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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-13
(45)【発行日】2023-12-21
(54)【発明の名称】形状測定装置の制御方法
(51)【国際特許分類】
   G01B 5/20 20060101AFI20231214BHJP
【FI】
G01B5/20 C
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2019188280
(22)【出願日】2019-10-14
(65)【公開番号】P2021063709
(43)【公開日】2021-04-22
【審査請求日】2022-09-14
(73)【特許権者】
【識別番号】000137694
【氏名又は名称】株式会社ミツトヨ
(74)【代理人】
【識別番号】100143720
【弁理士】
【氏名又は名称】米田 耕一郎
(72)【発明者】
【氏名】神谷 浩
(72)【発明者】
【氏名】榊原 昇太
【審査官】眞岩 久恵
(56)【参考文献】
【文献】特開2013-228326(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01B 5/00-5/30
G01B 21/00-21/32
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
3つの並進軸を有する移動機構と、
前記移動機構に支持され、先端に測定子を有するプローブと、
測定対象物を載置する回転テーブルを回転軸回りに回転駆動させる回転テーブル機構と、を有し、前記プローブが倣い経路に沿って前記測定対象物を倣い測定する形状測定装置の制御方法であって、
オペレータが倣い経路とともに回転テーブルの回転角指令を設定しておき、
前記倣い経路のデータに基づいて、前記プローブが前記倣い経路に沿って移動するように前記移動機構を駆動制御する速度ベクトル指令を生成し、
前記回転角指令に基づいて前記回転テーブル機構への回転指令を生成し、
前記回転指令の分を減じるように前記速度ベクトル指令を補正して補正後速度ベクトル指令を生成し、
前記回転指令と前記補正後速度ベクトル指令とにより、前記回転テーブル機構と前記移動機構とを駆動制御し、
前記移動機構への移動指令と前記回転テーブル機構への回転指令とを同期させて、前記プローブが前記倣い経路に沿って前記測定対象物を倣い測定するようにする
ことを特徴とする形状測定装置の制御方法。
【請求項2】
3つの並進軸を有する移動機構と、
前記移動機構に支持され、先端に測定子を有するプローブと、
測定対象物を載置する回転テーブルを回転軸回りに回転駆動させる回転テーブル機構と、を有し、前記プローブが倣い経路に沿って前記測定対象物を倣い測定する形状測定装置の制御方法であって、
オペレータが倣い経路とともに回転テーブルの回転角指令を設定しておき、
前記回転指令の分を減じるように前記倣い経路のデータを補正して補正後倣い経路データを生成し、
前記補正後倣い経路データに基づいて、前記移動機構を駆動制御する速度ベクトル指令を生成し、
前記回転角指令に基づいて前記回転テーブル機構への回転指令を生成し、
前記回転指令と前記速度ベクトル指令とにより、前記回転テーブル機構と前記移動機構とを駆動制御し、
前記移動機構への移動指令と前記回転テーブル機構への回転指令とを同期させて、前記プローブが前記倣い経路に沿って前記測定対象物を倣い測定するようにする
ことを特徴とする形状測定装置の制御方法。
【請求項3】
3つの並進軸を有する移動機構と、
前記移動機構に支持され、先端に測定子を有するプローブと、
測定対象物を載置する回転テーブルを回転軸回りに回転駆動させる回転テーブル機構と、を有し、前記プローブが倣い経路に沿って前記測定対象物を倣い測定する形状測定装置の制御方法であって、
オペレータが倣い経路を設定し、
前記倣い経路のデータに基づいて、前記プローブが前記倣い経路に沿って移動するように前記移動機構を駆動制御する速度ベクトル指令を生成し、
前記速度ベクトル指令に基づいて前記回転テーブル機構への回転指令を生成し、
前記回転指令の分を減じるように前記速度ベクトル指令を補正して補正後速度ベクトル指令を生成し、
前記回転指令と前記補正後速度ベクトル指令とにより、前記回転テーブル機構と前記移動機構とを駆動制御し、
前記移動機構への移動指令と前記回転テーブル機構への回転指令とを同期させて、前記プローブが前記倣い経路に沿って前記測定対象物を倣い測定するようにする
ことを特徴とする形状測定装置の制御方法。
【請求項4】
請求項3に記載の形状測定装置の制御方法において、
前記速度ベクトル指令に基づいて前記回転テーブル機構への回転指令を生成する工程は、
経路速度ベクトルVfの方向変化に基づいて前記回転テーブル機構への回転指令を生成する
ことを特徴とする形状測定装置の制御方法。
ここで、経路速度ベクトルVfは、倣い経路上の一の補間点から次の補間点に向かう方向をもつベクトルである。
【請求項5】
請求項3に記載の形状測定装置の制御方法において、
