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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-13
(45)【発行日】2023-12-21
(54)【発明の名称】シート搬送装置及び画像形成装置
(51)【国際特許分類】
   B65H 5/36 20060101AFI20231214BHJP
   B65H 5/00 20060101ALI20231214BHJP
   G03G 15/00 20060101ALI20231214BHJP
【FI】
B65H5/36
B65H5/00 B
G03G15/00 446
【請求項の数】 12
(21)【出願番号】P 2019177823
(22)【出願日】2019-09-27
(65)【公開番号】P2020063155
(43)【公開日】2020-04-23
【審査請求日】2022-07-21
(31)【優先権主張番号】P 2018195581
(32)【優先日】2018-10-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000006747
【氏名又は名称】株式会社リコー
(74)【代理人】
【識別番号】100098626
【弁理士】
【氏名又は名称】黒田 壽
(72)【発明者】
【氏名】松田 直樹
【審査官】大山 広人
(56)【参考文献】
【文献】特開平04-245285(JP,A)
【文献】特開2006-259432(JP,A)
【文献】特開2015-230443(JP,A)
【文献】特開平05-341696(JP,A)
【文献】特開2001-042726(JP,A)
【文献】特開平08-239140(JP,A)
【文献】特開平04-055245(JP,A)
【文献】特開2006-069768(JP,A)
【文献】特開2015-169846(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65H 5/00
B65H 5/36
B65H 5/38
B65H 29/52
G03G 15/00
G03G 21/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
シートを搬送するシート搬送ローラと、前記シート搬送ローラに接触する接触部を有し、前記シートを前記シート搬送ローラへガイドするガイドシートとを備えたシート搬送装置において、
前記ガイドシートは、樹脂シートであり、
前記樹脂シートのバリが発生している端部を、前記接触部とし、
前記接触部を被膜層で覆ったことを特徴とするシート搬送装置。
【請求項2】
請求項1に記載のシート搬送装置において、
前記被膜層は、前記シート搬送ローラ側へ移行しないことを特徴とするシート搬送装置
【請求項3】
請求項1または2に記載のシート搬送装置において、
前記被膜層のJIS B0601(2001)に基づく算術平均粗さが、Ra0.01[μm]以上1.0[μm]以下であることを特徴とするシート搬送装置
【請求項4】
請求項1乃至3いずれか一項に記載のシート搬送装置において、
前記被膜層の動摩擦係数と静止摩擦係数との差が0.12以下であることを特徴とするシート搬送装置
【請求項5】
請求項1乃至4いずれか一項に記載のシート搬送装置において、
前記被膜層が、固体潤滑剤を含有する樹脂で形成されていることを特徴とするシート搬送装置
【請求項6】
請求項1乃至5いずれか一項に記載のシート搬送装置において、
前記被膜層の膜厚が50[μm]以下であることを特徴とするシート搬送装置
【請求項7】
請求項1乃至6いずれか一項に記載のシート搬送装置において、
前記被膜層の膜厚が20[μm]以上であることを特徴とするシート搬送装置。
【請求項8】
求項1乃至7いずれか一項に記載のシート搬送装置において、
前記樹脂シートは、ポリエチレンテレフタレート(PET)であることを特徴とするシート搬送装置
【請求項9】
請求項1乃至8いずれか一項に記載のシート搬送装置において、
前記樹脂シートの厚みが、0.1[mm]以上であることを特徴とするシート搬送装置。
【請求項10】
請求項1乃至9いずれか一項に記載のシート搬送装置において、
前記シート搬送ローラの表面はゴム材で形成されていることを特徴とするシート搬送装置。
【請求項11】
求項1乃至10いずれか一項に記載のシート搬送装置において、
前記ガイドシートが接触するシート搬送ローラが、レジストローラであることを特徴とするシート搬送装置。
【請求項12】
画像形成装置において、
請求項1乃至11いずれか一項に記載のシート搬送装置を備えることを特徴とする画像形成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シート搬送装置及び画像形成装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、表面が無端移動する表面移動部材に接触する樹脂シートが知られている。
【0003】
例えば、特許文献1には、一端側がシートをガイドするガイド板に固定され、他端側が表面移動部材としての搬送ローラに当接する樹脂シートが記載されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、搬送ローラの回転時に、樹脂シートが搬送ローラの表面に摺動し、摺動音が発生するおそれがあった。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上述した課題を解決するために、本発明は、シートを搬送するシート搬送ローラと、前記シート搬送ローラに接触する接触部を有し、前記シートを前記シート搬送ローラへガイドするガイドシートとを備えたシート搬送装置において、前記ガイドシートは、樹脂シートであり、前記樹脂シートのバリが発生している端部を、前記接触部とし、前記接触部を被膜層で覆ったことを特徴とするものである。

【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、騒音の低減を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】本実施形態1に係るプリンタの全体概要図。
図2】本実施形態1に係る作像ユニットの説明図。
図3】シートの搬送経路を示す図。
図4】レジストローラ対付近の拡大図。
