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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-15
(45)【発行日】2023-12-25
(54)【発明の名称】清掃用シート
(51)【国際特許分類】
   A47L 13/16 20060101AFI20231218BHJP
   A47L 13/20 20060101ALI20231218BHJP
【FI】
A47L13/16 A
A47L13/20 B
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2020002984
(22)【出願日】2020-01-10
(65)【公開番号】P2021108968
(43)【公開日】2021-08-02
【審査請求日】2022-11-11
(73)【特許権者】
【識別番号】000115108
【氏名又は名称】ユニ・チャーム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【弁理士】
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100139022
【弁理士】
【氏名又は名称】小野田 浩之
(74)【代理人】
【識別番号】100192463
【弁理士】
【氏名又は名称】奥野 剛規
(74)【代理人】
【識別番号】100169328
【弁理士】
【氏名又は名称】藤本 健治
(72)【発明者】
【氏名】眞鍋 優佳
(72)【発明者】
【氏名】須田 朋和
【審査官】村山 達也
(56)【参考文献】
【文献】特開平05-154078(JP,A)
【文献】特開2018-089124(JP,A)
【文献】特開2019-208949(JP,A)
【文献】特開平11-290253(JP,A)
【文献】登録実用新案第3213832(JP,U)
【文献】特開2000-060788(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A47L 13/16
A47L 13/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
清掃対象に当接される清掃領域と前記清掃対象に当接されない非清掃領域とを有する使い捨ての清掃用シートであって、
前記非清掃領域の領域内に位置し、マンセル表色系による明度が4.5~9.0の範囲内の色を有する第1色部と、
前記清掃領域の領域内に位置し、前記第1色部の色と異なる色を有する第2色部と、
を含み、
前記第2色部の色は、マンセル表色系における明度が前記第1色部の色よりも高いことを特徴とする、前記清掃用シート。
【請求項2】
前記第1色部と前記第2色部の境界が非直線状であることを特徴とする、請求項1に記載の清掃用シート。
【請求項3】
前記第1色部は、前記清掃領域の領域内において、前記清掃領域の周縁部の少なくとも一部、前記清掃領域の中央部又は前記清掃領域の複数箇所に位置していることを特徴とする、請求項1又は2に記載の清掃用シート。
【請求項4】
前記第2色部は、前記清掃領域の中央部に位置し、
前記第1色部は、前記第2色部を少なくとも挟むように前記清掃領域の周縁部に位置していることを特徴とする、請求項1~のいずれか一項に記載の清掃用シート。
【請求項5】
前記清掃用シートは、厚さ方向の上方側から見た平面視にて、前記第1色部及び前記第2色部の各々が視認可能であることを特徴とする、請求項1~のいずれか一項に記載の清掃用シート。
【請求項6】
前記清掃用シートは、厚さ方向の下方側から見た平面視にて、前記第1色部及び前記第2色部の各々が視認可能であることを特徴とする、請求項1~のいずれか一項に記載の清掃用シート。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、清掃対象の埃やごみを拭き取るための使い捨ての清掃用シートに関する。
【背景技術】
【0002】
屋内の床や家具、家電などを清掃するための清掃具として、繊維集合体により構成された使い捨てタイプの清掃用シートが知られている。
そして、近年では種々の清掃用シートが提案されており、例えば、特許文献1には、清掃対象に当接される清掃領域を有するシート状の清掃具であって、前記清掃領域は、第1繊維体が配置された第1領域と、第2繊維体が配置された第2領域と、を有し、前記第1領域と前記第2領域のそれぞれは、前記清掃領域の長手方向及び前記長手方向と直交する直交方向において間隔を空けて複数に配置されており、前記第1繊維体と前記第2繊維体の色差ΔEが49.0以上である、シート状の清掃具が開示されている。
この特許文献1のシート状の清掃具によれば、色合いの異なる塵芥に対して識別性を発揮し、その捕集状況を把握しやすくすることができるとされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2019-51130号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
一般に、このような使い捨ての清掃用シートは、屋内の床や家具、家電などの清掃対象を拭き取ることで、埃やごみを繊維集合体内に保持し、そのまま次回以降の清掃にも繰り返し使用される。このようにして繰り返し使用される清掃用シートは、その使い終わりの時期、すなわち新しい清掃用シートへの取替え時期が判りにくいという問題があった。
【0005】
上記の特許文献1には、第1繊維体と第2繊維体の色の組み合わせとして、白基調の繊維体と、黒基調の繊維体が例示され、白基調の繊維体によって黒色の塵芥に対する識別性を発揮でき、黒色の繊維体によって白色及び灰色の塵芥に対する識別性を発揮し得るとされているが、このような色合いの異なる塵芥に対して識別性を発揮し得たとしても、清掃用シートの取替え時期を判断する指標にはならず、依然として取替え時期が判りにくいという問題があった。
