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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-15
(45)【発行日】2023-12-25
(54)【発明の名称】STI用途のCMP組成物
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/304 20060101AFI20231218BHJP
   B24B 37/00 20120101ALI20231218BHJP
   C09K 3/14 20060101ALI20231218BHJP
   C09G 1/02 20060101ALI20231218BHJP
【FI】
H01L21/304 622D
B24B37/00 H
C09K3/14 550D
C09K3/14 550Z
C09G1/02
【請求項の数】 28
(21)【出願番号】P 2020547167
(86)(22)【出願日】2019-03-05
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2021-07-15
(86)【国際出願番号】 US2019020647
(87)【国際公開番号】W WO2019177802
(87)【国際公開日】2019-09-19
【審査請求日】2022-02-08
(31)【優先権主張番号】15/920,813
(32)【優先日】2018-03-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】500397411
【氏名又は名称】シーエムシー マテリアルズ リミティド ライアビリティ カンパニー
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【弁理士】
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100195213
【弁理士】
【氏名又は名称】木村 健治
(74)【代理人】
【氏名又は名称】胡田 尚則
(72)【発明者】
【氏名】サラ ブロスナン
【審査官】内田 正和
(56)【参考文献】
【文献】特開2001-185514(JP,A)
【文献】特開2012-129406(JP,A)
【文献】国際公開第2016/143797(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2008/0081542(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2007/0281486(US,A1)
【文献】特開2015-232083(JP,A)
【文献】特開2008-172222(JP,A)
【文献】特表2015-528842(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/304
B24B 37/00
C09K 3/14
C09G 1/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)セリア研削粒子、
(b)カチオン性ポリマー、前記カチオン性ポリマーは、ポリ(ジアリルジメチルアンモニウムクロリド)-co-ポリ(アクリルアミド)、ポリ(2-ジメチルアミノ)エチルメタクリレート)メチルクロリド4級塩、ポリビニルメチルイミダゾリウムメチルサルフェート、ポリ(ジメチルアミン-co-エピクロロヒドリン)、ポリ(ビニルメチルイミダゾリウムメチルサルフェート)-co-ポリ(ビニルピロリドン)、ポリ(ビニルメチルイミダゾリウムクロリド)-co-ポリ(N-ビニルピロリドン)、ポリ(ビニルピロリドン)-co-ポリ(メタクリルアミド)-co-ポリ(ビニルイミダゾール)-co-ポリ(ビニルメチルイミダゾリウムメチルサルフェート)、ポリ(ビニルピロリドン)-co-ポリ(ジメチルアミノエチルメタクリレートメチルサルフェート)、ポリ(ビニルカプロラクタム)-co-ポリ(ビニルピロリドン)-co-ポリ(ビニルメチルイミダゾリウムメチルサルフェート)、またはそれらの組み合わせを含む、
(c)ポリエチレングリコールオクタデシルエーテル、ポリエチレングリコールラウリルエーテル、ポリエチレングリコールオレイルエーテル、ポリ(エチレン)-co-ポリ(エチレングリコール)、オクチルフェノキシポリ(エチレンオキシ)エタノール、またはそれらの組み合わせを含む非イオン性ポリマー、
(d)飽和一酸、および
(e)水性キャリアを含む、化学機械研磨組成物。
【請求項2】
前記セリア研削粒子が、か焼セリア粒子、湿式セリア粒子、湿式ベース加工セリア粒子、またはそれらの組み合わせを含む、請求項1に記載の研磨組成物。
【請求項3】
前記セリア研削粒子が、前記研磨組成物中に0.0005質量%~10質量%の濃度で存在する、請求項1に記載の研磨組成物。
【請求項4】
前記カチオン性ポリマーが、前記研磨組成物中に0.0005質量%~0.025質量%の濃度で存在する、請求項1に記載の研磨組成物。
【請求項5】
前記非イオン性ポリマーが、前記研磨組成物中に0.0005質量%~0.5質量%の濃度で存在する、請求項1に記載の研磨組成物。
【請求項6】
前記飽和一酸が、ギ酸、酢酸、プロパン酸、ブタン酸、ペンタン酸、ヘキサン酸、またはそれらの組み合わせを含む、請求項1に記載の研磨組成物。
【請求項7】
前記飽和一酸が、前記研磨組成物中に0.0001質量%~0.5質量%の濃度で存在する、請求項1に記載の研磨組成物。
【請求項8】
殺生物剤、スケール防止剤、分散剤、pH調整剤、およびそれらの組み合わせから選択される添加剤をさらに含む、請求項1に記載の研磨組成物。
【請求項9】
前記研磨組成物のpHが、3.0~5.0である、請求項1に記載の研磨組成物。
【請求項10】
不飽和一酸をさらに含む、請求項1に記載の研磨組成物。
【請求項11】
前記不飽和一酸が、C-C不飽和一酸を含む、請求項10に記載の研磨組成物。
【請求項12】
前記C-C不飽和一酸が、アクリル酸、2-ブテン酸、2-ペンテン酸、trans-2-ヘキセン酸、trans-3-ヘキセン酸、2-ヘキシン酸、2,4-ヘキサジエン酸、ソルビン酸カリウム、trans-2-メチル-2-ブテン酸、3,3-ジメチルアクリル酸、またはそれらの立体異性体を含むそれらの組み合わせを含む、請求項11に記載の研磨組成物。
【請求項13】
前記C-C不飽和一酸が、2-ブテン酸を含む、請求項12に記載の研磨組成物。
【請求項14】
前記不飽和一酸が、前記研磨組成物中に0.0001質量%~0.5質量%の濃度で存在する、請求項10に記載の研磨組成物。
【請求項15】
基板を化学機械的に研磨する方法であって、
(i)基板の表面上に誘電体層を含む前記基板を提供することと、
(ii)研磨パッドを提供することと、
(iii)
(a)セリア研削粒子、
(b)カチオン性ポリマー、前記カチオン性ポリマーは、ポリ(ジアリルジメチルアンモニウムクロリド)-co-ポリ(アクリルアミド)、ポリ(2-ジメチルアミノ)エチルメタクリレート)メチルクロリド4級塩、ポリビニルメチルイミダゾリウムメチルサルフェート、ポリ(ジメチルアミン-co-エピクロロヒドリン)、ポリ(ビニルメチルイミダゾリウムメチルサルフェート)-co-ポリ(ビニルピロリドン)、ポリ(ビニルメチルイミダゾリウムクロリド)-co-ポリ(N-ビニルピロリドン)、ポリ(ビニルピロリドン)-co-ポリ(メタクリルアミド)-co-ポリ(ビニルイミダゾール)-co-ポリ(ビニルメチルイミダゾリウムメチルサルフェート)、ポリ(ビニルピロリドン)-co-ポリ(ジメチルアミノエチルメタクリレートメチルサルフェート)、ポリ(ビニルカプロラクタム)-co-ポリ(ビニルピロリドン)-co-ポリ(ビニルメチルイミダゾリウムメチルサルフェート)、またはそれらの組み合わせを含む、
(c)ポリエチレングリコールオクタデシルエーテル、ポリエチレングリコールラウリルエーテル、ポリエチレングリコールオレイルエーテル、ポリ(エチレン)-co-ポリ(エチレングリコール)、オクチルフェノキシポリ(エチレンオキシ)エタノール、またはそれらの組み合わせを含む非イオン性ポリマー、
(d)飽和一酸、および
(e)水性キャリアを含む、化学機械研磨組成物を提供することと、
(iv)前記基板を前記研磨パッドおよび前記化学機械研磨組成物と接触させることと、
(v)前記研磨パッドおよび前記化学機械研磨組成物を前記基板に対して動かし、前記基板の表面上の前記誘電体層の少なくとも一部を研削し、前記基板を研磨することと、を含む方法。
【請求項16】
前記セリア研削粒子が、か焼セリア粒子、湿式セリア粒子、湿式ベース加工セリア粒子、またはそれらの組み合わせを含む、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記セリア研削粒子が、前記研磨組成物中に0.0005質量%~10質量%の濃度で存在する、請求項15に記載の方法。
【請求項18】
前記カチオン性ポリマーが、前記研磨組成物中に0.0005質量%~0.025質量%の濃度で存在する、請求項15に記載の方法。
【請求項19】
前記非イオン性ポリマーが、前記研磨組成物中に0.0005質量%~0.5質量%の濃度で存在する、請求項15に記載の方法。
【請求項20】
前記飽和一酸が、ギ酸、酢酸、プロパン酸、ブタン酸、ペンタン酸、ヘキサン酸、またはそれらの組み合わせを含む、請求項15に記載の方法。
【請求項21】
前記飽和一酸が、前記研磨組成物中に、0.0001質量%~0.5質量%の濃度で存在する、請求項15に記載の方法。
【請求項22】
前記研磨組成物のpHが、3.0~5.0である、請求項15に記載の方法。
【請求項23】
前記研磨組成物が、不飽和一酸をさらに含む、請求項15に記載の方法。
【請求項24】
前記不飽和一酸が、C-C不飽和一酸を含む、請求項23に記載の方法。
【請求項25】
前記C-C不飽和一酸が、アクリル酸、2-ブテン酸、2-ペンテン酸、trans-2-ヘキセン酸、trans-3-ヘキセン酸、2-ヘキシン酸、2,4-ヘキサジエン酸、ソルビン酸カリウム、trans-2-メチル-2-ブテン酸、3,3-ジメチルアクリル酸、またはそれらの立体異性体を含むそれらの組み合わせを含む、請求項24に記載の方法。
【請求項26】
前記不飽和一酸が、前記研磨組成物中に、0.0001質量%~0.5質量%の濃度で存在する、請求項23に記載の方法。
【請求項27】
前記誘電体層が、酸化ケイ素を含む、請求項15に記載の方法。
【請求項28】
前記基板が、前記基板の表面上に窒化ケイ素(SiN)層をさらに含む、請求項15に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
基板の表面を平坦化または研磨するための組成物および方法は、当該技術分野において周知である。研磨組成物(研磨スラリーとしても知られる)は、典型的には、液体キャリア(例えば水性キャリア)中に研削材料を含み、表面を研磨組成物で飽和した研磨パッドと接触させることにより表面に適用される。典型的な研削材料は、二酸化ケイ素、酸化セリウム、酸化アルミニウム、酸化ジルコニウム、および酸化スズを含む。研磨組成物は、典型的には、研磨パッド(例えば研磨布またはディスク)とともに組み合わせて使用される。研磨組成物中に懸濁される代わりに、またはそれに加えて、研削材料は、研磨パッドに組み込まれてもよい。
【0002】
