(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-15
(45)【発行日】2023-12-25
(54)【発明の名称】誘電材料
(51)【国際特許分類】
C08F 22/40 20060101AFI20231218BHJP
C08F 299/02 20060101ALI20231218BHJP
C07D 207/24 20060101ALI20231218BHJP
C08G 63/91 20060101ALI20231218BHJP
C08G 73/12 20060101ALI20231218BHJP
C09K 19/38 20060101ALI20231218BHJP
【FI】
C08F22/40
C08F299/02
C07D207/24 CSP
C08G63/91
C08G73/12
C09K19/38
(21)【出願番号】P 2020560561
(86)(22)【出願日】2019-01-21
(86)【国際出願番号】 EP2019051317
(87)【国際公開番号】W WO2019141833
(87)【国際公開日】2019-07-25
【審査請求日】2022-01-21
(32)【優先日】2018-01-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】591032596
【氏名又は名称】メルク パテント ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング
【氏名又は名称原語表記】Merck Patent Gesellschaft mit beschraenkter Haftung
【住所又は居所原語表記】Frankfurter Str. 250,D-64293 Darmstadt,Federal Republic of Germany
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100119013
【氏名又は名称】山崎 一夫
(74)【代理人】
【識別番号】100123777
【氏名又は名称】市川 さつき
(74)【代理人】
【識別番号】100111796
【氏名又は名称】服部 博信
(72)【発明者】
【氏名】マイアー フランク
(72)【発明者】
【氏名】ラルビッヒ グレゴール
(72)【発明者】
【氏名】コッペ カルステン
【審査官】岡部 佐知子
(56)【参考文献】
【文献】特表2016-509247(JP,A)
【文献】特表2008-501826(JP,A)
【文献】特表2011-526296(JP,A)
【文献】特開2007-224060(JP,A)
【文献】特開2003-110053(JP,A)
【文献】特表2006-526014(JP,A)
【文献】特表2011-505589(JP,A)
【文献】特表2007-509198(JP,A)
【文献】特開2000-191640(JP,A)
【文献】国際公開第2017/148567(WO,A1)
【文献】国際公開第2019/040934(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C08F 22/40
C09K 19/38
C08G 73/12
C08G 63/91
C08F 299/02
C07D 207/24
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(1):
P
1-Sp
1-(MG-Sp
1)
m-P
1 式(1)
により表され、式中、
mは、2から60までの整数であり、
P
1は、
を示し、
W
3及びW
4は、各々互いに独立して、H、Cl、又は1~5個のC原子を有するアルキルを示し、
Sp
1は、各出現においてスペーサー基(Sp)を示し、
前記スペーサー基Spは、ラジカル「P-Sp-」が式「P-Sp’-X’-」に対応するように、式Sp’-X’から選択され、
Sp’は、
(a)1~40個のC原子を有する直鎖又は分岐鎖アルキレン、又は
(b)Sp
x及びSp
yは、互いに独立して、1~20個のC原子を有するアルキレン又は単結合を示し、Gは、1~20個のC原子を有するアルキルにより任意選択で一置換又は多置換されている3~20個のC原子を有するシクロアルキレンを示す-Sp
x-G-Sp
y-を示し、
X’は、単結合を示し、
MGは、式(2):
-(A
21-Z
21)
k-A
22-(Z
22-A
23)
l- 式(2)
から選択されるロッド状メソゲン基であり、式中、
A
21~A
23は、独立して及び各出現において互いに独立して、1つ又は複数の同一の又は異なる基Lにより任意選択で置換されているアリール基、ヘテロアリール基、複素環基、脂環基、又は環式イミド基であり、
Z
21及びZ
22は、独立して及び各出現において互いに独立して、-O-、-CO-、-COO-、-OCO-、-O-COO-、-OCH
2-、-CH
2O-、又は単結合であり、
Lは、F、Cl、Br、I、-CN、-NO
2、-NCO、-NCS、-OCN、-SCN、-C(=O)NR
xxR
yy、-C(=O)OR
xx、-C(=O)R
xx、-NR
xxR
yy、-OH、-SF
5、又は1~20個のC原子を有する直鎖若しくは分岐鎖アルキル、アルコキシ、アルキルカルボニル、アルコキシカルボニル、アルキルカルボニルオキシ、又はアルコキシカルボニルオキシであり、1つ又は複数のH原子は、任意選択で、F若しくはCl、-CN、又は1~6個のC原子を有する直鎖若しくは分岐鎖アルキル、アルコキシ、アルキルカルボニル、アルコキシカルボニル、アルキルカルボニルオキシ、若しくはアルコキシカルボニルオキシで置き換えられており、
R
xx及びR
yyは、互いに独立して、H又は1~12個のC原子を有するアルキルを示し、
k及びlは、各々及び独立して、1、2、3、又は4である
重合性化合物。
【請求項2】
前記スペーサー基Spは、
-(CH
2)
p1-、
-(CH
2)
p1-(シクロ-C
6H
8R
01R
02)-(CH
2)
p1-、及び
【化2】
からなるリストから選択され、式中、
p1は、1から60までの整数であり、
R
01及びR
02は、各々互いに独立して、H又は1~12個のC原子を有するアルキルを示す、
請求項1に記載の重合性化合物。
【請求項3】
A
21~A
23は、独立して及び複数の出現の場合は互いに独立して、以下の群a)~e):
a)1つ又は複数の非隣接CH
2基が-O-及び/又は-S-により置き換えられていてもよく、1つ又は複数のH原子が基Lにより置き換えられていてもよいtrans-1,4-シクロヘキシレン、1,4-シクロヘキセニレン、及び4,4’-ビシクロヘキシレン、
b)1つ又は2つのCH基がNにより置き換えられていてもよく、1つ又は複数のH原子が基Lにより置き換えられていてもよい1,4-フェニレン、1,3-フェニレン、4,4’-ビフェニレン、2,5-チ
オフェン、及び2,6-ジチエノ[3,2-b:2’,3’-d]チオフェン、
c)1つ又は複数の基Lで置換されていてもよいテトラヒドロピラン-2,5-ジイル、1,3-ジオキサン-2,5-ジイル、テトラヒドロフラン-2,5-ジイル、シクロブタ-1,3-ジイル、ピペリジン-1,4-ジイル、チオフェン-2,5-ジイル、及びセレノフェン-2,5-ジイル、
d)飽和、部分的不飽和、又は完全不飽和の、任意選択で置換されており、また1つ又は複数がヘテロ原子により置き換えられていてもよい5~20個の環C原子を有する多環式ラジカルであって、ビシクロ[1.1.1]ペンタン-1,3-ジイル、ビシクロ[2.2.2]オクタン-1,4-ジイル、スピロ[3.3]ヘプタン-2,6-ジイル、トリシクロ[3.3.1.1]デカン-1,3-ジイル、
【化3】
からなる群から選択され、
式中、1つ若しくは複数のH原子は基Lにより置き換えられていてもよく、及び/又は1つ若しくは複数の二重結合は単結合により置き換えられていてもよく、及び/又は1つ若しくは複数のCH基はNにより置き換えられていてもよく、
Mは、-O-、-S-、-CH
2-、-CHY
03-、又は-CY
03Y
04-を示し、
Y
03、Y
04は、互いに独立して、H、F、Cl、CN、OCF
3、又はCF
3を示し、
W
5、W
6は、互いに独立して、-CH
2CH
2-、-CH=CH-、-CH
2-O-、-O-CH
2-、-C(R
cR
d)-、又は-O-を示し、
R
c、R
dは、互いに独立して、H又は1~6個のC原子を有するアルキルを示し、
R
03、R
04は、互いに独立して、H、F、1つ又は複数のH原子がFにより置き換えられていてもよい1~12個のC原子を有する直鎖又は分岐鎖アルキルを示す、多環式ラジカル、
e)
【化4】
からなる群から選択され、
式中、1つ若しくは複数のH原子は基Lにより置き換えられていてもよく、及び/又は1つ若しくは複数の二重結合は単結合により置き換えられていてもよく、及び/又は1つ若しくは複数のCH基はNにより置き換えられていてもよい、環式イミド
から選択される部分を示す、請求項1又は2に記載の重合性化合物。
【請求項4】
ポリマーを形成するための方法であって、
(i)請求項1~3のいずれか1項に記載の1つ又は複数の重合性化合物を含む重合性出発材料を準備するステップ、及び
(ii)前記重合性出発材料を重合するステップ
を含む方法。
【請求項5】
前記重合性出発材料は、前記重合性化合物と反応してコポリマーを形成することが可能な1つ又は複数の追加の重合性化合物を更に含む、請求項4に記載のポリマーを形成するための方法。
【請求項6】
前記重合性出発材料は、ステップ(ii)において、ラジカル重合又はイオン重合により、又は放射線への曝露により重合される、請求項4又は5に記載のポリマーを形成するための方法。
【請求項7】
請求項4~6のいずれか1項に記載のポリマーを形成するための方法により取得可能なポリマー。
【請求項8】
請求項1~3のいずれか1項で定義されている通りの式(1)の重合性化合物に由来する少なくとも1つの反復単位を含むポリマー。
【請求項9】
前記反復単位は、式(4):
[-Sp
1-(MG-Sp
1)
m-] 式(4)
により表される構造単位を含み、
式中、Sp
1、MG、及びmは、請求項1~3のいずれか1項で定義されている通りである、請求項8に記載のポリマー。
【請求項10】
請求項8又は9に記載のポリマーを含む電子デバイス。
【請求項11】
前記ポリマーは誘電体層を形成する、請求項10に記載の電子デバイス。
【請求項12】
1つ又は複数の重合された液晶性モノマーを含むコーティングが基板に提供されているパッケージングされたマイクロエレクトロニクス構造を調製するための製造方法であって、
(1)請求項1~3のいずれか1項に記載の1つ又は複数の重合性化合物を含む重合性組成物を基板の表面に塗布するステップ、及び
(2)前記重合性組成物を硬化させて、誘電体層を形成するステップ
を含む製造方法。
【請求項13】
前記重合性組成物は、前記重合性化合物と反応してコポリマーを形成することが可能な1つ又は複数の追加の重合性化合物を更に含む、請求項12に記載のパッケージングされたマイクロエレクトロニクス構造を調製するための製造方法。
【請求項14】
前記重合性組成物は、1つ又は複数の無機充填材材料を更に含む、請求項12又は13に記載のパッケージングされたマイクロエレクトロニクス構造を調製するための製造方法。
【請求項15】
請求項12~14のいずれか1項に記載の製造方法により取得可能なパッケージングされたマイクロエレクトロニクス構造を含むマイクロエレクトロニクスデバイス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、パッケージングされた電子デバイスのパッシベーション層を調製するための誘電材料として使用することができる新規クラスのポリマーに関する。ポリマーは、メソゲン基を有する重合性化合物から調製される。そのような化合物は、反応性メソゲン(RM)とも呼ばれる。従って、それらから得られるポリマーは、それらの構造に液晶性特徴が保存されている材料であり、それらは、優れたフィルム成形能力、並びに例えば良好な破断時伸び及び良好な引張強度特性等の優れた機械的特性を提供する。加えて、ポリマーは、低誘電率及び低熱膨張係数(CTE)により特徴付けられる。その上、ポリマーは、光構造化可能であり、例えば、導電性又は半導電性部品のパッシベーション及びダイアタッチ等の電子パッケージングにおける種々の応用に、及びプリント回路板の基板の調製における主要成分として特に好適である。
【0002】
ポリマーがそれらから形成される重合性化合物は、分子の中間にメソゲン基(MG)及び分子の各末端に1つずつの重合性基(P)を含む反復単位を有するオリゴマー構造を有する。前記ポリマー及び前記ポリマーを誘電材料として含む電子デバイスを形成するための方法が更に提供される。その上、本発明は、パッケージングされたマイクロエレクトロニクス構造を調製するための製造方法であって、誘電性ポリマー層が、前記重合性化合物から、及び前記製造方法により得られるか又は取得可能である前記パッケージングにされたマイクロエレクトロニクス構造を含むマイクロエレクトロニクスデバイスに形成される製造方法に関する。
【0003】
本発明による製造方法は、対費用効果が高く信頼性の高いマイクロエレクトロニクスデバイスの製造を可能にし、望ましくない熱膨張による機械的変形(反り)により引き起こされる欠陥製品の数が著しく低減される。著しくより低い温度で重合を生じさせることができ、従って製造中の熱応力がより低くなることに結び付き、それにより欠陥マイクロエレクトロニクスデバイスの無駄が低減され、資源効率的で持続可能な生産が可能になる。
【背景技術】
【0004】
反応性メソゲン(RM)は、サーモトロピック液晶(LC)相(典型的には、ネマチック、コレステリック、又はスメクチック)を示す温度で重合されると、液晶性状態が保存される異方性ポリマーをもたらす。特に、光学異方性は、平面パネルディスプレー、特に液晶ディスプレーの補正用及び明るさ増強用の光学フィルムの分野で幅広く活用されている。
【0005】
液晶ディスプレー及びディスプレーでの幅広い使用に加えて、液晶性材料は、それらの物理的特性が特別であるため、他の応用タイプでの利点が調査されている(R.Stannarius、Nat.Mat.2009年、8巻、617~618頁;及びJ.P.F.Lagerwallら、Current Appl.Phys.2012年、12巻、1387~1412頁)。特に、高度に規則正しい異方性ポリマーネットワークは、多様な範囲の応用を有する興味深い材料クラスである(D.J.Broerら、Lagmuir 2014年、30巻、13499~13509頁;及びR.Zentelら、Adv.Mater.2010年、22巻、3366~3387頁)。しかしながら、ほとんどの場合、それらからポリマーが製作されるLCポリマー又は対応するモノマーは、それぞれの応用に必要とされる最適な特性を有していない。
