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特許7402424駆動伝達部材、駆動伝達装置及び画像形成装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-13
(45)【発行日】2023-12-21
(54)【発明の名称】駆動伝達部材、駆動伝達装置及び画像形成装置
(51)【国際特許分類】
   F16H 55/06 20060101AFI20231214BHJP
   G03G 21/16 20060101ALI20231214BHJP
   G03G 15/00 20060101ALI20231214BHJP
   G03G 15/08 20060101ALI20231214BHJP
   F16H 1/20 20060101ALI20231214BHJP
【FI】
F16H55/06
G03G21/16 147
G03G15/00 651
G03G15/08 390A
F16H1/20
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2019168201
(22)【出願日】2019-09-17
(65)【公開番号】P2021046870
(43)【公開日】2021-03-25
【審査請求日】2022-07-21
(73)【特許権者】
【識別番号】000006747
【氏名又は名称】株式会社リコー
(74)【代理人】
【識別番号】100098626
【弁理士】
【氏名又は名称】黒田 壽
(72)【発明者】
【氏名】清水 真也
【審査官】鷲巣 直哉
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-196898(JP,A)
【文献】独国特許出願公開第102014101995(DE,A1)
【文献】米国特許出願公開第2011/0308340(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16H 55/06
G03G 21/16
G03G 15/00
G03G 15/08
F16H 1/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
軸が挿入される軸挿入孔を有する軸支持部と、
内周面の内歯部を有し、外周面に外歯部を有する筒状部と、
前記軸支持部と前記筒状部とを連結する連結部とを備えた駆動伝達部材において、
前記外歯部を、摺動性樹脂材で構成し、
前記内歯部を、前記摺動性樹脂材よりも曲げ弾性率が高い樹脂材で構成したことを特徴とする駆動伝達部材。
【請求項2】
請求項1に記載の駆動伝達部材において、
前記内歯部の少なくとも歯面が、前記曲げ弾性率が高い樹脂材で構成されていることを特徴とする駆動伝達部材。
【請求項3】
請求項1または2に記載の駆動伝達部材において、
前記連結部の少なくとも一部と前記内歯部とが、前記曲げ弾性率が高い樹脂材で構成されていることを特徴とする駆動伝達部材。
【請求項4】
請求項3に記載の駆動伝達部材において、
前記軸支持部の少なくとも一部と前記連結部の少なくとも一部と前記内歯部とが、前記曲げ弾性率が高い樹脂材で構成されていることを特徴とする駆動伝達部材
【請求項5】
動伝達部材を備えた駆動伝達装置において、
前記駆動伝達部材として、請求項1乃至4いずれか一項に記載の駆動伝達部材を用いたことを特徴とする駆動伝達装置。
【請求項6】
回転体と、
前記回転体に駆動源の駆動力を伝達する駆動伝達装置とを備えた画像形成装置において、
前記駆動伝達装置として、請求項5に記載の駆動伝達装置を用いたことを特徴とする画像形成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、駆動伝達部材、駆動伝達装置及び画像形成装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、軸が挿入される軸挿入孔を有する軸支持部と、内周面に内歯部を有し、外周面に外歯部を有する筒状部と、軸支持部と筒状部とを連結する連結部とを備えた駆動伝達部材が知られている。
【0003】
特許文献1には、上記駆動伝達部材として、樹脂材で形成され、内歯部にモータギヤが噛み合い、外歯部に複数の出力ギヤが噛み合うものが記載されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、耐久性と静音性との両立に課題があった。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上述した課題を解決するために、本発明は、軸が挿入される軸挿入孔を有する軸支持部と、内周面に内歯部を有し、外周面に外歯部を有する筒状部と、前記軸支持部と前記筒状部とを連結する連結部とを備えた駆動伝達部材において、前記外歯部を、摺動性樹脂材で構成し、前記内歯部を、前記摺動性樹脂材よりも曲げ弾性率が高い樹脂材で構成したことを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、耐久性と静音性の両立を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】本実施形態に係るプリンタの概略構成図。
図2】四つのプロセスユニットのうちの一つの拡大説明図。
図3】Y,M,C色の感光体と、現像ローラとを駆動するカラー駆動装置の上面図。
図4】カラー駆動装置の斜視図。
図5】感光体ギヤ列と、現像駆動ギヤ列と示す斜視図。
図6図3のA-A断面図。
図7図4のB-B断面図。
図8】後側板と、ユニット側現像ギヤ列と、現像ローラと、感光体とを示す斜視図。
図9】カラー用のプロセスユニットを、装置に位置決めした様子を示す概略図。
図10】現像内歯外歯一体ギヤ付近の概略構成図。
図11】従来の現像内歯外歯一体ギヤについて説明する図。
図12】本実施形態の現像内歯外歯一体ギヤの一例を示す概略図。
図13】現像内歯外歯一体ギヤの変形例1を示す図。
