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特許7403348アンテナセグメント及び誘導結合プラズマ処理装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-14
(45)【発行日】2023-12-22
(54)【発明の名称】アンテナセグメント及び誘導結合プラズマ処理装置
(51)【国際特許分類】
   H05H 1/46 20060101AFI20231215BHJP
【FI】
H05H1/46 L
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2020028727
(22)【出願日】2020-02-21
(65)【公開番号】P2021136065
(43)【公開日】2021-09-13
【審査請求日】2022-11-01
(73)【特許権者】
【識別番号】000219967
【氏名又は名称】東京エレクトロン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(72)【発明者】
【氏名】齊藤 均
(72)【発明者】
【氏名】東条 利洋
【審査官】鳥居 祐樹
(56)【参考文献】
【文献】中国特許出願公開第107846768(CN,A)
【文献】特開2013-162035(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2013/0278136(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H05H 1/46
H01J 37/32
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
筒状にアンテナ線を巻回して形成し、前記アンテナ線の一部によって前記アンテナ線の巻回軸と平行な第1平面を形成するアンテナセグメントであって、
前記アンテナ線の他の一部が前記第1平面と対向する位置にある第2平面を形成し、
巻回軸方向の一方側で、少なくとも一部が前記第1平面を形成する第1のアンテナ線と、
前記巻回軸方向の他方側で、前記第1平面を形成する第2のアンテナ線と、を備え、
前記第1のアンテナ線は、
前記第1平面を形成する平面上アンテナ部と、
前記第2のアンテナ線から離間し前記第1平面と前記第2平面との間において前記第1平面と対向する第3平面を形成するように前記第2のアンテナ線に対して積層して配置される積層アンテナ部と、
前記平面上アンテナ部と前記積層アンテナ部とを接続する連結部と、を有する、
アンテナセグメント。
【請求項2】
前記積層アンテナ部を流れる電流は、前記第2のアンテナ線を流れる電流と同方向に流れる、
請求項1に記載のアンテナセグメント。
【請求項3】
前記第1平面に垂直な方向から見て、
前記巻回軸方向の一方側の第1端部の前記アンテナ線の形状は、凹状に屈曲し、
前記巻回軸方向の他方側の第2端部の前記アンテナ線の形状は、凸状に屈曲して形成される、
請求項1または請求項2に記載のアンテナセグメント。
【請求項4】
前記積層アンテナ部を構成するアンテナ線の巻き数は、前記第1平面を形成するアンテナ線の全巻き数の半分以下である、
請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載のアンテナセグメント。
【請求項5】
前記第2のアンテナ線の上端から前記積層アンテナ部の下端までの間隔は、10mm以上、30mm以下である、
請求項1乃至請求項4のいずれか1項に記載のアンテナセグメント。
【請求項6】
処理容器を構成する上部壁と、前記処理容器内において前記上部壁に対向する載置台と、前記上部壁の上方に配置されるアンテナユニットと、を備え、前記載置台上に載置された基板を処理する誘導結合プラズマ処理装置であって、
前記アンテナユニットは、
前記上部壁の平面中心から角部へ向かう方向を巻回軸として筒状にアンテナ線を巻回して形成し、前記アンテナ線の一部によって前記アンテナ線の前記巻回軸と平行な第1平面を形成するアンテナセグメントを、前記第1平面が額縁状領域を形成するように配列して形成され、
前記アンテナユニットは、
複数の前記アンテナセグメントのうち、前記額縁状領域の角部を構成する角部アンテナセグメントを有し、
前記角部アンテナセグメントは、
前記巻回軸方向の前記上部壁の平面中心に向かう側で、少なくとも一部が前記第1平面を形成する第1のアンテナ線と、
前記巻回軸方向の前記上部壁の平面中心から離れる側で、前記第1平面を形成する第2のアンテナ線と、を備え、
前記第1のアンテナ線は、
前記第1平面を形成する平面上アンテナ部と、
前記第2のアンテナ線の上方に離間して配置される積層アンテナ部と、
前記平面上アンテナ部と前記積層アンテナ部とを接続する連結部と、を有する、
誘導結合プラズマ処理装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、アンテナセグメント及び誘導結合プラズマ処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、角部を構成する4つの第1のアンテナセグメントと、辺中央部を構成する4つの第2のアンテナセグメントとの合計8個のアンテナセグメントで構成される環状アンテナが開示されている。また、第1のアンテナセグメントおよび第2のアンテナセグメントを、基板に交差する方向にアンテナ線を巻回して縦巻螺旋状に構成することにより、誘電体壁に面したプラズマに寄与する誘導電界を生成する部分である平面部の誘導電界の向きが環状領域に沿った一方向とすることが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2013-162035号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本開示は、プラズマ密度の均一性を向上させるアンテナセグメント及び誘導結合プラズマ処理装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示の一態様によるアンテナセグメントは、筒状にアンテナ線を巻回して形成し、前記アンテナ線の一部によって前記アンテナ線の巻回軸と平行な第1平面を形成するアンテナセグメントであって、前記アンテナ線の他の一部が前記第1平面と対向する位置にある第2平面を形成し、巻回軸方向の一方側で、少なくとも一部が前記第1平面を形成する第1のアンテナ線と、前記巻回軸方向の他方側で、前記第1平面を形成する第2のアンテナ線と、を備え、前記第1のアンテナ線は、前記第1平面を形成する平面上アンテナ部と、前記第2のアンテナ線から離間し前記第1平面と前記第2平面との間において前記第1平面と対向する第3平面を形成するように前記第2のアンテナ線に対して積層して配置される積層アンテナ部と、前記平面上アンテナ部と前記積層アンテナ部とを接続する連結部と、を有する。
【発明の効果】
【0006】
本開示によれば、プラズマ密度の均一性を向上させるアンテナセグメント及び誘導結合プラズマ処理装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】第1の実施形態に係る基板処理装置の一例を示す縦断面図。
図2】金属窓及び高周波アンテナの配置の一例を示す平面図。
図3】第2のアンテナセグメントの一例を示す斜視図。
図4】第1のアンテナセグメントの一例を示す斜視図。
図5】第1のアンテナセグメントの一例を示す正面図。
図6】第1のアンテナセグメントの一例を示すB-B断面図。
図7】第1のアンテナセグメントの一例を示すC-C断面図。
図8】第1のアンテナセグメントの一例を示すD-D断面図。
図9】第1のアンテナセグメントの他の一例を示す斜視図。
図10】径方向の誘導電界の変化を示すグラフの一例。
図11】第1のアンテナセグメントの他の一例を示す斜視図。
図12】第2のアンテナセグメントの他の一例を示す斜視図。
図13】電流の流れを示す模式図。
図14】第1のアンテナセグメントの他の一例を示す斜視図。
図15】第1のアンテナセグメントの他の一例を示す斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本開示の実施形態に係るガス供給方法及び基板処理装置(誘導結合プラズマ処理装置)10について、添付の図面を参照しながら説明する。尚、本明細書及び図面において、実質的に同一の構成要素については、同一の符号を付することにより重複した説明を省く場合がある。
【0009】
[第1の実施形態に係る基板処理装置]
図1を参照して、本開示の第1の実施形態に係る基板処理装置10について説明する。ここで、図1は、第1の実施形態に係る基板処理装置10の一例を示す縦断面図である。
【0010】
