは25%以下、一層好ましくは20%以下、より一層好ましくは18%以下、最も好ましくは16%以下である。但し、R2O+B2O3が低くなりすぎると、溶解・成形時のガラス粘性が高くなりすぎて、製造が困難となるおそれがあるため、R2O+B2O3は1%以上が好ましく、より好ましくは2%以上、さらに好ましくは3%以上、一層好ましくは4%以上、より一層好ましくは6%以上、最も好ましくは8%以上である。
【0083】
Na2Oの含有量が多いことにより、溶解・成形中にホウ素やアルカリ元素が揮散して、ガラス品質の悪化につながるのを防ぐために、B2O3は15%以下が好ましい。B2O3の含有量はより好ましくは12%以下、さらに好ましくは10%以下、一層好ましくは8%以下、より一層好ましくは6%以下、最も好ましくは5%以下である。
ガラス溶解時・成形時に失透が発生してガラス品質の悪化につながるのを防ぐために、MgO+CaOは18%以下がより好ましく、さらに好ましくは16%以下、一層好ましくは14%以下、最も好ましくは12%以下である。但し、MgO+CaOが低くなりすぎると、溶解・成形時のガラス粘性が高くなりすぎて、製造が困難となるおそれがあるため、MgO+CaOは1%以上が好ましく、より好ましくは2%以上、さらに好ましくは3%以上、一層好ましくは4%以上、最も好ましくは5%以上である。
態様2によるガラス板は失透しやすい傾向があるため、TiO2の含有量は3%以下が好ましく、より好ましくは2%以下、さらに好ましくは1%以下、特に好ましくは0.5%以下、一層好ましくは0.2%以下、最も好ましくは0.1%以下である。
【0084】
本発明の態様3によるガラス板は、以下の条件を満たすことが好ましい。
酸化物基準のモル百分率表示で、各成分を下記含有量:
55≦SiO2≦75
1.3≦Al2O3≦3.35
0≦B2O3≦15
0≦MgO≦4.8
0≦CaO≦20
0≦SrO≦4
0≦BaO≦15
0≦Li2O<0.01
0.1≦Na2O≦16
1≦K2O≦16
0≦ZrO2≦2
0.001≦Fe2O3≦5
0.001≦TiO2≦1.5
1.1≦R2O≦20
0≦RO≦20
85≦SiO2+Al2O3+MgO+CaO+SrO+BaO+Li2O+Na2O+K2O+Fe2O3+TiO2≦100
0≦7Al2O3+3MgO≦23.5
0.05≦Na2O/R2O≦0.8
0≦R2O+B2O3≦22
0≦PbO<0.001
0≦ZnO≦8
で含む。
態様3の範囲とすることで、高い電波透過率を示し、かつ所望の用途に要求される特性を満たすガラス板が得られる。
【0085】
電波透過率を高くするために、態様3において下記の範囲とすることがより好ましい。
SiO2の含有量は、ヤング率および耐候性を高くするために、より好ましくは60%以上、さらに好ましくは65%以上、特に好ましくは68%以上である。粘性向上の観点から、SiO2の含有量は、より好ましくは74%以下、さらに好ましくは73.5%以下、特に好ましくは73%以下、最も好ましくは72.5%以下である。
Al2O3は、ヤング率および耐候性を高くするために、より好ましくは1.5%以上、さらに好ましくは1.7%以上、特に好ましくは1.9%以上、最も好ましくは2%以上である。電波透過率を高くするために、より好ましくは3.0%以下であり、さらに好ましくは2.5%以下である。
【0086】
MgOの含有量は、溶解性および耐候性向上の観点から、より好ましくは0.1%以上、さらに好ましくは0.25%以上、特に好ましくは0.5%以上である。粘性向上の観点から、MgOの含有量は、より好ましくは4%以下、さらに好ましくは3%以下、特に好ましくは2%以下、最も好ましくは1%以下である。
CaOの含有量は、溶解性を改善し、かつ電波透過率を高めるために、1%以上が好ましく、より好ましくは2%以上、さらに好ましくは4%以上、特に好ましくは5%以上、一層好ましくは6%以上、最も好ましくは8%以上である。CaOの含有量は、失透抑制の観点から、18%以下がより好ましく、16%以下がさらに好ましく、15%以下が特に好ましく、14%以下が一層好ましく、13%以下が最も好ましい。
【0087】
BaOは溶解性を改善し、かつ電波透過率を高めるために含んでいても良く、BaOを含む場合、その含有量は、0.5%以上とすることが好ましく、より好ましくは1%以上であり、特に好ましくは2%以上である。BaOの含有量は、ガラスが脆くなるのを防ぐために、12%以下がより好ましく、10%以下がさらに好ましく、9%以下がさらにより好ましく、8%以下が特に好ましく、4%以下がことさら特に好ましく、3%以下が最も好ましい。
Na2Oの含有量は、溶解性を高め、平均線膨張係数を調整するために、より好ましくは2%以上、さらに好ましくは4%以上、特に好ましくは5%以上、一層好ましくは6%以上、最も好ましくは7%以上である。また、Na2Oが含まれると耐候性が悪化するため、その含有量は、より好ましくは15%以下、さらに好ましくは14%以下、特に好ましくは13%以下、一層好ましくは12%以下、最も好ましくは11%以下である。
K2Oの含有量は、電波透過率を高くするために、より好ましくは1.5%以上、さらに好ましくは2%以上、特に好ましくは2.5%以上、最も好ましくは3%以上であり、より好ましくは13%以下、さらに好ましくは11%以下、特に好ましくは10%以下、一層好ましくは9%以下、最も好ましくは8%以下である。
【0088】
ZrO2は、化学耐久性向上のために含んでいても良く、ZrO2を含む場合、その含有量は、より好ましくは0.5%以上である。ZrO2の含有量は、平均線膨張係数が大きくなる恐れがあるため、より好ましくは1.8%以下、さらに好ましくは1.5%以下である。
R2Oは、溶解性向上の観点から、より好ましくは5%以上であり、さらに好ましくは6%以上、特に好ましくは8%以上、最も好ましくは10%以上である。一方で、耐候性を向上させるために、より好ましくは19%以下、さらに好ましくは17%以下、さらにより好ましくは15%以下、特に好ましくは14.5%以下、最も好ましくは14%以下である。
ROは、溶解性向上および電波透過率向上の観点から、より好ましくは5%以上であり、さらに好ましくは6%以上、特に好ましくは9%以上である。一方で、耐候性向上、失透抑制の観点から、より好ましくは18%以下、さらに好ましくは16%以下、さらにより好ましくは15%以下、特に好ましくは13%以下、最も好ましくは12%以下である。
【0089】
7Al2O3+3MgOは、電波透過率を高くするために、より好ましくは0.5%以上、さらに好ましくは1%以上、特に好ましくは5%以上、一層好ましくは8%以上、最も好ましくは10%以上である。また、7Al2O3+3MgOは、より好ましくは23%以下、さらに好ましくは22.5%以下、さらにより好ましくは22%以下である。
Na2O/R2Oは、電波透過率を高くするために、より好ましくは0.1以上、さらに好ましくは0.15以上、特に好ましくは0.2以上、一層好ましくは0.25以上、最も好ましくは0.3以上である。また、Na2O/R2Oは、より好ましくは0.75以下、さらに好ましくは0.7以下、特に好ましくは0.65以下、ことさら特に好ましくは0.6以下、最も好ましくは0.55以下である。
SiO2+Al2O3は、より好ましくは50%以上、さらに好ましくは55%以上、特に好ましくは60%以上、一層好ましくは65%以上、より一層好ましくは68%以上、最も好ましくは71%以上、である。また、SiO2+Al2O3は、より好ましくは80%以下、さらに好ましくは78%以下、特に好ましくは76%以下、一層好ましくは75%以下、最も好ましくは74%以下である。
【0090】
R2O×MgOは電波透過率を高くするために低くすることがより好ましい。R2O×MgOは好ましくは80%2以下、より好ましくは60%2以下、さらに好ましくは40%2以下、特に好ましくは30%2以下、一層好ましくは20%2以下、最も好ましくは10%2以下である。
溶解・成形中にホウ素やアルカリ元素が揮散して、ガラス品質の悪化につながるのを防ぐために、R2O+B2O3は22%以下が好ましく、より好ましくは20%以下、さらに好ましくは18.5%以下、一層好ましくは18%以下、最も好ましくは16%以下である。但し、R2O+B2O3が低くなりすぎると、溶解・成形時のガラス粘性が高くなりすぎて、製造が困難となるおそれがある。そのためR2O+B2O3は1%以上が好ましく、より好ましくは2%以上、さらに好ましくは4%以上、一層好ましくは6%以上、最も好ましくは8%以上である。
態様3においても、ガラス中のNa2O成分が総アルカリ量に対し相対的に増えるため、溶解・成形中にホウ素やアルカリ元素が揮散して、ガラス品質の悪化につながるのを防ぐために、B2O3の含有量は15%以下が好ましく、より好ましくは10%以下、さらに好ましくは8%以下、一層好ましくは6%以下、最も好ましくは5%以下である。
態様3によるガラス板は、85≦SiO2+Al2O3+MgO+CaO+SrO+BaO+Li2O+Na2O+K2O+Fe2O3+TiO2≦100であることがより好ましい。これにより、入手しやすいガラス原料でガラス板を製造することが可能になる。また、本形態のガラスのように、Al2O3やMgOが少ない組成では、ガラス板の耐候性も確保するため98%以上とすることがより好ましい。上記合計量はさらに好ましくは98.5%以上、特に好ましくは99%以上である。窓材用のガラス板には典型的には着色剤、清澄剤等が添加されるため、上記合計量の上限は99.9%が一層好ましい。
また、態様3においては、Al2O3やMgOが少ないためにガラスが脆くなり強度が落ちるのを防ぐ、もしくはガラス板の軽量化のために、SrOは4%以下が好ましく、より好ましくは2.5%以下、さらに好ましくは2%以下であり、特に好ましくは実質的に含有されない。
【0091】
ガラス溶解時・成形時に失透が発生してガラス品質の悪化につながるのを防ぐために、MgO+CaOは18%以下が好ましく、より好ましくは16%以下、さらに好ましくは14%以下、一層好ましくは13%以下、最も好ましくは12%以下である。但し、MgO+CaOが低くなりすぎると、溶解・成形時のガラス粘性が高くなりすぎて、製造が困難となるおそれがあるためMgO+CaOは1%以上が好ましく、より好ましくは2%以上、さらに好ましくは3%以上、一層好ましくは4%以上、最も好ましくは5%以上である。
態様3によるガラス板は、特に失透しやすい傾向があるため、TiO2の含有量は1.5%以下が好ましく、より好ましくは1%以下、さらに好ましくは0.5%以下、特に好ましくは0.2%以下、一層好ましくは0.1%以下、最も好ましくは0.05%以下である。
態様3によるガラス板は、失透を抑制する効果があるためZnOを含んでも良い。多量に含有するとフロートバスでの製造時に欠点が発生するおそれがあるため、ZnOの含有量は8%以下が好ましく、より好ましくは6%以下、より好ましくは4%以下、さらに好ましくは3%以下、さらに好ましくは2%以下、さらにより好ましくは1%以下、さらにより好ましくは0.5%以下である。
【0092】
本発明の態様4によるガラス板は、以下の条件を満たすことが好ましい。
酸化物基準のモル百分率表示で、各成分を下記含有量:
55≦SiO2≦75
1.44≦Al2O3≦9
0≦B2O3≦2
0≦MgO≦15
0≦CaO≦20
0≦SrO≦15
0≦BaO≦1
0.01≦Li2O≦19.1
0≦Na2O≦16
0.9≦K2O≦16
0≦ZrO2≦2
0.001≦Fe2O3≦5
0.001≦TiO2≦5
0.91≦R2O≦20
0≦RO≦20
98≦SiO2+Al2O3+MgO+CaO+SrO+BaO+Li2O+Na2O+K2O+Fe2O3+TiO2≦100
10<7Al2O3+3MgO-4Li2O≦66
0≦Na2O/R2O≦0.8
0≦PbO<0.001
で含む。
態様4の範囲とすることで、高い電波透過率を示し、かつ所望の用途に要求される特性を満たすガラス板が得られる。
【0093】
電波透過率を高くするために、態様4において下記の範囲とすることがより好ましい。
SiO2の含有量は、ヤング率および耐候性を高くするために、より好ましくは60%以上、さらに好ましくは64%以上、特に好ましくは65%以上であり、粘性向上の観点から、より好ましくは72%以下、さらに好ましくは70%以下、特に好ましくは68%以下である。
Na2Oの含有量は、溶解性を高め、平均線膨張係数を調整するために、より好ましくは2%以上、より好ましくは3%以上、さらに好ましくは4%以上、特に好ましくは5%以上、一層好ましくは6%以上であり、耐候性を向上させるため、より好ましくは15%以下、さらに好ましくは14%以下、特に好ましくは13%以下、一層好ましくは12%以下、より一層好ましくは10%以下、最も好ましくは9%以下である。
【0094】
K2Oの含有量は、電波透過率を高くするために、より好ましくは1%以上、さらに好ましくは1.5%以上、特に好ましくは2%以上、一層好ましくは2.5%以上、最も好ましくは3%以上であり、より好ましくは15%以下、さらに好ましくは13%以下、特に好ましくは12%以下、一層好ましくは10%以下、最も好ましくは9%以下である。
Li2Oの含有量は、溶解性およびヤング率を高め、電波透過率を向上させるために、より好ましくは1%以上、さらに好ましくは2%以上、特に好ましくは3%以上、一層好ましくは4%以上であり、また、Li2Oは失透および分相の懸念があるため、その含有量は、より好ましくは15%以下、さらに好ましくは12%以下、特に好ましくは10%以下、一層好ましくは8%以下、最も好ましくは7%以下である。
SrOは溶解性を改善するために、かつ電波透過率を高めるために含んでいてもよく、SrOを含む場合、その含有量は、0.5%以上とすることが好ましく、より好ましくは1%以上であり、特に好ましくは2%以上である。SrOの含有量は、ガラスが脆くなるのを防ぐために12%以下がより好ましく、10%以下がさらに好ましく、8%以下が特に好ましく、6%以下が一層好ましく、4%以下が最も好ましい。
【0095】
7Al2O3+3MgO-4Li2Oは、電波透過率を高くするために、より好ましくは12以上、さらに好ましくは14以上、特に好ましくは16以上、一層好ましくは18以上、最も好ましくは20以上である。また、7Al2O3+3MgO-4Li2Oは、より好ましくは60以下、さらに好ましくは55以下、特に好ましくは50以下、一層好ましくは45以下、最も好ましくは40以下である。
Na2O/R2Oは、電波透過率を高くするために、より好ましくは0.05以上、さらに好ましくは0.1以上、特に好ましくは0.15以上、一層好ましくは0.2以上、最も好ましくは0.25以上である。また、Na2O/R2Oは、より好ましくは0.8以下、さらに好ましくは0.75以下、特に好ましくは0.7以下、一層好ましくは0.6以下、最も好ましくは0.5以下である。
【0096】
