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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-13
(45)【発行日】2023-12-21
(54)【発明の名称】異物捕集装置、及び、画像形成装置
(51)【国際特許分類】
   G03G 21/00 20060101AFI20231214BHJP
   G03G 15/00 20060101ALI20231214BHJP
   G03G 21/16 20060101ALI20231214BHJP
   B01D 46/10 20060101ALI20231214BHJP
【FI】
G03G21/00 512
G03G21/00 538
G03G15/00 550
G03G21/16 147
G03G21/16 104
G03G21/00 370
G03G21/00 310
B01D46/10 D
【請求項の数】 11
(21)【出願番号】P 2020047599
(22)【出願日】2020-03-18
(65)【公開番号】P2021148903
(43)【公開日】2021-09-27
【審査請求日】2023-01-16
(73)【特許権者】
【識別番号】000006747
【氏名又は名称】株式会社リコー
(74)【代理人】
【識別番号】100117215
【弁理士】
【氏名又は名称】北島 有二
(72)【発明者】
【氏名】坂下 武司
【審査官】三橋 健二
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-217476(JP,A)
【文献】特開2002-023571(JP,A)
【文献】特開2011-128344(JP,A)
【文献】特開2012-181302(JP,A)
【文献】特開2006-029132(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2004/0126141(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G03G 21/00
G03G 15/00
G03G 21/16
B01D 46/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定方向の気流が形成される気流経路と、
前記気流経路の途中に設置されて、異物を捕集可能なフィルタと、
前記フィルタを回転軸を中心に回転させて、前記気流経路の経路内に位置する前記フィルタのフィルタ部を別のフィルタ部に移し替え可能な回転機構と、
前記フィルタに対して前記所定方向の上流側で前記気流経路から分岐する分岐気流経路と、
前記分岐気流経路の流入口を開閉する開閉機構と、
を備え、
前記気流経路の経路内に位置する前記フィルタ部が異物で目詰まりしたときに、気流によって前記開閉機構が閉鎖状態にあった前記流入口を開放して、前記分岐気流経路に流入した気流によって前記回転機構が駆動して前記フィルタが前記回転軸を中心に回転することを特徴とする異物捕集装置。
【請求項2】
前記開閉機構は、前記気流経路の経路内に位置する前記フィルタ部が異物で目詰まりしていないとき、前記流入口を閉鎖することを特徴とする請求項1に記載の異物捕集装置。
【請求項3】
前記開閉機構は、
前記流入口を開閉可能な弁部材と、
前記流入口を閉鎖する方向に前記弁部材を付勢する付勢部材と、
を具備したことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の異物捕集装置。
【請求項4】
前記回転機構は、
前記分岐気流経路の途中に設置されて、前記分岐気流経路に流入した気流によって回転するフィン部材と、
前記フィルタにおいて前記回転軸を中心に周状に形成された従動ギアに噛合して、前記フィン部材の回転に連動して回転する駆動ギアと、
を具備したことを特徴とする請求項1~請求項3のいずれかに記載の異物捕集装置。
【請求項5】
前記フィルタに付着した異物を除去可能な清掃装置を前記気流経路の経路外に備えたことを特徴とする請求項1~請求項4のいずれかに記載の異物捕集装置。
【請求項6】