図5】レジストローラ対と、二次転写ローラとを保持する搬送機構の斜視図。
図6】搬送機構を図5の矢印W方向から見た正面図。
図7】ガイドシートの先端の一例を示す図。
図8】被膜層で被膜したガイドシートの先端を示す図。
図9】被膜層の他の例を示す図。
図10】先端にバリないガイドシートの被膜層形成例を示す図。
図11】実施形態2に係るプリンタの構成を示す概略構成図。
図12】実施形態2のプリンタのレジストローラ対付近の概略構成図。
図13】搬送機構を第二レジストローラ側から見た斜視図。
図14】搬送機構を第一レジストローラ側から見た斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0008】
〔実施形態1〕
以下、本発明を適用した画像形成装置として、電子写真方式のカラーレーザープリンタ(以下、プリンタ300という)の一実施形態(以下、本実施形態を実施形態1という)について説明する。まず、プリンタ300の構成・動作から図を用いて説明する。本実施形態1では、プリンタ300について説明するが、本発明は、画像形成装置としてプリンタに限らず、複写機やファクシミリ装置、あるいは印刷機、さらには、これらの各機能を複合させた複合機等の装置にも適用可能である。
【0009】
ここで、図1は、本実施形態1に係るプリンタ300の全体概要図、図2は、本実施形態1に係る作像ユニット10の説明図である。
【0010】
本実施形態1のプリンタ300は、イエロー(Y)、マセンダ(M)、シアン(C)、ブラック(K)の4色のトナー用いたタンデム方式のカラーレーザープリンタである。そして、図1に示すように装置本体200の下部には記録紙等のシート状記録媒体(以下、シートPという)を積載収容可能な給紙カセット81が装備される給紙部80が、給紙部80の上方には画像形成部20がそれぞれ配置されている。
次に、各部の構成を、その動作も含めて説明する。
【0011】
画像形成部20には、各色に対応した作像ユニット10Y,M,C,Kが、図1図中右側からY,M,C,Kの順に、その下方に配置された中間転写ユニット30の中間転写ベルト31の展張方向に沿って配置されている。また、各作像ユニット10の上方には、光書き込み装置5が配置されている。そして、中間転写ユニット30の図1図中右側には二次転写部60が配置され、二次転写部60の上方には、定着装置70が配置されている。
【0012】
作像ユニット10Y,M,C,Kには、それぞれ潜像担持体である感光体ドラム1Y、M、C、Kを備えた4個の作像ユニット10Y,M,C,Kを備えている。各作像ユニット10Y,M,C,Kは、それぞれ感光体ドラム1Y,M,C,Kに対応する、帯電ローラ2、現像装置3、クリーニング装置4等を色毎にまとめてプロセスカートリッジのハウジングに収納している。ここで、各作像ユニット10の構成は、いずれも用いるトナーの色が異なるのみで、同様な構成であるので、以下の説明では、適宜、符合Y、M、C、Kを省略して説明する。
【0013】
作像ユニット10には、図2に示すように、感光体ドラム1と、感光体ドラム1の表面に当接する一様帯電手段である帯電ローラ2と、現像剤担持体である現像ローラ6を有した現像装置3が配置されている。また、感光体ドラム1の表面に当接するクリーニングブレード41を有したクリーニング装置4も配置されている。
【0014】
現像装置3は、現像剤であるトナーを収容するトナー収容室11bと、トナー収容室11bの下方に設けられたトナー供給室11aとから構成され、トナー収容室11bとトナー供給室11aとを仕切るように仕切り部材14が設けられている。
トナー収容室11bにはトナー収容室11b内のトナーを感光体ドラム1の回転軸に平行な方向(図2中の紙面に直交する軸線方向)に搬送するトナー搬送部材9が設けられている。又、トナー撹拌部材としてのアジテータ12が設けられている。アジテータ12は、アジテータ回転軸12b及びアジテータ回転軸12bに固定されたPETシート12aから構成されている。そして、PETシート12aがアジテータ回転軸12bを中心にして、トナー収容室11bの内壁に接触しながら回転することによりトナー収容室11b内のトナーを全体的に撹拌する。トナー充填口111aは、トナー収容室11bに未使用トナーを充填する際に使用するとともに、トナー収容室11bを清掃する際のエアー注入口として使用される。トナー充填口111aは、未使用トナーの充填後は、キャップ部材により閉じられる。
供給ローラ7が当接する位置から現像ローラ6の表面移動方向下流側の現像ローラ6表面に接触するように、現像剤規制部材であるトナー層規制部材15が配置されている。
【0015】
画像形成動作が開始すると、帯電ローラ2は、暗中にて図2図中、時計方向に回転する感光体ドラム1の表面上を一様帯電(高電位で初期化帯電)する、一様帯電された感光体ドラム1上には、光書き込み装置5から画像情報に基づいたレーザー光Lが照射される。そして、この照射により、感光体ドラム1の表面上の電位の減衰した低電位部と上記一様帯電による高電位部とからなる静電潜像が形成されることとなる。現像装置3は、感光体ドラム1の回転にともない、上記静電潜像の低電位部(又は高電位部)に、供給ローラ7から現像剤が供給され現像ローラ6に担持したトナーを転移させて、トナー画像として現像(可視像化処理)する。その後、現像されたトナー画像は、感光体ドラム1の回転にともない、中間転写ユニット30の中間転写ベルト31と対向する一次転写部に向け搬送される。そして、中間転写ベルト31を介して対向する一次転写ローラ34に印加された一次転写バイアスで、中間転写ベルト31上に転写される。
【0016】
一次転写部で転写されずに感光体ドラム1上に残った転写残トナーは、一次転写部の感光体ドラム1の回転方向下流側に設けられ、感光体ドラム1の表面に当接しているクリーニング装置4のクリーニングブレード41により掻き落とされる。このクリーニングブレード41により掻き落とされた転写残トナーは、クリーニング装置4の搬送スクリュ42により、廃トナー回収容部13に搬送され、廃トナーとなる。
【0017】
上記のような静電潜像の形成、及び現像によるトナー画像の形成は、図1に示すように、各作像ユニット10において順次、タイミングを設定されて行われるように構成されている。そして、各色のトナー画像が、上側展張面が矢印Sで示す方向(図中左側)に走行する中間転写ベルト31上に各感光体ドラム1から順次重ねられるように、一次転写されてフルカラーのトナー画像が中間転写ベルト31に担持される。