図14】現像内歯外歯一体ギヤの変形例2を示す図。
図15】現像内歯外歯一体ギヤの変形例3を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本発明を適用した画像形成装置として、電子写真方式のプリンタ(以下、単に「プリンタ100」という。)の一実施形態について説明する。まず、本実施形態に係るプリンタ100の基本的な構成について説明する。
図1は、本実施形態に係るプリンタ100の概略構成図である。プリンタ100は、ブラック、シアン、マゼンタ、イエロー(以下、K、C、M、Yと記す)のトナー像を形成するための四つのプロセスユニット26K,26C,26M,26Yを備えている。これらは、画像形成物質として、互いに異なる色のK,C,M,Yトナーを用いるが、それ以外は同様の構成になっており、寿命到達時に交換される。
【0009】
図2は、四つのプロセスユニット26K,26C,26M,26Yのうちの一つの拡大説明図である。四つのプロセスユニット26K,26C,26M,26Yは使用するトナーの色が異なる点以外は同様であるため、図3では使用するトナーの色を示す添え字(K,C,M,Y)は省略している。図3に示すように、プロセスユニット26は、潜像担持体としてのドラム状の感光体24、感光体クリーニング装置83、除電装置及び帯電装置25を保持する感光体ユニット10と、現像ユニット23とを備えている。画像形成ユニットとしてのプロセスユニット26は、プリンタ100本体に脱着可能であり、一度に消耗部品を交換できるようになっている。
【0010】
帯電装置25は、駆動手段によって図中時計回りに回転駆動される感光体24の表面を一様帯電する。一様帯電された感光体24の表面は、光書込ユニット27が照射するレーザー光Lによって露光走査されて各色用の静電潜像を担持する。この静電潜像は、トナーを用いる現像ユニット23によってトナー像に現像される。そして、中間転写ベルト22上に一次転写される。
【0011】
感光体クリーニング装置83は、一次転写工程を経た後の感光体24の表面に付着している転写残トナーを除去する。また、除電装置は、クリーニング後の感光体24の残留電荷を除電する。この除電により、感光体24の表面が初期化されて次の画像形成に備えられる。
【0012】
現像ユニット23は、現像剤としてのトナーを収容する縦長のホッパ部86と、現像部87とを有している。現像剤収容部としてのホッパ部86内には、駆動手段によって回転駆動されるアジテータ88、これの鉛直方向下方で駆動手段によって回転駆動される現像剤供給部材としてのトナー供給ローラ80などが配設されている。ホッパ部86内のトナーは、アジテータ88の回転駆動によって撹拌されながら、自重によってトナー供給ローラ80に向けて移動する。トナー供給ローラ80は、金属製の芯金と、これの表面に被覆された発泡樹脂等からなるローラ部とを有しており、ホッパ部86内下側に溜まったトナーをローラ部の表面に付着させながら回転する。
【0013】
現像ユニット23の現像部87内には、感光体24やトナー供給ローラ80に当接しながら回転する現像ローラ81や、これの表面に先端を当接させる薄層化ブレード82などが配設されている。ホッパ部86内のトナー供給ローラ80に付着したトナーは、現像ローラ81とトナー供給ローラ80との当接部で現像ローラ81の表面に供給される。供給されたトナーは、現像ローラ81の回転に伴って現像ローラ81と薄層化ブレード82との当接位置を通過する際に、現像ローラ81表面上での層厚が規制される。そして、層厚規制後のトナーは、現像ローラ81と感光体24との当接部である現像領域において、感光体24表面上の静電潜像に付着する。この付着により、静電潜像がトナー像に現像される。
【0014】
このようなトナー像の形成が、各プロセスユニット26K,26C,26M,26Yで行われ、各色のトナー像が各プロセスユニット26K,26C,26M,26Yのそれぞれの感光体24上に形成される。
【0015】
図1に示すように、四つのプロセスユニット26K,26C,26M,26Yの鉛直方向上方には、光書込ユニット27が配設されている。潜像書込装置としての光書込ユニット27は、画像情報に基づいてレーザーダイオードから発したレーザー光Lにより、四つのプロセスユニット26K,26C,26M,26Yにおけるそれぞれの感光体24を光走査する。この光走査により、感光体24上に各色用の静電潜像が形成される。かかる構成においては、光書込ユニット27と、四つのプロセスユニット26K,26C,26M,26Yとにより、四つの感光体24のそれぞれ互いに異なる色の可視像としてのK,C,M,Yトナー像を作像する作像手段として機能している。
【0016】
光書込ユニット27は、ポリゴンモータによって回転駆動したポリゴンミラーによって光源から発したレーザー光Lを主走査方向に偏光しながら、複数の光学レンズやミラーを介して感光体24に照射するものである。光書込ユニット27としては、LEDアレイの複数のLEDから発したLED光によって光書込を行うものを採用してもよい。
【0017】
四つのプロセスユニット26K,26C,26M,26Yの鉛直方向下方には、無端状の中間転写ベルト22を張架しながら図中反時計回り方向に無端移動させるベルト装置としての転写ユニット75が配設されている。転写ユニット75は、中間転写ベルト22の他に、駆動ローラ76、テンションローラ20、四つの一次転写ローラ74K,74C,74M,74Y、二次転写ローラ21、ベルトクリーニング装置71、クリーニングバックアップローラ72などを備えている。
【0018】
ベルト部材であり、転写ベルトである中間転写ベルト22は、そのループ内側に配設された駆動ローラ76、テンションローラ20、クリーニングバックアップローラ72及び四つの一次転写ローラ74K,74C,74M,74Yによって張架されている。そして、駆動手段によって図中反時計回り方向に回転駆動される駆動ローラ76の回転力により、同方向に無端移動される。
【0019】
