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特許7403774イソアスパラギン酸の分析方法、及び質量分析装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-15
(45)【発行日】2023-12-25
(54)【発明の名称】イソアスパラギン酸の分析方法、及び質量分析装置
(51)【国際特許分類】
   G01N 27/62 20210101AFI20231218BHJP
   H01J 49/00 20060101ALI20231218BHJP
   H01J 49/02 20060101ALI20231218BHJP
【FI】
G01N27/62 V
H01J49/00 450
H01J49/02 500
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2021533081
(86)(22)【出願日】2020-07-14
(86)【国際出願番号】 JP2020027388
(87)【国際公開番号】W WO2021010401
(87)【国際公開日】2021-01-21
【審査請求日】2021-12-16
(31)【優先権主張番号】P 2019132268
(32)【優先日】2019-07-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000001993
【氏名又は名称】株式会社島津製作所
(73)【特許権者】
【識別番号】301021533
【氏名又は名称】国立研究開発法人産業技術総合研究所
(74)【代理人】
【識別番号】110001069
【氏名又は名称】弁理士法人京都国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】▲高▼橋 秀典
(72)【発明者】
【氏名】浅川 大樹
【審査官】伊藤 裕美
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2018/186286(WO,A1)
【文献】特開2017-191737(JP,A)
【文献】特開2019-056598(JP,A)
【文献】INOUE, K. et al.,Simultaneous Determination of Post-Translational Racemization and Isomerization of N-Terminal Amyloi,Analytical Chemistry,2013年11月27日,86,797-804,doi.org/10.1021/ac403315h
【文献】WANG, Shunhai et al.,An O18-labeling assisted LC-MS method for assignment of aspartyl/isoaspartyl products from Asn deami,Analytical Chemistry,2013年05月28日,85(13),6446-6452,doi:10.1021/ac400984r.
【文献】DEGRAAN-WEBER, et al.,Distinguishing aspartic and isoaspartic acids in peptides by several mass spectrometric fragmentatio,Journal of The American Society for Mass Spectrometry,2016年09月09日,27(12),2041-2053,doi:10.1007/s13361-016-1487-9
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N 27/60 - G01N 27/70
H01J 49/00 - H01J 49/48
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
試料成分由来のプリカーサイオンを解離させ、プロダクトイオンを生成して分析することによりイソアスパラギン酸を分析する方法であって、
前記プリカーサイオンに酸化能を有するラジカルを照射して該プリカーサイオンを解離させることによりプロダクトイオンを生成し、
前記プロダクトイオンを質量電荷比に応じて分離して検出し、
前記プロダクトイオンの質量電荷比に基づいてイソアスパラギン酸由来のプロダクトイオンを特定する
工程を有し、
前記イソアスパラギン酸由来のプロダクトイオンが、a+16イオンを探索することにより特定される、イソアスパラギン酸の分析方法。
【請求項2】
さらに、
前記プリカーサイオンに水素ラジカルを照射して該プリカーサイオンを解離させることによりプロダクトイオンを生成する
工程を有し、
前記イソアスパラギン酸由来のプロダクトイオンが、さらに、c+57イオン又はz-57イオンを探索することにより特定される、請求項1に記載のイソアスパラギン酸の分析方法。