【0018】
中間転写ユニット30は、トナー画像を担持する中間転写ベルト31と、この中間転写ベルト31の内周側で、中間転写ベルト31を両端で張架する駆動ローラでもある二次転写バックアップローラ32及びテンションローラ33を有している。このように、中間転写ベルト31は二次転写バックアップローラ(駆動ローラ)32とテンションローラ33の2つのローラで主に張架されている。これにより、中間転写ユニット30の小型化が図られている。また、中間転写ベルト31の内周側には、中間転写ベルト31を介して各感光体ドラム1に対向する金属の一次転写ローラ34Y,M,C,Kと、クリーニング対向ローラ35を有している。
【0019】
また、これら各ローラを両端で回転自在に保持する保持部材を有している。そして、テンションローラ33で中間転写ベルト31にテンションを与えた状態で、駆動ローラである二次転写バックアップローラ32の回転により中間転写ベルト31が回転駆動、つまり走行駆動させる。ここで、中間転写ベルト31として、ポリイミドやポリアミド、ポリカーボネート、TPE等の耐熱性材料からなり、中抵抗に調整された基体からなる、無端ベルトを用いている。
【0020】
また、中間転写ベルト31の外周側には、シートP上への二次転写を行った後に、中間転写ベルト31上に残った転写残トナーをクリーニングするベルトクリーニング装置50が、二次転写部のベルト走行方向下流側に配置されている。すなわち、二次転写バックアップローラ32とテンションローラ33に張架される中間転写ベルト31の上側展張面の、二次転写バックアップローラ32のベルト走行方向下流側であって、作像ユニット10Yの上流側の位置にベルトクリーニング装置50が配置されている。
【0021】
中間転写ベルト31に転写され、担持されたフルカラーのトナー画像は、二次転写部60で給紙部80から搬送されてくるシートPに一括転写される。つまり、図1に示す給紙部80に装備されている給紙カセット81から給紙ローラ82により、繰り出されたシートPは、その途中で摩擦パッド83により一枚に分離される。一枚に分離されたシートPは、二次転写部60の二次転写ローラ61と、中間転写ベルト31を介して二次転写バックアップローラ32とが対向配置されている二次転写位置に向け、レジストローラ対84により搬送される。レジストローラ対84は、中間転写ベルト31上に担持されて移動してくるフルカラーのトナー画像にタイミングを合わせてシートPを搬送し、中間転写ベルト31上のフルカラーのトナー画像が、二次転写位置で一括して二次転写される。転写後の中間転写ベルト31は、二次転写バックアップローラ32のベルト走行方向下流側に設けられたベルトクリーニング装置50により転写残トナーを除去されて、次のトナー画像の転写に備えられる。
【0022】
また、ベルトクリーニング装置50には、中間転写ベルト31を介してクリーニング対向ローラ35と対向し、中間転写ベルト31上の転写残トナーを掻き取ってクリーニングするベルトクリーニングブレードを有している。また、このベルトクリーニングブレードで、中間転写ベルト31上から掻き取った転写残トナーは廃トナー回収容器に搬送される。この搬送された転写残トナーは、廃トナーとなる。
【0023】
また、二次転位置を通過してフルカラーのトナー画像が二次転写されたシートPは、用紙搬送経路に沿って搬送され、定着装置70により、定着を受けた後、排紙ローラ85を介して、積載部である排紙トレイ86上に排出される。このようにして、一連の画像形成動作が終了し、次の画像形成に備える。
【0024】
図3は、シートPの搬送経路Yを示す図である。
略水平に給紙カセット81にセットされたシートPは、給紙ローラ82により搬送される。シートは、ガイド部材によりガイドされながら立ち上がるようにしてレジストローラ対84へ向けて搬送される。その後、シートは、略鉛直方向に搬送され、二次転写ニップ、定着装置70の定着ローラ70aと加圧ローラ70bとにより形成された定着ニップを経る。そして、ガイド部材により寝るようにガイドされた後、排紙ローラ85により排紙トレイ86へ排紙される。
【0025】
図4は、レジストローラ対84付近(図3の記号A部分)の拡大図である。
【0026】
一対のレジストローラのうち、二次転写ニップにおいて、シートPのトナー画像が転写される面に接触する中間転写ベルト31側の第一レジストローラ84aは、金属ローラであり、シートPのトナー画像が転写される面とは、反対側の面に接触する中間転写ベルト31側とは反対側の第二レジストローラ84bは、ゴムローラである。金属ローラである第一レジストローラ84aは、アースに落とされている。これにより、シートPのトナー画像が転写される面が、金属ローラの第一レジストローラ84aに接触することで、シートPのトナー画像が転写される面が除電され、トナー画像を良好にシートPに二次転写することができる。
【0027】
また、実施形態1のプリンタでは、略水平に給紙カセットに載置されたシートPを立ち上げるようにしてレジストローラ対84へ搬送しているため、搬送されるシートは、第二レジストローラ側へ復元力(シートのコシ)が働く。その結果、シートの先端が、第二レジストローラ84bに突き当たってジャムが発生するおそれがある。
【0028】
このようなジャムが発生しないように、実施形態1では、シートPの先端をレジストローラ対のレジストニップへガイドするためのPET(ポリエチレンテレフタレート)からなる樹脂シートとしてのガイドシート87を、レジストローラ対84の近傍に設けている。
【0029】
第二レジストローラ84bの直径が大きい場合は、第二レジストローラ84bのレジストニップからの立ち上がりが緩やかであり、レジストニップの近傍でシートの先端が第二レジストローラ84bに突き当たった場合、第二レジストローラ84bによりシートの先端をレジストニップへ案内できる。しかし、実施形態1のように、第二レジストローラ84bが小径の場合は、第二レジストローラ84bのレジストニップからの立ち上がりが急になり、レジストニップの近傍でシートの先端が第二レジストローラ84bに突き当たった場合でも、ジャムとなるおそれがある。そのため、図4に示すように、この実施形態では、ガイドシート87の先端がレジストニップの近傍に位置するようにし、ガイドシート87の先端を第二レジストローラ84bに接触させている。
【0030】
