IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ サノフイの特許一覧

特許7402162薬物送達デバイスの起動を検出するための装置
<>
  • 特許-薬物送達デバイスの起動を検出するための装置 図1
  • 特許-薬物送達デバイスの起動を検出するための装置 図2
  • 特許-薬物送達デバイスの起動を検出するための装置 図3
  • 特許-薬物送達デバイスの起動を検出するための装置 図4a
  • 特許-薬物送達デバイスの起動を検出するための装置 図4b
  • 特許-薬物送達デバイスの起動を検出するための装置 図5
  • 特許-薬物送達デバイスの起動を検出するための装置 図6
  • 特許-薬物送達デバイスの起動を検出するための装置 図7
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-12
(45)【発行日】2023-12-20
(54)【発明の名称】薬物送達デバイスの起動を検出するための装置
(51)【国際特許分類】
   A61M 5/20 20060101AFI20231213BHJP
   A61M 5/315 20060101ALI20231213BHJP
【FI】
A61M5/20
A61M5/315 550
【請求項の数】 12
(21)【出願番号】P 2020534211
(86)(22)【出願日】2018-12-18
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2021-02-22
(86)【国際出願番号】 EP2018085387
(87)【国際公開番号】W WO2019121608
(87)【国際公開日】2019-06-27
【審査請求日】2021-12-08
(31)【優先権主張番号】17306873.5
(32)【優先日】2017-12-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】504456798
【氏名又は名称】サノフイ
【氏名又は名称原語表記】SANOFI
(74)【代理人】
【識別番号】100127926
【弁理士】
【氏名又は名称】結田 純次
(74)【代理人】
【識別番号】100140132
【弁理士】
【氏名又は名称】竹林 則幸
(72)【発明者】
【氏名】ミヒャエル・シャーバッハ
(72)【発明者】
【氏名】オルナ・ペトルシュカ
【審査官】中村 一雄
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2016/0213853(US,A1)
【文献】特表2016-508060(JP,A)
【文献】特開2007-160095(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61M 5/20
A61M 5/315
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
薬物送達デバイスの起動を検出するための装置であって、薬物送達デバイスに開放可能に固定されるように構成された補助デバイス内に保持されるものにおいて、該装置は、
薬物送達デバイスの用量投薬動作を監視するように構成された電子用量監視ユニット、および、
薬物送達デバイスに薬剤の用量をプログラムすることによって引き起こされる薬物送達デバイスの振動を検出し、その動作のためのエネルギーのすべてを薬物送達デバイスの振動から得るように構成された無電源受動センサを含み、
ここで、該装置は、振動に応答して受動センサによって生成される出力信号を使用して、薬物送達デバイスの用量投薬動作を監視するための電子用量監視ユニットにウェイクアップ入力信号を提供し、かつ、
電子用量監視ユニットは、受動センサからウェイクアップ入力信号を受信するまでは、超低電力モードまたはオフモードで動作するように構成される、前記装置。
【請求項2】
受動センサの出力信号をウェイクアップ入力信号へ変換するように構成された受動回路をさらに含む、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
受動回路は、増幅器およびフィルタを含む、請求項2に記載の装置。
【請求項4】
受動センサは、圧電センサを含む、請求項1~3のいずれか1項に記載の装置。
【請求項5】
請求項1~4のいずれか1項に記載の装置を含むシステムであって、電子用量監視ユニット、プロセッサと、薬物送達デバイスの用量投薬動作を監視するように、および薬物送達デバイスから吐出される薬剤の量を決定するように構成された少なくとも1つの用量センサとを含む、前記システム。
【請求項6】
薬物送達デバイスから吐出される薬剤の量に関連するデータを伝送するように構成されたワイヤレス伝送ユニットをさらに含む、請求項に記載のシステム。
【請求項7】
電子用量監視ユニットに電力を供給するように構成されたバッテリをさらに含む、請求項5または6に記載のシステム。
【請求項8】
電子用量監視ユニットに電力を供給するように構成されたエネルギーハーベスタをさらに含む、請求項5または6に記載のシステム。
【請求項9】
エネルギーハーベスタは、薬物送達デバイスに薬剤の用量をプログラムすることからエネルギーを取り入れるように配置される、請求項に記載のシステム。
【請求項10】
エネルギーハーベスタは、薬物送達デバイスに薬剤の用量をプログラムすることによって圧縮または引張されるように、および薬剤の用量が薬物送達デバイスから吐出されるときに圧縮解除または引張解除するように構成されたばねである、請求項に記載のシステム。
【請求項11】
