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  • 特許-撮像素子および撮像装置 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-12
(45)【発行日】2023-12-20
(54)【発明の名称】撮像素子および撮像装置
(51)【国際特許分類】
   H04N 25/79 20230101AFI20231213BHJP
   H04N 25/17 20230101ALI20231213BHJP
【FI】
H04N25/79
H04N25/17
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2019208799
(22)【出願日】2019-11-19
(65)【公開番号】P2021082940
(43)【公開日】2021-05-27
【審査請求日】2022-10-19
(73)【特許権者】
【識別番号】000004352
【氏名又は名称】日本放送協会
(74)【代理人】
【識別番号】100097984
【弁理士】
【氏名又は名称】川野 宏
(74)【代理人】
【識別番号】100125265
【弁理士】
【氏名又は名称】貝塚 亮平
(72)【発明者】
【氏名】本田 悠葵
(72)【発明者】
【氏名】難波 正和
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 弘人
【審査官】鈴木 明
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2012/169127(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04N 25/00-25/79
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
入射光に応じた電荷を生成し、蓄積する光電変換部および該光電変換部により得られた蓄積電荷を読み出して出力する信号処理部を備え、
前記光電変換部は、光入射方向に、所定のn層(nは2以上の自然数)からなる光電変換層を積層してなるとともに、これら所定のn層の各々が、同一画素ピッチで2次元アレイ状に画素を配列されてなり、かつ前記所定のn層のうち、少なくとも、入射光が最後に入射する層以外の層が、光の一部を透過し得るように形成されてなり、
前記所定のn層は、画素配列の縦横各々の方向を互いに揃えられるとともに、縦方向および横方向に、h/n画素ピッチずつおよびk/n画素ピッチずつ、互いにずらされて配列されており、
前記光電変換部、およびこの光電変換部に対応する前記信号処理部が、光入射方向に対して垂直方向に、横並びに配されており、
さらに、前記光電変換部を構成する前記所定のn層からなる前記光電変換層の各々と、各々の前記光電変換層に対応する信号処理部の部分を、横並びに配した層が積層されている、ことを特徴とする撮像素子。
ただし、前記hおよび前記kは、1以上の整数である。
【請求項2】
前記光電変換層が2層であり、これら2層が、縦横各々に、互いに1/2画素ピッチずつずらされて配列されるように構成することを特徴とする請求項1に記載の撮像素子。
【請求項3】
前記横並びに配した層であるトランジスタ層に隣接させて埋め込み酸化膜を有する層を配設したことを特徴とする請求項1または2に記載の撮像素子。
【請求項4】
前記横並びに配した層であるトランジスタ層の厚みが50nmとされていることを特徴とする請求項1から3のうちいずれか1項に記載の撮像素子
【請求項5】
前記所定のn層の各々が、互いに同等の光量を吸収するように構成されていることを特徴とする請求項1からのうちいずれか1項に記載の撮像素子。
【請求項6】
請求項1~のうちいずれか1項に記載の撮像素子を備え、
前記入射光が担持した被撮像体画像情報を該撮像素子上に結像させる撮像レンズと、
