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特許7401791回路基板及び発光装置並びにそれらの製造方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-12
(45)【発行日】2023-12-20
(54)【発明の名称】回路基板及び発光装置並びにそれらの製造方法
(51)【国際特許分類】
   H05K 1/02 20060101AFI20231213BHJP
   H01L 23/12 20060101ALI20231213BHJP
【FI】
H05K1/02 Z
H01L23/12 J
H01L23/12 F
【請求項の数】 21
(21)【出願番号】P 2021129820
(22)【出願日】2021-08-06
(65)【公開番号】P2023023889
(43)【公開日】2023-02-16
【審査請求日】2022-09-05
(73)【特許権者】
【識別番号】000226057
【氏名又は名称】日亜化学工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001807
【氏名又は名称】弁理士法人磯野国際特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】酒本 正和
【審査官】原田 貴志
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2021/0160997(US,A1)
【文献】国際公開第2015/059967(WO,A1)
【文献】特開2003-179316(JP,A)
【文献】特開2012-235089(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H05K 1/02
H01L 23/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
上面側に凸状のポスト部が形成された第1基板と、第1面と前記第1面と反対側の第2面とを有し、少なくとも前記第1面に第1金属層が形成され、平面視において前記ポスト部の上面を露出させる開口部を有する第2基板と、を準備する工程と、
前記ポスト部の上面が前記開口部から露出するように、前記ポスト部を除く前記第1基板の上面の少なくとも一部と前記第2基板の前記第2面とを貼り合わせる工程と、
前記第1金属層の一部を除去して回路パターンを形成する工程と、を含み、
前記回路パターンを形成する工程において、平面視で、前記第1金属層の他の一部が前記ポスト部の周囲を取り囲むように前記第1金属層の一部を除去するものであり、
前記回路パターンを形成する工程において、
前記ポスト部上及び前記第1金属層上にドライフィルムを設ける工程と、
平面視で、前記ポスト部の位置から前記ポスト部の周囲の前記第1金属層に前記ドライフィルムが接する位置まで前記ドライフィルムを露光すると共に、前記回路パターンを形成する箇所の前記ドライフィルムを露光する工程と、
前記ドライフィルムを現像し、露光された箇所以外の前記ドライフィルムを除去する工程と、
前記ドライフィルムの一部が除去され、前記第1金属層が露出された箇所をエッチングし、前記第1金属層の一部を除去する工程と、を含む回路基板の製造方法。
【請求項2】
上面側に凸状のポスト部が形成された第1基板と、第1面と前記第1面と反対側の第2面とを有し、少なくとも前記第1面に第1金属層が形成され、平面視において前記ポスト部の上面を露出させる開口部を有する第2基板と、を準備する工程と、
前記ポスト部の上面が前記開口部から露出するように、前記ポスト部を除く前記第1基板の上面の少なくとも一部と前記第2基板の前記第2面とを貼り合わせる工程と、
前記第1金属層の一部を除去して回路パターンを形成する工程と、を含み、
前記回路パターンを形成する工程において、平面視で、前記第1金属層の他の一部が前記ポスト部の周囲を取り囲むように前記第1金属層の一部を除去するものであり、
前記回路パターンを形成する工程において、
前記ポスト部上及び前記第1金属層上にドライフィルムを設ける工程と、
平面視で、前記ポスト部から所定の距離離れて前記ポスト部の周囲を囲むように環状に前記ドライフィルムを露光すると共に、前記回路パターンを形成しない箇所の前記ドライフィルムを露光する工程と、
前記ドライフィルムを現像し、露光された箇所の前記ドライフィルムを除去する工程と、
前記ドライフィルムの一部が除去され、前記第1金属層が露出された箇所をエッチングし、前記第1金属層の一部を除去する工程と、を含む回路基板の製造方法。
【請求項3】
前記第1金属層の一部を除去する工程において、前記ポスト部の周囲を取り囲む前記第1金属層の幅が50μm以上100μm以下となるように前記第1金属層の一部を除去する請求項1又は請求項2に記載の回路基板の製造方法。
【請求項4】
上面側に凸状のポスト部が形成された第1基板と、第1面と前記第1面と反対側の第2面とを有し、少なくとも前記第1面に第1金属層が形成され、平面視において前記ポスト部の上面を露出させる開口部を有する第2基板と、を準備する工程と、
前記ポスト部の上面が前記開口部から露出するように、前記ポスト部を除く前記第1基板の上面の少なくとも一部と前記第2基板の前記第2面とを貼り合わせる工程と、
前記第1金属層の一部を除去して回路パターンを形成する工程と、を含み、
前記回路パターンを形成する工程において、平面視で、前記第1金属層の他の一部が前記ポスト部の周囲を取り囲むように前記第1金属層の一部を除去し、
前記第1金属層の一部を除去する工程において、前記ポスト部の周囲を取り囲む前記第1金属層の幅が50μm以上100μm以下となるように前記第1金属層の一部を除去する回路基板の製造方法。
【請求項5】
前記第1基板と前記第2基板とを貼り合わせる工程において、前記ポスト部の上面と前記第1金属層の上面とが同一平面となるように、前記第1基板と前記第2基板とを貼り合わせる請求項1乃至請求項4のいずれか一項に記載の回路基板の製造方法。
【請求項6】
前記準備する工程において、前記第2基板には基材上に前記第1金属層が設けられており、前記基材はポリイミドであり、前記第1金属層は銅を90質量%以上含む材質である請求項1乃至請求項5のいずれか一項に記載の回路基板の製造方法。
【請求項7】
前記準備する工程において、前記第2基板には基材上に前記第1金属層が設けられており、前記基材の厚みは12μm以上50μm以下であり、前記第1金属層の厚みは12μm以上70μm以下である請求項1乃至請求項6のいずれか一項に記載の回路基板の製造方法。
【請求項8】
前記準備する工程において、前記第2基板には基材上に前記第1金属層が設けられており、前記基材上に設けられた前記第1金属層とは反対側に第2金属層が設けられている請求項1乃至請求項7のいずれか一項に記載の回路基板の製造方法。
【請求項9】
前記準備する工程において、前記第1基板は銅を90質量%以上含む材質である請求項1乃至請求項8のいずれか一項に記載の回路基板の製造方法。
【請求項10】
前記準備する工程において、前記ポスト部を除く前記第1基板の上面から、前記ポスト部の上面までの高さが50μm以上150μm以下である請求項1乃至請求項9のいずれか一項に記載の回路基板の製造方法。
【請求項11】
請求項1乃至請求項10のいずれか一項に記載の回路基板の製造方法で回路基板を製造する工程と、
