(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-11
(45)【発行日】2023-12-19
(54)【発明の名称】情報伝達装置及びプログラム
(51)【国際特許分類】
G06F 3/01 20060101AFI20231212BHJP
A61F 9/08 20060101ALI20231212BHJP
A61F 11/04 20060101ALI20231212BHJP
【FI】
G06F3/01 560
G06F3/01 515
A61F9/08
A61F11/04
(21)【出願番号】P 2019223812
(22)【出願日】2019-12-11
【審査請求日】2022-10-06
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 ▲1▼発行日:平成31年3月1日 刊行物:精密工学会 2019年度春季大会 講演論文集、G34、p.484-p.485、公益社団法人精密工学会 発行 ▲2▼開催日:平成31年3月14日 集会名、開催場所:精密工学会 2019年度春季大会 (公益社団法人 精密工学会 主催)東京電機大学 東京千住キャンパス 2号館 7F G室(東京都足立区千住旭町5) ▲3▼発行日:令和1年9月11日 刊行物:The SICE Annual Conference 2019予稿集、ThAPo06.4、p.993-p.996、公益社団法人 計測自動制御学会 発行 ▲4▼開催日:令和1年9月12日 集会名、開催場所:The SICE Annual Conference 2019(公益社団法人 計測自動制御学会 主催)国立大学法人広島大学東千田未来創生センター(広島県広島市中区東千田町1丁目-1-89)
【国等の委託研究の成果に係る記載事項】(出願人による申告)令和元年度、国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構、「人工知能技術適用によるスマート社会の実現/健康、医療・介護分野/IoT・AI支援型健康・介護サービスシステムの開発と社会実装研究」事業、産業技術力強化法第17条の適用を受ける特許出願
(73)【特許権者】
【識別番号】000002325
【氏名又は名称】セイコーインスツル株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】504137912
【氏名又は名称】国立大学法人 東京大学
(74)【代理人】
【識別番号】100165179
【氏名又は名称】田▲崎▼ 聡
(74)【代理人】
【識別番号】100126664
【氏名又は名称】鈴木 慎吾
(74)【代理人】
【識別番号】100161207
【氏名又は名称】西澤 和純
(72)【発明者】
【氏名】海法 克享
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 寿浩
【審査官】円子 英紀
(56)【参考文献】
【文献】特表2019-523031(JP,A)
【文献】特開2000-042491(JP,A)
【文献】特開2015-176436(JP,A)
【文献】特開2014-229315(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2019/0298242(US,A1)
【文献】国際公開第2014/006799(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06F 3/01
A61F 9/08
A61F 11/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
伝達対象の段階を示す段階情報を取得する段階情報取得部と、
刺激周期の
複数の段階と、刺激強度の
複数の段階とをパラメータとして含み、
前記刺激強度の段階を固定して、前記刺激周期の段階を変化させることにより前記伝達対象の段階の変化を示す第1の組み合わせと、前記刺激周期の段階を固定して、前記刺激強度の段階を変化させることにより前記伝達対象の段階の変化を示す第2の組み合わせと、を含むパラメータ組み合わせ情報
が記憶される記憶部から、前記段階情報取得部が取得する前記段階情報に対応する組み合わせの前記パラメータ組み合わせ情報を取得する組み合わせ情報取得部と、
前記組み合わせ情報取得部が取得する前記パラメータ組み合わせ情報に基づく刺激波形を生成する波形生成部と、
前記波形生成部が生成する前記刺激波形に基づく刺激電流を装着者の皮膚に与える刺激電極と、
を備える情報伝達装置。
【請求項2】
前記パラメータ組み合わせ情報には、一方のパラメータの1段階に対して、他方のパラメータの
2種類以上かつ3種類以下の段階が対応付けられ
た組み合わせを含む
請求項1に記載の情報伝達装置。
【請求項3】
前記パラメータ組み合わせ情報における前記刺激周期の段階のうちの最上位の段階の周期は、生体の脈拍の周期の取りうる範囲の最短周期よりも短い周期である
請求項1又は請求項2に記載の情報伝達装置。
【請求項4】
前記パラメータ組み合わせ情報における前記刺激周期の段階のうちの最上位の段階の周期は、生体の脈拍の周期の取りうる範囲の最短周期の半分の周期より長い周期である
請求項3に記載の情報伝達装置。
【請求項5】
前記パラメータ組み合わせ情報における前記刺激周期の段階のうちの最下位の段階の周期は、生体の脈拍の周期の取りうる範囲の最長周期よりも長い周期である
請求項3又は請求項4に記載の情報伝達装置。
【請求項6】
前記パラメータ組み合わせ情報における前記刺激周期の段階のうちの最下位の段階の周期は、生体の脈拍の周期の取りうる範囲の最長周期の2倍の周期より短い周期である