また、第一レジストローラ84a表面に付着した紙粉を除去する紙粉除去部材88が設けられている。紙粉除去部材88は、ガイドシート87と同様、PET(ポリエチレンテレフタレート)からなる樹脂シートであり、先端が第一レジストローラ84aに接触している。紙粉除去部材88により掻き取られた紙粉は、紙粉回収箱89に落下する。第一レジストローラ84aに付着した紙粉を除去することで、第一レジストローラ84aからシートPのトナー画像が転写される面に紙粉が転位するのを抑制することができる。これにより、紙粉によりシートPに二次転写されるトナー画像が乱されるのを抑制することができる。
【0031】
図5は、レジストローラ対84と、二次転写ローラ61とを保持する搬送機構90の斜視図であり、図6は、搬送機構90を図5の矢印W方向から見た正面図である。
搬送機構90には、シート検知部材91と、光学センサ92などで構成されたシート検知機構が設けられている。シート検知部材91は、搬送機構90に対して所定の範囲で回動可能に支持されており、軸方向中央部に配置され、シートに接触するシート接触部91bと、軸方向一端に配置された光学センサ92により検知される被検知部91aと、揺動軸部91cとを有している。この揺動軸部91cに被検知部91aとシート接触部91bとが設けられている。
【0032】
光学センサ92は透過型センサである。揺動軸が揺動することで、被検知部91aが、透過型センサの受光素子と発光素子との間に位置にして、受光素子へ向かう発光素子を遮る遮断位置と、受光素子と発光素子との間から退避した退避位置との間を移動する。
【0033】
実施形態1のプリンタにおいては、中央基準でシートを搬送しているため、シートに接触するシート接触部91bを、軸方向中央に配置している。これにより、シートサイズにかかわらず、シート接触部91bが搬送されてくるシートに接触させることができる。
【0034】
シートがレジストニップの近傍に搬送されてくると、シートの先端が、シート検知部材91のシート接触部91bに接触し、シート検知部材91を回動させる。すると、シート検知部材91の被検知部91aが、上記退避位置から上記遮断位置または、上記遮断位置から退避位置へ移動する。これにより、光学センサ92の受光素子の発光素子の光の受光状態が変化し、シートの有無を検知することができる。この実施形態では、給紙を開始(給紙ローラ82の回転を開始)してから規定の時間内に、シート検知機構がシートを検知しない場合は、給紙不良が発生したと判断し、所定の処理を実行する。
【0035】
ガイドシート87は、PET(ポリエチレンテレフタレート)からなる樹脂シートであり、軸方向中央に配置されたシート検知部材91のシート接触部91bを回避するように、シート接触部91bを挟んで2つ設けられている。各ガイドシート87は、両面テープなどにより、搬送機構90のレジストローラ対84よりも上流でシートと対向する対向面部に貼り付けられている。
【0036】
各ガイドシート87の軸方向の端部は、レジストローラのローラ部よりも端部側に位置している。各ガイドシート87の軸方向の端部は、レジストローラのローラ部よりも端部側に位置させることで、ガイドシート87によるシートのガイドを確実に行なうことができる。
【0037】
図5図6に示すように、ガイドシート87を、軸方向中央で2つに分割して設けることで、ガイドシート87の長さを抑えることができ、シートの組み付け性を向上することができる。また、ガイドシート87を、軸方向中央で2つに分割して設けることで、軸方向に対して傾斜してガイドシート87が組み付けられたときの先端位置のバラツキを、ガイドシートを分割しない場合に比べて抑制することができる。
【0038】
ガイドシート87の厚みは、0.1[mm]以上であるのが好ましい。ガイドシートの厚みが0.1[mm]未満であると、曲がりやすくなってしまい、ガイドシート87の貼り付けが難しくなってしまう。また、搬送するシートが厚いなどコシの強いシートの場合、シートの先端がガイドシート87に突き当たったときに、ガイドシート87が大きく撓んでシートの先端をレジストニップへガイドできず、ジャムとなるおそれがある。従って、ガイドシート87の厚みは、0.1[mm]以上とし、ある程度の厚みを有するものにすることで、組み付け性がよく、厚紙などのコシの強いシートでも、シートの先端を良好にレジストニップへガイドすることができる。
【0039】
ところで、本実施形態のよるにガイドシート87の先端が第二レジストローラ84bに接触する構成においては、第二レジストローラ84bを回転駆動させると、ガイドシート87が第二レジストローラ84bの表面に摺動し、摺動音が発生し、この摺動音がプリンタの騒音となってしまうおそれがあった。
【0040】
ガイドシート87は、上述したように、0.1[mm]以上の厚みを有するものであり、コシがあるため、第二レジストローラ84bに対して強く押し当たるおそれがある。そのため、摺動音が大きくなるおそれがある。
【0041】
また、ガイドシート87は、一般的に打ち抜き成型により形成される。その時シートには図7に示すようなバリBが発生する場合ある。バリBの先端が尖っているため、このバリBがシート側にあると、このバリBによりシートにダメージが生じたり、このバリにシートが引っ掛って、ジャムとなったりおそれがある。
【0042】
従って、まず、シートに両面テープを張り、レジストローラ側となる面を特定できるようにしてから、この両面テープが貼り付けられた側にバリが出るように打ち抜き成型を施して、ガイドシートを作成している。これにより、バリBがシート側にあることがなくなり、バリBによるシートのジャムやシートへのダメージを防止することができる。
【0043】
しかしながら、このバリBが第二レジストローラ側にあると、このバリBが第二レジストローラに接触し、大きな摺動音を発生させてしまうおそれがある。また、バリBによって第二レジストローラ84bが削られてしまい、第二レジストローラ84bが早期に寿命を迎えたり、第二レジストローラ84bの表面速度が変わってしまったりするおそれがある。
【0044】
そこで、本実施形態では、図8に示すように、ガイドシート87の第二レジストローラ84bと接触する少なくとも接触部に被膜層120を設けた。図8の例では、被膜層120を、ガイドシートの先端面87aと、シート対向面と反対側の面87bの先端部付近に形成して、バリBが発生している接触部であるガイドシートの先端部を被膜層120で覆った。図8に示すように被膜層120を形成することで、ガイドシート87先端のバリBを被膜層120で覆うことができる。被膜層120で覆うことで、バリBの尖りが抑制され、ガイドシート先端の第二レジストローラ84bへの引っ掛りが抑制される。これにより、摺動時の抵抗やガイドシート87の振動が抑制され、摺動音の低減を図ることができる。また、尖りが抑制されることで、第二レジストローラ84bの削れが抑制される。