【0006】
そこで、本発明は、取替え時期が判りやすい使い捨ての清掃用シートを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一態様(態様1)は、清掃対象に当接される清掃領域を有する使い捨ての清掃用シートであって、
マンセル表色系による明度が4.5~9.0の範囲内の色を有する第1色部と、
前記清掃領域の領域内に位置し、前記第1色部の色と異なる色を有する第2色部と、
を含むことを特徴とする、前記清掃用シートである。
【0008】
本態様の清掃用シートは、マンセル表色系による明度が4.5~9.0の範囲内の色(すなわち、清掃用シートを繰り返し使用したときに埃やごみによって変色する実際の色に近い色。以下、このような色を「埃色」と称することがある。)を有する第1色部と、清掃領域の領域内に位置し、上記第1色部の色と異なる色を有する第2色部とを含んでいることで、清掃用シートが繰り返し使用されたときに、清掃領域内の第2色部が埃やごみによって埃色(すなわち、第1色部と同様の色)に変色することにより、清掃領域が全体的に埃色となるため、使用者が清掃用シートの取替え時期として容易に認識することができる。
【0009】
なお、上述の特許文献1には、清掃用シートを構成する第1繊維体及び第2繊維体として、白基調の繊維体及び黒基調(白色基準板に対するΔLが54.0以上)の繊維体が例示されているが、この特許文献1の黒基調の色は、清掃用シートを繰り返し使用したときに埃やごみによって変色する実際の色よりも明度が低いこと(すなわち、より黒いこと)によって、白色及び灰色の塵芥に対する識別性を発揮するものである。したがって、仮にこのような黒基調の色を取替え時期の判断の指標にしてしまうと、清掃領域が全体的に上記黒基調の色に変色するまで使用することとなり、清掃用シートの取替え時期としては遅過ぎる結果となるが、本態様の清掃用シートは、上記のとおり、清掃領域がこのような黒基調の色になる前の埃色の段階で取替え時期を認識することができる。
【0010】
また、本発明の別の態様(態様2)では、上記態様1の清掃用シートにおいて、前記第1色部と前記第2色部の境界が非直線状であることを特徴とする。
【0011】
本態様の清掃用シートは、第1色部と第2色部の境界が非直線状であるので、清掃用シートが繰り返し使用されて、清掃領域内の第2色部が変色したときに、第1色部と第2色部の境界が使用者に認識されにくく、汚れた箇所が自然に広がっているように認識させることができる。これにより、本態様の清掃用シートは、埃やごみによる汚れによって清掃領域が全体的に埃色になっているものと使用者に自然に認識させることができる(すなわち、使用者に清掃用シートの取替え時期を自然に認識させることができる)。
【0012】
本発明の更に別の態様(態様3)では、上記態様1又は2の清掃用シートにおいて、前記第2色部の色は、マンセル表色系における明度が前記第1色部の色よりも高いことを特徴とする。
【0013】
本態様の清掃用シートは、第2色部の色が埃色(第1色部の色)よりも高い明度を有しているため、清掃用シートが繰り返し使用されたときに、清掃領域内の第2色部が変色した明度の低い色(すなわち、埃やごみによって汚れたときの色)をより明確に認識することができる。
したがって、本態様の清掃用シートは、使用者が清掃用シートの取替え時期をより的確且つ容易に認識することができる。
【0014】
本発明の更に別の態様(態様4)では、上記態様1~3のいずれかの清掃用シートにおいて、前記第1色部は、前記清掃領域の領域内において、前記清掃領域の周縁部の少なくとも一部、前記清掃領域の中央部又は前記清掃領域の複数箇所に位置していることを特徴とする。
【0015】
本態様の清掃用シートは、第1色部が清掃領域の領域内の特定箇所に位置しているので、当該第1色部も埃やごみを捕集する清掃領域の一部として機能しつつ、清掃領域内の第2色部の色を第1色部の埃色と容易に比較することができる。
【0016】
本発明の更に別の態様(態様5)では、上記態様1~4のいずれかの清掃用シートにおいて、前記第2色部は、前記清掃領域の中央部に位置し、前記第1色部は、前記第2色部を少なくとも挟むように前記清掃領域の周縁部に位置していることを特徴とする。
【0017】
本態様の清掃用シートは、第2色部が清掃領域において埃やごみによる汚れが最も付着しやすい中央部に位置し、且つ、第1色部が第2色部を少なくとも挟むように清掃領域の周縁部に位置しているので、清掃領域内の第2色部の色をより容易且つ的確に第1色部の埃色と比較することができる。
【0018】
本発明の更に別の態様(態様6)では、上記態様1~5のいずれかの清掃用シートにおいて、前記清掃用シートは、清掃対象に当接されない非清掃領域を更に有し、前記第1色部は、前記非清掃領域の領域内に位置していることを特徴とする。
【0019】
本態様の清掃用シートは、第1色部が非清掃領域の領域内に位置していることで、清掃用シートの使用時に、埃やごみによる汚れが第1色部に付着しにくく、清掃用シートの取替え時期の指標となる第1色部の埃色を維持しやすくなっている。
したがって、本態様の清掃用シートは、使用者が清掃用シートの取替え時期をより的確且つ容易に認識することができる。
また、第1色部が非清掃領域の領域内のみに位置している場合は、清掃領域全体を第2色部によって形成するなど、第2色部をより広く形成することができるため、清掃用シートの使用回数を増大させることができ、清掃用シートをより長期間にわたって使用することができるという利点もある。
【0020】
本発明の更に別の態様(態様7)では、上記態様1~6のいずれかの清掃用シートにおいて、前記清掃用シートは、厚さ方向の上方側から見た平面視にて、前記第1色部及び前記第2色部の各々が視認可能であることを特徴とする。
【0021】
本態様の清掃用シートは、上方側から見て第1色部及び第2色部の各々が視認できるように構成されているので、使用者が清掃しながら、第2色部の色と第1色部の埃色を比較することができ、清掃用シートの取替え時期をより早期且つ容易に認識することができる。
