(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-14
(45)【発行日】2023-12-22
(54)【発明の名称】ポスト-アッシングの残渣の除去及び/又はTiNを含む層又はマスクの酸化エッチングのためのイミダゾリジンチオン含有組成物
(51)【国際特許分類】
H01L 21/304 20060101AFI20231215BHJP
C11D 7/34 20060101ALI20231215BHJP
C11D 7/50 20060101ALI20231215BHJP
C11D 7/32 20060101ALI20231215BHJP
C11D 7/38 20060101ALI20231215BHJP
H01L 21/308 20060101ALI20231215BHJP
H01L 21/027 20060101ALI20231215BHJP
【FI】
H01L21/304 647A
C11D7/34
C11D7/50
C11D7/32
C11D7/38
H01L21/304 647Z
H01L21/308 F
H01L21/30 572B
(21)【出願番号】P 2020554459
(86)(22)【出願日】2019-03-25
(86)【国際出願番号】 EP2019057377
(87)【国際公開番号】W WO2019192866
(87)【国際公開日】2019-10-10
【審査請求日】2022-03-25
(32)【優先日】2018-04-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】508020155
【氏名又は名称】ビーエーエスエフ ソシエタス・ヨーロピア
【氏名又は名称原語表記】BASF SE
【住所又は居所原語表記】Carl-Bosch-Strasse 38, 67056 Ludwigshafen am Rhein, Germany
(74)【代理人】
【識別番号】100100354
【氏名又は名称】江藤 聡明
(74)【代理人】
【識別番号】100167106
【氏名又は名称】倉脇 明子
(74)【代理人】
【識別番号】100194135
【氏名又は名称】山口 修
(74)【代理人】
【識別番号】100206069
【氏名又は名称】稲垣 謙司
(72)【発明者】
【氏名】ホグブーム,ジョアネス テオドルス ヴァレンティヌス
(72)【発明者】
【氏名】クリップ,アンドレアス
(72)【発明者】
【氏名】コー,チー チョン
(72)【発明者】
【氏名】チョン,イー ピン
【審査官】今井 聖和
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2015/173730(WO,A1)
【文献】特開2003-289060(JP,A)
【文献】特開2001-209191(JP,A)
【文献】特開2011-074189(JP,A)
【文献】特表2010-515246(JP,A)
【文献】特表2009-512194(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/304
C11D 7/34
C11D 7/50
C11D 7/32
C11D 7/38
H01L 21/308
H01L 21/027
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
タングステン材料及び/又はLow-k材料を含む半導体基板の表面からポスト-エッチング又はポスト-アッシングの残渣を取り除くため
に、洗浄組成物
を使用する方法であって、
該洗浄組成物は、
(A)メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、プロパンスルホン酸、ブタンスルホン酸、ヘキサンスルホン酸、3-(N-モルホリノ)プロパンスルホン酸、2-(N-モルホリノ)-エタンスルホン酸、N-シクロヘキシル-2-アミノエタンスルホン酸、3-[4-(2-ヒドロキシエチル)-1-ピペラジニル]プロパンスルホン酸、N-シクロヘキシル-3-アミノプロパンスルホン酸及びそれらの混合物からなる群から選択される1つ以上のスルホン酸、
(B)ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、ジメチルアセトアミド、N-メチルピロリドン、炭酸プロピレン、スルホラン、テトラヒドロフラン及びそれらの混合物からなる群から選択される1つ以上の極性の非プロトン性有機溶媒、
(C)1,1-ジメトキシエタン、1-メトキシ-2-ブタノール、2-(2-ブトキシエトキシ)エタノール、2-(ナフタレン-6-イルオキシ)ポリエトキシエタノール、2-(ヘキシルオキシ)エタノール、2-メトキシ-1-ブタノール、2-メトキシ-2-メチルブタノール、ブチルジグリコール、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールメチルエチルエーテル、ジエチレングリコールモノベンジルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノイソブチルエーテル、ジエチレングリコールモノイソプロピルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノプロピルエーテル、ジプロピレングリコールジイソプロピルエーテル、ジプロピレングリコールモノイソプロピルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノプロピルエーテル、ジプロピレンモノブチルエーテル、エチレングリコールジエチルエーテル、エチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテル、モノプロピルエーテル、ポリエチレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールジメチルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコール、テトラヒドロフルフリルアルコール、トリエチレングリコールジメチルエーテル、トリエチレングリコールエチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、トリエチレングリコールモノメチルエーテル、トリプロピレングリコールモノメチルエーテル及びそれらの混合物からなる群から選択される1つ以上のグリコールエーテル、
(D)1つ以上のイミダゾリジンチオン、及び、
(E)水
を含
み、且つ
前記洗浄組成物が1つ以上の酸化剤と組み合わされて使用され、及び
前記洗浄組成物を使用する方法はさらに、導体基板の表面のTiNを含むかTiNからなる層又はマスクを、タングステン材料及び/又はLow-k材料の存在下で、酸化エッチング又は部分的に酸化エッチングするためものである、方法。
【請求項2】
前記の、又は少なくとも1つのスルホン酸(A)はメタンスルホン酸であり、
及び/又は、
前記1つ以上のスルホン酸(A
)の総量は、前記洗浄組成物の総質量に基づいて
、0.05質量%から5質量%の範
囲にある、請求項1に記載の
方法。
【請求項3】
前記の、又は少なくとも1つの極性の非プロトン性有機溶媒(B)はスルホランであり、
及び/又は
前記1つ以上の極性の非プロトン性有機溶媒(B
)の総量は、前記洗浄組成物の総質量に基づいて
、2.5質量%から25質量%の範
囲にある、請求項1又は2に記載の
方法。
【請求項4】
前記の、又は少なくとも1つのグリコールエーテル(C)はブチルジグリコールであり、
及び/又は
前記1つ以上のグリコールエーテル(C
)の総量は、前記洗浄組成物の総質量に基づいて
、15質量%から45質量%の範
囲にある、請求項1~3のいずれか1項に記載の
方法。
【請求項5】
前記の、又は少なくとも1つのイミダゾリジンチオン(D)は2-イミダゾリジンチオンであり、
及び/又は
前記1つ以上のイミダゾリジンチオン(D
)の総量は、前記洗浄組成物の総質量に基づいて
、0.1質量%から5質量%の範
囲にある、請求項1~4のいずれか1項に記載の
方法。
【請求項6】
(A)メタンスルホン酸であって、前記洗浄組成物の総質量に基づいて
、0.05質量%から5質量%の範
囲の総量である、メタンスルホン酸、
(B)スルホランであって、前記洗浄組成物の総質量に基づいて
、2.5質量%から25質量%の範
囲の総量である、スルホラン、
(C)ブチルジグリコールであって
、前記洗浄組成物の総質量に基づいて
、15質量%から45質量%の範
囲の総量である、ブチルジグリコール、
(D)2-イミダゾリジンチオンであって
、前記洗浄組成物の総質量に基づいて
、0.1質量%から5質量
%の総量である、2-イミダゾリジンチオン
及び
(E)水
、それぞれの場合に前記洗浄組成物の合計100質量%に対する残りである、水、
を有する、請求項1~5のいずれか1項に記載の
方法。
【請求項7】
請求項1~6のいずれか1項に
定義された洗浄組成物
を使用
する方法であって、
該方法が追加的に、
- タングステン材料及び/又はLow-k材料を含む半導体基板の表面からポスト-エッチング又はポスト-アッシングの残渣を除去するための;
ここで、前記ポスト-エッチング又はポスト-アッシングの残渣は
、1つ以上の有機化合
物を含み、
該有機化合物は、フッ素を含むかまたは含まない有機ポリマーを含み、
及び/又は
- タングステン材料及び/又はLow-k材料を含む半導体基板を
、1つ以上の基板層をエッチングする工程の後で、洗浄するための、
ここで、前にエッチングされた前記1つ以上の基板層が
、層間絶縁層及びLow-k材料層からなる群から選択され;
及び/又は
- タングステン材料及び/又はLow-k材料を含む半導体基板の表面から残渣及び汚染物質を除去するための、
ここで、前記残渣及び汚染物質
は、フッ素を含むかもしくは含まない有機
化合物を含むかまたはそれらからなる、
洗浄組成物
を使用
する方法。
【請求項8】
前記洗浄組成物が1つ以上の酸化剤と組み合わされて使用され、
及び
- 半導体基板の表面のTiNを含むかTiNからなる層又はマスクを
、タングステン材料及び/又はLow-k材料の存在下で、除去又は部分的に除去するための;
及び/又は
- 半導体基板の表面のTiNを含むかTiNからなる層又はマスクを
、タングステン材料及び/又はLow-k材料の存在下で、凹ませるための;
及び/又は
- 半導体基板の表面のTiNを含むかTiNからなる層又はマスクを
、タングステン材料及び/又はLow-k材料の存在下で、プルバックするための;
及び/又は
-タングステン材料及び/又はLow-k材料を含む半導体基板の表面からポスト-エッチング又はポスト-アッシングの残渣を除去するための;
ここで、前記ポスト-エッチング又はポスト-アッシングの残渣は
、:
- 金属有機錯体、と
- チタン及び/又はチタンの酸化物及び/又はチタンの窒化物
を含む金属材料、
を含むかそれらからなる群から選択される1つ以上の残渣を含む、
請求項
1~6のいずれか1項に定義された洗浄組成物を使用
する方法。
【請求項9】
- 前記洗浄組成物は、別個の工程で又は同時に同じ工程で
、1つ以上の酸化剤を組み合わせて使用され;
及び/又は
- 前記1つ以上の酸化剤は、過酸化水素、過酸化物尿素、ペルオキシ二硫酸、過硫酸アンモニウム、ペルオキシ一硫酸、ピロ硫酸、オゾン、及びそれらの混合物からなる群から選択さ
れ;
及び/又は
-前記1つ以上の酸化剤は、過酸化水素であり;
及び/又は
- 前記1つ以上の酸化
剤は、前記洗浄組成物の総質量に基づいて
、0.5質量%から5.0質量%の範
囲の総量で使用され;
及び/又は
- 1つ以上の安定剤が、1つ以上の酸化剤と組み合わせて、及び/又は
、アミン-N-オキシ
ド;クエン酸;1-ヒドロキシエタン1,1-ジホスホン酸;グリコール酸;乳酸;ヒドロキシ酪酸;グリセリン酸;リンゴ酸;酒石酸;マロン酸;コハク酸;グルタル酸;マレイン酸及びそれらの混合物からなる群から選択される前記洗浄組成物と組み合わせて使用される、請求項
