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特許7401402測定装置、膜厚センサ、成膜装置および異常判定方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-11
(45)【発行日】2023-12-19
(54)【発明の名称】測定装置、膜厚センサ、成膜装置および異常判定方法
(51)【国際特許分類】
   G01N 5/02 20060101AFI20231212BHJP
   C23C 14/52 20060101ALI20231212BHJP
   C23C 14/54 20060101ALI20231212BHJP
   C23C 16/52 20060101ALI20231212BHJP
   G01B 17/02 20060101ALN20231212BHJP
【FI】
G01N5/02 A
C23C14/52
C23C14/54 C
C23C16/52
G01B17/02 A
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2020118253
(22)【出願日】2020-07-09
(65)【公開番号】P2022022859
(43)【公開日】2022-02-07
【審査請求日】2023-05-11
(73)【特許権者】
【識別番号】000231464
【氏名又は名称】株式会社アルバック
(74)【代理人】
【識別番号】110003339
【氏名又は名称】弁理士法人南青山国際特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100104215
【弁理士】
【氏名又は名称】大森 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100196575
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 満
(74)【代理人】
【識別番号】100168181
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 哲平
(74)【代理人】
【識別番号】100144211
【弁理士】
【氏名又は名称】日比野 幸信
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 敦
(72)【発明者】
【氏名】堀下 芳邦
(72)【発明者】
【氏名】市橋 素子
(72)【発明者】
【氏名】我妻 美千留
【審査官】山口 剛
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-083958(JP,A)
【文献】特許第6703217(JP,B1)
【文献】特開2003-149058(JP,A)
【文献】特開2006-231084(JP,A)
【文献】国際公開第2009/038085(WO,A1)
【文献】特開平10-148653(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2020/0173898(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N 5/02
C23C 14/52
C23C 14/54
C23C 16/52
G01B 17/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
装置内に設置された水晶振動子と配線ケーブルを介して接続され、前記水晶振動子の発振周波数の変化に基づいて前記水晶振動子への付着物の質量を時系列的に測定する測定装置であって、
発振回路と、
前記水晶振動子の共振周波数を測定する測定回路と、
前記水晶振動子の基本周波数以外の周波数帯域における、前記水晶振動子および前記配線ケーブルを含む検出系からの周波数応答に関するデータであって、前記検出系の異常値として予め取得された異常値データを記憶する記憶部と、
前記異常値データに基づいて前記検出系の異常の有無を判定するコントローラと
を具備する測定装置。
【請求項2】
請求項1に記載の測定装置であって、
前記コントローラは、前記異常値データに基づいて前記検出系の異常個所をさらに判定する
測定装置。
【請求項3】
請求項1または2に記載の測定装置であって、
前記異常値データは、前記配線ケーブルの断線時および短絡時の少なくとも1つにおける前記検出系の周波数応答に関するデータを含む
測定装置。
【請求項4】
請求項3に記載の測定装置であって、
前記異常値データは、前記配線ケーブルの複数位置での断線時または短絡時における前記検出系の周波数応答に関するデータを含む
測定装置。
【請求項5】
請求項1~4のいずれか1つに記載の測定装置であって、
前記異常値データは、前記水晶振動子の基本周波数よりも低い周波数帯域における前記検出系の周波数応答に関するデータを含む
測定装置。
【請求項6】
請求項1~5のいずれか1つに記載の測定装置であって、