エネルギーハーベスタは、薬物送達デバイスに薬剤の用量をプログラムしたことに応答して、または薬剤の用量が薬物送達デバイスから吐出されるとき、電流を生じるように構成された発電機を含む、請求項10のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項12】
発電機によって生じた電気エネルギーを貯蔵するように構成されたコンデンサをさらに含む、請求項11に記載のシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、薬物送達デバイスの起動を検出するための装置、および特に、ウェイクアップ信号を提供するための受動センサを含む装置に関する。
【背景技術】
【0002】
薬剤の注射による定期的な処置を要する様々な疾患が存在する。そのような注射は、注射デバイスを使用することにより実施され、これは、医療従事者または患者自身のいずれかによって施される。例として、1型および2型糖尿病は、インスリン用量の注射により患者自身によって、例えば、1日1回または数回、処置される。例えば、充填済みの使い捨てインスリンペンが注射デバイスとして使用される。あるいは、再使用可能なペンが使用される。再使用可能なペンは、空の薬剤カートリッジを新しいものとの交換することを可能にする。いずれのペンにも、各使用前に交換される一方向針のセットが付属し得る。この際、注射予定のインスリン用量は、例えば、インスリンペンにおいて、投薬量ノブを回し、インスリンペンの用量窓またはディスプレイから実際の用量を観察することによって、手動で選択される。次いで、この用量は、適切な皮膚部分に針を挿入し、インスリンペンの投薬量ノブまたは注射ボタンを押下することによって注射される。インスリン注射を監視することができるように、例えば、インスリンペンの誤った取り扱いを防ぐため、またはすでに施用された用量を追跡するため、例えば、注射されたインスリン用量に関する情報など、注射デバイスの状態および/または使用に関連する情報を測定することが望ましい。
【0003】
電子監視手段を有するいくつかの以前の注射デバイスにおいては、ウェイクアップスウィッチが、用量ダイヤルボタンに提供されるか、または用量ダイヤルボタンに接続される。そのようなデバイスでは、電子監視手段は、ユーザが用量を投薬するために用量ダイヤルボタンを押すときに電源が入れられる。しかしながら、そのようなデバイスでは、ウェイクアップ信号は、用量投薬が開始するのと同時に受信され、このことは、信頼性の低減、および投薬された用量が正確に記録されない可能性をもたらす。一方、用量投薬動作の開始が確実に観察されるように、電子監視手段が常にオンである場合には、比較的高い量の電力が消費され、注射デバイスのバッテリを、注射デバイスが使用される前に消耗することがある。あるいは、注射デバイスに付属するバッテリが、普通なら必要とされるはずのものよりはるかに大きくなる。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0004】
本明細書に開示される第1の概念は、薬物送達デバイスの起動を検出するための装置であって、薬物送達デバイスに薬剤の用量をプログラムすることによって引き起こされる薬物送達デバイスの振動を検出するように構成された受動センサを含み、ここで、装置は、振動に応答して受動センサによって生成される出力信号を使用して、薬物送達デバイスを監視するための電子用量監視ユニットにウェイクアップ入力信号を提供するように構成される、装置である。
【0005】
本装置は、受動センサの出力信号をウェイクアップ入力信号へ変換するように構成された受動回路をさらに含み得る。受動回路は、増幅器およびフィルタを含み得る。受動センサは、圧電センサを含み得る。
【0006】
本装置は、薬物送達デバイスに解放可能に固定されるように構成された補助デバイス内に保持される。代替として、本装置は、薬物送達デバイスと一体であってもよい。本装置は、薬物送達デバイスのハウジング内に保持される。
【0007】
本明細書に開示される第2の概念は、システムであって:
第1の概念の装置と;
電子用量監視ユニットとを含み、電子用量監視ユニットは、プロセッサと、薬物送達デバイスの用量投薬動作を監視するように、および薬物送達デバイスから吐出される薬剤の量を決定するように構成された少なくとも1つの用量センサとを含む
システムである。
【0008】
本システムは、薬物送達デバイスから吐出される薬剤の量に関連するデータを伝送するように構成されたワイヤレス伝送ユニットをさらに含み得る。電子用量監視ユニットは、薬物送達デバイスに解放可能に固定されるように構成された補助デバイス内に保持される。本システムは、電子用量監視ユニットに電力を供給するように構成されたバッテリをさらに含み得る。
【0009】
本システムは、電子用量監視ユニットに電力を供給するように構成されたエネルギーハーベスタをさらに含み得る。エネルギーハーベスタは、薬物送達デバイスに薬剤の用量をプログラムすることからエネルギーを取り入れるように配置される。エネルギーハーベスタは、薬物送達デバイスに薬剤の用量をプログラムすることによって圧縮または引張されるように、および薬剤の用量が薬物送達デバイスから吐出されるときに圧縮解除または引張解除するように構成されたばねであってもよい。
【0010】
エネルギーハーベスタは、薬物送達デバイスに薬剤の用量をプログラムしたことに応答して、または薬剤の用量が薬物送達デバイスから吐出されるとき、電流を生じるように構成された発電機を含み得る。
【0011】
本システムは、発電機によって生じた電気エネルギーを貯蔵するように構成されたコンデンサをさらに含み得る。
【0012】
本明細書に開示される第3の概念は、第1の概念の装置および電子用量監視ユニットを保持するハウジングを含む薬物送達デバイスである。
