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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-15
(45)【発行日】2023-12-25
(54)【発明の名称】医療用接続具
(51)【国際特許分類】
   A61M 39/10 20060101AFI20231218BHJP
   A61M 39/20 20060101ALI20231218BHJP
   A61M 39/04 20060101ALN20231218BHJP
【FI】
A61M39/10 110
A61M39/20
A61M39/04
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2019203356
(22)【出願日】2019-11-08
(65)【公開番号】P2021074273
(43)【公開日】2021-05-20
【審査請求日】2022-09-16
(73)【特許権者】
【識別番号】504176911
【氏名又は名称】国立大学法人大阪大学
(73)【特許権者】
【識別番号】000135036
【氏名又は名称】ニプロ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002860
【氏名又は名称】弁理士法人秀和特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】井上 善文
(72)【発明者】
【氏名】井上 博行
(72)【発明者】
【氏名】内村 智彦
【審査官】竹下 晋司
(56)【参考文献】
【文献】特開2010-233893(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2012/0192968(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61M 39/00 - 39/28
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
内部に流体を流通可能な第1のラインと第2のラインとのうち前記第1のラインに設けられる第1コネクタと、前記第2のラインに設けられる第2コネクタと、を備え、前記第1コネクタと前記第2コネクタとが連結されることで、前記第1のラインと前記第2のラインとを連通させる、医療用接続具であって、
前記第1コネクタは、筒状の外筒部と、前記外筒部の内周面に突設された爪部と、を有し、
前記第2コネクタは、前記外筒部に挿入可能な円筒状の挿入部を有し、
前記挿入部の外周面には、前記第2コネクタに対して前記第1コネクタを着脱可能とする着脱手段が形成され、
前記着脱手段は、前記外筒部の前記爪部を受け入れ可能な空間である受入部と、前記受入部を周方向両側から挟むように形成された一対の頂面と、前記受入部の軸方向先端側の端部を画定する規制壁と、前記規制壁の軸方向先端側に形成された摺動壁と、を含み、
前記受入部は、前記一対の頂面同士を接続すると共に前記挿入部の径方向において前記一対の頂面に対して内側に凹んだ凹壁によって形成され、
前記挿入部が前記外筒部に挿入される過程で、前記爪部が前記摺動壁から前記受入部に受け入れられることで、前記規制壁により、前記挿入部が前記外筒部から抜去されることが規制された規制状態となり、
前記凹壁は、前記規制状態において前記外筒部が前記挿入部に対して前記挿入部の軸回りの第1方向に相対回転した場合と前記規制状態において前記外筒部が前記挿入部に対して前記第1方向とは反対方向の第2方向に相対回転した場合とのうち、少なくとも一方の場合において、前記爪部を前記頂面に押し上げることで前記規制状態を解除するように形成されている、
医療用接続具。
【請求項2】
前記着脱手段は、前記受入部から前記頂面に押し上げられた前記爪部に当接する押出壁を有し、
前記押出壁は、前記爪部に前記押出壁が当接した状態から、前記外筒部が前記挿入部に対する回転方向へそれ以上相対回転すると、前記爪部を前記挿入部の軸方向先端側へ押し出すように形成されている、
請求項1に記載の医療用接続具。
【請求項3】
前記着脱手段は、前記受入部から前記頂面に押し上げられた前記爪部に当接することで、前記外筒部が前記挿入部に対する回転方向へそれ以上相対回転することを規制する、回転規制壁を有する、
請求項1又は2に記載の医療用接続具。
【請求項4】
前記着脱手段は、前記挿入部の軸方向に沿って前記挿入部の先端側から前記摺動壁に向かって延在し、前記挿入部が前記外筒部に挿入される過程で前記爪部を前記摺動壁に導く案内壁を有する、
請求項1から3の何れか一項に記載の医療用接続具。
【請求項5】
前記凹壁は、前記規制状態において前記外筒部が前記挿入部に対して前記挿入部の軸回りの第1方向に相対回転した場合と前記規制状態において前記外筒部が前記挿入部に対して前記挿入部の軸回りの前記第2方向に相対回転した場合との両方の場合において、前記爪部を前記頂面に押し上げることで前記規制状態を解除するように形成されている、
請求項1から4の何れか一項に記載の医療用接続具。
【請求項6】
前記外筒部には、一対の前記爪部が前記外筒部の周方向において離間して形成され、
前記挿入部には、前記一対の爪部に対応した一対の着脱手段からなる着脱手段対が少なくとも2つ以上形成されている、
請求項1から5の何れか一項に記載の医療用接続具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、医療用接続具に関する。
【背景技術】
【0002】
輸液システムにおいては、輸液を患者の体内へ注入する経路(輸液ライン)を主とし、必要に応じて、輸液ラインに別の輸液や薬液等の流体を混注するための流体ラインが接続される。流体ラインとしては、主に、流体チューブが使用され、このチューブの末端部に備えられたコネクタが、輸液ラインに備えられた混注部に接続されることで、輸液ラインと流体ラインとが連通する。
【0003】
これに関連して、針管と、該針管の基端部を保持しうる針ハブと針管を保護する針保護フードを有して流体体ラインに設けられるコネクタと、シール手段を有して輸液ラインに設けられる混注部とからなり、コネクタが混注部の開口端に外嵌されることで接続され、それと同時に針管がシール手段を貫通して輸液ラインと流体ラインとの連通が可能となる混注用接続具が知られている(例えば、特許文献1)。
【0004】
上述の混注用接続具は、コネクタの針保護フードの内周面に設けられた凸部と、混注部の外周面に設けられて該凸部をガイド可能なガイド溝とから構成された案内手段を有しており、該凸部がガイド溝に沿うように針保護フードを混注部に外嵌してから針保護フードを混注部に対して回転させることで、コネクタと混注部とを連結可能な構成となっている。また、コネクタと混注部との分離操作においては、連結時とは逆の操作をすることで、即ち、針保護フードを混注部に対して回転させてから針保護フードから混注部を抜去することで、コネクタと混注部とを分離可能となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2006-345916号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
一方で、より簡単に着脱可能な医療用接続具が求められている。
【0007】
本発明は、上記した事情を鑑みてなされたものであり、その目的は、より簡単に着脱可能な医療用接続具を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するため、本発明は、以下の構成を採用した。
【0009】
即ち、本発明は、内部に流体を流通可能な第1のラインと第2のラインとのうち前記第1のラインに設けられる第1コネクタと、前記第2のラインに設けられる第2コネクタと、を備え、前記第1コネクタと前記第2コネクタとが連結されることで、前記第1のラインと前記第2のラインとを連通させる、医療用接続具であって、前記第1コネクタは、筒状の外筒部と、前記外筒部の内周面に突設された爪部と、を有し、前記第2コネクタは、前記外筒部に挿入可能な円筒状の挿入部を有し、前記挿入部の外周面には、前記第2コネクタに対して前記第1コネクタを着脱可能とする着脱手段が形成され、前記着脱手段は、前記外筒部の前記爪部を受け入れ可能な空間である受入部と、前記受入部を周方向両側から挟むように形成された一対の頂面と、前記受入部の軸方向先端側の端部を画定する規制