前記周波数応答に関するデータは、前記基本周波数以外の周波数における前記検出系のアドミタンスの実数部および虚数部の値である
測定装置。
【請求項7】
成膜装置内に設置された水晶振動子と、
配線ケーブルと、
前記水晶振動子と前記配線ケーブルを介して接続され、前記水晶振動子の発振周波数の変化に基づいて成膜レートを測定する測定装置と
を具備し、
前記測定装置は、
発振回路と、
前記水晶振動子の共振周波数を測定する測定回路と、
前記水晶振動子の基本周波数以外の周波数帯域における、前記水晶振動子および前記配線ケーブルを含む検出系からの周波数応答に関するデータであって、前記検出系の異常値として予め取得された異常値データを記憶する記憶部と、
前記異常値データに基づいて前記検出系の異常の有無を判定するコントローラと、を有する
膜厚センサ。
【請求項8】
請求項7に記載の膜厚センサを備えた成膜装置。
【請求項9】
装置内に設置された水晶振動子と配線ケーブルを介して接続され、前記水晶振動子の発振周波数の変化に基づいて前記水晶振動子への付着物の質量を時系列的に測定することが可能な測定装置を用いた異常判定方法であって、
前記水晶振動子の基本周波数以外の周波数帯域における、前記水晶振動子および前記配線ケーブルを含む検出系からの周波数応答に関するデータであって、前記検出系の異常値として予め取得された異常値データを前記測定装置の記憶部に記憶し、
前記異常値データに基づいて前記検出系の異常の有無を前記測定装置の判定部により判定する
異常判定方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、水晶振動子の共振周波数の変化に基づいて膜厚を測定する膜厚測定装置および成膜装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、真空蒸着装置などの成膜装置において、基板に成膜される膜の厚みおよび成膜速度を測定するために、水晶振動子を用いた微量な質量変化を計測する方法としてQCM(Quartz Crystal Microbalance)という技術が用いられている。この方法は、チャンバ内に配置されている水晶振動子の共振周波数が、蒸着物の堆積による質量の増加によって低下することを利用する。したがって、水晶振動子の共振周波数の変化を測定することにより、膜厚および成膜速度を測定することが可能となる。
【0003】
膜厚測定装置は、チャンバの外側(大気側)に設置され、同軸ケーブル等の配線ケーブルを介してチャンバ内の水晶振動子に電気的に接続される。膜厚測定装置は、水晶振動子を発振させるとともに、その周波数応答に基づいて水晶振動子の共振周波数の変化を測定する。例えば特許文献1には、一定時間間隔で水晶振動子の共振周波数を測定し、これら共振周波数に基づいて算出される膜厚の移動平均をとって、膜厚増加量を算出する方法が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】WO2009/038085号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
膜厚測定装置に故障が生じた場合は、膜厚測定装置内のハードウェアおよびソフトウェアによりその故障個所を判断することが可能である。しかし、配線ケーブルに断線や短絡が生じた場合はその異常個所を容易に判断することができない。特に、配線ケーブルはチャンバ内の水晶振動子とチャンバ外の膜厚測定装置との間を接続する。したがって、異常個所を判断できない場合、異常個所がチャンバ外の場合であったとしてもチャンバ内を大気に開放する作業が必要となるなど、配線ケーブルの異常個所の特定に手間と時間を要していた。
【0006】
以上のような事情に鑑み、本発明の目的は、配線ケーブルの異常個所を判定することができる測定装置、膜厚センサ、成膜装置および異常判定方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するため、本発明の一形態に係る測定装置は、装置内に設置された水晶振動子と配線ケーブルを介して接続され、前記水晶振動子の発振周波数の変化に基づいて前記水晶振動子への付着物の質量を時系列的に測定する測定装置であって、発振回路と、測定回路と、記憶部と、コントローラとを具備する。
前記測定回路は、前記水晶振動子の共振周波数を測定する。
前記記憶部は、前記水晶振動子の共振周波数以外の周波数帯域における、前記水晶振動子および前記配線ケーブルを含む検出系からの周波数応答に関するデータであって、前記検出系の異常値として予め取得された異常値データを記憶する。
前記コントローラは、前記異常値データに基づいて前記検出系の異常の有無を判定する。
【0008】
前記コントローラは、前記異常値データに基づいて前記検出系の異常個所をさらに判定するように構成されてもよい。
【0009】
前記異常値データは、前記配線ケーブルの断線時および短絡時の少なくとも1つにおける前記検出系の周波数応答に関するデータを含んでもよい。
