(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-14
(45)【発行日】2023-12-22
(54)【発明の名称】時間依存欠陥検査装置
(51)【国際特許分類】
H01L 21/66 20060101AFI20231215BHJP
H01J 37/28 20060101ALI20231215BHJP
【FI】
H01L21/66 N
H01J37/28 B
(21)【出願番号】P 2021507515
(86)(22)【出願日】2019-08-22
(86)【国際出願番号】 EP2019072434
(87)【国際公開番号】W WO2020043583
(87)【国際公開日】2020-03-05
【審査請求日】2021-04-06
【審判番号】
【審判請求日】2022-12-02
(32)【優先日】2018-08-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】504151804
【氏名又は名称】エーエスエムエル ネザーランズ ビー.ブイ.
(74)【代理人】
【識別番号】100079108
【氏名又は名称】稲葉 良幸
(74)【代理人】
【識別番号】100109346
【氏名又は名称】大貫 敏史
(74)【代理人】
【識別番号】100117189
【氏名又は名称】江口 昭彦
(74)【代理人】
【識別番号】100134120
【氏名又は名称】内藤 和彦
(72)【発明者】
【氏名】ジェン,チー-ユ
(72)【発明者】
【氏名】マ,ロン
(72)【発明者】
【氏名】ワン,ヨンジュン
(72)【発明者】
【氏名】ジアン,ジュン
【合議体】
【審判長】河本 充雄
【審判官】松永 稔
【審判官】市川 武宜
(56)【参考文献】
【文献】特開2008-135733(JP,A)
【文献】特開2006-258445(JP,A)
【文献】特開2011-154918(JP,A)
【文献】特開2006-331825(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L21/66, H01J37/28
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ウェーハを検査するための荷電粒子ビームシステムであって、
1つ以上の時間シーケンスにわたって荷電粒子を前記ウェーハの1つ以上のエリアに誘導するための回路を含む荷電粒子ビーム源と、
コントローラであって、
前記1つ以上の時間シーケンスのうちの第1の時間シーケンス中に前記1つ以上のエリアのうちの第1のエリアの第1の組の画像を生成することと、
前記第1の組の画像を処理して前記ウェーハにおける薄いデバイス構造内の欠陥を検出することとのための回路を含むコントローラと
を備え、
前記コントローラは、前記第1の組の画像における各画像の生成の間の時間間隔を調整するための回路を含み、
前記コントローラは、
前記第1の組の画像から第1の画像及び第2の画像をサンプリングすることであって、前記第1の画像は前記第1の時間シーケンスの第1の時間でサンプリングされ、前記第2の画像は前記第1の時間シーケンスの第2の時間でサンプリングされる、サンプリングすることと、
前記第1の画像を前記第2の画像と比較して前記ウェーハの前記1つ以上のエリアのうちの前記第1のエリアにおける前記欠陥を識別することとのための回路を含む
、システム。
【請求項2】
ウェーハを検査するための荷電粒子ビームシステムであって、
1つ以上の時間シーケンスにわたって荷電粒子を前記ウェーハの1つ以上のエリアに誘導するための回路を含む荷電粒子ビーム源と、
コントローラであって、
前記1つ以上の時間シーケンスのうちの第1の時間シーケンス中に前記1つ以上のエリアのうちの第1のエリアの第1の組の画像を生成することと、
前記第1の組の画像を処理して前記ウェーハにおける薄いデバイス構造内の欠陥を検出することとのための回路を含むコントローラと
を備え、
前記コントローラは、前記第1の組の画像における各画像の生成の間の時間間隔を調整するための回路を含み、
前記コントローラは、
前記1つ以上の時間シーケンスのうちの第2の時間シーケンス中に前記1つ以上のエリアのうちの前記第1のエリアの第2の組の画像を生成することと、
前記第1の組の画像から第1の画像及び前記第2の組の画像から第2の画像をサンプリングすることと、
前記第1の画像を前記第2の画像と比較して前記ウェーハの前記1つ以上のエリアのうちの前記第1のエリアにおける前記欠陥を識別することとのための回路を含
む、システム。
【請求項3】
ウェーハを検査するための荷電粒子ビームシステムであって、
1つ以上の時間シーケンスにわたって荷電粒子を前記ウェーハの1つ以上のエリアに誘導するための回路を含む荷電粒子ビーム源と、
コントローラであって、
前記1つ以上の時間シーケンスのうちの第1の時間シーケンス中に前記1つ以上のエリアのうちの第1のエリアの第1の組の画像を生成することと、
前記第1の組の画像を処理して前記ウェーハにおける薄いデバイス構造内の欠陥を検出することとのための回路を含むコントローラと
を備え、
前記コントローラは、前記第1の組の画像における各画像の生成の間の時間間隔を調整するための回路を含み、
前記コントローラは、
前記1つ以上の時間シーケンスのうちの第2の時間シーケンス中に前記1つ以上のエリアのうちの第2のエリアの第2の組の画像を生成することであって、前記第1のエリア及び前記第2のエリアは同じデバイス構造を含む、生成することと、
前記第1の組の画像から第1の画像及び前記第2の組の画像から第2の画像をサンプリングすることと、
前記第1の画像を前記第2の画像と比較して前記ウェーハの前記1つ以上のエリアのうちの前記第1のエリア又は前記第2のエリアにおける前記欠陥を識別することとのための回路を含む
、システム。
【請求項4】
前記第1の画像及び前記第2の画像は、前記第1の時間シーケンス及び前記第2の時間シーケンスの対応する時間でサンプリングされる、請求項
2に記載のシステム。
【請求項5】
前記第1の画像及び前記第2の画像は、電圧コントラストレベルを含む、請求項
1に記載のシステム。
【請求項6】
前記コントローラは、前記第1の画像の前記電圧コントラストレベルと前記第2の画像の前記電圧コントラストレベルとの間の差を検出して前記薄いデバイス構造内の欠陥を識別するための回路を含む、請求項
5に記載のシステム。
【請求項7】
前記荷電粒子ビーム源は、
前記1つ以上の時間シーケンスの第1の部分中に前記ウェーハの前記1つ以上のエリアを事前スキャンすることと、
前記1つ以上の時間シーケンスの第2の部分中に前記ウェーハの前記1つ以上のエリアを検査することとのための回路を含む、請求項1
~3のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項8】
前記荷電粒子ビーム源は、前記1つ以上の時間シーケンスの前記第1の部分中に事前スキャンを行いながら前記ウェーハの前記1つ以上のエリアで1つ以上の表面電位を増大させるための回路を含む、請求項
7に記載のシステム。
【請求項9】
前記コントローラは、前記第2の組の画像における各画像の生成の間の時間間隔を調整するための回路を含む、請求項
2に記載のシステム。
【請求項10】
前記欠陥は、前記エリアにおける前記薄いデバイス構造内の漏電に関連する電気的欠陥を含む、請求項1
~3のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項11】
前記薄いデバイス構造は、エッチングプロセスの後に残る薄酸化物を含む、請求項
10に記載のシステム。
【請求項12】
荷電粒子ビームシステムのプロセッサによって実行可能な一組の命令を記憶する非一時的コンピュータ可読媒体であって、前記命令は、1つ以上の時間シーケンスにわたってウェーハの1つ以上のエリア上に荷電粒子を誘導するための荷電粒子ビーム源を用いて、前記荷電粒子ビームシステムに、
前記1つ以上の時間シーケンスのうちの第1の時間シーケンス中に前記1つ以上のエリアのうちの第1のエリアの第1の組の画像を生成することと、
前記第1の組の画像から第1の画像及び第2の画像をサンプリングすることであって、前記第1の画像は前記第1の時間シーケンスの第1の時間でサンプリングされ、前記第2の画像は前記第1の時間シーケンスの第2の時間でサンプリングされる、サンプリングすることと、
前記第1の画像を前記第2の画像と比較して前記ウェーハの前記1つ以上のエリアのうちの前記第1のエリアにおける薄いデバイス構造内の欠陥を識別することと、
