(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-11
(45)【発行日】2023-12-19
(54)【発明の名称】制御システム、制御装置、制御方法及び制御プログラム
(51)【国際特許分類】
H04W 16/18 20090101AFI20231212BHJP
H04W 16/28 20090101ALI20231212BHJP
【FI】
H04W16/18
H04W16/28
(21)【出願番号】P 2022543258
(86)(22)【出願日】2020-08-21
(86)【国際出願番号】 JP2020031725
(87)【国際公開番号】W WO2022038787
(87)【国際公開日】2022-02-24
【審査請求日】2022-12-19
(73)【特許権者】
【識別番号】000004226
【氏名又は名称】日本電信電話株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(74)【代理人】
【識別番号】100124844
【氏名又は名称】石原 隆治
(72)【発明者】
【氏名】村山 大輔
(72)【発明者】
【氏名】中山 章太
(72)【発明者】
【氏名】河村 憲一
【審査官】横田 有光
(56)【参考文献】
【文献】特開平09-135475(JP,A)
【文献】特開2020-113826(JP,A)
【文献】特開2009-290494(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04B 7/24- 7/26
H04W 4/00-99/00
3GPP TSG RAN WG1-4
SA WG1-4
CT WG1、4
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
基地局と、該基地局を制御する制御装置とを有する制御システムであって、
前記基地局の電波の送信点及び送信方向を決定するパラメータごとに、前記基地局の通信エリアにおいて見通し関係にあるエリアを特定し、特定したエリアに関する指標値を算出する算出部と、
前記指標値が最大となるパラメータを用いて、前記基地局の電波の送信点及び送信方向を制御する制御部と
を有する制御システム。
【請求項2】
前記算出部は、前記基地局の通信エリアにおいて見通し関係にあるエリアの面積を、前記見通し関係にあるエリアに関する指標値として算出する、請求項1に記載の制御システム。
【請求項3】
前記算出部は、前記基地局の通信エリアにおいて見通し関係にあるエリアに位置する端末の数、または、前記基地局の通信エリアにおいて見通し関係にあるエリアに位置する各端末のトラヒック量の合計値、のいずれかを、前記見通し関係にあるエリアに関する指標値として算出する、請求項1に記載の制御システム。
【請求項4】
前記基地局の通信エリア内の遮蔽物の位置及び大きさを示す遮蔽物マップを生成する生成部を更に有し、
前記算出部は、前記遮蔽物マップに基づいて、前記指標値を算出する、請求項2に記載の制御システム。
【請求項5】
前記基地局の通信エリア内の遮蔽物の位置及び大きさを示す遮蔽物マップを生成する生成部を更に有し、
前記算出部は、前記遮蔽物マップと前記各端末の位置情報とに基づいて、または、前記遮蔽物マップと前記各端末の位置情報と前記各端末のトラヒック情報とに基づいて、前記指標値を算出する、請求項3に記載の制御システム。
【請求項6】
基地局の電波の送信点及び送信方向を決定するパラメータごとに、前記基地局の通信エリアにおいて見通し関係にあるエリアを特定し、特定したエリアに関する指標値を算出する工程と、
前記指標値が最大となるパラメータを用いて、前記基地局の電波の送信点及び送信方向を制御する工程と
を有する制御方法。
【請求項7】
基地局の電波の送信点及び送信方向を決定するパラメータごとに、前記基地局の通信エリアにおいて見通し関係にあるエリアを特定し、特定したエリアに関する指標値を算出する算出部と、
前記指標値が最大となるパラメータを用いて、前記基地局の電波の送信点及び送信方向を制御する制御部と
を有する制御装置。
【請求項8】
基地局の電波の送信点及び送信方向を決定するパラメータごとに、前記基地局の通信エリアにおいて見通し関係にあるエリアを特定し、特定したエリアに関する指標値を算出する工程と、
前記指標値が最大となるパラメータを用いて、前記基地局の電波の送信点及び送信方向を制御する工程と
を有する制御プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、制御システム、制御装置、制御方法及び制御プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
第5世代移動通信システム(5G)では、従来の周波数帯に加え、ミリ波帯と呼ばれる高周波数帯が利用される。一般に、高周波数帯の電波は、距離減衰が大きいことから、例えば、下記非特許文献1では、超高利得なビームフォーミング送信技術を用いることで、長距離伝送を実現している。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0003】
【文献】岸山祥久ら、"ミリ波を用いた超高速・長距離伝送の5G屋外実験"、NTT DOCOMOテクニカル・ジャーナル Vol.26 No.1、Apr.2018
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
一方で、高周波数帯の電波は、直進性が高く、遮蔽による減衰が大きいことから、通信エリア内にある遮蔽物の影響を受けやすい。
【0005】
本開示は、遮蔽物に応じた通信エリアを形成することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の一態様によれば、制御システムは、
基地局と、該基地局を制御する制御装置とを有する制御システムであって、