態様4において、溶解・成形時のガラス粘性を低くして製造しやすくするために、SiO2+Al2O3は、好ましくは50%以上、さらに好ましくは60%以上、特に好ましくは65%以上、一層好ましくは66%以上、最も好ましくは68%以上である。また、SiO2+Al2O3は、好ましくは75%以下、さらに好ましくは74%以下、特に好ましくは73%以下、一層好ましくは72%以下、最も好ましくは71%以下である。
溶解・成形時のガラス粘性を低くして製造しやすく、さらに、電波透過率を高くするために、Al2O3の含有量は9%以下が好ましく、より好ましくは8%以下、さらに好ましくは7%以下、特に好ましくは6%以下、一層好ましくは5%以下、最も好ましくは4%以下であり、耐候性を確保するために、より好ましくは1.5%以上、さらに好ましくは2%以上、特にも好ましくは2.5%以上である。
K2O/R2Oは、電波透過率を高くするために、より好ましくは0.05以上、さらに好ましくは0.1以上、特に好ましくは0.15以上、一層好ましくは0.2以上、最も好ましくは0.25以上である。また、K2O/R2Oは、より好ましくは0.95以下、さらに好ましくは0.9以下、特に好ましくは0.7以下、一層好ましくは0.5以下、最も好ましくは0.4以下である。
【0097】
態様4において、電波透過率を高くするために、R2O×MgOは低くすることがより好ましい。R2O×MgOは好ましくは200%2以下、より好ましくは180%2以下、さらに好ましくは160%2以下、特に好ましくは140%2以下、一層好ましくは120以下、より一層好ましくは100%2以下、最も好ましくは80%2以下である。
溶解・成形中にホウ素やアルカリ元素が揮散して、ガラス品質の悪化につながるのを防ぐために、R2O+B2O3は19%以下が好ましく、より好ましくは18.5%以下、さらに好ましくは18%以下、一層好ましくは17%以下、最も好ましくは16%以下である。但し、R2O+B2O3が低くなりすぎると、溶解・成形時のガラス粘性が高くなりすぎて、製造が困難となるおそれがあるため、R2O+B2O3は1%以上が好ましく、より好ましくは2%以上、さらに好ましくは3%以上、一層好ましくは4%以上、最も好ましくは5%以上である。
溶解・成形中にホウ素やアルカリ元素が揮散して、ガラス品質の悪化につながるのを防ぐために、B2O3の含有量は2%以下が好ましく、より好ましくは1.8%以下、さらに好ましくは1.5%以下、一層好ましくは1.0%以下、最も好ましくは0.5%以下である。
【0098】
ガラス溶解時・成形時に失透が発生してガラス品質の悪化につながるのを防ぐために、MgO+CaOは20%以下が好ましく、より好ましくは18%以下、さらに好ましくは16%以下、一層好ましくは15%以下、最も好ましくは14%以下である。但し、MgO+CaOが低くなりすぎると、溶解・成形時のガラス粘性が高くなりすぎて、製造が困難となるおそれがあるため、MgO+CaOは1%以上が好ましく、より好ましくは2%以上、さらに好ましくは4%以上、一層好ましくは6%以上、最も好ましくは8%以上である。
また、ガラスが脆くなり強度が落ちるのを防ぐ、もしくはガラス板の軽量化のためにBaOの含有量は1%以下が好ましく、より好ましくは0.5%以下、さらに好ましくは0.1%以下であり、特に好ましくは実質的に含有されない。
上記と同様に、ガラスが脆くなり強度が落ちるのを防ぐ、もしくはガラス板の軽量化のために、SrO+BaO+ZrO2は8%以下が好ましく、より好ましくは7%以下、さらに好ましくは6%以下、特に好ましくは5%以下、一層の好ましくは3%以下、最も好ましくは2%以下である。
さらに、電波透過率を高くするために、MgOは14%以下がより好ましく、さらに好ましくは12%以下、特に好ましくは10%以下、一層好ましくは8%以下、より一層好ましくは6%以下、最も好ましくは4.5%以下である。
溶解性を改善し、かつ電波透過率も高くするために、CaOの含有量は0.5%以上とすることが好ましく、より好ましくは1%以上、さらに好ましくは3%以上、特に好ましくは5%以上、一層好ましくは7%以上、最も好ましくは8%以上であり、失透抑制の観点から、18%以下がより好ましく、16%以下がさらに好ましく、14%以下が特に好ましく、13%以下が一層好ましく、12%以下が最も好ましい。
【0099】
ZrO2は、化学耐久性向上のために含んでいても良く、ZrO2を含む場合、その含有量はより好ましくは0.5%以上である。また、平均線膨張係数が大きくなる恐れがあるため、より好ましくは1.8%以下、さらに好ましくは1.5%以下である。
R2Oは、溶解性向上の観点から、より好ましくは5%以上であり、より好ましくは6%以上、さらに好ましくは7%以上、特に好ましくは8%以上である。一方で、耐候性を向上させるために、より好ましくは18%以下、さらに好ましくは17%以下、さらにより好ましくは16%以下、特に好ましくは15%以下、最も好ましくは14%以下である。
ROは、溶解性向上および電波透過率向上の観点から、より好ましくは5%以上であり、さらに好ましくは6%以上、特に好ましくは8%以上であり、一方で、耐候性向上、失透抑制の観点から、より好ましくは19%以下、さらに好ましくは18%以下、さらにより好ましくは17%以下、特に好ましくは16%以下、最も好ましくは15%以下である。
【0100】
本発明の態様5によるガラス板は、以下の条件を満たすことが好ましい。
酸化物基準のモル百分率表示で、各成分を下記含有量:
55≦SiO2≦75
0≦Al2O3≦7.8
0≦B2O3≦2
0≦MgO≦11.8
2≦CaO≦20
0≦SrO≦15
0≦BaO≦1
2.5≦Li2O≦19.52
0.15≦Na2O≦17.17
0.33≦K2O≦16.5
0≦ZrO2≦2
0.001≦Fe2O3≦5
0.001≦TiO2≦5
2.98≦R2O≦20
2≦RO≦20
98≦SiO2+Al2O3+MgO+CaO+SrO+BaO+Li2O+Na2O+K2O+Fe2O3+TiO2≦100
-10<7Al2O3+3MgO-4Li2O≦10
0.05≦Na2O/R2O≦0.85
0.11≦K2O/R2O≦0.83
0≦PbO<0.001
で含む。
態様5の範囲とすることで、高い電波透過率を示し、かつ所望の用途に要求される特性を満たすガラス板が得られる。
【0101】
電波透過率を高くするために、態様5において下記の範囲とすることがより好ましい。
SiO2の含有量は、ヤング率および耐候性を高くするために、より好ましくは60%以上、さらに好ましくは63%以上、特に好ましくは65%以上であり、粘性向上の観点から、より好ましくは73%以下、より好ましくは71%以下、さらに好ましくは70%以下、特に好ましくは69%以下である。
Na2Oの含有量は、溶解性を高め、平均線膨張係数を調整するために、より好ましくは0.5%以上、より好ましくは1%以上、より好ましくは2%以上、より好ましくは3%以上、さらに好ましくは4%以上、特に好ましくは5%以上であり、また、耐候性を向上させるため、より好ましくは15%以下、さらに好ましくは13%以下、特に好ましくは11%以下、一層好ましくは10%以下、最も好ましくは8%以下である。
K2Oの含有量は、電波透過率を高くするために、より好ましくは0.5%以上、より好ましくは2%以上、さらに好ましくは3%以上、特に好ましくは4%以上、一層好ましくは5%以上、最も好ましくは6%以上であり、粘性向上の観点から、より好ましくは16%以下、さらに好ましくは14%以下、特に好ましくは12%以下、一層好ましくは11%以下、最も好ましくは10%以下である。
【0102】
Li2Oの含有量は、溶解性およびヤング率を高め、電波透過率を向上させるために、より好ましくは3%以上、さらに好ましくは4%以上、特に好ましくは5%以上である。また、Li2Oは失透および分相の懸念があるため、その含有量は、より好ましくは15%以下、さらに好ましくは12%以下、特に好ましくは10%以下、一層好ましくは8%以下、最も好ましくは7%以下である。
7Al2O3+3MgO-4Li2Oは、電波透過率を高くするために、より好ましくは-9以上、さらに好ましくは-6以上、特に好ましくは-4以上、一層好ましくは-2以上、最も好ましくは-1以上である。また、7Al2O3+3MgO-4Li2Oは、より好ましくは9.5以下、さらに好ましくは9以下、特に好ましくは8.5以下、一層好ましくは8以下である。
【0103】
SrOは溶解性を改善するために、かつ電波透過率を高めるために含んでいても良く、SrOを含む場合、その含有量は、0.5%以上とすることが好ましく、より好ましくは1%以上であり、特に好ましくは2%以上である。SrOの含有量は、ガラスが脆くなるのを防ぐために12%以下がより好ましく、10%以下がさらに好ましく、8%以下が特に好ましく、6%以下が一層好ましく、4%以下が最も好ましい。
Na2O/R2Oは、電波透過率を高くするために、より好ましくは0.1以上、さらに好ましくは0.15以上、特に好ましくは0.2以上、一層好ましくは0.25以上、最も好ましくは0.3以上である。また、Na2O/R2Oは、より好ましくは0.9以下、さらに好ましくは0.8以下、特に好ましくは0.7以下、一層好ましくは0.6以下、最も好ましくは0.5以下である。
【0104】
態様5において、SiO2+Al2O3は、より好ましくは50%以上、さらに好ましくは55%以上、特に好ましくは60%以上、一層好ましくは65%以上、より一層好ましくは67%以上、最も好ましくは68以上である。また、SiO2+Al2O3は、より好ましくは80%以下、さらに好ましくは78%以下、特に好ましくは76%以下、一層好ましくは75%以下、一層好ましくは74%以下、より一層好ましくは73%以下、最も好ましくは72.5%以下である。
溶解・成形時のガラス粘性を低くして製造しやすくするために、また、電波透過率を高くするために、Al2O3の含有量は7%以下がより好ましく、さらに好ましくは6%以下、特に好ましくは5%以下、一層好ましくは4.5%以下、より一層好ましくは3%以下、最も好ましくは3.5%以下である。Al2O3の下限は特に制限されないが、耐候性を確保するために、Al2O3の含有量は、より好ましくは0.5%以上、さらに好ましくは1%以上、特に好ましくは1.5%以上、ことさら特に好ましくは1.8%以上、一層好ましくは2%以上、最も好ましくは2.5%以上である。
K2O/R2Oは、電波透過率を高くするために、より好ましくは0.15以上、さらに好ましくは0.2以上、特に好ましくは0.25以上、一層好ましくは0.28以上、最も好ましくは0.3以上である。また、K2O/R2Oは、より好ましくは0.80以下、さらに好ましくは0.7以下、特に好ましくは0.6以下、一層好ましくは0.5以下、最も好ましくは0.4以下である。Na2O/R2OおよびK2O/R2Oを所定の範囲とすることで、電波透過率を高くしやすくなり好ましい。
【0105】
態様5において、R2O×MgOは、電波透過率を高くするために低くすることがより好ましい。R2O×MgOは好ましくは200%2以下、より好ましくは150%2以下、より好ましくは130%2以下、より好ましくは120%2以下、さらに好ましくは100以下%2、さらにより好ましくは80%2以下、特に好ましくは60%2以下、一層好ましくは40%2以下、最も好ましくは30%2以下である。
溶解・成形中にホウ素やアルカリ元素が揮散して、ガラス品質の悪化につながるのを防ぐために、R2O+B2O3は19%以下が好ましい。R2O+B2O3はより好ましくは18.5%以下、さらに好ましくは18%以下、一層好ましくは17%以下、最も好ましくは16%以下である。但し、R2O+B2O3が低くなりすぎると、溶解・成形時のガラス粘性が高くなりすぎて、製造が困難となるおそれがある。そのためR2O+B2O3は1%以上が好ましく、より好ましくは2%以上、さらに好ましくは4%以上、一層好ましくは6%以上、最も好ましくは8%以上である。
溶解・成形中にホウ素やアルカリ元素が揮散して、ガラス品質の悪化につながるのを防ぐために、B2O3の含有量は、好ましくは2%以下である。B2O3はより好ましくは1.5%以下、さらに好ましくは1%以下、最も好ましくは0.5%以下である。
ガラス溶解時・成形時に失透が発生してガラス品質の悪化につながるのを防ぐために、MgO+CaOは17%以下が好ましく、より好ましくは15%以下、さらに好ましくは14%以下、一層好ましくは13%以下である。但し、MgO+CaOが低くなりすぎると、溶解・成形時のガラス粘性が高くなりすぎて、製造が困難となるおそれがあるため、MgO+CaOは1%以上が好ましく、より好ましくは2%以上、さらに好ましくは4%以上、一層好ましくは6%以上、最も好ましくは8%以上である。
【0106】
また、ガラスが脆くなり強度が落ちるのを防ぐ、もしくはガラス板の軽量化のために、BaOは1%以下が好ましく、より好ましくは0.8%以下、より好ましくは0.5%以下、さらに好ましくは0.1%以下、特に好ましくは実質的に含有されない。
上記と同様に、ガラスが脆くなり強度が落ちるのを防ぐ、もしくはガラス板の軽量化のために、SrO+BaO+ZrO2は12%以下がより好ましく、さらに好ましくは10%以下、特に好ましくは8%以下、一層の好ましくは4%以下、最も好ましくは2%以下である。
さらに、電波透過率を高くするために、MgOの含有量は、11.8%以下が好ましく、より好ましくは10%以下、さらに好ましくは7%以下、特に好ましくは6%以下、一層好ましくは5%以下、より一層好ましくは4%以下、より一層好ましくは3%以下、最も好ましくは2%以下である。溶解性向上の観点から0%以上が好ましく、0.1%以上がより好ましく、0.3%以上がさらにより好ましく、0.5%以上が特に好ましい。
溶解性を改善し、かつ電波透過率も高くするために、CaOの含有量は、2%以上とすることが好ましく、より好ましくは3%以上、さらに好ましくは4%以上、特に好ましくは5%以上、一層好ましくは6%以上、最も好ましくは8%以上である。CaOの含有量は、失透抑制の観点から、18%以下がより好ましく、17%以下がさらに好ましく、16%以下が特に好ましく、14%以下が一層好ましく、12%以下が最も好ましい。
【0107】
ZrO2は、化学耐久性向上のために含んでいても良く、ZrO2を含む場合、その含有量は、より好ましくは0.5%以上であり、平均線膨張係数が大きくなる恐れがあるため、より好ましくは1.8%以下、さらに好ましくは1.5%以下である。
R2Oは、溶解性向上の観点から、より好ましくは5%以上、より好ましくは6%以上、より好ましくは7%以上、さらに好ましくは9%以上、特に好ましくは10%以上であり、一方で、耐候性を向上させるために、より好ましくは18%以下、さらに好ましくは16.5%以下、さらにより好ましくは15.5%以下、特に好ましくは14.5%以下、最も好ましくは13.5%以下である。