【0022】
本発明の更に別の態様(態様8)では、上記態様1~7のいずれかの清掃用シートにおいて、前記清掃用シートは、厚さ方向の下方側から見た平面視にて、前記第1色部及び前記第2色部の各々が視認可能であることを特徴とする。
【0023】
本態様の清掃用シートは、使用者が清掃後に清掃用シートの下方側(清掃領域側)を見たときに、第1色部及び第2色部の両方を同時に視認することができるので、両者の色をより容易に比較することができる。
【発明の効果】
【0024】
本発明の清掃用シートは、使用者が清掃用シートの取替え時期を容易に認識することができる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
図1図1は、本発明の第1実施形態に係る清掃用シート1の斜視図である。
図2図2は、清掃用シート1を、清掃領域Aが位置する下方側Tから厚さ方向Tに見た平面図である。
図3図3は、清掃用シート1の使用態様を説明するための斜視図である。
図4図4は、清掃用シート1が繰り返し使用された後の状態を示す、図2に対応する平面図である。
図5図5は、本発明の第2実施形態に係る清掃用シート1Aの、図2に対応する平面図である。
図6図6は、本発明の第3実施形態に係る清掃用シート1Bの、図2に対応する平面図である。
図7図7は、本発明の第4実施形態に係る清掃用シート1Cの、図2に対応する平面図である。
図8図8は、本発明の第5実施形態に係る清掃用シート1Dを、非清掃領域Aが位置する上方側Tから厚さ方向Tに見た平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、本発明の清掃用シートの好適な実施形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。
【0027】
本明細書においては、清掃用シートの厚さ方向において、当該清掃用シートを使用するときに清掃対象に当接する清掃領域に対して相対的に近位側を下方側と称し、その反対側(すなわち、清掃領域に対して相対的に遠位側)を上方側と称する。なお、これら上方側及び下方側は便宜上の呼称であるため、例えば、清掃用シートの両面を清掃領域として使用し得るもの(すなわち、両面タイプの清掃用シート)である場合は、当該清掃用シートを使用するときに清掃対象に当接する面側(当接面側)が下方側となり、その反対側が上方側となる。
また、本明細書においては、平面視にて清掃用シートの長手方向に延びる幅方向中心線を含むように、清掃用シートの長手方向に延在し、且つ、清掃用シートの幅方向長さ(全長)の1/3の幅方向長さを有する領域を、清掃用シートの中央部又は清掃領域の中央部と称する。
【0028】
<第1実施形態>
本発明の第1実施形態に係る使い捨ての清掃用シート1は、屋内の床や家具、家電などの清掃対象を拭き取ることにより、清掃対象の表面上の埃やごみを後述する繊維集合体2に保持して、清掃対象の表面を清浄にする機能を備えたシート状の繊維構造体である。
【0029】
清掃用シート1は、図1及び図2に示すように、平面視にて長手方向L及び幅方向Wを有する略長方形の外形形状を有している。
なお、本発明において、清掃用シートの外形形状はこのような態様のものに限定されず、清掃用シートとして用い得るものであれば各種用途や使用態様等に応じた任意の外形形状(例えば、楕円形、円形、正方形、六角形、瓢箪形など)を採用することができる。
【0030】
また、上述の第1実施形態の清掃用シート1は、図1及び図2に示すように、厚さ方向Tにおいて、清掃用シート1の下方側Tに位置する領域であって清掃対象に当接される清掃領域Aを形成する繊維集合体2と、清掃用シート1の上方側Tに位置する領域であって清掃対象に当接されない非清掃領域Aを形成する基材シート3と、当該基材シート3の上方側Tに位置し、当該基材シート3と共に後述する保持具8の挿入部41を形成する上面シート4と、を主な構成部材として備えている。
【0031】
清掃用シート1を構成する繊維集合体2、基材シート3及び上面シート4は、この順で厚さ方向Tに積層され、長手方向Lに延びる幅方向中心線に沿った直線状の接合部5によって一体的に接合されている。
なお、清掃用シート1は、このような直線状の接合部5のほかに、図1に示すような少なくとも上面シート4及び基材シート3を(場合によっては、繊維集合体2の一部も)接合して、後述する保持具8の挿入部41を形成する2対のL字形の接合部51を有している。
【0032】
さらに、この清掃用シート1においては、繊維集合体2は、図1及び図2に示すように、後述する埃色を有する複数の繊維束23と、埃色以外の任意の色(すなわち、埃色と異なる色。以下、このような色を「非埃色」と称することがある。)を有する複数の繊維束21と、これらの繊維束に対して相対的に下方側Tに位置する複数の短冊シート22と、によって構成されている。
【0033】
なお、複数の短冊シート22は、1枚の不織布の幅方向Wの両端縁からそれぞれ幅方向Wの中央に向かってジグザク状に切り込まれた、長手方向Lに並ぶ複数の短冊片によって形成されており、上述の繊維集合体2は、この複数の短冊片(すなわち、複数の短冊シート22)が形成された不織布と、非埃色を有する複数の繊維束21と、埃色を有する複数の繊維束23と、非埃色を有する複数の繊維束21と、埃色を有する複数の繊維束23と、をこの順で厚さ方向Tに重ね合わせて積層し(すなわち、短冊シート22/非埃色を有する複数の繊維束21/埃色を有する複数の繊維束23/非埃色を有する複数の繊維束21/埃色を有する複数の繊維束23の積層構造を形成し)、後述する直線状の接合部5及びL字形の接合部51によって厚さ方向Tに接合した後、得られた繊維積層体を任意の開繊手段(例えば、人為的な手段やエアブロー手段等)を用いて立体的に起毛させることによって形成されている。
