(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-11
(45)【発行日】2023-12-19
(54)【発明の名称】粉末材料
(51)【国際特許分類】
B22F 1/00 20220101AFI20231212BHJP
B22F 10/28 20210101ALI20231212BHJP
B33Y 10/00 20150101ALI20231212BHJP
B33Y 70/00 20200101ALI20231212BHJP
C04B 35/56 20060101ALI20231212BHJP
C04B 35/653 20060101ALI20231212BHJP
C22C 1/051 20230101ALI20231212BHJP
C22C 29/08 20060101ALI20231212BHJP
【FI】
B22F1/00 Q
B22F10/28
B33Y10/00
B33Y70/00
C04B35/56 260
C04B35/653
C22C1/051 G
C22C29/08
(21)【出願番号】P 2019180440
(22)【出願日】2019-09-30
【審査請求日】2022-04-28
(73)【特許権者】
【識別番号】000236702
【氏名又は名称】株式会社フジミインコーポレーテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100103850
【氏名又は名称】田中 秀▲てつ▼
(74)【代理人】
【識別番号】100115679
【氏名又は名称】山田 勇毅
(74)【代理人】
【識別番号】100066980
【氏名又は名称】森 哲也
(72)【発明者】
【氏名】山田 純也
(72)【発明者】
【氏名】伊部 博之
(72)【発明者】
【氏名】加藤 伸映
【審査官】祢屋 健太郎
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2018/152448(WO,A1)
【文献】韓国公開特許第10-2017-0093402(KR,A)
【文献】特開2010-012552(JP,A)
【文献】特開2014-061588(JP,A)
【文献】特開2004-256862(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B22F 1/00
C22C 29/08
B22F 3/00
B22F 10/28
C22C 1/051
B33Y 70/00
C04B 35/56
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
レーザ光又は電子ビームを照射して3次元形状の造形物を製造するために用いられる、積層造形用の粉末材料であって、
コバルトと、
バナジウム炭化
物で構成される第1成分と、
炭素からな
る炭素供給源となる第2成分と、
残部タングステン炭化物と、からなり、
前記第1成分の含有量は、0.6質量%以上5質量%以下であり、
前記第2成分の含有量は
、0.1質量%以上3質量%未満である、粉末材料。
【請求項2】
前記第2成分の含有量は、1質量%以上3質量%以下である、請求項1に記載の粉末材料。
【請求項3】
前記第1成分の含有量は、1質量%以上3質量%以下である、請求項1又は2に記載の粉末材料。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、粉末材料及び造形物の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
付加製造(Additive manufacturing)技術では、材料を付着することによって3次元形状の数値表現(典型的には3DCADデータ)をもとに物体を作製する。典型的には、粉末材料(Additive Manufacturing materials)を造形すべき造形物の断面に対応する形状の薄層として接合または焼
結し、この薄層を順次積み重ねていくことで、目的の3次元形状を造形する。この付加製造においては、近年では、WC基などの超硬粉末材料を用い、成形型を必要とせずに超硬部材を直接造形する、積層造形技術の向上が求められている(例えば、特許文献1~4参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】国際公開第2015/194678号
【文献】特開2017-113952号公報
【文献】特開2017-114716号公報
【文献】特開2017-115194号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
積層造形法において、割れや欠けが少なく、硬度が高い造形物を製造する技術が望まれている。
【0005】