前記回路基板の前記ポスト部に発光部品を載置する工程と、を含む発光装置の製造方法。
【請求項12】
上面側に凸状のポスト部が形成された第1基板と、
第1面と前記第1面と反対側の第2面とを有し、少なくとも前記第1面に第1金属層が形成され、前記ポスト部を除く前記第1基板の上面の少なくとも一部と前記第2面とが向かい合うように配置された第2基板と、を備え、
前記第2基板は、平面視において前記ポスト部の上面を露出させる開口部を有しており、
前記第2基板は、前記ポスト部の周囲に直接接し、又は、前記ポスト部から所定の距離離れて環状に配置される前記第1金属層と、前記第1金属層と同じ材質である回路パターンとを有し、
前記ポスト部の周囲に環状に配置される前記第1金属層の幅は50μm以上100μm以下である回路基板。
【請求項13】
前記第1金属層と、前記回路パターンと、は平面視において離れている請求項12に記載の回路基板。
【請求項14】
前記第1金属層と、前記回路パターンと、は同じ厚みを有する請求項12又は請求項13に記載の回路基板。
【請求項15】
前記ポスト部の上面、前記第1金属層の上面、及び、前記回路パターンの上面、が同一平面である請求項12乃至請求項14のいずれか一項に記載の回路基板。
【請求項16】
前記第2基板は、基材と、前記基材上に配置される前記第1金属層及び前記回路パターンと、を有し、前記基材はポリイミドであり、前記第1金属層及び前記回路パターンは銅を90質量%以上含む材質である請求項12乃至請求項15のいずれか一項に記載の回路基板。
【請求項17】
前記第2基板は、基材と、前記基材上に配置される前記第1金属層及び前記回路パターンと、を有し、前記基材の厚みは12μm以上50μm以下であり、前記第1金属層及び前記回路パターンの厚みは12μm以上70μm以下である請求項12乃至請求項16のいずれか一項に記載の回路基板。
【請求項18】
前記第2基板は基材上に前記第1金属層及び前記回路パターンが設けられ、前記基材上に設けられた前記第1金属層及び前記回路パターンの反対側に第2金属層が設けられている請求項12乃至請求項17のいずれか一項に記載の回路基板。
【請求項19】
前記第1基板は銅を90質量%以上含む材質である請求項12乃至請求項18のいずれか一項に記載の回路基板。
【請求項20】
前記ポスト部を除く前記第1基板の上面から、前記ポスト部の上面までの高さが50μm以上150μm以下である請求項12乃至請求項19のいずれか一項に記載の回路基板。
【請求項21】
請求項12乃至請求項20のいずれか一項に記載の回路基板と、前記回路基板の前記ポスト部に載置された発光部品と、を含む発光装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、回路基板及び発光装置並びにそれらの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、特許文献1には、凸状の金属ポスト部を形成した銅板部材に、絶縁部の表面に銅箔層が形成された配線基板を積層して積層基板とする方法が開示されている。このような積層基板の製造においては、ポスト部を形成した銅板と、銅箔の回路パターンが形成された配線基板と、を貼り合わせて回路基板とする方法が用いられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2017-73513号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本開示は、寸法精度が高い回路基板の製造方法及び発光装置の製造方法、並びに、回路基板及び発光装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示の実施形態に係る回路基板の製造方法は、上面側に凸状のポスト部が形成された第1基板と、第1面と前記第1面と反対側の第2面とを有し、少なくとも前記第1面に第1金属層が形成され、平面視において前記ポスト部の上面を露出させる開口部を有する第2基板と、を準備する工程と、前記ポスト部の上面が前記開口部から露出するように、前記ポスト部を除く前記第1基板の上面の少なくとも一部と前記第2基板の前記第2面とを貼り合わせる工程と、前記第1金属層の一部を除去して回路パターンを形成する工程と、を含み、前記回路パターンを形成する工程において、平面視で、前記第1金属層の他の一部が前記ポスト部の周囲を取り囲むように前記第1金属層の一部を除去するものである。
【0006】
本開示の実施形態に係る発光装置の製造方法は、前記回路基板の製造方法で回路基板を製造する工程と、前記回路基板の前記ポスト部に発光部品を載置する工程と、を含むものである。
【0007】
本開示の実施形態に係る回路基板は、上面側に凸状のポスト部が形成された第1基板と、第1面と前記第1面と反対側の第2面とを有し、少なくとも前記第1面に第1金属層が形成され、前記ポスト部を除く前記第1基板の上面の少なくとも一部と前記第2面とが向かい合うように配置された第2基板と、を備え、前記第2基板は、平面視において前記ポスト部の上面を露出させる開口部を有しており、前記第2基板は、前記ポスト部の周囲に直接接し、又は、前記ポスト部から所定の距離離れて環状に配置される前記第1金属層と、前記第1金属層と同じ材質である回路パターンとを有するものである。
【0008】
本開示の実施形態に係る発光装置は、前記回路基板と、前記回路基板の前記ポスト部に載置された発光部品と、を含むものである。
【発明の効果】
【0009】
本開示に係る実施形態によれば、寸法精度が高い回路基板の製造方法及び発光装置の製造方法、並びに、回路基板及び発光装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1A】実施形態に係る回路基板の一例を模式的に示す平面図である。
図1B図1AのIB-IB線における模式断面図である。
図2A】実施形態に係る発光装置の一例を模式的に示す平面図である。
図2B図2AのIIB-IIB線における模式断面図である。
図3】実施形態に係る回路基板の製造方法を示すフローチャートである。
図4A】実施形態に係る回路基板の製造方法において、ポスト部を形成した第1基板を模式的に示す平面図である。
図4B図4AのIVB-IVB線における模式断面図である。
図5A】実施形態に係る回路基板の製造方法において、開口部を形成した第2基板を模式的に示す平面図である。
図5B図5AのVB-VB線における模式断面図である。
図6A】実施形態に係る回路基板の製造方法において、第1基板と第2基板とを貼り合わせた状態を模式的に示す平面図である。
図6B図6AのVIB-VIB線における模式断面図である。
図7A】実施形態に係る回路基板の製造方法において、ドライフィルムを設けた状態を模式的に示す平面図である。
図7B図7AのVIIB-VIIB線における模式断面図である。
図8A】実施形態に係る回路基板の製造方法において、ドライフィルムの一部を露光した状態を模式的に示す平面図である。
図8B図8AのVIIIB-VIIIB線における模式断面図である。
図9A】実施形態に係る回路基板の製造方法において、露光した箇所以外のドライフィルムを除去した状態を模式的に示す平面図である。
図9B図9AのIXB-IXB線における模式断面図である。
図10A】実施形態に係る回路基板の製造方法において、第1金属層の一部を除去した状態を模式的に示す平面図である。
図10B図10AのXB-XB線における模式断面図である。