半導体デバイスの素子を分離するための方法として、シリコン基板上に窒化ケイ素(SiN)層を形成し、エッチングまたはフォトリソグラフィーにより浅いトレンチを形成し、また誘電体層(例えば酸化物)を堆積させてトレンチを充填する、シャロートレンチ分離(STI)プロセスに大きな注目が集まっている。このようにして形成されたトレンチ、またはラインの深さの変化に起因して、全トレンチの完全な充填を確実にするために、基板の上に過剰の誘電材料を堆積させることが典型的には必要である。次いで、典型的には、過剰の誘電材料を化学機械的平坦化プロセスによって除去して、窒化ケイ素層を露出させる。窒化ケイ素層が露出すると、化学機械研磨組成物に曝露される基板の最大の領域は窒化ケイ素を含み、これは次いで、高度に平坦で均一な表面を達成するために研磨されなければならない。典型的には、窒化ケイ素研磨よりも酸化物研磨の選択性を強調することが望ましい。したがって、窒化ケイ素層が露出すると全体的な研磨速度が低下するため、窒化ケイ素層は化学機械平坦化プロセス中に停止層として機能する。
【0003】
STI基板は、典型的には、従来の研磨媒体および研削剤含有研磨組成物を使用して研磨される。しかしながら、従来の研磨媒体および研削剤含有研磨組成物を用いたSTI基板の研磨は、基板表面の過剰研磨、またはSTIフィーチャにおけるくぼみの形成、および基板表面上のマイクロスクラッチ等の他のトポグラフィ欠陥をもたらすことが観察されている。STIフィーチャに過剰研磨およびくぼみを形成するこの現象は、ディッシングと呼ばれる。基板フィーチャのディッシングは、トランジスタおよびトランジスタ部品の相互の絶縁不良を引き起こして短絡をもたらすことにより、デバイスの製造に悪影響を与える可能性があるため、ディッシングは望ましくない。さらに、基板の過剰研磨により、例えば浸食、SiN損失、酸化物損失、および下にある酸化物が研磨または化学的活性による損傷にさらされる等、他の望ましくない影響が生じ、デバイスの品質および性能に悪影響を及ぼす可能性がある。
【0004】
加えて、特にセリア研削剤を含むいくつかの既存の研磨組成物は、ある特定の濃度を超えると研磨組成物の不安定性のために濃縮される能力が制限され、研削成分の沈殿につながる。したがって、濃縮された研磨組成物の不安定性によって、より希釈された研磨組成物の製造が必要であり、これは輸送および保管されなければならない材料の量を増加させる。

【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
したがって、当該技術分野において、適切な除去速度、低い欠陥率、低いSiN損失、低い浸食、および適切なディッシング性能を有し、一方でさらに強化された分散安定性を示す、窒化ケイ素に対する酸化ケイ素の望ましい選択性を提供できる研磨組成物および方法が依然として必要とされている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、(a)セリア研削粒子、(b)カチオン性ポリマー、(c)ポリエチレングリコールオクタデシルエーテル、ポリエチレングリコールラウリルエーテル、ポリエチレングリコールオレイルエーテル、ポリ(エチレン)-co-ポリ(エチレングリコール)、オクチルフェノキシポリ(エチレンオキシ)エタノール、またはそれらの組み合わせを含む非イオン性ポリマー、(d)飽和一酸、および(e)水性キャリアを含む、化学機械研磨組成物を提供する。
【0007】
本発明はまた、基板を化学機械的に研磨する方法であって、(i)基板の表面上に誘電体層を含む基板を提供することと、(ii)研磨パッドを提供することと、(iii)(a)セリア研削粒子、(b)カチオン性ポリマー、(c)ポリエチレングリコールオクタデシルエーテル、ポリエチレングリコールラウリルエーテル、ポリエチレングリコールオレイルエーテル、ポリ(エチレン)-co-ポリ(エチレングリコール)、オクチルフェノキシポリ(エチレンオキシ)エタノール、またはそれらの組み合わせを含む非イオン性ポリマー、(d)飽和一酸、および(e)水性キャリアを含む、化学機械研磨組成物を提供することと、(iv)基板を研磨パッドおよび化学機械研磨組成物と接触させることと、(v)研磨パッドおよび化学機械研磨組成物を基板に対して動かし、基板の表面上の誘電体層の少なくとも一部を研削することと、を含む方法を提供する。
【発明を実施するための形態】
【0008】
本発明は、(a)セリア研削粒子、(b)カチオン性ポリマー、(c)ポリエチレングリコールオクタデシルエーテル、ポリエチレングリコールラウリルエーテル、ポリエチレングリコールオレイルエーテル、ポリ(エチレン)-co-ポリ(エチレングリコール)、オクチルフェノキシポリ(エチレンオキシ)エタノール、またはそれらの組み合わせを含む非イオン性ポリマー、(d)飽和一酸、および(e)水性キャリアを含む、化学機械研磨組成物を提供する。
【0009】
化学機械研磨組成物は、セリア研削粒子を含む。周知であるように、セリアは、希土類金属セリウムの酸化物であり、セリウム酸化物、酸化セリウム(例えば酸化セリウム(IV))、または二酸化セリウムとしても知られている。酸化セリウム(IV)(CeO)は、シュウ酸セリウムまたは水酸化セリウムをか焼することにより形成され得る。セリウムはまた、例えば、Ce等の酸化セリウム(III)を形成する。セリア研削粒子は、これらまたはセリアの他の酸化物のいずれか1つ以上を含み得る。
【0010】
セリア研削粒子は、任意の適切なタイプであり得る。一実施形態において、セリア研削粒子は、か焼セリア粒子、湿式セリア粒子、湿式ベースプロセスセリア粒子またはそれらの組み合わせを含むか、それらから本質的になるか、またはそれらからなる。好ましい実施形態において、セリア研削粒子は、湿式セリア粒子または湿式プロセスベースのセリア粒子を含む。
【0011】
本明細書で使用される場合、「湿式セリア粒子」または「湿式プロセスベースのセリア粒子」(本明細書では総称して「湿式プロセス」セリア粒子)は、沈殿、縮合重合、または同様のプロセスにより調製されたセリアを指す(例えばヒュームドまたは焼成セリアと対照的)。特定の理論に束縛されることを望まないが、湿式プロセスセリアは、ほぼ球形のセリア粒子および/またはより小さな凝集セリア粒子を含み、それにより、本発明の方法で使用した場合、より低い基板欠陥率をもたらすと考えられる。例示的な湿式プロセスセリアは、Rhodiaから市販されているHC60(商標)セリアである。
【0012】
セリア研削粒子は、任意の適切な平均サイズ(すなわち平均粒径)を有し得る。平均セリア研削粒子サイズが小さすぎる場合、研磨組成物は十分な除去速度を示さない場合がある。対照的に、平均セリア研削粒子サイズが大きすぎる場合、研磨組成物は、例えば、低い基板欠陥率等の望ましくない研磨性能を示し得る。したがって、セリア研削粒子は、約10nm以上、例えば約15nm以上、約20nm以上、約25nm以上、約30nm以上、約35nm以上、約40nm以上、約45nm以上、または約50nm以上の平均粒子サイズを有することができる。代替的に、または追加的に、セリア研削粒子は、約1,000nm以下、例えば約750nm以下、約500nm以下、約250nm以下、約150nm以下、または約100nm以下、約75nm以下、または約50nm以下の平均粒子サイズを有し得る。したがって、セリア研削粒子は、前述の端点のいずれか2つで区切られた範囲内の平均粒子サイズを有し得る。例えば、セリア研削粒子は、約10nm~約1,000nm、例えば、約10nm~約750nm、約15nm~約500nm、約20nm~約250nm、約20nm~約150nm、約25nm~約150nm、約25nm~約100nm、約50nm~約150nm、または約50nm~約100nmの平均粒子サイズを有し得る。球状のセリア研削粒子の場合、粒子のサイズは粒子の直径である。非球状のセリア粒子の場合、粒子のサイズは、粒子を包含する最小球の直径である。セリア研削粒子の粒子サイズは、任意の適切な技術を使用して、例えばレーザー回折技術を使用して測定され得る。適切な粒子サイズ測定機器は、例えば、Malvern Instruments(Malvern,UK)から入手可能である。
【0013】
いくつかの実施形態において、研磨組成物のセリア研削粒子は、多峰性粒子サイズ分布を示す。本明細書で使用される場合、「多峰性」という用語は、セリア研削粒子が少なくとも2つの極大値(例えば、2つ以上の極大値、3つ以上の極大値、4つ以上の極大値、または5つ以上の極大値)を有する平均粒子サイズ分布を示すことを意味する。好ましくは、これらの実施形態において、セリア研削粒子は二峰性粒子サイズ分布を示す、すなわち、セリア研削粒子は2つの平均粒子サイズ極大値を有する粒子サイズ分布を示す。「最大値」および「極大値」という用語は、粒子サイズ分布における1つまたは複数のピークを意味する。1つまたは複数のピークは、セリア研削粒子について本明細書に記載されている平均粒子サイズに対応する。したがって、例えば、粒子数対粒子サイズのプロットは、二峰性粒子サイズ分布を反映し、第1のピークは、約75nm~約150nm(例えば、約80nm~約140nm、約85nm~約130nm、または約90nm~約120nm)の粒子サイズ範囲にあり、第2のピークは、約25nm~約70nm(例えば、約30nm~約65nm、約35nm~約65nm、または約40nm~約60nm)の粒子サイズ範囲にある。多峰性粒子分布を有するセリア研削粒子は、それぞれが単峰性粒子サイズ分布を有する2つの異なるタイプのセリア研削粒子を組み合わせることによって得ることができる。
【0014】
セリア研削粒子は、好ましくは、本発明の研磨組成物中でコロイド的に安定である。コロイドという用語は、水性キャリア(例えば水)中のセリア研削粒子の懸濁液を指す。コロイド安定性とは、その懸濁液の経時的な維持を指す。本発明の文脈では、研削剤を100mLのメスシリンダーに入れ、2時間撹拌せずに静置した際に、メスシリンダーの底部50mLにおける粒子の濃度([B]、単位g/mL)と、メスシリンダーの上部50mLにおける粒子の濃度([T]、単位g/mL)との差を、研削組成物における粒子の初期濃度([C]、単位g/mL)で除した値が0.5以下である(すなわち{[B]-[T]}/[C]≦0.5)場合、研削粒子はコロイド的に安定であるとみなされる。より好ましくは、[B]-[T]/[C]の値は0.3以下であり、最も好ましくは0.1以下である。
【0015】
研磨組成物は、任意の適切な濃度のセリア研削粒子を含み得る。本発明の研磨組成物に含まれるセリア研削粒子が少なすぎる場合、組成物は十分な除去速度を示さない場合がある。対照的に、研磨組成物に含まれるセリア研削粒子が多すぎる場合、研磨組成物は、望ましくない研磨性能を示す可能性がある、および/または費用効果がない可能性がある、および/または安定性に欠ける可能性がある。セリア研削粒子は、研磨組成物中に約10質量%以下、例えば、約9質量%以下、約8質量%以下、約7質量%以下、約6質量%以下、約5質量%以下、約4質量%以下、約3質量%以下、約2質量%以下、約1質量%以下、約0.9質量%以下、約0.8質量%以下、約0.7質量%以下、約0.6質量%以下、または約0.5質量%以下の濃度で存在してもよい。代替的に、または追加的に、セリア研削粒子は、研磨組成物中に約0.0005質量%以上、例えば、約0.001質量%以上、約0.005質量%以上、約0.01質量%以上、約0.05質量%以上、または約0.1質量%以上の濃度で存在してもよい。したがって、セリア研削粒子は、研磨組成物中に前述の端点のいずれか2つで区切られた範囲内の濃度で存在してもよい。例えば、セリア研削粒子は、研磨組成物中に約0.0005質量%~約10質量%、例えば0.001質量%~約9質量%、約0.005質量%~約8質量%、約0.01質量%~約7質量%、約0.05質量%~約6質量%、約0.1質量%~約5質量%、約0.5質量%~約4質量%、約1質量%~約3質量%、または約1.5質量%~約2.5質量%の濃度で存在してもよい。一実施形態において、セリア研削粒子は、研磨組成物中に約0.2質量%~約0.6質量%(例えば、約0.4質量%)の濃度で存在してもよい。別の実施形態において、研磨組成物は、濃縮物として、約1~3質量%(例えば、約1.2質量%または約1.6質量%)のセリア研削粒子を含む。
