(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-12
(45)【発行日】2023-12-20
(54)【発明の名称】差動測定システム
(51)【国際特許分類】
G03F 7/20 20060101AFI20231213BHJP
【FI】
G03F7/20 501
G03F7/20 521
(21)【出願番号】P 2022554489
(86)(22)【出願日】2021-03-09
(86)【国際出願番号】 EP2021055884
(87)【国際公開番号】W WO2021204478
(87)【国際公開日】2021-10-14
【審査請求日】2022-10-20
(32)【優先日】2020-04-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】504151804
【氏名又は名称】エーエスエムエル ネザーランズ ビー.ブイ.
(74)【代理人】
【識別番号】100079108
【氏名又は名称】稲葉 良幸
(74)【代理人】
【識別番号】100109346
【氏名又は名称】大貫 敏史
(74)【代理人】
【識別番号】100117189
【氏名又は名称】江口 昭彦
(74)【代理人】
【識別番号】100134120
【氏名又は名称】内藤 和彦
(72)【発明者】
【氏名】ステインズ,ヒューベル,マテュー,リチャード
(72)【発明者】
【氏名】アガーウォール,プルキット
【審査官】今井 彰
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2003/15590(US,A1)
【文献】独国特許出願公開第19932965(DE,A1)
【文献】特開昭64-72021(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2017/45414(US,A1)
【文献】中国特許出願公開第109708823(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G03F 7/20-7/24、9/00-9/02
H01L 21/027、21/30
G01M 3/28
G06K 19/06
G01L 3/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1のターゲットの
流量と第2のターゲットの
流量との間の差を測定するためのシステムであって、
前記システムは、第1の部材及び第2の部材を備え、
前記第1の部材は、第1のパターンを備え、第1の回転速度で回転するように配置され、前記第1の部材の前記第1の回転速度が前記第1のターゲットの前記
流量に基づくように構成され、
前記第2の部材は、第2のパターンを備え、第2の回転速度で回転するように配置され、前記第2の部材の前記第2の回転速度が前記第2のターゲットの前記
流量に基づくように構成され、
前記第1及び第2のパターンは、角度変動し、前記第1及び第2の部材がそれらの回転速度において相対的な差を有するとき、それらの相互作用によって干渉パターンを生成するように構成され、
前記干渉パターンは、この差の大きさを示す、システム。
【請求項2】
前記第1及び第2のパターンは、第1及び第2のコンポーネントを備え、
a.前記第1のコンポーネントが前記第2のコンポーネントよりも低い透過性を有するか、又は、
b.前記第1のコンポーネントが前記第2のコンポーネントよりも低い反射性を有する、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記第1の部材は、インレットに配設されたフローロータに取り付けられ、
前記第2の部材は、アウトレットに配設されたフローロータに取り付けられ、
任意選択として、前記第1及び第2の部材の前記回転速度が、前記それぞれのフローロータの前記回転速度よりも高いように、前記第1及び第2の部材が歯車機構を介して前記フローロータに取り付けられる、請求項1
又は2に記載のシステム。
【請求項4】
前記第1及び第2の部材は、ディスクであり、前記ディスクの表面上又は表面を介して形成された前記第1及び第2のパターンを備える、請求項1から
3の何れか一項に記載のシステム。
【請求項5】
前記第1及び第2の部材は、同心ドラムであり、前記ドラムの重なる部分において前記ドラムの表面上又は表面を介して形成された前記第1及び第2のパターンを備える、請求項1から
4の何れか一項に記載のシステム。
【請求項6】
前記干渉パターン上に又は前記干渉パターンを介して光が当たるように、光源が配設され、
前記第1と第2の部材間の回転速度における前記相対的な差を示す前記光の信号を受け取るように、センサが構成され、
任意選択として、前記光源からの光を前記第1と第2の部材間で送るように、それらの間に光ファイバが配設される、請求項1から
5の何れか一項に記載のシステム。
【請求項7】
1つ以上の温度センサが、前記第1及び第2のターゲットにおける温度を測定するように構成され、
前記干渉パターンによって提供される差動信号の大きさが、前記測定された温度差に基づいて較正可能である、請求項1から
6の何れか一項に記載のシステム。
【請求項8】
前記第1のパターンは、前記第2のパターンとは異なり、
前記第1及び第2の部材が同じ速度で回転するとき、結果として生じる前記第1と第2のパターン間の重ね合わされたパターンが角度変動パターンである、請求項1から
7の何れか一項に記載のシステム。
【請求項9】
前記第1のパターン及び前記第2のパターンは、2つの同心環状領域に分割される、請求項1から4の何れか一項に記載のシステム。
【請求項10】
流体インレット及び流体アウトレットを有する流体循環システムと、
前記流体インレット及び前記流体アウトレットにおける前記流量間の差を測定するように構成されている請求項1から9の何れか一項に記載のシステムと、
を備える、リソグラフィツール。
【請求項11】
前記流体循環システムは、温度制御された水を循環させるように構成されている、請求項10に記載のリソグラフィツール。
【請求項12】
第1のターゲットの
流量と第2のターゲットの
流量との間の差を測定する方法であって、
第1のパターンを備える第1の部材を、前記第1のターゲットの前記
流量に基づく第1の速度で回転させることと、
第2のパターンを備える第2の部材を、前記第2のターゲットの前記
流量に基づく第2の速度で回転させることと、を含み、
それによって、前記第1及び第2の部材がそれらの回転速度における相対差を有するとき、前記第1と第2のパターンの間の干渉パターンが形成され、
前記方法は、前記干渉パターンに基づいて、前記第1及び第2のターゲットの前記
流量の差動測定を行うことを更に含む、方法。
【請求項13】
前記第1のターゲットに関する第1の温度を監視することと、
前記第2のターゲットに関する第2の温度を監視することと、
前記干渉パターンに基づいて、前記第1と第2のターゲット間の前記推測される差動
流量測定を較正するために、前記第1の温度と前記第2の温度との間の差を使用することと、
を更に含む、請求項1
2に記載の方法。