前記第1の組の画像における各画像の生成の間の時間間隔を調整することとを含む方法を行わせる、
非一時的コンピュータ可読媒体。
【請求項13】
荷電粒子ビームシステムのプロセッサによって実行可能な一組の命令を記憶する非一時的コンピュータ可読媒体であって、前記命令は、1つ以上の時間シーケンスにわたってウェーハの1つ以上のエリア上に荷電粒子を誘導するための荷電粒子ビーム源を用いて、前記荷電粒子ビームシステムに、
前記1つ以上の時間シーケンスのうちの第1の時間シーケンス中に前記1つ以上のエリアのうちの第1のエリアの第1の組の画像を生成することと、
前記1つ以上の時間シーケンスのうちの第2の時間シーケンス中に前記1つ以上のエリアのうちの前記第1のエリアの第2の組の画像を生成することと、
前記第1の組の画像から第1の画像及び前記第2の組の画像から第2の画像をサンプリングすることと、
前記第1の画像を前記第2の画像と比較して前記ウェーハの前記1つ以上のエリアのうちの前記第1のエリアにおける薄いデバイス構造内の欠陥を識別することと、
前記第1の組の画像における各画像の生成の間の時間間隔を調整することとを含む方法を行わせる、非一時的コンピュータ可読媒体。
【請求項14】
荷電粒子ビームシステムのプロセッサによって実行可能な一組の命令を記憶する非一時的コンピュータ可読媒体であって、前記命令は、1つ以上の時間シーケンスにわたってウェーハの1つ以上のエリア上に荷電粒子を誘導するための荷電粒子ビーム源を用いて、前記荷電粒子ビームシステムに、
前記1つ以上の時間シーケンスのうちの第1の時間シーケンス中に前記1つ以上のエリアのうちの第1のエリアの第1の組の画像を生成することと、
前記1つ以上の時間シーケンスのうちの第2の時間シーケンス中に前記1つ以上のエリアのうちの第2のエリアの第2の組の画像を生成することであって、前記第1のエリア及び前記第2のエリアは同じデバイス構造を含む、生成することと、
前記第1の組の画像から第1の画像及び前記第2の組の画像から第2の画像をサンプリングすることと、
前記第1の画像を前記第2の画像と比較して前記ウェーハの前記1つ以上のエリアのうちの前記第1のエリア又は前記第2のエリアにおける薄いデバイス構造内の欠陥を識別することと、
前記第1の組の画像における各画像の生成の間の時間間隔を調整することとを含む方法を行わせる、非一時的コンピュータ可読媒体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願への相互参照
[0001] 本願は、2018年8月28日に出願した米国特許出願第62/723,995号の優先権を主張し、その全体を本願に参考として組み込む。
【0002】
[0002] 本明細書で提供する実施形態は、粒子ビーム検査装置、より具体的には、改良された検出ユニットを含む粒子ビーム検査装置について開示する。
【背景技術】
【0003】
[0003] 半導体集積回路(IC)チップを製造する際、製造プロセスの間にウェーハ又はマスク上にパターン欠陥又は招かれざる粒子(残留物)が不可避的に発生し、それによって歩留まりが低下する。例えば、招かれざる粒子は、ICチップの一段とより高度化した性能要件を満たすために採用されてきた、クリティカルフィーチャディメンションがより小さなパターンにとって、問題となり得る。
【0004】
[0004] 荷電粒子ビームを用いたパターン検査ツールを使用して、欠陥又は招かれざる粒子を検出してきた。これらのツールは通常、走査電子顕微鏡(SEM)を採用している。SEMでは、比較的高いエネルギーを有する一次電子のビームを減速させて、比較的低いランディングエネルギーでサンプルに入射させ、集束させてサンプル上にプローブスポットを形成する。一次電子のこの集束したプローブスポットに起因して、表面から二次電子が生成される。二次電子は、ウェーハとの一次電子の相互作用から生じる後方散乱電子、二次電子又はオージェ電子を含むことができる。サンプル表面にわたってプローブスポットをスキャンさせ二次電子を収集することにより、パターン検査ツールはサンプル表面の画像を取得することができる。
【発明の概要】
【0005】
[0005] 本明細書で提供する実施形態は、ウェーハを検査するための荷電粒子ビームシステム、より具体的には、改良された検出ユニットを含む粒子ビームシステムについて開示する。
【0006】
[0006] 一部の実施形態では、ウェーハを検査するための荷電粒子ビームシステムは、1つ以上の時間シーケンスにわたって荷電粒子をウェーハの1つ以上のエリアに誘導するための回路を含む荷電粒子ビーム源を備える。荷電粒子ビームシステムは、1つ以上の時間シーケンスのうちの第1の時間シーケンス中に1つ以上のエリアのうちの第1のエリアの第1の組の画像を生成するための回路を含むコントローラをさらに備える。コントローラは、第1の組の画像を処理してウェーハにおける薄いデバイス構造内の欠陥を検出するための回路も含む。
【0007】
[0007] 一部の実施形態では、ウェーハを検査する方法が提供される。方法は、荷電粒子ビーム源を有する荷電粒子ビームシステムを用いて1つ以上の時間シーケンスにわたって荷電粒子をウェーハの1つ以上のエリア上に誘導する。方法は、1つ以上の時間シーケンスのうちの第1の時間シーケンス中に1つ以上のエリアのうちの第1のエリアの第1の組の画像を生成することを含む。方法は、第1の組の画像を処理してウェーハにおける薄いデバイス構造内の欠陥を検出することをさらに含む。
【0008】
[0008] 一部の実施形態では、荷電粒子ビームシステムのプロセッサによって実行可能な一組の命令を記憶する非一時的なコンピュータ可読媒体が提供される。命令は、1つ以上の時間シーケンスにわたって荷電粒子をウェーハの1つ以上のエリア上に誘導するための荷電粒子ビーム源を用いて、荷電粒子ビームシステムに方法を行わせる。方法は、1つ以上の時間シーケンスのうちの第1の時間シーケンス中に1つ以上のエリアのうちの第1のエリアの第1の組の画像を生成することを含む。方法は、第1の組の画像を処理してウェーハにおける薄いデバイス構造内の欠陥を検出することをさらに含む。
【0009】
[0009] 本発明の他の利点が、添付の図面と併せて解釈される以下の説明から明らかになるであろう。添付の図面には、図示及び例示の目的で、本発明の特定の実施形態が記載されている。
【図面の簡単な説明】
【0010】
[0010] 本開示の上記の及び他の態様が、添付の図面と併せて解釈される例示的な実施形態の説明により、一層明らかになるであろう。
【
図1】[0011]
図1は、本開示の実施形態と一致した、例示的な荷電粒子ビーム検査システムを示す概略図である。
【
図2】[0012]
図2は、本開示の実施形態と一致した、例示的な電子ビームツールを示す概略図である。
【
図3】[0013]
図3は、一次電子のランディングエネルギーに対する二次電子の歩留まりを示す例示的なグラフである。
【
図4】[0014]
図4は、本開示の実施形態と一致した、ウェーハの電圧コントラスト応答を示す概略図である。
【
図5A】[0015]
図5Aは、本開示の実施形態と一致した、時間シーケンスにわたる例示的な電圧コントラスト画像の図である。
【
図5B】[0015]
図5Bは、本開示の実施形態と一致した、時間シーケンスにわたる例示的な電圧コントラスト画像の図である。
【
図6】[0016]
図6は、本開示の実施形態と一致した、電圧コントラスト画像の例示的な処理の図である。
【
図7】[0017]
図7は、本開示の実施形態と一致した、時間依存欠陥を検出するための例示的な方法を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
[0018] ここで、例示的な実施形態を詳細に参照する。これらの実施形態の例が、添付の図面に示されている。以下の説明は添付の図面を参照し、異なる図面中の同じ番号は、特に断りのない限り、同じ又は同様の要素を表す。例示的な実施形態の以下の説明文中に記載される実装は、本発明と一致する全ての実装を表すものではない。その代わり、それらは、添付の特許請求の範囲に列挙されるような本発明に関連する態様と一致する装置及び方法の単なる例にすぎない。
【0012】