請求項5に記載の情報伝達装置。
【請求項7】
前記パラメータ組み合わせ情報において、前記段階情報が示す伝達対象の段階の単調変化に対応して、前記刺激周期の段階と、前記刺激強度の段階とのうちの、少なくとも一方のパラメータが単調変化する
請求項1から請求項6のいずれか一項に記載の情報伝達装置。
【請求項8】
コンピュータに、
伝達対象の段階を示す段階情報を取得する段階情報取得ステップと、
刺激周期の
複数の段階と、刺激強度の
複数の段階とをパラメータとして含み、
前記刺激強度の段階を固定して、前記刺激周期の段階を変化させることにより前記伝達対象の段階の変化を示す第1の組み合わせと、前記刺激周期の段階を固定して、前記刺激強度の段階を変化させることにより前記伝達対象の段階の変化を示す第2の組み合わせと、を含むパラメータ組み合わせ情報が記憶される記憶部から、前記段階情報取得ステップにおいて取得される前記段階情報に対応する段階の前記パラメータ組み合わせ情報を取得する組み合わせ情報取得ステップと、
前記組み合わせ情報取得ステップにおいて取得される前記パラメータ組み合わせ情報に基づく波形の刺激電流を装着者の皮膚に与える刺激ステップと、
を実行させるためのプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報伝達装置及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、伝達対象の情報の内容に応じた特定のパターンの電気刺激を皮膚に与えることにより、情報を伝達する装置が開示されている(例えば、特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上述した特許文献1に記載されるような従来技術によると、電気刺激のパターンと伝達対象の情報との対応関係を理解するためには相当の訓練が必要であり、また、与えられた電気刺激から情報の内容を読み取るために電気刺激に対して意識を集中させる必要があるといった課題があった。すなわち、従来技術には、伝達対象の情報を視覚や聴覚によらずに伝達する場合に、情報を直感的に伝達することができないという課題があった。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の一態様は、伝達対象の段階を示す段階情報を取得する段階情報取得部と、刺激周期の複数の段階と、刺激強度の複数の段階とをパラメータとして含み、前記刺激強度の段階を固定して、前記刺激周期の段階を変化させることにより前記伝達対象の段階の変化を示す第1の組み合わせと、前記刺激周期の段階を固定して、前記刺激強度の段階を変化させることにより前記伝達対象の段階の変化を示す第2の組み合わせと、を含むパラメータ組み合わせ情報が記憶される記憶部から、前記段階情報取得部が取得する前記段階情報に対応する組み合わせの前記パラメータ組み合わせ情報を取得する組み合わせ情報取得部と、前記組み合わせ情報取得部が取得する前記パラメータ組み合わせ情報に基づく刺激波形を生成する波形生成部と、前記波形生成部が生成する前記刺激波形に基づく刺激電流を装着者の皮膚に与える刺激電極と、を備える情報伝達装置である。
【0006】
また、本発明の一態様は、上述の情報伝達装置において、前記パラメータ組み合わせ情報には、一方のパラメータの1段階に対して、他方のパラメータの2種類以上かつ3種類以下の段階が対応付けられた組み合わせを含む。
【0007】
また、本発明の一態様は、上述の情報伝達装置において、前記パラメータ組み合わせ情報における前記刺激周期の段階のうちの最上位の段階の周期は、生体の脈拍の周期の取りうる範囲の最短周期よりも短い周期である。
【0008】
また、本発明の一態様は、上述の情報伝達装置において、前記パラメータ組み合わせ情報における前記刺激周期の段階のうちの最上位の段階の周期は、生体の脈拍の周期の取りうる範囲の最短周期の半分の周期より長い周期である。
【0009】
また、本発明の一態様は、上述の情報伝達装置において、前記パラメータ組み合わせ情報における前記刺激周期の段階のうちの最下位の段階の周期は、生体の脈拍の周期の取りうる範囲の最長周期よりも長い周期である。
【0010】
また、本発明の一態様は、上述の情報伝達装置において、前記パラメータ組み合わせ情報における前記刺激周期の段階のうちの最下位の段階の周期は、生体の脈拍の周期の取りうる範囲の最長周期の2倍の周期より短い周期である。
【0011】
また、本発明の一態様は、上述の情報伝達装置において、前記パラメータ組み合わせ情報において、前記段階情報が示す伝達対象の段階の単調変化に対応して、刺激周期の段階と、刺激強度の段階とのうちの、少なくとも一方のパラメータが単調変化する。
【0012】
本発明の一態様は、コンピュータに、伝達対象の段階を示す段階情報を取得する段階情報取得ステップと、刺激周期の複数の段階と、刺激強度の複数の段階とをパラメータとして含み、前記刺激強度の段階を固定して、前記刺激周期の段階を変化させることにより前記伝達対象の段階の変化を示す第1の組み合わせと、前記刺激周期の段階を固定して、前記刺激強度の段階を変化させることにより前記伝達対象の段階の変化を示す第2の組み合わせと、を含むパラメータ組み合わせ情報が記憶される記憶部から、前記段階情報取得ステップにおいて取得される前記段階情報に対応する段階の前記パラメータ組み合わせ情報を取得する組み合わせ情報取得ステップと、前記組み合わせ情報取得ステップにおいて取得される前記パラメータ組み合わせ情報に基づく波形の刺激電流を装着者の皮膚に与える刺激ステップと、を実行させるためのプログラムである。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、伝達対象の情報を視覚や聴覚によらずに伝達することと、情報を直感的に伝達することとを両立させることができる情報伝達装置及びプログラムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】第1の実施形態に係る情報伝達装置の外観構成の一例を示す図である。