ここで、本発明者らは、レーザ光又は電子ビームを照射して3次元形状の造形物を製造するために用いられる、積層造形用の粉末材料について、添加物の成分及び含有量と、この粉末材料から造形される造形物の物性との関係について検討を行った。その結果、添加物の成分及び含有量を特定の条件に規定することで、割れや欠けが少なく、かつ硬度が高い造形物を造形することができる、ということを見出した。
本発明は、上記課題を鑑みてなされたものであり、割れや欠けが少なく、かつ硬度が高い3次元形状の造形物を造形することが可能な積層造形用の粉末材料と、この粉末材料を用いる造形物の製造方法とを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様に係る粉末材料は、レーザ光又は電子ビームを照射して3次元形状の造形物を製造するために用いられる、積層造形用の粉末材料であって、コバルトと、バナジウム炭化物、ニオブ炭化物及びモリブデン炭化物からなる群から選択される1つ以上で構成される第1成分と、任意添加成分と、残部タングステン炭化物と、からなり、前記第1成分の含有量は、0.6質量%以上5質量%以下である。
本発明の一態様に係る造形物の製造方法は、上記の粉末材料を用いて、レーザ光又は電子ビームを照射して3次元造形を行う。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、割れや欠けが少なく、かつ硬度が高い造形物を造形することが可能な積層造形用の粉末材料と、この粉末材料を用いる造形物の製造方法と、を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】
図1は、本発明の実施形態に係る造形物の製造方法を実行するための、積層造形装置の構成例を示す概略図である。
【
図2】
図2は、実施例で得られた3次元造形物(欠けなし)を示す写真図である。
【
図3】
図3は、比較例で得られた3次元造形物(欠けあり)を示す写真図である。
【
図4】
図4は、実施例で得られた3次元造形物(熱処理後)の断面を拡大して示すSEM画像である。
【
図5】
図5は、比較例で得られた3次元造形物(熱処理後)の断面を拡大して示すSEM画像である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
<定義>
本明細書において、「粉末材料」とは、積層造形に用いる粉末状の材料を指す。粉末材料は、造形用材料と呼んでもよい。粉末材料は、典型的には、後述の2次粒子が集合して構成されるが、後述の1次粒子の混入が許容されることは言うまでもない。本明細書において、「1次粒子」とは、上記粉末材料を構成している形態的な構成要素のうち、外観から粒子状物として識別できる最小単位を意味する。特に、後述の2次粒子を構成する1粒子(1つの粒子状物)を指す。
【0010】
本明細書において、「2次粒子」とは、1次粒子が3次元的に結合され、一体となって一つの粒のように振る舞う粒子状物(粒子の形態をなしたもの)をいう。なお、ここでいう「結合」とは、直接的または間接的に、2つ以上の1次粒子が結びつくことを指し、例えば、化学反応による1次粒子同士の結合、単純吸着によって1次粒子同士が引き合う結合、静電気により引き合う効果を利用した1次粒子同士の結合、1次粒子の表面が溶融して一体化した結合等が含まれる。
【0011】
本明細書において、「原料粒子」とは、粉末材料を形成するための原料粉末を構成する粒子をいう。原料粒子を適切な方法で3次元的に結合させることで、2次粒子を製造することができる。また、このように製造された2次粒子を構成している粒子を1次粒子という。この1次粒子は、原料粒子とほぼ同一の形態であってもよいし、2つ以上の原料粒子が反応したり形態的に区別できない程度に一体化する等して原料粒子とは異なる形態であってもよい。また、1次粒子は、原料粒子と同一の組成であってもよいし、2種以上の原料粒子が反応するなどして原料粒子とは異なる組成となっていてもよい。
【0012】
本明細書において、「積層造形」とは、付加製造技術において粉末材料を用いる各種の造形方法を広く包含する。積層造形は、粉末積層造形と呼んでもよい。積層造形において粉末材料を結合させる方法としては、例えば、レーザ粉体肉盛り法(レーザメタルデポジション法;LMD)、選択的レーザ溶融法(セレク卜レーザメルティング法;SLM)、電子ビーム溶融法(エレク卜口ンビームメルティング法;EBM)等のビーム照射方式が挙げられる。
本明細書において、範囲を示す「X~Y」は「X以上Y以下」を意味する。
なお、本発明は、以下の実施の形態のみには限定されない。また、図面の寸法比率は、説明の都合上誇張されており、実際の比率とは異なる場合がある。
【0013】
<構成>
(組成)
本発明の実施形態(以下、本実施形態という)に係る粉末材料は、原料粒子として、
(1)コバルト(Co)と、