前記速度ベクトル指令に基づいて前記回転テーブル機構への回転指令を生成する工程は、
前記移動機構が前記プローブを前記測定対象物に押し当てる所定の方向をアプローチ方向APとするとき、
押込み量修正ベクトルVeとアプローチ方向APとがなす角度に基づいて前記回転テーブル機構への回転指令を生成する
ことを特徴とする形状測定装置の制御方法。
ここで、押込み量修正ベクトルVeは、前記プローブの押込み量Epが所定の基準押込み量E0になるようにするためのベクトルであり、接触点における測定対象物の法線に平行な方向を有する。
【請求項6】
請求項3に記載の形状測定装置の制御方法において、
前記速度ベクトル指令に基づいて前記回転テーブル機構への回転指令を生成する工程は、
前記回転テーブル機構の回転中心Ocを中心として、前記プローブと前記測定対象物との接触点と前記回転中心Ocとの距離r1を半径とする仮想円C1を求め、
前記仮想円C1の前記接触点における接線L1を求め、
前記速度ベクトル指令の前記接線L1方向の成分である回転方向ベクトルVL1を求め、
前記回転方向ベクトルVL1に基づいて前記回転テーブル機構への回転指令を生成する
ことを特徴とする形状測定装置の制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、形状測定装置の制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
測定対象物の表面に沿って測定子を倣い移動させることで測定対象物の形状を測定する形状測定装置が知られている(例えば、特許文献1、2、3参照)。倣い測定にあたっては、倣い測定の経路を生成しておく必要がある。
【0003】
特許文献1に記載の装置では、CADデータ等に基づいた設計値(例えばNURBS(Non-UniformRationalB-Spline:非一様有理Bスプライン)データ)を所定次数の多項式曲線群に変換する。
この手順を簡単に説明する。
まず、外部のCADシステム等から経路情報を含んだCADデータ(例えばNURBSデータ)を受け取り、このCADデータを点群のデータに変換する。
各点のデータは、座標値(x、y、z)と法線方向(P、Q、R)とを組み合わせたデータである(つまり(x、y、z、P、Q、R)である)。
本明細書では、以後の説明のため、(x、y、z、P、Q、R)の情報をもつ点群のデータを輪郭点データと称することにする。
【0004】
次に、各点の座標値を法線方向に所定量だけオフセットする。(所定量とは、具体的には、測定子半径r―基準押込み量E0である。)このようにして求めた点群データをオフセット済み輪郭点データと称することにする。
【0005】
そして、オフセット済み輪郭点データを所定次数の多項式曲線群に変換する。ここでは、多項式として三次関数を用い、PCC曲線群(Parametric Cubic Curves)とする。このPCC曲線を元にワークを測定する経路を生成する。さらに、PCC曲線を分割して分割PCC曲線群とする。
【0006】
分割PCC曲線群から速度曲線を算出してプローブの移動速度(移動ベクトル)を算出する。(例えば分割PCC曲線群の各セグメントの曲率などに基づいてプローブの移動速度(移動ベクトル)を設定する。)このように算出された移動速度に基づいてプローブを移動させ、測定対象物の表面に倣って測定子を移動させる(パッシブ設計値倣い測定)。
【0007】
さらに、プローブの押し込み量を一定にするように押込み修正ベクトルを時々刻々算出して、軌道修正しながら倣い測定する方法も知られている(特許文献2)。ここでは、このような設計値倣いを「アクティブ設計値倣い測定」と称することにする。
【0008】
特許文献2に開示された「アクティブ設計値倣い測定」を簡単に紹介しておく。
「アクティブ設計値倣い測定」では、次の(式1)で表わされる合成ベクトルVをプローブの移動指令とする。プローブが合成ベクトルVに基づく移動を行うと、プローブ(測定子)はPCC曲線に沿うように移動しつつ、押込み量を一定としたワーク表面倣い測定、つまり、「アクティブ設計値倣い測定」が実現される。
【0009】
V=Gf×Vf+Ge×Ve+Gc×Vc ・・・(式1)
【0010】
図1を参照しながら式の意味を簡単に説明する。
図1において、設計データ(輪郭点データ)から所定量(測定子半径r―基準押込み量E0)オフセットしたところにPCC曲線(つまり、倣い経路)がある。(なお、図1においては、加工誤差等により、実際のワークが設計データから少しずれたように描いている。)
【0011】
ベクトルVfは経路速度ベクトルである。経路速度ベクトルVfは、PCC曲線上の補間点(i)から次の補間点(i+1)に向かう方向をもつ。なお、経路速度ベクトルVfの大きさは、例えば、補間点(i)におけるPCC曲線の曲率に基づいて決定される(例えば特許文献3)。
【0012】
ベクトルVeは、押込み量修正ベクトルであり、プローブの押込み量Epが所定の基準押込み量E0(例えば0.3mm)になるようにするためのベクトルである。(押込み量修正ベクトルVeは、必然的に、ワーク表面の法線に平行となる。)
【0013】