壁と、前記規制壁の軸方向先端側に形成された摺動壁と、を含み、前記受入部は、前記一対の頂面同士を接続すると共に前記挿入部の径方向において前記一対の頂面に対して内側に凹んだ凹壁によって形成され、前記挿入部が前記外筒部に挿入される過程で、前記爪部が前記摺動壁から前記受入部に受け入れられることで、前記規制壁により、前記挿入部が前記外筒部から抜去されることが規制された規制状態となり、前記凹壁は、前記規制状態において前記外筒部が前記挿入部に対して前記挿入部の軸回りの第1方向に相対回転した場合と前記規制状態において前記外筒部が前記挿入部に対して前記第1方向とは反対方向の第2方向に相対回転した場合とのうち、少なくとも一方の場合において、前記爪部を前記頂面に押し上げることで前記規制状態を解除するように形成されている、医療用接続具である。
【0010】
本発明によると、挿入部を外筒部に挿入して第1コネクタと第2コネクタとを連結する過程で、爪部が摺動壁から受入部に受け入れられることで、規制壁により、挿入部が外筒部から抜去されることが規制された規制状態となる。即ち、本発明によれば、第1コネクタと第2コネクタとを連結するために挿入部を外筒部に挿入する挿入操作に伴って規制状態とすることができ、第1コネクタと第2コネクタとの連結を保持することができる。換言すると、回転操作を伴うことなく、挿入操作のみで、第1コネクタと第2コネクタとを連結し、連結を保持することができる。更に、本発明によると、規制状態において外筒部を挿入部に対して挿入部の軸回りに相対回転させると、爪部が凹壁によって頂面に押し上げられることで、規制状態が解除される。即ち、本発明によれば、回転操作のみで規制状態を解除することができる。その結果、医療用接続具を簡単に着脱することが可能となる。なお、規制状態が解除された状態には、規制状態と比較して挿入部を外筒部から抜去し易い状態も含まれ得る。つまり、爪部が多少の段差を乗り越えながら挿入部が外筒部から抜去されてもよい。
【0011】
なお、コネクタの先端側とは、相手側のコネクタと接続される側を指し、コネクタの基端側とは、第1のライン又は第2のラインと接続される側を指す。第1のラインと第2のラインは、例えば、輸液を患者の体内へ注入するための輸液ラインや、輸液ラインに流体を混注するための流体ラインであってもよい。例えば、第1のラインと第2のラインとのうち一方が輸液ラインであって、他方が流体ラインである場合、第1コネクタと第2コネクタとのうち、輸液ライン側に設けられるコネクタを「混注部」と呼び、流体ライン側に設けられるコネクタを単に「コネクタ」と呼ぶこともある。
【0012】
また、本発明において、前記着脱手段は、前記受入部から前記頂面に押し上げられた前記爪部に当接する押出壁を有し、前記押出壁は、前記爪部に前記押出壁が当接した状態から、前記外筒部が前記挿入部に対する回転方向へそれ以上相対回転すると、前記爪部を前記挿入部の軸方向先端側へ押し出すように形成されていてもよい。
【0013】
これによると、爪部の挿入部の軸方向における変位分、外筒部が挿入部の先端側に相対移動する。つまり、挿入部が外筒部から抜去される方向に、外筒部が挿入部に対して相対移動する。これによると、連続する1回の回転操作によって、規制状態の解除と挿入部の外筒部からの抜去操作の少なくとも一部とを連続して行うことができる。その結果、使用者(医療従事者)は、爪部が挿入部の先端側に押し出されることによる外筒部の相対変位を感じ取ることにより、速やかに抜去操作に移行することができる。
【0014】
更に、本発明において、前記着脱手段は、前記受入部から前記頂面に押し上げられた前記爪部に当接することで、前記外筒部が前記挿入部に対する回転方向へそれ以上相対回転することを規制する、回転規制壁を有してもよい。
【0015】
これによると、頂面に押し上げられた状態の爪部に当接するように回転規制壁が形成さ
れているため、外筒部を挿入部に対して相対回転させる過程において、規制状態が解除されてから、爪部が回転規制壁に当接することとなる。そのため、使用者は、規制状態を解除するために、爪部が回転規制壁に当接するまで外筒部を挿入部に対して相対回転させればよく、外筒部の挿入部に対する回転量を目視によって確認しなくとも、爪部が回転規制壁に当接した感触で規制状態の解除を認識することができる。その結果、規制状態を容易に解除することができる。
【0016】
また、本発明において、前記着脱手段は、前記挿入部の軸方向に沿って前記挿入部の先端側から前記摺動壁に向かって延在し、前記挿入部が前記外筒部に挿入される過程で前記爪部を前記摺動壁に導く案内壁を有してもよい。
【0017】
これによると、確実に規制状態とすることができる。
【0018】
また、本発明において、前記凹壁は、前記規制状態において前記外筒部が前記挿入部に対して前記挿入部の軸回りの第1方向に相対回転した場合と前記規制状態において前記外筒部が前記挿入部に対して前記挿入部の軸回りの前記第2方向に相対回転した場合との両方の場合において、前記爪部を前記頂面に押し上げることで前記規制状態を解除するように形成されていてもよい。
【0019】
これによると、使用者は、規制状態において、外筒部を挿入部に対して、挿入部の軸回りの双方向のうち、何れの方向に相対回転させた場合であっても、規制状態を解除し、第1コネクタと第2コネクタとを分離させることができる。その結果、分離操作が容易となる。
【0020】
また、本発明において、前記外筒部には、一対の前記爪部が前記外筒部の周方向において離間して形成され、前記挿入部には、前記一対の爪部に対応した一対の着脱手段からなる着脱手段対が少なくとも2つ以上形成されていてもよい。
【0021】
これによると、連結操作において、複数の着脱手段対の何れかと一対の爪部とが挿入部の軸方向に沿って並ぶように、挿入部と外筒部とを周方向に位置合わせすればよい。つまり、挿入部と外筒部とを周方向に位置合わせ可能な外筒部と挿入部の姿勢の組み合わせが、複数存在することとなる。その結果、容易に挿入部と外筒部とを周方向に位置合わせすることが可能となり、連結操作が容易となる。
【0022】
また、本発明は、前記第1コネクタは、筒状の外筒部と、前記外筒部の内周面に突設された爪部と、を有し、前記第2コネクタは、前記外筒部に挿入可能な円筒状の挿入部を有し、前記挿入部の外周面には、前記第2コネクタに対して前記第1コネクタを着脱可能とする着脱手段が形成され、前記着脱手段は、前記外筒部の前記爪部を受け入れ可能な空間である受入部と、前記受入部の軸方向先端側の端部を画定する規制壁と、前記規制壁の軸方向先端側に形成された摺動壁と、を含み、前記挿入部が前記外筒部に挿入されることで、前記第1コネクタと前記第2コネクタとが連結され、前記挿入部が前記外筒部に挿入される過程で、前記爪部が前記摺動壁から前記受入部に受け入れられることで、前記規制壁により、前記挿入部が前記外筒部から抜去されることが規制された規制状態となり、前記外筒部には、一対の前記爪部が前記外筒部の周方向に離間して形成され、前記挿入部には、前記一対の爪部に対応した一対の着脱手段からなる着脱手段対が少なくとも2つ以上形成されている、医療用接続具であってもよい。
【0023】
本発明によれば、医療用接続具をより簡単に着脱することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
図1図1は、実施形態1に係る医療用接続具が連結された状態を示す図である。
図2図2は、実施形態1に係る医療用接続具が分離した状態を示す図である。
図3図3は、第1コネクタが流体チューブに接続された状態を示す断面図である。
図4図4は、フードの側面図である。
図5図5は、フードを軸方向の先端側から見た図である。
図6図6は、第2コネクタが輸液チューブに接続された状態を示す断面図である。
図7図7は、第2コネクタの斜視図である。
図8図8は、第2コネクタの側面図である。