【0016】
研磨組成物は、1種以上のカチオン性ポリマーを含む。本明細書で使用される場合、「カチオン性ポリマー」という用語は、カチオン性コポリマーを含む。適切なカチオン性ポリマーの非限定的な例は、ポリ(ジアリルジメチルアンモニウムクロリド)-co-ポリ(アクリルアミド)、ポリ(2-ジメチルアミノ)エチルメタクリレート)メチルクロリド4級塩、ポリ(ジアリルジメチルアンモニウムクロリド)、ポリビニルメチルイミダゾリウムメチルサルフェート、ポリ(ジメチルアミン-co-エピクロロヒドリン)、ポリ(ビニルメチルイミダゾリウムメチルサルフェート)-co-ポリ(ビニルピロリドン)、ポリ(ビニルメチルイミダゾリウムクロリド)-co-ポリ(N-ビニルピロリドン)、ポリ(ビニルピロリドン)-co-ポリ(メタクリルアミド)-co-ポリ(ビニルイミダゾール)-co-ポリ(ビニルメチルイミダゾリウムメチルサルフェート)、ポリ(ビニルピロリドン)-co-ポリ(ジメチルアミノエチルメタクリレートメチルサルフェート)、ポリ(ビニルカプロラクタム)-co-ポリ(ビニルピロリドン)-co-ポリ(ビニルメチルイミダゾリウムメチルサルフェート)、またはそれらの組み合わせを含むカチオン性ポリマーを含む。カチオン性ポリマーは4級アンモニウム基を有する2つ以上のモノマー単位を含むため、カチオン性ポリマーは典型的には2つ以上の4級アンモニウム基を含むことが理解されるであろう。
【0017】
特定の理論に束縛されることを望まないが、カチオン性ポリマーは、研磨組成物のディッシングおよび浸食性能を改善し、それにより、特に本発明の組成物(例えば、非イオン性ポリマー、飽和一酸、および不飽和一酸(存在する場合))の他の成分と組み合わせて、ディッシング制御剤として作用すると考えられる。カチオン性ポリマーは、研磨中に負に帯電した酸化物表面に引き付けられ、酸化物/セリア廃棄物にも引き付けられてこれらの帯電種を隔離し、それによって良好なディッシング保護を提供すると考えられている。非カチオン性ポリマー/コポリマー(例えば、ポリビニルアルコール誘導体を含むポリマーまたはコポリマー)を含む従来の研磨組成物は、大きなフィーチャ(50μm超)では適切な性能を発揮し得るが、小さなフィーチャ(200nm未満)では低い性能を発揮する。対照的に、本発明の研磨組成物は、大きなフィーチャおよび小さなフィーチャの両方で適切な性能を示す。
【0018】
カチオン性ポリマーは、任意の適切な分子量を有し得る。カチオン性ポリマーは、約200g/mol以上、例えば、約250g/mol以上、約300g/mol以上、約400g/mol以上、約500g/mol以上、約600g/mol以上、約750g/mol以上、約1,000g/mol以上、約1,500g/mol以上、約2,000g/mol以上、約2,500g/mol以上、約3,000g/mol以上、約3,500g/mol以上、約4,000g/mol以上、約4,500g/mol以上、約5,000g/mol以上、約5,500g/mol以上、約6,000g/mol以上、約6,500g/mol以上、約7,000g/mol以上、約7,500g/mol以上、約10,000g/mol以上、約15,000g/mol以上、約20,000g/mol以上、約25,000g/mol以上、約30,000g/mol以上、約35,000g/mol以上、約40,000g/mol以上、約45,000g/mol以上、約50,000g/mol以上、約75,000g/mol以上、約100,000g/mol以上、約125,000g/mol以上、約150,000g/mol以上、約175,000g/mol以上、約200,000g/mol以上、約225,000g/mol以上、約250,000g/mol以上、約275,000g/mol以上、約300,000g/mol以上、約325,000g/mol以上、約350,000g/mol以上、約375,000g/mol以上、約400,000g/mol以上、約425,000g/mol以上、約450,000g/mol以上、約475,000g/mol以上、または約500,000g/mol以上の平均分子量を有し得る。代替的に、または追加的に、カチオン性ポリマーは、約1,000,000g/mol以下、約975,000g/mol以下、約950,000g/mol以下、約925,000g/mol以下、約900,000g/mol以下、約875,000g/mol以下、約850,000g/mol以下、約825,000g/mol以下、約800,000g/mol以下、約775,000g/mol以下、約750,000g/mol以下、約725,000g/mol以下、約700,000g/mol以下、約675,000g/mol以下、約650,000g/mol以下、約625,000g/mol以下、約600,000g/mol以下、約575,000g/mol以下、約550,000g/mol以下、または約525,000g/mol以下の平均分子量を有し得る。したがって、カチオン性ポリマーは、前述の端点のいずれか2つによって区切られた範囲内の平均分子量を有し得る。例えば、カチオン性ポリマーは、約200g/mol~約1,000,000g/mol、約250g/mol~約975,000g/mol、約300g/mol~約950,000g/mol、約400g/mol~約925,000g/mol、約500g/mol~約900,000g/mol、約600g/mol~約875,000g/mol、約750g/mol~約850,000g/mol、約1,000g/mol~約825,000g/mol、約1,500g/mol~約800,000g/mol、約2,000g/mol~約775,000g/mol、約2,500g/mol~約750,000g/mol、約3,000g/mol~約725,000g/mol、約3,500g/mol~約700,000g/mol、約4,000g/mol~約675,000、約4,500g/mol~約650,000g/mol、約5,000g/mol~約625,000g/mol、約5,500g/mol~約650,000、約6,000g/mol~約625,000g/mol、約6,500g/mol~約600,000g/mol、約7,000g/mol~約575,000g/mol、約7,500g/mol~約550,000g/mol、約10,000g/mol~約525,000g/mol、約15,000g/mol~約500,000g/mol、約20,000g/mol~約475,000g/mol、約25,000g/mol~約450,000g/mol、約30,000g/mol~約425,000g/mol、約35,000g/mol~約400,000g/mol、約40,000g/mol~約375,000、約45,000g/mol~約350,000g/mol、約50,000g/mol~約325,000g/mol、約75,000g/mol約300,000g/mol、約100,000g/mol~約275,000g/mol、約125,000~約250,000g/mol、約150,000g/mol~約225,000g/mol、または約175,000~約200,000g/molの平均分子量を有し得る。
【0019】
カチオン性ポリマーは、研磨組成物中に任意の好適な濃度で存在し得る。カチオン性ポリマーの濃度は、研磨組成物中に存在するカチオン性ポリマーの総量を指す。カチオン性ポリマーは、研磨組成物中に約5ppm以上、例えば、約10ppm以上、約15ppm以上、約20ppm以上、約25ppm以上、約30ppm以上、約35ppm以上、約40ppm以上、約45ppm以上、約50ppm以上、約55ppm以上、約60ppm以上、約65ppm以上、約70ppm以上、約75ppm以上、約80ppm以上、約85ppm以上、約90ppm以上、約95ppm以上、約100ppm以上、約105ppm以上、約110ppm以上、約115ppm以上、約120ppm以上、約125ppm以上、約130ppm以上、約135ppm以上、約140ppm以上、約145ppm以上、または約150ppm以上の濃度で存在し得る。代替的に、または追加的に、カチオン性ポリマーは、研磨組成物中に約250ppm以下、例えば、約245ppm以下、約240ppm以下、約235ppm以下、約230ppm以下、約225ppm以下、約220ppm以下、約215ppm以下、約210ppm以下、約205ppm以下、約200ppm以下、約195ppm以下、約190ppm以下、約185ppm以下、約180ppm以下、約175ppm以下、約170ppm以下、約165ppm以下、約160ppm以下、または約155ppm以下の濃度で存在し得る。したがって、カチオン性ポリマーは、研磨組成物中に前述の端点のいずれか2つで区切られた範囲内の濃度で存在し得る。例えば、カチオン性ポリマーは、研磨組成物中に約5ppm~約250ppm、約10ppm~約245ppm、約15ppm~約240ppm、約20ppm~約235ppm、約25ppm~約230ppm、約30ppm~約225ppm、約35ppm~約220ppm、約40ppm~約215ppm、約45ppm~約210ppm、約50ppm~約205ppm、約55ppm~約200ppm、約60ppm~約195ppm、約65ppm~約190ppm、約70ppm~約185ppm、約75ppm~約180ppm、約80ppm~約175ppm、約85ppm~約170ppm、約90ppm~約165ppm、約95ppm~約160ppm、約100ppm~約155ppm、約105ppm~約150ppm、約110ppm~約145ppm、約115ppm~約140ppm、約120ppm~約135ppm、または約125ppm~約130ppmの濃度で存在し得る。
【0020】
一実施形態において、カチオン性ポリマーは、研磨組成物中に約5ppm~約250ppmの濃度で存在する。別の実施形態において、カチオン性ポリマーは、研磨組成物中に約10ppm~約100ppmの濃度で存在する。さらに別の実施形態において、カチオン性ポリマーは、研磨組成物中に約35ppm~約60ppmの濃度で存在する。
【0021】
特に明記しない限り、本明細書でppmとして表される単位は、組成物の総質量に対する成分の質量比を反映することを意図している。したがって、例えば、1000ppmおよび0.1質量%という用語は同義である。
【0022】
研磨組成物は、ポリエチレングリコールオクタデシルエーテル、ポリエチレングリコールラウリルエーテル、ポリエチレングリコールオレイルエーテル、ポリ(エチレン)-co-ポリ(エチレングリコール)、オクチルフェノキシポリ(エチレンオキシ)エタノール、またはそれらの組み合わせを含む非イオン性ポリマーを含む。特定の理論に束縛されることを望まないが、非イオン性ポリマーは、カチオン性ポリマーとともに機能して、研磨性能を改善する(例えば、研磨中の適切な除去速度およびプロファイル性能を維持するのに役立つ)。
【0023】