【0010】
前記異常値データは、前記配線ケーブルの複数位置での断線時または短絡時における前記検出系の周波数応答に関するデータを含んでもよい。
【0011】
前記異常値データは、前記水晶振動子の基本周波数よりも低い周波数帯域における前記検出系の周波数応答に関するデータを含んでもよい。
【0012】
前記周波数応答に関するデータは、前記基本周波数以外の周波数における前記検出系のアドミタンスの実数部および虚数部の値であってもよい。
【0013】
本発明の一形態に係る膜厚センサは、成膜装置内に設置された水晶振動子と、配線ケーブルと、前記水晶振動子と前記配線ケーブルを介して接続され、前記水晶振動子の発振周波数の変化に基づいて成膜レートを測定する測定装置とを具備する。
前記測定装置は、発振回路と、測定回路と、記憶部と、コントローラとを有する。
前記測定回路は、前記水晶振動子の共振周波数を測定する。
前記記憶部は、前記水晶振動子の基本周波数以外の周波数帯域における、前記水晶振動子および前記配線ケーブルを含む検出系からの周波数応答に関するデータであって、前記検出系の異常値として予め取得された異常値データを記憶する。
前記コントローラは、前記異常値データに基づいて前記検出系の異常の有無を判定する。
【0014】
本発明の一形態に係る異常判定方法は、装置内に設置された水晶振動子と配線ケーブルを介して接続され、前記水晶振動子の発振周波数の変化に基づいて前記水晶振動子への付着物の質量を時系列的に測定することが可能な測定装置を用いた異常判定方法であって、
前記水晶振動子の基本周波数以外の周波数帯域における、前記水晶振動子および前記配線ケーブルを含む検出系からの周波数応答に関するデータであって、前記検出系の異常値として予め取得された異常値データを前記測定装置の記憶部に記憶し、
前記異常値データに基づいて前記検出系の異常の有無を前記測定装置の判定部により判定する。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、配線ケーブルの異常個所を判定することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】本発明の一実施形態に係る膜厚測定装置を備えた成膜装置を示す概略断面図である。
図2】センサヘッドと膜厚測定装置との接続形態を示す図である。
図3】膜厚測定装置の一構成例を示すブロック図である。
図4】上記センサヘッドの典型的な等価回路である。
図5】水晶振動子の共振点付近における応答特性の一例を示す図である。
図6】上記膜厚測定装置において実行されるケーブル異常判定モードの処理手順を示すフローチャートである。
図7】基本周波数が4MHzの水晶振動子へ3MHzから6MHzの正弦波信号を入力したときのアドミタンス特性の一例を示す図である。
図8】配線ケーブルの異常値データの一例を示すプロット図である。
図9】配線ケーブルの断線不良に関するアドミタンスの虚数部の異常値データとケーブル長との関係を示す近似直線である。
図10】配線ケーブルの短絡不良に関するアドミタンスの虚数部の異常値データとケーブル長との関係を示す近似直線である。
図11】上記成膜装置の動作を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、図面を参照しながら、本発明の実施形態を説明する。
【0018】
[成膜装置]
図1は、本発明の一実施形態に係る成膜装置を示す概略断面図である。本実施形態では、成膜装置10として真空蒸着装置を例に挙げて説明する。まず、成膜装置10の基本構成について説明する。
【0019】
成膜装置10は、真空チャンバ11と、真空チャンバ11の内部に配置された蒸着源12と、蒸着源12と対向するステージ13と、真空チャンバ11の内部に配置されたセンサヘッド14と、センサヘッド14の出力に基づいて成膜レートを測定するとともに、蒸着源12を制御可能に構成された測定ユニット17とを有する。
【0020】
蒸着源12は、成膜材料の蒸気(粒子)を発生させることが可能に構成される。本実施形態において、蒸着源12は、電源ユニット18に電気的に接続されており、成膜材料を加熱蒸発させて蒸着粒子を放出させる蒸発源を構成する。蒸発源の種類は特に限定されず、抵抗加熱式、誘導加熱式、電子ビーム加熱式などの種々の方式が適用可能である。成膜材料は、有機材料、金属材料、金属化合物材料(例えば、金属酸化物、金属窒化物、金属炭化物等)などであってもよい。
【0021】
ステージ13は、半導体ウエハやガラス基板等の成膜対象である基板Wを、蒸着源12に向けて保持することが可能に構成されている。
【0022】
センサヘッド14は、所定の基本周波数(固有振動数)を有する水晶振動子を内蔵する。水晶振動子の表面は、蒸着源12と対向する位置に配置され、典型的には、ステージ13の近傍に配置される。
【0023】