図1に示す基板処理装置10は、フラットパネルディスプレイ(Flat Panel Display、以下、「FPD」という)用の平面視矩形の基板G(以下、単に「基板」という)に対して、各種の基板処理方法を実行する誘導結合型プラズマ(Inductive Coupled Plasma: ICP)処理装置である。基板Gの材料としては、主にガラスが用いられ、用途によっては透明の合成樹脂などが用いられることもある。ここで、基板処理には、エッチング処理や、CVD(Chemical Vapor Deposition)法を用いた成膜処理等が含まれる。FPDとしては、液晶ディスプレイ(Liquid Crystal Display: LCD)やエレクトロルミネセンス(Electro Luminescence: EL)、プラズマディスプレイパネル(Plasma Display Panel;PDP)等が例示される。基板Gは、その表面に回路がパターニングされる形態の他、支持基板も含まれる。また、FPD用基板の平面寸法は世代の推移と共に大規模化しており、基板処理装置10によって処理される基板Gの平面寸法は、例えば、第6世代の1500mm×1800mm程度の寸法から、第10.5世代の3000mm×3400mm程度の寸法までを少なくとも含む。また、基板Gの厚みは0.2mm乃至数mm程度である。
【0011】
図1に示す基板処理装置10は、直方体状の箱型の処理容器20と、処理容器20内に配設されて基板Gが載置される平面視矩形の外形の基板載置台70と、制御部90とを有する。尚、処理容器は、円筒状の箱型や楕円筒状の箱型などの形状であってもよく、この形態では、基板載置台も円形もしくは楕円形となり、基板載置台に載置される基板も円形等になる。
【0012】
処理容器20は、金属窓50により上下2つの空間に区画されており、上方空間であるアンテナ室Aは上チャンバー13により形成され、下方空間である処理領域S(処理室)は下チャンバー17により形成される。処理容器20において、上チャンバー13と下チャンバー17の境界となる位置には矩形環状の支持枠14が処理容器20の内側に突設するようにして配設されており、支持枠14に金属窓50が取り付けられている。
【0013】
アンテナ室Aを形成する上チャンバー13は、側壁11と天板12とにより形成され、全体としてアルミニウムやアルミニウム合金等の金属により形成される。
【0014】
処理領域Sを内部に有する下チャンバー17は、側壁15と底板16とにより形成され、全体としてアルミニウムやアルミニウム合金等の金属により形成される。また、側壁15は、接地線21により接地されている。
【0015】
さらに、支持枠14は、導電性のアルミニウムやアルミニウム合金等の金属により形成されており、金属枠と称することもできる。
【0016】
下チャンバー17の側壁15の上端には、矩形環状(無端状)のシール溝22が形成されており、シール溝22にOリング等のシール部材23が嵌め込まれ、シール部材23を支持枠14の当接面が保持することにより、下チャンバー17と支持枠14とのシール構造が形成される。
【0017】
下チャンバー17の側壁15には、下チャンバー17に対して基板Gを搬出入するための搬出入口18が開設されており、搬出入口18はゲートバルブ24により開閉自在に構成されている。下チャンバー17には搬送機構を内包する搬送室(いずれも図示せず)が隣接しており、ゲートバルブ24を開閉制御し、搬送機構にて搬出入口18を介して基板Gの搬出入が行われる。
【0018】
また、下チャンバー17の有する底板16には複数の排気口19が開設されており、各排気口19にはガス排気管25が接続され、ガス排気管25は開閉弁26を介して排気装置27に接続されている。ガス排気管25、開閉弁26及び排気装置27により、ガス排気部28が形成される。排気装置27はターボ分子ポンプ等の真空ポンプを有し、プロセス中に下チャンバー17内を所定の真空度まで真空引き自在に構成されている。尚、下チャンバー17の適所には圧力計(図示せず)が設置されており、圧力計によるモニター情報が制御部90に送信されるようになっている。
【0019】
基板載置台70は、基材73と、基材73の上面73aに形成されている静電チャック76とを有する。
【0020】
基材73は、平面視形状は矩形であり、基板載置台70に載置されるFPDと同程度の平面寸法を有する。例えば、基材73は、載置される基板Gと同程度の平面寸法を有し、長辺の長さは1800mm乃至3400mm程度であり、短辺の長さは1500mm乃至3000mm程度の寸法に設定できる。この平面寸法に対して、基材73の厚みは、例えば50mm乃至100mm程度となり得る。
【0021】
基材73には、矩形平面の全領域をカバーするように蛇行した温調媒体流路72aが設けられており、ステンレス鋼やアルミニウム、アルミニウム合金等から形成される。また、基材73が、図示例のように単一の部材でなく、上方基材と下方基材の二部材の積層体から形成されてもよい。その際、温調媒体流路72aは、下方基材に設けられてもよく、上方基材に設けられてもよい。
【0022】
下チャンバー17の底板16の上には、絶縁材料により形成されて内側に段部を有する箱型の台座78が固定されており、台座78の段部の上に基板載置台70が載置される。
【0023】
基材73の上面には、基板Gが直接載置される静電チャック76が形成されている。静電チャック76は、アルミナ等のセラミックスを溶射して形成される誘電体被膜であるセラミックス層74と、セラミックス層74の内部に埋設されて静電吸着機能を有する導電層75(電極)とを有する。
【0024】
導電層75は、給電線84を介して直流電源85に接続されている。制御部90により、給電線84に介在するスイッチ(図示せず)がオンされると、直流電源85から導電層75に直流電圧が印加されることによりクーロン力が発生する。このクーロン力により、基板Gが静電チャック76の上面に静電吸着され、基材73の上面に載置された状態で保持される。
【0025】
基板載置台70を構成する基材73には、矩形平面の全領域をカバーするように蛇行した温調媒体流路72aが設けられている。温調媒体流路72aの両端には、温調媒体流路72aに対して温調媒体が供給される送り配管72bと、温調媒体流路72aを流通して昇温または降温された温調媒体が排出される戻り配管72cとが連通している。
【0026】
図1に示すように、送り配管72bと戻り配管72cにはそれぞれ、送り流路87と戻り流路88が連通しており、送り流路87と戻り流路88は温調手段、例えば、チラー86に連通している。チラー86は、温調媒体の温度や吐出流量を制御する本体部と、温調媒体を圧送するポンプとを有する(いずれも図示せず)。温調媒体としては、例えば、冷媒が適用され、この冷媒には、ガルデン(登録商標)やフロリナート(登録商標)等が適用される。送り流路87、戻り流路88及びチラー86により、温度制御装置89が構成される。
【0027】
基材73には熱電対等の温度センサが配設されており、温度センサによるモニター情報は、制御部90に随時送信される。そして、送信されたモニター情報に基づいて、基材73及び基板Gの温調制御が制御部90により実行される。より具体的には、制御部90により、チラー86から送り流路87に供給される温調媒体の温度や流量が調整される。そして、温度調整や流量調整が行われた温調媒体が温調媒体流路72aに循環されることにより、基板載置台70の温調制御が実行される。尚、熱電対等の温度センサは、例えば静電チャック76に配設されてもよい。
【0028】
静電チャック76及び基材73の外周と、台座78の上面とにより段部が形成され、この段部には、矩形枠状のフォーカスリング79が載置されている。段部にフォーカスリング79が設置された状態において、フォーカスリング79の上面の方が静電チャック76の上面よりも低くなるよう設定されている。フォーカスリング79は、アルミナ等のセラミックスもしくは石英等から形成される。
【0029】
基材73の下面には、給電部材80が接続されている。給電部材80の下端には給電線81が接続されており、給電線81はインピーダンス整合を行う整合器82を介してバイアス電源である高周波電源83に接続されている。基板載置台70に対して高周波電源83から例えば3.2MHzの高周波電力が印加されることにより、RFバイアスを発生させ、以下で説明するプラズマ発生用のソース源である高周波電源59にて生成されたイオンを基板Gに引き付けることができる。従って、プラズマエッチング処理においては、エッチングレートとエッチング選択比を共に高めることが可能になる。このように、基板載置台70は、基板Gを載置しRFバイアスを発生させるバイアス電極を形成する。この時、チャンバー内部の接地電位となる部位がバイアス電極の対向電極として機能し、高周波電力のリターン回路を構成する。尚、金属窓50を高周波電力のリターン回路の一部として構成してもよい。
【0030】
