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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-15
(45)【発行日】2023-12-25
(54)【発明の名称】研削方法
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/304 20060101AFI20231218BHJP
   B24B 7/04 20060101ALI20231218BHJP
【FI】
H01L21/304 631
B24B7/04 A
【請求項の数】 1
(21)【出願番号】P 2020031535
(22)【出願日】2020-02-27
(65)【公開番号】P2021136333
(43)【公開日】2021-09-13
【審査請求日】2022-12-16
(73)【特許権者】
【識別番号】000134051
【氏名又は名称】株式会社ディスコ
(74)【代理人】
【識別番号】100075384
【弁理士】
【氏名又は名称】松本 昂
(74)【代理人】
【識別番号】100172281
【弁理士】
【氏名又は名称】岡本 知広
(74)【代理人】
【識別番号】100206553
【弁理士】
【氏名又は名称】笠原 崇廣
(74)【代理人】
【識別番号】100189773
【弁理士】
【氏名又は名称】岡本 英哲
(74)【代理人】
【識別番号】100184055
【弁理士】
【氏名又は名称】岡野 貴之
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 佳一
【審査官】湯川 洋介
(56)【参考文献】
【文献】特開2009-010178(JP,A)
【文献】特開2009-081391(JP,A)
【文献】特開2009-094247(JP,A)
【文献】特開2018-015825(JP,A)
【文献】特開2019-204940(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/304
B24B 7/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のデバイスが形成されたデバイス領域と該デバイス領域の周囲を囲む外周余剰領域とを表面側に有する被加工物の裏面側を、研削砥石を有する研削ホイールで研削する被加工物の研削方法であって、
該被加工物の該表面側を保護部材で覆う表面保護ステップと、
該デバイス領域の直径よりも大きく且つ該被加工物の外径よりも小さい直径の保持面を有するチャックテーブルで、該保護部材を介して該被加工物の該表面側を吸引して保持する保持ステップと、
該チャックテーブルを第1の回転軸の周りで回転させ、且つ、該研削ホイールを第2の回転軸の周りで回転させた状態で、該研削砥石に研削水を供給しながら該研削砥石を該裏面側の一部に接触させることにより該裏面側の一部を研削して、研削が施された円形の被研削部と、該被研削部の周囲を囲み且つ研削が施されていないリング状補強部と、で構成される円盤状の凹部を形成する研削ステップと、を備えることを特徴とする研削方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、被加工物の裏面側の一部を研削することにより、研削が施された円形の被研削部と、被研削部の周囲を囲み且つ研削が施されていないリング状補強部と、で構成される円盤状の凹部を、被加工物の裏面側に形成する研削方法に関する。
【背景技術】
【0002】
互いに交差する複数の分割予定ラインが表面側に設定され、複数の分割予定ラインで区画される各領域にIC(Integrated Circuit)、LSI(Large Scale Integration)等のデバイスが形成された被加工物は、研削、切削等を経て複数のデバイスチップに分割される。
【0003】
例えば、研削装置を用いて円盤状の被加工物の裏面側の全体を研削して所定の厚さまで薄化した後、切削装置を用いて被加工物を各分割予定ラインに沿って切削され、被加工物は複数のデバイスチップに分割される。
【0004】
被加工物を研削する前には、被加工物の表面側に樹脂で形成された円盤状のシート(保護部材)を貼り付ける。保護部材は、基材層と、基材層の第1面に設けられた糊層とを有する。第1面側を被加工物に貼り付けた後、第1面とは反対側に位置する第2面(被保持面)側を、研削装置に搭載されたチャックテーブルで吸引して保持する。