1~8のいずれか1項に記載の方法。
【請求項10】
(W1)請求項1~6のいずれか1項に
定義された洗浄組成物、
及び、
(W2
)過酸化水素、過酸化物尿素、ペルオキシ二硫酸、過硫酸アンモニウム、ペルオキシ一硫酸、ピロ硫酸及びオゾンからなる群から選択される1つ以上の酸化剤
;
を含むウェットエッチング組成
物。
【請求項11】
1から4の範
囲のpHを有し
及び/又は
-前記1つ以上の酸化剤は、過酸化水素であり;
及び/又は
-前記ウェットエッチング組成物が、1つ以上の酸化剤(W2)を、前記洗浄組成物の総質量に基づいて、0.5質量%から5.0質量%の範囲の総量で含み;
及び/又は
-さらに、
(W3)1つ以上の安定剤であって
、
- アミン-N-オキシ
ド;
- クエン酸;
- 1-ヒドロキシエタン1,1-ジホスホン酸;
- グリコール酸;
- 乳酸;
- ヒドロキシ酪酸;
- グリセリン酸;
- リンゴ酸;
- 酒石酸;
- マロン酸;
- コハク酸;
- グルタル酸;
- マレイン酸、及び、
- それらの混合物
からなる群から選択される1つ以上の安定剤、
ここで
、前記ウェットエッチング組成物中に存在する前記1つ以上の安定剤の総量は、前記ウェットエッチング組成物の総質量に基づいて
、0.01質量%から0.1質量%の範
囲にある、
を有する、請求項10に記載のウェットエッチング組成物。
【請求項12】
請求項10又は11に記載のウェットエッチング組成物の使用であって、
- 半導体基板の表面の、TiNを含むかTiNからなる層又はマスクを
、タングステン材料及び/又はLow-k材料の存在下で、酸化エッチング又は部分的に酸化エッチングするための;
及び/又は
- 半導体基板の表面の、TiNを含むかTiNからなる層又はマスクを
、タングステン材料及び/又はLow-k材料の存在下で、除去又は部分的に除去するための;
及び/又は
- 半導体基板の表面の、TiNを含むかTiNからなる層又はマスクを
、タングステン材料及び/又はLow-k材料の存在下で、凹ませるための;
及び/又は
- 半導体基板の表面の、TiNを含むかTiNからなる層又はマスクを
、タングステン材料及び/又はLow-k材料の存在下で、プルバックするため
の、
ウェットエッチング組成物
を使用
する方法。
【請求項13】
さらに、
- タングステン材料及び/又はLow-k材料を含む半導体基板の表面から、ポスト-エッチング又はポスト-アッシングの残渣を除去するための;
ここで、前記ポスト-エッチング又はポスト-アッシングの残渣は:
- フッ素を含むかまたは含まない有機ポリマーを含む有機化合物、
- 金属有機錯体、及び、
- チタン及び/又はチタン酸化物及び/又はチタン窒化物を含む金属材料、
を含むかそれらからなる群から選択される1つ以上の残渣を含む、
及び/又は
- タングステン材料及び/又はLow-k材料を含む半導体基板を、1つ以上の基板層をエッチングする工程の後に、洗浄するための、
ここで、前にエッチングされた前記1つ以上の基板層は、TiN層;層間絶縁層及びLow-k材料層からなる群から選択される;
及び/又は
- タングステン材料及び/又はLow-k材料を含む半導体基板の表面から残渣及び汚染物質を除去するための、
ここで、残渣及び汚染物質は、:
- フッ素を含むかまたは含まない有機化合物、
- 金属有機錯体、及び、
- チタン及び/又はチタン酸化物及び/又はチタン窒化物を含む金属材料、
を含むかそれらからなる群から選択される、
請求項12に記載のウェットエッチング組成物を使用する方法。
【請求項14】
半導体基板から半導体装置を製造する方法であって、
請求項1~6のいずれか一項に
定義された洗浄組成物を、ウェットエッチング組成物を得るように
、過酸化水素、過酸化物尿素、ペルオキシ二硫酸、過硫酸アンモニウム、ペルオキシ一硫酸、ピロ硫酸、オゾン及びそれらの混合物からなる群から選択され
る一つ以上の酸化剤と混合する工程、又は、
請求項10又は11のいずれかによるウェットエッチング組成物を提供する工程、及び、
前記得られた又は提供されたウェットエッチング組成物を、前記半導体基板の表面の、TiNを含むかTiNからなる層又はマスクと
、タングステン材料又はlow-k材料の存在下で、前記層又はマスクを選択的に酸化エッチング又は部分的に酸化エッチングするように、及び/又は、前記半導体基板の表面からポスト-エッチング又はポスト-アッシングの残渣を取り除くように、少なくとも1回接触させる工程、を含む方法。
【請求項15】
半導体基板の表面からのポスト-エッチング又はポスト-アッシングの残渣の除去のための、及び/又は、半導体基板の表面の、TiNを含むかTiNからなる層又はマスクを
、タングステン材料及び/又はLow-k材料の存在下で、酸化エッチング又は部分的に酸化エッチングするための、キットであって、別個の成分として:
(K1) 請求項1~6のいずれか1項に
定義された洗浄組成物、
及び
(K2
) 過酸化水素、過酸化物尿素、ペルオキシ二硫酸、過硫酸アンモニウム、ペルオキシ一硫酸、ピロ硫酸、オゾン、及びそれらの混合物からなる群から選択される1つ以上の酸化
剤、
を含み、
さらに任意で、別個の成分として、又は成分(K1)及び/又は成分(K2)と組み合わせて:
(K3
) アミン-N-オキシ
ド;クエン酸;1-ヒドロキシエタン1,1-ジホスホン酸;グリコール酸;乳酸;ヒドロキシ酪酸;グリセリン酸;リンゴ酸;酒石酸;マロン酸;コハク酸;グルタル酸;マレイン酸及びそれらの混合物からなる群から選択される1つ以上の安定剤、
を含む、キット。
【請求項16】
半導体基板の表面の層又はマスクを、タングステン材料及び/又はLow-k材料の存在下で、エッチング又は部分エッチングするための、及び/又は、半導体基板の洗浄のための、組成物におけるイミダゾリジンチオ
ンの使用であって、
ここで
、
- 前記層又はマスクはTiNを含み又はTiNからなり、
及
び
- 前記組成物は、1つ以上の酸化剤を含む、使用。
【請求項17】
- 前記イミダゾリジンチオンが、2-イミダゾリジンチオンであり、
及び/又は
- 前記使用は腐食防止剤又は保護剤としての使用であり、
及び/又は
- 前記洗浄は、半導体基板の表面からのポスト-エッチング又はポスト-アッシングの残渣の除去を含む、
請求項16に記載の使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体基板の表面からのポスト-エッチング又はポスト-アッシングの残渣の除去のための洗浄組成物、及び前記洗浄組成物の対応する使用に関する。本発明はさらに、1つ以上の酸化剤と組み合わせた前記洗浄組成物、例えば半導体基板の表面の、TiNを含むかTiNからなる層又はマスクの、好ましくはタングステン材料の存在下での酸化エッチング又は部分酸化エッチングのための、及び/又は半導体基板の表面からのポスト-エッチング又はポスト-アッシングの残渣の除去のための、前記洗浄組成物の使用に関する。さらに、本発明は、本発明の洗浄組成物及び1つ以上の酸化剤を含むウェットエッチング組成物と、半導体基板の表面の、TiNを含むかTiNからなる層又はマスクの、好ましくはタングステン材料の存在下での酸化エッチング又は部分酸化エッチングのため、及び/又は半導体基板の表面からのポスト-エッチング又はポスト-アッシングの残渣の除去のための前記ウェットエッチング組成物の使用と、前記ウェットエッチング組成物を使用した半導体基板からの半導体デバイスの製造方法と、及び、本発明の洗浄組成物及び1つ以上の酸化剤を含むキットと、に関する。本発明はまた、半導体基板の表面の層又はマスクのエッチング又は部分エッチングのため、及び/又は半導体基板の洗浄のための組成物におけるイミダゾリジンチオンの使用に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体デバイスを製造する方法は、電子回路が純粋な半導体材料で作られたウェハ(「半導体ウェハ」)上に徐々に形成されるフォトリソグラフィ及び化学的処理工程の複数工程シーケンスである。好ましくは、半導体材料としてシリコンが用いられる。典型的な半導体ウェハは、いわゆる「チョクラルスキー法」を用いて直径300mmまでの単結晶円筒形インゴット(ブール)に成長させた極めて純粋なシリコンから作られる。これらのインゴットは続いて厚さ約0.75mmのウェハにスライスされ、非常に規則的で平坦な表面に研磨される。半導体ウェハを製造するための特定の方法は、例えば、いわゆる「フロント・エンド・オブ・ライン」(「FEOL」)及び「バック・エンド・オブ・ライン」(「BEOL」)の処理段階フェーズを含むいくつかの段階で構成されている。
【0003】
FEOL処理段階は、半導体ウェハの材料(通常はシリコン)内に直接トランジスタを形成することである。未加工の半導体ウェハは、エピタキシを介する超高純度の実質的に無欠陥のシリコン層の成長によって設計される。フロントエンドエンジニアリングの後に、ゲート誘電体(通常は二酸化ケイ素)の成長、ゲートのパターニング、ソース及びドレイン領域のパターニング、及び続く所望の相補的電気特性を得るための半導体材料へのドーパントの注入又は拡散が続く。
【0004】
FEOL処理でさまざまなデバイス(例えば、ダイナミックランダムアクセスメモリDRAM;スタティックランダムアクセスメモリSRAM;電気的にプログラム可能な読み出し専用メモリEPROM;又は、シリコンの相補金属、CMOS)が作成されると、それらは所望の電気回路を形成するために相互接続されなければならない。これは、まとめてBEOLと呼ばれる一連のウェハ処理工程で行われる。BEOL処理段階は、低誘電率の材料からなる層によって分離された半導体ウェハ表面の金属相互接続ワイヤを作成することを含む。
【0005】
アルミニウムに代わって、導電性材料として銅が導入されたことにより、半導体基板上に集積回路の相互接続を形成するための複雑な多工程製造方法が開発されてきた。半導体集積回路を製造する典型的な方法は、数百の工程を必要とする。これらの工程は、拡散、リソグラフィ、エッチング、イオン注入、堆積及びスパッタリングなどの数種類の段階を含む。
【0006】
半導体基板上に集積回路相互接続を形成するための特定の多工程製造方法の1つは、TFVL(「trench-first-via-last」)デュアルダマシンプロセス、VFTL(「via-first-trench-last」)デュアルダマシンプロセス、自己整合デュアルダマシンプロセス、又は、エッチングマスク例えばメタルハードマスクを用いた(後者については例えば文献US6,696,222を参照)デュアルダマシンプロセスを含む、デュアルダマシンプロセスダのような変形とともにダマシンプロセスとして知られている。ダマシンプロセス技術では、所望の集積回路相互接続構造は、その構造の形状を下層の層間絶縁(「ILD」)材料内までエッチングすることによってパターン化される。パターニング後、典型的には、薄いバリア層(例えばTa/TaN、TiN、CoWP、NiMoP、NiMoBからなる)が、エッチングされた構造の上に、例えば銅拡散バリアとして堆積される。そのバリア層の上にシード層が堆積されることが多く、このシード層は、下にある材料への銅の良好な接着を支持し、めっきプロセス中に触媒材料としても作用する。これらのシード層の典型的な材料は、Pd又は他の化合物、例えばポリマー及び有機材料の化合物である。オリジナルの堆積プロセス(ダマシンプロセス)は、各層を独自に処理するように設計されていた。
【0007】