【0013】
例示的な実施形態は、これより添付の図面を参照して説明される。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本概念のコア構成要素を例示するブロック図である。
図2図1の装置を含む薬物送達デバイスの斜視図である。
図3図2の薬物送達デバイスの構成要素のブロック図である。
図4a】薬物送達デバイスに解放可能に取り付けられるように構成された補助デバイスを示す図である。
図4b図4の補助デバイスが取り付けられた状態の薬物送達デバイスを示す図である。
図5】いくつかの実施形態に従う、図4bの補助デバイスおよび薬物送達デバイスを含むシステムのブロック図である。
図6】いくつかの他の実施形態に従う、図4bの補助デバイスおよび薬物送達デバイスを含むシステムのブロック図である。
図7】専用のエネルギーハーベスタを有する薬物送達デバイスのブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下の開示において、実施形態は、インスリン注射デバイスに関して説明される。しかしながら、本開示は、そのような応用に限定されず、他の薬剤を吐出する薬物送達デバイスにも同様に配備される。
【0016】
図1は、本概念のコア構成要素を例示するブロック図である。図1は、受動センサ102、電子用量監視ユニット104、および電源110を含む装置100を示す。電子用量監視ユニット104は、プロセッサ106および用量センサ108を含む。電子用量監視ユニット104は、主要電子機器または電力使用電子機器とも称される。受動センサ102は、電子用量監視ユニット104にウェイクアップ信号を提供するように構成される。電源110は、電子用量監視ユニット104の動作に動力供給するため、電子用量監視ユニット104に電力を供給するように構成される。
【0017】
以下に詳細に説明されるように、図1の装置100は、いくつかの異なる方式で具現化される。例えば、装置100の構成要素のすべてが、薬物送達デバイスの部材であってもよい。構成要素は、薬物送達デバイスのハウジング内に保持されるか、または薬物送達デバイスの用量設定ダイヤル内に収容される。いくつかの他の実施形態において、装置100の構成要素のすべてが、薬物送達デバイスに固定されるように構成された補助デバイスの部材である。例えば、補助デバイスは、薬物送達デバイスのハウジングまたは用量設定ダイヤルに解放可能に固定される。いくつかのさらなる実施形態において、装置100の構成要素のいくつかは、薬物送達デバイスの部材であり、構成要素のいくつかは、補助デバイスの部材である。例えば、受動センサ102は、薬物送達デバイスの部材であってもよい一方で、電子用量監視ユニット104および電源は、補助デバイスの部材であってもよい。
【0018】
受動センサ102は、薬物送達デバイスの振動を検出するように構成される。特に、受動センサ102は、薬剤の用量が薬物送達デバイスへプログラムされるときに振動する薬物送達デバイスとの使用に好適である。いくつかの実施形態において、薬物送達デバイスは、ペン型注射デバイスである。ペン注射デバイスは、薬剤の各ユニットがプログラムされると可聴のクリック音および振動を引き起こすクリッカまたは他の機械的可動部材を有し得る。ペン注射デバイスは、薬剤の所望の用量を設定するために、ユーザによって、手動で回転されるか、別のやり方で動かされる用量ダイヤルを有し得る。可聴のクリック音の主な目的は、用量が設定されているというフィードバックをユーザに提供し、ユーザが所望の用量をより容易にプログラムすることを可能にすることであり得る。しかしながら、クリッカまたは他の機械的可動部材によって生じる薬物送達デバイスの振動は、受動センサ102によって検出可能であり、受動センサ102は、それに応じて電気信号を作り出す。受動センサは、いかなる電源も含まない。受動センサ102は、その動作のためのエネルギーのすべてを薬物送達デバイスの振動から得る。いくつかの実施形態において、受動センサ102は、圧電センサである。いくつかの他の実施形態において、受動センサ102は、音響センサである。受動センサ102は、薬物送達デバイスまたは薬物送達デバイスの振動によって生じる音を、電子用量監視ユニット104に提供するウェイクアップ信号へ変換するように構成される。簡便性のため、以下の実施形態において、受動センサ102は、薬物送達デバイスの振動に対して感受性があるものとして説明される。
【0019】
電子用量監視ユニット104は、受動センサ102からウェイクアップ信号を受信するまでは、超低電力モードまたは「オフ」モードで動作する。ウェイクアップ信号の受信に応答して、電子用量監視ユニット104、および特にプロセッサ106が、ウェイクアップし、その結果として、薬剤の送達された用量が観察され記録される。プロセッサ106は、電源110から電力を取るように、および用量センサ108への電力の印加を制御するように構成される。プロセッサ106はまた、用量センサ108に他の制御信号を送信し得る。用量センサ108は、薬物送達デバイスから送達される用量を監視するように、および吐出される薬剤の量を示す信号をプロセッサ106に出力するように構成される。用量センサ108は、接触または非接触型のものであってもよい。例えば、用量センサ108は、光学センサ、磁気誘導センサ、容量性変位センサ、またはホール効果センサであってもよい。代替として、用量センサは、送達された用量を測定するために薬物送達デバイスの可動部材に接触するいくつかの電極を含み得る。
【0020】