四つの一次転写ローラ74K,74C,74M,74Yは、このように無端移動される中間転写ベルト22を感光体24K,24C,24M,24Yとの間に挟み込んでいる。この挟み込みにより、中間転写ベルト22のおもて面と、感光体24K,24C,24M,24Yとが当接するK,C,M,Y用の四箇所の一次転写ニップが形成されている。
【0020】
一次転写ローラ74K,74C,74M,74Yには、転写バイアス電源によってそれぞれ一次転写バイアスが印加されている。これにより、感光体24K,24C,24M,24Yの静電潜像と、一次転写ローラ74K,74C,74M,74Yとの間に転写電界が形成される。なお、一次転写ローラ74に代えて、転写チャージャーや転写ブラシなどを採用してもよい。
【0021】
プロセスユニット26Yの感光体24Y表面に形成されたY色トナー像は、感光体24Yの回転に伴って上述のY用の一次転写ニップに進入する。Y用の一次転写ニップでは、転写電界やニップ圧の作用により、Y色トナー像は、感光体24Y上から中間転写ベルト22上に一次転写される。このようにしてY色トナー像が一次転写された中間転写ベルト22は、その無端移動に伴ってM,C,K用の一次転写ニップを通過する際に、感光体24M,24C,24K上のM,C,K色トナー像が、Y色トナー像上に順次重ね合わせて一次転写される。この重ね合わせの一次転写により、中間転写ベルト22上には四色トナー像が形成される。
【0022】
転写ユニット75の二次転写ローラ21は、中間転写ベルト22のループ外側に配設されて、ループ内側のテンションローラ20との間に中間転写ベルト22を挟み込んでいる。この挟み込みにより、中間転写ベルト22のおもて面と、二次転写ローラ21とが当接する二次転写ニップが形成されている。二次転写ローラ21には、転写バイアス電源によって二次転写バイアスが印加される。この印加により、二次転写ローラ21と、アース接続されているテンションローラ20との間には、二次転写電界が形成される。
【0023】
転写ユニット75の鉛直方向下方には、記録紙を複数枚重ねた紙束の状態で収容している給紙カセット41がプリンタ100の筐体に対してスライド着脱可能に配設されている。この給紙カセット41は、紙束の一番上の記録紙に給紙ローラ42を当接させており、これを所定のタイミングで図中反時計回り方向に回転させることで、その記録紙を給紙路に向けて送り出す。
【0024】
給紙路の末端付近には、二つのレジストローラから構成されるレジストローラ対43が配設されている。このレジストローラ対43は、給紙カセット41から送り出された記録部材としての記録紙をローラ間に挟み込むとすぐに両ローラの回転を停止させる。そして、挟み込んだ記録紙を上述の二次転写ニップ内で中間転写ベルト22上の四色トナー像に同期させ得るタイミングで回転駆動を再開して、記録紙を二次転写ニップに向けて送り出す。
【0025】
二次転写ニップで記録紙に密着された中間転写ベルト22上の四色トナー像は、二次転写電界やニップ圧の影響を受けて記録紙上に一括二次転写され、記録紙の白色と相まって、フルカラートナー像となる。このようにして表面にフルカラートナー像が形成された記録紙は、二次転写ニップを通過すると、二次転写ローラ21や中間転写ベルト22から曲率分離する。そして、転写後搬送路を経由して、定着手段としての定着装置40に送り込まれる。
【0026】
定着装置40には、ハロゲンランプ等の発熱源45aを内包する定着ローラ45と、定着ローラ45に所定の圧力で当接しながら回転する加圧ローラ47とが設けられており、定着ローラ45と加圧ローラ47とによって定着ニップを形成している。定着装置40内に送り込まれた記録紙は、その未定着トナー像担持面を定着ローラ45に密着させるようにして、定着ニップに挟まれる。そして、加熱や加圧の影響によってトナー像中のトナーが軟化されて、フルカラー画像が定着される。
【0027】
片面プリントモードが設定されている場合には、定着装置40内から排出された記録紙は、そのまま機外へと排出される。そして、筐体の上カバー56の上面で構成するスタック部にスタックされる。
【0028】
なお、二次転写ニップを通過した後の中間転写ベルト22には、記録紙に転写されなかった転写残トナーが付着している。これは、中間転写ベルト22のおもて面に当接しているベルトクリーニング装置71によってベルト表面からクリーニングされる。中間転写ベルト22のループ内側に配設されたクリーニングバックアップローラ72は、ベルトクリーニング装置71によるベルトのクリーニングをループ内側からバックアップする。
【0029】
図3は、Y,M,C色の感光体24Y,24M,24Cと、現像ローラ81Y,81M,81Cとを駆動するカラー駆動装置150の上面図であり、図4は、カラー駆動装置150の斜視図である。また、図5は、感光体ギヤ列50と、現像駆動ギヤ列15と示す斜視図であり、図6は、図3のA-A断面図であり、図7は、図4のB-B断面図である。
カラー駆動装置150は、感光体24Y,24M,24Cを駆動するカラー用感光体モータ51と、現像ローラ81Y,81M,81Cを駆動するカラー用現像モータ160と、カラー用感光体モータ51の駆動力を各感光体24Y,24M,24Cに伝達する感光体ギヤ列50、カラー用現像モータ160の駆動力を各現像ローラ81Y,81M,81Cに伝達する現像駆動ギヤ列15などを有している。
【0030】
感光体ギヤ列50は、各色に対応する3つの感光体ギヤ53Y,53M,53Cと、M色の感光体ギヤ53からY色の感光体ギヤ53Yに駆動力を伝達するためのアイドラギヤ52iとを備えている。感光体ギヤ列50は、カラー用感光体モータ51、カラー用現像モータ160などを保持する駆動ブラケット162と、現像内歯外歯一体ギヤ155などを保持するギヤブラケット163との間に配置されている(図7参照)。
【0031】
各感光体ギヤ53Y,53M,53Cには、スプライン軸である感光体駆動軸53aY,53aM,53aYを有している。また、感光体ギヤ53C,53M,53Yは、感光体24C,24M,24Yよりも大径の外歯歯車である大径ギヤとなっており、ギヤ精度による画像への影響を低減している。