したがって、いわゆる「垂直相互接続アクセス」(「ビア」)、通常銅を含むか又は銅からなる導電性相互接続、及びその上に被さる金属被覆レベルは、異なるプロセス工程を有し、洗浄、材料堆積、化学機械研磨(「CMP」)、及び各層についての別の洗浄工程のシーケンスを要する。このシーケンスをその金属被覆レベル、並びにそのILD及びインタビア誘電体(「IVD」)に対して使用する銅技術は、しばしば「シングルダマシンプロセス」と呼ばれる。典型的には、シングルダマシンプロセスでは、各レベルは、それ自体のキャップ層又はエッチング停止層、別個のILD層を要し、頂部には、相互接続金属銅と共に研磨されることができる材料、例えばSiO2を要する。シングルダマシンプロセスの代替として、「デュアルダマシン」プロセス技術は、特定の類似したプロセス工程を単一プロセス行程と組み合わせることにより、異なる層のBEOLスタックを構築するために必要なプロセス工程の数及び時間及びコストを削減する。したがって、デュアルダマシンプロセスは、IVD及び金属被覆層を同時に製造する。
【0008】
ダマシン又はその変形の製造方法のような半導体基板上に集積回路相互接続を形成するための多工程製造方法は、このように通常、反応性イオンエッチング(「RIE」)、又はプラズマエネルギーで加速される反応性エッチングガスを含むプラズマエッチング(化学的ドライエッチングとしても知られる)のような、ドライエッチング技術を通常は適用することによって、ビアの「開口」を必要とする1つ以上のプロセス工程を含む。
【0009】
そのようなビア開口プロセス工程は、通常、ビアの上に位置する1つ以上の異なる(連続した)層のエッチングを含み、この層は、導電性、半導電性、及び/又は絶縁材料を含み得る。
【0010】
そのような異なる(連続した)層の例は、フォトレジスト層、下部反射防止被覆(BARC)層、エッチングマスク層(例えば、好ましくはTiNを含む金属ハードマスク層、又はポリマーマスク層)、ILD層(例えばSiO2又は酸窒化ケイ素を含む)又はLow-k材料層である。前記異なる層のエッチングは、通常、ビアの定義されたセグメントが層の積層の底で到達されるまで、1つ以上の下の層の特定領域にアクセスするための定義された開口を形成するように、水平方向の延長部の一部にわたって選択的に(多くの場合、特定のエッチング工程でエッチングされるべきでない層の領域を保護するために、1つ以上のエッチングマスク層を適用することによって)実行される。
【0011】
半導体基板上に集積回路相互接続を形成するための多工程製造方法において、メタルハードマスク、例えばTiNハードマスクのようなエッチングマスクが、除去又は部分的に除去される必要がある。このエッチングマスクの除去又は部分的除去は、半導体基板の表面に存在するいかなる他の構造も保持するために、除去される材料に対して高い選択性で行われる必要がある。TiNは、特に32nmノード以上の銅デュアルダマシンデバイス製造において、Low-k材料への向上された選択性を達成するために、例えばRIEハードマスクとしてよく使用される。しかしながら、このアプローチの欠点は、例えばRIEの後に、時々オーバーハングマスクが生成されることであり、これは、バリア金属、銅シード層及び銅充填の続く堆積工程においてボイドを生じさせる可能性がある。したがって、マスクオーバーハングを除去し信頼性のある金属堆積を確実にするために、あるいは、TiNを含むかTiNからなる層又はマスクを選択的に除去するか又は部分的に除去するために、プルバック/丸みを帯びたコーナー形態を形成するような方法で、TiNマスクをエッチングすることが時々有益である。TiNを含むかTiNからなる層又はマスクが選択的に部分的に除去され、及び/又は選択的に部分的に酸化エッチングされ、及び/又は選択的に凹まれ、及び/又は選択的にプルバックされる、このようなプロセスは、しばしば「TiNプルバックプロセス」と呼ばれる。このようなTiNプルバックプロセスは、例えば、TiNを含むかTiNからなる層又はマスクの一部を除去することができ、したがって、TiNを含むかTiNからなる層又はマスクの下にある次の層の材料を部分的に露出させることができる。
【0012】
所与の半導体基板上に形成する必要がある集積回路相互接続の特定の構造に応じて、上述のTiNハードマスクの除去又は部分的除去は、他の材料の存在下、特にタングステン材料及び/又はLow-k材料の存在下で、高精度で選択的に実行される必要があり得る。これらの場合、TiNを含むかTiNからなる層又はマスクを除去又は部分的に除去するとき、存在する他の材料、特にタングステン材料及び/又はLow-k材料は、影響又は損傷を受けてはならない、もしくは、最小限可能な限りの影響又は損傷のみを受ける。
【0013】
上述のエッチングプロセスは、エッチングプロセスで使用されるエッチング媒体とそれらが相互作用する材料との相互作用からの残渣を生成する。前記残渣の組成は、適用されるエッチングの種類、エッチングされる層の材料(例えばレジスト)、あらゆる下地の基板、及び適用されるプロセス条件によって影響を受ける。
【0014】
除去されるべき残渣の種類は、多くの場合、フッ素を含んでも含まなくてもよい有機ポリマーのような有機化合物、及び/又は、(特にエッチング停止層及び/又はハードマスクのような層又はマスク、より具体的にはTiNを含むかそれからなるかのエッチング停止層及び/又はハードマスクが、エッチングされた場合)金属-有機複合体、好ましくはチタン(「TiFx」とも呼ばれるTiのフッ素錯体、及び「TiOx」とも呼ばれるTiの酸素錯体を含むTi)及びCuの複合体、及び/又は、好ましくはAl、AlCu(すなわち、AlとCuの合金)、HfOx(すなわち、酸化ハフニウム)、Ta、TaN、Ti、チタン酸化物及びチタン窒化物からなる群から選択される金属材料、より好ましくはTi、チタン酸化物及びチタン窒化物からなる群から選択される金属材料を含む残渣、を含む。有機ポリマータイプのポスト-エッチング又はポスト-アッシングの残渣は、例えば、半導体基板上の1つ以上の異なる層、例えば、フォトレジスト層、下部反射防止被覆層、ILD層及び/又はLow-k材料層のエッチング又は処理に由来することがあり得る。
【0015】
エッチングの残渣が基板から除去されない場合、それらは、基板を含む後続の処理を妨げる可能性がある。エッチング残渣のこのような除去又は洗浄は、しばしば、「ポスト-エッチング残渣」除去又は「ポストアッシング残渣」除去と呼ばれる。不十分な除去又は洗浄の影響は、影響を受ける半導体デバイスの低い歩留まり、低信頼性及び/又は低性能を生じる可能性がある。また、不適切な洗浄は、処理中の半導体ウェハ表面が、堆積された膜の品質を低下させることなく空気に曝される不十分な短時間につながる可能性があり、その結果、キュー時間の制約を生じ、したがってプロセスの柔軟性の制限を生じ得る。
【0016】
半導体基板上に集積回路相互接続を形成するための製造方法の現在進行中の開発(例えば、デバイス寸法の縮小、エッチング条件の変更)、及び現在進行中の前記方法における新規材料の組込みは、これらの変更する要求を満たすように特殊な洗浄組成物を要求する。従来技術もまた、この要件の多様性を反映している。
【0017】
例えば、文献WO2005/098920A2は、ポスト-エッチングの残渣の除去のための水溶液を扱っている。
【0018】
文献WO2015/173730A1は、スズのプルバック及び洗浄組成物に言及している。
【0019】
また、関連技術は:
文献WO2016/042408A2は、シリコンゲルマニド及びタングステンとの適合性を有する窒化チタンをエッチングするための組成物に関する。
【0020】
文献WO2008/080097A2は、ポスト-エッチングの残渣の除去のための液体洗浄剤を扱っている。
【0021】
文献WO2007/044446A1は、ポスト-エッチングの残渣の除去のための酸化水性洗浄剤を記載している。
【0022】
文献US2013/217234A1は、洗浄液及びそれを用いたダマシンプロセスについて言及している。
【0023】
従来技術に鑑みて、半導体産業で使用される、基板からポスト-エッチング又はポスト-アッシングの残渣を除去するための洗浄組成物であって、1つ以上の異なる層から(すなわち、以前にエッチングされた層から)、例えば、フォトレジスト層、下部反射防止被覆層、ILD層及び/又はLow-k材料層などからポスト-エッチング又はポスト-アッシングの残渣を十分に除去することができつつ、同時に、Low-k材料及び/又は同様に存在する金属相互接続材料、特にタングステン及び/又は銅を、損害又は損傷しないか可能な限り最小限に損害又は損傷を抑える洗浄組成物に対する必要性が依然として存在している。
【0024】
半導体基板の表面のTiNを含むかTiNからなる層又はマスクを、好ましくはタングステン材料及び/又はLow-k材料の存在下で、酸化エッチング又は部分的酸化エッチングするための、及び/又は、半導体基板の表面からポスト-エッチング又はポスト-アッシングの残渣を除去するためのウェットエッチング組成物の必要性も依然としてある。同様に、半導体基板の表面のTiNを含むかTiNからなる層又はマスクを、好ましくはタングステン材料及び/又はLow-k材料の存在下で、酸化エッチング又は部分的酸化エッチングすること、及び/又は、半導体基板の表面からポスト-エッチング又はポスト-アッシングの残渣を除去することを可能にする、半導体基板から半導体装置を製造する方法に対する必要性も依然としてある。
【0025】
特に、TiNを含むかTiNからなる層又はマスクを選択的に部分除去する、及び/又は選択的に部分酸化エッチングする、及び/又は選択的に凹ませる、及び/又は選択的にプルバックする上記機能、及び、半導体基板の表面からポスト-エッチング又はポスト-アッシングの残渣を除去しつつ、金属相互接続材料、特にタングステン及び/又は基板上に同様に存在するLow-k材料を損害又は損傷しないか可能な限り最小限に損害又は損傷を抑える上記機能を組み合わせる組成物が望ましい。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0026】
したがって、本発明の目的は、例えば、フォトレジスト層、下部反射防止被覆層、エッチングマスク層、ILD層及びLow-k材料層から選択される、1つ以上の異なる層から(それらは基板上に同時に存在し得る;すなわち前にエッチングした層から)、ポスト-アッシングの残渣を取り除く一方、同時にlow-k材料及び/又は同様に基板上に存在する金属相互接続材料、特にタングステンを、損害又は損傷しないか可能な限り最小限に損害又は損傷を抑えるための改善された洗浄組成物を提供することにある。
【0027】
本発明の主要な目的は、半導体基板の表面のTiNを含むかTiNからなる層又はマスクを、好ましくはタングステン材料及び/又はLow-k材料の存在下で、酸化エッチング又は部分的酸化エッチングするため、及び/又は半導体基板の表面からポスト-エッチング又はポスト-アッシングの残渣を除去するための改善されたウェットエッチング組成物を提供することであった。
【0028】
本発明の別の目的は、半導体基板の表面のTiNを含むかTiNからなる層又はマスクを、好ましくはタングステン材料及び/又はLow-k材料の存在下で、酸化エッチング又は部分的酸化エッチングすること、及び/又は半導体基板の表面からポスト-エッチング又はポスト-アッシングの残渣を除去することを可能にする、半導体基板から半導体デバイスを製造するための改善された方法を提供することであった。
【0029】
本発明のさらに具体的な目的は、特に半導体基板から半導体デバイスを製造するための改善された方法で使用するためのキットを提供することであった。
【0030】
本発明のさらに別の目的は、半導体基板の表面の層又はマスクを、タングステン材料及び/又はLow-k材料の存在下で、エッチング又は部分的にエッチングするため、及び/又は、半導体基板の表面からポスト-エッチング又はポスト-アッシングの残渣を、タングステン材料に対する改善された保護特性で、除去するための組成物を提供するにあった。
【0031】
驚くべきことに今、本発明の主要な目的及び他の目的が、半導体基板の表面からポスト-エッチング又はポスト-アッシングの残渣を除去するための洗浄組成物によって達成されることが見出され、該洗浄組成物は、以下を含み(すなわち、本発明の洗浄組成物は、以下に定義される成分(A)から(E)に加えて、さらなる成分を含んでもよい)又は、以下からなる(すなわち、本発明の洗浄組成物は、以下に定義される成分(A)から(E)に加えて、さらなる成分を含んでいなくてもよい):