プロセッサ106は、マイクロプロセッサ、デジタル信号プロセッサ(DSP)、特定用途向け集積回路(ASIC)、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)、または同様のものなど、任意の好適なタイプのものであってもよい。電子用量監視ユニット104はまた、ソフトウェアおよび/またはデータを記憶するための1つまたはそれ以上のメモリ(図示せず)を含み得る。例えば、プロセッサ106によって実行されるオペレーティングソフトウェアを記憶するプログラムメモリが提供される。過去の用量の量およびタイミングに関するデータを記憶する用量履歴メモリが提供される。
【0021】
電源110は、いくつかの形態をとり得、続く実施形態においてより詳細に説明される。電源は、コインセルまたはリチウムイオンバッテリなどのバッテリであってもよい。代替として、電源110は、エネルギーハーベスタおよび貯蔵システムであってもよい。エネルギーハーベスタは、薬物送達デバイスの動作から、特に、薬物送達デバイスへの用量をプログラムする動作から、エネルギーを収集し得る。このエネルギーは、次いで、好適な方式で、例えば、ばねを圧縮もしくは引張することによって、または発電機による電気エネルギーへの直接変換およびその後のコンデンサ内の貯蔵によって、貯蔵される。貯蔵されたエネルギーは、次いで、投薬された用量が観察され記録されるように、投薬動作中に電子用量監視ユニット104に動力供給するために使用される。
【0022】
図2は、図1の装置100含む薬物送達デバイス200の斜視図である。この実施形態では、薬物送達デバイス200は、インスリンなどの液体薬剤を注射するための注射ペンである。薬物送達デバイス200は、用量設定の機械構成要素ならびに薬剤の送達機構およびカートリッジを保持する、ハウジング202を含む。針または他の薬剤送達手段(図示せず)は、ハウジング202の遠位端に取り付けられる。薬物送達デバイス200は、針を保護するための取り外し可能なキャップ204を備える。窓206は、現在プログラムされている用量をユーザが見ることを可能にするために、ハウジング202内に提供される。ハウジング202の近位端の一部分は、装置100を収容するためにより大きい直径を有し得る。ハウジング202の近位端から突出するのは、用量設定ダイヤル208である。使用中、ユーザは、用量設定ダイヤル208を摘まみ、それを回転させて、ある用量にダイヤル設定することができる。いくつかの他の実施形態において、装置100は、拡張された用量設定ダイヤル内、またはハウジング202の異なる領域内に保持される。いくつかのさらなる実施形態において、薬物送達デバイス200は、ハウジング202の近位端から遠位に延びるクリップを含み得、装置は、このクリップの内側に保持される。
【0023】
振動または音響検出に基づいた受動センサ102を使用する1つの利点は、受動センサ102が、薬物送達デバイス200の任意の他の構成要素に対して特定の位置または配向に位置する必要がないことである。振動および/または音が、薬物送達デバイス200の本体を通って移動するため、受動センサは、薬物送達デバイス200内または薬物送達デバイス200上のどこに位置してもよい。
【0024】
図3は、薬物送達デバイス200の構成要素のブロック図である。図1に関連してすでに説明された構成要素(簡潔さのために再度説明されない)に加えて、薬物送達デバイス200は、受動回路302およびワイヤレス送信器306を収容する一方、電子用量監視ユニット104は、メモリ304をさらに含む。メモリ304は、用量センサ108によって測定されるような用量履歴を記憶するように構成される。プロセッサ106は、メモリ304への情報の書き込みを制御し、これには、注射される薬剤の量、および各薬剤投薬イベントのタイムスタンプが含まれる。電子用量監視ユニット104に電力が供給されていないときにもメモリの内容が記憶されるように、メモリは、フラッシュメモリなどの不揮発性メモリであってもよい。
【0025】
図3の実施形態において、受動センサ102は、用量設定中の薬物送達デバイスの振動に応答した出力信号を受動回路302に提供するように構成される。受動回路302は、受動増幅器および/または受動フィルタを含み得る。例えば、受動増幅器は、電流を減少させながら信号の最大電圧を増幅させる受動電圧増幅器であってもよい。受動フィルタは、受動センサ102による信号出力の部分を減衰させる低域フィルタおよび/または高域フィルタを含み得る。したがって、受動回路302は、出力信号を、それがプロセッサ106のための入力ウェイクアップ信号として使用されるように、成形する。例えば、電子用量監視ユニット104は、超低電力モードで動作し得、既定の周波数および/または最小電圧の信号を受信したときウェイクアップするように構成される。
【0026】
薬物送達デバイス200はまた、ワイヤレス送信器306を収容する。ワイヤレス送信器306の主な目的は、メモリ306に記憶される用量履歴情報を伝送することである。ワイヤレス送信器306は、プロセッサ106の制御下で電源から直接電力を受け得る。いくつかの実施形態において、ワイヤレス送信器306は、外部コンピューティングデバイスとデータを交換するように構成された送受信器であってもよい。
【0027】
図4aは、薬物送達デバイスに解放可能に取り付けられるように構成された補助デバイス402を示す。補助デバイス402は、装置100の構成要素のいくつかまたはすべてを保持する本体404を有する。補助デバイス402の本体404は、それが薬物送達デバイスの用量設定ダイヤル208に解放可能に固定されることを可能にするように成形される。例えば、本体404は、用量設定ダイヤル208を受けるための開端、および閉端を有する、円筒または切頂円錐(truncated conical)形状を有し得る。したがって、補助デバイス402は、取り付けられるとき、薬物送達デバイスの用量設定ダイヤル208に効果的に取って代わり得る。