ROは、溶解性向上および電波透過率向上の観点から、より好ましくは5%以上、さらに好ましくは7%以上、特に好ましくは8%以上、最も好ましくは10%以上である。一方で、耐候性向上、失透抑制の観点から、より好ましくは19%以下、さらに好ましくは18%以下、さらにより好ましくは17%以下、特に好ましくは16%以下、最も好ましくは14%以下である。
【0108】
本発明の態様6によるガラス板は、以下の条件を満たすことが好ましい。
酸化物基準のモル百分率表示で、各成分を下記含有量:
55≦SiO2≦75
0≦Al2O3≦5.5
0≦B2O3≦2
0≦MgO≦10.5
0≦CaO≦20
0≦SrO≦15
0≦BaO≦15
2.5≦Li2O≦20
0≦Na2O≦18.5
0≦K2O≦18.5
0≦ZrO2≦2
0.001≦Fe2O3≦5
0.001≦TiO2≦5
2.5≦R2O≦20
0≦RO≦20
98≦SiO2+Al2O3+MgO+CaO+SrO+BaO+Li2O+Na2O+K2O+Fe2O3+TiO2≦100
-60≦7Al2O3+3MgO-4Li2O≦-10
0≦PbO<0.001
で含む。
態様6の範囲とすることで、高い電波透過率を示し、かつ所望の用途に要求される特性を満たすガラス板が得られる。
【0109】
電波透過率を高くするために、態様6において下記の範囲とすることがより好ましい。
SiO2の含有量は、ヤング率および耐候性を高くするために、より好ましくは60%以上、さらに好ましくは63%以上、特に好ましくは65%以上であり、粘性向上の観点から、より好ましくは72%以下、さらに好ましくは71%以下、特に好ましくは70%以下である。
Na2Oの含有量は、溶解性を高め、平均線膨張係数を調整するために、より好ましくは1%以上、さらに好ましくは2%以上、特に好ましくは3%以上である。また、Na2Oが含まれると耐候性が悪化するため、その含有量は、より好ましくは15%以下、さらに好ましくは12%以下、特に好ましくは10%以下、一層好ましくは8%以下、最も好ましくは7%以下である。
K2Oの含有量は、電波透過率を高くするために、より好ましくは0.5%以上、より好ましくは1%以上、さらに好ましくは2%以上、さらにより好ましくは3%以上、特に好ましくは4%以上であり、粘性向上の観点から、より好ましくは15.5%以下、さらに好ましくは14%以下、特に好ましくは12%以下、一層好ましくは10%以下、より一層好ましくは8%以下、最も好ましくは7%以下である。
【0110】
Li2Oの含有量は、溶解性およびヤング率を高め、電波透過率を向上させるためにより好ましくは3%以上、さらに好ましくは4%以上である。また、Li2Oは失透および分相の懸念があるため、より好ましくは15%以下、より好ましくは14%以下、より好ましくは13%以下、さらに好ましくは12%以下、特に好ましくは10%以下、一層好ましくは8%以下、最も好ましくは7%以下である。
SrOの含有量は溶解性を改善するために、かつ電波透過率を高めるために含んでいても良く、SrOを含む場合、0.5%以上とすることが好ましい。より好ましくは1%以上であり、特に好ましくは2%以上である。SrOの含有量は、ガラスが脆くなるのを防ぐために12%以下がより好ましく、10%以下がさらに好ましく、8%以下が特に好ましく、6%以下が一層好ましく、4%以下が最も好ましい。
【0111】
7Al2O3+3MgO-4Li2Oは、ガラスの耐水性を向上させるために、より好ましくは-50以上、さらに好ましくは-40以上、特に好ましくは-35以上、一層好ましくは-30以上、最も好ましくは-25以上である。また、ガラスの電波透過率を高くするためには、7Al2O3+3MgO-4Li2Oは、より好ましくは-10.5以下、より好ましくは-11以下、さらに好ましくは-12以下、特に好ましくは-13以下、一層好ましくは-14以下、最も好ましくは-15以下である。
Na2O/R2Oは、電波透過率を高くするために、より好ましくは0.05以上、さらに好ましくは0.1以上、特に好ましくは0.15以上、一層好ましくは0.2以上、最も好ましくは0.25以上である。また、Na2O/R2Oは耐候性向上の観点からより好ましくは0.95以下、さらに好ましくは0.9以下、特に好ましくは0.8以下、一層好ましくは0.6以下、より一層好ましくは0.5以下、最も好ましくは0.4以下である。
【0112】
態様6において、ガラス溶解時、成形時の粘性を低下し製造しやすくするために、SiO2+Al2O3は、好ましくは50%以上、さらに好ましくは55%以上、特に好ましくは60%以上、一層好ましくは65%以上、最も好ましくは68%以上である。また、SiO2+Al2O3は、好ましくは80%以下、さらに好ましくは78%以下、特に好ましくは76%以下、一層好ましくは74%以下、最も好ましくは72.5%以下である。
溶解・成形時のガラス粘性を低くして製造しやすくするために、Al2O3は5%以下がより好ましく、さらに好ましくは4.5%以下、特に好ましくは4%以下、一層好ましくは3.5%以下、最も好ましくは3%以下である。Al2O3の下限は特に制限されないが、耐候性を確保するために、Al2O3の含有量は、より好ましくは0.1%以上、より好ましくは0.2%以上、より好ましくは0.5%以上、さらに好ましくは1%以上、特に好ましくは1.5%以上、一層好ましくは2%以上である。
K2O/R2Oは、電波透過率を高くするために、より好ましくは0.05以上、さらに好ましくは0.1以上、特に好ましくは0.15以上、一層好ましくは0.2以上、最も好ましくは0.25以上である。また、K2O/R2Oは、耐候性向上の観点からより好ましくは0.95以下、さらに好ましくは0.9以下、特に好ましくは0.7以下、一層好ましくは0.5以下、最も好ましくは0.4以下である。Na2O/R2OおよびK2O/R2Oを所定の範囲とすることで、電波透過率を高くしやすくなり好ましい。
【0113】
態様6において、R2O×MgOは電波透過率を高くするために低くすることがより好ましい。R2O×MgOはより好ましくは200%2以下、より好ましくは160%2以下、より好ましくは120%2以下、さらに好ましくは100%2以下、さらにより好ましくは80%2以下、特に好ましくは60%2以下、一層好ましくは40%2以下、最も好ましくは20%2以下である。
溶解・成形中にホウ素やアルカリ元素が揮散して、ガラス品質の悪化につながるのを防ぐために、R2O+B2O3は19%以下が好ましく、より好ましくは18.5%以下、さらに好ましくは18%以下、一層好ましくは17%以下、最も好ましくは16%以下である。但し、R2O+B2O3が低くなりすぎると、溶解・成形時のガラス粘性が高くなりすぎて、製造が困難となるおそれがあるため、R2O+B2O3は2.5%以上が好ましく、より好ましくは5%以上、さらに好ましくは10%以上、一層好ましくは12%以上、最も好ましくは13%以上である。
溶解・成形中にホウ素やアルカリ元素が揮散して、ガラス品質の悪化につながるのを防ぐために、B2O3は2%以下が好ましい。B2O3はより好ましくは1.5%以下、さらに好ましくは1%以下、一層好ましくは0.75%以下、最も好ましくは0.5%以下である。
【0114】
ガラス溶解時・成形時に失透が発生してガラス品質の悪化につながるのを防ぐために、MgO+CaOは15%以下が好ましく、より好ましくは14%以下、さらに好ましくは13%以下である。但し、MgO+CaOが低くなりすぎると、溶解・成形時のガラス粘性が高くなりすぎて、製造が困難となるおそれがある。そのためMgO+CaOは1%以上が好ましく、より好ましくは2%以上、さらに好ましくは4%以上、一層好ましくは6%以上、最も好ましくは8%以上である。
また、ガラスが脆くなり強度が落ちるのを防ぐため、もしくはガラス板の軽量化のためにはBaOの含有量は、15%以下が好ましく、より好ましくは8%以下、さらに好ましくは4%以下、特に好ましくは2%以下、一層好ましくは1%以下、さらにより好ましくは0.5%以下、最も好ましくは実質的に含有されない。
【0115】
同様に、ガラスが脆くなり強度が落ちるのを防ぐ、もしくはガラス板の軽量化のためには、SrO+BaO+ZrO2は15%以下が好ましい。14%以下がより好ましく、さらに好ましくは10%以下、さらにより好ましくは8%以下、特に好ましくは5%以下、一層好ましくは4%以下、最も好ましくは2%以下である。
さらに、電波透過率を高くするために、MgOは10.5%以下がより好ましく、さらに好ましくは8%以下、特に好ましくは6%以下、一層好ましくは4%以下、最も好ましくは2%以下である。溶解性向上の観点から0%以上が好ましく、0.1%以上がより好ましく、0.2%以上がさらにより好ましく、0.3%以上が特に好ましく、0.5%以上が最も好ましい。
溶解性を改善し、かつ電波透過率も高くするために、CaOの含有量は0.5%以上とすることがより好ましく、さらに好ましくは1%以上、特に好ましくは2%以上、一層好ましくは3%以上、より一層好ましくは6%以上、最も好ましくは8%以上である。CaOの含有量は、失透抑制の観点から18%以下がより好ましく、17%以下がさらに好ましく16%以下が特に好ましく、15%以下が一層好ましく、14%以下が最も好ましい。
【0116】
ZrO2は、化学耐久性向上のために含んでいても良く、ZrO2を含む場合、その含有量は、より好ましくは0.5%以上である。平均線膨張係数が大きくなる恐れがあるため、より好ましくは1.8%以下、さらに好ましくは1.5%以下である。
R2Oは、溶解性向上の観点から、より好ましくは5%以上であり、より好ましくは6%以上、より好ましくは7%以上、さらに好ましくは8%以上、特に好ましくは10%以上、最も好ましくは12%以上である。一方で、耐候性を向上させるために、より好ましくは18%以下、さらに好ましくは16%以下、さらにより好ましくは15%以下、特に好ましくは14.5%以下である。
ROは、溶解性向上および電波透過率向上の観点から、より好ましくは5%以上であり、さらに好ましくは7%以上、特に好ましくは10%以上、最も好ましくは12%以上である。一方で、耐候性向上、失透抑制の観点から、より好ましくは19%以下、さらに好ましくは18%以下、さらにより好ましくは17%以下、特に好ましくは16%以下、最も好ましくは15%以下である。
【0117】
本発明の態様7によるガラス板は、以下の条件を満たすことが好ましい。
酸化物基準のモル百分率表示で、各成分を下記含有量:
55≦SiO2≦75
1.44≦Al2O3≦9
0.5≦B2O3≦13
0≦MgO≦15
0≦CaO≦20
0≦SrO≦15
0≦BaO≦1
0.01≦Li2O≦19.1
0≦Na2O≦16
0.9≦K2O≦16
0≦ZrO2≦2
0.001≦Fe2O3≦5
0.001≦TiO2≦5
0.91≦R2O≦20
0≦RO≦20
85≦SiO2+Al2O3+MgO+CaO+SrO+BaO+Li2O+Na2O+K2O+Fe2O3+TiO2≦100
10<7Al2O3+3MgO-4Li2O≦66
0≦Na2O/R2O≦0.8
0≦PbO<0.001
0≦ZnO≦3
で含む。
態様7の範囲とすることで、高い電波透過率を示し、かつ所望の用途に要求される特性を満たすガラス板が得られる。
【0118】
電波透過率を高くするために、態様7において下記の範囲とすることがより好ましい。
SiO2は、ヤング率および耐候性を高くするために、より好ましくは60%以上、より好ましくは62%以上、さらに好ましくは64%以上、特に好ましくは65%以上である。粘性向上の観点から、より好ましくは73%以下、さらに好ましくは71%以下、さらにより好ましくは70%以下、特に好ましくは68%以下である。
Na2Oの含有量は、溶解性を高め、平均線膨張係数を調整するために、より好ましくは1%以上、さらに好ましくは1.5%以上、特に好ましくは2%以上、一層好ましくは2.5%以上、より一層好ましくは3%以上、最も好ましくは4%以上である。また、Na2Oが含まれると、耐候性が悪化するため、その含有量は、より好ましくは15%以下、さらに好ましくは14%以下、特に好ましくは13%以下、一層好ましくは12%以下、より一層好ましくは10%以下、最も好ましくは8%以下である。
K2Oの含有量は、電波透過率を高くするために、より好ましくは0.5%以上、より好ましくは1%以上、さらに好ましくは1.5%以上、特に好ましくは2%以上、一層好ましくは3%以上、最も好ましくは4%以上である。また、K2Oは、より好ましくは15%以下、さらに好ましくは13%以下、特に好ましくは12%以下、一層好ましくは10%以下、最も好ましくは8%以下である。
【0119】
Li2Oの含有量は、溶解性およびヤング率を高めるため、電波透過率を向上させるためにより好ましくは1%以上、さらに好ましくは2%以上、特に好ましくは3%以上、一層好ましくは4%以上である。また、Li2Oが含まれると失透および分相の懸念があるため、その含有量は、より好ましくは15%以下、さらに好ましくは12%以下、特に好ましくは10%以下、一層好ましくは8%以下、最も好ましくは6%以下である。
SrOは、溶解性を改善し、かつ電波透過率を高めるために含んでいてもよく、SrOを含む場合、その含有量は0.5%以上とすることが好ましく、より好ましくは1%以上であり、特に好ましくは2%以上である。SrOの含有量は、ガラスが脆くなるのを防ぐために12%以下がより好ましく、10%以下がさらに好ましく、8%以下が特に好ましく、6%以下が一層好ましく、4%以下が最も好ましい。
【0120】
7Al2O3+3MgO-4Li2Oは、電波透過率を高くするために、より好ましくは11以上、さらに好ましくは13以上、特に好ましくは15以上、一層好ましくは17以上、最も好ましくは19以上である。また、7Al2O3+3MgO-4Li2Oは、より好ましくは60以下、さらに好ましくは50以下、特に好ましくは45以下、一層好ましくは40以下、最も好ましくは35以下である。
Na2O/R2Oは、電波透過率を高くするために、より好ましくは0.05以上、さらに好ましくは0.1以上、特に好ましくは0.15以上、一層好ましくは0.2以上、より一層好ましくは0.25以上、最も好ましくは0.3以上である。また、Na2O/R2Oは、より好ましくは0.85以下、さらに好ましくは0.8以下、特に好ましくは0.6以下、一層好ましくは0.5以下、最も好ましくは0.4以下である。
【0121】
態様7において、溶解・成形時のガラス粘性を低くして製造しやすくするために、SiO2+Al2O3は、好ましくは50以上、さらに好ましくは55以上、特に好ましくは60以上、一層好ましくは65以上、最も好ましくは67以上である。また、SiO2+Al2O3は、好ましくは75以下、さらに好ましくは74以下、特に好ましくは73以下、一層好ましくは72以下、最も好ましくは71以下である。
溶解・成形時のガラス粘性を低くして製造しやすくし、さらに、電波透過率を高くするために、Al2O3の含有量は、9%以下が好ましい。Al2O3はより好ましくは8%以下、さらに好ましくは7%以下、特に好ましくは6%以下、一層好ましくは5%以下である。また、Al2O3の含有量は、耐候性を確保するために、より好ましくは1.5%以上、さらに好ましくは2%以上、特にも好ましくは2.5%以上である。