非イオン性ポリマーは、任意の適切な分子量を有し得る。非イオン性ポリマーは、約250g/mol以上、例えば、約300g/mol以上、約400g/mol以上、約500g/mol以上、約600g/mol以上、約750g/mol以上、約1,000g/mol以上、約1,500g/mol以上、約2,000g/mol以上、約2,500g/mol以上、約3,000g/mol以上、約3,500g/mol以上、約4,000g/mol以上、約4,500g/mol以上、約5,000g/mol以上、約5,500g/mol以上、約6,000g/mol以上、約6,500g/mol以上、約7,000g/mol以上、または約7,500g/mol以上の平均分子量を有し得る。代替的に、または追加的に、非イオン性ポリマーは、約50,000g/mol以下、例えば約45,000g/mol以下、約40,000g/mol以下、約35,000g/mol以下、約30,000g/mol以下、約25,000g/mol以下、約20,000g/mol以下、約15,000g/mol以下、または約10,000g/mol以下の平均分子量を有し得る。したがって、非イオン性ポリマーは、前述の端点のいずれか2つによって区切られた範囲内の平均分子量を有し得る。例えば、非イオン性ポリマーは、約250g/mol~約50,000g/mol、約250g/mol~約45,000g/mol、約250g/mol~約40,000g/mol、約250g/mol~約35,000g/mol、約1,000g/mol~約30,000g/mol、約1,000g/mol~約25,000g/mol、約1,000g/mol~約20,000g/mol、約2,000g/mol~約15,000g/mol、約3,000g/mol~約10,000g/mol、約7,500g/mol~約50,000g/mol、約7,500g/mol~約40,000g/mol、または約7,500g/mol~約35,000g/molの平均分子量を有し得る。
【0024】
研磨組成物は、任意の適切な量の非イオン性ポリマーを含む。非イオン性ポリマーの濃度は、研磨組成物中に存在する非イオン性ポリマーの総量を指す。非イオン性ポリマーは、研磨組成物中に約1ppm以上、例えば、約5ppm以上、約10ppm以上、約20ppm以上、約30ppm以上、約40ppm以上、約50ppm以上、約75ppm以上、約100ppm以上、約125ppm以上、約150ppm以上、約175ppm以上、約200ppm以上、約250ppm以上、約300ppm以上、約350ppm以上、約400ppm以上、約450ppm以上、約500ppm以上、約550ppm以上、約600ppm以上、約650ppm以上、約700ppm以上、約750ppm以上、約800ppm以上、約850ppm以上、約900ppm以上、約950ppm以上、約1000ppm以上、約1250ppm以上、約1500ppm以上、約1750ppm以上、約2000ppm以上、約2250ppm以上、約2500ppm以上、約2750ppm以上、または約3000ppm以上の濃度で存在し得る。代替的に、または追加的に、非イオン性ポリマーは、研磨組成物中に約5000ppm以下、例えば、約4900ppm以下、約4800ppm以下、約4700ppm以下、約4600ppm以下、約4500ppm以下、約4400ppm以下、約4300ppm以下、約4200ppm以下、約4100ppm以下、約4000ppm以下、約3900ppm以下、約3800ppm以下、約3700ppm以下、約3600ppm以下、約3500ppm以下、約3400ppm以下、約3300ppm以下、約3200ppm以下、または約3100ppm以下の濃度で存在し得る。したがって、非イオン性ポリマーは、研磨組成物中に前述の端点のいずれか2つで区切られた範囲内の濃度で存在し得る。例えば、非イオン性ポリマーは、研磨組成物中に約1ppm~約5000ppm、約5ppm~約4900ppm、約10ppm~約4800ppm、約20ppm~約4700ppm、約30ppm~約4600ppm、約40ppm~約4700ppm、約50ppm~約4600ppm、約75ppm~約4500ppm、約100ppm~約4400ppm、約125ppm~約4300ppm、約150ppm~約4200ppm、約175ppm~約4100ppm、約200ppm~約4000ppm、約250ppm~約3900ppm、約300ppm~約3800ppm、約350ppm~約3700ppm、約400ppm~約3600ppm、約450ppm~約3500ppm、約500ppm~約3400ppm、約550ppm~約3300ppm、約600ppm~約3200ppm、約650ppm~約3100ppm、約700ppm~約3000ppm、約750ppm~約2750ppm、約800ppm~約2500ppm、約850ppm~約2250ppm、約900ppm~約2000ppm、約1000ppm~約1750ppm、または約1250ppm~約1500ppmの濃度で存在し得る。
【0025】
一実施形態において、非イオン性ポリマーは、研磨組成物中に約1ppm~約2000ppmの濃度で存在する。別の実施形態において、非イオン性ポリマーは、研磨組成物中に約50ppm~約1200ppmの濃度で存在する。
【0026】
研磨組成物は、飽和一酸を含む。特定の理論に束縛されることを望まないが、飽和一酸は、適切な除去速度を維持するために、基板研磨中に速度促進剤として作用すると考えられている。例えば、研磨中にディッシング制御剤(例えばカチオン性ポリマー)の濃度を増加させると、ディッシング性能が改善される一方で、典型的には酸化物除去速度が低下する。
【0027】
一実施形態において、飽和一酸は、ギ酸、酢酸、プロパン酸、ブタン酸、ペンタン酸、ヘキサン酸、またはそれらの組み合わせを含む。別の実施形態において、飽和一酸は、酢酸を含む。
【0028】
研磨組成物は、任意の適切な濃度の飽和一酸を含み得る。飽和一酸は、研磨組成物中に約1ppm以上、例えば、約5ppm以上、約10ppm以上、約20ppm以上、約30ppm以上、約40ppm以上、約50ppm以上、約75ppm以上、約100ppm以上、約125ppm以上、約150ppm以上、約175ppm以上、約200ppm以上、約250ppm以上、約300ppm以上、約350ppm以上、約400ppm以上、約450ppm以上、約500ppm以上、約550ppm以上、約600ppm以上、約650ppm以上、約700ppm以上、約750ppm以上、約800ppm以上、約850ppm以上、約900ppm以上、約950ppm以上、約1000ppm以上、約1250ppm以上、約1500ppm以上、約1750ppm以上、約2000ppm以上、約2250ppm以上、約2500ppm以上、約2750ppm以上、または約3000ppm以上の濃度で存在し得る。代替的に、または追加的に、飽和一酸は、研磨組成物中に約5000ppm以下、例えば、約4900ppm以下、約4800ppm以下、約4700ppm以下、約4600ppm以下、約4500ppm以下、約4400ppm以下、約4300ppm以下、約4200ppm以下、約4100ppm以下、約4000ppm以下、約3900ppm以下、約3800ppm以下、約3700ppm以下、約3600ppm以下、約3500ppm以下、約3400ppm以下、約3300ppm以下、約3200ppm以下、または約3100ppm以下の濃度で存在し得る。したがって、飽和一酸は、研磨組成物中に前述の端点のいずれか2つで区切られた範囲内の濃度で存在し得る。例えば、飽和一酸は、研磨組成物中に約1ppm~約5000ppm、約5ppm~約4900ppm、約10ppm~約4800ppm、約20ppm~約4700ppm、約30ppm~約4600ppm、約40ppm~約4700ppm、約50ppm~約4600ppm、約75ppm~約4500ppm、約100ppm~約4400ppm、約125ppm~約4300ppm、約150ppm~約4200ppm、約175ppm~約4100ppm、約200ppm~約4000ppm、約250ppm~約3900ppm、約300ppm~約3800ppm、約350ppm~約3700ppm、約400ppm~約3600ppm、約450ppm~約3500ppm、約500ppm~約3400ppm、約550ppm~約3300ppm、約600ppm~約3200ppm、約650ppm~約3100ppm、約700ppm~約3000ppm、約750ppm~約2750ppm、約800ppm~約2500ppm、約850ppm~約2250ppm、約900ppm~約2000ppm、約1000ppm~約1750ppm、または約1250ppm~約1500ppmの濃度で存在し得る。
【0029】
一実施形態において、飽和一酸は、研磨組成物中に約1ppm~約3600ppmの濃度で存在する。別の実施形態において、飽和一酸は、研磨組成物中に約100ppm~約900ppmの濃度で存在する。
【0030】
いくつかの実施形態において、本発明の研磨組成物は、不飽和一酸をさらに含む。出願人らは、驚くべきことに、不飽和一酸が窒化ケイ素停止剤として作用し、またディッシング制御剤として作用して、SiN選択性を増大させることを発見した。
【0031】
一実施形態において、不飽和一酸は、C-C不飽和一酸を含む。一例として、C-C不飽和一酸は、アクリル酸、2-ブテン酸、2-ペンテン酸、trans-2-ヘキセン酸、trans-3-ヘキセン酸、2-ヘキシン酸、2,4-ヘキサジエン酸、ソルビン酸カリウム、trans-2-メチル-2-ブテン酸、3,3-ジメチルアクリル酸、またはそれらの立体異性体を含むそれらの組み合わせを含み得る。
【0032】
別の実施形態において、C-C不飽和一酸は、2-ブテン酸(すなわち、クロトン酸またはトランス-2-ブテン酸)を含む。
【0033】
研磨組成物は、任意の適切な濃度の不飽和一酸を含み得る。不飽和一酸は、研磨組成物中に約1ppm以上、例えば、約5ppm以上、約10ppm以上、約20ppm以上、約30ppm以上、約40ppm以上、約50ppm以上、約75ppm以上、約100ppm以上、約125ppm以上、約150ppm以上、約175ppm以上、約200ppm以上、約250ppm以上、約300ppm以上、約350ppm以上、約400ppm以上、約450ppm以上、約500ppm以上、約550ppm以上、約600ppm以上、約650ppm以上、約700ppm以上、約750ppm以上、約800ppm以上、約850ppm以上、約900ppm以上、約950ppm以上、約1000ppm以上、約1250ppm以上、約1500ppm以上、約1750ppm以上、約2000ppm以上、約2250ppm以上、約2500ppm以上、約2750ppm以上、または約3000ppm以上の濃度で存在し得る。代替的に、または追加的に、不飽和一酸は、研磨組成物中に約5000ppm以下、例えば、約4900ppm以下、約4800ppm以下、約4700ppm以下、約4600ppm以下、約4500ppm以下、約4400ppm以下、約4300ppm以下、約4200ppm以下、約4100ppm以下、約4000ppm以下、約3900ppm以下、約3800ppm以下、約3700ppm以下、約3600ppm以下、約3500ppm以下、約3400ppm以下、約3300ppm以下、約3200ppm以下、または約3100ppm以下の濃度で存在し得る。したがって、不飽和一酸は、研磨組成物中に前述の端点のいずれか2つで区切られた範囲内の濃度で存在し得る。例えば、不飽和一酸は、研磨組成物中に約1ppm~約5000ppm、例えば、約5ppm~約4900ppm、約10ppm~約4800ppm、約20ppm~約4700ppm、約30ppm~約4600ppm、約40ppm~約4700ppm、約50ppm~約4600ppm、約75ppm~約4500ppm、約100ppm~約4400ppm、約125ppm~約4300ppm、約150ppm~約4200ppm、約175ppm~約4100ppm、約200ppm~約4000ppm、約250ppm~約3900ppm、約300ppm~約3800ppm、約350ppm~約3700ppm、約400ppm~約3600ppm、約450ppm~約3500ppm、約500ppm~約3400ppm、約550ppm~約3300ppm、約600ppm~約3200ppm、約650ppm~約3100ppm、約700ppm~約3000ppm、約750ppm~約2750ppm、約800ppm~約2500ppm、約850ppm~約2250ppm、約900ppm~約2000ppm、約1000ppm~約1750ppm、または約1250ppm~約1500ppmの濃度で存在し得る。