なお、この繊維集合体2の短冊シート22とは反対側の部分には、上述の積層の際に基材シート3及び上面シート4が配置され、直線状の接合部5及びL字形の接合部51によって上記の各繊維束及び短冊シートと共に一体的に接合されている。
【0034】
埃色を有する繊維束23は、マンセル表色系による明度が4.5~9.0の範囲内となる埃色を有する複数の繊維(好ましくは長繊維)が束状に集合した繊維の集合体であり、このような埃色を有すること以外は、一般にトウ(tow)と呼ばれる繊維の集合体によって形成されている。なお、トウは、多数のフィラメントから構成される長繊維束であり、撚りがなく、紡糸された糸を多数集めて所定の長さに切断することにより形成された、繊維の集合体である。
【0035】
このような埃色を有する繊維束23は、後述するように清掃用シート1の第1色部6を構成するものである。
【0036】
埃色を有する繊維束23を構成する繊維は、埃色を有するものであれば特に限定されず、例えば、染料や顔料等により埃色に着色された合成繊維などを用いることができ、具体的には、埃色を呈する染料や顔料等を合成樹脂中に分散させて紡糸した合成繊維や、埃色を呈する染料や顔料等を表面に付着させた合成繊維などを用いることができる。
【0037】
さらに、合成繊維としては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ナイロン、ポリエステル(例えば、ポリエチレンテレフタレート等)、レーヨンなどの合成樹脂からなる繊維を用いることができ、かかる合成繊維は熱融着性を有していることが好ましい。
【0038】
また、合成繊維は、単一の繊維状構造を有する繊維であっても、芯部及び鞘部を有する芯鞘型複合繊維やサイド・バイ・サイド型複合繊維などの複合繊維であってもよい。例えば、芯鞘型複合繊維としては、芯部がポリエチレンテレフタレートで、鞘部がポリエチレン又はポリプロピレンの複合繊維、芯部がポリプロピレンで、鞘部がポリエチレンの複合繊維などが挙げられる。
また、これらの芯鞘型複合繊維を用いる場合は、繊維として埃色を呈するものであれば、芯部の樹脂が染料や顔料等によって埃色に着色されていても、鞘部の樹脂が染料や顔料等によって埃色に着色されていても、芯部及び鞘部の両方の樹脂が染料や顔料等によって埃色に着色されていてもよい。
【0039】
なお、埃色を有する繊維束23を構成する繊維の繊度は特に制限されず、例えば1~50dtexの範囲内の繊度が挙げられ、好ましくは2~10dtexの範囲内の繊度である。
【0040】
また、埃色を有する繊維束23を構成する繊維は、機械的処理や熱的処理によって捲縮させたものであってもよい。
【0041】
一方、非埃色を有する繊維束21は、埃色と異なる色を有すること以外は、上述の埃色を有する繊維束23と同様の繊維束を用いることができる。したがって、非埃色を有する繊維束21を構成する繊維は、非埃色を有するものであれば特に限定されず、例えば、染料や顔料等により非埃色に着色された合成繊維、具体的には、非埃色を呈する染料や顔料等を合成樹脂中に分散させて紡糸した合成繊維や非埃色を呈する染料や顔料等を表面に付着させた合成繊維、更には、染料や顔料等により着色されていない無着色の合成繊維などを用いることができる。なお、合成樹脂については、上記埃色を有する繊維束23を構成する繊維と同様である。
【0042】
このような非埃色を有する繊維束21は、後述するように、短冊シート22と共に清掃用シート1の第2色部7を構成するものである。
【0043】
また、これらの繊維束、すなわち埃色を有する繊維束23及び非埃色を有する繊維束21は、流動パラフィンなどの吸塵性を有する処理剤が付与されていてもよく、帯電防止処理や親水化処理などの任意の処理が施されていてもよい。
【0044】
複数の短冊シート22は、上述のとおり、1枚の不織布の幅方向Wの両端縁からそれぞれ幅方向Wの中央に向かってジグザク状に切り込まれた、長手方向Lに並ぶ複数の短冊片によって形成されている。この短冊シート22を構成する不織布は、特に限定されず、清掃対象の表面形状に追従して変形し得る所定の柔軟性と、埃やごみを拭き取る際に破断しにくい所定の剛性とを考慮した任意の不織布を採用することができ、例えば、エアスルー不織布やスパンボンド不織布、ポイントボンド不織布、スパンレース不織布などを用いることができる。かかる不織布は、上述の芯鞘型複合繊維などの熱融着性繊維を含むものが好ましい。
【0045】
なお、短冊シート22の形状に関しては、特に限定されず、埃やごみの捕捉性を考慮した任意の形状(例えば、上述のジクザグ状のほか、直線状、曲線状など)を採用することができる。
【0046】
また、上述の清掃用シート1において短冊シート22は、埃色とは異なる色(非埃色)を有しており、後述するように、非埃色を有する繊維束21と共に清掃用シート1の第2色部7を構成するものである。
なお、短冊シート22の色は、上述の非埃色を有する繊維束21と同じ種類の非埃色を有していても、異なる種類の非埃色を有していてもよい。
【0047】
このような非埃色を有する短冊シート22としては、非埃色を有するものであれば特に限定されないが、例えば、上述の非埃色を有する繊維束21を構成する繊維と同様の非埃色に着色された合成繊維あるいは無着色の合成繊維を用いて形成された不織布;表面に非埃色を呈する染料や顔料等を付着させてなる不織布などを用いることができる。
【0048】
なお、本発明の清掃用シートにおいては、当該清掃用シートが上述のような各種繊維束や短冊シート、これらを含む繊維集合体を備えることは、必須の構成要件でないため、例えば清掃用シートが不織布や織布、編布などの繊維シート(繊維シートを短冊状に切断した複数の繊維シート片からなるものを含む。)のみから構成される場合などにおいては、後述する第1色部及び第2色部を有する限り、上述のような各種繊維束や短冊シート、これらを含む繊維集合体を備えていなくてもよい。
【0049】
また、上述の第1実施形態に係る清掃用シート1において、非清掃領域Aを形成する基材シート3は、平面視にて清掃用シート1と同様の長方形の外形形状を有している。
