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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-15
(45)【発行日】2023-12-25
(54)【発明の名称】保持具
(51)【国際特許分類】
   B65D 25/20 20060101AFI20231218BHJP
   B65D 23/00 20060101ALI20231218BHJP
【FI】
B65D25/20 A
B65D23/00 D
【請求項の数】 12
(21)【出願番号】P 2021574155
(86)(22)【出願日】2021-01-29
(86)【国際出願番号】 JP2021003264
(87)【国際公開番号】W WO2021153739
(87)【国際公開日】2021-08-05
【審査請求日】2022-07-14
(31)【優先権主張番号】P 2020015432
(32)【優先日】2020-01-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】306037311
【氏名又は名称】富士フイルム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100152984
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 秀明
(74)【代理人】
【識別番号】100148080
【弁理士】
【氏名又は名称】三橋 史生
(72)【発明者】
【氏名】礒崎 誠
【審査官】米村 耕一
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2009/0065469(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2003/0183640(US,A1)
【文献】米国特許第06913159(US,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 25/20
B65D 23/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
首部の下に前記首部より太い胴部が設けられ前記首部に取っ手が設けられた瓶を、内部空間に保持する保持具であって、
底部と、
前記胴部の断面サイズよりも小さく前記取っ手と干渉しない大きさの開口を有する天井部と、
前記底部と前記天井部との間において前記保持具の高さ方向に延びた把持部と、を備え、
前記保持具の状態が第一状態と第二状態との間で切り替えられ、
前記第一状態では、前記保持具の一部が前記保持具の他の部分から外れて離れることで前記内部空間が開放され、
前記第二状態では、前記底部が前記内部空間内の前記瓶の底面を支え、前記把持部が前記瓶の脇に位置し、前記開口から前記首部及び前記取っ手が突出している、前記瓶用の保持具。
【請求項2】
前記天井部は、前記底部と前記把持部とを有する本体部に対して取り外し可能である、請求項1に記載の保持具。
【請求項3】
前記本体部は、第一係合部を有し、
前記天井部は、前記第一係合部と係合する第二係合部を有する、請求項2に記載の保持具。
【請求項4】
前記第一係合部及び前記第二係合部のうちのいずれか一方が凹部であり、他方が凸部である、請求項3に記載の保持具。
【請求項5】
前記第一係合部及び前記第二係合部は、前記凸部が前記凹部に入れ込まれた状態で前記天井部を前記本体部に対して回すことにより係合する、請求項4に記載の保持具。
【請求項6】
複数の保持具パーツからなり、
前記複数の保持具パーツの各々は、前記底部の一部分、前記天井部の一部分、及び前記把持部の一部分を有し、
前記第一状態では、前記複数の保持具パーツのうち、一つのパーツが他のパーツから外れて前記底部、前記天井部及び前記把持部が分割されており、
前記第二状態では、前記一つのパーツが前記他のパーツに取り付けられて前記底部、前記天井部及び前記把持部が組み立てられている請求項1乃至5のいずれか1項に記載の保持具。
【請求項7】
前記把持部を備える延在部を備え、
前記延在部の一端と前記底部の外縁とを接続する接続部を備え、
前記延在部は、前記接続部を起点として回動することで前記底部に対して起立する、請求項1乃至6のいずれか1項に記載の保持具。
【請求項8】
前記底部に立設された柱部を備え、
