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特許7401433化学物質送達システムと同化学物質送達システムの操作方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-11
(45)【発行日】2023-12-19
(54)【発明の名称】化学物質送達システムと同化学物質送達システムの操作方法
(51)【国際特許分類】
   C23C 16/448 20060101AFI20231212BHJP
   H01L 21/31 20060101ALI20231212BHJP
【FI】
C23C16/448
H01L21/31 B
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2020530317
(86)(22)【出願日】2018-12-07
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2021-02-18
(86)【国際出願番号】 US2018064508
(87)【国際公開番号】W WO2019113466
(87)【国際公開日】2019-06-13
【審査請求日】2020-08-03
【審判番号】
【審判請求日】2022-10-18
(31)【優先権主張番号】62/595,740
(32)【優先日】2017-12-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】505307471
【氏名又は名称】インテグリス・インコーポレーテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110002077
【氏名又は名称】園田・小林弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】エルドリッジ, デーヴィッド ジェームズ
(72)【発明者】
【氏名】ピーターズ, デーヴィッド
(72)【発明者】
【氏名】ライト, ロバート,ジュニア.
(72)【発明者】
【氏名】ヘンドリックス, ブライアン シー.
(72)【発明者】
【氏名】バトル, スコット エル.
(72)【発明者】
【氏名】グレッグ, ジョン
【合議体】
【審判長】宮澤 尚之
【審判官】立木 林
【審判官】後藤 政博
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2005/0166847(US,A1)
【文献】国際公開第2015/012257(WO,A1)
【文献】特表2017-519908(JP,A)
【文献】特表平3-500667(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C23C 16/445
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1つのバルク容器、複数の離間したチューブを含む少なくとも1つの運転/補充チャンバ、および少なくとも1つの堆積チャンバを備えた化学物質送達システムを操作する方法であって、
前駆体をバルク容器のうちの少なくとも1つに保存すること、
前駆体を蒸気の形態でバルク容器から第一の運転/補充チャンバへ輸送すること、
第一の運転/補充チャンバで前駆体を蒸気の形態で受け取ること、
第一の運転/補充チャンバで前駆体を固体の形態に凝縮し、保存すること、
第一の運転/補充チャンバ内で固体の前駆体を昇華させること、および
第一の運転/補充チャンバから第一の堆積チャンバへ、昇華した前駆体を蒸気の形態で輸送すること
を含み、
運転/補充チャンバのうちの少なくとも1つが、前駆体を蒸気の形態で受け取り、前駆体を固体の形態で保存するように構成された表面を有する、複数の離間したチューブを含む、
方法。
【請求項2】
前駆体を蒸気の形態でバルク容器から第二の運転/補充チャンバへ輸送すること、
第二の運転/補充チャンバで前駆体を蒸気の形態で受け取ること、および
第二の運転/補充チャンバで前駆体を固体の形態に凝縮し、保存すること
をさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前駆体が、第二の運転/補充チャンバで蒸気の形態で受け取られ、固体の前駆体が、第一の運転/補充チャンバ内で昇華される、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
第二の運転/補充チャンバ内で固体の前駆体を昇華させること、および
第二の運転/補充チャンバから第一の堆積チャンバへ、昇華した前駆体を蒸気の形態で輸送すること
をさらに含む、請求項2に記載の方法。
【請求項5】
