(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-12
(45)【発行日】2023-12-20
(54)【発明の名称】インシトゥチャンバ洗浄能力を備えた物理的気相堆積(PVD)チャンバ
(51)【国際特許分類】
C23C 14/34 20060101AFI20231213BHJP
【FI】
C23C14/34
(21)【出願番号】P 2021572349
(86)(22)【出願日】2020-05-13
(86)【国際出願番号】 US2020032612
(87)【国際公開番号】W WO2020251716
(87)【国際公開日】2020-12-17
【審査請求日】2021-12-06
(32)【優先日】2019-06-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】390040660
【氏名又は名称】アプライド マテリアルズ インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】APPLIED MATERIALS,INCORPORATED
【住所又は居所原語表記】3050 Bowers Avenue Santa Clara CA 95054 U.S.A.
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100067013
【氏名又は名称】大塚 文昭
(74)【代理人】
【識別番号】100086771
【氏名又は名称】西島 孝喜
(74)【代理人】
【識別番号】100109335
【氏名又は名称】上杉 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100120525
【氏名又は名称】近藤 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100139712
【氏名又は名称】那須 威夫
(74)【代理人】
【識別番号】100176418
【氏名又は名称】工藤 嘉晃
(72)【発明者】
【氏名】アレン アドルフ エム
(72)【発明者】
【氏名】フォーン ヴァネッサ
(72)【発明者】
【氏名】フア ゾン チャン
(72)【発明者】
【氏名】サヴァンダイア キランクマール ニーラサンドラ
(72)【発明者】
【氏名】スブラマニ アナンサ ケイ
(72)【発明者】
【氏名】クラウス フィリップ エイ
(72)【発明者】
【氏名】ガン ツァ-ジン
(72)【発明者】
【氏名】ツォウ レイ
(72)【発明者】
【氏名】チョン ハルバート
(72)【発明者】
【氏名】ソニ ヴァイバヴ
(72)【発明者】
【氏名】カラシパラムビル キショール
【審査官】今井 淳一
(56)【参考文献】
【文献】特表2007-503118(JP,A)
【文献】特開平06-172987(JP,A)
【文献】特表2015-515551(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C23C 14/34
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板を処理するためにプロセスチャンバで使用するように構成されたプロセスキットであって、
外側に延びるレッジを含む上部部分、および下部部分を有する円筒状本体を有するシールドと、
前記プロセスチャンバの壁で支持されるように構成され、前記シールドの下部部分の上方の位置で前記シールドの前記外側に延びるレッジに接触する内側に延びるレッジを有するアダプタセクションと、
前記アダプタセクションの環状
溝に支持され、前記シールドを加熱するために前記プロセスチャンバの少なくとも1つの電源に電気的に結合されるように構成されたヒータと、
前記プロセスキットが前記プロセスチャンバに配置されたとき、前記プロセスチャンバのチャンバ壁によって支持されるために、シール面の反対側に配設された載置面と
を含む、プロセスキット。
【請求項2】
前記ヒータが、ランプ、放射加熱部、または埋込み抵抗加熱器のうちの少なくとも1つを含む、請求項1に記載のプロセスキット。
【請求項3】
前記プロセスキットが前記プロセスチャンバに配置されたとき、前記プロセスチャンバの内部容積部を密封するために、プロセスチャンバリッドが載るシール面をさらに含む、請求項1に記載のプロセスキット。
【請求項4】
洗浄ガスを前記プロセスチャンバに導入できるようにするのに十分な、前記シールドと前記アダプタセクションとの間に配設された経路をさらに含む、請求項1に記載のプロセスキット。
【請求項5】
前記アダプタセクションが、使用時に前記プロセスチャンバの内部容積部に活性化洗浄ガスを供給するための遠隔プラズマ源に結合されるように構成されたポートを含む、請求項1に記載のプロセスキット。
【請求項6】
基板を処理するように構成されたプロセスチャンバであって、
前記プロセスチャンバ内の内部容積部を少なくとも部分的に画定するチャンバ壁と、
前記内部容積部の上部セクションに配設されたスパッタリングターゲットと、
前記スパッタリングターゲットの下方で基板を支持するための支持面を有する基板支持体と、
前記スパッタリングターゲットおよび前記基板支持体を取り囲むプロセスキットであり、前記プロセスキットが、
外側に延びるレッジを含む上部部分、および下部部分を有する円筒状本体を有するシールド、
前記チャンバ壁で支持される載置面と、
プロセスチャンバリッドが載る前記載置面の反対側に前記プロセスチャンバの前記内部容積部を密封するシール面と、前記シールドの下部部分の上方の位置で前記シールドの前記外側に延びるレッジに接触する内側に延びるレッジとを有するアダプタセクション、および
前記アダプタセクションの環状
溝に支持され、前記シールドを加熱するために前記プロセスチャンバの少なくとも1つの電源に電気的に結合されるように構成されたヒータであり、前記環状
溝が、前記アダプタ
セクションの下部部分の上面と前記シールドの下部部分の下面とによって画定される空胴の下に配設される、ヒータ