(2)バナジウム炭化物(VC)、ニオブ炭化物(NbC)及びモリブデン炭化物(Mo2C)からなる群から選択される1つ以上で構成される第1成分と、
(3)任意添加成分と、
(4)残部タングステン炭化物(WC)と、
を含む。
上記(1)~(4)の各原料粒子は、焼結により結合されて造粒焼結粉を構成している。本実施形態に係る粉末材料は、上記(1)~(4)の各原料粒子を1次粒子とし、造粒焼結粉が2次粒子の体を為しているとも理解することができる。なお、上記(1)~(4)の各原料粒子は、概ね均一に混合、分散された状態で2次粒子を構成している。このような粉末材料において、上記(1)~(4)の各原料粒子が1次粒子の形態で含まれることが許容(例えば、10質量%以下)されるのは言うまでもない。
【0014】
本実施形態に係る粉末材料において、コバルトの含有量は、例えば5質量%以上であることが好ましく、10質量%以上であることがより好ましく、15質量%以上であることがさらに好ましい。また、本実施形態に係る粉末材料において、コバルトの含有量は、例えば50質量%以下であることが好ましく、35質量%以下であることがより好ましく、25質量%以下であることがさらに好ましい。コバルトの含有量が上記の数値範囲内にあれば、緻密で強度の高い造形物を作製することができる。
【0015】
本実施形態に係る粉末材料において、第1成分の含有量は、0.6質量%以上であることが好ましく、1質量%以上であることが好ましく、1.5質量%以上であることがさらに好ましい。第1成分の含有量が0.6質量%以上にあれば、本実施形態に係る粉末材料を用いて、レーザ光又は電子ビームを照射して3次元造形を行う際に、タングステン炭化物の粒子成長(例えば、オスワルド成長)を抑制することができ、3次元形状の造形物(以下、3次元造形物ともいう)の硬度を高めることができる。3次元造形物において、タングステン炭化物の粒子が細かいほど、かつ均一に分布しているほど、3次元造形物の硬度は高くなる。
【0016】
また、本実施形態に係る粉末材料において、第1成分の含有量は、5質量%以下であることが好ましく、3質量%以下であることが好ましく、2.5質量%以下であることがさらに好ましい。第1成分は、タングステン炭化物の粒子成長を抑制するが、第1成分の含有量が5%を超えると、3次元造形物の強度が低下する傾向がある。第1成分の含有量が5質量%以下であれば、強度低下を抑制しつつ、タングステン炭化物の粒子成長を抑制することができる。
【0017】
本実施形態に係る粉末材料において、任意添加成分は、例えば、炭素供給源となる第2成分を含む。第2成分は、チタン炭化物(TiC)、クロム炭化物(CrC)及び炭素(C)からなる群から選択される1つ以上で構成される。CrCは、例えば、Cr3C2、Cr7C3及びCr23C6のうちの1種類以上である。
【0018】
本実施形態に係る粉末材料において、第2成分の含有量は、0.1質量%以上であることが好ましく、1質量%以上であることが好ましく、1.5質量%以上であることがさらに好ましい。また、本実施形態に係る粉末材料において、第2成分の含有量は、5質量%未満であることが好ましく、3質量%以下であることが好ましく、2.5質量%以下であることがさらに好ましい。
【0019】
レーザ光又は電子ビームを用いた積層造形では、通常の粉末冶金と比べて、粉末材料が局所的に、かつ短時間のうちに高温に熱せられる。タングステン炭化物にレーザ光又は電子ビームが照射されると、WCからCの一部が揮発して、Cが不足した(すなわち、Wリッチな)タングステン炭化物(W:C=1:n、n<1)が生成され易い。この現象は、レーザ光又は電子ビームを用いた積層造形において、特に顕著である。Wリッチなタングステン炭化物がコバルトと反応すると、WC-Coを主成分とする超硬合金において、Cが不足して強度が低下したη相(脆弱相)が生成され易い。
【0020】
しかしながら、第2成分の含有量が上記の数値範囲内にあれば、第2成分からタングステン炭化物にCが供給されるので、上記の超硬合金においてη相の生成が抑制される。これにより、3次元造形物の緻密性と、造形性を高めるができる。3次元造形物において、割れや欠けの発生を抑制することができる。
【0021】
なお、炭素供給源となる第2成分は、炭素(C)のみでもよい。また、第2成分とは別に、炭素を粉末材料に添加してもよい。炭素供給源として、炭素を化合物ではなく元素単体で用いる場合、粉末材料における第2成分である炭素の含有量は0.1質量%以上で足りる。本実施形態に係る粉末材料は、炭素を0.1質量%以上含むことによって、タングステン炭化物に十分に炭素を供給することができ、割れや欠けの発生を抑制することができる。
【0022】
(造粒焼結粉)