K2O/R2Oは、電波透過率を高くするために、より好ましくは0.05以上、さらに好ましくは0.1以上、特に好ましくは0.15以上、一層好ましくは0.2以上、より一層好ましくは0.25以上、最も好ましくは0.30以上である。また、K2O/R2Oは、より好ましくは0.95以下、さらに好ましくは0.8以下、特に好ましくは0.7以下、一層好ましくは0.6以下、より一層好ましくは0.5以下、最も好ましくは0.4以下である。
【0122】
態様7において、R2O×MgOは電波透過率を高くするために低くすることがより好ましい。R2O×MgOは好ましくは200%2以下、より好ましくは180%2以下、さらに好ましくは160%2以下、特に好ましくは140%2以下、一層好ましくは120%2以下、より一層好ましくは100%2以下、最も好ましくは80%2以下である。
溶解・成形中にホウ素やアルカリ元素が揮散して、ガラス品質の悪化につながるのを防ぐために、R2O+B2O3は25%以下が好ましい。より好ましくは23%以下、さらに好ましくは20%以下、一層好ましくは18%以下、最も好ましくは16%以下である。但し、R2O+B2O3が低くなりすぎると、溶解・成形時のガラス粘性が高くなりすぎて、製造が困難となるおそれがある。そのためR2O+B2O3は1%以上が好ましく、より好ましくは2%以上、さらに好ましくは4%以上、一層好ましくは6%以上、最も好ましくは8%以上である。
溶解・成形中にホウ素やアルカリ元素が揮散して、ガラス品質の悪化につながるのを防ぐために、B2O3の含有量は13%以下が好ましく、より好ましくは12%以下、さらに好ましくは10%以下、一層好ましくは8%以下、最も好ましくは6%以下である。また、溶解性向上のために、B2O3は0.5%以上が好ましく、より好ましくは1%以上、さらに好ましくは1.5%以上、特に好ましくは2%以上である。
【0123】
ガラス溶解時・成形時に失透が発生してガラス品質の悪化につながるのを防ぐために、MgO+CaOは15%以下が好ましく、より好ましくは14%以下、さらに好ましくは13%以下、一層好ましくは12%以下、最も好ましくは10%以下である。但し、MgO+CaOが低くなりすぎると、溶解・成形時のガラス粘性が高くなりすぎて、製造が困難となるおそれがあるため、MgO+CaOは1%以上が好ましく、より好ましくは2%以上、さらに好ましくは4%以上、一層好ましくは5%以上、最も好ましくは6%以上である。
また、ガラスが脆くなり強度が落ちるのを防ぐ、もしくはガラス板の軽量化のために、BaOは1%以下が好ましく、より好ましくは0.5%以下、さらに好ましくは0.1%以下であり、特に好ましくは実質的に含有されない。
上記と同様に、ガラスが脆くなり強度が落ちるのを防ぐため、もしくはガラス板の軽量化のために、SrO+BaO+ZrO2は10%以下が好ましく、より好ましくは8%以下、さらに好ましくは6%以下、特に好ましくは5%以下、一層の好ましくは4%以下、最も好ましくは3%以下である。
【0124】
さらに、電波透過率を高くするために、MgOの含有量は10%以下がより好ましく、さらに好ましくは8%以下、特に好ましくは6%以下、一層好ましくは4.5%以下、より一層好ましくは3%以下、最も好ましくは2%以下である。
溶解性を改善し、かつ電波透過率も高くするために、CaOは0.5%以上とすることがより好ましい。CaOの含有量はより好ましくは1%以上、さらに好ましくは3%以上、特に好ましくは5%以上、一層好ましくは6%以上、最も好ましくは7%以上である。CaOの含有量は、失透抑制の観点から18%以下がより好ましく、15%以下がさらに好ましく、14%以下が特に好ましく、12%以下が一層好ましく、10%以下が最も好ましい。
【0125】
ZrO2は、化学耐久性向上のために含んでいても良く、ZrO2を含む場合、その含有量は、より好ましくは0.5%以上である。ZrO2の含有量平均線膨張係数が大きくなる恐れがあるため、より好ましくは1.8%以下、さらに好ましくは1.5%以下である。
R2Oの含有量は、溶解性向上の観点から、より好ましくは5%以上であり、より好ましくは6%以上、さらに好ましくは7%以上、特に好ましくは8%以上であり、一方で、耐候性を向上させるために、より好ましくは18%以下、さらに好ましくは17%以下、さらにより好ましくは16%以下、特に好ましくは15%以下、最も好ましくは14%以下である。
ROの含有量は、溶解性向上および電波透過率向上の観点から、より好ましくは5%以上であり、さらに好ましくは7%以上、特に好ましくは10%以上であり、一方で、耐候性向上、失透抑制の観点から、より好ましくは19%以下、さらに好ましくは18%以下、さらにより好ましくは17%以下、特に好ましくは15%以下、最も好ましくは13%以下である。
本態様によるガラス板は、失透を抑制する効果があるためZnOを含んでも良い。多量に含有するとフロートバスでの製造時に欠点が発生するおそれがあるため、ZnOの含有量は3%以下が好ましい。ZnOの含有量はより好ましくは2%以下、より好ましくは1.5%以下、さらに好ましくは1%以下であり、実質的に含有しないことが好ましい。
【0126】
本発明の態様8によるガラス板は、以下の条件を満たすことが好ましい。
酸化物基準のモル百分率表示で、各成分を下記含有量:
55≦SiO2≦75
1≦Al2O3≦7.8
0.5≦B2O3≦15
0≦MgO≦11.8
2≦CaO≦20
0≦SrO≦15
0≦BaO≦1
4.25≦Li2O≦19.15
0.25≦Na2O≦15.15
0.60≦K2O≦15.5
0≦ZrO2≦2
0.001≦Fe2O3≦5
0.001≦TiO2≦5
5.10≦R2O≦20
2≦RO≦20
85≦SiO2+Al2O3+MgO+CaO+SrO+BaO+Li2O+Na2O+K2O+Fe2O3+TiO2≦100
-10<7Al2O3+3MgO-4Li2O≦10
0.05≦Na2O/R2O≦0.95
0.11≦K2O/R2O≦0.9
0≦PbO<0.001
で含む。
態様8の範囲とすることで、高い電波透過率を示し、かつ所望の用途に要求される特性を満たすガラス板が得られる。
【0127】
電波透過率を高くするために、態様8において下記の範囲とすることがより好ましい。
SiO2の含有量は、ヤング率および耐候性を高くするために、より好ましくは60%以上、さらに好ましくは63%以上、特に好ましくは65%以上である。粘性向上の観点から、より好ましくは73%以下、さらに好ましくは72%以下、特に好ましくは70%以下である。
Na2Oの含有量は、溶解性を高めるため、平均線膨張係数を調整するために、より好ましくは2%以上、さらに好ましくは4%以上、特に好ましくは5%以上である。また、Na2Oが含まれると耐候性が悪化するため、その含有量は、より好ましくは15%以下、さらに好ましくは13%以下、特に好ましくは11%以下、一層好ましくは10%以下、最も好ましくは8%以下である。
K2Oの含有量は、電波透過率を高くするために、より好ましくは1.0%以上、さらに好ましくは2%以上、特に好ましくは4%以上、一層好ましくは5%以上である。また、K2Oは、より好ましくは15%以下、さらに好ましくは14%以下、特に好ましくは12%以下、一層好ましくは10%以下、最も好ましくは8%以下である。
【0128】
Li2Oの含有量は、溶解性およびヤング率を高めるため、電波透過率を向上させるためにより好ましくは4.5%以上、さらに好ましくは5.0%以上、特に好ましくは5.5%以上、一層好ましくは6.0%以上である。また、Li2Oが含まれると失透および分相の懸念があるため、その含有量は、より好ましくは15%以下、より好ましくは12%以下、より好ましくは10%以下、さらに好ましくは9%以下、特に好ましくは8%以下、一層好ましくは7%以下、最も好ましくは6%以下である。
7Al2O3+3MgO-4Li2Oは、電波透過率を高くするために、より好ましくは-9以上、さらに好ましくは-6以上、特に好ましくは-4以上、一層好ましくは-2以上、最も好ましくは-1以上である。また、7Al2O3+3MgO-4Li2Oは、より好ましくは9以下、さらに好ましくは8以下、特に好ましくは7以下、一層好ましくは6以下、最も好ましくは5以下である。
SrOは溶解性を改善するために、かつ電波透過率を高めるために含んでいても良く、SrOを含む場合、その含有量は、0.5%以上とすることが好ましく、より好ましくは1%以上であり、特に好ましくは2%以上である。SrOの含有量は、ガラスが脆くなるのを防ぐために12%以下がより好ましく、10%以下がさらに好ましく、8%以下が特に好ましく、6%以下が一層好ましく、4%以下が最も好ましい。
Na2O/R2Oは、電波透過率を高くするために、より好ましくは0.1以上、さらに好ましくは0.15以上、特に好ましくは0.2以上、一層好ましくは0.25以上、最も好ましくは0.3以上である。また、Na2O/R2Oは、より好ましくは0.9以下、さらに好ましくは0.8以下、特に好ましくは0.7以下、一層好ましくは0.6以下、より一層好ましくは0.5以下、最も好ましくは0.4以下である。
【0129】
態様8において、SiO2+Al2O3は、より好ましくは50%以上、さらに好ましくは55%以上、特に好ましくは60%以上、一層好ましくは65%以上、最も好ましくは68以上である。また、SiO2+Al2O3は、より好ましくは80%以下、さらに好ましくは78%以下、特に好ましくは75%以下、一層好ましくは74%以下、より一層好ましくは73%以下、最も好ましくは72%以下である。
溶解・成形時のガラス粘性を低くして製造しやすくするために、また、電波透過率を高くするために、Al2O3の含有量は、は7%以下がより好ましい。Al2O3はさらに好ましくは6%以下、特に好ましくは5%以下、最も好ましくは4%以下である。Al2O3は、耐候性を確保するために、より好ましくは1.5%以上、さらに好ましくは2%以上、特に好ましくは2.5%以上である。
K2O/R2Oは、電波透過率を高くするために、より好ましくは0.15以上、さらに好ましくは0.2以上、特に好ましくは0.25以上、一層好ましくは0.28以上、最も好ましくは0.3以上である。また、K2O/R2Oは、より好ましくは0.85以下、さらに好ましくは0.8以下、特に好ましくは0.7以下、一層好ましくは0.5以下、最も好ましくは0.4以下である。Na2O/R2OおよびK2O/R2Oを所定の範囲とすることで、電波透過率を高くしやすくなり好ましい。
【0130】
態様8において、R2O×MgOは、電波透過率を高くするために低くすることがより好ましい。R2O×MgOは好ましくは200%2以下、より好ましくは150%2以下、さらに好ましくは100%2以下、特に好ましくは60%2以下、一層好ましくは50%2以下、より一層好ましくは40%2以下、最も好ましくは30%2以下である。
溶解・成形中にホウ素やアルカリ元素が揮散して、ガラス品質の悪化につながるのを防ぐために、R2O+B2O3は25%以下が好ましく、より好ましくは22%以下、さらに好ましくは20%以下、一層好ましくは19%以下、最も好ましくは18%以下である。但し、R2O+B2O3が低くなりすぎると、溶解・成形時のガラス粘性が高くなりすぎて、製造が困難となるおそれがある。そのためR2O+B2O3は1%以上が好ましく、より好ましくは2%以上、さらに好ましくは4%以上、一層好ましくは6%以上、最も好ましくは10%以上である。
溶解・成形中にホウ素やアルカリ元素が揮散して、ガラス品質の悪化につながるのを防ぐために、B2O3はより好ましくは12%以下、さらに好ましくは8%以下、一層好ましくは6%以下、最も好ましくは5%以下である。また、溶解性向上のために、B2O3の含有量は0.5%以上が好ましい。B2O3はより好ましくは1%以上、さらに好ましくは2%以上である。
ガラス溶解時・成形時に失透が発生してガラス品質の悪化につながるのを防ぐために、MgO+CaOは15%以下が好ましく、より好ましくは14%以下、さらに好ましくは13%以下、一層好ましくは12%以下、最も好ましくは10%以下である。但し、MgO+CaOが低くなりすぎると、溶解・成形時のガラス粘性が高くなりすぎて、製造が困難となるおそれがある。そのためMgO+CaOは1%以上が好ましく、より好ましくは2%以上、さらに好ましくは3%以上、一層好ましくは4%以上、最も好ましくは5%以上である。
【0131】
また、ガラスが脆くなり強度が落ちるのを防ぐため、もしくはガラス板の軽量化のためにBaOの含有量は1%以下が好ましく、より好ましくは0.5%以下、さらに好ましくは0.1%以下、特に好ましくは実質的に含有されない。
上記と同様に、ガラスが脆くなり強度が落ちるのを防ぐ、もしくはガラス板の軽量化のために、SrO+BaO+ZrO2は12%以下がより好ましく、さらに好ましくは8%以下、特に好ましくは5%以下、一層の好ましくは4%以下、最も好ましくは3%以下である。
さらに、電波透過率を高くするために、MgOの含有量は、11.8%以下が好ましく、より好ましくは10%以下、さらに好ましくは8%以下、特に好ましくは6%以下、一層好ましくは4%以下、最も好ましくは2%以下である。
溶解性を改善するために、かつ電波透過率も高くするために、CaOの含有量は2%以上とすることが好ましく、より好ましくは3%以上、さらに好ましくは4%以上、特に好ましくは5%以上、一層好ましくは6%以上である。CaOの含有量は、失透抑制の観点から18%以下がより好ましく、16%以下がさらに好ましく、14%以下が特に好ましく、12%以下が一層好ましく、10%以下がより一層好ましく、9%以下がより一層好ましく、8%以下が最も好ましい。
ZrO2の含有量は、化学耐久性向上のために含んでいても良く、ZrO2を含む場合、その含有量は、より好ましくは0.5%以上である。平均線膨張係数が大きくなる恐れがあるため、その含有量は、より好ましくは1.8%以下、さらに好ましくは1.5%以下である。
R2Oの含有量は、溶解性向上の観点から、より好ましくは6%以上であり、さらに好ましくは7%以上、特に好ましくは8%以上である。一方で、耐候性を向上させるために、より好ましくは18%以下、さらに好ましくは16%以下、さらにより好ましくは15%以下、一層好ましくは14.5%以下、特に好ましくは13.5%以下である。
ROの含有量は、溶解性向上および電波透過率向上の観点から、より好ましくは4%以上であり、さらに好ましくは6%以上、特に好ましくは7%以上である。一方で、耐候性向上、失透抑制の観点から、より好ましくは19%以下、さらに好ましくは18%以下、さらにより好ましくは17%以下、さらにより好ましくは16%以下、特に好ましくは14%以下、最も好ましくは12%以下である。
【0132】
本発明の態様9によるガラス板は、以下の条件を満たすことが好ましい。