【0005】
チャックテーブルはセラミックスで形成された円盤状の枠体を有する。枠体には、円盤状の凹部が形成されており、この凹部には円盤状のポーラス板が固定されている。ポーラス板の上面は略平坦であり、凹部の外側に位置する枠体の環状の上面と、略面一を成す。
【0006】
ポーラス板の下面には、流路の一端が接続されており、この流路の他端には、真空ポンプ等の吸引源が接続されている。吸引源により発生された負圧は、流路を介して、ポーラス板の上面に作用する。
【0007】
ポーラス板の上面と、枠体の環状の上面とは、被加工物の表面側(即ち、保護部材の被保持面側)を吸引して保持する保持面を構成する。研削装置では、被加工物の外径の公差や、被加工物を保持面に載置したときの配置ずれ等を考慮して、通常、被加工物の外径よりも大きな直径を有する保持面を備えたチャックテーブルが使用される。
【0008】
研削時には、円環状の研削ホイールを用いて、加工点に純水等の研削水を供給しながら、被加工物の裏面側の全体を研削する。このとき、加工屑を含んでいる使用後の研削水は、被加工物の裏面側の外周部から保持面の外周部へ流れ、更に、ポーラス板の吸引力により保護部材の被保持面と保持面との間に浸入する。それゆえ、保護部材の被保持面の外周部と、保持面の外周部とに、研削屑が付着する。
【0009】
ところで、被加工物の裏面側の全体ではなく、デバイス領域に対応する裏面側の一部(即ち、円形領域)を研削する手法が知られている(例えば、特許文献1参照)。研削が施された円形領域(即ち、被研削部)の周囲を囲む様に、研削が施されないリング状補強部を残すことで、研削後の被加工物の搬送等の取り扱いが容易になる。
【0010】
リング状補強部を残存させる様に裏面側を研削する場合にも、上述の様に、表面側に保護部材を貼り付けた上で、被加工物の外径よりも大きな直径の保持面を有するチャックテーブルで、被加工物の表面側を吸引保持する。
【0011】
それゆえ、保持面の外周部と、保護部材の被保持面の外周部とに、研削屑が付着することになる。保持面の外周部に研削屑が付着した状態を放置すると、研削装置の汚れとなる。また、研削に続く工程で使用される装置にも、研削屑等の汚れが付着した被加工物を介して汚れが付着する。
【0012】
更に、保持面に研削屑等の汚れが付着したまま、被加工物を加工すると、研削屑が付着した位置に応力が集中して被加工物が割れることがある。また、研削屑等に起因して保持面での吸引力が低下し、研削不良が生じる場合もある。加えて、吸着装置で被加工物を吸着して搬送する際には、研削屑等に起因して吸引不良が生じ、被加工物が落下して割れることもある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0013】
【文献】特開2007-19461号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
本発明は係る問題点に鑑みてなされたものであり、保持面の外周部及び保護部材の被保持面の外周部に付着する研削屑の量を低減することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本発明の一態様によれば、複数のデバイスが形成されたデバイス領域と該デバイス領域の周囲を囲む外周余剰領域とを表面側に有する被加工物の裏面側を、研削砥石を有する研削ホイールで研削する被加工物の研削方法であって、該被加工物の該表面側を保護部材で覆う表面保護ステップと、該デバイス領域の直径よりも大きく且つ該被加工物の外径よりも小さい直径の保持面を有するチャックテーブルで、該保護部材を介して該被加工物の該表面側を吸引して保持する保持ステップと、該チャックテーブルを第1の回転軸の周りで回転させ、且つ、該研削ホイールを第2の回転軸の周りで回転させた状態で、該研削砥石に研削水を供給しながら該研削砥石を該裏面側の一部に接触させることにより該裏面側の一部を研削して、研削が施された円形の被研削部と、該被研削部の周囲を囲み且つ研削が施されていないリング状補強部と、で構成される円盤状の凹部を形成する研削ステップと、を備える研削方法が提供される。
【発明の効果】
【0016】
本発明の一態様に係る研削ステップでは、研削砥石を裏面側の一部に接触させることにより、裏面側の全体ではなく、裏面側の一部を研削して、円形の被研削部を形成する。つまり、被研削部の周囲を囲み且つ研削が施されないリング状補強部を残す。
【0017】
