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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-14
(45)【発行日】2023-12-22
(54)【発明の名称】基板処理装置、及び基板処理方法
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/677 20060101AFI20231215BHJP
   H01L 21/3065 20060101ALI20231215BHJP
   H01L 21/302 20060101ALI20231215BHJP
   H01L 21/304 20060101ALI20231215BHJP
【FI】
H01L21/68 A
H01L21/302 101G
H01L21/302 201A
H01L21/304 648Z
【請求項の数】 11
(21)【出願番号】P 2019084002
(22)【出願日】2019-04-25
(65)【公開番号】P2020181886
(43)【公開日】2020-11-05
【審査請求日】2022-01-24
(73)【特許権者】
【識別番号】000219967
【氏名又は名称】東京エレクトロン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】山口 博史
(72)【発明者】
【氏名】佐々木 義明
(72)【発明者】
【氏名】西森 優一
(72)【発明者】
【氏名】田中 厚士
【審査官】湯川 洋介
(56)【参考文献】
【文献】特開2000-021946(JP,A)
【文献】特開2011-187752(JP,A)
【文献】特開2007-158088(JP,A)
【文献】特開2013-084898(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/677
H01L 21/3065
H01L 21/302
H01L 21/304
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも一つの基板加熱領域及び少なくとも一つの基板冷却領域を含むチャンバを有するチャンバと、
前記少なくとも一つの基板加熱領域において第1の基板を加熱するように構成された加熱機構と、
第1の基板を加熱している間に、前記少なくとも一つの基板冷却領域において第2の基板を冷却するように構成された冷却機構と、
前記チャンバ内に設けられ、前記少なくとも一つの基板加熱領域と前記少なくとも一つの基板冷却領域とを分離するように構成され、且つ前記第1の基板及び前記第2の基板が通過可能な隙間が形成されるように配置された壁及び他の隔壁と、
を有する、基板処理装置。
【請求項2】
前記少なくとも一つの基板冷却領域内に設けられ、基板の冷却時に基板を密閉するように構成される密閉部をさらに有する、請求項1に記載の基板処理装置。
【請求項3】
前記少なくとも一つの基板加熱領域と前記少なくとも一つの基板冷却領域との間で基板を搬送するように構成された搬送機構をさらに有し、
前記密閉部は、第1の可動部材と第2の可動部材を含み、前記第1の可動部材及び前記第2の可動部材は、前記冷却機構による基板の冷却時に互いに接近して基板を密閉するように構成され、前記搬送機構による基板の搬送時に互いに離間して密閉を解除するように構成される、請求項2に記載の基板処理装置。
【請求項4】
前記搬送機構は、複数の基板を保持するように構成された保持部と、前記保持部を回転させるように構成された回転機構とを含む、請求項3に記載の基板処理装置。
【請求項5】
前記第1の可動部材及び前記第2の可動部材は、前記保持部と対向する端面にシール部材を有し、前記冷却機構による基板の冷却時に互いに接近し且つ前記シール部材を前記保持部に接触させることで、基板を密閉するように構成される、請求項4に記載の基板処理装置。
【請求項6】
前記少なくとも一つの基板加熱領域は、少なくとも一つの基板昇温領域及び少なくとも一つの基板保温領域を含み、
前記加熱機構は、前記少なくとも一つの基板昇温領域において基板を昇華温度まで昇温するように構成された昇温機構と、前記少なくとも一つの基板保温領域において基板を前記昇華温度に維持するように構成された保温機構とを含む、請求項1~5のいずれか一つに記載の基板処理装置。
【請求項7】
前記昇温機構は、特定の波長を有する光を放射する放射源を含み、請求項6に記載の基板処理装置。
【請求項8】
前記保温機構は、抵抗加熱要素、特定の波長を有する光を放射する放射源、及び加熱気体供給要素の少なくともいずれか一つを含む、請求項6又は7に記載の基板処理装置。
【請求項9】
前記昇温機構、前記保温機構、及び前記冷却機構を同時に動作させるように構成された制御部を有する、請求項6~8のいずれか一つに記載の基板処理装置。
【請求項10】
前記チャンバは、外部と基板の受け渡しを行う基板搬送口を有し、前記基板搬送口は、前記少なくとも一つの基板冷却領域内に設けられる、請求項1~9のいずれか一つに記載の基板処理装置。
【請求項11】
少なくとも一つの基板加熱領域及び少なくとも一つの基板冷却領域を含むチャンバを有するチャンバにおいて基板を処理する基板処理方法であって、前記チャンバは、前記少なくとも一つの基板加熱領域と前記少なくとも一つの基板冷却領域とを分離するように構成され、且つ第1の基板及び第2の基板が通過可能な隙間が形成されるように配置された壁及び他の隔壁を有し、当該基板処理方法は、
前記少なくとも一つの基板加熱領域及び前記少なくとも一つの基板冷却領域を第1の圧力に調節する工程と、
前記少なくとも一つの基板冷却領域の圧力が前記少なくとも一つの基板加熱領域の圧力よりも高くなるように、前記少なくとも一つの基板加熱領域又は前記少なくとも一つの基板冷却領域を前記第1の圧力から第2の圧力に調節する工程と、
前記第1の基板を前記少なくとも一つの基板加熱領域に搬送する工程と、
前記第2の基板を前記少なくとも一つの基板冷却領域に搬送する工程と、
前記少なくとも一つの基板加熱領域において前記第1の基板を加熱する工程と、
第1の基板を加熱している間に、前記少なくとも一つの基板冷却領域において前記第2の基板を冷却する工程と、
