(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-14
(45)【発行日】2023-12-22
(54)【発明の名称】変性共役ジエン系重合体、およびそれを含むゴム組成物
(51)【国際特許分類】
C08L 15/00 20060101AFI20231215BHJP
C08C 19/25 20060101ALI20231215BHJP
C08K 3/013 20180101ALI20231215BHJP
C08K 3/04 20060101ALI20231215BHJP
C08K 3/36 20060101ALI20231215BHJP
【FI】
C08L15/00
C08C19/25
C08K3/013
C08K3/04
C08K3/36
(21)【出願番号】P 2021078447
(22)【出願日】2021-05-06
(62)【分割の表示】P 2019536279の分割
【原出願日】2017-12-08
【審査請求日】2021-05-06
(31)【優先権主張番号】10-2017-0000750
(32)【優先日】2017-01-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(31)【優先権主張番号】10-2017-0097190
(32)【優先日】2017-07-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】500239823
【氏名又は名称】エルジー・ケム・リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110000040
【氏名又は名称】弁理士法人池内アンドパートナーズ
(72)【発明者】
【氏名】イ、ホ-ヨン
(72)【発明者】
【氏名】ソン、キ-ソク
(72)【発明者】
【氏名】チェ、タ-ウォン
(72)【発明者】
【氏名】キム、ノ-マ
(72)【発明者】
【氏名】キム、ソン-クン
(72)【発明者】
【氏名】ナ、ユク-ヨル
(72)【発明者】
【氏名】イ、ヒョン-ウ
(72)【発明者】
【氏名】チェ、フン-ヨル
【審査官】宮内 弘剛
(56)【参考文献】
【文献】特表2016-527372(JP,A)
【文献】特開2014-122357(JP,A)
【文献】特表2017-538788(JP,A)
【文献】特開2004-018795(JP,A)
【文献】特開2000-204129(JP,A)
【文献】国際公開第03/029299(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C08C 19/25
C08F
C08K
C08L
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
変性共役ジエン系重合体と、充填剤と、を含み、
前記変性共役ジエン系重合体は、
ゲル浸透クロマトグラフィ(GPC、Gel permeation chromatography)による分子量分布曲線が単峰形(unimodal)を有し、
分子量分布(PDI;MWD)が1.0以上1.7未満であり、
Siの含量が重量基準で100ppm以上である、
芳香族ビニル系単量体由来の繰り返し単位を含まず、共役ジエン系単量体由来の繰り返し単位を含む単独重合体であり、アルコキシシラン系変性剤由来の官能基とを含むゴム組成物であって、
前記アルコキシシラン系変性剤は、化学式1で表される化合物、化学式2で表される化合物、化学式3で表される化合物、化学式4で表される化合物、化学式5で表される化合物、化学式6で表される化合物、または化学式7で表される化合物であるゴム組成物。
【化1】
[前記化学式1中、
R
1は、単結合、または炭素数1~10のアルキレン基であり、
R
2およびR
3は、それぞれ独立して、炭素数1~10のアルキル基であり、
R
4は、炭素数1~10のアルキル基、または炭素数2~10のヘテロ環基であり、
R
21は、単結合、炭素数1~10のアルキレン基、または‐[R
42O]
j‐であり、
R
42は、炭素数1~10のアルキレン基であり、
aおよびmは、それぞれ独立して、1~3から選択される整数であり、nは0、1、または、2の整数であり、jは1~30から選択される整数である。]
【化2】
[前記化学式2中、
R
5、R
6、およびR
9は、それぞれ独立して、炭素数1~10のアルキレン基であり、
R
7、R
8、R
10、およびR
11は、それぞれ独立して、炭素数1~10のアルキル基であり、
R
12は、水素または炭素数1~10のアルキル基であり、
bおよびcは、それぞれ独立して、0、1、2、または3であって、b+c≧1であり、
Aは、
【化3】
または
【化4】
であり、この際、R
13、R
14、R
15、およびR
16は、それぞれ独立して、水素、または炭素数1~10のアルキル基である。]
【化5】
[前記化学式3中、
A
1およびA
2は、それぞれ独立して、酸素原子を含むかまたは含まない炭素数1~20の2価の炭化水素基であり、
R
17~R
20は、それぞれ独立して、炭素数1~20の1価の炭化水素基であり、
L
1~L
4は、それぞれ独立して、炭素数1~10のアルキル基で置換された2価、3価、または4価のアルキルシリル基、または炭素数1~20の1価の炭化水素基であるか、L
1およびL
2と、L
3およびL
4は、互いに連結されて炭素数1~5の環を形成してもよく、L
1およびL
2と、L
3およびL
4が互いに連結されて環を形成する場合、形成された環は、N、O、およびSからなる群から選択される1種以上のヘテロ原子を1個~3個含む。]
【化6】
[前記化学式4中、
R
22およびR
23は、それぞれ独立して、炭素数1~20のアルキレン基、または‐R
28[OR
29]
f‐であり、
R
24~R
27は、それぞれ独立して、炭素数1~20のアルキル基または炭素数6~20のアリール基であり、
R
28およびR
29は、それぞれ独立して、炭素数1~20のアルキレン基であり、
R
47およびR
48は、それぞれ独立して、炭素数1~6の2価の炭化水素基であり、
dおよびeは、それぞれ独立して、0、または1~3から選択される整数であって、d+eは1以上の整数であり、fは1~30の整数である。]
【化7】
[前記化学式5中、
R
30は、炭素数1~30の1価の炭化水素基であり、
R
31~R
33は、それぞれ独立して、炭素数1~10のアルキレン基であり、
R
34~R
37は、それぞれ独立して、炭素数1~10のアルキル基であり、
gおよびhは、それぞれ独立して、0、または1~3から選択される整数であって、g+hは1以上の整数である。]
【化8】
[前記化学式6中、
A
3およびA
4は、それぞれ独立して、1~10のアルキレン基であり、
R
38~R
41は、それぞれ独立して、炭素数1~10のアルキル基、または炭素数1~10のアルコキシ基であり、
iは1~30から選択される整数であってもよい。]
【化9】
[前記化学式7中、
R
43、R
45、およびR
46は、それぞれ独立して、炭素数1~10のアルキル基であり、
R
44は、炭素数1~10のアルキレン基であり、
kは1~4から選択される整数
であり、
lは2または3である。]
【請求項2】
前記変性共役ジエン系重合体は、数平均分子量(Mn)が1,000g/mol~2,000,000g/molであり、重量平均分子量(Mw)が1,000g/mol~3,000,000g/molである、請求項1に記載のゴム組成物。
【請求項3】
前記変性共役ジエン系重合体は、100℃でのムーニー粘度(Mooney viscosity)が30以上である、請求項1または2に記載のゴム組成物。
【請求項4】
前記変性共役ジエン系重合体100重量部に対して、0.1重量部~200重量部の充填剤を含む、請求項1~3のいずれか一項に記載のゴム組成物。
【請求項5】
前記充填剤がシリカ系充填剤またはカーボンブラック系充填剤である、請求項1~4のいずれか一項に記載のゴム組成物。
【請求項6】
100℃でのムーニー粘度(ML1+4、100℃)が59~74である、請求項1~5のいずれか一項に記載のゴム組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、2017年1月3日付けの韓国特許出願第10‐2017‐0000750号および2017年7月31日付けの韓国特許出願第10‐2017‐0097190号に基づく優先権の利益を主張し、該当韓国特許出願の文献に開示された全ての内容は、本明細書の一部として組み込まれる。
【0002】
本発明は、変性共役ジエン系重合体に関し、より詳細には、連続重合により製造され、加工性に優れながらも、分子量分布が狭くて優れた物性を有する変性共役ジエン系重合体、およびそれを含むゴム組成物に関する。
【背景技術】
【0003】
近年、自動車に対する低燃費化の要求に伴い、タイヤ用ゴム材料として、転がり抵抗が少なく、耐磨耗性、引張特性に優れるとともに、ウェットグリップ性で代表される調整安定性も兼備した共役ジエン系重合体が求められている。
【0004】
タイヤの転がり抵抗を減少させるための方法としては、加硫ゴムのヒステリシス損を小さくする方法が挙げられ、かかる加硫ゴムの評価指標としては、50℃~80℃の反発弾性、tanδ、グッドリッチ発熱などが用いられている。すなわち、前記温度での反発弾性が大きいか、tanδ、グッドリッチ発熱が小さいゴム材料が好ましい。
【0005】
ヒステリシス損の小さいゴム材料としては、天然ゴム、ポリイソプレンゴム、またはポリブタジエンゴムなどが知られているが、これらは、ウェットグリップ性が小さいという問題がある。そこで、近年、スチレン‐ブタジエンゴム(以下、SBRという)またはブタジエンゴム(以下、BRという)などの共役ジエン系重合体または共重合体が乳化重合や溶液重合により製造され、タイヤ用ゴムとして用いられている。中でも、乳化重合に比べて溶液重合が有する最も大きい利点は、ゴムの物性を規定するビニル構造の含量およびスチレンの含量を任意に調節することができ、カップリング(coupling)や変性(modification)などによって分子量および物性などが調節可能であるという点である。したがって、最終的に製造されたSBRやBRの構造の変化が容易であるとともに、鎖末端の結合や変性によって鎖末端の動きを減少させ、シリカまたはカーボンブラックなどの充填剤との結合力を増加させることができるため、溶液重合によるSBRがタイヤ用ゴム材料として多く用いられている。
【0006】
かかる溶液重合によるSBRがタイヤ用ゴム材料として用いられる場合、前記SBR中のビニルの含量を増加させることで、ゴムのガラス転移温度を上昇させることにより、走行抵抗および制動力などのようなタイヤに要求される物性を調節することができるだけでなく、ガラス転移温度を適宜調節することで、燃料消費を低減することができる。前記溶液重合によるSBRは、アニオン重合開始剤を用いて製造し、形成された重合体の鎖末端を種々の変性剤を用いて結合させたり、変性させたりして用いている。例えば、米国特許第4,397,994号には、一官能性開始剤であるアルキルリチウムを用いて、非極性溶媒下でスチレン‐ブタジエンを重合することで得られた重合体の鎖末端の活性アニオンを、スズ化合物などの結合剤を用いて結合させた技術が提示されている。
【0007】
一方、前記SBRまたはBRの重合は、回分式(batch)または連続式重合により行われるが、回分式重合による場合、製造された重合体の分子量分布が狭いため物性改善の面で利点があるが、生産性が低く、加工性に劣るという問題がある。また、連続式重合による場合、重合が連続的に行われるため生産性に優れ、加工性改善の面で利点があるが
、分子量分布が広いため物性に劣るという問題がある。そこで、SBRまたはBRの製造時に、生産性、加工性、および物性を同時に改善させるための研究が求められつつある状況である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、上記の従来技術の問題点を解決するためになされたものであって、連続式重合により製造され、加工性に優れながらも、引張特性などの物性に優れるとともに、粘弾性特性に優れた変性共役ジエン系重合体、およびそれを含むゴム組成物を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記の課題を解決するための本発明の一実施形態によると、本発明は、ゲル浸透クロマトグラフィ(GPC、Gel permeation chromatography)による分子量分布曲線が単峰形(unimodal)を有し、分子量分布(PDI;MWD)が1.7未満であり、Siの含量が重量基準で100ppm以上である変性共役ジエン系重合体を提供する。