ベクトルVcは、軌道修正ベクトルである。軌道修正ベクトルは、プローブ位置からPCC曲線に下ろした垂線に平行である。Gf、Ge、Gcはそれぞれ倣い駆動ゲイン、押込み方向修正ゲイン、軌道修正ゲインである。
【0014】
PCC曲線を図2に例示する。
点P1から点P7まで一続きのPCC曲線L_PCCがあり、このPCC曲線L_PCCは、点Pにより複数のセグメントに分割されている。(各セグメントもPCC曲線である。)
各セグメントの終了点は、次のセグメント(PCC曲線)の開始点となっている。セグメントの開始点の座標を(KX0、KY0、KZ0)と表わし、そのPCC曲線における始点と終点との間の直線の長さをDとする。このように定義すると、PCC曲線上の任意の位置における座標{X(S)、Y(S)、Z(S)}は、3次曲線を表わすための係数(KX3、KX2・・・・KZ1、KZ0)を用い、次の式(2)で表される。
【0015】
X(S)=KX3+KX2+KX1S+KX0
Y(S)=KY3+KY2+KY1S+KY0
Z(S)=KZ3+KZ2+KZ1S+KZ0 ・・・(式2)
【0016】
測定対象物を倣い測定する経路を上記式(2)のように生成し、このPCC曲線に沿って合成ベクトルV(上記式(1))でプローブが倣い移動するように制御する。
すると、測定対象物を倣い測定した測定結果が得られるわけである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0017】
【文献】特許5274782
【文献】特許6030339
【文献】特許6063161
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0018】
近年、倣い測定の対象物の形状がかなり複雑になってきている。
例えば図3に例示するような形状についても倣い測定で精密に形状測定するニーズが高まっている。それと同時に、測定時間を短縮して測定効率を向上させることも当然に要求されている。現行の三次元測定機(特許文献1、2、3)は、X駆動軸、Y駆動軸およびZ駆動軸の互いに直交する3つの駆動軸を有し、直交する3つの駆動軸でプローブと測定対象物との相対移動を実現している。しかし、現行の三次元測定機では、測定対象物が複雑になってくると、それだけプローブの動きが複雑になるため、プローブの移動速度が遅くなり、測定時間が非常に長く掛かってしまっていた。
【0019】
本発明の目的は、複雑な形状の測定対象物であっても測定時間を短縮して測定効率の向上を図ることができる形状測定装置の制御方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0020】
本発明の形状測定装置の制御方法は、
3つの並進軸を有する移動機構と、
前記移動機構に支持され、先端に測定子を有するプローブと、
測定対象物を載置する回転テーブルを回転軸回りに回転駆動させる回転テーブル機構と、を有し、前記プローブが倣い経路に沿って前記測定対象物を倣い測定する形状測定装置の制御方法であって、
前記移動機構への移動指令と前記回転テーブル機構への回転指令とを同期させて、前記プローブが前記倣い経路に沿って前記測定対象物を倣い測定するようにする
ことを特徴とする。
【0021】
本発明の一実施形態では、
オペレータが倣い経路とともに回転テーブルの回転角指令を設定しておき、
前記倣い経路のデータに基づいて、前記プローブが前記倣い経路に沿って移動するように前記移動機構を駆動制御する速度ベクトル指令を生成し、
前記回転角指令に基づいて前記回転テーブル機構への回転指令を生成し、
前記回転指令の分を減じるように前記速度ベクトル指令を補正して補正後速度ベクトル指令を生成し、
前記回転指令と前記補正後速度ベクトル指令とにより、前記回転テーブル機構と前記移動機構とを駆動制御する
ことが好ましい。
【0022】
本発明の一実施形態では、
オペレータが倣い経路とともに回転テーブルの回転角指令を設定しておき、
前記回転指令の分を減じるように前記倣い経路のデータを補正して補正後倣い経路データを生成し、
前記補正後倣い経路データに基づいて、前記移動機構を駆動制御する速度ベクトル指令を生成し、
前記回転角指令に基づいて前記回転テーブル機構への回転指令を生成し、
前記回転指令と前記速度ベクトル指令とにより、前記回転テーブル機構と前記移動機構とを駆動制御する
ことが好ましい。
【0023】
本発明の一実施形態では、
オペレータが倣い経路を設定し、
前記倣い経路のデータに基づいて、前記プローブが前記倣い経路に沿って移動するように前記移動機構を駆動制御する速度ベクトル指令を生成し、
前記速度ベクトル指令に基づいて前記回転テーブル機構への回転指令を生成し、
前記回転指令の分を減じるように前記速度ベクトル指令を補正して補正後速度ベクトル指令を生成し、
前記回転指令と前記補正後速度ベクトル指令とにより、前記回転テーブル機構と前記移動機構とを駆動制御する
ことが好ましい。
【0024】
本発明の一実施形態では、
前記速度ベクトル指令に基づいて前記回転テーブル機構への回転指令を生成する工程は、
経路速度ベクトルVfの方向変化に基づいて前記回転テーブル機構への回転指令を生成する
ことが好ましい。