を有する、基板処理方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、基板処理装置、及び基板処理方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
例えば、特許文献1では、基板を加熱する加熱処理チャンバとは別個に、冷却処理チャンバを設け、冷却処理チャンバにおいて加熱処理済みの基板を冷却する技術が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2017-168738号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本開示は、1つのチャンバ内で基板に対して加熱処理及び冷却処理を実行することができる技術を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示の一態様による基板処理装置は、少なくとも一つの基板加熱領域及び少なくとも一つの基板冷却領域を含むチャンバを有するチャンバと、前記少なくとも一つの基板加熱領域において第1の基板を加熱するように構成された加熱機構と、第1の基板を加熱している間に、前記少なくとも一つの基板冷却領域において第2の基板を冷却するように構成された冷却機構と、前記チャンバ内に設けられ、前記少なくとも一つの基板加熱領域と前記少なくとも一つの基板冷却領域とを熱的及び圧力的に分離するように構成された隔壁と、を有する。
【発明の効果】
【0006】
本開示によれば、1つのチャンバ内で基板に対して加熱処理及び冷却処理を実行することができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1図1は、一実施形態に係る基板処理装置を含む基板処理システムの概略構成図である。
図2図2は、一実施形態に係る基板処理装置の一例を示す斜視図である。
図3図3は、上方から見た場合の基板処理装置の一例を示す平面図である。
図4図4は、チャンバに含まれる第1領域の第1分割領域の一例を示す模式断面図である。
図5図5は、チャンバに含まれる第2領域の一例を示す模式断面図である。
図6図6は、チャンバに含まれる第2領域の一例を示す模式断面図である。
図7図7は、リフタピンにより回転台からウエハが持ち上げられた状態の一例を示す図である。
図8図8は、一実施形態に係る基板処理装置の処理動作の一例について説明するための図である。
図9図9は、一実施形態に係る基板処理装置の処理動作の一例について説明するための図である。
図10図10は、一実施形態に係る基板処理装置の処理動作の一例について説明するための図である。
図11図11は、一実施形態に係る基板処理装置の処理動作の一例について説明するための図である。
図12図12は、一実施形態に係る基板処理装置の処理動作の一例について説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、図面を参照して種々の実施形態について詳細に説明する。なお、各図面において同一又は相当の部分に対しては同一の符号を附すこととする。
【0009】
しかしながら、加熱処理チャンバと冷却処理チャンバとが別個に設けられる場合、加熱処理チャンバと冷却処理チャンバとの間での基板の搬送に時間がかかるため、基板処理システムのスループットが低下する虞がある。このため、基板処理システムでは、1つのチャンバ内で基板に対して加熱処理及び冷却処理を実行することが期待されている。
【0010】
(実施形態に係る基板処理装置を含む基板処理システムの構成例)
基板処理システムは、基板を真空処理する真空処理チャンバと、基板を加熱及び冷却する基板処理装置とを有し、真空処理チャンバと基板処理装置との間で基板を搬送することで、基板に対して真空処理、加熱処理及び冷却処理を含む処理サイクルを繰り返し行う。一実施形態に係る基板処理装置は、基板加熱領域及び基板冷却領域を含むチャンバを有し、基板加熱領域において基板を加熱し、基板加熱領域において基板が加熱されている間に基板冷却領域において他の基板を冷却する。一実施形態においては、基板加熱領域と基板冷却領域とは隔壁により熱的及び圧力的に分離される。
【0011】
ここで、真空処理とは、例えば、COR処理等のエッチング処理や、成膜処理を指す。以下では、真空処理の例としてCOR処理を用いて実施形態を説明する。なお、以下の説明において「真空」とは大気圧よりも低い圧力の気体で満たされた状態を指す。すなわち、以下の説明において「真空」は、減圧状態又は負圧状態を含む。また、以下の説明において「常圧」は大気圧に略等しい圧力を指す。
【0012】
図1は、一実施形態に係る基板処理装置30を含む基板処理システム1の概略構成図である。
【0013】
基板処理システム1は、複数のCORチャンバ11(11A~11F)と、真空搬送チャンバ20と、複数の基板処理装置30(30a,30b)と、ロードロックチャンバ40と、常圧搬送チャンバ50と、を有する。また、基板処理システム1は、複数のロードポート60(60a~60e)と、制御装置70と、を有する。
【0014】
なお、図1の例においては、6つのCORチャンバ11A~11Fと、2つの基板処理装置30a,30bと、5つのロードポート60a~60eと、を示す。ただし、基板処理システム1が有するCORチャンバ11、基板処理装置30、ロードポート60の数は図示するものに限定されない。以下、特に区別する必要がない場合は、6つのCORチャンバ11A~11FはまとめてCORチャンバ11と呼ぶ。同様に、2つの基板処理装置30a,30bはまとめて基板処理装置30と呼ぶ。同様に5つのロードポート60a~60eはまとめてロードポート60と呼ぶ。
【0015】
CORチャンバ11は、減圧雰囲気において処理対象である半導体基板(以下「ウエハ」と呼ぶ)Wに対してCOR処理を実行する。CORチャンバ11は、2枚のウエハWを水平方向に並べて載置する載置台13a、13bを有する。CORチャンバ11は、載置台13a、13bに載置された2枚のウエハWに対して同時にCOR処理を実行する。
【0016】
CORチャンバ11は、各々、開閉可能なゲートバルブGVを介して真空搬送チャンバ20に接続する。ゲートバルブGVは、CORチャンバ11内でウエハWのCOR処理が実行されている間、閉じた状態となる。ゲートバルブGVは、CORチャンバ11からウエハWを搬出する際、及び、CORチャンバ11にウエハWを搬入する際に、開く。CORチャンバ11には、処理ガスを供給するための気体供給部及びガスを排出するための排気部が設けられる。