【0010】
また、本発明は、前記変性共役ジエン系重合体および充填剤を含むゴム組成物を提供する。
【発明の効果】
【0011】
本発明による変性共役ジエン系重合体は、連続式重合により製造されるため、加工性に優れながらも、回分式重合により製造された変性共役ジエン系重合体と同等以上のレベルの狭い分子量分布を有することで、引張特性などの物性に優れるとともに、粘弾性特性に優れるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0012】
本明細書に添付の次の図面は、本発明の好ましい実施形態を例示するためのものであって、上述の発明の内容とともに、本発明の技術思想をより理解させる役割をするものであるため、本発明は、この図面に記載の事項にのみ限定されて解釈されてはならない。
【
図1】本発明の一実施形態による実施例3の変性共役ジエン系重合体のゲル浸透クロマトグラフィ(GPC、Gel permeation chromatography)による分子量分布曲線を示した図である。
【
図2】本発明の一実施形態による実施例6の変性共役ジエン系重合体のゲル浸透クロマトグラフィ(GPC、Gel permeation chromatography)による分子量分布曲線を示した図である。
【
図3】本発明の一実施形態による比較例3の変性共役ジエン系重合体のゲル浸透クロマトグラフィ(GPC、Gel permeation chromatography)による分子量分布曲線を示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明が容易に理解されるように、本発明をより詳細に説明する。
【0014】
本発明の説明および請求の範囲で用いられている用語や単語は、通常的もしくは辞書的な意味に限定して解釈してはならず、発明者らは、自分の発明を最善の方法で説明するために、用語の概念を適切に定義することができるという原則に則って、本発明の技術的思想に合致する意味と概念で解釈すべきである。
【0015】
本発明による変性共役ジエン系重合体は、ゲル浸透クロマトグラフィ(GPC、Gel
permeation chromatography)による分子量分布曲線が単峰形(unimodal)を有し、分子量分布(PDI;MWD)が1.7未満であり、Siの含量が重量基準で100ppm以上であってもよい。
【0016】
本発明の一実施形態によると、前記変性共役ジエン系重合体は、共役ジエン系単量体由来の繰り返し単位と、変性剤由来の官能基と、を含んでもよい。前記共役ジエン系単量体由来の繰り返し単位は、共役ジエン系単量体が重合時に成す繰り返し単位を意味し得る。前記変性剤由来の官能基は、活性重合体と変性剤との反応またはカップリングにより、活性重合体の一側末端に存在する変性剤に由来の官能基を意味し得る。
【0017】
この際、前記変性共役ジエン系重合体は、芳香族ビニル単量体由来の繰り返し単位を含まない共役ジエン系単量体由来の繰り返し単位を含む単独重合体であってもよい。
【0018】
本発明の一実施形態によると、前記共役ジエン系単量体としては、1,3‐ブタジエン、2,3‐ジメチル‐1,3‐ブタジエン、ピペリレン、3‐ブチル‐1,3‐オクタジエン、イソプレン、2‐フェニル‐1,3‐ブタジエン、および2‐ハロ‐1,3‐ブタジエン(ハロは、ハロゲン原子を意味する)からなる群から選択される1種以上が挙げられる。
【0019】
一方、前記変性共役ジエン系重合体は、場合によって、共役ジエン系単量体由来の繰り返し単位および芳香族ビニル単量体由来の繰り返し単位を含む共重合体であってもよい。この場合、前記変性共役ジエン系重合体は、芳香族ビニル単量体由来の繰り返し単位を0重量%超過~10重量%未満で含んでもよい。
【0020】
前記芳香族ビニル単量体としては、例えば、スチレン、α‐メチルスチレン、3‐メチルスチレン、4‐メチルスチレン、4‐プロピルスチレン、1‐ビニルナフタレン、4‐シクロヘキシルスチレン、4‐(p‐メチルフェニル)スチレン、1‐ビニル‐5‐ヘキシルナフタレン、3‐(2‐ピロリジノエチル)スチレン(3‐(2‐pyrrolidino ethyl)styrene)、4‐(2‐ピロリジノエチル)スチレン(4‐(2‐pyrrolidino ethyl)styrene)、および3‐(2‐ピロリジノ‐1‐メチルエチル)‐α‐メチルスチレン(3‐(2‐pyrrolidino‐1‐methyl ethyl)styrene)からなる群から選択される1種以上が挙げられる。
【0021】
さらに他の例として、前記変性共役ジエン系重合体は、前記共役ジエン系単量体由来の繰り返し単位とともに、炭素数1~10のジエン系単量体由来の繰り返し単位をさらに含む共重合体であってもよい。前記ジエン系単量体由来の繰り返し単位は、前記共役ジエン系単量体とは異なるジエン系単量体に由来の繰り返し単位であってもよい。前記共役ジエン系単量体とは異なるジエン系単量体は、例えば、1,2‐ブタジエンであってもよい。前記変性共役ジエン系重合体がジエン系単量体をさらに含む共重合体である場合、前記変性共役ジエン系重合体は、ジエン系単量体由来の繰り返し単位を0超過重量%~1重量%、0超過重量%~0.1重量%、0超過重量%~0.01重量%、または0超過重量%~0.001重量%で含んでもよく、この範囲内である場合、ゲルの生成を防止する効果がある。
【0022】
本発明の一実施形態によると、前記共重合体はランダム共重合体であってもよく、この場合、各物性間のバランスに優れる効果がある。前記ランダム共重合体は、共重合体を成す繰り返し単位が無秩序に配列されたものを意味し得る。
【0023】
本発明の一実施形態による前記変性共役ジエン系重合体は、数平均分子量(Mn)が1
,000g/mol~2,000,000g/mol、10,000g/mol~1,000,000g/mol、または100,000g/mol~800,000g/molであってもよく、重量平均分子量(Mw)が1,000g/mol~3,000,000g/mol、10,000g/mol~2,000,000g/mol、または100,000g/mol~2,000,000g/molであってもよい。この範囲内である場合、転がり抵抗およびウェットグリップ性に優れる効果がある。さらに他の例として、前記変性共役ジエン系重合体は、分子量分布(PDI;MWD;Mw/Mn)が1.7未満、1.0以上~1.7未満、または1.1以上~1.7未満であってもよく、この範囲内である場合、引張特性および粘弾性特性に優れるとともに、各物性間のバランスに優れる効果がある。尚、前記変性共役ジエン系重合体は、ゲル浸透クロマトグラフィ(GPC、Gel permeation chromatography)による分子量分布曲線が単峰形(unimodal)を有するものであり、これは、連続式重合により重合された重合体で現れる分子量分布であって、変性共役ジエン系重合体が均一な特性を有することを意味する。すなわち、本発明の一実施形態による変性共役ジエン系重合体は、連続式重合により製造され、単峰形の分子量分布曲線を有しながらも、分子量分布が1.7未満であることができる。
【0024】
さらに他の例として、前記変性共役ジエン系重合体は、Siの含量が、重量基準で100ppm以上、100ppm~10,000ppm、または100ppm~5,000ppmであってもよく、この範囲内である場合、変性共役ジエン系重合体を含むゴム組成物の引張特性および粘弾性特性などの機械的物性に優れる効果がある。前記Siの含量は、前記変性共役ジエン系重合体中に存在するSi原子の含量を意味し得る。一方、前記Si原子は、変性剤由来の官能基に由来のものであってもよい。
【0025】
前記Siの含量は、例えば、ICP分析方法により測定されてもよい。前記ICP分析方法では、誘導結合プラズマ発光分析器(ICP‐OES;Optima 7300DV)を用いて酸分解前処理方法によって測定してもよい。前記誘導結合プラズマ発光分析器を用いる場合、試料約0.7gを白金るつぼ(Pt crucible)に入れ、濃硫酸(98重量%、Electronic grade)約1mLを入れて、300℃で3時間加熱し、試料を電気炉(Thermo Scientific、Lindberg Blue M)にて、下記ステップ(step)1~3のプログラムで灰化を進行した後、
1)ステップ1:initial temp 0℃、rate(temp/hr)180℃/hr、temp(holdtime)180℃(1hr)
2)ステップ2:initial temp 180℃、rate(temp/hr)85℃/hr、temp(holdtime)370℃(2hr)
3)ステップ3:initial temp 370℃、rate(temp/hr)47℃/hr、temp(holdtime)510℃(3hr)。
【0026】
残留物に、濃硝酸(48重量%)1mL、濃フッ酸(50重量%)20μlを加え、白金るつぼを密封して30分以上振った(shaking)後、試料にホウ酸(boric
acid)1mLを入れて0℃で2時間以上保管してから、超純水(ultrapure water)30mLに希釈し、灰化を進行して測定してもよい。
【0027】
さらに他の例として、前記変性共役ジエン系重合体は、ゲル浸透クロマトグラフィによる標準ポリスチレン換算分子量において、分子量100,000g/mol以上の重合体成分が単峰形であり、分子量分布(PDI;MWD)が2.0以下であり、数平均分子量(Mn)が250,000g/mol~700,000g/molであり、ブタジエン単位のビニルの含有量が20モル%~80モル%以下であり、Siの含量が重量基準で100ppm以上であり、官能基を有する重合体成分の含有量が50重量%以上であり、芳香族ビニル単量体由来の繰り返し単位を0重量%超過~15重量%未満で含んでもよい。
【0028】
前記変性共役ジエン系重合体は、ムーニー粘度(Mooney viscosity)が、100℃で30以上、40~150、または40~140であってもよく、この範囲内である場合、加工性および生産性に優れる効果がある。
【0029】
また、前記変性共役ジエン系重合体は、ビニルの含量が5重量%以上、10重量%以上、または10重量%~60重量%であってもよい。ここで、前記ビニルの含量は、ビニル基を有する単量体と芳香族ビニル系単量体からなる共役ジエン系共重合体100重量%に対する、1,4‐添加ではなく1,2‐添加の共役ジエン系単量体の含量を意味し得る。
【0030】
本発明による前記変性剤は、共役ジエン系重合体の末端を変性させるための変性剤であり、具体的な例として、アルコキシシラン系変性剤であってもよい。さらに具体的な例として、窒素原子を含有するアルコキシシラン系変性剤であってもよい。前記アルコキシシラン系変性剤を用いる場合、活性重合体の一側末端に位置したアニオン活性部位と、アルコキシシラン系変性剤のアルコキシ基との置換反応により、活性重合体の一側末端がシリル基と結合した形態に変性が行われることができる。これにより、変性共役ジエン系重合体の一側末端に存在する前記変性剤由来の官能基から、無機充填剤などとの親和性が向上し、変性共役ジエン系重合体を含むゴム組成物の機械的物性が向上する効果がある。尚、前記アルコキシシラン系変性剤が窒素原子を含有する場合には、前記シリル基に起因する効果の他にも、窒素原子に起因する付加的な物性上昇の効果が期待される。
【0031】
本発明の一実施形態によると、前記変性剤は、下記化学式1で表される化合物を含むものであってもよい。
【0032】
【0033】
前記化学式1中、R1は、単結合、または炭素数1~10のアルキレン基であり、R2およびR3は、それぞれ独立して、炭素数1~10のアルキル基であり、R4は、水素、炭素数1~10のアルキル基、炭素数1~10のアルキル基で置換された2価、3価、または4価のアルキルシリル基、または炭素数2~10のヘテロ環基であり、R21は、単結合、炭素数1~10のアルキレン基、または‐[R42O]j‐であり、R42は、炭素数1~1
0のアルキレン基であり、aおよびmは、それぞれ独立して、1~3から選択される整数であり、nは0、1、または、2の整数であり、jは1~30から選択される整数であってもよい。
【0034】
具体的な例として、前記化学式1中、R1は、単結合、または炭素数1~5のアルキレ
ン基であり、R2およびR3は、それぞれ独立して、水素、炭素数1~5のアルキル基であり、R4は、水素、炭素数1~5のアルキル基、炭素数1~5のアルキル基で置換された
4価のアルキルシリル基、または炭素数2~5のヘテロ環基であり、R21は、単結合、または炭素数1~5のアルキレン基、または‐[R42O]j‐であり、R42は、炭素数1~