前記柱部に前記把持部が設けられている、請求項1乃至7のいずれか1項に記載の保持具。
【請求項9】
前記把持部は、前記柱部において前記内部空間側を向いている部分が切り欠かれた切り欠き部を有する、請求項8に記載の保持具。
【請求項10】
互いに離れた位置に配置された複数の前記柱部を備え、
前記底部とは異なる位置で前記柱部間を連結する連結部をさらに有する、請求項8又は9に記載の保持具。
【請求項11】
前記天井部の外側面が、下側に向かうほど前記天井部の中心から離れるように前記高さ方向に対して傾斜している、請求項1乃至10のいずれか1項に記載の保持具。
【請求項12】
前記底部は、液体吸収部を有する、請求項1乃至11のいずれか1項に記載の保持具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、瓶を保持するための保持具に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、首部とその首部の下に首部より太い胴部とが設けられた瓶を内部に収容して保持する瓶用の保持具が用いられている。
【0003】
例えば、特許文献1に記載された瓶ケースは、底と、手掛け孔が設けられた4つの側と、4つのウエブ部材と、を備える。この瓶ケースにおいて、4つのウエブ部材の各々は、隣り合った側と一体に形成され、且つウエブ部材を一体に形成している側の平面に関して斜めに延びている。また、ウエブ部材の各々は、ケースの全高に亘って延び、側の内面において開口端近くに衝合部材を有する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開昭48-16771号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に記載の瓶ケースは、主として運搬用及び貯蔵用として用いられるものであり、例えば、ケース内に収容された瓶をそのままの状態で利用すること(具体的には、ケース内に収容された瓶内の液を取り出したりすること)は、一般的に困難である。
また、瓶が内部に収容された状態のケースを運搬する際には、より持ち易いことが求められる。また、ケース内に収容された瓶を保管する場合には、瓶をより安全に保管し得るのが望ましい。さらに、瓶をケース内に収容する際にも、より容易にケース内に入れられることが求められる。
【0006】
以上のように、瓶を内部に収容するケース等の保持具については、より優れた取り扱い性が要求される。
そこで、本発明は、上記の事情に鑑みてなされたものであり、取り扱い性に優れる瓶の保持具を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の目的を達成するために、本発明の保持具は、首部の下に首部より太い胴部が設けられた瓶を、内部空間に保持する保持具であって、底部と、胴部の断面サイズよりも小さい開口を有する天井部と、底部と天井部との間において保持具の高さ方向に延びた把持部と、を備え、保持具の状態が第一状態と第二状態との間で切り替えられ、第一状態では、保持具の一部が保持具の他の部分から外れて離れることで内部空間が開放され、第二状態では、底部が内部空間内の瓶の底面を支え、把持部が瓶の脇に位置し、開口から首部が突出していることを特徴とする。
【0008】
ここで、天井部は、底部と把持部とを有する本体部に対して取り外し可能であることが好ましい。
また、本体部は、第一係合部を有し、天井部は、第一係合部と係合する第二係合部を有することが好ましい。
また、第一係合部及び第二係合部のうちのいずれか一方が凹部であり、他方が凸部であることが好ましい。
また、第一係合部及び第二係合部は、凸部が凹部に入れ込まれた状態で天井部を本体部に対して回すことにより係合することが好ましい。
【0009】
また、複数の保持具パーツからなり、複数の保持具パーツの各々は、底部の一部分、天井部の一部分、及び把持部の一部分を有し、第一状態では、複数の保持具パーツのうち、一つのパーツが他のパーツから外れて底部、天井部及び把持部が分割されており、第二状態では、一つのパーツが他のパーツに取り付けられて底部、天井部及び把持部が組み立てられていることが好ましい。
また、把持部を備える延在部を備え、延在部の一端と底部の外縁とを接続する接続部を備え、延在部は、接続部を起点として回動することで底部に対して起立することが好ましい。
また、底部に立設された柱部を備え、柱部に把持部が設けられていることが好ましい。
