(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-11
(45)【発行日】2023-12-19
(54)【発明の名称】基板処理装置
(51)【国際特許分類】
H01L 21/3065 20060101AFI20231212BHJP
B23K 26/00 20140101ALI20231212BHJP
【FI】
H01L21/302 101G
B23K26/00 B
(21)【出願番号】P 2019224852
(22)【出願日】2019-12-12
【審査請求日】2022-08-26
(73)【特許権者】
【識別番号】000219967
【氏名又は名称】東京エレクトロン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(72)【発明者】
【氏名】斎藤 道茂
(72)【発明者】
【氏名】山平 聖
【審査官】船越 亮
(56)【参考文献】
【文献】特開2012-146922(JP,A)
【文献】特開2004-268258(JP,A)
【文献】特開2018-089646(JP,A)
【文献】特開2012-129342(JP,A)
【文献】特開2000-298698(JP,A)
【文献】特開2018-205834(JP,A)
【文献】特開2012-174997(JP,A)
【文献】特開2007-030378(JP,A)
【文献】特開2019-084577(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/3065
H01L 21/205
H01L 21/302
H01L 21/31
H01L 21/365
H01L 21/461
H01L 21/469
H01L 21/67-21/683
H01L 21/86
C23C 16/00-16/56
B23K 26/00-26/70
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
チャンバ本体を含む処理チャンバと、
前記チャンバ本体に設けられるゲートバルブと、
前記チャンバ本体の内部空間と前記ゲートバルブとの連通部及び/又は前記ゲートバルブに配置されるリーダーとを備え、
前記リーダーは、
前記内部空間に配置されるエッジリングの表面及び/又は内部を加工したマーカー
を読取可能に構成される、
基板処理装置。
【請求項2】
前記マーカーは、加工により前記エッジリングに形成した溝及び/又は2種類以上の色によって2次元コード情報を読取可能に構成される、
請求項1に記載の基板処理装置。
【請求項3】
前記マーカーは、前記エッジリングの表面及び/又は内部に形成した溝に入射した光のコントラストにより前記2次元コード情報を読取可能に構成される、
請求項
2に記載の
基板処理装置。
【請求項4】
前記マーカーは、前記エッジリングの表面及び/又は内部に形成した2種類以上の色のコントラストにより前記2次元コード情報を読取可能に構成される、
請求項
2又は
3に記載の
基板処理装置。
【請求項5】
前記マーカーは、前記2次元コード情報の誤り訂正が可能なように構成される、
請求項2~4のいずれか一項に記載の基板処理装置。
【請求項6】
前記
エッジリングは石英であり、
前記マーカーは、レーザー加工により前記
エッジリングに形成された溝により構成される、
請求項1~
4のいずれか一項に記載の
基板処理装置。
【請求項7】
請求項1~6のいずれか一項に記載の基板処理装置と、前記基板処理装置にエッジリングを搬送する搬送室と、制御部と、を有する基板処理システムであって、
前記エッジリングが前記搬送室を介して前記基板処理装置に搬送される経路のいずれかに配置されるリーダーを有し、
前記リーダーは、前記基板処理装置に設けられた前記エッジリング及び/又は前記経路を搬送される前記エッジリングに形成されたマーカーから2次元コード情報を読み取り、
前記制御部は、読み取った前記2次元コード情報に含まれる前記エッジリングに関する情報を取得し、前記エッジリングに関する情報を記録媒体に記録する、基板処理システム。
【請求項8】
チャンバ本体を含む処理チャンバと、
前記チャンバ本体に設けられるゲートバルブと、
前記チャンバ本体の内部空間と前記ゲートバルブとの連通部及び/又は前記ゲートバルブに配置されるリーダーとを備え、
前記リーダーは、
前記内部空間に配置される部品の表面及び/又は内部を加工したマーカーを読取可能に構成される、
基板処理装置。
【請求項9】
前記マーカーは、加工により前記部品に形成した溝及び/又は2種類以上の色によって2次元コード情報を読取可能に構成される、
請求項8に記載の基板処理装置。
【請求項10】
前記マーカーは、前記2次元コード情報の誤り訂正が可能なように構成される、
請求項9に記載の基板処理装置。
【請求項11】
前記部品はセラミックであり、