(A)メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、プロパンスルホン酸、ブタンスルホン酸、ヘキサンスルホン酸、3-(N-モルホリノ)プロパンスルホン酸、2-(N-モルホ-リノ)-エタンスルホン酸、N-シクロヘキシル-2-アミノエタン-スルホン酸、3-[4-(2-ヒドロキシエチル)-1-ピペラジニル]プロパン-スルホン酸、N-シクロヘキシル-3-アミノ-プロパン-スルホン酸及びそれらの混合物からなる群から選択される1つ以上のスルホン酸;好ましくは、前記の、又は少なくとも1つのスルホン酸はメタンスルホン酸であり;
(B)ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、ジメチルアセトアミド、N-メチルピロリドン、炭酸プロピレン、スルホラン、テトラヒドロフラン及びそれらの混合物からなる群から選択される1つ以上の極性の非プロトン性有機溶媒;好ましくは、前記の、又は少なくとも1つの極性の非プロトン性有機溶媒はスルホランであり;
(C)1,1-ジメトキシ-エタン、1-メトキシ-2-ブタノール、2-(2-ブトキシエトキシ)エタノール、2-(ナフタレン-6-イルオキシ)ポリエトキシエタノール、2-(ヘキシルオキシ)エタノール、2-メトキシ-1-ブタノール、2-メトキシ-2-メチルブタノール、ブチルジグリコール、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールメチルエチルエーテル、ジエチレングリコールモノベンジルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノイソブチルエーテル、ジエチレングリコールモノイソプロピルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノプロピルエーテル、ジプロピレングリコールジイソプロピルエーテル、ジプロピレングリコールモノイソプロピルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノプロピルエーテル、ジプロピレンモノブチルエーテル、エチレングリコールジエチルエーテル、エチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテル、モノプロピルエーテル、ポリエチレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールジメチルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコール、テトラヒドロフルフリルアルコール、トリエチレングリコールジメチルエーテル、トリエチレングリコールエチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、トリエチレングリコールモノメチルエーテル、トリプロピレングリコールモノメチルエーテル及びそれらの混合物からなる群から選択される1つ以上のグリコールエーテル;好ましくは、前記の、又は少なくとも1つのグリコールエーテルはジブチルグリコールである;
(D)好ましくは、2-イミダゾリジンチオン、2,3,5-トリフェニル-4-イミダゾリジンチオン、4-メチル-2-イミダゾリジンチオン及び1-メチル-3-プロピル-2-イミダゾリジンチオン及びそれらの混合物からなる群から選択される1つ以上のイミダゾリジンチオン;より好ましくは、前記の、又は少なくとも1つのイミダゾリジンチオンは2-イミダゾリジンチオンであり;及び
(E)水。
【0032】
本発明、同様に好ましい実施形態、並びにそのパラメータ、特性及び要素の好ましい組み合わせは、添付の特許請求の範囲に定義されている。本発明の好ましい態様、詳細、修正及び利点はまた、以下の説明及び以下に記載される実施例において定義され、説明される。
【0033】
本発明の関連において、「フォトレジスト層」とは、-マイクロエレクトロニクス又はマイクロリソグラフィーの技術分野における通常の意味と一致し-、層又はフィルムを意味し、該層又はフィルムは、250nmから400nmの範囲の波長の光に曝されたときに、前記光に曝されたフォトレジストの部分が、フォトレジストの未露光部分がフォトレジスト現像剤に対して不溶性のままであるのに対して、(i)特定の現像剤に対して可溶性(「ポジ型フォトレジスト」)になるか、又は、前記光に曝されたフォトレジストの部分が、フォトレジストの未露光部分がフォトレジスト現像剤に対して可溶性のままであるのに対して、(ii)特定の現像剤に対して不溶性(「ネガ型ホトレジスト」)になるか、のいずれかである。本発明の関連において「フォトレジスト」という用語は、光重合性フォトレジスト、光分解性フォトレジスト、及び光架橋性フォトレジストを含む。
【0034】
本発明の関連において「下部反射防止被覆」(「BARC」)又は下部レジスト反射防止被覆とは、-マイクロエレクトロニクス又はマイクロリソグラフィーの技術分野における通常の意味と一致し-フォトレジストのプロファイル及び全体的なプロセス動作ウィンドウを改善するために使用される有機又はシリコ有機ポリマーを意味する。BARCはフォトレジストの前に適用され、レジスト厚さ全体にわたって変化し反射する光強度に起因して、画像化されたナノ構造において一般的に発生し得る定在波及び結果として生じる欠陥のある/傾斜したレジスト側壁を除去するのに役立つ。BARCは、i-Line、248nm、193nm(ドライ及び浸漬)を含む特定の波長プロセスに基づいて選択されなければならない。それらはまた適用されるフォトレジストと適合性を有しなければならない。BARCは、スピンオン法を用いて有機ポリマー製剤から半導体基板に適用され、その後、推奨温度まで加熱(「焼き付け」、「硬化」)される。
【0035】
本発明の関連では、「エッチングマスク」は、-マイクロエレクトロニクス又はマイクロリソグラフィーの技術分野における通常の意味と一致し-、特定のエッチングプロセス工程で損傷なく耐えることができ、したがって、そのような特定のエッチング工程でエッチングされるべきではない下地の材料層の特定領域の保護層として機能する材料層を意味する。エッチングマスクは、続いて、下にある材料層が影響を受けず(又はごくわずかな程度にしか影響を受けない)、したがってこれらはさらなる処理のために露出されるのに対して、エッチングマスク材料に特有の条件下で、選択的に除去され得る。本発明の関連において、エッチングマスク層は、好ましくは、(a)Ti、TiN、La、LaN、HfOx(すなわち、酸化ハフニウム)、Al、AlCuからなる群から選択される材料、好ましくはTiNを含むかTiNからなる材料、又は(b)有機高分子材料、を含むか又はそれらからなる。エッチングマスクは、フォトレジストであってもよい。
【0036】
本発明の関連において、「ILD」とは、-マイクロエレクトロニクス又はマイクロリソグラフィーの技術分野における通常の意味と一致し-、集積回路における幾つかのレベル(マルチレベルメタライゼーション)に配置された間隔の狭い相互接続線を電気的に分離するために使用される誘電材料を意味する。ILDは通常、隣接する金属線例えばビア間の容量結合を最小限に抑えるために誘電率k≦3.9である。本発明の関連において、ILDは、好ましくは、SiO2及び/又はシリコンオキシナイトライド(酸窒化けい素)を含むかそれらからなる。
【0037】
本発明の関連において、「Low-k材料」とは、-マイクロエレクトロニクス又はマイクロリソグラフィーの技術分野における通常の意味と一致し-、誘電率k<3.9の材料を意味し、好ましくは以下からなる群から選択される。
【0038】
- ケイ素含有材料であって、好ましくは、SiO2、シリコンオキシカーバイド(SiOC)、テトラエチルオルソシリケート(TEOS)、ホウ素ドープホスホシリケートガラス(BPSG)、フッ素ドープ二酸化ケイ素(フルオロシリケートガラス、FSG)、炭素ドープ二酸化ケイ素、オルガノシリケートガラス(OSG)、炭素ドープ酸化物(CDO)、多孔質二酸化ケイ素、多孔質炭素ドープ二酸化ケイ素(例えば、ブラックダイヤモンド(商標)II)及びスピンオンシリコン高分子材料からなる群から選択されるケイ素含有材料、好ましくは、水素シルセスキオキサン(HSQ)及びメチシルセスキオキサン(MSQ)からなる群から選択されるケイ素含有材料;及び
- 高分子材料であって、好ましくはスピンオン有機高分子誘電体からなる群から選択され、好ましくは、ポリイミド(PI)、ポリノルボルネン、ベンゾシクロブテン及びポリテトラフルオロエチレン(PTFE)を含む、高分子材料。
【0039】
本発明の関連において、「金属相互接続材料」とは、-マイクロエレクトロニクス又はマイクロリソグラフィーの技術分野における通常の意味と一致し-、アルミニウム、コバルト、銅、ルテニウム、チタン及びタングステンからなる群から選択され、好ましくは銅及び/又はタングステンである材料を意味する。
【0040】
本発明の関連において、「半導体産業で使用される基板」又は「半導体基板」は、-マイクロエレクトロニクス又はマイクロリソグラフィーの技術分野における通常の意味と一致し-、好ましくは半導体ウェハを意味する。
【0041】
本発明の関連において、「プロトン性」とは、化学の技術分野における通常の意味と一致し-、プロトン供与体として、特に水に対して作用することができることを意味する。
【0042】
本発明の関連において、「金属-有機錯体」とは、好ましくは、Tiの錯体(「TiFx」とも呼ばれる、Tiのフッ素錯体、及び「TiOx」とも呼ばれるTiの酸素錯体)並びにCuの錯体からなる群から選択される錯体を意味する。
【0043】
本発明の関連において、「金属材料」とは、好ましくは、Al、AlCu(すなわち、AlとCuの合金)、HfOx(すなわち、酸化ハフニウム)、Ta、TaN、チタン(Ti)、チタンの酸化物及びチタンの窒化物からなる群から選択される材料を意味し、より好ましくは、チタン(Ti)、チタンの酸化物及びチタンの窒化物からなる群から選択される材料を意味する。
【0044】
上記で定義された本発明による洗浄組成物及び以下に定義される本発明のウェットエッチング組成物において、1つ以上のスルホン酸(A)、1つ以上の極性の非プロトン性有機溶媒(B)、1つ以上のグリコールエーテル(C)及び1つ以上のイミダゾリジンチオン(D)は、一般に、それぞれの場合に単独で(1つの単一化合物として)使用することができ、又は同種の他の化合物(それぞれ適用可能なものとして、スルホン酸;極性の非プロトン性有機溶媒;グリコールエーテル又はイミダゾリジンチオン)と組み合わせて使用することができる。
【0045】
また、本明細書で定義される本発明による洗浄組成物(又は、上記又は以下に好ましいものとして記載される本発明による洗浄組成物)が好ましく、該洗浄組成物は1から4の範囲、好ましくは1から3の範囲、より好ましくは1から2の範囲のpHを有している。
【0046】
本発明の代替として、本発明の洗浄組成物は、追加の成分をさらに含んでもよい。したがって、場合によっては、本明細書で定義される本発明による洗浄組成物(又は、上記又は以下に好ましいものとして記載される本発明による洗浄組成物)が好ましく、該洗浄組成物はさらに(すなわち、上記で定義される成分(A)から(E)に加えて):
(F)2-オキサゾリジノン、好ましくは2-オキサゾリジノン及び3-メチル-2-オキサゾリドン;イミダゾリジン;イミダゾリジノン、好ましくは1-(2-ヒドロキシエチル)-2-イミダゾリジノン及び2-イミダゾリジノン;ポリエチレンイミン及びポリプロピレンイミンからなる群から選択される1つ以上の腐食防止剤、
を含む。
【0047】
