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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-14
(45)【発行日】2023-12-22
(54)【発明の名称】加工装置
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/02 20060101AFI20231215BHJP
【FI】
H01L21/02 Z
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2020077699
(22)【出願日】2020-04-24
(65)【公開番号】P2021174880
(43)【公開日】2021-11-01
【審査請求日】2023-02-28
(73)【特許権者】
【識別番号】000134051
【氏名又は名称】株式会社ディスコ
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】川口 吉洋
(72)【発明者】
【氏名】政田 孝行
(72)【発明者】
【氏名】相川 真紀
【審査官】堀江 義隆
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-122421(JP,A)
【文献】特開2019-198940(JP,A)
【文献】特開2010-40847(JP,A)
【文献】特開平8-191040(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/02
H01L 21/304
G05B 19/418
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
被加工物を保持する保持テーブルと、
該保持テーブルに保持された被加工物を加工する加工ユニットと、
被加工物を複数収容したカセットと、
加工装置内の複数の構成ユニットの間で被加工物を搬送する搬送アームと、
複数の構成ユニットイラストと被加工物イラストとで構成される装置内イラストと、を表示するタッチパネルと、
制御ユニットと、を備える加工装置であって、
該制御ユニットは、
被加工物をフルオート加工する際の複数の構成ユニットの一連の動作を記憶するフルオート動作記憶部と、
被加工物の現在位置を把握し、該被加工物イラストの位置に反映させる位置反映部と、
被加工物毎にフルオート加工の進捗を記憶する進捗記憶部と、を有し、
フルオート加工が中断されている状態で、該装置内イラストで任意の被加工物イラストをオペレータが選択すると、該被加工物を処理可能な構成ユニットを識別可能に表示し、オペレータが識別可能に表示された該構成ユニットを選択することで、該構成ユニットに被加工物を搬送することを特徴とする加工装置。
【請求項2】
該制御ユニットは、該進捗記憶部に基づき、該フルオート加工の一連の動作の中でまだ終了していない処理を行う構成ユニットを、処理可能な構成ユニットとして識別可能に表示することを特徴とする請求項1に記載の加工装置。
【請求項3】
制御ユニットは、各構成ユニットが被加工物を処理しているかを把握する処理把握部をさらに有し、
被加工物を処理していない構成ユニットを処理可能な構成ユニットとして識別可能に表示することを特徴とする請求項1に記載の加工装置。
【請求項4】
被加工物を保持する保持テーブルと、
該保持テーブルに保持された被加工物を加工する加工ユニットと、
被加工物を複数収容したカセットが載置されるカセットステージと、
加工装置内の複数の構成ユニットの間で被加工物を搬送する搬送アームと、
複数の構成ユニットと被加工物とのイラストで構成される装置内イラストと、を表示するタッチパネルと、
制御ユニットと、を備える加工装置であって、
該制御ユニットは、
各構成ユニットの複数の動作を記憶する構成ユニット動作記憶部を有し、
オペレータが構成ユニットのイラストを選択すると、該構成ユニットの動作の選択肢を該装置内イラスト上に表示し、オペレータが選択した項目を実施することを特徴とする加工装置。
【請求項5】
該動作の選択肢は、該動作を表現するイラストまたは動画で表示されることを特徴とする請求項4に記載の加工装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、加工装置に関する。
【背景技術】
【0002】
加工装置の各構成ユニットの操作を行う画面を操作して、装置内の構成ユニットを操作したり、各構成ユニットを操作して被加工物を処理したりする加工装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2018-122421号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
各構成ユニットの操作を行う画面は、メインメニューよりも深い階層にあるため、複数の画面を変遷して操作しなければならず非効率的であった。
【0005】
本発明は、かかる問題点に鑑みてなされたものであり、その目的は、各構成ユニットの操作や、被加工物への処理を容易に行える加工装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明の加工装置は、被加工物を保持する保持テーブルと、該保持テーブルに保持された被加工物を加工する加工ユニットと、被加工物を複数収容したカセットと、加工装置内の複数の構成ユニットの間で被加工物を搬送する搬送アームと、複数の構成ユニットイラストと被加工物イラストとで構成される装置内イラストと、を表示するタッチパネルと、制御ユニットと、を備える加工装置であって、該制御ユニットは、被加工物をフルオート加工する際の複数の構成ユニットの一連の動作を記憶するフルオート動作記憶部と、被加工物の現在位置を把握し、該被加工物イラストの位置に反映させる位置反映部と、被加工物毎にフルオート加工の進捗を記憶する進捗記憶部と、を有し、フルオート加工が中断されている状態で、該装置内イラストで任意の被加工物イラストをオペレータが選択すると、該被加工物を処理可能な構成ユニットを識別可能に表示し、オペレータが識別可能に表示された該構成ユニットを選択することで、該構成ユニットに被加工物を搬送することを特徴とする。
【0007】
該制御ユニットは、該進捗記憶部に基づき、該フルオート加工の一連の動作の中でまだ終了していない処理を行う構成ユニットを、処理可能な構成ユニットとして識別可能に表示してもよい。
【0008】
制御ユニットは、各構成ユニットが被加工物を処理しているかを把握する処理把握部をさらに有し、被加工物を処理していない構成ユニットを処理可能な構成ユニットとして識別可能に表示してもよい。
【0009】
また、上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明の加工装置は、被加工物を保持する保持テーブルと、該保持テーブルに保持された被加工物を加工する加工ユニットと、被加工物を複数収容したカセットが載置されるカセットステージと、加工装置内の複数の構成ユニットの間で被加工物を搬送する搬送アームと、複数の構成ユニットと被加工物とのイラストで構成される装置内イラストと、を表示するタッチパネルと、制御ユニットと、を備える加工装置であって、該制御ユニットは、各構成ユニットの複数の動作を記憶する構成ユニット動作記憶部を有し、オペレータが構成ユニットのイラストを選択すると、該構成ユニットの動作の選択肢を該装置内イラスト上に表示し、オペレータが選択した項目を実施することを特徴とする。
【0010】
該動作の選択肢は、該動作を表現するイラストまたは動画で表示されてもよい。
【発明の効果】
【0011】
本発明は、各構成ユニットの操作や、被加工物への処理を容易に行える。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1図1は、実施形態1に係る加工装置の構成例を示す斜視図である。
図2図2は、図1の加工装置の機能構成の一例を模式的に示す図である。
図3図3は、図2のフルオート動作記憶部が記憶するフルオート動作データの一例を示す図である。
図4図4は、図2の進捗記憶部が記憶する進捗データの一例を示す図である。
図5図5は、図2の処理部の処理の一例を示す図である。
図6図6は、図2の処理部の処理の一例を示す図である。
図7図7は、実施形態2に係る加工装置の処理把握部が把握する処理状態データの一例を示す図である。
図8図8は、実施形態3に係る加工装置の構成ユニット動作記憶部が記憶する構成ユニット動作データの一例を示す図である。