【
図2】本実施形態に係る刺激電極の外観構成の一例を示す図である。
【
図3】本実施形態に係る情報伝達装置の機能構成の一例を示す図である。
【
図4】本実施形態の段階情報の一例を示す図である。
【
図5】本実施形態のパラメータ組み合わせ情報の一例を示す図である。
【
図6】本実施形態の情報伝達装置の動作の一例を示す図である。
【
図7】本実施形態の波形生成部が生成する刺激波形の一例を示す図である。
【
図8】本実施形態の波形生成部が生成する刺激波形の変形例を示す図である。
【
図10】本実施形態の刺激波形の周期の一例を示す図である。
【
図11】本実施形態のパラメータ組み合わせ情報の変形例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、実施形態について図面を参照して説明する。
図1は、本実施形態に係る情報伝達装置1の外観構成の一例を示す図である。
【0016】
図1に示すように、情報伝達装置1は、一例として、手首に巻き付けられる腕時計型の装置として構成される。情報伝達装置1は、表示部DPと、操作部TPと、環境センサSSと、生体センサMSと、バンドWBと、刺激電極Eと、制御部10とを備える。
なお、図示した形状は一例であって、情報伝達装置1は他の形状に構成されてもよい。
【0017】
表示部DPは、液晶ディスプレイなどを備えており文字や画像などの情報を表示する。
操作部TPは、タッチパネルなどを備えており、装着者Uによる操作を検出する。
環境センサSSは、情報伝達装置1の周囲環境の状況を検出する。検出対象の周囲環境には、例えば、気温、湿度、日射量、降水量、照度などが含まれる。環境センサSSは、検出した結果を周囲状況情報SRとして制御部10に出力する。
生体センサMSは、装着者Uの生体情報を検出する。検出対象の生体情報には、例えば、体温(例えば、皮膚温)、血圧、発汗量、心拍数、脈波、脳波、筋電位などが含まれる。生体センサMSは、検出した結果を生体情報BMとして制御部10に出力する。
バンドWBは、装着者Uの手首に巻回されて装着者Uの手首に刺激電極Eを接触させる。
【0018】
図2は、本実施形態に係る刺激電極Eの外観構成の一例を示す図である。刺激電極Eは、正電極E1と、負電極E2とを備えている。刺激電極Eは、これら正電極E1と負電極E2とを刺激電極対として、刺激電流SCを情報伝達装置1の装着者Uの皮膚に与える。
なお、情報伝達装置1は、
図1に示すように複数の刺激電極Eを備えていてもよい。
【0019】
図3は、本実施形態に係る情報伝達装置1の機能構成の一例を示す図である。情報伝達装置1は、上述した制御部10、刺激電極E、環境センサSS及び生体センサMSに加えて、記憶部MRを備える。
【0020】
制御部10は、段階情報取得部110と、組み合わせ情報取得部120と、波形生成部130と、段階情報生成部140とを備える。
段階情報生成部140は、環境センサSSから出力される周囲状況情報SRと、生体センサMSから出力される生体情報BMとに基づいて、段階情報DLを生成する。段階情報DLは、伝達対象の段階を示す。この一例では、伝達対象とは、例えば熱中症の危険度である。
【0021】
図4は、本実施形態の段階情報DLの一例を示す図である。この一例において、段階情報DLとは、装着者Uの熱中症の危険度LVを、危険度LV0(ゼロ)~危険度LV5の6段階にして示す情報である。危険度LVは、環境指標(例えば暑さ指数)と、装着者Uの身体指標(例えば深部体温)との組み合わせに基づいて定められている。
【0022】
また、段階情報生成部140は、暑さ指数計算式に基づいて指数(例えば、暑さ指数WBGT)を算出することにより、段階情報DLを生成してもよい。暑さ指数WBGTは、式(1)に基づいて算出される。
【0023】
WBGT=0.7×WB+0.2×TG+0.1×TA ・・・(1)
ここで、WBGT:暑さ指数、WB:湿球温度、TG:黒球温度、TA:乾球温度(気温)である。
なお、WB:湿球温度は、湿り空気線図に基づいて算出されてもよい。
【0024】
図3に戻り、環境センサSSから出力される周囲状況情報SRには、気温情報、湿度情報、照度情報などが含まれている。生体センサMSから出力される生体情報BMには、体温情報、脈拍情報、発汗情報、加速度情報などが含まれている。
段階情報生成部140は、周囲状況情報SRに含まれる気温情報など複数の情報と、生体情報BMに含まれる体温情報など複数の情報と、
図4に示した危険度LVの判定基準とに基づいて、段階情報DLを生成する。例えば、暑さ指数が30°Cであり、深部体温が36.0°Cである場合には、段階情報生成部140は、危険度LVがレベル2であると判定し、レベル2の段階情報DLを生成する。また、例えば、暑さ指数が31°Cであり、深部体温が38.0°Cである場合には、段階情報生成部140は、危険度LVがレベル4であると判定し、レベル4の段階情報DLを生成する。
段階情報生成部140は、生成した段階情報DLを段階情報取得部110に出力する。
【0025】