[0019] デバイスの物理的寸法を縮小する一方、電子デバイスの強化された演算能力は、ICチップ上でのトランジスタ、キャパシタ、ダイオード等の回路部品の記録密度を著しく増大させることにより達成することができる。例えば、スマートフォン内のICチップは、親指の爪程小さいことがありながら、20億個を超えるトランジスタを含むことができ、各トランジスタの寸法は、人間の髪の毛の寸法の1/1000よりも小さい。よって、半導体IC製造が数百にのぼる個別ステップを有する複雑で時間がかかるプロセスであることは驚くに当たらない。たった1つのステップでのエラーが、完成品の機能に著しく影響を与える可能性がある。たった1つの「キラー欠陥」がデバイス故障を起こし得る。製造プロセスのゴールは、プロセスの全体的歩留まりを向上させることである。例えば、50個のステップのプロセスの歩留まりが75%となるためには、各個別のステップが99.4%より高い歩留まりを有する必要があり、個別ステップの歩留まりが95%であった場合、全体的なプロセス歩留りは7%に落ちる。
【0013】
[0020] ICチップ製造設備においては製造工程の歩留まりが高いことが望ましいが、1時間当たりに処理されるウェーハの数として定義されるウェーハスループットを高く維持することも必須である。高いプロセスの歩留まり及び高いウェーハスループットは、とりわけ欠陥を点検するためにオペレーターの介在が必要である場合には、欠陥の存在によって影響されることがある。したがって、高い歩留まり及び低コストを維持するためには、検査ツール(SEMなど)によるミクロ及びナノサイズの欠陥の、高いスループットの検出及び識別が必須である。
【0014】
[0021] SEMは、集束した電子ビームでウェーハの表面をスキャンする。電子はウェーハと相互作用し、二次電子を生成する。電子ビームでウェーハをスキャンしかつ検出器で二次電子を捉えることにより、SEMは、検査されているウェーハのエリア下の内部デバイス構造を示すウェーハの画像を作り出す。
【0015】
[0022] 従来のSEM検査ツールは、ウェーハのエリアの単一の画像を取得し、欠陥が全く存在しない対応するデバイス構造を表す基準画像に対して取得した画像を比較する。画像の比較から検出された差は、検査中のウェーハのエリア内の欠陥を示し得る。
【0016】
[0023] しかしながら、このような従来の検査技術(例えば、任意の時点で単一の画像のみを捉えること)は、欠陥のある薄い構造の電気的特性が経時的に変化するため、薄いデバイス構造内の欠陥を識別するために有用とならない場合がある。例えば、検査中のウェーハに欠陥が実際に存在しても、薄い構造のそのような時間依存挙動により、時々単一の取得画像を適切な時に捉えて基準画像との差を示すことができるが、他の時には、取得画像は差を全く示さない場合もある。したがって、従来のSEM検査ツールは、薄いデバイス構造内の欠陥を確実に識別することができない。
【0017】
[0024] 本開示の一態様は、上記の時間依存挙動を表示する薄いデバイス欠陥を確実に検出することができる改良された検査ツールを含む。例えば、改良された検査ツールは、時間シーケンスにわたってウェーハの同じエリアから複数の画像を取得することができる。同じ配置の複数の画像(異なる時間にサンプリングされた画像とともに)を比較することによって、改良された検査ツールは、ウェーハのエリア内の薄いデバイス欠陥によってもたらされた電気的特性のあらゆる変化を検出することができる。
【0018】
[0025] 図面における構成要素の相対的な寸法は、理解しやすいように誇張されていることがある。以下の図面の説明では、同じ又は同様の参照番号は、同じ又は同様の構成要素又はエンティティを指しており、個々の実施形態に関して異なる点のみが説明されている。本明細書で使用する場合、特段の断りがない限り、「又は」という用語は、実行不可能である場合を除いて、全ての可能な組み合わせを包含する。例えば、データベースがA又はBを含むことがあると記載されている場合、特段の断りがない限り又は実行不可能でない限り、データベースはA、又はB、又はA及びBを含むことがある。第2の例として、データベースがA、B、又はCを含むことがあると記載されている場合、特段の断りがない限り又は実行不可能でない限り、データベースはA、又はB、又はC、又はA及びB、又はA及びC、又はB及びC、又はA及びB及びCを含むことがある。
【0019】
[0026] ここで
図1Aを参照すると、
図1Aは本開示の実施形態と一致した、例示的な荷電粒子ビーム検査システム100を示す概略図である。
図1に示すように、荷電粒子ビーム検査システム100は、メインチャンバ10、ロードロックチャンバ20、電子ビームツール40、及び機器フロントエンドモジュール(EFEM)30を含む。電子ビームツール40は、メインチャンバ10内部に配置されている。説明及び図面は電子ビームに関係しているが、実施形態は、本開示を特定の荷電粒子に制限するために使用されるのではないことが、理解されよう。
【0020】
[0027] EFEM30は、第1のローディングポート30a及び第2のローディングポート30bを含む。EFEM30は、追加の(1つ以上の)ローディングポートを含んでもよい。第1のローディングポート30a及び第2のローディングポート30bは、例えば、検査されるべきウェーハ(例えば、半導体ウェーハ又は他の(1つ以上の)材料で作られたウェーハ)又はサンプル(ウェーハ及びサンプルは、以降ではまとめて「ウェーハ」と呼ぶ)を収容するウェーハフープ(front opening unified pod)(FOUP)を受け取ることができる。EFEM30内の1つ以上のロボットアーム(図示せず)が、ウェーハをロードロックチャンバ20に運ぶ。
【0021】
[0028] ロードロックチャンバ20は、ロードロック真空ポンプシステム(図示せず)に接続されることがあり、このポンプシステムは、大気圧よりも低い第1の圧力に達するように、ロードロックチャンバ20内のガス分子を除去する。第1の圧力に達した後、1つ以上のロボットアーム(図示せず)がウェーハをロードロックチャンバ20からメインチャンバ10に運ぶ。メインチャンバ10は、メインチャンバ真空ポンプシステム(図示せず)に接続され、このポンプシステムは、第1の圧力よりも低い第2の圧力に達するように、メインチャンバ10内のガス分子を除去する。第2の圧力に達した後、ウェーハは電子ビームツール40による検査にかけられる。一部の実施形態では、電子ビームツール40は、単一のビーム電子検査ツールを含むことができる。他の実施形態では、電子ビームツール40は、マルチビーム電子検査ツールを含むことができる。
【0022】
[0029] コントローラ50は、電子ビームツール40に電子的に接続されている。コントローラ50は、荷電粒子ビーム検査システム100の様々な制御を実行するように構成されたコンピュータであってもよい。
図1では、コントローラ50は、メインチャンバ10、ロードロックチャンバ20、及びEFEM30を含む構造の外部にあるものとして示されているが、コントローラ50はこの構造の一部とすることもできることが理解されよう。本開示は、電子ビーム検査ツールを収容するメインチャンバ10の例を提供しているが、最も広い意味での本開示の態様は、電子ビーム検査ツールを収容するチャンバに限定されないことに、留意されたい。むしろ、前述の原理は、第2の圧力下で動作する他のツールにも適用され得ることが理解されよう。
【0023】
[0030] ここで
図2を参照すると、
図2は、本開示の実施形態と一致した、電子ビームツール40及び画像処理システム250を含む例示的な結像システム200を示す概略図である。
【0024】
[0031]
図2に示すように、電子ビームツール40は、電動式ステージ201と、検査されるウェーハ203を保持するために電動式ステージ201によって支持されたウェーハホルダ202とを含んでもよい。電子ビームツール40は、複合対物レンズ204と、電子検出器206(電子センサ面を含む)と、対物開口208と、集光レンズ210と、ビーム限界開口212と、銃開口214と、アノード216と、カソード218とをさらに含んでもよく、これらの1つ以上は、電子ビームツール40の光軸217と位置合わせされてよい。一部の実施形態では、検出器206は、軸217から外れて配置されてもよい。
【0025】
[0032] 一部の実施形態では、複合対物レンズ204は、改良型スウィング対物減速液浸レンズ(modified swing objective retarding immersion lens)(SORIL)を含んでもよく、これは磁極片204aと、制御電極204bと、デフレクタ又は一組のデフレクタ204cと、励磁コイル204dとを含んでもよい。電子ビームツール40は、ウェーハ上の材料を特徴付けるためにエネルギー分散型X線分光計(EDS)検出器(図示せず)をさらに含むことができる。
【0026】