【0006】
国際公開第2012/152409号パンフレットは、少なくとも1つの反応性メソゲンのモノマー単位を含む、光学異方性及び形状異方性を有するポリマー粒子、それらの調製方法、光学的、電気光学的、電子的、電気化学的、電子写真的、エレクトロウェッティング的、及び電気泳動的ディスプレー及び/又はデバイスを調製するための並びに保安用、化粧用、装飾用、及び診断用応用のためのそうした粒子の使用、並びに前記ポリマー粒子を含む電気泳動流体及びディスプレーに関する。特に、ポリマー粒子は、少なくとも2つの重合性基を有する少なくとも1つのRMのモノマー単位、コモノマーとしての少なくとも1つの重合性色素、任意選択で少なくとも1つのコモノマー、任意選択で少なくとも1つの架橋性コモノマー、任意選択で少なくとも1つのイオン性コモノマー、及び任意選択で少なくとも1つの重合性安定化剤を有する。
【0007】
RMから液晶性ポリマーを調製するための、及びRM出発材料を調製するための種々の方法は、当該技術水準で公知である。例えば、Siemensmeyerらには、LC化合物の混合物を生産するための方法であって、開始成分の少なくとも1つが、少なくとも2つの化合物の混合物からなり、この混合物を少なくとも1つの他の開始成分と反応させて、統計的混合物を形成する方法が記載されている(国際公開第96/04351号パンフレット)。
【0008】
LC化合物の効率的な調製方法に加えて、異方性ポリマーネットワークを形成するための好適な重合方法が関心の的である。様々な反応性官能基が、光開始重合反応における適用可能性について調査された。最も広く普及している反応性官能基は、アクリレート及びメタクリレートであり、それらは、重合速度が速いため、UV誘導性フリーラジカル重合に特に良く好適である(D.J.Broerら、Lagmuir 2014年、30巻、13499~13509頁)。しかしながら、UV硬化は、全ての種類の応用に好適という訳ではない。
【0009】
重合性液晶性モノマー(反応性メソゲン)の混合物を使用して、熱開始又は光開始重合により硬化させることができる薄型フィルムを調製することができる。このようにして調製されるフィルムは、比較的薄く、顕著な寸法安定性を有する高度に架橋されたデュロプラスチックポリマーを含む。しかしながら、こうしたフィルムは、比較的脆性であり、非常に低い弾性を示す。他方では、架橋度が低いと、寸法的に安定なポリマーフィルムを得ることができない。
【0010】
米国特許第6,261,481号明細書には、良好な熱伝導性を提供する有機絶縁組成物が記載されている。絶縁組成物は、メソゲン基を有するモノマーを含む樹脂組成物の重合生成物を含む液晶(LC)樹脂を含む。組成物は、互いに対して相互に直交性の方向に≧0.4W/mKの熱伝導性を有する。樹脂組成物に含まれるモノマーは、メソゲン基、及び好ましくは、酸触媒作用下で熱的に重合させることができるエポキシ基を有する。好ましくは、樹脂組成物は、部分的整列に基づく異方性がポリマーにおいて凍結されるように、重合が開始されると、メソゲン基を有するモノマーが部分的に整列される条件下で加熱される。
【0011】
米国特許出願公開第2008/0075961号明細書及び米国特許出願公開第2017/0152418号明細書は、イミド伸長モノ-、ビス-、及びポリマレイミド化合物を含む熱硬化性マレイミド樹脂から調製されるマレイミド接着フィルムに関する。マレイミド接着フィルムは、光構造化可能であり、電子機器、集積回路、半導体デバイス、受動デバイス、太陽電池、太陽モジュール、及び/又は発光ダイオードの生産に好適である。しかしながら、マレイミド化合物は、フィルム中のこの化合物の優先的な方向化又は部分的整列をもたらすことができるメソゲン基を一切含んでいない。これにより、機械的安定度及び熱伝導性に関してより不良な特性がもたらされる。また、こうした材料は、典型的には、比較的低いガラス転移点を示し、それはこの場合も熱膨張特性に影響を及ぼす。
【0012】
韓国特許出願公開第20160052234号明細書には、光硬化性絶縁性樹脂組成物及びそれが使用されているプリント回路板が記載されている。光硬化性絶縁性樹脂組成物は、光硬化性液晶オリゴマー、光硬化性グラフェンオキシド、及び光硬化性金属アルコキシドを含む。しかしながら、光硬化性液晶オリゴマーは、スペーサー基により共に連結されている複数のメソゲン基を含んでいない。それにより不利な溶解性プロファイルがもたらされ、光硬化に使用されるエネルギーは非常に大きい。
【0013】
電子パッケージング
半導体トランジスターが真空管技術に取って代わり始めると共に、抵抗器、コンデンサー、及びダイオード等の電子部品を、それらのリード線によりカードのプリント回路基板に直接取り付けることが可能になり、従って、依然として使用されているパッケージングの基本的構造ブロック又はレベルが確立された。複雑な電子機能は、単一のプリント基板カード上で相互接続することができるより多くの個々の部品を必要とすることが多い。多層カード能力には、多層マザーボードへのドーターカードの三次元パッケージングの開発が伴っていた。集積回路工学は、抵抗器及びダイオード等の個別の回路要素の多くを、集積回路チップ又はダイとして知られている個々の比較的小型の部品に埋め込むことを可能にする。しかしながら、驚異的な回路集積にも関わらず、部分的には集積回路技術それ自体のため、典型的には1つよりも多くのパッケージングレベルが必要である。集積回路チップは、非常に脆性であり、極めて小型の端子を有する。第1レベルのパッケージングは、機械的保護、冷却、及び繊細な集積回路との電気的接続能力の提供という主要機能を達成する。一部の部品(高電力抵抗器、機械的スイッチ、コンデンサー)はチップ上に容易に集積されないため、プリント回路カード等の、少なくとも1つの追加のパッケージングレベルが使用される。メインフレームコンピューター等の非常に複雑な応用の場合、複数のパッケージングレベルの階層化が必要とされる。
【0014】
今日の半導体産業の要件を満たす幅広く様々な高度パッケージング技術が存在する。最先端の高度なパッケージング技術であるウェーハレベルパッケージング(WLP)、ファンアウトウェーハレベルパッケージング(FOWLP)、2.5Dインターポーザー、チップオンチップスタッキング、パッケージオンパッケージスタッキング、埋込型ICは全てが、薄型基板の構造化、再配線層、及び高解像度相互接続のような他の部品を必要とする。最終消費者市場では、かつてなく小型化及び薄型化が進むデバイスの低価格化及び高機能化が常に求められている。これにより、製造コストの競争力があり、より微細な特徴を有し、信頼性が向上された次世代パッケージングの必要性が推進される。
【0015】
ウェーハレベルパッケージング(WLP)は、ウェーハを個々の回路(ダイス)にスライスし、その後それらをパッケージングするためのより従来型の方法とは対照的に、依然としてウェーハの一部である間に集積回路をパッケージングする技術である。WLPは、得られるパッケージは実質的にダイと同じサイズであるため、本質的に真のチップスケールパッケージ(CSP)技術である。ウェーハレベルパッケージングは、シリコン開始物質から顧客発送までデバイスが経る製造工程を合理化するために、ウェーハ製造、パッケージング、試験、及びバーンインのウェハーレベルでの集積化を可能する。WLPの主要な応用分野は、それらのサイズが制限されるためスマートフォン及びウェアラブルである。WLPによりスマートフォン又はウェアラブルに提供される機能としては、コンパス、センサー、パワー管理、無線通信等が挙げられる。ウェーハレベルチップスケールパッケージング(WL-CSP)は、市場において現在利用可能な最も小型のパッケージの1つである。
【0016】
ファンアウトウェーハレベルパッケージング(FOWLP)は、マイクロエレクトロニクスの最新のパッケージングトレンドの1つであり、FOWLPは、パッケージ容積並びにパッケージング厚さの両方において高い小型化能力を有する。FOWLPの技術的な基盤は、一体となって表面実装型デバイス(SMD)適合性パッケージを形成する、埋め込みチップ及び薄型フィルム再配線層を有する再構成及びペイントされたウェーハである。FOWLPの主な利点は、無基板パッケージであるため非常に薄いこと、熱抵抗が低いこと、例えばワイヤーボンディング又ははんだ接点の代わりにバンプレスチップ接続であると共に短く平坦な電気接続であるため高周波数特性が良好であることである。
【0017】
電子パッケージングの場合、それらから基板、導電性接続、及び絶縁コーティング又はパッシベーションコーティングが製作される様々なタイプの材料が必要である。マルチチップ及びシングルチップモジュールの基板絶縁体材料は、2つの幅広い材料群である有機材料及びセラミックの1つから選択される。チップとパッケージとの相互接続は、典型的には、3つの技法:ワイヤーボンディング、テープによる自動化ボンディング、及びはんだボールフリップチップの1つにより達成される。ワイヤーボンディングは、最も広く使用されている第1レベルの相互接続であり、超音波エネルギーを使用して、非常に細いワイヤーを、集積回路チップの周囲に沿って、金属化端子パッドから、基板表面の対応するボンディングパッドへと機械的に溶接する。
【0018】
別の重要な役割を果たすのは、全てのWLP並びにIPD(集積受動デバイス)及び3D-SiP(システムインパッケージ)等の関連技術のための重要な構造ブロックであるポリマーである。幾つかの異なるクラスの感光性ポリマー材料、例えば、ポリイミド(PI)、ポリベンゾオキサゾール(PBO)、ベンゾシクロブテン(BCB)、シリコーン、アクリレート、及びエポキシ樹脂が、集積化に利用可能である。
【0019】
ポリウレタン樹脂、アクリル樹脂、エポキシ樹脂、及びシリコーン樹脂等のポリマーコーティングが、プリント配線板(PWB)を、湿気、取り扱い、及び環境影響から保護するために40年を超える期間にわたって使用されている。チップパッシベーション層のための特殊な半導体グレードのポリマーが開発されている。特にエポキシ樹脂の場合、複数の蒸留手順を導入して、標準的エポキシ合成の副生成物であるナトリウムイオン及び塩化物イオンが除去された。ポリイミドは、メモリーチップ並びに取り扱い及び試験手順のために表面保護が必要である他のデバイスのための標準的なパッシベーション層になった。加工コストを低減するために感光性樹脂が開発されている。
【0020】
ドライエッチングには、スパッタリング及び構造化された金属層であるハードマスク又は厚いフォトレジストコーティングのいずれかを用いたマスキング処理が必要である。コスト削減プログラムのため、1960年代から1990年代に普及していた材料の詳細な特徴付けは大幅に減速している。加えて、合併、別会社の設立、及び経済的余力の低下のため、ポリマー製品の継続性は、常に保証されるとは限らない。それとは対照的に、WLP、SiP、及び3D集積化のようなICの新しいパッケージング概念が導入されたため、ポリマー材料はより重要になった。
【0021】
WLP用のポリマー誘電体として使用することができる広範な材料クラス:ポリイミド、ポリベンゾオキサゾール、ベンゾシクロブテン、エポキシ、シリコーン、アクリレート、ナノ充填フェノール樹脂、シロキサン、フッ素化ポリマー、及びポリノルボルネンが存在する。感光性調合物の詳しい全体像は、M.Topperら、2010年 Electronic Components and Technology Conference、769~776頁に記載されている。
【0022】
ポリイミド-ODAは、Du Pontが開発した芳香族同素環及び複素環の交互環に基づく一連の新しい高性能ポリマーの最初のメンバーだった。
【化1】
【0023】
ポリイミドは、400℃を超える温度まで上昇することができる非常に高い分解温度を示す点で非常に独特である。加えて、それらの機械的特性は、200MPaを超える非常に高い引張強度で高い柔軟性(最大100%の破断時伸び)を保証する。PIは、依然としてICパッシベーションに最も広く使われているポリマーである。
ネガティブ感受性(negative-sensitive)ポリマーPIの修飾は、ポジティブ感受性(positive-sensitive)PIとも呼ばれる場合があるポリベンゾオキサゾール(PBO)により達成された。
【化2】
ポリマーフィルムは、水性現像剤を使用して、露光後に現像することができる。
【0024】
シロキサンは、Si-O基の骨格を有するポリマーである。いわゆるBCB(ベンゾシクロブテン)は、ビニル及びベンゾシクロブテン環系を更に有するシロキサンポリマー基の例である。
【化3】
【0025】
主な利点は、副生成物が生じないため高い原子経済性を有する重合反応(ディールス-アルダー反応)である。この高度架橋熱硬化性ポリマーは、優れた電気的性能を有するが、非常に脆性であり、低い破断時伸び(elongation to break)値(8%)及び87MPaという低い引張強度を有する。
【0026】
エポキシポリマーは、ほとんどのPWBの基盤である。主な利点は、それらの硬化温度が低く、温度感受性デバイスに好適なことである。重要な例は、ノボラックに基づくエポキシ樹脂である。
【化4】
また、エポキシ及びアクリレートポリマーが、ドライフィルム材料として入手可能である。全ての他の誘電体は、スピンコーティング又はスプレーコーティングで堆積させなければならない。
【0027】
より新しい開発は、開環メタセシス重合又はビニル付加重合によりポリマーをもたらす架橋環式炭化水素であるポリノルボルネンである。
【化5】
全ての液体タイプの感光性薄型フィルムポリマーの処理は非常に類似している:コーティング(ほとんどはスピンコーティング)、露光(UV)、霧光後ベーク(一部のポリマーを除く)、現像、霧光後ベーク及び硬化。
【0028】
所与のポリマーを選択するための要件は非常に広範である:はんだリフローのようなパッケージングにおける高温処理の高い分解又はガラス温度、高い接着性、高い機械的及び化学的強度、優れた電気的特性、低い吸水性、感光性、並びに高収率製造性。こうした理由で、パッケージング応用には、通常、熱硬化性物質が使用される。熱硬化性物質は、数十万g/モルの分子量を有し、有機溶剤に溶解されているプレポリマーとして製造及び使用される。そのような溶液は、一般的に前駆物質と呼ばれ、スピンコーティング処理に直ちに使用される。最終重合は、熱硬化によりウェーハ上で実施される。
【0029】
しかしながら、当該技術水準で公知のポリマーは、以下の欠点を示す。
・ポリイミド及びポリベンゾオキサゾールは、典型的には、非常に高い処理温度を必要とし、それにより特に多層再配線層(RDL)では反りのリスクが増加する。それに加えて、ポリイミドは高い吸水性を示し、これは、デバイスの信頼性にとって問題である。