を含む、プロセスキットと
を含む、プロセスチャンバ。
【請求項7】
前記ヒータが、ランプ、放射加熱部、または埋込み抵抗加熱器のうちの少なくとも1つを含む、請求項6に記載のプロセスチャンバ。
【請求項8】
洗浄ガスを前記プロセスチャンバに導入できるようにする、前記シールドと前記アダプタセクションとの間に配設された経路をさらに含む、請求項6に記載のプロセスチャンバ。
【請求項9】
前記アダプタセクションが、使用時に前記プロセスチャンバの前記内部容積部に活性化洗浄ガスを供給するように構成された遠隔プラズマ源に結合されるように構成されたポートを含む、請求項6に記載のプロセスチャンバ。
【請求項10】
前記プロセスチャンバの前記内部容積部に洗浄ガスを供給するように構成されたガス供給部、および前記プロセスチャンバに結合されたRF電源、DC電源、もしくはマイクロ波電源のいずれか、または
前記プロセスチャンバに結合され、前記プロセスチャンバの前記内部容積部に活性化洗浄ガスを供給するように構成された遠隔プラズマ源
のうちの少なくとも1つをさらに含む、請求項6に記載のプロセスチャンバ。
【請求項11】
前記RF電源が、前記基板支持体のバイアス可能なペデスタルもしくは前記シールドのカバーリングの少なくとも一方に結合されること、
前記DC電源が、前記シールドの前記カバーリングに結合されること、または
前記マイクロ波電源が、前記スパッタリングターゲットの周辺の近くに円形構成で配列された複数の誘電体共振器をさらに含むこと
のうちの少なくとも1つである、請求項10に記載のプロセスチャンバ。
【請求項12】
前記スパッタリングターゲットが、炭素、ケイ素、窒化ケイ素、アルミニウム、タングステン、炭化タングステン、銅、チタン、窒化チタン、炭化チタン、窒化炭素のうちの少なくとも1つから製作される、請求項6に記載のプロセスチャンバ。
【請求項13】
基板を処理するためにプロセスチャンバで使用するように構成されたプロセスキットであって、
上部部分および下部部分を有する円筒状本体を有するシールドと、
前記プロセスチャンバの壁で支持されるように構成され、前記シールドの上部部分の底面に接触する内側に延びるレッジを有するアダプタセクションと、
前記アダプタセクションの環状
溝に支持され、前記シールドを加熱するために前記プロセスチャンバの少なくとも1つの電源に電気的に結合されるように構成されたヒータと
を含み、
前記環状
溝が、前記アダプタ
セクションの下部部分の上面と前記シールドの下部部分の下面とによって画定される空胴の下に配設される、プロセスキット。
【請求項14】
前記内側に延びるレッジが、前記シールドの下部部分の上方の位置で前記シールドの外側に延びるレッジに接触する、請求項
13に記載のプロセスキット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示の実施形態は、一般に、半導体基板処理機器に関する。
【背景技術】
【0002】
基板の物理的気相堆積(PVD)処理中に、PVDチャンバは、スパッタされた材料を堆積し、スパッタされた材料は、プラズマを取り囲むすべての構成要素に膜を形成する可能性がある。経時的に、PVDチャンバに一般に設けられるプロセスキットシールドに、不要な堆積材料が生じる可能性がある。スパッタされた材料のプロセスキットシールドへの堆積は、一般に受け入れられている手法であるが、そのようなスパッタされた材料は、粒子を落とすことがあり、それは、PVD中に使用されるスパッタリングターゲットを損傷する可能性があり、および/または処理される基板を汚染する可能性がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
プロセスキットシールドのメンテナンスには、一般に、多数の構成要素を含む可能性があるプロセスキットシールドをPVDチャンバから取り外すことと、プロセスキットシールドを当初の状態に化学的にエッチングすることと、プロセスキットシールドを再使用できるようにプロセスキットシールドを再設置することとが含まれる。しかしながら、発明者らは、そのようなプロセスが、多くの時間を要し、労力を要し、費用を要し、チャンバダウンタイムを望ましくなく増加させることがあることに気づいた。
【課題を解決するための手段】
【0004】
それゆえに、発明者らは、インシトゥチャンバ洗浄能力を提供する方法および装置を提供した。
【0005】
プロセスキットシールド、そのようなプロセスキットシールドを組み込んだプロセスチャンバ、およびそれの使用の方法の実施形態が、本明細書で提供される。いくつかの実施形態では、基板を処理するためにプロセスチャンバで使用するように構成されたプロセスキットは、上部部分および下部部分を有する円筒状本体を有するシールドと、プロセスチャンバの壁で支持されるように構成され、シールドを支持するための載置面を有するアダプタセクションと、アダプタセクションに結合され、シールドを加熱するためにプロセスチャンバの少なくとも1つの電源に電気的に結合されるように構成されたヒータとを含む。
【0006】
いくつかの実施形態では、基板を処理するように構成されたプロセスチャンバは、プロセスチャンバ内の内部容積部を少なくとも部分的に画定するチャンバ壁と、内部容積部の上部セクションに配設されたスパッタリングターゲットと、スパッタリングターゲットの下方で基板を支持するための支持面を有する基板支持体と、スパッタリングターゲットおよび基板支持体を取り囲むプロセスキットであり、プロセスキットが、上部部分および下部部分を有する円筒状本体を有するシールド、プロセスチャンバのプロセスチャンバ壁で支持され、シールドを支持するための載置面を有するアダプタセクション、およびアダプタセクションに結合され、シールドを加熱するためにプロセスチャンバの少なくとも1つの電源に電気的に結合されるように構成されたヒータを含む、プロセスキットとを含む。
【0007】