図11A】実施形態に係る回路基板の製造方法において、露光した箇所のドライフィルムを除去した状態を模式的に示す平面図である。
図11B図11AのXIB-XIB線における模式断面図である。
図12A】実施形態に係る回路基板の製造方法において、ドライフィルムの一部を露光した状態を模式的に示す断面図である。
図12B】実施形態に係る回路基板の製造方法において、露光した箇所のドライフィルムを除去した状態を模式的に示す断面図である。
図12C】実施形態に係る回路基板の製造方法において、第1金属層の一部を除去した状態を模式的に示す断面図である。
図13】実施形態に係る発光装置の製造方法を示すフローチャートである。
図14A】実施形態に係る発光装置の製造方法において、レジスト及びめっき層を形成した状態を模式的に示す平面図である。
図14B図14AのXIVB-XIVB線における模式断面図である。
図15A】実施形態に係る発光装置の製造方法において、回路基板上に発光部品を載置した状態を模式的に示す平面図である。
図15B図15AのXVB-XVB線における模式断面図である。
図16A】変形例1に係る発光装置の一例を模式的に示す断面図である。
図16B】変形例2に係る発光装置の一例を模式的に示す断面図である。
図17A】応用例に係る発光装置の一例を模式的に示す斜視図である。
図17B】応用例に係る発光装置の配線基板の構成の一例を模式的に示す平面図である。
図17C図17BのXVIIC-XVIIC線における模式断面図である。
図18A】発光部品の構成の一例を模式的に示す分解斜視図である。
図18B】発光部品のパッケージ内の構成を模式的に示す平面図である。
図18C図18BのXVIIIC-XVIIIC線における模式断面図である。
図18D】発光部品の下面の構成を模式的に示す底面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
《実施形態》
実施形態を、以下に図面を参照しながら説明する。但し、以下に示す形態は、本実施形態の技術思想を具現化するための回路基板及び発光装置、並びに、それらの製造方法を例示するものであって、以下に限定するものではない。また、実施の形態に記載されている構成部品の寸法、材質、形状、その相対的配置等は、特定的な記載がない限り、本発明の範囲をそれのみに限定する趣旨ではなく、単なる例示に過ぎない。なお、各図面が示す部材の大きさや位置関係等は、説明を明確にするために誇張又は簡略化していることがある。
【0012】
[回路基板]
図1Aは、実施形態に係る回路基板の一例を模式的に示す平面図である。図1Bは、図1AのIB-IB線における模式断面図である。
【0013】
回路基板100は、上面側に凸状のポスト部11が形成された第1基板10と、第1面と第1面と反対側の第2面とを有し、少なくとも第1面に第1金属層221が形成され、ポスト部11を除く第1基板10の上面の少なくとも一部と第2面とが向かい合うように配置された第2基板20と、を備えている。そして、第2基板20は、平面視においてポスト部11の上面を露出させる開口部25を有している。また、第2基板20は、ポスト部11の周囲に直接接し、又は、ポスト部11から所定の距離離れて環状に配置される第1金属層221と、第1金属層221と同じ材質である回路パターン222とを有する。
【0014】
第1基板10は、平板部12と、平板部12から突出した凸状のポスト部11とを有する。平板部12とポスト部11とは一体に形成されている。ポスト部11の側面は、断面視で、互いに向き合う側面において内側に向けて凸となる湾曲形状を成している。ただし、ポスト部11の側面は、互いに向き合う側面において外側に向けて凸となる湾曲形状であってもよく、又は、直線形状であってもよい。ポスト部11は基板をエッチング、又は、プレス等することにより形成される。平板部12の厚みTは、1mm以上2mm以下とすることが好ましい。平板部12の厚みTが1mm以上であれば、第1基板10の強度を向上させることができる。一方、厚みTが2mm以下であれば、第1基板10を薄くすることができる。なお、ポスト部11の形成の際に平板部12の部位により厚みにわずかな違いが生じた場合、ここでの厚みTは、平板部12の平均厚みとすることができる。ポスト部11は、平面視で長方形に形成されているが、正方形や台形等の多角形、円形、楕円形であってもよく、その他の形状であってもよい。また、ポスト部11の角部は直角に形成されているが、丸みを帯びていてもよい。
【0015】
ポスト部11を除く第1基板10の上面、つまり、平板部12の上面から、ポスト部11の上面までの高さが50μm以上150μm以下であることが好ましい。すなわち、ポスト部11の高さHは、50μm以上150μm以下とすることが好ましい。ポスト部11の高さHが50μm以上であれば、第1基板10上に配置される第2基板20の厚さを調整し易くなる。一方、高さHが150μm以下であれば、第1基板10を薄くすることができる。なお、ポスト部11の形成の際に平板部12の部位により厚みにわずかな違いが生じた場合、ここでの高さHは、平板部12の上面からポスト部11の上面までの平均高さとすることができる。
【0016】
第1基板10は、金属材料を用いた金属板であることが好ましい。第1基板10を金属板とすることで、発光部品50等から発生する熱を放出する放熱機能に優れたものとなる。第1基板10の金属材料としては、例えば、Cu、Ag、Al、Ni、Rh、Au、Ti、Pt、Pd、Mo、Cr、W等の単体金属又はこれらの金属を含む合金を用いることができる。特に、第1基板10は、放熱性及び経済性の観点から、Cuを用いた銅板であることが好ましい。例えば、第1基板10は銅を90質量%以上含む材質であることが好ましい。より好ましくは、銅を95質量%以上含む材質であり、更に好ましくは、銅を99質量%以上含む材質である。
【0017】
第2基板20は、基材21と、基材21上に配置される第1金属層221及び回路パターン222と、を有する。ここでは更に、基材21の下面にボンディングシート23を有する。
【0018】
基材21は絶縁性であり、例えば、フィルム状のポリイミドを用いることができる。基材21の厚みは、12μm以上50μm以下とすることが好ましい。基材21の厚みが12μm以上であれば、基材21の強度を向上させることができる。一方、厚みが50μm以下であれば、第2基板20を薄くすることができる。なお、基材21としては、1枚もしくは複数枚のガラスクロスにエポキシ樹脂等の熱硬化性絶縁樹脂を含浸させ、この熱硬化性絶縁樹脂を硬化させたガラスエポキシや、液晶ポリマー等を用いてもよい。基材21がガラスエポキシである場合、厚さは、ポスト部11の高さに対応して、例えば50μm以上150μm以下、好ましくは20μm以上130μm以下とすることができる。
【0019】
第1金属層221及び回路パターン222は、金属材料を用いることができ、例えば、Cu、Ag、Al、Ni、Rh、Au、Ti、Pt、Pd、Mo、Cr、W等の単体金属又はこれらの金属を含む合金を好適に用いることができる。特に、第1金属層221及び回路パターン222は、導電性及び経済性の観点から、Cuを用いた銅箔であることが好ましい。例えば、第1金属層221及び回路パターン222は銅を90質量%以上含む材質であることが好ましい。より好ましくは、銅を95質量%以上含む材質であり、更に好ましくは、銅を99質量%以上含む材質である。