・ベンゾシクロブテン誘導体並びにポリノルボルネンは、非常に低い誘電率を示すが、この利点は、金属に対する接着が非常に不良であることにより損なわれる。
【0030】
フォトリソグラフィー
フォトリソグラフィーは、フリップチップウェーハバンピング、電気めっき金、はんだバンプ、銅ピラー技術、及び再配線層のような高度パッケージング応用で使用される無機及び有機材料を構造化するための重要なパターニング技術である。フォトリソグラフィーは、重要な製造工程及びコスト寄与要因であり、今日の産業用リソグラフィー応用において可能な限り最良のコスト構造を実現するには、正しい露光解を慎重に選択することが重要である。
【0031】
半導体産業の現行の推進力及び傾向は、将来のエンドユーザー要件を満たすためにはマイクロエレクトロニクスデバイスの性能向上が必要であることを明確に示している。例えば、タブレット及びスマートフォンのような消費者向け電子デバイスは、薄型化及び小型化が進む一方で、より高い計算能力、データ保存量の増加、通信機能の向上を獲得している。加えて、コストを考慮することは、チップメーカー、ファウンドリ、組み立て及び試験サプライヤーからデバイスメーカーまで、サプライチェーン内のすべての関係者の競争環境において益々重要になる。従って、当該産業は、困難な技術的要件を満たす技術を実現することに加えて、製造コストを削減する革新的な手法を模索している。
【0032】
数十年間にわたって、フォトリソグラフィーは、マイクロエレクトロニクスデバイスの製造及びパッケージングに使用される基本的な方法であり続けている。あらゆるフォトリソグラフィー法の重要な要素は、紫外波長範囲の光を使用して感光性レジスト又はポリマーをパターン化する露光ツールである。露光ツールは、所望の特徴を正確に創出し、それらを下層に以前に製造されている構造にアラインさせることができなければならない。今日、幾つかのタイプの露光技術:近接印刷又は接触印刷、レーザーダイレクトイメージング、及びプロジェクションリソグラフィーが存在する。対応する装置ツールセットは、技術的能力(光学解像度、オーバーレイ性能、実効スループット)及び露光処理に関連するコストの点で異なる。(H.Hichriら、SUSS Micro Tec Photonic System Inc.、Corona、カリフォルニア州、米国を参照)。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0033】
本発明の目的
従って、本発明の目的は、先行技術の短所を克服し、優れたフィルム形成能力、従来の溶媒からの容易な加工、並びに例えば良好な破断時伸び及び良好な引張強度特性等の優れた機械的特性を示し、低い誘電率及び低い熱膨張係数(CTE)を有する、パッケージングされた電子デバイスのパッシベーション層の誘電材料として使用することができる新しいクラスのポリマーを提供することである。
【0034】
更に、本発明の目的は、光構造化可能であり、例えば、導電性又は半導電性部品のパッシベーション及びダイアタッチ等の電子パッケージングの種々の応用に、及びプリント回路板の基板の調製における主要成分として特に好適である新規ポリマーを提供することである。
【0035】
本発明の更なる目的は、新規ポリマーがそれから製作されるモノマーとしての重合性化合物を提供することである。その上、本発明の目的は、重合性化合物を使用して前記新規ポリマーを形成するための方法を提供することである。最後に、本発明の目的は、前記ポリマーを誘電材料として含む電子デバイス、パッケージングされたマイクロエレクトロニクス構造を調製するための製造方法、及び前記製造方法により取得可能な前記パッケージングされたマイクロエレクトロニクス構造を含むマイクロエレクトロニクスデバイスを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0036】
発明の概要
本発明者らは、驚くべきことに、上記の目的が、好ましくは重合性二反応性メソゲン化合物である特定の重合性化合物に由来する反復単位を含むポリマーにより達成されることを見出した。
【0037】
重合性化合物は、式(1):
P1-Sp1-(MG-Sp1)m-P1 式(1)
により表され、式中、
mは、1から60までの、好ましくは1~50の、より好ましくは2~30の、及び最も好ましくは3~20の整数であり、
P1は、重合性基(P)を示し、
Sp1は、各出現においてスペーサー基(Sp)又は単結合を示し、
MGは、好ましくは式(2):
-(A21-Z21)k-A22-(Z22-A23)l- 式(2)
から選択されるロッド状のメソゲン基であり、式中、
A21~A23は、独立して及び各出現において互いに独立して、1つ又は複数の同一の又は異なる基Lにより任意選択で置換されているアリール基、ヘテロアリール基、複素環基、脂環基、又は環式イミド基であり、
Z21及びZ22は、独立して及び各出現において互いに独立して、-O-、-S-、-CO-、-COO-、-OCO-、-S-CO-、-CO-S-、-O-COO-、-CONR01-、-NR01-CO-、-NR01-CO-NR02、-NR01-CO-O-、-O-CO-NR01-、-OCH2-、-CH2O、-SCH2-、-CH2S-、-CF2O-、-OCF2-、-CF2S-、-SCF2-、-CH2CH2-、-(CH2)4-、-CF2CH2-、-CH2CF2-、-CF2CF2-、-CH=N-、-N=CH-、-N=N-、-CH=CR01-、-CY01=CY02-、-C≡C-、-CH=CH-COO-、-OCO-CH=CH-、又は単結合であり、
R01及びR02は、各々互いに独立して、H又は1~12個のC原子を有するアルキルを示し、
Lは、F、Cl、Br、I、-CN、-NO2、-NCO、-NCS、-OCN、-SCN、-C(=O)NRxxRyy、-C(=O)ORxx、-C(=O)Rxx、-NRxxRyy、-OH、-SF5、又は1~20個のC原子、好ましくは1~12個のC原子を有する直鎖若しくは分岐鎖アルキル、アルコキシ、アルキルカルボニル、アルコキシカルボニル、アルキルカルボニルオキシ、又はアルコキシカルボニルオキシであり、1つ又は複数のH原子は、任意選択で、F若しくはCl、好ましくはF、-CN、又は1~6個のC原子を有する直鎖若しくは分岐鎖アルキル、アルコキシ、アルキルカルボニル、アルコキシカルボニル、アルキルカルボニルオキシ、若しくはアルコキシカルボニルオキシにより置き換えられており、
Rxx及びRyyは、互いに独立して、H又は1~12個のC原子を有するアルキルを示し、
Y01及びY02は、各々互いに独立して、H、1~12個のC原子を有するアルキル、アリール、F、Cl、又はCNを示し、
k及びlは、各々及び独立して、0、1、2、3、又は4、好ましくは0、1、又は2、最も好ましくは1である。
【0038】
前記重合性化合物は、新しいクラスのポリマーを形成するためのモノマー化合物として使用される。前記新しいクラスのポリマーは、これも本発明の一部を形成する以下の方法:
ポリマーを形成するための方法であって、
(i)本発明による1つ又は複数の重合性化合物を含む重合性出発材料を準備するステップ、及び
(ii)前記重合性出発材料を重合するステップ
を含む方法により調製される。
更に、上記で言及されたポリマーを形成するための方法により取得可能であるか又は得られるポリマーが提供される。
その上、本発明によるポリマーを含む電子デバイスが提供される。
最後に、1つ又は複数の重合された液晶性モノマーを含むコーティングが基板に提供されているパッケージングされたマイクロエレクトロニクス構造を調製するための製造方法であって、
(1)本発明による1つ又は複数の重合性化合物を含む重合性組成物を基板の表面に塗布するステップ、及び
(2)前記重合性組成物を硬化させて、誘電体層を形成するステップ
を含む方法が提供される。
また、本発明による製造方法により取得可能であるか又は得られるパッケージングされたマイクロエレクトロニクス構造を含むマイクロエレクトロニクスデバイスが提供される。
本発明の好ましい実施形態は、下記及び従属請求項に記載されている。
【0039】
本出願は図面を一切含んでいない。
【発明を実施するための形態】
【0040】
定義
用語「液晶」、「メソモルフィック化合物」又は「メソゲン化合物」(短縮して「メソゲン」とも呼ばれる)は、温度、圧力、及び濃度の好適な条件下で、メソフェーズとして、又は特にLC相として存在することができる化合物を意味する。非両親媒性メソゲン化合物は、例えば、1つ又は複数のカラミチックなバナナ形状のメソゲン基又はディスコチックなメソゲン基を含む。
【0041】
用語「カラミチック」は、ロッド状又は板状/ラス状の化合物又は基を意味する。用語「バナナ形状」は、2つの通常はカラミチックなメソゲン基が、半剛性基を介して同一直線上にならないように連結されている湾曲した基を意味する。用語「ディスコチック」は、ディスク状又はシート状の化合物又は基を意味する。
【0042】
用語「メソゲン基」又はその略称「MG」は、液晶(LC)相挙動を誘導する能力を有する基を意味する。メソゲン基、特に非両親媒性タイプのものは、通常は、カラミチック又はディスコチックのいずれかである。メソゲン基を含む化合物は、それら自体が必ずしもLC相を示すとは限らない。また、メソゲン基は、他の化合物との混合物においてのみ又はメソゲン化合物若しくはそれらの混合物が重合された場合にのみLC相挙動を示すということもあり得る。簡潔さのため、用語「液晶」は、以下では、メソゲン材料及びLC材料の両方に使用される。
【0043】
カラミチックメソゲン化合物は、通常は、直接的に又は連結基を介して互いに接続されている1つ又は複数の芳香族基又は脂環式基からなり、任意選択でロッドの短い末端に付着された末端基を含み、及び任意選択でロッドの長尺側に付着された1つ又は複数の側方基を含み、こうした末端基及び側方基は、通常は、例えばカルビル基若しくはヒドロカルビル基、ハロゲン、ニトロ、ヒドロキシ等のような極性基、又は重合性基から選択されるカラミチックな、つまりロッド状又はラス状のメソゲン基を含む。
ディスコチックメソゲン化合物は、通常は、例えばトリフェニレンのような、例えば1つ又は複数の縮合芳香族基又は脂環式基からなり、任意選択で、メソゲン基に付着されており、上記で言及された末端基及び側方基から選択される1つ又は複数の末端基を含むディスコチックな、つまり比較的平坦なディスク状又はシート状のメソゲン基を含む。
用語「反応性メソゲン」又はその略語「RM」は、好ましくはモノマー化合物又はオリゴマー化合物である重合性メソゲン又は液晶性化合物を意味する。1つの重合性基を有する重合性化合物は「一反応性」化合物とも呼ばれ、2つの重合性基を有する化合物は「二反応性」化合物とも呼ばれ、2つよりも多くの重合性基を有する化合物は、「多反応性」化合物とも呼ばれる。重合性基を有していない化合物は、「非反応性」化合物とも呼ばれる。
【0044】
用語「スペーサー」又は「スペーサー基」は、下記では「Sp」とも呼ばれ、当業者に公知であり、文献に記載されている。別様の記載が無い限り、上記及び下記の用語「スペーサー」又は「スペーサー基」は、重合性メソゲン化合物(「RM」)においてメソゲン基及び重合性基を接続する可撓性有機基を示す。
【0045】
用語「ポリマー」は、これらに限定されないが、ホモポリマー、コポリマー、例えば、ブロック、ランダム、及び交互コポリマー、ターポリマー、クォーターポリマー(quaterpolymer)等、並びにそれらの配合物及び修飾物を含む。更に、別様に特に限定されていない限り、用語「ポリマー」は、材料の全ての考え得る立体配置異性体を含むものとする。そうした立体配置としては、これらに限定されないが、アイソタクチック対称性、シンジオタクチック対称性、及びアタクチック対称性が挙げられる。ポリマーは、その構造が、低い相対質量の分子(つまりモノマー)から実際に又は概念的に由来する単位の複数の反復(つまり反復単位)を本質的に含む、高い相対分子質量の分子である。本発明の状況では、ポリマーは、60個よりも多くのモノマーで構成される。
【0046】
用語「オリゴマー」は、モノマーの数が原理的に無制限であるポリマーとは対照的に、少数のモノマー単位からなる分子複合体である。例えば、ダイマー、トリマー、及びテトラマーは、それぞれ2つ、3つ、及び4つのモノマーで構成されるオリゴマーである。本発明の状況では、オリゴマーは、最大60個のモノマーで構成されていてもよい。
用語「モノマー」は、本明細書で使用される場合、重合を起こし、それにより構成単位(反復単位)をポリマー又はオリゴマーの本質的な構造に寄与させることができる分子を指す。
用語「ホモポリマー」は、本明細書で使用される場合、1つの種の(実際の、黙示的な、仮想の)モノマーに由来するポリマーを表す。
【0047】
用語「コポリマー」は、本明細書で使用される場合、一般に、1つよりも多くの種のモノマーに由来し、1つよりも多くの種の対応する反復単位を含む任意のポリマーを意味する。一実施形態では、コポリマーは、2つ又はそれよりも多くの種のモノマーの反応生成物であり、従って2つ又はそれよりも多くの種の対応する反復単位を含む。コポリマーは、2つ、3つ、4つ、5つ、又は6つの種の反復単位を含むことが好ましい。3つのモノマー種の共重合により得られるコポリマーは、ターポリマーと呼ばれる場合もある。4つのモノマー種の共重合により得られるコポリマーは、クォーターポリマーと呼ばれる場合もある。コポリマーは、ブロックコポリマー、ランダムコポリマー、及び/又は交互コポリマーとして存在してもよい。
用語「ブロックコポリマー」は、本明細書で使用される場合、隣接するブロックが構成的に異なり、つまり隣接するブロックが、異なる種のモノマー又は同じ種のモノマーに由来する反復単位を含むが、反復単位の組成物又は配列分布が異なるコポリマーを表す。
更に、用語「ランダムコポリマー」は、本明細書で使用される場合、鎖中の所与の部位に所与の反復単位を見出す確率が、隣接する反復単位の性質に依存しない巨大分子で形成されるポリマーを指す。通常、ランダムコポリマーでは、反復単位の配列分布は、ベルヌーイ統計に従う。
用語「交互コポリマー」は、本明細書で使用される場合、交互配列に2つの種の反復単位を含む巨大分子からなるコポリマーを表す。
【0048】
「電子パッケージング」は、電子工学分野内の主要な部門であり、幅広く様々な技術を含む。電子パッケージングは、個別の部品、集積回路、並びにMSI(中規模集積)及びLSI(大規模集積)チップ(通常は、ビームリード線によりリード線フレームに取り付けられている)を、それらが適所にはんだ付けされる多層回路板(カードとも呼ばれる)のプレートの穴に挿入することを指す。電子装置のパッケージングは、機械的損傷からの保護、冷却、高周波ノイズ発生、静電放電保護の維持、作業者の便宜、及びコストを考慮しなければならない。
【0049】