ここで、経路速度ベクトルVfは、倣い経路上の一の補間点から次の補間点に向かう方向をもつベクトルである。
【0025】
本発明の一実施形態では、
前記速度ベクトル指令に基づいて前記回転テーブル機構への回転指令を生成する工程は、
前記移動機構が前記プローブを前記測定対象物に押し当てる所定の方向をアプローチ方向APとするとき、
押込み量修正ベクトルVeとアプローチ方向APとがなす角度に基づいて前記回転テーブル機構への回転指令を生成する
ことが好ましい。
ここで、押込み量修正ベクトルVeは、前記プローブの押込み量Epが所定の基準押込み量E0になるようにするためのベクトルであり、接触点における測定対象物の法線に平行な方向を有する。
【0026】
本発明の一実施形態では、
前記速度ベクトル指令に基づいて前記回転テーブル機構への回転指令を生成する工程は、
前記回転テーブル機構の回転中心Ocを中心として、前記プローブと前記測定対象物との接触点と前記回転中心Ocとの距離r1を半径とする仮想円C1を求め、
前記仮想円C1の前記接触点における接線L1を求め、
前記速度ベクトル指令の前記接線L1方向の成分である回転方向ベクトルVL1を求め、
前記回転方向ベクトルVL1に基づいて前記回転テーブル機構への回転指令を生成する
ことが好ましい。
【図面の簡単な説明】
【0027】
図1】設計データと、PCC曲線と、合成ベクトルVと、の関係を模式的に示す図である。
図2】PCC曲線を例示する図である。
図3】測定対象物を例示する図である。
図4】第1実施形態において、形状測定システムの全体構成を示す図である。
図5】第1実施形態において、ホストコンピュータおよびモーションコントローラの機能ブロック図である。
図6】第1実施形態において、円柱状のワーク(測定対象物)Wの側面を蛇行しながら倣い測定する経路を例示する図である。
図7】第1実施形態において、倣い経路の区間に回転角(回転角指令)を設定した状態を模式的に例示する図である。
図8】第1実施形態において、駆動指令生成部の機能ブロック図である。
図9】第1実施形態において、速度パターンと回転駆動指令との対応を模式的に例示する図である。
図10】第1実施形態において、円柱状のワーク(測定対象物)Wの側面を蛇行しながら倣い測定する経路を例示する図である。
図11】第1実施形態の測定動作を模式的に例示する図である。
図12】第2実施形態において、補正後PCC曲線の生成を説明するための図である。
図13】第2実施形態において、補正後PCC曲線の生成を説明するための図である。
図14】第2実施形態において、モーションコントローラの機能ブロック図である。
図15】第2実施形態において、速度パターンを例示する図である。
図16】第3実施形態のモーションコントローラの構成を示す図である。
図17】円柱状のワーク(測定対象物)Wの側面を倣い測定する経路を例示する図である。
図18図17をZ軸に沿ってみた図である。
図19】第4実施形態において、円柱状のワーク(測定対象物)Wの側面を倣い測定する経路を例示する図である。
図20】第5実施形態において、円柱状のワーク(測定対象物)Wの側面を倣い測定する経路を例示する図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
本発明の実施形態を図示するとともに図中の各要素に付した符号を参照して説明する。
(第1実施形態)
図4は、形状測定システム100の全体構成を示す図である。
形状測定システム100は、三次元測定機200と、三次元測定機200の駆動を制御するモーションコントローラ300と、モーションコントローラ300を制御すると共に必要なデータ処理を実行するホストコンピュータ500と、を備える。
【0029】
三次元測定機200は、定盤210と、移動機構220と、プローブ230と、回転テーブル機構250と、を備える。
【0030】
移動機構220は、定盤210上をY方向にスライド可能に設けられた門型のYスライダ221と、Yスライダ221のX方向のビームに沿ってスライドするXスライダ222と、Xスライダ222に固定されたZ軸コラム223と、Z軸コラム223内をZ方向に昇降するZスピンドル224と、を備える。
【0031】
Yスライダ221、Xスライダ222およびZスピンドル224には、それぞれ駆動モータ(不図示)とエンコーダ(不図示)とが付設されている。
モーションコントローラ300からの駆動制御信号によって各駆動モータが駆動制御される。
エンコーダは、Yスライダ221、Xスライダ222およびZスピンドル224それぞれの移動量を検出し、検出値をモーションコントローラ300に出力する。
Zスピンドル224の下端にプローブ230が取り付けられている。
【0032】
プローブ230は、測定子232を先端側(-Z軸方向側)に有するスタイラス231と、スタイラス231の基端側(+Z軸方向側)を支持する支持部233と、を備える。測定子232は、球状であって、測定対象物に接触する。
【0033】