前記基地局の電波の送信点及び送信方向を決定するパラメータごとに、前記基地局の通信エリアにおいて見通し関係にあるエリアを特定し、特定したエリアに関する指標値を算出する算出部と、
前記指標値が最大となるパラメータを用いて、前記基地局の電波の送信点及び送信方向を制御する制御部とを有する。
【発明の効果】
【0007】
本開示によれば、遮蔽物に応じた通信エリアを形成することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】
図1は、制御システムのシステム構成の一例を示す第1の図である。
【
図2】
図2は、基地局の可動例及び見通し関係にあるエリアの概要を示す第1の図である。
【
図3】
図3は、指標値データの一例を示す第1の図である。
【
図4】
図4は、制御装置のハードウェア構成の一例を示す図である。
【
図5】
図5は、基地局位置姿勢制御部の機能構成の一例を示す第1の図である。
【
図6】
図6は、基地局位置姿勢制御処理の流れを示す第1のフローチャートである。
【
図7】
図7は、制御システムのシステム構成の一例を示す第2の図である。
【
図8】
図8は、基地局の可動例及び見通し関係にあるエリアの概要を示す第2の図である。
【
図9】
図9は、指標値データの一例を示す第2の図である。
【
図10】
図10は、基地局位置姿勢制御部の機能構成の一例を示す第2の図である。
【
図11】
図11は、基地局位置姿勢制御処理の流れを示す第2のフローチャートである。
【
図12】
図12は、制御システムのシステム構成の一例を示す第3の図である。
【
図13】
図13は、基地局の可動例及び見通し関係にあるエリアの概要を示す第3の図である。
【
図14】
図14は、指標値データの一例を示す第3の図である。
【
図15】
図15は、基地局位置姿勢制御部の機能構成の一例を示す第3の図である。
【
図16】
図16は、基地局位置姿勢制御処理の流れを示す第3のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、各実施形態について添付の図面を参照しながら説明する。なお、本明細書及び図面において、実質的に同一の機能構成を有する構成要素については、同一の符号を付することにより重複した説明を省略する。
【0010】
[第1の実施形態]
<制御システムのシステム構成>
はじめに、第1の実施形態に係る制御システム全体のシステム構成について説明する。
図1は、制御システムのシステム構成の一例を示す第1の図である。
図1に示すように、制御システム100は、可動基地局110と、遮蔽物検知装置120と、制御装置130とを有する。なお、可動基地局110と制御装置130とは、有線または無線により、通信可能に接続される。同様に、遮蔽物検知装置120と制御装置130とは、有線または無線により、通信可能に接続される。
【0011】
可動基地局110は、基地局111を有する。基地局111は、例えば、第5世代移動通信システム(5G)で利用される高周波数帯の電波を送受信することにより、不図示の端末との間で、高速・大容量の通信を実現する。
【0012】
また、可動基地局110は、基地局111を支持する可動構造体を有する。可動構造体は、例えば、制御装置130から送信される位置姿勢パラメータに基づいて、基地局111を矢印112方向に直動させる。また、可動構造体は、例えば、制御装置130から送信される位置姿勢パラメータに基づいて、基地局111を、x軸周り(符号113参照)、y軸周り(符号114参照)、z軸周り(符号115参照)に回動させる。これにより、可動基地局110では、基地局111の電波の送信点及び送信方向が制御される。
【0013】
なお、本実施形態では、
図1に記載した、x軸、y軸、z軸の交点位置を、可動基地局110内の位置座標の原点とする。
【0014】
また、
図1の可動基地局110では、基地局111の位置及び姿勢を物理的に動かすことで、基地局111の電波の送信点及び送信方向を制御するものとして説明した。しかしながら、可動基地局110を、例えば、分散アンテナシステムにより構築する場合にあっては、各ユニットの出力を制御することで、基地局の電波の送信点及び送信方向を制御してもよい。
【0015】
この場合、可動基地局110は、制御装置130から送信されるEnable/Disable信号に基づいて、分散アンテナシステムの各ユニットの出力を制御することで、基地局の電波の送信点及び送信方向を制御する。
【0016】
つまり、基地局の電波の送信点及び送信方向を決定するパラメータには、位置姿勢パラメータの他に、例えば、Enable/Disable信号が含まれていてもよい。ただし、以下では、基地局111の位置及び姿勢を物理的に動かすことで、基地局の電波の送信点及び送信方向を制御するケースについて説明する。
【0017】
遮蔽物検知装置120は、通信エリア内の遮蔽物を検知するための撮像装置またはLIDAR(Laser Imaging Detection and Ranging)装置を有する。遮蔽物検知装置120は、撮像装置により撮影された映像情報またはLIDAR装置により測定されたLIDAR情報等のセンシング情報を、制御装置130に送信する。
【0018】
制御装置130には、基地局位置姿勢制御プログラムがインストールされており、当該プログラムが実行されることで、制御装置130は、基地局位置姿勢制御部131として機能する。
【0019】
基地局位置姿勢制御部131は、遮蔽物検知装置120より送信されたセンシング情報に基づいて、基地局111が形成する通信エリア内の2次元または3次元のマップデータ(遮蔽物マップ)をリアルタイムに生成し、マップデータ格納部132に格納する。なお、遮蔽物マップとは、通信エリア内の遮蔽物の位置及び大きさを示すマップである。
【0020】
また、基地局位置姿勢制御部131は、予め定められた位置姿勢パラメータごとに、見通し関係にあるエリアを特定し、特定したエリアの面積(指標値)を、遮蔽物マップに基づいて算出する。また、基地局位置姿勢制御部131は、特定したエリアの面積を、位置姿勢パラメータと対応付けて、指標値データとして、指標値データ格納部133に格納する。
