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特許7403942燃焼場の観察方法、観察装置、及び観察プログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-15
(45)【発行日】2023-12-25
(54)【発明の名称】燃焼場の観察方法、観察装置、及び観察プログラム
(51)【国際特許分類】
   F23G 5/50 20060101AFI20231218BHJP
   F23G 5/00 20060101ALI20231218BHJP
【FI】
F23G5/50
F23G5/00 A
F23G5/00 109
【請求項の数】 15
(21)【出願番号】P 2018089217
(22)【出願日】2018-05-07
(65)【公開番号】P2019196845
(43)【公開日】2019-11-14
【審査請求日】2021-02-03
【審判番号】
【審判請求日】2022-11-30
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 2017年11月13日発行(発送日 2017年11月10日)の第55回燃焼シンポジウム講演論文集の432-433頁(B331)にて公開
(73)【特許権者】
【識別番号】000173809
【氏名又は名称】一般財団法人電力中央研究所
(74)【代理人】
【識別番号】100087468
【弁理士】
【氏名又は名称】村瀬 一美
(72)【発明者】
【氏名】吉田 匡秀
(72)【発明者】
【氏名】若林 信行
【合議体】
【審判長】間中 耕治
【審判官】槙原 進
【審判官】岩▲崎▼ 則昌
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-187265(JP,A)
【文献】特開2014-137780(JP,A)
【文献】特開2016-65841(JP,A)
【文献】特開2014-234981(JP,A)
【文献】特開2003-50009(JP,A)
【文献】特開平8-94055(JP,A)
【文献】特開2013-238350(JP,A)
【文献】特開2017-179598(JP,A)
【文献】特開2017-152564(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F22B 37/38
F23G 5/50
F23M 11/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
火炎越しに燃焼場をRGBカメラによって撮影することによってRGB画像が取得され、前記RGB画像の各画素毎のRGBのうちR信号とG信号の画素値のみを用い、且つ、前記R信号の画素値の重み係数よりも前記G信号の画素値の重み係数の方が大きい値に設定されてグレースケール変換され、前記燃焼場における燃焼ガスの発光の影響が低減された前記燃焼場の前記火炎の背後の炉内構造並びに付着灰などの監視対象物の画像が生成されることを特徴とする燃焼場の観察方法。
【請求項2】
前記グレースケール変換を行った後に、さらにコントラスト調整して前記画像が生成されることを特徴とする請求項1記載の燃焼場の観察方法。
【請求項3】
前記グレースケール変換の前に前記RGB画像をコントラスト調整することを特徴とする請求項1記載の燃焼場の観察方法。
【請求項4】
火炎越しに燃焼場をRGBカメラによって動画撮影することによってRGB画像が取得され、前記RGB画像のうちGチャンネルから出力される画素値のみが選択されて単色画像が生成され、前記燃焼場における燃焼ガスの発光の影響が低減された前記燃焼場の前記火炎の背後の炉内構造並びに付着灰などの監視対象物の画像が得られることを特徴とする燃焼場の観察方法。
【請求項5】
火炎越しに燃焼場を、分光感度特性としての最大感度波長が500~580nm程度の範囲のうちの何れかの値であると共に感度波長範囲が440~640nm程度の範囲のうちの何れかの範囲であるセンサで撮影することによって取得された、波長が440~640nmである光線の画像が生成され、前記燃焼場における燃焼ガスの発光の影響が低減された前記燃焼場の前記火炎の背後の炉内構造並びに付着灰などの監視対象物の画像が得られることを特徴とする燃焼場の観察方法。
【請求項6】
火炎越しに燃焼場をRGBカメラによって撮影することによって取得されたRGB画像の各画素毎のRGBのうちR信号とG信号の画素値のみを用い、且つ、前記R信号の画素値の重み係数よりも前記G信号の画素値の重み係数の方が大きい値に設定されてグレースケール変換するグレースケール変換手段を有し、前記燃焼場における燃焼ガスの発光の影響が低減された前記燃焼場の前記火炎の背後の炉内構造並びに付着灰などの監視対象物の画像が得られることを特徴とする燃焼場の観察装置。
【請求項7】
前記グレースケール変換手段でグレースケール変換を施した後に、さらにコントラスト調整を施すコントラスト調整手段を有することを特徴とする請求項記載の燃焼場の観察装置。
【請求項8】
前記グレースケール変換手段でグレースケール変換をする前の前記RGB画像にコントラスト調整する手段を有することを特徴とする請求項記載の燃焼場の観察装置。
【請求項9】
火炎越しに燃焼場をRGBカメラによって動画撮影することによってRGB画像が取得され、前記RGB画像のうちGチャンネルから出力される画素値のみが選択されて単色画像を生成する手段を有し、前記燃焼場における燃焼ガスの発光の影響が低減された前記燃焼場の前記火炎の背後の炉内構造並びに付着灰などの監視対象物の画像が得られることを特徴とする燃焼場の観察装置。
【請求項10】
火炎越しに燃焼場を、分光感度特性としての最大感度波長が500~580nm程度の範囲のうちの何れかの値であると共に感度波長範囲が440~640nm程度の範囲のうちの何れかの範囲であるセンサで撮影することによって取得された、波長が440~640nmである光線の画像を生成する手段を有し、燃焼場における燃焼ガスの発光の影響が低減された前記燃焼場の前記火炎の背後の炉内構造並びに付着灰などの監視対象物の画像が得られることを特徴とする燃焼場の観察装置。
【請求項11】
火炎越しに燃焼場をRGBカメラによって撮影することによってRGB画像が取得され、前記RGB画像の各画素毎のRGBのうちR信号とG信号の画素値のみを用い、且つ、前記R信号の画素値の重み係数よりも前記G信号の画素値の重み係数の方が大きい値に設定されてグレースケール変換し、前記燃焼場における燃焼ガスの発光の影響が低減された前記燃焼場の前記火炎の背後の炉内構造並びに付着灰などの監視対象物の画像を生成する処理をコンピュータに行わせることを特徴とする燃焼場の観察プログラム。
【請求項12】
前記グレースケール変換処理を行った後に、さらにコントラスト調整して画像を生成する処理をコンピュータに行わせることを特徴とする請求項11記載の燃焼場の観察プログラム。
【請求項13】
前記グレースケール変換処理の前に前記RGB画像をコントラスト調整する処理をコンピュータに行わせることを特徴とする請求項11記載の燃焼場の観察プログラム。
【請求項14】