[0033] 一次電子ビーム220は、アノード216とカソード218との間に電圧を印加することによってカソード218から放出されることができる。一次電子ビーム220は、銃開口214及びビーム限界開口212を通過することができ、この両方は、ビーム限界開口212の下に存在する集光レンズ210に入る電子ビームの電流を決定することができる。集光レンズ210は、ビームが対物開口208に入る前に一次電子ビーム220集束させて複合対物レンズ204に入る前に電子ビームの電流を設定することができる。
【0027】
[0034] 複合対物レンズ204は、検査のために一次電子ビーム220をウェーハ203上に集束させてウェーハ203の表面上にプローブスポット222を形成することができる。(1つ以上の)デフレクタ204cは、一次電子ビーム220を偏向させてウェーハ203にわたってプローブスポット222をスキャンすることができる。例えば、スキャン処理中、(1つ以上の)デフレクタ204cを制御して一次電子ビーム220を連続的に異なる時点でウェーハ203の上面の異なる配置上に偏向させてウェーハ203の異なる部分に対する画像の再構築のためのデータを提供することができる。さらに、一部の実施形態では、デフレクタ204cを、異なる時点で、特定の配置におけるウェーハ203の異なる側面に一次電子ビーム220を偏向させるように制御してその配置におけるウェーハ構造の立体画像の再構築のためのデータを提供することもできる。さらに、一部の実施形態では、アノード216及びカソード218は、複数の一次電子ビーム220を生成するように構成されてもよく、電子ビームツール40は、複数の一次電子ビーム220を同時にウェーハ203の異なる部分/側面に投影するために複数のデフレクタ204cを含んでもよい。
【0028】
[0035] 電流が励起コイル204dに加えられると、軸対称(すなわち、光軸217に対称的な)磁界をウェーハ表面エリアに生成することができる。一次電子ビーム220によってスキャンされているウェーハ203の一部を磁界に液浸させることができる。一部の実施形態では、異なる電圧をウェーハ203、磁極片204a及び制御電極204bに印加させて軸対称減速電界をウェーハ表面の近くに生成することができる。ビームの電子がウェーハ203と衝突する前に、電界は、ウェーハの表面の近くの衝突一次電子ビーム220のエネルギーを減少させることができる。磁極片204aから電気的に絶縁された制御電極204bは、ウェーハ上の軸対称電界を制御してウェーハのマイクロアーク放電を防ぎかつ軸対称磁界とともにウェーハ表面での適切なビーム集束を確実にすることができる。
【0029】
[0036] 二次電子ビーム230は、一次電子ビーム220を受けた際にウェーハ203の一部から放出されることができる。二次電子ビーム230は、ウェーハ203との一次電子の相互作用から生じる後方散乱電子、二次電子又はオージェ電子を含むことができる。二次電子ビーム230は、電子検出器206のセンサ表面によって受けることができる。一部の実施形態では、電子検出器206は、二次電子ビーム230の強度を表す信号(例えば、電圧、電流等)を生成し、かつ電子検出器206と連結した画像処理システム250に信号を提供することができる。二次電子ビーム230の強度は、ウェーハ203の外部又は内部構造によって変化し、よって、ウェーハ203が欠陥を含むか否かを示すことができる。さらに、上述したように、一次電子ビーム220は、ウェーハ203の上面の異なる配置又は特定の配置におけるウェーハ203の異なる側面に投影されて異なる強度の二次電子ビーム230を生成することができる。したがって、二次電子ビーム230の強度をウェーハ203のエリアとマッピングすることによって、画像処理システム250は、ウェーハ203の内部又は外部構造の特性を反映する画像を再構築することができる。
【0030】
[0037] 一部の実施形態では、結像システム200は、画像アクワイアラ(acquirer)260、ストレージ270及びコントローラ50を含む画像処理システム250を備えてもよい。画像アクワイアラ260は、1つ以上のプロセッサを含んでもよい。例えば、画像アクワイアラ260は、コンピュータ、サーバ、メインフレームホスト、ターミナル、パーソナルコンピュータ、あらゆる種類のモバイルコンピューティングデバイス等又はそれらの組み合わせを含んでもよい。画像アクワイアラ260は、電気導体、光ファイバケーブル、携帯記憶媒体、IR、ブルートゥース、インターネット、無線ネットワーク、無線ラジオ又はその組み合わせ等の媒体を通して電子ビームツール40の検出器206に伝達的に結合されてもよい。一部の実施形態では、画像アクワイアラ260は、検出器206から信号を受信し、画像を構築することができる。よって、画像アクワイアラ260は、ウェーハ203の画像を取得することができる。画像アクワイアラ260は、輪郭の生成、取得した画像へのインジケータの重ね合わせ等の様々な後処理機能を行うこともできる。画像アクワイアラ260は、取得した画像の明るさやコントラスト等の調整を行うように構成されてもよい。一部の実施形態では、ストレージ270は、ハードディスク、フラッシュドライブ、クラウドストレージ、ランダムアクセスメモリ(RAM)、他の種類のコンピュータ可読メモリ等の記憶媒体であってもよい。ストレージ270は、画像アクワイアラ260と結合され、かつスキャンした生画像データを原画像として保存するため、及び、後処理されたイメージを保存するために使用されてもよい。画像アクワイアラ260及びストレージ270はコントローラ50に接続されてもよい。一部の実施形態では、画像アクワイアラ260、ストレージ270及びコントローラ50は、1つの制御ユニットとして一緒に統合されてもよい。
【0031】
[0038] 一部の実施形態では、画像アクワイアラ260は、検出器206から受信した結像信号に基づいてサンプルの1つ以上の画像を取得することができる。結像信号は、荷電粒子結像を行うためのスキャン動作に対応することができる。取得した画像は、複数の結像エリアを含む単一の画像であってもよい。単一の画像をストレージ270に記憶することができる。単一の画像は、複数の領域に分けることができる原画像であってもよい。各領域は、ウェーハ203のフィーチャを含む1つの結像エリアを含んでもよい。取得した画像は、時間シーケンスにわたって複数回サンプリングされたウェーハ203の単一の結像エリアの複数の画像を含んでもよい。複数の画像をストレージ270に記憶することができる。一部の実施形態では、画像処理システム250は、ウェーハ203の同じ配置の複数の画像で画像処理ステップを行うように構成されてもよい。
【0032】
[0039] 一部の実施形態では、画像処理システム250は、検出された二次電子の分配を得るために測定回路(例えば、アナログ・デジタル変換器)を含んでもよい。検出時間ウィンドウ中に収集された電子分配データは、ウェーハ表面に入射する一次電子ビーム220の対応するスキャンパスデータと組み合わせて、検査中のウェーハ構造の画像を再構築するために使用することができる。再構築された画像を、ウェーハ203の内部又は外部構造の様々なフィーチャを明らかにするために使用し、それによりウェーハに存在し得るあらゆる欠陥を明らかにするために使用することができる。
【0033】
[0040] さらに、
図2は電子ビームツール40が単一の一次電子ビームを使用することを示すが、電子ビームツール40が複数の一次電子ビームを用いるマルチビーム検査ツールであってもよいことが理解されよう。本開示は、電子ビームツール40で使用される一次電子ビームの数を制限しない。
【0034】
[0041] ここで
図3を参照すると、
図3は、一次電子のランディングエネルギーに対する二次電子の歩留まり率を示す例示的なグラフである。グラフは、(
図2の一次電子ビーム220のような)一次電子ビームのランディングエネルギーと(
図2の二次電子ビーム230のような)二次電子ビームの歩留まり率との関係を示す。歩留まり率は、一次電子の衝突に応答して二次電子がいくつ生成されるかを示す。例えば、1.0より高い歩留まり率は、ウェーハ上に着地した一次電子の量より多くの量の二次電子が生成され得ることを示す。同様に、1.0より低い歩留まり率は、一次電子の衝突に応答してより少ない量の二次電子が生成され得ることを示す。
【0035】
[0042]
図3のグラフに示すように、一次電子のランディングエネルギーがE
1~E
2の範囲内であった場合、ウェーハの表面に着地した電子より多くの電子が表面から離れ得ることにより、ウェーハの表面において正の電位という結果となる。一部の実施形態では、ランディングエネルギーの前述の範囲で欠陥検査を行ってもよく、これを「ポジティブモード」と呼ぶ。