【0021】
更に、基地局位置姿勢制御部131は、位置姿勢パラメータごとに算出した、見通し関係にあるエリアの面積(指標値)の中で、最大の面積となる位置姿勢パラメータを選択し、可動基地局110に送信する。
【0022】
これにより、可動基地局110は、見通し関係にあるエリアの面積が最大(つまり、遮蔽物により遮蔽されたエリアの面積が最小)となるように、基地局111の位置及び姿勢を制御することができる。この結果、制御システム100によれば、遮蔽物に応じた通信エリアを形成することができる。
【0023】
<基地局の可動例及び見通し関係にあるエリア>
次に、基地局111の可動例及び見通し関係にあるエリアについて説明する。
図2は、基地局の可動例及び見通し関係にあるエリアの概要を示す第1の図である。なお、
図2は、通信エリア内に遮蔽物220が1つのみ存在する2次元のマップデータ210(遮蔽物マップ)が生成された例を示している。
【0024】
このうち、
図2の2aは、第1の位置姿勢パラメータに基づいて基地局111の位置及び姿勢が制御され、通信エリアが形成された様子を示している。
図2の2aの例は、2次元のマップデータ210(遮蔽物マップ)に示した通信エリアのうち、
・符号211に示すエリアは、見通し関係にあり、
・符号212に示すエリアは、遮蔽物220により遮蔽され、見通し関係にない、
ことを示している。
【0025】
一方、
図2の2bは、第2の位置姿勢パラメータに基づいて基地局111の位置及び姿勢が制御され、通信エリアが形成された様子を示している(具体的には、矢印112に沿ってx軸方向に基地局111を直動させ、z軸周りに回動させた様子を示している)。
図2の2bの例は、2次元のマップデータ210(遮蔽物マップ)に示した通信エリアのうち、
・符号213に示すエリアは、見通し関係にあり、
・符号214に示すエリアは、遮蔽物220により遮蔽され、見通し関係にない、
ことを示している。
【0026】
このように、基地局位置姿勢制御部131より送信される位置姿勢パラメータによって、同じ通信エリアであっても見通し関係にあるエリアの面積は変動する。そこで、基地局位置姿勢制御部131では、上述したように、見通し関係にあるエリアの面積が最大となる位置姿勢パラメータを選択する。
【0027】
<指標値データの説明>
次に、指標値データ格納部133に格納される指標値データについて説明する。
図3は、指標値データの一例を示す第1の図である。
図3に示すように、指標値データ300は、情報の項目として、"位置"、"姿勢"、"指標値"を有する。
【0028】
このうち、"位置"には、更に、情報の項目として、"x座標"、"y座標"、"z座標"が含まれる。"x座標"、"y座標"、"z座標"には、基地局111の位置を示すx座標、y座標、z座標がそれぞれ格納される。
【0029】
また、"姿勢"には、更に、情報の項目として、"パン角"、"チルト角"、"ロール角"が含まれる。"パン角"、"チルト角"、"ロール角"には、基地局111の姿勢を示すパン角、チルト角、ロール角がそれぞれ格納される。
【0030】
また、"指標値"は、本実施形態において"エリア面積"を指す。"エリア面積"には、対応する"位置"、"姿勢"の各位置姿勢パラメータの組み合わせのもと、遮蔽物マップに基づき、基地局位置姿勢制御部131により算出される、見通し関係にあるエリアの面積が格納される。
【0031】
図3の例は、x座標=x
1、y座標=y
1、z座標=z
1、パン角=p
1、チルト角=c
1、ロール角=r
1の各位置姿勢パラメータの組み合わせの場合、エリア面積=S
1が算出されることを示している。このように、基地局位置姿勢制御部131では、遮蔽物マップを生成するごとに予め定められた各位置姿勢パラメータの組み合わせについて、エリア面積をそれぞれ算出する。
【0032】
<制御装置のハードウェア構成>
次に、制御装置130のハードウェア構成について説明する。
図4は、制御装置のハードウェア構成の一例を示す図である。
図4に示すように、制御装置130は、プロセッサ401、メモリ402、補助記憶装置403、I/F(Interface)装置404、通信装置405、ドライブ装置406を有する。なお、制御装置130の各ハードウェアは、バス407を介して相互に接続される。
【0033】
プロセッサ401は、CPU(Central Processing Unit)、GPU(Graphics Processing Unit)等の各種演算デバイスを有する。プロセッサ401は、各種プログラム(例えば、基地局位置姿勢制御プログラム等)をメモリ402上に読み出して実行する。
【0034】
メモリ402は、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)等の主記憶デバイスを有する。プロセッサ401とメモリ402とは、いわゆるコンピュータを形成し、プロセッサ401が、メモリ402上に読み出した各種プログラムを実行することで、当該コンピュータは各種機能を実現する。
【0035】
補助記憶装置403は、各種プログラムや、各種プログラムがプロセッサ401によって実行される際に用いられる各種データを格納する。例えば、マップデータ格納部132、指標値データ格納部133は、補助記憶装置403において実現される。
【0036】
I/F装置404は、外部装置の一例である操作装置410、表示装置411と、制御装置130とを接続する接続デバイスである。I/F装置404は、制御装置130に対する操作を、操作装置410を介して受け付ける。また、I/F装置404は、制御装置130による処理の結果を出力し、表示装置411に表示する。
【0037】
通信装置405は、ネットワークを介して他の装置(例えば、可動基地局110、遮蔽物検知装置120)と通信するための通信デバイスである。