センサヘッド14の出力は、測定ユニット17へ供給される。測定ユニット17は、水晶振動子の共振周波数の変化に基づいて、水晶振動子への付着物(堆積物)の質量を時系列的に測定する測定装置として構成される。測定ユニット17はさらに、蒸着膜の成膜レートを測定するとともに、当該成膜レートが所定値となるように電源ユニット18を介して蒸着源12を制御することが可能に構成される。
【0024】
成膜装置10は、シャッタ16をさらに有する。シャッタ16は、蒸着源12とステージ13との間に配置されており、蒸着源12からステージ13およびセンサヘッド14に至る蒸着粒子の入射経路を開放あるいは遮断することが可能に構成される。
【0025】
シャッタ16の開閉は、図示しない制御ユニットによって制御される。典型的には、シャッタ16は、蒸着開始時、蒸着源12において蒸着粒子の放出が安定するまで閉塞される。そして、蒸着粒子の放出が安定したとき、シャッタ16は開放される。これにより、蒸着源12からの蒸着粒子がステージ13上の基板Wに到達し、基板Wの成膜処理が開始される。同時に、蒸着源12からの蒸着粒子は、センサヘッド14へ到達し、測定ユニット17において基板W上の蒸着膜の膜厚およびその成膜レートが監視される。
【0026】
図2は、センサヘッド14と測定ユニット17との接続形態を示す図である。同図に示すように、センサヘッド14と測定ユニット17は、配線ケーブル18によって相互に電気的に接続されている。センサヘッド14および配線ケーブル18は検出系Sを構成し、その周波数応答特性が測定ユニット17により監視される。また、センサヘッド14、測定ユニット17および配線ケーブル18により、膜厚センサ20が構成される。
【0027】
センサヘッド14は、水晶振動子140と、水晶振動子140を保持するホルダ141とを有する。ホルダ141は、水晶振動子140の表裏面に形成された電極と配線ケーブル18とを相互に電気的に接続する。ホルダ141は、複数の水晶振動子140を保持可能に構成されてもよい。この場合、ホルダ141は、使用する水晶振動子140を個々に切り替え可能に構成される。
【0028】
水晶振動子140は、基本周波数を有する。水晶振動子140を構成する材料は、例えば、ATカット型水晶振動子、あるいは、SCカット型水晶振動子である。水晶振動子140の基本周波数は、例えば、3MHz以上6MHz以下である。なお、付着する質量が微小である場合は、検出感度を高める意味で水晶振動子の基本周波数は高い値とされる。例えば気中に存在する微小質量の検出を行う際には、例えば、数十MHzの基本周波数を有する水晶振動子が選択される。
【0029】
配線ケーブル18には、例えば同軸ケーブルが用いられる。配線ケーブル18は、1本のケーブル部材で構成されてもよいが、本実施形態では、真空チャンバ11の外部に配置された第1ケーブル部181と、真空チャンバ11の内部に配置された第2ケーブル部182とを有し、これら第1ケーブル181および第2ケーブル182が真空チャンバ11の壁部11wに設置されたコネクタ19を介して連結される。第1ケーブル部181は、測定ユニット17とコネクタ19との間に接続され、第2ケーブル部182は、センサヘッド14とコネクタ19との間に接続される。
【0030】
図3は、測定ユニット17の一構成例を示すブロック図である。測定ユニット17は、発振回路41と、測定回路42と、コントローラ43と、記憶部44とを有する。
【0031】
発振回路41および測定回路42は、ネットワークアナライザとして機能する。後述するように、発振回路41は、センサヘッド14の水晶振動子140へ所定周波数の正弦波信号を入力することで水晶振動子140を発振させる。測定回路42は、水晶振動子140の出力信号や発振回路41から出力される入力信号に基づいて、水晶振動子140の共振周波数や位相などの電気的特性を測定して、コントローラ43へ出力するように構成される。
【0032】
基板Wへの成膜時は、水晶振動子140の表面にも蒸着源12からの成膜材料が堆積する。水晶振動子140の表面に堆積する成膜材料は、任意の時間間隔で新たに付加された質量として、水晶振動子140の振動周波数を変化させる。また、水晶振動子140の表面における堆積物の質量は、堆積物の密度と相関を有する。つまり、水晶振動子140の振動周波数の変化を測定すれば、水晶振動子140の表面に堆積した成膜材料の膜厚である長さを求めることができる。測定ユニット17は、水晶振動子140を加振し、加振の結果である振動波形から膜厚を間接的に測定する。
【0033】
測定ユニット17は、加振源として所定周波数の正弦波信号を用いる。加振された水晶振動子140は、表面に付着した堆積物を含めた系として応答する。測定ユニット17は、機械的な振動現象を含む水晶振動子140の応答を、水晶振動子140の圧電効果を介した電気的な振動波形として検出する。測定ユニット17は、検出結果である波形を記憶し、記憶された波形の解析を行う。水晶振動子140の振動波形は、記憶部44に記憶される。測定ユニット17は、波形の解析結果に含まれる膜厚を抽出して出力する。
【0034】