前記光電変換部の前記所定のn層各々に対応する、前記信号処理部からの画像信号を互いに補間するように演算を施す画像信号補間演算部を備えたことを特徴とする撮像装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、種々の被撮像物の撮像に用いられる撮像素子および撮像装置に関し、例えば、スーパーハイビジョンやインテグラルフォトグラフィー(IP)に適応させ得る多数の画素を有する撮像素子および撮像装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、撮像素子の高解像度化に対する要求が著しく、これまでに、例えばスーパーハイビジョンに対応した3,300万画素(7,680×4,320画素)を有する撮像素子が実現されている。しかし、今後、さらなる高解像度化が望まれており、その飛躍的なレベル向上が強く望まれている。
【0003】
上述したように、多数の画素による撮像素子を用いて、さらに多くの画素を有する撮像素子による画像と同等の解像度の画像を得るための技術として、例えば4板撮像方式(デュアルグリーン方式)と称される技術が知られている。
この技術は、例えば4分割式のフィリップス型プリズムを用い、4つの光出射端のうち2つの出射端面の各々に緑色信号(Gチャンネル)受光用の撮像素子を、他の2つの光出射端のうち、一方の出射端面に赤色信号(Rチャンネル)受光用の撮像素子を、他方の出射端面に青色信号(Bチャンネル)受光用の撮像素子を、それぞれ貼着するように構成する(後述する非特許文献1を参照)。
【0004】
この場合において、上記2つのGチャンネル用の撮像素子を光学像に対して空間的に斜め方向に半画素ずらすように位置調整をして、上記プリズムの光出射端面に貼着し、各撮像素子で得られた画像を相互に補間することにより、解像度を、各撮像素子による解像度の2倍とすることが可能となる。
このようにして、少ない画素数のイメージセンサで効果的にシステムの解像度を改善することができる。
【0005】
すなわち、上記4板撮像方式の従来技術においては、プリズム端面に貼着されるGチャンネル用の2つの撮像素子を、光学像に対して空間的に斜め方向に1/2画素ずらすように、互いに異なるプリズム端面に貼着して、画素ずらし処理を施すことにより、水平方向および垂直方向のナイキスト周波数を撮像素子のもつ解像度の2倍にすることが可能となる(非特許文献1を参照)。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0006】
【文献】M. Sugawara et al.: “Four-chip CCD Camera for HDTV,” SPE Proc., 2137, pp.122-129 (1994)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、上述した従来技術によっては、画素ずらし位置の精度が悪いと、合成画像の空間解像度も劣化するため、高精度で撮像素子とプリズムを貼着する必要があり、製造に労力とコストを要するという問題があった。また、ガラス製のプリズムを用いることや、このプリズムの各光出射端に各々撮像素子を配する必要があるため、撮像装置が大型化するという問題もあった。
【0008】
本発明は、このような事情に鑑みなされたものであり、所定画素数の撮像素子を用いて、これよりも多くの画素を有する撮像素子と同等の解像度の画像を得ようとする場合に、撮像素子間での画素ずらし処理を行う際の製造の労力およびコストの軽減を図り、撮像装置のコンパクト化を図り得る撮像素子および撮像装置を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
以上の目的を達成するため、本発明の撮像素子は、
入射光に応じた電荷を生成し、蓄積する光電変換部および該光電変換部により得られた蓄積電荷を読み出して出力する信号処理部を備え、
前記光電変換部は、光入射方向に、所定のn層(nは2以上の自然数)からなる光電変換層を積層してなるとともに、これら所定のn層の各々が、同一画素ピッチで2次元アレイ状に画素を配列されてなり、かつ前記所定のn層のうち、少なくとも、入射光が最後に入射する層以外の層が、光の一部を透過し得るように形成されてなり、
前記所定のn層は、画素配列の縦横各々の方向を互いに揃えられるとともに、縦方向および横方向に、h/n画素ピッチずつおよびk/n画素ピッチずつ、互いにずらされて配列されており、
前記光電変換部、およびこの光電変換部に対応する前記信号処理部が、光入射方向に対して垂直方向に、横並びに配されており、
さらに、前記光電変換部を構成する前記所定のn層からなる前記光電変換層の各々と、各々の前記光電変換層に対応する信号処理部の部分を、横並びに配した層が積層されている、ことを特徴とするものである。