金属窓50は、複数の分割金属窓57により形成される。金属窓50を形成する分割金属窓57の数(図1には断面方向に6個が示されている)は、12個、24個等、多様な個数が設定できる。
【0031】
それぞれの分割金属窓57は、絶縁部材56により、支持枠14や隣接する分割金属窓57と絶縁されている。ここで、絶縁部材56は、PTFE(Polytetrafluoroethylene)等のフッ素樹脂により形成される。
【0032】
分割金属窓57は、導体プレート30と、シャワープレート40とを有する。導体プレート30とシャワープレート40はいずれも、非磁性で導電性を有し、さらに耐食性を有する金属もしくは耐食性の表面加工が施された金属である、アルミニウムやアルミニウム合金、ステンレス鋼等により形成されている。耐食性を有する表面加工は、例えば、陽極酸化処理やセラミックス溶射などである。また、処理領域Sに臨むシャワープレート40の下面には、陽極酸化処理やセラミックス溶射による耐プラズマコーティングが施されていてもよい。導体プレート30は接地線(図示せず)を介して接地されていてもよい。シャワープレート40と導体プレート30とは、相互に導通するように接合されている。
【0033】
図1に示すように、それぞれの分割金属窓57の上方には、絶縁部材により形成されるスペーサ(図示せず)が配設され、該スペーサにより導体プレート30から離間して高周波アンテナ54が配設されている。高周波アンテナ54は、銅等の良導電性の金属から形成されるアンテナ線を、環状もしくは渦巻き状に巻装することにより形成される。例えば、環状のアンテナ線を多重に配設してもよい。
【0034】
また、高周波アンテナ54には、上チャンバー13の上方に延設する給電部材57aが接続されており、給電部材57aの上端には給電線57bが接続され、給電線57bはインピーダンス整合を行う整合器58を介して高周波電源59に接続されている。高周波アンテナ54に対して高周波電源59から例えば13.56MHzの高周波電力が印加されることにより、分割金属窓57に誘導電流が誘起され、分割金属窓57に誘起された誘導電流により、下チャンバー17内に誘導電界が形成される。この誘導電界により、シャワープレート40から処理領域Sに供給された処理ガスがプラズマ化されて誘導結合型プラズマが生成され、プラズマ中のイオンが基板Gに提供される。尚、各分割金属窓57が固有の高周波アンテナを有し、各高周波アンテナに対して個別に高周波電力が印加される制御が実行されてもよい。
【0035】
高周波電源59はプラズマ発生用のソース源であり、基板載置台70に接続されている高周波電源83は、発生したイオンを引き付けて運動エネルギを付与するバイアス源となる。このように、イオンソース源には誘導結合を利用してプラズマを生成し、別電源であるバイアス源を基板載置台70に接続してイオンエネルギの制御を行うことより、プラズマの生成とイオンエネルギの制御が独立して行われ、プロセスの自由度を高めることができる。高周波電源59から出力される高周波電力の周波数は、0.1乃至500MHzの範囲内で設定されるのが好ましい。
【0036】
金属窓50は、複数の分割金属窓57により形成され、各分割金属窓57は複数本のサスペンダ(図示せず)により、上チャンバー13の天板12から吊り下げられている。プラズマの生成に寄与する高周波アンテナ54は分割金属窓57の上面に配設されていることから、高周波アンテナ54は分割金属窓57を介して天板12から吊り下げられている。
【0037】
導体プレート30を形成する導体プレート本体31の下面には、ガス拡散溝32が形成されている。尚、ガス拡散溝は、シャワープレートの上面に開設されてもよい。また、ガス拡散溝を構成する形状には、長尺状に形成された凹部形状のみならず、面状に形成された凹部形状も含む。
【0038】
シャワープレート40を形成するシャワープレート本体41には、シャワープレート本体41を貫通して導体プレート30のガス拡散溝32と処理領域Sとに連通する、複数のガス吐出孔42が開設されている。
【0039】
図1に示すように、それぞれの分割金属窓57の有するガス導入管55は、アンテナ室A内で一箇所に纏められ、上方に延びるガス導入管55は上チャンバー13の天板12に開設されている供給口12aを気密に貫通する。そして、ガス導入管55は、気密に結合されたガス供給管61を介して処理ガス供給源64に接続されている。
【0040】
ガス供給管61の途中位置には開閉バルブ62とマスフローコントローラのような流量制御器63が介在している。ガス供給管61、開閉バルブ62、流量制御器63及び処理ガス供給源64により、ガス供給装置60が形成される。尚、処理領域S内の複数の領域にガスを供給するため、ガス供給管61は途中で分岐しており、各分岐管には開閉バルブと流量制御器、及び処理ガス種に応じた処理ガス供給源が連通している(図示せず)。
【0041】
プラズマ処理においては、ガス供給装置60から供給される処理ガスがガス供給管61及びガス導入管55を介して、各分割金属窓57の有する導体プレート30のガス拡散溝32に供給される。そして、各ガス拡散溝32から各シャワープレート40のガス吐出孔42を介して、処理領域Sに吐出される。
【0042】
さらに、各分割金属窓57が固有の高周波アンテナ(後述するアンテナセグメント111,112)を有し、各高周波アンテナに対して個別に高周波電力が印加される制御が実行されてもよい。
【0043】
制御部90は、基板処理装置10の各構成部、例えば、チラー86や、高周波電源59,83、ガス供給装置60、圧力計から送信されるモニター情報に基づくガス排気部28等の動作を制御する。制御部90は、CPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)及びRAM(Random Access Memory)を有する。CPUは、RAMやROMの記憶領域に格納されたレシピに従い、所定の処理を実行する。レシピには、プロセス条件に対する基板処理装置10の制御情報が設定されている。制御情報には、例えば、ガス流量や処理容器20内の圧力、処理容器20内の温度や基材73の温度、プロセス時間等が含まれる。
【0044】
レシピ及び制御部90が適用するプログラムは、例えば、ハードディスクやコンパクトディスク、光磁気ディスク等に記憶されてもよい。また、レシピ等は、CD-ROM、DVD、メモリカード等の可搬性のコンピュータによる読み取りが可能な記憶媒体に収容された状態で制御部90にセットされ、読み出される形態であってもよい。制御部90はその他、コマンドの入力操作等を行うキーボードやマウス等の入力装置、基板処理装置10の稼働状況を可視化して表示するディスプレイ等の表示装置、及びプリンタ等の出力装置といったユーザーインターフェイスを有している。
【0045】
図2は、金属窓50及び高周波アンテナ54の配置の一例を示す平面図である。なお、図2において、金属窓50の中央から外周へ向かう方向を径方向とし、金属窓50の外周を辿る方向を周方向として、説明する。また、図2において、高周波アンテナ54の形状及び配置は、模式的に図示しており、図2に示す形状や配置に限定されるものではない。
【0046】
金属窓50は、絶縁部材56を介して、複数の分割金属窓57に分割される。具体的には、金属窓50は、径方向に関して、3分割される。また、径方向に3分割された金属窓50は、周方向に関して、中央側から順に、4分割、8分割、12分割される。
【0047】
また、絶縁部材56によって分割される金属窓50は、金属窓50の四隅から45°の方向に延びる第1分割線51と、金属窓50の短辺を挟む2つの第1分割線51が交わる2つの交点を結ぶ長辺に平行な第2分割線52と、を有している。ここで、金属窓50の短辺の長さをWとする。金属窓50の短辺および2つの第1分割線51で囲まれる三角形状の領域の径方向の幅は、W/2となる。また、金属窓50の長辺、2つの第1分割線51および第2分割線52で囲まれる台形状の領域の径方向の幅は、W/2となる。このような構成により、三角形状の領域および台形状の領域において、高周波アンテナ54の巻数を等しくし、径方向の幅を等しくすることにより、分割金属窓57を介在して形成される誘導電界の電界強度を等しくすることができる。これにより、均一なプラズマを形成することができる。
【0048】
また、絶縁部材56によって分割される金属窓50は、各辺の周方向に対し、外周側で3分割、中間側で2分割されている。このような構成により、金属窓50の分割数を増やして各分割金属窓57の大きさを小さくすることができ、誘導電界の電界強度分布を細かく調整することができる。これにより、プラズマ分布を精度良く制御することができる。
【0049】