図9図9は、第2コネクタを軸方向の先端側から見た図である。
図10図10は、受入部における挿入部の断面図である。
図11図11は、挿入部をフードに挿入する様子を示す図である。
図12図12は、爪部と係合部との関係を説明するための図である。
図13図13は、規制状態における爪部と凹壁との関係を説明するための断面図である。
図14図14は、規制状態においてフードを挿入部に対して相対回転させたときの爪部の挙動を説明するための図である。
図15図15は、比較例に係る医療用接続具の第2コネクタの側面図である。
図16図16は、実施形態1に係るガイド部のバリエーションを示す図である。
図17図17は、実施形態1に係る第2コネクタのバリエーションを示す図である。
図18図18は、実施形態1の変形例に係る第1コネクタがシリンジに接続された状態を示す断面図である。
図19図19は、実施形態2に係る医療用接続具の第2コネクタの側面図である。
図20図20は、規制状態においてフードを挿入部に対して相対回転させたときの爪部の挙動を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、本発明の実施形態について、図面に基づいて説明する。但し、以下の説明は例示であり、本発明は以下の内容に限定されるものではない。
【0026】
<実施形態1>
図1は、実施形態1に係る医療用接続具が連結された状態を示す図である。また、図2は、実施形態1に係る医療用接続具が分離した状態を示す図である。図1及び図2に示すように、実施形態1に係る医療用接続具100は、第1のラインとしての流体ラインである流体チューブ200に設けられた第1コネクタ10と、第2のラインとしての輸液ラインである輸液チューブ300に設けられた第2コネクタ20とを有する。流体チューブ200と輸液チューブ300は、共に、内部に流体を流通可能となっている。本明細書において、輸液ラインとは、輸液を患者の体内へ注入するための経路のことを指す。輸液ラインは、例えば、輸液バッグから患者に穿刺される針まで、輸液を移送する。図1及び図2に示す例では、輸液ラインは、輸液チューブ300により構成されている。また、本明細書において、流体ラインとは、輸液ラインに流体を混注するための経路のことを指す。流体ラインは、添加ラインとも呼ばれ、例えば、輸液ラインを流れる輸液とは別の輸液や薬液を混注する。また、流体ラインとしては、内部に流体を流通し得るチューブやシリンジ等を例示することができる。図1及び図2に示す例では、流体ラインは、流体チューブ200により構成されている。医療用接続具100は、第1コネクタ10と第2コネクタ20とが連結されることで、流体チューブ200と輸液チューブ300とを連通させ、輸液チューブ300に流体チューブ200内の流体を混注可能とするものである。以下、医療
用接続具100を構成する第1コネクタ10と第2コネクタ20について説明する。なお、本明細書において、コネクタの先端側とは、相手側のコネクタと接続される側を指し、コネクタの基端側とは、第1のライン(本例では輸液ライン)又は第2のライン(本例では流体ライン)と接続される側を指す。
【0027】
[第1コネクタ]
図3は、第1コネクタ10が流体チューブ200に接続された状態を示す断面図である。図3では、第1コネクタ10の軸方向に沿う断面を示している。図3に示すように、第1コネクタ10は、流体チューブ200の末端に接続されている。第1コネクタ10は、針ハブ1と針管2とフード3とを有する。
【0028】
針ハブ1は、管状に形成されており、その一端部が流体チューブ200の末端部に挿入され、他端部が流体チューブ200の末端部から突出した状態で固定されている。針ハブ1は、その他端部(先端部)に挿入された針管2を保持する。針ハブ1と流体チューブ200との固定方法には、嵌合や接着剤による接着等が用いられる。針ハブ1の材料として、塩化ビニルやポリカーボネート等の合成樹脂が例示される。
【0029】
針管2は、管状に形成されており、その一端部が針ハブ1の先端部に挿入され、他端部が針ハブ1の先端部から突出した状態で固定されている。針管2の該他端部(先端部)には、鋭利な針先が形成されている。針管2は、先端部の針先によって後述する第2コネクタ20のゴム状弾性体5を刺通することにより、流体チューブ200と輸液チューブ300とを連通させる。そのため、針管2は、ゴム状弾性体5を刺通可能な剛性を有する材料で形成されることが好ましい。針管2の材料としては、ステンレス鋼、アルミニウム、チタン、又はこれらの合金等の金属や、ポリカーボネート、ABS等の合成樹脂等が例示される。また、針ハブ1と針管2との固定方法には、接着剤による接着の他、高周波溶着等が用いられる。
【0030】
フード3は、筒状に形成されており、その内部に針管2を収容することで針管2を保護すると共に針刺し事故を防止するためのものである。フード3の一端部は、針ハブ1における流体チューブ200の末端部から突出した部分に外嵌されている。これにより、フード3は、針ハブ1及び針管2に対する軸回りの相対回転が許容された状態となっている。フード3の他端部(先端部)は、該一端部(基端部)よりも拡径しており、後述するように第2コネクタ20の先端部を挿入可能となっている。フード3は、本発明に係る「外筒部」の一例である。
【0031】
図4は、フード3の側面図である。図5は、フード3を軸方向の先端側から見た図である。図4及び図5に示すように、フード3の先端部には、先端部の開口縁からフード3の中途まで軸方向に延在する一対の切欠部31,31が形成されている。一対の切欠部31,31は、互いに対向する位置に形成されている。より詳細には、一対の切欠部31,31は、フード3の軸回りおいて180°の角度間隔を空けて配置されている。一対の切欠部31,31が形成されることで、フード3の先端部における、一対の切欠部31,31によって切り欠かれた残部は、一対のフード片32,32を形成し、外力に対して変形し易くされている。一対のフード片32,32の夫々の内周面には、径方向内側に向かって突出した爪部33が突設されている。これら一対の爪部33,33は、互いに対向する位置に形成されている。
【0032】
また、図5に示すように、フード3の外周面には、使用者(医療従事者)が第1コネクタ10を把持し易くするために、径方向外向きに突出した複数のリブ34が周方向に等間隔に並んで設けられている。更に、図4に示すように、フード3の外周面における、周方向に隣り合うリブ34,34同士の間には、径方向内側に凹んだ窪み35が形成されてい
る。これにより、第1コネクタ10が更に把持し易くなっている。フード3の材料として、塩化ビニルやポリカーボネート等の合成樹脂が例示される。
【0033】
[第2コネクタ]
図6は、第2コネクタ20が輸液チューブ300に接続された状態を示す断面図である。図6では、第2コネクタ20の軸方向に沿う断面を示している。図7は、第2コネクタ20の斜視図である。図8は、第2コネクタ20の側面図である。図9は、第2コネクタ20を軸方向の先端側から見た図である。図6に示すように、第2コネクタ20は、輸液チューブ300の末端部に接続されている。但し、第2コネクタ20は、輸液チューブ300の中途に接続されるものであってもよい。本実施形態に係る第2コネクタ20は、混注部とも呼ぶことができる。第2コネクタ20は、ハウジング4とゴム状弾性体5とカバー部材6とを有する。
【0034】
図6に示すように、ハウジング4は、筒状に形成されており、その一端部が輸液チューブ300の末端部に挿入され、他端部が輸液チューブ300の末端部から突出した状態で固定されている。図6の符号41は、ハウジング4の先端に形成された開口を示す。
【0035】
ハウジング4は、その軸方向において、ハウジング4の先端を含む先端部42と、ハウジング4の基端を含む基端部43と、先端部42と基端部43とを接続する中間部44と、に区分される。中間部44の外径は、先端部42の外径よりも大きく、基端部43の外径は、中間部44の外径よりも大きく設定されている。これにより、先端部42と中間部44との間、及び中間部44と基端部43の間に段差が形成されている。ハウジング4の材料として、ポリカーボネートやABS等の合成樹脂が例示される。但し、ハウジング4の材料はこれに限定されない。