【請求項14】
干渉パターンによって変調されるように、前記第1及び第2のパターン上に当たるか、又は前記第1及び第2のパターンを介して進むためのビームを提供することと、
前記干渉パターンによって変調された後に、前記ビームの振幅を監視することと、
前記ビームの前記振幅に基づいて経時的に、前記第1及び第2のターゲットの前記
流量間の差を決定することと、
を更に含む、請求項12
又は13に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
[0001] 本願は、2020年4月7日出願の、欧州出願第20168356.2号の優先権を主張し、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
[0002] 本発明は、ターゲットの特性を測定するため、具体的には、2つのターゲット間の特性における差を測定するための、システム及び方法に関する。特定の実施形態は、リソグラフィ装置における差動流量測定のためのシステム及び方法に関する。
【背景技術】
【0003】
[0003] リソグラフィ装置は、基板に所望のパターンを適用するように構築された機械である。リソグラフィ装置は、例えば集積回路(IC)の製造において使用可能である。リソグラフィ装置は、例えばパターニングデバイス(例えばマスク)のパターン(「設計レイアウト」又は「設計」と称されることも多い)を、基板(例えばウェーハ)上に提供された放射感応性材料(レジスト)層に投影し得る。
【0004】
[0004] 基板上にパターンを投影するために、リソグラフィ装置は電磁放射を使用することができる。この放射の波長は、基板上に形成可能なフィーチャの最小サイズを決定する。現在使用されている典型的な波長は、365nm(i線)、248nm、193nm及び13.5nmである。例えば193nmの波長を有する放射線を使用するリソグラフィ装置よりも小さなフィーチャを基板上に形成するためには、4nm~20nmの範囲内、例えば6.7nm又は13.5nmの波長を有する極端紫外線(EUV)放射を使用するリソグラフィ装置が用いられ得る。
【0005】
[0005] リソグラフィ装置の従来の解像限界よりも小さな寸法のフィーチャを処理するためには、Low-k1リソグラフィが使用され得る。こうしたプロセスにおいて、解像式はCD=k1×λ/NAとして表され得、この式で、λは採用される放射の波長であり、NAはリソグラフィ装置内の投影光学系の開口数であり、CDは「クリティカルディメンション」(一般には印刷される最小のフィーチャサイズであるが、この場合はハーフピッチ)であり、及びk1は実証的解像係数である。一般に、k1が小さいほど、特定の電気的機能及び性能を達成するために回路設計者によって計画される形状及び寸法と類似したパターンを基板上に再生成することが困難になる。これらの問題を克服するために、非常に高度な微調整ステップをリソグラフィ投影装置及び/又は設計レイアウトに適用し得る。これらは、例えば、NAの最適化、カスタマイズされた照明方式、位相シフトパターニングデバイスの使用、設計レイアウトにおける光近接効果補正(OPC、「光及びプロセス補正」と呼ばれることもある)などの設計レイアウトの様々な最適化、又は、一般に「解像度向上技術」(RET)として定義される他の方法を含むが、限定されない。代替として、低k1においてパターンの再生成を向上させるために、リソグラフィ装置の安定性を制御するための厳しい制御ループが用いられ得る。
【0006】
[0006] 多くのリソグラフィ装置は、温度制御及び他の目的のために流体を使用する。例えば、装置の主要部分を一定温度で維持するために、温度制御水が用いられ得る。機械の内側でのいずれの漏水も重大な損傷を発生させる可能性があるため、望ましくは即時に検出すべきである。
【発明の概要】
【0007】
[0007] 例えば、第1のターゲットの特性と第2のターゲットの特性との間の差を測定するためのシステムを提供することが望ましく、差は、1つのセンサによる測定値を異なるセンサによる測定値から減算することによって導出されない。特に、差動測定の精度について2つの異なるセンサの較正に過度に依拠しない、インフローレートとアウトフローレートとの間の差を測定するためのシステムを提供することが望ましい。
【0008】
[0008] 本発明の態様によれば、第1のターゲットの特性と第2のターゲットの特性との間の差を測定するためのシステムが提供され、システムは第1の部材及び第2の部材を備え、
第1の部材は第1のパターンを備え、第1の部材の回転速度は第1のターゲットの特性に基づくように構成され、
第2の部材は第2のパターンを備え、第2の部材の回転速度は第2のターゲットの特性に基づくように構成され、
更に、第1及び第2のパターンは角度変動し、第1及び第2の部材がそれらの回転速度において相対的な差を有するとき、それらの相互作用によって干渉パターンを生成するように構成され、干渉パターンはこの差の大きさを示す。
【0009】
[0009] 本発明の更なる態様によれば、第1のターゲットの特性と第2のターゲットの特性との間の差を測定する方法が提供され、方法は、
第1のパターンを備える第1の部材を、第1のターゲットの特性に基づく速度で回転させることと、
第2のパターンを備える第2の部材を、第2のターゲットの特性に基づく速度で回転させることと、を含み、
それによって、第1及び第2の部材がそれらの回転速度における相対差を有するとき、第1のパターンと第2のパターンの間の干渉パターンが形成され、
また方法は、干渉パターンに基づいて、第1及び第2のターゲットの特性の差動測定を行うことを含む。
【0010】
[0010] 本発明の実施形態を、添付の図面を参照して、単なる例示として以下に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】本発明の一実施形態に従ったリソグラフィ装置を示す図である。
【
図2】リソグラフィ装置を示す、より詳細な図である。
【
図3】
図1及び
図2の装置のソースコレクタモジュールSOを示す、より詳細な図である。
【
図4】角度変動を有する第1のパターンを示す図である。
【
図5】第2の同一パターンに重ね合わせられた
図4のパターン、及び、第2の同一パターンが第1のパターンに関して回転されたときに生成される干渉の外観を示す図である。
【
図6】第2の同一パターンに重ね合わせられた
図4のパターン、及び、全体パターンの小部分について、第2の同一パターンが第1のパターンに関して回転されたときに生成される干渉の外観を示す図である。
【
図7】第2のパターンの角度測度と生成される干渉における変化との間の時間関係を示す図である。
【
図8】本発明に従った測定システムの一実施形態を示す図である。
【
図9】本発明に従った測定システムの別の実施形態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
[0011]
図1は、本発明の一実施形態に従った、ソースコレクタモジュールSOを含むリソグラフィ装置100を概略的に示す。装置は、