火炎越しに燃焼場をRGBカメラによって動画撮影することによってRGB画像が取得され、前記RGB画像のうちGチャンネルから出力される画素値のみが選択されて単色画像が生成され、前記燃焼場における燃焼ガスの発光の影響が低減された前記燃焼場の前記火炎の背後の炉内構造並びに付着灰などの監視対象物の画像が生成される処理をコンピュータに行わせることを特徴とする燃焼場の観察プログラム。
【請求項15】
火炎越しに燃焼場を、分光感度特性としての最大感度波長が500~580nm程度の範囲のうちの何れかの値であると共に感度波長範囲が440~640nm程度の範囲のうちの何れかの範囲であるセンサで撮影することによって取得された、波長が440~640nmである光線の画像を生成し、前記燃焼場における燃焼ガスの発光の影響が低減された前記燃焼場の前記火炎の背後の炉内構造並びに付着灰などの監視対象物の画像が生成される処理をコンピュータに行わせることを特徴とする燃焼場の観察プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、燃焼場の観察方法、観察装置、及び観察プログラムに関する。さらに詳述すると、本発明は、例えば運転中のボイラの炉内において火炎が存在している燃焼場の状態を可視化して観察する技術に関する。
【0002】
本発明において、燃焼場とは、火炎(言い換えると、燃焼ガス)が存在している空間のことを広く意味するものとし、あくまで一例として挙げると運転中のボイラの火炉内などにおいて石炭や重油等の燃料が燃焼してバーナ火炎が存在している空間などのことを意味するものとする。
【背景技術】
【0003】
ボイラを備える従来の機序として、例えば、石炭の粉砕装置と、粉砕した石炭を燃焼させるボイラと、燃焼により発生した燃焼排ガスを煙突へ導く煙道と、煙道中に設けられた石灰石スラリー噴霧装置を有する脱硫部とを備えた微粉炭燃焼システムがある(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開平8-296835号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
例えば火力発電所において用いられる特許文献1の微粉炭燃焼システムに組み込まれるボイラでは長時間安定して連続運転を継続することが求められるところ、灰付着障害が安定運転の妨げとなる場合があるために様々な灰付着障害対策が開発されているものの、燃焼ガス発光による障害に起因して運転中のボイラ炉内(即ち、燃焼場)の可視観察が困難である(言い換えると、燃焼ガスの発光が障害となって付着灰や炉内構造物からの発光が可視観察され難い)ために灰付着状態の把握や灰付着障害対策の効果の評価が十分にできないという問題がある。また、微粉炭燃焼システムに組み込まれるボイラに限らず、種々のボイラにおいても、安定的で効率的な運転の確保や合理的な保全の実施などの観点から、運転中のボイラ炉内(即ち、燃焼場)の状態把握としての可視観察を行うことは非常に重要である。
【0006】
具体的には例えば微粉炭焚きボイラにおいては、使用する石炭の種類によっては、石炭の燃焼過程で生成される灰の一部が熱交換用の伝熱管表面に付着して伝熱阻害やボイラの運転障害を引き起こす原因になってしまう。また、灰付着障害が発生する箇所は、ボイラ炉底からボイラ出口、更には脱硝装置までと広範囲に亙り、また、障害内容も多岐に亙る。これら灰付着障害の中でも、特に火炉出口吊り下げ過熱器では伝熱管表面に付着した灰が大きな塊の硬質なクリンカとなり、この硬質クリンカが落下することによって炉底部の伝熱管を損傷させてしまうことがある。また、定期検査時には炉内安全確保のための灰除去作業が増えて定期検査日数が増加してしまうなど、微粉炭火力発電所を低コストで安定して運用する上で灰の付着は重要な問題となっている。
【0007】
このような背景のもと、例えば灰付着状態の把握や灰付着障害対策の効果の評価を的確に行うためには運転中ボイラの伝熱管や炉内壁面等の炉内構造物並びに付着灰を可視観察することが最も有効な手段であるものの、ボイラ炉内の燃焼ガスによって視界が妨げられ、運転中のボイラ炉内の可視観察は困難である。現状では、定期検査時の灰付着状況或いは運転中にボイラ炉底から排出される灰の評価やメタル温度データをはじめとしたプラントデータ解析から灰付着障害対策の効果を推定している例があるものの、実際の現象については十分に把握できていない。
【0008】
運転中のボイラで炉内構造物や付着灰を可視観察することが可能になれば、運転中ボイラの灰付着状況の詳細調査や灰付着障害対策の効果の評価などが可能になり、灰付着障害の課題解決に対して非常に有用な情報を提供することが可能になる。また、種々のボイラにおいて、運転中のボイラ炉内の状態把握としての可視観察が可能になれば、安定的で効率的な運転の確保や合理的な保全の実施に対して非常に有用な情報を提供することが可能になる。
【0009】
そこで、本発明は、例えば運転中のボイラ炉内のような燃焼場を可視化して観察することができる燃焼場の観察方法、観察装置、及び観察プログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
かかる目的を達成するため、本発明の燃焼場の観察方法は、火炎越しに燃焼場をRGBカメラによって撮影することによってRGB画像が取得され、前記RGB画像の各画素毎のRGBのうちR信号とG信号の画素値のみを用い、且つ、前記R信号の画素値の重み係数よりも前記G信号の画素値の重み係数の方が大きい値に設定されてグレースケール変換され、前記燃焼場における燃焼ガスの発光の影響が低減された前記燃焼場の前記火炎の背後の炉内構造並びに付着灰などの監視対象物の画像が生成されるようにしている。
【0011】
また、本発明の燃焼場の観察装置は、火炎越しに燃焼場をRGBカメラによって撮影することによって取得されたRGB画像の各画素毎のRGBのうちR信号とG信号の画素値のみを用い、且つ、前記R信号の画素値の重み係数よりも前記G信号の画素値の重み係数の方が大きい値に設定されてグレースケール変換するグレースケール変換手段を有し、前記燃焼場における燃焼ガスの発光の影響が低減された前記燃焼場の前記火炎の背後の炉内構造並びに付着灰などの監視対象物の画像が得られるようにしている。
【0012】
また、本発明の燃焼場の観察プログラムは、火炎越しに燃焼場をRGBカメラによって撮影することによってRGB画像が取得され、前記RGB画像の各画素毎のRGBのうちR信号とG信号の画素値のみを用い、且つ、前記R信号の画素値の重み係数よりも前記G信号の画素値の重み係数の方が大きい値に設定されてグレースケール変換し、前記燃焼場における燃焼ガスの発光の影響が低減された前記燃焼場の前記火炎の背後の炉内構造並びに付着灰などの監視対象物の画像を生成する処理をコンピュータに行わせるようにしている。
【0013】
したがって、これらの燃焼場の観察方法,燃焼場の観察装置,燃焼場の観察プログラムによると、燃焼場を撮影した画像をグレースケール変換した画像が生成され、これにより、燃焼場における燃焼ガスの発光の影響が低減された画像が得られる。
【0018】
本発明の燃焼場の観察方法は、前記グレースケール変換を行った後に、さらにコントラスト調整して前記画像が生成されるようにしても良い。
【0019】
また、本発明の燃焼場の観察装置は、前記グレースケール変換手段でグレースケール変換を施した後に、さらにコントラスト調整を施すコントラスト調整手段を有するようにしても良い。
【0020】