【0036】
ゴム状弾性体5は、ハウジング4の開口41を閉塞するようにハウジング4の先端部に挿入されることで、第2コネクタ20の内部を液密に封止するものである。ゴム状弾性体5は、第1コネクタ10と第2コネクタ20とが連結した場合には針管2によって刺通され、第1コネクタ10と第2コネクタ20とが分離した場合には針管2が抜去された後の孔を再度封止可能となるように形成されている。このようなゴム状弾性体5の材料として、合成ゴム、天然ゴム、シリコンゴムや熱可塑性エラストマー等が例示される。但し、ゴム状弾性体5の材料はこれに限定されない。
【0037】
カバー部材6は、ハウジング4に装着されることで、ゴム状弾性体5の脱落を防止するものである。カバー部材6は、ハウジング4の先端部42に嵌着された筒状の嵌着部61と、嵌着部61の先端部に接続されてハウジング4の開口41及びゴム状弾性体5を覆う蓋部62と、を有する。蓋部62の中央には、第1コネクタ10と第2コネクタ20との連結時に針ハブ1が挿通される貫通孔63が形成されている。嵌着部61の基端面は、中間部44の先端面に当接しており、且つ、中間部44の先端面よりも径方向外側に突出している。カバー部材6は、ハウジング4と容易に溶剤等によって接着できるように、ハウジング4と同様の合成樹脂から形成されている。但し、カバー部材6の材料はこれに限定されない。
【0038】
ここで、図1及び図2に示すように、第2コネクタ20の先端部は、円筒状に形成され、第1コネクタ10のフード3に挿入可能となっている。この、第2コネクタ20の先端に形成された、フード3に挿入可能な円筒状の部位を、「挿入部」と称する。図6図9において、挿入部を符号7で示す。挿入部7は、第2コネクタ20において、ハウジング4の一部とゴム状弾性体5の全体とを含む部位である。挿入部7がフード3に挿入されることによって、第1コネクタ10と第2コネクタ20とが連結される。
【0039】
図6図9に示すように、挿入部7の外周面には、符号8で示す複数の着脱手段が周方向において離間して形成されている。着脱手段8は、第1コネクタ10を第2コネクタ20に対して着脱可能とするものである。図9に示すように、着脱手段8は、周方向において等間隔に4つ形成されている。即ち、4つの着脱手段8は、挿入部7の軸回りにおいて90°の角度間隔を空けて配置されている。ここで、挿入部7の軸心を挟んで互いに反対側に形成された2つの着脱手段8,8からなる対を、着脱手段対8Pと称する。着脱手段対8Pは、即ち、挿入部7の軸回りおいて180°の角度間隔を空けて配置された2つの着脱手段8,8からなる対である。着脱手段対8Pは、夫々、一対の爪部33,33に対応するものである。4つの着脱手段8は、挿入部7の軸回りおいて90°の角度間隔を空けて配置された2つの着脱手段対8Pとして捉えることができる。以下、着脱手段8の詳細について説明する。
【0040】
図7に示すように、着脱手段8は、フード3の爪部33を受け入れ可能な空間である受入部81と、受入部81を挿入部7の周方向両側から挟むように形成され、周方向に延在する一対の頂面82,82と、受入部81に受け入れられた爪部33と係合する係合部83と、を含む。
【0041】
また、図6に示すように、係合部83は、受入部81の先端側の端部を画定する規制壁831と、規制壁831の軸方向先端側に形成された摺動壁832と、を有して、挿入部7の外周面において径方向外側に突出した突起として形成されている。この規制壁831は、カバー部材6の基端面における中間部44の先端面よりも径方向外側に突出した部分によって形成されている。挿入部7の規制壁831における外径は、フード3の爪部33における内径よりも大きくなるように設定されている。摺動壁832は、受入部81と軸方向に並ぶように規制壁831の軸方向先端側に形成されており、挿入部7の先端側から基端側に向かうに従って径方向外側に突出するように傾斜した傾斜面として形成されている。
【0042】
また、図6図8に示すように、着脱手段8は、摺動壁832を基端として軸方向に沿って挿入部7の先端部まで延在する溝であるガイド部84を有する。ガイド部84は、摺動壁832の周方向両縁に接続され、互いに対向するように設けられた一対の案内壁841,841によって形成されている。案内壁841,841は、軸方向に沿って挿入部7の先端部から摺動壁832に向かって延在している。一対の案内壁841,841同士の間隔は、爪部33がガイド部84内をスライド可能となるように、爪部33の周方向における幅よりも大きく設定されている。また、一対の案内壁841,841同士の先端部における間隔は、基端部における間隔よりも広くなるように設定されている。即ち、ガイド部84は、先端部において基端部よりも周方向における幅が広くなっている。
【0043】
図7及び図8に示すように、一対の頂面82,82は、周方向及び軸方向に延在する外周面としてハウジング4の中間部44に形成されている。一対の頂面82,82は、中間部44の基端から先端まで軸方向に延在している。また、挿入部7の頂面82における外径は、挿入部7の規制壁831における外径及びカバー部材6の外径と同等以上となるように設定されている。
【0044】
また、一対の頂面82,82同士の間には、一対の頂面82,82同士を接続すると共に径方向において一対の頂面82,82に対して内側に凹んだ凹壁85が形成されている。ここで、図10は、受入部81における挿入部7の断面図である。図10では、挿入部7の軸方向に直交する断面を示している。図10に示すように、凹壁85は、径方向において頂面82,82よりも内側に位置した底壁851と、底壁851と一対の頂面82,82の夫々とを接続する一対の側壁852,852と、を有する。挿入部7の凹壁85における外径は、挿入部7の規制壁831における外径よりも小さくなるように設定されて
いる。
【0045】
これら規制壁831と凹壁85とによって、爪部33を受け入れ可能な受入部81が形成されている。より詳細には、受入部81は、規制壁831と底壁851と一対の側壁852,852とによって囲まれた空間として形成されている。
【0046】
また、図7図8図10に示すように、着脱手段8は、頂面82から径方向外側に突出した押出壁86と87とを有する。図8に示すように、押出壁86は、周方向において受入部81から離れるに従って軸方向先端側に突出するように傾斜した傾斜面として形成されている。また、回転規制壁87は、押出壁86に連続して形成され、周方向において頂面82を挟んで受入部81の反対側の位置において軸方向に延在した形状となっている。
【0047】
[操作]
以下、医療用接続具100の着脱操作について説明する。先ず、第1コネクタ10と第2コネクタ20とが分離した状態から第1コネクタ10と第2コネクタ20とを連結する操作について説明する。第1コネクタ10と第2コネクタ20は、挿入部7がフード3に挿入されることで連結される。図11は、挿入部7をフード3に挿入する様子を示す図である。挿入部7をフード3に挿入するには、先ず、図11に示すように、挿入部7とフード3とを同軸とし、挿入部7とフード3の先端部同士が向き合った姿勢とする。次に、2つの着脱手段対8Pの何れか一方と一対の爪部33,33とが軸方向に沿って並ぶように、挿入部7とフード3とを周方向に位置合わせした状態で、フード3を挿入部7に対して挿入部7の基端側へ軸方向に相対移動させ、挿入部7の先端をフード3に挿入させる。このとき、爪部33がガイド部84内をスライドすることで、爪部33が一対の案内壁841,841によって周方向の両側から挟まれ、挿入部7とフード3との軸回りの相対回転が規制される。その結果、挿入部7がフード3に挿入される過程において、挿入部7とフード3とが周方向に位置合わせされた状態が維持され、爪部33が係合部83の摺動壁832に導かれる。また、一対の案内壁841,841が先端部において基端部よりも間隔が広くなるように形成されていることから、爪部33を一対の案内壁841,841の間に導入し易くなっている。
【0048】