前記マーカーは、レーザー加工により前記部品に形成された溝、及びレーザー加工により変色した色と変色前の前記部品の色とにより構成される、
請求項8~10のいずれか一項に記載の基板処理装置。
【請求項12】
前記部品はアルミニウム、ステンレス、表面がアルマイト処理されたアルミニウム、又はシリコンであり、
前記マーカーは、レーザー加工により前記部品に形成された溝、及び前記溝の表面の凹凸により構成される、
請求項8~10のいずれか一項に記載の基板処理装置。
【請求項13】
前記部品はアルミニウム、又はステンレスであり、
前記マーカーは、レーザー加工により前記部品に形成された酸化膜の色と変色前の前記部品の色とにより構成される、
請求項8~10のいずれか一項に記載の基板処理装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、基板処理装置用の部品及び基板処理システムに関する。
【背景技術】
【0002】
部品に部品のシリアル番号を表示したテープを張り付けることによって部品の管理を行うことができる。例えば、基板処理装置の製造現場における部品の管理は、部品に貼り付けされたテープに表示された部品のシリアル番号を手動で入力して記録し、基板処理装置にどの部品が装着されているかを確認することで行っている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本開示は、基板処理装置用の部品の管理を向上させることができる技術を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示の一の態様によれば、基板処理装置用の部品であって、前記部品の表面及び/又は内部を加工したマーカーを有し、前記マーカーは、加工により前記部品に形成した溝及び/又は2種類以上の色によって2次元コード情報を読取可能に構成される基板処理装置用の部品が提供される。
【発明の効果】
【0006】
一の側面によれば、基板処理装置用の部品の管理を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】実施形態に係る部品に刻印されたマーカーの一例を示す図。
【
図2】実施形態に係る部品の材料と刻印された状態を示す図。
【
図4】実施形態に係る基板処理装置を示す断面模式図。
【
図5】実施形態に係る部品管理システムの一例を示す図。
【
図6】実施形態に係る2次元コード情報に含まれる部品に関する情報の一例を示す図。
【
図7】実施形態に係るユーザ毎に設定された使用可能情報の一例を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、図面を参照して本開示を実施するための形態について説明する。各図面において、同一構成部分には同一符号を付し、重複した説明を省略する場合がある。
【0009】
[部品の刻印]
まず、実施形態に係る部品へのマーカーの刻印について、
図1を用いて説明する。
図1は、実施形態に係る部品に刻印されたマーカーの一例を示す図である。
図1の部品は、基板処理装置に配置されるエッジリング25であり、基板処理装置用の部品の一例である。
【0010】
エッジリング25の表面には、マーカー25cが形成されている。マーカー25cは、部品の表面に加工された刻印であり、エッジリング25に形成した溝25a1によってエッジリング25に関する情報を図形化した2次元コードを有する。マーカー25cに形成されるコードは、QR(Quick Response)コード、Data Matrix又はバーコード等の2次元コードであってもよいし、3次元コードであってもよい。実施形態では、マーカー25cから2次元コード情報を取得可能である。
【0011】
マーカー25cは、例えばレーザーによりエッジリング25を直接加工することでエッジリング25に埋め込まれており、エッジリング25に貼るシール状のもの又はエッジリング25に直接描かれたものではない。このため、基板処理装置にてプロセス(基板のエッチング処理等)が繰り返し行われることによりエッジリング25の表面が消耗しても、所定の深さの溝を掘ることでマーカー25cが消失しないようにすることができる。これにより、リーダーによりマーカー25cに埋め込まれた2次元コード情報を読み取ることができ、2次元コード情報をエッジリング25と一体化させて管理できる。2次元コード情報の読み取りはポータブルタイプのリーダーでもできるし、装置に搭載されたリーダーによってもできる。
【0012】
また、エッジリング25に貼るシール状のマーカー又はエッジリング25に直接描かれたマーカーの場合、エッジリング25が消耗したときにマーカー25cが剥がれたり、消失したりする場合がある。これにより、基板処理装置が汚染され、プロセスに悪影響を及ぼすことがある。
【0013】