本発明の目的のために好ましいのは、文献WO2015/173730A1の5ページに開示されているそれらの2-オキサゾリジノンである。本発明の目的のために好ましいのは、文献WO2015/173730A1の4ページ及び5ページに開示されているそれらのイミダゾリジンである。本発明の目的のために好ましいのは、文献WO2015/173730A1の4ページに開示されているそれらのイミダゾリジノンである。
【0048】
より具体的には、上記の場合(洗浄組成物が成分(F)をさらに含む場合)には、本発明による洗浄組成物は、
- 前記の、又は少なくとも1つの腐食防止剤(F)は2-イミダゾリジノンであり、
及び/又は
- 1つ以上の腐食防止剤(F)、好ましくは2-イミダゾリジノンの総量は、洗浄組成物の総質量に基づいて、0.1質量%から10質量%の範囲、好ましくは0.5質量%から7.5質量%の範囲、より好ましくは0.75質量%から5質量%の範囲である、
ものが好ましい。
【0049】
また、本明細書で定義される本発明による洗浄組成物(又は、上記又は以下に好ましいものとして記載される本発明による洗浄組成物)も好ましく、ここで、
- 前記の、又は少なくとも1つのスルホン酸(A)はメタンスルホン酸であり、好ましくは少なくとも1つのスルホン酸(A)はメタンスルホン酸であり、
及び/又は(好ましくは「及び」)
- 1つ以上のスルホン酸(A)、好ましくはメタンスルホン酸の総量は、洗浄組成物の総質量に基づいて、0.01質量%から10質量%の範囲、好ましくは0.05質量%から5質量%の範囲、より好ましくは0.1質量%から1質量%の範囲である。
【0050】
本発明による洗浄組成物、又は以下に定義される本発明によるウェットエッチング組成物において、前記の、又は少なくとも1つのスルホン酸(A)はメタンスルホン酸であり、これは、本発明による好ましい洗浄組成物又はウェットエッチング組成物を結果として得るために、洗浄組成物の他の成分又は好ましい成分又はそれらの混合物のいずれかと組み合わせることができ、すなわち、極性の非プロトン性有機溶媒(B)又はそれらの混合物のいずれか、グリコールエーテル(C)又はそれらの混合物のいずれか、イミダゾリジンチオン(D)又はそれらの混合物のいずれか及び/又は(該当する場合)腐食防止剤(F)のいずれかと組み合わせることができる。
【0051】
本明細書で定義される本発明による洗浄組成物(又は、好ましいとして上記又は以下に記載される本発明による洗浄組成物)もまた好ましく、ここで、
- 前記の、又は少なくとも1つの極性の非プロトン性有機溶媒(B)は、スルホラン(2,3,4,5-テトラヒドロチオフェン-1,1-ジオキシド;CAS RN 126-33-0)であり、好ましくは、少なくとも1つの極性の非プロトン性有機溶媒(B)は、スルホランであり、
及び/又は(好ましくは「及び」)
- 1つ以上の極性の非プロトン性有機溶媒(B)、好ましくはスルホランの総量は、洗浄組成物の総質量に基づいて、1質量%から25質量%の範囲、好ましくは2.5質量%から25質量%の範囲、より好ましくは5質量%から15質量%の範囲である。
【0052】
本発明による洗浄組成物、又は以下に定義される本発明によるウェットエッチング組成物において、前記の、又は少なくとも1つの極性の非プロトン性有機溶媒(B)はスルホランであり、これは、本発明による好ましい洗浄組成物又はウェットエッチング組成物を結果として得るため、洗浄組成物の他の成分又は好ましい成分又はそれらの混合物のいずれかと組み合わせることができ、すなわち、スルホン酸(A)又はそれらの混合物のいずれか、グリコールエーテル(C)又はそれらの混合物のいずれか、及び/又はイミダゾリジンチオン(D)又はそれらの混合物のいずれか、及び/又は(該当する場合)腐食防止剤(F)のいずれかと組み合わせることができる。
【0053】
本明細書で定義される本発明による洗浄組成物(又は、好ましいとして上記又は以下に記載される本発明による洗浄組成物)もまた好ましく、ここで、
- 前記の、又は少なくとも1つのグリコールエーテル(C)は、ブチルジグリコールであり、好ましくは少なくとも1つのグリコールエーテル(C)は、ブチルジグリコールであり、
及び/又は(好ましくは「及び」)
- 1つ以上のグリコールエーテル(C)、好ましくはブチルジグリコールの総量は、洗浄組成物の総質量に基づいて、10質量%から50質量%の範囲、好ましくは15質量%から45質量%の範囲、より好ましくは20質量%から40質量%の範囲である。
【0054】
本発明による洗浄組成物、又は以下に定義される本発明によるウェットエッチング組成物において、前記の、又は少なくとも1つのグリコールエーテル(C)はブチルジグリコールであり、これは、本発明による好ましい洗浄組成物又はウェットエッチング組成物を結果として得るため、洗浄組成物の他の成分又は好ましい成分又はそれらの混合物のいずれかと組み合わせることができ、すなわち、スルホン酸(A)又はそれらの混合物のいずれか、極性の非プロトン性有機溶媒(B)又はそれらの混合物のいずれか、及び/又はイミダゾリジンチオン(D)又はそれらの混合物のいずれか、及び/又は(該当する場合)腐食防止剤(F)のいずれかと組み合わせることができる。
【0055】
さらに、本明細書で定義される本発明による洗浄組成物(又は、好ましいとして上記又は以下に記載される本発明による洗浄組成物)もまた好ましく、ここで、
- 前記の、又は少なくとも1つのイミダゾリジンチオン(D)、2-イミダゾリジンチオンであり、
及び/又は(好ましくは「及び」)
- 1つ以上のイミダゾリジンチオン(D)、好ましくは2-イミダゾリジンチオンの総量は、洗浄組成物の総質量に基づいて、0.05質量%から10質量%の範囲、好ましくは0.1質量%から5質量%の範囲、より好ましくは0.5質量%から2質量%の範囲である。
【0056】
本発明による洗浄組成物、又は以下に定義される本発明によるウェットエッチング組成物において、前記の、又は少なくとも1つのイミダゾリジンチオン(D)は2-イミダゾリジンチオンであり、これは、本発明による好ましい洗浄組成物又はウェットエッチング組成物を結果として得るため、洗浄組成物の他の成分又は好ましい成分又はそれらの混合物のいずれかと組み合わせることができ、すなわち、スルホン酸(A)又はそれらの混合物のいずれか、極性の非プロトン性有機溶媒(B)又はそれらの混合物のいずれか、及び/又はグリコールエーテル(C)、及び/又は(該当する場合)腐食防止剤(F)のいずれかと組み合わせることができる。
【0057】
さらに、本明細書で定義される本発明による洗浄組成物(又は、好ましいとして上記又は以下に記載される本発明による洗浄組成物)が特に好ましく、以下を含むかそれらからなる(好ましくはそれらからなる):
(A)メタンスルホン酸であって、洗浄組成物の総質量に基づいて、好ましくは0.01質量%から10質量%の範囲、好ましくは0.05質量%から5質量%の範囲、より好ましくは0.1質量%から1質量%の範囲の総量である、メタンスルホン酸、
(B)スルホランであって、洗浄組成物の総質量に基づいて、好ましくは1質量%から25質量%の範囲、好ましくは2.5質量%から25質量%の範囲、より好ましくは5質量%から15質量%の範囲の総量である、スルホラン、
(C)ブチルジグリコールであって、好ましくは、洗浄組成物の総質量に基づいて、好ましくは10質量%から50質量%の範囲、好ましくは15質量%から45質量%の範囲、より好ましくは20質量%から40質量%の範囲の総量である、ブチルジグリコール、
(D)2-イミダゾリジンチオンであって、洗浄組成物の総質量に基づいて、好ましくは0.05質量%から10質量%、好ましくは0.1質量%から5質量%、より好ましくは0.5質量%から2質量%の範囲の総量である、2-イミダゾリジンチオン
及び
(E)水、好ましくはそれぞれの場合に洗浄組成物の合計100質量%に対する残りである、水、
それは、好ましくは1から4の範囲、より好ましくは1から3の範囲、さらにより好ましくは1から2の範囲のpHを有している。
【0058】
本発明の特に好ましい態様において、本発明による洗浄組成物(又は、好ましいとして上記又は以下に記載される本発明による洗浄組成物)は、以下でより詳細に定義されるように、本発明によるそれぞれのウェットエッチング組成物を調製するのに適しており、意図されている。
【0059】
本発明はまた、本明細書で定義される本発明による洗浄組成物の以下のための使用(又は、好ましいとして本明細書に記載される本発明による洗浄組成物の以下のための使用)にも関する:
- 好ましくはタングステン材料及び/又はLow-k材料を含む半導体基板の表面から、ポスト-エッチング又はポスト-アッシングの残渣を除去するため、
ここで、ポスト-エッチング又はポスト-アッシングの残渣は、好ましくは1つ以上の有機化合物、好ましくはフッ素を含むか含まない(好ましくはフッ素を含む)有機ポリマーを含み、
及び/又は
- 半導体基板、好ましくはタングステン材料及び/又はLow-k材料を含む半導体基板の表面を、好ましくは1つ以上の基板層をエッチングする工程の後に、洗浄するため、
ここで、前にエッチングされた1つ以上の基板層が、層間絶縁層及びLow-k材料層からなる群から好ましくは選択され;
及び/又は
- タングステン材料やLow-k材料を含む半導体基板の表面から残渣や汚染物質を除去するため、
ここで、残渣や汚染物質は、好ましくは、有機化合物、好ましくはフッ素を含むか含まない(好ましくはフッ素を含む)有機ポリマーを含み、又はそれからなる。
【0060】
一般に、本発明による洗浄組成物の関連でここで説明された本発明の全ての態様は、上記及び以下で定義される本発明による前記洗浄組成物の使用に、必要な変更を加えて適用される。逆に、本発明による前記洗浄組成物の使用の関連でここで説明された本発明の全ての態様は、本発明の洗浄組成物に、必要な変更を加えて適用される。
【0061】
本発明はまた、半導体基板から半導体デバイスを製造するための第1の方法にも関し、以下の工程:
- 上記で定義された洗浄組成物(又は上記で好ましいとして定義された洗浄組成物)を提供する工程、
及び
- そのように提供された洗浄組成物を、好ましくはタングステン材料及び/又はLow-k材料を含む半導体基板の表面と、好ましくは1つ以上の基板層をエッチング及び/又はアッシングする工程の後に、以下のように、少なくとも1回接触させる工程、
- 半導体基板の表面からポスト-エッチング又はポスト-アッシングの残渣を除去するように、
ここで、ポスト-エッチング又はポスト-アッシングの残渣は、好ましくは1つ以上の有機化合物、好ましくは、フッ素を含むか含まない(好ましくはフッ素を含む)有機ポリマーを含む、
及び/又は
- 半導体基板、好ましくは半導体基板の表面を洗浄するように、
ここで、前にエッチングされた1つ以上の基板層は、好ましくは、層間絶縁層及びLow-k材料層からなる群から選択される、
そして、好ましくは、
- 半導体デバイス、より好ましくは洗浄された半導体デバイスを得るように、追加の後続工程を実行する工程、
を含む。
【0062】
一般に、本発明による洗浄組成物及び本発明による洗浄組成物の使用の関連でここで説明された本発明の全ての態様は、上記及び以下で定義される本発明による半導体デバイスの製造のための第1の方法に、必要な変更を加えて適用される。逆に、半導体デバイスの製造のための第1の方法の関連でここで説明された本発明の全ての態様は、本発明による洗浄組成物及び本発明による洗浄組成物の使用に、必要な変更を加えて適用される。
【0063】
特に好ましい態様では、本発明はまた、ここで定義される本発明による洗浄組成物の使用(又は、好ましいとしてここに記載される本発明による洗浄組成物の使用)を、1つ以上の酸化剤:
- 半導体基板の表面のTiNを含むかTiNからなる層又はマスクを、好ましくはタングステン材料及び/又はLow-k材料の存在下で、酸化エッチング又は部分的に酸化エッチングするための;
及び/又は
- 半導体基板の表面のTiNを含むかTiNからなる層又はマスクを、好ましくはタングステン材料及び/又はLow-k材料の存在下で、除去又は部分的に除去するための;