図9図9は、実施形態3に係る加工装置の処理部の処理の一例を示す図である。
図10図10は、変形例1に係る加工装置の処理部の処理の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明を実施するための形態(実施形態)につき、図面を参照しつつ詳細に説明する。以下の実施形態に記載した内容により本発明が限定されるものではない。また、以下に記載した構成要素には、当業者が容易に想定できるもの、実質的に同一のものが含まれる。さらに、以下に記載した構成は適宜組み合わせることが可能である。また、本発明の要旨を逸脱しない範囲で構成の種々の省略、置換又は変更を行うことができる。
【0014】
〔実施形態1〕
本発明の実施形態1に係る加工装置1を図面に基づいて説明する。図1は、実施形態1に係る加工装置1の構成例を示す斜視図である。図2は、図1の加工装置1の機能構成の一例を模式的に示す図である。実施形態1に係る加工装置1は、図1に示すように、保持テーブル10と、ターンテーブル20と、仮置きテーブル30と、加工ユニット40と、搬送アーム50と、タッチパネル60と、洗浄ユニット70と、カセットステージ80と、カセット81,82と、制御ユニット90と、を備える。加工装置1は、実施形態1では、装置基台2と、装置カバー3とを備え、上記の加工装置1の各構成要素を装置基台2上に備え、タッチパネル60を除く上記の各構成要素を装置カバー3で覆っている。本発明に係る構成ユニットは、上記した加工装置1の構成要素のうち後述する被加工物100をカセット81,82から搬出して加工ユニット40による加工処理を経てカセット81,82に搬入するまでの間に所定の動作を実施して被加工物100に対して保持、搬送、加工などの処理を実施するユニット全般であり、本実施形態では、具体的には、保持テーブル10、ターンテーブル20、仮置きテーブル30、加工ユニット40、搬送アーム50、洗浄ユニット70、カセット81,82を示す。
【0015】
実施形態1において、加工装置1が加工する加工対象である被加工物100は、図1に示すように、例えば、シリコン、サファイア、シリコンカーバイド(SiC)、ガリウムヒ素などを母材とする円板状の半導体ウエーハや光デバイスウエーハなどである。被加工物100は、平坦な表面の格子状に形成される複数の分割予定ラインによって区画された領域にチップサイズのデバイスが形成されている。被加工物100は、本発明では、表面の裏側の裏面に粘着テープが貼着され、粘着テープの外縁部に環状のフレームが装着されていても良い。また、本発明では、被加工物100は、樹脂により封止されたデバイスを複数有した矩形状のパッケージ基板、セラミックス板、又はガラス板等でも良い。
【0016】
加工装置1は、実施形態1では、自動的に加工装置1の各構成ユニットに一連の動作を実施させて被加工物100の搬送と加工を繰り返し、カセット81,82に収容された被加工物100を順次加工するフルオート加工を実施する。
【0017】
保持テーブル10は、保持面11で被加工物100を保持する。保持テーブル10は、被加工物100を保持する平坦な保持面11が上面に形成されかつ多数のポーラス孔を備えたポーラスセラミック等から構成された円盤形状の吸着部と、吸着部を上面中央部の窪み部に嵌め込んで固定する枠体とを備えた円盤形状である。保持面11は、水平面であるXY平面に概ね平行に形成されている。保持テーブル10は、不図示の回転駆動源により水平面に直交するZ軸方向と平行な軸心回りに回転自在に設けられている。保持テーブル10は、吸着部が、図示しない真空吸引経路を介して図示しない真空吸引源と接続され、保持面11全体で、被加工物100を吸引保持する。保持テーブル10の動作は、実施形態1では、保持面11で被加工物100を吸引保持する動作、及び、保持面11での被加工物100の吸引保持を解除する動作等である。保持テーブル10は、不図示のセンサが設けられている。保持テーブル10に設けられたセンサは、保持面11で保持している被加工物100、保持面11での被加工物100の吸引保持動作の開始、当該動作の終了(吸引保持の解除動作)、及び当該動作のエラーの発生を検出し、検出結果を制御ユニット90に送信する。
【0018】
保持テーブル10は、図1に示すように、ターンテーブル20上に2つ設置されている。これら2つの保持テーブル10は、ターンテーブル20上において、ターンテーブル20とは独立して概ね水平面内で回転可能に設けられている。ターンテーブル20は、図1に示すように、円盤状のテーブルであり、水平面内で回転可能に設けられ、所定のタイミングで回転駆動されることで、保持テーブル10を移動させて保持テーブル10上の被加工物100を搬送する。2つの保持テーブル10は、ターンテーブル20上には、例えば180°の位相角で等間隔に配設されている。これらの2つの保持テーブル10は、ターンテーブル20の回転によって、搬入搬出位置、加工位置に順次移動される。ターンテーブル20の動作は、実施形態1では、ターンテーブル20を回転させてターンテーブル20上の保持テーブル10を搬入搬出位置から加工位置へ移動させる動作、ターンテーブル20を回転させてターンテーブル20上の保持テーブル10を加工位置から搬入搬出位置へ移動させる動作等である。ターンテーブル20は、不図示のセンサが設けられている。ターンテーブル20に設けられたセンサは、ターンテーブル20の回転角、ターンテーブル20の回転動作の開始、当該動作の終了、及び当該動作のエラーの発生を検出し、検出結果を制御ユニット90に送信する。
【0019】
仮置きテーブル30は、カセットステージ80に載置されたカセット81,82から取り出した加工前の被加工物100が保持テーブル10に搬入される前に仮置きされ、被加工物100の中心位置合わせを行う。仮置きテーブル30の動作は、実施形態1では、仮置きテーブル30上に搬出された被加工物100の中心位置合わせを行う動作等である。仮置きテーブル30は、不図示のセンサが設けられている。仮置きテーブル30に設けられたセンサは、仮置きテーブル30が保持している被加工物100、仮置きテーブル30による被加工物100の中心位置合わせ動作の開始、当該動作の終了、及び当該動作のエラーの発生を検出し、検出結果を制御ユニット90に送信する。
【0020】
加工ユニット40は、保持テーブル10に保持された被加工物100を加工する。加工ユニット40は、実施形態1では、研削ユニットであり、研削ホイール41を有する。研削ホイール41は、環状に配された研削砥石を有し、Z軸方向と平行な軸心回りの回転動作が加えられながら、加工位置に位置付けられた保持テーブル10に保持された被加工物100にZ軸方向に沿って押圧されて、被加工物100を研削加工する。加工ユニット40の動作は、実施形態1では、研削ホイール41で被加工物100を研削加工する動作等である。加工ユニット40は、不図示のセンサが設けられている。加工ユニット40に設けられたセンサは、加工ユニット40が研削加工している被加工物100、加工ユニット40による被加工物100の研削加工動作の開始、当該動作の終了、当該動作のエラーの発生を検出し、検出結果を制御ユニット90に送信する。
【0021】
搬送アーム50は、加工装置1内の複数の構成ユニットの間で被加工物100を搬送する。搬送アーム50は、実施形態1では、第1の搬送アーム51と、第2の搬送アーム52と、を備える。第1の搬送アーム51は、例えばU字型ハンドを備えるロボットピックであり、U字型ハンドによって被加工物100を吸着保持して被加工物100を搬送する。第1の搬送アーム51は、加工前の被加工物100をカセット81,82から1枚取り出して仮置きテーブル30へ搬出するとともに、加工後の被加工物100を洗浄ユニット70からカセット81,82へ搬入する。第1の搬送アーム51は、加工前にカセット81に収容されていた加工後かつ洗浄後の被加工物100を、カセット81に搬入し、加工前にカセット82に収容されていた加工後かつ洗浄後の被加工物100を、カセット82に搬入する。第2の搬送アーム52は、吸着パッドを有し、仮置きテーブル30で位置合わせされた加工前の被加工物100を吸着保持して搬入搬出位置に位置する保持テーブル10上に搬入するとともに、搬入搬出位置に位置する保持テーブル10上に保持された加工後の被加工物100を吸着保持して洗浄ユニット70の洗浄テーブル71上に搬出する。
【0022】