本実施形態に係る粉末材料は、上記のとおり2次粒子の形態を有する造粒焼結粉の集合として構成されてもよい。「造粒焼結粉」とは、1次粒子が焼結され、一体となって一つの粒のように振る舞う粒子状物(粒子の体をなしたもの)をいう。「焼結」とは、1次粒子同士が直接的に結合した状態をいう。したがって、焼結は、固相焼結および液相焼結のいずれであってもよい。また、本明細書でいう焼結は、いわゆる融着、溶融結合を含み得る。
【0023】
本実施形態に係る粉末材料は、例えば、顆粒粒子、コア粒子の周りに微粒子が結合されてなる微粒子被覆粒子等の形態を有する2次粒子(粒子集合体)において、個々の1次粒子が焼結により強固に一体化されることにより実現されてもよい。積層造形におけるエネルギー源としては、レーザ光、電子ビーム、アーク等が用いられる。レーザ光又は電子ビーム等が粉末材料に照射されると、高いエネルギーが解放されて粉末材料に衝撃が生じ得る。かかる衝撃により、単なる顆粒粒子は崩壊したり、1次粒子が飛散したりするおそれがある。かかる事態の発生を避けるため、顆粒粒子は焼結により個々の1次粒子が結合された、いわゆる造粒焼結粉として構成される。この造粒焼結粉は、エネルギー源としてより強度の高いレーザ光等を照射された場合であっても、粉末材料の崩壊および飛散等が生じ難いために好ましい。このことは、造形物の造形精度および品質を損なうことなく、造形速度の高速化に繋がり得る(例えば、レーザ走査速度を速め得る、あるいはレーザ走査速度を低減する必要がない)ために好ましい。
【0024】
(顆粒強度)
造粒焼結粉における顆粒粒子の強度(以下、顆粒強度)は、1MPaを超えるように規定することができる。これにより、造形のためのエネルギーにより造粒焼結粉が崩壊したり、飛散したりするのを好適に抑制することができる。その結果、造形エリアへの材料粉末の供給が安定するため、ムラの無い高品質な造形物を造形できるために好ましい。造粒焼結粉の顆粒強度は、1kg/mm2以上であることが好ましく、5kg/mm2以上であることがより好ましく、10kg/mm2以上(例えば、20kg/mm2以上)であることがさらに好ましい。しかしながら、顆粒強度が強すぎると、粉末材料を十分に溶融させるのが困難となるために好ましくない。また、顆粒強度が強すぎる造粒焼結粉は、概ね造粒されていない単一粒子と類似した構成となるまで焼結が進行し、球状化した粒子とその性状が似たものとなってしまう。かかる観点から、顆粒強度は1000kg/mm2未満とする。顆粒強度は500kg/mm2以下であることが好ましく、250kg/mm2以下であることがより好ましく、100kg/mm2以下(例えば、80kg/mm2以下)であることがさらに好ましい。
【0025】
本実施形態に係る粉末材料(例えば、造粒焼結粉)において、上記(1)~(4)の各原料粒子(典型的には1次粒子である)は互いに3次元的に結合されて造粒焼結粉を構成している。この構造によって、粉末材料はエネルギー源(熱源)からエネルギーを受け取りやすく、溶解しやすいという利点がある。その結果、例えば鋳型を使用して製造する焼結体(バルク体)に近い、緻密性の高い高硬度な造形物を得ることができる。
【0026】
特に、本実施形態に係る粉末材料は、タングステン炭化物だけではなく、タングステン炭化物よりも融点の低いコバルトを含んでいる。また粉末材料を構成する複数の1次粒子は3次元的に結合されている。これにより、粉末材料においてはコバルトの溶融が先行し、コバルトの融液がタングステン炭化物の表面に濡れ広がることができる。あるいは、タングステン炭化物が溶融してなるマトリックス内に、タングステン炭化物を分散状態で取り込むことができる。これにより、タングステン炭化物の溶融を促進させられて、緻密な造形物を得ることができる。あるいは、コバルトの相中にタングステン炭化物の相が分散された形態の緻密な造形物を得ることができる。
【0027】
(平均粒子径)
本実施形態に係る粉末材料(例えば、造粒焼結粉)の平均粒子径は、特に制限されず、使用する積層造形装置の規格に適した大きさとすることができる。例えば、粉末材料の平均粒子径は、積層造形における粉末材料の供給に適した大きさであり得る。粉末材料の平均粒子径の上限は、より大きいものとする場合には、例えば、200μm超過とすることができるが、典型的には200μm以下とすることができ、好ましくは150μm以下、より好ましくは100μm以下、さらに好ましくは40μm以下とすることができる。粉末材料は、平均粒子径が小さくなるにつれて、例えば造形エリアにおいて粉末材料の充填率が向上し得る。その結果、造形される3次元造形物の緻密性を好適に増すことができる。また、造形される3次元造形物の表面粗さ(Ra)を小さくできるとともに、寸法精度を向上させるという効果を得ることもできる。
【0028】
また、粉末材料の平均粒子径の下限は、粉末材料の流動性に影響を与えない範囲であれば特に制限されない。しかしながら、粉末材料を形成する際のハンドリングや粉末材料の流動性を考慮した場合には、平均粒子径の下限を1μm以上とすることができ、5μm以上が好ましく、10μm以上がより好ましい。粉末材料の平均粒子径が大きくなるにつれて、粉末材料の流動性が向上する。その結果、造形装置への粉末材料の供給を良好に実施することができ、作製される3次元造形物の仕上がりが良好となるために好ましい。