及び/又は
- 半導体基板の表面のTiNを含むかTiNからなる層又はマスクを、好ましくはタングステン材料及び/又はLow-k材料の存在下で、凹ませるための;
及び/又は
- 半導体基板の表面のTiNを含むかTiNからなる層又はマスクを、好ましくはタングステン材料及び/又はLow-k材料の存在下で、プルバックするための;
及び/又は
- 好ましくはタングステン材料及び/又はLow-k材料を含む半導体基板の表面からポスト-エッチング又はポスト-アッシングの残渣を除去するための;
ここで、ポスト-エッチング又はポスト-アッシングの残渣は、好ましくは:
- 有機化合物、好ましくは、フッ素を含むか含まない(好ましくはフッ素を含む)有機ポリマー、
- 金属有機錯体、と
- 金属材料、好ましくはチタン及び/又はチタンの酸化物及び/又はチタンの窒化物、
を含むかそれらからなる群から選択される1つ以上の残渣を含む、
及び/又は
- 半導体基板、好ましくはタングステン材料及び/又はLow-k材料を含む半導体基板の表面を、好ましくは1つ以上の基板層をエッチングする工程の後で、洗浄するための、
ここで、前にエッチングされた1つ以上の基板層が、エッチングマスク層、好ましくは、TiNを含むかTiNからなるエッチングマスク層;層間絶縁層及びLow-k材料層からなる群から選択される;
及び/又は
- タングステン材料及び/又はLow-k材料を含む半導体基板の表面から残渣及び汚染物質を除去するための、
ここで、残渣及び汚染物質は、好ましくは:
- フッ素を含むか含まない(好ましくはフッ素を含む)有機化合物、
- 金属有機錯体、及び
- 金属材料、好ましくはチタン及び/又はチタン酸化物及び/又はチタン窒化物、
を含むかそれらからなる群から選択される、
酸化剤と組み合わせて使用することに関する。
【0064】
一般に、本発明による洗浄組成物、本発明による洗浄組成物の使用、及び本発明の洗浄組成物を含む半導体デバイスを製造するための第1の方法の関連でここで説明された本発明の全ての態様は、上記及び以下で定義される本発明による1つ以上の酸化剤を組み合わせた前記洗浄組成物の使用に、必要な変更を加えて適用される。逆に、本発明による1つ以上の酸化剤を組み合わせた前記洗浄組成物の使用の関連でここで説明された本発明の全ての態様は、本発明の洗浄組成物、本発明による前記洗浄組成物の使用及び本発明の洗浄組成物を含む半導体デバイスを製造するための第1の方法に、必要な変更を加えて適用される。
【0065】
ここで定義された本発明による1つ以上の酸化剤を組み合わせた洗浄組成物の使用が好ましく:ここで、
- 洗浄組成物は、別個の工程で又は同時に同じ工程で、好ましくは同時に同じ工程で、1つ以上の酸化剤を組み合わせて使用され;
及び/又は
- 1つ以上の酸化剤は、過酸化水素、過酸化物尿素、ペルオキシ二硫酸、過硫酸アンモニウム、ペルオキソ一硫酸、ピロ硫酸、オゾン、及びそれらの混合物からなる群から選択され、好ましくは、1つ以上の酸化剤のうちの1つは過酸化水素であり;
及び/又は
- 1つ以上の酸化剤、好ましくは過酸化水素は、洗浄組成物の総質量に基づいて、好ましくは0.3質量%から10質量%の範囲、好ましくは0.5質量%から5.0質量%の範囲、より好ましくは0.6質量%から4.0質量%の範囲、さらにより好ましくは0.75質量%から3質量%の範囲、さらになおより好ましくは0.8質量%から2.5質量%の範囲の総量で使用され;
及び/又は
- 1つ以上の安定剤は、1つ以上の酸化剤と組み合わせて、及び/又は、好ましくはアミン-N-オキシド、好ましくはN-メチルモルホリン-N-オキシド及びピリジン-N-オキシド;クエン酸;1-ヒドロキシエタン1,1-ジホスホン酸;グリコール酸;乳酸;ヒドロキシ酪酸;グリセリン酸;リンゴ酸;酒石酸;マロン酸;コハク酸;グルタル酸;マレイン酸及びそれらの混合物からなる群から選択される洗浄組成物と組み合わせて使用される。
【0066】
1つ以上の安定剤は、単独で又は組み合わせて使用することができる。本発明による洗浄組成物の使用において、N-メチルモルホリン-N-オキシド及び1-ヒドロキシエタン1,1-ジホスホン酸(HEDP)は、1つ以上の酸化剤と組み合わせて及び/又は洗浄組成物と組み合わせて使用するための好ましい安定剤である。
【0067】
上記で特定され、及び、本発明の洗浄組成物と組み合わせて使用される、1つ以上の酸化剤、好ましくは過酸化水素の「質量%」の単位での総量は、いずれの場合も、純粋な未希釈の酸化剤の質量%を指す(例:100%過酸化水素)。
【0068】
ここで定義される本発明による洗浄組成物を1つ以上の酸化剤と組み合わせて使用すること(又は、好ましいとしてここに記載される本発明による洗浄組成物の使用)は、半導体基板の表面の、TiNを含むかTiNからなる層又はマスクの、タングステン材料及び/又はLow-k材料の存在下での、選択的な酸化エッチング、特に選択的な部分酸化エッチングに特に適していることは、特に驚くべきことだった。前記1つ以上の酸化剤と組み合わせた前記洗浄組成物の使用は、一方ではTiN、例えば層又はマスクにおける、典型的にはTiNを含むかTiNからなるエッチングマスク、他方では導電性金属、特にタングステン、及び同様に半導体基板の表面に存在するLow-k材料、の非常にバランスのとれたエッチング速度比を示すか、又は可能にすることが見出された。そのようなバランスのとれた比率は、タングステン材料及び/又はLow-k材料の存在下で、TiNを含むかTiNからなる層又はマスクを非常に選択的に酸化エッチングするか、又は部分的に酸化エッチングすることを可能にし、かつ、タングステン材料及び/又はLow-k材料を、エッチング又は損傷させないか、又は非常に低い程度にのみエッチング又は損傷させる。特に、前記1つ以上の酸化剤と組み合わせた前記洗浄組成物の使用は、TiNを含むかTiNからなる層又はマスクを所望の範囲まで選択的かつ正確に部分的にエッチングすることができ、すなわちタングステン材料及び/又はLow-k材料の存在下で、TiNを含むかTiNからなる層又はマスクを所望の範囲まで「プルバック」することができ、かつ、タングステン材料及び/又はLow-k材料を、損傷させないか、又は非常に低い程度にのみ損傷させる。
【0069】
本発明の別の驚くべき発見は、上記の、一方ではTiN、他方では導電性金属、特にタングステン及び/又はLow-k材料に対する、本発明による1つ以上の酸化剤と組み合わせて前記洗浄組成物を使用することから生じる非常にバランスのとれたエッチング速度比は、1つ以上のイミダゾリジンチオン(D)、特に2-イミダゾリジンチオンの使用によって有益に影響され、又は制御されることであった。理論に拘束されることを望まないが、1つ以上のイミダゾリジンチオン、特に2-イミダゾリジンチオンは、本発明の洗浄組成物及び/又は本発明のウェットエッチング組成物において、タングステン材料に対する特定の腐食防止剤として作用することが、現在のところ想定される。
【0070】
独自の実験において、タングステン材料の保護剤又は防食剤として1つ以上のイミダゾリジンチオン、特に2-イミダゾリジンチオンを含む本発明によるウェットエッチング組成物は、従来技術から知られている類似の組成物であって、1つ以上のイミダゾリジンチオン、特に2-イミダゾリジンチオンを含まないか、又は本発明の組成物とは異なるタングステン材料の保護剤又は防食剤のみを含む類似の組成物に比べて、タングステン材料(エッチングされてはならないか、又は著しく少ない程度にのみエッチングされる)の存在下で、TiNを含むかTiNからなる層又はマスクの、より選択的な酸化エッチング又は部分的な酸化エッチングを可能にするTiN対タングステンのエッチング速度の特に顕著な選択性を示すことが見出された。
【0071】
したがって、本発明はまた、
(W1)ここに定義される本発明による洗浄組成物(又は、好ましいとしてここに記載される本発明による洗浄組成物、すなわち、上記で定義される成分(A)から(E)を含むか又はそれらからなる洗浄組成物)
及び
(W2)好ましくは、過酸化水素、過酸化物尿素、ペルオキシ二硫酸、過硫酸アンモニウム、ペルオキソ一硫酸、ピロ硫酸、オゾン、及びそれらの混合物からなる群から選択される1つ以上の酸化剤;より好ましくは、前記1つ以上の酸化剤は過酸化水素であり、
好ましくは洗浄組成物の総質量に基づいて、好ましくは0.3質量%から10質量%の範囲、好ましくは0.5質量%から5.0質量%の範囲、より好ましくは0.6質量%から4.0質量%の範囲、さらにより好ましくは0.75質量%から3.0質量%の範囲、およぴ、さらになおより好ましくは0.8質量%から2.5質量%の範囲の総量であり、
好ましくは
- 半導体基板の表面の、TiNを含むかTiNからなる層又はマスクを、好ましくはタングステン材料及び/又はLow-k材料の存在下で、酸化エッチング又は部分酸化エッチングするための;
及び/又は
- 好ましくはタングステン材料及び/又はLow-k材料を含む半導体基板の表面から、ポスト-エッチング又はポスト-アッシングの残渣を除去するための、
ここで、ポスト-エッチング又はポスト-アッシングの残渣は、好ましくは、以下を含むか以下からなる群から選択される1つ以上の残渣を含む:
- フッ素を含むかフッ素を含まない有機化合物
- 金属有機錯体
- 金属材料、好ましくはチタン及び/又はチタン酸化物及び/又はチタン窒化物、
ウェットエッチング組成物に関する。
【0072】
一般に、本発明による洗浄組成物、本発明による洗浄組成物の使用、本発明の洗浄組成物を含む半導体デバイスを製造するための第1の方法及び本発明による1つ以上の酸化剤と組み合わせた前記洗浄組成物の使用の関連でここで説明される本発明の全ての態様は、上記及び以下で定義される本発明によるウェットエッチング組成物に、必要な変更を加えて適用される。逆に、本発明によるウェットエッチング組成物の関連でここで説明される本発明の全ての態様は、本発明による洗浄組成物、本発明による洗浄組成物の使用、本発明の洗浄組成物を含む半導体デバイスを製造するための第1の方法及び本発明による1つ以上の酸化剤と組み合わせた前記洗浄組成物の使用に、必要な変更を加えて適用される。
【0073】
1つ以上の酸化剤(W2)はまた、酸化剤組成物の形態で、例えば過酸化水素の水性組成物又は溶液の形態で、本発明のウェットエッチング組成物中に存在してもよく、又はそれに添加されてもよい。
【0074】
本発明によるウェットエッチング組成物の成分としての1つ以上のスルホン酸(A)、特にメタンスルホン酸は、同時に、存在するLow-k材料に対して有害でないか損傷しないか、許容できる低い程度のみ有害であるか損傷するかのように、タングステンと比較してTiNのエッチング速度選択性を制御し、酸化剤(例えば過酸化水素)を安定化し、pHを調整するのに特に適していることが見い出された。
【0075】
ここで定義される本発明によるウェットエッチング組成物(又は、好ましいとして上記又は以下に記載される本発明によるウェットエッチング組成物)が好ましく、該ウェットエッチング組成物は:
- 1から4の範囲、好ましくは1から3の範囲、より好ましくは1から2の範囲のpHを有し
及び/又は
さらに、
(W3)好ましくは以下からなる群から選択される1つ以上の安定剤を有する。
- アミン-N-オキシド、好ましくはN-メチルモルホリン-N-オキシド及びピリジン-N-オキシド;
- クエン酸;
- 1-ヒドロキシエタン1,1-ジホスホン酸;
- グリコール酸;
- 乳酸;
- ヒドロキシ酪酸;
- グリセリン酸;
- リンゴ酸;
- 酒石酸;
- マロン酸;
- コハク酸;
- グルタル酸;
- マレイン酸、及び、
- それらの混合物
ここで、ウェットエッチング組成物中に存在する1つ以上の安定剤の総量は、ウェットエッチング組成物の総質量に基づいて、好ましくは0.001質量%から0.5質量%の範囲、より好ましくは0.01質量%から0.1質量%の範囲及びより好ましくは0.01質量%から0.05質量%の範囲である。