感光体24C,24M,24Yの奥側端部には、感光体駆動軸53aC,53aM,53aCが挿入されて係合するスプライン穴を有する感光体係合部24aC,24aM,24aYを有している。感光体駆動軸53aC,53aM,53aCが感光体係合部24aC,24aM,24aYに係合することで、感光体24C,24M,24Yにカラー用感光体モータ51の駆動力が伝達され、感光体24C,24M,24Yが感光体ギヤ53Y,53M,53Cとともに回転駆動する。
【0032】
カラー用感光体モータ51のモータギヤ51aには、感光体ギヤ53Cと感光体ギヤ53Mとに噛み合っており、感光体ギヤ53Mの感光体駆動軸53aMを介して、感光体24Cと感光体24Mとに駆動伝達している。また、感光体ギヤ53Mからアイドラギヤ52iを介して感光体ギヤ53Yに駆動力を伝達し、感光体ギヤ53Yの感光体駆動軸53aを介して感光体24Yに駆動を伝達している。
【0033】
現像駆動ギヤ列15は、現像内歯外歯一体ギヤ155、アイドラギヤプーリ151、Y,M,C色の駆動出力ギヤ152Y,152M,152Cを有しており、ギヤブラケット163と装置の後側板141との間に配置されている。
現像内歯外歯一体ギヤ155は、図7に示すように、内歯部155aと外歯部155bと有し、内歯部155aは、カラー用現像モータ160のモータシャフト160aに形成されたモータギヤ164に噛み合っている。
【0034】
本実施形態においては、カラー用現像モータ160のモータシャフト160aにおける、現像内歯外歯一体ギヤ155の内歯部155aと噛み合う範囲のみにモータギヤ164を形成している。そして、感光体ギヤ53の歯幅方向の範囲(軸方向で感光体ギヤ列50の範囲)では、モータシャフト160aの直径をモータギヤ164の歯先円直径よりも小さくしている。これにより、カラー用現像モータ160のモータギヤ164を大径化してもカラー駆動装置150が大型化することなく、低騒音かつ駆動装置の小型化を図ることができる。
【0035】
現像内歯外歯一体ギヤ155は、ギヤブラケット163に固定された駆動ピン163aに回転自在に支持されている。現像内歯外歯一体ギヤ155の外歯部155bには、アイドラギヤプーリ151のアイドラギヤ部151aと、M色の駆動出力ギヤ152Mの従動ギヤ部152aとが噛み合っている(図5参照)。
【0036】
モータギヤ164、内歯部155a、外歯部155b及びアイドラギヤ部151aと、M色の駆動出力ギヤ152Mをはす歯としてもよい。はす歯とすることにより、噛み合い率を高めることができ、噛み合い振動や騒音を抑制することができる。また、このとき内歯部155aのはす歯の捩れ方向を、回転駆動時に生じるスラスト力の向きが、モータ側となるようにするのが好ましい。具体的には、現像ローラ側からモータ軸を軸方向から見て、モータ軸の回転方向が反時計回りのときは、はす歯を右捩れとし、モータ軸の回転方向が時計回りのときは、はす歯を左捩れとするのである。すなわち、はす歯の現像ローラ側が、モータ側よりも回転方向下流側に位置するようにはす歯を捩るのである。これにより、回転駆動時にモータギヤ164に、現像ローラ側に向うスラスト力が働き、カラー用現像モータ160を、駆動ブラケット162に押し付けることができる。これにより、カラー用現像モータ160の姿勢を維持することができ、噛み合い振動などの発生を良好に抑制することができる。
【0037】
また、外歯部155bのはす歯を、内歯部155aのスラスト力とは反対方向、すなわち、現像ローラ側にスラスト力が働くような捩れとするのが望ましい。具体的には、外歯部155bのはす歯を、モータギヤ164と同じ捩れ方向とし、内歯部155aのはす歯のねじれ方向とは逆方向にする。これにより、内歯部155aのスラスト力を、外歯部155bのスラスト力で打ち消すことができ、現像内歯外歯一体ギヤ155が駆動モータ側に移動して、駆動ブラケット162に当接しながら回転駆動するのを防止することができる。これにより、現像内歯外歯一体ギヤ155を良好に回転駆動することで、回転ムラなどが生じることなく、現像ローラ81を回転駆動させることができる。
【0038】
また、現像内歯外歯一体ギヤ155は、内周に内歯が形成された筒状部1の内歯部155aの外周に外歯部155bが形成されていることで、内歯歯車と外歯歯車とを軸方向に並べて配置した場合に比べて軸方向に短くすることができ、装置の小型化が図れる。
【0039】
各色の駆動出力ギヤ152Y,152M,152Cは、同一形状であり、従動ギヤ部152aと、プーリ部152bと、スプライン穴を有する駆動側カップリング部152cとを備えている(図3参照)。アイドラギヤプーリ151は、アイドラギヤ部151aとプーリ部151bとを有している。アイドラギヤプーリ151、各色の駆動出力ギヤ152Y,152M,152Cは、駆動ブラケット162に固定された駆動ピンに回転自在に支持されている。このように、各色の駆動出力ギヤ152Y,152M,152Cを同一形状とすることで、部品の共通化を図れ、部品管理コストなどを削減することができる。なお、駆動出力ギヤ152Cと駆動出力ギヤ152Yとは、プーリ部152b、駆動側カップリング部152cのみ備える構成でもよい。
【0040】
アイドラギヤプーリ151のプーリ部151bと、駆動出力ギヤ152Yのプーリ部152bYとに第一タイミングベルト153が掛け回されている。また、M色の駆動出力ギヤ152Mのプーリ部152bMと、C色の駆動出力ギヤ152Cのプーリ部152bCとに第二タイミングベルト154が掛け回されている。第一タイミングベルト153及び第二タイミングベルト154としては、Vベルトなどを用いることができる。
【0041】