【請求項3】
前記プリカーサイオンに酸素ラジカル及び/又はヒドロキシラジカルを照射する、請求項1に記載のイソアスパラギン酸の分析方法。
【請求項4】
前記プリカーサイオンが1価のイオンである、請求項1に記載のイソアスパラギン酸の分析方法。
【請求項5】
試料成分由来のプリカーサイオンを解離させ、プロダクトイオンを生成して分析することによりイソアスパラギン酸を分析する質量分析装置であって、
前記プリカーサイオンが導入される反応室と、
酸化能を有するラジカルを生成するラジカル生成部と、
前記ラジカル生成部で生成されたラジカルを前記反応室の内部に照射するラジカル照射部と、
前記ラジカルとの反応により前記プリカーサイオンが解離して生成されたプロダクトイオンを質量電荷比に応じて分離し検出する分離検出部と、
前記プロダクトイオンの質量電荷比に基づいてイソアスパラギン酸由来のプロダクトイオンを特定するプロダクトイオン特定部と
を備え、
前記プロダクトイオン特定部がa+16イオンを探索する、質量分析装置。
【請求項6】
前記ラジカル生成部が、さらに、水素ラジカルを生成し、
前記プロダクトイオン特定部が、さらに、c+57イオン又はz-57イオンを探索する、請求項5に記載の質量分析装置。
【請求項7】
前記ラジカル生成部が、酸素ラジカル及び/又はヒドロキシラジカルを生成する、請求項5に記載の質量分析装置。
【請求項8】
前記プリカーサイオンが1価のイオンである、請求項5に記載の質量分析装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、イソアスパラギン酸の分析方法、及び該分析方法を実施する質量分析装置に関する。
【背景技術】
【0002】
タンパク質を構成するアミノ酸の一種であるアスパラギン酸は、年月を経るうちに異性化してイソアスパラギン酸に変化し、白内障を生じさせる要因になることが報告されている(例えば非特許文献1)。そのため、生体代謝物に含まれるペプチドに含まれるイソアスパラギン酸を分析し、その結果に基づいて体内にどの程度イソアスパラギン酸が蓄積されているかを推定することは、白内障発生のリスクを把握したり白内障の予防のための対策を検討したりするために有効である可能性がある。
【0003】
タンパク質等の高分子化合物を同定するために、高分子化合物由来のイオン(プリカーサイオン)を1又は複数回解離させてプロダクトイオン(フラグメントイオンとも呼ばれる。)を生成し、それを質量電荷比に応じて分離し検出する質量分析法が広く利用されている。質量分析においてイオンを解離させる代表的な方法として、イオンに窒素ガス等の不活性ガス分子を衝突させる、衝突誘起解離(CID: Collision-Induced Dissociation)法が知られている。しかし、CID法では、イソアスパラギン酸残基を含むペプチドに由来するプリカーサイオンの解離により生成されるプロダクトイオンと、その異性体であるアスパラギン酸残基を含むペプチドに由来するプリカーサイオンの解離により生成されるプロダクトイオンに差異が生じない。そのため、CID法によりイオンを解離させてもイソアスパラギン酸とアスパラギン酸を識別することができない。
【0004】
非特許文献1には、イソアスパラギン酸残基を含むペプチド由来の正のプリカーサイオンに負イオンを衝突させて電子移動解離(ETD: Electron Transfer Dissociation)を生じさせると、c+57イオンやz-57イオンという、イソアスパラギン酸を特徴づけるプロダクトイオンが生成されることが記載されている。c+57イオンとは、アスパラギン酸が有するペプチド主鎖のN-Cα結合が切断されることにより生成されるN末端側のイオン(cイオン)よりも質量が57Da大きいイオンであることを意味する。また、z-57イオンとは、上記N-Cα結合が切断されることにより生成されるC末端側のイオン(zイオン)よりも質量が57Da小さいイオンであることを意味する。なお、イソアスパラギン酸残基を含むペプチド由来のプリカーサイオンから生成されるプロダクトイオンを、アスパラギン酸残基を含むペプチドのcイオンやzイオンを基準として表現したのは、イソアスパラギン酸残基とアスパラギン酸残基ではペプチド主鎖の結合が異なり、cイオンやzイオンの定義が不明瞭になるためである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】国際公開第2015/133259号
【非特許文献】
【0006】
【文献】高田 匠, "水晶体構成蛋白質中におけるアミノ酸の自発的化学修飾が引き起こす白内障発症機構に関する研究", 日本白内障学会誌, 30, pp.7-12, 2018