図4は、センサヘッド14の典型的な等価回路である。同図に示すように、水晶振動子140は、モーショナル容量C、モーショナルインダクタンスL、直列等価抵抗Rから構成される直列共振回路と、スタティック容量Cとの並列回路として示される。直列共振回路は、水晶振動子140の機械振動要素を含む等価回路である。スタティック容量Cは、例えば、水晶振動子140の表裏面に形成された電極間の容量と、水晶振動子140を保持するホルダ141などが有する寄生容量とを含む。直列等価抵抗Rは、水晶振動子140が振動するときの内部摩擦、機械的な損失、音響損失などの振動の損失成分を示す。一般に、直列等価抵抗R1が高いほど、水晶振動子140は、振動しにくくなる。
【0035】
図5に、水晶振動子140の共振点付近における水晶振動子140の応答特性の一例を示す。同図において、横軸は周波数[Hz]、縦軸はアドミタンス[S]である。図中、Gは、アドミタンスの実数部(コンダクタンス)、Bはアドミタンスの虚数部(サセプタンス)である。虚数部Bがゼロとなる点が共振点であり、そのときの周波数が水晶振動子140に膜が付いたときの共振周波数となる。
【0036】
アドミンタンスの実数部Gおよび虚数部Bは、ωを角周波数として、それぞれ以下の式(1)、(2)により求められる。
【数1】
【数2】
【0037】
記憶部44は、半導体メモリ、ハードディスクドライブなどの記憶装置で構成される。記憶部44は、上述したように、加振源として所定周波数の正弦波信号をセンサヘッド14に入力したときの水晶振動子140の振動波形を含む、検出系Sからの周波数応答を記憶する。
【0038】
記憶部44はさらに、水晶振動子140の共振周波数以外の周波数帯域における検出系Sからの周波数応答に関するデータであって、検出系Sの異常値として予め取得された異常値データを記憶する。異常値データは、後述するように、配線ケーブル18の断線や短絡等のケーブル異常時に測定される検出系Sのアドミタンス特性に関する参照データである。以下の説明では、配線ケーブル18の断線や短絡、コネクタ19におけるケーブル部181,182の接続不良をケーブル異常ともいう。
【0039】
コントローラ43は、典型的には、CPU(Central Processing Unit)、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)等のコンピュータに用いられるハードウェア要素および必要なソフトウェアにより実現される。CPUに代えて、またはこれに加えて、FPGA(Field Programmable Gate Array)等のPLD(Programmable Logic Device)、あるいは、DSP(Digital Signal Processor)等が用いられてもよい。コントローラ43は、測定ユニット17の動作を制御する。コントローラ43は、成膜装置10の動作全体を制御するように構成されてもよい。コントローラ43に後述する各処理を実行させる制御プログラムは、コントローラ43内のROM、あるいは記憶部44に格納される。
【0040】
コントローラ43は、水晶振動子140の共振周波数の変化を算出する演算部として構成される。コントローラ43は、水晶振動子140の共振周波数を単位時間毎に取得し、基板W上への蒸着粒子の成膜レートおよび基板Wに堆積した蒸着膜の膜厚を算出する。コントローラ43はさらに、成膜レートが所定値となるように蒸着源12を制御する。
【0041】
コントローラ43は、典型的には、以下の式(3)で表されるLu and Lewisの式を用いて、水晶振動子140の共振周波数の変化を算出する。
【数3】
式(1)中、ρfは、膜の密度(g/cm3)、tfは、膜の厚さ(nm)、ρqは、水晶振動子の密度(g/cm3)、tqは、水晶振動子の厚さ(nm)、Zは、音響インピーダンス比、fqは、未成膜時の水晶振動子の周波数(Hz)、fcは、成膜後の水晶振動子の周波数(Hz)である。
【0042】
[配線ケーブルの異常判定]
測定ユニット17が真空チャンバ11の外部に設置される成膜装置10においては、配線ケーブル18が真空チャンバ11の外部に架け渡される第1ケーブル部181と、真空チャンバ11の内部に架け渡される第2ケーブル部182の2本のケーブルを介してセンサヘッド14と測定ユニット17との間が接続される(図2参照)。一般に、配線ケーブルに断線あるいは短絡等の異常が生じた場合、その異常個所の特定が困難である。したがって、配線ケーブル18に異常が生じた場合、その異常個所が第1ケーブル部181にあるのか、あるいは第2ケーブル部182にあるのかを容易に判定することができない。このため、異常個所が第1ケーブル部181の場合でも真空チャンバ11内を大気に開放する作業が必要となるなど、異常個所の特定に手間と時間を要していた。
【0043】
このような問題に鑑み、コントローラ43は、配線ケーブル18の異常個所を判定することが可能に構成される。図6は、コントローラ43において実行されるケーブル異常判定モードの処理手順を示すフローチャートである。同図に示す異常判定モードは、例えば、成膜装置10による基板Wへの成膜処理の前に実行される。