【0034】
一実施形態において、不飽和一酸は、研磨組成物中に約1ppm~約1500ppmの濃度で存在する。別の実施形態において、不飽和一酸は、研磨組成物中に約250ppm~約1000ppmの濃度で存在する。
【0035】
研磨組成物は水性キャリアを含む。水性キャリアは水(例えば、脱イオン水)を含み、1種以上の水混和性有機溶媒を含有してもよい。使用できる有機溶媒の例には、プロペニルアルコール、イソプロピルアルコール、エタノール、1-プロパノール、メタノール、1-ヘキサノール等のアルコール、アセチルアルデヒド等のアルデヒド、アセトン、ジアセトンアルコール、メチルエチルケトン等のケトン、ギ酸エチル、ギ酸プロピル、酢酸エチル、酢酸メチル、乳酸メチル、乳酸ブチル、乳酸エチル等のエステル、ジメチルスルホキシド(DMSO)、テトラヒドロフラン、ジオキサン、ジグリム等のスルホキシドを含むエーテル、N,N-ジメチルホルムアミド、ジメチルイミダゾリジノン、N-メチルピロリドン等のアミド、エチレングリコール、グリセロール、ジエチレングリコール、ジエチレングリコールモノメチルエーテル等の多価アルコールおよびその誘導体、ならびにアセトニトリル、アミルアミン、イソプロピルアミン、イミダゾール、ジメチルアミン等の窒素含有有機化合物が挙げられる。好ましくは、水性キャリアは水のみ、すなわち有機溶媒は存在しない。
【0036】
いくつかの実施形態において、研磨組成物は、添加剤をさらに含む。
【0037】
一実施形態において、添加剤は、存在する場合、殺生物剤、スケール防止剤、分散剤、速度向上剤、およびそれらの組み合わせから選択される。本発明の実施形態によれば、研磨組成物は、1種より多くのの添加剤(例えば、2種以上の添加剤、3種以上の添加剤、4種以上の添加剤等)を含んでもよい。
【0038】
殺生物剤は、存在する場合、任意の適切な殺生物剤であってもよく、研磨組成物中に任意の適切な量で存在し得る。適切な殺生物剤は、イソチアゾリノン殺生物剤である。殺生物剤は、研磨組成物中に約1ppm~約750ppm、好ましくは約100ppm~約200ppmの濃度で存在し得る。
【0039】
研磨組成物は、任意の好適なpHを有することができる。研磨組成物は、研磨組成物のpHを調整することができる(すなわち調整する)1種以上の化合物(すなわちpH調整剤)を含んでもよい。研磨組成物のpHは、研磨組成物のpHを調整することができる任意の適切な化合物を使用して調整され得る。pH調整剤は、望ましくは水溶性であり、研磨組成物の他の成分と適合性である。典型的には、研磨組成物は、使用ポイントで約4~約7のpHを有する。
【0040】
一実施形態において、研磨組成物のpHは、約3.0~約5.0(例えば、約3.5、約4、および/または約4.5)である。
【0041】
研磨組成物は、その多くが当業者に知られている任意の好適な技術によって調製することができる。研磨組成物は、バッチプロセスまたは連続プロセスで調製することができる。一般に、研磨組成物は、研磨組成物の成分を組み合わせることにより調製される。「成分」という用語は、本明細書で使用される場合、個々の成分(例えば、セリア研削粒子、カチオン性ポリマー、非イオン性ポリマー、飽和一酸、任意選択の不飽和一酸、任意選択のpH調整剤、および/またはいずれかの任意選択の添加剤)ならびに成分の任意の組み合わせ(例えば、セリア研削粒子、カチオン性ポリマー、非イオン性ポリマー、飽和一酸、任意選択の不飽和一酸、任意選択のpH調整剤、および/またはいずれかの任意選択の添加剤等)を含む。
【0042】
例えば、研磨組成物は、(i)水性キャリアの全部または一部を提供すること、(ii)セリア研削粒子、カチオン性ポリマー、非イオン性ポリマー、飽和一酸、任意選択の不飽和一酸、任意選択のpH調整剤、および/またはいずれかの任意選択の添加剤を、そのような分散液を調製するための任意の適切な手段を使用して分散すること、(iii)必要に応じて分散液のpHを調整すること、ならびに(iv)任意選択で、適切な量のいずれかの他の任意選択の成分および/または添加剤を混合物に添加することにより調製され得る。
【0043】
代替として、研磨組成物は、(i)1種以上の成分(例えば、水性キャリア、カチオン性ポリマー、非イオン性ポリマー、飽和一酸、任意選択の不飽和一酸、任意選択のpH調整剤、および/またはいずれかの任意選択の添加剤)を酸化セリウムスラリーに提供すること、(ii)添加剤溶液に1種以上の成分を提供すること(例えば、水性キャリア、カチオン性ポリマー、非イオン性ポリマー、飽和一酸、任意選択の不飽和一酸、任意選択のpH調整剤、および/またはいずれかの任意選択の添加剤)、(iii)酸化セリウムスラリーおよび添加剤溶液を組み合わせて混合物を形成すること、(iv)任意選択で、適切な量のいずれかの他の任意選択の添加剤を混合物に添加すること、ならびに(v)混合物のpHを適切に調整することにより調製され得る。
【0044】
研磨組成物は、セリア研削粒子、カチオン性ポリマー、非イオン性ポリマー、飽和一酸、任意選択の不飽和一酸、任意選択のpH調整剤、および/またはいずれかの任意選択の添加剤、ならびに水性キャリアを含む1パッケージ系として供給することができる。代替的に、本発明の研磨組成物は、第1のパッケージに酸化セリウムスラリーおよび第2のパッケージに添加剤溶液を含む2パッケージ系として供給され、酸化セリアスラリーは、セリア研削粒子、カチオン性ポリマー、任意選択のpH調整剤、および/またはいずれかの任意選択の添加剤、ならびに水性キャリアから本質的になり、またはそれらからなり、添加剤溶液は、非イオン性ポリマー、飽和一酸、任意選択の不飽和一酸、任意選択のpH調整剤、および/またはいずれかの任意選択の添加剤から本質的になる、またはそれらからなる。2パッケージ系では、2つのパッケージ、すなわち酸化セリウムスラリーおよび添加剤溶液のブレンド比を変更することにより、基板の全体的な平坦化特性および研磨速度を調整することができる。
【0045】
そのような2パッケージ研磨系(例えば、AパックおよびBパック)を利用するために、さまざまな方法を使用することができる。例えば、酸化セリウムスラリーおよび添加剤溶液は、供給配管の出口で接合および接続されたさまざまな配管によって研磨テーブルに送達され得る。酸化セリウムスラリーおよび添加剤溶液は、研磨のすぐ前または直前に混合されてもよく、または、研磨テーブル上で同時に供給されてもよい。さらに、2つのパッケージを混合する際、所望により脱イオン水を添加して、研磨組成物および得られる基板研磨特性を調整することができる。
【0046】
同様に、本発明に関連して、3、4、またはそれ以上のパッケージ系を利用することができ、複数の容器のそれぞれは、本発明の化学機械研磨組成物の異なる成分、1種以上の任意選択の成分、および/または異なる濃度の同じ成分の1種以上を含む。
【0047】
2つ以上の保管デバイスに収容される成分を混合して使用ポイントまたはその付近で研磨組成物を生成するために、保管デバイスには、典型的には、各保管デバイスから研磨組成物の使用ポイント(例えば、プラテン、研磨パッド、または基板表面)につながる1つ以上のフローラインが提供される。本明細書で使用される場合、「使用ポイント」という用語は、研磨組成物が基板表面(例えば、研磨パッドまたは基板表面自体)に適用されるポイントを指す。「フローライン」という用語は、個別の保管容器からそこに保管されている成分の使用ポイントまでの、流れの経路を意味する。フローラインはそれぞれ使用ポイントに直接つながるか、または2つ以上のフローラインが、任意の場所で、使用ポイントにつながる単一のフローラインに結合され得る。さらに、フローライン(例えば、個別のフローラインまたは結合されたフローライン)のいずれかは、成分の使用ポイントに到達するのに先立ち、まず1つ以上の他のデバイス(例えば、ポンプデバイス、測定デバイス、混合デバイス等)につながってもよい。
【0048】
研磨組成物の成分は、独立して使用ポイントに送達されてもよく(例えば、成分は基板表面に送達され、その後研磨プロセス中に成分が混合される)、または成分の1種以上が、使用ポイントに送達される前、例えば使用ポイントへの送達のすぐ前もしくは直前に混合されてもよい。成分が混合形態でプラテンに追加される約5分以内前に、例えば混合形態でプラテンに添加される約4分以内、約3分以内、約2分以内、約1分以内、約45秒(s)以内、約30秒以内、約10秒以内前に組み合わされる場合、または使用ポイントへの成分の送達と同時に組み合わされる場合(例えば、成分は、分注器で組み合わされる)、成分は、「使用ポイントへの送達直前に」組み合わされる。成分はまた、成分が使用ポイントの5分(m)以内、例えば、使用ポイントの1m以内で、またはさらには使用ポイントの10cm以内で(例えば、使用ポイントの1cm以内で)混合される場合、「使用ポイントへの送達直前に」組み合わされる。
【0049】
研磨組成物の2種以上の成分が使用ポイントに到達する前に混合される場合、成分はフローラインで混合され、混合デバイスを使用せずに使用ポイントに送達されることができる。あるいは、1つ以上のフローラインは混合デバイスにつながり、2種以上の成分の混合を促進することができる。任意の好適な混合デバイスを使用することができる。例えば、混合デバイスは、2種以上の成分が流れるノズルまたはジェット(例えば、高圧ノズルまたは高圧ジェット)であり得る。代替的に、混合デバイスは、研磨スラリーの2種以上の成分がミキサーに導入される1つ以上の注入口と、混合された成分がミキサーから出て、直接または装置の他の要素を介して(例えば、1つ以上のフローラインを介して)使用ポイントに送達される少なくとも1つの排出口とを含む、容器型混合デバイスであってもよい。さらに、混合デバイスは1つより多くのチャンバを備えることができ、各チャンバは少なくとも1つの注入口と少なくとも1つの排出口を有し、各チャンバで2種以上の成分が混合される。容器型混合デバイスを使用する場合、混合デバイスは成分の混合をさらに促進するための、混合機構を備えることが好ましい。混合機構は当該技術分野で通常既知であり、スターラー、ブレンダー、撹拌機、パドル付きバッフル、ガススパージャーシステム、バイブレーター等を含む。
【0050】
研磨組成物はまた、使用前に適切な量の水で希釈することを意図した濃縮物として提供され得る。そのような実施形態において、研磨組成物濃縮物は、適切な量の水で濃縮物を希釈すると、研磨組成物の各成分が、研磨組成物中に上に列挙された各成分の適切な範囲内の量で存在するような量で、研磨組成物の成分を含むことができる。例えば、セリア研削粒子、カチオン性ポリマー、非イオン性ポリマー、飽和一酸、任意選択のpH調整剤、および/またはいずれかの任意選択の添加剤はそれぞれ、濃縮物中に、各成分について上記した濃度の約2倍(例えば、約3倍、約4倍、または約5倍)の量で存在してもよく、したがって、濃縮物が等量の水(例えば、それぞれ、2等量の水、3等量の水、または4等量の水)で希釈される場合、各成分は、研磨組成物中に、各成分について上記した範囲内の量で存在することになる。さらに、当業者には理解されるように、濃縮物は、カチオン性ポリマー、非イオン性ポリマー、飽和一酸、任意選択の不飽和一酸、任意選択のpH調整剤、および/またはいずれかの任意選択の添加剤が少なくとも部分的にまたは完全に濃縮物中に溶解することを確実にするために、最終研磨組成物中に存在する適切な割合の水を含有し得る。望ましくは、本発明の研磨組成物は、使用ポイントでの研磨組成物よりも4倍濃縮された濃縮物の形態である場合、コロイド的に安定である。