酸化物基準のモル百分率表示で、各成分を下記含有量:
55≦SiO2≦75
0.5≦Al2O3≦15
0≦B2O3≦15
0≦MgO≦15
0≦CaO≦20
0≦SrO≦15
0≦BaO≦15
3.4<Li2O≦20
0≦Na2O≦16.6
0≦K2O≦16.6
0≦ZrO2≦2
0.001≦Fe2O3≦5
0.001≦TiO2≦5
3.4<R2O≦20
1≦RO≦20
85≦SiO2+Al2O3+MgO+CaO+SrO+BaO+Li2O+Na2O+K2O+Fe2O3+TiO2≦100
-60≦7Al2O3+3MgO-4Li2O≦-10
0≦PbO<0.001
で含む。
態様9の範囲とすることで、高い電波透過率を示し、かつ所望の用途に要求される特性を満たすガラス板が得られる。
【0133】
電波透過率を高くするために、態様9において下記の範囲とすることがより好ましい。
SiO2の含有量は、ヤング率および耐候性を高くするために、より好ましくは60%以上、さらに好ましくは63%以上、特に好ましくは65%以上である。粘性向上の観点から、より好ましくは74%以下、さらに好ましくは72%以下、特に好ましくは70%以下である。
Na2Oの含有量は、溶解性を高めるため、平均線膨張係数を調整するために、より好ましくは1%以上、さらに好ましくは2%以上、特に好ましくは3%以上である。また、Na2Oが含まれると耐候性が悪化するため、その含有量は、より好ましくは15%以下、さらに好ましくは13%以下、特に好ましくは11%以下、一層好ましくは9%以下、最も好ましくは7%以下である。
K2Oの含有量は、電波透過率を高くするために、より好ましくは0.5%以上、さらに好ましくは1%以上、特に好ましくは2%以上、一層好ましくは3%以上、最も好ましくは4%以上である。また、K2Oの含有量は、より好ましくは15%以下、さらに好ましくは13%以下、特に好ましくは11%以下、一層好ましくは9%以下、最も好ましくは7%以下である。
【0134】
Li2Oの含有量は、溶解性およびヤング率を高めるため、電波透過率を向上させるためにより好ましくは3.5%以上、さらに好ましくは4%以上、特に好ましくは4.5%以上、一層好ましくは5%以上である。また、Li2Oが含まれると失透および分相の懸念があるため、その含有量は、より好ましくは18%以下、さらに好ましくは16%以下、特に好ましくは14%以下、一層好ましくは13%以下、より一層好ましくは12%以下、最も好ましくは10%以下である。
SrOは、溶解性を改善し、かつ電波透過率を高めるために含んでいても良く、SrOを含む場合、その含有量0.5%以上とすることが好ましく、より好ましくは1%以上であり、特に好ましくは2%以上である。SrOの含有量は、ガラスが脆くなるのを防ぐために12%以下がより好ましく、10%以下がさらに好ましく、8%以下が特に好ましく、6%以下が一層好ましく、4%以下が最も好ましい。
7Al2O3+3MgO-4Li2Oは、ガラスの耐水性を向上させるために、より好ましくは-50以上、さらに好ましくは-40以上、特に好ましくは-35以上、一層好ましくは-30以上、最も好ましくは-25以上である。また、ガラスの電波透過率を高くするためには、7Al2O3+3MgO-4Li2Oは、より好ましくは-11以下、さらに好ましくは-12以下、特に好ましくは-13以下、一層好ましくは-14以下、最も好ましくは-15以下である。
Na2O/R2Oは、電波透過率を高くするために、より好ましくは0.05以上、さらに好ましくは0.1以上、特に好ましくは0.15以上、一層好ましくは0.2以上、最も好ましくは0.25以上である。また、Na2O/R2Oは、より好ましくは0.95以下、さらに好ましくは0.9以下、特に好ましくは0.8以下、一層好ましくは0.7以下、より一層好ましくは0.6以下、最も好ましくは0.5以下である。
【0135】
態様9において、ガラス溶解時、成形時の粘性を低下し製造しやすくするために、SiO2+Al2O3は、好ましくは50%以上、さらに好ましくは55%以上、特に好ましくは60%以上、一層好ましくは65%以上、最も好ましくは68%以上である。また、SiO2+Al2O3は、好ましくは80%以下、さらに好ましくは78%以下、特に好ましくは76%以下、一層好ましくは74%以下、最も好ましくは72%以下である。
溶解・成形時のガラス粘性を低くして製造しやすくするために、Al2O3の含有量は、は13%以下がより好ましい。Al2O3はさらに好ましくは11%以下、特に好ましくは9%以下、一層好ましくは7%以下、最も好ましくは5%以下である。Al2O3は、耐候性を確保するために、より好ましくは1%以上、さらに好ましくは1.5%以上、特に好ましくは2%以上、ことさら特に好ましくは2.5%以上、最も好ましくは3%以上である。
K2O/R2Oは、電波透過率を高くするために、より好ましくは0.05以上、さらに好ましくは0.1以上、特に好ましくは0.15以上、一層好ましくは0.2以上、最も好ましくは0.25以上である。また、K2O/R2Oは、より好ましくは0.95以下、さらに好ましくは0.9以下、特に好ましくは0.7以下、一層好ましくは0.5以下、最も好ましくは0.4以下である。Na2O/R2OおよびK2O/R2Oを所定の範囲とすることで、電波透過率を高くしやすくなり好ましい。
【0136】
態様9において、R2O×MgOは電波透過率を高くするために低くすることがより好ましい。R2O×MgOはより好ましくは200%2以下、さらに好ましくは100%2以下、特に好ましくは70%2以下、一層好ましくは50%2以下、最も好ましくは30%2以下である。
溶解・成形中にホウ素やアルカリ元素が揮散して、ガラス品質の悪化につながるのを防ぐために、R2O+B2O3は25%以下が好ましく、より好ましくは24%以下、より好ましくは23%以下、さらに好ましくは21%以下、一層好ましくは19%以下、最も好ましくは18%以下である。但し、R2O+B2O3が低くなりすぎると、溶解・成形時のガラス粘性が高くなりすぎて、製造が困難となるおそれがある。そのためR2O+B2O3は1%以上が好ましく、より好ましくは2%以上、さらに好ましくは4%以上、一層好ましくは6%以上、最も好ましくは8%以上である。
溶解・成形中にホウ素やアルカリ元素が揮散して、ガラス品質の悪化につながるのを防ぐために、B2O3の含有量は15%以下が好ましく、より好ましくは12%以下、さらに好ましくは10%以下、一層好ましくは8%以下、最も好ましくは6%以下である。また、溶解性向上のために含んでも良く、含む場合のB2O3の含有量は0.5%以上が好ましく、より好ましくは1%以上、さらに好ましくは2%以上である。
ガラス溶解時・成形時に失透が発生してガラス品質の悪化につながるのを防ぐために、MgOとCaOを含む場合は、MgO+CaOは15%以下が好ましく、より好ましくは14%以下、さらに好ましくは13%以下、一層好ましくは12%以下、最も好ましくは10%以下である。但し、MgO+CaOが低くなりすぎると、溶解・成形時のガラス粘性が高くなりすぎて、製造が困難となるおそれがある。そのためMgO+CaOは1%以上が好ましく、より好ましくは2%以上、さらに好ましくは3%以上、一層好ましくは4%以上、最も好ましくは5%以上である。
また、ガラスが脆くなり強度が落ちるのを防ぐため、もしくはガラス板の軽量化のためにはBaOは15%以下が好ましく、より好ましくは10%以下、さらに好ましくは8%以下、特に好ましくは5%以下、一層好ましくは3%以下、より一層好ましくは1%以下、最も好ましくは実質的に含有されない。
同様に、ガラスが脆くなり強度が落ちるのを防ぐ、もしくはガラス板の軽量化のためには、SrO+BaO+ZrO2は12%以下がより好ましく、さらに好ましくは8%以下、特に好ましくは6%以下、一層の好ましくは4%以下、最も好ましくは2%以下である。
さらに、電波透過率を高くするために、MgOは12%以下がより好ましい。MgOはさらに好ましくは8%以下、特に好ましくは5%以下、一層好ましくは3%以下、最も好ましくは2%以下である。
溶解性を改善し、かつ電波透過率も高くするために、CaOの含有量は0.5%以上とすることがより好ましく、さらに好ましくは1%以上、特に好ましくは2%以上、一層好ましくは3%以上、最も好ましくは4%以上である。CaOの含有量は、失透抑制の観点から15%以下がより好ましく、13%以下がさらに好ましく11%以下が特に好ましく、9%以下が一層好ましく、8%以下が最も好ましい。
ZrO2は、化学耐久性向上のために含んでいても良く、ZrO2を含む場合、その含有量は、より好ましくは0.5%以上である。平均線膨張係数が大きくなる恐れがあるため、その含有量は、より好ましくは1.8%以下、さらに好ましくは1.5%以下である。
R2Oの含有量は、溶解性向上の観点から、より好ましくは5%以上であり、より好ましくは6%以上、より好ましくは7%以上、さらに好ましくは8%以上、特に好ましくは10%以上である。一方で、耐候性を向上させるために、の含有量、より好ましくは18%以下、さらに好ましくは17%以下、さらにより好ましくは15%以下、特に好ましくは14.5%以下である。
ROの含有量は、溶解性向上および電波透過率向上の観点から、より好ましくは5%以上であり、さらに好ましくは7%以上、特に好ましくは10%以上、最も好ましくは12%以上であり、一方で、耐候性向上、失透抑制の観点から、より好ましくは19%以下、さらに好ましくは18%以下、さらにより好ましくは17%以下、特に好ましくは16%以下、最も好ましくは15%以下である。
【0137】
本発明の態様10によるガラス板は、以下の条件を満たすことが好ましい。
酸化物基準のモル百分率表示で、各成分を下記含有量:
55≦SiO2≦75
0≦Al2O3<1.3
0≦B2O3≦15
0≦MgO≦4.5
0≦CaO≦20
0≦SrO≦4
0≦BaO≦15
0≦Li2O<0.01
0≦Na2O≦14.4
1≦K2O≦16
0≦ZrO2≦2
0.001≦Fe2O3≦1.5
0.001≦TiO2≦5
1.1≦R2O≦18
0≦RO≦20
85≦SiO2+Al2O3+MgO+CaO+SrO+BaO+Li2O+Na2O+K2O+Fe2O3+TiO2≦100
0≦7Al2O3+3MgO≦22.6
0.05≦Na2O/R2O≦0.80
0≦PbO<0.001
0≦ZnO≦0.5
で含む。
態様10の範囲とすることで、高い電波透過率を示し、かつ、フロート法による大量生産もしやすく、所望の用途に要求される特性を満たすガラス板が得られる。
【0138】
電波透過率を高くするために、態様10において下記の範囲とすることがより好ましい。
SiO2の含有量は、ヤング率および耐候性を高くするために、より好ましくは60%以上、さらに好ましくは65%以上、さらにより好ましくは68%以上、特に好ましくは70%以上である。粘性向上の観点から、SiO2の含有量は、より好ましくは74%以下、さらに好ましくは73.5%以下、特に好ましくは73%以下である。
Al2O3は、電波透過率を高くするために、より好ましくは1.3%未満であり、より好ましくは1.2%以下、さらに好ましくは1.0%以下、特に好ましくは0.8%以下である。ヤング率および耐候性を高くするために、より好ましくは0.1%以上、さらに好ましくは0.2%以上、特に好ましくは0.3%以上、最も好ましくは0.5%以上である。
【0139】
MgOの含有量は、溶解性および耐候性向上の観点から、より好ましくは0.1%以上、さらに好ましくは0.25%以上、さらにより好ましくは0.3%以上、さらにより好ましくは0.4%以上、特に好ましくは0.5%以上である。MgOの含有量は、電波透過性を高めるために4.5%以下がより好ましく、4.0%以下がより好ましく、3.5%以下がより好ましく、さらに好ましくは3%以下、さらにより好ましくは2.5%以下、一層好ましくは2%以下、特に好ましくは1.5%以下、最も好ましくは1%以下である。
CaOの含有量は、溶解性を改善し、かつ電波透過率を高めるために、1%以上が好ましく、より好ましくは2%以上、さらに好ましくは4%以上、特に好ましくは5%以上、一層好ましくは6%以上、最も好ましくは8%以上である。CaOの含有量は、失透抑制の観点から、18%以下がより好ましく、16%以下がさらに好ましく、15%以下が特に好ましく、14%以下が一層好ましく、13%以下が最も好ましい。
【0140】
BaOは溶解性を改善し、かつ電波透過率を高めるために含んでいても良く、BaOを含む場合、その含有量は、0.5%以上とすることが好ましく、より好ましくは1%以上であり、特に好ましくは2%以上である。BaOの含有量は、ガラスが脆くなるのを防ぐために、12%以下がより好ましく、10%以下がさらに好ましく、7%以下が特に好ましく、5%以下がことさら特に好ましく、3%以下が最も好ましい。
Na2Oの含有量は、溶解性を高め、平均線膨張係数を調整するために、より好ましくは0.1%以上、さらに好ましくは1%以上、特に好ましくは3%以上、一層好ましくは5%以上、より一層好ましくは6%以上、最も好ましくは7%以上である。また、Na2Oが含まれると耐候性が悪化するため、その含有量は、より好ましくは13%以下、さらに好ましくは11%以下、特に好ましくは10%以下、一層好ましくは9%以下、最も好ましくは8%以下である。
K2Oの含有量は、電波透過率を高くするために、より好ましくは3%以上、さらに好ましくは4%以上、特に好ましくは5%以上、一層好ましくは6%以上、最も好ましくは7%以上である。高温粘性が高くなりすぎるのを防ぐため、より好ましくは13%以下、さらに好ましくは11%以下、特に好ましくは10%以下、一層好ましくは9%以下、最も好ましくは8%以下である。
【0141】
ZrO2は、化学耐久性向上のために含んでいても良く、ZrO2を含む場合、その含有量は、より好ましくは0.5%以上である。ZrO2の含有量は、平均線膨張係数が大きくなる恐れがあるため、より好ましくは1.8%以下、さらに好ましくは1.5%以下である。
R2Oは、溶解性向上の観点から、より好ましくは4%以上であり、より好ましくは5%以上であり、さらに好ましくは6%以上、さらにより好ましくは7%以上、特に好ましくは8%以上である。一方で、耐候性を向上させるために、より好ましくは17%以下、さらに好ましくは15%以下、さらにより好ましくは14%以下、特に好ましくは13%以下、特に好ましくは12%以下、ことさら特に好ましくは11%以下、最も好ましくは10%以下である。
ROは、溶解性向上および電波透過率向上の観点から、より好ましくは4%以上、より好ましくは5%以上、さらに好ましくは7%以上、特に好ましくは10%以上、ことさら特に好ましくは12%以上、最も好ましくは12.5%以上である。一方で、耐候性向上、失透抑制の観点から、より好ましくは19%以下、さらに好ましくは18%以下、さらにより好ましくは17%以下、特に好ましくは16%以下、最も好ましくは15%以下である。
【0142】