【0028】
いくつかの他の実施形態において、補助デバイス402は、異なる形態を有し、薬物送達デバイスの異なる部材、例えばハウジング202に取り付けられるように構成される。
【0029】
図4bは、以前に説明された概念が利用されるシステム400を例示する。システム400は、薬物送達デバイス406、および薬物送達デバイス406に解放可能に取り付けられるように構成された補助デバイス402を含む。補助デバイス402は、図4aに示されるものであってもよい。ユーザは、補助デバイス402を取り付けること、および薬物送達デバイス406から取り外すことができる。例えば、薬物送達デバイス406は、薬剤のいくつかの用量を注射するための使い捨て式または再使用可能なペン注射器であってもよい。補助デバイス402は、薬物送達デバイスのいくつかの異なるモデルと互換性があり得る。
【0030】
図5は、いくつかの実施形態に従うシステム400のブロック図である。図5の実施形態では、受動センサ102、電子用量監視ユニット104、および電源110はすべて、補助デバイス402内に収容される。補助デバイス402は、薬剤の用量が薬物送達デバイス406へプログラムされるときに薬物送達デバイス406の振動を引き起こすクリッカ408または別の構成要素を含む薬物送達デバイス406に取り付けられる。この振動は、薬物送達デバイス406と補助デバイス402との取り付けのおかげで補助デバイス402を通じて移送され、受動センサによって検出される。
【0031】
受動センサ102は、用量設定中の薬物送達デバイスの振動に応答した出力信号を受動回路302に提供するように構成される。受動回路302は、受動増幅器および/または受動フィルタを含み得る。例えば、受動増幅器は、電流を減少させながら信号の最大電圧を増幅させる受動電圧増幅器であってもよい。受動フィルタは、受動センサ102による信号出力の部分を減衰させる低域フィルタおよび/または高域フィルタを含み得る。したがって、受動回路302は、出力信号を、それがプロセッサ106のための入力ウェイクアップ信号としてされるように、成形する。例えば、電子用量監視ユニット104は、超低電力モードで動作し得、既定の周波数および/または最小電圧の信号を受信したときウェイクアップするように構成される。
【0032】
補助デバイス402はまた、ワイヤレス送信器306を収容する。ワイヤレス送信器306の主な目的は、メモリ304に記憶される用量履歴情報を伝送することである。ワイヤレス送信器306は、プロセッサ106の制御下で電源から直接電力を受け得る。いくつかの実施形態において、ワイヤレス送信器306は、外部コンピューティングデバイスとデータを交換するように構成された送受信器であってもよい。
【0033】
図5の実施形態は、薬物送達デバイス406が電子構成要素を有さなくてもよい、すなわち、これが単純な機械デバイスであり、電源を必要としない、という利点を有する。したがって、補助デバイス402を、このタイプの既存の薬物送達デバイス406と一緒に使用してもよい。
【0034】
図6は、いくつかのさらなる実施形態に従うシステム400のブロック図である。図6の実施形態では、受動センサ102は、薬物送達デバイス406に含まれる一方、電子用量監視ユニット104、および電源110は、補助デバイス402内に収容される。補助デバイス402は、薬剤の用量が薬物送達デバイス406へプログラムされるときに薬物送達デバイス406の振動を引き起こすクリッカ408または別の構成要素も含む薬物送達デバイス406に取り付けられる。この実施形態では、受動センサ102によって出力される信号は、補助デバイス402内の電子用量監視ユニット104をウェイクアップするために、薬物送達デバイス406から補助デバイス402へ通信される。したがって、薬物送達デバイス406は、補助デバイス402に信号を伝送するように構成された通信インターフェース602を含む。補助デバイス402はまた、信号を受信し、それらを電子用量監視ユニット104に引き渡すための通信インターフェース604を含む。
【0035】
薬物送達デバイス406と補助デバイス402との間のインターフェースは、接点インターフェースであってもよい。例えば、通信インターフェース602は、薬物送達デバイス406のハウジングの表面上に電気接点を含み得、通信インターフェース604は、補助デバイス402の表面上に対応する電気接点を含み得る。それぞれの接点は、補助デバイス402が薬物送達デバイス406に正しく取り付けられるとき、対応する電気接点間に電気接続がなされるように配置される。受動センサ102が電力を使用しないことから、これらの実施形態では、いかなる追加の電源も必要としない薬物送達デバイス406が提供される。
【0036】
いくつかの他の実施形態において、薬物送達デバイス406と補助デバイス402との間のインターフェースは、ワイヤレスインターフェースであってもよい。薬物送達デバイス406の通信インターフェース602は、補助デバイス402への信号の送信に動力供給するために、受動センサ102によって取り入れられるエネルギーを使用するように構成される。代替として、薬物送達デバイス406は、ワイヤレス通信に動力供給するためのバッテリを備え得る。ワイヤレス通信は、任意の好適な方式で、例えば、近距離ブルートゥース規格またはNFC技術を使用して行われる。
【0037】