図4についてさらに詳細に記載されるように、より正の表面電位を有するデバイス構造は、(
図2の検出器206のような)検出器がより少ない量の二次電子を受け得るため、より暗い電圧コントラスト画像を生成することができる。
【0036】
[0043] ランディングエネルギーがE1より低い又はE2より高い場合、より少ない量の電子が表面から離れ、結果として表面では負の電位となり得る。一部の実施形態では、ランディングエネルギーのこの範囲で欠陥検査が行われてもよく、これを「ネガティブモード」と呼ぶ。より負の表面電位を有するデバイス構造は、ウェーハのより明るい電圧コントラスト画像を生成することができる。
【0037】
[0044] 一部の実施形態では、一次電子ビームのランディングエネルギーを、電子銃とウェーハとの間の全バイアスによって制御することができる。
【0038】
[0045] ここで
図4を参照すると、
図4は、本開示の実施形態と一致した、ウェーハのデバイス構造の電圧コントラスト応答を示す概略図である。一部の実施形態では、ウェーハ上の物理的及び電気的欠陥は、荷電粒子検査システムの電圧コントラスト方法を用いて検出することができる。電圧コントラスト画像を用いて欠陥を検出するために、一般的には、事前帯電というプロセスが採用され、ここでは検査を行う前に荷電粒子が検査されるべきエリアに加えられる。例えば、全体が本願に参考として組み込まれる米国特許第8,748,815号明細書及び米国特許第8,759,762号明細書で述べられるように、事前帯電は、電圧コントラスト型欠陥信号を強化させるために有用となり得る。
【0039】
[0046] 例えば、一次電子ビームによる照明に対するウェーハの電圧コントラスト応答に基づいて、(
図2のウェーハ203のような)ウェーハの内部又は外部構造における欠陥を検出するために電子ビームツールを用いることができる。一部の実施形態では、ウェーハは、基板410上に展開されるテストデバイス420を含んでもよい。一部の実施形態では、テストデバイス420は、絶縁材料450によって離された複数のデバイス構造430及び440を含むことができる。例えば、デバイス構造430は基板410に接続される。その一方、デバイス構造440は、デバイス構造440と基板410(例えば、薄酸化物)との間に薄い絶縁体構造470を作り出す絶縁材料450によって離される。
【0040】
[0047] (
図2の電子ビームツール40のような)電子ビームツールがテストデバイス420の表面を(
図2の一次電子ビーム220のような)一次電子でスキャンした場合、表面から(
図2の二次電子ビーム230のような)二次電子を生成することができる。
図2に前述したように、一次電子のランディングエネルギーがE
1~E
2の範囲内(歩留まり率が1.0より高くなるように)であった場合、ウェーハの表面に着地した電子より多くの電子が表面から離れることになり、ウェーハの表面で正の電位という結果となり得る。
【0041】
[0048]
図4は、正の電位をどのようにウェーハの表面で増大させることができるかを示す。例えば、電子ビームがテストデバイス420をスキャンした後(例えば、事前帯電段階中)、デバイス構造440はより多くの正電荷を保持することができる。なぜなら、デバイス構造440は基板内の電気接地に接続されていないからであり、それによってデバイス構造440の表面において正の電位という結果となる。その一方、同じランディングエネルギーを有する一次電子(したがって、同じ歩留まり率という結果となる)が適用された場合であっても、デバイス構造430はより少ない正電荷を保持することできる。なぜなら、増大した正電荷は、基板410との接続を介して供給される余分電子によって中性化することができるからである。
【0042】
[0049] (
図2の画像処理システム250のような)画像処理システムは、対応するデバイス構造430及び440それぞれの電圧コントラスト画像435及び445を生成することができる。例えば、デバイス構造430は、接地に短絡されて事前帯電段階中に増大した正電荷を保持することができない場合がある。そのなると、一次電子ビームが検査段階中にウェーハの表面上に着地した場合、デバイス構造430はより多くの二次電子をはじくことにより、電圧コントラスト画像におけるより明るい領域という結果となり得る。その一方、デバイス構造440は、基板又は他のあらゆる接地に対する接続を有さず、したがって、事前帯電段階中に増大した正電荷を保持することができる。これは、検査段階中にデバイス構造440がより少ない二次電子をはじくことをもたらし、これにより電圧コントラスト画像においてより暗い領域という結果となり得る。
【0043】
[0050] 従来の欠陥検査ツールは、電子を用いて事前帯電段階中に電位をウェーハの表面上に増大させる。事前帯電後、検査ツールは、ウェーハ内の複数のダイの画像を得る。全てのダイが同一のデバイス構造を含み得るため、複数のダイからのこれらの画像の電圧コントラスト差を比較することによって欠陥を検出することができる。例えば、1つの画像の電圧コントラストレベルが他の画像より低い又は高い場合、対応するダイがダイのエリア内に欠陥を有すると決定することができる。従来の検査技術は、事前帯電段階中に増大した表面電位が検査段階中にわたってツールの検出レベルより上で保たれることが推測される。
【0044】
[0051] しかしながら、半導体プロセス技術ノードが縮まると(例えば、10nm、7nm以下)、増大した表面電位レベルは、電気的破壊又はトンネリングの影響により検査段階中に変化することがあり、それにより薄いデバイスの欠陥の検出の不具合という結果となり得る。十分に高い電圧が絶縁体構造470のような薄い絶縁体構造(例えば、薄酸化物)に印加された場合、薄い絶縁体構造中に漏れ電流が流れる可能性があり、薄い絶縁体構造は絶縁体として完全に機能することができない場合がある。これは回路機能性に影響を与えることがあり欠陥となり得る。同様の漏れ電流効果が高抵抗金属層(例えば、タングステン(W)プラグと電界効果トランジスタ(FET)のソース又はドレインエリアとの間の珪化コバルト(例えば、CoSi、COSi2、Co2Si、CoSi等)層)中に生じることがある。
【0045】
[0052] 絶縁体構造470は、このような破壊効果の影響を受けやすい薄い欠陥を表し得る。例えば、デバイス構造430及び440の両方が基板410と接触して同じように機能するように設計されていても、製造エラーにより、絶縁体構造470は、デバイス構造440において不完全に作成されることがある。欠陥のあるエッチングプロセスにより、電気的に接続されるはずだった2つの構造(例えば、デバイス構造440及び基板410)間の望ましくない電気的遮断(例えば、開回路)をもたらす薄酸化物を残すことになり得る。
【0046】
[0053] そのような場合、絶縁体構造470はが十分に厚い(例えば、10nmより厚い)場合、デバイス構造440で増大した正電荷は絶縁体構造470中に漏れることなく、よって、従来の欠陥検査ツールは、検査段階中に1つのサンプル画像を取ってその画像を基準画像と比較することによって欠陥を検出することができる。結果的に、435と445との間の電圧コントラスト差を検出することができ、それによってデバイス構造440における欠陥(例えば、絶縁体構造470)を示すことができる。
【0047】
[0054] しかしながら、絶縁体構造470が薄くなる(例えば、10nmより薄い)につれて、デバイス構造440内の増大した正の表面電位レベルが上記した漏れ電流によって時間と共に減少し得る可能性が高い。デバイス構造440が正電荷を失うにつれて、電圧コントラストレベルも時間と共により暗い(例えば、画像445)からより明るい(例えば、画像446)へと変化することがあり、最終的に、検査ツールは、電圧コントラストレベルが検出器の閾値より低い(例えば、画像447)ため何も検出できないことになり得る。結果的に、検査段階が始まって検査ツールが電圧コントラスト画像のサンプリングを開始するまでには、デバイス構造440における増大した正の電位の全てが、薄い絶縁体構造470中の漏れ電流によって消滅することがあり、それによりデバイス構造430と440との間の表面電位に差がないという結果となり得る。そのような場合、全ての正電荷が消滅した後に検査ツールが画像をサンプリングしたとき、従来の欠陥検査ツールは薄いデバイス欠陥を確実に検出することができない場合がある。例えば、検査ツールは、(デバイス構造430からの)電圧コントラスト画像435と(デバイス構造440からの)電圧コントラスト画像447との間のあらゆる差を検出することができない場合がある。