なお、本実施形態では、段階情報生成部140は、情報伝達装置1が備える各種センサの出力(例えば、周囲状況情報SR及び生体情報BM)に基づいて段階情報DLを生成するとして説明するが、これに限られない。例えば、段階情報生成部140は、外部装置(例えば、情報供給装置20)から供給される伝達対象情報Dに基づいて段階情報DLを生成してもよい。
この変形例の場合、情報伝達装置1には、情報供給装置20から伝達対象情報Dが供給される。この情報供給装置20とは、例えば、気象情報サービス会社のサーバ装置である。情報供給装置20は、各種の気象情報を伝達対象情報Dとして供給する。この一例において、伝達対象情報Dには、情報伝達装置1の所在地の気温、湿度、日射量、降水量などが含まれる。なお、これら伝達対象情報Dが示す各値は、現在又は過去の実測値であってもよく、将来の予測値であってもよい。
この一例において、情報供給装置20は、情報伝達装置1の所在地の気象状況が、情報伝達装置1の装着者Uにとって危険な状況であると判定された場合(例えば、装着者Uが熱中症を発症する程度の異常高温多湿である場合)に、伝達対象情報Dを出力する。
なお、情報供給装置20は、地震、台風、津波、洪水、噴火などの災害情報を供給する装置であってもよい。例えば、レスキュー隊などの救助部隊の隊員が情報伝達装置1を装着している場合において、情報伝達装置1は、隊員に災害現場周囲の危険の程度(例えば、ガス濃度、酸素濃度などによる二次災害の危険性)を、伝達対象情報Dとして伝達する。
【0026】
また、本実施形態では、情報伝達装置1が段階情報生成部140を備えており、段階情報生成部140が段階情報DLを生成するとして説明するがこれに限られない。例えば、情報供給装置20が段階情報DLを生成して、生成した段階情報DLを情報伝達装置1に供給するとしてもよい。具体的には、情報供給装置20は、装着者Uの危険度LVを、危険度LV0(ゼロ)~危険度LV5の6段階にして示した段階情報DLを、情報伝達装置1に出力する。この変形例の場合には、情報伝達装置1は、段階情報生成部140を備えていなくてもよい。
また、情報供給装置20は、危険度LVが危険度LV0である場合において、段階情報DLを出力しないように構成されてもよいし、危険度LV0を示す段階情報DLを出力するように構成されてもよい。
【0027】
再び制御部10の説明を続ける。段階情報取得部110は、段階情報生成部140が出力する段階情報DLを取得する。この段階情報DLとは、伝達対象の段階(例えば、熱中症の危険度の段階)を示す情報である。すなわち、段階情報取得部110は、伝達対象の段階を示す段階情報DLを取得する。段階情報取得部110は、取得した段階情報DLを組み合わせ情報取得部120に出力する。
【0028】
組み合わせ情報取得部120は、記憶部MRからパラメータ組み合わせ情報Pを取得する。ここで、記憶部MRに記憶されているパラメータ組み合わせ情報Pの一例について、
図5を参照して説明する。
【0029】
図5は、本実施形態のパラメータ組み合わせ情報Pの一例を示す図である。パラメータ組み合わせ情報Pとは、刺激周期SPの段階と、刺激強度SIの段階とをパラメータとして含む情報である。記憶部MRには、危険度のレベルを示す、刺激周期SPと、刺激強度SIとの組み合わせがパラメータ組み合わせ情報Pとして記憶されている。
同図に示す一例では、パラメータ組み合わせ情報Pは、横軸が刺激周期SPの段階を示し、縦軸が刺激強度SIの段階を示す。刺激周期SPは、周期T1~周期T4の4段階に分けられている。刺激強度SIは、強度1~強度4の4段階に分けられている。
【0030】
より具体的には、パラメータ組み合わせ情報Pにおいて、危険度LV1(レベル1)を示すパラメータの組合せとして、刺激周期SPの周期T1と、刺激強度SIの強度1とが組み合わされている。危険度LV2(レベル2)を示すパラメータの組合せとして、刺激周期SPの周期T2と、刺激強度SIの強度1とが組み合わされている。危険度LV3(レベル3)を示すパラメータの組合せとして、刺激周期SPの周期T3と、刺激強度SIの強度1とが組み合わされている。すなわち、危険度LV1~LV3の刺激強度SIはいずれも強度1である。危険度LV1~LV3の違いは、刺激強度SIによっては区別されない。危険度LV1~LV3の違いは、刺激周期SPの違いによって区別される。
【0031】
また、パラメータ組み合わせ情報Pにおいて、危険度LV4(レベル4)を示すパラメータの組合せとして、刺激周期SPの周期T3と、刺激強度SIの強度2とが組み合わされている。危険度LV5(レベル5)を示すパラメータの組合せとして、刺激周期SPの周期T4と、刺激強度SIの強度2とが組み合わされている。すなわち、危険度LV4~LV5の刺激強度SIはいずれも強度2である。危険度LV4~LV5の違いは、刺激強度SIによっては区別されない。危険度LV4~LV5の違いは、刺激周期SPの違いによって区別される。
【0032】
この一例の場合、危険度LV1~LV3の刺激強度SIがいずれも強度1であり、危険度LV4~LV5の刺激強度SIがいずれも強度2である。したがって、危険度のレベルが、危険度LV1~LV3であるか、危険度LV4~LV5であるかは、刺激強度SIの強度によって区別される。
【0033】
一般に、例えば5段階の危険度LV(危険度LV1~LV5)を示すためのパラメータの組合せとしては、一方のパラメータの1段階(例えば、刺激強度SIの強度1)と、他方のパラメータを5種類の段階(例えば、刺激周期SPの周期T1~T5)とを組合せることも考えられる。
【0034】
一方、本実施形態のパラメータ組み合わせ情報Pにおいては、5段階の危険度LVを示すためのパラメータの組合せとして、一方のパラメータの1段階(例えば、刺激強度SIの強度1)と、他方のパラメータを5種類の段階(例えば、刺激周期SPの周期T1~T5)とする組合せは採用していない。