放射ビームB(例えばEUV放射)を調整するように構成された照明システム(イルミネータ)IL、
パターニングデバイス(例えば、マスク又はレチクル)MAを支持するように構築され、パターニングデバイスを正確に位置決めするように構成された第1のポジショナPMに接続された、支持構造(例えばマスクテーブル)MT、
基板(レジストコートウェーハ)Wを保持するように構築され、基板を正確に位置決めするように構成された第2のポジショナPWに接続された、基板テーブル(例えばウェーハテーブル)WT、及び、
パターニングデバイスMAによって放射ビームBに付与されたパターンを、基板Wのターゲット部分C(例えば、1つ以上のダイを含む)上に投影するように構成された、投影システム(例えば反射型投影システム)PS、
を備える。
【0013】
[0012] 照明システムは、放射を誘導し、整形し、又は制御するための、屈折型、反射型、磁気型、電磁型、静電型、又はその他のタイプの光学コンポーネント、あるいはそれらの任意の組み合わせなどの様々なタイプの光学コンポーネントを含むことができる。
【0014】
[0013] 支持構造MTは、パターニングデバイスの配向、リソグラフィ装置の設計及び、例えばパターニングデバイスが真空環境で保持されているか否か等の条件に応じた手法でパターニングデバイスMAを保持する。支持構造は、機械式、真空式、静電式又はその他のクランプ技術を用いて、パターニングデバイスを保持することができる。支持構造は、例えば、必要に応じて固定又は可動式にできるフレーム又はテーブルであってもよい。支持構造は、パターニングデバイスが例えば投影システムに対して確実に所望の位置に来るようにしてもよい。
【0015】
[0014] 本明細書において使用する「パターニングデバイス」という用語は、基板のターゲット部分にパターンを生成するように、放射ビームの断面にパターンを付与するために使用し得る任意のデバイスを指すものとして広義に解釈されるべきである。放射ビームに付与されるパターンは、集積回路などのターゲット部分に生成されるデバイスの特定の機能層に相当する。
【0016】
[0015] パターニングデバイスは透過性又は反射性でよい。パターニングデバイスの例には、マスク、プログラマブルミラーアレイ、及びプログラマブルLCDパネルがある。マスクはリソグラフィにおいて周知のものであり、これには、バイナリマスク、レベンソン型(alternating)位相シフトマスク、ハーフトーン型(attenuated)位相シフトマスクのようなマスクタイプ、更には様々なハイブリッドマスクタイプも含まれる。プログラマブルミラーアレイの一例として、小型ミラーのマトリクス配列を使用し、ミラーは各々、入射する放射ビームを異なる方向に反射するように個々に傾斜することができる。傾斜したミラーは、ミラーマトリクスによって反射する放射ビームにパターンを付与する。
【0017】
[0016] 投影システムは、照明システムと同様に、使用する露光放射、又は真空の使用などの他の要因に合わせて適宜、例えば屈折、反射、磁気、電磁、静電型等の光学コンポーネント、又はその任意の組み合わせなどの様々なタイプの光学コンポーネントを含んでいてもよい。その他のガスは放射を吸収しすぎるため、EUV放射用には真空を使用することが望ましいことがある。したがって、真空環境は、真空壁及び真空ポンプを用いてビーム経路全体に提供してもよい。
【0018】
[0017] 本明細書に示すように、装置は反射タイプである(例えば反射マスクを使用する)。
【0019】
[0018] リソグラフィ装置は、2つ(デュアルステージ)又はそれ以上の基板テーブル(及び/又は2つ以上のマスクテーブル)を有するタイプでよい。このような「マルチステージ」機械においては、追加のテーブルを並行して使用するか、1つ以上の他のテーブルを露光に使用している間に1つ以上のテーブルで予備工程を実行することができる。
【0020】
[0019]
図1を参照すると、イルミネータILはソースコレクタモジュールSOから極端紫外線放射ビームを受ける。EUV光を生成する方法は、必ずしも限定ではないが、例えばキセノン、リチウム、又はスズのような、EUV範囲内に1つ以上の輝線を持つ少なくとも1つの元素を有する材料を、プラズマ状態に変換することを含む。しばしばレーザ生成プラズマ(「LPP」)と呼ばれる1つのそのような方法では、必要な線発光元素を有する材料の小滴、流れ、又はクラスタのような燃料を、レーザビームで照射することにより、必要なプラズマを生成できる。ソースコレクタモジュールSOは、
図1には示されていない、レーザビームを提供し燃料を励起するためのレーザを含むEUV放射システムの一部とすることができる。これによって生じるプラズマは、例えばEUV放射のような出力放射を放出し、この出力放射はソースコレクタモジュール内に配置された放射コレクタを用いて収集される。例えばCO2レーザを使用して燃料励起のためのレーザビームを提供する場合、レーザとソースコレクタモジュールは別個の構成要素である可能性がある。
【0021】
[0020] そのような場合には、レーザは、リソグラフィ装置の一部を形成しているとはみなされず、また放射ビームは、レーザからソースコレクタモジュールへ、例えば、適切な誘導ミラー及び/又はビームエキスパンダを含むビームデリバリシステムを使って送られる。その他の場合、例えば、放射源がしばしばDPP源と呼ばれる放電生成プラズマEUVジェネレータである場合においては、放射源は、ソースコレクタモジュールの一体部分であってもよい。
【0022】
[0021] イルミネータILは、放射ビームの角度強度分布を調整するためのアジャスタを備えていてもよい。通常、イルミネータの瞳面における強度分布の外側及び/又は内側半径範囲(一般にそれぞれ、σ-outer及びσ-innerと呼ばれる)を調節することができる。また、イルミネータILは、ファセットフィールド及びファセット瞳ミラーデバイスなどの他の種々のコンポーネントを備えていてもよい。イルミネータを用いて放射ビームを調節し、その断面にわたって所望の均一性と強度分布とが得られるようにしてもよい。
【0023】
[0022] 放射ビームBは、支持構造(例えばマスクテーブル)MT上に保持されているパターニングデバイス(例えばマスク)MAに入射し、パターニングデバイスによってパターン形成される。パターニングデバイス(例えばマスク)MAから反射された後、放射ビームBは投影システムPSを通過し、投影システムPSは、ビームを基板Wのターゲット部分C上に合焦させる。第2のポジショナPW及び位置センサPS2(例えば、干渉計デバイス、リニアエンコーダ、又は容量センサ)の助けにより、基板テーブルWTを、例えば様々なターゲット部分Cを放射ビームBの経路に位置決めするように正確に移動できる。同様に、第1のポジショナPM及び別の位置センサPS1を使用して、放射ビームBの経路に対してパターニングデバイス(例えばマスク)MAを正確に位置決めすることができる。パターニングデバイス(例えばマスク)MA及び基板Wは、マスクアライメントマークM1、M2及び基板アライメントマークP1、P2を使用して位置合わせすることができる。
【0024】