また、把持部は、柱部において内部空間側を向いている部分が切り欠かれた切り欠き部を有することが好ましい。
また、互いに離れた位置に配置された複数の柱部を備え、底部とは異なる位置で柱部間を連結する連結部をさらに有することが好ましい。
また、天井部の外側面が、下側に向かうほど天井部の中心から離れるように高さ方向に対して傾斜していることが好ましい。
また、底部は、液体吸収部を有することが好ましい。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、取り扱い性に優れる瓶の保持具が提供され得る。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本発明の第一の実施形態における保持具を瓶に装着して使用した状態を示す斜視図である。
図2】本発明の第一の実施形態における保持具の第一状態を示す斜視図である。
図3】本発明の第一の実施形態における保持具の第二状態を示す斜視図である。
図4】本発明の第一の実施形態における保持具の第二状態を示す正面図である。
図5】本発明の第一の実施形態における保持具の第二状態を示す左側面図である。
図6】本発明の第一の実施形態における保持具の第二状態を示す平面図である。
図7】本発明の第一の実施形態における保持具の第二状態を示す底面図である。
図8】本発明の第一の実施形態における保持具の第二状態を示すA-A線断面図である。
図9】本発明の第一の実施形態における本体部のB-B線断面図である。
図10】本発明の第一の実施形態における本体部のC-C線断面図である。
図11A】第一係合部及び第二係合部の一例を示す説明図である。
図11B】第一係合部及び第二係合部の一例を示す説明図である。
図11C】第一係合部及び第二係合部の一例を示す説明図である。
図12】他の係合方法の説明図である。
図13A】他の係合方法における第一係合部及び第二係合部の一例を示す説明図である。
図13B】他の係合方法における第一係合部及び第二係合部の一例を示す説明図である。
図13C】他の係合方法における第一係合部及び第二係合部の一例を示す説明図である。
図14】他の係合方法における第一係合部の形状の一例を示す平面図である。
図15】他の係合方法における第一係合部の形状の他の一例を示す平面図である。
図16】本発明の第二の実施形態における保持具の第一状態を示す斜視図である。
図17】本発明の第二の実施形態における保持具の第二状態を示す斜視図である。
図18】本発明の第三の実施形態における保持具の第一状態を示す斜視図である。
図19】本発明の第三の実施形態における保持具の第二状態を示す斜視図である。
図20】本発明の第四の実施形態のおける保持具の第二状態を示す斜視図である。
図21】本発明の第五の実施形態における保持具を瓶に装着して使用した状態を示す斜視図である。
図22】本発明の第五の実施形態における保持具の第一状態を示す上方から見たときの斜視図である。
図23】本発明の第五の実施形態における保持具の第一状態を示す下方から見たときの斜視図である。
図24】本発明の第五の実施形態における保持具の第二状態を示す斜視図である。
図25】本発明の第五の実施形態における保持具の第二状態を示す正面図である。
図26】本発明の第五の実施形態における保持具の第二状態を示す平面図である。
図27】本発明の第五の実施形態における保持具の第二状態を示す底面図である。
図28】本発明の第五の実施形態における天井部の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明の一実施形態に係る保持具を、添付の図面に示す好適な実施形態を参照して、以下に詳細に説明する。
【0013】
[保持具]
本発明の保持具は、首部の下に首部より太い胴部が設けられた瓶を、内部空間に保持する保持具であり、取り扱い性に優れたものである。具体的に説明すると、本発明の保持具は、底部と、胴部の断面サイズよりも小さい開口を有する天井部と、底部と天井部との間において保持具の高さ方向に延びた把持部と、を備える。また、保持具の状態は、第一状態と第二状態との間で切り替えられる。第一状態では、保持具の一部が保持具の他の部分から外れて離れることで内部空間が開放される。第二状態では、底部が内部空間内の瓶の底面を支え、把持部が瓶の脇に位置し、開口から首部が突出する。
【0014】