図12は、爪部33と係合部83との関係を説明するための図であって、図12(a)は、挿入部7がフード3に挿入される過程において爪部33が摺動壁832に当接した状態を示し、図12(b)は、図12(a)に示す状態から爪部33が摺動壁832を乗り越えて受入部81に受け入れられた状態を示す図である。挿入部7がフード3に挿入される過程において、図12(a)に示すように爪部33が係合部83の摺動壁832に当接した状態から、フード3を挿入部7に対して挿入部7の基端側へ更に相対移動させようとすると、フード3の相対移動に伴って爪部33が規制壁831上を摺動するように、フード3が弾性変形する。その結果、図12(b)に示すように、爪部33が摺動壁832を乗り越えて受入部81に受け入れられる。爪部33が受入部81に受け入れられることで、爪部33と係合部83とが係合する。これにより、フード3に対する挿入部7の挿入操作が完了し、第1コネクタ10と第2コネクタ20とが連結される。ここで、爪部33が受入部81に受け入れられる際に、フード3が弾性変形し、爪部33が底壁851に衝突することで、弾性変形及び衝突による手応えや音が生じる。使用者は、これらの手応え乃至音を感じることにより、コネクタの連結が完了したことを明確に認識することができる。
【0049】
また、挿入部7がフード3に挿入される過程において、針管2の針先がカバー部材6の貫通孔63を挿通してゴム状弾性体5に刺入される。そして、爪部33が受入部81に受け入れられて第1コネクタ10と第2コネクタ20とが連結した状態に至るまでに、針管
2の針先がゴム状弾性体5を貫通し、流体チューブ200と輸液チューブ300とが連通した状態となる。このようにして、第1コネクタ10と第2コネクタ20とが連結されることで、流体チューブ200と輸液チューブ300とが連通される。
【0050】
図12(b)に示すように、爪部33が受入部81に受け入れられた状態では、爪部33と係合部83とが係合しており、フード3を挿入部7の先端側へ相対移動させようとすると、規制壁831が爪部33に対して挿入部7の先端側から当接することとなる。そのため、爪部33の挿入部7に対する軸方向先端側への相対移動が、着脱手段8の規制壁831によって規制されている。即ち、フード3が挿入部7に対して挿入部7の先端側へ軸方向に相対移動することが規制されている。従って、爪部33が受入部81に受け入れられることで、挿入部7がフード3から抜去されて第1コネクタ10と第2コネクタ20とが分離することが規制された状態(以下、規制状態)となる。医療用接続具100が規制状態となることで、第1コネクタ10と第2コネクタ20との連結が保持(維持)されている。ここで、図13は、規制状態における爪部33と凹壁85との関係を説明するための断面図である。図13では、挿入部7の軸方向に直交する断面を示している。図13に示すように、規制状態では、一対の側壁852,852によって爪部33が周方向の両側から挟まれているため、意図せずにフード3が挿入部7に対して挿入部7の軸回りに相対回転して爪部33が受入部81から抜け出して規制状態が解除されることが抑制されている。
【0051】
以上のようにして、規制状態においては、意図せずにフード3が挿入部7から抜去されることが、受入部81を形成する規制壁831と凹壁85とによって防止されている。
【0052】
次に、第1コネクタ10と第2コネクタ20とが連結した状態から第1コネクタ10と第2コネクタ20とを分離する操作について説明する。第1コネクタ10と第2コネクタ20は、挿入部7がフード3から抜去されることで分離される。上述のように、規制状態では、規制壁831によって爪部33の挿入部7の軸方向先端側への移動が規制されている。本実施形態に係る医療用接続具100は、フード3を挿入部7に対してフード3の軸回りに相対回転させることで、規制状態を解除し、第1コネクタ10と第2コネクタ20とを分離可能とするものである。ここで、挿入部7の軸回りの双方向について、一方を第1方向R1とし、他方を第2方向R2とする。第1方向R1と第2方向R2は、互いに反対方向である。図13に、第1方向R1と第2方向R2を示す。更に、一対の側壁852,852のうち底壁851に対して第1方向側に位置する側壁852を側壁8521とし、第2方向側に位置する側壁852を側壁8522とし、図13に示す。
【0053】
本実施形態に係る医療用接続具100は、凹壁85が、フード3が挿入部7に対して第1方向R1に相対回転した場合と、フード3が挿入部7に対して第2方向R2に相対回転した場合とのうち、両方の場合において、爪部33を頂面82に押し上げることで規制状態を解除するように、形成されている。以下、フード3を挿入部7に対して第1方向R1に相対回転させた場合を中心に説明する。
【0054】
図14は、規制状態においてフード3を挿入部7に対して相対回転させたときの爪部33の挙動を説明するための図であって、図14(a)はフード3の相対回転が開始した状態を示し、図14(b)は図14(a)に示す状態からフード3が更に相対回転した状態を示し、図14(c)は図14(b)に示す状態からフード3が更に相対回転した状態を示す。図14では、便宜上、フード3については爪部33のみを図示している。
【0055】
規制状態において、フード3を挿入部7に対して第1方向R1に相対回転させようとすると、爪部33が側壁8521に当接する。爪部33が側壁8521に当接した状態から、フード3を挿入部7に対して第1方向に更に相対回転させると、図14(a)に示すよ
うに、フード3の第1方向への相対回転に伴って爪部33が側壁8521上を摺動し、針管2から離れる方向(即ち、径方向外側)にフード3が弾性変形する。図14(a)に示す状態からフード3を更に相対回転させると、爪部33が側壁8521によって頂面82に押し上げられ、図14(b)に示すように、爪部33が受入部81から抜け出す。これにより、規制壁831によって爪部33の挿入部7の軸方向先端側への相対移動が規制された規制状態が解除される。その結果、フード3を挿入部7に対して挿入部7の軸方向先端側に相対移動させて挿入部7をフード3から抜去し、第1コネクタ10と第2コネクタ20とを分離することが可能となる。なお、規制状態が解除された状態には、規制状態と比較して挿入部を外筒部から抜去し易い状態も含まれ得る。つまり、爪部33が多少の段差を乗り越えながら挿入部7がフード3から抜去されてもよい。
【0056】
このとき、図14(b)に示すように、爪部33が頂面82に押し上げられた状態でフード3を挿入部7に対して第1方向R1へそれ以上回転させようとすると、押出壁86が爪部33に当接することとなる。ここで、上述のように、押出壁86は、周方向において受入部81から離れるに従って軸方向先端側に向かって突出するように形成されている。そのため、フード3を挿入部7に対して第1方向R1へ更に相対回転させると、フード3の相対回転に伴って、爪部33が押出壁86を摺動しながら挿入部7の先端側に押し出される。これにより、爪部33の軸方向における変位分、フード3が挿入部7の軸方向先端側へ相対移動する。つまり、挿入部7がフード3から抜去される方向に、フード3が挿入部7に対して相対移動する。
【0057】
そして、図14(b)に示す状態からフード3を更に相対回転させると、図14(c)に示すように、挿入部7の周方向において爪部33を挟んだ受入部81の反対側から回転規制壁87が爪部33に当接することとなる。これにより、フード3が挿入部7に対して第1方向へそれ以上回転することが規制される。
【0058】
図14(b),(c)に示した規制状態が解除された状態で挿入部7をフード3から抜去することで、第1コネクタ10と第2コネクタ20とが分離される。なお、規制状態においてフード3を挿入部7に対して第2方向R2に相対回転させた場合においても、第1方向R1に回転させた場合と同様にして、第1コネクタ10と第2コネクタ20とを分離することができる。即ち、規制状態において、フード3を挿入部7に対して第2方向R2に相対回転させようとすると、爪部33が側壁8522に当接し、爪部33が側壁8522に当接した状態から、フード3を挿入部7に対して第2方向に更に相対回転させると、フード3の第2方向R2への相対回転に伴って爪部33が側壁8522上を摺動するようにフード3が弾性変形し、爪部33が側壁8522によって頂面82に押し上げられる。これにより、規制状態が解除され、挿入部7をフード3から抜去することが可能となる。