【文献】Kempkes, L. J., Martens, J., Grzetic, J., Berden, G., & Oomens, J., "Deamidation Reactions of Asparagine-and Glutamine-Containing Dipeptides Investigated by Ion Spectroscopy", Journal of the American Society for Mass Spectrometry, 27(11), pp.1855-1869, 2016
【文献】島袋、粕谷、和田、「マイクロ波容量結合プラズマを用いた小型原子源の開発」、第77回応用物理学会学術講演会講演予稿集、2016年9月、社団法人応用物理学会
【文献】Yuji Shimabukuro, Hidenori Takahashi, Shinichi Iwamoto, Koichi Tanaka, Motoi Wada, "Tandem Mass Spectrometry of Peptide Ions by Microwave Excited Hydrogen and Water Plasmas", Anal. Chem. 2018, 90 (12) pp 7239-7245
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ETD法では、正のプリカーサイオンに負イオンを衝突させてプロダクトイオンを生成するため、2価以上のプリカーサイオンしか解離させることができない。また、タンパク質やペプチドのイオン化に用いられている、マトリクス支援レーザ脱離イオン化(MALDI: Matrix-Assisted Laser Desorption/Ionization)法等のソフトなイオン化法で生成されるイオンは、ほとんどが1価のイオンである。そのため、MALDI法等とETD法の組み合わせではプリカーサイオンの解離効率が悪く、イソアスパラギン酸を特徴づける上記イオンを十分な強度で検出することができないため、イソアスパラギン酸とアスパラギン酸を識別することが難しいという問題があった。
【0008】
本発明が解決しようとする課題は、試料に含まれるイソアスパラギン酸とアスパラギン酸を容易に識別することができる技術を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するために成された本発明の一態様は、ペプチド成分由来のプリカーサイオンを解離させ、プロダクトイオンを生成して分析することによりイソアスパラギン酸を分析する方法であって、
前記プリカーサイオンに水素ラジカル又は酸化能を有するラジカルを照射して該プリカーサイオンを解離させることによりプロダクトイオンを生成し、
前記プロダクトイオンを質量電荷比に応じて分離して検出し、
前記プロダクトイオンの質量電荷比に基づいてイソアスパラギン酸由来のプロダクトイオンを特定する
工程を有する。
【0010】
また、上記課題を解決するために成された本発明の別の態様は、試料成分由来のプリカーサイオンからプロダクトイオンを生成して分析することによりイソアスパラギン酸を分析する質量分析装置であって、
前記プリカーサイオンが導入される反応室と、
水素ラジカル又は酸化能を有するラジカルを生成するラジカル生成部と、
前記ラジカル生成部で生成されたラジカルを前記反応室の内部に照射するラジカル照射部と、
前記ラジカルとの反応により前記プリカーサイオンが解離して生成されたプロダクトイオンを質量電荷比に応じて分離し検出する分離検出部と、
前記プロダクトイオンの質量電荷比に基づいてイソアスパラギン酸由来のプロダクトイオンを特定するプロダクトイオン特定部と
を備える。
【発明の効果】
【0011】
本発明に係るイソアスパラギン酸の分析方法及び質量分析装置では、試料成分由来のプリカーサイオンに水素ラジカル又は酸化能を有するラジカルを照射してプロダクトイオンを生成する。酸化能を有するラジカルとは、例えば酸素ラジカルやヒドロキシラジカルである。これらのラジカルをプリカーサイオンに照射するイオン解離方法は、本発明者が特許文献1において提案した水素付着解離(HAD: Hydrogen-Attachment Dissociation)法及び酸素付着解離(OAD: Oxygen-Attachment Dissociation)法である。
【0012】
本発明者は、HAD法によりイソアスパラギン酸由来のプリカーサイオンを解離させると、ETD法と同様に、イソアスパラギン酸を特徴づける(アスパラギン酸からは生成されない)c+57イオンやz-57イオンが生成されることを発見した。また、OAD法によりイソアスパラギン酸由来のプリカーサイオンを解離させると、a+16イオン及び/又はxイオンが生成されることを発見した。a+16イオンとは、アスパラギン酸が有するペプチド主鎖のCα-C結合が切断されることにより生成されるN末端側のイオン(aイオン)よりも質量が16Da大きいイオンであることを意味する。イソアスパラギン酸残基から生成されるa+16イオン及びxイオンは、いずれもアスパラギン酸残基由来のものと異なる質量を持つため、本発明によりこれらの残基の識別が可能である。
【0013】