本実施形態のパラメータ組み合わせ情報Pにおいては、刺激周期SPの段階と、刺激強度SIの段階とをパラメータとして含み、一方のパラメータ(例えば、刺激強度SI)の1段階に対して、他方のパラメータ(例えば、刺激周期SP)の4種類以下の段階がそれぞれ組み合わされている。
【0035】
なお、本実施形態のパラメータ組み合わせ情報Pは、
図5に示したように、一方のパラメータの1段階に対して、他方のパラメータの3種類以下の段階が対応付けられているように構成されてもよい。
【0036】
図3に戻り、組み合わせ情報取得部120は、記憶部MRに記憶されているパラメータ組み合わせ情報Pのうち、段階情報取得部110が取得する段階情報DLに対応する組み合わせのパラメータ組み合わせ情報Pを取得する。
例えば、段階情報DLが危険度LV3(レベル3)を示す場合、組み合わせ情報取得部120は、危険度LV3(レベル3)に対応する組合せ(刺激強度SIが強度1、刺激周期SPが周期T3)のパラメータ組み合わせ情報Pを取得する。
また他の一例では、段階情報DLが危険度LV5(レベル5)を示す場合、組み合わせ情報取得部120は、危険度LV5(レベル5)に対応する組合せ(刺激強度SIが強度2、刺激周期SPが周期T4)のパラメータ組み合わせ情報Pを取得する。
組み合わせ情報取得部120は、取得したパラメータ組み合わせ情報Pを波形生成部130に出力する。
【0037】
波形生成部130は、組み合わせ情報取得部120が取得するパラメータ組み合わせ情報Pに基づく刺激波形SWを生成する。
例えば、刺激強度SIが強度1、刺激周期SPが周期T3の組合せのパラメータ組み合わせ情報Pの場合には、波形生成部130は、波高値が強度1であり、周期が周期T3(例えば、300ms)の刺激波形SWを生成する。
【0038】
なお、刺激強度SIは、刺激波形SWを構成する矩形パルスの強度の最大値を示す値であるとして説明するがこれに限られない。例えば、刺激強度SIは、刺激波形SWを構成する矩形パルスの強度を時間積分した面積を示す値であってもよい。
【0039】
また、波形生成部130は、生体の生理現象に応じた所定の周期パターンの刺激波形SWを生成してもよい。生体の生理現象に応じた所定の周期パターンには、例えば、拍動の周期パターンなどがある。
波形生成部130は、生成した刺激波形SWを刺激電極Eに出力する。
【0040】
刺激電極Eは、波形生成部130が生成する刺激波形SWに基づく刺激電流SCを装着者Uの皮膚に与える。
【0041】
[情報伝達装置1の動作]
次に、
図6を参照して本実施形態の情報伝達装置1の動作の一例について説明する。
図6は、本実施形態の情報伝達装置1の動作の一例を示す図である。
【0042】
(ステップS10)段階情報取得部110は、段階情報DLを取得する。この一例では、段階情報DLには、熱中症の危険度LVを示す情報が含まれている。段階情報取得部110は、取得した段階情報DLを組み合わせ情報取得部120に出力する。
(ステップS20)制御部10は、段階情報DLが示す危険度LVを判定する。制御部10は、段階情報DLが示す危険度LVが、危険度LV0であると判定した場合(ステップS20;危険度LV0)には、処理をステップS30に進める。制御部10は、段階情報DLが示す危険度LVが、危険度LV1~5であると判定した場合(ステップS20;危険度LV1~5)には、処理をステップS40に進める。
【0043】
(ステップS30)制御部10は、刺激波形SWを刺激電極Eに対して出力せずに、処理を終了する。これにより、刺激電極Eからは刺激電流SCが出力されない。
【0044】
(ステップS40)組み合わせ情報取得部120は、ステップS10において取得された段階情報DLに応じたパラメータの組合せを選択する。具体的には、ステップS10において取得された段階情報DLが示す危険度LVが危険度LV1である場合、組み合わせ情報取得部120は、刺激強度SIが強度1、刺激周期SPが周期T1(例えば、1200ms)の組合せのパラメータ組み合わせ情報Pを記憶部MRから取得する。組み合わせ情報取得部120は、取得したパラメータ組み合わせ情報Pを波形生成部130に出力する。
【0045】
(ステップS50)波形生成部130は、ステップS40において選択したパラメータの組合せに応じた刺激波形SW(すなわち、危険度LVに応じた刺激波形SW)を生成する。上述の一例では、波形生成部130は、刺激強度SIが強度1、刺激周期SPが周期T1(例えば、1200ms)の刺激波形SWを生成する。
図7を参照して波形生成部130が生成する刺激波形SWの変形例について説明する。
【0046】
図7は、本実施形態の波形生成部130が生成する刺激波形SWの一例を示す図である。波形生成部130は、矩形パルスの周期T及び強度をそれぞれ段階的に変化させて刺激波形SWを生成する。
図7に示す一例として、波形生成部130は、周期T、強度2の矩形パルスの刺激波形SWを生成する。
【0047】
なお、刺激波形SWには、種々の変形例があってもよい。
図8を参照して波形生成部130が生成する刺激波形SWの変形例について説明する。
【0048】
図8は、本実施形態の波形生成部130が生成する刺激波形SWの変形例を示す図である。波形生成部130は、時間軸で隣り合う刺激波形SWどうし(例えば、刺激波形SW1と刺激波形SW2)の時間間隔を所定の周期(刺激周期SP)にして、刺激波形SWを生成する。この一例において、波形生成部130は、矩形パルスによって段階的に強度を変化させて刺激波形SWを生成する。
【0049】