この様に、研削ステップでは研削が施されない部分があるので、被加工物の表面側の全面を吸引保持する必要が無い。本願は、係る点に着目したものであり、保持ステップでは、デバイス領域の直径よりも大きく且つ被加工物の外径よりも小さい直径の保持面を有するチャックテーブルで、被加工物の表面側を吸引して保持する。
【0018】
それゆえ、研削ステップでは、加工屑を含む使用後の研削水が、被加工物の裏面側の外周部から下方へ落下又は飛散する。これにより、保持面の外周部及び保護部材の被保持面の外周部に、使用後の研削水が回り込み難くなる。従って、保持面の外周部及び保護部材の被保持面の外周部に回り込んで付着する研削屑の量を低減できる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】表面保護ステップを示す斜視図である。
図2図2(A)は研削ステップを示す一部断面側面図であり、図2(B)は図2(A)の部分拡大図である。
図3図3(A)は研削ステップ後の被加工物ユニットの斜視図であり、図3(B)は研削ステップ後の被加工物ユニットの断面図である。
図4】研削方法のフロー図である。
図5図5(A)は比較例に係る研削ステップを示す一部断面側面図であり、図5(B)は比較例に係る研削後の保持面の上面図であり、図5(C)は比較例に係る研削後の被加工物ユニットの底面図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
添付図面を参照して、本発明の一態様に係る実施形態について説明する。まず、図1を用いて、研削が施される被加工物11等について説明する。被加工物11は、例えば、シリコン等の半導体材料でなる円盤状のウェーハである。
【0021】
被加工物11の表面11a側は、互いに交差する複数の分割予定ライン(ストリート)13によって複数の領域に区画されており、各領域には、IC、LSI等のデバイス15が形成されている。
【0022】
なお、被加工物11の材質、形状、構造、大きさ等に制限はない。例えば、シリコン以外の他の半導体材料でなる基板を被加工物11として用いることもできる。同様に、デバイス15の種類、数量、形状、構造、大きさ、配置等にも制限はない。
【0023】
被加工物11の表面11a側には、複数のデバイス15を含む円形のデバイス領域17aと、デバイス領域17aの周囲を囲み、デバイス15が設けられていない環状の外周余剰領域17bとが設けられている。
【0024】
図1では、デバイス領域17aと外周余剰領域17bとの境界線を破線で示すが、この境界線は、仮想線であり、実際には被加工物11に付されていない。なお、被加工物11の表面11a側及び裏面11b側における各外周部には、角部が面取りされたベベル部(図2(A)等参照)が形成されている。
【0025】
次に、図1から図4を用いて、被加工物11の裏面11b側を研削して、裏面11b側に円盤状の凹部を形成する方法を説明する。図4は、本発明の一実施形態に係る研削方法のフロー図である。
【0026】
まず、表面11a側を保護するために、被加工物11の表面11a側に保護部材19を貼り付けて、表面11a側が保護部材19で覆われた被加工物ユニット21を形成する(表面保護ステップ(S10))。
【0027】
図1は、表面保護ステップ(S10)を示す斜視図である。保護部材19は、表面11aに加えて、表面11a側のベベル部も覆う様に貼り付けられる。保護部材19は、樹脂で形成された円盤状のシートであり、基材層と、基材層の第1面に設けられた糊層とを有する。
【0028】
糊層は、例えば、紫外線硬化樹脂で構成されるが、熱硬化性樹脂や自然硬化性樹脂で構成されてもよい。なお、基材層には必ずしも糊層が設けられなくてもよい。例えば、保護部材19は、基材層のみで構成され、熱圧着等の代替的な手法で表面11a側に貼り付けられてもよい。
【0029】
表面保護ステップ(S10)の後、研削装置20を用いて裏面11b側を研削する。研削装置20は、チャックテーブル22を備える。チャックテーブル22は、セラミックスで形成された円盤状の枠体24を有する。
【0030】
枠体24には、円盤状の凹部24aが形成されており、凹部24aには円盤状のポーラス板26が固定される。ポーラス板26の下面側には、所定の流路(不図示)の一端が接続されている。流路の他端には、真空ポンプ等の吸引源(不図示)が接続されている。吸引源により発生された負圧は、流路を介してポーラス板26の上面26aに作用する。
【0031】