つまり、試料成分由来のプリカーサイオンを解離させることにより生成したプロダクトイオンを質量電荷比に応じて分離して検出し、その中からc+57イオン、z-57イオン、a+16イオン、あるいはxイオンを特定することにより、イソアスパラギン酸をアスパラギン酸と識別して分析できることを見出した。HAD法やOAD法は、ラジカル付加によりプリカーサイオンを解離させるものであり、イオンの極性や価数を問わず用いることができる。従って、試料成分由来のプリカーサイオンを効率良く解離させて、イソアスパラギン酸と、その異性体であるアスパラギン酸を容易に識別することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本発明に係る質量分析装置の一実施例の要部構成図。
図2】本実施例の質量分析装置におけるラジカル照射部の概略構成図。
図3】イソアスパラギン酸とアスパラギン酸をCID法により解離させて生成したプロダクトイオンのマススペクトル。
図4】アスパラギン酸とイソアスパラギン酸の分子構造及び解離位置を説明する図。
図5】イソアスパラギン酸の解離に関する量子化学計算結果を説明する図。
図6】イソアスパラギン酸残基とアスパラギン酸残基を有するペプチドをHAD法により解離させて生成したプロダクトイオンのマススペクトル。
図7】イソアスパラギン酸残基とアスパラギン酸残基を有する別のペプチドをHAD法により解離させて生成したプロダクトイオンのマススペクトル。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明に係る質量分析装置の一実施例について、以下、図面を参照して説明する。本実施例の質量分析装置は、イオントラップ-飛行時間型(IT-TOF型)質量分析装置である。
【0016】
図1に本実施例のイオントラップ-飛行時間型質量分析装置(以下、単に「質量分析装置」とも呼ぶ。)の概略構成を示す。本実施例の質量分析装置は、真空雰囲気に維持される図示しない真空チャンバの内部に、試料中の成分をイオン化するイオン源1と、イオン源1で生成されたイオンを高周波電場の作用により捕捉するイオントラップ2と、イオントラップ2から射出されたイオンを質量電荷比に応じて分離する飛行時間型質量分離部3と、分離されたイオンを検出するイオン検出器4とを備える。本実施例のイオントラップ質量分析装置はさらに、イオントラップ2内に捕捉されているイオンを解離させるべく該イオントラップ2内に捕捉されたプリカーサイオンにラジカルを照射するためのラジカル照射部5と、イオントラップ2内に所定の不活性ガスを供給する不活性ガス供給部6と、トラップ電圧発生部7と、制御部8と、データ処理部9とを備える。
【0017】
本実施例の質量分析装置のイオン源1はMALDIイオン源である。MALDIイオン源では、レーザ光を吸収しやすく、またイオン化しやすい物質(マトリックス物質)を試料の表面に塗布しておく。その後、試料分子を取り込んだマトリックス物質を微結晶化させ、これにレーザ光を照射することによって試料分子をイオン化する。イオントラップ2は、円環状のリング電極21と、該リング電極21を挟んで対向配置された一対のエンドキャップ電極(入口側エンドキャップ電極22、出口側エンドキャップ電極24)とを含む三次元イオントラップである。リング電極21にはラジカル粒子導入口26とラジカル粒子排出口27が、入口側エンドキャップ電極22にはイオン導入孔23が、出口側エンドキャップ電極24にはイオン射出孔25が、それぞれ形成されている。トラップ電圧発生部7は、制御部8からの指示に応じてリング電極21、入口側エンドキャップ電極22、及び出口側エンドキャップ電極24のそれぞれに対して所定のタイミングで高周波電圧と直流電圧のいずれか一方又はそれらを合成した電圧を印加する。
【0018】
ラジカル照射部5は、内部にラジカル生成室51が形成されたノズル54と、ラジカル生成室51に原料ガスを導入する原料ガス供給部(原料ガス供給源)52と、ラジカル生成室51を排気する真空ポンプ(真空排気部)57と、ラジカル生成室51内で真空放電を生じさせるためのマイクロ波を供給する誘導結合型の高周波プラズマ源53と、ノズル54からの噴出流の中心軸上に開口を有し、拡散する原料ガス分子等を分離して細径のラジカル流を取り出すスキマー55と、原料ガス供給源52からラジカル生成室51に至る流路に設けられたバルブ56とを含む。原料ガスとしては、例えば水素ガス、酸素ガス、水蒸気(水)、空気などを用いることができる。原料ガスとして水素ガスを用いると水素ラジカルが生成され、酸素ガスを用いると酸素ラジカルが生成される。また、原料ガスとして水蒸気を用いると、ヒドロキシルラジカル、酸素ラジカル、及び水素ラジカルが生成され、空気を用いると、主として酸素ラジカルと窒素ラジカルが生成される。
【0019】