[0023] 図示の装置は、以下のモードのうちの少なくとも1つで使用することができる。1.ステップモードでは、支持構造(例えばマスクテーブル)MT及び基板テーブルWTは、基本的に静止状態に維持される一方、放射ビームに与えたパターン全体が1回でターゲット部分Cに投影される(すなわち単一静的露光)。次に、別のターゲット部分Cを露光できるように、基板テーブルWTがX方向及び/又はY方向に移動される。
2.スキャンモードでは、支持構造(例えばマスクテーブル)MT及び基板テーブルWTは同期的にスキャンされる一方、放射ビームに付与されるパターンがターゲット部分Cに投影される(すなわち単一動的露光)。支持構造(例えばマスクテーブル)MTに対する基板テーブルWTの速度及び方向は、投影システムPSの拡大(縮小)及び像反転特性によって求めることができる。
3.別のモードでは、支持構造(例えばマスクテーブル)MTはプログラマブルパターニングデバイスを保持して基本的に静止状態に維持され、基板テーブルWTを移動又はスキャンさせながら、放射ビームに与えられたパターンをターゲット部分Cに投影する。このモードでは、一般にパルス放射源を使用して、基板テーブルWTを移動させるごとに、又はスキャン中に連続する放射パルス間で、プログラマブルパターニングデバイスを必要に応じて更新する。この動作モードは、以上で言及したようなタイプのプログラマブルミラーアレイなどのプログラマブルパターニングデバイスを利用するマスクレスリソグラフィに容易に適用できる。
【0025】
[0024] 上述した使用モードの組み合わせ及び/又は変形、又は全く異なる使用モードも利用できる。
【0026】
[0025]
図2は、ソースコレクタモジュールSO、照明システムIL、及び投影システムPSを含む装置100をより詳細に示す。ソースコレクタモジュールSOは、真空環境がソースコレクタモジュールSOの閉鎖構造220内で維持可能なように構築及び配置される。EUV放射放出プラズマ210が、放電生成プラズマ源によって形成され得る。EUV放射は、電磁スペクトルのEUVレンジ内の放射を放出するために超高温プラズマ210が作成される、ガス又は蒸気、例えば、Xeガス、Li蒸気、又はSn蒸気によって生成され得る。超高温プラズマ210は、少なくとも部分的にイオン化されたプラズマを発生させる、例えば、放電によって作成される。放射の効率的な生成のために、部分圧力、例えば10PaのXe、Li、Sn蒸気又は任意の他の適切なガス又は蒸気が必要であり得る。一実施形態において、EUV放射を生成するために、励起スズ(Sn)のプラズマが提供される。
【0027】
[0026] 高温プラズマ210によって放出される放射は、ソースチャンバ211内の開口内又は開口後方に位置決めされた、選択ガスバリア又は汚染物質トラップ230(場合によっては、汚染物質バリア又はフォイルトラップとも呼ばれる)を介して、ソースチャンバ211からコレクタチャンバ212内に渡される。汚染物質トラップ230はチャネル構造を含み得る。汚染物質トラップ230は、ガスバリア、又は、ガスバリアとチャネル構造との組み合わせも含み得る。更に本明細書において示される汚染物質トラップ又は汚染物質バリア230は、少なくとも当分野で既知のようにチャネル構造を含む。
【0028】
[0027] コレクタチャンバ211は、いわゆるかすめ入射コレクタであってよい、放射コレクタCOを含み得る。放射コレクタCOは、アップストリーム放射コレクタ側251及びダウンストリーム放射コレクタ側252を有する。コレクタCOを横断する放射は、仮想光源点IF内に合焦するために、格子スペクトルフィルタ240に反射可能である。仮想光源点IFは一般に中間焦点と呼ばれ、ソースコレクタモジュールは、中間焦点IFが閉鎖構造220内の開口221に、又は開口221近くに位置するように、配置される。仮想光源点IFは、放射放出プラズマ210の像である。
【0029】
[0028] その後、放射は照明システムILを横断し、照明システムILは、パターニングデバイスMAにおける放射ビーム21の所望の角度分布、並びに、パターニングデバイスMAにおける放射強度の所望の均一性を提供するように配置された、ファセットフィールドミラーデバイス22及びファセット瞳ミラーデバイス24を含み得る。支持構造MTによって保持されるパターニングデバイスMAにおける放射のビーム21の反射に際して、パターン付きビーム26が形成され、パターン付きビーム26は、ウェーハステージ又は基板テーブルWTによって保持される基板W上に、反射要素28、30を介して、投影システムPSによって結像される。
【0030】
[0029] 照明光学ユニットIL及び投影システムPS内には、一般に、図に示されるより多くの要素が存在し得る。格子スペクトルフィルタ240は、任意選択として、リソグラフィ装置のタイプに依存して存在し得る。更に、図に示されるよりも多くのミラーが存在し得、例えば、投影システムPS内には、
図2に示されるよりも1~6個の追加の反射要素が存在し得る。
【0031】
[0030]
図2に示されるようなコレクタ系COは、単なるコレクタ(又はコレクタミラー)の一例として、かすめ入射リフレクタ253、254、及び255を備える入れ子型コレクタとして示される。かすめ入射リフレクタ253、254、及び255は、光軸Oの周囲に軸方向対称に配設され、好ましくは、このタイプのコレクタ系COが、しばしばDPP源と呼ばれる放電生成プラズマ源との組み合わせで使用される。
【0032】
[0031] 代替として、ソースコレクタモジュールSOは、
図3に示されるようにLPP放射システムの一部であってよい。レーザLAが、数十eVの電子温度を伴う高イオン化プラズマ210を作り出す、キセノン(Xe)、スズ(Sn)、又はリチウム(Li)などの燃料内に、レーザエネルギーを堆積するように配置される。これらのイオンの脱励起及び再結合の間に生成されるエネルギー放射は、プラズマから放出され、近法線入射コレクタ系COによって集められ、閉鎖構造220内の開口221上に合焦される。
【0033】
[0032] 上記のようなリソグラフィ装置において、様々なコンポーネントは、冷却されるか、又は高精密温度で維持されなければならない。しばしば、温度制御水は、冷却又は温度制御を実行するために、リソグラフィ装置の部分を介して循環される。リソグラフィ装置には、外部供給から流体例えば水を受け入れて流体を放出する、流体インレット及び流体アウトレットが提供される。リソグラフィ装置内部の流体、特に水の漏れは、非常に望ましくないことを理解されよう。大きな損害の可能性及び漏れを除去するためのダウンタイムに加えて、漏れは、干渉変位センサなどのセンサに影響を与え、誤った結像につながる可能性があるリソグラフィ装置内の湿度に影響を与える場合がある。
【0034】
[0033] リソグラフィ装置における漏れ検出のための従来の手法は、流体インレット及び流体アウトレットそれぞれに第1のフローセンサ及び第2のフローセンサを提供することである。漏れの存在は、第1のセンサの測定されたフロー値を第2のセンサの測定されたフロー値から減じることによって検出可能である。漏れの存在又は大きさを決定するために2つの測定値の間の差を計算するこの手法は、不正確な傾向がある。第1のセンサ及び第2のセンサが正確に較正されない場合、オフセットは差動測定に大きな誤りを与えることになる。センサ較正は、センサドリフトの補正、信号雑音除去、位相シフト補償、デジタル処理、又は他の変換を、含むことができる。したがって、コンパートメント内での漏れの存在又は大きさは、不正確に決定される。