また、本発明の燃焼場の観察プログラムは、前記グレースケール変換処理を行った後に、さらにコントラスト調整して画像を生成する処理をコンピュータに行わせるようにしても良い。
【0021】
これらの燃焼場の観察方法,燃焼場の観察装置,燃焼場の観察プログラムの場合には、燃焼場を撮影した画像をグレースケール変換してからコントラスト調整した画像が生成され、これにより、燃焼場における燃焼ガスの発光の影響が低減された画像が得られる。
【0022】
本発明の燃焼場の観察方法は、前記グレースケール変換の前に前記RGB画像をコントラスト調整するようにしても良い。
【0023】
また、本発明の燃焼場の観察装置は、前記グレースケール変換手段でグレースケール変換をする前の前記RGB画像にコントラスト調整する手段を有するようにしても良い。
【0024】
また、本発明の燃焼場の観察プログラムは、前記グレースケール変換処理の前に前記RGB画像をコントラスト調整する処理をコンピュータに行わせるようにしても良い。
【0025】
これらの燃焼場の観察方法,燃焼場の観察装置,燃焼場の観察プログラムの場合には、燃焼場を撮影した画像をコントラスト調整してからグレースケール変換した画像が生成され、これにより、燃焼場における燃焼ガスの発光の影響が低減された画像が得られる。
【0026】
本発明の燃焼場の観察方法は、火炎越しに燃焼場をRGBカメラによって動画撮影することによってRGB画像が取得され、前記RGB画像のうちGチャンネルから出力される画素値のみが選択されて単色画像が生成され、前記燃焼場における燃焼ガスの発光の影響が低減された前記燃焼場の前記火炎の背後の炉内構造並びに付着灰などの監視対象物の画像が得られるようにしても良い。
【0027】
また、本発明の燃焼場の観察装置は、火炎越しに燃焼場をRGBカメラによって動画撮影することによってRGB画像が取得され、前記RGB画像のうちGチャンネルから出力される画素値のみが選択されて単色画像を生成する手段を有し、前記燃焼場における燃焼ガスの発光の影響が低減された前記燃焼場の前記火炎の背後の炉内構造並びに付着灰などの監視対象物の画像が得られるようにしても良い。
【0028】
また、本発明の燃焼場の観察プログラムは、 火炎越しに燃焼場をRGBカメラによって動画撮影することによってRGB画像が取得され、前記RGB画像のうちGチャンネルから出力される画素値のみが選択されて単色画像が生成され、前記燃焼場における燃焼ガスの発光の影響が低減された前記燃焼場の前記火炎の背後の炉内構造並びに付着灰などの監視対象物の画像が生成される処理をコンピュータに行わせるようにしても良い。
【0029】
これらの燃焼場の観察方法,燃焼場の観察装置,燃焼場の観察プログラムの場合には、燃焼場を撮影した画像データのうちGチャンネルから出力される画素値のみが選択されてGチャンネル画像が生成され、これにより、燃焼場における燃焼ガスの発光の影響が低減された画像が得られる。
【0033】
これらの燃焼場の観察方法,燃焼場の観察装置,燃焼場の観察プログラムの場合には、燃焼場を撮影した画像データのうちRチャンネルから出力される画素値のみが選択されてRチャンネル画像が生成され、これにより、燃焼場における燃焼ガスの発光の影響が低減された画像が得られる。
【0034】
本発明の燃焼場の観察方法は、火炎越しに燃焼場を、分光感度特性としての最大感度波長が500~580nm程度の範囲のうちの何れかの値であると共に感度波長範囲が440~640nm程度の範囲のうちの何れかの範囲であるセンサで撮影することによって取得された、波長が440~640nmである光線の画像が生成され、前記燃焼場における燃焼ガスの発光の影響が低減された前記燃焼場の前記火炎の背後の炉内構造並びに付着灰などの監視対象物の画像が得られるようにしても良い。
【0035】
また、本発明の燃焼場の観察装置は、火炎越しに燃焼場を分光感度特性としての最大感度波長が500~580nm程度の範囲のうちの何れかの値であると共に感度波長範囲が440~640nm程度の範囲のうちの何れかの範囲であるセンサで撮影することによって取得された波長が440~640nmである光線の画像を生成する手段を有し、燃焼場における燃焼ガスの発光の影響が低減された前記燃焼場の前記火炎の背後の炉内構造並びに付着灰などの監視対象物の画像が得られるようにしても良い。
【0036】
また、本発明の燃焼場の観察プログラムは、火炎越しに燃焼場を、分光感度特性としての最大感度波長が500~580nm程度の範囲のうちの何れかの値であると共に感度波長範囲が440~640nm程度の範囲のうちの何れかの範囲であるセンサで撮影することによって取得された、波長が440~640nmである光線の画像を生成し、前記燃焼場における燃焼ガスの発光の影響が低減された前記燃焼場の前記火炎の背後の炉内構造並びに付着灰などの監視対象物の画像が生成される処理をコンピュータに行わせるようにしても良い。
【0037】
これらの燃焼場の観察方法,燃焼場の観察装置,燃焼場の観察プログラムの場合には、燃焼場を撮影して取得された波長が440~640 nm である光線の画像が生成され、これにより、燃焼場における燃焼ガスの発光の影響が低減された画像が得られる。
【0041】
これらの燃焼場の観察方法,燃焼場の観察装置,燃焼場の観察プログラムの場合には、燃焼場を撮影して取得された波長が550~760 nm である光線の画像が生成され、これにより、燃焼場における燃焼ガスの発光の影響が低減された画像が得られる。
【発明の効果】
【0042】
本発明の燃焼場の観察方法,燃焼場の観察装置,燃焼場の観察プログラムによれば、燃焼場における燃焼ガスの発光の影響を低減させた画像を得ることができるので、燃焼場における監視対象物を可視観察することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0043】
図1】本発明の燃焼場の観察方法の実施形態の一例を説明するフローチャートである。
図2】実施形態の燃焼場の観察方法を燃焼場の観察プログラムを用いて実施する場合の当該プログラムによって実現される燃焼場の観察装置の機能ブロック図である。
図3】燃焼場の撮影の態様の例を示す模式図である。
図4】実施例1における画像の一例を示す図である。
図5】実施例1においてグレースケール変換されてからコントラスト調整されて生成された可視化画像を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0044】
以下、本発明の構成を図面に示す実施の形態の一例に基づいて詳細に説明する。
【0045】
図1乃至図3に、本発明に係る燃焼場の観察方法,燃焼場の観察装置,及び燃焼場の観察プログラムの実施形態の一例を示す。
【0046】
本実施形態では、運転中の微粉炭焚きボイラの火炉内を燃焼場として取り上げ、当該燃焼場としてのボイラ火炉内を観察する場合を例に挙げて説明する。また、例えば灰付着障害に纏わる分析や検討を行うために状態の把握が必要とされる炉内構造物や灰が特に付着し易い箇所を「監視対象部位」と呼ぶ。
【0047】
本実施形態の燃焼場の観察方法は、燃焼場を撮影することによって画像が取得され(S1)、前記画像に所定の変換処理が行われて(S2)画像が生成される(S3)ようにしている(図1参照)。
【0048】