【0059】
[比較例]
ここで、図15は、比較例に係る医療用接続具を示す図である。比較例は、図3等に示した第1コネクタ10を用いる点で実施形態に係る医療用接続具100と同様であり、第2コネクタが、着脱手段8に代えて、爪部33をガイドするガイド溝9を有する点で医療用接続具100と大きく相違する。図15に示すように、ガイド溝9は、比較例に係る第2コネクタ30における挿入部7の外周面に形成されており、挿入部7の先端側から基端側へ挿入部7の軸方向に延在する軸方向溝91と、軸方向溝91の基端部から連続して挿入部7の周方向に延在する周方向溝92と、を有する。また、周方向溝92の中途部分には、突起93が溝の内壁から突出している。以下、比較例に係る医療用接続具の着脱操作について、実施形態に係る医療用接続具100との相違点を中心に説明する。
【0060】
比較例において、第1コネクタ10と第2コネクタ30とを連結する場合には、先ず、フード3の爪部33が挿入部7の軸方向溝91内をスライドするように、フード3を挿入
部7に対して挿入部7の基端側へ挿入部7の軸方向に相対移動させる。爪部33が軸方向溝91の基端部に当接するまでフード3が軸方向に相対移動すると、フード3に対する挿入部7の挿入操作が完了し、第1コネクタ10と第2コネクタ30とが連結される。次に、フード3の爪部33が挿入部7の周方向溝92内をスライドするように、フード3を挿入部7に対して挿入部7の軸回りに相対回転させる。爪部33が突起93を越えて周方向溝92の所定位置に至ることで、爪部33と周方向溝92とが係合し、爪部33が挿入部7の先端側へ軸方向に相対移動することが周方向溝92の内壁によって規制される。その結果、挿入部7がフード3から抜去されることが規制された規制状態となる。規制状態では、突起93が爪部33に当接することによって、フード3が挿入部7に対して相対回転することが抑制される。これにより、第1コネクタ10と第2コネクタ30との連結が保持される。第1コネクタ10と第2コネクタ20とを分離する場合には、第1コネクタ10と第2コネクタ20とを連結する場合とは逆の操作を行う。即ち、先ず、爪部33が周方向溝92内をスライドするように、フード3を挿入部7に対して連結時とは逆方向に相対回転させることにより、爪部33と周方向溝92との係合を解除する。爪部33が突起93を乗り越えて軸方向溝91の基端部に至るまでフード3を相対回転させた後に、爪部33が軸方向溝91内をスライドするように、フード3を挿入部7の先端側に軸方向に相対移動させることで、挿入部7がフード3から抜去され、第1コネクタ10と第2コネクタ30とが分離する。
【0061】
このように、比較例によると、第1コネクタ10と第2コネクタ30とを連結し、連結を保持するためには、第1コネクタ10と第2コネクタ30とを連結するために挿入部7をフード3に挿入する挿入操作と、フード3の挿入部7からの抜去を規制するために挿入部7をフード3に対して相対回転させる回転操作の、2段階の操作が必要となる。また、第1コネクタ10と第2コネクタ30との分離においても、規制状態を解除するための回転操作と、第1コネクタ10と第2コネクタ30とを分離するためにフード3を挿入部7から抜去する抜去操作の、2段階の操作が必要となる。従って、比較例によると、連結して分離するまでの着脱操作において、4段階の操作が必要となる。
【0062】
[作用・効果]
以下、比較例との対比により、本実施形態に係る医療用接続具100の作用・効果について説明する。上述のように、本実施形態に係る医療用接続具100は、第1のラインとしての流体チューブ200に設けられる第1コネクタ10と、第2のラインとしての輸液チューブ300に設けられる第2コネクタ20と、を備え、第1コネクタ10と第2コネクタ20とが連結されることで、輸液チューブ300と流体チューブ200とを連通させる。また、第1コネクタ10は、筒状のフード3と、フード3の内周面に突設された爪部33と、を有し、第2コネクタ20は、フード3に挿入可能な円筒状の挿入部7を有する。また、挿入部7の外周面には、第2コネクタ20に対して第1コネクタ10を着脱可能とする着脱手段8が形成されており、着脱手段8は、フード3の爪部33を受け入れ可能な空間である受入部81と、受入部81を周方向両側から挟むように形成された一対の頂面82,82と、受入部81の軸方向先端側の端部を画定する規制壁831と、規制壁831の軸方向先端側に形成された摺動壁832と、を含む。また、受入部81は、一対の頂面82,82同士を接続すると共に挿入部7の径方向において一対の頂面82,82に対して内側に凹んだ凹壁85によって形成されている。そして、医療用接続具100は、挿入部7がフード3に挿入されることで、第1コネクタ10と第2コネクタ20とが連結されるように構成されており、挿入部7がフード3に挿入される過程では、爪部33が摺動壁832を乗り越えて受入部81に受け入れられることで、規制壁831により、挿入部7がフード3から抜去されることが規制された規制状態となる。そして、凹壁85は、規制状態においてフード3が挿入部7に対して挿入部7の軸回りの第1方向に相対回転した場合と規制状態においてフード3が挿入部7に対して第1方向とは反対方向の第2方向に相対回転した場合とのうち、少なくとも一方の場合において、爪部33を頂面82に押
し上げることで規制状態を解除するように形成されている。
【0063】
本実施形態に係る医療用接続具100によると、挿入部7をフード3に挿入して第1コネクタ10と第2コネクタ20とを連結する過程で、爪部33が摺動壁832を乗り越えて受入部81に受け入れられることで、爪部33と係合部83とが係合し、挿入部7がフード3から抜去されることが規制された規制状態となる。即ち、医療用接続具100によれば、第1コネクタ10と第2コネクタ20とを連結するために挿入部7をフード3に挿入する挿入操作に伴って規制状態とすることができ、第1コネクタ10と第2コネクタ20との連結を保持することができる。換言すると、医療用接続具100によれば、回転操作を伴うことなく、挿入操作のみで、第1コネクタ10と第2コネクタ20とを連結し、連結を保持することができる。そして、医療用接続具100によると、規制状態においてフード3を挿入部7に対して挿入部7の軸回りに相対回転させると、爪部33が凹壁85によって頂面82に押し上げられることで、規制状態が解除される。即ち、医療用接続具100によれば、規制状態を解除するための回転操作と、第1コネクタ10と第2コネクタ30とを分離するためにフード3を挿入部7から抜去する抜去操作の、2段階の操作で第1コネクタ10と第2コネクタ20とを分離することができる。従って、医療用接続具100によると、第1コネクタ10と第2コネクタ20とを連結して分離するまでの着脱操作を、3段階の操作で行うことが可能となる。その結果、医療用接続具100によれば、比較例よりも簡単に、第1コネクタ10と第2コネクタ20との着脱を行うことができる。また、回転操作により規制状態とする比較例の構成では、回転時に爪部33が意図せずに周方向溝92を乗り越えてしまい、フード片32が過剰に変形することで歪み、規制状態とすることができなくなってしまう虞がある。これに対して、本実施形態に係る医療用接続具100は、挿入操作のみで規制状態とすることができるため、比較例と比べて、安定して規制状態とすることができる。
【0064】
ここで、比較例では、フード3を挿入部7に対して相対回転させる操作により爪部33を周方向に延在する周方向溝92に係合させ、連結を保持する構成となっているため、周方向溝92の周方向の長さを十分に確保する必要がある。そのため、比較例では、ガイド溝9が周方向において幅広となりがちとなり、コネクタとして実用的な大きさで第2コネクタ30を製造する場合、挿入部7の外周面にガイド溝9を4つ以上形成することが困難となる。
【0065】