ボンディングシート23は、第1基板10と第2基板20とを接着する部材である。ボンディングシート23としては、例えば、耐熱性の樹脂シート、UV硬化シート等、当該分野で公知のものが挙げられる。
【0020】
第1金属層221及び回路パターン222の厚みは、12μm以上70μm以下とすることが好ましい。第1金属層221及び回路パターン222の厚みが12μm以上であれば、第1金属層221及び回路パターン222を形成し易くなる。一方、厚みが70μm以下であれば、第2基板20を薄くすることができる。また、第1金属層221と、回路パターン222と、は同じ厚みを有することが好ましい。このような構成であれば、第1金属層221及び回路パターン222を形成し易くしたり、同じ高さに揃えたりすることができる。
【0021】
ポスト部11の上面、第1金属層221の上面、及び、回路パターン222の上面、が同一平面であることが好ましい。このような構成であれば、第1金属層221及び回路パターン222を形成し易くなったり、発光装置200を製造する際に、回路基板100に発光部品50を載置し易くなったりする。
なお、「同一平面である」とは、各部材の上面が同一平面の部位に位置することを意味し、各部材の上面が離間していることも含むものである。
【0022】
第2基板20は、ポスト部11を露出させる開口部25を有する。開口部25は、ポスト部11全体が収納される大きさに形成されている。ポスト部11の側面と開口部25の内側面とは隙間15を有することが好ましい。隙間15を有することで、ポスト部11を開口部25に挿入し易くなる。また、第1金属層221の外側からポスト部11側に薬剤等が浸入してポスト部11に接触するのを抑制することができ、ポスト部11をより保護し易くなる。回路基板100は、このような隙間15を有するため、平面視において、開口部25の開口は、ポスト部11よりも大きく形成されている。開口部25の平面視形状は、ポスト部11の形状に合わせて、適宜決定すればよい。本実施形態では、ポスト部11の形状に合わせて、長方形に形成されている。開口部25の平面視形状は、ポスト部11の形状の相似形であることが好ましい。開口部25の面積は、ポスト部11の面積の1.05倍以上2倍以下が好ましく、1.1倍以上1.8倍以下が更に好ましい。
【0023】
第1金属層221は、ポスト部11の周囲を取り囲むように環状に配置されている。なお、環状とは、例えば長方形環状、正方形環状、円環状等、枠状に形成された形態を意味する。第1金属層221は、平面視で、ポスト部11の形状に合わせて長方形環状に形成されている。第1金属層221は、ポスト部11の周囲を取り囲むように設けられればよく、ポスト部11の形状に合わせて、或いは、ポスト部11の形状にかかわらず、正方形環状や円環状、その他の環状であってもよい。
【0024】
回路基板100は、第1金属層221を有することで、例えば回路基板100に発光部品50を載置して発光装置200を製造する際に、第1金属層221の外側からポスト部11側に薬剤等が浸入することや、第1金属層221の外側からポスト部11側に異物が侵入することが抑制される。よって第1金属層221を有することにより、ポスト部11が保護される。また、後述するように、回路基板100を製造する際に、第1基板10と第2基板20aとを貼り合わせた後に回路パターン222を形成するため、回路パターン222の精度が悪化しない。また、回路パターン222を形成する際に、第1金属層221によりポスト部11が薬剤等から保護される。
これらにより、回路基板100は、寸法精度が高いものとなる。ここで、「寸法精度が高い」とは、例えば、ポスト部11に損傷が生じたり、回路パターン222の位置ずれや形状の変化等により回路パターン222の精度が悪化したりせず、設計した所望の寸法、加工精度となることを意味する。
【0025】
第1金属層221は、ポスト部11から所定の距離離れて配置されている。ポスト部11の上面と第1金属層221との距離Dは、例えば、100μm以上300μm以下とすることが好ましい。距離Dが100μm以上であれば、ポスト部11を開口部25に挿入し易くなる。また、第1金属層221の外側からポスト部11側に薬剤等が浸入した場合に、ポスト部11をより保護し易くなる。一方、距離Dが300μm以下であれば、隙間15をより小さくすることができるため、隙間15に異物が混入することをより抑制することができる。これにより、ポスト部11をより保護し易くなる。なお、ポスト部11の側面は湾曲しているため、ここでの距離Dは、ポスト部11の上面の部位におけるポスト部11の外端と第1金属層221の上面の部位における第1金属層221の内端との最短距離としている。
【0026】
第1金属層221と、回路パターン222と、は平面視において離れていることが好ましい。このような構成であれば、所望の回路パターン222を形成し易くなる。
ポスト部11の周囲に環状に配置される第1金属層221の幅Wは50μm以上100μm以下であることが好ましい。第1金属層221の幅Wが50μm以上であれば、第1金属層221の外側からポスト部11側に薬剤等が浸入することをより抑制することができ、ポスト部11をより保護し易くなる。一方、幅Wが100μm以下であれば、回路パターン222を形成する領域を増やすことができ、所望の回路パターン222を形成し易くなる。
【0027】
回路基板100は、ポスト部11を除く第1基板10の上面の全て、すなわち平板部12の上面の全てと、第2基板20の第2面とが向かい合うように配置されている。ただし、平板部12の上面の一部と、第2基板20の第2面とが向かい合うように配置されていてもよい。すなわち、平板部12の上面に第2基板20が配置されていない部位があってもよい。
【0028】
[発光装置]
次に、発光装置について説明する。
図2Aは、実施形態に係る発光装置の一例を模式的に示す平面図である。図2Bは、図2AのIIB-IIB線における模式断面図である。
【0029】
発光装置200は、前記回路基板100と、回路基板100のポスト部11に載置された発光部品50と、を含む。
発光装置200は、少なくとも、回路基板100と、レジスト30と、めっき層40と、発光部品50と、を備えていることが好ましい。
回路基板100は前記説明した通りである。
レジスト30は絶縁性であり、例えばソルダーレジストである。レジスト30は、例えば、回路基板100上において、めっき層40を形成する部位以外の部位に設けられている。レジスト30としては、例えば、エポキシ等の共重合樹脂に溶剤や消泡剤等を混合した一般的なものや、酸化チタン等のフィラーを添加して白色化したものを用いることができる。
【0030】
めっき層40は、例えば、ポスト部11上及び一部の回路パターン222上に設けられている。めっき層40としては、例えば、Au、Ag、Cu、Pt、Ni、Pd又は、これらの一種を含む合金を用いることができる。めっき層40がこれらの材料であれば、発光部品50から回路基板100側に出射される光の反射率をより高めることができる。
【0031】
発光部品50は、めっき層40を介して、回路基板100のポスト部11上及びその周囲に載置されて設けられている。発光部品50は、例えば、半田ペースト等の接着部材により回路基板100上に接着されている。