上記の燃焼場の観察方法は、本発明に係る燃焼場の観察装置によって実施され得る。本実施形態の燃焼場の観察装置は、燃焼場を撮影することによって取得された画像に対して所定の変換処理を行う手段(11a)と、前記変換処理の結果を用いて画像を生成する手段(11b)とを有するようにしている。
【0049】
上記の燃焼場の観察方法や燃焼場の観察装置は、燃焼場の観察プログラムがコンピュータ上で実行されることによっても実施されたり実現されたりし得る。本実施形態に係る説明では、燃焼場の観察プログラムがコンピュータ上で実行されることによって燃焼場の観察方法が実施されると共に燃焼場の観察装置が実現される場合を取り上げて説明する。
【0050】
本実施形態の燃焼場の観察プログラム17を実行するためのコンピュータ10(本実施形態では、燃焼場の観察装置10でもある)の全体構成を図2に示す。
【0051】
このコンピュータ10(燃焼場の観察装置10)は制御部11,記憶部12,入力部13,表示部14,及びメモリ15を備え、これらが相互にバス等の信号回線によって接続されている。
【0052】
制御部11は、記憶部12に記憶されている燃焼場の観察プログラム17に従ってコンピュータ10全体の制御並びに燃焼場の観察に係る演算を行うものであり、例えばCPU(即ち、中央演算処理装置)である。
【0053】
記憶部12は、少なくともデータやプログラムを記憶可能な装置であり、例えばハードディスクである。
【0054】
入力部13は、少なくとも作業者の命令や種々の情報を制御部11に与えるためのインターフェイス(即ち、情報入力の仕組み)であり、例えばキーボードやマウスである。なお、例えばキーボードとマウスとの両方のように複数種類のインターフェイスを入力部13として有するようにしても良い。
【0055】
表示部14は、制御部11の制御によって文字や図形或いは画像等の描画・表示を行うものであり、例えばディスプレイである。
【0056】
メモリ15は、制御部11が種々の制御や演算を実行する際の作業領域であるメモリ空間となるものであり、例えばRAM(Random Access Memory の略)である。
【0057】
また、コンピュータ10に、必要に応じ、当該コンピュータ10との間でデータや制御指令等の信号の送受信(即ち、出入力)が可能であるように、バスや広域ネットワーク回線等の信号回線により、データサーバ20が接続されるようにしても良い。また、コンピュータ10は、必要に応じ、インターネットなどのネットワークを介してクラウドサーバ(図示していない)にアクセス可能であるようにしても良い。
【0058】
なお、コンピュータ10と撮像手段(図2には図示していない)とが接続され、撮像手段からの出力がコンピュータ10に直接入力されるようにしても良い。
【0059】
そして、コンピュータ10(以下、「燃焼場の観察装置10」と表記する)の制御部11には、燃焼場の観察プログラム17が実行されることにより、燃焼場を撮影することによって取得された画像に対して所定の変換処理を行う変換処理部11aと、前記変換処理の結果を用いて画像を生成する処理を行う画像生成部11bとが構成される。
【0060】
そして、燃焼場の観察方法の実施に係る手順として、まず、燃焼場の撮影が行われる(S1)。
【0061】
この処理では、燃焼場における監視対象物の監視対象部位を含む領域に関する画像(更に言えば、これら画像の画像データ)が取得される。
【0062】
本実施形態では、ボイラの火炉に設けられている監視窓から、監視対象部位を含む領域が撮影される。なお、ボイラの火炉には炉内の状況を確認することができるように様々な場所(具体的には例えば、炉壁)に監視窓が通常は設置されているので(但し、具体的な場所はボイラによって異なる)、監視対象部位を含む領域を撮影するのに適当な監視窓が適宜選択されて当該監視窓を介して撮影が行われる。この撮影は、監視対象物の監視対象部位が燃焼場越しに撮影されるとも言い得る。
【0063】
本発明では、カラー画像、具体的には例えばカラーチャンネルの数が3であるRGB画像(即ち、カラーチャンネルがR(赤)チャンネル,G(緑)チャンネル,及びB(青)チャンネルの三つであるカラー画像)が用いられる。
【0064】
このため、撮像手段として、可視光を検出し、光学像を画素毎(別言すると、ピクセル毎)にカラーチャンネルのそれぞれに対応する電気信号(具体的には、デジタル信号)に変換して出力する機能を備えているものが用いられる。
【0065】
すなわち、撮像手段としては複数のカラーチャンネルを備える多色カメラが用いられ、多色カメラとして具体的に例えばRGBカメラが用いられる場合にはRチャンネルのデータ(具体的には、画素毎のRチャンネルから出力される画素値),Gチャンネルのデータ(具体的には、画素毎のGチャンネルから出力される画素値),及びBチャンネルのデータ(具体的には、画素毎のBチャンネルから出力される画素値)が出力される。
【0066】
本発明における撮像手段(更に言えば、撮像手段の種類を含む撮影の態様)は、所定の領域を撮影して光学像を画像における画素毎(ピクセル毎)にカラーチャンネルのそれぞれに対応する電気信号(デジタル信号)に変換して出力し得る構成・機能を備えるものであれば、特定の種類や態様に限定されるものではなく、適当なものが適宜選定される。
【0067】
カラー画像としては、具体的には例えば、撮像手段として例えばデジタルカラースチルカメラが用いられて静止画として撮影されて取得された個々の静止画像や、撮像手段として例えばデジタルカラービデオカメラが用いられて動画として撮影されて得られた動画像に対してフレーム切り出しが行われて取得された個々のフレーム画像などが用いられ得る。
【0068】
本発明では、上述の通りカラーカメラ(特に、波長が380~780 nm 程度の範囲の可視光線領域を対象とするカラーカメラ)が用いられ得る。カラーカメラは、通常、赤外線カメラと比べて解像度や感度が高く、また、安価である。したがって、本発明によれば、赤外線カメラが用いられる手法と比べ、解像度や感度が高い画像によって燃焼場延いては監視対象部位の状態を観察することができ、しかも、そのような観察の仕組みを安価に構築することができる。
【0069】
必要に応じ、撮像手段と燃焼場との間に(本実施形態では具体的には、撮像手段と監視窓との間に)、ND(Neutral Density の略)フィルタなどの光学フィルタ類が配設されるようにしても良い。
【0070】
画像データは、個々の画像における画素の位置と当該画素のカラーチャンネル毎の出力値(即ち、画素値)との組み合わせデータとして整備される。
【0071】
ここでの説明では、撮像手段としての多色カメラとしてRGBカメラが用いられると共に、撮影される画像における各画素の位置が相互に直交する縦X軸と横Y軸とによって規定される二次元座標(x,y)で表されるとし、各画素のRチャンネルの画素値をI(R),Gチャンネルの画素値をI(G),及びBチャンネルの画素値をI(B)でそれぞれ表すとする。すなわち、ここでの説明では、画像データが、画像中の画素位置x及びy,並びにR,G,及びBの3チャンネルそれぞれの画素値I(R),I(G),及びI(B)の組み合わせデータとして{x,y,I(R),I(G),I(B)}のように表されるとする。
【0072】