前記清掃装置は、前記フィルタの表面に当接するスクレーパであることを特徴とする請求項5に記載の異物捕集装置。
【請求項7】
前記清掃装置は、前記フィルタの表面に対向する放電器であることを特徴とする請求項5に記載の異物捕集装置。
【請求項8】
前記気流経路における気流を発生させるファンと、
前記分岐気流経路に流入して前記回転機構を駆動するための気流の大きさを検知する検知手段と、
を備え、
前記検知手段の検知結果に基づいて前記ファンの出力を調整することを特徴とする請求項1~請求項7のいずれかに記載の異物捕集装置。
【請求項9】
前記分岐気流経路の途中に、異物を捕集可能な第2フィルタが設置されたことを特徴とする請求項1~請求項8のいずれかに記載の異物捕集装置。
【請求項10】
前記分岐気流経路は、前記フィルタに対して前記所定方向の下流側で前記気流経路に合流することを特徴とする請求項1~請求項9のいずれかに記載の異物捕集装置。
【請求項11】
請求項1~請求項10のいずれかに記載の異物捕集装置を備えたことを特徴とする画像形成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、異物を捕集する異物捕集装置と、それを備えた複写機、プリンタ、ファクシミリ、又は、それらの複合機や印刷機等の画像形成装置と、に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、複写機やプリンタ等の画像形成装置において、装置内で浮遊するトナーなどの異物を捕集する異物捕集装置を設置する技術が知られている(例えば、特許文献1参照。)。
【0003】
一方、特許文献1には、異物の捕集効率を長時間にわたって維持することを目的として、複数枚のフィルタを設けて、気流経路内に配置した1つのフィルタが目詰まりしたときに、別のフィルタを気流経路内に自動で配置する技術が開示されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来の技術は、フィルタが異物で目詰まりしてしまったときに、フィルタを交換する手間がかかってしまっていた。
このような不具合を解決するために、特許文献1に開示された技術を応用して、気流経路内に配置した1つのフィルタが目詰まりしたときに、別のフィルタを気流経路内に自動で配置する方策が考えられる。しかし、その場合、フィルタを自動交換するための構成や制御や複雑になってしまう不具合や、フィルタの形状が複雑化してしまう不具合などが生じてしまうことになる。
【0005】
この発明は、上述のような課題を解決するためになされたもので、比較的簡易に、異物の捕集効率を長時間にわたって維持することができる、異物捕集装置、及び、画像形成装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この発明における異物捕集装置は、所定方向の気流が形成される気流経路と、前記気流経路の途中に設置されて、異物を捕集可能なフィルタと、前記フィルタを回転軸を中心に回転させて、前記気流経路の経路内に位置する前記フィルタのフィルタ部を別のフィルタ部に移し替え可能な回転機構と、前記フィルタに対して前記所定方向の上流側で前記気流経路から分岐する分岐気流経路と、前記分岐気流経路の流入口を開閉する開閉機構と、を備え、前記気流経路の経路内に位置する前記フィルタ部が異物で目詰まりしたときに、気流によって前記開閉機構が閉鎖状態にあった前記流入口を開放して、前記分岐気流経路に流入した気流によって前記回転機構が駆動して前記フィルタが前記回転軸を中心に回転するものである。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、比較的簡易に、異物の捕集効率を長時間にわたって維持することができる、異物捕集装置、及び、画像形成装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】この発明の実施の形態における画像形成装置を示す全体構成図である。
図2】異物捕集装置を示す構成図である。
図3】回転式のフィルタを示す下面図である。
図4】フィルタの目詰まりが生じたときの異物捕集装置の動作を示す図である。
図5】異物捕集装置でおこなわれる制御を示すフローチャートである。