【0017】
真空搬送チャンバ20は、内部が減圧雰囲気に維持可能である。ウエハWは、真空搬送チャンバ20を介して各CORチャンバ11及び各基板処理装置30に搬送される。図1の例では、真空搬送チャンバ20は、上面視で略6角形であり、対向する2辺に沿ってCORチャンバ11が配置される。CORチャンバ11内でCOR処理が施されたウエハWは、真空搬送チャンバ20を介して基板処理装置30に搬送される。基板処理装置30内で加熱処理及び冷却処理が施されたウエハWは、真空搬送チャンバ20を介して次のCOR処理が実行されるCORチャンバ11に搬送される。全ての処理が終了したウエハWは、真空搬送チャンバ20を介してロードロックチャンバ40に搬送される。真空搬送チャンバ20は、図示しない気体供給部及び真空引きが可能な排気部を有する。
【0018】
また、真空搬送チャンバ20には、ウエハWを搬送するためのVTM(Vacuum Transfer Module)アーム25が配置される。VTMアーム25は、CORチャンバ11A~11F、基板処理装置30a~30b及びロードロックチャンバ40の間でウエハWを搬送する。
【0019】
図1に示すVTMアーム25は、第1アーム25a及び第2アーム25bを有する。第1アーム25a及び第2アーム25bは、基台25c上に取り付けられている。基台25cは、案内レール26a、26b上を真空搬送チャンバ20の長手方向にスライド可能である。例えば、案内レール26a、26bに螺合されるスクリューのモータ駆動により、基台25cは真空搬送チャンバ20内を移動する。第1アーム25a及び第2アーム25bは、基台25c上に旋回可能に固定される。また、第1アーム25a及び第2アーム25bの各々の先端には、略U字形状の第1ピック27aと第2ピック27bとが回動可能に接続される。なお、第1ピック27a及び第2ピック27bは、それぞれ上下方向に重なるように配置された保持部を有していてもよい。
【0020】
なお、VTMアーム25は、第1アーム25a及び第2アーム25bを伸縮させるためのモータ(図示せず)を有する。
【0021】
基板処理装置30は、減圧雰囲気において少なくとも2つのウエハWに対して加熱処理及び冷却処理を同時に実行する。基板処理装置30は、基板加熱領域及び基板冷却領域を含むチャンバを有する。複数のCORチャンバ11でCOR処理が施された複数のウエハWは、真空搬送チャンバ20を介して基板処理装置30のチャンバへ順次搬送される。基板処理装置30は、基板加熱領域において複数のウエハWの少なくとも一つである第1のウエハを加熱し、第1のウエハが加熱されている間に、基板冷却領域において複数のウエハWの少なくとも他の一つである第2のウエハを冷却する。基板処理装置30において、基板加熱領域と基板冷却領域とは、隔壁により熱的及び圧力的に分離されている。これにより、基板加熱領域と基板冷却領域との間の熱伝導を抑制するとともに、基板加熱領域内の圧力と基板冷却領域内の圧力とを独立して制御することが可能となる。基板処理装置30は各々、ゲートバルブGVを介して真空搬送チャンバ20に接続される。基板処理装置30の詳細は、後述する。
【0022】
ロードロックチャンバ40は、複数のウエハWを保持可能なストッカを有する。ロードロックチャンバ40は、図示しない排気機構(例えば、真空ポンプ及びリーク弁)を有し、ロードロックチャンバ40内を大気雰囲気と減圧雰囲気とに切り替え可能に構成されている。ロードロックチャンバ40は、CORチャンバ11及び基板処理装置30が配置されていない真空搬送チャンバ20の一辺に配置される。ロードロックチャンバ40と真空搬送チャンバ20とは、ゲートバルブGVを介して内部が連通可能に構成されている。
【0023】
VTMアーム25は、ロードロックチャンバ40のストッカからウエハWを取り出し、CORチャンバ11の載置台へ搬送する。また、VTMアーム25は、全ての処理が終了したウエハWを基板処理装置30から取り出し、ロードロックチャンバ40のストッカまで搬送する。
【0024】
ロードロックチャンバ40は、真空搬送チャンバ20に接続される側と反対側において、常圧搬送チャンバ50に接続される。ロードロックチャンバ40と常圧搬送チャンバ50との間は、ゲートバルブGVを介してそれぞれの内部が連通可能に構成されている。
【0025】
常圧搬送チャンバ50は、常圧雰囲気に維持される。図1の例では、常圧搬送チャンバ50は、上面視で、上辺が下辺よりも短い略台形形状である。常圧搬送チャンバ50の上辺にロードロックチャンバ40が配置されており、常圧搬送チャンバ50の下辺に複数のロードポート60が並設されている。常圧搬送チャンバ50内には、ロードロックチャンバ40とロードポート60との間で搬送物を搬送するためのLM(Loader Module)アーム55が配置される。LMアーム55は、アーム55aを有する。アーム55aは、基台55c上に回転可能に固定されている。基台55cは、常圧搬送チャンバ50のロードポート60側の壁面に沿って移動可能に取り付けられている。アーム55aの先端には、略U字形状の第1ピック57a及び第2ピック57bが回動可能に接続される。
【0026】
ロードポート60は、複数のウエハWを収容するためのFOUP(Front Opening Unify Pod)を載置可能に形成される。FOUPとは、複数のウエハWを収容可能な容器である。
【0027】
上記のCORチャンバ11、真空搬送チャンバ20、VTMアーム25、基板処理装置30、ロードロックチャンバ40、常圧搬送チャンバ50、LMアーム55及びロードポート60は各々、制御装置70と接続され、制御装置70に制御される。
【0028】
制御装置70は、基板処理システム1の各部を制御する情報処理装置である。制御装置70は、記憶部及び処理部などを有する。記憶部は、例えば、ハードディスク、光ディスク、半導体メモリ素子等の任意の記憶装置である。処理部は、例えば、CPU(Central Processing Unit)、MPU(Micro Processing Unit)などのプロセッサである。処理部は、記憶部に格納されたプログラムやレシピを読み出して実行することにより、基板処理システム1の各部を制御する。
【0029】
(基板処理装置30の構成例)