いくつかの実施形態では、基板を処理するように構成されたプロセスキットを洗浄するための方法は、基板を処理するように構成されたプロセスチャンバの内部容積部に配設されたスパッタリングターゲットを第1の温度に維持することと、プロセスキットのシールドを第1の温度と異なる第2の温度に加熱することであり、それにより、プロセスチャンバの内部容積部内の活性化洗浄ガスが、シールドに堆積された材料と反応して、シールドから材料を選択的に取り除く、加熱することとを含む。
【0008】
本開示の他のおよびさらなる実施形態が以下で説明される。
【0009】
上述で簡潔に要約され、以下でより詳細に論じられる本開示の実施形態は、添付された図面に示される本開示の例示的な実施形態を参照することよって理解することができる。しかしながら、添付された図面は、単に本開示の典型的な実施形態を示しており、それゆえに、本開示は他の等しく効果的な実施形態を認めることができるので、範囲を限定すると見なされるべきではない。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】本開示のいくつかの実施形態によるプロセスチャンバの概略側面図である。
【
図2】本開示のいくつかの実施形態によるプロセスキットの概略断面図である。
【
図3】本開示のいくつかの実施形態によるプロセスキットの概略断面図である。
【
図4】本開示のいくつかの実施形態による基板を処理するように構成されたプロセスキットを洗浄するための方法の流れ図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
理解しやすくするために、可能な場合、同一の参照番号が、図に共通する同一の要素を示すために使用されている。図は、一定の縮尺で描かれておらず、明確にするために簡単化されている場合がある。ある実施形態の要素および特徴は、さらなる詳述なしに、他の実施形態に有益に組み込むことができる。
【0012】
プロセスキット、およびそのようなプロセスキットを組み込んだプロセスチャンバの実施形態が、本明細書で提供される。特に、本開示は、プロセスチャンバ、例えば、PVDチャンバに設けられたプロセスキットの化学的ベースの洗浄のためにインシトゥで使用することができる方法および装置を提供する。この方法および装置を使用して、PVD中に使用されるターゲットを損傷することなく、プロセスキット上の不要な堆積材料を取り除くことができる。その結果、処理中にプロセスキット上の堆積材料の剥離によって引き起こされることがある粒子レベルは、大幅に低減され、および/または許容レベルに維持され、その結果として、著しく優れたPVDチャンバの稼働時間および可用性がもたらされ、平均洗浄間隔時間(MTBC)が著しく延長される。
【0013】
図1は、本開示のいくつかの実施形態によるプロセスキット200を有するプロセスチャンバ100(例えば、PVDチャンバ)の概略断面図を示す。本開示のプロセスキットシールドとともに使用するのに適するPVDチャンバの例には、サンタクララ、カリフォルニア州のApplied Materials, Inc.から市販されているALPS(登録商標)Plus、SIP ENCORE(登録商標)、Applied Endura Impulse(登録商標)、およびApplied Endura Avenir(登録商標)、ならびに他のPVD処理チャンバが含まれる。Applied Materials, Inc.または他の製造業者からの他の処理チャンバも本明細書で開示される本発明の装置から利益を得ることができる。
【0014】
プロセスチャンバ100は、内部容積部108を囲むチャンバ壁106を含む。チャンバ壁106は、側壁116、底壁120、およびシーリングまたはリッド124を含む。プロセスチャンバ100は、スタンドアロンチャンバ、または様々なチャンバ間で基板104を移送する基板移送機構によって接続された相互接続型チャンバのクラスタを有するマルチチャンバプラットフォーム(図示せず)の一部であり得る。プロセスチャンバ100は、基板104上に材料をスパッタ堆積させることができるPVDチャンバとすることができる。スパッタ堆積に適する材料の非限定の例には、炭素、アルミニウム、銅、タンタル、窒化タンタル、チタン、窒化チタン、タングステン、窒化タングステンなどのうちの1つまたは複数が含まれる。
【0015】
プロセスチャンバ100は、基板104を支持するためのペデスタル134を含む基板支持体130を含む。ペデスタル134の基板支持面138は、処理中に基板104を受け取り支持する。ペデスタル134は、静電チャックまたはヒータ(電気抵抗加熱器、熱交換器、または他の適切な加熱デバイスなど)を含むことができる。基板104は、プロセスチャンバ100の側壁116の基板ローディング入口143を通してプロセスチャンバ100に導入され、基板支持体130上に配置され得る。基板支持体130は、支持体リフト機構により昇降させることができ、ロボットアームによって基板支持体130に基板104を配置する間に、リフトフィンガアセンブリを使用して、基板104を基板支持体130上に昇降させることができる。ペデスタル134は、バイアスをかけることができ、プラズマ動作中、電気的に浮遊電位に維持されるかまたは接地され得る。例えば、いくつかの実施形態では、ペデスタル134は、以下でさらに詳細に説明するように、所与の電位にバイアスをかけられ、その結果、プロセスキット200の洗浄プロセス中に、RF電源170を使用して1つまたは複数のガス(例えば、洗浄ガス)に点火し、それにより、イオンおよびラジカルを含むプラズマを作り出し、そのプラズマを使用してプロセスキット200に堆積された1つまたは複数の材料と反応することができる。
【0016】