上記のごとく構成された本発明の保持具は、保持具の高さ方向に伸びた把持部を備えるため、この把持部を握ることで容易に持つことができる。また、本発明の保持具は、瓶を内部に保持した状態のままで容易に運搬等することができ、瓶単独で持ち上げる場合に比べて、棚台等の比較的高い位置へ容易に持ち上げることができる。
【0015】
また、本発明の保持具は、内部に瓶を保持した状態(すなわち、第二状態)では、天井部により瓶の胴部を拘束することができる。さらに、第二状態では、天井部の開口から瓶の首部が突出している。これにより、瓶を保持した状態の保持具を傾けることで、瓶内の液体等を容易に取り出すことができる。
【0016】
また、本発明の保持具は、第二状態では、底部によって瓶の底面を支え、且つ、天井部及び把持部によって瓶の胴部を上方及び側方から保護する。これにより、保持具の内部空間において瓶をより安全に保管しておくことができる。そのため、瓶を保管、運搬又は輸送等する際には保持具以外の包材を省略することができる。さらに、瓶の転倒及び破損を抑えることができることで、瓶をより安全に貯蔵(保管)することができる。
【0017】
さらにまた、本発明の保持具は、その状態を第一状態と第二状態との間で自在に切り替えることができる。このため、保持具の状態を第一状態として保持具の内部空間を開放すれば、瓶の出し入れを容易に行うことができる。
【0018】
<<第一の実施形態>>
以下、本発明の第一の実施形態について図面を参照しながら説明する。
図1は、本発明の第一の実施形態における保持具(以下、保持具10)を瓶30に装着して使用した状態を示す斜視図である。図2は、保持具10の第一状態を示す斜視図である。図3は、保持具10の第二状態を示す斜視図である。図4は、保持具10の第二状態を示す正面図である。図5は、保持具10の第二状態を示す左側面図である。図6は、保持具10の第二状態を示す平面図である。図7は、保持具10の第二状態を示す底面図である。図8は、保持具10のA-A線断面図である。図9は、本体部11のB-B線断面図である。図10は、本体部11のC-C線断面図である。
なお、保持具10の第二状態を示す背面図は、図4の正面図と対称である。また、保持具10の第二状態を示す右側面図は、図5の左側面図と対称である。
【0019】
保持具10について説明するにあたり、保持具10に保持される瓶30について説明する。
瓶30は、液体を内部に充填することができる容器であり、図1に示すように、首部31、及び、首部31の下方に首部31よりも太い胴部32を有する。
【0020】
なお、保持具10に保持される瓶30として、容量が1L~5Lである公知のガロン瓶を具体例に挙げて説明することとする。ただし、本発明の保持具により保持される瓶は、ガロン瓶に限定されない。本発明の保持具は、首部の下に首部より太い胴部が設けられた瓶であれば、広く適用することができ、そのような瓶を保管し、運搬し、輸送し、又は瓶内の液を取り出す際等に利用可能である。
【0021】
ガロン瓶である瓶30では、通常、首部31に取っ手33が設けられており、首部31の先端には開口部34が設けられている。さらに、一般的なガロン瓶のように、胴部32の上端部分をなす肩部35では、首部31の付け根から下方に向かって胴部32が漸次的に拡径しており、胴部32の外周面に勾配が形成されている。
なお、本実施形態では、首部31に取っ手33が設けられた瓶30を例に挙げるが、取っ手33を備えていない瓶(不図示)であっても保持具10に保持する瓶30として適用可能である。
【0022】
保持具10は、瓶30をその内部空間16に保持する機器(ケース)であり、図1図7に示すように、本体部11、及び本体部11の上部に取り外し可能に固定される天井部12を有する。
なお、本体部11及び天井部12は、木材、金属、紙等の繊維材料、又は樹脂材料を用いて製造され、本実施形態では、合成樹脂の射出成形によって製造される。材料として利用される合成樹脂の種類は、特に限定されるものではないが、ポリエチレン、塩化ビニール樹脂、アクリル樹脂、ABS(Acrylonitrile butadiene styrene)樹脂、フェノール樹脂、フッ素樹脂、ポリカーボネイト又はポリプロピレン等が好適である。
【0023】
<本体部の構成>
本体部11は、図1図10に示すように、底部13、柱部14及び連結部15を有する。また、底部13、柱部14及び連結部15によって囲まれた領域が、保持具10の内部空間16(すなわち、瓶30の収容空間)をなしている。
【0024】