高周波アンテナ54は、外側アンテナ110と、中間アンテナ120と、内側アンテナ130と、を有する。これら外側アンテナ110、中間アンテナ120、内側アンテナ130は、プラズマ生成に寄与する誘導電界を生成する平面領域、具体的には平面状の額縁状領域141,142,143を有している。額縁状領域141,142,143は、導体プレート30に面して基板Gに対向するように形成されている。また、額縁状領域141,142,143は同心状をなすように配置されており、全体として矩形の基板Gに対応する矩形状平面を構成している。
【0050】
また、外側アンテナ110と対応する額縁状領域141は、径方向に関して3分割された金属窓50のうち、外周側の分割金属窓57上に配置される。中間アンテナ120と対応する額縁状領域142は、径方向に関して3分割された金属窓50のうち、中間の分割金属窓57上に配置される。内側アンテナ130と対応する額縁状領域143は、径方向に関して3分割された金属窓50のうち、中央側の分割金属窓57上に配置される。
【0051】
外側アンテナ110は、額縁状領域141の角部を構成する4つの第1のアンテナセグメント111と、額縁状領域141の辺中央部を構成する4つの第2のアンテナセグメント112と、の合計8個のアンテナセグメントで構成されており、全体として環状アンテナとなる多分割環状アンテナとして構成されている。アンテナセグメント111,112の配置領域を包括して額縁状領域141を構成している。
【0052】
また、第1のアンテナセグメント111は、金属窓50の外周側に設けられる分割金属窓57のうち、金属窓50の角部(四隅)に設けられる2つの分割金属窓57に跨って配置される。第2のアンテナセグメント112は、金属窓50の外周側に設けられる分割金属窓57のうち、金属窓50の辺中央部に設けられる分割金属窓57に配置される。なお、第1のアンテナセグメント111及び第2のアンテナセグメント112については、詳細は後述する。
【0053】
中間アンテナ120および内側アンテナ130は、いずれも渦巻き状の平面アンテナとして構成され(図2では便宜上、同心状に描いている)、それぞれのアンテナが導体プレート30に面して形成する平面全体が額縁状領域142および額縁状領域143を構成している。中間アンテナ120、内側アンテナ130は、導電性材料、例えば銅などからなる複数本(例えば、4本)のアンテナ線を巻回して全体が渦巻状となるようにした多重(四重)アンテナを構成してもよい。また、中間アンテナ120、内側アンテナ130は、1本のアンテナ線を渦巻き状に巻回して構成してもよい。例えば、4本のアンテナ線を巻回して四重アンテナを構成する場合、アンテナ線を90°ずつ位置をずらして巻回するとともに、プラズマが弱くなる傾向にある角部の巻数を辺の中央部の巻数よりも多くなるようにしてもよい。中間アンテナ120のアンテナ線の配置領域が額縁状領域142を構成している。内側アンテナ130のアンテナ線の配置領域が額縁状領域143を構成している。
【0054】
なお、高周波アンテナ54は、3つの環状アンテナ(外側アンテナ110、中間アンテナ120、内側アンテナ130)を有する構成に限られるものではなく、2つまたは4つ以上の環状アンテナを有する構成であってもよい。すなわち、アンテナセグメントを環状に配置した構造の多分割環状アンテナの他に、1または2以上の単一の環状アンテナを設けた構成としてもよい。また、外側アンテナ110と同様の、アンテナセグメントを環状に配置した構造の多分割環状アンテナのみを1または2以上設けて高周波アンテナ54を構成してもよい。
【0055】
<アンテナセグメント>
次に、外側アンテナ110のアンテナセグメント111,112について、更に説明する。
【0056】
まず、第2のアンテナセグメント112について、図3を用いて説明する。図3は、第2のアンテナセグメント112の一例を示す斜視図である。
【0057】
第2のアンテナセグメント112は、導電性材料、例えば銅などからなるアンテナ線200を基板G(導体プレート30)の表面に直交する方向である縦方向が巻回方向となる縦巻きで、かつ巻回軸が基板Gの表面と平行になるような螺旋状に巻回して構成されている。導体プレート30に面した第1平面201には、複数のアンテナ線200が配置されている。第1平面201に配置されたアンテナ線200は、プラズマに寄与する誘導電界を生成する額縁状領域141の一部(辺中央部)を構成している。第1平面201においてはアンテナ線200が7本平行に配置されている。
【0058】
具体的には、第2のアンテナセグメント112は、アンテナ線211~217、221~226、231~236、241~246、接続部251,252を有している。なお、図3の説明において、第1平面201上のアンテナ線211~217が一端から他端へ伸びる方向をX方向とし、アンテナ線211~217のアンテナ線211からアンテナ線217への配列方向をY方向とし、第1平面201に垂直な方向(縦方向)をZ方向として、説明する。
【0059】
7本のアンテナ線211~217は、第1平面201に配置されており、また、互いに平行に配置されている。換言すれば、アンテナ線211~217によって、第1平面201が形成される。なお、第1平面201は、額縁状領域141の一部を構成する。
【0060】
アンテナ線211の一端には、接続部251が接続されている。アンテナ線217の他端には、接続部252が接続されている。接続部251,252は、給電部材57a(図1参照)を介して、高周波電源59と接続される。
【0061】
アンテナ線211~216の他端には、+Z方向(第1平面201から離れる方向)に延びるアンテナ線221~226がそれぞれ接続されている。また、アンテナ線212~217の一端には、+Z方向(第1平面201から離れる方向)に延びるアンテナ線241~246がそれぞれ接続されている。また、アンテナ線221~226の上端と、アンテナ線241~246の上端とは、水平(略X方向)に伸びるアンテナ線231~236でそれぞれ接続されている。アンテナ線231~236の一端はアンテナ線221~226の上端に接続され、アンテナ線231~236の他端はアンテナ線241~246の上端に接続される。即ち、アンテナ線231~236は、第1平面201と平行な第2平面(図示せず)に配置されている。なお、アンテナ線241~246の上端は、アンテナ線221~226の上端に対して、アンテナ線211~217が配列されるピッチの分+Y方向にずれている。このため、平面視して、アンテナ線231~236は、アンテナ線211~217が伸びる方向に対して、斜めに形成されている。
【0062】
また、第2のアンテナセグメント112は、巻回軸方向の一方側において、接続部251、アンテナ線211、アンテナ線221、アンテナ線231、で囲われれる第1端部を有している。また、第2のアンテナセグメント112は、巻回軸方向の他方側において、アンテナ線236、アンテナ線246、アンテナ線217、接続部252で囲われる第2端部を有している。また、第1端部と第2端部を貫く巻回軸は、Y方向に配置されている。
【0063】
ここで、接続部251から接続部252の向きに電流が流れる場合、プラズマの生成に寄与する誘導電界を生成する第1平面201上のアンテナ線211~217には、額縁状領域141に沿った同じ向き(+X方向)に電流が流れる。
【0064】
また、アンテナ線221~226には+Z方向に電流が流れ、アンテナ線241~246には-Z方向に電流が流れる。また、第1平面201から離間したアンテナ線231~236には、略-X方向に電流が流れる。アンテナ線231~236は、第1平面201から離間しているため、アンテナ線231~236の誘導電界がプラズマの生成を阻害することを抑制する。
【0065】
次に、第1のアンテナセグメント111について、図4から図8を用いて説明する。図4は、第1のアンテナセグメント111の一例を示す斜視図である。図5は、第1のアンテナセグメント111の一例を示す正面図である。図6は、第1のアンテナセグメント111の一例を示すB-B断面図である。図7は、第1のアンテナセグメント111の一例を示すC-C断面図である。図8は、第1のアンテナセグメント111の一例を示すD-D断面図である。
【0066】
第1のアンテナセグメント111は、導電性材料、例えば銅などからなるアンテナ線300を基板G(導体プレート30)の表面に直交する方向である縦方向が巻回方向となる縦巻きで、かつ巻回軸が基板Gの表面と平行になるような螺旋状に巻回して構成されている。導体プレート30に面した第1平面301には、複数のアンテナ線300が配置されている。第1平面301に配置されたアンテナ線300は、プラズマに寄与する誘導電界を生成する額縁状領域141の一部(角部)を構成している。第1平面301おいてはアンテナ線300が7本平行にかつ角部を形成するように配置されている。また、7本のアンテナ線300のうち、内側のアンテナ線300は、外側のアンテナ線300まで外廻りして配置されている。
【0067】