第1の搬送アーム51の動作は、実施形態1では、被加工物100を吸着保持する動作、被加工物100の吸着保持を解除する動作、カセット81,82前へ移動する動作、仮置きテーブル30上へ移動する動作、洗浄ユニット70の洗浄テーブル71上へ移動する動作等である。フルオート加工する際の第1の搬送アーム51の動作は、実施形態1では、被加工物100をカセット81,82から1枚取り出して仮置きテーブル30へ搬送(搬出)する動作、被加工物100を洗浄ユニット70からカセット81,82へ搬送(搬入)する動作等である。第1の搬送アーム51は、不図示のセンサが設けられている。第1の搬送アーム51に設けられたセンサは、第1の搬送アーム51を構成する各アームの回転角等の第1の搬送アーム51の駆動に関する情報である駆動情報、第1の搬送アーム51が吸着保持している被加工物100及びその位置、上記した各動作の開始、当該動作の終了及び当該動作のエラーの発生を検出し、これらの検出結果を制御ユニット90に送信する。
【0023】
第2の搬送アーム52の動作は、実施形態1では、被加工物100を吸着保持する動作、被加工物100の吸着保持を解除する動作、搬入搬出位置に位置する保持テーブル10上へ移動する動作、仮置きテーブル30上へ移動する動作、洗浄ユニット70の洗浄テーブル71上へ移動する動作等である。フルオート加工する際の第2の搬送アーム52の動作は、実施形態1では、被加工物100を仮置きテーブル30から搬入搬出位置に位置する保持テーブル10へ搬送(搬入)する動作、被加工物100を搬入搬出位置に位置する保持テーブル10から洗浄ユニット70へ搬送(搬出)する動作等である。第2の搬送アーム52は、不図示のセンサが設けられている。第2の搬送アーム52に設けられたセンサは、第2の搬送アーム52を構成する各アームの回転角や位置等の第2の搬送アーム52の駆動に関する情報である駆動情報、第2の搬送アーム52が吸着保持している被加工物100、上記した各動作の開始、当該動作の終了及び当該動作のエラーの発生を検出し、これらの検出結果を制御ユニット90に送信する。
【0024】
タッチパネル60は、図1に示すように、表示面を外側に向けた状態で装置カバー3に設置される。タッチパネル60は、加工装置1に関する各種情報を表示するモニター61と、加工条件の設定入力など、加工装置1に関する各種操作入力をオペレータから受け付ける入力部62と、を有する。タッチパネル60は、モニター61に複数の構成ユニットイラスト301(図5参照)と被加工物イラスト302(図5参照)とで構成される装置内イラスト300(図5参照)を表示する。タッチパネル60は、入力部62で、加工装置1のオペレータによるモニター61に表示された構成ユニットイラスト301及び被加工物イラスト302への選択の入力を受け付ける。
【0025】
洗浄ユニット70は、研削後の被加工物100を保持する洗浄テーブル71を有する。洗浄ユニット70は、洗浄テーブル71上の研削後の被加工物100を洗浄し、研削された加工面に付着している研削屑等のコンタミネーションを除去する。洗浄ユニット70の動作は、実施形態1では、洗浄テーブル71で被加工物100を保持する動作、洗浄テーブル71での被加工物100の保持を解除する動作、洗浄テーブル71上の被加工物100の洗浄動作等である。洗浄ユニット70は、不図示のセンサが設けられている。洗浄ユニット70に設けられたセンサは、洗浄テーブル71が保持している被加工物100、洗浄ユニット70による被加工物100の洗浄動作の開始、当該動作の終了、及び当該動作のエラーの発生を検出し、検出結果を制御ユニット90に送信する。
【0026】
カセットステージ80は、複数の被加工物100を収容するための収容器であるカセット81,82を載置する載置台である。加工装置1は、実施形態1では、2箇所のカセットステージ80を備え、一方にカセット81が載置され、他方にカセット82が載置されるが、本発明ではこれに限定されず、少なくとも1箇所以上のカセットステージ80を備えていれば良い。
【0027】
カセット81,82は、開口を通して被加工物100を出し入れ可能にするとともに、被加工物100をZ軸方向に間隔をあけて保持するスロットを複数備えている。カセット81,82に収容される被加工物100は、加工装置1では、収容されるスロットの段数で、1枚1枚が管理、区別されて取り扱われる。カセット81,82の動作は、実施形態1では、第1の搬送アーム51による被加工物100の搬出及び搬入の各動作を受け付ける動作等である。カセット81,82は、実施形態1では、いずれも10層のスロットを備え、10枚の被加工物100が区別されて取り扱われるが、本発明ではこれに限定されず、スロットは何層でも良い。カセット81,82は、開口が第1の搬送アーム51側に向けられた状態でカセットステージ80に載置される。
【0028】
制御ユニット90は、加工装置1の各構成ユニットをそれぞれ制御して、被加工物100を加工する加工処理に関する各動作を加工装置1に実施させる。制御ユニット90は、各構成ユニット等に設けられたセンサの検出結果を受信する。また、制御ユニット90は、これらのセンサの検出結果に基づいて、モニター61の装置内イラスト300及び入力部62が制御する装置内イラスト300への入力受付機能を制御する。制御ユニット90は、図2に示すように、記憶部91と、処理部92とを備える。
【0029】
記憶部91は、処理部92により実行される加工装置1の各種処理等の機能を実現するプログラムや、プログラムによる処理に用いられるデータ(加工条件)などを記憶する。記憶部91は、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)、フラッシュメモリ、EPROM(Erasable Programmable Read Only Memory)、EEPROM(登録商標)(Electrically Erasable Programmable Read Only Memory)などの不揮発性または揮発性の半導体メモリなどの記憶装置を含む。記憶部91に記憶されるプログラムは、処理部92が備えるプロセッサにより実行可能なデータ処理を行うための複数の命令を含むプロセッサによる読取り可能かつ非遷移的な(non-transitory)記憶媒体を有するプログラムプロダクトであるともいえる。記憶部91は、処理部92が備えるプロセッサがプログラムに記述された命令を実行する際の一時的な作業領域としても利用できる。
【0030】
実施形態1に係る記憶部91は、図2に示すように、イラスト記憶部93と、フルオート動作記憶部94と、進捗記憶部95と、構成ユニット動作記憶部96と、を有する。イラスト記憶部93、フルオート動作記憶部94、進捗記憶部95及び構成ユニット動作記憶部96の機能は、記憶部91に含まれる記憶装置により実現される。
【0031】
イラスト記憶部93は、各構成ユニットのイラストである複数の各構成ユニットイラスト301と、被加工物100のイラストである被加工物イラスト302を記憶する。イラスト記憶部93が記憶する各構成ユニットイラスト301は、実施形態1では、加工装置1の上方から見た、各構成ユニットの外形を示す平面図のイラストである。イラスト記憶部93は、第1の搬送アーム51及び第2の搬送アーム52の外形が回転移動によって変化する場合、複数の回転角度における複数の平面図のイラストを記憶する。イラスト記憶部93は、第1の搬送アーム51及び第2の搬送アーム52以外の各構成ユニットの構成ユニットイラスト301として、各構成ユニットの平面図のイラストを1つのみ記憶する。ここで、第1の搬送アーム51及び第2の搬送アーム52以外の各構成ユニットの構成ユニットイラスト301は、実施形態1では、保持テーブル10の構成ユニットイラスト301、ターンテーブル20の構成ユニットイラスト301、仮置きテーブル30の構成ユニットイラスト301、加工ユニット40の構成ユニットイラスト301、洗浄ユニット70の構成ユニットイラスト301及びカセット81,82の構成ユニットイラスト301である。
【0032】
イラスト記憶部93が記憶する洗浄ユニット70の構成ユニットイラスト301は、実施形態1では、洗浄ユニット70の上方を覆う部分を省略した平面図のイラストとなっており、実質的に洗浄テーブル71の構成ユニットイラスト301となっている。また、イラスト記憶部93が記憶するカセット81,82のそれぞれの構成ユニットイラスト301は、実施形態1では、カセット81,82の上方を覆う部分を省略した平面図のイラストとなっている。これにより、洗浄テーブル71上やカセット81,82に収容されている被加工物100を表す被加工物イラスト302は、装置内イラスト300において洗浄テーブル71及びカセット81,82のそれぞれの構成ユニットイラスト301よりも手前側に表示され、モニター61で視認しやすく、入力部62で選択しやすくなっている。
【0033】