【0044】
QCMを用いた膜厚測定において、水晶振動子140の共振点以外では、その直列等価抵抗R図4参照)はほぼ無限大となる。このため、水晶振動子140の共振点およびその副共振以外、または、N倍波およびその副共振以外は、オープン(断線)状態と同じとなる。また、共振点以外の周波数帯域における検出系Sの周波数応答は、配線ケーブル18の情報を含んでいる。コントローラ43は、この水晶振動子140の共振点以外の周波数帯域における検出系Sの周波数応答から配線ケーブル18の異常の有無、種類および異常個所を判定する。本実施形態では、周波数応答として検出系Sのアドミタンス特性が参照される。
【0045】
そこで、コントローラ43は、まず、発振回路41の発振周波数を掃引する(ステップ101)。発振周波数の掃引範囲は特に限定されず、例えば、3MHzから6MHzの範囲である。
【0046】
図7に、基本周波数が4MHzの水晶振動子140へ3MHzから6MHzの正弦波信号を入力したときの検出系Sのアドミタンス特性の一例を示す。ここでは、配線ケーブル18の校正前の状態を示している。共振点ではアドミタンスの虚数部Bの値が上下に変動する。同図より、水晶振動子140は、基本周波数とそれより高い周波数に共振点をもつが、基本周波数よりも低い周波数では共振点がないことがわかる。
【0047】
続いて、コントローラ43は、特定周波数における検出系Sの周波数応答(アドミタンス)を測定する(ステップ102)。特定周波数は、水晶振動子140の基本周波数(4MHz)以外の帯域であれば特に限定されず、本実施形態では、水晶振動子140の基本周波数よりも低い周波数帯域(例えば3MHz)が特定周波数として採用される。
【0048】
続いて、コントローラ43は、後述するように、記憶部44に格納された異常値データに基づき、ケーブル異常を判定する(ステップ103)。
【0049】
図7に示すようなアドミタンス特性を有する検出系Sにおいて、ケーブル異常が生じている場合、検出系Sのアドミタンスの実数部および虚数部の値が、ケーブル異常が生じていない場合から大きく変化する。配線ケーブル18の所定の位置で断線(open)あるいは短絡(short)させたときに測定される検出系Sの特定周波数である3MHzにおけるアドミタンスの実数部Gおよび虚数部Bの値を表1および表2にそれぞれ示す。
【0050】
【表1】
【0051】
【表2】
【0052】
表1,2において、距離[m]は、配線ケーブル18の測定ユニット17側の接続端部から異常個所までの配線ケーブル18の長さ(ケーブル長)に相当する。この例においては、距離を0.9m、3m、4.5mおよび6mの4か所としたが、配線ケーブル18の長さ等に応じて距離やサンプル数を任意に設定することができる。表1は、各距離であらかじめ配線ケーブル18を断線させたときに測定される検出系Sのアドミタンスの実数部(real)および虚数部(imaginary)の値である。一方、表2は、各距離であらかじめ配線ケーブル18を短絡させたときの検出系Sのアドミタンスの実数部(real)および虚数部(imaginary)の値である。アドミタンスの実数部の算出には上記(1)式が用いられ、虚数部の算出には上記(2)式が用いられる。
【0053】
ケーブル異常が生じていない場合は、図7に示すように、例えば3MHzにおけるアドミタンスの実数部Gの値は約-18[S]、虚数部Bの値は約-40[S]である。これに対して、ケーブル異常が生じている場合は、表1および表2に示すように、検出系Sのアドミタンスの実数部および虚数部の値は、ケーブル異常が生じていない場合と桁違いに異なる。このように、水晶振動子140の基本周波数(4MHz)とは異なる周波数帯域のアドミタンス特性を評価することで、ケーブル異常の有無を容易に判定することができる。
【0054】
これら表1,2に示した値は、検出系Sからの周波数応答に関するデータであって、所定のケーブル長における断線および短絡時の周波数応答の異常値データとして記憶部44にあらかじめ格納される。
【0055】
図8は、表1および表2に示したアドミタンスの測定値を横軸に実数部(real)、縦軸に虚数部(imaginary)を有する二次元座標系にプロットした図である。同図に示すように、配線ケーブル18の断線(open)を示す異常値データが属する領域と短絡(short)を示す異常値データが属する領域は、互いに大きく異なる。したがって、これら異常値データが属する領域の違いで、ケーブル異常が断線および短絡のいずれの分類に属するかを判定することができる。
【0056】
ケーブル異常の分類方法としては、例えば、最近傍探索法などで、測定した点と元のデータ(記憶部44に格納された異常値データ)との距離が一番小さいものを探す方法、あるいは、測定した点が断線および短絡の各領域を表す関数内に含まれるか否かを判定する方法などが挙げられる。
【0057】