【0038】
ドライブ装置406は記録媒体412をセットするためのデバイスである。ここでいう記録媒体412には、CD-ROM、フレキシブルディスク、光磁気ディスク等のように情報を光学的、電気的あるいは磁気的に記録する媒体が含まれる。また、記録媒体412には、ROM、フラッシュメモリ等のように情報を電気的に記録する半導体メモリ等が含まれていてもよい。
【0039】
なお、補助記憶装置403にインストールされる各種プログラムは、例えば、配布された記録媒体412がドライブ装置406にセットされ、該記録媒体412に記録された各種プログラムがドライブ装置406により読み出されることでインストールされる。あるいは、補助記憶装置403にインストールされる各種プログラムは、通信装置405を介してネットワークからダウンロードされることで、インストールされてもよい。
【0040】
<基地局位置姿勢制御部の機能構成>
次に、制御装置130の基地局位置姿勢制御部131の機能構成の詳細について、
図2及び
図3を参照しながら説明する。
図5は、基地局位置姿勢制御部の機能構成の一例を示す第1の図である。
図5に示すように、基地局位置姿勢制御部131は、位置姿勢パラメータ算出部501と、遮蔽物マップ生成部502とを有する。
【0041】
遮蔽物マップ生成部502は生成部の一例であり、遮蔽物検知装置120より送信されたセンシング情報に基づいて、基地局111が形成する通信エリア内における2次元または3次元のマップデータ(遮蔽物マップ)をリアルタイムに生成する。また、遮蔽物マップ生成部502は、生成した遮蔽物マップを、マップデータ格納部132に格納する。
【0042】
具体的には、遮蔽物マップ生成部502は、例えば、遮蔽物検知装置120より送信された映像情報に基づいて、遮蔽物220の位置及び大きさを算出し、2次元のマップデータ210(遮蔽物マップ)をリアルタイムに生成する。なお、
図2の例では、遮蔽物220が固定物であるとしたが、遮蔽物220は移動物であってもよい。このため、遮蔽物マップ生成部502では、マップデータ格納部132に格納する2次元または3次元のマップデータ(遮蔽物マップ)を、所定周期で更新する。
【0043】
位置姿勢パラメータ算出部501は算出部及び制御部の一例であり、予め定められた位置姿勢パラメータごとに、通信エリアにおいて見通し関係にあるエリアの面積を、遮蔽物マップに基づいて算出する。また、位置姿勢パラメータ算出部501は、算出したエリアの面積を、位置姿勢パラメータと対応付けて、指標値データとして、指標値データ格納部133に格納する。また、位置姿勢パラメータ算出部501は、指標値データとして格納した、位置姿勢パラメータごとのエリアの面積の中で、最大の面積となる位置姿勢パラメータを選択し、可動基地局110に送信する。
【0044】
具体的には、位置姿勢パラメータ算出部501は、例えば、マップデータ格納部132より、2次元のマップデータ210(遮蔽物マップ)を読み出す。また、位置姿勢パラメータ算出部501は、指標値データ300の"位置"、"姿勢"に含まれる、x座標~ロール角の各位置姿勢パラメータの組み合わせごとに、2次元のマップデータ210に基づいて、見通し関係にあるエリアの面積を算出する。また、位置姿勢パラメータ算出部501は、各位置姿勢パラメータの組み合わせごとに算出したエリアの面積を、指標値データ300に格納する。更に、位置姿勢パラメータ算出部501は、指標値データ300に格納した、各位置姿勢パラメータの組み合わせごとのエリアの面積の中から、最大の面積となる位置姿勢パラメータの組み合わせ(x座標~ロール角)を選択し、可動基地局110に送信する。これにより、基地局位置姿勢制御部131によれば、可動基地局110の基地局111の位置及び姿勢を、遮蔽物に応じて制御することができる。
【0045】
<基地局位置姿勢制御処理の流れ>
次に、制御装置130の基地局位置姿勢制御部131による基地局位置姿勢制御処理の流れについて説明する。
図6は、基地局位置姿勢制御処理の流れを示す第1のフローチャートである。
【0046】
ステップS601において、遮蔽物マップ生成部502は、遮蔽物検知装置120よりセンシング情報を取得する。
【0047】
ステップS602において、遮蔽物マップ生成部502は、取得したセンシング情報に基づいて、遮蔽物マップを生成し、マップデータ格納部132に格納する。
【0048】
ステップS603において、位置姿勢パラメータ算出部501は、各位置姿勢パラメータの組み合わせごとに、遮蔽物マップに基づいて、見通し関係にあるエリアの面積を算出し、指標値データとして、指標値データ格納部133に格納する。
【0049】
ステップS604において、位置姿勢パラメータ算出部501は、各位置姿勢パラメータの組み合わせの中から、見通し関係にあるエリアの面積が最大となる位置姿勢パラメータの組み合わせを選択する。
【0050】
ステップS605において、位置姿勢パラメータ算出部501は、選択した位置姿勢パラメータの組み合わせを可動基地局110に送信することで、基地局111の位置及び姿勢を制御する。
【0051】
ステップS606において、位置姿勢パラメータ算出部501は、基地局位置姿勢制御処理を終了するか否かを判定する。ステップS606において、基地局位置姿勢制御処理を継続すると判定した場合には(ステップS606においてNOの場合には)、ステップS601に戻る。これにより、位置姿勢パラメータ算出部501では、所定周期ごとに、基地局111の位置及び姿勢を制御することができる。
【0052】
一方、ステップS606において、基地局位置姿勢制御処理を終了すると判定した場合には(ステップS606においてYESの場合には)、基地局位置姿勢制御処理を終了する。
【0053】
<まとめ>
以上の説明から明らかなように、第1の実施形態に係る制御システム100は、
・基地局と、該基地局を制御する制御装置とを有する。