図2は、一実施形態に係る基板処理装置30の一例を示す斜視図である。図3は、上方から見た場合の基板処理装置30の一例を示す平面図である。なお、図2及び図3では、説明の便宜上、基板処理装置30の上部部材31b(図1参照)が省略されている。図2及び図3に示す基板処理装置30は、主として、チャンバ31、搬送機構32、隔壁P及び制御部81を有する。
【0030】
チャンバ31は、下部部材31a及び上部部材31b(図1参照)を有する。下部部材31aは、上方が開口した略円筒形状を有し、処理室Cを形成する側壁及び底壁を含む凹部を形成する。上部部材31bは、略円板形状を有する蓋体であり、下部部材31aの上部の開口を閉塞することで処理室Cを形成する。下部部材31aと上部部材31bとの間の外周部には、処理室Cを密閉するための封止部材、例えばOリング等が設けられる。また、チャンバ31は、下部部材31aの側壁に、VTMアーム25とウエハWの受け渡しを行うための基板搬送口31cを有する。基板搬送口31cには、ゲートバルブGV(図1参照)が設けられる。ウエハWの搬出入が行われる際には、ゲートバルブGVが開かれる。そして、VTMアーム25によって基板搬送口31cを介してウエハWの搬出入が行われる。
【0031】
処理室Cは、例えば図3に示すように、軸線Xを中心とする円周上に配列された第1領域R1及び第2領域R2を含む。第1領域R1は、基板加熱領域の一例であり、第2領域R2は、基板冷却領域の一例である。第1領域R1及び第2領域R2の各々には、例えばN2ガス等の昇圧用ガスを供給するためのガス供給管(不図示)が設けられている。第1領域R1は、第1分割領域R1a、第2分割領域R1b及び第3分割領域R1cに区分される。第1分割領域R1a、第2分割領域R1b及び第3分割領域R1cは、熱的及び圧力的に連通している。
【0032】
なお、図2及び図3の例においては、1つの第1領域R1と、1つの第2領域R2とを示す。ただし、処理室Cに含まれる第1領域R1、第2領域R2の数は図示するものに限定されない。また、第1領域R1に含まれる分割領域(第1分割領域R1a、第2分割領域R1b、第3分割領域R1c)の数も図示するものに限定されない。
【0033】
第1領域R1には、ウエハWを加熱するための加熱機構が配置される。例えば、図3に示す昇温機構33及び保温機構34,35は、加熱機構の一例である。昇温機構33は、第1分割領域R1aにおいてウエハWを昇華温度まで昇温する。昇華温度とは、例えば、COR処理により生成された反応生成物が気化する温度である。昇温機構33は、例えば、上部部材31b(図1参照)のうち第1分割領域R1aに対応する部分に配置され、後述する回転台32aの回転が停止された状態で、上部部材31b側からウエハWを昇華温度まで昇温する。図3では、上部部材31bが省略されているため、昇温機構33の配置位置が破線で示されている。また、第1分割領域R1aには、ウエハWの位置合わせを行うための位置合わせ機構36が配置される。第1分割領域R1aは、基板昇温領域の一例である。第1領域R1の第1分割領域R1aの詳細は、後述する。
【0034】
保温機構34、35は、それぞれ、第2分割領域R1b及び第3分割領域R1cにおいてウエハWを昇華温度に維持する。保温機構34、35の各々は、例えば、図示しない駆動機構により昇降可能に構成され、内部にヒータを有する台である。保温機構34、35の各々は、後述する回転台32aの下方に配置され、回転台32aの回転が停止された場合に、回転台32aの下方から上昇して、回転台32aの孔においてウエハWに接触する。そして、保温機構34、35の各々は、内部のヒータによりウエハWを加熱する。これにより、保温機構34、35の各々は、ウエハWを昇華温度に維持する。第2分割領域R1b及び第3分割領域R1cは、基板保温領域の一例である。保温機構34、35の各々の内部に配置されるヒータは、抵抗加熱要素の一例である。なお、保温機構34、35は、抵抗加熱要素、特定の波長を有する光を放射する放射源(例えばLED(Light Emitting Diode)ヒータ)、及び加熱気体供給要素(例えばN2ガス供給管)の少なくともいずれか一つを含むように構成されてもよい。
【0035】
第2領域R2には、ウエハWを冷却するための冷却機構が配置される。例えば、図3に示す冷却板37は、冷却機構の一例である。冷却板37は、第2領域R2において昇降可能に設けられ、内部に冷媒流路を有する。冷却板37は、後述する回転台32aの下方に配置され、回転台32aの回転が停止された場合に、回転台32aの下方から上昇して、回転台32aの孔においてウエハWに接触する。そして、冷却板37は、冷媒流路を流れる冷媒によりウエハWを冷却する。また、第2領域R2には、ウエハWの冷却時にウエハWを密閉するための密閉部38が配置される。第2領域R2の詳細は、後述する。
【0036】
基板処理装置30は、例えば図2及び図3に示すように、チャンバ31の内部に形成される処理室Cに、搬送機構32を有する。搬送機構32は、第1領域R1と第2領域R2との間でウエハWを搬送する。搬送機構32は、回転台32a及び回転機構32bを有する。
【0037】
回転台32aは、軸線Xを中心軸とする略円盤状の部材であり、周方向に所定の間隔で配置された複数の孔(図3の例では4つの孔)を有する。回転台32aの複数の孔の各々には、ウエハWを保持するための爪32a-1が形成されている。回転台32aは、基板搬送口31cから順次搬送される複数のウエハWを複数の孔において爪32a-1によりそれぞれ保持する。回転台32aは、例えば、複数の孔の各々において、CORチャンバ11が同時にCOR処理を実行するウエハWの数に応じた数のウエハWを保持可能に形成される。例えば、1つのCORチャンバ11において同時にCOR処理が施されるウエハWの数が2枚であれば、回転台32aは、複数の孔の各々において、2枚のウエハWを保持可能であればよい。回転台32aは、保持部の一例である。
【0038】
回転機構32bは、軸線Xを中心に回転台32aを回転させる。回転台32aに保持されたウエハWは、回転台32aの回転に伴って、軸線Xの周囲を移動し、第1領域R1及び第2領域R2を順に通過可能である。本実施形態において、回転台32aは、上から見た場合に例えば時計周りの方向に回転する。また、回転機構32bは、回転台32aに保持されたウエハが第1領域R1の第1分割領域R1a、第2分割領域R1b、第3分割領域R1c及び第2領域R2の各々に到達する度に、回転台32aの回転を一時的に停止する。
【0039】