R(赤),G(緑),及びB(青)の三色の区別は、言い換えると、R,G,及びBの三つのカラーチャンネルそれぞれの分光感度特性は、例えば、「CIE(国際照明委員会) 1931」や「CIE 1964」,「JIS(日本工業規格) Z 8781」,「ISO(国際標準化機構) 11664」に基づいて設定されることが考えられる。
【0073】
なお、「CIE 1931」では、中心波長について、R:700 nm,G:546.1 nm,B:435.8 nm である。また、「CIE 1964」では、中心波長について、R:645.2 nm,G:526.3 nm,B:444.4 nm である。
【0074】
そして、例えばデジタルカメラにおけるR,G,及びBの三つのカラーチャンネルそれぞれに対応するセンサの分光感度特性として、あくまで例として挙げると、最大感度波長がRチャンネルのセンサ:580~700 nm 程度,Gチャンネルのセンサ:500~580 nm 程度,Bチャンネルのセンサ:420~500 nm 程度の範囲のうちの何れかの値に設定されると共に、感度波長範囲がRチャンネルのセンサ:550~760 nm 程度,Gチャンネルのセンサ:440~640 nm 程度,Bチャンネルのセンサ:360~580 nm 程度の範囲のうちの何れかの範囲に設定されることが考えられる。
【0075】
撮像手段の受光素子としてのセンサは、複数のカラーチャンネルのそれぞれに対応する出力を一つのセンサとして行う複数チャンネルを備える一体型のセンサでも良く、或いは、特定のカラーチャンネルに対応する出力を行う単数チャンネルを備えるチャンネル個別のセンサでも良い。
【0076】
燃焼場の撮影の結果として得られる画像データは、当該画像データ(具体的には、画素毎の{x,y,I(R),I(G),I(B)}の組み合わせデータ)が記録されたデータファイルとして記憶部12やデータサーバ20などに保存される。
【0077】
次に、S1の処理によって撮影されて取得された画像データが用いられて画素毎の輝度や画素値の変換が行われる(S2)。
【0078】
具体的には、制御部11の変換処理部11aにより、記憶部12やデータサーバ20などにデータファイルとして保存されている画像データ(具体的には、画素毎の{x,y,I(R),I(G),I(B)}の組み合わせデータ)が読み込まれる。
【0079】
そして、変換処理部11aにより、下記の〈方法I〉乃至〈方法VI〉のうちのいずれかの方法によって画像の(言い換えると、各画素値の)変換処理が行われる。
【0080】
〈方法I〉カラー画像がグレースケール変換される。
この方法では、S1の処理によって取得されたカラー画像がグレースケール画像へと変換される。つまり、カラー画像(本実施形態では具体的には、RGB画像)に基づいてグレースケール画像が生成される。
【0081】
具体的には例えば、カラー画像の一般的な保存形式である赤(R),緑(G),及び青(B)の三色を配合して色を表現するRGBに関する、RGB色空間及びグレースケール変換式(例えば、RGB色空間からYCrCb色空間の明度Yを得る変換式)が用いられて、S1の処理によって取得されたカラー画像がグレースケール画像へと変換される。
【0082】
カラー画像のグレースケール画像への変換方法は、特定の仕法や変換式に限定されるものではなく、既存の若しくは新規の変換の仕方が適宜選択される。
【0083】
カラー画像のグレースケール画像への変換式としては、具体的には例えば以下の数式1が用いられ得る。
【0084】
[数1] Y = KR×I(R)+KG×I(G)+KB×I(B)
ここに、 Y:輝度(画素値),
I(R):Rチャンネルの画素値,
I(G):Gチャンネルの画素値,
I(B):Bチャンネルの画素値,
R:Rチャンネルの画素値の重み係数,
G:Gチャンネルの画素値の重み係数,
B:Bチャンネルの画素値の重み係数 をそれぞれ表す。
ただし、 KR+KG+KB = 1 である。
【0085】
ここで、本発明の説明における「輝度」には、「明度」の定義に相当するものが含まれ得るものとし、さらに言えば、明暗の程度を階調として表す種々のものが含まれ得るものとする。
【0086】
変換対象のカラー画像の画素毎(別言すると、ピクセル毎)に数式1が適用されて計算が行われ、画素毎に変換処理後の輝度Yの値が算出される。
【0087】
各チャンネルの画素値の重み係数KR,KG,及びKBは、特定の値に限定されるものではないものの、Gチャンネル(即ち、緑チャンネル)の画素値の重み係数KGを他のチャンネルの画素値の重み係数KR,KBよりも大きくすることが好ましい。
【0088】
Rチャンネル(即ち、赤チャンネル)の画素値I(R)の重み係数KRは、具体的には例えば、0.05~0.25程度の範囲のうちの何れかの値に設定されることが考えられ、0.10~0.25程度の範囲のうちの何れかの値に設定されることが好ましく、0.15~0.25程度の範囲のうちの何れかの値に設定されることが更に好ましく、0.20~0.25程度の範囲のうちの何れかの値に設定されることが最も好ましい。
【0089】
Gチャンネル(即ち、緑チャンネル)の画素値I(G)の重み係数KGは、具体的には例えば、0.70~0.95程度の範囲のうちの何れかの値に設定されることが考えられ、0.70~0.85程度の範囲のうちの何れかの値に設定されることが好ましく、0.70~0.80程度の範囲のうちの何れかの値に設定されることが更に好ましく、0.70~0.75程度の範囲のうちの何れかの値に設定されることが最も好ましい。
【0090】
Bチャンネル(即ち、青チャンネル)の画素値I(B)の重み係数KBは、具体的には例えば、0.00~0.10程度の範囲のうちの何れかの値に設定されることが考えられ、0.00~0.05程度の範囲のうちの何れかの値に設定されることが好ましく、0.00に設定されることが最も好ましい。
【0091】
上述のことからも分かるように、本発明においてカラー画像がグレースケール化される際には、Bチャンネルの画素値は使われず、且つ、Rチャンネルの画素値の重み係数KRよりもGチャンネルの画素値の重み係数KGの方が大きい値に設定されることが好ましい。
【0092】
〈方法II〉カラー画像がコントラスト調整される。
この方法では、S1の処理によって取得されたカラー画像に対してコントラスト調整が施される。つまり、カラー画像(本実施形態では具体的には、RGB画像)に対してコントラスト調整が施された画像が生成される。
【0093】
カラー画像に対するコントラスト調整は、具体的には例えば以下の数式2a乃至数式2cが用いられて行われる。
【0094】
[数2a] I(R)' = (I(R)-Imin(B))×D/(IMAX(R)-Imin(B))
[数2b] I(G)' = (I(G)-Imin(B))×D/(IMAX(R)-Imin(B))
[数2c] I(B)' = (I(B)-Imin(B))×D/(IMAX(R)-Imin(B))
ここに、
I(R)':コントラスト調整後のRチャンネルの画素値(但し、I(R)'≧0),
I(G)':コントラスト調整後のGチャンネルの画素値(但し、I(G)'≧0),
I(B)':コントラスト調整後のBチャンネルの画素値(但し、I(B)'≧0),
I(R):コントラスト調整前の(即ち、元の画像での)Rチャンネルの画素値,
I(G):コントラスト調整前の(即ち、元の画像での)Gチャンネルの画素値,
I(B):コントラスト調整前の(即ち、元の画像での)Bチャンネルの画素値,