図7は、薬物送達デバイス700が専用のエネルギーハーベスタ702を備えるさらなる実施形態を例示するブロック図である。受動センサ102および電子用量監視ユニット104(ならびに存在する場合は、受動回路およびワイヤレス送信器)はすべて、薬物送達デバイス700内に設置される。しかしながら、本システムは、バッテリを含まない。用量センサ108およびプロセッサ106に動力供給するためのエネルギーは、エネルギーハーベスタ702から供給される。ユーザは、用量設定ダイヤル208を、または補助デバイスが用量設定ダイヤルを被覆する場合は補助デバイス402を摘まんで、回転させて用量を設定することができる。この動作によって生じるエネルギーは、エネルギーハーベスタによって収集される。
【0038】
エネルギーハーベスタ702は、薬剤の用量が薬物送達デバイス406へプログラムされると圧縮または引張されるばねの形態をとり得る。ばねは、薬物送達デバイス406の本体202、または用量設定ダイヤル208に設置される。ユーザが薬剤を投薬するとき、ばねは、圧縮解除または引張解除され、解放されたエネルギーが、電子用量監視ユニット104に動力供給するための電気へと変換される。代替として、ばねは、薬剤の各ユニットが設定された後に圧縮解除または引張解除され、エネルギーは、エネルギー貯蔵モジュール704に貯蔵される。
【0039】
代替として、エネルギーハーベスタ702は、発電機の形態をとり得る。例えば、磁石が、用量設定ダイヤル208の内側部に設置され、コイルが、用量設定ダイヤルの近くのハウジング202の近位端に保持される。ユーザが用量設定ダイヤル208を回転させると、電流が生成される。エネルギー貯蔵モジュール704は、電子用量監視ユニット104によって必要とされるまでエネルギーを貯蔵するために提供される。例えば、コンデンサが、生成される電荷を貯蔵するために提供される。コンデンサは、図3の電源110に効果的に取って代わることができ、用量設定中にエネルギーハーベスタ702によって電荷を供給される。受動センサ102が電力を使用しないことから、および電子用量監視ユニット104のための電力がエネルギーハーベスタ702によって用量設定動作から収集されることから、追加のバッテリは必要とされない。
【0040】
図7は、エネルギーハーベスタ702およびエネルギー貯蔵モジュール704を有する一体化した薬物送達デバイスの例を例示する。しかしながら、エネルギーハーベスタを採用するシステムを、薬物送達デバイス、および薬物送達デバイスへの取り付けのための補助デバイスとして具現化することもできる。1つのそのような実施形態において、クリッカ408、受動センサ102、受動回路302(存在する場合)、およびエネルギーハーベスタ702は、薬物送達デバイス700の部材である。電子用量監視ユニット104およびワイヤレス送信器306(存在する場合)は、補助デバイス内に保持される。エネルギー貯蔵モジュール704は、薬物送達デバイス700もしくは補助デバイスの部材であるか、または両方の装置が、エネルギー貯蔵モジュールを有し得る。薬物送達デバイス700から補助デバイス内の電子用量監視ユニット104へ受動センサウェイクアップ信号を伝送するだけでなく、電子用量監視ユニット104に動力供給するためのエネルギーも伝送される。これは、好ましくは、上に論じられる対応する電気接点などの有線接続を通じて行われる。
【0041】
「薬物」または「薬剤」という用語は、本明細書では同義的に用いられ、1つもしくはそれ以上の活性医薬成分またはそれらの薬学的に許容可能な塩もしくは溶媒和物と、場合により薬学的に許容可能な担体と、を含む医薬製剤を記述する。活性医薬成分(「API」)とは、最広義には、ヒトまたは動物に対して生物学的効果を有する化学構造体のことである。薬理学では、薬剤または医薬は、疾患の治療、治癒、予防、または診断に使用されるか、さもなければ身体的または精神的なウェルビーイングを向上させるために使用される。薬物または薬剤は、限定された継続期間で、または慢性障害では定期的に使用可能である。
【0042】
以下に記載されるように、薬物または薬剤は、1つもしくはそれ以上の疾患の治療のために各種タイプの製剤中に少なくとも1つのAPIまたはその組合せを含みうる。APIの例としては、500Da以下の分子量を有する低分子、ポリペプチド、ペプチド、およびタンパク質(例えば、ホルモン、成長因子、抗体、抗体フラグメント、および酵素)、炭水化物および多糖、ならびに核酸、二本鎖または一本鎖DNA(ネイキッドおよびcDNAを含む)、RNA、アンチセンス核酸例えばアンチセンスDNAおよびRNA、低分子干渉RNA(siRNA)、リボザイム、遺伝子、およびオリゴヌクレオチドが挙げられうる。核酸は、ベクター、プラスミド、またはリポソームなどの分子送達システムに取り込み可能である。1つまたはそれ以上の薬物の混合物も企図される。
【0043】
薬物または薬剤は、薬物送達デバイスでの使用に適合化された一次パッケージまたは「薬物容器」に包含可能である。薬物容器は、例えば、1つもしくはそれ以上の薬物の収納(例えば、短期または長期の収納)に好適なチャンバを提供するように構成されたカートリッジ、シリンジ、リザーバ、または他の硬性もしくは可撓性のベッセルでありうる。例えば、いくつかの場合には、チャンバは、少なくとも1日間(例えば、1日間~少なくとも30日間)にわたり薬物を収納するように設計可能である。いくつかの場合には、チャンバは、約1カ月~約2年間にわたり薬物を収納するように設計可能である。収納は、室温(例えば、約20℃)または冷蔵温度(例えば、約-4℃~約4℃)で行うことが可能である。いくつかの場合には、薬物容器は、投与される医薬製剤の2つ以上の成分(例えば、APIと希釈剤、または2つの異なる薬物)を各チャンバに1つずつ個別に収納するように構成されたデュアルチャンバカートリッジでありうるか、またはそれを含みうる。かかる場合には、デュアルチャンバカートリッジの2つのチャンバは、人体もしくは動物体への投薬前および/または投薬中に2つ以上の成分間の混合が可能になるように構成可能である。例えば、2つのチャンバは、互いに流体連通するように(例えば、2つのチャンバ間の導管を介して)かつ所望により投薬前にユーザによる2つの成分の混合が可能になるように構成可能である。代替的または追加的に、2つのチャンバは、人体または動物体への成分の投薬時に混合が可能になるように構成可能である。