基板処理装置30は、例えば図2及び図3に示すように、チャンバ31の内部に形成される処理室Cに、第1領域R1と第2領域R2とを熱的及び圧力的に分離する隔壁Pを有する。隔壁Pは、上面視で角部が軸線Xに位置する略V字形状を有し、下部部材31aの側壁に固定される。隔壁Pの位置は、回転台32aの回転時に回転台32a及び回転台32aに保持されたウエハWと干渉しない位置であればよい。また、処理室Cの底部には、隔壁Pが設けられた位置に対応して、他の隔壁(不図示)が設けられている。他の隔壁は、隔壁Pと同様に、第1領域R1と第2領域R2とを熱的及び圧力的に分離する機能を有する。他の隔壁は、隔壁Pと概ね同様の形状を有し、下部部材31aの側壁に固定される。他の隔壁の位置は、回転台32aの回転時に回転台32a及び回転台32aに保持されたウエハWと干渉しない位置であればよい。すなわち、他の隔壁は、他の隔壁と隔壁Pとの間に回転台32a及び回転台32aに保持されたウエハWが通過可能な隙間が形成されるように、配置される。
【0040】
制御部81は、基板処理装置30の各部を制御する情報処理装置である。制御部81は、記憶部及び処理部などを有する。記憶部は、例えば、ハードディスク、光ディスク、半導体メモリ素子等の任意の記憶装置である。処理部は、例えば、CPU、MPUなどのプロセッサである。制御部81は、記憶部に格納された制御プログラムに従って処理部が動作することにより、基板処理装置30の各部を制御する。なお、制御部81と基板処理システム1の制御装置70とが通信することで基板処理装置30の各部が制御されるように構成してもよい。
【0041】
例えば、制御部81は、後述するように、第1領域R1におけるウエハWの加熱と、第2領域R2における他のウエハWの冷却とを、加熱機構及び冷却機構に並行して実行させる。この場合、第1領域R1及び第2領域R2は、隔壁Pにより熱的に分離されているので、第1領域R1における加熱効率と第2領域R2における冷却効率とをそれぞれ向上させることが可能となる。また、第1領域R1及び第2領域R2は、隔壁Pにより圧力的にも分離されているので、第1領域R1における圧力と第2領域R2における圧力とを独立して制御することが可能となる。本例においては、冷却時の第2領域R2の圧力を加熱時の第1領域R1の圧力よりも高くすることで、第1領域R1で昇華したガスが第2領域R2に侵入することを防止することが可能となる。これにより、第1領域R1で昇華したガスが第2領域R2における基板に付着することを防止することができる。
【0042】
(第1領域R1の第1分割領域R1aの一例)
次に、チャンバ31に含まれる第1領域R1の第1分割領域R1aの一例について説明する。図4は、チャンバ31に含まれる第1領域R1の第1分割領域R1aの一例を示す模式断面図である。図4は、図3のIV-IV線における断面に相当する。図4に示すように、チャンバ31の上部部材31bのうち第1分割領域R1aに対応する部分には、昇温機構33が配置される。昇温機構33は、回転台32aの回転が停止された状態で、上部部材31b側からウエハWを昇華温度まで昇温する。昇温機構33は、LEDヒータ33aと、LEDヒータ33aを上部部材31bに固定する固定部材33bとを有する。LEDヒータ33aは、特定の波長を有する光を放射する。特定の波長を有する光とは、例えば、赤外線である。LEDヒータ33aから放射された光は、上部部材31bに設けられた透過窓部材31dを透過して、第1分割領域R1aにおいてウエハWに照射される。これにより、ウエハWが昇華温度まで昇温される。LEDヒータ33aは、放射源の一例である。
【0043】
また、第1分割領域R1aには、ウエハWの位置合わせを行うための位置合わせ機構36が配置される。位置合わせ機構36は、ウエハWを載置する回転載置台36aと、ウエハWの外周縁部を光学的に検出可能な検出ユニット36bとを有する。回転載置台36aは、図示しない駆動機構により昇降可能に且つ鉛直軸周りに回転可能に動作する。回転載置台36aは、回転台32aの下方に配置され、回転台32aの回転が停止された場合に、回転台32aの下方から上昇して回転台32aの孔を通過し、ウエハWを持ち上げる。図4では、回転載置台36aを上昇させた状態が示されている。回転載置台36aを上昇させた状態では、ウエハWは、回転載置台36aにより持ち上げられた状態となり、回転載置台36aの回転に伴って回転可能な状態となる。検出ユニット36bは、回転台32aに保持されたウエハWを挟む位置に設けられた発光部36b-1及び受光部36b-2を有する。発光部36b-1から放出された光が受光部36b-2に入射することで、受光部36b-2において入射した光の強度が検出され、その検出結果が制御部81へ出力される。制御部81は、受光部36b-2により検出された光の強度に基づき、ウエハWの外周縁部のオリエンテーションフラットやノッチを検出する。そして、制御部81は、検出されたオリエンテーションフラットやノッチが所定の方向を向くように回転載置台36aを制御して、ウエハWの位置合わせを行う。なお、ウエハWの位置合わせは、第1分割領域R1aにおけるウエハWの昇温と並行して実行されてもよい。これにより、ウエハWの面内温度均一性を向上することができる。
【0044】
(第2領域R2の一例)
次に、チャンバ31に含まれる第2領域R2の一例について説明する。図5及び図6は、チャンバ31に含まれる第2領域R2の一例を示す模式断面図である。図5は、図3のV-V線における断面に相当する。図5及び図6に示すように、チャンバ31の第2領域R2には、ウエハWを冷却するための冷却板37と、ウエハWの冷却時にウエハWを密閉するための密閉部38とが配置される。
【0045】
冷却板37は、内部に冷媒流路を有する。冷却板37の冷媒流路は、チャンバ31の外部に設けられたチラーユニット、あるいは一般冷却水設備に配管を介して接続され、冷媒が供給されて循環される。冷却板37は、密閉部38(後述の下側可動部材38b)に固定され、下側可動部材38bの昇降に伴って、第2領域R2において昇降する。冷却板37は、回転台32aの孔を通過可能なサイズを有し、冷却板37の外縁には、回転台32aの孔に形成された爪32a-1との干渉を回避するための切欠きが形成されている。冷却板37は、回転台32aの下方に配置され、回転台32aの回転が停止された場合に、回転台32aの下方から上昇して、回転台32aの孔においてウエハWに接触する。図5では、冷却板37を下降させた状態が示され、図6では、冷却板37を上昇させた状態が示されている。図6に示すように、冷却板37を上昇させた状態では、ウエハWは、冷却板37上に載置された状態となる。そして、冷却板37は、冷媒流路を流れる冷媒によりウエハWを冷却する。