ラジカル照射部5には、例えば非特許文献3に記載のものを用いることができる。その概略構成を図2に示す。このラジカル照射部5は、大別して、原料ガス供給源52、高周波プラズマ源53、ノズル54、及び真空ポンプ57から構成される。高周波プラズマ源53は、マイクロ波供給源531とスリースタブチューナー532を備えている。ノズル54は外周部を構成する接地電極541、その内側に位置するパイレックス(登録商標)ガラス製のトーチ542を備えており、該トーチ542の内部がラジカル生成室51となる。ラジカル生成室51の内部では、コネクタ544を介して高周波プラズマ源53と接続されたニードル電極543がラジカル生成室51の長手方向に貫通している。また、原料ガス供給源52からラジカル生成室51に原料ガスを供給する流路が設けられており、この流路上には原料ガスの流量を調整するためのバルブ56が設けられている。
【0020】
不活性ガス供給部6は、バッファガスやクーリングガスなどとして使用されるヘリウム、アルゴンなどを貯留したガス供給源61と、ガス導入管63とを含む。ガス導入管63には、ガス供給源61からイオントラップ2に供給するガスの流量を調整するためのバルブ62が設けられている。
【0021】
次に、本実施例の質量分析装置における分析について説明する。分析の開始前に、イオントラップ2等を収容する真空チャンバの内部を図示しない真空ポンプにより所定の真空度まで排気する。また、ラジカル生成室51の内部を真空ポンプ57により所定の真空度まで排気する。続いて、ラジカル照射部5のラジカル生成室51に原料ガス供給源52から原料ガスを供給し、高周波プラズマ源53からマイクロ波を供給することにより、ラジカル生成室51の内部でラジカルを生成する。後述するように、本実施例では、原料ガスとして水素ガス、酸素ガス、水蒸気などを使用し、水素ラジカル、あるいは酸素ラジカル及び/又はヒドロキシラジカルを生成する。
【0022】
イオン源1において試料から生成された各種イオン(主として1価のイオン)はパケット状にイオン源1から射出され、入口側エンドキャップ電極22に形成されているイオン導入孔23を経てイオントラップ2の内部に導入される。イオントラップ2内に導入されたイオンは、トラップ電圧発生部7からリング電極21に印加される電圧によってイオントラップ2内に形成される高周波電場によって捕捉される。その後、トラップ電圧発生部7からリング電極21等に所定の電圧を印加し、それによって目的とする特定の質量電荷比を有するイオン以外の質量電荷比を有するイオンを励振してイオントラップ2から排出する。こうして、特定の質量電荷比を有するプリカーサイオンのみをイオントラップ2内に捕捉する。
【0023】
続いて不活性ガス供給部6のバルブ62を開放し、イオントラップ2内にヘリウムガスなどの不活性ガスを導入してプリカーサイオンをクーリングする。これにより、プリカーサイオンはイオントラップ2の中心付近に収束される。その後、ラジカル照射部5のバルブ56を開放し、ラジカル生成室51内で生成されたラジカルを含むガスをノズル54から噴出させる。そして、スキマー55によりラジカルを含むガスを細径のビーム状に成形して、リング電極21に穿設されているラジカル粒子導入口26からイオントラップ2内に噴射し、イオントラップ2内に捕捉されているプリカーサイオンに照射する。
【0024】
このとき、プリカーサイオンに照射されるラジカル量が所定量以上になるように、バルブ56の開度や開放時間(即ちプリカーサイオンへのラジカル照射時間)を調整しておく。これらは、予備実験の結果等に基づき事前に決めておけばよい。
【0025】
イオントラップ2内のプリカーサイオンにラジカルが照射されると、プリカーサイオンに不対電子誘導型の解離が生じてペプチド由来のプロダクトイオンが生成される。生成された各種プロダクトイオンはイオントラップ2内に捕捉され、不活性ガス供給部6からのヘリウムガス等によってクーリングされる。そのあと、所定のタイミングでトラップ電圧発生部7から入口側エンドキャップ電極22と出口側エンドキャップ電極24に直流高電圧が印加され、これにより、イオントラップ2内に捕捉されていたイオンは加速エネルギーを受け、イオン射出孔25を通して一斉に射出される。前述の通り、ここで生成されるプロダクトイオンには、フラグメントイオンとアダクトイオンの両方が含まれうる。
【0026】
こうして一定の加速エネルギーを持ったイオンが飛行時間型質量分離部3の飛行空間に導入され、飛行空間を飛行する間に質量電荷比に応じて分離される。イオン検出器4は分離されたイオンを順次検出し、この検出信号を受けたデータ処理部9は、例えばイオントラップ2からのイオンの射出時点を時刻ゼロとする飛行時間スペクトルを作成する。そして、予め求めておいた質量校正情報を用いて飛行時間を質量電荷比に換算することにより、プロダクトイオンスペクトルを作成する。データ処理部9では、以下に説明するように、予め決められた種類のプロダクトイオンのマスピークを探索することにより、イソアスパラギン酸由来のプロダクトイオンを特定し、それによってイソアスパラギン酸とアスパラギン酸とを識別する。即ち、本実施例のデータ処理部9は、本発明に係る質量分析装置のプロダクトイオン特定部としての機能を有している。