具体的には、第1のアンテナセグメント111は、アンテナ線311~317、321~326、331~336、341~346、接続部351,352を有している。なお、図4等の説明において、第1平面301上のアンテナ線311~317の一端側が一端側の端部(一端)から角部に向かって伸びる方向をY方向とし、第1平面301上のアンテナ線311~317の他端側が角部から他端側の端部(他端)に向かって伸びる方向をX方向とし、第1平面301に垂直な方向(縦方向)をZ方向として、説明する。
【0068】
7本のアンテナ線311~317は、少なくとも一部が第1平面301に配置されている。換言すれば、アンテナ線311~317によって、第1平面301が形成される。なお、第1平面301は、額縁状領域141の一部を構成する。
【0069】
外周側のアンテナ線314~317は、角部を形成するようにL字状に形成されている。即ち、アンテナ線314~317は、+Y方向に延びる一端側の直線部分と、90°屈曲する角部と、+X方向に延びる他端側の直線部分と、を有する。また、アンテナ線314~317の一端側の直線部分は、間隔(一方のアンテナ線の近接面と他方のアンテナ線の近接面との距離)G1を有して互いに平行に配置されている。また、アンテナ線314~317の他端側の直線部分は、間隔G1を有して互いに平行に配置されている。なお、間隔G1は、例えば、10mm以上30mm以下が好適である。これにより、アンテナ線間の異常放電を防止することができる。
【0070】
アンテナ線311は、平面上アンテナ部311a,311eと、外廻し部(積層アンテナ部)311cと、連結部311b,311dと、を備える。
【0071】
平面上アンテナ部311a,311eは、アンテナ線314~317と同様に、第1平面301上に配置される。平面上アンテナ部311aは、アンテナ線312~317の一端側の直線部分と平行に配置される。平面上アンテナ部311eは、アンテナ線312~317の他端側の直線部分と平行に配置される。
【0072】
外廻し部311cは、角部を形成するようにL字状に形成されている。即ち、外廻し部311cは、+Y方向に延びる一端側の直線部分と、90°屈曲する角部と、+X方向に延びる他端側の直線部分と、を有する。また、外廻し部311cは、平面視して、アンテナ線315の角部の上に重なるように配置される。また、外廻し部311cは、水平視して、アンテナ線315の上端から外廻し部311cの下端まで、高さHの隙間を有して配置される。ここで、高さHは、間隔G1以下とすることが好ましい(H≦G1)。また、高さHは、外廻し部311cとアンテナ線315との間で異常放電が生じない間隔以上とすることが好ましい。
【0073】
連結部311bは、平面上アンテナ部311aの他端と外廻し部311cの一端とを接続する。連結部311bは、例えば平面上アンテナ部311aの他端から立ち上がる立ち上がり部と、径方向に延びて外廻し部311cの一端と接続する延伸部と、を有している。なお、図4図8の例において、連結部311bの延伸部は、平面視して、平面上アンテナ部311aに対して90°屈曲している。連結部311dは、平面上アンテナ部311eの一端と外廻し部311cの他端とを接続する。連結部311dは、例えば平面上アンテナ部311eの一端から立ち上がる立ち上がり部と、径方向に延びて外廻し部311cの他端と接続する延伸部と、を有している。なお、図4図8の例において、連結部311dの延伸部は、平面視して、平面上アンテナ部311eに対して90°屈曲している。
【0074】
同様に、アンテナ線312は、平面上アンテナ部312a,312eと、外廻し部312cと、連結部312b,312dと、を備える。また、アンテナ線313は、平面上アンテナ部313a,313eと、外廻し部313cと、連結部313b,313dと、を備える。外廻し部312cは、平面視して、アンテナ線316の角部の上に重なるように配置される。外廻し部313cは、平面視して、アンテナ線317の角部の上に重なるように配置される。また、外廻し部312c,313cは、水平視して、アンテナ線316,317の上端から外廻し部312c,313cの下端まで、高さHの隙間を有して配置される。即ち、外廻し部311c~313cは、第1平面301と平行な第3平面(図示せず)に配置されている。換言すれば、外廻し部311c~313cによって、第3平面が形成される。また、第3平面は、アンテナ線311~317によって形成される第1平面301とアンテナ線331~336によって形成される第2平面(図示せず)との間に配置される。
【0075】
なお、基板載置台70に載置される基板Gとアンテナ線との位置関係については、例えば、アンテナ線315は、平面視した際、基板Gの端上に配置されている。その際、外廻し部312c,313cは、平面視した際、基板載置台70に載置される基板Gの端上から外側に配置されている。
【0076】
また、平面上アンテナ部311a~313a、アンテナ線314~317の一端側の直線部分は、間隔G1で互いに平行に配置されている。また、平面上アンテナ部311e~313e、アンテナ線314~317の他端側の直線部分は、間隔G1で互いに平行に配置されている。また、連結部311b~313bの延伸部は、例えば間隔G1を有して互いに平行に配置されている。また、連結部311d~313dの延伸部は、例えば間隔G1を有して互いに平行に配置されている。
【0077】
また、連結部311bと連結部311dとは、間隔G2を有している。間隔G2は、間隔G1以上とすることが好ましい。これにより、異常放電を確実に防止することができる。
【0078】
また、連結部313bとアンテナ線341~346とは、間隔G3を有している。間隔G3は、間隔G1以上とすることが好ましい。これにより、異常放電を確実に防止することができる。
【0079】
アンテナ線311の一端には、接続部351が接続されている。アンテナ線317の他端には、接続部352が接続されている。接続部351,352は、給電部材57a(図1参照)を介して、高周波電源59と接続される。
【0080】
アンテナ線311~316の他端には、+Z方向(第1平面301から離れる方向)に延びるアンテナ線321~326がそれぞれ接続されている。また、アンテナ線312~317の一端には、+Z方向(第1平面301から離れる方向)に延びるアンテナ線341~346がそれぞれ接続されている。また、アンテナ線321~326の上端と、アンテナ線341~346の上端とは、水平(X方向及びY方向)に伸びるアンテナ線331~336でそれぞれ接続されている。即ち、アンテナ線331~336は、第1平面301と平行な第2平面(図示せず)に配置されている。アンテナ線331~336は、角部を形成するようにL字状に形成されている。即ち、アンテナ線331~336は、それぞれ、一端がアンテナ線321~326の上端に接続され、-X方向に延びる一端側の直線部分と、90°屈曲する角部と、-Y方向に延び、アンテナ線341~346の上端に他端が接続される他端側の直線部分と、を有する。
【0081】
アンテナ線331の一端側の直線部分は、平面視して、平面上アンテナ部311eと重なるように配置される。アンテナ線331の他端側の直線部分は、平面視して、平面上アンテナ部312aと重なるように配置される。
【0082】
アンテナ線332の一端側の直線部分は、平面視して、平面上アンテナ部312eと重なるように配置される。アンテナ線332の他端側の直線部分は、平面視して、平面上アンテナ部313aと重なるように配置される。
【0083】
アンテナ線333の一端側の直線部分は、平面視して、平面上アンテナ部313eと重なるように配置される。アンテナ線333の他端側の直線部分は、平面視して、アンテナ線314の一端側の直線部分と重なるように配置される。
【0084】
アンテナ線334の一端側の直線部分は、平面視して、アンテナ線314の他端側の直線部分と重なるように配置される。アンテナ線334の他端側の直線部分は、平面視して、アンテナ線315の一端側の直線部分と重なるように配置される。
【0085】
アンテナ線335の一端側の直線部分は、平面視して、アンテナ線315の他端側の直線部分と重なるように配置される。アンテナ線335の他端側の直線部分は、平面視して、アンテナ線316の一端側の直線部分と重なるように配置される。
【0086】
アンテナ線336の一端側の直線部分は、平面視して、アンテナ線316の他端側の直線部分と重なるように配置される。アンテナ線336の他端側の直線部分は、平面視して、アンテナ線317の一端側の直線部と重なるように配置される。
【0087】
なお、第2平面(図示せず)に配置されるアンテナ線331~336は、図4等に示すようにL字状に形成されていてもよく、アンテナ線321~326の上端と、アンテナ線341~346の上端とをそれぞれ直線的に接続する(斜めに伸びる)ように形成されていてもよい。
【0088】