固体の前駆体が第二の運転/補充チャンバ内で昇華され、前駆体が第一の運転/補充チャンバで蒸気の形態で受け取られる、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前駆体を蒸気の形態でバルク容器から第一の運転/補充チャンバへ輸送することが、バルク容器を加熱し、第一の加熱された導管内で蒸気を輸送することを含み、
第一の運転/補充チャンバで前駆体を固体の形態に凝縮し、保存することが、第一の運転/補充チャンバを冷却することを含み、
昇華した前駆体を蒸気の形態で第一の運転/補充チャンバから第一堆積チャンバへ輸送することが、第一の運転/補充チャンバを加熱し、第二の加熱された導管内で蒸気を輸送することを含む、
請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前駆体を保存するように構成された少なくとも1つのバルク容器、
前駆体を蒸気の形態で受け取り、前駆体を固体の形態で保存するように構成された、複数の離間したチューブを含む少なくとも1つの運転/補充チャンバ、
運転/補充チャンバから昇華した前駆体を受け取るように構成された少なくとも1つの堆積チャンバ、
バルク容器を運転/補充チャンバに接続して前駆体をバルク容器から運転/補充チャンバへ蒸気の形態で輸送するための第一の導管、および
昇華した前駆体を蒸気の形態で運転/補充チャンバから堆積チャンバへ輸送するための第二の導管
を備え、
運転/補充チャンバのうちの少なくとも1つが、前駆体を蒸気の形態で受け取り、前駆体を固体の形態で保存するように構成された表面を有する、複数の離間したチューブを含む、
化学物質送達システム。
【請求項8】
複数の離間したチューブの各々が発泡体で充填される、請求項7に記載の化学物質送達システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、概して化学物質送達システムに関し、特に、化学蒸着プロセスでの使用のための化学物質送達システムに関する。
【背景技術】
【0002】
化学蒸着(CVD)は、物質の薄膜を基板上に堆積させるために用いられる化学プロセスである。例えば、半導体産業では、しばしば膜がシリコンウエハ上に堆積される。プロセス中、ウエハは、反応または分解する1つまたは複数の前駆体に曝され、その結果として堆積チャンバ中でウエハ上に堆積される。CVDのより特異的なサブクラスは原子層堆積(ALD)である。ALDでは、典型的に2つの前駆体が用いられ、交互にウエハ上に堆積される。それら前駆体の両方が同時に堆積チャンバ内に存在することはない。CVDプロセスにおける使用のための前駆体は、気体、液体または固体の形態で保存することができる。固体の前駆体の使用は、昇華、およびその後の前駆体蒸気の基板への輸送に関してとりわけ困難である。CVDシステムを設計する際の他のより一般的な懸案事項には、システムのダウンタイムを最小限に抑える必要があること、および前駆体を適用するプロセスツールの近くで利用可能な空間が限られていることが含まれる。したがって、これらの課題に対処する化学物質送達システムを提供することが望ましい。具体的には、CVDシステムのダウンタイムおよびプロセスツールの近くで使用される空間の量を最小化しつつ、CVDプロセスに、効率的かつ効果的に、一貫して固体の前駆体を送達する化学物質送達システムを提供することが望ましい。
【発明の概要】
【0003】
本開示は、一般に、CVDプロセスの間に前駆体を送達するための化学物質送達システムを操作する方法に関する。このシステムは、少なくとも1つのバルク容器、少なくとも1つの運転/補充チャンバ、および少なくとも1つの堆積チャンバを備える。いくつかの実施形態において、本方法は、第一の導管および第二の導管を含む。バルク容器は、前駆体を、好ましくは固体の形態で保存するように構成される。運転/補充チャンバは交互に使用することができる。一実施形態では、運転/補充チャンバは、蒸気の形態で前駆体を受け取り、固体の形態で前駆体を保存するように構成された複数の表面を有する、複数の離間したチューブを含む。第一の導管は、前駆体をバルク容器から運転/補充チャンバに蒸気の形態で輸送するために、バルク容器を運転/補充チャンバに接続する。第二の導管は、前駆体を蒸気の形態で運転/補充容器から堆積チャンバに輸送するためのものである。
【0004】
バルク容器は、前駆体を固体の形態で保存するように構成される。バルク容器は高表面積を有し、好適には、操作中に残存する前駆体の量を監視するためのスケール上にある。バルク容器は、好適には、容器の交換に便利なサブファブエリアに位置する。化学物質送達システムは、バルク容器を加熱して前駆体を昇華させ、それによって前駆体を蒸気の形態に変換するように構成される。また、化学物質送達システムは、第一の導管を加熱して前駆体を蒸気の形態に維持するように構成される。一実施形態では、運転/補充チャンバは、一般に「ファブ」と呼ばれる製造フロアエリアに位置し、バルク容器はファブの外部に位置する。例えば、バルク容器は、サブ製造エリア内に位置させることができる。