ペデスタル134は、スパッタリングターゲット140のスパッタリング面139と実質的に平行な平面を有する基板支持面138を有する。スパッタリングターゲット140は、1つまたは複数の適切な装着デバイス、例えば、はんだ接合を使用してバッキング板142に装着されるスパッタリングプレート(またはターゲット材料)141を含む。スパッタリングプレート141は、基板104上にスパッタされるべき材料を含む。バッキング板142は、例えば、ステンレス鋼、アルミニウム、銅-クロム、または銅-亜鉛などの金属から製作される。バッキング板142は、スパッタリングプレート141とバッキング板142の両方で形成されたスパッタリングターゲット140で発生した熱を放散するために、十分に高い熱伝導率を有する材料から製作することができる。熱は、スパッタリングプレート141およびバッキング板142において生じる渦電流から、さらに、スパッタリングターゲット140のスパッタリング面139上へのプラズマからの高エネルギーイオンの衝撃から発生される。より高い熱伝導率のバッキング板142は、スパッタリングターゲット140で発生した熱の周囲の構造への放散、または、さらに、バッキング板142の背後に装着される場合もあり、またはバッキング板142自体に存在する場合もある熱交換器への放散を可能にする。例えば、バッキング板142は、チャネル(図示せず)を含み、その中で伝熱流体を循環させることができる。バッキング板142の適切に高い熱伝導率は、少なくとも約200W/mK、例えば、約220~約400W/mKである。そのような熱伝導率レベルにより、スパッタリングターゲット140は、スパッタリングターゲット140で発生した熱をより効率的に放散することによってより長いプロセス期間の間動作することができ、さらに、例えば、プロセスキット200上およびそのまわりの区域を洗浄する必要があるとき、スパッタリングプレート141を比較的迅速に冷却することができる。
【0017】
高い熱伝導率と低い抵抗を有する材料で製作されたバッキング板142と組み合わせて、または別個におよびそれ自体で、バッキング板142は、1つまたは複数の溝(図示せず)を有する裏面を含むことができる。例えば、バッキング板142は、スパッタリングターゲット140の裏側を冷却するために、環状溝などの溝またはリッジを有することができる。溝およびリッジはまた、他のパターン、例えば、長方形格子パターン、螺旋パターン、または単に裏面を横切って延びる直線を有することができる。
【0018】
いくつかの実施形態では、プロセスチャンバ100は、スパッタリングターゲット140のスパッタリングを改善するためにスパッタリングターゲット140のまわりに磁場を形成するための磁場発生器150を含むことができる。容量的に発生されるプラズマは、磁場発生器150によって強化することができ、例えば、複数の磁石151(例えば、永久磁石または電磁石コイル)は、磁場をプロセスチャンバ100に供給し、プロセスチャンバ100は、基板104の面に垂直な回転軸を有する回転磁場を有することができる。プロセスチャンバ100は、加えてまたは代替として、スパッタリングターゲット140に隣接する高密度プラズマ領域のイオン密度を増加させてターゲット材料のスパッタリングを改善するために、プロセスチャンバ100のスパッタリングターゲット140の近くに磁場を発生させる磁場発生器150を含むことができる。
【0019】
スパッタリングガスが、ガス供給システム160によってプロセスチャンバ100に導入され、ガス供給システム160は、設定された流量のガスを通過させるためのマスフローコントローラなどのガス流量制御バルブ(図示せず)を有する導管163を介してガス供給部161からガスを供給する。プロセスガスは、アルゴンまたはキセノンなどの非反応性ガスを含むことができ、非反応性ガスは、スパッタリングターゲット140に高エネルギーで衝突し、スパッタリングターゲット140から材料をスパッタすることができる。プロセスガスは、基板104に層を形成するためにスパッタされた材料と反応することができる酸素含有ガスおよび窒素含有ガスのうちの1つまたは複数などの反応性ガスをさらに含むことができる。次いで、このガスは、RF電源170によってエネルギーを与えられてプラズマを形成するかまたは作り出し、それにより、スパッタリングターゲット140をスパッタする。例えば、プロセスガスは、高エネルギー電子によってイオン化され、イオン化ガスは、負電圧(例えば、-300~-1500ボルト)でバイアスされたスパッタリング材料に引き寄せられる。カソードの電位によってイオン化ガス(例えば、ここでは、正に帯電したガス原子)に与えられたエネルギーは、スパッタリングを引き起こす。いくつかの実施形態では、反応性ガスは、スパッタリングターゲット140と直接反応して、化合物が作り出され、次いで、引き続き、スパッタリングターゲット140からスパッタされ得る。例えば、カソードは、DC電源190とRF電源の両方でエネルギーを与えられることができる。いくつかの実施形態では、DC電源190は、カソードに電力を供給するためにパルスDCを供給するように構成することができる。使用済みプロセスガスおよび副生成物は、排気部162を通してプロセスチャンバ100から排気される。排気部162は、排気口(図示せず)を含み、排気口は、使用済みプロセスガスを受け取り、使用済みガスを、プロセスチャンバ100のガスの圧力を制御するためのスロットルバルブを有する排気導管164に渡す。排気導管164は、1つまたは複数の排気ポンプ(図示せず)に接続される。
【0020】
加えて、ガス供給システム160は、エネルギーを与えて活性洗浄ガス(例えば、イオン化プラズマまたはラジカル)を作り出すことができる1つまたは複数のガス(例えば、スパッタリングターゲット140に使用される材料に応じて)を、シールド201の洗浄プロセスを実行するプロセスチャンバ100の内部容積部108に導入するように構成されており、それは、以下でより詳細に説明される。代替としてまたは追加として、ガス供給システム160は、プロセスチャンバ100の内部容積部108にラジカル(または遠隔プラズマ源(RPS)の構成に応じてプラズマ)を供給するように構成されたRPS165に結合することができる。スパッタリングターゲット140は、DC電源190および/もしくはRF電源170の一方または両方に接続される。DC電源190は、プロセスキット200のシールド201を基準にしてスパッタリングターゲット140にバイアス電圧を印加することができ、プロセスキット200のシールド201は、スパッタリングプロセスおよび/または洗浄プロセスの間電気的に浮いていてもよい。DC電源190、または異なるDC電源190aは、例えば、シールド201の洗浄プロセスを実行するとき、プロセスキット200のカバーリングセクション212またはプロセスキット200のアダプタセクション226のヒータ203にバイアス電圧を印加するために使用することもできる。