【0046】
密閉部38は、上側可動部材38aと下側可動部材38bとを有する。上側可動部材38a及び下側可動部材38bは、それぞれ有底筒状に形成され、回転台32aに保持されたウエハWを挟む位置に配置される。上側可動部材38a及び下側可動部材38bは、図示しない駆動機構により上下方向に移動可能に構成されている。下側可動部材38bには、冷却板37が固定されている。上側可動部材38a及び下側可動部材38bは、冷却板37によるウエハWの冷却時に(つまり、回転台32aの回転の停止時)互いに接近してウエハWを密閉する。一方、上側可動部材38a及び下側可動部材38bは、搬送機構32によるウエハWの搬送時(つまり、回転台32aの回転時)に互いに離間して密閉を解除する。図5では、上側可動部材38a及び下側可動部材38bが互いに離間した状態が示され、図6では、上側可動部材38a及び下側可動部材38bが互いに接近した状態が示されている。
【0047】
上側可動部材38a及び下側可動部材38bは、回転台32aと対向する端面に、シール部材38a-1、38b-1を有する。上側可動部材38a及び下側可動部材38bは、冷却板37によるウエハWの冷却時に互いに接近し且つシール部材38a-1、38b-1を回転台32aに接触させることで、ウエハWを密閉する。上側可動部材38aは、第1の可動部材の一例であり、下側可動部材38bは、第2の可動部材の一例である。
【0048】
また、本例では、上側可動部材38aと下側可動部材38bとの間に形成されてウエハWを収容する密閉空間に昇圧用ガスを供給して、冷却板37によるウエハWの冷却時に該密閉空間を昇圧する。例えば、上側可動部材38a又は下側可動部材38bに、N2ガス等の昇圧用ガスを上側可動部材38a及び下側可動部材38bの間の密閉空間へ供給するためのガス供給管が設けられてもよい。そして、冷却板37は、上側可動部材38aと下側可動部材38bとの間の密閉空間が昇圧用ガスにより昇圧された状態で、ウエハWを冷却する。これにより、ウエハWの冷却効率を向上させることができる。また、密閉部38の内部の密閉空間が昇圧用ガスにより昇圧される場合、密閉部38の内部の圧力>密閉部38の外部の圧力>第1領域R1の圧力という関係が成立する。これにより、デポ物が密閉部38の内部の密閉空間へ進入することを抑制することができ、密閉部38の内部の密閉空間をクリーンな状態に保つことができる。
【0049】
また、第2領域R2には、基板搬送口31cが配置される。さらに、第2領域Rには、リフタピン39が冷却板37の上面から昇降可能に設けられている。リフタピン39は、例えば環状のベース部材39aに配置され、ベース部材39aに接続された駆動機構(不図示)により駆動される。リフタピン39は、下側可動部材38bを貫通して形成される孔部及び冷却板37を貫通して形成される孔部にそれぞれ挿入され、ベース部材39aを介した駆動機構の駆動制御に応じて、冷却板37の上面から昇降する。このように構成されたリフタピン39は、回転台32aの回転が停止された場合に、ベース部材39aを介した駆動機構の駆動制御に応じて、図7に示すように冷却板37の上面から上昇してウエハWを回転台32aから持ち上げることができる。図7は、リフタピン39により回転台32aからウエハWが持ち上げられた状態の一例を示す図である。リフタピン39により回転台32aから持ち上げられたウエハWは、VTMアーム25(図1参照)によって基板搬送口31cから取り出される。
【0050】
(実施形態に係る基板処理装置30の処理動作)
図8図12は、一実施形態に係る基板処理装置30の処理動作の一例について説明するための図である。基板処理装置30は、複数のCORチャンバ11でCOR処理が施された複数のウエハWがVTMアーム25によってチャンバ31へ順次搬送される場合に、複数のウエハWに対して加熱処理及び冷却処理を連続的に実行する。一実施形態においては、基板処理装置30は、基板加熱領域において複数のウエハWの少なくとも一つである第1のウエハを加熱し、第1のウエハが加熱されている間に、基板冷却領域において複数のウエハWの少なくとも他の一つである第2のウエハを冷却する。以下の説明では、COR処理が施された2枚のウエハ#1,#2が第2のウエハに相当し、COR処理が施された2枚のウエハ#3,#4が第1のウエハに相当するものとする。
【0051】
例えば、基板処理装置30はまず、図8に示すように、COR処理が施された2枚のウエハ#1,#2がVTMアーム25によってチャンバ31内の第2領域R2へ搬入されると、リフタピン39を動作させて、ウエハ#1,#2を回転台32aに保持させる。そして、基板処理装置30は、回転機構32bを動作させて、軸線Xを中心に回転台32aを回転させる。
【0052】
回転台32aに保持されたウエハ#1,#2は、回転台32aの回転に伴って、軸線Xの周囲を時計周りに移動し、図9に示すように、第1領域R1の第1分割領域R1aに到達する。基板処理装置30は、回転台32aに保持されたウエハ#1,#2が第1分割領域R1aに到達すると、回転機構32bを停止させて、回転台32aの回転を停止させる。そして、基板処理装置30は、第1分割領域R1aに配置された昇温機構33を動作させて、第1分割領域R1aにおいてウエハ#1,#2を昇華温度まで昇温させる。これにより、COR処理により生成された反応生成物がウエハ#1,#2において気化する。基板処理装置30は、昇温機構33の動作が開始されてから予め定められた時間が経過すると、回転機構32bを動作させて、軸線Xを中心に回転台32aを回転させる。
【0053】
回転台32aに保持されたウエハ#1,#2は、回転台32aの回転に伴って、軸線Xの周囲を時計周りに移動し、図10に示すように、第1領域R1の第2分割領域R1bに到達する。基板処理装置30は、回転台32aに保持されたウエハ#1,#2が第2分割領域R1bに到達すると、回転機構32bを停止させて、回転台32aの回転を停止させる。そして、基板処理装置30は、第2分割領域R1bに配置された保温機構34を動作させて、第2分割領域R1bにおいてウエハ#1,#2を昇華温度に維持する。これにより、COR処理により生成された反応生成物がウエハ#1,#2において継続的に気化する。一方、基板処理装置30は、図10に示すように、COR処理が施された2枚のウエハ#3,#4がVTMアーム25によってチャンバ31内の第2領域R2へ搬入されると、リフタピン39を動作させて、ウエハ#3,#4を回転台32aに保持させる。基板処理装置30は、保温機構34の動作が開始されてから予め定められた時間が経過すると、回転機構32bを動作させて、軸線Xを中心に回転台32aを回転させる。