【0051】
本発明は、基板を化学機械的に研磨する方法であって、(i)基板の表面上に誘電体層を含む基板を提供することと、(ii)研磨パッドを提供することと、(iii)(a)セリア研削粒子、(b)カチオン性ポリマー、(c)ポリエチレングリコールオクタデシルエーテル、ポリエチレングリコールラウリルエーテル、ポリエチレングリコールオレイルエーテル、ポリ(エチレン)-co-ポリ(エチレングリコール)、オクチルフェノキシポリ(エチレンオキシ)エタノール、またはそれらの組み合わせを含む非イオン性ポリマー、(d)飽和一酸、および(e)水性キャリアを含む、化学機械研磨組成物を提供することと、(iv)基板を研磨パッドおよび化学機械研磨組成物と接触させることと、(v)研磨パッドおよび化学機械研磨組成物を基板に対して動かし、基板の表面上の誘電体層の少なくとも一部を研削することと、を含む方法を提供する。
【0052】
研磨組成物は、任意の適切な基板を研磨するために使用することができ、誘電材料で構成された少なくとも1つの層(典型的には表面層)を含む基板の研磨に特に有用である。適切な基板は、半導体産業で使用されるウエハを含む。ウエハは、典型的には、例えば、金属、金属酸化物、金属窒化物、金属複合体、金属合金、低誘電材料、またはそれらの組み合わせを含む、またはそれらからなる。本発明の方法は、酸化ケイ素、窒化ケイ素、および/またはポリシリコン、例えば、前述の材料のいずれか1つ、2つ、または特に3つ全てを含む基板を研磨するのに特に有用である。
【0053】
いくつかの実施形態において、誘電体層(例えば酸化ケイ素)を含む基板は、窒化ケイ素層をさらに含む。
【0054】
ある特定の実施形態において、基板は、酸化ケイ素および/または窒化ケイ素と組み合わせたポリシリコンを含む。ポリシリコンは、任意の適切なポリシリコンであってもよく、その多くは当該技術分野において知られている。ポリシリコンは、任意の適切な相を有することができ、非晶質、結晶、またはそれらの組み合わせであってもよい。
【0055】
一実施形態において、誘電体層は、酸化ケイ素を含む。酸化ケイ素も同様に、任意の適切な酸化ケイ素であってもよく、その多くの形態は当該技術分野において知られている。適切なタイプの酸化ケイ素は、これらに限定されないが、ボロホスホシリケートガラス(BPSG)、プラズマ強化オルトケイ酸テトラエチル(PETEOS)、熱酸化物、非ドープケイ酸塩ガラス、および高密度プラズマ(HDP)酸化物を含む。
【0056】
本発明の研磨組成物は、望ましくは、本発明の方法に従って酸化ケイ素を含む基板を研磨する際に高い除去速度を示す。例えば、HDP酸化物および/またはPETEOSおよび/またはオルトケイ酸テトラエチル(TEOS)等、本発明の実施形態による酸化ケイ素を含むシリコンウエハを研磨する場合、研磨組成物は、望ましくは、約500Å/分以上、例えば、約550Å/分以上、約600Å/分以上、約650Å/分以上、約700Å/分以上、約750Å/分以上、約800Å/分以上、約850Å/分以上、約900Å/分以上、約950Å/分以上、約1000Å/分以上、約1100Å/分以上、約1200Å/分以上、約1300Å/分以上、約1400Å/分以上、約1500Å/分以上、約1600Å/分以上、約1700Å/分以上、約1800Å/分以上、約1900Å/分以上、約2000Å/分以上、約2100Å/分以上、約2200Å/分以上、約2300Å/分以上、約2400Å/分以上、約2500Å/分以上、約2600Å/分以上、約2700Å/分以上、約2800Å/分以上、約2900Å/分以上、約3000Å/分以上、約3100Å/分以上、約3200Å/分以上、約3300Å/分以上、約3400Å/分以上、約3500Å/分以上、約3600Å/分以上、約3700Å/分以上、約3800Å/分以上、約3900Å/分以上、約4000Å/分以上、約4100Å/分以上、約4200Å/分以上、約4300Å/分以上、約4400Å/分以上、約4500Å/分以上、約4600Å/分以上、約4700Å/分以上、約4800Å/分以上、約4900Å/分以上、または約5000Å/分以上の酸化ケイ素の除去速度を示す。
【0057】
本発明の研磨組成物は、望ましくは、本発明の方法に従って窒化ケイ素を含む基板を研磨する際に低い除去速度を示す。例えば、本発明の実施形態に従って窒化ケイ素を含むシリコンウエハを研磨する際、研磨組成物は、望ましくは、約500Å/分以下、例えば、400Å/分以下、約300Å/分以下、約200Å/分以下、約100Å/分以下、約90Å/分以下、約80Å/分以下、約70Å/分以下、約60Å/分以下、または約50Å/分以下、約40Å/分以下、約30Å/分以下、約20Å/分以下、約10Å/分以下、約5Å/分以下、約3Å/分以下、または約1Å/分以下の窒化ケイ素除去速度を示す。いくつかの実施形態において、研磨組成物は、検出不可能なほど低い窒化ケイ素除去速度を示す。
【0058】
本発明の化学機械研磨組成物は、特定の薄層材料に選択的な所望の研磨範囲で効果的な研磨を提供し、同時に表面不良、欠陥、腐食、浸食、およびストップ層の除去を最小化するように調整され得る。特定の理論に束縛されることを望まないが、適切な欠陥性能は、少なくとも部分的には、セリア研削粒子の研磨パッドへの付着力の低下に起因すると考えられている。研磨パッドへのセリア研削粒子の付着が減少すると、研磨中の下向きの力が高くなる(例えば、1平方インチあたり4ポンド(psi))。さらに、選択性は、研磨組成物の成分の相対濃度を変えることにより、ある程度制御することができる。望ましい場合には、本発明の化学機械研磨組成物を使用して、約5:1以上(例えば、約10:1以上、約15:1以上、約25:1以上、約50:1以上、約100:1以上、約150:1以上、約200:1以上、約250:1以上、約300:1以上、約350:1以上、約400:1以上、約450:1以上、または約500:1以上)の酸化ケイ素除去速度対窒化ケイ素除去速度の比(すなわち選択性)で基板を研磨することができる。
【0059】
本発明の研磨組成物および方法は、化学機械研磨装置とともに使用するのに特に適している。典型的には、その装置は、使用時に、運動し、軌道運動、直線運動、または円運動から生じる速度を有するプラテンと、プラテンと接触して運転時にプラテンとともに動く研磨パッドと、研磨パッドの表面に対して基板を接触させて動かすことにより研磨されるように基板を保持するキャリアとを含む。基板の研磨は、基板が研磨パッドおよび本発明の研磨組成物と接触するように配置され、次いで研磨パッドを基板に対して動かして、基板の少なくとも一部を研削して基板を研磨することにより行われる。
【0060】
基板は、任意の適切な研磨パッド(例えば研磨表面)を使用して研磨組成物で研磨することができる。好適な研磨パッドには、例えば、織布および不織布の研磨パッドが含まれる。さらに、好適な研磨パッドは、さまざまな密度、硬度、厚さ、圧縮率、圧縮時に反発する能力、および圧縮弾性率の任意の好適なポリマーを含むことができる。好適なポリマーには、例えば、ポリ塩化ビニル、ポリフッ化ビニル、ナイロン、フルオロカーボン、ポリカーボネート、ポリエステル、ポリアクリレート、ポリエーテル、ポリエチレン、ポリアミド、ポリウレタン、ポリスチレン、ポリプロピレン、それらの成形製品、およびそれらの混合物を含み得る。軟質ポリウレタン研磨パッドは、本発明の研磨方法との併用において特に有用である。典型的なパッドは、これらに限定されないが、SURFIN(商標)000、SURFIN(商標)SSW1、SPM3100(例えばEminess Technologiesから市販されている)、POLITEX(商標)、NEXPLANAR(登録商標)E6088(Cabot Microelectronics、Aurora、IL)、およびFujibo POLYPAS(商標)27を含む。好ましい研磨パッドは、Cabot Microelectronicsから市販されているEPIC(商標)D100パッドである。別の好ましい研磨パッドは、NEXPLANAR(登録商標)E6088である。
【0061】
望ましくは、化学機械研磨装置は、現場で研磨の端点を検出するシステムをさらに備え、その多くは当技術分野で知られている。研磨する基板の表面から反射する光または他の放射を分析することによる研磨プロセスを検査および監視する技術は、当技術分野で知られている。そのような方法は、例えば、米国特許第5,196,353号、米国特許第5,433,651号、米国特許第5,609,511号、米国特許第5,643,046号、米国特許第5,658,183号、米国特許第5,730,642号、米国特許第5,838,447号、米国特許第5,872,633号、米国特許第5,893,796号、米国特許第5,949,927号、および米国特許第5,964,643号に記載されている。望ましくは、研磨する基板に関する研磨プロセスの進行の検査または監視により、研磨の端点の決定、すなわち特定の基板に関する研磨プロセスをいつ終了するかの決定が可能になる。
【0062】
実施形態
(1)実施形態(1)では、(a)セリア研削粒子、(b)カチオン性ポリマー、(c)ポリエチレングリコールオクタデシルエーテル、ポリエチレングリコールラウリルエーテル、ポリエチレングリコールオレイルエーテル、ポリ(エチレン)-co-ポリ(エチレングリコール)、オクチルフェノキシポリ(エチレンオキシ)エタノール、またはそれらの組み合わせを含む非イオン性ポリマー、(d)飽和一酸、および(e)水性キャリアを含む化学機械研磨組成物が提示される。
【0063】
(2)実施形態(2)では、セリア研削粒子が、か焼セリア粒子、湿式セリア粒子、湿式ベース加工セリア粒子、またはそれらの組み合わせを含む、実施形態(1)の研磨組成物が提示される。
【0064】
(3)実施形態(3)では、セリア研削粒子が、研磨組成物中に約0.0005質量%~約10質量%の濃度で存在する、実施形態(1)または(2)の研磨組成物が提示される。
【0065】
(4)実施形態(4)では、カチオン性ポリマーが、ポリ(ジアリルジメチルアンモニウムクロリド)-co-ポリ(アクリルアミド)、ポリ(2-ジメチルアミノ)エチルメタクリレート)メチルクロリド4級塩、ポリ(ジアリルジメチルアンモニウムクロリド)、ポリビニルメチルイミダゾリウムメチルサルフェート、ポリ(ジメチルアミン-co-エピクロロヒドリン)、ポリ(ビニルメチルイミダゾリウムメチルサルフェート)-co-ポリ(ビニルピロリドン)、ポリ(ビニルメチルイミダゾリウムクロリド)-co-ポリ(N-ビニルピロリドン)、ポリ(ビニルピロリドン)-co-ポリ(メタクリルアミド)-co-ポリ(ビニルイミダゾール)-co-ポリ(ビニルメチルイミダゾリウムメチルサルフェート)、ポリ(ビニルピロリドン)-co-ポリ(ジメチルアミノエチルメタクリレートメチルサルフェート)、ポリ(ビニルカプロラクタム)-co-ポリ(ビニルピロリドン)-co-ポリ(ビニルメチルイミダゾリウムメチルサルフェート)、またはそれらの組み合わせを含む、実施形態(1)~(3)のいずれか1つの研磨組成物が提示される。
【0066】