5のアルキレン基であり、aは2または3の整数であり、mは1~3から選択される整数であり、nは0、1、または2の整数であって、この際、m+n=3であり、jは1~10から選択される整数であってもよい。
【0035】
前記化学式1中、R4がヘテロ環基である場合、前記ヘテロ環基は、3置換アルコキシ
シリル基で置換されても置換されていなくてもよく、前記ヘテロ環基が3置換アルコキシシリル基で置換された場合、前記3置換アルコキシシリル基は、炭素数1~10のアルキレン基によって前記ヘテロ環基に連結されて置換されたものであってもよい。前記3置換アルコキシシリル基は、炭素数1~10のアルコキシ基で置換されたアルコキシシリル基を意味し得る。
【0036】
より具体的な例として、前記化学式1で表される化合物としては、N,N‐ビス(3‐(ジメトキシ(メチル)シリル)プロピル)‐メチル‐1‐アミン(N,N‐bis(3‐(dimethoxy(methyl)silyl)propyl)‐methyl‐1‐amine)、N,N‐ビス(3‐(ジエトキシ(メチル)シリル)プロピル)‐メチル‐1‐アミン(N,N‐bis(3‐(diethoxy(methyl)silyl)propyl)‐methyl‐1‐amine)、N,N‐ビス(3‐(トリメトキシシリル)プロピル)‐メチル‐1‐アミン(N,N‐bis(3‐(trimethoxysilyl)propyl)‐methyl‐1‐amine)、N,N‐ビス(3‐(トリエトキシシリル)プロピル)‐メチル‐1‐アミン(N,N‐bis(3‐(triethoxysilyl)propyl)‐methyl‐1‐amine)、N,N‐ジエチル‐3‐(トリメトキシシリル)プロパン‐1‐アミン(N,N‐diethyl‐3‐(trimethoxysilyl)propan‐1‐amine)、N,N‐ジエチル‐3‐(トリエトキシシリル)プロパン‐1‐アミン(N,N‐diethyl‐3‐(triethoxysilyl)propan‐1‐amine)、トリ(トリメトキシシリル)アミン(tri(trimethoxysilyl)amine)、トリ(3‐(トリメトキシシリル)プロピル)アミン(tri‐(3‐(trimethoxysilyl)propyl)amine)、N,N‐ビス(3‐(ジエトキシ(メチル)シリル)プロピル)‐1,1,1‐トリメチルシランアミン(N,N‐bis(3‐(diethoxy(methyl)silyl)propyl)‐1,1,1‐trimethlysilanamine)、N,N‐ビス(3‐(1H‐イミダゾール‐1‐イル)プロピル)‐(トリエトキシシリル)メタン‐1‐アミン(N,N‐bis(3‐(1H‐imidazol‐1‐yl)propyl)‐(triethoxysilyl)methan‐1‐amine)、N‐(3‐(1H‐1,2,4‐トリアゾール‐1‐イル)プロピル)‐3‐(トリメトキシシリル)‐N‐(3‐(トリメトキシシリル)プロピル)プロパン‐1‐アミン(N‐(3‐(1H‐1,2,4‐triazole‐1‐yl)propyl)‐3‐(trimethoxysilyl)‐N‐(trimethoxysilyl)propyl)propan‐1‐amine)、3‐(トリメトキシシリル)‐N‐(3‐トリメトキシシリル)プロピル)‐N‐(3‐(1‐(3‐(トリメトキシシリル)プロピル)‐1H‐1,2,4‐トリアゾール‐3‐イル)プロピル)プロパン‐1‐アミン(3‐(trimethoxysilyl)‐N‐(3‐(trimethoxysilyl)propyl)‐N‐(3‐(1‐(3‐(trimehtoxysilyl)propyl)‐1H‐1,2,4‐triazol‐3‐yl)propyl)propan‐1‐amine)、N,N‐ビス(2‐(2‐メトキシエトキシ)エチル)‐3‐(トリエトキシシリル)プロパン‐1‐アミン(N,N‐bis(2‐(2‐methoxyethoxy)ethyl)‐3‐(triethoxysilyl)propan‐1‐amine)、N,N‐ビス(3‐(トリエトキシシリル)プロピル)‐2,5,8,11,14‐ペンタオキサヘキサデカン‐16‐アミン(N,N‐bis(3‐(triethoxysilyl)propyl)‐2,5,8,11,14‐pentaoxahexadecan‐16‐amine)、N‐(2,5,8,11,14‐ペンタオキサヘキサデカン‐16‐イル)‐N‐(3‐(トリエトキシシリル)プロピル)‐2,5,8,11,14‐ペンタオキサヘキサデカン‐16‐アミン(N‐(2,5,8,11,14‐pentaoxahexadecan‐16‐yl)‐N‐(3‐(triethoxysilyl)propyl)‐2,
5,8,11,14‐pentaoxahexadecan‐16‐amine)、およびN‐(3,6,9,12‐テトラオキサヘキサデシル)‐N‐(3‐(トリエトキシシリル)プロピル)‐3,6,9,12‐テトラオキサヘキサデカン‐1‐アミン(N‐(3,6,9,12‐tetraoxahexadecyl)‐N‐(3‐(triethoxysilyl)propyl)‐3,6,9,12‐tetraoxahexadecan‐1‐amine)からなる群から選択される1種が挙げられる。
【0037】
さらに他の例として、前記変性剤は、下記化学式2で表される化合物を含むものであってもよい。
【0038】
【0039】
前記化学式2中、R5、R6、およびR9は、それぞれ独立して、炭素数1~10のアル
キレン基であり、R7、R8、R10、およびR11は、それぞれ独立して、炭素数1~10のアルキル基であり、R12は、水素または炭素数1~10のアルキル基であり、bおよびcは、それぞれ独立して、0、1、2、または3であって、b+c≧1であり、Aは、
【0040】
【0041】
または
【0042】
【0043】
であり、この際、R13、R14、R15、およびR16は、それぞれ独立して、水素、または炭素数1~10のアルキル基であってもよい。
【0044】
具体的な例として、前記化学式2で表される化合物としては、N‐(3‐(1H‐イミダゾール‐1‐イル)プロピル)‐3‐(トリエトキシシリル)‐N‐(3‐(トリエトキシシリル)プロピル)プロパン‐1‐アミン(N‐(3‐(1H‐imidazol‐1‐yl)propyl)‐3‐(triethoxysilyl)‐N‐(3‐(triethoxysilyl)propyl)propan‐1‐amine)、および3‐(4,5‐ジヒドロ‐1H‐イミダゾール‐1‐イル)‐N,N‐ビス(3‐(トリエ
トキシシリル)プロピル)プロパン‐1‐アミン(3‐(4,5‐dihydro‐1H‐imidazol‐1‐yl)‐N,N‐bis(3‐(triethoxysilyl)propyl)propan‐1‐amine)からなる群から選択される1種が挙げられる。
【0045】
さらに他の例として、前記変性剤は、下記化学式3で表される化合物を含むものであってもよい。
【0046】
【0047】
前記化学式3中、A1およびA2は、それぞれ独立して、酸素原子を含むかまたは含まない炭素数1~20の2価の炭化水素基であり、R17~R20は、それぞれ独立して、炭素数1~20の1価の炭化水素基であり、L1~L4は、それぞれ独立して、炭素数1~10のアルキル基で置換された2価、3価、または4価のアルキルシリル基、または炭素数1~20の1価の炭化水素基であるか、L1およびL2と、L3およびL4は、互いに連結されて炭素数1~5の環を形成してもよく、L1およびL2と、L3およびL4が互いに連結されて環を形成する場合、形成された環は、N、O、およびSからなる群から選択される1種以上のヘテロ原子を1個~3個含んでもよい。
【0048】
具体的な例として、前記化学式3中、A1およびA2は、それぞれ独立して、1~10のアルキレン基であり、R17~R20は、それぞれ独立して、炭素数1~10のアルキル基であり、L1~L4は、それぞれ独立して、炭素数1~5のアルキル基で置換された4価のアルキルシリル基、炭素数1~10のアルキル基であるか、L1およびL2と、L3およびL4は、互いに連結されて炭素数1~3の環を形成してもよく、L1およびL2と、L3および
L4が互いに連結されて環を形成する場合、形成された環は、N、OおよびSからなる群
から選択される1種以上のヘテロ原子を1個~3個含んでもよい。
【0049】
より具体的な例として、前記化学式3で表される化合物としては、3,3´‐(1,1,3,3‐テトラメトキシジシロキサン‐1,3‐ジイル)ビス(N,N‐ジメチルプロパン‐1‐アミン)(3,3´‐(1,1,3,3‐tetramethoxydisiloxane‐1,3‐diyl)bis(N,N‐dimethylpropan‐1‐amine)、3,3´‐(1,1,3,3‐テトラエトキシジシロキサン‐1,3‐ジイル)ビス(N,N‐ジメチルプロパン‐1‐アミン)(3,3´‐(1,1,3,3‐tetraethoxydisiloxane‐1,3‐diyl)bis(N,N‐dimethylpropan‐1‐amine)、3,3´‐(1,1,3,3‐テトラプロポキシジシロキサン‐1,3‐ジイル)ビス(N,N‐ジメチルプロパン‐1‐アミン)(3,3´‐(1,1,3,3‐tetrapropoxydisiloxane‐1,3‐diyl)bis(N,N‐dimethylpropan‐1‐amine
)、3,3´‐(1,1,3,3‐テトラメトキシジシロキサン‐1,3‐ジイル)ビス(N,N‐ジエチルプロパン‐1‐アミン)(3,3´‐(1,1,3,3‐tetramethoxydisiloxane‐1,3‐diyl)bis(N,N‐diethylpropan‐1‐amine)、3,3´‐(1,1,3,3‐テトラメトキシジシロキサン‐1,3‐ジイル)ビス(N,N‐ジプロピルプロパン‐1‐アミン)(3,3´‐(1,1,3,3‐tetramethoxydisiloxane‐1,3‐diyl)bis(N,N‐dipropylpropan‐1‐amine)、3,3´‐(1,1,3,3‐テトラエトキシジシロキサン‐1,3‐ジイル)ビス(N,N‐ジエチルプロパン‐1‐アミン)(3,3´‐(1,1,3,3‐tetraethoxydisiloxane‐1,3‐diyl)bis(N,N‐diethylpropan‐1‐amine)、3,3´‐(1,1,3,3‐テトラプロポキシジシロキサン‐1,3‐ジイル)ビス(N,N‐ジエチルプロパン‐1‐アミン)(3,3´‐(1,1,3,3‐tetrapropoxydisiloxane‐1,3‐diyl)bis(N,N‐diethylpropan‐1‐amine)、3,3´‐(1,1,3,3‐テトラエトキシジシロキサン‐1,3‐ジイル)ビス(N,N‐ジプロピルプロパン‐1‐アミン)(3,3´‐(1,1,3,3‐tetraethoxydisiloxane‐1,3‐diyl)bis(N,N‐dipropylpropan‐1‐amine)、3,3´‐(1,1,3,3‐テトラプロポキシジシロキサン‐1,3‐ジイル)ビス(N,N‐ジプロピルプロパン‐1‐アミン)(3,3´‐(1,1,3,3‐tetrapropoxydisiloxane‐1,3‐diyl)bis(N,N‐dipropylpropan‐1‐amine)、3,3´‐(1,1,3,3‐テトラメトキシジシロキサン‐1,3‐ジイル)ビス(N,N‐ジエチルメタン‐1‐アミン)(3,3´‐(1,1,3,3‐tetramethoxydisiloxane‐1,3‐diyl)bis(N,N‐diethylmethan‐1‐amine)、3,3´‐(1,1,3,3‐テトラエトキシジシロキサン‐1,3‐ジイル)ビス(N,N‐ジエチルメタン‐1‐アミン)(3,3´‐(1,1,3,3‐tetraethoxydisiloxane‐1,3‐diyl)bis(N,N‐diethylmethan‐1‐amine)、3,3´‐(1,1,3,3‐テトラプロポキシジシロキサン‐1,3‐ジイル)ビス(N,N‐ジエチルメタン‐1‐アミン)(3,3´‐(1,1,3,3‐tetrapropoxydisiloxane‐1,3‐diyl)bis(N,N‐diethylmethan‐1‐amine)、3,3´‐(1,1,3,3‐テトラメトキシジシロキサン‐1,3‐ジイル)ビス(N,N‐ジメチルメタン‐1‐アミン)(3,3´‐(1,1,3,3‐tetramethoxydisiloxane‐1,3‐diyl)bis(N,N‐dimethylmethan‐1‐amine)、3,3´‐(1,1,3,3‐テトラメトキシジシロキサン‐1,3‐ジイル)ビス(N,N‐ジプロピルメタン‐1‐アミン)(3,3´‐(1,1,3,3‐tetramethoxydisiloxane‐1,3‐diyl)bis(N,N‐dipropylmethan‐1‐amine)、3,3´‐(1,1,3,3‐テトラプロポキシジシロキサン‐1,3‐ジイル)ビス(N,N‐ジメチルメタン‐1‐アミン)(3,3´‐(1,1,3,3‐tetrapropoxydisiloxane‐1,3‐diyl)bis(N,N‐dimethylmethan‐1‐amine)、3,3´‐(1,1,3,3‐テトラプロポキシジシロキサン‐1,3‐ジイル)ビス(N,N‐ジプロピルメタン‐1‐アミン)(3,3´‐(1,1,3,3‐tetrapropoxydisiloxane‐1,3‐diyl)bis(N,N‐dipropylmethan‐1‐amine)、3,3´‐(1,1,3,3‐テトラエトキシジシロキサン‐1,3‐ジイル)ビス(N,N‐ジメチルメタン‐1‐アミン)(3,3´‐(1,1,3,3‐tetraethoxydisiloxane‐1,3‐diyl)bis(N,N‐dimethylmethan‐1‐amine)、3,3´‐(1,1,3,3‐テトラエトキシジシロキサン‐1,3‐ジイル)ビス(N,N‐ジプロピルメタン‐1‐アミン)(3,3´‐(1,1,3,3‐tetraethoxydisi