【0045】
被膜層120のJIS B0601(2001)に基づく算術平均粗さRaは、0.01~1.0[μm]である。被膜層120の算術平均粗さRaを1.0[μm]以下とすることで、摺動時の抵抗や振動が小さくなり、第二レジストローラ84bとの摩擦係数を低減し、摺動音の発生を抑えることができる。特に、第二レジストローラ84bとガイドシート87との間の表面粗さに起因する擦れ音を低減することができ、静音化を実現するという見地から被膜層120の算術平均粗さRaは0.01~0.50[μm]、0.01~0.40[μm]、0.01~0.30[μm]の範囲であることが好ましく、0.01~0.25[μm]、0.01~0.20[μm]の範囲であることが特に好ましい。
【0046】
ここで、被膜層120の算術平均粗さRaは、塗装により被膜が形成された直後から上記範囲であってもよいが、被膜層形成後に、表面研磨加工または他部品との摺動を経て、被膜層120の算術平均粗さRaが上記範囲(特に、好適範囲)となってもよい。
【0047】
また、被膜層120の第二レジストローラ84bとの静止摩擦係数μsと動摩擦係数μdとの差Δμ(μs-μd)が、0.12以下にするのが好ましい。上記摩擦係数の差Δμを0.12以下にすることで、第二レジストローラ84bの回転停止後の再回転時において、ガイドシート87が第二レジストローラ84bとの摺動でスティックスリップ現象が発生するのを抑制することができる。これにより、スティックスリップ現象に起因する騒音(ビビリ音)が発生するのを抑制することができる。
【0048】
上記被膜層120の膜厚は、50[μm]以下が好ましい。被膜層120の膜厚を50[μm]以下とすることで、第二レジストローラ84bへの接触圧が高まるなどの膜厚の影響がほとんどなく、部材の寸法などを変更する必要がない。また、被膜層120の膜厚は、20[μm]以上であることが好ましい。被膜層120の膜厚を20[μm]以上とすることで、表面粗さを低減させる被膜層120の機能をより確実に発揮させることができる。
【0049】
なお、図8に示す被膜は一例であり、少なくともガイドシート87の第二レジストローラ84bとの接触部である先端部に設けていればよい。
【0050】
例えば、図9(a)に示すように、ガイドシート87の先端面87aの第二レジストローラ側の一部と、シート対向面と反対側の面87bの先端側にのみ設けてもよい。かかる構成でも、第二レジストローラ84bとの摺動箇所および先端部のバリBを被膜層120で覆うことができる。
また、図9(b)に示すように、シート対向面と反対側の面87bの先端側とバリBの箇所のみを被膜層120で覆ってもよい。
【0051】
図10(a)~(c)はガイドシート87の先端部Eにバリがない場合の被膜層120の一例である。図10(a)は、ガイドシートの先端面87aとシート対向面と反対側の面87bの先端側に被膜層120を設けた例である。また、図10(b)は、先端面87aの第二レジストローラ側の一部と、シート対向面と反対側の面87bの先端側に被膜層120を設けた例である。図10(c)は、ガイドシート87の先端部Eにのみ被膜層120を設けた例である。
【0052】
本実施形態においては、塗膜液を塗布して被膜層を形成するが、液体の表面張力により図10(a)や(b)に示すように、先端部Eを覆う箇所が(先端面とシート対向面と反対側の面87bとの辺)箇所が丸くなる。これにより、角の先端部が第二レジストローラ84bと摺動するよりも、丸みを帯びた被膜層120が接触する方が、第二レジストローラ表面への引っ掛りを抑制することができる。これにより、摺動音の発生や第二レジストローラ84bの削れを抑制することができる。
【0053】
また、被膜層120は、摺動する第二レジストローラ84bへ移行しないものが好ましい。これにより、被膜層120の機能を長期に亘って維持することができ、摺動音の発生を長期に亘り低減することができる。
【0054】
また、ガイドシート87と同様、PETの樹脂シートである紙粉除去部材88についても、ガイドシート87と同様に、第一レジストローラ84aと接触する接触部である先端部に上述した被膜層120を設けてもよい。これにより、第一レジストローラ84aとの摺動音の発生を抑制することができ、画像形成装置の騒音を抑制することができる。
【0055】
上記被膜層120は、少なくとも樹脂バインダーと固体潤滑剤とからなる。
樹脂バインダーとしては、溶剤系樹脂であっても、水系樹脂であっても、特に制限なく用いることができるが、水系エマルジョン型の樹脂を用いることが好ましい。樹脂バインダーは、硬化により被膜層を形成し、固体粒子等のバインダー樹脂として機能する。また、被膜層の静音性の見地から、水系エマルジョン型のコーティング剤組成物であることが好ましい。
【0056】
樹脂バインダーは、特に限定されるものではないが、ポリアミドイミド樹脂、エポキシ樹脂、シリコーン樹脂、フェノール樹脂、ポリアクリル樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリオレフィン樹脂またはこれらの変性物から選ばれる1種類以上の樹脂バインダーが例示される。
【0057】
また、固体潤滑剤は特に限定されるものではなく、1種類の固体潤滑剤を使用してもよく、また、2種類以上の固体潤滑剤を併用してもよい。具体的には、二硫化モリブデン、二硫化タングステン、ステアリン酸カルシウム、マイカ、黒鉛、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)その他の潤滑性樹脂及び酸素欠陥ペロブスカイト構造を持つ複合酸化物(SrCa1-xCuO等)等が挙げられる。
【0058】