【0054】
回転台32aに保持されたウエハ#1,#2は、回転台32aの回転に伴って、軸線Xの周囲を時計周りに移動し、図11に示すように、第1領域R1の第3分割領域R1cに到達する。一方、回転台32aに保持されたウエハ#3,#4は、回転台32aの回転に伴って、軸線Xの周囲を時計周りに移動し、図11に示すように、第1領域R1の第1分割領域R1aに到達する。基板処理装置30は、回転台32aに保持されたウエハ#1,#2が第3分割領域R1cに到達し且つウエハ#3,#4が第1分割領域R1aに到達すると、回転機構32bを停止させて、回転台32aの回転を停止させる。そして、基板処理装置30は、第3分割領域R1cに配置された保温機構35を動作させて、第3分割領域R1cにおいてウエハ#1,#2を昇華温度に維持する。これにより、COR処理により生成された反応生成物がウエハ#1,#2において継続的に気化する。一方、基板処理装置30は、第1分割領域R1aに配置された昇温機構33を動作させて、第1分割領域R1aにおいてウエハ#3,#4を昇華温度まで昇温させる。これにより、COR処理により生成された反応生成物がウエハ#3,#4において気化する。基板処理装置30は、昇温機構33及び保温機構35の動作が開始されてから予め定められた時間が経過すると、回転機構32bを動作させて、軸線Xを中心に回転台32aを回転させる。
【0055】
回転台32aに保持されたウエハ#1,#2は、回転台32aの回転に伴って、軸線Xの周囲を時計周りに移動し、図12に示すように、第2領域R2に到達する。一方、回転台32aに保持されたウエハ#3,#4は、回転台32aの回転に伴って、軸線Xの周囲を時計周りに移動し、図12に示すように、第1領域R1の第2分割領域R1bに到達する。基板処理装置30は、回転台32aに保持されたウエハ#1,#2が第2領域R2に到達し且つウエハ#3,#4が第2分割領域R1bに到達すると、回転機構32bを停止させて、回転台32aの回転を停止させる。そして、基板処理装置30は、第2分割領域R1b(第1領域R1)におけるウエハ#3,#4の加熱機構による加熱と、第2領域R2におけるウエハ#1,#2の冷却機構による冷却とを並行して実行する。すなわち、基板処理装置30は、第2分割領域R1bに配置された保温機構34を動作させて、第2分割領域R1bにおいてウエハ#3,#4を昇華温度に維持する。これにより、COR処理により生成された反応生成物がウエハ#3,#4において継続的に気化する。一方、基板処理装置30は、ウエハ#3,#4が保温機構34により加熱されている間に、第2領域R2に配置された冷却板37を動作させて、第2領域R2においてウエハ#1,#2を冷却する。これにより、ウエハ#1,#2が次のCOR処理に適した温度まで冷却される。こうして、COR処理が施された複数のウエハに対して加熱処理及び冷却処理が連続的に実行される。
【0056】
基板処理装置30は、保温機構34及び冷却板37の動作が開始されてから予め定められた時間が経過すると、リフタピン39を動作させて、リフタピン39によりウエハ#1,#2を回転台32aから持ち上げる。リフタピン39により回転台32aから持ち上げられたウエハ#1,#2は、VTMアーム25によって基板搬送口31cから取り出される。
【0057】
なお、図8図12の例では、基板冷却領域である第2領域R2に隣接しない第2分割領域R1bにおけるウエハ#3,#4の加熱と、第2領域R2におけるウエハ#1,#2の冷却とを並行して実行するものとした。ただし、基板処理装置30のスループットを向上する観点から、第1分割領域R1aにおけるウエハの加熱と第2分割領域R1bにおけるウエハの加熱と第3分割領域R1cにおけるウエハの加熱と第2領域R2におけるウエハの冷却とを並行して実行してもよい。すなわち、基板処理装置30は、第1分割領域R1aに配置された昇温機構33、第2分割領域R1bに配置された保温機構34、第3分割領域R1cに配置された保温機構35、及び第2領域R2に配置された冷却板37を同時に動作させてもよい。
【0058】
以下に、一実施形態に係る基板処理装置30において基板を処理する方法の一例を示す。ステップS1において、基板加熱領域(つまり、第1領域R1)及び基板冷却領域(つまり、第2領域R2)を第1の圧力に調節(減圧)する。ステップS2において、基板冷却領域の圧力が基板加熱領域の圧力よりも高くなるように、基板加熱領域又は基板冷却領域を第1の圧力から第2の圧力に調節する。基板加熱領域の圧力を調節する場合には基板加熱領域を減圧し、基板冷却領域の圧力を調節する場合には基板冷却領域を昇圧する。ステップS3において、第1の基板を基板加熱領域に搬送し、第2の基板を基板冷却領域に搬送する。例えば、第1の基板は、基板冷却領域に設けられた基板処理装置30の搬入出口(つまり、基板搬送口31c)から基板加熱領域に搬送され、第2の基板は、基板加熱領域において加熱された後に、基板加熱領域から基板冷却領域に搬送される。換言すれば、第2の基板は、第1の基板が基板処理装置30に搬入される前に基板加熱領域において加熱されており、例えば、基板処理装置30に搬入された第1の基板が基板冷却領域から基板加熱領域に搬送されるときに基板加熱領域から基板冷却領域に搬送される。第1の基板及び第2の基板の搬送は同時であってもよく異なるタイミングであってもよい。ステップS4において、基板加熱領域において第1の基板を加熱するとともに基板冷却領域において第2の基板を冷却する。詳細には、密閉部38は、第2の基板を密閉した後に第1の圧力及び第2の圧力とは異なる第3の圧力まで昇圧される。そして、第2の基板が冷却される。ステップS5において、第1の基板を第2分割領域R1b、第3分割領域R1c又は基板冷却領域に移動させるとともに、第2の基板を基板冷却領域から基板処理装置30の搬入出口を介してVTMチャンバ(つまり、真空搬送チャンバ20)に搬出する。
【0059】
(効果)