なお、本発明において、基材シートの外形形状はこのような態様のものに限定されず、清掃用シートの基材シートとして用い得るものであれば各種用途や使用態様等に応じた任意の外形形状(例えば、楕円形、円形、正方形、六角形、瓢箪形など)を採用することができる。
【0050】
また、上述の清掃用シート1においては、基材シート3は、短冊シート22と同様に、不織布によって形成されており、かかる不織布は、幅方向Wの両端縁からそれぞれ幅方向Wの中央に向かってジグザク状に切り込まれた、長手方向Lに並ぶ複数の短冊片を有している。なお、このような短冊片を有することは必須の構成要件ではないため、基材シート3は、このような切込みのない1枚又は2枚以上の不織布によって形成されていてもよい。
【0051】
基材シート3を形成する不織布は、特に限定されず、清掃対象の表面形状に追従して変形し得る所定の柔軟性と、埃やごみを拭き取る際に破断しにくい所定の剛性とを考慮した任意の不織布を採用することができ、例えば、上記短冊シート22と同様の不織布を用いることができる。かかる不織布も、上述の芯鞘型複合繊維などの熱融着性繊維を含むものが好ましい。
【0052】
なお、基材シート3は、不織布によって形成されていなくてもよく、例えば、ネット状シート、フィルム、紙又はこれらを組み合わせて形成した複合シートによって形成されていてもよい。
【0053】
また、上述の清掃用シート1において、基材シート3と共に保持具8の挿入部41を形成する上面シート4は、平面視にて基材シート3よりも小さいサイズの長方形状の外形形状を有している。
なお、本発明において、上面シートの外形形状はこのような態様のものに限定されず、上述の基材シートよりも小さいサイズを有し且つ清掃用シートの上面シートとして用い得るものであれば、保持具の挿入のしやすさ等を考慮した任意の外形形状(例えば、楕円形、円形、正方形、六角形、瓢箪形など)を採用することができる。
【0054】
また、上述の清掃用シート1においては、上面シート4は、短冊シート22や基材シート3と同様の不織布によって形成されている。上面シート4を形成する不織布は、特に限定されず、保持具8を挿入する際に保持具8の先端部の形状に追従して変形し得る所定の柔軟性と、保持具8を挿入部41に挿入した状態で清掃対象を拭き取る際に破断等の生じにくい所定の剛性とを考慮した任意の不織布を採用することができ、例えば、短冊シート22や基材シート3と同様の不織布を用いることができる。かかる不織布も、上述の芯鞘型複合繊維などの熱融着性繊維を含むものが好ましい。
【0055】
なお、上面シート4は、不織布によって形成されていなくてもよく、例えば、ネット状シート、フィルム、紙又はこれらを組み合わせて形成した複合シートによって形成されていてもよい。
【0056】
そもそも本発明の清掃用シートにおいて、上述のような基材シートや上面シートを備えることは必須の構成要件ではないため、清掃用シートの形態等によっては、このような基材シートや上面シートを備えていなくてもよい。
【0057】
なお、上述の清掃用シート1においては、繊維集合体2、基材シート3及び上面シート4がこの順で厚さ方向Tに積層され、図1に示すような長手方向Lに延びる幅方向中心線に沿った直線状の接合部5によって一体的に接合されている。
さらに、清掃用シート1は、図1に示すように、上面シート4の長手方向Lの両端部側において、長手方向Lに延びる幅方向中心線に対して対象となるように配置された2対の(合計4個の)L字形の接合部51によって、少なくとも上面シート4及び基材シート3(場合によっては、繊維集合体2の一部も)が一体的に接合されて、後述する保持具8の挿入部41が形成されている。
【0058】
これらの直線状の接合部5及びL字形の接合部51の形成手段は、ヒートシール法や超音波シール法等の熱融着法であるが、これに限定されず、ホットメルト型接着剤等による接着法などを用いてもよい。さらに、これら接合部の形状も特に限定されず、例えば、1本又は複数本の、直線状、曲線状、波線状、ジグザグ線状、破線状、点線状等の各種線状の形状で形成しても、1個又は複数個の、円形や楕円形、四角形、星形等の幾何学的形状で形成してもよい。
また、図1に示す清掃用シート1のように、長手方向Lに並ぶ、2個のL字形の接合部51と、これら接合部51の間に位置する2個の接合部とが、連続線になっていない場合は、繊維集合体の長さ(接合部からの先端側の自由端の長さ)が一様でなくなるので、第1色部6と第2色部7の境界が非直線状になりやすくなる。
【0059】
なお、上述の清掃用シート1は、使用者が手で掴む把持部と、当該把持部とは反対側に位置し且つ清掃用シート1の挿入部41に挿入されて清掃用シート1を保持する先端部と、を備えた樹脂製(例えば、ポリプロピレン製など)の保持具8を用いて、図3に示すように、当該保持具8の先端部を清掃用シート1の挿入部41に挿入した状態で、清掃対象の表面の拭き取り掃除等に使用される。なお、保持具8の種類は特に限定されず、図3に示すようなハンディ用のものであっても、フローリング用のものであってもよい。
【0060】
以上のように構成される第1実施形態の清掃用シート1は、図1及び図2に示すように、上述の埃色を有する繊維束23によって構成される、マンセル表色系による明度が4.5~9.0の範囲内の色(すなわち、埃色)を有する第1色部6と;上述の非埃色を有する繊維束21及び短冊シート22によって構成される、清掃領域Aの領域内に位置し且つ上記第1色部6の色と異なる色(すなわち、非埃色)を有する第2色部7と;を含むように構成されている。
【0061】
清掃用シート1は、このような埃色を有する第1色部6と、清掃領域Aの領域内に位置し且つ上記第1色部6の色と異なる色を有する第2色部7とを含むように構成されていることで、清掃用シート1が繰り返し使用されたときに、清掃領域A内の第2色部7が埃やごみなどの汚れによって埃色(すなわち、第1色部6と同様の色)に変色し、図4に示すように清掃領域Aが全体的に埃色となるため、使用者が清掃用シート1の取替え時期として容易に認識することができる。