第一タイミングベルト153の外周のベルト面に、第一タイトナ156が当接して第一タイミングベルト153に張力を付与している。また、第二タイミングベルト154の外周のベルト面には、第二タイトナ157が当接して第二タイミングベルト154に張力を付与している。また、第一タイトナ156及び第二タイトナ157を駆動ブラケット162などに揺動可能に設けることで、第一タイミングベルト153及び第二タイミングベルト154からの張力を一定に管理することができる。
【0042】
各色の現像ユニットは、それぞれ、ユニット側現像ギヤ列180Y,180M,180Cを有している。各色のユニット側現像ギヤ列180Y,180M,180Cは、スプライン軸である従動側カップリング181Y,181M,181Cと、現像入力ギヤ182Y,182M,182Cと、現像アイドラギヤ183Y,183M,183Cと、現像出力ギヤ184Y,184M,184Cとを有している。現像入力ギヤ182Y,182M,182Cは、従動側カップリング181Y,181M,181Cと同軸上に設けられており、現像ローラの軸に設けられた現像出力ギヤ184Y,184M,184Cに現像アイドラギヤ183Y,183M,183Cを介して駆動力を伝達する。
【0043】
Y色の現像ユニット23Yには、現像内歯外歯一体ギヤ155、アイドラギヤプーリ151、第一タイミングベルト153、駆動出力ギヤ152Yを介して、カラー用現像モータ160の駆動力が伝達される。そして、現像ユニット23Y側の従動側カップリング181Y、現像入力ギヤ182Y、現像アイドラギヤ183Y、現像出力ギヤ184Yを介して現像ローラ81Yにカラー用現像モータ160の駆動力が伝達され、現像ローラ81Yが回転駆動する。
【0044】
現像ユニット23Mには、現像内歯外歯一体ギヤ155、駆動出力ギヤ152M、を介して、カラー用現像モータ160の駆動力が伝達される。そして、現像ユニット23M側の従動側カップリング181M、現像入力ギヤ182M、現像アイドラギヤ183M、現像出力ギヤ184Mを介して現像ローラ81Mにカラー用現像モータ160の駆動力が伝達され、現像ローラ81Mが回転駆動する。
【0045】
現像ユニット23Cには、現像内歯外歯一体ギヤ155、駆動出力ギヤ152M、第二タイミングベルト154、駆動出力ギヤ152Cを介して、カラー用現像モータ160の駆動力が伝達される。そして、現像ユニット23C側の従動側カップリング181C、現像入力ギヤ182C、現像アイドラギヤ183C、現像出力ギヤ184Cを介して現像ローラ81Cにカラー用現像モータ160の駆動力が伝達され、現像ローラ81Cが回転駆動する。
【0046】
本実施形態では、カラー用現像モータ160のモータギヤ164と噛み合う歯車を、現像内歯外歯一体ギヤ155の内歯部155aとしている。これにより、モータギヤ164との噛み合い率を高めることができ、回転ムラや騒音、振動の発生を抑制することができる。
【0047】
図8は、後側板141と、ユニット側現像ギヤ列180Y,180M,180Cと、現像ローラ81Y,81M,81Cと、感光体24Y,24M,24Cとを示す斜視図である。
図8に示すように、感光体駆動軸53aY,53aM,53aCが、装置の後側板141を貫通している。そして、後側板141から貫通した感光体駆動軸53aY,53aM,53aCの先端側部分が、感光体係合部24aC,24aM,24aYのスプライン穴に入り込んで駆動連結している。
【0048】
また、駆動側カップリング部152cY,152cM,152cCも後側板141を貫通している。そして、駆動側カップリング部152cY,152cM,152cCのスプライン穴に駆動側カップリングが入り込んで駆動連結している。
【0049】
また、後側板141には、プロセスユニット26Y,26M,26Cを位置決めするための位置決め穴142Y,142M,142Cが形成されている。
【0050】
図9は、カラー用のプロセスユニット26Y,26M,26Cを、装置に位置決めした様子を示す概略図である。
図9に示すように、カラー用のプロセスユニット26Y,26M,26Cには、位置決めピン26aY,26aM,26aCを備えており、位置決めピン26aY,26aM,26aCが後側板141の位置決め穴142Y,142M,142Cに挿入することで、プロセスユニット26Y,26M,26Cが装置本体に位置決めされる。
【0051】
図10は、現像内歯外歯一体ギヤ155付近の概略構成図である。
図9,図10に示すように、プロセスユニット26Mが装置本体に位置決めされたときプロセスユニット26Mの位置決めピン26aが、現像内歯外歯一体ギヤ155に対向している。
【0052】
図11は、従来の現像内歯外歯一体ギヤ155について説明する図である。
図11(a)に示すように、駆動伝達部材である現像内歯外歯一体ギヤ155は、外周面に外歯部155b、内周面に内歯部155aを有する筒状部1と、軸である駆動ピン163aが挿入される軸挿入孔155cを有する筒状の軸支持部3と、筒状部1の軸方向一端部(プロセスユニット側端部)と、軸支持部3の一端部とを連結する連結部2とかなり、筒状部1の一端側が閉じられたような形状となっている。
【0053】
外歯部155bとアイドラギヤプーリ151との噛み合い部、外歯部155bと駆動出力ギヤ152Mの従動ギヤ部152aとの噛み合い部、内歯部155aとモータギヤ164との噛み合い部には、それぞれ負荷トルクが加わる。外歯部155bの外歯や内歯部155aの内歯の歯面は、傾斜面であるため、これら歯面にかかる負荷トルクは、円周方向と、図11(b)のf1,f2,f3に示すように半径方向に作用する。
【0054】
図11(b)に示すように、アイドラギヤプーリ151と従動ギヤ部152aは、外歯部155bの上部側で噛み合っており、モータギヤ164は内歯部155aの下部側で噛み合っている。そのため、各噛み合い部における半径方向の負荷トルクf1,f2、f3は約下方を向き、筒状部1を下方に押圧するような力が発生する。
【0055】