【0005】
1つの例示的な実施形態では,複数の離間したチューブの各々は、円形または長方形の断面を有する。他の実施形態では,複数の離間したチューブの各々は、星形の断面を有する。好適には、間隔をあけて配置された複数のチューブの各々は、発泡体で充填される。いくつかの実施形態において,複数の離間したチューブは、熱伝達流体を受け取るように構成されたチャンバによって囲まれる。
【0006】
運転/補充チャンバは、単一の堆積サイクルのために十分な量の前駆体を保持するように構成することができる。代替的に、運転/補充チャンバは、複数の堆積サイクルのために十分な量の前駆体を保持するように構成することができる。
【0007】
上記の概要は、本開示に固有の新規特徴のいくつかを理解し易くするために提供されたものであり、完全な説明であることを意図したものではない。明細書、特許請求の範囲、図面、および要約書を全体として捉えることにより、本開示を完全に理解することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
本開示は、添付図面に関連する種々の例示的実施形態の以下の記載を考慮して、より完全に理解され得る。
【0009】
図1】本発明に従って構築された第一のCVDシステムの概略図である。
図2】本発明に従って構築された第二のCVDシステムの概略図である。
図3】本発明に従って構築された第三のCVDシステムの概略図である。
図4】本発明に従って構築された第一の運転/補充チャンバの側面断面である。
図5】本発明に従って構築された第二の運転/補充チャンバの側面断面である。
図6】第一の運転/補充チャンバの上断面図である。
図7】本発明に従って構築された第三の運転/補充チャンバの上断面図である。
図8】本発明に従って構築された第四の運転/補充チャンバの上断面図である。
【0010】
本開示は、種々の修正および代替形態に適しており、その仕様は例示として図に示され、以下に詳細に記載される。しかしながら、本開示の態様が、記載される特定の例示的実施形態に限定されることは意図されていないと理解されたい。反対に、本開示の趣旨および範囲内にあるすべての修正例、等価物、および代替物を網羅することが意図される。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本明細書および特許請求の範囲で使用される場合、単数形は、特に断らない限り、複数の指示物を含む。本明細書および特許請求の範囲で使用される場合、特に断らない限り,「または」という言葉は,「および/または」を含む意味で一般に使用される。
【0012】
以下の詳細な説明は、異なる図面内の類似の要素に同じ参照番号を付した図面を参照して読まれるべきである。詳細な説明および図面は、必ずしも縮尺通りではなく、例示的な実施形態を描いており、開示の範囲を限定することを意図していない。図示されている例示的な実施形態は、例示のみを意図している。任意の例示的な実施形態の選択された特徴は、特に断らない限り、追加の実施形態に組み込まれてもよい。
【0013】
まず図1を参照すると、本発明に従って構築されたCVDシステム100が示されている。システム100の一部は、サブ製造エリア101(以下サブファブという)に位置しており、別の部分は、破線によって囲まれた製造エリアまたはフロア102(以下ファブという)に位置している。これらの部分は、加熱された蒸気供給ライン(または第一の導管)105によって接続される。バルクキャビネット110は、サブファブに位置することが好ましいが、より離れた場所に位置してもよい。バルクキャビネット110は、第一のバルク容器115および第二のバルク容器116を収容する。好適には、バルク容器115および116とそれらの内側支持構造は、電解研磨された316Lステンレススチール鋼製である。316Lステンレス鋼は、好適には、各特殊化学物質に対してより耐性のある物質、例えばニッケル、アルミニウム酸化物等の薄膜でコーティングされる。交互に、金属合金材料を使用することができる。インコネル、ハステロイC276、C22、合金20などがこのような合金の例である。また、異なる材料を用いることができる。例えば、バルク容器は、316Lステンレス鋼で作製することができ、内支持構造は、より耐性の高い合金で作ることができるか、または、より耐性の高い合金でコーティングすることができる。
【0014】