ただし、前記hおよび前記kは、1以上の整数である。
【0010】
また、前記光電変換層が2層であり、これら2層が、縦横各々に、互いに1/2画素ピッチずつずらされて配列されるように構成することが可能である。
また、前記横並びに配した層であるトランジスタ層に隣接させて埋め込み酸化膜を有する層を配設したものとすることができる。
また、前記横並びに配した層であるトランジスタ層の厚みが50nmとされていることが好ましい。
また、前記所定のn層の各々が、互いに同等の光量を吸収するように構成されていることが好ましい。
【0011】
さらに、本発明の撮像装置は、
上述したいずれかの撮像素子を備え、
前記入射光が担持した被撮像体画像情報を該撮像素子上に結像させる撮像レンズと、
前記光電変換部の前記所定のn層各々に対応する、前記信号処理部からの画像信号が互いに補間されるように演算を施す画像信号補間演算部を備えたことを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0012】
本発明の撮像素子および撮像装置においては、光電変換部は、光入射方向に、所定の複数層からなる光電変換層を積層してなるとともに、これら所定の複数層の各々が、同一画素ピッチで2次元アレイ状に画素を配列されてなり、かつ該所定の複数層のうち、光入射側の層は入射光の一部を光電変換するとともに、その余の光を下層に透過するように構成されていることから、この撮像素子に到達した光の一部は光電変換層の所定の複数層のうち上層(光入射側の層)にて光電変換され、その余は下層(光入射側とは反対側の層)にて光電変換される、というようにして各光電変換層にて吸収された光の光電変換がなされる。
【0013】
そして、これら所定の複数層は、画素配列の縦横方向が揃えられているとともに、縦横方向の各々に、互いにh/n画素ピッチずつおよびk/n画素ピッチずつ(nは光電変換層の数、h,kは1以上の整数)ずらして配列されていることから、所定の複数層の各層間で光電変換されて得られた画像信号同士は、画素の間を互いに補間する関係となるため、この後、これらの画像信号に対して画素の補間処理を行うことにより、高解像度な映像を得ることができる。
【0014】
したがって、本発明の撮像素子および撮像装置によれば、互いに積層された所定の複数層(n層)の光電変換層を、縦横方向の各々に、互いにh/n画素ピッチずつおよびk/n画素ピッチずつずらして補間させることで、従来技術のような、大型のプリズムを用い、かつ撮像素子をプリズム光出射端面の各々に配置することなく、取得画像の高解像度化を図ることができる。これにより、撮像素子間で画素ずらし処理を行う際の、製造に要する労力およびコストの軽減を図り、撮像装置のコンパクト化を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】本発明の実施形態に係る撮像素子および撮像装置の概略構成を示す模式図である。
図2図1に示す実施形態に係る撮像素子の光電変換部における2層の受光層の画素ずらしの状態を示す概念図である。
図3図1に示す実施形態に係る撮像装置における撮像素子と撮像レンズとの位置関係を示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の実施形態に係る撮像素子について、概念的に説明する。
すなわち、本実施形態に係る撮像素子10の構成は以下のように構成されている。
まず、図1に示すように、入射光に応じた電荷を生成し、蓄積する受光部(光電変換部)12および該受光部12により得られた蓄積電荷を読み出して出力する信号処理部13を備えた構成が前提とされる。なお、受光部12は、一般には支持基板(シリコンウェハ:図示せず)上に受光層(光電変換層)を積層することにより形成される。
【0017】
また、受光部12は、光入射方向に複数の受光層12a、bを積層してなるとともに、いずれの受光層12a、bとも、縦横アレイ状に画素を配列された構成とされている。
また、光入射側に配された受光層(上層)12aと、光入射側とは反対側に配された受光層(下層)12bとは、画素配列が縦方向(Y軸方向)および横方向(X軸方向)のいずれについても揃えられるとともに、これら2つの方向のいずれについても1/2画素ピッチだけ、互いにずれた位置関係で上下に重なるように配されている。