底部13は、保持具10の下部に位置する部材であり、内部空間16内に瓶30を保持したとき(つまり、保持具10の状態が第二状態であるとき)に瓶30の底面を支える。本実施形態の底部13は、図3に示すように、中央部が比較的大径の円孔をなすように打ち抜かれた方形状の外側部分13aと、外側部分13aが打ち抜かれた箇所に配置された環状の第一内側部分13bと、さらにその第一内側部分13bの内側に配置された第一内側部分13bよりも径が小さい第二内側部分13cと、を有する。外側部分13aと第一内側部分13bの間、第一内側部分13bと第二内側部分13cの間、及び、第二内側部分13cの内側には、内部空間16と保持具10の外側とを連絡する穴17が設けられている。また、第二内側部分13cの外周面から放射状に第一内側部分13bの内周面まで延びているリブ18が一定ピッチ(例えば、略90度間隔)で複数設けられている。
なお、底部13の形状は、上記の形状に限定されず、瓶30の底面を好適に支持できればよく、例えば、単純な平板形状であってもよい。
【0025】
柱部14は、底部13に対して立設され、保持具10の高さ方向に延びた部分である。本実施形態において、柱部14は、互いに離れた位置に複数設けられており、具体的には、図2に示すように底部13の四隅に一つずつ配置されている。それぞれの柱部14は、保持具10の外側端に位置して保持具10の角部(コーナ)を構成するコーナ部分14aと、コーナ部分14aの内側表面からリブ状に突出したリブ状部分14bとを有する。
【0026】
それぞれの柱部14は、内部空間16内に瓶30を保持したとき(つまり、保持具10の状態が第二状態であるとき)に、図1に示すように瓶30の胴部32の脇に位置する。
なお、柱部14の高さは、保持する瓶30の形状及びサイズに合わせて設定されており、本実施形態のように全て同じ高さで統一してもよいし、高さが統一されていなくてもよい。また、本実施形態では、底部13の四隅にそれぞれ柱部14を立設し、計四本の柱部14を備えることとしたが、柱部14の位置及び本数は、上記の構成に限定されるものではない。
【0027】
柱部14の内部空間16側を向いている部分、詳しくは前述したリブ状部分14bの先端部分(以下、内側端部14cという。)は、内部空間16内に瓶30を保持したとき(つまり、保持具10の状態が第二状態であるとき)に、瓶30の胴部32の外周面と接触する。また、リブ状部分14bの下方位置において、内側端部14cの一部は、第一内側部分13bの外周面に連結している。
なお、内側端部14cと瓶30と間には、瓶30の製造時に生じるサイズの誤差等を考慮して、数mm程度の隙間が設けられているとよい。
【0028】
また、図1図5及び図8図10に示すように、それぞれの柱部14の中途位置には、保持具10の高さ方向に延びた把持部19が設けられている。把持部19は、内側端部14cの略中間部分が略矩形状に切り欠かれることにより形成された切り欠き部20を有する。この切り欠き部20により構成される把持部19を、保持具10の操作者(ユーザ)が保持具10を持つときに手で握る。このとき、略矩形状の切り欠き部20が設けられていることで、ユーザは、把持部19を良好に把持することができる。
【0029】
なお、本実施形態では、四本の柱部14のすべてに把持部19(つまり、切り欠き部20)が形成されているが、把持部19を有する柱部14は、全ての柱部14でなくてもよく、一部(つまり、一~三本)の柱部14のみであってもよい。
また、柱部14及び把持部19の形状は、特に限定されるものではなく、例えば、把持部19は、切り欠き部20の代わりに、ユーザの指を入れることができる長穴を形成することで設けられてもよい。
あるいは、柱部14が円柱状の棒体であってもよく、その場合には柱部14の各部分が把持部19となり得る。その場合、ユーザにとって握り易くなるように、柱部14の一部分又は全体を加工(例えば、ユーザの指とフィットしてグリップし易くするための表面加工)が施されるのが望ましい。
【0030】
連結部15は、図1図3に示すように、本体部11の上端に位置した直線形状の部品であり、互いに離れた位置に立設された柱部14同士を連結する。本実施形態では、連結部15は、底部13の四隅に配置された柱部14のうち、隣り合う2つの柱部14の上端部分を連結し、内部空間16を取り囲むように枠状に配置されている。
なお、本実施形態では、連結部15は、柱部14の上端部にて柱部14同士を連結しているが、柱部14の任意の箇所で柱部14同士を連結してもよい。
【0031】