min(B):元の画像における画素毎のBチャンネルの画素値のうちの最小値,
MAX(R):元の画像における画素毎のRチャンネルの画素値のうちの最大値,
D:元の画像データにおける画素値の階調の値の最大値
をそれぞれ表す。
【0095】
min(B)やIMAX(R)の値は、元の画像における画素毎の画素値のうちの最小値や最大値として機械的に決定されるようにしても良く、或いは、元の画像における画素毎の画素値の出現度合い/分布状況などに基づいて作業者によって手動で決定されるようにしても良く、また或いは、元の画像のうちの特定の範囲(「関心領域(ROI)」とも呼ばれる)における画素毎の画素値のうちの最小値や最大値として機械的に若しくは手動で決定されるようにしても良い。
【0096】
変換対象のカラー画像の画素毎(ピクセル毎)に数式2a乃至数式2cが適用されて計算が行われ、画素毎に変換処理後の画素値I(R)',I(G)',及びI(B)'の値が算出される。
【0097】
元の画像データにおける画素値の階調の値の最大値Dの値は、具体的には例えば、元の画像データにおける画素値の階調が256階調であって0から255までの範囲として設定されている場合には255に設定される。
【0098】
〈方法III〉カラー画像がグレースケール変換されてからコントラスト調整される。
この方法では、S1の処理によって取得されたカラー画像がグレースケール画像へと変換された上でコントラスト調整が施される。つまり、カラー画像(本実施形態では具体的には、RGB画像)に基づいてグレースケール画像が生成された上で当該グレースケール画像に対してコントラスト調整が施された画像が生成される。
【0099】
カラー画像のグレースケール画像への変換方法は、特定の仕法や変換式に限定されるものではなく、既存の若しくは新規の変換の仕方が適宜選択される。
【0100】
カラー画像のグレースケール画像への変換式としては、具体的には例えば上記の〈方法I〉における数式1が用いられ得る。
【0101】
また、グレースケール画像に対するコントラスト調整は、具体的には例えば以下の数式3が用いられて行われる。
【0102】
[数3] Y' = (Y-Ymin)×Dg/(YMAX-Ymin)
ここに、
Y':コントラスト調整後の輝度(画素値),
Y:コントラスト調整前の(即ち、グレースケール変換後の画像での)輝度,
min:グレースケール変換後の画像における画素毎の輝度のうちの最小値,
MAX:グレースケール変換後の画像における画素毎の輝度のうちの最大値,
Dg:グレースケール変換後の画像における輝度(画素値)の階調の値の最大値
をそれぞれ表す。
【0103】
変換対象のカラー画像の画素毎(ピクセル毎)に数式1及び数式3が適用されて計算が行われ、画素毎に変換処理後の輝度Y'の値が算出される。
【0104】
グレースケール変換後の画像における輝度(画素値)の階調の値の最大値Dgの値は、具体的には例えば、グレースケール変換後の画像における輝度(画素値)の階調が256階調であって0から255までの範囲として設定されている場合には255に設定される。
【0105】
〈方法IV〉カラー画像がコントラスト調整されてからグレースケール変換される。
この方法では、S1の処理によって取得されたカラー画像に対してコントラスト調整が施された上でグレースケール画像へと変換される。つまり、カラー画像(本実施形態では具体的には、RGB画像)に対してコントラスト調整が施された画像が生成された上で当該調整後画像に基づいてグレースケール画像が生成される。
【0106】
カラー画像に対するコントラスト調整は、具体的には例えば上記の〈方法II〉における数式2a乃至数式2cが用いられて行われる。
【0107】
コントラスト調整後の画像のグレースケール画像への変換式としては、具体的には例えば以下の数式4が用いられ得る。
【0108】
[数4] Yc = KcR×I(R)'+KcG×I(G)'+KcB×I(B)'
ここに、
Yc:輝度(画素値),
I(R)':コントラスト調整後のRチャンネルの画素値,
I(G)':コントラスト調整後のGチャンネルの画素値,
I(B)':コントラスト調整後のBチャンネルの画素値,
KcR:コントラスト調整後のRチャンネルの画素値の重み係数,
KcG:コントラスト調整後のGチャンネルの画素値の重み係数,
KcB:コントラスト調整後のBチャンネルの画素値の重み係数
をそれぞれ表す。
ただし、 KcR+KcG+KcB = 1 である。
【0109】
変換対象のカラー画像の画素毎(ピクセル毎)に数式2a乃至2c並びに数式4が適用されて計算が行われ、画素毎に変換処理後の輝度Ycの値が算出される。
【0110】
コントラスト調整後の各チャンネルの画素値の重み係数KcR,KcG,及びKcBは、特定の値に限定されるものではないものの、コントラスト調整後のGチャンネル(即ち、緑チャンネル)の画素値の重み係数KcGをコントラスト調整後の他のチャンネルの画素値の重み係数KcR,KcBよりも大きくすることが好ましい。
【0111】
コントラスト調整後のRチャンネル(即ち、赤チャンネル)の画素値I(R)'の重み係数KcRは、具体的には例えば、0.05~0.25程度の範囲のうちの何れかの値に設定されることが考えられ、0.10~0.25程度の範囲のうちの何れかの値に設定されることが好ましく、0.15~0.25程度の範囲のうちの何れかの値に設定されることが更に好ましく、0.20~0.25程度の範囲のうちの何れかの値に設定されることが最も好ましい。
【0112】
コントラスト調整後のGチャンネル(即ち、緑チャンネル)の画素値I(G)'の重み係数KcGは、具体的には例えば、0.70~0.95程度の範囲のうちの何れかの値に設定されることが考えられ、0.70~0.85程度の範囲のうちの何れかの値に設定されることが好ましく、0.70~0.80程度の範囲のうちの何れかの値に設定されることが更に好ましく、0.70~0.75程度の範囲のうちの何れかの値に設定されることが最も好ましい。
【0113】
コントラスト調整後のBチャンネル(即ち、青チャンネル)の画素値I(B)'の重み係数KcBは、具体的には例えば、0.00~0.10程度の範囲のうちの何れかの値に設定されることが考えられ、0.00~0.05程度の範囲のうちの何れかの値に設定されることが好ましく、0.00に設定されることが最も好ましい。
【0114】
上述のことからも分かるように、本発明においてカラー画像がコントラスト調整されてからグレースケール化される際には、コントラスト調整後のBチャンネルの画素値は使われず、且つ、コントラスト調整後のRチャンネルの画素値の重み係数KcRよりもコントラスト調整後のGチャンネルの画素値の重み係数KcGの方が大きい値に設定されることが好ましい。
【0115】
〈方法V〉緑色の単色画像が選択される。
この方法では、S1の処理によって取得されたカラー画像のうちのGチャンネルから出力される画素値のみが用いられる。つまり、カラー画像(本実施形態では具体的には、RGB画像)からGチャンネルの画素値のみが選択されてGチャンネルの単色画像が生成される。
【0116】