発光部品50としては、例えば、基板やパッケージ等に公知の発光素子を載置した発光部品を用いることができる。発光素子としては、例えば、半導体レーザ素子、LED(Light Emitting Diode)、有機エレクトロルミネッセンス素子等が挙げられる。また、発光部品50は、公知の発光素子自体であってもよい。すなわち、発光装置200は、少なくとも発光素子を含む発光部品を回路基板100に載置したものの他、発光素子を回路基板100に直接載置したものであってもよい。
【0032】
[回路基板の製造方法]
次に、実施形態に係る回路基板の製造方法の一例について説明する。
図3は、実施形態に係る回路基板の製造方法を示すフローチャートである。図4Aから図12Cは、実施形態に係る回路基板の製造方法における図面である。
図4Aは、ポスト部を形成した第1基板を模式的に示す平面図である。図4Bは、図4AのIVB-IVB線における模式断面図である。図5Aは、開口部を形成した第2基板を模式的に示す平面図である。図5Bは、図5AのVB-VB線における模式断面図である。図6Aは、第1基板と第2基板とを貼り合わせた状態を模式的に示す平面図である。図6Bは、図6AのVIB-VIB線における模式断面図である。
【0033】
図7Aは、ドライフィルムを設けた状態を模式的に示す平面図である。図7Bは、図7AのVIIB-VIIB線における模式断面図である。図8Aは、ドライフィルムの一部を露光した状態を模式的に示す平面図である。図8Bは、図8AのVIIIB-VIIIB線における模式断面図である。図9Aは、露光した箇所以外のドライフィルムを除去した状態を模式的に示す平面図である。図9Bは、図9AのIXB-IXB線における模式断面図である。図10Aは、第1金属層の一部を除去した状態を模式的に示す平面図である。図10Bは、図10AのXB-XB線における模式断面図である。図11Aは、露光した箇所のドライフィルムを除去した状態を模式的に示す平面図である。図11Bは、図11AのXIB-XIB線における模式断面図である。
【0034】
図12Aは、ドライフィルムの一部を露光した状態を模式的に示す断面図である。図12Bは、露光した箇所のドライフィルムを除去した状態を模式的に示す断面図である。図12Cは、第1金属層の一部を除去した状態を模式的に示す断面図である。
なお、実施形態に係る回路基板の製造方法では、複数の回路基板が同時に製造される。
【0035】
回路基板100の製造方法は、上面側に凸状のポスト部11が形成された第1基板10と、第1面と第1面と反対側の第2面とを有し、少なくとも第1面に第1金属層22が形成され、平面視においてポスト部11の上面を露出させる開口部25を有する第2基板20aと、を準備する工程と、ポスト部11の上面が開口部25から露出するように、ポスト部11を除く第1基板10の上面の少なくとも一部と第2基板20aの第2面とを貼り合わせる工程と、第1金属層22の一部を除去して回路パターン222を形成する工程と、を含む。そして、回路パターン222を形成する工程において、平面視で、第1金属層22の他の一部がポスト部11の周囲を取り囲むように第1金属層22の一部を除去する。
【0036】
具体的には、回路基板100の製造方法は、基板準備工程S101と、貼り合わせ工程S102と、回路パターン形成工程S103と、を含む。
なお、各部材の材質や配置等については、前記した回路基板100の説明で述べた通りであるので、ここでは適宜、説明を省略する。
【0037】
ポスト部11の周囲を取り囲む第1金属層221と回路パターン222は、例えば基材21上に設けられた1つの第1金属層22をエッチングすることで形成されたものであり、同じ材質である。エッチング後のポスト部11の周囲を取り囲む第1金属層221は、以下、適宜、環状の第1金属層221という。
【0038】
(基板準備工程)
基板準備工程S101は、第1基板10と、第2基板20aと、を準備する工程である。
【0039】
この工程S101では、第1基板10の準備として、例えば、まず、銅板をエッチング又はプレスしてポスト部11を形成した第1基板10を製造する。
また、この工程S101では、第2基板20aの準備として、例えば、まず、基材21と、基材21の片面に第1金属層22である銅箔が貼り付いた市販の片面銅貼積層板を用意する。次に、基材21における第1金属層22が設けられた反対側の面にボンディングシート23を設ける。或いは、第2基板20aの準備として、例えば、まず、両面に銅箔が貼り付いた市販の両面銅貼積層板を用意する。次に、片面の銅箔をエッチング等により除去してボンディングシート23を設ける。なお、市販の片面銅貼積層板或いは両面銅貼積層板を用いずに、基材21の一方の面に銅箔等の第1金属層22を接合してもよい。次に、所望の位置に穴開け加工を施し、開口部25を形成する。若しくは、開口部25が空いた基材21と第1金属層22とを貼り合わせた第2基板20aを用いてもよい。
【0040】
(貼り合わせ工程)
貼り合わせ工程S102は、第1基板10と第2基板20aとを貼り合わせる工程である。
この工程S102では、第1基板10のポスト部11の上面が開口部25から露出するように、第2基板20aのボンディングシート23を第1基板10に接着して第1基板10と第2基板20aとを貼り合わせる。
【0041】
第1基板10と第2基板20aとを貼り合わせる工程において、ポスト部11の上面と第1金属層22の上面とが同一平面となるように、第1基板10と第2基板20aとを貼り合わせることが好ましい。同一平面とするには、例えば、第1基板10の平板部12の厚みやポスト部11の高さ、第2基板20aの基材21の厚みや第1金属層22の厚み、ボンディングシート23の厚みを調整すればよい。
【0042】
(回路パターン形成工程)
回路パターン形成工程S103は、第2基板20aの第1金属層22の一部を除去して環状の第1金属層221及び回路パターン222を形成する工程である。
【0043】
回路パターン222を形成する工程において、ネガ型の方法として、ポスト部11上及び第1金属層22上にドライフィルム60を設ける工程と、平面視で、ポスト部11の位置からポスト部11の周囲の第1金属層22に接する位置までドライフィルム60を露光すると共に、回路パターン222を形成する箇所のドライフィルム60を露光する工程と、ドライフィルム60を現像し、露光された箇所以外のドライフィルム62を除去する工程と、ドライフィルム60の一部が除去され、第1金属層22が露出された箇所をエッチングし、第1金属層22の一部を除去する工程と、を含むことが好ましい。
【0044】
この場合、この工程S103では、まず、第1基板10と第2基板20aとを貼り合わせた貼り合わせ材の上面全体にドライフィルム60を設ける。次に、マスクを用いて、所望の環状の第1金属層221の形状及び所望の回路パターン222の形状に合わせてドライフィルム60を露光する。この際、第1金属層22の一部をエッチングした際に、平面視で、第1金属層22の他の一部がポスト部11の周囲を取り囲むように、ポスト部11の位置からポスト部11の周囲の第1金属層22に接する位置までドライフィルム60を露光する。また、回路パターン222を形成する箇所のドライフィルム60を露光する。
ここで「第1金属層22に接する位置」とは、第1金属層22の上面において、ポスト部11の周囲を取り囲む環状の第1金属層221を形成した際に、環状の第1金属層221の幅方向の外端の位置をいう。すなわち、環状の第1金属層221が所望の幅となる位置までドライフィルム60を露光する。
【0045】