最近傍探索法による分類方法としては、発振回路41から水晶振動子140へ3MHzの正弦波信号を入力したときに測定される検出系Sのアドミタンスの実数部および虚数部のデータをそれぞれG'およびB'とし、記憶部44に格納されたアドミタンスの実数部および虚数部の異常値データをそれぞれGiおよびBi(iは表1,2に示す各距離に相当する各ケーブル長)としたとき、
Min((G'-Gi)+(B'-Bi)) ・・・(4)
となる長さを探索する。
【0058】
一方、領域を表す関数を用いる分類方法としては、例えば関数を円としたとき、その点を含む円の式を以下のように定義する。
(G'-a)+(B'-b)=c ・・・(5)
ここで、a,bおよびcは、円の中心座標(図8において二点鎖線で示す円形の領域C1,C2の中心座標)である。そして、
(G'-a)+(B'-b)<c ・・・(6)
の条件を満たす場合、測定値が領域C1あるいは領域C2に含まれるとみなす。そして、測定値が領域C1に属するときはケーブル異常が断線であると判定され、領域C2に属するときはケーブル異常が短絡であると判定される。領域C1,C2は円形に限られず、楕円形、長方形などであってもよい。
【0059】
さらに、異常値データに基づいて、測定されたアドミタンスの値から配線ケーブル18の断線箇所あるいは短絡箇所を推定することができる。コントローラ43は、ケーブル異常を判定した場合、異常値データに基づき、配線ケーブル18の異常個所を判定する(ステップ104)。
【0060】
異常個所の判定に際して本実施形態では、あらかじめ取得した異常値データに基づいて近似直線を用いて、測定値から異常個所を演算する。例えば、図9に、断線不良に関するアドミタンスの虚数部Bの異常値データとケーブル長との関係を示す近似直線を示している。この例では、縦軸(ケーブル長)をy、横軸をx(アドミタンスの虚数部の値)としたとき、以下の近似直線が得られる。
y=-0.0032x-0.3904 ・・・(7)
また、図10に、短絡不良に関するアドミタンスの虚数部Bの異常値データとケーブル長との関係を示す近似直線を示す。この例では、以下の近似直線が得られる。
y=0.0023x+3.993 ・・・(8)
【0061】
コントローラ43は、得られた測定値を上記(7)式あるいは(8)式で示す近似直線に代入することにより、配線ケーブル18の断線位置あるいは短絡位置を算出することができる。
【0062】
続いて、コントローラ43は、上述のようにして判定した配線ケーブル18の異常の有無、異常の分類、異常個所などを表示部30に表示する(ステップ105)。表示部30としては、成膜レートや膜厚などを表示する表示部を共通に用いることができる。
【0063】
以上のように本実施形態によれば、センサヘッド14および配線ケーブル18を含む検出系Sからの周波数応答に基づいてケーブル異常を判定することができるため、配線ケーブル18の断線や短絡、コネクタ19の接続不良や短絡の有無などを容易に判定することができる。
【0064】
また、配線ケーブル18の異常個所の判定結果より、実際に生じている異常個所を推定あるいは予測することができるため、異常個所が大気側に生じているのか、あるいは真空側に生じているのかの区別が可能となる。このため、異常が大気側に生じている場合は、真空チャンバ11を大気に開放することなく、第1ケーブル部181のみを交換すればよいため、メンテナンス性や生産性の低下を抑えることができる。
【0065】
[成膜装置の動作]
図11は、成膜装置10の動作を示すフローチャートである。以下、成膜装置10の典型的な動作について説明する。
【0066】
測定ユニット17に電源が投入された後、測定ユニット17の診断が行われる(ステップ201)。測定ユニット17の診断方法は特に限定されず、典型的には、あらかじめコントローラ43等にインストールされた診断用のソフトウェアを用いて行うことができる。
【0067】
コントローラ43は、測定ユニット17の診断結果が異常であるか否かを判定する(ステップ202)。測定ユニット17に異常があれば表示部30へ警告を表示し、処理を終了する。測定ユニット17に異常がない場合は、上述した配線ケーブル18の異常判定診断が行われる(ステップ202)。
【0068】
コントローラ43は、配線ケーブル18の診断処理の結果、ケーブル異常が無ければ成膜処理を開始する(ステップ203)。一方、ケーブル異常を検出したとき、その異常内容(断線あるいは短絡)、異常個所(ケーブル長)などを表示部30へ表示し、ケーブル異常が解消したとき、成膜処理を開始する(ステップ203)。
【0069】
成膜処理において、コントローラ43は、上述のように、水晶振動子140の共振周波数の変化に基づいて成膜レートおよび膜厚を測定する。コントローラ43は、成膜処理中において定期的にステップ202のケーブル診断処理を実行してもよい。この場合、発振回路41の発振周波数を、水晶振動子140の共振帯域における周波数応答と、ケーブル診断用の特定周波数帯域(3MHz)における周波数応答とを交互に監視するようにしてもよい。あるいは、水晶振動子140の振動波形の検出中に異常が検出されたとき、上記特定周波数帯域の周波数応答を監視するようにしてもよい。この場合、振動波形の異常が配線ケーブル18に起因するものであるのか、あるいは、蒸着源12のスプラッシュに起因するものであるのか等を判別することができる。