【0021】
DC電源190が、DC電源190に接続されたスパッタリングターゲット140および他のチャンバ部品に電力を供給する間、RF電源170は、スパッタリングガスにエネルギーを与えてスパッタリングガスのプラズマを形成する。形成されたプラズマは、スパッタリングターゲット140のスパッタリング面139に衝突し衝撃を与えて、材料をスパッタリング面139から基板104上にスパッタする。いくつかの実施形態では、RF電源170によって供給されるRFエネルギーは、約2MHz~約60MHzの周波数にわたることができ、または、例えば、2MHz、13.56MHz、27.12MHz、もしくは60MHzなどの非限定の周波数が使用されてもよい。いくつかの実施形態では、複数の上述の周波数でRFエネルギーを供給するために、複数のRF電源(すなわち、2つ以上)を設けることができる。例えば、プロセスキット200上およびそのまわりの区域の洗浄プロセスを実行するとき、追加のRF電源をさらに使用して、ペデスタル134および/またはカバーリングセクション212にバイアス電圧を供給することができる。例えば、いくつかの実施形態では、追加のRF電源170aを使用して、ペデスタル134(または基板支持体130の基板支持面138)に埋め込むことができるバイアス可能な電極137にエネルギーを与えることができる。バイアス可能な電極を使用して、シールド201および/または基板支持体130に電力を供給することができる。その上、いくつかの実施形態では、RF電源170は、バイアス可能な電極137にエネルギーを与えるように構成することができる。例えば、1つまたは複数の追加の構成要素、例えば、スイッチング回路を設けて、電気経路をカバーまたはリッド124からバイアス可能な電極137に切り替えることができる。
【0022】
プロセスチャンバ100の様々な構成要素は、コントローラ180で制御することができる。コントローラ180は、基板104を処理するために構成要素を操作するための命令セットを有するプログラムコードを含む。例えば、コントローラ180は、基板支持体130および基板移送機構を操作するための基板位置付け命令セット、ヒータ203の1つまたは複数の加熱構成要素(例えば、ランプ、放射加熱部、および/または埋込み抵抗加熱器)の温度制御、プロセスキット200上およびそのまわりの区域に対する洗浄プロセス命令セット、マイクロ波電源181の電力制御、プロセスチャンバ100へのスパッタリングガスの流れを設定するためにガス流量制御バルブを操作するためのガス流量制御命令セット、プロセスチャンバ100の圧力を維持するために排気スロットルバルブを操作するためのガス圧力制御命令セット、ガスにエネルギーを与える電力レベルを設定するためにRF電源170を操作するためのガスエナジャイザ制御命令セット、環状伝熱チャネルへの伝熱媒体の流量を制御するために、基板支持体130または伝熱媒体供給部の温度制御システムを制御するための温度制御命令セット、およびプロセスチャンバ100内のプロセスをモニタするためのプロセスモニタリング命令セットを含むプログラムコードを含むことができる。
【0023】
図1を続いて参照し、さらに
図2を参照すると、プロセスチャンバ100は、プロセスキット200をさらに含み、プロセスキット200は、例えば、腐食した構成要素を取り替えるかもしくは修復するために、またはプロセスチャンバ100を他のプロセスに適応させるために、プロセスチャンバ100から容易に取り外すことができるアダプタセクション226とシールド201とを含む様々な構成要素を含む。追加として、スパッタリング堆積物を構成要素表面(例えば、シールド201)から洗浄するために取り外す必要がある従来のプロセスキットと異なり、発明者らは、以下でより詳細に説明するように、シールド201上のスパッタされた材料の堆積物を取り除くためにインシトゥ洗浄用のプロセスキット200を設計した。
【0024】
シールド201は、スパッタリングターゲット140のスパッタリング面139と基板支持体130とを囲むために大きさを合わせた直径(例えば、スパッタリング面139よりも大きく、基板支持体130の支持面よりも大きい直径)を有する円筒状本体214を含む。円筒状本体214は、チャンバに設置されたときにスパッタリングターゲット140のスパッタリング面139の外縁部を取り囲むように構成された上部部分216を有する。シールド201は、チャンバに設置されたときに基板支持体130の基板支持面138を取り囲むように構成された下部部分217をさらに含む。下部部分217は、基板支持体130の外周壁131のまわりに配置するためのカバーリングセクション212を含む。カバーリングセクション212は、基板支持体130のまわりに配設された堆積リング208を囲み、少なくとも部分的に覆って、スパッタリング堆積物の大部分を受け取り、それにより、スパッタリング堆積物の大部分から堆積リング208を遮る。上記したように、いくつかの実施形態では、カバーリングセクション212は、例えば、プロセスキット200上およびそのまわりの区域を洗浄する必要があるとき、DC電源190aおよび/またはRF電源170aを使用してバイアスをかけることができる。いくつかの実施形態では、RF電源170またはDC電源190は、カバーリングセクション212にバイアスをかけるように構成することもできる。例えば、上述したように、スイッチング回路を使用することができる。
【0025】
堆積リング208は、カバーリングセクション212の下に配設される。