・基地局の電波の送信点及び送信方向を決定するパラメータの組み合わせごとに、基地局の通信エリアにおいて見通し関係にあるエリア(遮蔽物に遮蔽されていないエリア)を特定し、特定したエリアの面積(指標値)を算出する。
・算出したエリアの面積が最大となるパラメータの組み合わせを用いて、基地局の電波の送信点及び送信方向を制御する。
【0054】
これにより、第1の実施形態に係る制御システム100によれば、遮蔽物に応じた通信エリアを形成することができる。この結果、例えば、基地局が形成する通信エリアによって未検出の端末が多数存在する可能性がある場合に、第1の実施形態によれば、全体の通信品質を向上させることが可能になる。
【0055】
[第2の実施形態]
上記第1の実施形態では、見通し関係にあるエリアの面積を指標値として、位置姿勢パラメータの組み合わせを選択する場合について説明した。しかしながら、位置姿勢パラメータの組み合わせを選択する際の指標値は、これに限定されず、例えば、見通し関係にあるエリアに位置する端末数を指標値としてもよい。以下、第2の実施形態について、上記第1の実施形態との相違点を中心に説明する。
【0056】
<制御システムのシステム構成>
はじめに、第2の実施形態に係る制御システム全体のシステム構成について説明する。
図7は、制御システムのシステム構成の一例を示す第2の図である。上記第1の実施形態において
図1を用いて説明した制御システム100との相違点は、
図7の制御システム700の場合、端末701~703が含まれる点、基地局位置姿勢制御部710の機能が、基地局位置姿勢制御部131の機能とは異なる点である。
【0057】
端末701~703は、それぞれ、自端末の位置を示す端末位置情報(例えば、GPS(Global Positioning System)情報、あるいは、他の位置検知技術により検知した情報)を、可動基地局110を介して、制御装置130に送信する。端末701~703は、それぞれ、例えば、上りのデータチャネル(または制御チャネル)を用いて、端末位置情報を送信する。
【0058】
また、端末701~703は、それぞれ、自端末周辺の遮蔽物を検知し、センシング情報(映像情報またはLIDAR情報)を、可動基地局110を介して、制御装置130に送信する。端末701~703は、それぞれ、例えば、上りのデータチャネル(または制御チャネル)を用いて、センシング情報を送信する。
【0059】
なお、
図7の例では、説明の便宜上、3台の端末のみを示したが、制御システム700に含まれる端末の数は、3台に限定されず、3台未満であっても、4台以上であってもよい。
【0060】
制御装置130の基地局位置姿勢制御部710は、遮蔽物検知装置120から送信されたセンシング情報及び端末701~703から送信されたセンシング情報に基づいて、基地局111が形成する通信エリア内の遮蔽物マップをリアルタイムに生成する。
【0061】
また、基地局位置姿勢制御部710は、予め定められた位置姿勢パラメータごとに、見通し関係にあるエリアに位置する端末数(指標値)を、遮蔽物マップ及び端末位置情報に基づいて算出する。また、基地局位置姿勢制御部710は、算出した端末数を、位置姿勢パラメータと対応付けて、指標値データとして、指標値データ格納部133に格納する。
【0062】
更に、基地局位置姿勢制御部710は、位置姿勢パラメータごとに算出した、見通し関係にあるエリアに位置する端末数(指標値)の中で、最大の端末数となる位置姿勢パラメータを選択し、可動基地局110に送信する。
【0063】
これにより、可動基地局110は、見通し関係にあるエリアに位置する端末数が最大(つまり、遮蔽されたエリアに位置する端末数が最小)となるように、基地局111の位置及び姿勢を制御することができる。この結果、制御システム700によれば、遮蔽物及び端末位置に応じた通信エリアを形成することができる。
【0064】
<基地局の可動例及び見通し関係にあるエリア>
次に、基地局111の可動例及び見通し関係にあるエリアについて説明する。
図8は、基地局の可動例及び見通し関係にあるエリアの概要を示す第2の図である。なお、
図8は、通信エリア内に遮蔽物220が1つのみ存在する2次元のマップデータ210(遮蔽物マップ)が生成された例を示している。
【0065】
このうち、
図8の8aは、第1の位置姿勢パラメータに基づいて基地局111の位置及び姿勢が制御され、通信エリアが形成された様子を示している。
図8の8aの例は、2次元のマップデータ210(遮蔽物マップ)に示した通信エリアのうち、
・符号811に示すエリアに位置する端末701、端末703は、見通し関係にあり、
・符号812に示すエリアに位置する端末702は、遮蔽物220により遮蔽され、見通し関係にない、
ことを示している。
【0066】
一方、
図8の8bは、第2の位置姿勢パラメータに基づいて基地局111の位置及び姿勢が制御され、通信エリアが形成された様子を示している(具体的には、矢印112に沿ってx軸方向に基地局111を直動させ、z軸周りに回動させた様子を示している)。
図8の8bの例は、2次元のマップデータ210(遮蔽物マップ)に示した通信エリアのうち、
・符号813に示すエリアに位置する端末701~703は、見通し関係にあり、
・符号814に示すエリアに位置する、見通し関係にない端末はない、
ことを示している。
【0067】
このように、基地局位置姿勢制御部710より送信される位置姿勢パラメータによって、同じ通信エリアであっても見通し関係にあるエリアに位置する端末数は変動する。そこで、基地局位置姿勢制御部710では、上述したように、見通し関係にあるエリアに位置する端末数が最大となる位置姿勢パラメータを選択する。
【0068】
<指標値データの説明>
次に、指標値データ格納部133に格納される指標値データについて説明する。
図9は、指標値データの一例を示す第2の図である。上記第1の実施形態において