しかしながら、実施形態では、エッジリング25を直接加工してエッジリング25そのものに溝25a1を掘り、マーカー25cを形成する。基板処理装置に使用される部品は基板処理装置にて行われるプロセスに悪影響を与えない部材で構成されている。よって、マーカー25cがエッジリング25とともに消耗してもプロセスに悪影響を与えない。以上から、実施形態にかかる基板処理装置用の部品にマーカー25cを刻印することで、プロセスへの悪影響を回避し、部品管理の効率化と管理精度の向上を図ることができる。
【0014】
マーカー25cが有する2次元コード情報は、リーダーからマーカー25cに照射した光が、マーカー25cの溝25a1によって反射され、これにより発生する光のコントラストにより読み取り可能である。マーカー25cの位置は、
図1の例ではエッジリング25の上面であるが、これに限られない。例えば、マーカー25cは、基板処理装置内にエッジリング25が配置されたときにプラズマに曝されない面(例えば側面)であることがましい。これにより、マーカー25cの消耗を抑制できる。ただし、マーカー25cの配置場所は、これに限られない。
【0015】
[刻印]
次に、部品の材料と刻印方法について、
図2を参照しながら説明する。
図2は、実施形態に係る部品Pの材料と刻印された状態を示す図である。
図2では、
図1にてマーカー25cで示した領域の一部の領域Paを簡略化して示す。
【0016】
マーカー25cは、部品Pをレーザーで熱加工することにより部品Pに刻印される。
図2(a)は、部品Pが石英の場合に部品Pに刻印されたマーカー25cの一部の領域Paの状態を示す。マーカー25cは、レーザー加工により部品Pに形成された溝Pa1により構成される。
【0017】
部品Pが石英の場合、レーザーを石英に当てることで領域Paを含む刻印部に熱を加えて溶かして凹凸を作ることでマーカー25cを部品Pに刻印する。これにより、溶かして滑らかになった溝Pa1の部分と、砂刷りガラスの部分Pbとで光の反射量が変わり、光のコントラストが生じる。
【0018】
この結果、リーダーから出力される光がマーカー25cに当たると、リーダーは、部品Pに形成されたマーカー25cから部品Pの表面に形成した溝Pa1に入射した光と表面の部分Pbに入射した光のコントラストから2次元コード情報を読み取る。これにより、2次元コード情報に含まれる、部品Pの部品番号、シリアル番号、製造年月日等の部品Pに関する情報を取得できる。
【0019】
図2(b)は、部品Pがセラミックの場合に部品Pに刻印されたマーカー25cの一部の領域Paの状態を示す。マーカー25cは、レーザー加工により部品Pに形成された溝Pa1、及びレーザー加工により変色した部分Pa2の色と変色前の部品Pの色により構成される。
【0020】
部品Pがセラミックの場合、レーザーをセラミックに当てることで領域Paに熱を加えて溶かして凹凸を作ることでマーカー25cを部品Pに刻印する。これにより、溶かして滑らかになった溝Pa1の部分とそれ以外の部分とで光の反射量が変わり、光のコントラストが生じる。また、熱を加えた領域Paが変色する。熱を加えた領域Pa以外の領域はセラミックが持つ変色前の色であるため、変色した部分Pa2の色とそれ以外の部分とで色のコントラストが生じる。
【0021】
この結果、リーダーから出力される光がマーカー25cに当たると、リーダーは、部品Pに形成されたマーカー25cから部品Pの表面に形成した溝Pa1に入射した光と他の表面部分に入射した光のコントラストを読み取る。これとともに、リーダーは、部品Pに形成されたマーカー25cから変色した部分Pa2の色とそれ以外の部分の色のコントラストを読み取る。そして、リーダーは読み取った光のコントラストと色のコントラストととから2次元コード情報を読み取る。これにより、2次元コード情報に含まれる、部品Pの部品番号、シリアル番号、製造年月日等の部品Pに関する情報を取得できる。
【0022】
図2(c)は、部品Pがアルミニウム、ステンレス(SUS)、アルミニウムの表面がアルマイト処理されたもの、又はシリコンのいずれかの場合に部品Pに刻印されたマーカー25cの一部の領域Paの状態を示す。マーカー25cは、レーザー加工により部品Pに形成された溝Pa1、及び溝Pa1の表面の凹凸により構成される。
【0023】
部品Pがアルミニウム、ステンレス、表面がアルマイト処理されたもの又はシリコンのいずれかの場合、レーザーを部品Pに照射して面を細かく削り、形成された溝Pa1の表面に凹凸を作ることでマーカー25cを部品Pに刻印する。溝Pa1の表面の凹凸の大きさが、部品Pが石英やセラミックの場合の凹凸よりも細かいため、光の乱反射が起こり、光の乱反射によって溝Pa1の部分が白く見える。
【0024】