現像内歯外歯一体ギヤ155は、噛み合い騒音の低減の観点から摺動性の高い樹脂材で構成されているが、摺動性の高い樹脂材は、比較的曲げ弾性率が低い。その結果、図11(b)に示すような各噛み合い部における半径方向の負荷トルクf1,f2,f3により、図11(a)の点線で示すように、連結部2が軸方向に対して傾くように変形し、筒状部1が軸方向に対して傾いてしまう。
【0056】
筒状部1が軸方向に対して傾くと、外歯部155b及び内歯部155aの噛み合い部において、歯幅方向の一部に歯当たりが集中する片当たりが発生し、歯幅方向の一部に応力が集中する。本実施形態では、内歯部155aとモータギヤ164との噛み合い部においては、内歯部155aの噛み合い部に、外歯部155bと噛み合う複数のギヤの負荷トルクが加わるため、内歯部155aにかかる負荷トルクが大きい。また、本実施形態では、図11(a)の点線で示すように筒状部1が傾くため、内歯部155aの歯の先端側にモータギヤ164の歯が当たる所謂先端当たりも生じ、歯の根元に加わる応力負荷が大きくなってしまう。さらに、外歯よりも内歯の方が半径が短く、また高い減速比を得る観点から内歯部155aのモジュールが外歯部155bのモジュールよりも小さくなっている。そのため、内歯部155aの方が外歯部155bよりも歯の強度も弱くなっている。その結果、筒状部1が傾いたときに内歯部155aの内歯の連結部側に割れが生じる不具合が発生する場合があった。そこで、現像内歯外歯一体ギヤ155を曲げ弾性率の高い樹脂材で構成することも考えられるが、摺動性が低下し、騒音が増大するおそれがある。
【0057】
また、連結部2の厚みを厚くしたり、連結部2に補強リブを設けたりして、連結部2の強度を高めて、連結部2が軸方向に対して傾くように変形するのを抑制することも考えられる。しかし、連結部2の厚みを厚くしたり、連結部2に補強リブを設けたりすることで、現像内歯外歯一体ギヤ155が、軸方向に大型化してしまう。図9図10に示すように、プロセスユニット26Mが装置本体に位置決めされたとき、位置決めピン26aMの先端が現像内歯外歯一体ギヤ155の連結部2と近接対向している。その結果、連結部2の厚みを厚くしたり、連結部2に補強リブを設けたりして現像内歯外歯一体ギヤ155が軸方向に大きくなると、位置決めピン26aMの先端が連結部2に当たってしまう。位置決めピン26aMの先端が連結部2に当たらないようにしようとすると、画像形成装置が軸方向に大型化してしまう。そこで、本実施形態では、現像内歯外歯一体ギヤ155を、互いに曲げ弾性率の異なる2つの樹脂材で構成した。以下、本実施形態の現像内歯外歯一体ギヤ155について、図面を用いて説明する。
【0058】
図12は、本実施形態の現像内歯外歯一体ギヤ155の一例を示す概略図である。
図12に示すように、本実施形態では、現像内歯外歯一体ギヤ155の外歯部155b、連結部2、軸支持部3をPOMなどの摺動性樹脂材で構成し、内歯部155aをABS、PBTなどの摺動性樹脂材よりも曲げ弾性率が高い樹脂材で構成した。内歯部155aを曲げ弾性率が高い樹脂材で構成することで、内歯の曲げ強さを高めることができる。これにより、現像内歯外歯一体ギヤ155の各噛み合い部に加わる半径方向の負荷トルクにより、筒状部1が軸方向に対して傾いて、内歯部155aとモータギヤ164との噛み合いが片当たりおよび先端当たりとなっても、内歯に割れが生じるのを抑制することができる。これにより、現像内歯外歯一体ギヤ155の耐久性を高めることができる。
【0059】
一方、外歯部155bは、摺動性樹脂材で構成されているので、噛み合い騒音を抑制することができ、騒音の増大を抑制することができ、静音性を確保できる。特に、本実施形態では、アイドラギヤプーリ151と従動ギヤ部152aの2つのギヤが噛み合っているので、外歯部155bを、摺動性樹脂材で構成することで、騒音を効果的に抑えることができる。また、軸支持部3も摺動性樹脂材で構成することで、軸支持部3と駆動ピン163aとの摺動を良好にでき、軸支持部3の摩耗を抑えることができ、現像内歯外歯一体ギヤ155の耐久性を高めることができる。
【0060】
このように、本実施形態の現像内歯外歯一体ギヤ155は、外歯部155b、軸支持部3を摺動性樹脂材で構成し、内歯部155aを摺動性樹脂材よりも曲げ弾性率が高い樹脂材で構成することで、耐久性と静音性との両立を図ることができる。
【0061】
また、上述したように、内歯部155aとモータギヤ164との負荷トルクは、外歯部155bと噛み合うギヤとの負荷トルクよりも大きく、筒状部1が傾いて片当たりしたときの内歯部155aの歯面の摩耗量が、外歯部155bよりも大きくなる。しかし、内歯部155aを、外歯部155bよりも曲げ弾性率が高い樹脂材で構成することで、内歯部155aの歯面の強度も高めることができる。これにより、内歯部155aの歯面の摩耗も抑えることができ、耐久性を高めることができる。
【0062】
また、内歯部155aのモジュールが大きく、内歯部155aの歯の曲げ強さがある程度ある場合は、内歯部155aの歯面部のみを、曲げ弾性率が高い樹脂材で構成してもよい。内歯部155aの歯の曲げ強さがある程度ある場合は、片当たりや先端当たりが生じても、内歯部155aの歯に割れは生じない。この場合は、片当たりにより歯面が早期に摩耗するのが問題となる。よって、内歯部155aの歯面のみ曲げ弾性率が高い樹脂材で構成することで、内歯部155aの歯面の摩耗を抑制し、耐久性を高めることができる。
【0063】
[変形例1]
図13は、現像内歯外歯一体ギヤ155の変形例1を示す図である。
図13は、内歯部155aと、連結部2の一部とを摺動性樹脂材よりも曲げ弾性率が高い樹脂材で構成したものである。摺動性樹脂材よりも曲げ弾性率が高い樹脂材で構成された連結部2の一部と、内歯部155aとは繋がっており、連結部2の一部と内歯部155aとが曲げ弾性率が高い樹脂材の一体成型物となっている。また、連結部2の一部を構成する曲げ弾性率が高い樹脂材の一部は、連結部2と軸支持部3との連結箇所まで延びている。
【0064】