イラスト記憶部93が記憶する被加工物イラスト302は、実施形態1では、加工装置1の上方から見た、被加工物100の外径を示す平面図に被加工物100が加工前に収容されるスロットの段数の番号の表示を付した被加工物100のイラストである。なお、被加工物イラスト302は、被加工物100毎にそれぞれ加工前に収容されるスロットの段数の番号が紐づけられているので、加工前に収容されるスロットの番号で識別可能となる。
【0034】
また、イラスト記憶部93は、モニター61に表示する装置内イラスト300における各構成ユニットイラスト301の配置位置及び配置順序のデータである配置データも合わせて記憶している。これらの各構成ユニットイラスト301、被加工物イラスト302及び各構成ユニットイラスト301の配置データは、予め加工装置1のオペレータや管理者等により、イラスト記憶部93に記憶される。
【0035】
図3は、図2のフルオート動作記憶部94が記憶するフルオート動作データ201の一例を示す図である。フルオート動作記憶部94は、フルオート加工において被加工物100を処理する際の複数の構成ユニットの一連の動作を記憶する。具体的には、フルオート動作記憶部94は、図3に示すように、フルオート加工する際の加工装置1が備える複数の構成ユニットの動作を実施する順序と、各動作を実施する際に被加工物100を保持している構成ユニット及び被加工物100に対して実施する動作の内容と、を1対1で対応付けてフルオート動作データ201として記憶している。フルオート動作データ201は、予め加工装置1のオペレータや管理者等により、フルオート動作記憶部94に記憶される。
【0036】
フルオート動作データ201は、図3に示す例では、1番目に、第1の搬送アーム51が被加工物100をカセット81,82から1枚取り出して仮置きテーブル30へ搬送(搬出)する動作を実施し、2番目に、第2の搬送アーム52が被加工物100を仮置きテーブル30から搬入搬出位置に位置する保持テーブル10へ搬送する動作を実施し、3番目に、加工位置に位置付けられた保持テーブル10上で加工ユニット40が被加工物100を研削加工する動作を実施し、4番目に、第2の搬送アーム52が被加工物100を搬入搬出位置に位置する保持テーブル10から洗浄ユニット70へ搬送する動作を実施し、5番目に、洗浄ユニット70が洗浄テーブル71上の被加工物100の洗浄動作を実施し、6番目に、第1の搬送アーム51が被加工物100を洗浄ユニット70からカセット81,82へ搬送(搬入)する動作を実施することを示している。なお、フルオート動作データ201は、図3に示す例では、フルオート加工する際の加工装置1が備える複数の構成ユニットの動作のうち、一部のみが示されているが、実際には、フルオート加工の開始から終了までの間に加工装置1が備える複数の構成ユニットが実行する動作がさらに細かく、さらに多く記憶されている。
【0037】
図4は、図2の進捗記憶部95が記憶する進捗データ202の一例を示す図である。進捗記憶部95は、被加工物100毎にフルオート加工の進捗を記憶する。進捗記憶部95は、フルオート加工の実行中に、リアルタイムで得られる各構成ユニットに設けられたセンサの検出結果に基づいて、フルオート動作データ201に記憶されている各動作の内容の変化を検出する毎に、当該動作の内容が変化した旨をフルオート加工の進捗として記憶、更新する。ここで、動作の内容の変化は、動作の開始、動作の終了、及び動作中のエラーの発生であり、動作による被加工物100の移動を含む。進捗記憶部95は、このようにフルオート動作データ201に記憶されている各動作の内容の変化を記憶することで、被加工物100毎のフルオート加工の進捗を、図4に示すような進捗データ202として記憶する。進捗記憶部95は、また、フルオート加工が中断されており、後述するように処理部92が各構成ユニットの動作を実施させる際にも、各構成ユニットに設けられたセンサの検出結果に基づいて、フルオート動作データ201に記憶されている各動作の内容の変化を検出する毎に、当該動作の内容が変化した旨をフルオート加工の進捗として記憶、更新する。
【0038】
進捗記憶部95は、実施形態1では、例えば、被加工物100の移動前の構成ユニットのセンサからの被加工物100の検出信号が消滅し、被加工物100の移動先の構成ユニットのセンサからの被加工物100の検出信号が発生したことを認識すると、当該被加工物100が移動前の構成ユニットから移動先の構成ユニットに搬送する動作が実施されたと認識し、当該動作が実施された(開始及び終了した)旨を進捗データ202に記憶、更新する。例えば、進捗記憶部95は、第1の搬送アーム51や第2の搬送アーム52のセンサからの被加工物100の検出信号が継続し、第1の搬送アーム51や第2の搬送アーム52のセンサからの各アームの角度の検出信号を検出すると、被加工物100を搬送する動作を開始したと認識し、その旨を進捗データ202に記録、更新する。
【0039】
進捗データ202は、図4に示す例では、被加工物100の名称を、ワークの文字と被加工物100が収容されたスロットの段数とで示しており、被加工物100毎に、終了した動作の欄には「終了」を、開始された状態にある動作の欄に「開始」を、エラーの発生した動作の欄には「エラー」を、まだ実行されていない動作の欄には空欄及び斜線のハッチングを示すことで、被加工物100毎のフルオート加工の進捗を示している。進捗データ202は、図4に示す例では、ワーク1からワーク3についてはフルオート動作データ201に記憶されている全ての動作が処理済みであり、ワーク4については研削加工済みで洗浄テーブル71上で洗浄中であり、ワーク5については研削加工済みで第2の搬送アーム52による洗浄テーブル71への搬送中であり、ワーク6については研削加工中にエラーが発生した状態となっており、ワーク7からワーク10についてはフルオート動作データ201に記憶されている全ての動作が未処理であることを示している。
【0040】
記憶部91は、上記の他に、加工ユニット40による被加工物100の加工処理に必要な加工条件等の情報を記憶している。この加工条件等の情報は、予め加工装置1のオペレータや管理者等により、記憶部91に記憶される。
【0041】
処理部92は、CPU(Central Processing Unit)マイクロプロセッサ、マイクロコンピュータ、DSP(Digital Signal Processor)、システムLSI(Large Scale Integration)などのプロセッサなどの演算処理装置を含む。処理部92が備えるプロセッサは、記憶部91が備えるRAM上にロードされたプログラムを実行する。これにより、加工装置1により実行される各種処理等の機能が実現される。記憶部91が備えるRAM上にロードされ、処理部92が備えるプロセッサが実行するプログラムには、モニター61に装置内イラスト300を表示し、入力部62で装置内イラスト300への入力受付するプログラム、入力部62で受け付けた入力に基づいて加工装置1の各構成ユニットを動作させるプログラム等がある。加工装置1により実行される各種処理等の機能として、加工ユニット40による被加工物100の加工処理の機能、モニター61による装置内イラスト300の表示機能、入力部62による装置内イラスト300への入力受付機能、入力部62で受け付けた入力に基づいて加工装置1の各構成ユニットを動作させる機能などが例示される。
【0042】
処理部92は、記憶部91に格納されたプログラムに基づいて動作し、以下に説明する加工装置1の各種処理等を実行する。ここで、処理部92が実施する加工装置1の各種処理等は、実施形態1では、フルオート加工する際の加工装置1が備える複数の構成ユニットの動作の処理、及び、入力部62で受け付けた入力に基づいて加工装置1の各構成ユニットを動作させる処理等である。実施形態1に係る処理部92は、図2に示すように、加工処理部97と、位置反映部98と、処理把握部99と、を有する。加工処理部97、位置反映部98及び処理把握部99の機能は、記憶部91の記憶装置に記憶されたプログラムを演算処理装置が実行することで実現される。
【0043】
加工処理部97は、記憶部91に記憶された加工条件等の情報に基づいて加工装置1の各構成ユニットを制御して、加工ユニット40による被加工物100の加工処理を実行する。加工処理部97は、実施形態1では、入力部62によりオペレータによる被加工物100をフルオート加工する旨の入力を受け付けることに応じて、装置内イラスト300を生成してモニター61に表示させる処理を実行し、フルオート動作データ201に従って各構成ユニットに各構成ユニットの動作を順番に実施させることによりフルオート加工を実行する。加工処理部97は、フルオート加工の実行中に、各構成ユニットに設けられたセンサが各構成ユニットの動作にエラーが発生したことを検出した場合、当該エラーが発生した構成ユニットにおける被加工物100の加工処理を停止し、当該エラーが発生した旨を装置内イラスト300の表示に反映させ、当該エラーが発生していない各構成ユニットにおける被加工物100の加工処理を完了させる。加工処理部97は、フルオート加工の実行中以外のときには、入力部62によりオペレータによる各構成ユニットを動作させる旨の入力を受け付けることに応じて、当該構成ユニットの動作を実施させる。