7Al2O3+3MgOは、耐候性を高め、かつヤング率を高めガラス板の剛性を上げるため、より好ましくは0.5%以上、さらに好ましくは1%以上、特に好ましくは2%以上、一層好ましくは3%以上、最も好ましくは5%以上である。また、電波透過率を高くするために、7Al2O3+3MgOは、より好ましくは22%以下、さらに好ましくは20%以下、特に好ましくは18%以下、一層好ましくは15%以下、最も好ましくは10%以下である。
Na2O/R2Oは、電波透過率を高くするために、より好ましくは0.1以上、より好ましくは0.2以上、より好ましくは0.25以上、さらに好ましくは0.3以上、特に好ましくは0.35以上、一層好ましくは0.4以上、最も好ましくは0.45以上である。また、Na2O/R2Oは、より好ましくは0.75以下、さらに好ましくは0.7以下、特に好ましくは0.65以下、一層好ましくは0.6以下、最も好ましくは0.55以下である。
SiO2+Al2O3は、より好ましくは50%以上、さらに好ましくは55%以上、特に好ましくは60%以上、一層好ましくは65%以上、最も好ましくは68%以上である。また、SiO2+Al2O3は、より好ましくは80%以下、さらに好ましくは78%以下、特に好ましくは76%以下、一層好ましくは74.5%以下、より一層好ましくは74%以下、最も好ましくは73%以下である。
【0143】
R2O×MgOは電波透過率を高くするために低くすることがより好ましい。R2O×MgOは好ましくは80%2以下、より好ましくは75%2以下、さらに好ましくは70%2以下、特に好ましくは50%2以下、一層好ましくは30%2以下、最も好ましくは20%2以下である。
溶解・成形中にホウ素やアルカリ元素が揮散して、ガラス品質の悪化につながるのを防ぐために、R2O+B2O3は19%以下が好ましく、より好ましくは18%以下、さらに好ましくは17%以下、一層好ましくは16%以下、最も好ましくは15%以下である。但し、R2O+B2O3が低くなりすぎると、溶解・成形時のガラス粘性が高くなりすぎて、製造が困難となるおそれがある。そのためR2O+B2O3は2%以上が好ましく、より好ましくは4%以上、より好ましくは6%以上、さらに好ましくは8%以上、一層好ましくは10%以上、最も好ましくは12%以上である。
態様10においても、ガラス中のNa2O成分が総アルカリ量に対し相対的に増えるため、特にフロート法の製造においては、溶解・成形中にホウ素やアルカリ元素が揮散して、ガラス品質の悪化につながるのを防ぐために、B2O3の含有量は15%以下が好ましく、より好ましくは10%以下、さらに好ましくは7%以下、一層好ましくは5%以下、より一層好ましくは3%以下、特に好ましくは2%以下、ことさら特に好ましくは1%以下、最も好ましくは実質的に含有しない。
態様10によるガラス板は、85≦SiO2+Al2O3+MgO+CaO+SrO+BaO+Li2O+Na2O+K2O+Fe2O3+TiO2≦100であることがより好ましい。これにより、入手しやすいガラス原料でガラス板を製造することが可能になる。また、本形態のガラスのように、Al2O3やMgOが少ない組成では、ガラス板の耐候性も確保するため98.5%以上とすることがより好ましい。上記合計量はさらに好ましくは99%以上、特に好ましくは99.5%以上である。窓材用のガラス板には典型的には着色剤、清澄剤等が添加されるため、上記合計量の上限は99.9%が一層好ましい。
また、態様10においては、Al2O3やMgOが少ないためにガラスが脆くなり強度が落ちるのを防ぐ、もしくはガラス板の軽量化のために、SrOは4%以下が好ましく、より好ましくは2.5%以下、さらに好ましくは1%以下であり、特に好ましくは実質的に含有されない。
【0144】
ガラス溶解時・成形時に失透が発生してガラス品質の悪化につながるのを防ぐために、MgO+CaOは18%以下が好ましく、より好ましくは16%以下、より好ましくは14%以下、さらに好ましくは13%以下、一層好ましくは12%以下、最も好ましくは11%以下である。但し、MgO+CaOが低くなりすぎると、溶解・成形時のガラス粘性が高くなりすぎて、製造が困難となるおそれがあるためMgO+CaOは1%以上が好ましく、より好ましくは3%以上、さらに好ましくは4%以上、一層好ましくは6%以上、最も好ましくは9%以上である。
態様10によるガラス板は、特に失透しやすい傾向があるため、TiO2の含有量は1.5%以下が好ましく、より好ましくは1%以下、さらに好ましくは0.5%以下、特に好ましくは0.2%以下、一層好ましくは0.1%以下、最も好ましくは0.05%以下である。
態様10によるガラス板は、フロート法での製造を可能とするため、ZnOの含有量は0.5%以下が好ましい。ZnOを含有すると、フロートバス中でZn系の化合物を形成しガラス欠点ができやすくなるため好ましくない。ZnOの含有量はより好ましくは0.1%以下、さらに好ましくは含有しない。
本態様によるガラス板は、Fe2O3の含有量が0.001%~1.5%であることが好ましい。Fe2O3を0.001%未満とすると、遮熱性が求められる用途に使用することができなくなるおそれがあり、また、ガラス板の製造のために、鉄の含有量の少ない高価な原料を使用する必要が生じ、さらに、ガラス溶融時に、必要以上に溶融炉底面に熱輻射が到達し、溶融窯に負荷がかかってしまう恐れもあるため、好ましくない。Fe2O3の含有量はより好ましくは0.005%以上、さらに好ましくは0.01%以上、特に好ましくは0.015%以上、一層好ましくは0.02%以上、最も好ましくは0.05%以上である。
Fe2O3が1.5%超であると、輻射による伝熱が妨げられて原料が溶融しにくくなるおそれがある。さらに、Fe2O3の含有量が多くなりすぎると、可視域の光透過率の低下(Tvの低下)がおこるため、自動車用途での使用に適さなくなるおそれがある。Fe2O3の含有量はより好ましくは1.5%以下、さらに好ましくは1%以下、さらに好ましくは0.8%以下、さらにより好ましくは0.6%以下、特に好ましくは0.5%以下、一層好ましくは0.4%以下、最も好ましくは0.3%以下である。
【0145】
本発明によるガラス板は、上記いずれの態様においても、NiOの含有量が100質量ppm以下(0質量ppmを含む)であることが好ましい。本発明によるガラス板は、SiO2、Al2O3、B2O3、MgO、CaO、SrO、BaO、Li2O、Na2O、K2O、TiO2、ZrO2、Fe2O3、およびNiO以外の成分(以下、「その他成分」ともいう)の合計含有量が5%以下であることが好ましい。その他の成分は、例えば、Y2O3,Nd2O5、P2O5、GaO2、GeO2、CeO2、MnO2、CoO、Cr2O3、V2O5、Se、Au2O3、Ag2O、ZnO、CuO、CdO、SO3、Cl、F、SnO2、Sb2O3などが挙げられ、金属イオンであってもよいし、酸化物であってもよい。本発明によるガラス板は、NiOの含有量が100質量ppm以下(0質量ppmを含む)であり、かつ、その他成分の合計含有量が5%以下であることがより好ましい。
NiOを含有させると、NiSの生成によりガラス破壊がもたらされ得るため、その含有量は100質量ppm以下とすることが好ましく、より好ましくは10質量ppm以下であり、NiOが実質的に含まれないことがさらに好ましい。その他成分は諸目的(例えば清澄および着色)のために5%以下含有し得る。その他成分の含有量が5%を超えると、電波透過率に負の影響を与えるおそれがある。その他成分の含有量はより好ましくは3%以下、より好ましくは2%以下であり、より好ましくは1.5%以下、さらに好ましくは1%以下、特に好ましくは0.5%以下、一層好ましくは0.3%以下、最も好ましくは0.1%以下である。また、環境および人体への影響を防ぐため、As2O3、PbOは含有量がそれぞれ0.001%未満であることがより好ましく、実質的には含有しないことが最も好ましい。
SO3は清澄剤として使用し、脱泡に寄与することができる。SO3を用いる場合は硫酸塩を原料として用いることでガラス中に含ませることができ、SO3を含む場合の含有量は好ましくは0.01%以上、より好ましくは0.02%以上、より好ましくは0.04%以上、特に好ましくは0.08%以上、最も好ましくは0.1%以上である。多く含有すると前述のアンバー発色を生じるおそれがあるため、好ましくは1%以下、より好ましくは0.8%以下、さらにより好ましくは0.6%以下、最も好ましくは0.5%以下である。
Sb2O3はSO3と同様に清澄剤として作用するが、環境および人体への影響を防ぐため、より好ましくは0.5%以下、さらに好ましくは0.2%以下、さらにより好ましくは0.1%以下、特に好ましくは0.05%以下、ことさら特に好ましくは0.01%以下、実質的には含有しないことが最も好ましい。
CeO2は、酸化剤として作用して、FeO量を制御できる。また紫外線をカットできるため、紫外線による内装材の劣化を防ぐことができる。CeO2を含む場合の含有量は好ましくは0.004%以上、より好ましくは0.01%以上、さらに好ましくは0.05%以上、特に好ましくは0.1%以上である。製造時のコスト増加を防ぐために、好ましくは1%以下、より好ましくは0.5%以下、特に好ましくは0.3%以下である。
Cr2O3は、酸化剤として作用して、FeO量を制御できる。Cr2O3を含む場合の含有量は好ましくは0.002%以上、より好ましくは0.004%以上である。Cr2O3は可視域に着色をもつため、可視域の透過率低下の恐れがある。好ましくは1%以下、より好ましくは0.5%以下、特に好ましくは0.3%以下、最も好ましくは0.1%以下である。
SnO2は、還元剤として作用して、FeO量を制御できる。SnO2を含む場合の含有量は好ましくは0.01%以上、より好ましくは0.04%以上、さらに好ましくは0.06%以上、特に好ましくは0.08%以上である。製造時にSnO2由来の欠点を抑制するために、好ましくは1%以下、より好ましくは0.5%以下、特に好ましくは0.3%以下、最も好ましくは0.2%以下である。
また、P2O5は、フロート法での製造においては、フロートバス内でガラスの欠点を発生させやすいため、含有量はより好ましくは1%以下、さらに好ましくは0.5%以下、特に好ましくは0.1%以下、一層好ましくは0.001%未満である。
【0146】
本発明によるガラス板は、周波数35GHzでの誘電損失tanδが0.001以上、0.019以下であることが好ましい。ガラス材料の誘電損失tanδを小さくすると電波透過率を高くできるため特に好ましい。tanδは好ましくは0.019以下、より好ましくは0.017以下、さらに好ましくは0.015以下、特に好ましくは0.013以下、一層好ましくは0.010以下、最も好ましくは0.008以下である。電波透過率の観点からは、望ましい誘電損失に下限は無いが、tanδが低くなりすぎるとSiO2成分が多くなり過ぎる傾向があり、ガラスの溶解性が低下し得る。従ってtanδは好ましくは0.0015以上、より好ましくは0.003以上、さらに好ましくは0.004以上、特に好ましくは0.005以上、一層好ましくは0.007以上、最も好ましくは0.0075以上である。
【0147】
本発明によるガラス板は、厚さが1mm以上、36mm以下であることが好ましい。厚さが1mm未満であると、剛性が得にくくなり実用的な使用に耐えなくなり得る。本発明によるガラス板の厚さはより好ましくは1.2mm以上であり、さらに好ましくは1.8mm以上、特に好ましくは2.4mm以上、一層好ましくは2.8mm以上、最も好ましくは3.7mm以上である。また、厚さが36mm超であると、高い電波透過率を有する素材の利点を実用上充分に生かせなくなるおそれがある。厚さはより好ましくは24mm以下であり、さらに好ましくは12mm以下、特に好ましくは10mm以下、一層好ましくは8mm以下、最も好ましくは7mm以下である。
【0148】
この厚さは、重ねられた複数のガラスの合計の厚さであってもよい。例えば、本発明による異なる2枚のガラス板を重ねて上記厚さとしてもよい。本発明によるガラス板は、他のガラス板と合わせて、すなわち他のガラス板と重ねてまたは隣接させて使用してもよい。上述した特定組成のガラス板は、それ以外の組成のガラス板と重ね合わされた状態でも、本明細書に規定された電波透過率を確保し得る。つまり、積層ガラスの一部の層のみが上記特定の組成を有していてもよい。本発明によるガラス板をガラス以外の透明樹脂と積層して使用してもよい。
【0149】
本明細書の別の側面において、上記実施形態によるガラス板を備える窓が提供される。
【0150】
本明細書において、「窓」とは、乗物または建物の室内と室外あるいは一室と隣接室とを隔てることに用いられかつ透視性を提供するガラス板が、非ガラス材料で囲まれたものをいう。「乗物」には、自動車、列車、馬車、船、飛行機、ヘリコプター、ケーブルカー、観覧車など、壁(窓を含み得る)で囲まれた室を有するあらゆる乗物および輸送手段が含まれ得る。同様に、「建物」には、住宅、オフィスビル、店舗、倉庫、工場、ブースなど、壁(窓を含み得る)で囲まれた室を有するあらゆる建物が含まれ得る。窓においてガラス板を囲む非ガラス材料は、例えば、金属、木材、コンクリート、石材、セラミックス、レンガ、プラスチック、カーボンファイバー、またはこれらのあらゆる混合物であり得るが、それに限定されない。ガラス板を囲む非ガラス材料は、典型的には、自動車のボディーフレームもしくはドアフレーム、または建物における壁、天井、床、もしくは扉の素材もしくは窓枠である。扉全体、壁全体、天井全体、または床全体が窓からなることもあり得る。
【0151】
本発明による窓に備えられたガラス板は、通常は、1枚当たり10000mm2以上の面積を有するが、より小さな面積のガラス板を複数並べ合わせて構成される窓もあり得る。本発明による窓には、本発明によるガラス板が、他のガラス板または透明材料と積層されて嵌め込まれていてもよい。
【0152】
一実施態様では、窓は、自動車用の窓である。すなわちこの窓は、自動車のフロントガラス、リヤガラス、フロントドアガラス、リヤドアガラス、サイドガラス、ルーフガラス等であり得る。自動車用の窓に備えられたガラス板の厚さは、好ましくは1.2mm以上、より好ましくは2mm以上、さらに好ましくは2.8mm以上、一層好ましくは3.2mm以上、最も好ましくは3.7mm以上である。自動車用の窓に備えられたガラス板の可視光透過率Tv_A(JIS R 3106:1998)は、フロントガラス又はフロントドアガラスの場合は、3.85mm厚さ換算値で72%以上が好ましい。フロントガラス又はフロンドドアガラス以外では、用途にもよるが、Tv_Aは通常は30~92%である。
【0153】
一実施態様では、自動車用の窓は、光の照射及び/または受光を行うことにより車外からの情報を取得する情報取得装置を配置可能であり、情報取得装置と対向し光が通過する情報取得領域を少なくとも一つ有し、外側ガラス板、内側ガラス板、及びこれらのガラス板の間に配置される中間膜を有する。特にフロントガラス(ウインドシールド)に用いられることが好ましい。自動車用の窓は、合わせガラスであってもよく、強化ガラスであってもよい。強化ガラスは物理強化ガラスであってもよく、化学強化ガラスであってもよい。