支持部233は、スタイラス231に外力が加わった場合、すなわち測定子232が測定対象物に当接した場合にはスタイラス231が一定の範囲内でX、Y、Z軸の各軸方向に移動可能となるようにスタイラス231を支持している。さらに、支持部233は、スタイラス231の各軸方向の位置をそれぞれ検出するためのプローブセンサー(不図示)を備える。プローブセンサは検出値をモーションコントローラ300に出力する。
【0034】
回転テーブル機構250は定盤上に設置されており、内蔵のモータ(不図示)で回転テーブル251を回転させる。なお、ここでは、回転テーブル251の回転軸はZ軸に平行である。回転テーブル機構250にはロータリーエンコーダ(不図示)が内蔵されており、検出値をモーションコントローラ300に出力する。
【0035】
(ホストコンピュータ500の構成)
次にホストコンピュータ500について説明する。
図5は、ホストコンピュータ500およびモーションコントローラ300の機能ブロック図である。
ホストコンピュータ500は、CPU511(Central Processing Unit)やメモリ等を備えて構成され、モーションコントローラ300を介して三次元測定機200を制御する。
CPU511(中央処理装置)で測定制御プログラムを実行することにより本実施形態の測定動作が実現される。ホストコンピュータ500には、必要に応じて、出力装置(ディスプレイやプリンタ)および入力装置(キーボードやマウス)が接続されている。
【0036】
ホストコンピュータ500は、さらに、記憶部520と、形状解析部530と、を備える。
記憶部520は、測定対象物(ワーク)Wの形状に関する設計データ(CADデータや、NURBSデータ等)、測定で得られた測定データ、および、測定動作全体を制御する測定制御プログラムを格納する。
【0037】
形状解析部530は、モーションコントローラ300から出力された測定データに基づいて測定対象物の表面形状データを算出し、算出した測定対象物の表面形状データの誤差や歪み等を求める形状解析を行う。
【0038】
また、形状解析部530は、倣い経路情報を含んだ設計データ(CADデータや、NURBSデータ等)からPCC曲線への変換等を行って測定指令データの生成を行う。
測定指令データの生成について説明する。
【0039】
いま、例えば、図6に例示するような円柱状のワーク(測定対象物)Wの側面を蛇行しながら倣い測定したいとする。この場合、従来技術では、オペレータは、単に図6に示すような倣い経路(蛇行する経路)を設定するだけであり、倣い経路を例えばCADデータとして設定していた。本実施形態では、オペレータは、倣い経路の情報だけでなく、そのときの回転テーブル機構250の回転動作についても指令を設定入力する。
【0040】
例えば、図7に例示するように、倣い経路をいくつかの区間で区切って、その区間を倣い測定する間に回転テーブル251が回転すべき回転角(回転角指令)を設定しておく。(この回転角指令は、CADデータとリンクするようにして倣い経路情報に埋め込まれるとする。)
図7の例では、最初の区間では左回りに10度("-10度")、次の区間では右回りに10度("+10度")、というように回転角を設定入力する。
【0041】
形状解析部530は、背景技術で説明した通りの方法で、CADデータを点群のデータ(輪郭点データ)→オフセット済み輪郭点データ→PCC曲線、とする。ただし、回転角指令については、倣い経路情報から抜き出し、PCC曲線の生成後に、PCC曲線の対応する区間に前記回転角指令を付け加えておく。PCC曲線に回転角指令を加えたものを本実施形態の"測定指令データ"とする。
【0042】
(モーションコントローラ300の構成)
次にモーションコントローラ300について説明する。
モーションコントローラ300は、測定指令取得部310と、カウンタ部330と、駆動指令生成部340と、駆動制御部350と、を備える。
【0043】
測定指令取得部310は、ホストコンピュータ500から測定指令データを取得する。(本実施形態では、測定指令データは、PCC曲線データに回転角指令が加わったものである。)
【0044】
カウンタ部330は、エンコーダから出力される検出信号をカウントして各スライダの変位量を計測するとともに、プローブセンサから出力される検出信号をカウントしてプローブ230(スタイラス231)の変位量を計測する。
計測されたスライダおよびプローブ230の変位から測定子232の座標位置PP(以下、プローブ位置PP)が得られる。また、カウンタ部330にて計測されたスタイラス231の変位(プローブセンサの検出値(Px,Py,Pz))から、測定子232の押込み量(ベクトルEpの絶対値)が得られる。同じく、カウンタ部は、ロータリーエンコーダから検出される検出信号をカウントとして、回転テーブル機構の回転角を得る。
【0045】
図8は、駆動指令生成部340の機能ブロック図である。
駆動指令生成部340は、速度パターン計画部341と、ベクトル指令生成部342と、ベクトル指令補正部343と、回転指令生成部344と、を備える。
【0046】
測定指令データは、PCC曲線データに回転角指令が加わったものであった。