【0044】
位置反映部98は、各被加工物100の現在位置を把握し、装置内イラスト300における各被加工物イラスト302の位置に反映させる。なお、位置反映部98の詳細な機能は、後述する加工装置1の動作の説明と合わせて説明する。また、構成ユニット動作記憶部96及び処理把握部99は、図2に図示されているが、以下に説明する実施形態1に係る加工装置1の動作には関与しないので、後述する実施形態2及び実施形態3においてその機能及び動作を説明する。
【0045】
処理部92の加工処理部97は、加工装置1の入力部62がオペレータによる被加工物100のフルオート加工の旨の入力もしくは各動作を実施する旨の入力を受け付けると、イラスト記憶部93に記憶されている各構成ユニットイラスト301、被加工物イラスト302、各構成ユニットイラスト301の配置データ、及び、各構成ユニットに設けられたセンサの検出結果に基づいて、以下に説明するように、図5に示す装置内イラスト300を生成し、モニター61に表示させる。処理部92の加工処理部97は、まず、装置内イラスト300において移動や回転を伴わないターンテーブル20、仮置きテーブル30、加工ユニット40、洗浄ユニット70及びカセット81,82の各構成ユニットイラスト301を、各構成ユニットイラスト301の配置データに従って装置内イラスト300上に配置する。
【0046】
処理部92の加工処理部97は、次に、各構成ユニットに設けられたセンサの検出結果に基づいて各保持テーブル10の現在位置を把握し、各保持テーブル10の構成ユニットイラスト301を、各保持テーブル10の現在位置に対応する装置内イラスト300における位置に表示させる。また、処理部92の加工処理部97は、各構成ユニットに設けられたセンサの検出結果に基づいて保持テーブル10の移動を把握し、各保持テーブル10の構成ユニットイラスト301を、保持テーブル10の移動前の位置に対応する装置内イラスト300における位置から、保持テーブル10の移動後の位置に対応する装置内イラスト300における位置に移動させる。処理部92の加工処理部97は、フルオート加工の実行中には、リアルタイムで進捗記憶部95により更新される進捗データ202に基づいて、各保持テーブル10の現在位置及び移動を把握してもよい。
【0047】
処理部92の加工処理部97は、また、第1の搬送アーム51に設けられたセンサの検出結果に基づいて第1の搬送アーム51の移動や回転を把握し、第1の搬送アーム51の現在の状態に対応する外形の第1の搬送アーム51の構成ユニットイラスト301を、装置内イラスト300に表示させる。処理部92の加工処理部97は、第2の搬送アーム52に設けられたセンサの検出結果に基づいて第2の搬送アーム52の移動や回転を把握し、第2の搬送アーム52の現在の状態に対応する外形の第2の搬送アーム52の構成ユニットイラスト301を、装置内イラスト300に表示させる。
【0048】
処理部92の位置反映部98は、また、各構成ユニットに設けられたセンサの検出結果に基づいて各被加工物100の現在位置を把握し、各被加工物イラスト302を、被加工物100毎の現在位置に対応する装置内イラスト300における各位置に表示させる。また、処理部92の位置反映部98は、各構成ユニットに設けられたセンサの検出結果に基づいて各被加工物100の移動を把握し、各被加工物イラスト302を、被加工物100の移動前の位置に対応する装置内イラスト300における位置から、被加工物100の移動後の位置に対応する装置内イラスト300における位置に移動させる。処理部92の位置反映部98は、フルオート加工の実行中には、リアルタイムで進捗記憶部95により更新される進捗データ202に基づいて、各被加工物100の現在位置及び移動を把握してもよい。
【0049】
処理部92の加工処理部97は、フルオート加工を実行中には、モニター61に装置内イラスト300を表示させ、入力部62による装置内イラスト300への入力受付機能を停止する。処理部92の加工処理部97は、エラーが発生してフルオート加工が中断すると、エラーが発生した構成ユニットにおいて加工処理が行われていた被加工物100の被加工物イラスト302の表示またはエラーが発生した構成ユニットイラスト301を着色するまたは印を表示するなどして、その他の被加工物イラスト302または構成ユニットイラスト301に対して識別可能に変更する。また、処理部92の加工処理部97は、エラーが発生してフルオート加工が中断すると、入力部62による装置内イラスト300への入力受付を開始する。処理部92の加工処理部97は、実施形態1では、入力部62により、装置内イラスト300に表示している被加工物100の被加工物イラスト302の選択の入力受付を開始する。
【0050】
図5及び図6は、図2の処理部92の処理の一例を示す図である。図5及び図6は、いずれも、加工ユニット40の動作でエラーが発生してフルオート加工が中断した後における装置内イラスト300を示している。図5の左は、加工ユニット40の動作でエラーが発生してフルオート加工が中断した際の装置内イラスト300を示しており、ワーク4(被加工物100)が洗浄ユニット70の洗浄テーブル71で洗浄済みの状態で保持されており、ワーク5(被加工物100)が搬入搬出位置に位置付けられた保持テーブル10で研削加工済みの状態で保持されており、ワーク6(被加工物100)が加工位置に位置付けられた保持テーブル10で研削加工が中断されて研削加工途中となった状態で保持されていることを示している。
【0051】
図5の左に示すように、処理部92の加工処理部97は、まず、フルオート加工が中断されている状態で、入力部62により、オペレータによる被加工物100(ワーク4)の被加工物イラスト302への選択の入力を受け付ける。入力は、例えばオペレータがモニター61を触れることで行う。
【0052】
処理部92の加工処理部97は、次に、実施形態1では、進捗記憶部95に記憶された図4に示す進捗データ202に基づき、選択の入力を受け付けた被加工物イラスト302に対応付けられている被加工物100(ワーク4)についてフルオート加工の一連の動作の中でまだ終了していない処理を行う構成ユニットの構成ユニットイラスト301を、被加工物100(ワーク4)を処理可能な構成ユニットの構成ユニットイラスト301として識別可能に表示する。
【0053】
処理部92の加工処理部97は、具体的には、まず、フルオート加工する際の一連の各構成ユニットの動作の中で、被加工物100(ワーク4)について進捗データ202で未処理である旨が記憶されている動作を抽出する。処理部92の加工処理部97は、図5に示す例では、第1の搬送アーム51が被加工物100(ワーク4)を洗浄ユニット70からカセット82へ搬送(搬入)する動作、を抽出する。処理部92の加工処理部97は、次に、図5の左に示すように、前の処理で抽出した動作による被加工物100(ワーク4)の移動先であるカセット82の構成ユニットイラスト301を、装置内イラスト300において識別可能に強調表示する(ステップ1011)。処理部92の加工処理部97は、実施形態1では、このように、まだ終了していない動作が被加工物100を移動させる動作である場合、当該動作の移動先の構成ユニットの構成ユニットイラスト301を、処理可能な構成ユニットの構成ユニットイラスト301として識別可能に表示する。処理部92の加工処理部97は、そして、入力部62により、装置内イラスト300において識別可能に表示する構成ユニットの構成ユニットイラスト301の選択の入力受付を開始する。
【0054】
処理部92の加工処理部97は、処理可能な構成ユニットの構成ユニットイラスト301として被加工物100(ワーク4)の移動先であるカセット82の構成ユニットイラスト301を識別可能に表示した後、図5の中央に示すように、入力部62により、識別可能に表示されたカセット82の構成ユニットイラスト301を選択する入力を受け付ける(ステップ1012)。
【0055】