図3を用いて説明した指標値データ300との相違点は、指標値データ900の場合、"指標値"が、"エリア面積"ではなく、"端末数"を指す点である。また、"端末数"には、対応する"位置"、"姿勢"の各位置姿勢パラメータの組み合わせのもと、基地局位置姿勢制御部710により算出される、見通し関係にあるエリアに位置する端末数が格納される点である。
【0069】
図9の例は、x座標=x
1、y座標=y
1、z座標=z
1、パン角=p
1、チルト角=c
1、ロール角=r
1の各位置姿勢パラメータの組み合わせの場合、端末数=T
1が算出されることを示している。このように、基地局位置姿勢制御部710では、遮蔽物マップを生成するごとに、予め定められた各位置姿勢パラメータの組み合わせについて、見通し関係にあるエリアに位置する端末数をそれぞれ算出する。
【0070】
<基地局位置姿勢制御部の機能構成>
次に、制御装置130の基地局位置姿勢制御部710の機能構成の詳細について、
図8と
図9とを参照しながら説明する。
図10は、基地局位置姿勢制御部の機能構成の一例を示す第2の図である。上記第1の実施形態同様、基地局位置姿勢制御部710は、位置姿勢パラメータ算出部1001(算出部、制御部の一例)と、遮蔽物マップ生成部1002(生成部の一例)とを有する。
【0071】
ただし、遮蔽物マップ生成部1002は、遮蔽物検知装置120から送信されたセンシング情報と、端末701~703から送信されたセンシング情報とに基づいて遮蔽物マップ(例えば、
図8の2次元のマップデータ210)を生成する。
【0072】
また、位置姿勢パラメータ算出部1001は、予め定められた位置姿勢パラメータごとに、見通し関係にあるエリアを特定し、特定したエリアに位置する端末数を、端末位置情報と遮蔽物マップとに基づいて算出する(例えば、
図8の8a、8b参照)。また、位置姿勢パラメータ算出部1001は、算出した端末数を、位置姿勢パラメータと対応付けて、指標値データ(例えば、
図9の指標値データ900)として、指標値データ格納部133に格納する。また、位置姿勢パラメータ算出部1001は、指標値データとして格納した、位置姿勢パラメータごとの端末数の中で、最大の端末数となる位置姿勢パラメータを選択し、可動基地局110に送信する。これにより、基地局位置姿勢制御部710によれば、可動基地局110の基地局111の位置及び姿勢を、遮蔽物及び端末位置に応じて制御することができる。
【0073】
<基地局位置姿勢制御処理の流れ>
次に、制御装置130の基地局位置姿勢制御部710による基地局位置姿勢制御処理の流れについて説明する。
図11は、基地局位置姿勢制御処理の流れを示す第2のフローチャートである。
【0074】
ステップS1101において、遮蔽物マップ生成部1002は、遮蔽物検知装置120及び端末701~703からセンシング情報を取得する。
【0075】
ステップS1102において、遮蔽物マップ生成部1002は、取得したセンシング情報に基づいて、遮蔽物マップを生成し、マップデータ格納部132に格納する。
【0076】
ステップS1103において、位置姿勢パラメータ算出部1001は、端末701~703から、端末位置情報を取得する。
【0077】
ステップS1104において、位置姿勢パラメータ算出部1001は、各位置姿勢パラメータの組み合わせごとに、遮蔽物マップ及び端末位置情報に基づいて、見通し関係にあるエリアに位置する端末数を算出する。また、位置姿勢パラメータ算出部1001は、算出した端末数を、指標値データとして、指標値データ格納部133に格納する。
【0078】
ステップS1105において、位置姿勢パラメータ算出部1001は、各位置姿勢パラメータの組み合わせの中から、見通し関係にあるエリアに位置する端末数が最大となる位置姿勢パラメータの組み合わせを選択する。
【0079】
ステップS1106において、位置姿勢パラメータ算出部1001は、選択した位置姿勢パラメータの組み合わせを可動基地局110に送信することで、基地局111の位置及び姿勢を制御する。
【0080】
ステップS1107において、位置姿勢パラメータ算出部1001は、基地局位置姿勢制御処理を終了するか否かを判定する。ステップS1107において、基地局位置姿勢制御処理を継続すると判定した場合には(ステップS1107においてNOの場合には)、ステップS1101に戻る。これにより、位置姿勢パラメータ算出部1001では、所定周期ごとに、基地局111の位置及び姿勢を制御することができる。
【0081】
一方、ステップS1107において、基地局位置姿勢制御処理を終了すると判定した場合には(ステップS1107において、YESの場合には)、基地局位置姿勢制御処理を終了する。
【0082】
<まとめ>
以上の説明から明らかなように、第2の実施形態に係る制御システム700は、
・基地局と、該基地局を制御する制御装置とを有する。
・基地局の電波の送信点及び送信方向を決定するパラメータの組み合わせごとに、基地局の通信エリアにおいて見通し関係にあるエリア(遮蔽物に遮蔽されていないエリア)を特定し、特定したエリアに位置する端末数(指標値)を算出する。
・算出した端末数が最大となるパラメータの組み合わせを用いて、基地局の電波の送信点及び送信方向を制御する。
【0083】
これにより、第2の実施形態に係る制御システム700によれば、遮蔽物及び端末位置に応じた通信エリアを形成することができる。この結果、第2の実施形態によれば、例えば、アクティブな端末の通信品質を向上させることが可能になる。
【0084】
[第3の実施形態]
上記第2の実施形態では、見通し関係にあるエリアに位置する端末数を指標値として、位置姿勢パラメータの組み合わせを選択する場合について説明した。しかしながら、位置姿勢パラメータの組み合わせを選択する際の指標値は、これに限定されず、例えば、見通し関係にあるエリアに位置する端末のトラヒック量の合計値を指標値としてもよい。以下、第3の実施形態について、上記第1及び第2の実施形態との相違点を中心に説明する。
【0085】
<制御システムのシステム構成>
はじめに、第3の実施形態に係る制御システム全体のシステム構成について説明する。