この結果、リーダーから出力される光がマーカー25cに当たると、リーダーは、部品Pに形成されたマーカー25cから部品Pの表面に形成した溝Pa1の凹凸による反射光の量によって光のコントラストを読み取る。また、光の乱反射による溝Pa1の部分の白と他の部分の色とのコントラストを読み取る。リーダーは読み取った光のコントラスト及び/又は色のコントラストに応じた2次元コード情報を取得する。これにより、2次元コード情報に含まれる、部品Pの部品番号、シリアル番号、製造年月日等の部品Pに関する情報を取得できる。
【0025】
図2(d)は、部品Pがアルミニウム又はステンレスの場合に部品Pに刻印されたマーカー25cの一部の領域Paの状態を示す。マーカー25cは、レーザー加工により部品Pに形成された酸化膜の色と変色前の部品Pの色により構成される。
【0026】
部品Pがアルミニウム又はステンレスの場合、レーザーを部品Pに照射する際に、焦点をずらして部品Pが溶けない程度の熱を伝える。これにより、部品Pを削らずに熱を与えることで部品Pの表面に酸化膜Pa3ができ、この酸化膜Pa3が黒く見える。これにより、酸化膜Pa3が形成された領域Paの黒色と、それ以外の領域のアルミニウム又はステンレスが持つ色とのコントラストが生じる。
【0027】
この結果、リーダーから出力される光がマーカー25cに当たると、リーダーは、酸化膜Pa3が形成された領域Paの黒色とそれ以外の部分の色のコントラストを読み取る。そして、リーダーは読み取った色のコントラストに応じた2次元コード情報を取得する。これにより、2次元コード情報に含まれる、部品Pの部品番号、シリアル番号、製造年月日等の部品Pに関する情報を取得できる。
【0028】
ただし、
図2(d)に示す部品Pがアルミニウム又はステンレスの場合、金属に熱を伝えて発色させるため熱膨張により領域Paを含む刻印部が盛り上がる可能性がある。この場合、2次元コード情報が盛り上がった凸部に転写される可能性がある。その場合、領域Paに黒色部は作らず、領域Paは白色部のみでコードを刻印することも可能である。
【0029】
図2に示すいずれの材料の場合も、部品Pを直接加工してマーカー25cを部品Pに刻印する。これにより、マーカー25cによってエッチング等のプロセスに悪影響が生じることを回避できる。また、エッジリング25のようにプラズマにより消耗する部品Pの場合、部品Pにある程度の深さの溝Pa1を形成することで、マーカー25cがプラズマに曝されても、消耗に強いマーカー25cを部品Pに加工できる。また、部品Pが消耗しやすい場合、マーカー25cは部品Pの側面やその他の面であってプラズマに曝され難い位置であってリーダーがマーカー25cを読み取れる位置に形成することが好ましい。
【0030】
なお、以上の説明では、マーカー25cを部品Pの表面に刻印したが、これに限られず、マーカー25cは、例えば部品Pの内部に溝(中空空間)を形成してもよい。マーカー25cを部品Pの内部に形成する場合、マーカー25cは、部品Pの内部の中空空間による色のコントラストによって認識される。ただし、部品Pが透明である場合には光のコントラストによっても認識され得る。
【0031】
このように、実施形態にかかる部品Pに刻印されるマーカー25cには、リーダーにより読取可能である2次元コード情報が埋め込まれている。更に、マーカー25cは、2次元コード情報の誤り訂正が可能な機能を有する。2次元コード情報のサイズと情報量は、セルサイズ(ドット1つ当たりの大きさ)と、セル数(2次元コードを構成するドットの数)と、誤り訂正レベル(データの復元力)との3つで決まる。
【0032】
例えば、セルサイズが大きいほど、ドット一つ当たりの大きさが大きいため、情報を読み取り易い。また、セル数が大きいほど、コードを構成するドットの数が多く、情報量が多くなる。また、誤り訂正レベルが高いほど、コードのサイズが大きくなり、情報量が少なくなる。
【0033】
ただし、誤り訂正レベルが高いほど、データの復元力が高くなる。よって、部品Pの消耗によりマーカー25cの一部が破損したり、汚れたりした場合にも誤り訂正により、2次元コード情報に含まれる部品Pに関する情報を取得できる。以上から、マーカー25cは、2次元コード情報の誤り訂正が可能なように構成される。
【0034】
以上の刻印方法により、基板処理装置用の部品Pを加工して部品Pに直接マーカー25cを刻印することによって、マーカー25cは部品Pの一部として構成される。これにより、基板処理装置用の部品Pが消耗しても、マーカー25cによりプロセスに悪影響を及ぼさない。
【0035】
また、マーカー25cは、下降により部品Pに形成した溝及び/又は2種類以上の色によって2次元コード情報を読取可能に構成される。これにより、マーカー25cをリーダーにより読み取ることで、2次元コード情報に含まれる部品Pに関する情報を取得できる。また、マーカー25cは、2次元コード情報の誤り訂正の機能を有することで、部品Pの消耗等によりマーカー25cの一部が削れたりした場合にも、誤り訂正機能を用いて2次元コード情報を復元できる。