この波形生成部130が生成する刺激波形SWの強度の時間変化(つまり、刺激波形SWの包絡線)は、加速度脈波波形APWに基づいて定められている。加速度脈波波形APWについて、
図9を参照して説明する。
【0050】
図9は、加速度脈波波形APWの一例を示す図である。ここで、加速度脈波波形APWとは、容積脈波の波形を時間軸に2階微分して得られる波形である。容積脈波の波形は、例えば、光電式脈波計によって得られる。
刺激波形SWは、同図に示す加速度脈波波形APWのうち、加速度脈波波形APW1に相当する部分の波形に基づいて定められている。つまり、刺激波形SWとは、加速度脈波波形APWに応じた波形である。なお、
図9では一例としてAPW1に相当する部分の波形に基づいて刺激波形SWを定めたが、加速度脈波波形APWの複数のピーク値を含む波形に基づいて詳細に刺激波形SWを定めてもよい。
【0051】
(ステップS60)
図6に戻り、波形生成部130は、ステップS50において生成した刺激波形SWを、刺激電極Eに出力する。この結果、刺激電極Eからは、危険度LVに応じた周期及び強度の刺激電流SCが装着者Uの皮膚に対して出力される。
波形生成部130は、例えば、所定の時間又は所定の波数、刺激波形SWを繰り返し出力した後、処理を終了する。
【0052】
[実施形態のまとめ]
以上説明したように、情報伝達装置1は、伝達対象の段階(例えば、熱中症の危険度)に応じた所定のパターンの刺激波形SWによって、装着者Uの皮膚(例えば、手首)に刺激を与える。このように構成された情報伝達装置1によれば、装着者Uにとって危険な状態(例えば、熱中症を発症しかねない状態)を、視覚・聴覚・指先の感覚などによらずに伝達することができる。
【0053】
ここで、5段階以上の危険度LVを段階ごとに区別して装着者Uに伝達する場合において、刺激波形SWの強度を変化させずに周期のみを5段階以上に変化させた場合、装着者Uによっては、刺激波形SWの変化を区別することができない場合がある。これと同様に、刺激波形SWの周期を変化させずに、強度のみを5段階以上に変化させた場合、装着者Uによっては、刺激波形SWの変化を区別することができない場合がある。つまり、装着者Uによっては、刺激波形SWの1つのパラメータのみを多段階に(例えば、5段階以上に)変化させたのでは、刺激波形SWの段階を区別することが困難であった。
また、装着者Uがある作業(例えば、工事や運動など)に従事している場合には、その作業に集中するあまり、刺激波形SWの変化について、より気づきにくくなるという状況も発生していた。
【0054】
本実施形態の情報伝達装置1は、複数のパラメータ(例えば、強度と周期)を変化させることにより刺激波形SWの段階を区別する。ここで、情報伝達装置1は、第1のパラメータ(例えば、強度)の1段階に割り当てる第2のパラメータ(例えば、周期)の段階を4以下とする。このため、情報伝達装置1は、5段階以上の段階を区別する場合であっても、特定のパラメータ(例えば、周期)のみが変化する場合に比べて、危険度LVの段階を装着者Uに区別させやすくすることができる。
【0055】
また、刺激波形SWを装着者Uに与える場合に、生体の生理現象に応じた所定の周期パターンの刺激波形SWを装着者Uに与える場合、生体の生理現象に応じていない他の波形による刺激を装着者Uに与えた場合に比べて、装着者Uに危険が差し迫っていることを、より直感的に装着者Uに対して伝達することができる。一例として、生体の生理現象に応じていない他の波形(例えば、単なるバイブレーション)による刺激よりも、生体の生理現象に応じた所定の周期パターン(例えば、心拍(拍動)に応じた周期パターン)による刺激のほうが、装着者Uに自身の身体が平常時から変化したこと(例えば、緊張状態になったこと)を錯覚させることができ、危険が差し迫っていることを、より直感的に装着者Uに対して伝達することができる。
すなわち、このように構成された情報伝達装置1によれば、装着者Uに危険が差し迫っていることを、視覚・聴覚・指先の感覚などによらずに、かつ、より直感的に装着者Uに対して伝達することができる。また、情報伝達装置1によれば、電気刺激を装着者Uに与えるため、例えば、機械的な刺激を与える場合に比べて装置の構成を簡素化でき、かつ強度が比較的高い刺激を容易に与えることができる。
したがって、情報伝達装置1によれば、例えば、ジョギング中などの視覚や聴覚などの感覚に訴えにくい状況においても、装着者Uに対して、より直感的に伝達することができる。また、視覚・聴覚・指先の感覚などは普段の生活において極めて重要な情報源となる感覚であるところ、情報伝達装置1によれば、これら重要な感覚を阻害することなく、装着者Uに対して情報を伝達することができる。
【0056】
また、本実施形態の情報伝達装置1は、拍動に応じた波形の刺激波形SWによって、装着者Uに刺激を与える。拍動に応じた波形を刺激波形SWとして装着者Uに与えることにより、装着者Uには、与えられた刺激が装着者U自身の拍動として認識される。このように構成された情報伝達装置1によれば、危険が差し迫っていることを装着者Uに対してより直感的に伝達することができる。
【0057】
また、本実施形態の情報伝達装置1は、加速度脈波波形APWに応じた波形の刺激波形SWによって、装着者Uに刺激を与える。ここで、加速度脈波波形APWは、例えば人の平均的な心拍に基づく波形である。加速度脈波波形APWに応じた波形を刺激波形SWとして装着者Uに与えることにより、装着者Uには、自身の拍動が通常時から変化したと認識される。このように構成された情報伝達装置1によれば、生命維持の最重要器官である心臓の活動が変化したことを錯覚させることから、危険が差し迫っていることを装着者Uに対してより直感的に伝達することができる。