【0070】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上述の実施形態にのみ限定されるものではなく種々変更を加え得ることは勿論である。
【0071】
例えば以上の実施形態では、ケーブル異常の診断用の特定周波数を3MHzとしたが、これに限られない。例えば、膜厚が90μmのアルミニウムの場合の水晶振動子140の共振周波数は、基本周波数が4MHzのときは3.3MHz、基本周波数が5MHzのときは4.0MHz、そして、基本周波数が6MHzのときは4.5MHzである。このため、基本周波数が4MHzの水晶振動子140の場合、3.3MHzより小さい周波数帯域を上記特定周波数として採用することにより、膜厚測定とケーブル診断判定の両立を図ることができる。なお、上記特定周波数は、水晶振動子140の基本周波数よりも低い周波数帯域に限られず、水晶振動子140の基本周波数より高い周波数帯域に設定されてもよい。
【0072】
また、以上の実施形態では、ケーブル異常として配線ケーブル18の断線および短絡を判定対象としたが、これに限られず、断線のみ、あるいは短絡のみを判定対象としてもよい。
【0073】
さらに以上の実施形態では、ケーブル異常の判定パラメータに用いる検出系Sの周波数応答として、検出系Sのアドミタンスを測定したが、これに限られず、検出系Sのインピーダンスを測定してもよい。また、アドミタンスの実数部および虚数部の両方を測定対象としたが、実数部のみ、あるいは虚数部のみを測定対象としてもよい。検出系Sのインピーダンスを測定する場合は、インピーダンスの実数部および虚数部の両方を測定対象としてもよいし、インピーダンスの実数部のみ、あるいはその虚数部のみを測定対象としてもよい。
【0074】
さらに以上の実施形態では、成膜装置として真空蒸着装置を例に挙げて説明したが、これに限られず、スパッタ装置やCVD装置等の他の成膜装置にも本発明は適用可能である。
【0075】
さらに以上の実施形態では、成膜装置用の膜厚センサを例に挙げて説明したが、これに限られない。例えば、装置内の汚染度合を測定する汚染モニタなどのように、水晶振動子の発振周波数の変化を利用して特定の付着物の質量を定量的に測定することが可能な各種センサにも本発明は適用可能である。この場合においても、水晶振動子に接続される配線ケーブルの異常の有無などを容易に判定することができる。
【0076】
さらに以上の実施形態では、記憶部44は予め取得された異常値データ(配線ケーブル18の断線や短絡等のケーブル異常時に測定される検出系Sのアドミタンス特性に関する参照データ)を記憶した例を説明したが、これに限られない。例えば、上記異常値データに加えて、記憶部は予め取得された正常値データの範囲を記憶し、その正常値データの範囲外を異常として処理を実行してもよい。正常値データとしては、例えば配線ケーブル18の揺動や、配線ケーブル18と人体が接触する等によって発生する、配線ケーブル18の対地浮遊容量の変化の範囲(想定される環境変化に起因する範囲)とすることができる。さらに、短絡や断線現象を異常値データの範囲とした場合、異常値データおよび正常値データの両範囲の任意の値を境界として定める事が出来、この境界を超過した際に、異常に近づいたとする警告を発する事も可能となる。このような警告の機能を設ければ、短絡や断線に至る前に予防的な保全を装置に施せる為、異常発報後に対処する事に比べ、更に生産性を向上させる事が可能となる。
【0077】
さらに以上の実施形態では、コントローラ43は発振周波数を掃引することで検出系Sの異常の有無を判定するようにしたが、所謂正弦波振動試験方法に限らず、十分なS/N比が得られるのであれば衝撃試験方法(所謂インパルス信号等を用いた解析手法)等が用いられてもよい。あるいは、発振周波数の掃引に代え白色雑音信号を用いる事が考えられる。これらインパルス信号や白色雑音信号を用いた場合は、全ての周波数領域に於いて信号を発振する事が正弦波振動試験法と異なるが(正弦波振動試験法を用いた場合は発振周波数である掃引範囲のみ信号を発信する)、水晶振動子の基本周波数ならびに共振周波数、発振周波数、すべての周波数領域に同時に信号を発信し、その結果として得られる発振周波数領域の周波数応答データについてのみ異常値データを対比することを行うことで、異常の有無の判定を行えば良い。また特定周波数については特定の周波数値を用いず、特定周波数範囲とし当該範囲の面積比を比較する手法を用い、異常の有無について判定を行っても良い。
【符号の説明】
【0078】
10…成膜装置
14…センサヘッド
17…測定ユニット(測定装置)
18…配線ケーブル
20…膜厚センサ
41…発振回路
42…測定回路
43…コントローラ
44…記憶部
140…水晶振動子
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11