【0027】
本実施例の質量分析装置では、HAD法やOAD法によりプリカーサイオンを解離させることにより、イソアスパラギン酸とアスパラギン酸を識別する。以下、その詳細を説明する。
【0028】
まず、従来、広く用いられている衝突誘起解離(CID: Collision-Induced Dissociation)法によりイソアスパラギン酸残基を含むペプチド及びアスパラギン酸残基を含むペプチドを解離させて生成したプロダクトイオンのスペクトルについて説明する。一例として、図3に、眼の水晶体を構成するタンパク質であるクリスタリン(アスパラギン酸残基を含むもの)とクリスタリン変性物(アスパラギン酸が異性化したイソアスパラギン酸残基を含むもの)をそれぞれトリプシンで消化して断片化したペプチド由来のプリカーサイオンをCID法により解離させて生成したプロダクトイオンのマススペクトル(プロダクトイオンスペクトル)を示す。上段はイソアスパラギン酸残基を含むペプチド由来のプロダクトイオンのマススペクトル、下段はアスパラギン酸残基を含むペプチド由来のプロダクトイオンのマススペクトルである。
【0029】
図3の上下のマススペクトルを比較すると分かるように、両者のマスピークは同一の位置に現れている。つまり、CID法によりアスパラギン酸残基を含むペプチドとイソアスパラギン酸残基を含むペプチドを解離させても、生成されるプロダクトイオンに相違がなく、CID法によるプリカーサイオンの解離ではアスパラギン酸残基を含むペプチドと、その異性体であるイソアスパラギン酸残基を含むペプチドを識別することができない。
【0030】
図4に示すように、アスパラギン酸残基とイソアスパラギン酸残基は、N-Cα結合の位置で解離させても質量が異なるプロダクトイオンは生成されない。一方、両者をCα-C結合の位置で解離させると異なる質量のプロダクトイオンを生成することができる。なお、イソアスパラギン酸残基とアスパラギン酸残基ではペプチド主鎖の結合が異なるため、図4ではアスパラギン酸残基におけるこれらの結合に相当する位置を括弧書きしている。
【0031】
本発明者がHAD法によるイソアスパラギン酸残基の解離について行った量子化学計算の結果を図5に示す。イソアスパラギン酸残基に水素ラジカルを照射すると、アミド結合に含まれるカルボキシル基の炭素原子に水素ラジカルが付着し、その後、プリカーサイオンは2通りの態様で解離する。1つ目は、CID法と同様にN-Cα結合の位置で解離する態様(図5に「通常のN-Cα結合切断」と記載した態様)であり、2つ目はCα-C結合の位置で解離する態様(図5に「イソアスパラギン酸特有の経路」と記載した態様)である。水素ラジカルの付着から解離に至る活性化エネルギーは、それぞれ64kJ/mol、66kJ/molでありほとんど差がない。従って、イソアスパラギン残基を含むペプチド由来のプリカーサイオンをHAD法により解離させると、その約半分からCα-C結合で解離したプロダクトイオンが生成される。一方、アスパラギン酸はN-Cα結合の位置で解離するのみである。従って、Cα-Cの結合の位置で解離することにより生成されるプロダクトイオンを探索することにより、イソアスパラギン酸とアスパラギン酸を識別することができる。
【0032】
上記の計算結果に基づき、実際にイソアスパラギン酸残基とアスパラギン酸残基を含むペプチドをそれぞれHAD法により解離させて生成したプロダクトイオンを測定した結果を図6に示す。図6及び図7の測定では水素ガスを原料ガスとして用いた。図6の上段はイソアスパラギン酸残基を有するペプチドのプロダクトイオンスペクトル、図6の下段はアスパラギン酸残基を有するペプチドのプロダクトイオンスペクトルである。図6の上段に示すとおり、イソアスパラギン酸残基を有するペプチドのプロダクトイオンスペクトルにはz7+57イオンが検出されている一方、図6の下段に示すアスパラギン酸残基を有するペプチドのプロダクトイオンスペクトルにはz7+57イオンが検出されていない。なお、z7とは、アスパラギン酸残基のN-Cα結合の位置で解離して生成されたC末端側のイオン(zイオン)であって、その結合部位のC末端側に7つのアミノ酸を持つものをいう。そして、z7+57とは、そのz7イオンよりも質量が57Da大きいイオンであることを意味する。
【0033】
また、別のペプチドについて上記同様にイソアスパラギン酸残基とアスパラギン酸残基を含むペプチドをそれぞれHAD法により解離させて生成したプロダクトイオンを測定した結果を図7に示す。図7の上段はイソアスパラギン酸残基を有するペプチドのプロダクトイオンスペクトル、図7の下段はアスパラギン酸残基を有するペプチドのプロダクトイオンスペクトルである。図7の上段に示すとおり、イソアスパラギン酸残基を有するペプチドのプロダクトイオンスペクトルにはc7-57イオンが検出されている一方、図7の下段に示すアスパラギン酸残基を有するペプチドのプロダクトイオンスペクトルにはc7-57イオンが検出されていない。なお、c7とは、アスパラギン酸残基のN-Cα結合の位置で解離して生成されたN末端側のイオン(cイオン)であって、その結合部位のN末端側に7つのアミノ酸を持つものをいう。そして、c7-57とは、そのc7イオンよりも質量が57Da小さいイオンであることを意味する。