図6】変形例1としての、異物捕集装置を示す構成図である。
図7】変形例2としての、画像形成装置の要部を示す概略斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、この発明を実施するための形態について、図面を参照して詳細に説明する。なお、各図中、同一又は相当する部分には同一の符号を付しており、その重複説明は適宜に簡略化ないし省略する。
【0010】
まず、図1にて、画像形成装置1における全体の構成・動作について説明する。
図1において、1は画像形成装置としての複写機、2は原稿Dの画像情報を光学的に読み込む原稿読込部、3は原稿読込部2で読み込んだ画像情報に基いた露光光Lを感光体ドラム5上に照射する露光部、を示す。
また、4は感光体ドラム5上に形成された潜像を現像してトナー像(画像)を形成する現像装置、5は像担持体としての感光体ドラム、6は感光体ドラム5の表面を帯電する帯電装置、7は感光体ドラム5上に形成されたトナー像をシートPに転写する転写装置(転写ベルト)、8は感光体ドラム5上に残留した未転写トナーを除去するクリーニング装置、を示す。
また、10はセットされた原稿Dを原稿読込部2に搬送する原稿搬送部、12は用紙などのシートPが収納された給紙部(給紙カセット)、20はシートP上のトナー像(未定着画像)を加熱してシートPに定着する定着装置、21は定着装置20に設置された定着ローラ、22は定着装置20に設置された加圧ローラ、30は画像形成装置1内の異物を捕集する異物捕集装置、45は転写装置7(転写ニップ)に向けてシートPを搬送するタイミングローラ(レジストローラ)、を示す。
【0011】
図1を参照して、画像形成装置における、通常の画像形成時の動作について説明する。
まず、原稿Dは、原稿搬送部10の搬送ローラによって、原稿台から図中の矢印方向に搬送されて、原稿読込部2上を通過する。このとき、原稿読込部2では、上方を通過する原稿Dの画像情報が光学的に読み取られる。
そして、原稿読込部2で読み取られた光学的な画像情報は、電気信号に変換された後に、露光部3(書込装置)に送信される。そして、露光部3からは、その電気信号の画像情報に基づいた露光光L(レーザ光)が、感光体ドラム5上に向けて発せられる。
【0012】
一方、像担持体としての感光体ドラム5は図中の時計方向に回転しており、所定の作像プロセス(帯電工程、露光工程、現像工程)を経て、感光体ドラム5上に画像情報に対応した画像(トナー像)が形成される。その後、感光体ドラム5上に形成された画像は、転写装置7との対向位置(転写ニップ)で、タイミングローラ45により搬送されたシートP上に転写される。
【0013】
詳しくは、感光体ドラム5は、図1の時計方向に回転している。そして、まず、感光体ドラム5の表面は、帯電装置6との対向位置で、一様に帯電される(帯電工程である。)。こうして、感光体ドラム5上には、帯電電位が形成される。なお、本実施の形態では、帯電装置6として、公知のコロナ放電方式の帯電チャージャを用いている。
その後、帯電された感光体ドラム5の表面は、露光光Lの照射位置に達する。そして、感光体ドラム5の表面に、原稿読込部2で読み込んだ画像情報に基いた静電潜像が形成される(露光工程である。)。
その後、静電潜像が形成された感光体ドラム5の表面は、現像装置4との対向位置に達する。そして、現像装置4から感光体ドラム5上にトナーが供給されて、感光体ドラム5上の潜像が現像される(現像工程である。)。
その後、現像工程後の感光体ドラム5の表面は、転写装置7との対向位置(転写ニップ)に達する。そして、転写装置7の位置で、シートP上に、感光体ドラム5上に形成されたトナー像が転写される(転写工程である。)。なお、転写装置7(転写ベルト)には、トナーの極性とは異なる極性の転写バイアスが印加されている。
そして、転写工程後の感光体ドラム5の表面は、クリーニング装置8との対向位置に達する。そして、クリーニング装置8で、感光体ドラム5上に残存する未転写トナーが除去・回収される(クリーニング工程である。)。
その後、感光体ドラム5の表面は、除電部を通過して、感光体ドラム5における一連の作像プロセスが終了する。
【0014】
一方、転写装置7の位置(転写ニップ)に搬送されるシートPは、次のように動作する。