図2に示されるように、カバーリングセクション212の底面は、堆積リング208とインターフェースして蛇行した経路202を形成し、カバーリングセクション212は、円筒状本体214の下部部分217から半径方向内側に延びる。いくつかの実施形態では、カバーリングセクション212は、蛇行した経路202がカバーリングセクション212と堆積リング208との間に配設された間隙であるように、堆積リング208とインターフェースするが、堆積リング208と接触しない。例えば、カバーリングセクション212の底面は、堆積リング208に形成された環状トレンチ241内に延びる環状脚部240を含むことができる。蛇行した経路202は、有利には、プロセスキット200の外の区域へのプラズマ漏洩を限定または防止する。その上、蛇行した経路202のくびれた流路により、堆積リング208およびカバーリングセクション212の嵌合面への低エネルギースパッタ堆積物の蓄積が制限され、そうでなければ、低エネルギースパッタ堆積物が、互いにまたは基板104の突き出し縁部206に固着することになる。追加として、いくつかの実施形態では、ガス供給システム160は、プロセスキット200上およびそのまわりの区域を洗浄する必要があるとき、1つまたは複数の適切なガス(例えば、プロセスガスおよび/または洗浄ガス)をプロセスチャンバ100の内部容積部108に供給するために、蛇行した経路202と流体連結する。
【0026】
堆積リング208は、カバーリングセクション212の半径方向内側に延びるリップ230によって少なくとも部分的に覆われる。リップ230は下面231および上面232を含む。堆積リング208およびカバーリングセクション212は、互いに協同して、基板支持体130の外周壁131および基板104の突き出し縁部でのスパッタ堆積物の形成を低減させる。カバーリングセクション212のリップ230は、基板104の近くの破壊電界を低減させるために、約0.5インチと約1インチとの間とすることができる水平距離だけ突き出し縁部206から離間される(すなわち、リップ230の内径は、処理されるべき基板の所与の直径よりも約1インチ~約2インチだけ大きい)。
【0027】
堆積リング208は、
図2に示されるように基板支持体130の外周壁131のまわりに延び、それを取り囲む環状バンド215を含む。環状バンド215は、内側リップ250を含み、内側リップ250は、環状バンド215から横に延び、基板支持体130の外周壁204と実質的に平行である。内側リップ250は、基板104の突き出し縁部206の直下で終了する。内側リップ250は、処理の間基板104によって覆われない基板支持体130の領域を保護するために、基板104および基板支持体130の周辺を取り囲む堆積リング208の内周を画定する。例えば、内側リップ250は、別のやり方では処理環境にさらされることになる基板支持体130の外周壁204を取り囲んで少なくとも部分的に覆い、外周壁204へのスパッタリング堆積物の堆積を低減するかまたはさらに完全に排除する。堆積リング208は、エネルギーを与えられたプラズマ核種による腐食を低減するために基板支持体130の露出した側面を保護するのに役立つことができる。
【0028】
シールド201は、基板支持体130に面するスパッタリングターゲット140のスパッタリング面139と、基板支持体130の外周とを囲む。シールド201は、プロセスチャンバ100の側壁116を覆い、陰にして、スパッタリングターゲット140のスパッタリング面139から生じるスパッタリング堆積物がシールド201の背後の構成要素および表面上に堆積するのを低減する。例えば、シールド201は、基板支持体130、基板104の突き出し縁部206、プロセスチャンバ100の側壁116および底壁120の表面を保護することができる。
【0029】
図2を続いて参照すると、アダプタセクション226は、上部部分216から隣接して半径方向外側に延びる。アダプタセクション226は、シール面233と、シール面233の反対側の載置面234とを含む。シール面233は、真空シールを形成するためのOリング223を受け取るOリング溝222を含み、載置面234は、プロセスチャンバ100の側壁116上に載せられ(または側壁116によって支持され)、Oリング溝222およびOリング223はまた、載置面234の向い側の側壁116に設けることができる。
【0030】
アダプタセクション226は、内側に延びるレッジ227を含み、レッジ227は、上部部分216に隣接する対応して外側に延びるレッジ228に係合して、シールド201を支持する。アダプタセクション226は、カバーリングセクション212の下でペデスタル134の方に内側に延びる下部部分235を含む。下部部分235は、カバーリングセクション212から離間し、その結果、空胴229が、下部部分235とカバーリングセクション212との間に形成される。空胴229は、下部部分235の上面237とカバーリングセクション212の底面238とによって画定される。下部部分235の上面237と、底面238との間の距離は、プロセスキット200の洗浄中にヒータ203からシールド201への最大の伝熱が所定の時間内に達成され得るようなものである。空胴229は、蛇行した経路202と流体連結しており、それにより、プロセスキット200上およびそのまわりの区域を洗浄する必要があるとき、例えば、ガス供給システム160を介して導入されるガスが、プロセスチャンバ100の内部容積部108に流れ込むことができる。
【0031】
下部部分235は、ヒータ203を収容するように構成される。より詳細には、適切な構成の環状溝236が、下部部分235内に画定され、限定はしないが、ヒータ203のランプ、放射加熱部、または埋込み抵抗加熱器を含む1つまたは複数の適切な加熱構成要素を支持するように構成される。図示の実施形態では、ランプエンベロープ207、例えば、ガラス、石英、または他の適切な材料によって取り囲まれている放射環状コイル205が、環状溝236に支持されて示されている。放射環状コイル205は、プロセスキット200上およびそのまわりの区域を洗浄する必要があるとき、約250℃~約300℃の温度に達するように、例えば、コントローラ180で制御できるDC電源190またはDC電源190aを使用して、エネルギーを与えられるかまたは電力を供給され得る。