【0034】
図6図7に示す結果から、z+57イオン又はc-57イオンを探索することにより、イソアスパラギン酸とアスパラギン酸を識別できることが分かる。図6ではz7+57イオンが、図7ではc-57イオンが検出されているが、zイオンとcイオンのどちらが検出されるかは、ペプチドに含まれるアミノ酸の構成及び位置による。具体的には、図6に示すペプチドではアスパラギン酸のC末端側に、水素イオンが付着しやすい塩基性のアルギニン(R)が位置しているためにzイオンが生成されており、図7に示すペプチドではアスパラギン酸のN末端側に、水素イオンが付着しやすい塩基性のアルギニン(R)が位置しているためにcイオンが生成されている。
【0035】
また、本発明者が非特許文献4において報告しているように、酸素ラジカルをプリカーサイオンに照射するとペプチド由来のプリカーサイオンがペプチド結合のCα-C結合の位置で開裂し、a+16イオンが生成される。a+16イオンとは、ペプチド結合がCα-C結合の位置で解離して生じたN末端側のイオンであるaイオンに酸素原子が付着して質量が16Da増加したイオンを意味する。また、ペプチド結合のCα-C結合の位置で開裂することにより、C末端側ではxイオンも生成されうる。図4を参照して説明したように、Cα-C結合の位置で開裂を生じさせるとアスパラギン酸とイソアスパラギン酸から異なる質量のプロダクトイオン(a+16イオン及び/又はxイオン)が生成される。従って、上記測定例において使用した水素ガスに変えて水蒸気や酸素ガスを原料ガスとして使用し、酸素ラジカルやヒドロキシラジカルをプリカーサイオンに照射することによっても、イソアスパラギン酸とアスパラギン酸を識別可能であると考えられる。また、酸素ラジカル及びヒドロキシラジカルに限らず、これらのラジカルと同様に酸化能を有するラジカルを用いることも可能である。
【0036】
上記の測定例はいずれも構造が既知であるペプチドに含まれるイソアスパラギン酸とアスパラギン酸の識別に関するものであるが、ペプチドの構造が既知である必要はない。例えば、データ処理部9にアミノ酸等、試料成分であるペプチドに含まれることが予測される各種物質の名称及び質量を記憶させておき、プロダクトイオンスペクトルのマスピーク間の質量電荷比の差がいずれかのアミノ酸の質量に一致するものを探索することによってペプチドの構造を推定することができる。
【0037】
上記実施例では、三次元イオントラップ-飛行時間型質量分離部という構成を有する質量分析装置について説明したが、他の構成の質量分析装置を用いることもできる。例えば、プリカーサイオンを選別する前段質量分離部、該プリカーサイオンにラジカルを照射して解離させるコリジョンセル、及びコリジョンセル内でプリカーサイオンが解離して生成されたプロダクトイオンを質量電荷比に応じて分離する後段質量分離部を有する構成の質量分析装置を用いることができる。そのような質量分析装置の一例は、三連四重極型の質量分析装置である。その場合には、ノズルからコリジョンセルの内部にラジカルを噴射してコリジョンセルを通過するプリカーサイオンに照射すればよい。
【0038】
[態様]
上述した複数の例示的な実施形態は、以下の態様の具体例であることが当業者により理解される。
【0039】
(第1態様)
本発明の第1態様は、試料成分由来のプリカーサイオンを解離させ、プロダクトイオンを生成して分析することによりイソアスパラギン酸を分析する方法であって、
前記プリカーサイオンに水素ラジカル又は酸化能を有するラジカルを照射して該プリカーサイオンを解離させることによりプロダクトイオンを生成し、
前記プロダクトイオンを質量電荷比に応じて分離して検出し、
前記プロダクトイオンの質量電荷比に基づいてイソアスパラギン酸由来のプロダクトイオンを特定する
工程を有する。
【0040】
(第5態様)
本発明の第5態様は、試料成分由来のプリカーサイオンを解離させ、プロダクトイオンを生成して分析することによりイソアスパラギン酸を分析する質量分析装置であって、
前記プリカーサイオンが導入される反応室と、
水素ラジカル又は酸化能を有するラジカルを生成するラジカル生成部と、
前記ラジカル生成部で生成されたラジカルを前記反応室の内部に照射するラジカル照射部と、
前記ラジカルとの反応により前記プリカーサイオンが解離して生成されたプロダクトイオンを質量電荷比に応じて分離し検出する分離検出部と、
前記プロダクトイオンの質量電荷比に基づいてイソアスパラギン酸由来のプロダクトイオンを特定するプロダクトイオン特定部と
を備える。
【0041】