まず、給紙部12に収納されたシートPの最上方の1枚が、給紙ローラによって、複数の搬送ローラ対が設置された搬送経路に向けて給送される。その後、シートPは、タイミングローラ45の位置に達する。そして、タイミングローラ45の位置に達したシートPは、感光体ドラム5上に形成された画像と位置合わせをするためにタイミングを合わせて、転写装置7(転写ニップ)に向けて搬送される。
【0015】
そして、転写工程後のシートPは、転写装置7の位置を通過した後に、搬送経路を経て定着装置20に達する。定着装置20に達したシートP(未定着画像が担持されたシートPである。)は、定着ローラ21(熱源としてのヒータが内設されている。)と加圧ローラ22との間に送入されて、定着ローラ21から受ける熱と双方の部材21、22から受ける圧力とによってトナー像(画像)が定着される。トナー像が定着されたシートPは、定着ローラ21と加圧ローラ22との間(定着ニップである。)から送出された後に、画像形成装置本体1から排出される。
こうして、一連の画像形成プロセスが完了する。
【0016】
次に、本実施の形態において、画像形成装置1に設置される異物捕集装置30について詳述する。
図1図2を参照して、本実施の形態における画像形成装置1には、画像形成装置1内に存在する浮遊トナーなどの異物を捕集して装置外に排出しないための異物捕集装置30が設けられている。なお、図2(及び、図4)では、異物捕集装置30を、図1の図示方向に対して90度回転させて図示している。
画像形成装置1内に存在する異物としては、感光体ドラム5などの周囲を浮遊するトナーや紙粉や、画像形成時(帯電工程時)に帯電装置6による高圧放電によって生成されたオゾンや、オゾンによってイオン化したUFP(超微粒子)や、定着装置20から生じた揮発性有機化合物(VOC)、などがある。そして、異物捕集装置30は、これらの異物のうち、1つ又は複数の異物を捕集可能に構成されている。
【0017】
図1図2に示すように、本実施の形態における異物捕集装置30には、所定方向(図1の白矢印方向、図2の矢印方向である。)の気流が形成される気流経路としての第1ダクト31が設けられている。そして、第1ダクト31(気流経路)の途中には、第1ダクト31における気流を発生させるファン41(吸引ファン)や、異物を捕集可能なフィルタ35が設置されている。
【0018】
詳しくは、第1ダクト31は、吸引口Aが作像部(感光体ドラム5とその周囲とである。)に向けて開口していて、排出口Bが画像形成装置1の外部に向けて開口している。
第1ダクト31内(気流経路の流路内)には、フィルタ35の上流側に、吸引口Aから空気を吸引して排出口Bから排出するためのファン41が設けられている。
フィルタ35は、例えば、静電フィルタ、オゾンフィルタ、VOCフィルタ、又は、それらが重ね合された複合フィルタ、であって、異物を捕集して空気を通過させるように形成されている。
このような構成により、ファン41の吸引によって、作像部の周囲に存在する異物が空気とともに吸引口Aから第1ダクト31(気流経路)内に吸引されて、第1ダクト31内を図1の白矢印方向(図2の矢印方向)に流動する。そして、フィルタ35によって、空気中の異物が捕集されて、空気のみがフィルタ35を通過して、排出口Bから装置外に排出されることになる。
これにより、画像形成装置1内に異物が存在することによる異常画像の発生などが軽減されるとともに、異物が装置外に排出されてしまう不具合も防止されることになる。
【0019】
ここで、図2に示すように、本実施の形態における異物捕集装置30には、フィルタ35を回転軸35aを中心に回転させて、第1ダクト31(気流経路)の経路内に位置するフィルタ35のフィルタ部35b(フィルタとして機能する部分である。)を別のフィルタ部35bに移し替え可能な回転機構46、47が設けられている。
また、異物捕集装置30には、フィルタ35に対して所定方向(気流方向)の上流側(図2の上方である。)で第1ダクト31(気流経路)から分岐する分岐気流経路としての第2ダクト32と、第2ダクト32(分岐気流経路)の流入口32aを開閉する開閉機構43、44と、が設けられている。
【0020】