次に、ドライフィルム60を現像して、露光した箇所以外のドライフィルム62を除去する。次に、露光した箇所のドライフィルム61から露出した第1金属層22をエッチングして除去する。そして、露光した箇所のドライフィルム61を除去する。これにより、所望の環状の第1金属層221及び所望の回路パターン222が形成された回路基板100が製造される。
【0046】
また、回路パターン222を形成する工程において、ポジ型の方法として、ポスト部11上及び第1金属層22上にドライフィルム60を設ける工程と、平面視で、ポスト部11から所定の距離離れてポスト部11の周囲を囲むように環状にドライフィルム60を露光すると共に、回路パターン222を形成しない箇所のドライフィルム60を露光する工程と、ドライフィルム60を現像し、露光された箇所のドライフィルム61を除去する工程と、ドライフィルム60の一部が除去され、第1金属層22が露出された箇所をエッチングし、第1金属層22の一部を除去する工程と、を含むことが好ましい。
【0047】
この場合、この工程S103では、まず、第1基板10と第2基板20aとを貼り合わせた貼り合わせ材の上面全体にドライフィルム60を設ける。次に、マスクを用いて、所望の環状の第1金属層221の形状及び所望の回路パターン222の形状に合わせてドライフィルム60を露光する。この際、第1金属層22の一部をエッチングした際に、平面視で、第1金属層22の他の一部がポスト部11の周囲を取り囲むように、ポスト部11から所定の距離離れてポスト部11の周囲を囲むように環状にドライフィルム60を露光する。また、回路パターン222を形成しない箇所のドライフィルム60を露光する。
【0048】
次に、ドライフィルム60を現像して、露光した箇所のドライフィルム61を除去する。次に、露光した箇所以外のドライフィルム62から露出した第1金属層22をエッチングして除去する。そして、露光した箇所以外のドライフィルム62を除去する。これにより、所望の環状の第1金属層221及び所望の回路パターン222が形成された回路基板100が製造される。
【0049】
第1金属層22の一部を除去する工程において、ポスト部11の周囲を取り囲む第1金属層221の幅が50μm以上100μm以下となるように第1金属層22の一部を除去することが好ましい。第1金属層221の幅は、ドライフィルム60の露光する範囲を調整することにより制御することができる。
なお、実施形態に係る回路基板の製造方法では、複数の回路基板100が同時に製造されるが、回路基板100毎に個片化してもよいし、回路基板100の集合体のまま、後述する発光装置200の製造方法に移行してもよい。
【0050】
例えば、従来の技術のように、銅板と配線基板とを貼り合わせる前に、基板に回路パターンを形成すると、加工の際に基板が変形し易いため、回路パターンの位置ずれや形状の変化等により回路パターンの精度が悪化する場合がある。そのため、設計した所望の寸法、加工精度が得られない場合がある。これに対し、実施形態に係る回路基板の製造方法は、第1基板10と第2基板20aとを貼り合わせた後に回路パターン222を形成する。そのため、第2基板20aが第1基板10に固定されるため、回路パターン222を形成する際に、回路パターン222の精度が悪化しない。
【0051】
更に、実施形態に係る回路基板の製造方法では、平面視で、第1金属層22の他の一部がポスト部11の周囲を取り囲むように第1金属層22の一部を除去する。これにより、環状の第1金属層221が形成される。そのため、回路パターン222を形成する際に、ポスト部11が環状の第1金属層221により保護されるため、ポスト部11がエッチングされること等により必要以上に浸食されるのを防止することができる。
したがって、実施形態に係る回路基板の製造方法は、寸法精度が高い回路基板100を製造することができる。
【0052】
[発光装置の製造方法]
次に、実施形態に係る発光装置の製造方法の一例について説明する。
図13は、実施形態に係る発光装置の製造方法を示すフローチャートである。図14Aは、実施形態に係る発光装置の製造方法において、レジスト及びめっき層を形成した状態を模式的に示す平面図である。図14Bは、図14AのXIVB-XIVB線における模式断面図である。図15Aは、実施形態に係る発光装置の製造方法において、回路基板上に発光部品を載置した状態を模式的に示す平面図である。図15Bは、図15AのXVB-XVB線における模式断面図である。
なお、実施形態に係る発光装置の製造方法では、複数の発光装置が同時に製造される。
【0053】
発光装置の製造方法は、前記の回路基板の製造方法で回路基板100を製造する工程と、回路基板100のポスト部11に発光部品50を載置する工程と、を含む。
【0054】
具体的には、発光装置の製造方法は、回路基板製造工程S11と、レジスト形成工程S12と、めっき層形成工程S13と、発光部品載置工程S14と、を含む。
なお、各部材の材質や配置等については、前記した発光装置200の説明で述べた通りであるので、ここでは適宜、説明を省略する。
【0055】
(回路基板製造工程)
回路基板製造工程S11は、前記した回路基板の製造方法で回路基板100を製造する工程である。
この工程では、前記した工程S101から工程S103を行うことで回路基板100を製造する。
【0056】
(レジスト形成工程)
レジスト形成工程S12は、回路基板100の上面にレジスト30を形成する工程である。レジスト30の形成は、例えば、スクリーンマスクを用いて、スクリーン印刷法で行うことができる。
【0057】
(めっき層形成工程)
めっき層形成工程S13は、回路基板100の上面にめっき層40を形成する工程である。めっき層40の形成は、無電解めっき或いは電解めっきにより行うことができる。
【0058】
(発光部品載置工程)
発光部品載置工程S14は、回路基板100上に発光部品50を載置する工程である。
この工程S14では、例えば、半田ペースト等の接着部材を用いて、回路基板100のポスト部11上及びその周囲のめっき層40及びレジスト30上に発光部品50を載置する。
【0059】
このようにして、発光装置200の集合体が製造される。そして、この集合体を発光装置200毎に個片化することにより、複数の発光装置200が得られる。
【0060】
以上、発明を実施するための形態をより具体的に説明したが、本発明の趣旨はこれらの記載に限定されるものではなく、特許請求の範囲の記載に基づいて広く解釈されなければならない。また、これらの記載に基づいて種々変更、改変等したものも本発明の趣旨に含まれる。
以下、変形例及び応用例について説明する。なお、各部材の材質や配置等については、実施形態の説明で述べた通りであるので、ここでは適宜、説明を省略する。
【0061】
《変形例》
[変形例1]
図16Aは、変形例1に係る発光装置の一例を模式的に示す断面図である。
回路基板100A及び発光装置200Aは、第2基板20Aが第2金属層24を有する。
第2基板20Aは基材21上に第1金属層221及び回路パターン222が設けられ、基材21上に設けられた第1金属層221及び回路パターン222の反対側に第2金属層24が設けられている。回路基板100A及び発光装置200Aは、第2基板20Aが第2金属層24を有することで、放熱性を向上させることができる。第2金属層24の材質としては、例えば、第1金属層221及び回路パターン222で例示したものを用いることができる。
【0062】