【0035】
[0034] 本開示は、干渉パターン、例えばモアレパターンを使用して、第1のターゲットの特性と第2のターゲットの特性との間の差を測定するための装置及び方法を提供する。モアレパターンは、小さなオフセットで重ね合わされる同様のパターンによって生成される干渉パターンである。特に本開示は、モアレパターンの生成を観察することによって、リソグラフィ装置のコンパートメント内の漏れフローを測定するための、装置及び方法を提供する。
【0036】
[0035] 本開示は、第1のターゲットの特性と第2のターゲットの特性との間の差を直接測定することを対象とする。第1のターゲットの特性と第2のターゲットの特性の間の差を、直接測定することが望ましい。特に、第1のフローセンサによるインフロー測定値を、第2のフローセンサによるアウトフロー測定値から減じることなしに、コンパートメント内の漏れフローを測定することが望ましい場合がある。
【0037】
[0036]
図4及び
図5は、本発明において用いられるような、回転によってモアレパターンを生成する原理を示す。
【0038】
[0037]
図4は、単一のパターン400を示す。パターン400は軸403に関して角度変動を有する。パターンは2つのコンポーネントを有し得る。
図4において、パターンは第1のコンポーネント401及び第2のコンポーネント402を有する。望ましくは、パターンは、軸403の周りに交互に規則的に配置された、複数の第1のコンポーネント401及び複数の第2のコンポーネントを備える。
【0039】
[0038]
図4において、第1のコンポーネント401は黒で示され、第2のコンポーネント402は白で示されている。実際には、第1のコンポーネント401及び第2のコンポーネント402は、光学特性又は他の特性における任意の差によって区別される。例えば、第1のコンポーネント401は第2のコンポーネント402よりも低い透過率を有し得る。代替として、第1のコンポーネント401は第2のコンポーネント402よりも低い反射性を有し得る。本開示の他の構成は、第1と第2のコンポーネントを、異なる屈折率、異なる数のライン/スポークを伴う同心円パターンという、特性のうちのいずれかで区別し得る。
【0040】
[0039] パターン400はスポーク車輪の外観を有するが、本発明では任意の他の角度変動パターンを使用することができる。パターン400は回転対称を有し得る。パターン400にとっては、製造するのに実用的な数だけの回転対称の軸を有することが好ましい場合がある。より詳細に説明するように、パターン400にとっては、特定数の回転対称の軸を有することが好ましい場合がある。その逆に、パターンは回転対称の軸を有さない場合がある。
【0041】
[0040]
図4には示されていないが、パターン400は第3又はそれ以上のコンポーネントを有し得る。これらの追加のコンポーネントは、第1のコンポーネント及び第2のコンポーネントに対して異なる光学特性又は他の特性を有することによって区別される。
【0042】
[0041] 第1のコンポーネント及び第2のコンポーネントは
図4において、本来二値、すなわち、「黒」又は「白」のいずれかであると示されているが、本開示の原理は、非二値のパターン配置を除外するものではないことを理解されよう。パターン400は、勾配、又は他の中間コンポーネントを備え得る。
【0043】
[0042] 軸403は、好ましくはパターン400の図心に配設され得る。
図4の実施形態において、パターンは円形であり、軸403は円の中心に配設される。軸403はパターン400の図心にあることが好ましい可能性があるが、非図心軸は可能であり、本開示の原理の下で依然として機能可能である。
【0044】
[0043]
図5は、本開示に従ってモアレパターンがどのように生成可能であるかを概略的に示す。
図5において、及び本開示において概して、パターン間のオフセットは回転によって生成される。
【0045】
[0044] 概略
図510、520、及び530は、パターン400の2つの重ね合わせコピーによって生成される干渉パターンを示し、2つのコピーはパターン400A及びパターン400Bと呼ばれる。これらの概略図において、パターン400Bは、パターン400Aに関して時計回りに回転される。例示の目的で、パターン400A及び400Bの両方の第1のコンポーネント401は不透明であり、パターン400A及び400Bの両方の第2のコンポーネント402は透明である。
【0046】
[0045] 前述において、「モアレパターン」という用語は、パターン400A及びパターン400Bを重ね合わせることによって生成されるこの干渉パターンを指す。パターン400A及びパターン400Bから生じるモアレパターンは、パターン400Bの第1のコンポーネント401B及びパターン400Bの第2のコンポーネント402Bとの、パターン400Aの第1のコンポーネント401A及びパターン400Aの第2のコンポーネント402Aの相対的な配置に依存する。
【0047】
[0046] 結果として生じるモアレパターンは、二値論理を用いて推測可能である。パターン400Aは第1の入力と見なすことができ、パターン400Bは第2の入力と見なすことができる。パターン400A及び400Bの両方の第1のコンポーネント401は[1]入力と見なすことができ、パターン400A及び400Bの両方の第2のコンポーネント402は[0]入力と見なすことができる。したがって、結果として生じるモアレパターンは二値論理における「400A OR 400B」演算と見なすことができ、2次元パターン全体にわたって適用される。
【0048】
[0047] パターン400Aの第1のコンポーネント401Aが、パターン400Bの第1のコンポーネント401Bと重なる場合、モアレパターンのこのコンポーネントは、第1のコンポーネント401の外観を有する(図内では、不透明/黒である)。パターン400Aの第1のコンポーネント401Aが、パターン400Bの第2のコンポーネント402Bと重なる場合、モアレパターンのこのコンポーネントも、第1のコンポーネント401の外観を有する(図内では、不透明/黒である)。パターン400Aの第2のコンポーネント402Aが、パターン400Bの第1のコンポーネント401Bと重なる場合、モアレパターンのこのコンポーネントも、第1のコンポーネント401の外観を有する(図内では、不透明/黒である)。しかしながら、パターン400Aの第2のコンポーネント402Aが、パターン400Bの第2のコンポーネント402Bと重なる場合、モアレパターンのこのコンポーネントは、第2のコンポーネント402の外観を有する(図内では、透明/白である)。
【0049】
[0048] 概略