図12は、制御システムのシステム構成の一例を示す第3の図である。上記第2の実施形態において
図7を用いて説明した制御システム700との相違点は、
図12の制御システム1200の場合、基地局位置姿勢制御部1210の機能が、基地局位置姿勢制御部710の機能とは異なる点である。
【0086】
基地局位置姿勢制御部1210は、端末701~703と、基地局111との間の各トラヒック量を、可動基地局110より、トラヒック情報として取得する。なお、
図12において、可動基地局110と端末701~703との間に示した点線矢印の太さは、トラヒック量を表しているものとする。例えば、点線矢印が細いほどトラヒック量が少ないことを表し、点線矢印が太いほどトラヒック量が多いことを表しているものとする。
【0087】
基地局位置姿勢制御部1210は、予め定められた位置姿勢パラメータごとに、見通し関係にあるエリアに位置する各端末のトラヒック量を合計した合計値(指標値)を、遮蔽物マップと端末位置情報とトラヒック情報とに基づいて算出する。また、基地局位置姿勢制御部1210は、算出したトラヒック量の合計値を、位置姿勢パラメータと対応付けて、指標値データとして、指標値データ格納部133に格納する。
【0088】
更に、基地局位置姿勢制御部1210は、位置姿勢パラメータごとに算出したトラヒック量の合計値の中で、最大の合計値となる位置姿勢パラメータを選択し、可動基地局110に送信する。
【0089】
これにより、可動基地局110は、見通し関係にあるエリアに位置する各端末のトラヒック量の合計値が最大となるように、基地局111の位置及び姿勢を制御することができる。この結果、制御システム1200によれば、遮蔽物、端末位置、トラヒック量に応じた通信エリアを形成することができる。
【0090】
<基地局の可動例及び見通し関係にあるエリア>
次に、基地局111の可動例及び見通し関係にあるエリアについて説明する。
図13は、基地局の可動例及び見通し関係にあるエリアの概要を示す第3の図である。なお、
図13は、通信エリア内に遮蔽物が2つ(遮蔽物220、1320)存在する2次元のマップデータ1310(遮蔽物マップ)が生成された例を示している。
【0091】
このうち、
図13の13aは、第1の位置姿勢パラメータに基づいて基地局111の位置及び姿勢が制御され、通信エリアが形成された様子を示している。
図13の13aの例は、2次元のマップデータ1310(遮蔽物マップ)に示した通信エリアのうち、
・符号1331に示すエリアに位置する端末701、端末703は、見通し関係にあり、
・符号812に示すエリアに位置する端末702は、遮蔽物220により遮蔽され、見通し関係にない、
ことを示している。
【0092】
一方、
図13の13bは、第2の位置姿勢パラメータに基づいて基地局111の位置及び姿勢が制御され、通信エリアが形成された様子を示している(具体的には、矢印112に沿ってx軸方向に基地局111を直動させ、z軸周りに回動させた様子を示している)。
図13の13bの例は、2次元のマップデータ1310(遮蔽物マップ)に示した通信エリアのうち、
・符号1333に示すエリアに位置する端末701、702は、見通し関係にあり、
・符号1335に示すエリアに位置する端末703は、遮蔽物1320により遮蔽され、見通し関係にない、
ことを示している。
【0093】
このように、基地局位置姿勢制御部1210より送信される位置姿勢パラメータによって、同じ通信エリアであって、かつ、見通し関係にあるエリアに位置する端末数が同じであっても、トラヒック量の合計値は変動する。
図13の例の場合、端末702のトラヒック量と端末703のトラヒック量とが等しくないからである。そこで、基地局位置姿勢制御部1210では、上述したように、見通し関係にあるエリアに位置する各端末のトラヒック量の合計値が最大となる位置姿勢パラメータを選択する。
【0094】
<指標値データの説明>
次に、指標値データ格納部133に格納される指標値データについて説明する。
図14は、指標値データの一例を示す第3の図である。上記第1の実施形態において
図3を用いて説明した指標値データ300との相違点は、指標値データ1400の場合、"指標値"が、"エリア面積"ではなく、"トラヒック量合計値"を指す点である。また、"トラヒック量合計値"には、対応する"位置"、"姿勢"の各位置姿勢パラメータの組み合わせのもと、基地局位置姿勢制御部1210により算出される、見通し関係にあるエリアに位置する各端末のトラヒック量の合計値が格納される点である。
【0095】
図14の例は、x座標=x
1、y座標=y
1、z座標=z
1、パン角=p
1、チルト角=c
1、ロール角=r
1の各位置姿勢パラメータの組み合わせの場合、トラヒック量合計値=TR
1が算出されることを示している。このように、基地局位置姿勢制御部1210では、遮蔽物マップを生成するごとに、予め定められた各位置姿勢パラメータの組み合わせについて、見通し関係にあるエリアに位置する端末のトラヒック量の合計値をそれぞれ算出する。
【0096】
<基地局位置姿勢制御部の機能構成>
次に、制御装置130の基地局位置姿勢制御部1210の機能構成の詳細について、
図13及び
図14を参照しながら説明する。
図15は、基地局位置姿勢制御部の機能構成の一例を示す第3の図である。上記第2の実施形態同様、基地局位置姿勢制御部1210は、位置姿勢パラメータ算出部1501(算出部、制御部の一例)と、遮蔽物マップ生成部1002(生成部の一例)とを有する。
【0097】
ただし、位置姿勢パラメータ算出部1501は、予め定められた位置姿勢パラメータごとに、見通し関係にあるエリアを特定し、特定したエリアに位置する各端末のトラヒック量の合計値を、端末位置情報とトラヒック情報と遮蔽物マップとに基づいて算出する。位置姿勢パラメータ算出部1501が合計値の算出に用いる遮蔽物マップは、例えば、
図13の2次元のマップデータ1310である。
【0098】