【0018】
また、信号処理部13は、各受光層12a、bの横方向に隣接して(入射方向に対して垂直方向に、横並びに)配されている。すなわち、受光層(上層)12aに対応して上層用信号処理部13aが、また、受光層(下層)12bに対応して下層用信号処理部13bが、各々設けられており、受光層12aの各画素12a1~a4からの画素信号が、各々信号線14を介して、上層用信号処理部13aに送出され、他方、受光層12bの各画素12b1~b5からの画素信号が、各々信号線14を介して、下層用信号処理部13bに送出される。
【0019】
なお、このように受光層12a、12bが積層され、信号処理部との間で電気配線が接続されてなる撮像素子10は、いわゆるICパッケージに収納される。この時、撮像素子の各接続端子はワイヤボンディングによって、ICパッケージ側の端子と接続される。
【0020】
また、本発明の実施形態に係る撮像装置100は、上述した撮像素子10と、画像信号補間演算部50、さらには図3に示す撮像レンズ30を備えている。
図1に示す画像信号補間演算部50は、上層用信号処理部13aから出力された画像信号と下層用信号処理部13bから出力された画像信号を各々入力され、両画像信号について、互いに補間する演算処理を行って、高解像度の画像信号を生成し、出力する。
【0021】
また、撮像レンズ30は、撮像装置100に入射した光束が担持した被撮像体像情報を、撮像素子10上に結像し得る凸レンズ機能を有している。この撮像レンズ30は、非球面単レンズとされていてもよいし、複数枚のレンズからなる合成レンズ系とされていてもよい。
【0022】
図2は、受光部12を構成する、受光層(上層)12aおよび受光層(下層)12bが、縦横画素配列方向に、互いに1/2画素ピッチずつずらされるようにして配設された状態を概略的に示すものである。すなわち両受光層12a、bの対応する画素12an、bnが縦横両方向に互いに1/2画素ピッチずらされている。
これにより、画素の隙間が互いに補間されることになるので、高解像度の画像を得ることができる。
【0023】
複数の受光層12a、bの積層は、接着剤などを用いず、支持基板(図示せず)上に受光層12a、bや信号処理部13a、b(以下、受光層12a、b等と称する場合がある)を搭載してなる撮像基板部同士を直接接合する技術(いわゆる直接接合、ハイブリッド接合および常温接合を含む技術)の手法等を用いることで容易に形成可能である。
【0024】
また、撮像基板部同士を接合する際には、位置合わせマークを、受光層12a、bが搭載されてなる各撮像基板部の対応位置に形成し、位置合わせマークを互いに一致させることで撮像基板部同士を接合する際の重ね合わせの位置決めを容易に良好なものとすることができる。したがって、位置合わせマークに対して、2つの受光層の位置を縦横方向に互いに1/2画素ピッチずつずらすことで、画素ずれ量を容易に調節することができる。
【0025】
位置合わせマークは、例えば、各撮像基板部の四隅のうち対応する対角隅部に各々形成し、例えば、赤外線カメラにより上方から見て、それらの位置合わせマーク同士(例えば一方が円環状のマークとされ、他方がこの円環内に遊嵌される(余裕をもって嵌め合わされる)大きさの円形状のマークとされる)が所定の状態で重なり合うことを確認しつつ位置合わせを行う。
【0026】
なお、支持基板上に受光層12a、b等が搭載された各撮像基板部を積層する際には、位置合わせマークを形成した各撮像基板部を、各支持基板を外側にし、各受光層同士を対向させて接合する。この後、一方の支持基板は除去される。
【0027】
受光層12a、bに用いる材料としては、一般的に使用されているCMOSイメージセンサに用いられる材料と同様の材料であるシリコンを用いたフォトダイオードや埋め込みフォトダイオードのみならず、シリコン基板とトランジスタ層との間に埋め込み酸化膜を有するSOI基板やFDSOI基板で形成されたフォトダイオードを用いることができる。特にFDSOI基板ではトランジスタ層が約50nm程度の薄いものが知られており、これを用いることで、本実施形態の特徴である、一部の光を受光・光電変換し、その余の光は下層へ透過させるという手法を実現することができる。
【0028】