【0036】
また、実施形態にかかる2次元コードのマーカー25cを刻印した場合、部品に直接、部品のシリアル番号を刻印した場合と比べて必要な刻印範囲は1/13程度まで縮小できる。これにより、マーカー25cを部品Pのプラズマに曝されない位置に加工しやすくなる。また、リーダーを使用してマーカー25cに埋め込まれた2次元コード情報を取得できるため、リーダーを使用せずに視覚で部品Pに関する情報を取得できない。これにより、部品Pに関する情報の保護を図ることができる。また、リーダーを使用してマーカー25cに埋め込まれた2次元コード情報を取得し、記録することで、記録作業時間の短縮、記録ミスの削減に貢献できる。
【0037】
[基板処理システム及び基板処理装置]
以上に説明したマーカーが刻印された部品が配置された基板処理装置と、基板処理装置に基板を搬送する搬送室とを有する基板処理システムについて、
図3を参照して説明する。また、基板処理装置について、
図4を参照して説明する。
図3は、実施形態に係る基板処理システム1を示す図である。
図4は、実施形態に係る基板処理装置11を示す断面模式図である。
図3及び
図4はリーダーを搭載した実施形態であるが、リーダーは基板処理システム及び基板処理装置に搭載せずにポータブルのタイプを用いることも可能である。
【0038】
基板処理システム1は、処理室111~114、真空搬送室120、ロードロック室131,132、大気搬送室140、ロードポート151~153、ゲートバルブ161~168、及びコンピュータ81を有する。真空搬送室120及び大気搬送室140は、搬送室の一例である。処理室111~114は、基板処理装置の処理室の一例である。
【0039】
処理室111~114は、ウェハWを載置するステージ111a~114aを有し、ゲートバルブ161~164を介して真空搬送室120と接続されている。処理室111~114内は、所定の真空雰囲気に減圧され、その内部にてウェハWに所望の処理を施す。
【0040】
真空搬送室120内は、所定の真空雰囲気に減圧されている。真空搬送室120には、搬送機構121が設けられ、搬送機構121により処理室111~114とロードロック室131,132との間でウェハWを搬送する。
【0041】
ロードロック室131、132は、ウェハWを載置するステージ131a、132aを有し、ゲートバルブ165、166を介して真空搬送室120と接続され、ゲートバルブ167、168を介して大気搬送室140と接続されている。ロードロック室131,132内は、大気雰囲気と真空雰囲気とを切り替える機能を有する。
【0042】
大気搬送室140内は、大気雰囲気となっており、搬送機構141が設けられている。搬送機構141によりロードロック室131,132とロードポート151~153のキャリアCとの間でウェハWを搬送する。
【0043】
コンピュータ81は、基板処理システム1全体を制御する。例えば、コンピュータ81は、処理室111~114の動作、搬送機構121,141の動作、ゲートバルブ161~168の開閉、ロードロック室131,132内の真空雰囲気または大気雰囲気の切り替え等を行う。コンピュータ81は、基板処理システム1を制御する制御部の一例である。
【0044】
図3では、リーダーRは、真空搬送室120に配置されているが、これに限らず、基板Wが真空搬送室120及び大気搬送室140を介して基板処理装置の処理室111~114まで搬送される搬送経路のいずれかの位置に配置されてもよい。例えば、リーダーRは、処理室111~114、ロードロック室131,132、大気搬送室140、ロードポート151~153、ゲートバルブ161~168に配置されてもよい。また、リーダーRは、一つに限らず、複数配置されてもよい。前述したとおり、リーダーは基板処理システム及び基板処理装置に搭載せずにポータブルのタイプを用いることも可能である。
【0045】
リーダーRは、処理室111~114に配置されている部品P、搬送されている部品P又はその他の室に配置されている部品Pに刻印されたマーカーから2次元コード情報を読み取る。リーダーRは、読み取った2次元コード情報をコンピュータ81に送信する。コンピュータ81は、受信した2次元コード情報から部品Pの部品番号、シリアル番号、製造年月日等を取得する。
【0046】
例えば、エッジリング25にマーカー25cが刻印されている場合、エッジリング25は、基板Wを搬送する経路を搬送される。この場合、エッジリング25の搬送時にリーダーRによりマーカー25cを読み取り、2次元コード情報を取得できる。これにより、交換するエッジリング25の部品管理を容易に行うことができる。また、リーダーRによりマーカー25cを読み取ることで、基板処理装置に配置されている部品が自社製品か又は他社製品かの管理を正確に行うことができる。
【0047】
(基板処理装置)
次に、基板処理装置11の構成について、