図13に示すように、連結部2の一部を曲げ弾性率が高い樹脂材で構成することで、連結部2の強度を高めることができる。これにより、内歯部155aの噛み合い部や外歯部155bの噛み合い部で発生する半径方向の負荷トルクにより連結部2の変形が抑制される。その結果、筒状部1の軸方向に対する傾きを抑えることができ、外歯部155bや内歯部155aの片当たりを抑制することができ、耐久性の低下をより一層抑制することができる。
【0065】
また、半径方向の負荷トルクにより、連結部2は、軸支持部3との連結箇所を支点にして軸方向に対して傾くように変形する。そのため、曲げ弾性率が高い樹脂材を、連結部2と軸支持部3との連結箇所まで設けることで、連結部2と軸支持部3との連結箇所が補強され、連結部2の軸方向に対して傾くような変形を良好に抑えることができる。
【0066】
また、図13に示す連結部2の一部の摺動性樹脂材よりも曲げ弾性率が高い樹脂材と、内歯部155aとが繋がっており、連結部2の一部と内歯部155aとが曲げ弾性率が高い樹脂材の一体成型物とすることで、筒状部1が連結部2との連結箇所を支点にして、半径方向の負荷トルクにより半径方向に変形するのを抑制することができる。これにより、外歯部155bや内歯部155aの片当たりをより一層、抑制することができる。
【0067】
また、連結部2の厚みを厚くしたり補強リブを設けたりせずに、連結部2を補強することができ、現像内歯外歯一体ギヤ155の軸方向の大型化を防止でき、位置決めピン26aMが当接したり、画像形成装置が軸方向に大型化したりするのを防止することができる。
【0068】
なお、図13では、連結部2の一部を曲げ弾性率が高い樹脂材で構成しているが、連結部全体を曲げ弾性率が高い樹脂材で構成してもよい。
【0069】
[変形例2]
図14は、現像内歯外歯一体ギヤ155の変形例2を示す図である。
この変形例2は、連結部2の一部と軸支持部3の外周面部を摺動性樹脂材よりも曲げ弾性率が高い樹脂材で構成したものである。摺動性樹脂材よりも曲げ弾性率が高い樹脂材で構成された連結部2の一部と、軸支持部3の外周面部とが繋がっており、連結部2の一部と軸支持部3の外周面部とが曲げ弾性率が高い樹脂材の一体成型物となっている。
【0070】
このように、連結部2の一部と軸支持部3の外周面部とを曲げ弾性率が高い樹脂材で繋ぐことで、連結部2と軸支持部3との連結箇所が補強され、連結部2の軸方向に対して傾くような変形を抑えることができる。これにより、筒状部1が、軸方向に対して傾くのが抑制され、外歯部155bや内歯部155aの片当たりを抑制することができ、耐久性の低下を抑制することができる。
【0071】
また、この変形例2においては、内歯部155aおよび外歯部155bは、摺動性樹脂材で構成しているので、内歯部155a、外歯部155bの両方の噛み合い騒音を抑えることができ、内歯部155aを曲げ弾性率が高い樹脂材で構成したものよりも、騒音を抑えることができる。なお、この変形例2においても、連結部2全体を、曲げ弾性率が高い樹脂材で構成してもよい。
【0072】
[変形例3]
図15は、現像内歯外歯一体ギヤ155の変形例3を示す図である。
この変形例3は、内歯部155aと連結部2の一部と軸支持部3の外周面部とを曲げ弾性率が高い樹脂材で構成したものである。この変形例3では、現像内歯外歯一体ギヤ155の筒状部1の内周面と、連結部2の内面と、軸支持部3の外周面とで囲われた現像内歯外歯一体ギヤ155の内部空間を、曲げ弾性率が高い樹脂材で囲んでいる。
【0073】
内歯部155aと連結部2の一部と軸支持部3の外周面部とを曲げ弾性率が高い樹脂材で構成することで、変形例1の構成に比べて、連結部2の軸方向に対して傾くような変形を抑えることができる。これにより、外歯部155bや内歯部155aの片当たりを変形例1に比べて抑制することができ、より一層、耐久性の低下を抑制することができる。
【0074】
また、変形例2、3において、駆動ピン163aが装置に回転自在に支持され、現像内歯外歯一体ギヤ155が駆動ピン163aと一体で回転する構成においては、軸支持部3の全体を、曲げ弾性率の高い樹脂で構成してもよい。
【0075】
また、筒状部1が軸方向に対して傾いたときに内歯部155aよりも外歯部155bの方が、歯の割れが生じやすい装置の構成のときは、外歯部155bを、曲げ弾性率の高い樹脂材で構成し、内歯部155aを摺動性樹脂で構成する。これにより、耐久性と静音性の両立を図ることができる。
【0076】
以上に説明したものは一例であり、次の態様毎に特有の効果を奏する。
(態様1)
駆動ピン163aなどの軸が挿入される軸挿入孔155cを有する軸支持部3と、内周面の内歯部155aを有し、外周面に外歯部155bを有する筒状部1と、軸支持部3と筒状部1とを連結する連結部2とを備えた現像内歯外歯一体ギヤ155などの駆動伝達部材において、外歯部155bと内歯部155aとが、互いに曲げ弾性率の異なる樹脂材で構成されている。
現像内歯外歯一体ギヤ155などの駆動伝達部材の外歯部155bの歯面や内歯部155aの歯面は傾斜面であるため、これら歯面にかかる負荷トルクは、円周方向と半径方向に作用する。駆動伝達部材は、一般的に静音性の観点から摺動性の高い樹脂材で構成されているが、摺動性の高い樹脂材は、比較的曲げ弾性率が低く上述の半径方向に作用する負荷トルクの影響で、連結部2が軸方向に対して傾き、筒状部1が軸方向に対して傾いてしまう場合がある。筒状部1が軸方向に対して傾くと、外歯部155b及び内歯部155aの噛み合い部において、歯幅方向の一部に歯当たりが集中する片当たりが発生し、歯幅方向の一部に応力が集中する。その結果、内歯部155aと外歯部155bのうち、負荷トルクが大きくかかる方の歯部の歯の根元に割れが生じるおそれがある。例えば、外歯部155bに複数のギヤが噛み合い、内歯部155aにひとつのギヤが噛み合う特許文献1においては、内歯部155aの噛み合い部に、外歯部155bと噛み合う複数のギヤの負荷トルクが加わる。その結果、筒状部1が傾いたときに内歯部155aの歯に割れが生じるおそれがある。このため、駆動伝達部材を曲げ弾性率の高い樹脂材で構成することも考えられるが、摺動性が低下し、騒音が増大するおそれがある。