【0062】
なお、第1色部6の色は、マンセル表色系による明度が4.5~9.0の範囲内の色(すなわち、埃色)であれば特に限定されないが、清掃用シートを繰り返し使用したときに埃やごみなどの汚れによって変色する実際の色により近くなる点から、マンセル表色系による明度は、好ましくは5.0~8.0の範囲内であり、より好ましくは6.0~8.0の範囲内であり、さらに、このような明度の範囲に加えて、マンセル表色系における彩度が、0~2.0の範囲内となる色がより好ましく、彩度が0~1.5の範囲内となる色が更に好ましく、彩度が0、すなわち無彩色の色が特に好ましい。なお、マンセル表色系による明度が4.5~9.0の範囲内の無彩色の色は、N4.5~N9.0のマンセル値(「N」は無彩色を表し、それに併記される「4.5~9.0」の数値は明度を表す)となり、白寄りの灰色となる。
【0063】
このようなマンセル表色系における明度や彩度は、色見本と比較して目視で判定する視感測色法によって測定することができる。具体的には、例えば日本色研事業株式会社発行のマンセルシステム色彩の定規拡充版を用いて、視覚的に等間隔の数値スケールのマンセル記号(色見本)と測定対象物(例えば、清掃用シート、繊維集合体(繊維束、短冊シートを含む)、基材シート等)の色(色相、明度及び彩度)とを比較しながら視感で判定することができる。
【0064】
また、上述の清掃用シート1においては、図2に示すように、第1色部6と第2色部7の境界が非直線状に形成されている。
第1色部6と第2色部7の境界がこのように非直線状に形成されていると、清掃用シート1が繰り返し使用されて、清掃領域A内の第2色部7が変色したときに、第1色部6と第2色部7の境界が使用者に認識されにくく、汚れた箇所が自然に広がっているように認識させることができるので、清掃用シート1は、埃やごみによる汚れによって清掃領域Aが全体的に埃色になっているものと使用者に自然に認識させることができる、すなわち、使用者に清掃用シート1の取替え時期を自然に認識させることができる。
【0065】
なお、清掃用シート1においては、上述の繊維集合体2が、複数の短冊片(すなわち、複数の短冊シート22)が形成された不織布と、非埃色を有する複数の繊維束21と、埃色を有する複数の繊維束23と、非埃色を有する複数の繊維束21と、埃色を有する複数の繊維束23と、をこの順で厚さ方向Tに積層して、当該積層体を任意の開繊手段を用いて立体的に起毛させることによって形成されていることで、上述の第1色部6と第2色部7の境界が非直線状に形成されている。
本発明において、第1色部と第2色部の境界を非直線状に形成する手段は、このような手段に限定されず、例えば、非埃色(無着色を含む)の繊維束及び短冊シートを用いて繊維集合体を形成した後に、第1色部と第2色部の境界が非直線状となるように、上記繊維集合体の一部を埃色に着色してもよい。
【0066】
また、本明細書において「非直線状」とは、単に直線状でないことを意味し、例えば、上述の清掃用シート1のように直線状でない不定形状のものであっても、曲線状、ジグザグ線状などであってもよい。
【0067】
また、本発明の清掃用シートにおいては、第2色部の色は、第1色部の色(埃色)と異なる色(非埃色)であれば特に限定されないが、当該第2色部の色は、マンセル表色系における明度が第1色部の色よりも高いことが好ましい。
第2色部の色が第1色部の色(埃色)よりも高い明度を有していると、清掃用シートが繰り返し使用されたときに、清掃領域内の第2色部が変色した明度の低い色(すなわち、埃やごみによって汚れたときの色)をより明確に認識することができるため、使用者が清掃用シートの取替え時期をより的確且つ容易に認識することができる。
【0068】
また、上述の清掃用シート1においては、第1色部6は、図2に示すように、清掃領域Aの幅方向Wの両端部において長手方向Lに延在するように配置されており、また、第2色部7は、図2に示すように、清掃領域Aの中央部において上記清掃領域Aの幅方向Wの両端部に位置する第1色部6に挟まれるように配置されている。
【0069】
本発明の清掃用シートにおいて、第1色部の配置位置はこのような位置に限定されないが、第1色部は、清掃領域の領域内において、当該清掃領域の周縁部の少なくとも一部に位置していることが好ましい。
第1色部がこのような位置にあると、当該第1色部も埃やごみを捕集する清掃領域の一部として機能しつつ、清掃領域内の第2色部の色を第1色部の埃色と容易に比較することができる。
【0070】
さらに、本発明の清掃用シートにおいては、上述の第1実施形態のように、第2色部が清掃領域の中央部に位置し、第1色部が第2色部を少なくとも挟むように清掃領域の周縁部に位置していることが好ましい。
第1色部と第2色部がこのような位置にあると、第2色部が、清掃領域において埃やごみによる汚れが最も付着しやすい中央部に位置し、且つ、第1色部が、第2色部を少なくとも挟むように清掃領域の周縁部に位置していることで、清掃領域内の第2色部の色をより容易且つ的確に第1色部の埃色と比較することができる。
【0071】
第1色部と第2色部をこのような位置に配置する手段は、特に限定されないが、例えば、上述の埃色を有する複数の繊維束と非埃色を有する複数の繊維束を積層して繊維集合体を形成する際に、非埃色を有する複数の繊維束が最も下方側(すなわち、清掃領域側)に位置し、且つ、埃色を有する複数の繊維束が最も上方側(すなわち、基材シート側)に位置するように各繊維束を積層することで、積層後の繊維積層体を立体的に起毛させたときに、清掃領域の中央部に非埃色が現出して第2色部を形成することができるとともに、清掃領域の幅方向の両端部(清掃領域の周縁部の一部)に埃色が現出して第1色部を形成することができる。
【0072】
なお、第1色部は、上述の第1実施形態のように、第2色部を幅方向の両側から挟むように配置されていても、第2色部を長手方向の両側から挟むように配置されていても、第2色部を長手方向及び幅方向の各々の両側から挟むように、すなわち、第2色部を囲むように配置されていてもよい。