【0044】
本明細書に記載の薬物送達デバイスに含まれる薬物または薬剤は、多くの異なるタイプの医学的障害の治療および/または予防のために使用可能である。障害の例としては、例えば、糖尿病または糖尿病に伴う合併症例えば糖尿病性網膜症、血栓塞栓障害例えば深部静脈血栓塞栓症または肺血栓塞栓症が挙げられる。障害のさらなる例は、急性冠症候群(ACS)、アンギナ、心筋梗塞、癌、黄斑変性、炎症、枯草熱、アテローム硬化症および/または関節リウマチである。APIおよび薬物の例は、ローテリステ2014年(Rote Liste 2014)(例えば、限定されるものではないがメイングループ12(抗糖尿病薬剤)または86(オンコロジー薬剤))やメルク・インデックス第15版(Merck Index,15th edition)などのハンドブックに記載されているものである。
【0045】
1型もしくは2型糖尿病または1型もしくは2型糖尿病に伴う合併症の治療および/または予防のためのAPIの例としては、インスリン、例えば、ヒトインスリン、もしくはヒトインスリンアナログもしくは誘導体、グルカゴン様ペプチド(GLP-1)、GLP-1アナログもしくはGLP-1レセプターアゴニスト、はそのアナログもしくは誘導体、ジペプチジルペプチダーゼ-4(DPP4)阻害剤、またはそれらの薬学的に許容可能な塩もしくは溶媒和物、またはそれらのいずれかの混合物が挙げられる。本明細書で用いられる場合、「アナログ」および「誘導体」という用語は、天然に存在するペプチドに存在する少なくとも1つのアミノ酸残基の欠失および/または交換によりおよび/または少なくとも1つのアミノ酸残基の付加により天然に存在するペプチドの構造例えばヒトインスリンの構造から形式的に誘導可能な分子構造を有するポリペプチドを指す。付加および/または交換アミノ酸残基は、コード可能アミノ酸残基または他の天然に存在する残基または純合成アミノ酸残基のどれかでありうる。インスリンアナログは、「インスリンレセプターリガンド」とも呼ばれる。特に、「誘導体」という用語は、天然に存在するペプチドの構造から形式的に誘導可能な分子構造、例えば、1つまたはそれ以上の有機置換基(例えば脂肪酸)がアミノ酸の1つまたはそれ以上に結合したヒトインスリンの分子構造を有するポリペプチドを指す。場合により、天然に存在するペプチドに存在する1つまたはそれ以上のアミノ酸が、欠失し、および/または非コード可能アミノ酸を含めて他のアミノ酸によって置き換えられ、または天然に存在するペプチドに非コード可能なものを含めてアミノ酸が付加される。
【0046】
インスリンアナログの例は、Gly(A21)、Arg(B31)、Arg(B32)ヒトインスリン(インスリングラルギン);Lys(B3)、Glu(B29)ヒトインスリン(インスリングルリジン);Lys(B28)、Pro(B29)ヒトインスリン(インスリンリスプロ);Asp(B28)ヒトインスリン(インスリンアスパルト);位置B28のプロリンがAsp、Lys、Leu、ValまたはAlaに置き換えられたうえに位置B29のLysがProに置き換えられていてもよいヒトインスリン;Ala(B26)ヒトインスリン;Des(B28~B30)ヒトインスリン;Des(B27)ヒトインスリンおよびDes(B30)ヒトインスリンである。
【0047】
インスリン誘導体の例は、例えば、B29-N-ミリストイル-des(B30)ヒトインスリン、Lys(B29)(N-テトラデカノイル)-des(B30)ヒトインスリン(インスリンデテミル、レベミル(Levemir)(登録商標));B29-N-パルミトイル-des(B30)ヒトインスリン;B29-N-ミリストイルヒトインスリン;B29-N-パルミトイルヒトインスリン;B28-N-ミリストイルLysB28ProB29ヒトインスリン;B28-N-パルミトイル-LysB28ProB29ヒトインスリン;B30-N-ミリストイル-ThrB29LysB30ヒトインスリン;B30-N-パルミトイル-ThrB29LysB30ヒトインスリン;B29-N-(N-パルミトイル-ガンマ-グルタミル)-des(B30)ヒトインスリン、B29-N-オメガ-カルボキシペンタデカノイル-ガンマ-L-グルタミル-des(B30)ヒトインスリン(インスリンデグルデク、トレシーバ(Tresiba)(登録商標));B29-N-(N-リトコリル-ガンマ-グルタミル)-des(B30)ヒトインスリン;B29-N-(ω-カルボキシヘプタデカノイル)-des(B30)ヒトインスリンおよびB29-N-(ω-カルボキシヘプタデカノイル)ヒトインスリンである。
【0048】
GLP-1、GLP-1アナログおよびGLP-1レセプターアゴニストの例は、例えば、リキシセナチド(リキスミア(Lyxumia)(登録商標))、エキセナチド(エキセンジン-4、バイエッタ(Byetta)(登録商標)、ビデュリオン(Bydureon)(登録商標)、ヒラモンスターの唾液腺により産生される39アミノ酸ペプチド)、リラグルチド(ビクトーザ(Victoza)(登録商標))、セマグルチド、タスポグルチド、アルビグルチド(シンクリア(Syncria)(登録商標))、デュラグルチド(トルリシティ(Trulicity)(登録商標))、rエキセンジン-4、CJC-1134-PC、PB-1023、TTP-054、ラングレナチド/HM-11260C、CM-3、GLP-1エリゲン、ORMD-0901、NN-9924、NN-9926、NN-9927、ノデキセン、ビアドール-GLP-1、CVX-096、ZYOG-1、ZYD-1、GSK-2374697、DA-3091、MAR-701、MAR709、ZP-2929、ZP-3022、TT-401、BHM-034、MOD-6030、CAM-2036、DA-15864、ARI-2651、ARI-2255、エキセナチド-XTENおよびグルカゴン-Xtenである。