前駆体120は、固体の形態でバルク容器115内に保存され、前駆体121は、固体の形態でバルク容器116内に保存されている。異なる参照番号が用いられているが、前駆体120および121は典型的には同一の材料である。使用に際しては、例えば、バルク容器115は、前駆体120が枯渇するまで使用される。次いで、バルク容器115が交換または補充されている間に、バルク容器116が使用される。前駆体121が枯渇した後、バルク容器116が交換または補充されている間に、バルク容器115が使用される。したがって、処理のこの部分にはダウンタイムがない。第一のスケールユニット125および第二のスケールユニット126は、バルク容器115内に残存する前駆体120の量およびバルク容器116内に残存する前駆体121の量に関する情報を提供するために、バルク容器115および116の重量を測定するように構成されている。接続ライン127および128は、前駆体蒸気がバルク容器115および116を出ることを可能にする。バルク容器115および116はまた、複数の温度ゾーン,減圧レベル、第一の導管105への質量流量率、内部/外部濾過、内部/外部浄化、不純物レベル等を監視するために追加の監視フィーチャを使用することができる。プログラマブルロジックコントローラ130は、バルク容器115および116からファブへの前駆体120および121の輸送を調節するために、マニホールド135を制御する。具体的には、前駆体120および121をバルク容器115および116内で加熱して昇華を引き起こし、得られた蒸気を、キャリアガス供給器140によって供給されるキャリアガスを任意で用いて、蒸気供給ライン105を介してファブ102に輸送する。好適には、前駆体の温度は80~250℃の範囲である。また、供給ライン105は、好適には、バルク容器115または116内の前駆体の温度以上で加熱され、前駆体送達速度を測定するために監視される。前駆体120および121は、典型的には、蒸気供給ライン105を通して同時に輸送されることはない。代わりに、前駆体120および121は、好適には前述のように交互に輸送される。パージガス供給器145によって供給されるパージガスは、前駆体120および121が通過する導管(例えば、蒸気供給ライン105)をパージするために使用される。パージは、好適には、コネクタ(別個の参照番号を付していない)を通してバルク容器115および116を出る際にライン105から潜在的な化学物質を除去するための自動サイクルで実施される。廃棄物は、減圧廃棄ユニット148へのライン147を通してマニホールド135から除去される。ライン147は、廃棄物の凝縮を制限するために加熱することもできる。代替的送達方法として、バルク容器115および116を、適切なマニホールドと直列または並列に使用し得る。マニホールドは、他方のバルク容器が交換されている間に、単一の容器が運転/補充チャンバに蒸気を供給することを依然として可能にするであろう。直列または並列送達の選択肢は、運転/補充チャンバが利用できる蒸気の量に影響を与えずに、前駆体のより完全な消費を可能にするであろう。この代替法は、バルク容器内の残留前駆体の量を減らし、所有コストを改善するであろう。
【0015】
プロセスシステム150は、ファブ102内に位置している。プロセスシステム150は、蒸気供給ライン105から前駆体120および121を受け取る複数の運転/補充チャンバ155~157を含む。特に、前駆体120および121は、蒸気として運転/補充チャンバ155~157に入り、次いで、運転/補充チャンバ155~157を冷却することによって運転/補充チャンバ155~157内に固体として堆積される。本発明の目的のために、用語「堆積」およびその変形は、対象物を特定の位置に置くという、より一般的な操作ではなく、前駆体気体を固体の膜に化学的に変換する化学蒸着(CVD)プロセスを指す。前駆体120および121は、運転/補充チャンバ155~157内において固体の形態で保存される。前駆体120、121は、必要に応じて、対応する運転/補充チャンバ155~157を加熱することにより、運転/補充チャンバ155~157のうちの1つの内部で昇華させる。運転補充チャンバ155~157は、好適には、チャンバに対する運転モードと凝縮固体に対する補充モードとの間で、素早く加熱および冷却される。加熱および冷却は、好適には、抵抗加熱、高温オイル再循環および放射加熱を含む複数の技術のうちの1つを使用して達成される。冷却は、冷却水、グリコール、熱伝達流体、ペルチェ冷却素子、ジュール-トンプソン冷却等によって行うことができる。次いで、前駆体120、121は、好適には運転/補充チャンバ155~157に近接しかつ圧力ゲージ161を含む堆積チャンバ160に輸送される。代替え的に、前駆体120、121は、第二の運転/補充チャンバ155~157に輸送される。導管165は、チャンバ155~157を真空に接続する。第一のシナリオでは、前駆体120と121のうちの選択された1つを用いて、堆積チャンバ160内に位置する基板(図示しない)上に膜を堆積させる。