また、情報伝達装置1によれば、装着者Uの実際の拍動が早くなる前に、自身の拍動が早くなったものと錯覚させることができるため、装着者Uの状態が実際に危険な状態になる前に、危険な状態になり得ることを提示することができる。
【0058】
また、情報伝達装置1は、危険度LVに基づいて刺激周期SPを変更する。ここで、人間の拍動は、危険などが増して緊張が高まるほど(つまり、交感神経の活性度が高まるほど)その周期が早くなる。情報伝達装置1は、危険度LVが高いほど刺激周期SPを早めることにより、装着者Uに、刺激周期SPが遅い場合に比べて、より緊張が高まった状態であると感じさせることができる。このように構成された情報伝達装置1によれば、装着者Uに対して危険の程度をより直感的に伝達することができる。
【0059】
また、情報伝達装置1は、危険度LVに基づいて刺激強度SIを変更する。ここで、人間の拍動は、危険などが増して緊張が高まるほど(つまり、交感神経の活性度が高まるほど)その強度が強くなる。情報伝達装置1は、危険度LVが高いほど刺激強度SIを強めることにより、装着者Uには、刺激強度SIが弱い場合に比べて、より緊張が高まった状態であると感じさせることができる。このように構成された情報伝達装置1によれば、装着者Uに対して危険の程度をより直感的に伝達することができる。
【0060】
[変形例]
図10は、本実施形態の刺激波形SWの周期Tの一例を示す図である。情報伝達装置1は、刺激波形SWの周期Tについて、種々の周期Tを選択可能である。以下、情報伝達装置1が選択可能な刺激波形SWの周期Tの変形例について説明する。情報伝達装置1は、刺激波形SWの周期を生体の脈拍の周期の取りうる範囲に基づいて定めてもよい。
生体(例えば、人体)の脈拍の周期の取りうる範囲は、同図に示すように安静時の60bpm程度から活動時の200bpm程度までであることが知られている。以下の説明において、安静時の脈拍の最長周期(例えば、60bpm)を、脈拍最長周期TBとも称する。この一例の場合、脈拍最長周期TBは、1000msである。また、活動時の脈拍の最短周期(例えば、200bpm)を、脈拍最短周期TAとも称する。この一例の場合、脈拍最短周期TAは、300msである。
【0061】
(1)短周期側の周期Tの下限値
情報伝達装置1は、刺激波形SWの短周期側の周期Tについて、生体の脈拍の周期の取りうる範囲の最短周期(脈拍最短周期TA)よりも短い周期としてもよい。例えば、情報伝達装置1は、刺激周期SPの段階のうちの最上位の段階の周期Tを、300ms未満とする。一例として、情報伝達装置1は、最上位の段階の周期T(例えば、
図5に示す周期T5)を、150msとする。
換言すれば、パラメータ組み合わせ情報Pにおける刺激周期SPの段階のうちの最上位の段階の周期は、生体の脈拍の周期の取りうる範囲の最短周期(脈拍最短周期TA)よりも短い周期である。
このように構成された情報伝達装置1によれば、危険度LVが高いことを装着者Uに伝達する場合に、装着者Uの脈拍よりも早い周期の刺激波形SWを与えるため、危険度LVが高い状態であることを装着者Uに知覚させやすくすることができる。
【0062】
(2)短周期側の周期Tの上限値
情報伝達装置1は、刺激波形SWの短周期側の周期Tについて、生体の脈拍の周期の取りうる範囲の最短周期(脈拍最短周期TA)の半分の周期よりも長い周期としてもよい。
例えば、情報伝達装置1は、刺激周期SPの段階のうちの最上位の段階の周期Tを、脈拍最短周期TA(300ms)の半分の周期(150ms)以下とする。なおここでいう「半分の周期よりも長い周期」には、ちょうど半分の周期も含まれていてもよい。一例として、情報伝達装置1は、最上位の段階の周期T(例えば、
図5に示す周期T5)を、150msとする。
換言すれば、パラメータ組み合わせ情報Pにおける刺激周期SPの段階のうちの最上位の段階の周期は、生体の脈拍の周期の取りうる範囲の最短周期(脈拍最短周期TA)の半分の周期より長い周期である。
このように構成された情報伝達装置1によれば、危険度LVが高いことを装着者Uに伝達する場合に、装着者Uの脈拍の周期から離れすぎない周期の刺激波形SWを与えるため、違和感なく装着者Uに知覚させることができる。
【0063】
(3)長周期側の周期Tの上限値
情報伝達装置1は、刺激波形SWの長周期側の周期Tについて、生体の脈拍の周期の取りうる範囲の最長周期(脈拍最長周期TB)よりも長い周期としてもよい。例えば、情報伝達装置1は、刺激周期SPの段階のうちの最下位の段階の周期Tを、1000msを超える範囲とする。一例として、情報伝達装置1は、最下位の段階の周期T(例えば、
図5に示す周期T1)を、1500msとする。
換言すれば、パラメータ組み合わせ情報Pにおける刺激周期SPの段階のうちの最下位の段階の周期は、生体の脈拍の周期の取りうる範囲の最長周期(脈拍最長周期TB)よりも長い周期である。
このように構成された情報伝達装置1によれば、危険度LVが低い状態であることを装着者Uに伝達する場合に、装着者Uの脈拍よりも遅い周期の刺激波形SWを与えるため、危険度LVが高い状態との差を大きくすることができ、危険度LVの区別を装着者Uに知覚させやすくすることができる。
【0064】
(4)長周期側の周期Tの下限値
情報伝達装置1は、刺激波形SWの長周期側の周期Tについて、生体の脈拍の周期の取りうる範囲の最長周期(脈拍最長周期TB)の2倍の周期より短い周期としてもよい。例えば、情報伝達装置1は、刺激周期SPの段階のうちの最下位の段階の周期Tを、脈拍最長周期TB(1000ms)の半分の周期(2000ms)を超えない範囲とする。一例として、情報伝達装置1は、最下位の段階の周期T(例えば、