図510において、2つのパターン400A及び400Bは互いに同一の軸403と重ね合わされ、回転対称の共通軸によって位置合わせされる。結果として生じる干渉パターンは、パターン400A又は400Bのうちのいずれか1つの外観を有する。言い換えれば、干渉パターンは見当たらない。
【0050】
[0049] 概略
図520において、パターン400Aが静止したままである間に、パターン400Bは共有軸403の周りを時計回りに回転している。パターン400Aの第1のコンポーネント401Aがパターン400Bの第1のコンポーネント401Bと重なる、又は、パターン400Aの第1のコンポーネント401Aがパターン400Bの第2のコンポーネント402Bと重なる、又は、パターン400Aの第2のコンポーネント402Aがパターン400Bの第1のコンポーネント401Bと重なる領域において、2つのパターンの間に「OR」二値論理演算を適用すると、モアレパターンの対応する領域は黒、又は不透明である。その逆に、パターン400Aの第2のコンポーネント402Aがパターン400Bの第2のコンポーネント402Bと重なる場合、モアレパターンの対応する領域は白、又は透明である。概略
図520の例において、このモアレパターンは、パターン上の不透明/黒のスポークが、パターン400及びモアレパターン510に比べて厚くなった外観を与える。
【0051】
[0050] 概略
図530は、パターン400Aに関してパターン400Bの更なる時計回りの回転を示す。この概略図において、2つのパターンは、それらの回転対称の軸に関して完全に「位相外れ」である。パターン400Aと400Bとの間のこの相対的な回転量において、モアレパターン全体における可能な限り高い割合の第1のコンポーネント401(図内では、不透明/黒)が存在する。言い換えれば、モアレパターン全体が、可能な限り「暗い」又は「不透明」である。
【0052】
[0051] 結果として生じるモアレパターン510、520、及び530は、異なる割合の第1のコンポーネント401及び第2のコンポーネント402を有し、図内の第1のコンポーネントは黒/不透明であり、図内の第2のコンポーネントは透明/白である。
【0053】
[0052] 本装置及び方法は、下記で詳細に説明するように、これらの異なるモアレパターンの現象を使用して2つのターゲット間の特性差を測定する。
【0054】
[0053]
図5において、曲線550は、パターン400A及び400Bが互いに関して回転する際に、モアレパターン上で第2のコンポーネント402の割合がどのように変動するかを示す。縦軸「I」は、モアレパターンにおける第2のコンポーネント402の全領域を示す。軸「I」は、第2のコンポーネント402が透明である場合に、モアレパターンを通過できる光の量を示すものと見なすこともできる。横軸「α」は、パターン400Aに対するパターン400Bの回転角度を示す。曲線550は、その上のモアレパターン510、520、及び530に対応する。
【0055】
[0054] 実際には、第1のコンポーネント401及び第2のコンポーネント402は、光学特性又は他の特性における何らかの差によって区別される。したがって、「値I」は一般に、モアレパターンの透過率と見なすことができ、第2のコンポーネント402は第1のコンポーネント401よりも高い透過率を有する。
【0056】
[0055]
図5の概略
図510において、及び曲線550内の対応する点によって示されるように、パターン400A及び400Bが角回転において差がないとき、Iの値は最高である。言い換えれば、回転対称のそれらの点は対応し、干渉パターンは見当たらない。
【0057】
[0056]
図5の概略
図520において、及び曲線550内の対応する点によって示されるように、パターン400A及び400Bが角回転においてわずかな差を有するとき、Iの値は中間である。言い換えれば、回転対称のそれらの点はわずかに位相外れであり、干渉パターンが見られる。
【0058】
[0057]
図5の概略
図530において、及び曲線550内の対応する点によって示されるように、パターン400A及び400Bが回転対称のそれらの点に関して完全に位相外れであるとき、Iの値は最低である。
【0059】
[0058] 値Iにおけるこの変動は、モアレパターンの全領域が観察されないときであっても、相対的回転に関して発生可能である。Iにおける変動は、全パターン領域の小さな部分のみが観察されたときに観察され得る。前述のように、Iにおける変動は、パターン全体にわたるこの特性を指すか、又はパターンのより小さな領域にわたるこの特性を指すことができる。
【0060】
[0059]
図6は、
図5と同様に、パターンの相対的回転に起因して生成されるモアレパターンの一部を示す。パターン400は、観察領域600と共に示される。観察領域600は、パターン400におけるいくつかのスポークの端部のみを包含している。
【0061】
[0060] 部分
図610、620、及び630は、概略
図510、520、及び530の観察領域600を示す。部分
図610、620、及び630は、パターン全体が観察されていない間の、第1の不透明/黒のコンポーネント401と第2の透明/白のコンポーネント402との間の比率における変化を示す。したがって、上記において、第1の不透明/黒のコンポーネント401と第2の透明/白のコンポーネント402との間の比率における変化、又は、Iの値における変化は、モアレパターン全体にわたって生じるのみならず、モアレパターンの小さな部分においても独立して生じることを理解されたい。
【0062】
[0061] 概略
図530及び630は、パターン400A及び400Bが完全に位相外れであるときに生じるモアレパターンを表現している。パターン400Bが、概略
図530及び630における位置から更に時計回りに回転された場合、520及び620と同様のモアレパターンが生じることになる。パターン400Bが更にまた時計回りに回転された場合、400A及び400Bの回転対称の点は、510及び610のように、何らかの点において再度位置合わせされることになる。
【0063】
[0062] したがって、パターン400Aに関してパターン400Bを一定の角速度で回転させることで、Iの値における周期的変動を生み出す。Iの値におけるピークは、パターン400A及び400Bの回転対称の点が位置合わせされる場所に対応する。Iの値における底値は、パターン400A及び400Bの回転対称の軸が完全に位相外れである場所に対応する。
【0064】
[0063]
図7は、パターン400Aと400Bとの間の2つの異なる相対的な角速度についての、Iの値における周期的変動を示す。縦軸はIの値を示し、横軸は時間を示す。曲線710及び720はIの値の経時的な変動を示す。
【0065】
[0064] 第1の角速度ω1は、第2の角速度ω2よりも低い。曲線710は、400Bが角速度ω1で回転するときのIの時間依存変動を示す。曲線720は、400Bが角速度ω2で回転するときのIの時間依存変動を示す。曲線710は、曲線720よりも低い周波数を有する。周期T1は周期T2よりも大きい。
【0066】