図4を参照しながら説明する。基板処理装置11は内部空間10sを持つチャンバ10を有し、これにより、例えば
図3に示す処理室111~114が形成される。チャンバ10は、略円筒形状のチャンバ本体12を有する。チャンバ本体12の側壁には、通路12pが形成されている。基板Wは、内部空間10sとチャンバ10の外部との間で搬送されるときに通路12pを通過する。通路12pは、ゲートバルブ12gにより開閉可能となっている。ゲートバルブ12gは、チャンバ本体12の側壁に沿って設けられている。通路12pは、基板Wやエッジリング25が搬送される通路であり、リーダーRが配置されている。リーダーRはゲートバルブ12gに配置されてもよい。
【0048】
チャンバ本体12の底部上には、支持部13が設けられている。支持部13は、略円筒形状を有し、絶縁材料から形成されている。支持部13上には、基板の周囲を囲むエッジリング25(フォーカスリングとも呼ばれる)及び載置台14が設けられている。エッジリング25は、略円筒形状を有し、シリコン等で形成されてもよい。エッジリング25の上面には、マーカー25cが刻印されている。ただし、マーカー25cの位置は、リーダーRまたは基板処理装置11外の他のリーダーにより読み取れる位置であれば、エッジリング25の上面に限られず、エッジリング25の側面や裏面であってもよいし、エッジリング25の内部に形成されてもよい。
【0049】
基板処理装置11は、内部空間10sの中に載置台14を備えている。載置台14は、基板Wを支持する。載置台14は、静電チャック20、下部電極18及び電極プレート16を有する。電極プレート16及び下部電極18は、例えばアルミニウムといった導体から形成されており、略円盤形状を有している。
【0050】
静電チャック20は、下部電極18上に設けられている。静電チャック20の電極は、直流電源に接続されている。直流電源からの電圧が電極に印加されると、静電引力により基板Wが静電チャック20に保持される。静電チャック20は、基板W及びエッジリング25を支持する。載置台14の側面には、マーカー14cが刻印されている。ただし、マーカー14cの位置は、リーダーRまたは基板処理装置11外の他のリーダーにより読み取れる位置であれば、載置台14の側面に限られず、載置台14の上面であってもよいし、載置台14の内部に形成されてもよい。
【0051】
載置台14の上方には上部電極30が設けられている。上部電極30は、絶縁性部材32を介して、チャンバ本体12の上部に支持されている。上部電極30は、天板34及び支持体36を含み得る。天板34は、ジュール熱の少ない低抵抗の導電体又は半導体から形成され得る。天板34には、複数のガス吐出孔34aが形成されている。複数のガス吐出孔34aは、天板34をその板厚方向に貫通している。
【0052】
天板34の下面には、マーカー34cが刻印されている。ただし、マーカー34cの位置は、リーダーRまたは基板処理装置11外の他のリーダーにより読み取れる位置であれば、天板34の下面に限られず、天板34の側面であってもよいし、天板34の内部に形成されてもよい。以下、リーダーRまたは基板処理装置11外の他のリーダーを、「リーダーR等」とも表記する。
【0053】
支持体36は、天板34を着脱自在に支持する。支持体36は、アルミニウムといった導電性材料から形成される。支持体36の内部には、ガス拡散室36aが設けられている。支持体36には、複数のガス孔36bが形成されている。複数のガス孔36bは、ガス拡散室36aから下方に延びている。複数のガス孔36bは、複数のガス吐出孔34aにそれぞれ連通している。支持体36には、ガス導入口36cが形成されている。ガス導入口36cは、ガス拡散室36aに接続している。ガス導入口36cにはガス供給管38が接続され、ガス供給管38にはガスソース40が接続されている。ガスソース40からのガスは、ガス供給管38を通り、ガス導入口36cからガス拡散室36aを介して複数のガス孔36bを通り、ガス吐出孔34aから導入される。
【0054】
基板処理装置11では、チャンバ本体12の内壁面に沿って、シールド46が着脱自在に設けられている。シールド46は、支持部13の外周にも設けられている。シールド46は、チャンバ本体12にエッチング副生物等の反応生成物が付着することを防止する。
【0055】
支持部13とチャンバ本体12の側壁との間には、バッフルプレート48が設けられている。バッフルプレート48は、例えば、アルミニウムから形成された部材の表面に耐食性を有する膜を形成することにより構成される。バッフルプレート48には、複数の貫通孔が形成されている。バッフルプレート48の下方、且つ、チャンバ本体12の底部には、排気口12eが設けられている。排気口12eには、排気管52を介して排気装置50が接続されている。
【0056】