用語「マイクロエレクトロニクスデバイス」は、本明細書で使用される場合、電子設計及び部品が非常に小型である電子デバイスを指す。通常は、しかし常にという訳ではないが、これは、マイクロメートルのスケール又はそれよりも小さいことを意味する。そうしたデバイスは、典型的には、半導体材料で製作されており、パッケージングされた構造において相互接続されて、マイクロエレクトロニクスデバイスを形成する1つ又は複数のマイクロエレクトロニクス部品を含む。通常の電子設計の電子部品は多くが、マイクロエレクトロニクス等価物に利用可能である。そのようなものとしては、トランジスター、コンデンサー、インダクター、抵抗器、ダイオード、並びに当然のことながら絶縁体及び導電体が挙げられ、それらは全てマイクロエレクトロニクスデバイスに見出すことができる。部品、リード線、及びパッドのサイズが非常に小さいため、マイクロエレクトロニクスではワイヤーボンディング等の独特な配線技法もよく使用される。
【0050】
本特許出願に表されている構造要素の付着点(結合部位)は、
【化6】
により示されている場合があり、
式中、
*は構造要素を表し、
【化7】
は結合部位を表す。
【0051】
好ましい実施形態
重合性化合物
本発明は、式(1):
P1-Sp1-(Mg-Sp1)m-P1 式(1)
により表される重合性化合物に関し、式中、
mは、1から60までの整数であり、
P1は、重合性基(P)を示し、
Sp1は、各出現においてスペーサー基(Sp)又は単結合を示し、
MGは、好ましくは式(2):
-(A21-Z21)k-A22-(Z22-A23)l- 式(2)
から選択されるロッド状メソゲン基であり、式中、
A21~A23は、独立して及び各出現において互いに独立して、1つ又は複数の同一の又は異なる基Lにより任意選択で置換されているアリール基、ヘテロアリール基、複素環基、脂環基、又は環式イミド基であり、
Z21及びZ22は、独立して及び各出現において互いに独立して、-O-、-S-、-CO-、-COO-、-OCO-、-S-CO-、-CO-S-、-O-COO-、-CONR01-、-NR01-CO-、-NR01-CO-NR02、-NR01-CO-O-、-O-CO-NR01-、-OCH2-、-CH2O、-SCH2-、-CH2S-、-CF2O-、-OCF2-、-CF2S-、-SCF2-、-CH2CH2-、-(CH2)4-、-CF2CH2-、-CH2CF2-、-CF2CF2-、-CH=N-、-N=CH-、-N=N-、-CH=CR01-、-CY01=CY02-、-C≡C-、-CH=CH-COO-、-OCO-CH=CH-、又は単結合であり、
R01及びR02は、各々互いに独立して、H又は1~12個のC原子を有するアルキルを示し、
Lは、F、Cl、Br、I、-CN、-NO2、-NCO、-NCS、-OCN、-SCN、-C(=O)NRxxRyy、-C(=O)ORxx、-C(=O)Rxx、-NRxxRyy、-OH、-SF5、又は1~20個のC原子、好ましくは1~12個のC原子を有する直鎖若しくは分岐鎖アルキル、アルコキシ、アルキルカルボニル、アルコキシカルボニル、アルキルカルボニルオキシ、又はアルコキシカルボニルオキシであり、1つ又は複数のH原子は、任意選択で、F若しくはCl、好ましくはF、-CN、又は1~6個のC原子を有する直鎖若しくは分岐鎖アルキル、アルコキシ、アルキルカルボニル、アルコキシカルボニル、アルキルカルボニルオキシ、又はアルコキシカルボニルオキシにより置き換えられており、
Rxx及びRyyは、互いに独立して、H又は1~12個のC原子を有するアルキルを示し、
Y01及びY02は、各々互いに独立して、H、1~12個のC原子を有するアルキル、アリール、F、Cl、又はCNを示し、
k及びlは、各々及び独立して、0、1、2、3、又は4である。
【0052】
本発明による重合性化合物は、好ましくは重合性二反応性メソゲン化合物である。
重合性基Pは、例えば、ラジカル若しくはイオン連鎖重合、重付加、又は重縮合等の重合反応を起こすことが可能な、又は例えばポリマー骨格への付加若しくは縮合等の重合類似反応を起こすことが可能な基である。
【0053】
インデックスmは、1から50までであることが好ましい。より好ましくは、インデックスmは2から30まで、及び最も好ましくは3から20までである。
Z21及びZ22は、独立して及び各出現において互いに独立して、-COO-、-OCO-、-CO-O-、-O-CO-、-OCH2-、-CH2O-、-CH2CH2-、-(CH2)4-、-CF2CH2-、-CH2CF2-、-CF2CF2-、-C≡C-、-CH=CH-COO-、-OCO-CH=CH-、又は単結合であることが好ましい。
好ましくは、k及びlは、各々及び独立して0、1、又は2であり、より好ましくはk及びlは1である。
【0054】
好ましい重合性基Pは、C=C二重結合又はC≡C三重結合を含む基、及び例えばオキセタン基又はエポキシド基等の、開環反応による重合に好適な基から選択される。
より好ましい重合性基Pは、CH
2=CW
1-COO-、CH
2=CW
1-CO-、
【化8】
CH
2=CW
2-(O)
k3-、CW
1
2=CH-CO-(O)
k3-、CW
1
2=CH-CO-NH-、CH
2=CW
1-CO-NH-、CH
3-CH=CH-O-、(CH
2=CH)
2CH-OCO-、(CH
2=CH-CH
2)
2CH-OCO-、(CH
2=CH)
2CH-O-、(CH
2=CH-CH
2)
2N-、(CH
2=CH-CH
2)
2N-CO-、CH
2=CW
1-CO-NH-、CH
2=CH-(COO)
k1-Phe-(O)
k2-、CH
2=CH-(CO)
k1-Phe-(O)
k2-、及びPhe-CH=CH-からなるリストから選択され、
式中、
W
1は、H、F、Cl、CN、CF
3、フェニル、又は1~5個のC原子を有するアルキル、より好ましくはH、F、Cl、又はCH
3を示し、
W
2は、H又は1~5個のC原子を有するアルキル、より好ましくはH、メチル、エチル、又はn-プロピルを示し、
W
3及びW
4は、各々互いに独立して、H、Cl、又は1~5個のC原子を有するアルキルを示し、
Pheは、上記で定義されている通りであるが、P-Spとは異なる1つ又は複数のラジカルLにより任意選択で置換されている1,4-フェニレンを示し、好ましくは好ましい置換基Lは、F、Cl、CN、NO
2、CH
3、C
2H
5、OCH
3、OC
2H
5、COCH
3、COC
2H
5、COOCH
3、COOC
2H
5、CF
3、OCF
3、OCHF
2、OC
2F
5、及びフェニルであり、
k
1、k
2、及びk
3は、各々互いに独立して0又は1を示し、k
3は、好ましくは1を示し、
k
4は、1から10までの整数である。
【0055】
ほとんどの好ましい重合性基Pは、ビニルオキシ基、アクリレート基、メタクリレート基、フルオロアクリレート基、クロロアクリレート基、オキセタン基、エポキシ基、マレイミド基、3-メチルマレイミド基、3-エチルマレイミド基、3-プロピルマレイミド基、3,4-ジメチルマレイミド基、3-メチル-4-エチルマレイミド基、3-メチル-4-プロポイルマレイミド(3-methyl-4-propoyl maleimide)基、3,4-ジエチルマレイミド基、3-エチル-4-プロポイルマレイミド(3-ethyl-4-propoyl maleimide)基、及び3,4-ジプロピルマレイミド基、最も好ましくは、アクリレート基、メタクリレート基、マレイミド基、及び3、4-ジメチルマレイミド基である。
【0056】
好ましいスペーサー基Spは、ラジカル「P-Sp-」が式「P-Sp’-X’-」に対応するように、式Sp’-X’から選択され、式中、
Sp’は、
(a)F、Cl、Br、I、又はCNにより任意選択で一置換又は多置換されており、加えて1つ又は複数の非隣接CH2基が、各々互いに独立して、-O-、-S-、-NH-、-NR01-、-SiR01R02-、-CO-、-COO-、-OCO-、-OCO-O-、-S-CO-、-CO-S-、-NR01-CO-O-、-O-CO-NR01-、-NR01-CO-NR01-、-CH=CH-、又は-C≡O-により、O及び/又はS原子が互いに直接連結されないように置き換えられていてもよい、1~40個の、好ましくは1~30個のC原子を有する直鎖又は分岐鎖アルキレン、又は
(b)Spx及びSpyは、互いに独立して、1~20個のC原子を有するアルキレン又は単結合を示し、Gは、1~20個のC原子、好ましくは1~12個のC原子を有するアルキルにより任意選択で一置換又は多置換されている、3~20個のC原子、好ましくは5~12個のC原子を有するシクロアルキレンを示す-Spx-G-Spy-を示し、
X’は、-O-、-S-、-CO-、-COO-、-OCO-、-O-COO-、-CO-NR01-、-NR01-CO-、-NR01-CO-NR01-、-OCH2-、-CH2O-、-SCH2-、-CH2S-、-CF2O-、-OCF2-、-CF2S-、-SCF2-、-CF2CH2-、-CH2CF2-、-CF2CF2-、-CH=N-、-N=C-、-N=N-、-CH=CR01-、-CY01=CY02-、-C≡C-、-CH=CH-COO-、-OCO-CH=CH-、又は単結合、好ましくは-O-、-S-、-CO-、-COO-、-OCO-、-O-COO-、-CONR0-、-NR01-CO-、-NR01-CO-NR01-、又は単結合を示し、
R01及びR02は、各々互いに独立して、H又は1~12個のC原子を有するアルキルを示し、
Y01及びY02は、各々互いに独立して、H、F、Cl、又はCNを示す。
【0057】
好ましい基Sp’は、各々の場合、直鎖メチレン、エチレン、プロピレン、ブチレン、ペンチレン、ヘキシレン、ヘプチレン、オクチレン、ノニレン、デシレン、ウンデシレン、ドデシレン、及びオクタデシレン、シクロ-ヘキシレン、エチレンオキシエチレン、メチレンオキシブチレン、エチレンチオエチレン、エチレン-N-メチルイミノエチレン、1-メチルアルキレン、エテニレン、プロペニレン、及びブテニレンから選択される。
【0058】
より好ましいスペーサー基Spは、-(CH
2)
p1-、-(CH
2CH
2O)
q1-CH
2CH
2-、-CH
2CH
2-S-CH
2CH
2-、-CH
2CH
2-NH-CH
2CH
2-、-(SiR
01R
02-O)
p1-、-(CH
2)
p1-(シクロ-C
6H
8R
01R
02)-(CH
2)
p1-、及び
【化9】
からなるリストから選択され、式中、
p1は、1から60までの、好ましくは1から36までの、より好ましくは1から12までの整数であり、
q1は、1から12までの、好ましくは1から3までの整数であり、
R
01及びR
02は、各々互いに独立して、H又は1~12個のC原子を有するアルキルを示す。
【0059】
ほとんどの好ましい基Spは、-(CH2)p1-、-O-(CH2)p1-、-O-(CH2)p1-O-、-OCO-(CH2)p1-、及び-OCOO-(CH2)p1-であり、式中p1は、1から36までの、好ましくは1から12までの整数である。
【0060】
本発明の好ましい実施形態では、基A
21~A
23は、独立して及び複数の出現の場合は互いに独立して、以下の群a)~e)から選択される部分である:
a)1つ又は複数の非隣接CH
2基が-O-及び/又は-S-により置き換えられていてもよく、1つ又は複数のH原子が基Lにより置き換えられていてもよいtrans-1,4-シクロヘキシレン、1,4-シクロヘキセニレン、(1,4-cyclohexenylene)及び4,4’-ビシクロヘキシレン、
b)1つ又は2つのCH基がNにより置き換えられていてもよく、1つ又は複数のH原子が基Lにより置き換えられていてもよい1,4-フェニレン、1,3-フェニレン、4,4’-ビフェニレン、2,5-チフェン(2,5-thiphene)、及び2,6-ジチエノ[3,2-b:2’,3’-d]チオフェン、
c)1つ又は複数の基Lで置換されていてもよいテトラヒドロピラン-2,5-ジイル、1,3-ジオキサン-2,5-ジイル、テトラヒドロフラン-2,5-ジイル、シクロブタ-1,3-ジイル、ピペリジン-1,4-ジイル、チオフェン-2,5-ジイル、及びセレノフェン-2,5-ジイル、
d)飽和、部分的不飽和、又は完全不飽和の、任意選択で置換されており、また1つ又は複数がヘテロ原子により置き換えられていてもよい5~20個の環C原子を有する多環式ラジカルであって、好ましくは、ビシクロ[1.1.1]ペンタン-1,3-ジイル、ビシクロ[2.2.2]オクタン-1,4-ジイル、スピロ[3.3]ヘプタン-2,6-ジイル、トリシクロ[3.3.1.1]デカン-1,3-ジイル、
【化10】
からなる群から選択され、
式中、1つ若しくは複数のH原子は基Lにより置き換えられていてもよく、及び/又は1つ若しくは複数の二重結合は単結合により置き換えられていてもよく、及び/又は1つ若しくは複数のCH基はNにより置き換えられていてもよく、
Mは、-O-、-S-、-CH
2-、-CHY
03-、又は-CY
03Y
04-を示し、
Y
03、Y
04は、互いに独立して、R
01について上記で示されている意味の1つ、F、Cl、CN、OCF
3、又はCF
3、及び好ましくはH、F、Cl、CN、OCF
3、又はCF
3を示し、
W
5、W
6は、互いに独立して、-CH
2CH
2-、-CH=CH-、-CH
2-O-、-O-CH
2-、-C(R
cR
d)-、又は-O-を示し、
R
c、R
dは、互いに独立して、H又は1~6個のC原子を有するアルキル、好ましくはH、メチル、又はエチルを示し、
R
03、R
04は、互いに独立して、H、F、1つ又は複数のH原子がFにより置き換えられていてもよい1~12個のC原子を有する直鎖又は分岐鎖アルキルを示す、多環式ラジカル、
e)
【化11】
からなる群から選択され、
式中、1つ若しくは複数のH原子は基Lにより置き換えられていてもよく、及び/又は1つ若しくは複数の二重結合は単結合により置き換えられていてもよく、及び/又は1つ若しくは複数のCH基はNにより置き換えられていてもよい、環式イミド。
【0061】
式(1)による好ましい重合性化合物は、
【化12】
であり、
式中、ラジカル及びインデックスは、以下の意味を有する:
Lは、F、Cl、Br、I、-CN、-NO
2、-NCO、-NCS、-OCN、-SCN、-C(=O)NR
xxR
yy、-C(=O)OR
xx、-C(=O)R
xx、-NR
xxR
yy、-OH、-SF
5、又は1~20個のC原子、好ましくは1~12個のC原子を有する直鎖若しくは分岐鎖アルキル、アルコキシ、アルキルカルボニル、アルコキシカルボニル、アルキルカルボニルオキシ、又はアルコキシカルボニルオキシであり、1つ又は複数のH原子は、任意選択で、F若しくはCl、好ましくはF、-CN、又は1~6個のC原子を有する直鎖若しくは分岐鎖アルキル、アルコキシ、アルキルカルボニル、アルコキシカルボニル、アルキルカルボニルオキシ、若しくはアルコキシカルボニルオキシで置き換えられており、