自動車用の窓に照射及び/または受光される光の波長が、700~1650nmの範囲であると、市販のレーザーレーダーや赤外線カメラを利用することができて好ましい。さらに、情報取得領域の、700~1650nmの波長における透過率が80~92%であると、情報取得装置での光検出が容易になり好ましい。上記透過率は、より好ましくは83%以上、さらに好ましくは86%以上、特に好ましくは88%以上、一層好ましくは89%以上、最も好ましくは90%以上である。また、700~1650nmの波長における透過率が高すぎると、遮熱性が悪化してしまうおそれがあるため、上記透過率は、より好ましくは91.5%以下、さらに好ましくは91%以下である。
【0154】
一実施態様では、自動車用の窓は、電波の照射及び/または受信を行うことにより車外からの情報を取得する情報取得装置を配置可能であり、情報取得装置と対向し電波が通過する情報取得領域を少なくとも一つ有し、外側ガラス板、内側ガラス板、及びこれらのガラス板の間に配置される中間膜を有する。特にフロントガラス(ウインドシールド)に用いられることが好ましい。
自動車用の窓に照射及び/または受信される電波の周波数が、2~100GHzの範囲であると、市販のレーダー装置を利用可能することができて好ましい。より好ましくは20GHz以上、さらに好ましくは50GHz以上、特に好ましくは60GHz以上である。さらに、情報取得領域に用いられる外側ガラスおよび内側ガラスのうちの少なくとも1枚は、18mm厚さに換算した周波数100GHzにおける電波透過率が20~84%であると、前記情報取得装置での電波検出が容易になり好ましい。上記電波透過率は、より好ましくは22%以上、さらに好ましくは25%以上、さらにより好ましくは29%以上、特に好ましくは33%以上、一層好ましくは37%以上、最も好ましくは40%以上である。また、電波透過率が高すぎるとガラスの作製が困難になるため、より好ましくは80%以下、より好ましくは70%以下、より好ましくは60%以下、さらに好ましくは55%以下、さらにより好ましくは50%以下、特に好ましくは45%以下、一層好ましくは43%以下、最も好ましくは41%以下である。
【0155】
また、一実施態様では、光の照射/または受光、および電波の照射/または受信の両者が可能であることがより好ましい。
【0156】
一実施態様では、窓は、建材用の窓である。すなわちこの窓は、建物の壁、ドア、天井、屋根、または床に配置される。建材用の窓に備えられたガラス板の厚さは、好ましくは2mm以上、より好ましくは4mm以上、さらに好ましくは6mm以上、特に好ましくは8mm以上、一層好ましくは10mm以上、最も好ましくは12mm以上である。
【0157】
本発明の実施形態によるガラス板、または本発明の実施形態による窓に備えられたガラス板は、電波の偏波方向に30mm以上の長さを有することが好ましい。偏波方向は例えば鉛直線に対して垂直でありかつガラス板面に対して平行な方向、または鉛直線に対して平行でありかつガラス板面に対して平行な方向であり得る。例えば、地平面に対して垂直に設置される平坦な窓に備えられたガラス板が、横(水平)方向に、または縦(垂直)方向に、上記長さを有し得る。偏波方向に十分な長さを有していれば、レーダーや携帯電話の電波が送受信しやすくなる。
【0158】
本明細書の別の側面において、上記実施形態によるガラス板を備える無線通信機器が提供される。
【0159】
本明細書において、「無線通信機器」とは無線通信を利用する電子機器媒体をいう。「無線通信機器」には、携帯電話、タブレット、パーソナルコンピュータ、時計、メガネ等が含まれ得る。本明細書における「無線通信機器」は表面部材と裏面部材とを有し、該表面部材または該裏面部材の少なくとも一部に上記実施形態によるガラス板を用いることができる。また、典型的には、表面部材と裏面部材とを保持する筐体部を有する。表面部材、裏面部材および筐体部に囲まれる空間内部に、表示機能を有する素子や、該素子を駆動するための電気回路基板等を有し得る。表示機能を有する素子として、例えば液晶表示素子および有機EL素子が挙げられる。少なくとも表面部材側に、表示機能を有する素子により情報を表示させることができる。裏面部材側からも用途に応じて表示機能を有する素子により情報を表示させることができるようにしてもよい。表面部材および裏面部材は、用途に応じた形状とすることができ、平坦でもよく、曲面でもよい。
表面部材および裏面部材は、スピーカ、操作ボタン、カメラレンズ等のための孔を有してもよい。典型的には、表面部材はスピーカおよび操作ボタン用の孔を有し、裏面部材はカメラレンズ用の孔を有する。
表面部材、裏面部材および筐体部の材料は、例えば、ガラス、結晶化ガラス、分相ガラス、金属、木材、石材、セラミックス、プラスチック、カーボンファイバー、またはこれらのあらゆる混合物やそれらを組み合わせて積層したものを用いることができる。
【0160】
本発明による無線通信機器に備えられたガラス板は、他のガラス板または透明材料と積層されて嵌め込まれていてもよい。また、化学強化されたガラス板であってもよい。
本発明による無線通信機器に備えられたガラス板は、無線通信機器の表面部材および裏面部材の双方に使用してもよく、一方のみに使用してもよい。
本発明による無線通信機器に備えられたガラス板は、18mm厚さに換算した周波数100GHzにおける電波透過率が20%以上であるので、無線通信機器の利用時の送受信の障壁となりにくい。無線通信機器に備えられる場合、この電波透過率は好ましくは27%以上であり、より好ましくは28%以上、さらに好ましくは29%以上、特に好ましくは30%以上、最も好ましくは32%以上である。
また、表面部材および裏面部材の双方に上記実施形態によるガラス板を備える場合、表面部材に使用されるガラス板の18mm厚さに換算した周波数100GHzにおける電波透過率と、裏面部材に使用されるガラス板の18mm厚さに換算した周波数100GHzにおける電波透過率との差は、4%以上が好ましい。電波透過率の差が4%以上であれば、表面部材および裏面部材のうち電波透過率が高い部材を介して電波の送受信を行い、他方の部材からの電波の送受信は抑制することができる。例えば、表面部材側にスピーカやマイクがある場合、表面部材側は人間の頭側になるため、表面部材側に電波透過率の低いガラス板を用いることにより、人間の頭部に届く電波が弱まるようにすることができ、裏面部材側に電波透過率が高いガラス板を用いることにより、電波の送受信を行うことができる。
【0161】
一実施態様では、無線通信機器は電波の送受信機器としてアンテナを具備する。該アンテナはガラス板に近接もしくは接触させてもよく、ガラス板の内部に形成されてもよい。それにより、アンテナの送受信感度を向上させることができる。また、アンテナは、1.0GHz以上の周波数の電磁波を送受信可能なものが好ましい。アンテナで送受信する電波の周波数は好ましくは2.4GHz以上、より好ましくは5GHz以上、さらに好ましくは10GHz以上、特に好ましくは15GHz以上、最も好ましくは25GHz以上である。上限は特に制限は無いが、本願ガラスの用途から鑑みて、使用する周波数は100GHz以下であり、好ましくは90GHz以下である。
【0162】
一実施態様では、無線通信機器に備えられるガラス板の厚さは、裏面部材の一部または全部に用いられる場合、好ましくは4mm以下、より好ましくは2.5mm以下、さらに好ましくは1.5mm以下、特に好ましくは1.1mm以下、一層好ましくは0.9mm以下、最も好ましくは0.7mm以下である。一方、ガラス板が薄くなると強度が弱くなるおそれがあるため、0.5mm以上がより好ましい。厚さは一様でなくてもよく、分布を有していてもよく、用途に応じて決めることができる。ここで、ガラス板の厚さに分布がある場合は、最も厚い部分の厚さを「ガラス板の厚さ」と定義する(以下、本明細書において同じ)。
【0163】
また、一実施態様では、無線通信機器に備えられるガラス板の厚さは、表面部材の一部または全部に用いられる場合、好ましくは2.5mm以下、より好ましくは1.5mm以下、さらに好ましくは1.3mm以下、特に好ましくは1.1mm以下、一層好ましくは0.9mm以下、最も好ましくは0.7mm以下である。一方、ガラス板が薄くなると強度が弱くなるおそれがあるため、0.5mm以上がより好ましい。厚さは一様でなくてもよく、分布を有していてもよく、用途に応じて決めることができる。
【0164】
無線通信機器に備えられるガラス板の可視光透過率は、用途に応じて調整すればよいが、情報を表示させる側に使用されるガラス板の可視光透過率は、3.85mm厚さ換算値で60%以上がより好ましい。
本開示は以下の実施形態を含む。
[1]
18mm厚さに換算した周波数100GHzにおける電波透過率が20%以上であるガラス板。
[2]
18mm厚さに換算した周波数100GHzにおける電波透過率が25%以上である[1]に記載のガラス板。
[3]
18mm厚さに換算した周波数100GHzにおける電波透過率が84%以下である、[1]または[2]に記載のガラス板。
[4]
周波数10GHz、電界強度1V/mの平面波を、開口から2λ離れた波源より、厚さ1.2λのガラス板に入射した場合に、開口から10λ離れた観測点での電界強度をy(V/m)、開口面積S(mm2)をλ2で割った値をxとして、線形近似がy>(0.0607×x)である、[1]~[3]のいずれか一項に記載のガラス板。
[5]
周波数100GHzにおける近似透過率をy’、ガラス板の厚さをx’(mm)として、指数近似がy’>exp(-0.081×x’)である、[1]~[4]のいずれか一項に記載のガラス板。
[6]
18mm厚さに換算した、周波数6~20GHzにおける周波数x’’と電波透過率y’’との関係をy’’=[定数1]×e[定数2]×x’’という関数に近似した指数近似において、
y’’>0.8619e-0.015x’’
である、[1]~[5]のいずれか一項に記載のガラス板。
[7]
面積が900mm2以上である、[1]~[6]のいずれか一項に記載のガラス板。
[8]
比重が2.40~3.00であり、ヤング率が60GPa~100GPaであり、50℃~350℃の平均線膨張係数が35×10-7~120×10-7/℃である、[1]~[7]のいずれか一項に記載のガラス板。
[9]
耐水性試験でのNa2Oの溶出量が0.001mg~0.6mgである、[1]~[8]のいずれか一項に記載のガラス板。
[10]
T2が1750℃以下、T4が1350℃以下、T4-TLが-150℃以上である、[1]~[9]のいずれか一項に記載のガラス板。
(但し、T2はガラス粘度が102(dPa・s)となる温度であり、T4はガラス粘度が104(dPa・s)となる温度であり、TLはガラスの液相温度である。)
[11]
ガラス転移点Tgが400℃~750℃である、[1]~[10]のいずれか一項に記載のガラス板。
[12]
板厚3.85mmに換算した可視光透過率Tv_Aが30~92%である、[1]~[11]のいずれか一項に記載のガラス板。
[13]
板厚3.85mmに換算した日射透過率Teが35~91%である、[1]~[12]のいずれか一項に記載のガラス板。
[14]
酸化物基準のモル百分率表示で、各成分を下記含有量:
55≦SiO2≦75
0≦Al2O3≦9
0≦B2O3≦15
0≦MgO≦15
0≦CaO≦20
0≦SrO≦15
0≦BaO≦15
0≦Li2O<0.01
1.2≦Na2O≦15.6
3.5≦K2O≦12.5
0≦ZrO2≦2
0.001≦Fe2O3≦5
0.001≦TiO2≦5
4.7≦R2O≦19.5
0≦RO≦20
85≦SiO2+Al2O3+MgO+CaO+SrO+BaO+Li2O+Na2O+K2O+Fe2O3+TiO2≦100
42<7Al2O3+3MgO≦66
0.25≦Na2O/R2O≦0.8
R2O+B2O3≦23
0≦PbO<0.001
で含む、[1]~[13]のいずれか一項に記載のガラス板。
[15]
酸化物基準のモル百分率表示で、各成分を下記含有量:
55≦SiO2≦75
0≦Al2O3≦6
0≦B2O3≦15
0≦MgO≦14
0≦CaO≦20
0≦SrO≦15
0≦BaO≦15
0≦Li2O<0.01
4≦Na2O≦17
1.9≦K2O≦14.2
0≦ZrO2≦2
0.001≦Fe2O3≦5
0.001≦TiO2≦3
5.9≦R2O≦20
0≦RO≦20
85≦SiO2+Al2O3+MgO+CaO+SrO+BaO+Li2O+Na2O+K2O+Fe2O3+TiO2≦100
23.5<7Al2O3+3MgO≦42
0.22≦Na2O/R2O≦0.85
R2O×MgO≦66
55≦SiO2+Al2O3≦76
0≦PbO<0.001
で含む、[1]~[13]のいずれか一項に記載のガラス板。
[16]
酸化物基準のモル百分率表示で、各成分を下記含有量:
55≦SiO2≦75
1.3≦Al2O3≦3.35
0≦B2O3≦15
0≦MgO≦4.8
0≦CaO≦20
0≦SrO≦4
0≦BaO≦15
0≦Li2O<0.01
0.1≦Na2O≦16
1≦K2O≦16
0≦ZrO2≦2
0.001≦Fe2O3≦5
0.001≦TiO2≦1.5
1.1≦R2O≦20
0≦RO≦20
85≦SiO2+Al2O3+MgO+CaO+SrO+BaO+Li2O+Na2O+K2O+Fe2O3+TiO2≦100
0≦7Al2O3+3MgO≦23.5
0.05≦Na2O/R2O≦0.8
0≦R2O+B2O3≦22
0≦PbO<0.001
0≦ZnO≦8
で含む、[1]~[13]のいずれか一項に記載のガラス板。
[17]
酸化物基準のモル百分率表示で、各成分を下記含有量:
55≦SiO2≦75
1.44≦Al2O3≦9
0≦B2O3≦2
0≦MgO≦15
0≦CaO≦20
0≦SrO≦15
0≦BaO≦1
0.01≦Li2O≦19.1
0≦Na2O≦16
0.9≦K2O≦16
0≦ZrO2≦2
0.001≦Fe2O3≦5
0.001≦TiO2≦5
0.91≦R2O≦20
0≦RO≦20
98≦SiO2+Al2O3+MgO+CaO+SrO+BaO+Li2O+Na2O+K2O+Fe2O3+TiO2≦100
10<7Al2O3+3MgO-4Li2O≦66
0≦Na2O/R2O≦0.8
0≦PbO<0.001
で含む、[1]~[13]のいずれか一項に記載のガラス板。
[18]
酸化物基準のモル百分率表示で、各成分を下記含有量:
55≦SiO2≦75
0≦Al2O3≦7.8
0≦B2O3≦2
0≦MgO≦11.8
2≦CaO≦20
0≦SrO≦15
0≦BaO≦1
2.5≦Li2O≦19.52
0.15≦Na2O≦17.17
0.33≦K2O≦16.5
0≦ZrO2≦2
0.001≦Fe2O3≦5
0.001≦TiO2≦5
2.98≦R2O≦20