【0076】
上記で定義された好ましいpHを有する本発明のウェットエッチング組成物は、低タングステンエッチング速度(タングステンのエッチング速度は低いpHでは低いことが知られている)と、存在する酸化剤の十分な活性との間の優れたバランスを示し、それは、ここに記載されるように、タングステン材料及び/又はLow-k材料の存在下で、TiNを含むかTiNからなる層又はマスクの選択的エッチングを可能にすることが見いだされた。
【0077】
本発明はさらに、ここに定義される本発明によるウェットエッチング組成物(又は、好ましいとして上記又は以下に記載される本発明による洗浄組成物)の使用に関し、
- 半導体基板の表面の、TiNを含むかTiNからなる層又はマスクを、好ましくはタングステン材料及び/又はLow-k材料の存在下で、酸化エッチング又は部分的に酸化エッチングするための;
及び/又は
- 半導体基板の表面の、TiNを含むかTiNからなる層又はマスクを、好ましくはタングステン材料及び/又はLow-k材料の存在下で、除去又は部分的に除去するための;
及び/又は
- 半導体基板の表面の、TiNを含むかTiNからなる層又はマスクを、好ましくはタングステン材料及び/又はLow-k材料の存在下で、凹ませるための;
及び/又は
- 半導体基板の表面の、TiNを含むかTiNからなる層又はマスクを、好ましくはタングステン材料及び/又はLow-k材料の存在下で、プルバックするための;
及び/又は
- 好ましくはタングステン材料及び/又はLow-k材料を含む半導体基板の表面から、ポスト-エッチング又はポスト-アッシングの残渣を除去するための;
ここで、ポスト-エッチング又はポスト-アッシングの残渣は、好ましくは:
- 有機化合物、好ましくはフッ素を含むか含まない(好ましくはフッ素を含む)有機ポリマー、
- 金属有機錯体、及び、
- 金属材料、好ましくはチタン及び/又はチタン酸化物及び/又はチタン窒化物、
を含むかそれらからなる群から選択される1つ以上の残渣を含む、
及び/又は
- 半導体基板、好ましくはタングステン材料及び/又はLow-k材料を含む半導体基板の表面を、好ましくは1つ以上の基板層をエッチングする工程の後に、洗浄するための、
ここで、前にエッチングされた1つ以上の基板層は、エッチングマスク層、好ましくは、TiNを含むかTiNからなるエッチングマスク層;層間絶縁層及びLow-k材料層からなる群から選択される;
及び/又は
- タングステン材料及び/又はLow-k材料を含む半導体基板の表面から残渣及び汚染物質を除去するための、
ここで、残渣及び汚染物質は、好ましくは:
- フッ素を含むか含まない(好ましくはフッ素を含む)有機化合物、
- 金属有機錯体、及び、
- 金属材料、好ましくはチタン及び/又はチタン酸化物及び/又はチタン窒化物、
を含むかそれらからなる群から選択される、
使用に関する。
【0078】
一般に、本発明による洗浄組成物、本発明による洗浄組成物の使用、本発明の洗浄組成物を含む半導体デバイスを製造するための第1の方法、本発明による1つ以上の酸化剤と組み合わせた前記洗浄組成物の使用及び本発明によるウェットエッチング組成物の関連でここで説明される本発明の全ての態様は、上記及び以下で定義される本発明によるウェットエッチング組成物に、必要な変更を加えて適用される。逆に、本発明によるウェットエッチング組成物の関連でここで説明される本発明の全ての態様は、本発明による洗浄組成物、本発明による洗浄組成物の使用、本発明の洗浄組成物を含む半導体デバイスを製造するための第1の方法、本発明による1つ以上の酸化剤と組み合わせた前記洗浄組成物の使用及び本発明によるウェットエッチング組成物に、必要な変更を加えて適用される。
【0079】
本発明のウェットエッチング組成物は、一方では酸化的にエッチングすること、特に、TiNを含むかTiNからなる層又はマスクを、タングステン材料及び/又はLow-k材料(タングステン材料及び/又はLow-k材料をエッチング又は損傷させないか、非常に低い程度にのみエッチング又は損傷させる)の存在下で、選択的及び/又は部分的に酸化エッチングすることに適しており、他方では、上記で定義されたように、半導体基板の表面から、ポスト-エッチング又はポスト-アッシングの残渣を除去することに非常に適していることが見出された。
【0080】
本発明はまた、半導体基板から半導体デバイスを製造するための第2の方法に関し、該第2の方法は、以下の工程:
- ここで定義される本発明による洗浄組成物(又は、好ましいとしてここに記載される本発明による洗浄組成物)を、1つ以上の酸化剤、好ましくは、過酸化水素、過酸化物尿素、ペルオキシ二硫酸、過硫酸アンモニウム、ペルオキソ一硫酸、ピロ硫酸、オゾン、及びそれらの混合物からなる群から選択される酸化剤;より好ましくは、1つ以上の酸化剤は過酸化水素である酸化剤と、ウェットエッチング組成物を得るように、混合する工程、
又は
- 上記で定義されたウェットエッチング組成物(又は好ましいものとして上記で定義されたウェットエッチング組成物)を提供する工程、
及び、
- そのように得られた又は提供されたウェットエッチング組成物を、半導体基板の表面の、TiNを含むかTiNからなる層又はマスクと、好ましくはタングステン材料及び/又はLow-k材料の存在下で、
- 前記層又はマスクを選択的に酸化エッチングするか、又は部分的に酸化エッチングするように、
及び/又は
- 前記半導体基板の表面からポスト-エッチング又はポスト-アッシングの残渣を除去するように、
ここで、ポスト-エッチング又はポスト-アッシングの残渣は、好ましくは:
- 有機化合物、好ましくはフッ素を含むか含まない(好ましくはフッ素を含む)有機ポリマー、
- 金属有機錯体、及び、
- 金属材料、好ましくはチタン及び/又はチタン酸化物及び/又はチタン窒化物、
を含むかそれらからなる群から選択される1つ以上の残渣を含む、
少なくとも1回接触させる工程、を含む。
【0081】
一般に、本発明による洗浄組成物、本発明による洗浄組成物の使用、本発明の洗浄組成物を含む半導体デバイスを製造するための第1の方法、本発明による1つ以上の酸化剤と組み合わせた洗浄組成物の使用、本発明によるウェットエッチング組成物及び本発明によるウェットエッチング組成物の使用の関連でここで説明される本発明の全ての態様は、ここで定義される本発明による半導体デバイスの製造のための第2の方法に、必要な変更を加えて適用される。逆に、本発明による半導体デバイスの製造のための第2の方法に関連してここで論じられる本発明の全ての態様は、本発明による洗浄組成物、本発明による洗浄組成物の使用、本発明の洗浄組成物を含む半導体デバイスを製造するための第1の方法、本発明による1つ以上の酸化剤と組み合わせた前記洗浄組成物の使用、本発明によるウェットエッチング組成物及び本発明によるウェットエッチング組成物の使用に、必要な変更を加えて適用される。
【0082】
本発明による半導体デバイスを製造するための第2の方法の好ましい変形では、本発明のウェットエッチング組成物を得るための、洗浄組成物と1つ以上の酸化剤の混合は、TiNを含むかTiNからなる層又はマスクを本発明によるウェットエッチング組成物と接触させる前に、行われる。本発明の1つの好ましい変形において、本発明によるウェットエッチング組成物を調製するための洗浄組成物と1つ以上の酸化剤の混合は、そのように得られたTiNを含むかTiNからなる層又はマスクをウェットエッチング組成物と接触させる直前に又は直接に行われる。
【0083】
本発明による半導体デバイスを製造するための第2の方法の変形では、本発明のウェットエッチング組成物を得るための洗浄組成物と1つ以上の酸化剤の混合は、半導体デバイスを製造するための半導体基板を処理するための1つ以上のツールで、好ましくは適切なプロセス温度で行われる。
【0084】
本発明による半導体基板から半導体デバイスを製造するための第2の方法は、したがって、TiNを含むかTiNからなる層又はマスクをウェットエッチング組成物に接触させる工程が、25℃から65℃の範囲内の温度、好ましくは30℃から60℃の範囲内の温度、より好ましくは35℃から58℃の範囲内の温度で行われることが好ましい。
【0085】
本発明の特に好ましい態様では、本発明によるウェットエッチング組成物(又は、好ましいとしてここに記載される本発明によるウェットエッチング組成物)は、上記で定義される半導体基板から半導体デバイスを製造するための第2の方法での使用又は適用に適し、意図されている。
【0086】
より具体的な態様では、本発明はキット、好ましくは、半導体基板の表面からのポスト-エッチング又はポスト-アッシングの残渣の除去のため、及び/又は、半導体基板の表面の、TiNを含むかTiNからなる層又はマスクを、好ましくはタングステン材料及び/又はLow-k材料の存在下で、酸化エッチング又は部分的に酸化エッチングするための、キットであって、別個の成分として:
(K1) ここに定義される本発明による洗浄組成物(又は、好ましいとしてここに記載される本発明による洗浄組成物、すなわち、上記で定義される成分(A)から(E)を含むか又はそれらからなる洗浄組成物)
及び
(K2) 好ましくは、過酸化水素、過酸化物尿素、ペルオキシ二硫酸、過硫酸アンモニウム、ペルオキソ一硫酸、ピロ硫酸、オゾン、及びそれらの混合物からなる群から選択される1つ以上の酸化剤;より好ましくは、1つ以上の酸化剤は過酸化水素である、
を含み、
さらに任意で、別個の成分として、又は成分(K1)及び/又は成分(K2)と組み合わせて以下の:
(K3) 好ましくはアミン-N-オキシド、好ましくはN-メチルモルホリン-N-オキシド及びピリジン-N-オキシド;クエン酸;1-ヒドロキシエタン1,1-ジホスホン酸;グリコール酸;乳酸;ヒドロキシ酪酸;グリセリン酸;リンゴ酸;酒石酸;マロン酸;コハク酸;グルタル酸;マレイン酸及びそれらの混合物からなる群から選択される1つ又は複数の安定剤、
を含む、キットに関する。
【0087】
一般に、本発明による洗浄組成物、本発明による洗浄組成物の使用、本発明の洗浄組成物を含む半導体デバイスを製造するための第1の方法、本発明による1つ以上の酸化剤と組み合わせた洗浄組成物の使用、本発明によるウェットエッチング組成物、本発明によるウェットエッチング組成物の使用及び本発明による半導体デバイスの製造のための第2の方法の関連でここで説明される本発明の全ての態様は、ここで定義される本発明によるキットに、必要な変更を加えて適用される。逆に、本発明によるキットに関連してここで論じられる本発明の全ての態様は、本発明による洗浄組成物、本発明による洗浄組成物の使用、本発明の洗浄組成物を含む半導体デバイスを製造するための第1の方法、本発明による1つ以上の酸化剤と組み合わせた前記洗浄組成物の使用、本発明によるウェットエッチング組成物、本発明によるウェットエッチング組成物の使用及び本発明による半導体デバイスの製造のための第2の方法に、必要な変更を加えて適用される。
【0088】
本発明の特に好ましい態様では、本発明によるキットは、上記で定義されている本発明によるそれぞれのウェットエッチング組成物の調製に適し、意図されている。
【0089】
本発明の別の特に好ましい態様では、本発明によるキット及びそれから調製されるウェットエッチング組成物は、上記で定義されている本発明による半導体基板からの半導体デバイスの製造のための第2の方法での使用又は適用に、適しており意図されている。
【0090】
前記1つ以上の酸化剤(K2)は、単独で、又は互いに組み合わせて使用することができる。前記1つ以上の酸化剤はまた、酸化剤組成物の形態で、例えば過酸化水素の水性組成物又は溶液の形態で、本発明のキットに存在にしてもよい。
【0091】
別の態様では、本発明はまた、半導体基板の表面の層又はマスクを、タングステン材料及び/又はLow-k材料の存在下で、エッチング又は部分エッチングするための、及び/又は半導体基板の洗浄のための組成物におけるイミダゾリジンチオン、好ましくは2-イミダゾリジンチオンの使用に関し、