R
xx及びR
yyは、互いに独立して、H又は1~12個のC原子を有するアルキルを示し、
rは、0、1、2、3、又は4であり、
sは、0、1、2、又は3であり、
tは、0、1、又は2であり、
Z
21及びZ
22は、独立して及び各出現において互いに独立して、-O-、-S-、-CO-、-COO-、-OCO-、-S-CO-、-CO-S-、-O-COO-、-CONR
01-、-NR
01-CO-、-NR
01-CO-NR
02、-NR
01-CO-O-、-O-CO-NR
01-、-OCH
2-、-CH
2O-、-SCH
2-、-CH
2S-、-CF
2O-、-OCF
2-、-CF
2S-、-SCF
2-、-CH
2CH
2-、-(CH
2)
4-、-CF
2CH
2-、-CH
2CF
2-、-CF
2CF
2-、-CH=N-、-N=CH-、-N=N-、-CH=CR
01-、-CY
01=CY
02-、-C≡C-、-CH=CH-COO-、-OCO-CH=CH-、又は単結合であり、好ましくは-COO-、-OCO-、-CO-O-、-O-CO-、-OCH
2-、-CH
2O-、-CH
2CH
2-、-(CH
2)
4-、-CF
2CH
2-、-CH
2CF
2-、-CF
2CF
2-、-C≡C-、-CH=CH-COO-、-OCO-CH=CH-、又は単結合であり、
R
01及びR
02は、各々互いに独立して、H又は1~12個のC原子を有するアルキルを示し、
Sp
1は、各出現において、上記で定義されている通りのスペーサー基(Sp)又は単結合を示し、
P
1は、上記で定義されている通りの重合性基(P)を示し、
mは、1から60までの、好ましくは1~50の、より好ましくは2~30の、及び最も好ましくは3~20の整数である。
【0062】
式(1)による、より好ましい重合性化合物は、
【化13】
であり、式中、ラジカル及びインデックスは、上記で定義されている通りの意味の1つを有する。
【0063】
式(1)による、特に好ましい重合性化合物は、
【化14】
であり、式中、ラジカル及びインデックスは、上記で定義されている通りの意味の1つを有する。
【0064】
式(1)による、最も好ましい重合性化合物は、
【化15】
であり、式中、
nは、1から60までの、好ましくは1から36までの、及びより好ましくは6から12までの整数であり、
mは、1から60までの、好ましくは1~50の、より好ましくは2~30の、及び最も好ましくは3~20の整数である。
【0065】
式M1~M33及び対応する部分式の化合物では、環基:
【化16】
は、好ましくは、
【化17】
であり、式中、
Lは、各出現において互いに独立して、F、Cl、Br、I、-CN、-NO
2、-NCO、-NCS、-OCN、-SCN、-C(=O)NR
xxR
yy、-C(=O)OR
xx、-C(=O)R
xx、-NR
xxR
yy、-OH、-SF
5、又は1~20個のC原子、好ましくは1~12個のC原子を有する直鎖若しくは分岐鎖アルキル、アルコキシ、アルキルカルボニル、アルコキシカルボニル、アルキルカルボニルオキシ、又はアルコキシカルボニルオキシであり、1つ又は複数のH原子は、任意選択で、F若しくはCl、好ましくはF、-CN、又は1~6個のC原子を有する直鎖若しくは分岐鎖アルキル、アルコキシ、アルキルカルボニル、アルコキシカルボニル、アルキルカルボニルオキシ、若しくはアルコキシカルボニルオキシで置き換えられており、
R
xx及びR
yyは、上記で示されている定義に従って定義される。
【0066】
式(1)により表される重合性化合物は、任意の標準的合成により調製することができる。通常、化合物は、逆合成的により小さな単位へと切断され、好適な前駆体化合物から階段的に形成される。この目的のためには、公知の標準的反応を使用することができる。合成の後期段階で、典型的には合成のまさに最後のステップで重合性基P1を付着させることが特に有利であることが証明されている。そうすることにより、化合物の望ましくない副反応又は早期重合を回避することができる。
【0067】
例えば、重合性化合物が、
【化18】
により表され、式中W
3及びW
4は、各々互いに独立してH、Cl、又は1~5個のC原子を有するアルキルを示す重合性基Pを含む場合、
式(3):
X-Sp
1-(MG-Sp
1)
m-X 式(3)
により表される前駆体を
【化19】
と反応させて、式(1):
P
1-Sp
1-(MG-Sp
1)
m-P
1 式(1)
により表わされる重合性化合物を形成し、
式中、XはNH
2であり、
P
1は、
【化20】
であり、
Sp
1、MG、及びmは、上記に示されている通りの定義の1つを有する。
【0068】
本発明は、重合性化合物の1つ又は複数のモノマー単位を含むポリマーを形成するための方法を更に提供する。ポリマーは、直鎖であってもよく又は架橋されていてもよい誘電性ポリマーである。
ポリマーを形成するための方法は、
(i)本発明による1つ又は複数の重合性化合物を含む重合性出発材料を準備するステップ、及び
(ii)前記重合性出発材料を重合するステップ
を含む。
【0069】
重合性出発材料に含まれる重合性化合物は、式(1)及び上記で言及された定義により表わされる重合性化合物である。
ステップ(i)で準備される重合性出発材料は、本発明による1つの重合性化合物を含むことが好ましい。
好ましい実施形態では、ステップ(i)で準備される重合性出発材料は、本発明による重合性化合物と反応してコポリマーを形成することが可能な1つ又は複数の追加の重合性化合物を含む。
【0070】
好ましい追加の重合性化合物は、本発明の重合性化合物の重合性基Pと反応してコポリマーを形成することが可能なモノマーである。そのような好ましい追加の重合性化合物は、アクリレート、エポキシド、オレフィン、ビニルエーテル、ビニルエステル、ポリチオール、ポリアミン、及びポリマレイミドから選択される。当業者であれは、基本的な化学知識を使用して、本発明の所与の重合性化合物のために、第1に言及したものと反応してコポリマーを形成することが可能である好適な追加の重合性化合物を見出し、選択することができる。
【0071】
好ましいアクリレートは、アクリル酸、メタクリル酸、アクリル酸メチル、メタクリル酸メチル、シアノアクリル酸メチル、アクリル酸エチル、メタクリル酸エチル、シアノアクリル酸エチル、アクリル酸プロピル、メタクリル酸プロピル、シアノアクリル酸プロピル、アクリル酸ブチル、メタクリル酸ブチル、シアノアクリル酸ブチル、アクリル酸ペンチル、メタクリル酸ペンチル、シアノアクリル酸ペンチル、アクリル酸ヘキシル、メタクリル酸ヘキシル、シアノアクリル酸ヘキシル、アクリル酸ヘプチル、メタクリル酸ヘプチル、シアノアクリル酸ヘプチル、アクリル酸オクチル、メタクリル酸オクチル、シアノアクリル酸オクチル、エチレングリコールジメタクリレート、2-エチルヘキシルアクリレート、メタクリル酸グリシジル、(ヒドロキシエチル)アクリレート、(ヒドロキシエチル)メタクリレート、メチル2-クロロアクリレート、及びメチル2-フルオロアクリレートである。
【0072】
好ましいエポキシドは、エチレンオキシド、プロピレンオキシド、ブチレンオキシド、ペンチレンオキシド、ヘキシレンオキシド、ヘプチレンオキシド、オクチレンオキシド、グリシドアミド、グリシドール、スチレンオキシド、3,4-エポキシテトラヒドロチオフェン-1,1-ジオキシド、2,3-エポキシプロピオ酸エチル、2-メチルグリシド酸メチル、メチルグリシジルエーテル、エチルグリシジルエーテル、ジグリシジルエーテル、シクロペンテンオキシド、シクロヘキセンオキシド、シクロヘプテンオキシド、シクロオクテンオキシド、及びスチルベンオキシドである。
【0073】
好ましいオレフィンは、エチレン、プロピレン、ブチレン、ペンチレン、ヘキシレン、ヘプチレン、オクチレン、イソプレンスチレン、及びビニルエチレンである。
好ましいビニルエーテルは、ジビニルエーテル、メチルビニルエーテル、エチルビニルエーテル、プロピルビニルエーテル、ブチルビニルエーテル、ペンチルビニルエーテル、ヘキシルビニルエーテル、ヘプチルビニルエーテル、及びオクチルビニルエーテルである。
好ましいビニルエステルは、ギ酸ビニル、酢酸ビニル、プロパン酸ビニル、ブタン酸ビニル、ペンタン酸ビニル、ヘキサン酸ビニル、ヘプタン酸ビニル、オクタン酸ビニル、ノナン酸ビニル、デカン酸ビニル、アクリル酸ビニル、メタクリル酸ビニル、安息香酸ビニル、4-tert-ブチル安息香酸ビニル、桂皮酸ビニル、及びトリフルオロ酢酸ビニルである。
【0074】
好ましいポリチオールは、2つ又はそれよりも多くのチオール官能基を有する有機硫黄化合物である。特に好ましいポリチオールは、HS-(CnH2n)-SH(式中、n=2~20、好ましくは2~12);CnH2n-1(SH)3(式中、n=3~20、好ましくは3~12);HS-Ar-SH(式中、Ar=置換又は非置換C6~C20アリーレン);及びHS-(CH2)m-Ar-(CH2)m-SH(式中、Ar=置換又は非置換C6~C20アリーレン及びm=1~12)からなるリストから選択される。
【0075】
好ましいポリアミンは、2つ又はそれよりも多くのアミノ官能基を有する有機アミン化合物である。特に好ましいポリアミンは、H2N-(CnH2n)-NH2(式中、n=2~20、好ましくは2~12);H2N-(CnH2nNH)-NH2(式中、n=2~20、好ましくは2~12);CnH2n-1(NH2)3(式中、n=3~20、好ましくは3~12);H2NAr-NH2(Ar=置換又は非置換C6~C20アリーレン);及びH2N-(CH2)m-Ar-(CH2)m-H2N(Ar=置換又は非置換C6~C20アリーレン及びm=1~12)からなるリストから選択される。
【0076】
好ましいポリマレイミドは、米国特許出願公開第2008/0075961号明細書及び米国特許出願公開第2017/0152418号明細書に記載されているマレイミドエンドキャップポリイミドである。これら文献の開示は参照により本明細書に組み込まれる。ポリマレイミドは、以下の式(A)又は式(B)により表わされる化合物から選択されるジマレイミドであることが好ましい:
【化21】
式中、R
1及びQ
1は、独立して、非置換又は置換脂肪族、脂環、アルケニル、アリール、へテロアリール、シロキサン、ポリ(ブタジエン-co-アクリロニトリル)、及びポリ(アルキレンオキシド)に由来する構造からなる群から選択され、X
1~X
4は、各々独立して、H又は1~6個のC原子を有するアルキル基であり、n=0~30であり、
【化22】
式中、R
2及びQ
2は、独立して、非置換又は置換脂肪族、脂環、アルケニル、アリール、へテロアリール、シロキサン、ポリ(ブタジエン-co-アクリロニトリル)、及びポリ(アルキレンオキシド)に由来する構造からなる群から選択され、X
5~X
8は、各々独立して、H又は1~6個のC原子を有するアルキル基であり、R
3及びR
4は、各々独立して、H又はCH
3であり、R
3及びR
4の少なくとも1つはCH
3であり、n=0~30である。
【0077】
好ましい実施形態では、非置換又は置換脂肪族、脂環、アルケニル、アリール、へテロアリール、シロキサン、ポリ(ブタジエン-co-アクリロニトリル)、及びポリ(アルキレンオキシド)に由来する構造は、アルキル基、アルケニル基、アルキニル群、ヒドロキシル基、オキソ基、アルコキシ基、メルカプト基、シクロアルキル基、置換シクロアルキル基、複素環基、置換複素環基、アリール基、置換アリール基、ヘテロアリール基、置換ヘテロアリール基、アリールオキシ基、置換アリールオキシ基、ハロゲン、ハロアルキル基、シアノ基、ニトロ基、ニトロン基、アミノ基、アミド基、-C(O)H、アシル基、オキシアシル基、カルボキシル基、カルバメート基、スルホニル基、スルホンアミド基、スルフリル基、又は-C(O)-、-S-、-S(O)2-、-OC(O)-O-、-NA-C(O)-、-NAC(O)-NA-、-OC(O)-NA-(式中、Aは、H又は1~6個の炭素を有するアルキル基である)であり、1つの末端は置換基を更に含むことが好ましい。
【0078】
好ましい置換基は、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、ヒドロキシル基、オキソ基、アルコキシ基、メルカプト基、シクロアルキル基、置換シクロアルキル基、複素環基、置換複素環基、アリール基、置換アリール基、ヘテロアリール基、置換ヘテロアリール基、アリールオキシ基、置換アリールオキシ基、ハロゲン、ハロアルキル基、シアノ基、ニトロ基、ニトロン基、アミノ基、アミド基、-C(O)H、アシル基、オキシアシル基、カルボキシル基、カルバメート基、スルホニル基、スルホンアミド基、スルフリル基、又は-C(O)-、-S-、-S(O)2-、-OC(O)-O-、-NA-C(O)-、-NAC(O)-NA-、-OC(O)-NA-(式中、Aは、H又は1~6個の炭素を有するアルキル基である)、アシル基、オキシアシル基、カルボキシル基、カルバメート基、スルホニル基、スルホンアミド基、又はスルフリル基である。
【0079】
より好ましい実施形態では、R1及びR2並びにQ1及びQ2は、置換又は非置換脂肪族部分、脂環部分、アルケニル部分、芳香族部分、ヘテロ芳香族部分、シロキサン部分、ポリ(ブタジエン-co-アクリロニトリル)部分、又はポリ(アルキレンオキシド)部分からなる群から独立して選択される。
好ましい脂肪族部分は、直鎖又は分岐鎖C1~C50アルキレン、より好ましくは直鎖又は分岐鎖C1~C36アルキレンである。
【0080】
好ましい脂環部分は、脂肪族且つ環式であり、置換又は非置換のいずれであってもよく、任意選択で縮合及び/又は架橋されていてもよい1つ又は複数の全炭素環を含む。好ましい脂環部分は、3~72個のC原子、より好ましくは3~36個のC原子を有する。特に好ましい脂環部分は、-Sp1-Cy-Sp2-により表され、式中、Sp1及びSp2は、互いに独立して、1~12個のC原子を有するアルキレン又は単結合を示し、Gは、1~12個のC原子を有するアルキルにより任意選択で一置換又は多置換されている、3~12個のC原子を有するシクロアルキレンを示す。
【0081】
好ましいアルケニル部分は、少なくとも1つの炭素間二重結合を有し、約100個までの範囲のC原子を有する直鎖又は分岐鎖ヒドロカルビル部分である。より好ましいアルケニル部分は、C2~C50アルケニレン、最も好ましくはC2~C36アルケニレンである。
好ましい芳香族部分は、6~20個のC原子、より好ましくは6~14個のC原子を有する、置換又は非置換のいずれであってもよいアリーレン基である。
【0082】
ヘテロ芳香族部分は、環構造の一部として1つ又は複数のヘテロ原子(例えばN、O、又はS等)を含む芳香族部分である。好ましいヘテロ芳香族部分は、3~20個のC原子、好ましくは3~14個のC原子、並びにN、O、及び/又はSから選択される1つ又は複数のヘテロ原子を含み、それらは、置換又は非置換のいずれでもよい。