以上説明したように、上記実施形態に係る基板処理装置は、チャンバと、加熱機構と、冷却機構と、隔壁と、を有する。チャンバは、少なくとも一つの基板加熱領域及び少なくとも一つの基板冷却領域を含むチャンバを有する。加熱機構は、少なくとも一つの基板加熱領域において第1の基板を加熱するように構成される。冷却機構は、第1の基板を加熱している間に、少なくとも一つの基板冷却領域において第2の基板を冷却するように構成される。隔壁は、チャンバ内に設けられ、少なくとも一つの基板加熱領域と少なくとも一つの基板冷却領域とを熱的及び圧力的に分離するように構成される。このため、実施形態に係る基板処理装置は、1つのチャンバ内で基板に対して加熱処理及び冷却処理を実行することができる。基板処理システムにおいて加熱処理チャンバと冷却処理チャンバとが別個に設けられる場合、加熱処理チャンバと冷却処理チャンバとの間での基板の搬送に時間がかかるため、基板処理システムのスループットが低下する。上記実施形態に係る基板処理装置は、1つのチャンバ内で隔壁により熱的及び圧力的に分離された基板加熱領域及び基板冷却領域において、基板に対して加熱処理及び冷却処理を連続的に実行する。このため、本実施形態によれば、異なるチャンバ間での基板の搬送を省略することができ、基板処理システムのスループットを向上させることができる。
【0060】
また、上記実施形態に係る基板処理装置は、少なくとも一つの基板冷却領域内に設けられ、基板の冷却時に基板を密閉するように構成される密閉部をさらに有する。このため、実施形態に係る基板処理装置は、基板加熱領域及び基板冷却領域を隔壁及び密閉部により二重に分離することができ、基板の冷却効率を向上させることができる。すなわち、冷却時は、内部隔壁により狭い領域を形成することで短時間で昇圧しながら、基板の冷却を実行することができる。さらに、基板加熱領域と基板冷却領域とを隔離することで、基板加熱領域で昇華したガスが基板冷却領域にある基板に再付着することを防止している。つまり、密閉部の内部の圧力>基板加熱領域の圧力という関係が成立することで、密閉部の内部の密閉空間へガスが回り込まない構造となっている。さらに、二重隔壁を構成することで、密閉部の内部の密閉空間を基板加熱領域と隔離することができ、さらにデポ付着防止に寄与している。
【0061】
また、上記実施形態に係る基板処理装置は、少なくとも一つの基板加熱領域と少なくとも一つの基板冷却領域との間で基板を搬送するように構成された搬送機構をさらに有する。そして、密閉部は、第1の可動部材と第2の可動部材を含む。第1の可動部材及び前記第2の可動部材は、冷却機構による基板の冷却時に互いに接近して基板を密閉するように構成され、搬送機構による基板の搬送時に互いに離間して密閉を解除するように構成される。このため、実施形態に係る基板処理装置は、1つのチャンバ内で基板加熱領域と基板冷却領域との間で基板を搬送して基板に対して加熱処理及び冷却処理を連続的に実行することができる。
【0062】
また、上記実施形態に係る基板処理装置において、搬送機構は、複数の基板を保持するように構成された保持部と、保持部を回転させるように構成された回転機構とを含む。このため、実施形態に係る基板処理装置は、1つのチャンバ内で基板加熱領域と基板冷却領域との間で保持部の回転により基板を搬送して基板に対して加熱処理及び冷却処理を連続的に実行することができる。
【0063】
また、上記実施形態に係る基板処理装置において、第1の可動部材及び第2の可動部材は、保持部と対向する端面にシール部材を有する。そして、第1の可動部材及び第2の可動部材は、冷却機構による基板の冷却時に互いに接近し且つシール部材を保持部に接触させることで、基板を密閉するように構成される。このため、実施形態に係る基板処理装置は、基板の冷却効率をより向上させることができる。
【0064】
また、上記実施形態に係る基板処理装置において、少なくとも一つの基板加熱領域は、少なくとも一つの基板昇温領域及び少なくとも一つの基板保温領域を含む。そして、加熱機構は、少なくとも一つの基板昇温領域において基板を昇華温度まで昇温するように構成された昇温機構と、少なくとも一つの基板保温領域において基板を昇華温度に維持するように構成された保温機構とを含む。このため、実施形態に係る基板処理装置は、少なくとも一つの基板保温領域を設けることで、基板保温領域の数に応じた複数の基板を同時に且つ効率的に加熱することができる。
【0065】
また、上記実施形態に係る基板処理装置において、昇温機構は、基板を加熱可能な特定の波長を有する光を放射する放射源を含み、保温機構は、抵抗加熱要素を含む。このため、実施形態に係る基板処理装置は、基板の加熱効率をより向上させることができる。
【0066】
また、上記実施形態に係る基板処理装置は、昇温機構、保温機構、及び冷却機構を同時に動作させるように構成された制御部を有する。このため、実施形態に係る基板処理装置は、基板に対して加熱処理及び冷却処理を連続的に実行する場合の処理時間を短縮することができる。
【0067】
また、上記実施形態に係る基板処理装置において、チャンバは、外部と基板の受け渡しを行う基板搬送口を有する。基板搬送口は、少なくとも一つの基板冷却領域内に設けられる。このため、実施形態に係る基板処理装置は、基板冷却領域において冷却された基板を基板搬送口から円滑に搬出することができる。
【0068】
なお、今回開示された実施形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。上記の実施形態は、添付の請求の範囲及びその主旨を逸脱することなく、様々な形態で省略、置換、変更されてもよい。
【符号の説明】
【0069】
30 基板処理装置
31 チャンバ
31c 基板搬送口
32 搬送機構
32a 回転台(保持部)
32b 回転機構
33 昇温機構(加熱機構)
33a LEDヒータ(放射源)
34、35 保温機構(加熱機構)
36 位置合わせ機構
37 冷却板(冷却機構)
38 密閉部
38a 上側可動部材(第1の可動部材)
38b 下側可動部材(第2の可動部材)
38a-1、38b-1 シール部材
P 隔壁
R1 第1領域(基板加熱領域)
R1a 第1分割領域(基板昇温領域)
R1b 第2分割領域(基板保温領域)
R1c 第3分割領域(基板保温領域)
R2 第2領域(基板冷却領域)
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12