連結部15は、本体部11の上端に位置し、その上方には、天井部12が連結部15に覆い被さるように取り付けられる。そのため、連結部15の上面において天井部12と接する箇所には、天井部12を取り付けるために形成された凹部からなる第一係合部21が設けられている。第一係合部21である凹部は、天井部12側に設けられた第二係合部22と係合する形状をなしている。特に、本実施形態では、四つの柱部14のそれぞれにおいて、柱部14の直上位置に第一係合部21が設けられている。
【0032】
<天井部の構成>
天井部12は、本体部11の上端部に対して取り外し可能に取り付けられる部材であり、図1に示すように本体部11の上端開口に被さる蓋としての役割を担う。本実施形態の天井部12は、外径形状が略角錐台形状である中空体によって構成されている。
なお、天井部12の外径形状は、角錐台形状に限定されず、円錐台形状であってもよいし、略ドーム形状であってもよい。
【0033】
天井部12の上端及び下端には、それぞれ開口が設けられており、両開口は、互いに連通している。天井部12の上端に設けられた開口23は、図2に示すように、天井部12の略中央に形成された円形の開口であり、天井部12を本体部11に取り付けた状態において内部空間16と保持具10の外側とを連絡している。開口23の大きさは、瓶30の胴部32のサイズ(外径)よりも小さく、瓶30の首部31のサイズ(外径)よりも大きく、且つ、取っ手33と干渉しない大きさである。以上の開口23が天井部12に設けられていることで、瓶30の首部31を天井部12の外(保持具10の外)に突出させつつ、瓶30が保持具10から抜け出てしまうのを天井部12によって規制することができる。
【0034】
天井部12が有する4つの外側面24のそれぞれは、下側に向かうほど天井部12の中心から離れるように、すなわち、天井部12の開口23から天井部12の外縁25に向かうほど外側面24が下がる向きで保持具10の高さ方向に対して傾斜している。
なお、天井部12の外側面24の傾斜度合いは、瓶30の肩部35の勾配に応じた傾斜度合いであるとよく、天井部12が肩部35とフィットするように設定されているとより一層好ましい。
【0035】
また、天井部12の裏面において本体部11の上端と接触する箇所には、天井部12を本体部11に取り付けるための凸部である第二係合部22が設けられている。第二係合部22は、本体部11に設けられた第一係合部21と係合する形状であり、図2に示すように、第一係合部21に対応した位置にそれぞれ配置され、計四カ所に設けられている。
【0036】
第一係合部21と第二係合部22とによる係合方法について説明する。
図11A図11Cは、第一係合部21及び第二係合部22の一例を示す説明図である。
先ず、図11Aに示す状態から、天井部12側に設けられた凸部である第二係合部22を、本体部11側(厳密には、連結部15)に設けられた凹部である第一係合部21に対して、第一係合部21の表面21a側から図中の矢印の方向に押し込むようにして挿入する。このとき、図11Bに示す状態のように、第二係合部22が撓むことにより、第二係合部22は第一係合部21にスムーズに挿入される。そして、第二係合部22を第一係合部21に挿入すると、図11Cに示す状態のように、撓んでいた第二係合部22が元の形状に戻ることにより、そのストッパ22aが第一係合部21の裏面21b側に引っ掛かって留められ、第一係合部21と第二係合部22とが固定される。
なお、本体部11が有する第一係合部21が凹部であり、天井部12が有する第二係合部22が凸部であることとしたが、凹凸が逆であってもよい。
【0037】
また、係合方法は上記に限定されるものではなく、上記以外の係合方法としてもよい。
図12は、他の係合方法の説明図である。図13A図13Cは、他の係合方法における第一係合部26及び第二係合部27の一例を示す説明図である。図14は、他の係合方法における第一係合部26の形状の一例を示す平面図である。図15は、他の係合方法における第一係合部26の形状の他の一例を示す平面図である。
【0038】