好ましいシロキサン部分は、-[RaRbSi-O]n-RaRbSi-から選択され、式中、Ra及びRbは、独立してH又はC1~C6アルキルであり、n=1~1000、より好ましくは1~100である。
好ましいポリ(アルキレンオキシド)部分は、ポリ(C1~C12アルキレンオキシド)部分である。
重合性出発材料中の本発明の重合性化合物と追加の重合性化合物とのモル比は、0.1:100から100:0.1までであることが好ましい。
【0083】
ステップ(i)で準備される重合性出発材料は、溶媒を実質的に含まないことが好ましい。「溶媒を実質的に含まない」は、重合性出発材料中の総残留溶媒の含有量が、重合性化合物の総質量に基づいて、10質量%以下、好ましくは5質量%以下、及びより好ましくは1質量%以下であることを意味する。
【0084】
重合性出発材料は、ラジカル重合又はイオン重合により、又は放射線への曝露により、ステップ(ii)で重合されることが好ましい。重合性出発材料は、フリーラジカル重合用の開始剤又はイオン重合用の開始剤を含むことが更に好ましい。ステップ(ii)での重合性化合物の重合は、高温で、好ましくは25から200℃までの範囲の温度で、より好ましくは25から150℃までの範囲の温度で生じることが更に好ましい。
【0085】
好ましくは、ラジカル重合用の開始剤は、熱への曝露により熱的に、又はUV及び/若しくは可視光等の放射線への曝露により光化学的に活性化される。
好ましいラジカル重合用の開始剤は、tert-アミルペルオキシベンゾエート、4,4-アゾビス(4-シアノ吉草酸)、1,1’-アゾビス(シクロヘキサンカルボニトリル)、2,2’-アゾビスイソブチロニトリル(AIBN)、過酸化ベンゾイル、2,2-ビス(tert-ブチルペルオキシ)ブタン、1,1-ビス(tert-ブチルペルオキシ)シクロヘキサン、2,5-ビス(tert-ブチルペルオキシ)-2,5-ジメチルヘキサン、2,5-ビス(tert-ブチルペルオキシ)-2,5-ジメチル-3-ヘキシン、ビス(1-(tert-ブチルペルオキシ)-1-メチルエチル)ベンゼン、1,1-ビス(tert-ブチルペルオキシ)-3,3,5-トリメチルシクロヘキサン、tert-ブチルヒドロペルオキシド、tert-ブチルペルアセテート、tert-ブチルペルオキシド、tert-ブチルペルオキシベンゾエート、tert-ブチルペルオキシイソプロピルカルボネート、クメンヒドロペルオキシド、シクロヘキサノンペルオキシド、ジクミルペルオキシド、過酸化ラウロイル、2,4-ペンタンジオンペルオキシド、過酢酸、及び過硫酸カリウムである。典型的には、そのような開始剤は、熱的に活性化することができるラジカル重合開始剤である。
【0086】
更に好ましいラジカル重合用の開始剤は、アセトフェノン、p-アニシル、ベンジル、ベンゾイン、ベンゾフェノン、2-ベンゾイル安息香酸、4,4’-ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノン、4,4’-ビス(ジメチルアミノ)ベンゾフェノン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、4-ベンゾイル安息香酸、2,2’-ビス(2-クロロフェニル)-4,4’,5,5’-テトラフェニル-1,2’-ビイミダゾール、メチル2-ベンゾイルベンゾエート、2-(1,3-ベンゾジオキソール-5-イル)-4,6-ビス(トリクロロメチル)-1,3,5-トリアジン、2-ベンジル-2-(ジメチルアミノ)-4’-モルホリノブチロフェノン、(±)-カンフルキノン、2-クロロチオキサントン、4,4’-ジクロロベンゾフェノン、2,2-ジエトキシアセトフェノン、2,2-ジメトキシ-2-フェニルアセトフェノン、2,4-ジエチルチオキサンテン-9-オン、ジフェニル(2,4,6-トリメチルベンゾイル)ホスフィンオキシド、1,4-ジベンゾイルベンゼン、2-エチルアントラキノン、1-ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2-ヒドロキシ-2-メチルプロピオフェノン、2-ヒドロキシ-4’-(2-ヒドロキシエトキシ)-2-メチルプロピオフェノン、2-イソプロピルチオキサントン、リチウムフェニル(2,4,6-トリメチルベンゾイル)ホスフィネート、2-メチル-4’-(メチルチオ)-2-モルホリノプロピオフェノン、2-イソニトロソプロピオフェノン、2-フェニル-2-(p-トルエンスルホニルオキシ)アセトフェノン、及びフェニルビス(2,4,6-トリメチルベンゾイル)ホスフィンオキシドである。典型的には、そのような開始剤は、光化学的に活性化することができるラジカル重合開始剤である。
【0087】
好ましいイオン重合用の開始剤は、アルキルリチウム化合物、アルキルアミンリチウム化合物、並びにチタン、ジルコニウム、及びハフニウムのペンタメチルシクロペンタジエニル(Cp*)錯体である。
【0088】
更に好ましいイオン重合用の開始剤は、ビス(4-tert-ブチルフェニル)ヨードニウムヘキサフルオロホスフェート、ビス(4-フルオロフェニル)ヨードニウムトリフルオロメタンスルホネート、シクロプロピルジフェニルスルホニウムテトラフルオロボレート、ジメチルフェナシルスルホニウムテトラフルオロボレート、ジフェニルヨードニウムヘキサフルオロホスフェート、ジフェニルヨードニウムヘキサフルオロアルセネート、ジフェニルヨードニウムトリフルオロメタンスルホネート、2-(3,4-ジメトキシスチリル)-4,6-ビス(トリクロロメチル)-1,3,5-トリアジン、2-[2-(フラン-2-イル)ビニル]-4,6-ビス(トリクロロメチル)-1,3,5-トリアジン、4-イソプロピル-4’-メチルジフェニルヨードニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、2-[2-(5-メチルフラン-2-イル)ビニル]-4,6-ビス(トリクロロメチル)-1,3,5-トリアジン、2-(4-メトキシフェニル)-4,6-ビス(トリクロロメチル)-1,3,5-トリアジン、2-(4-メトキシスチリル)-4,6-ビス(トリクロロメチル)-1,3,5-トリアジン、(2-メチルフェニル)(2,4,6-トリメチルフェニル)ヨードニウムトリフルオロメタンスルホネート、(3-メチルフェニル)(2,4,6-トリメチルフェニル)ヨードニウムトリフルオロメタンスルホネート、(4-メチルフェニル)(2,4,6-トリメチルフェニル)ヨードニウムトリフルオロメタンスルホネート、4-ニトロベンゼンジアゾニウムテトラフルオロボレート、(4-ニトロフェニル)(フェニル)ヨードニウムトリフルオロメタンスルホネート、トリフェニルスルホニウムテトラフルオロボレート、トリフェニルスルホニウムブロミド、トリ-p-トリルスルホニウムヘキサフルオロホスフェート、トリ-p-トリルスルホニウムトリフルオロメタンスルホネート、[3-(トリフルオロメチル)フェニル](2,4,6-トリメチルフェニル)ヨードニウムトリフルオロメタンスルホネート、及び[4-(トリフルオロメチル)フェニル](2,4,6-トリメチルフェニル)ヨードニウムトリフルオロメタンスルホネートである。典型的には、そのような開始剤は、光化学的に活性化することができるカチオン重合開始剤である。
【0089】
更に好ましいイオン重合用の開始剤は、アセトフェノンO-ベンゾイルオキシム、1,2-ビス(4-メトキシフェニル)-2-オキソエチルシクロヘキシルカルバメート、ニフェジピン、2-ニトロベンジルシクロヘキシルカルバメート、2-(9-オキソキサンテン-2-イル)プロピオン酸1,5,7-トリアザビシクロ[4.4.0]デカ-5-エン塩、2-(9-オキソキサンテン-2-イル)プロピオン酸1,5-ジアザビシクロ[4.3.0]ノナ-5-エン塩、及び2-(9-オキソキサンテン-2-イル)プロピオン酸1,8-ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデカ-7-エン塩である。典型的には、そのような開始剤は、光化学的に活性化することができるアニオン重合開始剤である。
【0090】
放射線への曝露は、可視光及び/又はUV光への曝露を含む。可視光は、>380から780nmまで、より好ましくは>380から500nmまでの波長を有する電磁放射線であることが好ましい。UV光は、≦380nm、より好ましくは100から380nmまでの波長を有する電磁放射線であることが好ましい。より好ましくは、UV光は、315から380nmまでの波長を有するUV-A光、280から315nmまでの波長を有するUV-B光、及び100から280nmまでの波長を有するUV-C光から選択される。
【0091】
UV光源としては、Hg蒸気ランプ又はUVレーザーが可能であり、IR光源としては、セラミック放射体又はIRレーザーダイオードが可能であり、可視領域の光には、レーザーダイオードが可能である。
好ましいUV光源は、a)例えば254nm及び185nm Hg低圧放電ランプ、193nm ArFエキシマレーザー、及び172nm Xe2層(layer)等の、<255nmの最大値を有する単一波長放射線を有する光源、又はb)例えば非ドープHg低圧放電ランプ等の、<255mの波長成分を有する広波長分布放射線を有する光源である。
本発明の好ましい実施形態では、光源は、キセノン閃光灯である。好ましくは、キセノン閃光灯は、約200nmまで達する短波長成分を有する広範な発光スペクトルを有する。
ステップ(ii)の重合は、0.1から1時間まで、好ましくは0.5から1時間までの時間範囲で生じることが好ましい。
【0092】
上記で言及された本発明によるポリマーを形成するための方法により取得可能であるか又は得られるポリマーが更に提供される。ポリマーは、好ましくは、直鎖又は橋架ポリマー、より好ましく直鎖ポリマーである。
【0093】
上記で定義されている通りの式(1)の重合性化合物に由来する少なくとも1つの反復単位を含むポリマーも提供される。
より好ましくは、前記ポリマーは、下記式(4):
[-Sp1-(MG-Sp1)m-] 式(4)
により表され、式中、Sp1、MG、及びmが上記で言及された定義の1つを有する構造単位を含む反復単位を含む。
好ましい実施形態では、ポリマーは、上記で定義されている通りの追加の重合性化合物に由来する追加の反復単位を更に含む。
好ましくは、本発明によるポリマーは、GPCにより決定して、少なくとも2000g/モルの、より好ましくは少なくとも4000g/モルの、更により好ましくは少なくとも5000g/モルの分子量Mwを有する。好ましくは、ポリマーの分子量Mwは、50000g/モル未満である。より好ましくは、ポリマーの分子量Mwは、5000から20000g/モルまでの範囲である。
【0094】
更に、本発明によるポリマーを含む電子デバイスが提供される。電子デバイスの場合、ポリマーは、誘電体層を形成することが好ましい。誘電体層は、電子デバイスの一部である1つ又は複数の電子部品を互いに電気的に分離する役目を果たす。
【0095】
最後に、1つ又は複数の重合された液晶性モノマーを含む誘電体コーティングが基板に提供されているパッケージングされたマイクロエレクトロニクス構造を調製するための製造方法であって、
(1)本発明による1つ又は複数の重合性化合物を含む重合性組成物を基板の表面に塗布するステップ、及び
(2)前記重合性組成物を硬化させて、誘電体層を形成するステップ
を含む製造方法が提供される。
ステップ(1)で準備される重合性組成物は、本発明による1つの重合性化合物を含むことが好ましい。
【0096】
好ましい実施形態では、ステップ(1)で準備される重合性組成物は、本発明による重合性化合物と反応してコポリマーを形成することが可能な1つ又は複数の追加の重合性化合物を含む。
好ましい追加の重合性化合物は、本発明の重合性化合物の重合性基Pと反応してコポリマーを形成することが可能なモノマーである。そのような好ましい追加の重合性化合物は、アクリレート、エポキシド、オレフィン、ビニルエーテル、ビニルエステル、ポリチオール、ポリアミン、及びポリマレイミドから選択される。当業者であれは、基本的な化学知識を使用して、本発明の所与の重合性化合物のために、第1に言及したものと反応してコポリマーを形成することが可能である好適な追加の重合性化合物を見出し、選択することができる。
好ましいアクリレート、エポキシド、オレフィン、ビニルエーテル、ビニルエステル、ポリチオール、ポリアミン、及びポリマレイミドは、上記の記載と同じである。
重合性出発材料中の本発明の重合性化合物と追加の重合性化合物とのモル比は、0.1:100から100:0.1までであることが好ましい。
【0097】
重合性組成物は、1つ又は複数の無機充填材材料を更に含むことが好ましい。好ましい無機充填材材料は、任意選択でキャッピング剤により表面修飾されていてもよい窒化物、チタン酸塩、ダイヤモンド、酸化物、硫化物、亜硫酸塩、硫酸塩、ケイ酸塩、及び炭化物から選択される。より好ましくは、充填材は、AlN、Al2O3、BN、BaTiO3、B2O3、Fe2O3、SiO2、TiO2、ZrO2、PbS、SiC、ダイヤモンド、及びガラス粒子からなるリストから選択される。
好ましくは、重合性組成物中の無機充填材材料の総含有量は、重合性組成物の総質量に基づいて、0.001から90質量%までの、より好ましくは0.01~70質量%の、及び最も好ましくは0.01~50質量%の範囲である。
ステップ(1)で準備される重合性組成物は、溶媒を実質的に含まないことが好ましい。「溶媒を実質的に含まない」は、重合性組成物中の総残留溶媒の含有量が、重合性化合物の総質量に基づいて、10質量%以下、好ましくは5質量%以下、及びより好ましくは1質量%以下であることを意味する。
【0098】
ステップ(1)において重合性組成物を塗布する方法は、特に限定されない。ステップ(1)の好ましい塗布方法は、分配、浸漬、スクリーン印刷、ステンシル印刷、ローラーコーティング、スプレーコーティング、スロットコーティング、スピンコーティング、グラビア印刷、フレキソ印刷、又はインクジェット印刷である。
本発明の重合性化合物は、グラビア印刷、フレキソ印刷、及び/又はインクジェット印刷に好適な調合物の形態で提供してもよい。そのような調合物の調製には、当該技術水準で公知であるインクベース調合物を使用することができる。
その代わりに、本発明の重合性化合物は、フォトリソグラフィーに好適な調合物の形態で提供してもよい。フォトリソグラフィー法は、光を使用して幾何学的パターンをフォトマスクから光硬化性組成物へと移転させることにより光パターンの創出を可能にする。典型的には、そのような光硬化性組成物は、光化学的に活性化可能な重合開始剤を含む。そのような調合物の調製には、当該技術水準で公知であるフォトレジストベース調合物を使用することができる。
【0099】