好適には、固体潤滑剤としては、例えば、フッ素樹脂(特に、ポリテトラフルオロエチレン、テトラフルオロエチレンヘキサフルオロプロピレンコポリマー等)、ポリエチレン樹脂、ポリアミド樹脂、ポリプロピレン樹脂、ポリイミド樹脂、シリコーン樹脂等からなる有機化合物の微粒子、二硫化モリブデン、グラファイト、酸化ケイ素、酸化アルミニウム、窒化ホウ素、酸化亜鉛等の無機化合物の微粒子、鉛等の金属の微粒子、並びに、これらの混合物が挙げられる。特に、フッ素樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリアミド樹脂、二硫化モリブデン、グラファイト、酸化アルミニウム、窒化ホウ素、酸化亜鉛、酸化チタン、酸化ジルコニウム及びこれらの混合物から選ばれる少なくとも1種類の固体潤滑剤を使用することが好ましい。なお、得られる被膜層の消音化の見地から、無機化合物の微粒子、特に、二硫化モリブデン、グラファイト、酸化ケイ素、酸化アルミニウム、窒化ホウ素、酸化亜鉛等が好ましい。
【0059】
固体潤滑剤の平均粒径は15μm以下が好ましく、0.2~10μmがより好ましい。なお、ここでの平均粒径はレーザー回折式粒度分布測定装置を使用して測定された体積平均粒子径、または走査型電子顕微鏡を使用して観察された粒子径を意味する。
【0060】
また、被膜層120は、固体潤滑剤以外の固体粒子を含んでもよい。これらの固体粒子は、被膜層に所望の機能を付与する成分である。固体粒子の種類は特に制限されるものではないが、補強性充填剤;増稠剤;耐摩耗剤;顔料;色材;紫外線吸収剤;熱伝導性充填剤;導電性充填剤;絶縁材等の機能性粒子が例示される。なお、一部の粒子は、複数の機能性粒子として配合することができる。
【0061】
上記の固体潤滑剤およびその他の固体粒子の形状は、特に限定されるものではなく、粒子状、板状、針状、繊維状等の任意の形状のものを用いることができる。固体粒子の形状が板状、針状、繊維状等の異方性の場合、そのアスペクト比は1.5以上、5以上、または10以上であることができる。
【0062】
また、上記被膜層は、スプレー塗工や、刷毛やローラ等により塗布、含浸塗工など、公知の方法で形成することができる。樹脂バインダーとしては、溶剤系樹脂や水系樹脂を用いることで、塗布後、乾燥、硬化させるという比較的簡単な処理により被膜層を形成することができる。さらに、固形潤滑剤を含有することで、被膜層に潤滑性を付与することができ、被膜層とレジストローラとの摩擦係数の低減を図ることができ、摺動音の低減を図ることができる。
【0063】
〔実施形態2〕
図11は、実施形態2に係るプリンタの構成を示す概略構成図である。
実施形態2に係るプリンタも、イエロー(Y),シアン(C),マゼンタ(M),黒(K)のトナー像を形成するための4つの作像ユニット10Y,10C,10M,10Kを備えている。なお、Y,C,M,Kの色順は、図1に示される順に限られるものでなく、他の並び順であっても構わない。
【0064】
実施形態2の作像ユニット10Y,M,C,Kは、実施形態1同様に、感光体ドラム1Y,M,C,Kの周囲に、帯電手段たる帯電ローラ、現像手段たる現像装置、クリーニング装置などが配設されている。作像ユニット10Y,M,C,Kは、感光体ドラム1Y,M,C,Kと、その周囲に配設された帯電ローラ、現像装置、クリーニング装置とを1つのユニットとして共通の保持体に保持させたプロセスカートリッジとして構成されている。プリンタ本体に対して着脱可能になっており、その寿命到達持に一度に消耗部品を交換できるようになっている。
【0065】
作像ユニット10Y,C,M,Kの下方には、光書き込み装置5が配設されている。光書き込み装置5は、光源、ポリゴンミラー、f-θレンズ、反射ミラー等を備え、画像データに基づいて各色の感光体ドラム1Y,C,M,Kの表面に対してレーザー光の光走査を行う。この光走査により、感光体ドラム1Y,C,M,K上に、イエロー,シアン,マゼンタ,黒用の静電潜像が形成される。
【0066】
作像ユニット10Y,C,M,Kの上方には、トナー像を感光体ドラム1Y,C,M,Kから中間転写ベルト31を介してシートPに転写する中間転写ユニット30が配置されている。中間転写ベルト31は、複数のローラに張架されながら、少なくとも何れか1つのローラの回転駆動によって図中反時計回り方向に無端移動せしめられる。中間転写ユニット30は、中間転写ベルト31の他、一次転写ローラ34、ブラシローラ、クリーニングブレードを具備するベルトクリーニング装置50などを備えている。
【0067】
一次転写ローラ34は、中間転写ベルト31を感光体ドラム1Y,C,M,Kとの間に挟み込んでいる。これにより、感光体ドラム1Y,M,C,Kと、中間転写ベルト31のおもて面とが当接するY,C,M,K用の一次転写ニップが形成されている。中間転写ユニット30は、黒用の作像ユニット10Kよりもベルト移動方向下流側で、二次転写バックアップローラ32の近傍にてベルトループ外側に位置する二次転写ローラ61を備えている。二次転写ローラ61は、二次転写バックアップローラ32との間に中間転写ベルト31挟み込んで二次転写ニップを形成している。
【0068】
二次転写ローラ61の上方には、定着装置70が配設されている。定着装置70は、互いに回転しながら当接して定着ニップを形成する定着ローラと加圧ローラとを備えている。定着ローラは、ハロゲンヒータを内蔵し、定着ローラ表面が所定の温度となるように、電源からのヒータへ電力が供給され、加圧ローラとの間に定着ニップを形成している。
【0069】
プリンタ本体の下部には、出力画像が記録される記録媒体たるシートPを複数枚重ねて収容する給紙カセット81a、81b、給紙ローラ、レジストローラ対84などが配設されている。また、プリンタ本体の側面には、側面から手差しで給紙を行うための手差しトレイ81cが備えられている。
【0070】
プリンタ本体の上部には、作像ユニット10Y,C,M,Kの現像装置にトナーを補給するトナー補給容器17Y、17C、17M、17Kが配設されている。また、プリンタ本体には、廃トナーボトル、電源ユニットなども設けられている。
【0071】
次に、プリンタの動作について説明する。まず、帯電ローラと感光体ドラムとの接触領域で感光体ドラム1の表面を一様に帯電させる。所定の電位に帯電した感光体ドラム1の表面には、光書き込み装置5によって画像データに基づくレーザー光の走査がなされ、これによって感光体ドラム1に静電潜像が書き込まれる。静電潜像を担持した感光体ドラムの表面が感光体ドラム1の回転に伴って現像装置に到達すると、現像装置により、感光体ドラム1の表面の静電潜像にトナーが供給される。これにより、感光体ドラム1の表面にトナー像が形成される。現像装置内には、トナー濃度センサーの出力に応じて、トナー補給容器17から適量のトナーが補給される。
【0072】