loxane‐1,3‐diyl)bis(N,N‐dipropylmethan‐1‐amine)、N,N´‐((1,1,3,3‐テトラメトキシジシロキサン‐1,3‐ジイル)ビス(プロパン‐3,1‐ジイル))ビス(1,1,1‐トリメチル‐N‐(トリメチルシリル)シランアミン(N,N´‐((1,1,3,3‐tetramethoxydisiloxane‐1,3‐diyl)bis(propan‐3,1‐diyl))bis(1,1,1‐trimethyl‐N‐(trimethylsilyl)silanamine)、N,N´‐((1,1,3,3‐テトラエトキシジシロキサン‐1,3‐ジイル)ビス(プロパン‐3,1‐ジイル))ビス(1,1,1‐トリメチル‐N‐(トリメチルシリル)シランアミン(N,N´‐((1,1,3,3‐tetraethoxydisiloxane‐1,3‐diyl)bis(propan‐3,1‐diyl))bis(1,1,1‐trimethyl‐N‐(trimethylsilyl)silanamine)、N,N´‐((1,1,3,3‐テトラプロポキシジシロキサン‐1,3‐ジイル)ビス(プロパン‐3,1‐ジイル))ビス(1,1,1‐トリメチル‐N‐(トリメチルシリル)シランアミン(N,N´‐((1,1,3,3‐tetrapropoxydisiloxane‐1,3‐diyl)bis(propan‐3,1‐diyl))bis(1,1,1‐trimethyl‐N‐(trimethylsilyl)silanamine)、N,N´‐((1,1,3,3‐テトラメトキシジシロキサン‐1,3‐ジイル)ビス(プロパン‐3,1‐ジイル))ビス(1,1,1‐トリメチル‐N‐フェニルシランアミン(N,N´‐((1,1,3,3‐tetramethoxydisiloxane‐1,3‐diyl)bis(propan‐3,1‐diyl))bis(1,1,1‐trimethyl‐N‐phenylsilanamine)、N,N´‐((1,1,3,3‐テトラエトキシジシロキサン‐1,3‐ジイル)ビス(プロパン‐3,1‐ジイル))ビス(1,1,1‐トリメチル‐N‐フェニルシランアミン(N,N´‐((1,1,3,3‐tetraethoxydisiloxane‐1,3‐diyl)bis(propan‐3,1‐diyl))bis(1,1,1‐trimethyl‐N‐phenylsilanamine)、N,N´‐((1,1,3,3‐テトラプロポキシジシロキサン‐1,3‐ジイル)ビス(プロパン‐3,1‐ジイル))ビス(1,1,1‐トリメチル‐N‐フェニルシランアミン(N,N´‐((1,1,3,3‐tetrapropoxydisiloxane‐1,3‐diyl)bis(propan‐3,1‐diyl))bis(1,1,1‐trimethyl‐N‐phenylsilanamine)、1,3‐ビス(3‐(1H‐イミダゾール‐1‐イル)プロピル)1,1,3,3‐テトラメトキシジシロキサン(1,3‐bis(3‐(1H‐imidazol‐1‐yl)propyl)‐1,1,3,3‐tetramethoxydisiloxane)、1,3‐ビス(3‐(1H‐イミダゾール‐1‐イル)プロピル)1,1,3,3‐テトラエトキシジシロキサン(1,3‐bis(3‐(1H‐imidazol‐1‐yl)propyl)‐1,1,3,3‐tetraethoxydisiloxane)、および1,3‐ビス(3‐(1H‐イミダゾール‐1‐イル)プロピル)1,1,3,3‐テトラプロポキシジシロキサン(1,3‐bis(3‐(1H‐imidazol‐1‐yl)propyl)‐1,1,3,3‐tetrapropoxydisiloxane)からなる群から選択される1種が挙げられる。
【0050】
さらに他の例として、前記変性剤は、下記化学式4で表される化合物を含むものであってもよい。
【0051】
【0052】
前記化学式4中、R22およびR23は、それぞれ独立して、炭素数1~20のアルキレン基、または‐R28[OR29]f‐であり、R24~R27は、それぞれ独立して、炭素数1~
20のアルキル基または炭素数6~20のアリール基であり、R28およびR29は、それぞれ独立して、炭素数1~20のアルキレン基であり、R47およびR48は、それぞれ独立して、炭素数1~6の2価の炭化水素基であり、dおよびeは、それぞれ独立して、0、または1~3から選択される整数であって、d+eは1以上の整数であり、fは1~30の整数であってもよい。
【0053】
具体的に、前記化学式4中、R22およびR23は、それぞれ独立して、炭素数1~10のアルキレン基、または‐R28[OR29]f‐であり、R24~R27は、それぞれ独立して、
炭素数1~10のアルキル基であり、R28およびR29は、それぞれ独立して、炭素数1~10のアルキレン基であり、dおよびeは、それぞれ独立して、0、または1~3から選択される整数であって、d+eは1以上の整数であり、fは1~30から選択される整数であってもよい。
【0054】
より具体的に、前記化学式4で表される化合物は、下記化学式4a、化学式4b、または化学式4cで表される化合物であってもよい。
【0055】
【0056】
【0057】
【0058】
前記化学式4a、化学式4b、および化学式4c中、R22~R27、dおよびeは、上述のとおりである。
【0059】
より具体的な例として、前記化学式4で表される化合物としては、1,4‐ビス(3‐(3‐(トリエトキシシリル)プロポキシ)プロピル)ピペラジン(1,4‐bis(3‐(3‐(triethoxysilyl)propoxy)propyl)piperazine、1,4‐ビス(3‐(トリエトキシシリル)プロピル)ピペラジン(1,4‐bis(3‐(triethoxysilyl)propyl)piperazine)、1,4‐ビス(3‐(トリメトキシシリル)プロピル)ピペラジン(1,4‐bis(3‐(trimethoxysilyl)propyl)piperazine)、1,4‐ビス(3‐(ジメトキシメチルシリル)プロピル)ピペラジン(1,4‐bis(3‐(dimethoxymethylsilyl)propyl)piperazine)、1‐(3‐(エトキシジメチルシリル)プロピル)‐4‐(3‐(トリエトキシシリル)プロピル)ピペラジン(1‐(3‐(ethoxydimethlylsilyl)propyl)‐4‐(3‐(triethoxysilyl)propyl)piperazine)、1‐(3‐(エトキシジメチル)プロピル)‐4‐(3‐(トリエトキシシリル)メチル)ピペラジン(1‐(3‐(ethoxydimethyl)propyl)‐4‐(3‐(triethoxysilyl)methyl)piperazine)、1‐(3‐(エトキシジメチル)メチル)‐4‐(3‐(トリエトキシシリル)プロピル)ピペラジン(1‐(3‐(ethoxydimethyl)methyl)‐4‐(3‐(triethoxysilyl)propyl)piperazine)、1,3‐ビス(3‐(トリエトキシシリル)プロピル)イミダゾリジン(1,3‐bis(3‐(triethoxysilyl)propyl)imidazolidine)、1,3‐ビス(3‐(ジメトキシエチルシリル)プロピル)イミダゾリジン(1,3‐bis(3‐(dimethoxyethylsilyl)propyl)imidazolidine)、1,3‐ビス(3‐(トリメトキシシリル)プロピル)ヘキサヒド
ロピリミジン(1,3‐bis(3‐(trimethoxysilyl)propyl)hexahydropyrimidine)、1,3‐ビス(3‐(トリエトキシシリル)プロピル)ヘキサヒドロピリミジン(1,3‐bis(3‐(triethoxysilyl)propyl)hexahydropyrimidine)、および1,3‐ビス(3‐(トリブトキシシリル)プロピル)‐1,2,3,4‐テトラヒドロピリミジン(1,3‐bis(3‐(tributoxysilyl)propyl)‐1,2,3,4‐tetrahydropyrimidine)からなる群から選択される1種が挙げられる。
【0060】
さらに他の例として、前記変性剤は、下記化学式5で表される化合物を含むものであってもよい。
【0061】
【0062】
前記化学式5中、R30は、炭素数1~30の1価の炭化水素基であり、R31~R33は、それぞれ独立して、炭素数1~10のアルキレン基であり、R34~R37は、それぞれ独立して、炭素数1~10のアルキル基であり、gおよびhは、それぞれ独立して、0、または1~3から選択される整数であって、g+hは1以上の整数であってもよい。
【0063】
さらに他の例として、前記変性剤は、下記化学式6で表される化合物を含むものであってもよい。
【0064】
【0065】
前記化学式6中、A3およびA4は、それぞれ独立して、1~10のアルキレン基であり、R38~R41は、それぞれ独立して、炭素数1~10のアルキル基、または炭素数1~10のアルコキシ基であり、iは1~30から選択される整数であってもよい。
【0066】
さらに他の例として、前記変性剤は、3,4‐ビス(2‐メトキシエトキシ)‐N‐(4‐(トリエトキシシリル)ブチル)アニリン(3,4‐bis(2‐methoxyethoxy)‐N‐(4‐(trimethylsilyl)butyl)aniline)、N,N‐ジエチル‐3‐(7‐メチル‐3,6,8,11‐テトラオキサ‐7‐シラトリデカン‐7‐イル)プロパン‐1‐アミン(N,N‐diethyl‐3‐(7‐methyl‐3,6,8,11‐tetraoxa‐7‐silatridecan‐7‐yl)propan‐1‐amine)、2,4‐ビス(2‐メトキシエトキシ)‐6‐((トリメチルシリル)メチル)‐1,3,5‐トリアジン(2,4‐bis(2‐methoxyethoxy)‐6‐((trimethylsilyl)methyl)‐1,3,5‐triazine)、および3,14‐ジメトキシ‐3,8,8,13‐テトラメチル‐2,14‐ジオキサ‐7,9‐ジチア‐3,8,13‐トリシラペンタデカン(3,13‐dimethoxy‐3,8,8,13‐tetramethyl‐2,14‐dioxa‐7,9‐dithia‐3,8,13‐trisilapentadecane)からなる群から選択される1種以上を含むものであってもよい。
【0067】
さらに他の例として、前記変性剤は、下記化学式7で表される化合物を含むものであっ
てもよい。
【0068】
【0069】
前記化学式7中、R43、R45、およびR46は、それぞれ独立して、炭素数1~10のアルキル基であり、R44は、炭素数1~10のアルキレン基であり、kは1~4から選択される整数であってもよい。
【0070】