まず、速度パターン計画部341およびベクトル指令生成部342は従来通り、PCC曲線から合成ベクトルVを生成する。速度パターン計画部341は、PCC曲線を分割して分割PCC曲線群とし、さらに、分割PCC曲線群から速度曲線を算出してプローブの移動速度(移動ベクトル)を算出する(図9参照)。ベクトル指令生成部342は、背景技術で説明したように、合成ベクトルVを生成する。これらの処理自体は従来通りであるので冗長な説明は割愛する。
【0047】
V=Gf×Vf+Ge×Ve+Gc×Vc ・・・(式1)
【0048】
一方、回転指令生成部344は、測定指令データのなかの回転角指令を抜き出し、回転テーブル機構250に対する回転駆動指令を生成する。測定指令データにおいては、PCC曲線の区間ごとに回転角指令が設定されていたわけであるから、もちろん、回転駆動指令はPCC曲線の区間に対応したものとして生成される。例えば、図9の例示のように、区間Ci-1に対応する回転駆動指令は"-10度"、区間Ciに対応する回転駆動指令は"+10度"、というように、区間と回転角指令との対応(リンク)は維持される。
【0049】
ベクトル指令補正部343は、ベクトル指令生成部342が生成した合成ベクトルVに対し、回転テーブル251の回転分を減じるように補正処理を行って、回転補正後合成ベクトルVAMDを生成する。いま、図10において、移動機構220によってプローブ230が右方向に移動(矢印A)する代わりに、回転テーブル251が左に回転(矢印B)する場合を考えるとする。このとき、合成ベクトルVに対して、回転テーブル251の回転分を減じるように補正を行えばよい。
【0050】
そこで、図10の状態で、回転テーブル251の回転軸からプローブ230(測定子232)に向かうベクトルを半径ベクトルRとする。また、回転テーブル251の角速度ベクトルをωとする。プローブ230(測定子232)の位置における回転テーブル251の速度(ベクトル)は、Vθ=ω×R、で表わされるので、合成ベクトルVからこのVθを減じることで回転補正後合成ベクトルVAMDは次のようになる。
【0051】
回転補正後合成ベクトルVAMD=Gf×Vf+Ge×Ve+Gc×Vc-Gθ×Vθ
【0052】
駆動制御部350は、移動機構220を駆動制御する移動機構制御部351と、回転テーブル機構250を駆動制御する回転駆動制御部352と、を備える(図8参照)。
移動機構制御部351には、ベクトル指令補正部343から回転補正後合成ベクトルVAMDが与えられる。
回転駆動制御部352には、回転指令生成部344から回転駆動指令が与えられる。
区間と回転角指令との対応(リンク)は維持されているので、回転補正後合成ベクトルVAMDと回転駆動指令とは同期した状態を保ってそれぞれ移動機構制御部351と回転駆動制御部352とに与えられる。
そして、移動機構制御部351からは移動機構220に対して回転補正後合成ベクトルVAMDに基づく移動信号が与えられ、回転駆動制御部352からは回転テーブル機構250に対して回転駆動指令に基づく回転駆動信号が与えられ、両者は同期している。
【0053】
このようにして生成された移動信号と回転駆動信号とで移動機構220と回転テーブル機構250とが駆動される結果として、例えば、図11のような測定動作が得られる。すなわち、一例として、移動機構220によるプローブ230の移動は、ただまっすぐZ軸方向に降りていくだけになる。これに合わせて回転テーブル251が左右に回転する。その結果、円柱状のワークWの側面を蛇行するような経路で全体的に倣い測定が実行されている。
【0054】
測定データとしては、プローブ230のエンコーダおよび移動機構220のエンコーダによって測定子232の三次元座標が得られるのであるが、さらに、回転テーブル機構250の回転量がロータリーエンコーダで取得される。ワーク(測定対象物)の形状解析にあたっては、回転テーブル機構250の回転量を加味しなければならないのはもちろんである。
【0055】
このような構成を備える本実施形態によれば、回転テーブル機構250の回転も利用しながら倣い測定を行うことができる。
従来の三次元測定機では、互いに直交する3つの駆動軸でプローブ230とワークWとを相対移動させていたが、本実施形態では、さらに、回転テーブル機構250の回転軸を加えて、4軸でプローブ230とワークWとを相対移動させることができる。
このように直交3軸の移動機構220と回転駆動の回転テーブル機構250とを協働させることにより、プローブ230の動きを少なくし、プローブ230の動きを単純化することができる。このことは、複雑な形状のワークを複雑な倣い経路で倣い測定しようとする場合に測定時間を短縮して測定効率を向上させるという効果を奏する。
【0056】
(第2実施形態)
次に本発明の第2実施形態を説明する。
第2実施形態の基本的な構成は第1実施形態と同じであるが、第2実施形態では、ホストコンピュータ500の形状解析部530でPCC曲線を補正しておく点に特徴がある。
【0057】
図12を参照いただきたい。
形状解析部530において、PCC曲線の生成後に、PCC曲線の対応する区間に回転角指令を付け加えて"測定指令データ"を生成するところまでは第1実施形態と同じである。