【0029】
<製造方法>
(粉末材料の製造方法)
本実施形態における粉末材料は、上記(1)~(4)の各原料粒子を含み、第1成分の含有量が0.6質量%以上5質量%以下である限り、その製造方法は特に制限されない。例えば、好適な例として、以下に、造粒焼結法により粉末材料を製造する場合について説明する。しかしながら、ここに開示される造形用材料の製造方法は、これに限定されるものではない。
【0030】
造粒焼結法は、上記(1)~(4)の各原料粒子を含む粉末を2次粒子の形態に造粒したのち焼成することで、個々の原料粒子を焼結する手法である。造粒に際しては、公知の各種の造粒法を適宜利用することができる。例えば、造粒法として、乾式造粒あるいは湿式造粒等の造粒方法を利用することができる。具体的には、例えば、転動造粒法、流動層造粒法、撹枠造粒法、破砕造粒法、溶融造粒法、噴霧造粒法、マイクロエマルション造粒法等が挙げられる。なかでも好適な造粒方法として、噴霧造粒法が挙げられる。
【0031】
噴霧造粒法によると、例えば、以下の手順で造形用材料を製造することができる。すなわち、まず、上記(1)~(4)の各原料粒子を所定の質量比で配合した粉末(以下、配合粉末ともいう)を用意する。必要に応じてその表面を保護剤等により安定化させる。そしてかかる安定化された配合粉末を、例えばバインダと、必要に応じて含まれる有機材料等からなるスペーサー粒子等とともに適切な溶媒に分散させて噴霧液を用意する。原料粒子の溶媒への分散には、例えば、ホモジナイザー、翼式撹拌機等の混合機、分散機等を用いて実施することができる。これにより、上記(1)~(4)の各原料粒子は噴霧造粒機を用いて気流中に噴霧し、乾燥させる。これにより、上記(1)~(4)の各原料粒子がバインダにより3次元的に結合された状態の2次粒子を得ることができる。
【0032】
次いで、造粒された2次粒子を焼成することで、かかる2次粒子中に含まれる上記(1)~(4)の各原料粒子を焼結させる。これにより、原料粒子同士を強固に結合(焼結)させることができる。この造粒焼結法では、例えば、上記の造粒法にて作製された造粒粒子に対し、焼結処理を施す。このとき、造粒された原料粒子は互いの接点で焼結されて、造粒形状を概ね維持して焼結される。焼結に際してバインダは消失する。スペーサー粒子を用いる系では、焼成によりこのスペーサー粒子も消失する。これにより、1次粒子が焼結された2次粒子の形態の粒子からなる粉末材料を得ることができる。この粉末材料において、1次粒子は、原料粒子とほぼ同等の寸法および形状を有していてもよいし、原料粒子が焼成により成長、結合されていてもよい。
【0033】
上記の製造工程において、造粒粒子の状態では、原料粒子とバインダとが均一な混合状態にあり、原料粒子はバインダにより結着されて混合粒子を構成している。スペーサー粒子を使用する系では、原料粒子とスペーサー粒子とが均一な混合状態で、バインダにより結着されて混合粒子を構成している。そして、この混合粒子が焼成されることで、バインダ(およびスペーサー粒子)が消失する(燃えぬける)とともに、原料粒子が焼結されることで、1次粒子が結合された形態の2次粒子が形成される。
【0034】
なお、焼結に際し、原料粒子はその組成や大きさによっては一部が液相となって他の粒子との結合に寄与し得る。そのため、出発材料の原料粒子よりも1次粒子の平均粒子径は大きくなる場合がある。これら、2次粒子および1次粒子の平均粒子径の大きさおよび割合は、所望の2次粒子の形態に応じて適宜設計することができる。
【0035】
上記の製造工程において、調整される噴霧液の原料粒子の濃度は、10~40質量%であることが好ましい。添加されるバインダとしては、例えばカルポキシメチルセルロース、ポリビニルピ口リドン、ポリビニルピ口リドン等が挙げられる。添加するバインダは、原料粒子の質量に対して0.05~10質量%の割合で調整されることが好ましい。焼成される環境は、特に制限はされないが、大気中、真空中もしくは不活性ガス雰囲気中であってもよく、600℃以上1600℃以下の温度で焼結されることが好ましい。特に、有機材料等からなるスペーサー粒子、バインダ等を用いる場合は、造粒粒子中の有機材料を除去する目的で酸素が存在する雰囲気下で焼結されてもよい。必要に応じて、製造された2次粒子を、解砕および分級してもよい。
【0036】
(3次元造形物の製造方法)
以上のようにして得られた粉末材料は、各種の積層造形(例えば、LMD、SLM、EBM等)に適用することができる。3次元造形物の製造方法の一例として、セレク卜レーザメルティング法(SLM)を採用した場合を例に、粉末積層造形について説明する。ここに開示される3次元造形物の製造方法は、以下の工程を含む。