追加的な共反応物質および不活性ガスは、一般にCVDまたはALDプロセスの一部である。これらは図示されていないが、質量流コントローラ(MFC)および圧コントローラ(PC)を含む従来のハードウエアを用いて送達される。原子層堆積(ALD)プロセスでは、共反応ガスの送達は、前駆体蒸気の送達から時間的に分離される。任意のキャリアガス供給170を使用して、前駆体120および121をプロセスシステム150内に輸送することができ、一方、プログラマブルロジックコントローラ175はプロセスシステム150を制御する。具体的には、コントローラ175は、制御ライン176および177を通してゲージ161および制御バルブ197に接続され、真空198に至るバルブ197を開放することによってチャンバ160内の圧力を測定および制御することができる。パージガス供給180によって供給されるパージガスは、運転/補充チャンバ155~157をパージするために使用される。
【0016】
1つの実施形態において、運転/補充チャンバ155~157の各々は、1つの堆積サイクルに十分な量の前駆体120または121を保持するようなサイズであり、2つの堆積サイクルに十分な量は保持しない。他の実施形態では、運転/補充チャンバ155~157の各々は、複数の堆積サイクルに十分な量の前駆体120または121を保持するようなサイズである。本発明の目的のために,「堆積サイクル」という用語は、前駆体の単一層が基板上に堆積されるステップを指す。運転/補充チャンバ155~157には、異なる参照番号が付されているが、運転/補充チャンバ155~157は互いに同一であり得る。
【0017】
本発明の目的のために,「運転/補充」という用語は,「運転および/または補充」を意味する。チャンバ(例えば、チャンバ155)が補充されているとき、チャンバは低温設定にあり、蒸気は蒸気供給ライン105を介して導入されて、高表面積の内部で凝縮している。次いで、チャンバが運転されているときには、チャンバは高温設定にあり、サイクルの補充部分の間に凝縮した固体がエバポレートして、蒸気がライン(参照番号を付さない)を介して堆積チャンバに送達されている。言い換えれば,「運転/補充チャンバ」という用語は、チャンバが運転チャンバおよび補充チャンバの両方として動作することを示す。運転/補充チャンバには、濾過、浄化、圧力/減圧監視および送達速度または固体膜感知を組み込むことができる。運転/補充チャンバは、好適には、すべてのウエハに対して循環されるように設計されるか、または運転/補充チャンバの1回の「補充」は、再度「補充」される前に、2つ以上のウエハに蒸気を提供するように設計される。
【0018】
次に図2を参照する。図2には、本発明に従って構築されたCVDシステム200が示されている。CVDシステム200は、一般に、CVDシステム200が1つの堆積チャンバにつき1つの運転/補充チャンバを有することを除いて CVDシステム100と同様に機能する。具体的には、プロセスシステム250は、蒸気供給ライン105から前駆体120および121を受け取る複数の運転/補充チャンバ255~257を含む。前駆体120および121は、蒸気として運転/補充チャンバ255~257に入り、次いで運転/補充チャンバ255~257を冷却することにより運転/補充チャンバ255~257内で固体として堆積する。必要に応じて、前駆体120または121は、運転/補充チャンバ255~257のうちの1つを加熱することにより、その運転/補充チャンバチャンバ255~257内で昇華する。次いで、前駆体120または121は、複数の堆積チャンバ260~262のうちの対応する1つに輸送される。前駆体120または121は、対応する堆積チャンバ260~262内に位置する基板(図示せず)上に膜を堆積させるために使用される。任意のキャリアガス供給器270を使用して、前駆体120および121をプロセスシステム250内に輸送することができ、一方、コントローラ275はプロセスシステム250を制御する。具体的には、コントローラ275は、制御ライン276を介してゲージ263~265に接続されている。また、コントローラ275は、ライン277を介して制御バルブ295~297に接続され、真空298に至るバルブ295~297を開放することによってチャンバ260~262内の圧力を測定および制御することができる。パージガス供給器280により供給されるパージガスは、運転/補充チャンバ255~257をパージするために使用される。
【0019】