ステップ(1)において塗布される重合性組成物の層は、好ましくは、1~50μmの、より好ましくは2~30μmの、及び最も好ましくは3~15μmの平均厚さを有する。
ステップ(2)における硬化は、ラジカル重合又はイオン重合により、又は放射線への曝露により実施されることが好ましい。好ましい硬化条件は、ポリマー材料を形成するための方法について上記で示されている好ましい重合条件に対応する。
上記で言及された製造方法により調製されるパッケージングされたマイクロエレクトロニクス構造を含むマイクロエレクトロニクスデバイスも提供される。
【0100】
本発明は、以下の例により下記で更に説明されるが、そうした例はいかなる点でも限定として解釈されないものとする。当業者であれば、添付の特許請求の範囲で定義されている本発明の趣旨及び範囲から逸脱せずに、種々の改変、追加、及び代替を本発明になすことができることを理解するだろう。
本発明のまた別の態様は、以下のとおりであってもよい。
〔1〕式(1):
P
1
-Sp
1
-(MG-Sp
1
)
m
-P
1
式(1)
により表され、式中、
mは、1から60までの整数であり、
P
1
は、重合性基(P)を示し、
Sp
1
は、各出現においてスペーサー基(Sp)又は単結合を示し、
MGは、好ましくは式(2):
-(A
21
-Z
21
)
k
-A
22
-(Z
22
-A
23
)
l
- 式(2)
から選択されるロッド状メソゲン基であり、式中、
A
21
~A
23
は、独立して及び各出現において互いに独立して、1つ又は複数の同一の又は異なる基Lにより任意選択で置換されているアリール基、ヘテロアリール基、複素環基、脂環基、又は環式イミド基であり、
Z
21
及びZ
22
は、独立して及び各出現において互いに独立して、-O-、-S-、-CO-、-COO-、-OCO-、-S-CO-、-CO-S-、-O-COO-、-CONR
01
-、-NR
01
-CO-、-NR
01
-CO-NR
02
、-NR
01
-CO-O-、-O-CO-NR
01
-、-OCH
2
-、-CH
2
O、-SCH
2
-、-CH
2
S-、-CF
2
O-、-OCF
2
-、-CF
2
S-、-SCF
2
-、-CH
2
CH
2
-、-(CH
2
)
4
-、-CF
2
CH
2
-、-CH
2
CF
2
-、-CF
2
CF
2
-、-CH=N-、-N=CH-、-N=N-、-CH=CR
01
-、-CY
01
=CY
02
-、-C≡C-、-CH=CH-COO-、-OCO-CH=CH-、又は単結合であり、
R
01
及びR
02
は、各々互いに独立して、H又は1~12個のC原子を有するアルキルを示し、
Lは、F、Cl、Br、I、-CN、-NO
2
、-NCO、-NCS、-OCN、-SCN、-C(=O)NR
xx
R
yy
、-C(=O)OR
xx
、-C(=O)R
xx
、-NR
xx
R
yy
、-OH、-SF
5
、又は1~20個のC原子を有する直鎖若しくは分岐鎖アルキル、アルコキシ、アルキルカルボニル、アルコキシカルボニル、アルキルカルボニルオキシ、又はアルコキシカルボニルオキシであり、1つ又は複数のH原子は、任意選択で、F若しくはCl、-CN、又は1~6個のC原子を有する直鎖若しくは分岐鎖アルキル、アルコキシ、アルキルカルボニル、アルコキシカルボニル、アルキルカルボニルオキシ、若しくはアルコキシカルボニルオキシで置き換えられており、
R
xx
及びR
yy
は、互いに独立して、H又は1~12個のC原子を有するアルキルを示し、
Y
01
及びY
02
は、各々互いに独立して、H、1~12個のC原子を有するアルキル、アリール、F、Cl、又はCNを示し、
k及びlは、各々及び独立して、0、1、2、3、又は4である
重合性化合物。
〔2〕前記重合性基Pは、C=C二重結合又はC≡C三重結合を含む基、及び開環反応による重合に好適な基から選択される、前記〔1〕に記載の重合性化合物。
〔3〕前記重合性基Pは、CH
2
=CW
1
-COO-、CH
2
=CW
1
-CO-、
【化1】
、CH
2
=CW
2
-(O)
k3
-、CW
1
2
=CH-CO-(O)
k3
-、CW
1
2
=CH-CO-NH-、CH
2
=CW
1
-CO-NH-、CH
3
-CH=CH-O-、(CH
2
=CH)
2
CH-OCO-、(CH
2
=CH-CH
2
)
2
CH-OCO-、(CH
2
=CH)
2
CH-O-、(CH
2
=CH-CH
2
)
2
N-、(CH
2
=CH-CH
2
)
2
N-CO-、CH
2
=CW
1
-CO-NH-、CH
2
=CH-(COO)
k1
-Phe-(O)
k2
-、CH
2
=CH-(CO)
k1
-Phe-(O)
k2
-、及びPhe-CH=CH-からなる群から選択され、
式中、
W
1
は、H、F、Cl、CN、CF
3
、フェニル、又は1~5個のC原子を有するアルキルを示し、
W
2
は、H又は1~5個のC原子を有するアルキルを示し、
W
3
及びW
4
は、各々互いに独立して、H、Cl、又は1~5個のC原子を有するアルキルを示し、
Pheは、上記で定義されている通りであるが、P-Spとは異なる1つ又は複数のラジカルLにより任意選択で置換されている1,4-フェニレンを示し、
k
1
、k
2
、及びk
3
は、各々互いに独立して0又は1を示し、
k
4
は、1から10までの整数である、
前記〔1〕又は〔2〕に記載の重合性化合物。
〔4〕前記スペーサー基Spは、ラジカル「P-Sp-」が式「P-Sp’-X’-」に対応するように、式Sp’-X’から選択され、
Sp’は、
(a)1~40個の、好ましくは1~30個のC原子を有する直鎖又は分岐鎖アルキレンであって、F、Cl、Br、I、又はCNにより任意選択で一置換又は多置換されており、加えて1つ又は複数の非隣接CH
2
基が、各々互いに独立して、-O-、-S-、-NH-、-NR
01
-、-SiR
01
R
02
-、-CO-、-COO-、-OCO-、-OCO-O-、-S-CO-、-CO-S-、-NR
01
-CO-O-、-O-CO-NR
01
-、-NR
01
-CO-NR
01
-、-CH=CH-、又は-C≡O-により、O及び/又はS原子が互いに直接連結されないように置き換えられていてもよい直鎖又は分岐鎖アルキレン、又は
(b)Sp
x
及びSp
y
は、互いに独立して、1~20個のC原子を有するアルキレン又は単結合を示し、Gは、1~20個のC原子を有するアルキルにより任意選択で一置換又は多置換されている3~20個のC原子を有するシクロアルキレンを示す-Sp
x
-G-Sp
y
-を示し、
X’は、-O-、-S-、-CO-、-COO-、-OCO-、-O-COO-、-CO-NR
01
-、-NR
01
-CO-、-NR
01
-CO-NR
01
-、-OCH
2
-、-CH
2
O-、-SCH
2
-、-CH
2
S-、-CF
2
O-、-OCF
2
-、-CF
2
S-、-SCF
2
-、-CF
2
CH
2
-、-CH
2
CF
2
-、-CF
2
CF
2
-、-CH=N-、-N=C-、-N=N-、-CH=CR
01
-、-CY
01
=CY
02
-、-C≡C-、-CH=CH-COO-、-OCO-CH=CH-、又は単結合を示し、
R
01
及びR
02
は、各々互いに独立して、H又は1~12個のC原子を有するアルキルを示し、
Y
01
及びY
02
は、各々互いに独立して、H、F、Cl、又はCNを示す、
前記〔1〕~〔3〕のいずれか1項に記載の重合性化合物。
〔5〕前記スペーサー基Spは、
-(CH
2
)
p1
-、-(CH
2
CH
2
O)
q1
-CH
2
CH
2
-、-CH
2
CH
2
-S-CH
2
CH
2
-、-CH
2
CH
2
-NH-CH
2
CH
2
-、-(SiR
01
R
02
-O)
p1
-、-(CH
2
)
p1
-(シクロ-C
6
H
8
R
01
R
02
)-(CH
2
)
p1
-、及び
【化2】
からなるリストから選択され、式中、
p1は、1から60までの整数であり、
q1は、1から12までの整数であり、
R
01
及びR
02
は、各々互いに独立して、H又は1~12個のC原子を有するアルキルを示す、
前記〔1〕~〔4〕のいずれか1項に記載の重合性化合物。
〔6〕A
21
~A
23
は、独立して及び複数の出現の場合は互いに独立して、以下の群a)~e):
a)1つ又は複数の非隣接CH
2
基が-O-及び/又は-S-により置き換えられていてもよく、1つ又は複数のH原子が基Lにより置き換えられていてもよいtrans-1,4-シクロヘキシレン、1,4-シクロヘキセニレン、及び4,4’-ビシクロヘキシレン、
b)1つ又は2つのCH基がNにより置き換えられていてもよく、1つ又は複数のH原子が基Lにより置き換えられていてもよい1,4-フェニレン、1,3-フェニレン、4,4’-ビフェニレン、2,5-チフェン、及び2,6-ジチエノ[3,2-b:2’,3’-d]チオフェン、
c)1つ又は複数の基Lで置換されていてもよいテトラヒドロピラン-2,5-ジイル、1,3-ジオキサン-2,5-ジイル、テトラヒドロフラン-2,5-ジイル、シクロブタ-1,3-ジイル、ピペリジン-1,4-ジイル、チオフェン-2,5-ジイル、及びセレノフェン-2,5-ジイル、
d)飽和、部分的不飽和、又は完全不飽和の、任意選択で置換されており、また1つ又は複数がヘテロ原子により置き換えられていてもよい5~20個の環C原子を有する多環式ラジカルであって、好ましくは、ビシクロ[1.1.1]ペンタン-1,3-ジイル、ビシクロ[2.2.2]オクタン-1,4-ジイル、スピロ[3.3]ヘプタン-2,6-ジイル、トリシクロ[3.3.1.1]デカン-1,3-ジイル、
【化3】
からなる群から選択され、
式中、1つ若しくは複数のH原子は基Lにより置き換えられていてもよく、及び/又は1つ若しくは複数の二重結合は単結合により置き換えられていてもよく、及び/又は1つ若しくは複数のCH基はNにより置き換えられていてもよく、
Mは、-O-、-S-、-CH
2
-、-CHY
03
-、又は-CY
03
Y
04
-を示し、
Y
03
、Y
04
は、互いに独立して、R
01
について上記で示されている意味の1つ、F、Cl、CN、OCF
3
、又はCF
3
、及び好ましくはH、F、Cl、CN、OCF
3
、又はCF
3
を示し、
W
5
、W
6
は、互いに独立して、-CH
2
CH
2
-、-CH=CH-、-CH
2
-O-、-O-CH
2
-、-C(R
c
R
d
)-、又は-O-を示し、
R
c
、R
d
は、互いに独立して、H又は1~6個のC原子を有するアルキル、好ましくはH、メチル、又はエチルを示し、
R
03
、R
04
は、互いに独立して、H、F、1つ又は複数のH原子がFにより置き換えられていてもよい1~12個のC原子を有する直鎖又は分岐鎖アルキルを示す、多環式ラジカル、
e)
【化4】
からなる群から選択され、
式中、1つ若しくは複数のH原子は基Lにより置き換えられていてもよく、及び/又は1つ若しくは複数の二重結合は単結合により置き換えられていてもよく、及び/又は1つ若しくは複数のCH基はNにより置き換えられていてもよい、環式イミド
から選択される部分を示す、前記〔1〕~〔5〕のいずれか1項に記載の重合性化合物。
〔7〕ポリマーを形成するための方法であって、
(i)前記〔1〕~〔6〕のいずれか1項に記載の1つ又は複数の重合性化合物を含む重合性出発材料を準備するステップ、及び
(ii)前記重合性出発材料を重合するステップ
を含む方法。
〔8〕前記重合性出発材料は、前記重合性化合物と反応してコポリマーを形成することが可能な1つ又は複数の追加の重合性化合物を更に含む、前記〔7〕に記載のポリマーを形成するための方法。
〔9〕前記重合性出発材料は、ステップ(ii)において、ラジカル重合又はイオン重合により、又は放射線への曝露により重合される、前記〔7〕又は〔8〕に記載のポリマーを形成するための方法。
〔10〕前記〔7〕~〔9〕のいずれか1項に記載のポリマーを形成するための方法により取得可能なポリマー。
〔11〕前記〔1〕~〔6〕のいずれか1項で定義されている通りの式(1)の重合性化合物に由来する少なくとも1つの反復単位を含むポリマー。
〔12〕前記反復単位は、式(4):
[-Sp
1
-(MG-Sp
1
)
m
-] 式(4)
により表される構造単位を含み、
式中、Sp
1
、MG、及びmは、前記〔1〕~〔6〕のいずれか1項で定義されている通りである、前記〔11〕に記載のポリマー。
〔13〕前記〔11〕又は〔12〕に記載のポリマーを含む電子デバイス。
〔14〕前記ポリマーは誘電体層を形成する、前記〔13〕に記載の電子デバイス。
〔15〕1つ又は複数の重合された液晶性モノマーを含むコーティングが基板に提供されているパッケージングされたマイクロエレクトロニクス構造を調製するための製造方法であって、
(1)前記〔1〕~〔6〕のいずれか1項に記載の1つ又は複数の重合性化合物を含む重合性組成物を基板の表面に塗布するステップ、及び
(2)前記重合性組成物を硬化させて、誘電体層を形成するステップ
を含む製造方法。
〔16〕前記重合性組成物は、前記重合性化合物と反応してコポリマーを形成することが可能な1つ又は複数の追加の重合性化合物を更に含む、前記〔15〕に記載のパッケージングされたマイクロエレクトロニクス構造を調製するための製造方法。
〔17〕前記重合性組成物は、1つ又は複数の無機充填材材料を更に含む、前記〔15〕又は〔16〕に記載のパッケージングされたマイクロエレクトロニクス構造を調製するための製造方法。
〔18〕前記〔15〕~〔17〕のいずれか1項に記載の製造方法により取得可能なパッケージングされたマイクロエレクトロニクス構造を含むマイクロエレクトロニクスデバイス。
【実施例】
【0101】
A 二無水物の合成
1. 2-メチル-1,4-フェニレンビス(4-ヒドロキシベンゾエート)(1)の合成
【化23】
4-ヒドロキシ安息香酸(111g、0.8モル)、2-メチルヒドロキノン(50g、0.4モル)、p-トルエンスルホン酸一水和物(7.7g、0.04モル)、及びp-キシレン(400mL)の混合物を加熱し、ディーン-スターク装置を使用して20時間還流した。反応混合物を室温に冷却し、生成物をろ過により単離し、メタノール(400mL)で洗浄し、40℃で12時間減圧乾燥して、生成物を白色結晶性固形物として得た(136g、93%)。LC-MS(ESI-MS):m/z=365g/モル[M+1H]
1+。
【0102】
2. (((2-メチル-1,4-フェニレン)ビス(オキシ))ビス(カルボニル)ビス(4,1-フェニレン)ビス(1,3-ジオキソ-1,3-ジヒドロイソベンゾフラン-5-カルボキシレート(2)の合成
【化24】