一方、本実施形態に係る医療用接続具100は、挿入部7をフード3に挿入する操作により爪部33を係合部83に係合させ、規制状態とし、連結を保持する構成となっているため、比較例のガイド溝9よりも着脱手段8を周方向において幅狭とすることができる。その結果、コネクタとして実用的な大きさで第2コネクタ20を製造する場合、挿入部7の外周面に着脱手段8を4つ以上形成することが可能となっている。そして、本実施形態に係る医療用接続具100では、フード3には、一対の爪部33,33がフード3の周方向に離間して形成されており、挿入部7には、一対の爪部33,33に対応した一対の着脱手段8,8からなる着脱手段対8Pが2つ形成されている。これによれば、使用者は、医療用接続具100の連結操作において、2つの着脱手段対8Pの何れか一方と一対の爪部33,33とが挿入部7の軸方向に沿って並ぶように、挿入部7とフード3とを周方向に位置合わせすればよい。つまり、挿入部7とフード3とを周方向に位置合わせ可能なフード3と挿入部7の姿勢の組み合わせが、少なくとも2通り存在することとなる。その結果、容易に挿入部7とフード3とを周方向に位置合わせすることが可能となり、医療用接続具100の連結操作が容易となる。なお、本発明は、着脱手段対が3つ以上形成されていてもよい。
【0066】
また、比較例では、ガイド溝9内の突起93により、フード3の回転時(連結時)に微かな手応えが生じるものの、コネクタの連結が完了したか否かが使用者にとって分かり難
い構造となっていた。これに対して、本実施形態に係る医療用接続具100は、連結時に明確な手応え乃至音が生じる連結構造とすることで、コネクタの連結が完了したことを使用者に明確に認識させることができる。
【0067】
更に、医療用接続具100は、規制状態においてフード3が第1方向R1に相対回転した場合と第2方向R2に相対回転した場合との両方の場合において、爪部33を頂面82に押し上げることで規制状態を解除するように、凹壁85が形成されている。これによれば、使用者は、規制状態において、フード3を挿入部7に対して、挿入部7の軸回りの双方向のうち、何れの方向に相対回転させた場合であっても、規制状態を解除し、第1コネクタ10と第2コネクタ20とを分離させることができる。その結果、医療用接続具100の分離操作が容易となる。但し、本発明は、これに限定しない。即ち、凹壁85は、規制状態においてフード3が第1方向R1に相対回転した場合と、第2方向R2に相対回転した場合とのうち、少なくとも一方の場合において、爪部33を頂面82に押し上げることで規制状態を解除するように形成されていればよい。
【0068】
更に、医療用接続具100では、着脱手段8が、受入部81から頂面82に押し上げられた爪部33に当接する押出壁86を有する。そして、押出壁86は、爪部33に押出壁86が当接した状態から、フード3が挿入部7に対する回転方向へそれ以上相対回転すると、爪部33を挿入部7の軸方向先端側へ押し出すように形成されている。これにより、爪部33の挿入部7の軸方向における変位分、フード3が挿入部7の先端側に相対移動する。つまり、挿入部7がフード3から抜去される方向に、フード3が挿入部7に対して相対移動する。これによると、連続する1回の回転操作によって、規制状態の解除と挿入部7のフード3からの抜去操作の少なくとも一部とを連続して行うことができる。その結果、使用者は、爪部33が挿入部7の先端側に押し出されることによるフード3の相対変位を感じ取ることにより、速やかに抜去操作に移行することができる。
【0069】
更に、医療用接続具100では、着脱手段8が、受入部81から頂面82に押し上げられた爪部33に当接することで、フード3が挿入部7に対する回転方向へそれ以上相対回転することを規制する、回転規制壁87を有する。これによると、規制状態を解除するためにフード3を挿入部7に対して挿入部7の軸回りに相対回転させるときに、爪部33が頂面82を乗り越えて、その先にある受入部81に受け入れられて再び規制状態となることが抑制されている。その結果、規制状態を確実に解除することができる。また、頂面82に押し上げられた状態の爪部33に当接するように回転規制壁87が形成されているため、フード3を挿入部7に対して相対回転させる過程において、規制状態が解除されてから、爪部33が回転規制壁87に当接することとなる。そのため、使用者は、規制状態を解除するために、爪部33が回転規制壁87に当接するまでフード3を挿入部7に対して相対回転させればよく、フード3の挿入部7に対する回転量を目視によって確認しなくとも、爪部33が回転規制壁87に当接した感触で規制状態の解除を認識することができる。その結果、規制状態を容易に解除することができる。
【0070】
ここで、例えば、特開2006-345916号公報(特許文献1)の図7及び図8に開示の混注部のように、第2コネクタ20が輸液ラインの中途に設けられた場合、一対のフード片32,32が輸液ラインを跨ぐように形成されることが好ましい。このとき、回転操作により規制状態とする比較例の構成では、回転時に爪部33が意図せずに周方向溝92を乗り越えてしまい、施術前においてフード片32によって輸液ラインが損傷してしまう虞がある。これに対して、本実施形態に係る医療用接続具100は、挿入操作のみで規制状態とすることができるため、そのような事態を防止することができる。
【0071】
更に医療用接続具100では、着脱手段8が、挿入部7の軸方向に沿って挿入部7の先端側から摺動壁832に向かって延在し、挿入部7がフード3に挿入される過程で爪部3
3を摺動壁832に導く(案内する)案内壁841,841を有する。これによると、爪部33と係合部83とを確実に係合させ、規制状態とすることができる。なお、上述の説明では、着脱手段8に案内壁841が一対設けられている場合について説明したが、本発明はこれに限定せず、案内壁841が単独で設けられていてもよい。但し、案内壁841は、一対である場合が好ましく、これにより安定して爪部33を摺動壁832に導くことができる。更に、一対の案内壁841,841を、先端部において基端部よりも間隔が広くなるように形成することで、爪部33を一対の案内壁841,841の間に導入し易くすることができる。なお、上述の説明では、案内壁841が溝であるガイド部84の内壁として形成される場合について説明したが、案内壁841は、溝の内壁でなくともよく、挿入部7の外周面に突設された凸部の壁面として形成されてもよい。
【0072】
図16は、ガイド部のバリエーションを示す図である。図16に示す第2コネクタ20A1のガイド部84Aのように、ガイド部は、一対の案内壁841,841同士の間隔が基端側から先端側に向かうに従って徐々に広がることで、ハの字型に形成されてもよい。これにより、爪部33が一対の案内壁841,841の間に導入され易くなる。その結果、挿入部7とフード3との位置合わせを容易に行うことができる。また、より確実にコネクタを規制状態とし、連結することができる。
【0073】
図17は、第2コネクタのバリエーションを示す図である。ガイド部84及び案内壁841は、本発明の必須の構成ではなく、医療用接続具は、図17(a)に示す第2コネクタ20A2、図17(b)に示す第2コネクタ20A3、及び図17(c)に示す第2コネクタ20A4のように、案内壁841を有しない構成としてもよい。また、図17(b)に示す第2コネクタ20A3のように、第2コネクタには、段差壁88が形成されていてもよい。第2コネクタ20A3では、摺動壁832が受入部81と軸方向に並ぶように規制壁831の軸方向先端側に形成されている。そして、段差壁88は、摺動壁832を周方向の両側から挟むように、挿入部7の全周に亘って立設されている。つまり、段差壁88は、摺動壁832において間欠しつつも周方向に延在する段差を形成している。これにより、挿入操作時にフード3の爪部33が誤って受入部81以外の領域に進入することを防止できる。その結果、コネクタをより確実に規制状態とし、連結することができる。また、図17(c)に示す第2コネクタ20A4のように、第2コネクタには、摺動壁832が挿入部7の先端まで形成されてもよい。
【0074】
また、上述の押出壁86、回転規制壁87は、本発明の必須の構成ではない。また、医療用接続具は、押出壁と回転規制壁の何れか一方のみが形成されていてもよい。
【0075】