図3は、本発明に従って構築されたCVDシステム300を示している。CVDシステム300は、一般に、CVDシステム300が複数のプロセスシステム350~352を含むことを除いて CVDシステム100および200と同様に機能する。各プロセスシステム350~352は、蒸気供給ライン105から前駆体120および121を受け取る運転/補充チャンバ355~357を含む。前駆体120および121は、蒸気として運転/補充チャンバ355~357に入り、次いで運転/補充チャンバ355~357を冷却することによって運転/補充チャンバ355~357内で固体として堆積される。必要に応じて、前駆体120または121は、運転/補充チャンバ355~357のうちの1つを加温することにより、その運転/補充チャンバ355~357内で昇華する。次いで、前駆体120または121は、対応する堆積チャンバ360~362に輸送される。前駆体120または121は、その堆積チャンバ360~362内に位置する基板(図示せず)上に膜を沈着させるために使用される。任意のキャリアガス供給器370~372を使用して、プロセスシステム350~352内に前駆体120および121を輸送することができ、一方、コントローラ375~377はプロセスシステム350~352を制御する。具体的には、コントローラ375~377は、制御ラインを通してゲージ363~365に接続されており、そのうちライン378~383に参照番号が付されている。コントローラ375~377は、制御バルブ395~397にも接続されており、真空398~400に至るバルブ395~397を開放することによってチャンバ360~362内の圧力を測定および制御することができる。パージガス供給器380~382により供給されるパージガスは、運転/補充チャンバ355~357をパージするために使用される。
【0020】
図4には、本発明に従って構築された運転/補充チャンバ400の断面が示されている。運転/補充チャンバ400は、マニホールド405および406を含む。前駆体(図示せず)は、マニホールド405に接続されている入口410を通って蒸気として運転/補充400に入る。入口410は、蒸気供給ライン105(図示せず)のような蒸気供給ラインにも接続されるであろう。前駆体は、マニホールド406に接続された出口411を通して蒸気として運転/補充チャンバ400を出る。出口411は、第二の導管(例えば図1に示す)を介して、堆積チャンバ160のような堆積チャンバにも接続されるであろう。パージガスおよびキャリアガスは、マニホールド405を通して運転/補充チャンバ400に入ることができる(入口は図示しない)。運転/補充チャンバ400はまた、中に前駆体が保存される複数のチューブ420~425を含む。具体的には、前駆体は蒸気として入口410およびマニホールド405を通過し、固体としてチューブ420~425内で凝縮される。この相変化を達成するために、チューブ420~425は、チューブ420~425を囲むチャンバ435内に位置する熱伝達流体430を用いて冷却される。熱伝達流体430は、液体または気体とすることができる。チャンバ435は、少なくとも部分的に、運転/補充400の側壁440および441によって画定される。熱伝達流体430は、入口445を通してチャンバ435に入り、出口446を通してチャンバ435から出る。前駆体を昇華させることが望ましいとき、チューブ420~425は、入口450を通してチャンバ435に入り、出口451を通してチャンバ435から出る別の熱伝達流体(図示せず)を用いて加熱される。窒素ガス(N2)または清浄ドライエア(CDA)のような置換ガスを用いて、熱伝達流体の2つの温度を分離することができる。置換ガスは、入口415を通してチャンバ435に入り、出口416を通してチャンバ435から出る。好適には、チューブ420~425は、使用される前駆体と化学的に適合性である発泡体455で充填される。例えば、発泡体455は、ニッケル発泡体、アルミニウム発泡体または黒鉛発泡体とすることができる。発泡体455はまた、高表面積および高い熱伝達率を有し、これは前駆体の堆積および昇華を助ける。
【0021】
運転/補充チャンバ400は、熱伝達流体を用いて加熱および冷却されるとして記載されているが、本発明に従って構築された運転/補充チャンバは、他の手段によって加熱および冷却され得る。例えば、抵抗加熱素子およびペルチェ素子を使用することができる。また、ビーズまたはラシッグリングのような表面積を増大させる他の媒体を、発泡体455の代わりに使用することができる。
【0022】