また、第1のアンテナセグメント111は、巻回軸方向の一方側において、接続部351、アンテナ線311(平面上アンテナ部311a,311e)、アンテナ線321、アンテナ線331、で囲われれる第1端部を有している。第1端部は、凹状(谷折り)に屈曲する。また、第1のアンテナセグメント111は、巻回軸方向の他方側において、アンテナ線336、アンテナ線346、アンテナ線317、接続部352で囲われる第2端部を有している。第2端部は、凸状(山折り)に屈曲する。また、第1端部と第2端部を貫く巻回軸は、径方向(水平方向)に配置されている。
【0089】
また、第1のアンテナセグメント111を第1平面301へ投影した投影形状は、第1端部の側で凹状に屈曲し、第2端部の側で凸状に屈曲して形成されるL字形状を有している。
【0090】
ここで、接続部351から接続部352の向きに電流が流れる場合、プラズマの生成に寄与する誘導電界を生成する第1平面301上の平面上アンテナ部311a,311e、312a,312e、313a,313e、及び、アンテナ線314~317には、額縁状領域141に沿った同じ向き(+Y方向及び+X方向)に電流が流れる。
【0091】
また、アンテナ線321~326には+Z方向に電流が流れ、アンテナ線341~346には-Z方向に電流が流れる。また、第1平面301から離間したアンテナ線331~336には、第1平面301上のアンテナ線とは逆向きに電流が流れる。アンテナ線331~336は、第1平面301から離間しているため、アンテナ線331~336の誘導電界がプラズマの生成を阻害することを抑制する。
【0092】
また、外廻し部311c~313cには、第1平面301上のアンテナ線と同じ向きに電流が流れる。外廻し部311c~313cは、プラズマの生成に寄与する誘導電界を生成する。これにより、額縁状領域141(図2参照)の角部において、外側の誘導電界を強くすることができる。
【0093】
即ち、第1のアンテナセグメント111は、第1平面301上に配置される第1のアンテナ群(311a,312a,313a、311e,312e,313e、314,315,316,317)と、第1のアンテナ群の上方に離間して第2平面上に配置される第2のアンテナ群(331~336)と、第1のアンテナ群の上方に近接して第3平面上に配置される第3のアンテナ群(311c,312c、313c)と、を有している。また、第1のアンテナセグメント111に電流を流した際、第1のアンテナ群と第3のアンテナ群との電流の流れる向きが等しくなるように構成されている。そして、第1のアンテナ群および第3のアンテナ群によってプラズマを生成するための誘導電界を形成する。これにより、額縁状領域141(図2参照)の角部において、外側の誘導電界を強くすることができる。
【0094】
なお、第1のアンテナセグメント111の形状は、図4等に示すものに限られない。図9は、第1のアンテナセグメント111Aの他の一例を示す斜視図である。図9に示す第1のアンテナセグメント111Aは、図4に示す第1のアンテナセグメント111と比較して、連結部311b,311d,312b,312d,313b,313dの形状が異なっている。具体的には、連結部311bの延伸部は、平面視して、平面上アンテナ部311aに対して斜めに伸びるように形成されている。連結部311dの延伸部は、平面視して、平面上アンテナ部311eに対して斜めに伸びるように形成されている。同様に、連結部312b,312d,313b,313dについても斜めに伸びるように形成されている。その他の構成は同様であり、重複する説明は省略する。
【0095】
また、図4及び図9に示す第1のアンテナセグメント111では、外廻しするアンテナ(311c~313c)の本数は3本であるものとして説明したが、これに限られるものではなく、1本以上であればよい。また、外廻しするアンテナ(311c~313c)の本数(図4の例では3本)は、総巻き数(図4の例では7本)の半分以下であることが好ましい。
【0096】
図10は、径方向の誘導電界の変化を示すグラフの一例である。ここでは、図6の線分302上における誘導電界の変化を示す。横軸は、径方向(中央側から外側に向かう方向)の位置を示し、縦軸は、電界の強さを示す。なお、図10において、本実施形態における第1のアンテナセグメント111は、図9に示す連結部が斜めに伸びる構成のアンテナセグメントであって、外廻し本数が2本の場合を例に示す。また、参考例における第1のアンテナセグメントは、アンテナ線311~317が全て第1平面301上にある場合、即ち、外廻し本数が0本(外廻し部がない)の場合を例に示す。また、参考例の第1のアンテナセグメントにおけるアンテナ線が配置される範囲の境界を太い実線401,402で示し、基板Gの基板端の位置を破線403で示す。
【0097】
グラフを対比して示すように、本実施形態のアンテナセグメント111によれば、額縁状領域141の角部(外周側)の誘導電界を強くすることができる。これにより、プラズマが弱くなる傾向にある額縁状領域141の角部について、プラズマを強くすることができる。
【0098】
高周波アンテナ54のさらに他の一例について、図11及び図12を用いて更に説明する。図11は、第1のアンテナセグメント111Bの他の一例を示す斜視図である。図12は、第2のアンテナセグメント112Bの他の一例を示す斜視図である。図11に示す第1のアンテナセグメント111Bは、図4に示す第1のアンテナセグメント111と比較して、アンテナ線321~326及びアンテナ線341~346の形状が異なっている。図12に示す第2のアンテナセグメント112Bは、図3に示す第2のアンテナセグメント112と比較して、アンテナ線221~226及びアンテナ線241~246の形状が異なっている。具体的には、アンテナ線321は、内側(巻回軸側)に向けて屈曲する屈曲部と、+Z方向に延びる直立部と、を有する。アンテナ線322~326、341~346、221~226、241~246についても同様である。その他の構成は同様であり、重複する説明は省略する。なお、図9に示す第1のアンテナセグメント111Aにおいて、アンテナ線321~326及びアンテナ線341~346に屈曲部を設ける構成であってもよい。
【0099】
図13は、電流の流れを示す模式図である。第1のアンテナセグメント111Bは、第2のアンテナセグメント112Bと隣接する側に、アンテナ線321を有している。アンテナ線321は巻回軸の内側に向けて屈曲する屈曲部321aと、直立部321bと、を有する。同様に、第2のアンテナセグメント112Bは、第1のアンテナセグメント111Bと隣接する側に、アンテナ線241を有している。アンテナ線241は巻回軸の内側に向けて屈曲する屈曲部241aと、直立部241bと、を有する。また、第1のアンテナセグメント111Bと第2のアンテナセグメント112Bとの間には、磁場の干渉を防止するための金属からなるシールド150が配置されている。また、第1のアンテナセグメント111Bには、電流Iaが流れる。屈曲部321aを流れる電流Iaは、水平方向成分Ibx及び垂直方向成分Ibzを有する。また、第2のアンテナセグメント112Bには、電流Ibが流れる。屈曲部241aを流れる電流Ibは、水平方向成分Ibx及び垂直方向成分Ibzを有する。
【0100】
この様な構成を有することにより、直立部241bと直立部321bとの間隔を広げて、磁場の干渉を抑制する。また、第1のアンテナセグメント111Bは、アンテナ線311の端部において、アンテナ線311を流れる電流Iaによる磁場が、屈曲部321aを流れる電流の水平方向成分Iaxによる磁場で打ち消される。同様に、第2のアンテナセグメント112Bは、アンテナ線212の端部において、アンテナ線212を流れる電流Ibによる磁場が、屈曲部241aを流れる電流の水平方向成分Ibxによる磁場で打ち消される。これにより、第1のアンテナセグメント111Bと第2のアンテナセグメント112Bの間において一方のアンテナセグメントの磁場制御が他方のアンテナの磁場制御に干渉することを防止することができる。
【0101】
換言すれば、シールド150の厚さを薄くして、第1のアンテナセグメント111Bの端部から第2のアンテナセグメント112Bの端部までの間隔G4を短くすることができる。これにより、外側アンテナ110で形成される誘導磁場において、アンテナセグメント間の不均一性を低減することができる。また、生成されるプラズマの不均一性を低減することができる。
【0102】
高周波アンテナ54のさらに他の一例について、図14を用いて更に説明する。図14は、第1のアンテナセグメント111Cの他の一例を示す斜視図である。図14に示す第1のアンテナセグメント111Cは、図11に示す第1のアンテナセグメント111Bと比較して、プラズマの生成に寄与しないアンテナ線331~336にそれぞれコンデンサ361~366が挿入されている。その他の構成は同様であり、重複する説明は省略する。なお、図4に示す第1のアンテナセグメント111、図9に示す第1のアンテナセグメント111Aにおいて、アンテナ線331~336にそれぞれコンデンサ361~366が挿入される構成であってもよい。