処理部92の加工処理部97は、ステップ1012でカセット82の構成ユニットイラスト301への選択の入力を受け付けると、第1の搬送アーム51が被加工物100(ワーク4)を洗浄ユニット70からカセット82へ搬送(搬入)する動作を実施する旨の入力を受け付けたと認識し、この動作を第1の搬送アーム51に実施させる。また、処理部92は、この動作の実施による実際の第1の搬送アーム51の移動や回転に応じて、装置内イラスト300において、第1の搬送アーム51の構成ユニットイラスト301を変化させる動画を表示する。また、処理部92の位置反映部98は、この動作の実施による実際の被加工物100(ワーク4)の移動に応じて、装置内イラスト300において、被加工物100(ワーク4)の被加工物イラスト302を洗浄テーブル71の構成ユニットイラスト301上からカセット82の構成ユニットイラスト301上へ移動させる動画を表示する(ステップ1013)。処理部92の位置反映部98は、この動画を表示させた後、図5の右に示すように、カセット82の構成ユニットイラスト301上へ移動させた被加工物100(ワーク4)の被加工物イラスト302を非表示にする。また、処理部92の位置反映部98は、被加工物100の移動に対応する動画の代替として、移動元の構成ユニットイラスト301上の被加工物イラスト302を非表示にし、移動先の構成ユニットイラスト301上に被加工物イラスト302を表示するようにしても良い。
【0056】
なお、実施形態1では、処理部92は、オペレータによる被加工物100(ワーク4)の被加工物イラスト302への選択の入力の受け付けと、カセット82の構成ユニットイラスト301への選択の入力の受け付けとに応じて、第1の搬送アーム51が被加工物100(ワーク4)を洗浄ユニット70からカセット82へ搬送(搬入)する動作と、装置内イラスト300における第1の搬送アーム51の構成ユニットイラスト301の変化及び被加工物100(ワーク4)の被加工物イラスト302の移動についての表示処理を実施したが、本発明ではこれに限定されず、オペレータによる被加工物100(ワーク4)の被加工物イラスト302への接触を継続した状態で、当該被加工物イラスト302をカセット82の構成ユニットイラスト301へのドラッグすることで、被加工物100(ワーク4)の構成ユニット(カセット82)への搬送動作と装置内イラスト300における表示処理を実施してもよい。
【0057】
図6の左は、加工ユニット40の動作でエラーが発生してフルオート加工が中断した後に、図5を用いて説明した各処理に従って第1の搬送アーム51が被加工物100(ワーク4)を洗浄ユニット70からカセット82へ搬送(搬入)する動作を実施した後の状態での装置内イラスト300を示している。図6の左に示すように、処理部92の加工処理部97は、入力部62により、オペレータによる被加工物100(ワーク5)の被加工物イラスト302への選択の入力を受け付けると、第2の搬送アーム52が被加工物100を搬入搬出位置に位置する保持テーブル10から洗浄ユニット70へ搬送する動作、及び、第1の搬送アーム51が被加工物100を洗浄ユニット70からカセット82へ搬送(搬入)する動作を抽出し、第2の搬送アーム52が被加工物100を搬入搬出位置に位置する保持テーブル10から洗浄ユニット70へ搬送する動作の移動先である洗浄テーブル71と、第1の搬送アーム51が被加工物100を洗浄ユニット70からカセット82へ搬送(搬入)する動作の移動先であるカセット82との各構成ユニットイラスト301を、装置内イラスト300において識別可能に強調表示する(ステップ1021)。
【0058】
処理部92の加工処理部97は、上述のように強調表示処理をした後、図6の中央に示すように、オペレータによる、ステップ1021で識別可能に表示された洗浄テーブル71の構成ユニットイラスト301への選択の入力を受け付ける(ステップ1022)。
【0059】
処理部92の加工処理部97は、ステップ1022で洗浄テーブル71の構成ユニットイラスト301への選択の入力を受け付けると、第2の搬送アーム52が被加工物100を搬入搬出位置に位置する保持テーブル10から洗浄ユニット70へ搬送(搬出)する動作を実施する旨の入力を受け付けたと認識し、この動作を第2の搬送アーム52に実施させる。また、処理部92は、この動作の実施による実際の第2の搬送アーム52の回転や移動に応じて、装置内イラスト300において、第2の搬送アーム52の構成ユニットイラスト301を変化させる動画を表示する。また、処理部92の位置反映部98は、この動作の実施による実際の被加工物100(ワーク5)の移動に応じて、装置内イラスト300において、被加工物100(ワーク5)の被加工物イラスト302を搬入搬出位置に位置する保持テーブル10の構成ユニットイラスト301上から洗浄テーブル71の構成ユニットイラスト301上へ移動させる動画を表示する(ステップ1023)。
【0060】
加工装置1は、図5及び図6を用いて説明した処理部92の処理の例と同様にして、処理部92の加工処理部97が、入力部62によりオペレータからの入力を受け付けることに応じて、エラーが発生して研削加工が中断された被加工物100(ワーク6)を、研削加工途中の状態でカセット82に搬入して回収する。なお、加工装置1は、図5及び図6を用いて説明した処理部92の処理の例では、処理部92の加工処理部97が、入力部62によりオペレータからの入力を受け付けることに応じて、構成ユニットの一連の動作のうち処理済みの動作が多い被加工物100から順番にカセット82に搬入して回収しているが、本発明ではこれに限定されず、任意の順番で被加工物100をカセット82に搬入して回収してもよい。
【0061】
制御ユニット90は、このように、加工処理部97、位置反映部98、イラスト記憶部93、フルオート動作記憶部94及び進捗記憶部95により、本発明における、フルオート加工が中断されている状態で、装置内イラスト300で任意の被加工物イラスト302をオペレータが選択すると、被加工物100を処理可能な構成ユニットを識別可能に表示し、オペレータが識別可能に表示された構成ユニットを選択することで、構成ユニットに被加工物100を搬送する機能を実現する。制御ユニット90は、さらに、処理部92及び進捗記憶部95により、フルオート加工の一連の動作の中でまだ終了していない処理を行う構成ユニットを、処理可能な構成ユニットとして識別可能に表示する機能を実現する。
【0062】
以上のような構成を有する実施形態1に係る加工装置1は、制御ユニット90の処理部92の加工処理部97が、フルオート加工が中断されている状態で、装置内イラスト300で任意の被加工物イラスト302をオペレータが選択すると、選択した被加工物イラスト302に関する被加工物100を処理可能な構成ユニットの構成ユニットイラスト301を識別可能に表示し、オペレータが識別可能に表示された構成ユニットイラスト301を選択することで、選択した構成ユニットイラスト301の構成ユニットに被加工物100を搬送する。このため、実施形態1に係る加工装置1は、各構成ユニットを動作させるための操作や、被加工物100への処理を容易に行えるという作用効果を奏する。
【0063】
従来では、被加工物を自動で搬送し加工するフルオート加工を行う装置において、何らかのトラブルが発生し、フルオート加工が中断すると、オペレータが、メインメニューよりも深い階層にある各構成ユニットの複数の操作画面を変遷して操作することにより被加工物を回収していたため、オペレータの工数もかかりミスが発生する恐れがあった。しかしながら、実施形態1に係る加工装置1は、モニター61に表示された装置内イラスト300を選択する操作をすることで、加工後の被加工物100を洗浄して回収する処理等を容易に行える。
【0064】
また、実施形態1に係る加工装置1は、処理部92の加工処理部97が、進捗記憶部95に基づき、フルオート加工の一連の動作の中でまだ終了していない処理を行う構成ユニットの構成ユニットイラスト301を、処理可能な構成ユニットとして識別可能に表示することができるので、オペレータがすでに処理済みの処理を誤って繰り返し実行してしまう恐れを低減することができるという作用効果を奏する。
【0065】
〔実施形態2〕
本発明の実施形態2に係る加工装置1を図面に基づいて説明する。図7は、実施形態2に係る加工装置1の処理把握部99が把握する処理状態データ203の一例を示す図である。図7は、実施形態1と同一部分に同一符号を付して説明を省略する。
【0066】
実施形態2に係る加工装置1は、実施形態1に係る加工装置1において、装置内イラスト300において、被加工物イラスト302の選択の入力を受け付けた後に、識別可能に表示する処理可能な構成ユニットを抽出する方法を変更したものである。
【0067】