次に図5を参照する。図5には、本発明に従って構築された運転/補充チャンバ500の断面が示されている。運転/補充チャンバ500は、マニホールド505および506を含む。前駆体(図示せず)は、マニホールド505に接続されている入口510を通って運転/補充500に入る。入口510は、蒸気供給ライン105(図示せず)のような蒸気供給ラインにも接続されるであろう。前駆体は、マニホールド506に接続されている出口511を通して運転/補充チャンバ500を出る。出口511はまた、導管(図示せず)を介して、堆積チャンバ160のような堆積チャンバに接続されるであろう。パージガスおよびキャリアガスは、マニホールド505を通して運転/補充チャンバ500に入ることができる(入口は図示しない)。運転/補充チャンバ500は、中に前駆体が保存される複数のチューブ520~525も含む。具体的には、前駆体は蒸気として入口510およびマニホールド505を通過し、固体としてチューブ520~525内に堆積する。好適には、チューブ520~525は、使用される前駆体と化学的に適合性である発泡体555で充填される。例えば、発泡体555は、ニッケル発泡体、アルミニウム発泡体または黒鉛発泡体とすることができる。発泡体555はまた、高表面積および高い熱伝達率を有し、これは前駆体の堆積および昇華を助ける。
【0023】
運転/補充チャンバ500は、入口510に最も近いチューブ520~525の末端における前駆体の過剰な蓄積を防止するために、チューブ520~525の長さに沿って温度差または勾配が設けられることを除き、一般的に運転/補充チャンバ400と同様に機能する。特に、これは、断熱材560でチューブ520~525の中央部分を囲むとともに、2つの異なる温度で熱伝達流体530を使用することによりチューブ520~525の入口端と出口端との間に温度差を設定することによって達成される。具体的には、サイクルの補充または凝縮部分の間に、入口510側のチューブ520~525の端部は、出口511側のチューブ520~525の端部よりも高い温度に維持される。断熱材560は、少なくとも部分的に運転/補充チャンバ500の側壁540および541によって画定される第一のチャンバ535内に位置している。熱伝達流体530は、入口510に最も近いチューブ520~525の端部を囲む第二のチャンバ536内と、出口511に最も近いチューブ520~525の端部を囲む第三のチャンバ537内に位置している。チャンバ536および537も、少なくとも部分的に側壁540および541によって画定される。熱伝達流体530は、入口545を通して第二のチャンバ536に入り、出口546を通して第二のチャンバ536から出る。同様に、熱伝達流体530は、入口565を通して第三のチャンバ537に入り、出口566を通して第三のチャンバ537から出る。前駆体を昇華させることが望ましいとき、チューブ520~525は、入口550を通して第二のチャンバ536に入り、出口551を通して第二のチャンバ536を出る.別の熱伝達流体(図示せず)を用いて加熱される。この他の熱伝達流体はまた、入口570を通して第三のチャンバ537に入り、出口571を通して第三のチャンバ537から出る。
【0024】
好適には、第二のチャンバ536に送られる熱伝達流体の部分は、第三のチャンバ537に送られる熱伝達流体の部分と同じ温度ではない。これは、例えば、熱伝達流体の一方の部分に追加的な加熱または冷却を提供することによって達成することができる。代替的に、同じ熱伝達流体を第二のチャンバ536および第三のチャンバ537の両方に送るのではなく、異なる熱伝達流体を第二のチャンバ536と第三のチャンバ537に送ることができる。どちらの場合も、結果として独立した温度制御が得られ、これによりチューブ520~525の長さに沿ってより均一な凝縮および昇華が可能となる。例えば、堆積中、第二のチャンバ536内の熱伝達流体は、第三のチャンバ537内の熱伝達流体より比較的低温にすることができる。昇華中、第二のチャンバ536内の熱伝達流体は、第三のチャンバ537内の熱伝達流体より比較的高温にすることができる。
【0025】
図6には、運転/補充チャンバ400の別の断面が示されている。この図は、チューブ420~425とチャンバ435の形状を強調している。具体的には、チューブ420~425の各々は、円形の断面を有する。しかしながら、本発明に従って構築された運転/補充チャンバにおいて、他の構成を使用することができる。例えば、図7には、各々が星形の断面を有する複数のチューブ720~725を含む運転/補充チャンバ700が示されている。円形の断面ではなく星形の断面を使用すると、熱伝達だけでなく凝縮および昇華のためにより多くの表面積が得られる。完全性のために、図7では、熱伝達流体730、チャンバ735、および側壁740および741にも参照番号が付されている。
【0026】
図8は、本発明に従って構築された運転/補充チャンバのための別のチューブ構成を示している。特に、運転/補充チャンバ800は、長方形の断面を有するチューブ820~824を含む。チューブ820~824の各々は、より大きな表面積を提供するために比較的薄い。他の実施形態と同様に、チューブ820~824は、側壁840および841によって少なくとも部分的に画定されたチャンバ835内に位置する熱伝達流体830を用いて温度制御されている。