【0103】
これにより、アンテナ線間の電位差の上昇を抑制することができる。特に、外廻し部311c~313cと、アンテナ線314~317との電位差は、巻廻しされる際の電位差(1巻あたりの電位差)よりも大きくなる。コンデンサ361~366を介在させて、アンテナ線間の電位差を低減することにより、異常放電を防止することができる。
【0104】
[第2の実施形態に係る基板処理装置]
本開示の第2の実施形態に係る基板処理装置10について説明する。第2の実施形態に係る基板処理装置10は、図1に示す第1の実施形態に係る基板処理装置10と同様の構成を有している。また、第2の実施形態に係る基板処理装置10の高周波アンテナ54は、第1の実施形態に係る基板処理装置10の高周波アンテナ54(図2参照)と同様に、外側アンテナ110と、中間アンテナ120と、内側アンテナ130と、を有する。外側アンテナ110は、額縁状領域141の角部を構成する4つの第1のアンテナセグメント111Dと、額縁状領域141の辺中央部を構成する4つの第2のアンテナセグメント112Dと、の合計8個のアンテナセグメントで構成されており、全体として環状アンテナとなる多分割環状アンテナとして構成されている。アンテナセグメント111D,112Dの配置領域を包括して額縁状領域141を構成している。第2の実施形態は第1の実施形態の一例と同様に第1のアンテナセグメント及び第2のセグメントにおいてZ方向のアンテナ線が内側に屈曲しているが、第1の実施形態と異なる点は、第1のアンテナセグメントが外廻し部を有さないことである。
【0105】
<アンテナセグメント>
次に、外側アンテナ110のアンテナセグメント111D,112Dについて、更に説明する。
【0106】
まず、第2のアンテナセグメント112Dについて、図12を用いて説明する。図12は、第2のアンテナセグメント112Dの一例を示す斜視図である。
【0107】
第2のアンテナセグメント112Dは、導電性材料、例えば銅などからなるアンテナ線200を基板G(導体プレート30)の表面に直交する方向である縦方向が巻回方向となる縦巻きで、かつ巻回軸が基板Gの表面と平行になるような螺旋状に巻回して構成されている。導体プレート30に面した第1平面201には、複数のアンテナ線200が配置されている。第1平面201に配置されたアンテナ線200は、プラズマに寄与する誘導電界を生成する額縁状領域141の一部(辺中央部)を構成している。第1平面201においてはアンテナ線200が7本平行に配置されている。
【0108】
具体的には、第2のアンテナセグメント112Dは、アンテナ線211~217、221~226、231~236、241~246、接続部251,252を有している。なお、図12の説明において、第1平面201上のアンテナ線211~217が一端から他端へ伸びる方向をX方向とし、アンテナ線211~217のアンテナ線211からアンテナ線217への配列方向をY方向とし、第1平面201に垂直な方向(縦方向)をZ方向として、説明する。
【0109】
7本のアンテナ線211~217は、第1平面201に配置されており、また、互いに平行に配置されている。換言すれば、アンテナ線211~217によって、第1平面201が形成される。
【0110】
アンテナ線211の一端には、接続部251が接続されている。アンテナ線217の他端には、接続部252が接続されている。接続部251,252は、給電部材57a(図1参照)を介して、高周波電源59と接続される。
【0111】
アンテナ線211~216の他端には、+Z方向(第1平面201から離れる方向)に延びるアンテナ線221~226がそれぞれ接続されている。また、アンテナ線212~217の一端には、+Z方向(第1平面201から離れる方向)に延びるアンテナ線241~246がそれぞれ接続されている。また、アンテナ線221~226の上端と、アンテナ線241~246の上端とは、水平(略X方向)に伸びるアンテナ線231~236でそれぞれ接続されている。アンテナ線231~236の一端はアンテナ線221~226の上端に接続され、アンテナ線231~236の他端はアンテナ線241~246の上端に接続される。即ち、アンテナ線231~236は、第1平面201と平行な第2平面(図示せず)に配置されている。なお、アンテナ線241~246の上端は、アンテナ線221~226の上端に対して、アンテナ線211~217が配列されるピッチの分+Y方向にずれている。このため、平面視して、アンテナ線231~236は、アンテナ線211~217が伸びる方向に対して、斜めに形成されている。
【0112】
また、第2のアンテナセグメント112Dは、巻回軸方向の一方側において、接続部251、アンテナ線211、アンテナ線221、アンテナ線231、で囲われれる第1端部を有している。また、第2のアンテナセグメント112Dは、巻回軸方向の他方側において、アンテナ線236、アンテナ線246、アンテナ線217、接続部252で囲われる第2端部を有している。また、第1端部と第2端部を貫く巻回軸は、Y方向に配置されている。
【0113】
ここで、接続部251から接続部252の向きに電流が流れる場合、プラズマの生成に寄与する誘導電界を生成する第1平面201上のアンテナ線211~217には、額縁状領域141に沿った同じ向き(+X方向)に電流が流れる。
【0114】
また、アンテナ線221~226には+Z方向に電流が流れ、アンテナ線241~246には-Z方向に電流が流れる。また、第1平面201から離間したアンテナ線231~236には、略-X方向に電流が流れる。アンテナ線231~236は、第1平面201から離間しているため、アンテナ線231~236の誘導電界がプラズマの生成を阻害することを抑制する。
【0115】
次に、第1のアンテナセグメント111Dについて、図15を用いて説明する。図15は、第1のアンテナセグメント111Dの一例を示す斜視図である。
【0116】
第1のアンテナセグメント111Dは、導電性材料、例えば銅などからなるアンテナ線300を基板G(導体プレート30)の表面に直交する方向である縦方向が巻回方向となる縦巻きで、かつ巻回軸が基板Gの表面と平行になるような螺旋状に巻回して構成されている。導体プレート30に面した第1平面301には、複数のアンテナ線300が配置されている。第1平面301に配置されたアンテナ線300は、プラズマに寄与する誘導電界を生成する額縁状領域141の一部(角部)を構成している。第1平面301おいてはアンテナ線300が7本平行にかつ角部を形成するように配置されている。
【0117】
具体的には、第1のアンテナセグメント111Dは、アンテナ線311~317、321~326、331~336、341~346、接続部351,352を有している。なお、図15の説明において、第1平面301上のアンテナ線311~317の一端側が一端側の端部(一端)から角部に向かって伸びる方向をY方向とし、第1平面301上のアンテナ線311~317の他端側が角部から他端側の端部(他端)に向かって伸びる方向をX方向とし、第1平面301に垂直な方向(縦方向)をZ方向として、説明する。
【0118】
7本のアンテナ線311~317は、第1平面301に配置されている。換言すれば、アンテナ線311~317によって、第1平面301が形成される。
【0119】
アンテナ線311~317は、角部を形成するようにL字状に形成されている。即ち、アンテナ線311~317は、+Y方向に延びる一端側の直線部分と、90°屈曲する角部と、+X方向に延びる他端側の直線部分と、を有する。また、アンテナ線311~317の一端側の直線部分は、間隔(一方のアンテナ線の近接面と他方のアンテナ線の近接面との距離)を有して互いに平行に配置されている。また、アンテナ線311~317の他端側の直線部分は、間隔を有して互いに平行に配置されている。なお、間隔は、例えば、10mm以上30mm以下が好適である。これにより、アンテナ線間の異常放電を防止することができる。
【0120】
アンテナ線311の一端には、接続部351が接続されている。アンテナ線317の他端には、接続部352が接続されている。接続部351,352は、給電部材57a(図1参照)を介して、高周波電源59と接続される。
【0121】
アンテナ線311~316の他端には、+Z方向(第1平面301から離れる方向)に延びるアンテナ線321~326がそれぞれ接続されている。また、アンテナ線312~317の一端には、+Z方向(第1平面301から離れる方向)に延びるアンテナ線341~346がそれぞれ接続されている。また、アンテナ線321~326の上端と、アンテナ線341~346の上端とは、水平(X方向及びY方向)に伸びるアンテナ線331~336でそれぞれ接続されている。即ち、アンテナ線331~336は、第1平面301と平行な第2平面(図示せず)に配置されている。アンテナ線331~336は、角部を形成するようにL字状に形成されている。即ち、アンテナ線331~336は、それぞれ、一端がアンテナ線321~326の上端に接続され、-X方向に延びる一端側の直線部分と、90°屈曲する角部と、-Y方向に延び、アンテナ線341~346の上端に他端が接続される他端側の直線部分と、を有する。