また、変形例1の製造方法では、前記した基板を準備する工程において、第2基板20Aには基材21上に第1金属層22が設けられており、基材21上に設けられた第1金属層22とは反対側に第2金属層24が設けられている。
第2基板20Aは、例えば、市販の両面銅貼積層板を用いることで準備することができる。或いは、一方の面に第1金属層22が設けられた市販の片面銅貼積層板の他方の面に第2金属層24を接合してもよい。或いは、市販の片面銅貼積層板或いは両面銅貼積層板を用いずに、基材21の一方の面に第1金属層22を設け、基材21の他方の面に第2金属層24を接合してもよい。
【0063】
[変形例2]
図16Bは、変形例2に係る発光装置の一例を模式的に示す断面図である。
回路基板100B及び発光装置200Bは、第1金属層221がポスト部の周囲に直接接している。第1基板10Aは、ポスト部11Aの側面が直線形状であり、ポスト部11Aが断面視で長方形である。そして、第1基板10Aは、ポスト部11Aの側面に基材21、第1金属層221、及びボンディングシート23が直接接している。このような構成によれば、第1基板10Aと第2基板20との密着性を向上させることができる。
【0064】
その他、例えば、めっき層は、一部にのみ設けたものであってもよく、設けないものであってもよい。めっき層を設けない部位は、第1基板、環状の第1金属層及び回路パターンが露出したものであってもよい。また、後述するように、ポスト部の上面に長尺状のレジストを有するものであってもよい。
【0065】
また、回路基板の製造方法は、前記各工程に悪影響を与えない範囲において、前記各工程の間、あるいは前後に、他の工程を含めてもよい。例えば、製造途中に混入した異物を除去する異物除去工程等を含めてもよい。
また、発光装置の製造方法は、前記各工程に悪影響を与えない範囲において、前記各工程の間、あるいは前後に、他の工程を含めてもよい。例えば、製造途中に混入した異物を除去する異物除去工程等を含めてもよい。
【0066】
《応用例》
次に、回路基板及び発光装置について、半導体レーザ素子を用いた場合の応用例の一例について説明する。なお、ここでは、応用例の一例として、回路基板及び発光装置の形態を前記した実施形態とはわずかに異なるものとしている。このように、実施形態の回路基板及び発光装置は、種々の形態に応用することができる。
【0067】
図17Aは、応用例に係る発光装置の一例を模式的に示す斜視図である。図17Bは、応用例に係る発光装置の配線基板の構成の一例を模式的に示す平面図である。図17Cは、図17BのXVIIC-XVIIC線における模式断面図である。図18Aは、発光部品の構成の一例を模式的に示す分解斜視図である。図18Bは、発光部品のパッケージ内の構成を模式的に示す平面図である。図18Cは、図18BのXVIIIC-XVIIIC線における模式断面図である。図18Dは、発光部品の下面の構成を模式的に示す底面図である。
【0068】
発光装置200Cは、少なくとも、配線基板110と、発光部品50Aと、サーミスタ150と、を備えている。
配線基板110は、上面に、少なくとも、レジスト30と、めっき層40と、を備えている。めっき層40は、めっき層41と、めっき層42a,42bと、めっき層43a,43bと、めっき層44a,44bと、めっき層45a,45bと、を含む。また、配線基板110は、レジスト30及びめっき層40の下に、第1金属層221及び回路パターン222を備えている。
【0069】
めっき層41は、発光部品50Aが載置される中央領域のめっき層である。めっき層42aは、発光部品50Aが載置される前側領域のめっき層である。めっき層42bは、発光部品50Aが載置される後側領域のめっき層である。めっき層43a,43bは、サーミスタ150が載置される領域のめっき層である。めっき層44a,44bは、サーミスタ検査端子用の所定領域のめっき層である。めっき層45a,45bは、レーザ素子検査端子用の所定領域のめっき層である。
【0070】
めっき層41及びめっき層42a,42bは、発光部品50Aが載置される部位である。めっき層43a,43bは、サーミスタ150が載置される部位である。めっき層41の部位には、平面視で、第1金属層221の外縁に合わせて長方形に形成された領域において、複数の長尺状のレジスト30が長方形の周辺から中央に向かって延伸して配置されている。めっき層41は、長方形に形成された領域のうち、レジスト30が配置されていない部位である。発光装置は、ポスト部に発光部品を載置した際に、ポスト部と発光部品との間に気泡が残る場合がある。発光装置200Cは、配線基板110がポスト部11の上面に複数の長尺状のレジスト30を有することで、長尺状のレジスト30を介して気泡を分散させ易くなる。これにより、配線基板110の放熱性がより向上する。
【0071】
レジスト30は、めっき層40を除く配線基板110の上面に設けられる。めっき層42aは、平面視で、めっき層41の前側に3つ設けられている。めっき層42bは、平面視で、めっき層41の後側に3つ設けられている。めっき層41を挟んで前後に対となって設けられためっき層42a,42bは、発光部品50Aの下面に設けられた金属膜87と接合することで、一方から他方へと電気的に接続される。
【0072】
めっき層42aとめっき層45aとは、回路パターン222を介して電気的に接続されている。めっき層42bとめっき層45bとは、回路パターン222を介して電気的に接続されている。めっき層45a,45bは、レーザ素子検査端子として機能する。めっき層43aとめっき層44aとは、回路パターン222を介して電気的に接続されている。めっき層43bとめっき層44bとは、回路パターン222を介して電気的に接続されている。めっき層44a,44bは、サーミスタ検査端子として機能する。
サーミスタ150は、発光装置200Cが作動しているときの温度を測定するために用いられる温度検知素子の一例である。サーミスタ150は、めっき層43a及びめっき層43bに接続した状態で載置され、これにより、めっき層43aからサーミスタ150を通りめっき層43bへと導通させることができる。
【0073】
発光部品50Aは、パッケージ71と、半導体レーザ素子72と、サブマウント73と、光反射部材74と、保護素子75と、ワイヤ76と、蓋部材77と、接着部78と、レンズ部材79と、を有する。
【0074】
パッケージ71は平面視で長方形の凹部80を有する。なお、ここでの長方形とは、パッケージ71のように、角部や側面の一部を切り欠いた形状や、凹部80のように、角部が湾曲した形状等、概ね長方形である形状を含むものである。また、パッケージ71は、凹部80の4つの内側面82のうち、互いに向き合う短手方向の2つの内側面82に段差部83が形成されている。パッケージ71は、セラミックを主材料として形成することができる。なお、パッケージ71は、セラミックに限らず金属で形成してもよい。例えば、セラミックでは、窒化アルミニウム、窒化ケイ素、酸化アルミニウム、炭化ケイ素をパッケージ71の主材料に用いることができる。金属では、銅、アルミニウム、鉄、複合物として銅モリブデン、銅-ダイヤモンド複合材料、銅タングステンをパッケージ71の主材料に用いることができる。
【0075】