【0048】
[0055] したがって、上述した増大した表面電位の時間依存変化の影響を受けやすい薄いデバイス欠陥を検出するために、検査ツールは、表面電位を徐々に増大させながらウェーハの複数の画像を1つ以上の時間シーケンスにわたってサンプリングすることにより、時間依存変化を複数の画像のシーケンスによって捉えることができる。さらに、一部の実施形態では、検査ツールは、低いエネルギーの一次電子を用いて、事前帯電段階中にそのような破壊効果を誘発することなくウェーハを徐々に帯電させることができる。他の実施形態では、検査ツールは、事前帯電が進行中に電圧コントラスト画像をサンプリングして生成することにより、事前帯電段階中であっても一時的な電圧コントラスト変化を捉えることができる。
【0049】
[0056] 前述の記載では、短絡状態の存在によって対応するフィーチャが明るくなることをもたらし、開路状態の存在によって対応するフィーチャが暗くなることをもたらすことが記載されている。しかしながら、明るい及び暗い外観は、テスト構造の実際の処理又は電子ビームツールの設定によって変化及び入れ替わることもあることが当業者に理解されよう。
【0050】
[0057] ここで
図5Aを参照すると、
図5Aは、本開示の実施形態と一致した、時間シーケンスにわたる例示的な電圧コントラスト画像の図である。一部の実施形態では、欠陥検査プロセスは、事前帯電段階501及び検査段階503を含んでもよい。事前帯電段階501中では、(
図2の結像システム200のような)結像システムは、電子を用いて電位をウェーハの表面上に増大させる。上記で説明したように、薄いデバイス欠陥を検出するために、結像システムは、事前帯電が進行中に破壊又はトンネリングを誘発することなく表面電位を徐々に増大させるために低いエネルギー電子を使用することができる。検査段階503中、一部の実施形態では、結像システムは、時間シーケンスにわたって(
図2のウェーハ203のような)ウェーハの配置エリアの複数の画像をサンプリングすることができる。同じ配置であるが異なる時間の複数の電圧コントラスト画像を比較することにより、システムは、表面電位の経時的変化を検出することができ、これは、薄いデバイス欠陥によるデバイス破壊又はトンネリング効果を示す。
【0051】
[0058] 例えば、
図5Aに示すように、事前帯電段階501の始めでは、表面電位は、電圧コントラスト画像510及び512に示すように、検出可能な電圧コントラスト領域を示すのに十分に高くない場合がある。事前帯電段階の最後では、暗い電圧コントラスト(DVC)領域560a、562a及び564aが現れ始める場合がある(例えば、時間T
pre3の時間に)。
【0052】
[0059] 一部の実施形態では、事前帯電段階501中、(
図2の電子ビームツール40のような)電子ビームツールは、上記で説明したように、従来のシステムより低いエネルギーを有する一次電子を用いて、事前帯電段階中のデバイス破壊を回避することができる(例えば、電圧コントラスト画像のサンプリングが始まる前)。
【0053】
[0060] 他の実施形態では、電子ビームツールは、事前帯電段階501を省いて検査段階503で検査プロセスを始めて薄いデバイス構造欠陥を検出することができる。このような実施形態では、電子ビームツールは、検査プロセスが開始され次第、画像のサンプリングを開始することができる。ウェーハの表面で電位の事前帯電がないため、連続的に画像をサンプリングしながらウェーハの表面で電荷を徐々に増大させるために、画像生成のための一次電子スキャンを用いることができる。
【0054】
[0061] 事前帯電が完了した後、電子ビームツールは、時間シーケンスにわたって複数の時間でウェーハのエリアからの画像のサンプリングを開始することができる。例えば、
図5Aに示すように、複数の画像530、532、534、536及び538は、時間T
1、T
2、T
3、T
4及びT
5のそれぞれで検査段階中にサンプリングされる。
【0055】
[0062] 時間T
1では、画像530は、3つのDVC領域560a、562a及び564aが存在することを示す。DVC領域560b、562b及び564bは、(
図4のデバイス構造440のような)3つのデバイス構造で増大した表面電位を表すことができる。時間T
2及びT
3では、画像532及び534は、DVC領域560b、562b及び564bが再び検出されたことを示し、これは、増大した正電荷がデバイス構造に残って時間T
1から変化しないままであることを示すことができる。
【0056】
[0063] 時間T
4では、画像536は、DVC領域560b及び564bが存在したままでありながらDVC領域562bは消滅することを示す。これは、DVC領域562b対して対応するデバイス構造が漏れ電流によって増大した正電荷を失ったことを示すことができ、それによって表面電位が検出不可能レベル(例えば、破壊効果)にまで低下するという結果となる。高電圧が薄い構造(例えば、
図4の絶縁体構造470)に印加された場合、構造が絶縁材料から成っていても漏れ電流は薄い構造を流れ得る。漏れ電流の速度は、デバイス構造がより薄い方が高い。例えば、デバイス破壊は、デバイス構造の厚さが、例えば10nm未満であった場合により頻繁に生じ得る。したがって、DVC領域562bに対して対応するデバイス構造で増大した正電荷は、薄いデバイス構造欠陥中のデバイス破壊によって中性化された場合がある。
【0057】
[0064] 一部の実施形態では、薄いデバイス構造欠陥は、表面電位に対する一時的な効果を検出することによって識別することができる。例えば、電子ビームツールは、同じ配置の複数の画像(例えば、画像530、532、534、536及び538)を比較し、時間シーケンスにわたってDVC領域の変化を検出して薄いデバイス構造欠陥を識別することができる。一部の実施形態では、同じ配置であるが異なる時間からの複数の電圧コントラスト画像を比較することにより、システムは、表面電位の経時的変化を検出することができ、これは薄いデバイス欠陥によるデバイス破壊を示す。例えば、
図5Bに示すように、電圧コントラスト画像534(時間T
3でサンプリングされた)及び536(時間T
4でサンプリングされた)は、DVC領域562bが時間T
3とT
4との間で消滅したことを示し、それにより、対応するデバイス構造が薄いデバイス構造欠陥を含み得ることを示すことができる。
【0058】
[0065]
図5Aは5つの画像を用いる例を示しているが、薄いデバイス構造欠陥を検出するために2つ以上の画像を使用できることが理解されたい。さらに、
図5A及び
図5Bに示す画像は暗い電圧コントラストを用いる検出メカニズムを示しているが、電子ビームツールがネガティブモードで動作する場合は明るい電圧コントラストを用いてもよいことが理解されたい。
【0059】
[0066] 一部の実施形態では、サンプリング時間T1、T2、T3、T4及びT5の間の時間間隔は、電圧コントラスト画像に対する一時的効果の異なるタイミングを捉えるために調整することができる。タイミングは、事前帯電段階中に供給される電流の量又は、構造の厚さや絶縁破壊による構造中の電子運動の速度等の薄いデバイス構造欠陥の特性に依存し得る。
【0060】
[0067] 一部の実施形態では、正の表面電位は、電子ビームツールがポジティブモードで動作することにより増大することができる(例えば、E1<ランディングエネルギー<E2)。他の実施形態では、負の電位は、電子ビームツールがネガティブモードで動作することにより増大することができる(例えば、ランディングエネルギー<E1又はランディングエネルギー>E2)。
【0061】
[0068] ここで
図6を参照すると、
図6は、本開示の実施形態と一致した、電圧コントラスト画像の例示的な処理の図である。一部の実施形態では、(
図2の結像システム200のような)検査ツールは、一組の電圧コントラスト画像を別の組の電圧コントラスト画像と比較することができる。例えば、検査ツールは、第1の組の電圧コントラスト画像610及び第2の組の電圧コントラスト画像640を生成し、各組からの対応する画像を1つずつ比較して(例えば、612vs.642、614vs.644、616vs.646、618vs.648)薄いデバイス構造での破壊によって引き起こされる時間依存欠陥を検出することができる。一部の実施形態では、両方の組の電圧コントラスト画像610及び640は、ウェーハの同じ配置であるが2つの異なる時間シーケンスにわたってサンプリングすることができる。他の実施形態では、第1の組の電圧コントラスト画像610は、ウェーハの第1の配置からサンプリングされる一方、第2の組の電圧コントラスト画像640は、ウェーハの第2の配置がサンプリングされ、ウェーハの第1の配置及び第2の配置は、同一のデバイス構造を含んでいてもよい。