より具体的な例として、前記化学式7で表される化合物としては、8,8‐ジブチル‐3,13‐ジメトキシ‐3,13‐ジメチル‐2,14‐ジオキサ‐7,9‐ジチア‐3,13‐ジシラ‐8‐スタンペンタデカン(8,8‐dibutyl‐3,13‐dimethoxy‐3,13‐dimethyl‐2,14‐dioxa‐7,9‐dithia‐3,13‐disila‐8‐stannapentadecane)、8,8‐ジメチル‐3,13‐ジメトキシ‐3,13‐ジメチル‐2,14‐ジオキサ‐7,9‐ジチア‐3,13‐ジシラ‐8‐スタンペンタデカン(8,8‐dimetyl‐3,13‐dimethoxy‐3,13‐dimethyl‐2,14‐dioxa‐7,9‐dithia‐3,13‐disila‐8‐stannapentadecane)、8,8‐ジブチル‐3,3,13,13‐テトラメトキシ‐2,14‐ジオキサ‐7,9‐ジチア‐3,13‐ジシラ‐8‐スタンペンタデカン(8,8‐dibutyl‐3,3,13,13‐tetramethoxy‐2,14‐dioxa‐7,9‐dithia‐3,13‐disila‐8‐stannapentadecane)、および8‐ブチル‐3,3,13,13‐テトラメトキシ‐8‐((3‐(トリメトキシシリル)プロピル)チオ)‐2,14‐ジオキサ‐7,9‐ジチア‐3,13‐ジシラ‐8‐スタンペンタデカン(8‐butyl‐3,3,13,13‐tetramethoxy‐8‐((3‐(trimehtoxysilyl)propyl)thio)‐2,14‐dioxa‐7,9‐dithia‐3,13‐disila‐8‐stannapentadecane)からなる群から選択される1種が挙げられる。
【0071】
本発明において、用語「1価の炭化水素基」は、1価のアルキル基、アルケニル基、アルキニル基、シクロアルキル基、不飽和結合を1つ以上含むシクロアルキル基およびアリール基などの、炭素と水素が結合された1価の原子団を意味し得る。1価の炭化水素で表される置換基の最小炭素原子数は、各置換基の種類によって決定され得る。
【0072】
本発明において、用語「2価の炭化水素基」は、2価のアルキレン基、アルケニレン基、アルキニレン基、シクロアルキレン基、不飽和結合を1つ以上含むシクロアルキレン基およびアリーレン基などの、炭素と水素が結合された2価の原子団を意味し得る。2価の炭化水素で表される置換基の最小炭素原子数は、各置換基の種類によって決定され得る。
【0073】
本発明において、用語「アルキル基(alkyl group)」は、1価の脂肪族飽和炭化水素を意味し、メチル、エチル、プロピル、およびブチルなどの直鎖状アルキル基、およびイソプロピル(isopropyl)、sec-ブチル(sec‐butyl)、tert‐ブチル(tert‐butyl)、およびネオペンチル(neo‐pentyl)などの分岐状アルキル基を両方とも含む意味であり得る。
【0074】
本発明において、用語「アルキレン基(alkylene group)」は、メチレン、エチレン、プロピレン、およびブチレンなどのような2価の脂肪族飽和炭化水素を意味し得る。
【0075】
本発明において、用語「アルケニル基(alkenyl group)」は、二重結合を1つまたは2つ以上含むアルキル基を意味し得る。
【0076】
本発明において、用語「アルキニル基(alkynyl group)」は、三重結合を1つまたは2つ以上含むアルキル基を意味し得る。
【0077】
本発明において、用語「シクロアルキル基(cycloalkyl group)」は、環状の飽和炭化水素、または不飽和結合を1つまたは2つ以上含む環状の不飽和炭化水素を何れも含む意味であり得る。
【0078】
本発明において、用語「アリール基(aryl group)」は、環状の芳香族炭化水素を意味し、また、1つの環が形成された単環芳香族炭化水素(monocyclic
aromatic hydrocarbon)、または2つ以上の環が結合された多環芳香族炭化水素(polycyclic aromatic hydrocarbon)を両方とも含む意味であり得る。
【0079】
本発明は、前記変性共役ジエン系重合体を製造するために、変性共役ジエン系重合体の製造方法を提供する。前記変性共役ジエン系重合体の製造方法は、炭化水素溶媒中で、有機金属化合物の存在下で、共役ジエン系単量体、または共役ジエン系単量体および芳香族ビニル単量体を重合または共重合することで、有機金属が結合された活性重合体を製造するステップ(S1)と、前記(S1)ステップで製造された活性重合体と変性剤を反応またはカップリングさせるステップ(S2)と、を含み、前記(S1)ステップは、2器以上の重合反応器で連続的に行い、前記重合反応器のうち第1反応器での重合転換率が50%以下であってもよい。
【0080】
前記炭化水素溶媒としては、特に制限されるものではないが、例えば、n‐ペンタン、n‐ヘキサン、n‐ヘプタン、イソオクタン、シクロヘキサン、トルエン、ベンゼン、およびキシレンからなる群から選択される1種以上が挙げられる。
【0081】
本発明の一実施形態によると、前記有機金属化合物は、単量体の総100gを基準として、0.01mmol~10mmol、0.05mmol~5mmol、0.1mmol~2mmol、0.1mmol~1mmol、または0.15~0.8mmolで用いてもよい。前記有機金属化合物としては、例えば、メチルリチウム、エチルリチウム、プロピルリチウム、イソプロピルリチウム、n‐ブチルリチウム、s‐ブチルリチウム、t‐ブチルリチウム、ヘキシルリチウム、n‐デシルリチウム、t‐オクチルリチウム、フェニルリチウム、1‐ナフチルリチウム、n‐エイコシルリチウム、4‐ブチルフェニルリチウム、4‐トリルリチウム、シクロヘキシルリチウム、3,5‐ジ‐n‐ヘプチルシクロヘキシルリチウム、4‐シクロペンチルリチウム、ナフチルナトリウム、ナフチルカリウム、リチウムアルコキシド、ナトリウムアルコキシド、カリウムアルコキシド、リチウムスルホネート、ナトリウムスルホネート、カリウムスルホネート、リチウムアミド、ナトリウムアミド、カリウムアミド、およびリチウムイソプロピルアミドからなる群から選択される1種以上が挙げられる。
【0082】
前記(S1)ステップにおける重合は、例えば、アニオン重合であってもよく、具体的な例として、アニオンによる成長重合反応によって重合末端にアニオン活性部位を有するリビングアニオン重合であってもよい。また、前記(S1)ステップにおける重合は、昇
温重合、等温重合、または定温重合(断熱重合)であってもよい。前記定温重合は、有機金属化合物を投入した後に任意に熱を加えず、その自体の反応熱で重合させるステップを含む重合方法を意味し、前記昇温重合は、前記有機金属化合物を投入した後に任意に熱を加えて温度を増加させる重合方法を意味し、前記等温重合は、前記有機金属化合物を投入した後に熱を加えて熱を増加させたり、熱を奪うことで、重合物の温度を一定に維持する重合方法を意味し得る。
【0083】
また、本発明の一実施形態によると、前記(S1)ステップにおける重合は、前記共役ジエン系単量体以外に、炭素数1~10のジエン系単量体をさらに含んで行ってもよく、この場合、長時間運転する際に反応器の壁面にゲルが形成されることが防止される効果がある。前記ジエン系単量体は、例えば、1,2‐ブタジエンであってもよい。
【0084】
前記(S1)ステップにおける重合は、例えば、80℃以下、-20℃~80℃、0℃~80℃、0℃~70℃、または10℃~70℃の温度範囲で行ってもよい。この範囲内である場合、重合体の分子量分布を狭く調節して、物性改善に優れる効果がある。
【0085】
前記(S1)ステップにより製造された活性重合体は、重合体アニオンと有機金属カチオンが結合された重合体を意味し得る。
【0086】
本発明の一実施形態によると、前記(S1)ステップにおける重合により製造される活性重合体は、ランダム共重合体であってもよく、この場合、各物性間のバランスに優れる効果がある。前記ランダム共重合体は、共重合体を成す繰り返し単位が無秩序に配列されたものを意味し得る。
【0087】
本発明の一実施形態によると、前記変性共役ジエン系重合体の製造方法は、2器以上の重合反応器および変性反応器を含む複数の反応器で、連続式重合方法により行ってもよい。具体的な例として、前記(S1)ステップは、2器以上の重合反応器で連続的に行ってもよく、前記重合反応器の数は、反応条件および環境によって弾力的に決定され得る。前記連続式重合方法は、反応器に反応物を連続的に供給し、生成された反応生成物を連続的に排出する反応工程を意味し得る。前記連続式重合方法による場合、生産性および加工性に優れるとともに、製造される重合体の均一性に優れる効果がある。
【0088】
また、本発明の一実施形態によると、前記重合反応器で連続的に活性重合体を製造する時に、第1反応器での重合転換率は50%以下、10%~50%、または20%~50%であってもよい。この範囲内である場合、重合反応が開始された後、重合体が形成されながら発生する副反応を抑制し、重合時に直鎖状(linear)構造の重合体を誘導することができ、これにより、重合体の分子量分布を狭く調節することが可能であって、物性改善に優れる効果がある。
【0089】
この際、前記重合転換率は、反応温度、反応器滞留時間などによって調節され得る。
【0090】
前記重合転換率は、例えば、重合体の重合時に、重合体を含む重合体溶液中の固体濃度を測定することで決定されてもよく、具体的な例として、前記重合体溶液を確保するために、各重合反応器の出口にシリンダ型容器を取り付けて一定量の重合体溶液をシリンダ型容器に満たし、前記シリンダ型容器を反応器から分離し、重合体溶液が満たされているシリンダの重量(A)を測定した後、シリンダ型容器に満たされている重合体溶液を、アルミニウム容器、例えば、アルミニウム皿に移し、重合体溶液が除去されたシリンダ型容器の重量(B)を測定し、重合体溶液が入ったアルミニウム容器を140℃のオーブンで30分間乾燥させ、乾燥された重合体の重量(C)を測定した後、下記数学式1により計算したものであってもよい。
【0091】
【0092】
一方、前記第1反応器で重合された重合物は、変性反応器の前の重合反応器まで順に移送され、最終的に重合転換率が95%以上となるまで重合が行われてもよい。第1反応器で重合された後、第2反応器、または第2反応器から変性反応器の前の重合反応器までの各反応器毎の重合転換率は、分子量分布の調節のために、各反応器毎に適宜調節して行われてもよい。
【0093】
一方、前記(S1)ステップにおいて、活性重合体の製造時に、第1反応器での重合物の滞留時間は1分~40分、1分~30分、または5分~30分であってもよく、この範囲内である場合、重合転換率の調節が容易であるため、重合体の分子量分布を狭く調節することが可能であり、これにより、物性改善に優れる効果がある。
【0094】
本発明において、用語「重合物」は、(S1)ステップまたは(S2)ステップが完了され、活性重合体または変性共役ジエン系重合体が得られる前に、(S1)ステップを行っている中に、各反応器内で重合が行われている重合体形態の中間体を意味し得て、反応器内で重合が行われている、重合転換率が99%未満の重合体を意味し得る。
【0095】
本発明の一実施形態によると、前記(S1)ステップで製造された活性重合体の分子量分布(PDI、polydispersed index;MWD、molecular
weight distribution;Mw/Mn)は、1.5未満、1.0以上~1.5未満、または1.1以上~1.5未満であってもよい。この範囲内である場合、変性剤との変性反応またはカップリングにより製造される変性共役ジエン系重合体の分子量分布が狭くて、物性改善に優れる効果がある。
【0096】
一方、前記(S1)ステップにおける重合は、極性添加剤を含んで行ってもよく、前記極性添加剤は、単量体の総100gを基準として、0.001g~50g、0.001g~10g、または0.005g~0.1gの割合で添加してもよい。さらに他の例として、前記極性添加剤は、有機金属化合物の総1mmolを基準として、0.001g~10g、0.005g~5g、0.005g~4gの割合で添加してもよい。
【0097】
前記極性添加剤としては、例えば、テトラヒドロフラン、2,2‐ジ(2‐テトラヒドロフリル)プロパン、ジエチルエテル、シクロアミルエーテル、ジプロピルエーテル、エチレンメチルエーテル、エチレンジメチルエーテル、ジエチルグリコール、ジメチルエーテル、3級ブトキシエトキシエタン、ビス(3‐ジメチルアミノエチル)エーテル、(ジメチルアミノエチル)エチルエーテル、トリメチルアミン、トリエチルアミン、トリプロピルアミン、N,N、N´,N´‐テトラメチルエチレンジアミン、ナトリウムメントレート(sodium mentholate)、および2‐エチルテトラヒドロフルフリルエーテル(2‐ethyl tetrahydrofurfuryl ether)からなる群から選択される1種以上であってもよく、好ましくは、トリエチルアミン、テトラメチルエチレンジアミン、ナトリウムメントレート(sodium mentholate)、または2‐エチルテトラヒドロフルフリルエーテル(2‐ethyl tetrahydrofurfuryl ether)であってもよい。前記極性添加剤を含む場合、共役ジエン系単量体、または共役ジエン系単量体および芳香族ビニル系単量体を共重合させる際に、それらの反応速度の差を補完することにより、ランダム共重合体が容易に形成されるように誘導する効果がある。