[0065] したがって、パターン400Aが静止したままであり、パターン400Bがパターン400Aに対して回転された場合、パターン400Bの角回転速度ωはIの値における発振周波数から推測可能である。Iの値における発振周波数が高いほど、角回転速度ωは高いことを示す。
【0067】
[0066] 上記は、第1のパターン400Aが静止したままである例のみを考察しているが、パターン400A及び400Bの絶対回転はモアレパターンに影響を与えないことを理解されよう。例えば、パターン400A及び400Bが同じ方向に同じ速度で回転した場合、干渉パターンは出現せず、Iの値に相違は存在しない。
【0068】
[0067] 言い換えれば、
図5及び
図6に示されるモアレパターンは、パターン400Aと400Bとの間の相対的角度変位に起因してのみ出現する。したがって、値Iにおける変動周波数は、400A及び400Bの相対的角速度にのみ依存する。
【0069】
[0068] このため、本開示のモアレパターンは差動測定を行う際に特に適している。本発明において、角度変動を有するパターンを含む第1の部材の回転速度は、第1のターゲットの特性に基づき、角度変動を有するパターンを含む第2の部材の回転速度は、第2のターゲットの特性に基づく。第1及び第2の部材上のパターンが重ね合わされて、モアレパターンを生成する。
【0070】
[0069] したがって、第1のターゲットの特性と第2のターゲットの特性との間の差のみが、モアレパターンを生じさせる重ね合わされたパターンにおける変化を生成する。第1のターゲットの特性及び第2のターゲットの特性が同じである場合、モアレパターンにおける変化は検出されない。
【0071】
[0070] モアレパターンにおけるいずれの変化も、ターゲットの特性の大きさではなく、ターゲットの特性間の差の大きさに依存することに留意することが有用である。これが、より高い精度を生じさせる。本質的に、第1のターゲットの特性と第2のターゲットの特性との間の「共通モード信号」は除外される。
【0072】
[0071]
図8は、リソグラフィ装置内の漏れを検出するための装置に適用される上記の原理の実施例を示す。第1のフローロータ802Aが、流体循環システムのチャネル内の第1の地点、例えばインレットに結合され、第1の地点における流量に従って回転するように構成される。望ましくは、第1のフローロータ802Aは、第1の地点における流体の質量流量に比例する速度で回転するように構成される。第2のフローロータ802Bが、流体循環システムのチャネル内の第2の地点、例えばアウトレットに結合され、第2の地点における流量に従って回転するように構成される。望ましくは、第2のフローロータ802Bは、第2の地点における流体の質量流量に比例する速度で回転するように構成される。望ましくは、ロータ802A、802Bの各々の回転速度と、チャネル内のそれぞれの地点におけるフローとの間の関係は同じである。
【0073】
[0072] フローロータはインレット及びアウトレットに配設する必要はないが、流体循環システム内のいずれかの都合の良い場所に配設可能であることを理解されよう。漏れの場所を特定できるように、フローロータの複数のペアを流体循環システム内に配設することができる。
【0074】
[0073] フローロータ802A、802Bの各々が、第1及び第2の透明ディスク801A、801Bのそれぞれ1つに結合される。透明ディスク801A、801Bは、回転部材の例である。第1のパターン400Aは第1の透明ディスク801A上に提供され、第2のパターン400Bは第2の透明ディスク801B上に提供される。光源803(例えば、レーザ、LED、又はレーザダイオード)は第1のビーム810を透明ディスクに向けて放出し、光は第1のパターンによって変調され、第2のビーム820において第2の透明ディスク801Bへと伝搬する。光は、第2のパターン400Bによって更に変調され、第3のビーム830としてディテクタ804へと伝搬する。第1及び第2のパターン400A、400Bによる光の変調の組み合わせは、第1及び第2の透明ディスク801A、801Bの相対的角度位置によって定義されるモアレパターンを表すか、又は符号化する。
【0075】
[0074] 光源803は、フォーカス、コリメート、誘導、又は他のビーム形成コンポーネントを含み得る。ディテクタ804は、集光要素及び迷光を排除するためのフィルタを含み得る。
【0076】
[0075] 動作中、ディテクタ804によって測定される強度信号は、時間と共に変動する。時間変動は、第1のパターン400Aの角度周波数及び第2の透明ディスク801Aの回転速度によって決定される、第1の信号成分と、第2のパターン400Bの角度周波数及び第2の透明ディスク801Bの回転速度によって決定される、第2の信号成分との、2つの信号成分を含む。流体循環システム内のいずれの漏れもシステムを介する流量に比べて少ないため、第1と第2の信号成分間の周波数差は小さく、これらの成分の合計は、基本信号及びビート信号の組み合わせである信号を提供することになる。ビート信号はモアレパターンを表し、周波数分析器、ローパスフィルタ、又は高速フーリエ変換(FFT)などの、様々な手段によって検出可能である。
【0077】
[0076]
図8は本発明の非常にシンプルな実施形態を示し、これに対する多くの変形が可能であることを理解されよう。
【0078】
[0077] 例えば、フローロータと透明ディスクとの間には、透明ディスクの回転速度を上げるために歯車装置が提供可能である。こうした歯車装置は、基本信号及びビート信号の周波数を増加させ、それらの分離をより容易にすること、並びに、ビート信号及びしたがって漏れ率の測定精度を増加させることができる。
【0079】
[0078] 2つのフローロータ及びディスクの組み合わせは同一であるが、何らかの理由で、システムの一方の半分の1つのパラメータにおいて変更が必要な場合、システムの同じか又は他方の半分の別のパラメータにおいて補償変更が実行可能であることが、精度のために望ましい。例えば、空間を考慮することが、ロータのうちの1つをより小さくし、質量流量に対して異なる比例定数で回転させなければならないことを必要とする場合があり、この場合、補償歯車装置をシステムの他方の半分に導入することが可能であるか、又は、パターンが異なる角度周波数を有することが可能である。
【0080】
[0079] ディスク801A、801Bを介して光源803からディテクタ804にビーム経路を直接提供することが好都合でない場合、必要に応じてビームを伝導するために光学システムを提供することが可能である。光学システムは、光ファイバ、レンズ及びミラーなどの自由空間光学系、又はそれらの任意の組み合わせを備え得る。光ファイバは、流体循環システム内の2つの地点が遠く離れている場合、特に有利であり得る。
【0081】
[0080] 光ビームは、2つの透明ディスクを介して複数回伝導可能である。こうした配置は、パターンが低コントラストを有する場合、強度信号における変動を増加させる際に有利であり得る。
【0082】