【0032】
アダプタセクション226は、さらに、プロセスチャンバ100の側壁116のまわりの熱交換器として機能することができる。代替としてまたは追加として、環状伝熱チャネル225が、伝熱媒体を流すために、アダプタセクション226もしくはシールド201(例えば、上部部分216)のいずれかまたは両方に配設され得る。伝熱媒体は、例えば、プロセスキット200が洗浄された完了時に、または1つまたは複数の他のプロセスがプロセスチャンバ100内で実行された完了時に、アダプタセクション226および/またはシールド201を冷却するために使用することができる。
【0033】
図3は、本開示のいくつかの実施形態によるプロセスキット300の概略断面図を示す。プロセスキット300は、実質的に、プロセスキット200と同様である。したがって、プロセスキット300に特有の特徴のみが本明細書で説明される。アダプタセクション326は、マイクロ波電源381に接続するように構成された入口またはポート325を含む。RF電源170およびDC電源190と同様に、マイクロ波電源181は、プロセスキット200上およびそのまわりの区域を洗浄する必要があるとき、プロセスチャンバ100の内部容積部108にプラズマを作り出すように構成される。追加として、1つまたは複数の誘電体共振器327(ファントムで示される)が、内部容積部108に沿って、スパッタリングターゲット140のスパッタリング面139の周辺の近くに円形配列で設けられ、プラズマに点火して、例えば、1つまたは複数のラジカルを作り出して、プロセスキット200のまわりで洗浄する必要のある区域の方に導くことができる。
【0034】
図4は、本開示のいくつかの実施形態による基板を処理するように構成されたプロセスキットを洗浄するための方法の流れ図である。スパッタリングプレート(またはターゲット材料)141は、基板に堆積させるべき1つまたは複数の適切な材料から製作することができる。例えば、スパッタリングプレート(またはターゲット材料)141は、炭素、ケイ素、窒化ケイ素、アルミニウム、タングステン、炭化タングステン、銅、チタン、窒化チタン、炭化チタン、窒化炭素などで製作することができる。スパッタリングプレート(またはターゲット材料)141を製作することができる特定の材料は、プロセスチャンバで基板に堆積させたい材料に依存することができる。スパッタリングプレート(またはターゲット材料)141を製作する特定の材料は、チャンバ構成および洗浄プロセス、例えば、プロセスキットを洗浄するために使用される活性化洗浄ガスのタイプ、シャッタ(またはシャッタアセンブリ)が、プロセスキットを洗浄している間、スパッタリングプレート141を保護するために使用されるかどうか、などに関連する1つまたは複数の要因に影響を及ぼす場合がある。
【0035】
いくつかの実施形態では、1つまたは複数の活性化洗浄ガスを使用して、プロセスキット200上およびそのまわりを洗浄することができる。活性化洗浄ガスは、例えば、プロセスチャンバ100に導入され、続いて、エネルギーを与えられてプラズマを形成し、それによって、プロセスキット200の方に導かれ得るラジカル(例えば、活性化洗浄ガス)を作り出す洗浄ガスとすることができる。代替としてまたは組み合わせて、ラジカル(例えば、活性化洗浄ガス)は、遠隔プラズマ源からプロセスチャンバに導入され、次いで、プロセスキット200の方に導かれてもよい。洗浄ガスのラジカルを形成するためにプラズマを使用して活性化される洗浄ガスは、例えば、酸素(O2)、もしくは他の酸素含有ガス、例えば、オゾン、水酸化物、過酸化物など、塩素(Cl2)、もしくは他の塩素含有ガスなど、窒素、フッ素、ホウ素、硫黄、ニオビウム、またはそれらの組合せとすることができる。使用される洗浄ガスのタイプは、例えば、ターゲット材料のタイプ、チャンバのタイプ(例えば、PVDなど)、製造業者の選択などに依存することができる。例えば、ターゲット材料がAlである場合、プラズマは、Cl2またはBCl3を使用して作り出すことができ、シールド201は、Al以外の材料から製作することができ、ターゲット材料がTiである場合、プラズマは、SF6またはCl2を使用して作り出すことができ、ターゲット材料がWである場合、プラズマは、Cl2、または他の塩素もしくはフッ素ベースのガスを使用して作り出すことができ、ターゲット材料がCuである場合、プラズマは、NbCl3を使用して作り出すことができ、ターゲット材料がSiである場合、プラズマは、NF3を使用して作り出すことができる。
【0036】
本開示によれば、プロセスキット200上およびそのまわりの洗浄は、プロセスチャンバ100の日常保守に従って実行することができる。例えば、方法400は、プロセスキット200上およびそのまわりの堆積蓄積を低減するために定期的に実行することができる。例えば、炭素がスパッタリングプレート(またはターゲット材料)141として使用される場合、方法400は、炭素蓄積を取り除くために使用することができる。十分な量の材料がプロセスキット200上に蓄積されたときはいつでも、洗浄プロセスを定期的に実行することができる。例えば、洗浄プロセスは、約5μmの炭素が堆積された後で実行することができ、それは、各基板に1000A膜を堆積させた場合、堆積物の約50個程度の基板(またはウエハ)に相当し得る。
【0037】
プロセスキット200上およびそのまわりを洗浄する前に、ダミーウエハ122aをプロセスチャンバ100の内部容積部108にロードし、基板支持体130に配設して、基板支持体130の構成要素、例えば、ペデスタル134、基板支持面138などを保護することができる。代替としてまたは追加として、シャッタディスク122bを基板支持体130上またはその上方に配置して、基板支持体130の構成要素を保護することができる。それに反して、ダミーウエハ122aもシャッタディスク122bも使用する必要はない。
【0038】