【0098】
本発明の一実施形態によると、前記(S2)ステップにおける反応またはカップリングは、変性反応器で行ってもよい。この際、前記変性剤は、単量体の総100gを基準として、0.01mmol~10mmolの量で用いてもよい。さらに他の例として、前記変性剤は、前記(S1)ステップの有機金属化合物の1モルを基準として、1:0.1~10、1:0.1~5、または1:0.1~1:3のモル比で用いてもよい。
【0099】
また、本発明の一実施形態によると、前記変性剤は変性反応器に投入してもよく、前記(S2)ステップは、変性反応器で行ってもよい。さらに他の例として、前記変性剤は、前記(S1)ステップで製造された活性重合体を、(S2)ステップを行うための変性反応器に移送するための移送部に投入してもよく、前記移送部内で、活性重合体と変性剤の混合により反応またはカップリングが進行されることができる。
【0100】
本発明によると、前記変性共役ジエン系重合体を含むゴム組成物が提供される。
【0101】
前記ゴム組成物は、前記変性共役ジエン系重合体を10重量%以上、10重量%~100重量%、または20重量%~90重量%の量で含んでもよい。この範囲内である場合、引張強度、耐磨耗性などの機械的物性に優れ、各物性間のバランスに優れる効果がある。
【0102】
また、前記ゴム組成物は、前記変性共役ジエン系重合体以外に、必要に応じて、他のゴム成分をさらに含んでもよい。この際、前記ゴム成分は、ゴム組成物の総重量に対して90重量%以下の含量で含まれてもよい。具体的な例として、前記他のゴム成分は、前記変性共役ジエン系重合体100重量部に対して、1重量部~900重量部で含まれてもよい。
【0103】
前記ゴム成分は、例えば、天然ゴムまたは合成ゴムであってもよく、具体的な例として、シス‐1,4‐ポリイソプレンを含む天然ゴム(NR);前記一般的な天然ゴムを変性または精製した、エポキシ化天然ゴム(ENR)、脱蛋白天然ゴム(DPNR)、水素化天然ゴムなどの変性天然ゴム;スチレン‐ブタジエン共重合体(SBR)、ポリブタジエン(BR)、ポリイソプレン(IR)、ブチルゴム(IIR)、エチレン‐プロピレン共重合体、ポリイソブチレン‐コ‐イソプレン、ネオプレン、ポリ(エチレン‐コ‐プロピレン)、ポリ(スチレン‐コ‐ブタジエン)、ポリ(スチレン‐コ‐イソプレン)、ポリ(スチレン‐コ‐イソプレン‐コ‐ブタジエン)、ポリ(イソプレン‐コ‐ブタジエン)、ポリ(エチレン‐コ‐プロピレン‐コ‐ジエン)、ポリスルフィドゴム、アクリルゴム、ウレタンゴム、シリコンゴム、エピクロロヒドリンゴム、ブチルゴム、ハロゲン化ブチルゴムなどのような合成ゴムであってもよく、これらのうち何れか1つまたは2つ以上の混合物が使用可能である。
【0104】
前記ゴム組成物は、例えば、本発明の変性共役ジエン系重合体100重量部に対して、0.1重量部~200重量部、または10重量部~120重量部の充填剤を含んでもよい。前記充填剤は、例えば、シリカ系充填剤であり、具体的な例として、湿式シリカ(含水ケイ酸)、乾式シリカ(無水ケイ酸)、ケイ酸カルシウム、ケイ酸アルミニウム、またはコロイドシリカなどであってもよく、好ましくは、破壊特性の改良効果およびウェットグリップ性(wet grip)の両立効果が最も高い湿式シリカであってもよい。また、前記ゴム組成物は、必要に応じて、カーボン系充填剤をさらに含んでもよい。
【0105】
さらに他の例として、前記充填剤としてシリカが用いられる場合、補強性および低発熱性を改善するために、シランカップリング剤がともに用いられてもよい。具体的な例として、前記シランカップリング剤としては、ビス(3‐トリエトキシシリルプロピル)テトラスルフィド、ビス(3‐トリエトキシシリルプロピル)トリスルフィド、ビス(3‐ト
リエトキシシリルプロピル)ジスルフィド、ビス(2‐トリエトキシシリルエチル)テトラスルフィド、ビス(3‐トリメトキシシリルプロピル)テトラスルフィド、ビス(2‐トリメトキシシリルエチル)テトラスルフィド、3‐メルカプトプロピルトリメトキシシラン、3‐メルカプトプロピルトリエトキシシラン、2‐メルカプトエチルトリメトキシシラン、2‐メルカプトエチルトリエトキシシラン、3‐トリメトキシシリルプロピル‐N,N‐ジメチルチオカルバモイルテトラスルフィド、3‐トリエトキシシリルプロピル‐N,N‐ジメチルチオカルバモイルテトラスルフィド、2‐トリエトキシシリルエチル‐N,N‐ジメチルチオカルバモイルテトラスルフィド、3‐トリメトキシシリルプロピルベンゾチアゾリルテトラスルフィド、3‐トリエトキシシリルプロピルベンゾリルテトラスルフィド、3‐トリエトキシシリルプロピルメタクリレートモノスルフィド、3‐トリメトキシシリルプロピルメタクリレートモノスルフィド、ビス(3‐ジエトキシメチルシリルプロピル)テトラスルフィド、3‐メルカプトプロピルジメトキシメチルシラン、ジメトキシメチルシリルプロピル‐N,N‐ジメチルチオカルバモイルテトラスルフィド、またはジメトキシメチルシリルプロピルベンゾチアゾリルテトラスルフィドなどが挙げられ、これらのうち何れか1つまたは2つ以上の混合物が使用可能である。好ましくは、補強性の改善効果を考慮すると、ビス(3‐トリエトキシシリルプロピル)ポリスルフィドまたは3‐トリメトキシシリルプロピルベンゾチアジルテトラスルフィドであってもよい。
【0106】
また、本発明の一実施形態による前記ゴム組成物は、ゴム成分として、活性部位にシリカとの親和性が高い官能基が導入された変性共役ジエン系重合体が用いられているため、シランカップリング剤の配合量が通常の場合よりも低減されることができる。したがって、前記シランカップリング剤は、シリカ100重量部に対して、1重量部~20重量部、または5重量部~15重量部で用いられてもよい。この範囲内である場合、カップリング剤としての効果が十分に発揮されながらも、ゴム成分のゲル化が防止される効果がある。
【0107】
本発明の一実施形態による前記ゴム組成物は、硫黄架橋性であってもよく、加硫剤をさらに含んでもよい。前記加硫剤は、具体的に、硫黄粉末であってもよく、ゴム成分100重量部に対して0.1重量部~10重量部で含まれてもよい。この範囲内である場合、加硫ゴム組成物が必要とする弾性率および強度を確保するとともに、低燃費性に優れる効果がある。
【0108】
本発明の一実施形態による前記ゴム組成物は、上記の成分の他に、ゴム工業界で通常用いられる各種添加剤、具体的には、加硫促進剤、プロセス油、酸化防止剤、可塑剤、老化防止剤、スコーチ防止剤、亜鉛華(zinc white)、ステアリン酸、熱硬化性樹脂、または熱可塑性樹脂などをさらに含んでもよい。
【0109】
前記加硫促進剤としては、例えば、M(2‐メルカプトベンゾチアゾール)、DM(ジベンゾチアジルジスルフィド)、CZ(N‐シクロヘキシル‐2‐ベンゾチアジルスルフェンアミド)などのチアゾール系化合物、もしくはDPG(ジフェニルグアニジン)などのグアニジン系化合物が使用可能であり、ゴム成分100重量部に対して0.1重量部~5重量部で含まれてもよい。
【0110】
前記プロセス油は、ゴム組成物中で軟化剤として作用するものであって、例えば、パラフィン系、ナフテン系、または芳香族系化合物であってもよく、引張強度および耐磨耗性を考慮すると芳香族系プロセス油が、ヒステリシス損および低温特性を考慮するとナフテン系またはパラフィン系プロセス油が使用できる。前記プロセス油は、例えば、ゴム成分100重量部に対して100重量部以下の含量で含まれてもよく、この範囲内である場合、加硫ゴムの引張強度、低発熱性(低燃費性)の低下を防止する効果がある。
【0111】
前記酸化防止剤としては、例えば、2,6‐ジ‐t‐ブチルパラクレゾール、ジブチルヒドロキシトルエニル、2,6‐ビス((ドデシルチオ)メチル)‐4‐ノニルフェノール(2,6‐bis((dodecylthio)methyl)‐4‐nonylphenol)、または2‐メチル‐4,6‐ビス((オクチルチオ)メチル)フェノール(2‐methyl‐4,6‐bis((octylthio)methyl)phenol)が挙げられ、ゴム成分100重量部に対して0.1重量部~6重量部で用いられてもよい。
【0112】
前記老化防止剤としては、例えば、N‐イソプロピル‐N´‐フェニル‐p‐フェニレンジアミン、N‐(1,3‐ジメチルブチル)‐N´‐フェニル‐p‐フェニレンジアミン、6‐エトキシ‐2,2,4‐トリメチル‐1,2‐ジヒドロキノリン、またはジフェニルアミンとアセトンの高温縮合物などが挙げられ、ゴム成分100重量部に対して0.1重量部~6重量部で用いられてもよい。
【0113】
本発明の一実施形態による前記ゴム組成物は、前記配合処方に応じて、バンバリーミキサー、ロール、インターナルミキサーなどの混練機を用いて混練することで得られ、成形加工後、加硫工程により、低発熱性および耐磨耗性に優れたゴム組成物が得られることができる。
【0114】
これにより、前記ゴム組成物は、タイヤトレッド、アンダトレッド、サイドウォール、カーカスコーティングゴム、ベルトコーティングゴム、ビードフィラー、チェーファー、またはビードコーティングゴムなどのタイヤの各部材や、防塵ゴム、ベルトコンベア、ホースなどの各種工業用ゴム製品の製造において有用である。
【0115】
尚、本発明は、前記ゴム組成物を用いて製造されたタイヤを提供する。
【0116】
前記タイヤは、タイヤまたはタイヤトレッドを含んでもよい。
【0117】
実施例
以下、本発明を具体的に説明するために実施例を挙げて詳細に説明する。しかし、本発明による実施例は、種々の形態に変形可能であり、本発明の範囲が、以下で詳述する実施例に限定されると解釈されてはならない。本発明の実施例は、当業界で平均的な知識を有する者に、本発明をより完全に説明するために提供されるものである。
【0118】
実施例1
2器の反応器が直列で連結された連続反応器のうち第1反応器に、n‐ヘキサンに1,3‐ブタジエンが60重量%で溶解された1,3‐ブタジエン溶液を15.0g/h、n‐ヘキサン48.3kg/h、n‐ヘキサンに1,2‐ブタジエンが2.0重量%で溶解された1,2‐ブタジエン溶液を36.0g/h、極性添加剤として、n‐ヘキサンにN,N,N´,N´‐テトラメチルエチレンジアミンが1重量%で溶解された溶液を31.5g/h、重合開始剤として、n‐ヘキサンにn‐ブチルリチウムが10重量%で溶解されたn‐ブチルリチウム溶液を31.5g/hの速度で注入した。この際、第1反応器の温度は65℃になるように維持し、重合転換率が43%となった時に、移送配管を介して、第1反応器から第2反応器へ重合物を移送した。
【0119】
次に、この際、第2反応器の温度は70℃になるように維持し、重合転換率が95%となった時に、移送配管を介して、第2反応器からブレンドタンクへ重合物を移送した。
【0120】
前記第2反応器からブレンドタンクへ重合物を移送する中に、変性剤として、N‐(3‐1H‐イミダゾール‐1‐イル)プロピル)‐3‐(トリエトキシシリル)‐N‐(3
‐(トリエトキシシリル)プロパン‐1‐アミン)(N‐(3‐(1H‐imidazol‐1‐yl)propyl)‐3‐(triethoxysilyl)‐N‐(3‐(triethoxysilyl)propyl)propan‐1‐amine)が20重量%で溶解された溶液を111.7g/hの速度で投入した。
【0121】
その後、第2反応器から排出された重合溶液に、酸化防止剤として、30重量%で溶解されたIR1520(BASF社製)溶液を170g/hの速度で注入して撹拌した。その結果として得られた重合物をスチームで加熱された温水に入れ、撹拌して溶媒を除去し、変性共役ジエン系重合体を製造した。
【0122】
実施例2
3器の反応器が直列で連結された連続反応器のうち第1反応器に、n‐ヘキサンに1,3‐ブタジエンが60重量%で溶解された1,3‐ブタジエン溶液を15.0kg/h、n‐ヘキサン48.3kg/h、n‐ヘキサンに1,2‐ブタジエンが2.0重量%で溶解された1,2‐ブタジエン溶液を36.0g/h、極性添加剤として、n‐ヘキサンにN,N,N´,N´‐テトラメチルエチレンジアミンが1重量%で溶解された溶液を31.5g/h、重合開始剤として、n‐ヘキサンにn‐ブチルリチウムが10重量%で溶解されたn‐ブチルリチウム溶液を47.9g/hの速度で注入した。この際、第1反応器の温度は65℃になるように維持し、重合転換率が48%となった時に、移送配管を介して、第1反応器から第2反応器へ重合物を移送した。
【0123】
第2反応器の温度は70℃になるように維持し、重合転換率が95%となった時に、移送配管を介して、第2反応器から第3反応器へ重合物を移送した。
【0124】