パッケージ71の下面84及び段差部83の上面には、それぞれ金属膜が設けられている。また、パッケージ71の下面84における金属膜は、パッケージ71の両端に対となって設けられた金属膜87と、両端の金属膜87の間でパッケージ71の下面84の中央に設けられた金属膜88と、を有する。金属膜87のそれぞれは、互いに向き合う2辺のそれぞれに沿って、3ヶ所ずつに互いに離間して設けられている。この金属膜87は、配線基板110のめっき層42a,42bに接続できるように互いに向き合って形成されている。金属膜88は、配線基板110のめっき層41に接続できるように形成されている。パッケージ71では、内部を通る金属配線により、段差部83の上面における金属膜と下面84における金属膜87とは電気的に接続されている。
【0076】
段差部83の上面に設けられた金属膜である接続配線には、半導体レーザ素子72、保護素子75が電気的に接続されている。この導通のためにワイヤ76が接合されている。これにより半導体レーザ素子72及び保護素子75は、パッケージ71の下面84に設けられた金属膜87を介して電気的に接続される。
【0077】
このような発光部品50Aは、パッケージ71の下面84に設けられた対の金属膜87が、配線基板110のめっき層42a,42bと接合される。また、パッケージ71の下面84の中央に設けられた金属膜88が、配線基板110のめっき層41と接合される。発光部品50Aと配線基板110との接合は、半田付けによって行うことができる。
【0078】
半導体レーザ素子72は、サブマウント73を介してパッケージ71の凹部80の底面81(底部86の上面)に載置されている。発光部品50Aに載置される複数の半導体レーザ素子72は、一方向、具体的にはパッケージ71の長手方向に並べて配置されている。また、載置される各半導体レーザ素子72が同じ方向にレーザ光を出射するように出射端面の向きが揃えられている。一方向に並べて配置された複数の半導体レーザ素子72は、ワイヤ76を用いて、直列に電気接続されている。
【0079】
サブマウント73は、その下面でパッケージ71の凹部80の底面81とAuペースト等の接着部材により接合され、その上面で半導体レーザ素子72と接合されている。サブマウント73は、例えば、窒化ケイ素、窒化アルミニウム、又は炭化ケイ素を用いて形成することができる。また、サブマウント73の上面にはCuめっき等の金属膜が設けられている。
【0080】
光反射部材74は、半導体レーザ素子72からの光を反射する部材である。光反射部材74は、その下面でパッケージ71の凹部80の底面81と接着部材により接合されている。接着部材は、Ag、Au、Cu等の粒子と有機溶剤との混合物を塗布した後、加熱により有機溶剤を除去し、Ag、Au、Cu等の粒子を融着させている。光反射部材74は、それぞれの半導体レーザ素子72に対応して独立して配置されている。光反射部材74は、下面と、上面と、側面と、傾斜面と、を有し、傾斜面が光反射面となる。光反射面は平面であり、上面から下面にかけて傾斜している。
【0081】
光反射部材74は、主材料を用いてその外形を形成し、形成した外形のうち光反射面を設けたい面に光反射膜を成膜して形成することができる。主材料は熱に強い材料がよく、例えば、石英若しくはBK7(硼珪酸ガラス)等のガラス、アルミニウム等の金属、又はSi等を採用することができる。光反射膜は光反射率の高い材料がよく、Ag、Al等の金属やTa/SiO、TiO/SiO、Nb/SiO等の誘電体多層膜等を採用することができる。なお、光反射部材74は、金属等の光反射率の高い材料を主材料に用いてその外形を形成した場合、光反射膜の形成は省略してもよい。
【0082】
半導体レーザ素子72から放射された光の主要部分は、対応する光反射部材74の光反射面に照射される。なお、光反射部材74を有さずに、半導体レーザ素子72の出射端面を上方に向けた発光部品であってもよい。
【0083】
保護素子75は、サブマウント73の上面に載置されている。保護素子75は、例えば、ツェナーダイオードである。ワイヤ76は、金属の配線である。ワイヤ76の材質としては、Au、Ag、Cu、Pt、Al等の金属、及び、それらの合金を用いたものが挙げられる。なお、保護素子75を有さない発光部品であってもよい。
【0084】
蓋部材77は、半導体レーザ素子72及び光反射部材74を覆う部材である。蓋部材77は全体として透光性であるが、一部に非透光性の領域を有していてもよい。蓋部材77は、サファイアを主材料に用いて形成することができる。また、蓋部材77は、一部の領域に金属膜が設けられている。なお、主材料には、サファイアの他に、例えばガラス等を用いることもできる。
蓋部材77は、その下面において、パッケージ71の上面(枠部85の上面)と接合されている。蓋部材77とパッケージ71は、接合される領域に金属膜が設けられ、Au-Sn等を介して固定されている。発光部品50Aは、パッケージ71と蓋部材77とが接合されることで閉空間が形成される。この閉空間は気密封止された空間となる。発光部品50Aは、このように気密封止することで、半導体レーザ素子72の光の出射端面に有機物等が集塵することを抑制することができる。
【0085】
接着部78は、蓋部材77の上面において、蓋部材77とレンズ部材79とを接着する領域に形成されている。接着部78としては、例えば、紫外線硬化型の樹脂を用いることができる。
【0086】
レンズ部材79は、蓋部材77の上面に対面して設けられている。レンズ部材79は、レンズ形状を有するレンズ部791と、レンズ部791を支持する長方形の支持板部792とが一体となって形成されている。レンズ部材79には、レンズ部791のそれぞれが半導体レーザ素子72の光軸に対向する位置に設けられている。各レンズ部791は、対応する半導体レーザ素子72から放射され光反射部材74により反射された反射光がレンズ部791を通過してコリメートされるように、その配置及び形状が設計される。レンズ部材79には、例えば、BK7、B270等のガラス等を用いることができる。
【産業上の利用可能性】
【0087】
本開示の実施形態に係る回路基板及び発光装置は、各種電子機器に利用することができる。
【符号の説明】
【0088】
10、10A 第1基板
11、11A ポスト部
12 平板部
15 隙間
20、20a、20A 第2基板
21 基材
22 第1金属層
221 第1金属層(環状の第1金属層)
222 回路パターン
23 ボンディングシート
24 第2金属層
25 開口部
30 レジスト
40 めっき層
41 めっき層
42a,42b めっき層
43a,43b めっき層
44a,44b めっき層
45a,45b めっき層
50、50A 発光部品
60 ドライフィルム
61 露光した箇所のドライフィルム
62 露光した箇所以外のドライフィルム
71 パッケージ
72 半導体レーザ素子
73 サブマウント
74 光反射部材
75 保護素子
76 ワイヤ
77 蓋部材
78 接着部
79 レンズ部材
791 レンズ部
792 支持板部
80 凹部
81 凹部の底面
82 凹部の内側面
83 段差部
84 下面
85 枠部
86 底部
87 金属膜
88 金属膜
100、100A、100B 回路基板
110 配線基板
150 サーミスタ
200、200A、200B、200C 発光装置
D 隙間の距離
H ポスト部の高さ
T 平板部の厚み
W 第1金属層の幅
図1A
図1B
図2A
図2B
図3
図4A
図4B
図5A
図5B
図6A
図6B
図7A
図7B
図8A
図8B
図9A
図9B
図10A
図10B
図11A
図11B
図12A
図12B
図12C
図13
図14A
図14B
図15A
図15B
図16A
図16B
図17A
図17B
図17C
図18A
図18B
図18C
図18D