(A)積層造形装置の積層エリアに粉末材料(例えば、造粒焼結粉)を供給する工程
(B)当該供給された粉末材料を、積層エリアに均一に薄く堆積するようにワイパ等で平坦化して薄層を形成する工程
(C)形成された粉末材料の薄層に、粉末材料を接合および焼結等する手段を与えて(例えば、レーザ光を照射して)粉末材料を固化する工程
(D)固化した粉末材料の上に、新たな粉末材料を供給し、上記工程(A)以後、工程( B)~(D)を繰り返すことで積層し、目的の3次元造形物を得る。
なお、工程(D)の「固化」は、粉末材料を構成する2次粒子同士を、溶融・凝固により直接的に結合させて、形状を所定の断面形状に固定化することを含む。
【0037】
レーザメタルデポジション法(LMD)とは、構造物の所望の部位に粉末材料を提供して、そこにレーザ光を照射することで粉末材料を溶融-凝固させ、当該部位に肉盛りを行う技術である。この技術を利用することで、例えば、構造物に摩耗等の物理的な劣化が発生した場合に、当該劣化部位に粉末材料として当該構造物を構成する材料または補強材料等を供給し、その粉末材料を溶融-凝固させることで劣化部位等に肉盛りを行うことができる。
【0038】
セレク卜レーザメルティング法(SLM)とは、設計図から作成したスライスデータに基づき、粉末材料を堆積させた粉末層にレーザ光を走査させ、粉末層を所望形状に溶融・凝固する操作を、1断面(1スライスデータ)ごとに繰り返して積層させることで3次元的な構造体を造形する技術である。また、エレク卜口ンビームメルティング法(EBM)とは、3D CADデータから作成したスライスデータを基に、電子ビーム用いて上記粉末層を選択的に溶融・凝固させ、積層することで3次元的な構造体を造形する技術である。いずれの技術においても、構造体の原料である粉末材料を所定の造形位置に供給する工程を含む。
【0039】
図1は、本発明の実施形態に係る造形物の製造方法を実行するための、積層造形装置100の構成例を示す概略図である。
図1に示すように、積層造形装置100は、積層造形が行われる空間である造形エリア10と、粉末材料を貯留しておくストック12と、造形エリア10への粉末材料の供給を補助するワイパ11と、粉末材料を固化するための固化手段(レーザ発振器等のエネルギー供給手段)13と、を備える。
【0040】
造形エリア10は、外周が囲まれた造形空間内を造形面より下方に有し、この造形空間内に昇降可能な昇降テーブル14を備える。昇降テーブル14は、所定厚みΔt1ずつ下方に移動することができ、昇降テーブル14上に目的の造形物を造形してゆく。ストック12は、造形エリア10の傍に配置され、例えば、外周が囲まれた貯留空間内に、シリンダー等によって昇降可能な底板(昇降テーブル)を備える。ストック12は、底板を上昇させることで、所定量の粉末材料を造形面に供給(押し出し)する。
【0041】
積層造形装置100は、上記工程(A)~(D)を実行することができる。例えば、積層造形装置100は、昇降テーブル14を造形面より所定厚みΔt1だけ下げた状態で造形エリア10へ粉末材料20を供給することで、所定厚みΔt1の粉末材料20の層を用意する。
【0042】
次に、積層造形装置100は、造形面にワイパ11を走査させることで、ストック12から押し出された粉末材料を造形エリア10上に供給するとともに、粉末材料の上面を平坦化して、均質な粉末材料20の層を形成する。
次に、積層造形装置100は、形成された第1層目の粉末材料20の層に対し、第1層目のスライスデータに対応した固化領域にのみ、固化手段13を介してエネルギーを与えることで、粉末材料を所望の断面形状に溶融または焼結させ、第1層目の粉末固化層21を形成する。
【0043】
次に、積層造形装置100は、昇降テーブル14を所定厚みΔt1だけ下げて再度粉末材料を供給し、ワイパ11でならすことで第2層目の粉末材料20を形成する。そして、積層造形装置100は、第2層目の粉末材料20のスライスデータに対応した固化領域にのみ、固化手段13を介して熱源を与えて粉末材料を固化させて第2層目の粉末固化層21を形成する。このとき、第2層目の粉末固化層21と、下層である第1層目の粉末固化層21とが一体化されて、第2層目までの積層体を形成する。
【0044】
引き続き、積層造形装置100は、昇降テーブル14を所定厚みΔt1だけ下降させて新たな粉末材料20の層を形成し、固化手段13を介して熱源を与えて所要箇所に粉末固化層21を形成する。積層造形装置100は、この工程を繰り返すことで、目的とする3次元造形物を製造することができる。
なお、粉末材料を固化するための手段としては、レーザ光又は電子ビームにより熱を与えて、粉末材料を溶融固化(焼結を含む)する方法が選択される。例えば、例えば、炭酸ガスレーザやYAGレーザを好適に用いることができる。