処理把握部99は、リアルタイムで、進捗記憶部95が記憶及び更新する進捗データ202に基づいて、各構成ユニットが被加工物100を処理しているかを把握する。処理把握部99は、例えば、各構成ユニットが被加工物100(ワーク)を保持しているか否かを把握する。処理把握部99は、各構成ユニットが被加工物100(ワーク)を保持しているか否かに基づいて、各構成ユニットが処理可能であるか否かを判定しており、具体的には、被加工物100を保持していない各構成ユニットについては被加工物100を処理可能であると判定し、被加工物100を保持している各構成ユニットについては被加工物100を処理不可能であると判定する。処理把握部99は、例えば、図7に示す処理状態データ203を把握する。
【0068】
処理状態データ203は、図7に示す例では、各構成ユニットが被加工物100(ワーク)を保持しているか否かの情報を、被加工物100を保持していない各構成ユニットについては保持していないと、被加工物100を保持している各構成ユニットについて保持中と、それぞれ示している。また、処理状態データ203は、図7に示す例では、各構成ユニットが処理可能であるか否かの情報を、処理可能である各構成ユニットについてはYESと、処理可能でない各構成ユニットについてはNOと、それぞれ示している。処理状態データ203は、図7に示す例では、カセット81,82が処理可能であり、第1の搬送アーム51及び仮置きテーブル30が被加工物100を保持していないため処理可能であり、第2の搬送アーム52、保持テーブル10及び洗浄テーブル71が被加工物100を保持中であるため処理可能でないことを示している。
【0069】
次に、本明細書は、実施形態2に係る加工装置1の動作の一例を図面に基づいて説明する。処理部92の加工処理部97は、実施形態2では、処理把握部99が把握している図7に示す処理状態データ203に基づいて、被加工物100を処理していない構成ユニットを処理可能な構成ユニットとして抽出する。処理部92の加工処理部97は、図7に示す処理状態データ203の例では、カセット82に加えて、被加工物100を処理していない構成ユニットである第1の搬送アーム51と、仮置きテーブル30とを、処理可能な構成ユニットとして抽出する。処理部92の加工処理部97は、図7に示す処理状態データ203の例では、この抽出結果に基づいて、第1の搬送アーム51による搬送の行き先であるカセット82の構成ユニットイラスト301と、仮置きテーブル30の構成ユニットイラスト301とを装置内イラスト300において識別可能に強調表示する。
【0070】
処理部92の加工処理部97は、図7に示す処理状態データ203の例では、洗浄テーブル71が保持している被加工物100については、第1の搬送アーム51が被加工物100を洗浄ユニット70からカセット82へ搬送(搬入)する動作だけでなく、第1の搬送アーム51が被加工物100を洗浄ユニット70から仮置きテーブル30へ搬送(退避)する動作の入力も、受け付けることができる。
【0071】
制御ユニット90は、このように、さらに、加工処理部97及び処理把握部99により、被加工物100を処理していない構成ユニットを処理可能な構成ユニットとして識別可能に表示する機能を実現する。
【0072】
以上のような構成を有する実施形態2に係る加工装置1は、装置内イラスト300において、被加工物イラスト302の選択後に、識別可能に表示する処理可能な構成ユニットを抽出する方法以外は、実施形態1に係る加工装置1と同様であるので、実施形態1に係る加工装置1と同様の作用効果を奏するものとなる。
【0073】
また、実施形態2に係る加工装置1は、被加工物100を処理していない構成ユニットの構成ユニットイラスト301を、処理可能な構成ユニットとして識別可能に表示するので、オペレータが実際の装置内部を確認し、搬送可能な構成ユニットを判断した後に操作をするという工数を削減できるとともに、誤って実行してしまう恐れを低減することができるという作用効果を奏する。また、実施形態2に係る加工装置1は、被加工物100を処理済みの構成ユニットが処理可能である場合に当該構成ユニットの構成ユニットイラスト301を選択することで一度処理済みの動作を再度実施させることができるという作用効果を奏する。また、実施形態2に係る加工装置1は、構成ユニットが処理可能である場合に当該構成ユニットの構成ユニットイラスト301を選択することでフルオート加工する際の一連の各構成ユニットの動作以外の動作を実施させることができるという作用効果を奏する。
【0074】
〔実施形態3〕
本発明の実施形態3に係る加工装置1を図面に基づいて説明する。図8は、実施形態3に係る加工装置1の構成ユニット動作記憶部96が記憶する構成ユニット動作データ204の一例を示す図である。図9は、実施形態3に係る加工装置1の処理部92の処理の一例を示す図である。図8及び図9は、実施形態1と同一部分に同一符号を付して説明を省略する。
【0075】
実施形態3に係る加工装置1は、実施形態1に係る加工装置1において、装置内イラスト300において、被加工物イラスト302の選択を受け付けて各構成ユニットを動作させることに代えて、構成ユニットイラスト301の選択を受け付けて各構成ユニットを動作させるように変更したものである。実施形態3に係る加工装置1は、実施形態1と同様にフルオート加工を実施するものでもよいし、実施形態1とは異なりフルオート加工を実施せずにオペレータの操作に従って1つ1つの動作を実施する搬送アームを有さないマニュアル機であってもよい。
【0076】
構成ユニット動作記憶部96は、図8に示すように、各構成ユニットが実行可能な複数の動作を構成ユニット動作データ204として記憶している。構成ユニット動作データ204は、図6に示す例では、実際にターンテーブル20が実行する動作が保持テーブル10の動作に含められて示している。また、構成ユニット動作データ204は、図6に示す例では、仮置きテーブル30及び加工ユニット40の動作が省略されているが、実際には仮置きテーブル30及び加工ユニット40の動作も記憶されている。構成ユニット動作データ204は、予め加工装置1のオペレータや管理者等により、構成ユニット動作記憶部96に記憶される。
【0077】
次に、本明細書は、実施形態3に係る加工装置1の動作の一例を図面に基づいて説明する。図9の左は、図6の左と同様の状態での装置内イラスト300を示している。処理部92は、実施形態3では、まず、入力部62により、装置内イラスト300に表示している各構成ユニットの構成ユニットイラスト301の選択の入力受付を開始する。処理部92は、図9の左に示すように、入力部62により、オペレータによる第2の搬送アーム52の構成ユニットイラスト301への選択の入力を受け付ける。
【0078】
処理部92は、次に、構成ユニット動作データ204に基づき、この選択の入力に応じて選択された構成ユニットイラスト301に関する第2の搬送アーム52の動作の選択肢303を、装置内イラスト300上に表示する(ステップ1031)。処理部92の加工処理部97は、そして、入力部62により、装置内イラスト300に表示する動作の選択肢303の選択の入力受付を開始する。処理部92が表示する動作の選択肢303は、各動作のリストであり、各動作をオペレータが選択可能となっている。
【0079】
なお、図6の左に示す例では、第2の搬送アーム52の構成ユニットイラスト301は、搬入搬出位置に位置する保持テーブル10の構成ユニットイラスト301上に表示されているので、構成ユニット動作データ204で記憶されている全ての第2の搬送アーム52の動作のうち、搬入搬出位置に位置する保持テーブル10上へ移動する動作は、意味をなさない。処理部92の加工処理部97は、このような意味をなさない動作を省略して、動作の選択肢303を表示する。
【0080】
また、処理部92の加工処理部97が表示する動作の選択肢303は、実施形態3ではリストであるが、本発明ではこれに限定されず、当該動作を表現する第2の搬送アーム52のイラストまたは動画で表示し、オペレータがイラストまたは動画に触れて選択する事で構成ユニットの動作を受け付けても良い。例えば、処理部92の加工処理部97は、第2の搬送アーム52が搬入搬出位置に位置する保持テーブル10上にある場合、仮置きテーブル30の構成ユニットイラスト301上に第2の搬送アーム52の構成ユニットイラスト301を表示することにより、第2の搬送アーム52が仮置きテーブル30上へ移動する動作の選択肢303を表示し、洗浄テーブル71の構成ユニットイラスト301上に第2の搬送アーム52の構成ユニットイラスト301を表示することにより、第2の搬送アーム52が洗浄ユニット70の洗浄テーブル71上へ移動する動作の選択肢303を表示してもよい。また、例えば、処理部92の加工処理部97は、第2の搬送アーム52が搬入搬出位置に位置する保持テーブル10上にある場合、搬入搬出位置に位置する保持テーブル10の構成ユニットイラスト301上から仮置きテーブル30の構成ユニットイラスト301上へ第2の搬送アーム52の構成ユニットイラスト301を移動させる動画を表示することにより、第2の搬送アーム52が仮置きテーブル30上へ移動する動作の選択肢303を表示し、搬入搬出位置に位置する保持テーブル10の構成ユニットイラスト301上から洗浄テーブル71の構成ユニットイラスト301上に第2の搬送アーム52の構成ユニットイラスト301を移動させる動画を表示することにより、第2の搬送アーム52が洗浄ユニット70の洗浄テーブル71上へ移動する動作の選択肢303を表示してもよい。