上面26aは略平坦であり、凹部24aの外側に位置する枠体24の環状の上面24bと、略面一を成す。ポーラス板26の上面26aと、枠体24の上面24bとは、被加工物11の表面11a側を吸引して保持する保持面28を構成する。
【0032】
本実施形態の保持面28は、デバイス領域17aの直径よりも大きく且つ被加工物11の外径よりも小さい直径を有する。枠体24の下部には、モーター等の回転駆動源(不図示)の出力軸(第1の回転軸)30が固定されている。
【0033】
出力軸30は、保持面28と略直交する様に、Z軸方向(研削送り方向)に沿って配置されている。チャックテーブル22の上方には、研削ユニット32が配置されている。研削ユニット32は、高さ方向がZ軸方向に沿って配置された円筒状のスピンドルハウジング(不図示)を有する。
【0034】
スピンドルハウジングには、スピンドルハウジングをZ軸方向に沿って移動させるためのボールネジ式の研削送り機構(不図示)が連結されている。スピンドルハウジングの内部には、円柱状のスピンドル(第2の回転軸)34の一部が回転可能な態様で支持されている。
【0035】
スピンドル34は、チャックテーブル22の出力軸30と略平行になる様に配置されている。スピンドル34の上端部には、モーター等の回転駆動源が連結されており、スピンドル34の下端部には、円盤状のホイールマウント36が固定されている。
【0036】
ホイールマウント36の下面には、環状の研削ホイール38が装着されている。研削ホイール38は、環状のホイール基台38aを有する。ホイール基台38aの一面側には、ブロック状の複数の研削砥石38bが、ホイール基台38aの周方向に沿って略等間隔で離散的に配置されている。
【0037】
複数の研削砥石38bがスピンドル34の周りに回転すると、複数の研削砥石38bが移動する軌跡により、環状の領域が形成される。本実施形態では、環状の領域の最外周の直径は、デバイス領域17aの半径よりも大きく、且つ、デバイス領域17aの直径よりも小さくなる様に、設定されている。
【0038】
表面保護ステップ(S10)の後、位置合わせ装置(不図示)を用いて、表面11a(又は裏面11b)の中心位置を調整する。その後、表面11a(又は裏面11b)の中心と保持面28の中心とが略一致する様に、被加工物11を保持面28に載置する。
【0039】
次いで、図2に示す様に、被加工物ユニット21の表面11a側(即ち、保護部材19の被保持面側)を保持面28で吸引保持する(保持ステップ(S20))。上述の様に、保持面28の直径は、デバイス領域17aの外径以上、且つ、被加工物11の外径以下である。
【0040】
それゆえ、外周余剰領域17bの少なくとも一部は、保持面28の外側に位置する。この状態で、出力軸30の周りにチャックテーブル22を第1の回転数で回転させ、更に、スピンドル34の周りに研削ホイール38を第2の回転数で、例えば、出力軸30と同じ方向に回転させる。
【0041】
加えて、研削ホイール38に設けられた研削水供給口(不図示)から、研削砥石38bに純水等の研削水40を供給しながら、研削ホイール38を研削送りする。そして、デバイス領域17aに対応する裏面11b側の領域に、研削砥石38bを接触させる(研削ステップ(S30))。
【0042】
図2(A)は、研削ステップ(S30)を示す一部断面側面図であり、図2(B)は、図2(A)の部分拡大図である。研削ステップ(S30)では、デバイス領域17aに対応する裏面11b側の一部を研削し、円形の被研削部11cを形成する。
【0043】
研削ステップ(S30)では、加工屑を含む使用後の研削水40が、被加工物11の裏面11b側の外周部から下方へ落下又は飛散するので、保持面28の外周部及び保護部材19の外周部に、使用後の研削水40が回り込み難くなる。それゆえ、保持面28及び保護部材19の外周部に付着する研削屑の量を低減できる。
【0044】
加えて、保持面28の直径をデバイス領域17aの外径以上とすることで、デバイス領域17aを適切に支持した上で、デバイス領域17aに対応する裏面11b側の領域を研削できるので、被研削部11cにおける研削不良を回避できる。
【0045】
図3(A)は、研削ステップ(S30)後の被加工物ユニット21の斜視図であり、図3(B)は、研削ステップ(S30)後の被加工物ユニット21の断面図である。被研削部11cの周囲を囲む様に、研削が施されていないリング状補強部11dが残存している。被研削部11c及びリング状補強部11dは、円盤状の凹部11eを構成する。
【0046】