基板処理装置11は、高周波RFの電力を印加する高周波電源62を備えている。高周波電源62は、整合器66を介して電極プレート16に接続され、チャンバ10内でガスからプラズマを生成するために、高周波RFの電力を発生するように構成されている。高周波HFの周波数は、例えば27MHz~100MHzの範囲内の周波数である。
【0057】
基板処理装置11は、コンピュータ80を更に備え得る。コンピュータ80は、基板処理装置11の各部を制御する制御部の一例である。コンピュータ80は、制御プログラムを実行し、レシピデータに従って基板処理装置11の各部を制御することにより、種々のプロセスが基板処理装置11で実行される。
【0058】
かかる構成の基板処理装置11において、基板処理装置11用の部品の一例としてマーカーが刻印された天板34、エッジリング25、載置台14を挙げたが、これに限られない。例えば、基板処理装置11用の部品の他の例としては、バッフルプレート48、シールド46等が挙げられ、これらの部材にマーカーを刻印してもよい。
【0059】
[部品管理システム]
次に、基板処理装置11を制御するコンピュータ80及び基板処理システム1を制御するコンピュータ81が接続される部品管理システムの一例について、
図5を参照しながら説明する。
図5は、実施形態に係る部品管理システムの一例を示す図である。
【0060】
基板処理装置11に配置された部品P、及び基板処理システム1内に配置された部品Pには、マーカー(34c、14c、25c等)が刻印されているものがある。リーダーR等は、部品Pに刻印されたマーカーの2次元コード情報を読み取り、基板処理装置11を制御するコンピュータ80又は基板処理システム1を制御するコンピュータ81に送信する。
【0061】
コンピュータ80及びコンピュータ81は、2次元コード情報に含まれる部品Pに関する情報を記録媒体に記録する。
図6は、実施形態に係る2次元コード情報に含まれる部品Pに関する情報の一例を示す図である。
【0062】
コンピュータ80及びコンピュータ81は、部品Pに関する情報として、例えば部品番号「ER11」、部品名称「エッジリング」、シリアル番号「123456」、製造年月日「20190101」を記録媒体に記録する。さらに、インストール日時「20200315/15:38」、取り外し日時「20210915/12:21」を記録媒体に記録する。マーカーには、特に部品番号、シリアル番号及び製造年月日の各情報は必ず埋め込まれている。これにより、コンピュータ80及びコンピュータ81は、部品番号、シリアル番号、製造年月日を取得することで部品Pを特定できる。
【0063】
コンピュータ80及びコンピュータ81は、ネットワークNを介してホストコンピュータ100に接続されている。コンピュータ80及びコンピュータ81の数は、2つに限られず、いくつであってもよい。ホストコンピュータ100は、クラウド上のコンピュータであってもよい。
【0064】
コンピュータ80及びコンピュータ81は、部品Pに関する情報をホストコンピュータ100に送信してもよい。ホストコンピュータ100は、コンピュータ80及びコンピュータ81から受信した部品Pに関する情報を記録媒体に蓄積し、履歴情報として部品管理に使用してもよい。
【0065】
部品Pに関する情報の収集タイミングについて説明する。部品のサプライヤや基板処理装置の製造メーカは、顧客に出荷する部品Pにシリアル番号などの情報が含まれる2次元コードのマーカーを直接刻印する。そして、どの部品Pが出荷されたかわかるように、顧客出荷前にリーダーR等で刻印したマーカーに埋め込まれた2次元コード情報を読み取り、読み取った部品Pに関する情報をホストコンピュータ100などの記録媒体に記録する。基板処理装置11を製造する際にもシリアル番号等の部品Pに関する情報を記録し、どの基板処理装置11にどの部品Pが組み込まれているのかが分かる状態にしておく。基板処理装置11に新たな部品Pを組み込む際や、消耗した部品Pを取り外す際にもリーダーR等でマーカーに埋め込まれた2次元コード情報を読み取り、読み取った情報をホストコンピュータ100などの記録媒体に記録する。これにより、記録した部品Pに関する情報に基づき、どの装置でどの部品がいつ着脱されたかを管理できる。
【0066】
例えば、出荷時に読み込んだ2次元コード情報と部品Pの着脱時に読み込んだ2次元コード情報とを比較することで、サードパーティ製の部品の有無を確認することができる。また、基板処理装置11の稼働情報をホストコンピュータ100などの記録媒体に記録することで、部品Pごとの稼働時間を算出でき、プロセス特性との相関関係の確認が容易となる。
【0067】
次に、部品Pに関する情報の使用例について説明する。ホストコンピュータ100及びコンピュータ80、81は、各基板処理装置11でトラブルが発生した場合に、蓄積した部品Pに関する情報を抽出し、トラブルの調査に利用することができる。また、蓄積した部品Pに関する情報に基づき、エッチング等のプロセス結果との相関関係を確認できるようになり、より微細で複雑なプロセスを行う際に利用できる。