【0062】
[0069]
図6に示すように。第1の組の電圧コントラスト画像610は、DVC領域621が一時的に消滅(画像616のように)し、再び現れる(画像618のように)ことを示すことができる。消滅は、薄いデバイス構造中の漏れ電流によってもたらされた破壊による場合がある。破壊後、正の表面電位は、検査のための一次粒子ビームの後続のスキャンによって再度増大することができ、その結果として、DVC領域621が画像618に示すように再び現れることができる。検査ツールは、電圧コントラスト画像616を電圧コントラスト画像646と比較することによってDVC領域621の一時的な変化を検出するこができる。両方の組の画像(610及び640)は同じデバイス構造(同じ配置から又は同じデバイス構造を有する異なる配置からのどちらの場合でも)を表すため、画像616と画像66との間の差は、ウェーハの配置における薄いデバイス欠陥を示すことができる。
【0063】
[0070] ここで
図7を参照すると、
図7は、本開示の実施形態と一致した、時間依存欠陥を検出するための例示的な方法を示すフローチャートである。この方法は、(
図2の結像システム200のような)結像システムによって行うことができる。
【0064】
[0071] ステップ710では、(
図2の電子ビームツール40のような)電子ビームツールは、検査中のウェーハを事前帯電させてウェーハの表面上の電位を増大させる。電子ビームツールが(
図2の一次電子ビーム220のような)一次電子でウェーハの表面をスキャンした場合、(
図2の二次電子ビーム230のような)二次電子を表面から生成することができる。
図2で前述したように、一次電子のランディングエネルギーがE
1~E
2の範囲であった場合(歩留まり率が1.0より高くなるように)、ウェーハの表面上に着地した電子より多くの電子が表面を離れ、結果として、ウェーハの表面で正の電位となる。
【0065】
[0072] (
図4の絶縁体構造470のような)絶縁体構造が十分に厚い(例えば、10nmより厚い)場合、(
図4のデバイス構造440のような)デバイス構造で増大した正電荷は絶縁体構造中に漏れず、したがって、従来の欠陥検査ツールは、検査段階中に1つのサンプル画像をとることによって欠陥を検出することができる。結果的に、欠陥構造と非欠陥構造との間の電圧コントラスト差を検出することができる。
【0066】
[0073] しかしながら、デバイス構造が薄くなるにつれて(例えば、10nmより薄い)、電気的破壊又はトンネリング効果によって検査段階中に増大した表面電位レベルが変化し得る可能性が高い場合がある。結果的に、検査段階が始まって検査ツールが電圧コントラスト画像のサンプリングを開始するまでには、デバイス構造における増大した正の電位全てが、破壊又は他の薄膜関連メカニズムによって薄い絶縁体構造中から消滅することがあり、結果として、欠陥デバイス構造と非欠陥構造との間の表面電位に差がない又は検出閾値より低い差となる。結果的に、従来の欠陥検査ツールは、薄いデバイス欠陥を検出することができなくなる場合がある。したがって、結像システムは、低エネルギー一次電子を用いてウェーハを徐々に帯電させることにより、事前帯電段階中の表面電位の損失という結果となる破壊の発生を回避することができる。
【0067】
[0074] ステップ720では、ウェーハが事前帯電された後、電子ビームツールは、異なる時間(例えば、
図5Aのサンプリング時間T1、T2、T3、T4及びT5)でウェーハの同じ配置エリアから複数の電圧コントラスト画像(例えば、
図5Aの画像530、532、534、536及び538)をサンプリングする。一部の実施形態では、表面電位の時間依存変化を検出するために、検査ツールは、表面電位を徐々に増加させながら時間シーケンスにわたって複数回ウェーハの同じ配置エリアから画像をサンプリングすることができる。
【0068】
[0075] ステップ730では、(
図2の画像処理システム250のような)画像処理システムは、複数の電圧コントラスト画像を処理し、複数の画像間の暗い電圧コントラスト(DVC)差を検出して薄いデバイス構造内の欠陥を識別する。一部の実施形態では、同じ配置だが異なる時間の複数の電圧コントラスト画像を比較することによって、システムは表面電位の経時的変化を検出することができ、これは薄いデバイス欠陥によるデバイス破壊を示す。例えば、
図5Bに示すように、電圧コントラスト画像534(時間T
3でサンプリングされた)及び536(時間T
4でサンプリングされた)は、DVC領域562bが時間T
3とT
4との間で消滅したことを示し、それにより、対応するデバイス構造が薄いデバイス構造欠陥を含み得ることを示すことができる。一部の実施形態では、明るい電圧コントラスト差を検出することができる。
【0069】
[0076] 実施形態については、以下の条項を使用してさらに説明することができる。
1.ウェーハを検査するための荷電粒子ビームシステムであって、
1つ以上の時間シーケンスにわたって荷電粒子をウェーハの1つ以上のエリアに誘導するための回路を含む荷電粒子ビーム源と、
コントローラであって、
1つ以上の時間シーケンスのうちの第1の時間シーケンス中に1つ以上のエリアのうちの第1のエリアの第1の組の画像を生成することと、
第1の組の画像を処理してウェーハにおける薄いデバイス構造内の欠陥を検出することとのための回路を含むコントローラと
を備えるシステム。
2.コントローラは、
第1の組の画像から第1の画像及び第2の画像をサンプリングすることであって、第1の画像は第1の時間シーケンスの第1の時間でサンプリングされ、第2の画像は第1の時間シーケンスの第2の時間でサンプリングされる、サンプリングすることと、
第1の画像を第2の画像と比較してウェーハの1つ以上のエリアのうちの第1のエリアにおける欠陥を識別することとのための回路を含む、条項1に記載のシステム。
3.コントローラは、
1つ以上の時間シーケンスのうちの第2の時間シーケンス中に1つ以上のエリアのうちの第1のエリアの第2の組の画像を生成することと、
第1の組の画像から第1の画像及び第2の組の画像から第2の画像をサンプリングすることと、
第1の画像を第2の画像と比較してウェーハの1つ以上のエリアのうちの第1のエリアにおける欠陥を識別することとのための回路を含む、条項1に記載のシステム。
4.コントローラは、
1つ以上の時間シーケンスのうちの第2の時間シーケンス中に1つ以上のエリアのうちの第2のエリアの第2の組の画像を生成することであって、第1のエリア及び第2のエリアは同じデバイス構造を含む、生成することと、
第1の組の画像から第1の画像及び第2の組の画像から第2の画像をサンプリングすることと、
第1の画像を第2の画像と比較してウェーハの1つ以上のエリアのうちの第1のエリア又は第2のエリアにおける欠陥を識別することとのための回路を含む、条項1に記載のシステム。
5.第1の画像及び第2の画像は、第1の時間シーケンス及び第2の時間シーケンスの対応する時間でサンプリングされる、条項3及び4のいずれかに記載のシステム。
6.第1の画像及び第2の画像は、電圧コントラストレベルを含む、条項2~5のいずれかに記載のシステム。
7.コントローラは、第1の画像の電圧コントラストレベルと第2の画像の電圧コントラストレベルとの間の差を検出して薄いデバイス構造内の欠陥を識別するための回路を含む、条項6に記載のシステム。
8.荷電粒子ビーム源は、
1つ以上の時間シーケンスの第1の部分中にウェーハの1つ以上のエリアを事前スキャンすることと、
1つ以上の時間シーケンスの第2の部分中にウェーハの1つ以上のエリアを検査することとのための回路を含む、条項1~7のいずれかに記載のシステム。
9.荷電粒子ビーム源は、1つ以上の時間シーケンスの第1の部分中に事前スキャンを行いながらウェーハの1つ以上のエリアで1つ以上の表面電位を増大させるための回路を含む、条項8に記載のシステム。
10.荷電粒子ビーム源は、デバイス破壊が生じるまで事前スキャンを行う、条項9に記載のシステム。
11.コントローラは、第1の組の画像における各画像の生成の間の時間間隔を調整するための回路を含む、条項1~10のいずれかに記載のシステム。
12.コントローラは、第2の組の画像における各画像の生成の間の時間間隔を調整するための回路を含む、条項2~10のいずれかに記載のシステム。