なお、上述の説明では、フード3を挿入部7に挿入する過程においては、フード3が弾性変形することで、爪部33が摺動壁832を乗り越えて受入部81に受け入れられ、挿入部7をフード3に対して相対回動させる過程においても、フード3が弾性変形することで、爪部33が側壁8521によって頂面82に押し上げられる場合について説明したが、上記何れの過程においても、フード3と挿入部7とのうち少なくとも何れか一方が弾性変形すればよい。使用者は、上記何れの過程においてもフード3や挿入部7の弾性変形を感じることにより、医療用接続具100が規制状態となってコネクタが連結されたことや規制状態が解除されたことを認識することができる。
【0076】
また、上述の説明では、フード3が固定された挿入部7に対して移動又は回転するかのように説明したが、本発明は、固定された挿入部7に対してフード3が移動又は回転する場合に限らず、その逆の場合、及びフード3と挿入部7の両方が移動若しくは回転する場合も含むものとする。
【0077】
また、上述の説明では、フード3と挿入部7とが独立して移動又は回転するかのように
説明したが、本発明は、これに限定しない。フード3と挿入部7とが独立して移動又は回転してもよいし、第1コネクタ10ごとフード3が移動又は回転してもよいし、第2コネクタ20ごと挿入部7が移動又は回転してもよい。
【0078】
また、上述の説明では、挿入部7が、互いに別部品であるハウジング4とカバー部材6とによって形成されている場合について説明したが、本発明は、これに限定しない。例えば、ハウジング4とカバー部材6とが一体に形成されていてもよいし、挿入部7は、一体の部品の一部として形成されてもよい。
【0079】
また、上述の説明では、第1のラインが流体ラインとして構成され、第2のラインが輸液ラインとして構成されている場合について説明したが、本発明は、例えば、第1のラインが輸液ラインであって、第2のラインが流体ラインであってもよい。即ち、第1コネクタが輸液ラインに設けられ、第2コネクタが流体ラインに設けられてもよい。また、第1のラインと第2のラインの両方が流体ライン又は輸液ラインであってもよい。更に、第1のラインと第2のラインは、流体ラインや輸液ラインに限定されず、内部に流体を流通可能なものであればよい。
【0080】
また、上述の説明では、医療用接続具として、針管2の針先がゴム状弾性体5を貫通することで輸液ラインと流体ラインとを連通させる方式のものを例に説明したが、本発明は、針を用いない方式のものに適用してもよい。即ち、本発明において、医療用接続具は、第1コネクタと第2コネクタとが連結されることで第1のラインと第2のラインとを連通させるものであればよく、第1コネクタ及び第2コネクタの構成は、上述した針ハブ1、針管2、フード3、ハウジング4、ゴム状弾性体5、カバー部材6の組み合わせに限定されない。
【0081】
[変形例]
図18は、実施形態1の変形例に係る第1コネクタがシリンジに接続された状態を示す断面図である。図18では、第1コネクタの軸方向に沿う断面を示している。図18に示すように、変形例に係る第1コネクタ10Aは、流体ラインとしてのシリンジ200Aに設けられる点で、図3等に示した第1コネクタ10と大きく相違する。シリンジ200Aの先端部に形成されたルアーチップ201には、筒状のアダプタ101の基端部が挿入されている。第1コネクタ10Aは、アダプタ101の先端部にフード3の基端部が挿入固定されることで、シリンジ200Aに接続されている。なお、第1コネクタ10Aは、アダプタ101を設けずに、シリンジ200Aの先端部に直接接続されてもよい。
【0082】
<実施形態2>
図19は、実施形態2に係る医療用接続具の第2コネクタの側面図である。図19に示すように、実施形態2に係る医療用接続具は、第2コネクタ20Bの着脱手段8が回転規制壁87を有さない点で、実施形態1に係る医療用接続具100と大きく相違し、その他の点では実施形態1と同様である。以下、実施形態2に係る医療用接続具について、実施形態1に係る医療用接続具100との相違点を中心に説明し、医療用接続具100との共通の構成については同一の符号を付すことにより詳細な説明を省略する。
【0083】
以下、実施形態2において、第1コネクタ10と第2コネクタ20Bとが連結した状態から第1コネクタ10と第2コネクタ20Bとを分離する操作について説明する。なお、実施形態2において、第1コネクタ10と第2コネクタ20Bとが分離した状態から第1コネクタ10と第2コネクタ20Bとを連結する操作については、医療用接続具100と同様であるため、説明を割愛する。以下、フード3を挿入部7に対して第1方向に相対回転させた場合を例に説明する。
【0084】
図20は、規制状態においてフード3を挿入部7に対して相対回転させたときの爪部33の挙動を説明するための図であって、図20(a)はフード3の相対回転が開始した状態を示し、図20(b)は図20(a)に示す状態からフード3が更に相対回転した状態を示し、図20(c)は図20(b)に示す状態からフード3が更に相対回転した状態を示す。図20では、便宜上、フード3については爪部33のみを図示している。
【0085】
規制状態において、フード3を挿入部7に対して第1方向に相対回転させると、図20(a)に示すように、フード3の第1方向への相対回転に伴って爪部33が側壁8521上を摺動するようにフード3が弾性変形する。図20(a)に示す状態からフード3を更に相対回転させると、爪部33が側壁8521によって頂面82に押し上げられ、図20(b)に示すように、爪部33が受入部81から抜け出し、規制状態が解除される。
【0086】
このとき、図20(b)に示すように、爪部33が頂面82に押し上げられた状態でフード3を挿入部7に対して第1方向へそれ以上回転させようとすると、押出壁86が爪部33に当接する。押出壁86が、周方向において受入部81から離れるに従って軸方向先端側に向かって突出するように形成されているため、フード3を挿入部7に対して第1方向へ更に相対回転させると、図20(c)に示すように、フード3の相対回転に伴って、爪部33が押出壁86を摺動しながら挿入部7の先端側に押し出される。これにより、爪部33の挿入部7の軸方向における変位分、フード3が挿入部7の先端側に相対移動する。
【0087】
実施形態2によると、実施形態1と同様に、連続する1回の回転操作によって、規制状態の解除と挿入部7のフード3からの抜去操作の少なくとも一部とを連続して行うことができる。その結果、使用者は、爪部33が挿入部7の先端側に押し出されることによるフード3の相対変位を感じ取ることにより、速やかに抜去操作に移行することができる。また、規制状態を解除するための相対回転に伴って爪部33が挿入部7の先端側に押し出されるため、爪部33が頂面82を乗り越えて、その先にある受入部81に受け入れられて再び規制状態となることが抑制される。その結果、確実に規制状態を解除することができる。なお、押出壁86は、回転操作に伴って挿入部7がフード3から完全に抜去される程度まで爪部33を挿入部7の先端側に押し出してもよい。そうすることで、回転操作のみで第1コネクタ10と第2コネクタ20Bとを分離することができる。
【0088】
なお、上記した種々の内容は、本発明の技術的思想を逸脱しない範囲において可能な限り組み合わせることができる。
【符号の説明】
【0089】
1・・・・・針ハブ
2・・・・・針管
3・・・・・針保護フード
4・・・・・ハウジング
41・・・・開口
42・・・・先端部
43・・・・基端部
44・・・・中間部
5・・・・・ゴム状弾性体
6・・・・・カバー部材
7・・・・・挿入部
8・・・・・着脱手段
81・・・・受入部
82・・・・頂面
83・・・・係合部
831・・・規制壁
832・・・摺動壁
84・・・・ガイド部
841・・・案内壁
85・・・・凹壁
851・・・底壁
852・・・側壁
86・・・・押出壁
87・・・・回転規制壁
10・・・・第1コネクタ
20・・・・第2コネクタ
100・・・医療用接続具
200・・・流体チューブ(第1のラインの一例)
300・・・輸液チューブ(第2のラインの一例)
図1
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図3
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