好ましくは
前記使用は腐食防止剤又は保護剤としての使用であり、
及び/又は
前記洗浄は、半導体基板の表面からのポスト-エッチング又はポスト-アッシングの残渣の除去を含み、
及び/又は
前記層又はマスクはTiNを含むかTiNからなり、
及び/又は
前記組成物は、1つ以上の酸化剤を含む。
【0092】
一般に、本発明による洗浄組成物、本発明による洗浄組成物の使用、本発明の洗浄組成物を含む半導体デバイスを製造するための第1の方法、本発明による1つ以上の酸化剤と組み合わせた洗浄組成物の使用、本発明によるウェットエッチング組成物、本発明によるウェットエッチング組成物の使用、本発明による半導体デバイスの製造のための第2の方法及び本発明によるキットの関連でここで説明される本発明の全ての態様は、ここで定義される本発明による層又はマスクのエッチング又は部分エッチングのための、及び/又は本発明による半導体基板の洗浄のための組成物における2-イミダゾリジンチオンの使用に、必要な変更を加えて適用される。逆に、層又はマスクのエッチング又は部分エッチングのための、及び/又は半導体基板の洗浄のための組成物における2-イミダゾリジンチオンの使用に関連してここで論じられる本発明の全ての態様は、本発明による洗浄組成物、本発明による洗浄組成物の使用、本発明の洗浄組成物を含む半導体デバイスを製造するための第1の方法、本発明による1つ以上の酸化剤と組み合わせた前記洗浄組成物の使用、本発明によるウェットエッチング組成物、本発明によるウェットエッチング組成物の使用、及び本発明による半導体デバイスの製造のための第2の方法に、必要な変更を加えて適用される。
【実施例】
【0093】
以下の実施例は、その範囲を限定することなく、本発明をさらに説明することを意図している。実施例のセクションでは、次の略語が使用されている。
2-IMT:2-イミダゾリジンチオン(CAS RN 96-45-7)
2-IAD:2-イミダゾリジノン半水和物(CAS RN 121325-67-5)
MSA:メチルスルホン酸
BDG:ブチルジグリコール
DMSO:ジメチルスルホキシド
TMAF:テトラメチルフッ化アンモニウム
TMAH:テトラメチルアンモニウムヒドロキシド
EDTMPA:エチレンジアミンテトラ(メチレンホスホン酸)
DMU:ジメチロール尿素(CAS RN 140-95-4)
n.a.:データなし
n.d.:未定
【実施例1】
【0094】
本発明による洗浄組成物及び比較洗浄組成物(本発明によるものではない)の調製
本発明による以下の洗浄組成物(CCI1からCCI7)は、それぞれの場合に成分(A)から(X)を混合することによって調製された。詳細を以下の表1に示す。成分(A)から(F)の表示は、上記で定義された成分の表示に対応する。「(X)」で識別される成分は、成分(A)から(F)の定義のいずれにも含まれない成分である。
【0095】
【0096】
加えて、以下の表2により詳細に示されるように、比較の洗浄組成物(本発明によるものではない、すなわち、組成物CCC1からCCC3)も同様の方法で調製された。
【0097】
【実施例2】
【0098】
本発明によるウェットエッチング組成物の調製及び比較ウェットエッチング組成物(本発明によるものではない)の調製
本発明による以下のウェットエッチング組成物(WEI1aからWEI7)は、それぞれの場合に本発明のCCI1からCCI7(実施例1を参照)の洗浄組成物を、以下の表3に示す最終濃度又は質量比を得るのに十分な量で、過酸化水素(H2O2、水中30質量%)と混合することによって調製され、ここで、それぞれの場合の「質量%H2O2」は、所定のウェットエッチング組成物を調製するのに使用された洗浄組成物(CCI1からCCI7)それぞれの総質量に関連して示され、それぞれの場合の「質量%H2O2」は、それぞれのウェットエッチング組成物中に存在する純粋な(希釈されていない)過酸化水素の量又は濃度を表す。
【0099】
【0100】
さらに、以下の表4により詳細に示されるように、比較ウェットエッチング組成物(本発明によるものではない、すなわち、組成物WEC1からWEC3)も同様の方法で調製された。
【0101】
【実施例3】
【0102】
エッチング速度の測定-パート1
実施例2からの本発明のウェットエッチング組成物のタングステン及びTiNの層のエッチング速度は、文献WO2015/173730A1に記載された方法に従って、又は類似の方法で決定された。ウェットエッチング組成物は、エッチング速度実験が行われる直前に、それぞれの洗浄組成物を特定された量の過酸化水素と混合することによって調製された。
【0103】
タングステン又はTiNの層を備えたSiテストウェハは、適切な商用ソースから選択され、より小さなクーポンに分割された。次に、層の厚さ及びエッチング速度を、それ自体知られている方法で蛍光X線分析(XRF)によって測定した。XRFは、薄層の厚さの非接触及び非破壊測定、及びそれらの化学組成の決定に適している。このタイプの測定では、X線源と検出器はサンプルの同じ側に配置される。基板の層がX線に曝されると、放射線は、十分に薄い場合、厚さに応じてある程度まで層を透過し、続いて下地の基板の材料で特徴的な蛍光放射を引き起こす。検出器に向かう途中で、この蛍光放射は層での吸収によって減衰される。層の厚さは、基板材料の蛍光放射の強度減衰に基づいて決定することができる。
【0104】
該当する材料の初期膜厚又は層厚を決定するために、サプライヤから報告された層厚に基づいて、元のウェハ用にXRFレシピが作成され、透過型電子顕微鏡(TEM)断面で検証された。
【0105】
ウェットエッチング組成物を次に、試験温度(以下の表5に指定されているように)に昇温し、機械的に攪拌した。ウェハクーポンを機械的ホルダーに固定し、ビーカー内で約10分間ウェットエッチング組成物と接触させた。続いて、クーポンをウェットエッチング組成物から取り出し、超純水又はイソプロピルアルコール又は超純水とイソプロピルアルコールの混合物で約1分間洗浄した。その後、クーポンを窒素ガスで乾燥させた。エッチング後の層(タングステン又はTiN)の残留厚さを上記のように再度測定し、エッチング速度をそれぞれの場合に通常通り計算した。
【0106】
例えば、試験ウェハのタングステン層の初期厚さが33nmであり、試験組成物(すなわち、本発明によるウェットエッチング組成物又は比較ウェットエッチング組成物)との接触後の試験ウェハ上のタングステン層の厚さが30nmであり、反応時間(すなわち、ウェハクーポンと試験組成物の接触時間が10分であった場合、タングステンのエッチング速度は次のように計算された。
【0107】
タングステンエッチング速度(仮定)=(33-30)/10nm/分=0.3nm/分
【0108】
このテストの結果を以下の表5に示す。
【0109】
【0110】
表5の結果から、(WEI1aと比較した場合のウェットエッチング組成物WEI2中の)2-イミダゾリジンチオンの量を増加させると、TiNのエッチング速度に影響が少ない一方で、エッチングに対するタングステンの保護が改善されることが分かる。したがって、事実上、W/TiNのエッチング速度比が減少することでタングステンの存在下でのTiNのより選択的なエッチングが可能になる。酸化剤(過酸化水素)の単なる増加は、タングステンの存在下でのTiNの選択的エッチングを可能にしない(組成物WEI1a対WEI1bを参照)。ウェットエッチング組成物WEI2は、試験された全てのウェットエッチング組成物の中で最良のエッチング速度W/TiNを示し、したがって、タングステン材料の存在下で、TiNを含むか又はTiNからなる層又はマスクを選択的にエッチングするのに最も適しており、それにより、タングステン材料は、エッチング又は損傷を受けないか、又は非常に低い程度にのみエッチング又は損傷を受ける。
【0111】
さらに、タングステン及びTiNのエッチング速度は、実施例2からの比較ウェットエッチング組成物WEC1及びWEC2(本発明によるものではない)の上記と同様の方法で決定された(試験温度は、以下の表6に指定された通りであった)。このテストの結果を以下の表6に示す。
【0112】
【0113】
表6の結果から、代替の腐食防止剤又は保護剤を用いた比較ウェットエッチング組成物は、TiNのより高いエッチング速度を可能にするために、W/TiNのエッチング速度比を改善するのに適していなかったか、又は本発明のウェットエッチング組成物ほど適しておらず、同時に存在するタングステン材料に非常に低い程度に損傷を与えるだけだったことが分かる。
【実施例4】
【0114】
エッチング速度の測定-パート2
実施例3で説明したような同様の実験において、実施例2からの本発明のウェットエッチング組成物及び実施例2からの比較ウェットエッチング組成物(本発明によるものではない)のタングステン及びTiNの層のエッチング速度は、上記の実施例3に記載された方法に従って、又は類似の方法により、別の商用供給源からの異なるセットのSiウェハ上で測定された。
【0115】
比較性を向上させるために、W/TiNエッチング速度のエッチング速度比をそれぞれの場合に決定し、従来技術から知られているタイプの比較ウェットエッチング組成物WEC3のW/TiNエッチング速度比との関係で示された。したがって、この実施例4の試験方法の結果を表示するために、比較ウェットエッチング組成物WEC3のW/TiNエッチング速度比を「1」に設定(正規化)する。この実施例4の全ての試験は、55℃の温度で実施された。この試験の結果を以下の表7に示す。
【0116】
【0117】
表7の結果から、本発明の全てのウェットエッチング組成物は、タングステンに関連してTiNに対してより優れたエッチング速度選択性を示し、すなわち、本発明の全てのウェットエッチング組成物のエッチング速度比W/TiNは、従来技術の比較ウェットエッチング組成物のエッチング速度比よりも低かったため、本発明のウェットエッチング組成物を用いて、タングステン材料の存在下で、TiNからなる層又はマスクのより選択的なエッチングを行うことができ、それにより、タングステン材料は、エッチング又は損傷を受けないか、又は非常に低い程度にのみエッチング又は損傷を受ける。ウェットエッチング組成物WEI2は、テストした全てのウェットエッチング組成物の中で、最良のエッチング速度比W/TiNを示した。
【0118】
さらに、表7のデータからウェットエッチング組成物に2-イミダゾリジンチオンを単独で使用すると、2-イミダゾリジノン単独(例えば比較組成物WEC3を参照)よりも、あるいは2-イミダゾリジンチオンと2-イミダゾリジノンの混合物(例えば組成物WEI4からWEI7を参照)よりも、タングステン材料(例えばウェットエッチング組成物WEI2を参照)対TiN材料に対してより強力な保護効果を有することが分かる。2-イミダゾリジノンの量を増加すると、W/TiNエッチング速度比をある程度まで改善することができるが、より多くの量の2-イミダゾリジノンによってそれ以上は増加しない閾値(組成物WEI6及びWEI7を参照)までしか改善しない。前記閾値は、2-イミダゾリジンチオン単独で使用する組成物のそれぞれの値よりも依然として高く、すなわち、2-イミダゾリジンチオンを単独で(すなわち、唯一の腐食防止剤又は保護剤として)含むウェットエッチング組成物は、2-イミダゾリジンチオンではなく、代替の腐食防止剤又は保護剤のみを含む組成物よりも、TiN対Wに対するより選択的なエッチング速度を有する。2-イミダゾリジンチオンを単独で(すなわち、唯一の腐食防止剤又は保護剤として)含むウェットエッチング組成物は、他の/代替の腐食防止剤又は保護剤と組み合わせて2-イミダゾリジンチオンを含む組成物よりも、TiN対Wに対するより選択的なエッチング速度を有する。この知見の理由は、代替の腐食防止剤又は保護剤(例えばウェットエッチング組成物WEI3からWEI7で使用されるような)が、イミダゾリジンチオン、具体的に2-イミダゾリジンチオンよりも、組成物のTiNエッチング速度に対してより強い(望ましくない)抑制効果を有することにあるかもしれない。