本発明におけるカラーチャンネルの一つとしてのGチャンネルから出力される画素値とは、具体的には例えば、分光感度特性としての最大感度波長が500~580 nm 程度の範囲のうちの何れかの値であると共に感度波長範囲が440~640 nm 程度の範囲のうちの何れかの範囲であるセンサから出力される電気信号のことである。なお、本発明におけるGチャンネルに対応する画素値を出力するセンサとしては、最大感度波長が520~540 nm 程度の範囲のうちの何れかの値であるセンサが用いられることが好ましく、最大感度波長が530 nm 程度であるセンサが用いられることが最も好ましい。
【0117】
なお、「Gチャンネル」との表記はあくまでも本実施形態を説明する上での表記であり、「Gチャンネルから出力される画素値」は、一般化すると、最大感度波長や感度波長範囲が上記のように設定されたセンサから出力される画素値のことである。
【0118】
〈方法V〉としては、Gチャンネルから出力された画素値I(G)がそのまま処理後の画素値とされるようにしても良く(即ち、画素値の変換処理の代わりに画素値の選択処理のみが行われる)、或いは、Gチャンネルから出力された画素値I(G)からなるGチャンネルの画像に対してコントラスト調整が施されるようにしても良い(即ち、画素値の選択処理と変換処理とが行われる)。
【0119】
Gチャンネルの画像に対するコントラスト調整は、具体的には例えば以下の数式5が用いられて行われる。
【0120】
[数5] I(G)' = (I(G)-Imin(G))×D/(IMAX(G)-Imin(G))
ここに、
I(G)':コントラスト調整後のGチャンネルの画素値(但し、I(G)'≧0),
I(G):コントラスト調整前の(即ち、元の画像での)Gチャンネルの画素値,
min(G):元の画像における画素毎のGチャンネルの画素値のうちの最小値,
MAX(G):元の画像における画素毎のGチャンネルの画素値のうちの最大値,
D:元の画像データにおける画素値の階調の値の最大値
をそれぞれ表す。
【0121】
min(G)やIMAX(G)の値は、元の画像における画素毎の画素値のうちの最小値や最大値として機械的に決定されるようにしても良く、或いは、元の画像における画素毎の画素値の出現度合い/分布状況などに基づいて作業者によって手動で決定されるようにしても良く、また或いは、元の画像のうちの特定の範囲(関心領域(ROI))における画素毎の画素値のうちの最小値や最大値として機械的に若しくは手動で決定されるようにしても良い。
【0122】
変換対象のGチャンネルの画像の画素毎(ピクセル毎)に数式5が適用されて計算が行われ、画素毎に変換処理後の画素値I(G)'の値が算出される。
【0123】
元の画像データにおける画素値の階調の値の最大値Dの値は、具体的には例えば、元の画像データにおける画素値の階調が256階調であって0から255までの範囲として設定されている場合には255に設定される。
【0124】
本発明者らの知見によると、赤色は発光量が高くS/N比も大きいものの燃焼ガスの影響で見えない時間が多く、一方、緑色は発光量が低くS/N比も低いものの燃焼ガスで見えない時間が短い。このため、S1の処理において取得された画像が動画として撮影されて得られた動画像である場合は緑色の(即ち、Gチャンネルの)単色画像が用いられることによって鮮明な映像・画像が得られる。
【0125】
〈方法VI〉赤色の単色画像が選択される。
この方法では、S1の処理によって取得されたカラー画像のうちのRチャンネルから出力される画素値のみが用いられる。つまり、カラー画像(本実施形態では具体的には、RGB画像)からRチャンネルの画素値のみが選択されてRチャンネルの単色画像が生成される。
【0126】
本発明におけるカラーチャンネルの一つとしてのRチャンネルから出力される画素値とは、具体的には例えば、分光感度特性としての最大感度波長が580~700 nm 程度の範囲のうちの何れかの値であると共に感度波長範囲が550~760 nm 程度の範囲のうちの何れかの範囲であるセンサから出力される電気信号のことである。なお、本発明におけるRチャンネルに対応する画素値を出力するセンサとしては、最大感度波長が640~660 nm 程度の範囲のうちの何れかの値であるセンサが用いられることが好ましく、最大感度波長が650 nm 程度であるセンサが用いられることが最も好ましい。
【0127】
なお、「Rチャンネル」との表記はあくまでも本実施形態を説明する上での表記であり、「Rチャンネルから出力される画素値」は、一般化すると、最大感度波長や感度波長範囲が上記のように設定されたセンサから出力される画素値のことである。
【0128】
〈方法VI〉としては、Rチャンネルから出力された画素値I(R)がそのまま処理後の画素値とされるようにしても良く(即ち、画素値の変換処理の代わりに画素値の選択処理のみが行われる)、或いは、Rチャンネルから出力された画素値I(R)からなるRチャンネルの画像に対してコントラスト調整が施されるようにしても良い(即ち、画素値の選択処理と変換処理とが行われる)。
【0129】
Rチャンネルの画像に対するコントラスト調整は、具体的には例えば以下の数式6が用いられて行われる。
【0130】
[数6] I(R)' = (I(R)-Imin(R))×D/(IMAX(R)-Imin(R))
ここに、
I(R)':コントラスト調整後のRチャンネルの画素値(但し、I(R)'≧0),
I(R):コントラスト調整前の(即ち、元の画像での)Rチャンネルの画素値,
min(R):元の画像における画素毎のRチャンネルの画素値のうちの最小値,
MAX(R):元の画像における画素毎のRチャンネルの画素値のうちの最大値,
D:元の画像データにおける画素値の階調の値の最大値
をそれぞれ表す。
【0131】
min(R)やIMAX(R)の値は、元の画像における画素毎の画素値のうちの最小値や最大値として機械的に決定されるようにしても良く、或いは、元の画像における画素毎の画素値の出現度合い/分布状況などに基づいて作業者によって手動で決定されるようにしても良く、また或いは、元の画像のうちの特定の範囲(関心領域(ROI))における画素毎の画素値のうちの最小値や最大値として機械的に若しくは手動で決定されるようにしても良い。
【0132】
変換対象のRチャンネルの画像の画素毎(ピクセル毎)に数式6が適用されて計算が行われ、画素毎に変換処理後の画素値I(R)'の値が算出される。
【0133】
元の画像データにおける画素値の階調の値の最大値Dの値は、具体的には例えば、元の画像データにおける画素値の階調が256階調であって0から255までの範囲として設定されている場合には255に設定される。
【0134】
本発明者らの知見によると、赤色は発光量が高くS/N比も大きいものの燃焼ガスの影響で見えない時間が多く、一方、緑色は発光量が低くS/N比も低いものの燃焼ガスで見えない時間が短い。このため、S1の処理において取得された画像が静止画として撮影されて得られた静止画像である場合は赤色の(即ち、Rチャンネルの)単色画像が用いられることによって鮮明な画像が得られる。
【0135】
上記の〈方法I〉乃至〈方法VI〉のうちのいずれかの方法によって画像の(言い換えると、各画素値の)変換処理が行われる。
【0136】
そして、変換処理部11aにより、上記の〈方法I〉乃至〈方法VI〉のうちのいずれかの方法によって画像の(言い換えると、各画素値の)変換処理が行われた後、画素位置(x,y)別に、
I)グレースケール変換された結果としての輝度Yの値
II)コントラスト調整された結果としての画素値I(R)',I(G)',及びI(B)'の値