そこで、態様1では、外歯部155bと内歯部155aとを、互いに曲げ弾性率の異なる樹脂材で構成した。これにより、外歯部155bと内歯部155aのうち、噛み合い部で大きな負荷トルクが加わる一方の歯部については、曲げ弾性率の高い樹脂材で構成することで、その歯部の歯割れを抑制することができ、耐久性を向上させることができる。一方、他方の歯部については、一方の歯部よりも曲げ弾性率の低い摺動性の高い樹脂材を用いることができ、騒音の増大を抑制することができ、静音性を確保できる。
【0077】
(態様2)
態様1において、内歯部155aが、外歯部155bよりも曲げ弾性率が高い樹脂材で構成されている。
これによれば、実施形態で説明したように、筒状部1が軸方向に対して傾いて、内歯部155aに片当たりや先端当たりが発生しても内歯部155aの歯に割れが生じることがなく、現像内歯外歯一体ギヤ155などの駆動伝達部材の耐久性を高めることができる。
【0078】
(態様3)
態様2において、内歯部の少なくとも歯面が、曲げ弾性率が高い樹脂材で構成されている。
これによれば、実施形態で説明したように、内歯部の歯面の摩耗を抑制することができ、駆動伝達部材の耐久性を高めることができる。
【0079】
(態様4)
態様2または3において、連結部2の少なくとも一部と内歯部155aとが、曲げ弾性率が高い樹脂材で構成されている。
これによれば、変形例1で説明したように、連結部2変形を抑えることができ、筒状部1が軸方向に対して傾くのを抑制することができる。これにより、内歯部155aや外歯部155bの噛み合い部で、片当たりが発生するのを抑制することができる。これにより歯の割れや、歯の摩耗を抑制することができ、耐久性を高めることができる。
【0080】
(態様5)
態様4において、軸支持部3の少なくとも一部と連結部2の少なくとも一部と内歯部155aとが、曲げ弾性率が高い樹脂材で構成されている。
これによれば、変形例3で説明したように、連結部2と軸支持部3との連結箇所が、曲げ弾性率が高い樹脂材で補強され、連結部2が軸方向に傾くように変形するのを抑制することができる。これにより、筒状部1の軸方向に対して傾くのを抑制することができ、内歯部155aおよび外歯部155bの噛み合い部で片当たりが発生するのを抑制することができる。これにより、歯の割れや歯面の摩耗を抑制することができ、耐久性を高めることができる。
【0081】
(態様6)
態様2乃至5いずれかにおいて、外歯部155bを摺動性樹脂材で構成した。
これによれば、外歯部155bの噛み合い部における騒音を抑制することができ、静音性を高めることができる。
【0082】
(態様7)
駆動ピン163aなどの軸が挿入される軸挿入孔155cを有する軸支持部3と、内周面の内歯部155aを有し、外周面に外歯部155bを有する筒状部1と、軸支持部3と筒状部1とを連結する連結部2とを備えた現像内歯外歯一体ギヤ155などの駆動伝達部材において、軸支持部3と連結部2の少なくとも一部を他よりも曲げ弾性率が高い樹脂材で構成した。
これによれば、変形例2で説明したように、連結部2と軸支持部3との連結箇所が、曲げ弾性率が高い樹脂材で補強され、連結部2が軸方向に傾くように変形するのを抑制することができる。これにより、筒状部1の軸方向に対して傾くのを抑制することができ、内歯部155aおよび外歯部155bの噛み合い部で片当たりが発生するのを抑制することができる。これにより、歯の割れや歯面の摩耗を抑制することができ、耐久性を高めることができる。
【0083】
(態様8)
態様7において、外歯部155bおよび内歯部155aを摺動性樹脂材で構成した。
これによれば、変形例2で説明したように、内歯部155aおよび外歯部155bの噛み合い部の騒音を抑制することができ、静音性を高めることができる。
【0084】
(態様9)
現像内歯外歯一体ギヤ155などの駆動伝達部材を備えた現像駆動ギヤ列15などの駆動伝達装置において、駆動伝達部材として、態様1乃至8いずれかの駆動伝達部材を用いた。
これによれば、静音性と耐久性の両立を図ることができる。
【0085】
(態様10)
現像ローラ81などの回転体と、回転体にカラー用現像モータ160などの駆動源の駆動力を伝達する現像駆動ギヤ列15などの駆動伝達装置とを備えた画像形成装置において、駆動伝達装置として、態様9に記載の駆動伝達装置を用いた。
これによれば、静音性と耐久性の両立を図ることができる。
【符号の説明】
【0086】
1 :筒状部
2 :連結部
3 :軸支持部
10 :感光体ユニット
15 :現像駆動ギヤ列
23 :現像ユニット
24 :感光体
24a :感光体係合部
26 :プロセスユニット
26a :位置決めピン
50 :感光体ギヤ列
51 :カラー用感光体モータ
51a :モータギヤ
52i :アイドラギヤ
53 :感光体ギヤ
53C :感光体ギヤ
53M :感光体ギヤ
53Y :感光体ギヤ
53a :感光体駆動軸
81 :現像ローラ
141 :後側板
142 :位置決め穴
150 :カラー駆動装置
151 :アイドラギヤプーリ
151a :アイドラギヤ部
151b :プーリ部
152 :駆動出力ギヤ
152a :従動ギヤ部
152b :プーリ部
152c :駆動側カップリング部
153 :第一タイミングベルト
154 :第二タイミングベルト
155 :現像内歯外歯一体ギヤ
155a :内歯部
155b :外歯部
155c :軸挿入孔
156 :第一タイトナ
157 :第二タイトナ
160 :カラー用現像モータ
160a :モータシャフト
162 :駆動ブラケット
163 :ギヤブラケット
163a :駆動ピン
164 :モータギヤ
180 :ユニット側現像ギヤ列
181 :従動側カップリング
182 :現像入力ギヤ
183 :現像アイドラギヤ
184 :現像出力ギヤ
【先行技術文献】
【特許文献】
【0087】
【文献】特開2017-2924号公報
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15