詳しくは、図2図3に示すように、フィルタ35は、略円柱状に形成されていて、回転軸35a(第1ダクト31の外部に位置している。)を中心に回転可能に装置筐体に保持されている。そのため、フィルタ35の一部のみが、フィルタ部35bとして、第1ダクト31の経路内に位置することになる。
そして、フィルタ35が回転軸35aを中心に図3の矢印方向に回転すると、第1ダクト31の経路内に位置するフィルタ部35bが移り替わることになる。なお、フィルタ35の底部には、従動ギア35cが回転軸35aを中心に周状に形成されている。
【0021】
一方、図2に示すように、回転機構は、フィン部材46と駆動ギア47とが軸部(軸受を介して装置筐体に回転可能に保持されている。)に設置されたものである。
フィン部材46は、第2ダクト32(分岐気流経路)の途中に設置されていて、第2ダクト32(分岐気流経路)に流入した気流によって回転する部材である。フィン部材46には、複数のフィンが軸部を中心に放射状に形成されている。
駆動ギア47は、フィルタ35の従動ギア35cに噛合して、フィン部材46の回転に連動して回転するギアである。
このように構成された回転機構46、47によって、図4(A)に示すように第2ダクト32内に矢印方向の気流が生じると、その気流によってフィン部材46が駆動ギア47とともに軸部を中心に回転して、駆動ギア47から従動ギア35cに駆動が伝達されたフィルタ35が回転軸35aを中心に回転することになる。これに対して、図2等に示すように、第2ダクト32内に気流が生じていないときには、フィン部材46が回転せず、フィルタ35も回転停止した状態になる。
【0022】
また、図2を参照して、開閉機構は、主として、流入口32aを開閉可能な弁部材43と、流入口32aを閉鎖する方向(図2の右方である。)に弁部材43を付勢する付勢部材としての圧縮スプリング44と、で構成されている。
具体的に、第2ダクト32(流入口32a)は、フィルタ35の上流側で第1ダクト31に連通している。一方、弁部材43は、図2の左右方向に移動可能に第2ダクト32に保持されている。圧縮スプリング44は、一端側が第2ダクト32に接続され、他端側が弁部材43に接続されている。
このように構成された開閉機構は、弁部材43が図2の左方への所定の大きさ以上の気流(外力)を受けないときには、圧縮スプリング44の付勢によって流入口32aを閉鎖する閉鎖位置(図2図4(B)の位置である。)に移動する。これに対して、弁部材43が図2の左方への所定の大きさ以上の気流(外力)を受けたときには、圧縮スプリング44の付勢に抗するように、流入口32aを開放する開放位置(図4(A)の位置である。)に移動する。なお、圧縮スプリング44のスプリング力は、このような弁部材43の開閉動作を可能にする値に設定されている。
【0023】
なお、図2に示すように、本実施の形態において、分岐気流経路としての第2ダクト32は、フィルタ35に対して所定方向(気流方向)の下流側で第1ダクト31(気流経路)に合流するように形成されている。
すなわち、第2ダクト32は、第1ダクト31においてフィルタ35が設置された部分を迂回するようにバイパス経路として機能している。さらに換言すると、第2ダクト32は、第1ダクト31から流入口32aを介して流入した空気を、流出口32bを介して第1ダクト31に排出できるように構成されている。
【0024】
そして、本実施の形態では、図4(A)に示すように、第1ダクト31(気流経路)の経路内に位置するフィルタ部35b1がトナーなどの異物Tで目詰まりしたときに、気流によって開閉機構43,44が閉鎖状態にあった流入口32aを開放して、図4(B)に示すように、第2ダクト32(分岐気流経路)に流入した気流によって回転機構46、47が駆動してフィルタ35が回転軸35aを中心に回転することになる。
なお、本願明細書等において、「フィルタが異物で目詰まりした」状態とは、フィルタが正常に空気を通過させることができない状態(空気の通過率が所定値以下になる状態である。)であるものと定義する。
【0025】
詳しくは、第1ダクト31(気流経路)の経路内に位置するフィルタ部35b1が異物Tで目詰まりしていないとき、第1ダクト31内の気流はフィルタ35によって妨げられることがないため(空気がフィルタ35を充分に通過するため)、第2ダクト32内に空気が入り込むことなく、開閉機構43、44は流入口32aを閉鎖することになる(図2の状態である。)。このとき、フィン部材46が回転せず、フィルタ35も回転停止した状態になる。