また、位置姿勢パラメータ算出部1501は、算出したトラヒック量の合計値を、位置姿勢パラメータと対応付けて、指標値データ(例えば、
図14の指標値データ1400)として、指標値データ格納部133に格納する。また、位置姿勢パラメータ算出部1501は、指標値データとして格納した、位置姿勢パラメータごとのトラヒック量の合計値の中で、最大の合計値となる位置姿勢パラメータを選択し、可動基地局110に送信する。これにより、基地局位置姿勢制御部1210によれば、可動基地局110の基地局111の位置及び姿勢を、遮蔽物、端末位置及びトラヒック量に応じて制御することができる。
【0099】
<基地局位置姿勢制御処理の流れ>
次に、制御装置130の基地局位置姿勢制御部1210による基地局位置姿勢制御処理の流れについて説明する。
図16は、基地局位置姿勢制御処理の流れを示す第3のフローチャートである。
【0100】
このうち、ステップS1101~S1103に示す処理は、
図11のステップS1101~S1103に示す処理と同じであるため、ここでは説明を省略する。
【0101】
ステップS1601において、位置姿勢パラメータ算出部1501は、端末701~703の各トラヒック量を、トラヒック情報として、可動基地局110から取得する。
【0102】
ステップS1602において、位置姿勢パラメータ算出部1501は、各位置姿勢パラメータの組み合わせごとに、遮蔽物マップと端末位置情報とトラヒック情報とに基づいて、見通し関係にあるエリアに位置する各端末のトラヒック量の合計値を算出する。また、位置姿勢パラメータ算出部1501は、算出した合計値を、指標値データとして、指標値データ格納部133に格納する。
【0103】
ステップS1603において、位置姿勢パラメータ算出部1501は、各位置姿勢パラメータの組み合わせの中から、見通し関係にあるエリアに位置する各端末のトラヒック量の合計値が最大となる位置姿勢パラメータの組み合わせを選択する。
【0104】
ステップS1604において、位置姿勢パラメータ算出部1501は、選択した位置姿勢パラメータの組み合わせを可動基地局110に送信することで、基地局111の位置及び姿勢を制御する。
【0105】
ステップS1605において、位置姿勢パラメータ算出部1501は、基地局位置姿勢制御処理を終了するか否かを判定する。ステップS1605において、基地局位置姿勢制御処理を継続すると判定した場合には(ステップS1605においてNOの場合には)、ステップS1101に戻る。これにより、位置姿勢パラメータ算出部1501では、所定周期ごとに、基地局111の位置及び姿勢を制御することができる。
【0106】
一方、ステップS1605において、基地局位置姿勢制御処理を終了すると判定した場合には(ステップS1605においてYESの場合には)、基地局位置姿勢制御処理を終了する。
【0107】
<まとめ>
以上の説明から明らかなように、第3の実施形態に係る制御システム1200は、
・基地局と、該基地局を制御する制御装置とを有する。
・基地局の電波の送信点及び送信方向を決定するパラメータの組み合わせごとに、基地局の通信エリアにおいて見通し関係にあるエリア(遮蔽物に遮蔽されていないエリア)を特定し、特定したエリアに位置する各端末のトラヒック量の合計値(指標値)を算出する。
・算出した合計値が最大となるパラメータの組み合わせを用いて、基地局の電波の送信点及び送信方向を制御する。
【0108】
これにより、第3の実施形態に係る制御システム1200によれば、遮蔽物、端末位置及びトラヒック量に応じた通信エリアを形成することができる。この結果、第3の実施形態によれば、例えば、オフロード効果を最大化することが可能になる。
【0109】
[その他の実施形態]
上記第2及び第3の実施形態では、遮蔽物検知装置120及び端末701~703から送信されたセンシング情報を用いて、遮蔽物マップを生成する場合について説明したが、いずれか一方から送信されたセンシング情報を用いて遮蔽物マップを生成してもよい。
【0110】
また、上記各実施形態では、位置姿勢パラメータとして、基地局111のx座標~ロール角を例示したが、位置姿勢パラメータはこれに限定されず、位置及び姿勢を表すパラメータであれば、他のパラメータであってもよい。
【0111】
また、上記各実施形態では、指標値として、見通し関係にあるエリアの面積、見通し関係にあるエリアに位置する端末数、見通し関係にあるエリアに位置する各端末のトラヒック量の合計値を例示した。しかしながら、指標値はこれらに限定されず、見通し関係にあるエリアに関する指標値であれば、他の指標値であってもよい。
【0112】
また、上記各実施形態では、制御装置130が、可動基地局110及び遮蔽物検知装置120の近傍に配置されるものとして説明したが、制御装置130は、可動基地局110及び遮蔽物検知装置から離れた位置に配置されてもよい。また、制御装置130にて実現される機能の一部は、可動基地局110または遮蔽物検知装置120にて実現されてもよい。あるいは、可動基地局110または遮蔽物検知装置120にて実現される機能の一部は、制御装置130にて実現されてもよい。
【0113】
なお、上記実施形態に挙げた構成等に、その他の要素との組み合わせ等、ここで示した構成に本発明が限定されるものではない。これらの点に関しては、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で変更することが可能であり、その応用形態に応じて適切に定めることができる。
【符号の説明】
【0114】
100、700、1200 :制御システム
110 :可動基地局
111 :基地局
120 :遮蔽物検知装置
130 :制御装置
131、710、1210 :基地局位置姿勢制御部
210、1310 :マップデータ
220、1320 :遮蔽物
300、900、1400 :指標値データ
501、1001、1501 :位置姿勢パラメータ算出部
502、1002 :遮蔽物マップ生成部
701~703 :端末