【0045】
<実施形態の効果>
以上説明したように、本発明の実施形態に係る粉末材料は、レーザ光又は電子ビームを照射して3次元形状の造形物を製造するために用いられる、積層造形用の粉末材料であって、コバルトと、バナジウム炭化物、ニオブ炭化物及びモリブデン炭化物からなる群から選択される1つ以上で構成される第1成分と、任意添加成分と、残部タングステン炭化物と、からなる。第1成分の含有量は、0.6質量%以上5質量%以下である。これによれば、粉末材料にレーザ光又は電子ビームを照射して3次元造形を行う際に、第1成分によってタングステン炭化物(WC)の粒子成長が抑制される。これにより、割れや欠けが少なく、かつ硬度が高い、WC-Coを主成分とする超硬合金の3次元造形物を造形することができる。
【0046】
また、任意添加成分は、炭素供給源となる第2成分を含んでもよい。第2成分の含有量は5質量%未満である。第2成分は、例えば、チタン炭化物、クロム炭化物及び炭素からなる群から選択される1つ以上で構成される。これによれば、粉末材料にレーザ光又は電子ビームを照射して3次元造形を行う際に、第2成分からタングステン炭化物にCが供給される。レーザ光又は電子ビームを用いた積層造形では、通常の粉末冶金と比べて、粉末材料が短時間のうちに高温に熱せられるため、タングステン炭化物(WC)のCが揮発しやすく、WCはCが不足した状態(すなわち、Wリッチな状態)になり易い。しかし、この揮発したCを補うように、第2成分がタングステン炭化物(WC)にCを供給する。これにより、超硬合金の3次元造形物においてη相の形成を抑制することができ、3次元造形物の緻密性と、造形性をさらに高めることができる。なお、3次元造形物の緻密性と、造形性の観点から、粉末材料における第1成分及び第2成分の各含有量は、1質量%以上3質量%以下であることが好ましい。
本発明の実施形態に係る造形物の製造方法は、上記の粉末材料を用いて、レーザ光又は電子ビームを照射して3次元造形を行う。これによれば、割れや欠けが少なく、かつ硬度が高い3次元造形物を造形することができる。
【実施例】
【0047】
本発明を、以下の実施例及び比較例を用いてさらに詳細に説明する。ただし、本発明の技術的範囲が以下の実施例のみに制限されるわけではない。
<粉末材料の製造方法>
原料粉末として、平均粒子径が0.76μmのタングステン炭化物(WC)粉末と、平均粒子径が1.30μmのコバルト(Co)粉末と、平均粒子径が4.68μmのバナジウム炭化物(VC)粉末と、平均粒子径が1.83μmのクロム炭化物(Cr3C2)粉末とを用意した。
用意した各原料粉末を後述の表1、表2に示す割合で配合し、配合粉末(1次粒子の形態)を得た。得られた配合粉末を湿式混合後、スプレードライヤーにより造粒した。得られた造粒粉末を焼結し、造粒焼結粉(2次粒子の形態)を作成した。得られた造粒焼結粉を目開き25μmの篩で分級した。得られた分級後の各顆粒の平均粒子径、嵩密度、顆粒強度をそれぞれ測定した。
【0048】
1次粒子の「平均粒子径」には、レーザ回折・散乱法に基づく粒度分布測定装置により測定された体積基準の粒度分布における積算値50%での粒子径(50%体積平均粒子径;D50)を採用した。なお平均粒子径が1μm未満の粉末(炭化タングステン粉末)については、比表面積から算出される球形粒子の直径(球相当径)として算出される値を採用した。かかる1次粒子の平均粒子径(Dave)は、原料粉末の比表面積をSm、密度をρとしたとき、式:Dave=6/(ρSm)、に基づき求めることができる。比表面積は、例えば、比表面積測定装置(マイクロメリティックス社製、FlowSorbII 2300)を用い、連続流動法により測定されたN2等のガス吸着量から、BET法により算出した値とすることができる。この比表面積測定は、JIS Z8830:2013(ISO9277:2010)に規定される「ガス吸着による粉体(固体)の比表面積測定方法」に準じて測定することができる。
【0049】
2次粒子の「平均粒子径」には、レーザ回折・散乱法に基づく粒度分布測定装置により測定された体積基準の粒度分布における積算値50%での粒子径(50%体積平均粒子径;D50)を採用した。
嵩密度には、JIS Z2504:2012に規定される金属粉-見掛密度測定方法に準じて測定される値を採用した。具体的には、直径2.5mmのオリフィスから自然に流れ出す粉末により、所定の容量の容器を自然充填の状態で満たしたときの、当該粉末の質量を測定することで、嵩密度を算出した。嵩密度の測定に、金属粉用のJISカサ比重測定器(筒井理化学器械株式会社製)を用いて測定した値を採用した。
【0050】