これに対して、図4(A)に示すように、第1ダクト31の経路内に位置するフィルタ部35b1が異物Tで目詰まりしてしまうと、第1ダクト31内の気流はフィルタ35によって妨げられるため(空気がフィルタ35を充分に通過しないため)、行き場を失った空気が第2ダクト32内に入り込んで弁部材43を押動して、開閉機構43、44は流入口32aを開放することになる。そして、図4(B)に示すように、第2ダクト32に流入した気流によってフィン部材46(回転機構)が回転して、フィルタ35が回転軸35aを中心に回転することになる。こうして、目詰まりしていたフィルタ部35b1が第1ダクト31の外部に移動して、その代わりに、目詰まりしていないフィルタ部35b2が第1ダクト31の内部に移動することになる。そして、そのように目詰まりしていないフィルタ部35b2が第1ダクト31の内部に移動すると、再び第1ダクト31内の気流がフィルタ35によって妨げられなくなるため、第2ダクト32内に空気が入り込むことなく、開閉機構43、44は流入口32aを閉鎖することになる。
【0026】
このようなメカニズムにより、第1ダクト31の経路内に位置するフィルタ部35bの目詰まりが生じている間は、目詰まりのないフィルタ部35bが第1ダクト31の経路内に位置するまで、フィルタ35の回転動作がおこなわれ、目詰まりのないフィルタ部35bが第1ダクト31の経路内に位置したときにフィルタ35の回転動作が停止することになる。そのため、新品のフィルタ35の使用が開始されてから、フィルタ部35bの目詰まりが生じるごとに、そのフィルタ部35bに隣接するフィルタ部35b(目詰まりのないフィルタ部)が第1ダクト31内に移動するように、フィルタ35が比較的小さな回転角度で回転を繰り返すことになる。
【0027】
このように、本実施の形態における異物捕集装置30は、フィルタ部35bが異物Tで目詰まりしてしまっても、フィルタ35に目詰まりのないフィルタ部35bがある限りフィルタ35の交換が不要になるため、フィルタ35の交換サイクルが大幅に長期化されて、異物の捕集効率を長時間にわたって維持することができる。
また、そのような目詰まりのないフィルタ部35bの移り替えは、複雑な機構や制御を必要とせず、またフィルタ35の形状が複雑化することなく、フィルタ部35bの目詰まりの発生にともなう第2ダクト32への空気の流入によって簡易におこなうことができる。
【0028】
ここで、図2図3等に示すように、本実施の形態における異物捕集装置30には、フィルタ35に付着した異物を除去可能な清掃装置としてのスクレーパ37が、第1ダクト31(気流経路)の経路外に設けられている。
詳しくは、スクレーパ37(清掃装置)は、フィルタ35の表面(気流方向上流側の表面である。)に当接する薄い板状部材であって、その根元部が装置筐体に保持され、その先端部(自由端)がフィルタ35の径方向に略沿うように当接している。
このようにスクレーパ37を設置することで、フィルタ35が回転軸35aを中心に回転すると、スクレーパ37がフィルタ35の表面に摺接することになる。そして、目詰まりしたフィルタ部35bがスクレーパ37の位置に達したときに、フィルタ部35bの表面に付着した異物Tがスクレーパ37によって機械的に掻き取られることになる。
このように、フィルタ35は、その回転にともない、目詰まりのないフィルタ部35bが第1ダクト31の経路内に移動するとともに、目詰まりしたフィルタ部35bがスクレーパ37で清掃されるため、フィルタ35の交換サイクルがさらに大幅に長期化されることになる。
【0029】
また、本実施の形態における異物捕集装置30には、図2図4に示すように、第2ダクト32(分岐気流経路)に流入して回転機構46、47を駆動するための気流の大きさを検知する検知手段としての風量センサ50が設けられている。そして、風量センサ50(検知手段)の検知結果に基づいて、ファン41(図1参照)の出力を調整している。