ジフェノール1(72g、0.2モル)を、HClアクセプターとしてのピリジン(50mL、0.62モル)の存在下で乾燥THF(1.2L)に溶解した。別のフラスコで、トリメリト酸無水物クロリド(TMAC、85g、0.41モル)を乾燥THF(0.8L)に溶解した。ジフェノール溶液を、0℃でTMAC溶液にゆっくりと添加した。室温で20時間撹拌した後、形成された沈殿物をろ過し、THF、水、及び再びTHFで洗浄し、80℃で12時間減圧乾燥した。過剰量のAc
2Oを、部分的に加水分解された生成物に添加し、120℃で3時間加熱して確実に脱水環化した。Ac
2Oを、トルエンで共沸的に除去した。生成物を、最終的にトルエンからの再結晶により精製し、160℃で12時間減圧乾燥した(104g、71%)。
1H-NMR(500MHz、DMSO-d
6):δ=8.74~8.62(m、3H)、8.41~8.22(m、6H)、7.71~7.66(m、3H)、7.65~7.61(m、1H)、7.40~7.36(m、3H)、7.28(dd、J=8.6、2.7Hz、1H)、2.25(s、3H)ppm。
【0103】
3. 2-メチル-1,4-フェニレンビス(1,3-ジオキソ-1,3-ジヒドロイソベンゾフラン-5-カルボキシレート(3)の合成
【化25】
2-メチルヒドロキノン(30g、0.24モル)を、乾燥THF(0.4L)及びピリジン(59mL、0.73モル)の混合溶媒に溶解した。トリメリト酸無水物クロリド(104g、0.48モル)を無水THF(0.3L)に溶解し、常に撹拌しながら1時間にわたって0℃のメチルヒドロキノン溶液に滴加し、その後続いて室温で12時間反応させた。反応混合物をろ過して、粗生成物及び副生成物としてのピリジン/塩酸塩からなる白色沈殿物を収集した。沈殿物を、水及びTHFで繰り返し洗浄して塩を除去し、続いて160℃にて24時間減圧下で乾燥した。生成物は、この手順では無水物開環に向けて部分的加水分解を起こすため、固形物を乾燥トルエン(600mL)に懸濁し、DMF(6滴)及び塩化オキサリル(49.5g、0.39モル)を添加し、還流で8時間撹拌して確実に閉環脱水した。バッチを室温に冷却し、ろ過し、乾燥トルエン及び乾燥THFで洗浄し、最後に減圧下120℃で乾燥する。最後に、得られた粗生成物を、1,4-ジオキサン/THF(1/1、容積/容積)の混合溶媒から再結晶させ、その後再び160℃で24時間減圧乾燥して、生成物を白色固形物として得た(102g、89%)。
1H NMR(500MHz、DMSO-d
6):δ=8.71(dd、J=7.9、1.4Hz、1H)、8.69~8.65(m、2H)、8.64(t、J=1.1Hz、1H)、8.31(ddd、J=7.9、4.6、0.8Hz、2H)、7.47(d、J=8.8Hz、1H)、7.45(dd、J=2.8、0.8Hz、1H)、7.37(dd、J=8.6、2.9Hz、1H)、2.26(s、3H)ppm。
【0104】
4. [1,1’-ビフェニル]-4,4’-ジイルビス(1,3-ジオキソ-1,3-ジヒドロイソベンゾ-フラン-5-カルボキシレート(4)の合成
【化26】
4,4’-ジヒドロキシビフェニル(60g、0.32モル)を、乾燥THF(0.6L)及びピリジン(80mL、0.97モル)の混合溶媒に溶解した。トリメリト酸無水物クロリド(139g、0.64モル)を無水THF(0.4L)に溶解し、常に撹拌しながら1時間にわたって0℃の4,4’-ジヒドロキシビフェニル溶液に滴加し、その後続いて80℃で20時間反応させた。反応混合物をろ過して、粗生成物及び副生成物としてのピリジン/塩酸塩からなる黄色沈殿物を収集した。沈殿物を水及び乾燥THFで繰り返し洗浄して塩を除去した。生成物は、この手順では無水物開環に向けて部分的加水分解を起こすため、減圧下160℃で24時間加熱して確実に閉環脱水し、生成物を黄色固形物として得た(138g、80%)。
1H-NMR(500MHz、DMSO-d
6):δ=8.72~8.64(m、4H)、8.31(d、J=8.6、2H)、7.86(d、J=8.3Hz、4H)、7.53(J=8.3Hz、4H)ppm。
【0105】
5. 1,4-フェニレンビス(4-ヒドロキシベンゾエート(5)の合成
【化27】
4-ヒドロキシ安息香酸(49g、0.35モル)、ヒドロキノン(20g、0.176モル)、p-トルエンスルホン酸一水和物(3.4g、0.017モル)、及びp-キシレン(0.2L)の混合物を加熱し、ディーン-スターク装置を使用して20時間還流した。反応混合物を室温に冷却し、生成物をろ過により単離し、メタノール(400mL)で洗浄し、40℃で12時間減圧乾燥して、生成物を白色結晶性固形物として得た(59g、95%)。
1H-NMR(500MHz、DMSO-d
6):δ=10.54(s、2H)、8.04~7.97(m、4H)、7.33(s、4H)、6.98~6.91(m、4H)ppm。LC-MS(ESI-MS):m/z=351g/モル[M+1H]
1+。
【0106】
6. ((1,4-フェニレンビス(オキシ))ビス(カルボニル))ビス(4,1-フェニレン)ビス(1,3-ジオキソ-1,3-ジヒドロイソベンゾフラン-5-カルボキシレート)(6)の合成
【化28】
トリメリト酸無水物クロリド(TMAC、147g、0.685モル)を、ピリジン(50.8g、0.64モル)の存在下で乾燥THF(1.0L)に溶解した。別のフラスコで、ジフェノール5(75g、0.21モル)を乾燥THF(0.8L)に溶解し、0℃のTMAC溶液にゆっくりと添加した。還流で20時間撹拌した後、形成された沈殿物をろ過し、THF、水、及び再びTHFで洗浄し、160℃で20時間減圧乾燥した(104g、71%)。
1H-NMR(500MHz、DMSO-d
6):δ=8.74~8.62(m、3H)、8.36~8.27(m、6H)、8.22(dd、J=8.9、2.9Hz、2H)、7.68(dd、J=8.8、2.4Hz、2H)、7.50~7.35(m、5H)ppm。
【0107】
7. 4,4’-((1s,3s,5r,7r)-アダマンタン-1,3-ジイル)ジフェノール(7)の合成
【化29】
フェノール(47g、0.5モル、920mLのTFAに溶解)を1,3-アダマンタンジオール(40g、0.24モル)で処理し、還流で20時間加熱した。反応混合物を室温に冷却し、H
2O(1L)で注意深くクエンチした。白色固形物が沈殿し、それをDCMに懸濁し、35℃で一晩撹拌した。固形物をろ過し、DCMで洗浄し、減圧下で乾燥して、58g(76%)の白色結晶性固形物を得た。
1H-NMR(500MHz、DMSO-
d6)δ=8.99(ブロード s)、7.20~7.16(m、4H)、6.72~6.67(m、4H)、2.21(p、J=3.0、2H)、1.87~1.79(m、10H)、1.71(d、J=3.1Hz、2H)ppm。
【0108】
8. ((1s,3s,5r,7r)-アダマンタン-1,3-ジイル)ビス(4,1-フェニレン)ビス(1,3-ジオキソ-1,3-ジヒドロイソベンゾフラン-5-カルボキシレート)(8)の合成
【化30】
トリメリト酸無水物クロリド(TMAC、43g、0.2モル)を、ピリジン(14.8g、0.19モル)の存在下で乾燥THF(0.3L)に溶解した。別のフラスコで、ジフェノール7(20g、0.062モル)を乾燥THF(0.3L)に溶解し、0℃のTMAC溶液にゆっくりと添加した。還流で20時間撹拌した後、形成された沈殿物をろ過し、THF、水、及び再びTHFで洗浄し、45℃で20時間減圧乾燥した。過剰量のAc
2Oを、部分的に加水分解された生成物に添加し、120℃で12時間加熱して確実に脱水環化した。反応混合物をろ過し、THFで洗浄し、100℃で12時間減圧乾燥した(29.6g、71%の淡黄色固形物)。
1H-NMR(500MHz、DMSO-d
6):δ=8.67~8.59(m、4H)、8.28(d、J=7.9Hz、2H)、7.58(d、J=8.4Hz、4H)、7.33(d、J=8.2Hz、4H)、2.31(s、2H)、2.06(s、2H)、2.02~1.91(m、8H)、1.79(s、2H)ppm。
【0109】
B オリゴマーの合成
9. 実施例1
【化31】
二無水物2(30g、0.04モル)をNMP/トルエン(0.3L、1/1、容積/容積)に溶解した。NMP(50mL)中のヘキサメチレンジアミン(9.8g、0.08モル)の溶液を添加し、反応混合物を加熱し、ディーン-スターク装置を使用して12時間還流した。反応混合物を室温に冷却し、無水マレイン酸(9.8g、0.1モル)をゆっくりと添加した。混合物を再び加熱し、ディーン-スターク装置を使用して12時間還流した。混合物を室温に冷却した後、追加の100mLトルエンを添加した。最後に、混合物をメタノールに滴加して、オリゴマーを沈殿させた。ろ過及び乾燥した後、11.7g(85%)のオリゴマーを褐色粉末として得た。
【0110】
10. 実施例2
【化32】
二無水物2(30g、0.04モル)をNMP/トルエン(0.3L、1/1、容積/容積)に溶解し、次いでプリアミン(priamine)(45g、0.08モル)を添加した。反応混合物を加熱し、ディーン-スターク装置を使用して12時間還流した。反応混合物を室温に冷却し、無水マレイン酸(9.8g、0.1モル)をゆっくりと添加した。混合物を再び加熱し、ディーン-スターク装置を使用して12時間還流した。混合物を室温に冷却した後、追加の50mLトルエンを添加した。最後に、混合物をメタノール(0.6L)に滴加して、オリゴマーを沈殿させた。溶媒を除去した後、粗生成物をメタノールで2回洗浄し、減圧乾燥して65g(81%)の褐色ろう様樹脂を得た。
【0111】
11. 実施例3
【化33】
二無水物4(21g、0.04モル)をNMP/トルエン(0.3L、1/1、容積/容積)に懸濁し、次いでプリアミン(45g、0.08モル)を添加した。反応混合物を加熱し、ディーン-スターク装置を使用して12時間還流した。反応混合物を室温に冷却し、無水マレイン酸(10g、0.1モル)をゆっくりと添加した。混合物を再び加熱し、ディーン-スターク装置を使用して12時間還流した。混合物を室温に冷却した後、追加の50mLトルエンを添加した。最後に、混合物をメタノール(0.6L)に滴加して、オリゴマーを沈殿させた。溶媒を除去した後、粗生成物をメタノールで2回洗浄し、減圧乾燥して61g(88%)の暗色ろう様樹脂を得た。
【0112】
12. 実施例4
【化34】
二無水物4(21g、0.04モル)をNMP/トルエン(0.3L、1/1、容積/容積)に溶解した。NMP(50mL)中ヘキサメチレンジアミン(9.8g、0.08モル)の溶液を添加し、反応混合物を加熱し、ディーン-スターク装置を使用して12時間還流した。反応混合物を室温に冷却し、無水マレイン酸(9.8g、0.1モル)をゆっくりと添加した。混合物を再び加熱し、ディーン-スターク装置を使用して12時間還流した。混合物を室温に冷却した後、追加の100mLトルエンを添加した。最後に、混合物をメタノールに滴加して、オリゴマーを沈殿させた。ろ過及び乾燥した後、25g(70%)のオリゴマーを褐色粉末として得た。
【0113】
13. 実施例5
【化35】
二無水物2(15g、0.02モル)をNMP/トルエン(0.2L、1/1、容積/容積)に懸濁し、次いでデカン-1,10-ジアミン(7.3g、0.04モル)を添加した。反応混合物を加熱し、ディーン-スターク装置を使用して12時間還流した。反応混合物を室温に冷却し、無水マレイン酸(5.2g、0.052モル)をゆっくりと添加した。混合物を再び加熱し、ディーン-スターク装置を使用して12時間還流した。混合物を室温に冷却した後、追加の0.2Lトルエンを添加した。最後に、混合物をメタノール(0.8L)に滴加して、オリゴマーを沈殿させた。溶媒を除去した後、粗生成物をメタノールで2回洗浄し、減圧乾燥して24g(96%)の褐色固形物を得た。
【0114】
14. 実施例6
【化36】
二無水物2(30g、0.04モル)をNMP/トルエン(0.3L、1/1、容積/容積)に溶解し、次いでプリアミン(45g、0.08モル)を添加した。反応混合物を加熱し、ディーン-スターク装置を使用して12時間還流した。反応混合物を室温に冷却し、2,3-ジメチルマレイン酸無水物(13.7g、0.1モル)をゆっくりと添加した。混合物を再び加熱し、ディーン-スターク装置を使用して12時間還流した。混合物を室温に冷却した後、追加の100mLトルエンを添加した。最後に、混合物をメタノール(0.5L)に滴加して、オリゴマーを沈殿させた。溶媒を除去した後、粗生成物をメタノールで2回洗浄し、減圧乾燥して54g(65%)の褐色ろう様樹脂を得た。
【0115】
15. 実施例7
【化37】
二無水物3(13g、0.028モル)をNMP/トルエン(0.3L、1/1、容積/容積)に懸濁し、次いで1,12-ジアミノドデカン(11.5g、0.056モル)を添加した。反応混合物を加熱し、ディーン-スターク装置を使用して12時間還流した。反応混合物を室温に冷却し、無水マレイン酸(7.0g、0.07モル)をゆっくりと添加した。混合物を再び加熱し、ディーン-スターク装置を使用して12時間還流した。混合物を室温に冷却した後、追加の0.2Lトルエンを添加した。最後に、混合物をメタノール(0.8L)に滴加して、オリゴマーを沈殿させた。溶媒を除去した後、粗生成物をメタノールで2回洗浄し、減圧乾燥して20g(71%)の褐色固形物を得た。
【0116】
16. 実施例8
【化38】
二無水物8(10g、0.015モル)をNMP/トルエン(0.1L、1/1、容積/容積)に溶解し、次いでプリアミン(16.5g、0.03モル)を添加した。反応混合物を加熱し、ディーン-スターク装置を使用して12時間還流した。反応混合物を室温に冷却し、無水マレイン酸(3.7g、0.04モル)をゆっくりと添加した。混合物を再び加熱し、ディーン-スターク装置を使用して12時間還流した。混合物を室温に冷却した後、追加の50mLトルエンを添加した。最後に、混合物をメタノール(0.2L)に滴加して、オリゴマーを沈殿させた。溶媒を除去した後、粗生成物をメタノールで2回洗浄し、減圧乾燥して20g(71%)の褐色ろう様樹脂を得た。
【0117】
C 機械的試験
17. 実施例:引張強度及び破断時伸び
実施例ポリマー標本の一部(フィルム寸法、長さ25mm、幅15mm、厚さは典型的には50~60μm)の引張強度及び破断時伸びを、機械試験機(500N Zwicki)で測定した(表1を参照)。測定は、以下のパラメータセットに従って実施した:前測定:10mm/分の伸長速度で0.1N;主伸長速度は50mm/分。実験は全て室温(23±2℃)で実施した。
【表1】
【0118】
D 電気的特性
18. 実施例:誘電率の評価
ITO(インジウムスズ酸化物)ガラスを、規定の厚さの材料にスピンコーティング法でコーティングした。Brukerの粗面計で厚さを測定した。続いて、コーティング領域のショートカットを回避するためにマスク処理して銀層を真空蒸着した。層積層体の抵抗をLCR計で決定し、誘電率を算出した。結果は表2に示されている。
【表2】