上記動作が作像ユニット10Y,C,M,Kにおいて所定のタイミングで行われる。これにより、感光体ドラム1Y,C,M,Kの表面に、Y,C,M,Kトナー像が形成される。これらY,C,M,Kトナー像は、Y,C,M,K用の一次転写ニップで中間転写ベルト31のおもて面に順に重ね合わせて一次転写されていく。この一次転写は、一次転写ローラ34に、転写電源によってトナーと逆極性の電圧が印加されることで行われる。
【0073】
シートPは、給紙カセット81a、81b、もしくは手差しトレイ81cのいずれかから搬送され、レジストローラ対84に到達したところで一旦停止する。そして、所定のタイミングに合せてレジストローラ対84が回転してシートPを二次転写ニップへ向けて送り出す。
【0074】
中間転写ベルト31上に重ね合わされたY,C,M,Kトナー像は、二次転写ローラ61と中間転写ベルト31とが当接する二次転写ニップでシートPに二次転写される。この二次転写は、二次転写電源によって二次転写ローラ61にトナーと逆極性の電圧が印加されることで行われる。シートPは、二次転写ニップを出た後に定着装置70に向けて搬送されて定着ニップに挟み込まれる。シートP上のトナー像は、定着ニップにて定着ローラからの熱により加熱定着される。トナー像が定着せしめられたシートPは、片面印刷の場合には、各搬送ローラによって機外に排出される。また、両面印刷の場合、シートPは、各搬送ローラによって両面搬送路80dへ搬送されて反転され、先に画像が形成された面とは反対側の面に、上述したように画像が形成された後に機外に排出される。
【0075】
図12は、実施形態2のプリンタのレジストローラ対84付近の概略構成図である。図13は、レジストローラ対を保持する搬送機構190を第二レジストローラ84b側から見た斜視図であり、図14は、搬送機構190を第一レジストローラ84a側から見た斜視図である。
【0076】
実施形態2における第一レジストローラ84aおよび第二レジストローラ84bは、図13,図14に示すように、軸方向に所定の間隔を開けて複数設けられている。搬送機構190は、第一レジストローラ側に設けられた金属ガイド96と、第二レジストローラ側に設けられ、レジストニップよりも上流側で金属ガイド96と対向する樹脂からなる上流側ガイド95とを有している。金属ガイド96の各第一レジストローラ84aに対向する箇所には、それぞれ穴96aが形成されており、各第一レジストローラ84aは、穴96aから突出して第二レジストローラ84bに当接している。
【0077】
金属ガイド96は、アースに落とされている。搬送されるシートPのトナー画像が転写される面がこの金属ガイド96に触れることで、シートPのトナー画像が転写される面が除電される。これにより、トナー画像を良好にシートPに二次転写することができる。
【0078】
また、図12,図14に示すように、搬送機構190は、第一レジストローラ84aに付着した紙粉を除去する樹脂シートである紙粉除去部材88を有している。紙粉除去部材88は、レジストローラ対84を回転自在に支持する軸方向両端に設けられた一対の支持部材98a,98bに架け渡すように設けられたホルダ97(図14参照)に貼り付けられており、先端が第一レジストローラ84aに当接している。
【0079】
また、図12に示すように、紙粉除去部材88の下方には、紙粉回収箱89が設けられている。また、装置本体の紙粉除去部材88に対向する壁面には、紙粉除去部材88で除去した紙粉を、紙粉回収箱89へガイドする樹脂シートからなる紙粉ガイドシート89aが設けられている。
【0080】
紙粉除去部材88により第一レジストローラ84aから除去された(掻き取られた)紙粉は、図12の矢印Z示すように、紙粉ガイドシート89aに案内されて紙粉回収箱89へ落下し回収される。
【0081】
この実施形態2においても、第一レジストローラ84aに付着した紙粉を除去することで、第一レジストローラ84aからシートPのトナー画像が転写される面に紙粉が転位するのを抑制することができる。これにより、紙粉によりシートPに二次転写されるトナー画像が乱されるのを抑制することができる。
【0082】
また、樹脂シートである紙粉除去部材88の第一レジストローラ84aとの接触部に実施形態1と同様の被膜層を設けることで、第一レジストローラ84aとの摺動音の発生を抑制することができ、画像形成装置の騒音を抑制することができる。
【0083】
図12に示すように上流側ガイド95のガイド面95aのシート搬送方向上流側は、ガイド面95aの延長方向が金属ガイド96にぶつかるような傾斜となっている。給紙カセット81a、81bから搬送されてきたシートは、図12の実線で示すように、上流側ガイド95のガイド面95aのシート搬送方向上流側に接触する。このガイド面95aに接触したシートは、金属ガイド96に向かうようにガイドされ、金属ガイド96に接触する。そして、シートのトナー画像が転写される面が、金属ガイド96に摺動しながらレジストニップへ進入する。これにより、給紙カセット81a,81bから搬送されてきたシートのトナー画像が転写される面が金属ガイドにより除電される。これにより、トナー画像を良好にシートPに二次転写することができる。
【0084】
また、手差しトレイ81cや、両面搬送路80dを搬送されてきたシートは、図12の鎖線で示すように、図12の右側から湾曲しながら、上流側ガイド95と金属ガイドとの間に搬送される。そのため、シートはシートの復元力により金属ガイド96に接触し、シートのトナー画像が転写される面が、金属ガイド96に摺動しながらレジストニップへ進入する。よって、手差しトレイ81cや、両面搬送路80dを搬送されてきたシートのトナー画像が転写される面も金属ガイド96により除電される。これにより、トナー画像を良好にシートPに二次転写することができる。
【0085】
また、手差しトレイ81cや、両面搬送路80dを搬送されてきたシートの先端は、第一レジストローラ84a側にシートの復元力がかかった状態で、レジストニップに進入することになる。そのため、シートの先端が第一レジストローラ84aに突き当たってジャムとなるおそれがある。しかし、実施形態2では、図14に示すように、第一レジストローラ84aを所定の間隔を開けて、複数設け、その第一レジストローラ対の間にも金属ガイド96が位置するような構成としている。このような構成として、レジストニップの直前まで金属ガイド96によりシートの先端をガイドすることができ、シートの先端が第一レジストローラ84aに突き当たってジャムとなるのを抑制している。