第2実施形態においては、形状解析部530において、PCC曲線を回転角指令の分だけ回転移動させ、回転テーブル機構250の回転分を減じた補正後PCC曲線を求めてしまっておく。(このような座標変換処理はモーションコントローラ300よりもホストコンピュータ500で行った方が処理が速い。)
【0058】
PCC曲線から回転角指令の回転分を減じると、図13に例示するように、補正後PCC曲線はより滑らかな曲線になる。(つまり、カーブが少ない、全体的に曲率が小さい、あるいは、曲率の変化が少ないような曲線が得られると期待できる。うまく回転角指令を与えておけば、極端な場合、補正後PCC曲線を直線にすることもできるだろう。)補正後PCC曲線に区間ごとの回転角指令を加えたものを"補正後測定指令データ"とする。"補正後測定指令データ"は、ホストコンピュータ500(形状解析部)からモーションコントローラ300に送られる。
【0059】
次にモーションコントローラ300での処理を説明する。
図14を参照いただきたい。
第1実施形態(図8)との違いは、第2実施形態のモーションコントローラ300にはベクトル指令補正部343が無い、ということである。
速度パターン計画部341およびベクトル指令生成部342は、補正後PCC曲線から従来通りの方法で合成ベクトルVを生成する。つまり、速度パターン計画部341は、補正後PCC曲線を分割して分割PCC曲線群とし、さらに、分割PCC曲線群から速度曲線を算出してプローブ230の移動速度(移動ベクトル)を算出する(図15参照)。ベクトル指令生成部342は、背景技術で説明したように、合成ベクトルVを生成する。
【0060】
これらの処理自体は従来通りであり、第1実施形態とも同じであるが、第2実施形態ではPCC曲線が既に補正されて滑らかになっている。そのため、同じ処理で速度パターンを生成したとしても、図15に例示するように、速度パターンの速度が全体的に大きくなる。
このあとの処理は第1実施形態で説明した通りであるから冗長な説明は割愛する。
【0061】
この第2実施形態によれば、測定時間をさらに短縮できると期待できる。
【0062】
(第3実施形態)
次に本発明の第3実施形態を説明する。
第3実施形態が特徴とする点は、オペレータが回転角指令を設定するのではなく、モーションコントローラ300(あるいはホストコンピュータ500)が倣い経路のPCC曲線から自動的に回転角指令を生成する点にある。
第3実施形態において、オペレータは従来通り倣い経路を設定するだけである。ホストコンピュータ500の形状解析部530は、その倣い経路をPCC曲線に変換して、測定指令データとし、モーションコントローラ300に与える。ここまでは従来通りである。
【0063】
さて、図16に第3実施形態のモーションコントローラ300の構成を示す。
第1実施形態との違いは、回転指令生成部344が回転テーブル機構250に対する回転角指令を演算で求める点である。
【0064】
いま、図17に例示するような倣い測定の経路をオペレータが設定したとする。
PCC曲線上の補間点として、P1、P2、P3・・・が設定されたとする。このとき、補間点P1から補間点P2に向かう経路速度ベクトルをVf1とする。ここまでは、ベクトル指令生成部342で求められる。(ベクトル指令生成部342は、このあと合成ベクトルVを生成する。これも従来通りである。)
【0065】
回転指令生成部344は、ベクトル指令生成部342で生成される経路速度ベクトルVf1、Vf2・・・を用いて、回転テーブル機構250に対する回転角指令を生成する。
経路速度ベクトルVf1、Vf2・・・は、設計値に基づいたプローブ230の進行方向である。例えば、経路速度ベクトルVf1と経路速度ベクトルVf2とを対比すれば、進行方向の変化量が分かる。この進行方向の変化分の全部または一部を回転テーブル機構250の回転で補ってやれば、移動機構220の駆動量はそれだけ少なくなる。
【0066】
経路速度ベクトルVf1、Vf2・・から回転テーブル機構250に対する回転角指令を生成する方法の例を紹介する。
図17をZ軸に沿ってみた図が図18である。(つまりXY平面上に投影して考える。)いま、Z軸に平行なベクトルをベクトルZとする。そして、ベクトルZと経路速度ベクトルVf1との外積ベクトルをVR1で表わすとする。XY平面上において、ベクトルVR1と経路速度ベクトルVf2とのなす角をθ1とする。このθ1から90°を減じ、"θ1-90°"を求めると、経路速度ベクトルVf1からVf2の進行方向の変化に対応している。(XY平面上でみたときの経路速度ベクトルの向きの変化ということ。)
【0067】
そこで、回転テーブル機構250に対する回転角指令は、θ1の関数としてf(θi)とする。(ここで、添え字をiとした。i=1,2、3、・・・。関数fの係数等は適宜決めればよい。)回転角指令が決まれば、その分をベクトル指令補正部343が合成ベクトルVから減じて回転補正後合成ベクトルVAMDを生成する。このあとの処理は第1実施形態で説明済みであるから割愛する。
【0068】
(第4実施形態)
第3実施形態では、経路速度ベクトルVfを用いたが、第4実施形態では、押込み修正ベクトルVeを用いて回転テーブル機構250に対する回転角指令を求める。
図19を参照しながら第4実施形態を説明する。