【0049】
オリゴヌクレオチドの例は、例えば、家族性高コレステロール血症の治療のためのコレステロール低下アンチセンス治療剤ミポメルセンナトリウム(キナムロ(Kynamro)(登録商標))である。
【0050】
DPP4阻害剤の例は、ビダグリプチン、シタグリプチン、デナグリプチン、サキサグリプチン、ベルベリンである。
【0051】
ホルモンの例としては、脳下垂体ホルモンもしくは視床下部ホルモンまたはレギュラトリー活性ペプチドおよびそれらのアンタゴニスト、例えば、ゴナドトロピン(フォリトロピン、ルトロピン、コリオンゴナドトロピン、メノトロピン)、ソマトロピン(Somatropine)(ソマトロピン(Somatropin))、デスモプレシン、テルリプレシン、ゴナドレリン、トリプトレリン、リュープロレリン、ブセレリン、ナファレリン、およびゴセレリンが挙げられる。
【0052】
多糖の例としては、グルコサミノグリカン、ヒアルロン酸、ヘパリン、低分子量ヘパリンもしくは超低分子量ヘパリンもしくはそれらの誘導体、もしくは硫酸化多糖例えばポリ硫酸化形の上述した多糖、および/またはそれらの薬学的に許容可能な塩が挙げられる。ポリ硫酸化低分子量ヘパリンの薬学的に許容可能な塩の例は、エノキサパリンナトリウムである。ヒアルロン酸誘導体の例は、ハイランG-F20(シンビスク(Synvisc)(登録商標))、ヒアルロン酸ナトリウムである。
【0053】
本明細書で用いられる「抗体」という用語は、イムノグロブリン分子またはその抗原結合部分を指す。イムノグロブリン分子の抗原結合部分の例としては、抗原への結合能を保持するF(ab)およびF(ab’)フラグメントが挙げられる。抗体は、ポリクローナル抗体、モノクローナル抗体、組換え抗体、キメラ抗体、脱免疫化もしくはヒト化抗体、完全ヒト抗体、非ヒト(例えばネズミ)抗体、または一本鎖抗体でありうる。いくつかの実施形態では、抗体は、エフェクター機能を有するとともに補体を固定可能である。いくつかの実施形態では、抗体は、Fcレセプターへの結合能が低減されているか、または結合能がない。例えば、抗体は、Fcレセプターへの結合を支援しない、例えば、Fcレセプター結合領域の突然変異もしくは欠失を有するアイソタイプもしくはサブタイプ、抗体フラグメントまたは突然変異体でありうる。抗体という用語は、4価二重特異的タンデムイムノグロブリン(TBTI)および/またはクロスオーバー結合領域配向を有する二重可変領域抗体様結合タンパク質(CODV)に基づく抗原結合分子も含む。
【0054】
「フラグメント」または「抗体フラグメント」という用語は、完全長抗体ポリペプチドを含まないが依然として抗原に結合可能な完全長抗体ポリペプチドの少なくとも一部分を含む抗体ポリペプチド分子由来のポリペプチド(例えば、抗体重鎖および/または軽鎖ポリペプチド)を指す。抗体フラグメントは、完全長抗体ポリペプチドの切断部分を含みうるが、この用語は、かかる切断フラグメントに限定されるものではない。本開示に有用な抗体フラグメントとしては、例えば、Fabフラグメント、F(ab’)2フラグメント、scFv(一本鎖Fv)フラグメント、線状抗体、単一特異的または多重特異的な抗体フラグメント、例えば、二重特異的、三重特異的、四重特異的および多重特異的抗体(例えば、ダイアボディ、トリアボディ、テトラボディ)、1価または多価抗体フラグメント、例えば、2価、3価、4価および多価の抗体、ミニボディ、キレート化組換え抗体、トリボディまたはビボディ、イントラボディ、ナノボディ、小モジュール免疫医薬(SMIP)、結合ドメインイムノグロブリン融合タンパク質、ラクダ化抗体、およびVHH含有抗体が挙げられる。抗原結合抗体フラグメントの追加の例は当技術分野で公知である。
【0055】
「相補性決定領域」または「CDR」という用語は、特異的抗原認識を媒介する役割を主に担う、重鎖および軽鎖の両方のポリペプチドの可変領域内の短いポリペプチド配列を指す。「フレームワーク領域」という用語は、CDR配列でないかつ抗原結合が可能になるようにCDR配列の適正配置を維持する役割を主に担う、重鎖および軽鎖の両方のポリペプチドの可変領域内のアミノ酸配列を指す。フレームワーク領域自体は、典型的には抗原結合に直接関与しないが、当技術分野で公知のように、ある特定の抗体のフレームワーク領域内のある特定の残基は、抗原結合に直接関与しうるか、またはCDR内の1つもしくはそれ以上のアミノ酸と抗原との相互作用能に影響を及ぼしうる。
【0056】
抗体の例は、抗PCSK-9 mAb(例えば、アリロクマブ)、抗IL-6 mAb(例えば、サリルマブ)、および抗IL-4 mAb(例えば、デュピルマブ)である。
【0057】
本明細書に記載のいずれのAPIの薬学的に許容可能な塩も、薬物送達デバイスで薬物または薬剤に使用することが企図される。薬学的に許容可能な塩は、例えば、酸付加塩および塩基性塩である。
【0058】
当業者は、本明細書に説明されるAPI、定式化、装置、方法、システム、および実施形態の様々な構成要素の修正(追加および/または削除)が、本開示の全範囲および趣旨から逸脱することなくなされ、本開示が、そのような修正およびそのありとあらゆる均等物を包含するということを理解するものとする。
図1
図2
図3
図4a
図4b
図5
図6
図7