【0122】
アンテナ線331の一端側の直線部分は、平面視して、アンテナ線311の他端側の直線部分と重なるように配置される。アンテナ線331の他端側の直線部分は、平面視して、アンテナ線312の一端側の直線部分と重なるように配置される。
【0123】
アンテナ線332の一端側の直線部分は、平面視して、アンテナ線312の他端側の直線部分と重なるように配置される。アンテナ線332の他端側の直線部分は、平面視して、アンテナ線313の一端側の直線部分と重なるように配置される。
【0124】
アンテナ線333の一端側の直線部分は、平面視して、アンテナ線313の他端側の直線部分と重なるように配置される。アンテナ線333の他端側の直線部分は、平面視して、アンテナ線314の一端側の直線部分と重なるように配置される。
【0125】
アンテナ線334の一端側の直線部分は、平面視して、アンテナ線314の他端側の直線部分と重なるように配置される。アンテナ線334の他端側の直線部分は、平面視して、アンテナ線315の一端側の直線部分と重なるように配置される。
【0126】
アンテナ線335の一端側の直線部分は、平面視して、アンテナ線315の他端側の直線部分と重なるように配置される。アンテナ線335の他端側の直線部分は、平面視して、アンテナ線316の一端側の直線部分と重なるように配置される。
【0127】
アンテナ線336の一端側の直線部分は、平面視して、アンテナ線316の他端側の直線部分と重なるように配置される。アンテナ線336の他端側の直線部分は、平面視して、アンテナ線317の一端側の直線部と重なるように配置される。
【0128】
なお、第2平面(図示せず)に配置されるアンテナ線311~316は、図4等に示すようにL字状に形成されていてもよく、アンテナ線321~326の上端と、アンテナ線341~346の上端とをそれぞれ直線的に接続する(斜めに伸びる)ように形成されていてもよい。
【0129】
また、第1のアンテナセグメント111Dは、巻回軸方向の一方側において、接続部351、アンテナ線311、アンテナ線321、アンテナ線331、で囲われれる第1端部を有している。第1端部は、凹状(谷折り)に屈曲する。また、第1のアンテナセグメント111Dは、巻回軸方向の他方側において、アンテナ線336、アンテナ線346、アンテナ線317、接続部352で囲われる第2端部を有している。第2端部は、凸状(山折り)に屈曲する。また、第1端部と第2端部を貫く巻回軸は、径方向(水平方向)に配置されている。
【0130】
また、第1のアンテナセグメント111Dを第1平面301へ投影した投影形状は、第1端部の側で凹状に屈曲し、第2端部の側で凸状に屈曲して形成されるL字形状を有している。
【0131】
ここで、接続部351から接続部352の向きに電流が流れる場合、プラズマの生成に寄与する誘導電界を生成する第1平面301上のアンテナ線311~317には、額縁状領域141に沿った同じ向き(+Y方向及び+X方向)に電流が流れる。
【0132】
また、アンテナ線321~326には+Z方向に電流が流れ、アンテナ線341~346には-Z方向に電流が流れる。また、第1平面301から離間したアンテナ線331~336には、第1平面301上のアンテナ線とは逆向きに電流が流れる。アンテナ線331~336は、第1平面301から離間しているため、アンテナ線331~336の誘導電界がプラズマの生成を阻害することを抑制する。
【0133】
また、アンテナ線321は、内側(巻回軸側)に向けて屈曲する屈曲部と、+Z方向に延びる直立部と、を有する。アンテナ線322~326、341~346、221~226、241~246についても同様である。
【0134】
図13は、電流の流れを示す模式図である。第1のアンテナセグメント111Dは、第2のアンテナセグメント112Dと隣接する側に、アンテナ線321を有している。アンテナ線321は巻回軸の内側に向けて屈曲する屈曲部321aと、直立部321bと、を有する。同様に、第2のアンテナセグメント112Dは、第1のアンテナセグメント111Dと隣接する側に、アンテナ線241を有している。アンテナ線241は巻回軸の内側に向けて屈曲する屈曲部241aと、直立部241bと、を有する。また、第1のアンテナセグメント111Dと第2のアンテナセグメント112Dとの間には、磁場の干渉を防止するための金属からなるシールド150が配置されている。また、第1のアンテナセグメント111Dには、電流Iaが流れる。屈曲部321aを流れる電流Iaは、水平方向成分Ibx及び垂直方向成分Ibzを有する。また、第2のアンテナセグメント112Dには、電流Ibが流れる。屈曲部241aを流れる電流Ibは、水平方向成分Ibx及び垂直方向成分Ibzを有する。
【0135】
この様な構成を有することにより、直立部241bと直立部321bとの間隔を広げて、磁場の干渉を抑制する。また、第1のアンテナセグメント111Dは、アンテナ線311の端部において、アンテナ線311を流れる電流Iaによる磁場が、屈曲部321aを流れる電流の水平方向成分Iaxによる磁場で打ち消される。同様に、第2のアンテナセグメント112Dは、アンテナ線212の端部において、アンテナ線212を流れる電流Ibによる磁場が、屈曲部241aを流れる電流の水平方向成分Ibxによる磁場で打ち消される。これにより、第1のアンテナセグメント111Dと第2のアンテナセグメント112Dの間において一方のアンテナセグメントの磁場制御が他方のアンテナの磁場制御に干渉することを防止することができる。
【0136】
換言すれば、シールド150の厚さを薄くして、第1のアンテナセグメント111Dの端部から第2のアンテナセグメント112Dの端部までの間隔G4を短くすることができる。これにより、外側アンテナ110で形成される誘導磁場において、アンテナセグメント間の不均一性を低減することができる。また、生成されるプラズマの不均一性を低減することができる。
【0137】
上記実施形態に挙げた構成等に対し、その他の構成要素が組み合わされるなどした他の実施形態であってもよく、また、本開示はここで示した構成に何等限定されるものではない。この点に関しては、本開示の趣旨を逸脱しない範囲で変更することが可能であり、その応用形態に応じて適切に定めることができる。
【0138】
例えば、図1の基板処理装置10は、処理容器20の上部壁として金属窓50を備えた誘導結合型のプラズマ処理装置として説明したが、これに限られるものではなく、上部壁として誘電体窓を備えた誘導結合型のプラズマ処理装置であってもよい。また、他の形態のプラズマ処理装置であってもよい。
【0139】
図2において、外側アンテナ110は、縦巻きのアンテナセグメント111,112で構成され、中間アンテナ120および内側アンテナ130は、渦巻き状の平面アンテナで構成されるものとして説明したがこれに限られるものではない。中間アンテナ120においても、外側アンテナ110と同様に縦巻きのアンテナセグメント111,112で構成されてもよい。
【0140】
また、額縁状領域141の辺部中央に配置される第2のアンテナセグメント112が、それぞれの辺部において1つずつ配置された場合を例に説明したが、これに限られるものではない。ぞれぞれの辺部に2つ以上のアンテナセグメント112が配置されてもよい。
【0141】
また、額縁状領域141の角部に配置される第1のアンテナセグメント111に外廻し部111cを設ける場合を例に説明したが、これに限られるものではない。例えば、辺部におけるプラズマを強める必要がある場合などには、額縁状領域141の辺部に配置される第2のアンテナセグメント112において、外廻し部を設ける構成であってもよい。例えば、図3のアンテナ線211~213において、アンテナ線215~217の上方に離間して配置される外廻し部を設けてもよい。
【符号の説明】
【0142】
G 基板
10 基板処理装置
20 処理容器
50 金属窓(上部壁)
54 高周波アンテナ
57 分割金属窓
70 基板載置台
110 外側アンテナ(アンテナユニット)
111 第1のアンテナセグメント(角部アンテナセグメント)
112 第2のアンテナセグメント
141 額縁状領域
300 アンテナ線
301 第1平面
311~313 アンテナ線(第1のアンテナ線)
314~317 アンテナ線(第2のアンテナ線)
311a,311e 平面上アンテナ部
311c 外廻し部(積層アンテナ部)
311b,311d 連結部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15