前記第2反応器から第3反応器に重合物を移送し、変性剤として、N,N‐ビス(3‐(ジエトキシ(メチル)シリル)プロピル)‐メチル‐1‐アミン(N,N‐bis(3‐(diethoxy(methyl)silyl)propyl)‐methyl‐1‐amine)が20重量%で溶解された溶液を170.0g/hの速度で第3反応器に投入した。第3反応器の温度は70℃になるように維持した。
【0125】
その後、第3反応器から排出された重合溶液に、酸化防止剤として、30重量%で溶解されたIR1520(BASF社製)溶液を170g/hの速度で注入して撹拌した。その結果として得られた重合物をスチームで加熱された温水に入れ、撹拌して溶媒を除去し、変性共役ジエン系重合体を製造した。
【0126】
実施例3
変性剤として、N,N‐ビス(3‐(ジエトキシ(メチル)シリル)プロピル)‐メチル‐1‐アミンの代りに、3,3´‐(1,1,3,3‐テトラメトキシジシロキサン‐1,3‐ジイル)ビス(N,N‐ジエチルプロパン‐1‐アミン)(3,3´‐(1,1,3,3‐tetramethoxydisiloxane‐1,3‐diyl)bis(N,N‐diethylpropan‐1‐amine)が20重量%で溶解された溶液を135.2g/hの速度で第3反応器に連続的に投入したことを除き、前記実施例2と同様に行って、変性共役ジエン系重合体を製造した。
【0127】
実施例4
変性剤として、N,N‐ビス(3‐(ジエトキシ(メチル)シリル)プロピル)‐メチル‐1‐アミンの代りに、N‐(3,6,9,12‐テトラオキサヘキサデシル)‐N‐(3‐(トリエトキシシリル)プロピル)‐3,6,9,12‐テトラオキサヘキサデカン‐1‐アミン(N‐(3,6,9,12‐tetraoxahexadecyl)‐N‐(3‐(triethoxysilyl)propyl)‐3,6,9,12‐tet
raoxahexadecan‐1‐amine)が20重量%で溶解された溶液を218.7g/hの速度で第3反応器に連続的に投入したことを除き、前記実施例2と同様に行って、変性共役ジエン系重合体を製造した。
【0128】
実施例5
3器の反応器が直列で連結された連続反応器のうち第1反応器に、n‐ヘキサンに1,3‐ブタジエンが60重量%で溶解された1,3‐ブタジエン溶液を15.0kg/h、n‐ヘキサン48.3kg/h、n‐ヘキサンに1,2‐ブタジエンが2.0重量%で溶解された1,2‐ブタジエン溶液を36.0g/h、極性添加剤として、n‐ヘキサンにN,N,N´,N´‐テトラメチルエチレンジアミンが1重量%で溶解された溶液を31.5g/h、重合開始剤として、n‐ヘキサンにn‐ブチルリチウムが10重量%で溶解されたn‐ブチルリチウム溶液を58.5g/hの速度で注入した。この際、第1反応器の温度は55℃になるように維持し、重合転換率が43%となった時に、移送配管を介して、第1反応器から第2反応器へ重合物を移送した。
【0129】
第2反応器の温度は65℃になるように維持し、重合転換率が95%となった時に、移送配管を介して、第2反応器から第3反応器へ重合物を移送した。
【0130】
前記第2反応器から第3反応器に重合物を移送し、変性剤として、1,4‐ビス(3‐(トリエトキシシリル)プロピル)ピペラジンが20重量%で溶解された溶液を104.4g/hの速度で第3反応器に投入した。第3反応器の温度は65℃になるように維持した。
【0131】
その後、第3反応器から排出された重合溶液に、酸化防止剤として、30重量%で溶解されたIR1520(BASF社製)溶液を170g/hの速度で注入して撹拌した。その結果として得られた重合物をスチームで加熱された温水に入れ、撹拌して溶媒を除去し、変性共役ジエン系重合体を製造した。
【0132】
実施例6
2器の反応器が直列で連結された連続反応器のうち第1反応器に、n‐ヘキサンに1,3‐ブタジエンが60重量%で溶解された1,3‐ブタジエン溶液を15.0g/h、n‐ヘキサン48.3kg/h、n‐ヘキサンに1,2‐ブタジエンが2.0重量%で溶解された1,2‐ブタジエン溶液を36.0g/h、極性添加剤として、n‐ヘキサンにN,N,N´,N´‐テトラメチルエチレンジアミンが1重量%で溶解された溶液を98.0g/h、重合開始剤として、n‐ヘキサンにn‐ブチルリチウムが10重量%で溶解されたn‐ブチルリチウム溶液を31.5g/hの速度で注入した。この際、第1反応器の温度は60℃になるように維持し、重合転換率が41%となった時に、移送配管を介して、第1反応器から第2反応器へ重合物を移送した。
【0133】
この際、第2反応器の温度は70℃になるように維持し、重合転換率が95%となった時に、移送配管を介して、第2反応器からブレンドタンクへ重合物を移送した。
【0134】
前記第2反応器からブレンドタンクへ重合物を移送する中に、変性剤として、8,8‐ジブチル‐3,13‐ジメトキシ‐3,13‐ジメチル‐2,14‐ジオキサ‐7,9‐ジチア‐3,13‐ジシラ‐8‐スタンペンタデカン(8,8‐dibutyl‐3,13‐dimethoxy‐3,13‐dimethyl‐2,14‐dioxa‐7,9‐dithia‐3,13‐disila‐8‐stannapentadecane)が20重量%で溶解された溶液を123.8g/hの速度で投入した。
【0135】
その後、第2反応器から排出された重合溶液に、酸化防止剤として、30重量%で溶解
されたIR1520(BASF社製)溶液を170g/hの速度で注入して撹拌した。その結果として得られた重合物をスチームで加熱された温水に入れ、撹拌して溶媒を除去し、変性共役ジエン系重合体を製造した。
【0136】
実施例7
3器の反応器が直列で連結された連続反応器のうち第1反応器に、n‐ヘキサンに1,3‐ブタジエンが60重量%で溶解された1,3‐ブタジエン溶液を15.0kg/h、n‐ヘキサン48.3kg/h、n‐ヘキサンに1,2‐ブタジエンが2.0重量%で溶解された1,2‐ブタジエン溶液を36.0g/h、極性添加剤として、n‐ヘキサンにN,N,N´,N´‐テトラメチルエチレンジアミンが1重量%で溶解された溶液を102.0g/h、重合開始剤として、n‐ヘキサンにn‐ブチルリチウムが10重量%で溶解されたn‐ブチルリチウム溶液を47.9g/hの速度で注入した。この際、第1反応器の温度は60℃になるように維持し、重合転換率が45%となった時に、移送配管を介して、第1反応器から第2反応器へ重合物を移送した。
【0137】
第2反応器の温度は70℃になるように維持し、重合転換率が95%となった時に、移送配管を介して、第2反応器から第3反応器へ重合物を移送した。
【0138】
前記第2反応器から第3反応器に重合物を移送し、変性剤として、N‐(3,6,9,12‐テトラオキサヘキサデシル)‐N‐(3‐(トリエトキシシリル)プロピル)‐3.6.9.12‐テトラオキサヘキサデカン‐1‐アミンが20重量%で溶解された溶液を218.7g/hの速度で第3反応器に投入した。第3反応器の温度は70℃になるように維持した。
【0139】
その後、第3反応器から排出された重合溶液に、酸化防止剤として、30重量%で溶解されたIR1520(BASF社製)溶液を170g/hの速度で注入して撹拌した。その結果として得られた重合物をスチームで加熱された温水に入れ、撹拌して溶媒を除去し、変性共役ジエン系重合体を製造した。
【0140】
実施例8
変性剤として、N‐(3,6,9,12‐テトラオキサヘキサデシル)‐N‐(3‐(トリエトキシシリル)プロピル)‐3,6,9,12‐テトラオキサヘキサデカン‐1‐アミンの代りに、3,3´‐(1,1,3,3,‐テトラメトキシジシロキサン‐1,3‐ジイル)ビス(N,N‐ジエチルプロパン‐1‐アミン)が20重量%で溶解された溶液を135.2g/hの速度で第3反応器に連続的に投入したことを除き、前記実施例7と同様に行って、変性共役ジエン系重合体を製造した。
【0141】
実施例9
3器の反応器が直列で連結された連続反応器のうち第1反応器に、n‐ヘキサンに1,3‐ブタジエンが60重量%で溶解された1,3‐ブタジエン溶液を15.0kg/h、n‐ヘキサン48.3kg/h、n‐ヘキサンに1,2‐ブタジエンが2.0重量%で溶解された1,2‐ブタジエン溶液を36.0g/h、極性添加剤として、n‐ヘキサンに2,2‐ジ(2‐テトラヒドロフリル)プロパンが1重量%で溶解された溶液を51.0g/h、重合開始剤として、n‐ヘキサンにn‐ブチルリチウムが10重量%で溶解されたn‐ブチルリチウム溶液を47.9g/hの速度で注入した。この際、第1反応器の温度は50℃になるように維持し、重合転換率が42%となった時に、移送配管を介して、第1反応器から第2反応器へ重合物を移送した。
【0142】
第2反応器の温度は60℃になるように維持し、重合転換率が95%となった時に、移送配管を介して、第2反応器から第3反応器へ重合物を移送した。
【0143】
前記第2反応器から第3反応器に重合物を移送し、変性剤として、N,N‐ジエチル‐3‐(トリエトキシシリル)プロパン‐1‐アミン(N,N‐diethyl‐3‐(triethoxysilyl)propan‐1‐amine)が20重量%で溶解された溶液を88.2g/hの速度で第3反応器に投入した。第3反応器の温度は60℃になるように維持した。
【0144】
その後、第3反応器から排出された重合溶液に、酸化防止剤として、30重量%で溶解されたIR1520(BASF社製)溶液を170g/hの速度で注入して撹拌した。その結果として得られた重合物をスチームで加熱された温水に入れ、撹拌して溶媒を除去し、変性共役ジエン系重合体を製造した。
【0145】
実施例10
変性剤として、N,N‐ジエチル‐3‐(トリエトキシシリル)プロパン‐1‐アミンの代りに、N,N‐ビス(3‐(ジエトキシ(メチル)シリル)プロピル)‐メチル‐1‐アミンが20重量%で溶解された溶液を120.0g/hの速度で第3反応器に連続的に投入したことを除き、前記実施例9と同様に行って、変性共役ジエン系重合体を製造した。
【0146】
比較例1
3器の反応器が直列で連結された連続反応器のうち第1反応器に、n‐ヘキサンに1,3‐ブタジエンが60重量%で溶解された1,3‐ブタジエン溶液を15.0kg/h、n‐ヘキサン48.3kg/h、n‐ヘキサンに1,2‐ブタジエンが2.0重量%で溶解された1,2‐ブタジエン溶液を36.0g/h、極性添加剤として、n‐ヘキサンにN,N,N´,N´‐テトラメチルエチレンジアミンが1重量%で溶解された溶液を31.5g/h、重合開始剤として、n‐ヘキサンにn‐ブチルリチウムが10重量%で溶解されたn‐ブチルリチウム溶液を58.5g/hの速度で注入した。この際、第1反応器の温度は55℃になるように維持し、重合転換率が46%となった時に、移送配管を介して、第1反応器から第2反応器へ重合物を移送した。
【0147】
第2反応器の温度は65℃になるように維持し、重合転換率が95%となった時に、移送配管を介して、第2反応器から第3反応器へ重合物を移送した。
【0148】
前記第2反応器から第3反応器に重合物を移送し、変性剤として、n‐ヘキサンにテトラクロロシランが20重量%で溶解された溶液を50.3g/hの速度で連続的に第3反応器に投入した。第3反応器の温度は65℃になるように維持した。
【0149】
その後、第3反応器から排出された重合溶液に、酸化防止剤として、30重量%で溶解されたIR1520(BASF社製)溶液を170g/hの速度で注入して撹拌した。その結果として得られた重合物をスチームで加熱された温水に入れ、撹拌して溶媒を除去し、変性共役ジエン系重合体を製造した。
【0150】
比較例2
反応温度を、第1反応器では75℃、第2反応器では85℃、第3反応器では85℃に維持し、重合転換率が70%となった時に、移送配管を介して、第1反応器から第2反応器へ重合物を移送し、変性剤として、n‐ヘキサンに1,4‐ビス(3‐(トリエトキシシリル)プロピル)ピペラジンが20重量%で溶解された溶液を104.4g/hの速度で第3反応器に投入して重合したことを除き、前記比較例1と同様に行って、変性共役ジエン系重合体を製造した。
【0151】
比較例3
20Lのオートクレーブ反応器に、1,3‐ブタジエン1000gおよびノルマルヘキサン5000g、極性添加剤として、N,N,N´,N´‐テトラメチルエチレンジアミン0.3gを入れた後、反応器の内部温度を50℃に昇温した。反応器の内部温度が40℃に達した時に、n‐ブチルリチウム4.4mmolを反応器に投入し、断熱昇温反応を進行させた。25分後、N,N‐ビス(3‐(ジエトキシ(メチル)シリル)プロピル)‐メチル‐1‐アミン4.4mmolを投入し、15分間変性反応させた。その後、エタノールを用いて重合反応を停止させ、酸化防止剤として、IR1520(BASF社)がヘキサンに0.3重量%溶解されている溶液45mlを添加した。その結果として得られた重合物をスチームで加熱された温水に入れ、撹拌して溶媒を除去し、変性共役ジエン系重合体を製造した。