【0086】
なお、上述ではレジストローラに接触する樹脂シート(紙粉除去部材88やガイドシート)に本発明を適用した例について説明したが、これに限らない。例えば、搬送ローラや二次転写ローラ、定着ローラなどの表面移動部材に接触してシートをガイドする樹脂シートに本発明を適用することができる。また、感光体ドラム、現像ローラ、帯電ローラ、中間転写ベルト、搬送ローラ、定着ローラ、二次転写ローラなどの表面移動部材に接触して表面に付着した紙粉などの付着物を除去する樹脂シートなどにも本発明を適用することができる。
【0087】
以上に説明したものは一例であり、次の態様毎に特有の効果を奏する。
(態様1)
表面が無端移動するレジストローラなどの表面移動部材に接触するガイドシート87や紙粉除去部材88などの樹脂シートにおいて、表面移動部材との接触部に被膜層120を設けた。
態様1によれば、樹脂シートのレジストローラなどの表面移動部材との接触部に被膜層を設けることで、表面移動部材の表面との間の摺動性を高めることが可能となり、摺動音を抑制することが可能となる。
【0088】
(態様2)
態様1において、被膜層120は、表面移動部材側へ移行しない。
これによれば、実施形態で説明したように、被膜層120の機能を長期に亘って維持することができ、摺動音の発生を長期に亘り低減することができる。
【0089】
(態様3)
態様1または2において、被膜層120のJIS B0601(2001)に基づく算術平均粗さが、Ra0.01[μm]以上1.0[μm]以下である。
これによれば、実施形態で説明したように、摺動時の抵抗や振動が小さくなり、第二レジストローラ84bなどの表面移動部材との摩擦係数を低減し、摺動音の発生を抑えることができる。
【0090】
(態様4)
態様1乃至3いずれかにおいて、被膜層120の動摩擦係数と静止摩擦係数との差が0.12以下である。
これによれば、実施形態で説明したように、レジストローラなどの表面移動部材の駆動開始時において、表面移動部材との摺動で、樹脂シートにスティックスリップ現象が発生するのを抑制することができる。これにより、スティックスリップ現象に起因する騒音(ビビリ音)が発生するのを抑制することができる。
【0091】
(態様5)
態様1乃至4いずれかに記載の樹脂シートにおいて、被膜層120が、固体潤滑剤を含有する樹脂で形成されている。
これによれば、実施形態で説明したように、被膜層120に潤滑性が付与され樹脂シートとレジストローラなどの表面移動部材との摩擦係数の低減を図ることができ、摺動音の発生を低減することができる。
【0092】
(態様6)
態様1乃至5いずれかにおいて、被膜層120の膜厚が50[μm]以下である。
これによれば、実施形態で説明したように、レジストローラなどの表面移動部材への接触圧が高まるなどの膜厚の影響がほどなく、部材の寸法などを変更する必要がない。
【0093】
(態様7)
態様1乃至6いずれかにおいて、被膜層120の膜厚が20[μm]以上である。
これによれば、実施形態で説明したように、被膜層120の膜厚を20[μm]以上とすることで、表面粗さを低減させる被膜層120の機能をより確実に発揮させることができる。
【0094】
(態様8)
態様1乃至7いずれかにおいて、接触部は、当該樹脂シートの端部である。
実施形態で説明したように、樹脂シートの端部には、バリが生じることがあり、接触部が端部である場合は、バリにより摺動音の増加やレジストローラなどの表面移動部材の削れなどの問題が生じやすい。しかし、態様1に示すように、接触部を被膜層で覆うことで、効果的に摺動音の低下などを抑制することができる。
【0095】
(態様9)
態様1乃至8いずれかにおいて、樹脂シートは、ポリエチレンテレフタレート(PET)である。
これによれば、可撓性を有する樹脂シートにできる。
【0096】
(態様10)
態様1乃至9いずれかにおいて、樹脂シートの厚みが、0.1[mm]以上である。
これによれば、実施形態で説明したように、樹脂シートにある程度のコシを持たせることができ、組み付け性をよくすることができる。また、樹脂シートの厚みが、0.1[mm]以上であり、シートにコシを持たせることで、摺動音が発生しやすくなるが、被膜層を設けることで、効果的に摺動音の発生を抑制することができる。
【0097】
(態様11)
態様1乃至11いずれかにおいて、第二レジストローラなどの表面移動部材の表面はゴム材である。
表面移動部材がゴム製であると、摺動音が発生しやくなるが、被膜層を設けることで、効果的に摺動音の発生を抑制することができる。
【0098】
(態様12)
シートを搬送するレジストローラなどのシート搬送ローラと、シート搬送ローラに接触するガイドシート87や紙粉除去部材88などの樹脂シートとを備えた搬送機構90,190などのシート搬送装置において、樹脂シートとして態様1乃至11いずれかの樹脂シートを用いた。
これによれば、シート搬送装置の騒音を抑制することができる。
【0099】
(態様13)
態様12において、樹脂シートが接触するシート搬送ローラが、レジストローラである。
これによれば、レジストローラとの摺動音を抑制することができる。
【0100】
(態様14)
プリンタなどの画像形成装置において、態様1乃至12いずれかの樹脂シートを備える。
これによれば、画像形成装置の騒音を抑制することができる。
【符号の説明】
【0101】
1 :感光体ドラム
10 :作像ユニット
61 :二次転写ローラ
80d :両面搬送路
81,81a,81b:給紙カセット
81c :手差しトレイ
82 :給紙ローラ
84 :レジストローラ対
84a :第一レジストローラ
84b :第二レジストローラ
85 :排紙ローラ
86 :排紙トレイ
87 :ガイドシート
87a :先端面
87b :シート対向面と反対側の面面
88 :紙粉除去部材
89 :紙粉回収箱
89a :紙粉ガイドシート
90 :搬送機構
91 :シート検知部材
91a :被検知部
91b :シート接触部
91c :揺動軸部
92 :光学センサ
95 :上流側ガイド
95a :ガイド面
96 :金属ガイド
96a :穴
97 :ホルダ
98a,98b:支持部材
120 :被膜層
190 :搬送機構
200 :装置本体
300 :プリンタ
【先行技術文献】
【特許文献】
【0102】
【文献】特開2000-229743号公報
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14