顆粒強度には、電磁力負荷方式の圧縮試験機を用いて測定される、顆粒粒子の破壊強度の値を採用した。具体的には、粉末材料を構成する任意の10個以上の造粒焼結粉について、微小圧縮試験装置(株式会社島津製作所製、MCT-500)を用いて測定した破壊強度の算術平均値を、顆粒強度として採用した。なお、造粒焼結粉について、圧縮試験にて得られた臨界荷重をL[N]、平均粒子径をd[mm]としたとき、造粒焼結粉の破壊強度σ[MPa]は、式:σ=2.8×L/π/d2、で算出される。
【0051】
<3次元造形物の造形方法>
上記粉末材料を使用して、積層造形装置(製品名:ProX DMP200、3DSystem社製)により、平らに敷いた粉末材料にレーザ光を照射し、一層ずつ溶融させ、この工程を繰り返すことで3次元造形物を製造した。この際、出力300W、走査速度300mm/s、ピッチ幅0.1mm、積層厚さ30μmとした。造形後に、3次元造形物における割れや欠けの有無を目視で評価した。
【0052】
上記の造形方法で製造した3次元造形物に熱処理を施した。熱処理の条件は、減圧雰囲気中(10Pa)で、加熱温度が1380℃、加熱時間が2時間(連続)、である。熱処理後に、3次元造形物のビッカース硬度を測定した。また、3次元造形物のXRD(X‐ray diffraction;X線回折)測定を行った。XRD測定において、Co3W3C(η相)のピーク強度(40.07°)と WCのピーク強度(35.7°)とを検出し、これらの検出比(Co3W3C/WC)から、3次元造形物におけるη相の存在の有無を評価した。
<評価>
表1に実施例の評価結果を示す。表2に比較例の評価結果を示す。なお、表1及び表2に記載の%は、質量%を意味する。
【0053】
【0054】
【0055】
図2は、実施例1で得られた3次元造形物(欠けなし)を示す写真図である。
図3は、比較例1で得られた3次元造形物(欠けあり)を示す写真図である。
表1及び表2に示すように、粉末材料にバナジウム炭化物(VC)及びクロム炭化物(CrC)の両方が含まれていない場合は、η相が生成される、ということが分かった。また、粉末材料にバナジウム炭化物及びクロム炭化物の少なくとも一方が含まれている場合は、η相の生成が抑制される、ということがわかった。超硬合金の3次元造形物において、η相は脆弱相であり、η相は存在しないことが好ましい。
【0056】
また、表1及び
図2に示すように、配合粉末(1次粒子の形態)におけるクロム炭化物の含有量が5質量%未満の場合、3次元造形物において割れや欠けの発生が抑制される、ということがわかった。表2及び
図3に示すように、配合粉末におけるクロム炭化物の含有量が5質量%以上の場合、3次元造形物には割れや欠けが生じ易くなる、ということがわかった。
【0057】
図4は、実施例2で得られた3次元造形物(熱処理後)の断面を拡大して示すSEM(Scanning Electron Microscope;走査電子顕微鏡)画像である。
図5は、比較例4で得られた3次元造形物(熱処理後)の断面を拡大して示すSEM画像である。
図4及び
図5において、白い部分はタングステン炭化物(WC)であり、黒い部分はコバルト(Co)である。超硬合金の3次元造形物において、タングステン炭化物が細かいほど、かつ、均一に分布しているほど、全体の硬度が高くなる傾向がある。
図4及び
図5を比較して分かるように、実施例2は比較例4よりも、タングステン炭化物が細かく、かつ、均一に分布しているため、全体の硬度が高い。このことは、表1及び表2に示すビッカース硬度の数値からもわかる。
【0058】
上記の実施例1~8及び比較例1~4の各測定結果から、本発明者は、以下の知見を得た。
(WCの粒子成長について)
バナジウム炭化物(VC)は、造粒焼結粉(2次粒子の形態)におけるタングステン炭化物(WC)の平均粒子径に影響する。配合粉末(1次粒子の形態)におけるバナジウム炭化物の含有量が0質量%から増えるにしたがって、造粒焼結粉におけるタングステン炭化物の平均粒子径は小さくなる傾向がある。つまり、バナジウム炭化物は、タングステン炭化物の粒子成長を抑制する機能を有する。一方、クロム炭化物(CrC)については、タングステン炭化物の粒子成長を抑制する機能は小さい。WCの粒子成長の抑制には、VCが有効である。
【0059】
(η相の低減について)
配合粉末にクロム炭化物が含まれていると、η相の生成が抑制される。配合粉末におけるクロム炭化物の含有量が5質量%の場合、η相は確認されなかった。一方、バナジウム炭化物については、含有量が5質量%の場合でも、η相が確認された。η相の抑制には、クロム炭化物が有効である。
【0060】
(緻密性について)
配合粉末において、クロム炭化物の含有量が5質量%の場合、3次元造形物に割れや欠けが生じ、造形性も悪くなる。したがって、クロム炭化物の含有量は5質量%未満であることが好ましい。これにより、3次元造形物の緻密性と造形性を高めることができる。
【符号の説明】
【0061】
10 造形エリア
11 ワイパ
12 ストック
13 固化手段
14 昇降テーブル
20 粉末材料
21 粉末固化層