[0081] ビーム及びパターンコンポーネントの断面の相対的サイズは、様々な異なる効果に対して選択可能である。ビームがパターンコンポーネントに対して小さい場合、基本信号は大きな振幅を有することになる。これは、雑音除去のため、又は、差動流量に加えて絶対流量測定を取得できるようにするために、有用な可能性がある。ビームがパターンコンポーネントに比べて大きい場合、基本信号の振幅は減少し、無視できるほど小さくすることができる。これにより、モアレパターンを表すビート信号を基本信号から電子的に分離する必要性を回避することができる。
【0083】
[0082] 一実施形態において、パターン400A、400Bは各々、2つの対応する同心環状領域に分割される。第1の環状領域内の2つのコンポーネント401、402の角度周波数は、第2の環状領域内の2つのコンポーネントの角度周波数とは異なる。望ましくは、2つの環状領域の角度周波数は相互に最も重要である。光ビームは、例えば、両方の環状領域が重なるほど十分大きくすることによって、両方の環状領域を通過するように配置される。代替として、1つが各環状領域を通過する、2つの光ビームが使用可能である。2つの光ビームは1つのセンサに誘導可能であるか、又は、出力が電子的に組み合わされる別々のセンサを有することができる。この配置は、2つの透明ディスクが一定オフセットを展開し、それによって、それらのパターンが確実に位相外れとなる場合、光はディテクタ804に到達せず、信号獲得を困難にする可能性があり、結果として、低信号対雑音比が生じ、ディテクタ内の暗騒音が誤検出につながる可能性があるという問題に対処可能である。この配置において、2つの環状領域内のパターンは異なる角度周波数を有するため、両方の環状領域が完全に不透明な2つのディスクの相対的位置は存在しない。
【0084】
[0083]
図9A及び
図9Bに示される別の実施形態において、ディスクはドラム901A、901Bに置き換えられ、放射パターンは、暗帯411及び明帯412を備えるパターン410A、410Bに置き換えられる。ドラム901A、901Bは回転部材の例である。本実施形態の他の部分は、
図8の実施形態の部分と同じであり、同様の参照番号を有する。
【0085】
[0084] 暗帯411及び明帯412は、それぞれのドラムの軸に平行であるか、又は、らせんを形成するような角度であることが可能である。領域401、402と同様に、暗帯及び明帯の衝撃係数は望ましくは50%であるが、他の値も可能である。
【0086】
[0085] ドラム901A、901Bを用いる様々な異なる構成が可能である。図示された構成では、両方のドラムの明帯は透明であり、ドラム901Bはドラム901A内部に、例えば同心円状に位置する。光源803はドラム901Bの外側にあり、ディテクタ804はドラム901Bの内側にあるため、光は両方のドラムを通過することになる。別の構成において、ドラム901Bの明帯は反射性であり、ディテクタ804はドラム901Aの外側、例えば光源803の近接にある。別の構成において、ドラム901A及び901Bは入れ子型ではなく間隔を置いて配置され、両方のドラム上の明帯は反射性である。光源は、両方のドラムに反射してディテクタに到達するように、ドラム上に光を誘導するように配置される。ドラムは円筒形である必要はなく、例えば円錐型ドラムはいくつかの構成において好都合であり得、また、両方のドラムは同じ形状を有する必要もない。他の構成も可能である。
【0087】
[0086] パターンの「明領域」又は「明帯」は、光がディテクタに到達できるようにするものであり、「暗領域」又は「暗帯」は、ディテクタに到達する光を防ぐか又は減少させるものであることを理解されよう。システムの構成、及び、パターンが与えられる部材の性質に依存して、明領域は透過性又は反射性であり得る。同様に、暗領域は透過性、反射性、又は吸収性であり得る。
【0088】
[0087]
図8に関して説明された変形は、様々な様式で互いに組み合わせ可能であり、
図9A及び
図9Bの配置にも適用可能であることも理解されよう。
【0089】
[0088] 前述のように、漏れ検出の場合、フローロータは質量流量を測定することが望ましい。体積流量を測定するフローロータを使用することも可能である。その場合、第1の地点における流体と第2の地点における流体との間に大きな温度差が存在し、また、流体が無視できないほどの熱膨張係数を有する場合、2つの地点で流体の温度を測定し、フロー差によって測定された明らかな漏れに補正を適用することが可能である。
【0090】
[0089] 漏れの検出に加えて、本発明は、2つのフロー間の意図的な差を測定するために使用できることを理解されよう。例えば、分岐内のフローを直接測定することが困難なメインフローからの小さな分岐における流量を知ることは、有用であり得る。本発明を使用して、分岐の前後でメインチャネル内のフローにおける差を測定し、それによって分岐内のフローを推測することができる。
【0091】
[0090] 本発明を流体の流量の測定に関して説明してきたが、本発明の原理は、回転運動に変換可能な任意の他の特性の測定に適用可能であることを理解されよう。
【0092】
[0091] 本発明の実施形態は、EUV放射を採用するリソグラフィ装置との関連において説明してきた。本発明は、DUVリソグラフィ装置、eビームリソグラフィ装置、又は、インプリントリソグラフィ装置などの、他のタイプのリソグラフィ装置、並びに、アセスメントツール(例えば、メトロロジツール、検査ツール、及び走査型電子顕微鏡)などの、半導体製造において使用される他のツールにも適用可能であることを理解されよう。リソグラフィ装置及びこれらの他のツールは、集合的にリソグラフィツールと呼ばれ得、流体、例えば水が、例えば温度制御のためにツールを介して循環され、かなりコストのかかる損害及びダウンタイムにつながり得る、共通の特徴を有し得る。
【0093】
[0092] 本文ではICの製造におけるリソグラフィ装置の使用に特に言及しているが、本明細書で説明するリソグラフィ装置には他の用途もあることを理解されたい。例えば、これは、集積光学システム、磁気ドメインメモリ用ガイダンス及び検出パターン、フラットパネルディスプレイ、液晶ディスプレイ(LCD)、薄膜磁気ヘッドなどの製造である。こうした代替的な用途に照らして、本明細書で「ウェーハ」又は「ダイ」という用語を使用している場合、それぞれ「基板」又は「ターゲット部分」という、より一般的な用語と同義と見なしてよいことが当業者には認識される。本明細書に述べている基板は、露光前又は露光後に、例えばトラック(通常はレジストの層を基板に塗布し、露光したレジストを現像するツール)、メトロロジツール及び/又はインスペクションツールで処理することができる。適宜、本明細書の開示は、以上及びその他の基板プロセスツールに適用することができる。更に基板は、例えば多層ICを生成するために、複数回処理することができ、したがって本明細書で使用する基板という用語は、既に複数の処理済み層を含む基板も指すことができる。
【0094】
[0093] 以上、本発明の特定の実施形態を説明したが、説明とは異なる方法でも本発明を実践できることは理解されよう。
【0095】
[0094] 上記の説明は例示的であり、限定的ではない。したがって、請求の範囲から逸脱することなく、記載されたような本発明を変更できることが当業者には明白である。