詳しくは、風量センサ50(検知手段)は、第2ダクト32において、開閉機構43、44に対して気流方向下流側であって、フィン部材46に対して気流方向上流側に配置されている。そして、風量センサ50は、その位置を通過する気流の風量(又は風速)を検知する。そして、風量センサ50によって検知した風量が所定値M以下である場合には、回転機構46、47を駆動するだけの風量が足りないものとして、ファン41の出力が大きくなるように(風量が増加するように)、ファン出力を調整制御する。
【0030】
具体的に、図5に示すように、まず、風量センサ50によって第2ダクト32(分岐気流経路)の風量が所定値Mに達していないかを判別する(ステップS1)。その結果、風量が所定値Mに達していない場合には、ファン41の出力が閾値N(定格出力である。)に達していないかを判別して(ステップS2)、ファン出力が閾値Nに達していない場合にファン出力をアップする(ステップS3)。
このような制御をおこなうことで、回転機構46、47を駆動するだけの風量が足りなくてフィルタ35の回転動作をおこなえない不具合を軽減することができる。
なお、図2に示すように、フィルタ部35bの目詰まりが生じておらず、そもそも第2ダクト32内に気流が生じ得ない状態では、風量センサ50で検知される風量はゼロ(又はゼロに近い値)になって、そのままではファン41の出力が無駄にアップされてしまう。そのような不具合を防止するために、例えば、風量センサ50で検知された風量が所定値Mを下回りファン出力をアップしても、風量センサ50で検知される風量にほとんど変化が生じないときにはファン出力をもとに戻す制御をおこなうことができる。また、風量センサ50で検知される風量がゼロ(又はゼロに近い値)であるときには、ファン出力をアップする制御はおこなわないようにすることもできる。
【0031】
また、図2等に示すように、第2ダクト32(分岐気流経路)の途中に、異物を捕集可能な第2フィルタ39が設置されている。
詳しくは、第2フィルタ39は、フィルタ35と同じ材料で形成されていて、第2ダクト32においてフィン部材46(回転機構)と流出口32bとの間に設置されている。本実施の形態では、第2フィルタ39は、流出口32bに配置されている。
このように第2フィルタ39を設けることで、第2ダクト32に流入した空気中に含まれる異物を捕集することができる。そのため、第2ダクト32を介して異物が画像形成装置1の外部に放出されてしまう不具合を軽減することができる。
なお、第2ダクト32に空気が流入される時間は、上述したようにフィルタ35が小さな角度回転するだけの時間であって、それほど長くはない。そのため、第2フィルタ39が目詰まりするサイクルは、フィルタ35に比べて圧倒的に長くなる。
【0032】
<変形例1>
図6に示すように、変形例1における異物捕集装置30は、フィルタ35に付着した異物を除去可能な清掃装置として、第1ダクト31の経路外で、フィルタ35の表面に対向する放電器38を用いている。
詳しくは、放電器38(清掃装置)は、高圧電源55から供給される高圧電圧によって放電を生じさせて、フィルタ35の表面(気流方向上流側の表面である。)に付着した異物Tを静電的に除去して吸着するものである。
このように、清掃装置として放電器38を用いた場合であっても、フィルタ35は、その回転にともない、目詰まりのないフィルタ部35bが第1ダクト31の経路内に移動するとともに、目詰まりしたフィルタ部35bが放電器38で清掃されるため、フィルタ35の交換サイクルが大幅に長期化されることになる。特に、清掃装置として放電器38を用いる場合には、フィルタ35に対して非接触で清掃をおこなうことができるため、清掃によるフィルタ35の摩耗が生じない。
【0033】
<変形例2>
図7に示すように、変形例2における画像形成装置1は、作像部に複数の感光体ドラム5Y、5M、5C、5Kと中間転写ベルト17とが設置されたカラー画像形成装置である。
詳しくは、4色(イエロー、マゼンタ、シアン、ブラック)の感光体ドラム5Y、5M、5C、5Kでそれぞれ形成された画像が、中間転写ベルト17上に重ねて転写(1次転写)された後に、そのように中間転写ベルト17上に重ねられたカラー画像がシートP上に転写(2次転写)されることになる点以外は、図1に示すモノクロ画像形成装置1とほぼ同じ画像形成プロセスがおこなわれる。