【0152】
比較例4
反応温度を、第1反応器で85℃、第2反応器で75℃、第3反応器で70℃に維持し、重合転換率が68%となった時に、移送配管を介して、第1反応器から第2反応器へ重合物を移送して重合したことを除き、前記実施例3と同様に行って、変性共役ジエン系重合体を製造した。
【0153】
比較例5
変性剤として、1,4´‐ビス(3‐(トリエトキシシリル)プロピル)ピペラジンの代りに、テトラクロロシラン(tetrachlorosilane)が20重量%で溶解された溶液を50.3g/hの速度で投入したことを除き、前記実施例7と同様に行って、変性共役ジエン系重合体を製造した。
【0154】
比較例6
反応温度を、第1反応器で75℃、第2反応器で75℃、第3反応器で70℃に維持し、重合転換率が68%となった時に、移送配管を介して、第1反応器から第2反応器へ重合物を移送して重合したことを除き、前記実施例8と同様に行って、変性共役ジエン系重合体を製造した。
【0155】
比較例7
1器の重合反応器と、1器の変性反応器が直列で連結された連続反応器とを用いて変性共役ジエン系重合体を製造した。
【0156】
具体的に、重合反応器(第1反応器)に、n‐ヘキサンに1,3‐ブタジエンが60重量%で溶解された1,3‐ブタジエン溶液を15.0kg/h、n‐ヘキサン48.3kg/h、n‐ヘキサンに1,2‐ブタジエンが2.0重量%で溶解された1,2‐ブタジエン溶液を36.0g/h、極性添加剤として、n‐ヘキサンに2,2‐ジ(2‐テトラヒドロフリル)プロパンが1重量%で溶解された溶液を51.0g/h、重合開始剤として、n‐ヘキサンにn‐ブチルリチウムが10重量%で溶解されたn‐ブチルリチウム溶液を47.9g/hの速度で注入した。
【0157】
この際、重合反応器の温度は50℃になるように維持し、重合転換率が95%となった時に、移送配管を介して、重合反応器から変性反応器(第2反応器)へ重合物を移送した。
【0158】
前記重合反応器から変性反応器へ重合物を移送する中に、変性剤として、N,N‐ビス(3‐(ジエトキシ(メチル)シリル)プロピル)‐メチル‐1‐アミンが20重量%で溶解された溶液を120.0g/hの速度で投入した。この際、変性反応器の温度は60℃になるように維持し、移送配管を介して、第2反応器からブレンドタンクへ重合物を移
送した。
【0159】
その後、ブレンドタンクに排出された重合溶液に、酸化防止剤として、30重量%で溶解されたIR1520(BASF社製)溶液を170g/hの速度で注入して撹拌した。その結果として得られた重合物をスチームで加熱された温水に入れ、撹拌して溶媒を除去し、変性共役ジエン系重合体を製造した。
【0160】
実験例
実験例1
前記実施例および比較例で製造された各変性または未変性の共役ジエン系重合体に対して、共役ジエン系重合体中のスチレン単位およびビニルの含量、重量平均分子量(Mw、X103g/mol)、数平均分子量(Mn、X103g/mol)、分子量分布(PDI、MWD)、ムーニー粘度(MV)、およびSiの含量をそれぞれ測定した。結果を下記
表1および表2に示した。
【0161】
1)スチレン単位およびビニルの含量
前記変性共役ジエン系重合体中のスチレン単位(SM、重量%)およびビニルの含量(Vinyl、重量%)は、Varian VNMRS 500 MHz NMRを用いて測定および分析した。
【0162】
NMR測定時に、溶媒としては1,1,2,2‐テトラクロロエタンを使用し、溶媒ピーク(solvent peak)は5.97ppmで計算し、7.2~6.9ppmはランダムスチレン、6.9~6.2ppmはブロックスチレン、5.8~5.1ppmは1,4‐ビニル、5.1~4.5ppmは1,2‐ビニルのピークとしてスチレン単位およびビニルの含量を計算した。
【0163】
2)重量平均分子量(Mw、X10
3g/mol)、数平均分子量(Mn、X10
3g/mol)、および分子量分布(PDI;MWD)
GPC(Gel permeation Chromatography)分析により前記重量平均分子量(Mw)、数平均分子量(Mn)を測定し、分子量分布(PDI;MWD;Mw/Mn)は、測定された前記各分子量から計算して得た。具体的に、前記GPCとしては、PLgel Olexis(Polymer Laboratories社製)カラム2本とPLgel mixed‐C(Polymer Laboratories社製)カラム1本を組み合わせて使用し、新たに交替したカラムはいずれもmixed bedタイプのカラムを使用した。分子量の計算時に、GPC基準物質(Standard material)としてはPS(polystyrene)を使用して実施した。GPC測定溶媒は、テトラヒドロフランに2重量%のアミン化合物を交ぜて製造した。この際、得られた分子量分布曲線は
図1~
図3に示した。
【0164】
3)ムーニー粘度
前記ムーニー粘度(MV、(ML1+4、@100℃)MU)は、MV‐2000(ALPHA Technologies社製)により、100℃で、Rotor Speed 2±0.02rpm、Large Rotorを用いて測定した。この際、使用された試料は、室温(23±3℃)で30分以上放置した後、27±3gを採取してダイキャビティの内部に満たしておき、プラテン(Platen)を作動させて4分間測定した。
【0165】
4)Siの含量
前記Siの含量は、ICP分析方法により、誘導結合プラズマ発光分析器(ICP‐OES;Optima 7300DV)を用いて測定した。前記誘導結合プラズマ発光分析器を用いる場合、試料約0.7gを白金るつぼ(Pt crucible)に入れ、濃硫
酸(98重量%、Electronic grade)約1mLを入れて、300℃で3時間加熱し、試料を電気炉(Thermo Scientific、Lindberg Blue M)にて、下記ステップ(step)1~3のプログラムで灰化を進行した後、
1)ステップ1:initial temp 0℃、rate(temp/hr)180℃/hr、temp(holdtime)180℃(1hr)
2)ステップ2:initial temp 180℃、rate(temp/hr)85℃/hr、temp(holdtime)370℃(2hr)
3)ステップ3:initial temp 370℃、rate(temp/hr)47℃/hr、temp(holdtime)510℃(3hr)
残留物に、濃硝酸(48重量%)1mL、濃フッ酸(50重量%)20μlを加え、白金るつぼを密封して30分以上振った(shaking)後、試料にホウ酸(boric
acid)1mLを入れて0℃で2時間以上保管してから、超純水(ultrapure water)30mLに希釈し、灰化を進行して測定した。
【0166】
【0167】
【0168】
前記表1および表2において、極性添加剤、および変性剤の具体的な物質および使用比率は下記のとおりである。
【0169】
*M:PA=変性剤と極性添加剤のモル比
*M:PI=変性剤と重合開始剤(act.Li)のモル比
*DTP:2,2‐ジ(2‐テトラヒドロフリル)プロパン
*TMEDA:N,N,N´,N´‐テトラメチルエチレンジアミン
*変性剤A:N‐(3‐1H‐イミダゾール‐1‐イル)プロピル)‐3‐(トリエトキシシリル)‐N‐(3‐(トリエトキシシリル)プロパン‐1‐アミン)
*変性剤B:N,N‐ビス(3‐(ジエトキシ(メチル)シリル)プロピル)‐メチル‐1‐アミン
*変性剤C:3,3´‐(1,1,3,3‐テトラメトキシジシロキサン‐1,3‐ジイル)ビス(N,N‐ジエチルプロパン‐1‐アミン)
*変性剤D:N‐(3,6,9,12‐テトラオキサヘキサデシル)‐N‐(3‐(ト
リエトキシシリル)プロピル)‐3,6,9,12‐テトラオキサヘキサデカン‐1‐アミン
*変性剤E:8,8‐ジブチル‐3,13‐ジメトキシ‐3,13‐ジメチル‐2,14‐ジオキサ‐7,9‐ジチア‐3,13‐ジシラ‐8‐スタンペンタデカン
*変性剤F:1,4‐ビス(3‐(トリエトキシシリル)プロピル)ピペラジン
*変性剤G:N,N‐ジエチル‐3‐(トリエトキシシリル)プロパン‐1‐アミン
*変性剤H:テトラクロロシラン
前記表1および表2に示されたように、本発明の一実施形態による実施例1~10の変性共役ジエン系重合体は、ゲル浸透クロマトグラフィによる分子量分布曲線が単峰形(unimodal)を有しながらも(
図1および
図2参照)、何れもPDI(分子量分布)が1.7未満であり、Siの含量が100ppm以上であることを確認した。これに対し、比較例1、比較例2、および比較例4~比較例7の変性共役ジエン系重合体は、何れもPDIが1.7を超えており、比較例3の変性共役ジエン系重合体は、ゲル浸透クロマトグラフィによる分子量分布曲線が三峰形(trimodal)を示した(
図3参照)。
【0170】
実験例2
前記実施例および比較例で製造された各変性または未変性の共役ジエン系共重合体を含むゴム組成物、およびそれから製造された成形品の物性を比較分析するために、引張特性、粘弾性特性をそれぞれ測定し、その結果を下記表4および表5に示した。
【0171】
1)ゴム試験片の製造
実施例および比較例の各変性または未変性の共役ジエン系重合体を原料ゴムとして、下記表3に示した配合条件で配合した。表3中の原料は、ゴム100重量部を基準とした各重量部である。
【0172】
【0173】
具体的に、前記ゴム試験片は、第1段混練および第2段混練を経て混練される。第1段
混練では、温度制御装置付きのバンバリーミキサを用いて、原料ゴム、シリカ(充填剤)、有機シランカップリング剤、プロセス油、亜鉛華、ステアリン酸、酸化防止剤、老化防止剤、およびワックスを混練した。この際、混練機の初期温度を70℃に制御し、配合完了後、145℃~155℃の排出温度で1次配合物を得た。第2段混練では、前記1次配合物を室温まで冷却した後、混練機に1次配合物、硫黄、ゴム促進剤、および加硫促進剤を加え、100℃以下の温度で混合して2次配合物を得た。その後、160℃で20分間キュアリング工程を経てゴム試験片を製造した。
【0174】
2)引張特性
引張特性は、ASTM412の引張試験法に準じて各試験片を製造し、前記試験片の切断時における引張強度および300%伸び時の引張応力(300%モジュラス)を測定した。具体的に、引張特性は、Universal Test Machin 4204(Instron社製)引張試験機を用いて、室温で50cm/minの速度で測定した。
【0175】
3)粘弾性特性
粘弾性特性は、動的機械分析機(GABO社製)を用いて、Film Tensionモードで、周波数10Hz、各測定温度(-60℃~60℃)で動的変形に対する粘弾性挙動を測定し、tanδ値を確認した。結果値において、低温0℃でのtanδの指数値が高いほど、ウェットグリップ性に優れることを意味し、高温60℃でのtanδの指数値が高いほど、ヒステリシス損が少なく、低走行抵抗性(燃費性)に優れることを意味する。この際、実施例1~実施例5、および比較例2~比較例4の結果値は、比較例1の結果値を100として指数化して示した。また、実施例6~実施例10、比較例6、および比較例7の各結果値は、比較例5の結果値を100として指数化して示した。
【0176】
4)加工性特性
前記1)ゴム試験片の製造時に得られた2次配合物のムーニー粘度(MV、(ML1+4、@100℃)MU)を測定し、各重合体の加工性特性を比較分析した。この際、ムーニー粘度の測定値が低いほど、加工性特性に優れることを意味する。
【0177】
具体的に、MV‐2000(ALPHA Technologies社製)により、100℃で、Rotor Speed 2±0.02rpm、Large Rotorを使用し、各2次配合物は、室温(23±3℃)で30分以上放置した後、27±3gを採取してダイキャビティの内部に満たしておき、プラテン(Platen)を作動させて4分間測定した。
【0178】
【0179】
【0180】
前記表4および表5に示されたように、本発明の一実施形態による実施例1~実施例10が、比較例1~比較例7に比べて引張特性、粘弾性特性、および加工性特性が改善され
たことを確認した。
【0181】
一方、粘弾性特性において、通常、0℃でのtanδ値と、60℃でのtanδ値とがともに向上する特性を有することは非常に難しいと知られている。したがって、比較例1~比較例7に比べて0℃でのtanδ値は同等以上の優れたレベルを示しながらも、60℃でのtanδ値が著しく改善される効果を示す実施例1~実施例10は、粘弾性特性に非常に優れることが分かる。