【0068】
例えば、基板処理装置11のインストール時に、部品Pに刻印されたマーカーをリーダーR等により読み取ることにより、インストールした基板処理装置11にどの部品Pが使用されているかを迅速に把握でき、部品の管理及び分析を効率的に行うことができる。
【0069】
また、基板処理装置11から部品Pを取り外す時に、取り外す部品Pに形成されたマーカーを読み取ることにより、基板処理装置11から、いつ、どこで製造した部品Pがどの時点で取り外されたかを迅速に把握でき、効率的な部品管理及び分析が可能になる。
【0070】
また、例えば、基板処理装置11のインストール日時の履歴情報と、基板処理装置11から部品を取り外した日時の履歴情報とから部品P毎の使用の累積時間を管理できる。また、これらの履歴情報から部品Pに破損や故障等のトラブルが生じた場合、破損や故障を起こした部品Pの調査を迅速に行うことができる。
【0071】
ホストコンピュータ100及びコンピュータ80、81は、ユーザによって蓄積した履歴情報のうち使用が可能な情報を制限してもよい。
図7は、実施形態に係るユーザ毎に設定された使用可能情報の一例を示す図である。
【0072】
図7の例では、ユーザ「A」は、記録された履歴情報のうち部品番号、シリアル番号及び製造年月日を使用することが可能である。例えば、ホストコンピュータ100又はコンピュータ80、81がユーザ「A」の所有する端末装置の表示部に部品Pに関する履歴情報を表示する場合、表示部には、部品番号、シリアル番号及び製造年月日の情報が表示され、その他の情報は表示されない。
【0073】
一方、ユーザ「B」は、記録された履歴情報のうち部品番号、部品名称、シリアル番号、製造年月日、インストール日時及び取り外し日時を使用することが可能である。つまり、ユーザ「A」の所有する端末装置に表示する部品Pに関する履歴情報と、ユーザ「B」が所有する端末装置に表示する部品Pに関する履歴情報とは異なる。これにより、部品Pに関する履歴情報の開示範囲をユーザ毎に管理できる。
【0074】
以上に説明したように、実施形態にかかる基板処理装置用の部品Pは、レーザー加工によりシリアルナンバーをコード化したマーカーが部品Pに直接形成されている。リーダーR等は、マーカーに埋め込まれた2次元コード情報を取得し、ホストコンピュータ100等の記録媒体に記録する。これにより、記録作業時間の短縮、記録ミスの削減に貢献できる。また、読み取った2次元コード情報をホストコンピュータ100等の記録媒体に記録することで、1又は複数の基板処理装置11内の部品の履歴情報を蓄積できる。これにより、蓄積した部品の履歴情報に基づき、部品の管理、調査、分析を迅速に行うことができる。
【0075】
なお、部品に刻印されたマーカーをリーダーやカメラのファインダー画面内に収めることで、マーカーに応じた仮想的なコンテンツを現実環境下の表示に重畳させて表示する拡張現実(AR:Augmented Reality)の機能を実現することができる。この場合、マーカーに対応付けたコンテンツ情報を予めホストコンピュータ100等に記憶する。そして、マーカーをリーダーやカメラが読み取ることで、ホストコンピュータ100等からマーカーに紐付けられたコンテンツ情報がリーダーやカメラに送信される。これにより、リーダーやカメラの表示部に所望のコンテンツを表示することができる。
【0076】
今回開示された実施形態に係る基板処理装置用の部品及び基板処理システムは、すべての点において例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。上記の実施形態は、添付の請求の範囲及びその主旨を逸脱することなく、様々な形態で変形及び改良が可能である。上記複数の実施形態に記載された事項は、矛盾しない範囲で他の構成も取り得ることができ、また、矛盾しない範囲で組み合わせることができる。
【0077】
本開示の基板処理装置は、Atomic Layer Deposition(ALD)装置、Capacitively Coupled Plasma(CCP)、Inductively Coupled Plasma(ICP)、Radial Line Slot Antenna(RLSA)、Electron Cyclotron Resonance Plasma(ECR)、Helicon Wave Plasma(HWP)のいずれのタイプの装置でも適用可能である。
【符号の説明】
【0078】
1 基板処理システム
11 基板処理装置
14 載置台
14c マーカー
25 エッジリング
25c マーカー
34 天板
34c マーカー
80,81 コンピュータ
100 ホストコンピュータ
111~114 処理室
120 真空搬送室
P 部品
R リーダー