また、シリコン以外の光電変換層の材料として、本願出願人が先に特許庁に開示しているセレンや有機光電変換材料も適用可能である。特に有機光電変換材料を用いた場合には、赤・青・緑の光にそれぞれ感度を有する有機光電変換層を積層し、各層において、対応する各色光を効率よく分光吸収することができる。
なお、信号処理部13a、13bの材料としては、透明な材料を用いることができる。
【0029】
なお、図2には、縦横方向に各々3つの画素を配列した様子が模式的に記載されているが、実際には、縦横方向に数千個の画素(スーパーハイビジョンの場合には、横7,680画素×縦4,320画素)が配列されたものとされている。
【0030】
また、図3は、撮像装置100において、撮像レンズ30を通過した光が担持する被写体像情報が結像される状態を示すものである。撮像レンズ30を透過し、撮像素子10に入射した光の一部は受光層(上層)12aにおいて、その余の光は受光層(下層)12bにおいて受光される。
【0031】
これら2つの受光層12a、bの受光量は、ほぼ等しく設定されることが好ましく、例えば、受光層12aの光透過率を50%、受光層12bの光透過率を0%とすれば、同程度の光量を2つの受光層12a、bに効率よく配分することができる。このためには、受光層12aの厚みに比べて、受光層12bの厚みを、大幅に大きく設定することが肝要である。
【0032】
また、例えば、受光層12aの光透過率を2/3とし、受光層12bの光透過率を1/2とすれば、各受光層12a、bにおいて光電変換に供される光量を互いに同程度とすることができる。なお、各受光層12a、bの光透過率は、層厚に反比例すると想定して調整することができる。
【0033】
本発明の撮像素子および撮像装置としては、上記実施形態のものに限られるものではなく、その他の種々の態様に変更可能である。
例えば、上記実施形態においては、2つの受光層の間で画素補間を行う場合について説明しているが、3層以上の受光層を積層してもよい。
【0034】
一般にn層の受光層を積層して、互いに画素補間を行わせるようにした場合は、受光層を、互いに、縦方向および横方向に、h/n画素ピッチずつおよびk/n画素ピッチずつ(ただし、前記hおよび前記kは、1以上の整数である)、互いにずらして配列するように構成して画素補間することが有効である。
【0035】
すなわち、例えば、受光層が3層の場合には、これらの受光層の間で画素補間を行う場合には、積層した3つの受光層を、縦横両方向に、互いに1/3画素ピッチずつ、あるいは互いに2/3画素ピッチずつずらすようにする。これにより、3倍の解像度を得ることができる。
【0036】
また、上記実施形態においては、本発明を通常の撮像素子に用いた場合について説明しているが、例えば、本出願人が既に特許庁に開示している特願2019-40858号の明細書に記載されているような、インテグラルフォトグラフィー(IP)に適応させることも可能である。
【0037】
さらに、前述した有機光電変換材料により構成される受光層を4枚積層し、そのうち2枚の受光層を緑色信号(Gチャンネル)受光用の受光層とし、他の2枚の受光層のうち、一方を赤色信号(Rチャンネル)受光用の受光層、他方を青色信号(Bチャンネル)受光用の受光層とするとともに、緑色信号(Gチャンネル)受光用の2枚の受光層に対して、上述した実施形態で説明したような、1/2画素ピッチずらしの手法を採用することにより、極めてコンパクトに、かつ製造容易に、4板撮像方式(デュアルグリーン方式)と同様の高画質の画像を取得することが可能である。
【0038】
また、受光層が上記有機光電変換材料で構成された場合において、R光やB光の他の色光についてもG光と同様の上記手法を採用することが可能であって、その組合せを適宜選択することが可能であり、R、G、Bの各色光について、いずれも2倍の解像度を得ようとする際には、全体で6枚の受光層を積層することになる。
また、光電変換部と信号処理部を互いに積層するように構成すれば、素子の横方向の広がりを抑制することができるので、撮像素子のコンパクト化を一層図ることができる。
【符号の説明】
【0039】
10 撮像素子
12 受光部(光電変換部)
12a 受光層(上層)
12b 受光層(下層)
12a1~a4、12an、12b1~b5、12bn 画素
13 信号処理部
13a 上層用信号処理部
13b 下層用信号処理部
30 撮像レンズ
50 画像信号補間演算部
100 撮像装置
図1
図2
図3