III)グレースケール変換及びコントラスト調整された結果としての輝度Y'の値
IV)コントラスト調整及びグレースケール変換された結果としての輝度Ycの値
V)Gチャンネルの画素値のみが選択された結果としての画素値I(G)の値
又は
Gチャンネルの画素値がコントラスト調整された結果としての画素値I(G)'の値
VI)Rチャンネルの画素値のみが選択された結果としての画素値I(R)の値
又は
Rチャンネルの画素値がコントラスト調整された結果としての画素値I(R)'の値
のうちの少なくとも一つが、画素位置(x,y)と対応づけられて、変換処理後の画素値としてメモリ15に記憶させられる。
【0137】
次に、S2の処理によって変換された画素毎の輝度や画素値が用いられて可視化画像の生成が行われる(S3)。
【0138】
具体的には、制御部11の画像生成部11bにより、S2の処理においてメモリ15に記憶された画素位置(x,y)別の輝度や画素値の値が読み込まれる。
【0139】
そして、画像生成部11bにより、各画素の画素値が画素位置(x、y)別の輝度や画素値である画像が生成され、当該生成された可視化画像が表示部14に表示される。
【0140】
メモリ15に記憶された画素位置(x,y)と対応づけられた輝度や画素値の集合によれば燃焼場(特に、監視対象部位)の画像が生成され、当該生成された画像によって例えば運転中のボイラの炉内において火炎が存在している燃焼場の状態の観察が行われる。
【0141】
以上のように構成された燃焼場の観察方法,燃焼場の観察装置,燃焼場の観察プログラムによれば、燃焼場における燃焼ガスの発光の影響を低減させた画像を得ることができるので、燃焼場における監視対象物を可視観察することが可能になる。
【0142】
なお、上述の実施形態は本発明を実施する際の好適な形態の一例ではあるものの本発明の実施の形態が上述のものに限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において本発明は種々変形実施可能である。
【0143】
例えば、上述の実施形態では撮像手段として複数のカラーチャンネルを備える多色カメラ(具体的に例えばRGBカメラ)が用いられて取得されたカラー画像からGチャンネル画像やRチャンネル画像が抽出されるようにしているが、特定の色画像(言い換えると、波長が特定の範囲である光線に基づく画像)の取得の仕方は上述の実施形態における方法に限定されるものではなく、撮像手段と燃焼場との間に(上述の実施形態では具体的には、撮像手段と監視窓との間に)カラーフィルタやバンドパスフィルタなどの撮像手段へと入射する光線を操作する手段や機序が用いられるようにしても良い。この場合は、撮像手段へと入射される光線の波長が限定されるため、上述の実施形態における〈方法V〉や〈方法VI〉における特定のカラーチャンネルの画素値の選択処理が行われることなく、そのまま画像が生成されたり、コントラスト調整が施された上で画像が生成されたりするようにしても良い。
【0144】
上記の場合、特に、上述の実施形態におけるGチャンネルに対応する波長の光線を撮像手段へと入射させるように波長が440~640 nm 程度の範囲の、好ましくは480~600 nm 程度の範囲の光線を選択・抽出したり強調したりする操作を行う手段や機序が用いられたり、或いは、上述の実施形態におけるRチャンネルに対応する波長の光線を撮像手段へと入射させるように波長が550~760 nm 程度の範囲の、好ましくは590~720 nm 程度の範囲の光線を選択・抽出したり強調したりする操作を行う手段や機序が用いられたり、さらに或いは、上述の実施形態におけるGチャンネル及びRチャンネルの最大感度波長を含む光線を撮像手段へと入射させるように波長が480~720 nm 程度の範囲の光線を選択・抽出したり強調したりする操作を行う手段や機序が用いられたりする。上記の場合は、また、撮像手段としてモノクロカメラが用いられるようにしても良い。
【0145】
また、上述の実施形態では撮像手段として複数のカラーチャンネルを備える多色カメラ(具体的に例えばRGBカメラ)が用いられるようにしているが、本発明における撮像手段は多色カメラ(RGBカメラ)に限られるものではなく、所定の光学的特性/分光感度特性を備える単色カメラが用いられるようにしても良い。
【0146】
また、上述の実施形態では燃焼場の観察プログラム17がコンピュータ10に予めインストールされているようにしているが、燃焼場の観察プログラム17がコンピュータ読み取り可能な記録媒体に格納されて提供されるようにしても良い。
【実施例1】
【0147】
本発明に係る燃焼場の観察方法の妥当性を検証した実施例を図4及び図5を用いて説明する。
【0148】
本実施例では、微粉炭焚きボイラの火炉(具体的には、炉壁)に設けられている監視窓からみてバーナ火炎(言い換えると、燃焼ガス)を挟んだ火炉内の火炉出口吊り下げ過熱器を観察目標(即ち、監視対象部位)とし、前記監視窓から、運転中のボイラの火炉内における燃焼場の撮影が行われた。
【0149】
本実施例では、また、可視光(言い換えると、概ね可視光の範囲の光の波長)が検出可能であるデジタルカラービデオカメラが撮像手段として用いられ、動画撮影によって取得された動画像からフレーム切り出しが行われた結果としての個々のフレーム画像のデータが画像データ{x,y,I(R),I(G),I(B)}として用いられた。
【0150】
動画像からのフレーム切り出しによって得られた画像データの一例(具体的には、画像として構成したもの)として図4に示す画像が得られた。
【0151】
図4に示す画像から、当該画像では、バーナ火炎(燃焼ガス)の発光が障害となり、バーナ火炎(燃焼ガス)を挟んだ炉内の火炉出口吊り下げ過熱器の可視観察は不可能であることが確認された。
【0152】
次に、カラー画像がグレースケール画像へと変換された上でコントラスト調整が施され(即ち、上述の実施形態における〈方法III〉)、そして、各画素の画素値が画素位置(x,y)別のグレースケール変換及びコントラスト調整された結果としての輝度Y'の値である画像(即ち、可視化画像)が生成され、図5に示す可視化画像が得られた。
【0153】
図5に示す可視化画像から、当該画像では、バーナ火炎(燃焼ガス)の発光の影響が低減され、バーナ火炎(燃焼ガス)を挟んだ過熱器の輪郭(図中の白矢印で指し示す部位など)確認することができる程度まで可視化の程度が向上することが確認された。
【0154】
以上の結果から、本発明によれば、燃焼場における燃焼ガスの発光の影響を低減して燃焼ガスを挟んだ炉内構造物等の状態の観察が可能であることが確認された。
【産業上の利用可能性】
【0155】
本発明に係る燃焼場の観察方法,燃焼場の観察装置,及び燃焼場の観察プログラムは、燃焼場における火炎(燃焼ガス)の光学像を除去して火炎の存在に影響されること無く燃焼場の状況を可視化することができるので、あくまで一例として挙げると、燃焼場の状況把握が非常に重要であるボイラが組み込まれた微粉炭燃焼システムを運用する火力発電などの分野で利用価値が高い。
【符号の説明】
【0156】
10 コンピュータ/燃焼場の観察装置
11 制御部
11a 変換処理部
11b 画像生成部
12 記憶部
13 入力部
14 表示部
15 メモリ
17 燃焼場の観察プログラム
20 データサーバ
図1
図2
図3
図4
図5