2≦RO≦20
98≦SiO2+Al2O3+MgO+CaO+SrO+BaO+Li2O+Na2O+K2O+Fe2O3+TiO2≦100
-10<7Al2O3+3MgO-4Li2O≦10
0.05≦Na2O/R2O≦0.85
0.11≦K2O/R2O≦0.83
0≦PbO<0.001
で含む、[1]~[13]のいずれか一項に記載のガラス板。
[19]
酸化物基準のモル百分率表示で、各成分を下記含有量:
55≦SiO2≦75
0≦Al2O3≦5.5
0≦B2O3≦2
0≦MgO≦10.5
0≦CaO≦20
0≦SrO≦15
0≦BaO≦15
2.5≦Li2O≦20
0≦Na2O≦18.5
0≦K2O≦18.5
0≦ZrO2≦2
0.001≦Fe2O3≦5
0.001≦TiO2≦5
2.5≦R2O≦20
0≦RO≦20
98≦SiO2+Al2O3+MgO+CaO+SrO+BaO+Li2O+Na2O+K2O+Fe2O3+TiO2≦100
-60≦7Al2O3+3MgO-4Li2O≦-10
0≦PbO<0.001
で含む、[1]~[13]のいずれか一項に記載のガラス板。
[20]
酸化物基準のモル百分率表示で、各成分を下記含有量:
55≦SiO2≦75
1.44≦Al2O3≦9
0.5≦B2O3≦13
0≦MgO≦15
0≦CaO≦20
0≦SrO≦15
0≦BaO≦1
0.01≦Li2O≦19.1
0≦Na2O≦16
0.9≦K2O≦16
0≦ZrO2≦2
0.001≦Fe2O3≦5
0.001≦TiO2≦5
0.91≦R2O≦20
0≦RO≦20
85≦SiO2+Al2O3+MgO+CaO+SrO+BaO+Li2O+Na2O+K2O+Fe2O3+TiO2≦100
10<7Al2O3+3MgO-4Li2O≦66
0≦Na2O/R2O≦0.8
0≦PbO<0.001
0≦ZnO≦3
で含む、[1]~[13]のいずれか一項に記載のガラス板。
[21]
酸化物基準のモル百分率表示で、各成分を下記含有量:
55≦SiO2≦75
1≦Al2O3≦7.8
0.5≦B2O3≦15
0≦MgO≦11.8
2≦CaO≦20
0≦SrO≦15
0≦BaO≦1
4.25≦Li2O≦19.15
0.25≦Na2O≦15.15
0.60≦K2O≦15.5
0≦ZrO2≦2
0.001≦Fe2O3≦5
0.001≦TiO2≦5
5.10≦R2O≦20
2≦RO≦20
85≦SiO2+Al2O3+MgO+CaO+SrO+BaO+Li2O+Na2O+K2O+Fe2O3+TiO2≦100
-10<7Al2O3+3MgO-4Li2O≦10
0.05≦Na2O/R2O≦0.95
0.11≦K2O/R2O≦0.9
0≦PbO<0.001
で含む、[1]~[13]のいずれか一項に記載のガラス板。
[22]
酸化物基準のモル百分率表示で、各成分を下記含有量:
55≦SiO2≦75
0.5≦Al2O3≦15
0≦B2O3≦15
0≦MgO≦15
0≦CaO≦20
0≦SrO≦15
0≦BaO≦15
3.4<Li2O≦20
0≦Na2O≦16.6
0≦K2O≦16.6
0≦ZrO2≦2
0.001≦Fe2O3≦5
0.001≦TiO2≦5
3.4<R2O≦20
1≦RO≦20
85≦SiO2+Al2O3+MgO+CaO+SrO+BaO+Li2O+Na2O+K2O+Fe2O3+TiO2≦100
-60≦7Al2O3+3MgO-4Li2O≦-10
0≦PbO<0.001
で含む、[1]~[13]のいずれか一項に記載のガラス板。
[23]
酸化物基準のモル百分率表示で、各成分を下記含有量:
55≦SiO2≦75
0≦Al2O3<1.3
0≦B2O3≦15
0≦MgO≦4.5
0≦CaO≦20
0≦SrO≦4
0≦BaO≦15
0≦Li2O<0.01
0≦Na2O≦14.4
1≦K2O≦16
0≦ZrO2≦2
0.001≦Fe2O3≦1.5
0.001≦TiO2≦5
1.1≦R2O≦18
0≦RO≦20
85≦SiO2+Al2O3+MgO+CaO+SrO+BaO+Li2O+Na2O+K2O+Fe2O3+TiO2≦100
0≦7Al2O3+3MgO≦22.6
0.05≦Na2O/R2O≦0.80
0≦PbO<0.001
0≦ZnO≦0.5
で含む、[1]~[13]のいずれか一項に記載のガラス板。
[24]
A×電波透過率が0.0225m2・%~8400m2・%であり、ここで、Aはガラス板の面積(m2)である、[1]~[23]のいずれか一項に記載のガラス板。
[25]
電波透過率/tが0.7%/mm~84%/mmであり、ここで、tはガラス板の厚み(mm)である、[1]~[24]のいずれか一項に記載のガラス板。
[26]
[1]~[25]のいずれか一項に記載のガラス板を備える窓。
[27]
自動車用または建材用である[26]に記載の窓。
[28]
[1]~[25]のいずれか一項に記載のガラス板を備える無線通信機器。
【実施例】
【0165】
以下、実施例を挙げて本発明の実施形態を具体的に説明するが、本発明はこれらの例に限定されるものではない。
【0166】
[ガラス板試料の調製]
下記表1-1~表1-28に示す組成(単位:モル%)のガラス板を、当業者に知られる通常の方法で製造した。具体的には、示されたガラス組成となるように、白金坩堝に原料を投入して1550℃で2時間溶融した後、カーボン板上に溶融液を流し出して徐冷して、ガラスの板を得た。得られた板の両面を研磨し、厚さ約30mmのガラス板を得た。
【0167】
表1-1~表1-28に示された数値の決定方法を以下に示す。
(1)50~350℃の平均線膨張係数(α):
平均線膨張係数(α)は、示差熱膨張計(TMA)を用いて測定し、JIS R3102(1995年度)の規格より求めた。
(2)ガラス転移点(Tg):
ガラス転移点(Tg)は、TMAを用いて測定した値であり、JIS R3103-3(2001年度)の規格により求めた。
(3)比重(d):
比重(d)は、ガラス板から切り出した、泡を含まない約20gのガラス塊をアルキメデス法によって測定した。
(4)粘度:
粘度は、回転粘度計を用いて測定し、粘度ηが10
2dPa・sとなるときの温度T
2(溶解性の基準温度)と、粘度ηが10
4dPa・sとなるときの温度T
4(成形性の基準温度)を測定した。
(5)液相温度(T
L):
ガラス板から切り出したガラス塊5gを置いた白金皿を、ガラス転移点よりも高い異なる温度の電気炉にそれぞれ入れ、17時間保持した後、炉外に取り出し冷却する。冷却後のガラス塊表面および内部の析出の有無を調べ、結晶が析出しないときの、17時間保持したときの温度の最低値を液相温度とした。
(6)ヤング率(E):
ヤング率Eは超音波パルス法(オリンパス、DL35)により25℃で測定した。
(7)耐水性:
JIS R 3502(1995年度)によるNa
2Oの溶出量(mg)として測定した。
(8)可視光透過率(Tv_A):
ガラス板を長さ30.0mm、幅30.0mm、厚さ3.85mmの直方体に加工し、30.0mm×30.0mmの面を鏡面に研磨した。JIS R 3106:1998に従い分光光度計により透過率を測定し、可視光透過率Tv_Aを算出した。分光光度計は、日立ハイテクノロジーズ社製分光光度計U4100を用いた。重価係数は、標準のA光源、2度視野の値を用いる。板厚3.85mmに換算した値で表している。
ここで、板厚3.85mmに換算した値とは、透過率を測定したガラス板の屈折率を測定し、セルマイヤーの式を用いて屈折率から算出した当該ガラス板の反射率により、多重反射を考慮して当該ガラス板の値(ここでは可視光透過率Tv_A)を板厚3.85mmの値に換算したものである。
可視光透過率Tv_Aが30~92%の場合は「○」、92%より大きい、もしくは30%より小さい場合を「×」で表記した。
(9)日射透過率(Te):
Teは、ISO-13837A:2008に従い分光光度計により透過率を測定し、日射透過率Teを算出した。板厚3.85mmに換算した値で表している。
日射透過率Teが35~91%の場合は「○」、91%より大きい、もしくは35%より小さい場合を「×」で表記した。
(10)紫外線透過率(Tuv):
Tuvは、ISO-9050:2003に規定されるものである。
(11)波長905nmの透過率、波長1550nmの透過率
分光光度計により測定した。板厚3.85mmに換算した値で表している。
(12)FeOの含有量
粉砕したガラスをフッ化水素酸と塩酸の混酸により室温で分解した後、分解液のうち、一定量をプラスチック容器に分取し、速やかに2,2’-ジピリジル溶液および酢酸アンモニウム緩衝液を添加してFe
2+のみを発色させた。発色液はイオン交換水で一定量にして、吸光光度計で波長522nmでの吸光度を測定した。そして標準液を用いて作製された検量線より濃度を計算しFeO量を算出した。表中のFeOは、Fe
2O
3に換算したFeO量である。
(13)電波透過率
厚み18mm、100GHzでの電波透過率、周波数と電波透過率の関係の指数近似式(厚さ18mm換算)定数1、および周波数と電波透過率の関係の指数近似式(厚さ18mm換算)定数2は、上述した方法により算出した。ここで、厚み18mm、100GHzでの電波透過率は、上述したとおり、指数近似を行って得た。算出に用いたガラスの比誘電率、および誘電損失は空洞共振法により測定した。
(14)合わせガラスの電波透過量
ガラス板の両面をさらに両面研磨し、厚さ2.0mmのガラス板を得た。得られた厚さ2.0mmの2枚のガラス板を、ポリビニルブチラール(中間膜:PVB)製の接着層を介して積層し、減圧吸引しながら予備接着した後、これをオートクレーブチャンバにて加熱、加圧することにより合わせガラスを得た。得られた合せガラスの接着層の厚さは0.7mmであった。
自由空間法にて得られた合わせガラスの電波透過量を測定した。アンテナを対向させ、その中間に得られた合わせガラスを設置し、100mmΦの開口部にて合わせガラスがない場合を0dBとして、合わせガラスの電波透過量を測定した。周波数は65~85GHzの範囲で測定した。
図4は、比較例1の合わせガラスの電波透過量の測定値と指数近似により求められる電波透過量の計算値を示すグラフである。測定値と計算値とが、よく一致することを確認した。同様の計算を実施例3、実施例4、実施例11、実施例25について行った。
図5は、比較例1、実施例3、実施例4、実施例11、実施例25の合わせガラスの電波透過量の測定値と指数近似により求められる電波透過量の計算値を示すグラフである。なお、この極大値の周波数は、誘電率、ガラスの厚みによって調整できる。測定値と計算値とが一致することを確認した。
【0168】
なお、表中の「-」は測定しなかったことを示し、組成から計算によって求めた値は斜体により示す。
【0169】
【0170】
【0171】
【0172】
【0173】
【0174】
【0175】
【0176】
【0177】
【0178】
【0179】
【0180】
【0181】
【0182】
【0183】
【0184】
【0185】
【0186】
【0187】
【0188】
【0189】
【0190】
【0191】
【0192】
【0193】
【0194】
【0195】
【0196】
【0197】
[電波透過率の計算モデルの検討]
表1において比較例1として示したガラス板を使用して、実測される電波の透過率と計算モデルとの乖離を確認した。実測値は、30cm×30cmのガラス板から自由空間法による測定で得られるものである。自由空間法の計算モデルは、CST社のMicrowave Studio 2016電磁界シミュレータにおけるシミュレーションで用いられる計算モデルである。シミュレーションの基本的条件は、本明細書において上述した通りである。検討の結果、計算モデルにおいて入力するtanδの値を小数点第3位までの精度で調節することにより、高周波数域(例えば50GHz以上)における計算モデルが最適化され、異なる厚さの(例えば5mmおよび10mm)ガラス板について、実測値に対する、より正確なフィッティングが得られることが明らかになった。
【0198】
この最適化された計算モデルを用いて、比較例(従来型のガラス板)についての電波透過率、ないし近似透過率を決定し、実施例1~249のものと比較した。その結果、実施例のガラスでは、18mm厚さに換算した周波数100GHzにおける電波透過率がいずれも20%以上であり、比較例よりも優れることが明らかとなった。また、Aが0.009m2での電波透過率×Aの値も、厚み3.85mmのときの電波透過率/厚みtの値も、いずれも比較例よりも優れることが明らかとなった。
【0199】
[電波透過率の比較]
図2A~Dは、厚さ18mmにおける、比較例および実施例1~20のガラス板の電界強度比を示すグラフである。黒い曲線は比較例の電界強度比を、黒い点直線は、比較例の電界強度比の曲線の指数近似([電波透過率]=[定数1]×e
[定数2]×[周波数]という関数に近似したもの、すなわち「周波数と電界強度比の関係の指数近似」)により算出された電波透過率を表す。同様に、灰色の複数の曲線の各々は、各実施例の電界強度比を、灰色の点直線はそれらに対応する指数近似により算出された電波透過率を表す。実施例のガラス板は、ギガヘルツ周波数帯において全般的に高い電波透過率を有していることが理解される。
【0200】
図3A~Dは、
図2A~Dで得られた指数近似の式に基づいて、代表的な周波数における近似透過率を算出して表示したものである。
図3Aは
図2Aに、
図3Bは
図2Bに、
図3Cは
図2Cに、
図3Dは
図2Dに、それぞれ対応し、比較例および実施例1~20の近似透過率を表す。いずれの実施例も、比較例より著しく改善された電波透過特性を有することが理解される。
また、実施例21~249のガラス板は、上述した10種類の態様に記載の組成範囲のいずれかに含まれるため、高い電波透過性を有する。
また、周波数35GHzでの誘電損失tanδは、実施例5~7、17~20のガラスは0.001以上0.019以下、実施例2、4、8~10、12、14、16、21~23のガラスではtanδは0.001以上0.013以下、実施例1、3、11、13、15、24のガラスではtanδは0.001以上0.011以下であった。
実施例3、実施例4、実施例11、実施例25の結果より、実施例の合わせガラスは比較例の合わせガラスよりも高い電波透過率を有する。
【産業上の利用可能性】
【0201】
本発明のガラス板は、携帯電話、レーダー等の電波利用機器の使用が想定される建物および乗物における窓材として広く利用可能である。
さらに、本発明のガラス板は、1.0GHz以上の高周波数の電波を使用する無線通信機器用のガラス板として好適に使用できる。
なお、2017年4月28日に出願された日本特許出願2017-90141号および2017年7月20日に出願された日本特許出願2017-140687号の明細書、特許請求の範囲、要約書および図面の全内容をここに引用し、本発明の明細書の開示として、取り入れるものである。
【符号の説明】
【0202】
10 枠、20 開口、30 波源、40 観測点