【0073】
さらに、上述の清掃用シート1は、図2に示すように、厚さ方向Tの下方側Tから見た平面視において、第1色部6及び第2色部7の各々が視認可能となっている。
このように第1色部6及び第2色部7の各々が清掃用シート1の下方側Tから見て視認できるように構成されていると、使用者が清掃後に清掃用シート1の下方側T(清掃領域A側)を見たときに、第1色部6及び第2色部7の両方を同時に視認することができるので、両者の色をより容易に比較することができる。
【0074】
なお、本発明の清掃用シートは、厚さ方向の上方側及び下方側のいずれの側から見ても第1色部及び第2色部の各々が視認可能であってもよく、あるいは、厚さ方向の上方側又は下方側のいずれか一方側のみから第1色部及び第2色部の各々が視認可能であってもよい。
【0075】
また、本発明の清掃用シートにおいて第1色部及び第2色部の配置態様は、本発明の効果を奏し得る限り上述の第1実施形態の態様に限定されない。
以下、上述の第1実施形態とは第1色部及び第2色部の配置態様が異なる、本発明の別の実施形態(すなわち、第2実施形態ないし第5実施形態)について、図面を参照しながら説明する。なお、上述の第1実施形態と異なる構成以外の構成は、基本的に第1実施形態と同様であるため、説明を省略する。
【0076】
<第2実施形態>
図5に示すように、本発明の第2実施形態に係る清掃用シート1Aは、清掃対象に当接される清掃領域Aを形成する繊維集合体2Aが、非埃色を有する複数の繊維束21と、当該繊維束21に対して相対的に下方側Tに位置する、埃色を有する複数の短冊シート22Aと、によって構成されている。
【0077】
なお、埃色を有する複数の短冊シート22Aは、上述の第1実施形態と同様に、埃色を有する1枚の不織布の幅方向Wの両端縁からそれぞれ幅方向Wの中央に向かってジグザク状に切り込まれた、長手方向Lに並ぶ複数の短冊片によって形成されている。
【0078】
繊維集合体2Aは、この埃色を有する複数の短冊片(すなわち、複数の短冊シート22A)が形成された不織布と、非埃色を有する複数の繊維束21とを厚さ方向Tに重ね合わせて積層し、上述の接合部(不図示)によって厚さ方向Tに接合した後、得られた繊維積層体を任意の開繊手段を用いて立体的に起毛させることによって形成されている。
なお、この繊維集合体2Aにおいても、上述の第1実施形態と同様に、繊維集合体2Aの短冊シート22Aとは反対側の部分には、上述の積層の際に基材シート3及び上面シート(不図示)が配置され、上述の接合部(不図示)によって上記の繊維束21及び短冊シート22Aと共に一体的に接合されている。
【0079】
そして、この繊維集合体2Aは、図5に示すように、清掃領域Aの中央部において、上述の繊維積層体を立体的に起毛させる際に埃色を有する複数の短冊シート22Aが清掃領域Aの中央部付近に位置することによって現出した、埃色を有する第1色部6Aが形成されており、また、清掃領域Aのそれ以外の部分(すなわち、清掃領域Aの幅方向Wの両端部等)において、非埃色を有する繊維束21が位置することによって現出した、非埃色を有する第2色部7が形成されている。
すなわち、本第2実施形態の清掃用シート1Aにおいては、埃色を有する複数の短冊シート22Aによって第1色部6Aが形成され、非埃色を有する繊維束21によって第2色部7が形成されており、さらに、第1色部6Aは、清掃用シート1Aの清掃領域Aの中央部に位置している。
【0080】
このように第1色部6Aが、清掃領域Aの領域内において当該清掃領域Aの中央部に位置していると、当該第1色部6Aも埃やごみを捕集する清掃領域Aの一部として機能しつつ、清掃領域A内の第2色部7の色を第1色部6Aの埃色と容易に比較することができる。
【0081】
さらに、この第2実施形態の清掃用シート1Aにおいても、図5に示すように、厚さ方向Tの下方側Tから見た平面視にて、第1色部6A及び第2色部7の各々が視認可能となっているため、使用者が清掃後に清掃用シート1Aの下方側T(清掃領域A側)を見たときに、第1色部6A及び第2色部7の両方を同時に視認することができるので、両者の色をより容易に比較することができる。
【0082】
なお、埃色を有する短冊シート22Aとしては、埃色を有すること以外は、上述の第1実施形態の短冊シート22と同様のものを用いることができ、例えば、上述の第1実施形態の埃色を有する繊維束23を構成する繊維と同様の埃色に着色された合成繊維を用いて形成された不織布や、表面に埃色を呈する染料や顔料等を付着させてなる不織布などを用いることができる。
【0083】
<第3実施形態>
図6に示すように、本発明の第3実施形態に係る清掃用シート1Bは、清掃対象に当接される清掃領域Aを形成する繊維集合体2Bが、上述の第1実施形態と同様に、埃色を有する複数の繊維束23Bと、非埃色を有する複数の繊維束21と、これらの繊維束に対して相対的に下方側Tに位置する、非埃色を有する複数の短冊シート22と、によって構成されている。
すなわち、本第3実施形態の清掃用シート1Bは、上述の第1実施形態と同様に、埃色を有する複数の繊維束23Bによって第1色部6Bが形成され、非埃色を有する複数の繊維束21及び短冊シート22によって第2色部7が形成されている。
【0084】
但し、本第3実施形態の清掃用シート1Bにおいては、埃色を有する第1色部6Bが、図6に示すように、清掃領域Aの領域内において、当該清掃領域Aの複数箇所に不規則に分散するように配置されている。
このように第1色部6Bが、清掃領域Aの領域内において、当該清掃領域Aの複数箇所に位置していると、当該第1色部6Bも埃やごみを捕集する清掃領域Aの一部として機能しつつ、清掃領域A内の第2色部7の色を第1色部6Bの埃色と容易に比較することができる。
【0085】