【0081】
図9の中央に示すように、処理部92の加工処理部97は、ステップ1031で表示された動作の選択肢303への選択の入力を受け付ける(ステップ1032)。処理部92の加工処理部97は、図9の中央に示す例では、第2の搬送アーム52が洗浄ユニット70の洗浄テーブル71上へ移動する動作を実施する旨の入力を受け付ける。
【0082】
図9の右に示すように、処理部92の加工処理部97は、ステップ1032で第2の搬送アーム52が洗浄ユニット70の洗浄テーブル71上へ移動する動作を実施する旨の入力を受け付けると、第2の搬送アーム52を駆動させて、第2の搬送アーム52が被加工物100(ワーク5)を吸着保持した状態で、洗浄ユニット70の洗浄テーブル71上へ移動する動作を実施する。また、処理部92の加工処理部97は、実際の第2の搬送アーム52が洗浄ユニット70の洗浄テーブル71上へ移動する動作の実施に合わせて、装置内イラスト300において、第2の搬送アーム52の構成ユニットイラスト301を変化させるとともに、被加工物100(ワーク5)の被加工物イラスト302を保持テーブル10の構成ユニットイラスト301上から洗浄テーブル71の構成ユニットイラスト301上に移動させる動画を表示する(ステップ1033)。なお、被加工物イラスト302の移動を表示する手段は動画でなく、移動前の構成ユニットイラスト301上の被加工物イラスト302を非表示にし、移動後の構成ユニットイラスト301上に被加工物イラスト302を表示する処理でもよい。
【0083】
制御ユニット90は、このように、さらに、加工処理部97及び処理把握部99により、被加工物100を保持していない構成ユニットを処理可能な構成ユニットとして識別可能に表示する機能を実現する。または制御ユニット90は、加工処理部97及び進捗記憶部95及びフルオート動作記憶部94により、フルオート加工の一連の動作の中でまだ終了していない処理を行う構成ユニットを、処理可能な構成ユニットとして識別可能に表示する機能を実現してもよい。
【0084】
以上のような構成を有する実施形態3に係る加工装置1は、被加工物イラスト302を選択して各構成ユニットを動作させることに代えて、構成ユニットイラスト301を選択して各構成ユニットを動作させるようにしたこと以外は、実施形態1に係る加工装置1と同様であるので、実施形態1に係る加工装置1と同様の作用効果を奏するものとなる。
【0085】
従来では、フルオート加工でなくオペレータがタッチパネルから各構成ユニットを操作し加工を行う場合にも、各構成ユニットの操作には複数の画面を変遷する必要があり、非効率的であった。しかしながら、実施形態3に係る加工装置1は、モニター61に表示された装置内イラスト300内の構成ユニットイラスト301を選択する操作をすることで、加工後の被加工物100の加工処理等を容易に行える。
【0086】
また、実施形態3に係る加工装置1は、処理部92の加工処理部97が、構成ユニットの動作の選択肢303を、当該操作を表現するイラストまたは動画で表示することができるので、オペレータが各構成ユニットの動作を感覚的に選択できるという作用効果を奏する。
【0087】
〔変形例1〕
本発明の変形例1に係る加工装置1を図面に基づいて説明する。図10は、変形例1に係る加工装置1の処理部92の処理の一例を示す図である。図10は、実施形態1~3と同一部分に同一符号を付して説明を省略する。
【0088】
変形例1に係る加工装置1は、実施形態1~3に係る加工装置1において、イラスト記憶部93が記憶する各種イラストを、平面図のイラストから斜めから見て立体的(3次元的)に表示する2次元の斜視イラストに変更したものである。イラスト記憶部93は、変形例1では、各構成ユニットイラスト401(図10参照)、被加工物イラスト402(図10参照)及びモニター61に表示する装置内イラスト400(図10参照)における各構成ユニットイラスト401の配置位置及び配置順序のデータである配置データを記憶する。
【0089】
イラスト記憶部93が記憶する各構成ユニットイラスト401及び被加工物イラスト402は、変形例1では、加工装置1の各構成ユニットの外形を斜めから見て立体的(3次元的)に表示する2次元の斜視イラストであり、全て、加工装置1の各構成ユニットを同一の方向から見た立体的な2次元の斜視画像である。イラスト記憶部93が記憶する各構成ユニットイラスト401及び被加工物イラスト402は、変形例1では、オペレータが概ねタッチパネル60のある位置から加工装置1の各構成ユニットを斜めに見たものとなっている。イラスト記憶部93は、第1の搬送アーム51及び第2の搬送アーム52の構成ユニットイラスト401は、動作によって変化する互いに外形の異なる複数の斜視図のイラストを記憶する。イラスト記憶部93は、第1の搬送アーム51及び第2の搬送アーム52以外の各構成ユニットの構成ユニットイラスト401として、各構成ユニットの斜視図のイラストを1つのみ記憶する。
【0090】
これらの各構成ユニットイラスト401、被加工物イラスト402及び各構成ユニットイラスト401の配置データは、予め加工装置1のオペレータや管理者等により、イラスト記憶部93に記憶される。
【0091】
処理部92の加工処理部97は、変形例1では、実施形態1と同様のタイミングで、イラスト記憶部93に記憶された各構成ユニットイラスト401、被加工物イラスト402及び各構成ユニットイラスト401の配置データに基づいて、図10に示す装置内イラスト400を生成し、モニター61に表示させる。処理部92の加工処理部97は、変形例1では、入力部62により、オペレータによる各構成ユニットイラスト401または被加工物100の被加工物イラスト402への選択の入力を受け付ける。処理部92の加工処理部97は、この選択の入力を受け付けた以降の処理は、実施形態1~3と同様である。
【0092】
以上のような構成を有する変形例1に係る加工装置1は、斜めから見て立体的(3次元的)に表示する2次元の斜視イラストをタッチパネル60で表示して操作の入力を受け付けるようにしたこと以外は、実施形態1に係る加工装置1と同様であるので、実施形態1に係る加工装置1と同様の作用効果を奏するものとなる。
【0093】
また、変形例1に係る加工装置1は、上下方向に重なっている位置関係にある各構成ユニット及び被加工物100の各イラストを上下方向にずらして表示することができるので、加工装置1内の状況を正確に把握できるという作用効果を奏する。
【0094】
なお、本発明は上記実施形態に限定されるものではない。即ち、本発明の骨子を逸脱しない範囲で種々変形して実施することができる。上記実施形態では、表示及び操作の入力を受け付けるタッチパネル60が設けられた加工装置1は、被加工物100を研削する研削装置であるが、本発明では研削装置に限定されず、被加工物100を切削する切削装置、被加工物100を研磨する研磨装置、被加工物100をレーザー加工するレーザー加工装置、被加工物100に貼着されたテープを拡張するテープ拡張装置でもよい。また、これらの加工装置は、さらに、紫外線照射ユニットを備えていてもよく、この場合、紫外線照射ユニットは、カセットの下方に、カセットと重ねられて配置され、カセットとともにカセットエレベータにより昇降自在に設けられる。
【符号の説明】
【0095】
1 加工装置
10 保持テーブル
40 加工ユニット
50 搬送アーム
60 タッチパネル
80 カセットステージ
81,82 カセット
90 制御ユニット
94 フルオート動作記憶部
95 進捗記憶部
96 構成ユニット動作記憶部
98 位置反映部
99 処理把握部
100 被加工物
300,400 装置内イラスト
301,401 構成ユニットイラスト
302,402 被加工物イラスト
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10