例えば、図12に示すように、本体部11に対して天井部12を僅かにずらした状態で、第一係合部26に第二係合部27を挿入した後、天井部12を本体部11に対して図中の矢印方向へ捻るように回転させることにより、取り付けることとしてもよい。具体的には、図13Aに示す状態にあるとき、天井部12側に設けられた凸部である第二係合部27を、本体部11側(厳密には、連結部15)に設けられた凹部である第一係合部26に対して、第二係合部27の先端に形成されているストッパ27aの向きを第一係合部26の形状と合致する向きとし、その状態で第一係合部26の表面26a側から図中の矢印の方向に挿入する。そして、第二係合部27を第一係合部26に挿入した後に、天井部12を本体部11に対して図12中の矢印方向へ捻るように回転させる。これにより、図13Bに示すように、第二係合部27が図中矢印方向に移動する。そして、図13Cに示す状態のように、第二係合部27のストッパ27aが第一係合部26の裏面26b側に引っ掛かって留められ、第一係合部26と第二係合部27とが固定される。
なお、第一係合部26の形状は、第二係合部27のストッパ27aが通過可能な形状であればよい。例えば、図14に示すような略矩形状であってもよいし、図15に示すような一部に幅広部分を有する形状であってもよい。
【0039】
本実施形態の保持具10は、上記のごとく構成されており、保持具10の一部である天井部12は、保持具10の他の部分である本体部11に固定することができ、また、本体部11から外れて分離することができる。これにより、保持具10の状態が、前述の第一状態と第二状態との間で自在に切り替えられる。第一状態では、内部空間16が開放される。他方、第二状態では、底部13が内部空間16内の瓶30の底面を支え、把持部19を含む柱部14が瓶30の胴部32の脇に位置し、天井部12の開口23から瓶30の首部31が突出する。
【0040】
以上のように保持具10の状態を第一状態と第二状態との間で切り替えることにより、瓶30を保持具10内に入れる際には、保持具10の状態を第一状態として、内部空間16内に瓶30を入れることができる。また、瓶30を保持具10内で保管したり、保持具10に保持された状態の瓶30を運搬したりする際には、保持具10の状態を第二状態とする。さらに、瓶30内が空になる等して瓶30を保持具10の外に取り出す際には、保持具10の状態を再び第一状態とすれば、内部空間16内から瓶30を取り出すことができる。
【0041】
以上までに説明してきた本実施形態の保持具10の効果について、以下に説明する。
保持具10は、切り欠き部20によって構成された把持部19を備え、ユーザは、保持具10を持つ際には把持部19を握って掴む。これにより、保持具10が持ち易くなり、保持具10内に収容された瓶30を容易に運搬等することができる。なお、保持具10の把持部19は、瓶30の取っ手33よりも掴み易い(把持し易い)ため、瓶30が収容された保持具10を持つ方が、瓶30単独で持つ場合も簡単であり、例えば瓶30を高所に持ち上げることもより簡単になる。
【0042】
また、保持具10は、天井部12により瓶30の胴部32を拘束しつつ、開口23から瓶30の首部31を突出させた状態で瓶30を保持する。このため、瓶30が収容された状態の保持具10を持ち上げて傾ければ、瓶30の液体等を瓶30から容易に取り出す(注ぐ)ことができる。
【0043】
また、天井部12の外側面24は、下側に向かうほど天井部12の中心から離れるように、すなわち、開口23から天井部12の外縁25に向かうほど外側面24が下がる向きで保持具10の高さ方向に対して傾斜している。このため、例えば、瓶30の液体等を取り出して他の容器に注ぎ入れる際に、保持具10が他の容器と干渉することなく、瓶30内の液体等の取り出しがより一層容易になる。
【0044】
また、保持具10は、底部13によって瓶30の底面を支え、且つ、天井部12及び把持部19によって瓶30の胴部32を上方及び側方から保護している。これにより、内部空間16内において瓶30を安全に保管しておくことができる。そのため、瓶30を保管、運搬又は輸送等する際には、保持具10以外の包材を省略することができる。さらに、瓶の転倒及び破損を抑えることができることで、瓶をより安全に貯蔵(保管する)ことができる。
【0045】
また、把持部19を含む複数の柱部14は、互いに離れた状態で瓶30の胴部32の周りに配置されている。このため、瓶30を保持具10に保持した状態まま、瓶30の胴部32又は胴部32に貼られたラベル等を、保持具10の外側から視認することができる。
【0046】
また、保持具10は、保持具10の状態を第一状態と第二状態との間で切り替えることができる。保持具10の状態を第一状態にすれば、保持具10の内部空間16を開放して、容易に瓶30の出し入れをすることができる。このとき、第一係合部21と第二係合部22との係合構造によって天井部12が本体部11に対して取り外し可能であるため、天井部12の脱着が容易となる。その結果、第一状態と第二状態とを簡単に切り替えることができる。