上記第1態様のイソアスパラギン酸の分析方法及び第5態様の質量分析装置では、試料成分由来のプリカーサイオンに水素ラジカル又は酸化能を有するラジカルを照射してプロダクトイオンを生成する。酸化能を有するラジカルとは、例えば酸素ラジカルやヒドロキシラジカルである。これらのラジカルをプリカーサイオンに照射するイオン解離方法は、本発明者が特許文献1において提案した水素付着解離(HAD: Hydrogen-Attachment Dissociation)法及び酸素付着解離(OAD: Oxygen-Attachment Dissociation)法である。
【0042】
本発明者は、HAD法によりイソアスパラギン酸由来のプリカーサイオンを解離させると、ETD法と同様に、イソアスパラギン酸を特徴づける(アスパラギン酸からは生成されない)c+57イオンやz-57イオンが生成されることを発見した。また、酸素ラジカルや日度々期しラジカルをプリカーサイオンに付着させることによりプリカーサイオンを解離させる、OAD法によりイソアスパラギン酸由来のプリカーサイオンを解離させると、イソアスパラギン酸を特徴づける(アスパラギン酸からは生成されない)a+16イオンが生成されることを発見した。a+16イオンとは、アスパラギン酸が有するペプチド主鎖のCα-C結合が切断されることにより生成されるN末端側のイオン(cイオン)よりも質量が57大きいイオンであることを意味する。
【0043】
つまり、試料成分由来のプリカーサイオンを解離させることにより生成したプロダクトイオンを質量電荷比に応じて分離して検出し、これらに相当するイオンを特定することによりイソアスパラギン酸をアスパラギン酸と識別して分析できることを見出した。HAD法やOAD法は、ラジカル付加によりプリカーサイオンを解離させるものであり、イオンの極性や価数を問わず用いることができる。従って、試料成分由来のプリカーサイオンを効率良く解離させて、イソアスパラギン酸と、その異性体であるアスパラギン酸を容易に識別して分析することができる。
【0044】
(第2態様)
本発明の第2態様に係るイソアスパラギン酸の分析方法は、上記第1態様の分析方法において、
前記イソアスパラギン酸由来のプロダクトイオンが、c+57イオン又はz-57イオンを探索することにより特定される。
【0045】
(第6態様)
本発明の第6態様に係る質量分析装置は、上記第5態様の質量分析装置において、
前記プロダクトイオン特定部がc+57イオン又はz-57イオンを探索する。
【0046】
上記第2態様のイソアスパラギン酸の分析方法及び第6態様の質量分析装置では、水素ラジカルを照射するHAD法等により生成される、イソアスパラギン酸に特有のc+57イオン又はz-57イオンを探索することにより、イソアスパラギン酸とアスパラギン酸を識別することができる。
【0047】
(第3態様)
本発明の第3態様に係るイソアスパラギン酸の分析方法は、上記第1態様又は第2態様のイソアスパラギン酸の分析方法において、
前記イソアスパラギン酸由来のプロダクトイオンが、a+16イオンを探索することにより特定される。
【0048】
(第7態様)
本発明の第7態様に係る質量分析装置は、上記第5態様又は第6態様の質量分析装置において、
前記プロダクトイオン特定部がa+16イオンを探索する。
【0049】
上記第3態様のイソアスパラギン酸の分析方法及び第7態様の質量分析装置では、酸化能を有するラジカルを照射するOAD法等により生成される、イソアスパラギン酸に特有のa+16イオンを探索することにより、イソアスパラギン酸とアスパラギン酸を識別することができる。
【0050】
(第4態様)
本発明の第4態様に係るイソアスパラギン酸の分析方法は、上記第3態様のイソアスパラギン酸の分析方法において、
前記プリカーサイオンに酸素ラジカル及び/又はヒドロキシラジカルを照射する。
【0051】
(第8態様)
本発明の第8態様に係る質量分析装置は、上記第7態様の質量分析装置において、
前記ラジカル生成部が、酸素ラジカル及び/又はヒドロキシラジカルを生成する。
【0052】
上記第7態様の質量分析装置では、使用者の手を煩わすことなく試料成分に含まれる、シス型の不飽和結合を有する成分とトランス型の不飽和結合を有する成分の割合を推定することができる。
【符号の説明】
【0053】
1…イオン源
2…イオントラップ
21…リング電極
22…入口側エンドキャップ電極
23…イオン導入孔
24…出口側エンドキャップ電極
25…イオン射出孔
26…ラジカル粒子導入口
27…ラジカル粒子排出口
3…飛行時間型質量分離部
4…イオン検出器
5…ラジカル照射部
51…ラジカル生成室
52…原料ガス供給源
53…高周波プラズマ源
531…マイクロ波供給源
532…スリースタブチューナー
54…ノズル
541…接地電極
542…トーチ
543…ニードル電極
544…コネクタ
55…スキマー
56…バルブ
57…真空ポンプ
6…不活性ガス供給部
61…ガス供給源
62…バルブ
63…ガス導入管
7…トラップ電圧発生部
8…制御部
9…データ処理部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7