【0027】
いくつかの例示的なチューブ構成が記載されているが、運転/補充チャンバのチューブ内で利用可能な表面積を増やすために、様々な方法があることを認識すべきである。例えば、チューブはフィンを含むことができる。
【0028】
上記の詳細な記載に加えて、本発明の運転/補充チャンバの操作は、以下の一般的な例を用いて理解することができる。運転/補充チャンバを温度T1にして、蒸気/キャリアガス混合物を、加熱した蒸気供給ラインから運転/補充チャンバ入口に送達する。混合ガスが運転/補充チャンバのチューブを通って流れるとき、固体の前駆体はチューブの内表面上に凝縮される。これは、チューブ自体または発泡体充填剤の表面であり得る。キャリアガスは、運転/補充チャンバ出口から真空へと引き出される。このステップの継続時間は、運転/補充チャンバの内部に所望の負荷の固体の前駆体が提供されるように決定される。任意で、残留キャリアガスを真空へとポンピングする間に、入口流を遮断することができる。次に、運転/補充チャンバを温度T2まで加熱する。キャリアガスを運転/補充チャンバの入口に流入させ、固体の前駆体を昇華させ、蒸気を堆積チャンバに運ぶ。サイクル終了時、運転/補充の出口を堆積チャンバから隔離し、運転/補充を温度T1まで冷却する。このサイクルを必要に応じて繰り返す。この種の操作サイクルは、ウエハ堆積ごとに、ALD堆積のパルスごとに、または特定の製造状況に対してうまく機能する任意の間隔で繰り返すことができる。
【0029】
別の例では、運転/補充チャンバは、温度T1で空にされる。次回の蒸気は加熱された蒸気供給ラインから送達され、固体の前駆体は運転/補充チャンバ内で凝縮される。このステップの継続時間は、運転/補充チャンバの内部に所望の負荷の固体の前駆体が提供されるように決定される。次に、運転/補充チャンバへの供給を停止し、チャンバを温度T2まで加熱する。キャリアガスを運転/補充チャンバの入口に流入させ、固体の前駆体を昇華させ、蒸気を堆積チャンバに運ぶ。サイクル終了時、運転/補充の出口を堆積チャンバから隔離し、運転/補充を温度T1まで冷却する。このサイクルを必要に応じて繰り返す。
【0030】
本発明の運転/補充チャンバの温度制御は、以下の一般的な例を用いて理解することができる。温度T2における運転/補充チャンバの開始状況では、温度T2の熱伝達流体がT2供給部(supply)に流入し、T2戻り部(return)から、熱伝達流体を温度T2に保持する貯蔵器に流出する。温度T1へ温度を素早く変化させることが望まれるとき、T2供給部を遮断し、置換ガスにより温度T2の熱伝達流体をT2戻り部に押し出す。温度T2の熱伝達流体の大部分または十分な部分が除去されると、T2戻り部も遮断し、T1供給部をオンにし、置換ガスが自由に逆流することを可能にする。チャンバが温度T1の熱伝達流体で充填されたら、置換ガス戻り部を遮断し、T1戻り部により、温度T1の熱伝達流体が、熱伝達流体を温度T1に保持する貯蔵器に戻ることを可能にする。温度T1の熱伝達流体は、操作サイクルの堆積部分の間、運転/補充チャンバを通って流れ続ける。運転/補充チャンバの温度を再び温度T2に上昇させる必要がある場合、同様の手順を実施する。T1供給部を遮断し、置換ガスにより温度T1の熱伝達流体をT1戻り部に押し出す。温度T1の熱伝達流体の大部分または十分な部分が除去されたら、T1戻り部も遮断し、T2供給部をオンにし、置換ガスが自由に逆流することを可能にする。チャンバが温度T2の熱伝達流体で充填されたら、置換ガス戻り部を遮断し、T2戻り部により、温度T2の熱伝達流体が、熱伝達流体を温度T2に保持する貯蔵器に戻ることを可能にする。温度T2の熱伝達流体は、操作サイクルの昇華部分の間、運転/補充を通って流れ続ける。
【0031】
以上、本開示のいくつかの例示的実施形態について記載したが、当業者であれば、特許請求の範囲内で他の実施形態が作製可能であることを容易に理解するであろう。本願がカバーする開示の多数の利点を前述の記載に示した。具体的には、本発明は、CVDシステムのダウンタイムおよびプロセスツールの近くで使用される空間の量を最小化しつつ、CVDプロセスにおいて固体の前駆体を効率的かつ効果的に、一貫して送達する化学送達システムを提供する。しかしながら、本開示は、多くの態様において、例示にすぎないことを理解されたい。詳細事項、特に、部品の形状、サイズ、および配置に関して、開示の範囲を超えることなく変更が可能である。例えば、バルク容器は、バルク容器の蒸気送達または補充を最適化する、低蒸気圧液またはバルク容器内で融解した固体を含むことができる。本開示の範囲は、言うまでもなく、特許請求の範囲に記載された文言に規定される。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8