追加として、いくつかの実施形態では、プロセスキット200の蓄積された堆積物が取り除かれている間、シャッタディスク122bが、スパッタリングターゲット140の前に位置付けられ、反応性ガスがスパッタリングターゲット140に達するのを防止するために使用されてもよい。
【0039】
ダミーウエハ122aおよび/またはシャッタディスク122bは、例えば、周辺保持区域123に格納することができ、プロセスキット200上およびそのまわりを洗浄する前に処理チャンバ100に移動させることができる。
【0040】
発明者らは、プロセスキット200上の蓄積された堆積材料を取り除きやすくするために、プロセスキット200上およびそのまわりの区域は、積極的に加熱されなければならない(例えば、基板を処理するために使用される温度より上の温度に加熱されなければならない)ことを見いだした。例えば、スパッタリングターゲット140が炭素であるとき、炭素および酸素ラジカル反応を促進するために(例えば、二酸化炭素を形成するために)、プロセスキット200上およびそのまわりを選択的に洗浄するために(例えば、プロセスチャンバ100の内部容積部108内の特定の区域に洗浄を集中させるために)、およびプロセスキット200上およびそのまわりの洗浄を最大にするために、スパッタリングプレート141と、プロセスキット200上およびそのまわりの区域との間の温度差を維持する必要がある。したがって、そのような温度差を積極的に達成するために、スパッタリングプレート141は、比較的低い温度に、例えば、約25℃~約100℃の温度に維持することができる。上述した裏側水冷を使用して、そのような温度を達成することができる。例えば裏側水冷などを使用してスパッタリングプレート141を冷却することは、PVDが実行された直後にプロセスキット200上およびそのまわりの区域を洗浄する場合、例えば、スパッタリングプレート141の温度が比較的高い場合、有用であり得る。代替としてまたは追加として、スパッタリングプレート141は、冷却デバイスを使用せずに、時間をかけて冷却させることができる。その結果、いくつかの実施形態では、402において、スパッタリングプレート141は、洗浄プロセスの間、約25℃~約100℃の温度に維持することができる。
【0041】
次に、上述の温度差が達成される/維持されることを保証するために、404において、プロセスキット200上およびそのまわりの区域は、約250℃から約300℃の温度に積極的に加熱することができる。上記のように、ヒータ203の放射環状コイル205にDC電源190(またはDC電源190a)を使用してエネルギーを与えてそのような温度を達成することができ、DC電源190から放射環状コイル205に供給されるエネルギー量は、コントローラ180で制御することができる。
【0042】
その後、1つまたは複数のプロセスを使用してプラズマを作り出し、それによって、対応するイオンおよびラジカルを形成することができ、それを使用して、プロセスキット200上およびそのまわりの蓄積された堆積材料と反応させることができる。例えば、いくつかの実施形態では、処理キット200のまわりの蓄積された堆積材料が炭素である場合、酸素が、例えばガス供給システム160を使用してプロセスチャンバ100の内部容積部108に導入され得る。導入された後、イオンおよびラジカルを含む酸素プラズマは、例えば、RF電源170と、各々が上記のようにRF電源170aもしくはDC電源190aのいずれかまたは両方を使用してある電位にバイアスをかけることができるペデスタル134またはカバーリングセクション212とを使用して、酸素ガスにエネルギーを与えることによって作り出すことができる。
【0043】
代替としてまたは追加として、例えば、ガス供給システム160を使用して、酸素をプロセスチャンバ100の内部容積部108に導入することができ、マイクロ波電源181を使用して、酸素プラズマを作り出し、それによって、酸素イオンおよびラジカルを形成することができる。
【0044】
代替としてまたは追加として、酸素プラズマは、例えば、RPS165を使用して遠隔で作り出すことができる。例えば、酸素プラズマをRPS165で作り出すことができ、酸素プラズマからの酸素イオンおよびラジカルをプロセスチャンバに導くことができる。
【0045】
酸素ガスがエネルギーを与えられて、酸素プラズマが形成された後、酸素ラジカルは、プロセスキット200上およびそのまわりに堆積された炭素と反応し、堆積された炭素を二酸化炭素に変換し(例えば、炭素を選択的にエッチングまたは取り除くために)、その後、次いで、二酸化炭素は、例えば排気部162を介してプロセスチャンバ100の内部容積部108からポンプで排出され得る。代替としてまたは追加として、酸素プラズマからの酸素イオンの一部(例えば、酸素ラジカルに加えて)をさらに使用して、プロセスキット200上およびそのまわりに堆積された炭素と反応させて、堆積された炭素を二酸化炭素に変換させることができ、それは、酸素プラズマ中の酸素イオンに対する酸素ラジカルの比率に依存することができる。例えば、酸素ラジカルに対する酸素イオンの比率は、より多い(またはより少ない)イオン化酸素がプラズマ中に作り出され、より少ない(またはより多い)酸素ラジカルが作り出されるように制御することができる。
【0046】
コントローラ180は、例えば、二酸化炭素生成の終点で、二酸化炭素を排気し始めるように排気部162を制御することができ、終点は、プロセスチャンバ100の内部容積部108に配設された1つまたは複数のセンサ(図示せず)を使用して検出することができる。例えば、いくつかの実施形態では、コントローラ180は、1つまたは複数のセンサを使用して、排気ガスの組成に基づいて洗浄時間の終点を決定することができる。
【0047】
代替としてまたは追加として、コントローラ180は、例えば、経験的なデータを介して計算することができる所定の時間に二酸化炭素を排気し始めるように排気部162を制御するように構成することができる。
【0048】
前述は本開示の実施形態に関するが、本開示の他のおよびさらなる実施形態を本開示の基本的な範囲から逸脱することなく考案することができる。