図5に示す周期T1)を、1500msとする。
換言すれば、パラメータ組み合わせ情報Pにおける刺激周期SPの段階のうちの最下位の段階の周期は、生体の脈拍の周期の取りうる範囲の最長周期(脈拍最長周期TB)の2倍の周期より短い周期である。
このように構成された情報伝達装置1によれば、危険度LVが低い状態であることを装着者Uに伝達する場合に、装着者Uの脈拍の周期から離れすぎない周期の刺激波形SWを与えるため、違和感なく装着者Uに知覚させることができる。
【0065】
[パラメータ組み合わせ情報Pの変形例]
上述したように、情報伝達装置1が参照するパラメータ組み合わせ情報Pは、段階情報DLが示す伝達対象の段階の単調変化に対応して、刺激周期SPの段階と、刺激強度SIの段階とのうちの、少なくとも一方のパラメータが単調変化する。
例えば、
図5に示したパラメータ組み合わせ情報Pの一例において、伝達対象の段階が危険度LV1、危険度LV2、危険度LV3…と単調増加した場合、刺激周期SPの段階が周期T1、周期T2、周期T3…と単調増加する。
また、
図5に示したパラメータ組み合わせ情報Pの一例において、伝達対象の段階が危険度LV4、危険度LV5…と単調増加した場合、刺激周期SPの段階が周期T3、周期T4…と単調増加する。
【0066】
このように構成された情報伝達装置1によれば、パラメータ組み合わせ情報Pのパラメータが危険度LVの変化に応じて単調変化するため、危険度LVの増減を装着者Uに知覚させやすくすることができる。
なお、本実施形態の情報伝達装置1において、パラメータ組み合わせ情報Pは、種々の変形を行うことができる。
【0067】
図11は、本実施形態のパラメータ組み合わせ情報Pの変形例を示す図である。本変形例のパラメータ組み合わせ情報Pにおいて、危険度LV1(レベル1)を示すパラメータの組合せとして、刺激周期SPの周期T1と、刺激強度SIの強度1とが組み合わされている。危険度LV2(レベル2)を示すパラメータの組合せとして、刺激周期SPの周期T2と、刺激強度SIの強度1とが組み合わされている。危険度LV3(レベル3)を示すパラメータの組合せとして、刺激周期SPの周期T2と、刺激強度SIの強度2とが組み合わされている。
【0068】
また、危険度LV4(レベル4)を示すパラメータの組合せとして、刺激周期SPの周期T3と、刺激強度SIの強度3とが組み合わされている。危険度LV5(レベル5)を示すパラメータの組合せとして、刺激周期SPの周期T4と、刺激強度SIの強度3とが組み合わされている。
【0069】
この一例の場合においても、パラメータ組み合わせ情報Pは、段階情報DLが示す伝達対象の段階の単調変化に対応して、刺激周期SPの段階と、刺激強度SIの段階とのうちの、少なくとも一方のパラメータが単調変化する。
【0070】
また、同図に示したパラメータ組み合わせ情報Pの一例において、伝達対象の段階が危険度LV2、危険度LV3、危険度LV4…と単調増加した場合、刺激強度SIの段階が強度1、強度2、強度3…と単調増加する。さらに、パラメータ組み合わせ情報Pの一例において、伝達対象の段階が危険度LV3、危険度LV4、危険度LV5…と単調増加した場合、刺激周期SPの段階が周期T2、周期T3、周期T4…と単調増加する。
つまり、この一例の場合、段階情報DLが示す伝達対象の段階の単調変化に対応して、刺激周期SPの段階と刺激強度SIの段階との両方のパラメータがいずれも単調変化している。このように、パラメータ組み合わせ情報Pは、段階情報DLが示す伝達対象の段階の単調変化に対応して、刺激周期SPの段階と、刺激強度SIの段階との両方のパラメータが単調変化してもよい。
【0071】
以上、本発明の実施形態を、図面を参照して詳述してきたが、具体的な構成はこの実施形態に限られるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更を加えることができる。また、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で上述の各実施形態に記載の構成及び動作を任意に組み合わせることができる。
【0072】
なお、上述の各装置は内部にコンピュータを有している。そして、上述した各装置の各処理の過程は、プログラムの形式でコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記憶されており、このプログラムをコンピュータが読み出して実行することによって、上記処理が行われる。ここでコンピュータ読み取り可能な記録媒体とは、磁気ディスク、光磁気ディスク、CD-ROM、DVD-ROM、半導体メモリ等をいう。また、このコンピュータプログラムを通信回線によってコンピュータに配信し、この配信を受けたコンピュータが当該プログラムを実行するようにしてもよい。
【0073】
また、上記プログラムは、前述した機能の一部を実現するためのものであってもよい。
さらに、前述した機能をコンピュータシステムにすでに記録されているプログラムとの組み合わせで実現できるもの、いわゆる差分ファイル(差分プログラム)であってもよい。
【符号の説明】
【0074】
1…情報伝達装置、10…制御部、110…段階情報取得部、120…組み合わせ情報取得部、130…波形生成部、140…段階情報生成部、20…情報供給装置、DP…表示部、TP…操作部、WB…バンド、SS…環境センサ、MS…生体センサ、P…パラメータ組み合わせ情報、D…伝達対象情報、DL…段階情報、APW…加速度脈波波形、SC…刺激電流、LV…危険度、SI…刺激強度、SP…刺激周期、BM…生体情報