【0069】
この例では、右から左の方向(つまり、"-X方向")を所定のアプローチ方向APと称することにする。XY面上でみたときに、プローブ230(測定子232)とワークWとの接触点において、ワークWの法線方向が前記アプローチ方向APと平行となる状態を維持すれば、プローブ230(測定子232)でワークWを測定することができる。
【0070】
さて、押込み量修正ベクトルVeは、プローブ230の押込み量Epが所定の基準押込み量E0(例えば0.3mm)になるようにするためのベクトルであり、プローブ230(測定子232)の変位方向から求められる。押込み量修正ベクトルVeは、必然的に、ワーク表面の法線に平行なベクトルとなる。そこで、回転指令生成部344は、アプローチ方向のベクトルAP(アプローチベクトルAP)と押込み量修正ベクトルVeとがなす角を求め、両者が平行になるように回転テーブル251を回転させる回転角指令を生成する。回転角指令が決まれば、その分をベクトル指令補正部343が合成ベクトルVから減じて回転補正後合成ベクトルVAMDを生成する。このあとの処理は第1実施形態で説明済みであるから割愛する。
【0071】
なお、ここで、対比例として、真円度測定機を考えると、真円度測定機のプローブはXZ面内でしか進退しない。(あるいは、プローブの可動方向は所定の拘束面に制限される。)また、回転テーブル機構への回転指令と移動機構への移動指令とは同期して与えられるようなものではない。両者はそれぞれ別個に駆動され、形状解析のときに両者の結果が合成されるのみである。一方、本発明では、三次元測定機に回転テーブル機構が付設されたものである。プローブがY方向に動いてもよいのはもちろんのことである。回転テーブル機構への回転指令と移動機構への移動指令とを同期させて、意図した倣い経路に沿った倣い測定が実行されるようにする。このとき、回転テーブル機構の回転を利用すると、移動機構によるプローブの移動量を少なくできるわけである。
【0072】
(第5実施形態)
第3実施形態では経路速度ベクトルVfを用い、第4実施形態では押込み修正ベクトルVeを用いて回転テーブル機構250に対する回転角指令を求めたが、第5実施形態としては、合成ベクトルVから回転テーブル機構250に対する回転角指令を求める。XY投影面で考える。図20において、PCC曲線上の補間点としてP1、P2、P3・・・が設定されており、ベクトル指令生成部342は、合成ベクトルV1、V2・・・を生成するとする。ここで、合成ベクトルV1の成分のうち、回転テーブル機構250の回転方向の成分については回転テーブル機構250で行えばよいわけである。
【0073】
回転指令生成部344は例えば次のようにして回転角指令を生成する。回転テーブル機構250の回転中心をOCとし、点P1と中心Ocとの距離を半径r1とする仮想円C1を考える。点P1における仮想円C1の接線L1を引き、合成ベクトルV1の成分のうち接線L1に沿う方向の成分を求める。(正確には、合成ベクトルV1をXY面に投影し、さらに、接線L1に射影したベクトルを求める。)このようにして求まるベクトルを回転方向ベクトルVL1とする。
【0074】
この回転方向ベクトルVL1の分だけ回転テーブル機構250を逆向きに回転させれば、移動機構220としては回転テーブルの回転方向の成分はゼロになる。つまり、回転指令生成部344は、向きが回転方向ベクトルVL1と反対で、かつ、大きさが回転方向ベクトルVL1と同じだけ回転テーブル251を回すように回転角指令を生成する。回転角指令が決まれば、その分をベクトル指令補正部343が合成ベクトルVから減じて回転補正後合成ベクトルVAMDを生成する。このあとの処理は第1実施形態で説明済みであるから割愛する。
【0075】
なお、本発明は上記実施形態に限られたものではなく、趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更することが可能である。
上記実施形態ではアクティブ設計値倣い測定を例にしているが、パッシブ設計値倣い測定でもよい。
モーションコントローラ300とホストコンピュータ500とは分離している例を示したが、モーションコントローラ300とホストコンピュータ500とが一体となって三次元測定機の「コントローラ」を構成してしてもよい。
【符号の説明】
【0076】
100…形状測定システム、200…三次元測定機、210…定盤、
220…移動機構、
221…Yスライダ、222…Xスライダ、223…Z軸コラム、224…Zスピンドル、230…プローブ、231…スタイラス、232…測定子、233…支持部、
250…回転テーブル機構、251…回転テーブル、
300…モーションコントローラ、
310…測定指令取得部、330…カウンタ部、340…駆動指令生成部、341…速度パターン計画部、342…ベクトル指令生成部、343…ベクトル指令補正部、344…回転指令生成部、
350…駆動制御部、351…移動機構制御部、352…回転駆動制御部、
500…ホストコンピュータ、
520…記憶部、530…形状解析部。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20