(5)実施形態(5)では、カチオン性ポリマーが、研磨組成物中に約0.0005質量%~約0.025質量%の濃度で存在する、実施形態(1)~(4)のいずれか1つの研磨組成物が提示される。
【0067】
(6)実施形態(6)では、非イオン性ポリマーが、研磨組成物中に約0.0005質量%~約0.5質量%の濃度で存在する、実施形態(1)~(5)のいずれか1つの研磨組成物が提示される。
【0068】
(7)実施形態(7)では、飽和一酸が、ギ酸、酢酸、プロパン酸、ブタン酸、ペンタン酸、ヘキサン酸、またはそれらの組み合わせを含む、実施形態(1)~(6)のいずれか1つの研磨組成物が提示される。
【0069】
(8)実施形態(8)では、飽和一酸が、研磨組成物中に約0.0001質量%~約0.5質量%の濃度で存在する、実施形態(1)~(7)のいずれか1つの研磨組成物が提示される。
【0070】
(9)実施形態(9)では、殺生物剤、スケール防止剤、分散剤、pH調整剤、およびそれらの組み合わせから選択される添加剤をさらに含む、実施形態(1)~(8)のいずれか1つの研磨組成物が提示される。
【0071】
(10)実施形態(10)では、研磨組成物のpHが、約3.0~約5.0である、実施形態(1)~(9)のいずれか1つの研磨組成物が提示される。
【0072】
(11)実施形態(11)では、不飽和一酸をさらに含む、実施形態(1)~(10)のいずれか1つの研磨組成物が提示される。
【0073】
(12)実施形態(12)では、不飽和一酸が、C-C不飽和一酸を含む、実施形態(11)の研磨組成物が提示される。
【0074】
(13)実施形態(13)では、C-C不飽和一酸が、アクリル酸、2-ブテン酸、2-ペンテン酸、trans-2-ヘキセン酸、trans-3-ヘキセン酸、2-ヘキシン酸、2,4-ヘキサジエン酸、ソルビン酸カリウム、trans-2-メチル-2-ブテン酸、3,3-ジメチルアクリル酸、またはそれらの立体異性体を含むそれらの組み合わせを含む、実施形態(12)の研磨組成物が提示される。
【0075】
(14)実施形態(14)では、C-C不飽和一酸が、2-ブテン酸を含む、実施形態(13)の研磨組成物が提示される。
【0076】
(15)実施形態(15)では、不飽和一酸が、研磨組成物中に約0.0001質量%~約0.5質量%の濃度で存在する、実施形態(11)~(14)のいずれか1つの研磨組成物が提示される。
【0077】
(16)実施形態(16)では、基板を化学機械的に研磨する方法であって、(i)基板の表面上に誘電体層を含む基板を提供することと、(ii)研磨パッドを提供することと、(iii)(a)セリア研削粒子、(b)カチオン性ポリマー、(c)ポリエチレングリコールオクタデシルエーテル、ポリエチレングリコールラウリルエーテル、ポリエチレングリコールオレイルエーテル、ポリ(エチレン)-co-ポリ(エチレングリコール)、オクチルフェノキシポリ(エチレンオキシ)エタノール、またはそれらの組み合わせを含む非イオン性ポリマー、(d)飽和一酸、および(e)水性キャリアを含む、化学機械研磨組成物を提供することと、(iv)基板を研磨パッドおよび化学機械研磨組成物と接触させることと、(v)研磨パッドおよび化学機械研磨組成物を基板に対して動かし、基板の表面上の誘電体層の少なくとも一部を研削することと、を含む方法が提示される。
【0078】
(17)実施形態(17)では、セリア研削粒子が、か焼セリア粒子、湿式セリア粒子、湿式ベース加工セリア粒子、またはそれらの組み合わせを含む、実施形態(16)の方法が提示される。
【0079】
(18)実施形態(18)では、セリア研削粒子が、研磨組成物中に約0.0005質量%~約10質量%の濃度で存在する、実施形態(16)または(17)の方法が提示される。
【0080】
(19)実施形態(19)では、カチオン性ポリマーが、ポリ(ジアリルジメチルアンモニウムクロリド)-co-ポリ(アクリルアミド)、ポリ(2-ジメチルアミノ)エチルメタクリレート)メチルクロリド4級塩、ポリ(ジアリルジメチルアンモニウムクロリド)、ポリビニルメチルイミダゾリウムメチルサルフェート、ポリ(ジメチルアミン-co-エピクロロヒドリン)、ポリ(ビニルメチルイミダゾリウムメチルサルフェート)-co-ポリ(ビニルピロリドン)、ポリ(ビニルメチルイミダゾリウムクロリド)-co-ポリ(N-ビニルピロリドン)、ポリ(ビニルピロリドン)-co-ポリ(メタクリルアミド)-co-ポリ(ビニルイミダゾール)-co-ポリ(ビニルメチルイミダゾリウムメチルサルフェート)、ポリ(ビニルピロリドン)-co-ポリ(ジメチルアミノエチルメタクリレートメチルサルフェート)、ポリ(ビニルカプロラクタム)-co-ポリ(ビニルピロリドン)-co-ポリ(ビニルメチルイミダゾリウムメチルサルフェート)、またはそれらの組み合わせを含む、実施形態(16)~(18)のいずれか1つの方法が提示される。
【0081】
(20)実施形態(20)では、カチオン性ポリマーが、研磨組成物中に約0.0005質量%~約0.025質量%の濃度で存在する、実施形態(16)~(19)のいずれか1つの方法が提示される。
【0082】
(21)実施形態(21)では、非イオン性ポリマーが、研磨組成物中に約0.0005質量%~約0.5質量%の濃度で存在する、実施形態(16)~(20)のいずれか1つの方法が提示される。
【0083】
(22)実施形態(22)では、飽和一酸が、ギ酸、酢酸、プロパン酸、ブタン酸、ペンタン酸、ヘキサン酸、またはそれらの組み合わせを含む、実施形態(16)~(21)のいずれか1つの方法が提示される。
【0084】
(23)実施形態(23)では、飽和一酸が、研磨組成物中に、約0.0001質量%~約0.5質量%の濃度で存在する、実施形態(16)~(22)のいずれか1つの方法が提示される。
【0085】
(24)実施形態(24)では、殺生物剤、スケール防止剤、分散剤、pH調整剤、およびそれらの組み合わせから選択される添加剤をさらに含む、実施形態(16)~(23)のいずれか1つの方法が提示される。
【0086】
(25)実施形態(25)では、研磨組成物のpHが、約3.0~約5.0である、実施形態(16)~(24)のいずれか1つの方法が提示される。
【0087】
(26)実施形態(26)では、研磨組成物が、不飽和一酸をさらに含む、実施形態(16)~(25)のいずれか1つの方法が提示される。
【0088】
(27)実施形態(27)では、不飽和一酸が、C-C不飽和一酸を含む、実施形態(26)の方法が提示される。
【0089】
(28)実施形態(28)では、C-C不飽和一酸が、アクリル酸、2-ブテン酸、2-ペンテン酸、trans-2-ヘキセン酸、trans-3-ヘキセン酸、2-ヘキシン酸、2,4-ヘキサジエン酸、ソルビン酸カリウム、trans-2-メチル-2-ブテン酸、3,3-ジメチルアクリル酸、またはそれらの立体異性体を含むそれらの組み合わせを含む、実施形態(27)の方法が提示される。
【0090】
(29)実施形態(29)では、C-C不飽和一酸が、2-ブテン酸を含む、実施形態(28)の方法が提示される。
【0091】
(30)実施形態(30)では、不飽和一酸が、研磨組成物中に、約0.0001質量%~約0.5質量%の濃度で存在する、実施形態(26)~(29)のいずれか1つの方法が提示される。
【0092】
(31)実施形態(31)では、誘電体層が、酸化ケイ素を含む、実施形態(16)~(30)のいずれか1つの方法が提示される。
【0093】
(32)実施形態(32)では、基板が、基板の表面上に窒化ケイ素(SiN)層をさらに含む、実施形態(16)~(31)のいずれか1つの方法が提示される。
【0094】
(33)実施形態(33)では、酸化ケイ素を含む誘電体層の少なくとも一部および窒化ケイ素層の少なくとも一部が研削されて基板が研磨される、実施形態(32)の方法が提示される。
【0095】
(34)実施形態(34)では、酸化ケイ素を含む誘電体層の研削が酸化ケイ素除去速度を提供し、窒化ケイ素層の研削が窒化ケイ素除去速度を提供し、酸化ケイ素除去速度対窒化ケイ素除去速度の比は、約15対1より大きい、実施形態(33)の方法が提示される。
【0096】
(35)実施形態(35)では、酸化ケイ素除去速度対窒化ケイ素除去速度の比は、約350対1より大きい、実施形態(34)の方法が提示される。
【実施例
【0097】
以下の例は、本発明をさらに説明するが、もちろん、その範囲を限定するものとして決して解釈されるべきではない。
【0098】
以下の略語が例全体で使用されている:除去速度(RR);オルトケイ酸テトラエチル由来の酸化ケイ素(TEOS);窒化ケイ素(SiN);除去速度(RR);分子量(MW);およびポリエチレングリコール(PEG)。
【0099】
以下の例では、MIRRA(商標)(Applied Materials,Inc.)またはREFLEXION(商標)ツール(Applied Materials,Inc.)のいずれかを使用して、酸化ケイ素誘電体層および窒化ケイ素層を含む基板を研磨した。100μmの窒化ケイ素を含むパターン化されたウエハを、Silyb Inc.から得た。全ての組成物に対して、IC1010(商標)研磨パッド(Rohm and Haas Electronic Materials)またはNEXPLANAR(登録商標)E6088研磨パッド(Cabot Microelectronics、Aurora、IL)を使用した。除去速度は、分光偏光解析法を使用してフィルムの厚さを測定し、初期厚さから最終厚さを差し引くことによって計算された。
【0100】
全てのMIRRA(商標)(200mm)実験において、Aパック(セリア粒子を含む)の場合は105mL/分で、Bパックの場合は45mL/分で研磨組成物を流すか、または150mL/分で流し込み、7:3の混合比(Aパック対Bパック)で予備混合した。ツール条件は、典型的には、約13kPa~約21kPa(例えば約2~3psi)の下向きの力;100rpmのプラテン速度;85rpmのヘッド速度;平均的な強さのコンディショナーを有するハードパッド(例えばSAESOL(商標)-C7)。
【0101】
全てのREFLEXION(商標)(300mm)実験において、Aパック(セリア粒子を含む)の場合は175mL/分、Bパックの場合は75mL/分で研磨組成物を流すか、または250mL/分で流し込み、7:3の混合比(Aパック対Bパック)で予備混合した。ツール条件は、典型的には、約13kPa~約21kPa(例えば約2~3psi)の下向きの力;93rpmのヘッド速度;87rpmプラテン速度;平均的な強さのコンディショナーを有する持つハードパッド。
【0102】
例1
この例は、セリア研削粒子、カチオン性ポリマー、ポリエチレングリコールオクタデシルエーテルを含む非イオン性ポリマー、飽和一酸、および水性キャリアを含む化学機械研磨組成物の有効性を実証する。この例はまた、本発明の実施形態に従って、基板を化学機械的に研磨する方法を実証する。
【0103】
基板の表面上の誘電体層および基板の表面上の窒化ケイ素(SiN)層(0.18×0.18μmパターンサイズ)(セルDフィーチャ)をそれぞれ含む個別の基板を、5つの異なる研磨組成物1A~1Eで研磨し、ブランケット研磨性能およびパターン研磨性能を評価した。IC1010(商標)パッドまたはNEXPLANAR(商標)E6088パッドのいずれかを使用して、300mmプラテンを有するREFLEXION(商標)研磨ツールで基板を研磨した。
【0104】