次に、図5(A)から図5(C)を用いて、比較例について説明する。比較例に係る研削装置50は、チャックテーブル52を備える。チャックテーブル52は、セラミックスで形成された円盤状の枠体54を有する。
【0047】
枠体54には、円盤状の凹部54aが形成されている。凹部54aには、凹部54aの直径よりも小さな外径を有する円盤状のポーラス板56が設けられている。また、ポーラス板56の外周と凹部54aの内周との間には、ポーラス板56の細孔に比べて小さな細孔を有する環状のバリア部58が設けられている。
【0048】
ポーラス板56及びバリア部58の下面側には、所定の流路(不図示)の一端が接続されている。この流路の他端には、真空ポンプ等の吸引源(不図示)が接続されている。吸引源により発生された負圧は、流路を介してポーラス板26の上面26aと、バリア部58の上面58aとに作用する。
【0049】
なお、バリア部58は、ポーラス板56の細孔に比べて小さな細孔を有するので、バリア部58の上面58aに作用する負圧の大きさは、ポーラス板26の上面26aに作用する負圧の大きさに比べて小さくなる。
【0050】
上面56a及び上面58aは略平坦であり、凹部54aの外側に位置する枠体54の環状の上面54bと、略面一を成す。上面26a及び上面58aと、上面54bとは、被加工物11の表面11a側を吸引して保持する保持面60を構成する。
【0051】
保持面60は、被加工物11の外径よりも大きい直径を有する。枠体54の下部には、モーター等の回転駆動源(不図示)の出力軸62が固定されている。チャックテーブル52の上方には、上述の実施形態と同じ、研削ユニット32が配置されている。
【0052】
比較例に係る研削装置50を用いて被加工物11の裏面11b側の一部を研削するときには、上述の実施形態と同様に、表面保護ステップ(S10)から研削ステップ(S30)を順次行う。
【0053】
図5(A)は、比較例に係る研削ステップ(S30)を示す一部断面側面図である。被加工物11は、被加工物11の外径よりも大きな直径を有する保持面60で吸引保持される。特に、バリア部58の上面58aには、保護部材19に接していない露出領域が存在する。
【0054】
それゆえ、研削ステップ(S30)では、加工屑を含んでいる使用後の研削水40が、被加工物11の裏面11b側から、被加工物11の外周部のベベル部を経て、保持面60の外周部へ流れる。このとき、使用後の研削水40は、ポーラス板56及びバリア部58の吸引力により保護部材19の被保持面と保持面60との間に浸入する。
【0055】
従って、保持面60の外周部と、保護部材19の被保持面の外周部とには、研削屑64(図5(B)及び図5(C)参照)が付着する。図5(B)は、比較例に係る研削後の保持面60の上面図である。図5(B)に示す様に、研削後には、バリア部58の上面58aと、ポーラス板56の上面56aとの境界付近に、多量の研削屑64が付着している。
【0056】
また、研削後には、保護部材19の被保持面の外周部にも、多量の研削屑64が付着している。図5(C)は、比較例に係る研削後の被加工物ユニット21の底面図である。なお、図5(C)に示す破線は、上面58aと上面56aとの境界を意味する。
【0057】
図5(A)から図5(C)の比較例に示す様に、被加工物11の外径よりも大きな直径を有する保持面60を有するチャックテーブル52を使用する場合には、研削後の研削屑64の付着が問題となる。
【0058】
これに対して、上述の実施形態では、保持面28の外周部及び保護部材19の被保持面の外周部に付着する研削屑64の量を低減できる。その他、上記実施形態に係る構造、方法等は、本発明の目的の範囲を逸脱しない限りにおいて適宜変更して実施できる。
【符号の説明】
【0059】
11:被加工物、11a:表面、11b:裏面、11c:被研削部、11d:リング状補強部、11e:凹部
13:分割予定ライン
15:デバイス
17a:デバイス領域、17b:外周余剰領域
19:保護部材
20:研削装置
21:被加工物ユニット
22:チャックテーブル
24:枠体、24a:凹部、24b:上面
26:ポーラス板、26a:上面
28:保持面
30:出力軸
32:研削ユニット
34:スピンドル
36:ホイールマウント
38:研削ホイール、38a:ホイール基台、38b:研削砥石
40:研削水
50:研削装置
52:チャックテーブル
54:枠体、54a:凹部、54b:上面
56:ポーラス板、56a:上面
58:バリア部、58a:上面
60:保持面
62:出力軸
64:研削屑
図1
図2
図3
図4
図5