13.欠陥は、エリアにおける薄いデバイス構造内の漏電に関連する電気的欠陥を含む、条項1~12のいずれかに記載のシステム。
14.薄いデバイス構造は、エッチングプロセスの後に残る薄酸化物を含む、条項13に記載のシステム。
15.コントローラに伝達的に結合された検出器であって、ウェーハの1つ以上のエリアに衝突する荷電粒子に関連する二次荷電粒子の検出に基づいて検出データを生成するように構成された検出器をさらに備える、条項1~14のいずれかに記載のシステム。
16.コントローラは、検出器によって生成された検出データに基づいて対応する電圧コントラスト画像を構築するための回路を含む、条項15に記載のシステム。
17.荷電粒子ビーム源を有する荷電粒子ビームシステムを用いて1つ以上の時間シーケンスにわたって荷電粒子をウェーハの1つ以上のエリア上に誘導する、ウェーハを検査する方法であって、
1つ以上の時間シーケンスのうちの第1の時間シーケンス中に1つ以上のエリアのうちの第1のエリアの第1の組の画像を生成することと、
第1の組の画像を処理してウェーハにおける薄いデバイス構造内の欠陥を検出することとを含む、方法。
18.第1の組の画像から第1の画像及び第2の画像をサンプリングすることであって、第1の画像は第1の時間シーケンスの第1の時間でサンプリングされ、第2の画像は第1の時間シーケンスの第2の時間でサンプリングされる、サンプリングすることと、
第1の画像を第2の画像と比較してウェーハの1つ以上のエリアのうちの第1のエリアにおける欠陥を識別することとをさらに含む、条項17に記載の方法。
19.1つ以上の時間シーケンスのうちの第2の時間シーケンス中に1つ以上のエリアのうちの第1のエリアの第2の組の画像を生成することと、
第1の組の画像から第1の画像及び第2の組の画像から第2の画像をサンプリングすることと、
第1の画像を第2の画像と比較してウェーハの1つ以上のエリアのうちの第1のエリアにおける欠陥を識別することとをさらに含む、条項17に記載の方法。
20.1つ以上の時間シーケンスのうちの第2の時間シーケンス中に1つ以上のエリアのうちの第2のエリアの第2の組の画像を生成することであって、第1のエリア及び第2のエリアは同じデバイス構造を含む、生成することと、
第1の組の画像から第1の画像及び第2の組の画像から第2の画像をサンプリングすることと、
第1の画像を第2の画像と比較してウェーハの1つ以上のエリアのうちの第1のエリア又は第2のエリアにおける欠陥を識別することとをさらに含む、条項17に記載の方法。
21.第1の画像及び第2の画像は、第1の時間シーケンス及び第2の時間シーケンスの対応する時間でサンプリングされる、条項19及び20のいずれかに記載の方法。
22.第1の画像及び第2の画像は、電圧コントラストレベルを含む、条項18~21のいずれかに記載の方法。
23.第1の画像の電圧コントラストレベルと第2の画像の電圧コントラストレベルとの間の差を検出して薄いデバイス構造内の欠陥を識別することをさらに含む、条項22に記載の方法。
24.第1の組の画像における各画像の生成の間の時間間隔を調整することをさらに含む、条項17~23のいずれかに記載の方法。
25.第2の組の画像における各画像の生成の間の時間間隔を調整することをさらに含む、条項18~23のいずれかに記載の方法。
26.荷電粒子ビームシステムのプロセッサによって実行可能な一組の命令を記憶する非一時的コンピュータ可読媒体であって、命令は、1つ以上の時間シーケンスにわたって荷電粒子をウェーハの1つ以上のエリア上に誘導するための荷電粒子ビーム源を用いて、荷電粒子ビームシステムに、
1つ以上の時間シーケンスのうちの第1の時間シーケンス中に1つ以上のエリアのうちの第1のエリアの第1の組の画像を生成することと、
第1の組の画像を処理してウェーハにおける薄いデバイス構造内の欠陥を検出することとを含む方法を行わせる、非一時的コンピュータ可読媒体。
27.荷電粒子ビームシステムのプロセッサによって実行可能な一組の命令は、荷電粒子ビームシステムに、
第1の組の画像から第1の画像及び第2の画像をサンプリングすることであって、第1の画像は第1の時間シーケンスの第1の時間でサンプリングされ、第2の画像は第1の時間シーケンスの第2の時間でサンプリングされる、サンプリングすることと、
第1の画像を第2の画像と比較してウェーハの1つ以上のエリアのうちの第1のエリアにおける欠陥を識別することとをさらに行わせる、条項26に記載のコンピュータ可読媒体。
28.荷電粒子ビームシステムのプロセッサによって実行可能な一組の命令は、荷電粒子ビームシステムに、
1つ以上の時間シーケンスのうちの第2の時間シーケンス中に1つ以上のエリアのうちの第1のエリアの第2の組の画像を生成することと、
第1の組の画像から第1の画像及び第2の組の画像から第2の画像をサンプリングすることと、
第1の画像を第2の画像と比較してウェーハの1つ以上のエリアのうちの第1のエリアにおける欠陥を識別することとをさらに行わせる、条項26に記載のコンピュータ可読媒体。
29.荷電粒子ビームシステムのプロセッサによって実行可能な一組の命令は、荷電粒子ビームシステムに、
1つ以上の時間シーケンスのうちの第2の時間シーケンス中に1つ以上のエリアのうちの第2のエリアの第2の組の画像を生成することであって、第1のエリア及び第2のエリアは同じデバイス構造を含む、生成することと、
第1の組の画像から第1の画像及び第2の組の画像から第2の画像をサンプリングすることと、
第1の画像を第2の画像と比較してウェーハの1つ以上のエリアのうちの第1のエリア又は第2のエリアにおける欠陥を識別することとをさらに行わせる、条項26に記載のコンピュータ可読媒体。
30.荷電粒子ビームシステムのプロセッサによって実行可能な一組の命令は、荷電粒子ビームシステムに方法を行わせ、第1の画像及び第2の画像は、第1の時間シーケンス及び第2の時間シーケンスの対応する時間でサンプリングされる、条項28及び29のいずれかに記載のコンピュータ可読媒体。
31.荷電粒子ビームシステムのプロセッサによって実行可能な一組の命令は、荷電粒子ビームシステムに方法を行わせ、第1の画像及び第2の画像は、電圧コントラストレベルを含む、条項27~30のいずれかに記載のコンピュータ可読媒体。
32.荷電粒子ビームシステムのプロセッサによって実行可能な一組の命令は、荷電粒子ビームシステムに、
第1の画像の電圧コントラストレベルと第2の画像の電圧コントラストレベルとの間の差を検出して薄いデバイス構造内の欠陥を識別することをさらに行わせる、条項31に記載のコンピュータ可読媒体。
33.荷電粒子ビームシステムのプロセッサによって実行可能な一組の命令は、荷電粒子ビームシステムに、
第1の組の画像における各画像の生成の間の時間間隔を調整することをさらに行わせる、条項26~32のいずれかに記載のコンピュータ可読媒体。
34.荷電粒子ビームシステムのプロセッサによって実行可能な一組の命令は、荷電粒子ビームシステムに、
第2の組の画像における各画像の生成の間の時間間隔を調整することをさらに行わせる、条項27~32のいずれかに記載のコンピュータ可読媒体。
【0070】
[0077] 画像処理システムは、ソフトウェアを使用して上述した機能を制御することができることが理解されよう。例えば、画像処理システムは、(
図2の検出器206のような)検出器からの信号を受信し、ウェーハの画像を再構築することができる。さらに、画像処理システムは、画像処理アルゴリズムを行って再構築された画像の明るさ又はコントラストを調整することができる。画像処理システムは、制御機能を行ってサンプル画像間の時間間隔を調整することもできる。ソフトウェアは、非一時的なコンピュータ可読媒体に記憶されてもよい。非一時的な媒体の一般的な形態としては、例えば、フロッピーディスク、フレキシブルディスク、ハードディスク、ソリッドステートドライブ、磁気テープ、又は他の任意の磁気データ記憶媒体、CD-ROM、他の任意の光データ記憶媒体、穴のパターンを有する任意の物理的媒体、RAM、PROM、及びEPROM、クラウドストレージ、FLASH-EPROM若しくは他の任意のフラッシュメモリ、NVRAM、キャッシュ、レジスタ、他の任意のメモリチップ若しくはカートリッジ、及び前述のもののネットワーク化されたもの、が挙げられる。
【0071】
[0078] 開示される実施形態について、好ましい実施形態に関係して説明してきたが、以降で特許請求される主題の精神及び範囲を逸脱することなく、他の修正及び変更を加えることができることを、理解されたい。