研磨組成物1A(比較)は、0.29質量%のセリア研削粒子および速度向上剤としての0.05質量%のピコリン酸を含んでいた。研磨組成物1B(比較)は、0.2質量%のセリア研削粒子、0.035質量%のピコリン酸、および従来のディッシング制御剤としての0.0065質量%の3,5-ジヒドロキシ安息香酸、従来のディッシング制御剤としての0.12質量%のポリビニルアルコールポリマー、および従来のプロファイル制御剤としての0.00624質量%のポリエチレングリコールを含んでいた。研磨組成物1C(比較)は、0.2質量%のセリア研削粒子、0.035質量%のピコリン酸、従来のディッシング制御剤としての0.032質量%の1,3,5-トリヒドロキシベンゼン二水和物、従来のディッシング制御剤としての0.06質量%のポリビニルアルコールポリマー、0.03質量%のポリポリ(エチレングリコール)ビス(カルボキシメチル)エーテル、および従来のプロファイル制御剤としての0.002質量%のCAPSTONE(商標)FS3100(すなわち非イオン性フルオロ界面活性剤)を含んでいた。
【0105】
研磨組成物1D(発明)および1E(発明)はそれぞれ、0.20質量%のセリア研削粒子および速度向上剤としての0.035質量%のピコリン酸を含んでいた。研磨組成物1Dは、カチオン性ポリマーとしての0.004質量%のポリ(2-ジメチルアミノ)エチルメタクリレート)メチルクロリド4級塩、飽和一酸としての0.045質量%の酢酸、および非イオン性ポリマーとしての0.02質量%のポリエチレングリコールオクタデシルエーテルを含んでいた。研磨組成物1Eは、カチオン性ポリマーとしての0.003質量%のポリ(2-ジメチルアミノ)エチルメタクリレート)メチルクロリド4級塩、飽和一酸としての0.045質量%の酢酸、非イオン性ポリマーとしての0.02質量%のポリエチレングリコールオクタデシルエーテル、不飽和一酸としての0.0768質量%のクロトン酸を含んでいた。
【0106】
研磨組成物1A~1Eはそれぞれ、コンディショナーとしてSAESOL(商標)-C7またはSAESOL(商標)-DS8051も含んでいた。全ての研磨組成物はまた、トリエタノールアミンでpH4.0に調整された。
【0107】
研磨後、TEOSおよび窒化ケイ素のブランケット除去速度を測定した。ディッシング、浸食、およびSiN損失性能も計算した。結果を表1に示す。
【表1】
【0108】
表1に示される結果から明らかなように、本発明の研磨組成物1Dおよび1Eは、適切なTEOS除去速度および選択性を維持しながら、改善されたディッシング、浸食、およびSiN損失(より少ない数)を示した。小さな不飽和一酸を含む研磨組成物1Eは、ブランケット除去速度を犠牲にすることなくパターン性能をさらに改善する。例えば、研磨組成物1Eによって示されるSiN損失は、3000A/分超のTEOS RRを維持する一方で、測定不可能なほど低かった。
【0109】
さらに、本発明の研磨組成物1Dおよび1Eは、TEOSおよびSiNとの間に望ましい選択性を示した。例えば、研磨組成物1Dは、約128対1の酸化ケイ素除去速度対窒化ケイ素除去速度の比を示し、研磨組成物1Eは、約300対1の酸化ケイ素除去速度対窒化ケイ素除去速度の比を示した。
【0110】
例2
この例は、セリア研削粒子、カチオン性ポリマー、ポリエチレングリコールオクタデシルエーテルを含む非イオン性ポリマー、飽和一酸、および水性キャリアを含む化学機械研磨組成物の有効性を実証する。この例はまた、本発明の実施形態に従って、基板を化学機械的に研磨する方法を実証する。
【0111】
基板の表面上の誘電体層および基板の表面上の窒化ケイ素(SiN)層(セルDフィーチャ)をそれぞれ含む個別の基板を、2つの異なる研磨組成物2Aおよび2Bで研磨し、ブランケット研磨性能とパターン研磨性能を評価した。各基板を、約1000Aの端点まで過剰に研磨した。
【0112】
研磨組成物2A(比較)は、0.20質量%のセリア研削粒子、および従来のディッシング制御剤としての0.0065質量%の3,5-ジヒドロキシ安息香酸、従来のディッシング制御剤としての0.12質量%のポリビニルアルコールポリマー、および従来のプロファイル制御剤としての0.00624質量%のポリエチレングリコールを含んでいた。研磨組成物2B(発明)は、0.20質量%のセリア研削粒子、0.035質量%のピコリン酸、カチオン性ポリマーとして0.004質量%のポリ(2-ジメチルアミノ)エチルメタクリレート)メチルクロリド4級塩、飽和一酸としての0.045質量%の酢酸、および非イオン性ポリマーとしての0.020質量%のポリエチレングリコールオクタデシルエーテルを含んでいた。
【0113】
研磨組成物2Aおよび2Bはまたそれぞれ、コンディショナーとしてSAESOL(商標)-DS8051を含んでいた。組成物2Bはまた、トリエタノールアミンでpH4.0に調整された。
【0114】
研磨後、TEOSおよび窒化ケイ素のブランケット除去速度を測定した。ディッシング、浸食、およびSiN損失性能も計算した。結果を表2に示す。
【表2】
【0115】
表2に示される結果から明らかなように、本発明の研磨組成物2Bは、適切なTEOS除去速度および選択性を維持しながら、改善されたディッシング、浸食、およびSiN損失(より少ない数)を示した。本発明の研磨組成物2Bは、約300:1~約367:1の酸化ケイ素除去速度対窒化ケイ素除去速度の比を示し、比較研磨組成物2Aの選択性よりも約3倍大きいTEOS:SiN選択性を示した。さらに、研磨組成物2Bにより示されるディッシングは、比較研磨組成物2Aのディッシングの約1/2~1/4倍であり、また、研磨組成物2Bにより示されるSiN損失は、比較研磨組成物2Aにより示されるSiN損失よりも下向き圧力で50%も少なかった。
【0116】
例3
この例は、セリア研削粒子、カチオン性ポリマー、ポリエチレングリコールオクタデシルエーテルを含む非イオン性ポリマー、飽和一酸、および水性キャリアを含む化学機械研磨組成物の有効性を実証する。この例はまた、本発明の実施形態に従って、基板を化学機械的に研磨する方法を実証する。
【0117】
基板の表面上の誘電体層および基板の表面上の窒化ケイ素(SiN)層(セルDフィーチャ)をそれぞれ含む個別の基板を、4つの異なる研磨組成物3A~3Dで研磨し、ブランケット研磨性能およびパターン研磨性能を評価した。
【0118】
研磨組成物3A(比較)は、0.2質量%のセリア研削粒子、および0.035質量%のピコリン酸、従来のディッシング制御剤としての0.032質量%の1,3,5-トリヒドロキシベンゼン二水和物、従来のディッシング制御剤としての0.20質量%のポリビニルアルコールポリマー、0.03質量%のポリ(エチレングリコール)ビス(カルボキシメチル)エーテル、および従来のプロファイル制御剤としての0.002質量%のCapstone(商標)FS3100を含んでいた。研磨組成物3B(比較)は、0.20質量%のセリア研削粒子、および従来のディッシング制御剤としての0.0065質量%の3,5-ジヒドロキシ安息香酸、従来のディッシング制御剤としての0.12質量%のポリビニルアルコールポリマー、および従来のプロファイル制御剤としての0.0062質量%の%ポリエチレングリコールを含んでいた。
【0119】
研磨組成物3C(発明)は、0.2質量%のセリア研削粒子、カチオン性ポリマーとしての0.004質量%のポリ(2-ジメチルアミノ)エチルメタクリレート)メチルクロリド4級塩、飽和一酸として0.045質量%の酢酸、および非イオン性ポリマーとしての0.02質量%のポリエチレングリコールオクタデシルエーテルを含んでいた。研磨組成物3D(発明)は、0.20質量%のセリア研削粒子、カチオン性ポリマーとしての0.004質量%のポリ(2-ジメチルアミノ)エチルメタクリレート)メチルクロリド4級塩、飽和一酸としての0.045質量%の酢酸、非イオン性ポリマーとしての0.02質量%のポリエチレングリコールオクタデシルエーテル、および不飽和一酸としての0.0768質量%のクロトン酸を含んでいた。
【0120】
研磨組成物3A~3Dはまたそれぞれ、コンディショナーとしてSAESOL(商標)-DS8051を含んでいた。全ての研磨組成物はまた、トリエタノールアミンでpH4.0に調整された。
【0121】
研磨後、TEOSおよび窒化ケイ素のブランケット除去速度を測定した。ディッシング、浸食、およびSiN損失の性能も計算した。結果を表3に示す。
【表3】
【0122】
表3に示される結果から明らかなように、本発明の研磨組成物3Cおよび3Dは、適切なTEOS除去速度および選択性を維持しながら、改善されたディッシング、浸食、およびSiN損失(より少ない数)を示した。本発明の研磨組成物3Cおよび3Dは、約125:1~約310:1を超える酸化ケイ素除去速度対窒化ケイ素除去速度の比を示し、比較研磨組成物3Bの選択性よりも約3倍大きいTEOS:SiN選択性を示した。さらに、研磨組成物3Cおよび3Dによって示されるディッシングは、比較研磨組成物3Aおよび3Bの約1/3~1/7倍であり、研磨組成物3Dによって示されたSiN損失は、適切なTEOS除去速度および選択性を示す一方で、検出不可能なほど低かった。
【0123】
本明細書に引用された刊行物、特許出願および特許を含む全ての参考文献は、各参考文献が個々にかつ具体的に参照により組み込まれることが示され、その全体が本明細書に記載されているのと同じ程度に参照により本明細書に組み込まれる。
【0124】
(特に以下の特許請求の範囲の文脈において)本発明を説明する文脈における「a」および「an」および「the」および「少なくとも1つの(at least one)」という用語および同様の指示語の使用は、本明細書において別段の指示がない限り、または文脈で明らかに矛盾しない限り、単数および複数形の両方を包含すると解釈されるべきである。1つ以上の項目の列挙に続く「少なくとも1つの」という用語(例えば、「AおよびBのうちの少なくとも1つ」)の使用は、本明細書において別段の指示がない限り、または文脈で明らかに矛盾しない限り、列挙された項目(AまたはB)から選択される1つの項目、または列挙された項目(AおよびB)の2つ以上の任意の組み合わせを意味すると解釈されるべきである。「備える」、「有する」、「含む」および「含有する」という用語は、別段の記載がない限り、オープンエンド用語(すなわち、「含むがこれらに限定されない」を意味する)として解釈されるべきである。本明細書における値の範囲の列挙は、本明細書において別段の指示がない限り、範囲内にある各別個の値を個々に参照する簡略方法としての役割を果たすことを単に意図しており、各別個の値は本明細書に個別に列挙されているかのように、本明細書に組み込まれる。本明細書に記載される全ての方法は、本明細書において別段の指示がない限り、または文脈で明らかに矛盾しない限り、任意の好適な順序で実行することができる。本明細書において提供される任意のおよび全ての例、または例示的な言葉(例えば、「~等」)の使用は、単に本発明をより明らかにすることを意図しており、別段の主張がない限り、本発明の範囲を限定するものではない。本明細書中のいかなる言葉も、本発明の実施に必須であるとして特許請求されていない全ての要素を示すものとして解釈されるべきではない。
【0125】
本発明を行うための本発明者らに既知の最良の形態を含む、本発明の好ましい実施形態が本明細書に記載されている。これらの好ましい実施形態の変形は、前述の説明を読むことにより当業者には明らかになり得る。本発明者らは、当業者がこのような変形を適切なものとして使用することを期待しており、本発明者らは本発明が本明細書に具体的に記載されたとおりではなく別の方法で実行されることを意図する。したがって、本発明は、適用法によって許容されるように、本明細書に添付の特許請求の範囲に列挙された主題の全ての変形および同等物を含む。さらに、本明細書において別段の指示がない限り、または文脈で明らかに矛盾しない限り、それらの全ての可能な変形における上記の要素の任意の組み合わせが本発明に包含される。