そして、このようなカラー画像形成装置1に対しても、当然に、図2等で説明した異物捕集装置30を設置することができる。
なお、変形例2では、第1ダクト31の吸引口Aが、中間転写ベルト17の側方に向けて開口するように形成されている。したがって、変形例2における異物捕集装置30は、中間転写ベルト17の周囲に存在する異物を捕集することになる。
また、変形例2では、第1ダクト31において気流を発生させるファン41が、フィルタ35の下流側であって排出口Bの上流側に設置されている。このような場合であっても、第1ダクト31の経路内に位置するフィルタ部35bが目詰まりしたときに、第2ダクト32に気流を生じさせてフィルタ35を回転させることが可能である。その場合、流入口32aを開閉する開閉機構として、例えば、フィルタ目詰まり時にファン41による吸引よって第2ダクト32内に生じる負圧によって流入口32aを開放する弁(可撓性を有する材料で形成されたものである。)などを用いることができる。
【0034】
以上説明したように、本実施の形態における異物捕集装置30は、所定方向の気流が形成される第1ダクト31(気流経路)と、第1ダクト31の途中に設置されて異物を捕集可能なフィルタ35と、が設けられている。また、フィルタ35を回転軸35aを中心に回転させて第1ダクト31の経路内に位置するフィルタ35のフィルタ部35bを別のフィルタ部35bに移し替え可能な回転機構46、47と、フィルタ35に対して所定方向の上流側で第1ダクト31から分岐する第2ダクト32(分岐気流経路)と、第2ダクト32の流入口32aを開閉する開閉機構43、44と、が設けられている。そして、第1ダクト31の経路内に位置するフィルタ部35bが異物で目詰まりしたときに、気流によって開閉機構43、44が閉鎖状態にあった流入口32aを開放して、第2ダクト32に流入した気流によって回転機構46、47が駆動してフィルタ35が回転軸35aを中心に回転する。
これにより、比較的簡易に、異物の捕集効率を長時間にわたって維持することができる。
【0035】
なお、本実施の形態では、作像部の周囲に存在する異物を捕集する異物捕集装置30に対して本発明を適用したが、それ以外の異物を捕集する異物捕集装置に対しても当然に本発明を適用することができる。
また、本実施の形態では、電子写真方式の画像形成装置1に設置された異物捕集装置30に対して本発明を適用したが、本発明の適用はこれに限定されることなく、その他の方式の画像形成装置(例えば、インクジェット方式の画像形成装置や、孔版印刷装置などである。)に設置された異物捕集装置に対しても、本発明を適用することができる。
そして、それらの場合であっても、本実施の形態のものと同様の効果を得ることができる。
【0036】
なお、本発明が本実施の形態に限定されず、本発明の技術思想の範囲内において、本実施の形態の中で示唆した以外にも、本実施の形態は適宜変更され得ることは明らかである。また、前記構成部材の数、位置、形状等は本実施の形態に限定されず、本発明を実施する上で好適な数、位置、形状等にすることができる。
【0037】
なお、本願明細書等において、「~経路の途中」なる表現は、その経路の上流側端部から下流側端部までのいずれかの位置(上流側端部や下流側端部を含む。)を示すものと定義する。
【符号の説明】
【0038】
1 画像形成装置(画像形成装置本体)、
30 異物捕集装置、
31 第1ダクト(気流経路)、
32 第2ダクト(分岐気流経路)、
32a 流入口、
32b 流出口、
35 フィルタ、
35a 回転軸、
35b フィルタ部、
35c 従動ギア、
37 スクレーパ(清掃装置)、
38 放電器(清掃装置)、
39 第2フィルタ、
41 ファン、
43 弁部材(開閉機構)、
44 圧縮スプリング(付勢部材、開閉機構)、
46 フィン部材(回転機構)、
47 駆動ギア(回転機構)、
50 風量センサ(検知手段)、
A 吸引口、 B 排出口、
P シート(用紙)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0039】
【文献】特開2015-100727号公報
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7