さらに、この第3実施形態の清掃用シート1Bにおいても、図6に示すように、厚さ方向Tの下方側Tから見た平面視にて、第1色部6B及び第2色部7の各々が視認可能となっているため、使用者が清掃後に清掃用シート1Bの下方側T(清掃領域A側)を見たときに、第1色部6B及び第2色部7の両方を同時に視認することができるので、両者の色をより容易に比較することができる。
【0086】
なお、第1色部6Bをこのように清掃領域Aの複数箇所に配置する手段は、特に限定されず、例えば、第1色部6Bを形成する埃色の繊維束23Bの、繊維集合体2B内における配置位置や配置数を適宜調整すればよい。
【0087】
また、第1色部6Bは、図6に示すように清掃領域A内の複数箇所において不規則に配置されていても、あるいは、清掃領域A内の複数箇所において所定の配置パターンで規則的に配置されていてもよい。
【0088】
<第4実施形態>
図7に示すように、本発明の第4実施形態に係る清掃用シート1Cは、清掃領域Aを形成し且つ非埃色を有する繊維集合体2C(更に具体的には、非埃色を有する複数の繊維束21及び短冊シート22)と、非清掃領域Aを形成し且つ埃色を有する基材シート3Cと、当該基材シート3Cの上方側Tに位置する上面シート(不図示)と、によって構成されている。
すなわち、本第4実施形態の清掃用シート1Cは、埃色を有する基材シート3Cによって第1色部6Cが形成され、非埃色を有する繊維集合体2C(すなわち、非埃色を有する複数の繊維束21及び短冊シート22)によって第2色部7が形成されている。
【0089】
この清掃用シート1Cのように、第1色部6Cが非清掃領域Aの領域内に位置していると、清掃用シート1Cの使用時に、埃やごみによる汚れが第1色部6Cに付着しにくく、清掃用シート1Cの取替え時期の指標となる第1色部6Cの埃色を維持しやすくすることができるので、使用者が清掃用シート1Cの取替え時期をより的確且つ容易に認識することができる。
また、この清掃用シート1Cのように、第1色部6Cが非清掃領域Aの領域内のみに位置している場合は、清掃領域A全体を第2色部7によって形成することが可能であり、当該第2色部7をより広く形成することができるため、清掃用シート1Cの使用回数を増大させることができ、清掃用シート1Cをより長期間にわたって使用することができるという利点もある。
【0090】
さらに、この第4実施形態の清掃用シート1Cにおいても、図7に示すように、厚さ方向Tの下方側Tから見た平面視にて、第1色部6C及び第2色部7の各々が視認可能となっているため、使用者が清掃後に清掃用シート1Cの下方側T(清掃領域A側)を見たときに、第1色部6C及び第2色部7の両方を同時に視認することができるので、両者の色をより容易に比較することができる。
【0091】
なお、埃色を有する基材シート3Cとしては、埃色を有すること以外は、上述の第1実施形態の基材シート3と同様のものを用いることができ、例えば、上述の第1実施形態の埃色を有する繊維束23を構成する繊維と同様の埃色に着色された合成繊維を用いて形成された不織布やネット状シート;表面に埃色を呈する染料や顔料等を付着させてなる不織布やフィルム;埃色を呈する染料や顔料等を合成樹脂中に分散させて成形したフィルム;又はこれらを組み合わせて形成した複合シートなどを用いることができる。
【0092】
なお、本発明の清掃用シートにおいては、基材シートと同様に清掃用シートの非清掃領域を形成する上面シートが、埃色を有していてもよい。その場合、上面シートのみが埃色を有していても、上面シートと基材シートの両方が埃色を有していてもよい。
【0093】
<第5実施形態>
図8に示すように、本発明の第5実施形態に係る清掃用シート1Dは、厚さ方向Tの上方側Tから見た平面視にて、第1色部6D及び第2色部7の各々が基材シート3を介して透けて見えるようになっている、すなわち第1色部6D及び第2色部7の各々が清掃用シート1の上方側Tから見て視認可能となっている。
このように第1色部6D及び第2色部7の各々が清掃用シート1Dの上方側Tから見て視認できるように構成されていると、使用者が清掃しながら、第2色部7の色と第1色部6Dの埃色を比較することができ、清掃用シート1の取替え時期をより早期且つ容易に認識することができる。
【0094】
なお、上述の清掃用シート1Dにおいては、清掃後に基材シートが捲れたときにおいても第1色部と第2色部が見えるようになっている。
【0095】
本発明において、第1色部及び第2色部の各々を清掃用シートの上方側から見て視認可能とする手段は、特に限定されず、例えば、第1色部及び第2色部の各々の一部が基材シートの長手方向及び/又は幅方向の端縁から面外方向にはみ出すように構成してもよい。
【0096】
なお、本第5実施形態の清掃用シート1Dは、厚さ方向Tの下方側Tから見た平面視においても、第1色部6D及び第2色部7の各々が視認可能となっているため、使用者が清掃後に清掃用シート1Dの下方側T(清掃領域A側)を見たときに、第1色部6D及び第2色部7の両方を同時に視認することができるので、両者の色をより容易に比較することができる。
【0097】
また、本発明が適用される清掃用シートの種類は特に限定されず、本発明は、公知の任意の清掃用シートに適用することができ、例えば、上述の各実施形態のような片面タイプの清掃用シートであっても、両面タイプの清掃用シートであってもよい。
【0098】
さらに、本発明の清掃用シートは、上述の各実施形態等に制限されることなく、本発明の目的、趣旨を逸脱しない範囲内において、適宜組み合わせや代替、変更等が可能である。なお、本明細書において、「第1」、「第2」等の序数は、当該序数が付された事項を区別するためのものであり、各事項の順序や優先度、重要度等を意味するものではない。
【符号の説明】
【0099】
1 清掃用シート
2 繊維集合体
21 非埃色を有する繊維束
22 短冊シート
23 埃色を有する繊維束
3 基材シート
4 上面シート
41 挿入部
5 直線状の接合部
51 L字形の接合部
6 第1色部
7 第2色部
8 保持具
清掃領域
非清掃領域
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8