【0047】
また、保持具10は、連結部15によって柱部14の上端部において柱部14同士を連結しているため、柱部14の形状を安定して保持させることができる(分かり易くは、柱部14の撓み変形を抑制できる)。また、本実施形態において、連結部15は、柱部14の間において直線状に延びているので、瓶30を内部空間16に入れる際に瓶30と連結部15との干渉を回避することができる。これにより、本実施形態では瓶30を内部空間16に入れ易くなる。
【0048】
以上のとおり、本実施形態の保持具10は、瓶30を保管し、運搬し、輸送し、又は瓶30内の液体等を取り出す場面において、良好に瓶30を保持することができ、それ自体が取り扱い易いものである。
【0049】
<<第二の実施形態>>
上記の第一の実施形態の保持具10では、本体部に対して天井部が取り外し可能であり、天井部の脱着によって保持具の状態が切り替わることとしたが、これに限定されるものではない。例えば、本体部と天井部とが一体となっており、一体化された本体部及び天井部(すなわち、保持具)を複数のパーツに分割することにより、第一状態と第二状態とを切り替えることとしてもよい。かかる構成の保持具を、第二の実施形態として以下、詳細に説明する。
【0050】
図16は、本発明の第二の実施形態における保持具(以下、保持具40という。)の第一状態を示す斜視図である。図17は、保持具40の第二状態を示す斜視図である。
保持具40は、図16及び図17に示すように、底部41、柱部42及び天井部43を有する。保持具40の外観は、第一の実施形態に係る保持具10と同様であり、また、保持具40の状態が第二状態であるとき、底部41、柱部42及び天井部43によって囲まれた領域が、内部空間44をなしている。
なお、保持具40の各部の形状及び材質等は、上記の第一の実施形態に係る保持具10と略同様である。
【0051】
底部41は、図16及び図17に示すように、外側部分41cと、環状の内側部分41dとを有する。外側部分41cと内側部分41dの間、及び、内側部分41dの内側には、内部空間44と保持具40の外側とを連絡する穴45が設けられている。また、内側部分41dの外周面からは放射状にリブ46が延びている。
【0052】
底部41は、底部41の略中心位置に設けられた直線状の接続部47において、二つの底部断片41a,41bに分割することが可能である。なお、底部41は、それぞれの底部断片41a,41bに完全に分断されてもよいが、本実施形態では、所謂リビングヒンジのように、接続部47の肉厚を他の部分よりも薄くする等して折り曲げることが可能な構成となっている。そして、第二の実施形態では、接続部47を起点として底部41を開いて二つの底部断片41a,41bに分割した状態が第一状態となる。一方、接続部47を起点として底部41を閉じるように折り曲げて二つの底部断片41a,41bが互いに接合した状態が第二状態となる。
【0053】
柱部42は、底部41の四隅にそれぞれ立設され、保持具40の高さ方向に延びている。また、それぞれの柱部42の中途位置には、把持部48が設けられており、具体的には、柱部42の内側端部42cの一部が切り欠かれることで形成された切り欠き部49によって把持部48が構成されている。
【0054】
四本の柱部42のうち、接続部47上にあって互いに対向する二本の柱部42は、図16に示すように、二つの柱部断片42a,42bに分割することが可能である。また、図16に示すように、一方の柱部断片42aにおいて他方の柱部断片42bと接触する箇所には、凹部である第三係合部50が設けられている。これと対応するように、他方の柱部断片42bにおいて一方の柱部断片42aと接触する箇所には、第三係合部50と係合する凸部である第四係合部51が設けられている。
【0055】
上記凹凸の係合構造により、上記二本の柱部42のそれぞれが底部41の分割に連動して二つの柱部断片42a,42bに分割された状態が第一状態となる。他方、上記二本の柱部42のそれぞれにおいて柱部断片42a,42b同士が互い接合して第三係合部50と第四係合部51とが係合することで二本の柱部42のそれぞれが柱形状をなす状態が第二状態となる。
なお、第三係合部50及び第四係合部51による係合構造は、上記の第一の実施形態における第一係合部21及び第二係合部22と略同様の係合構造である。
【0056】
天井部43は、柱部42の上端に載せられている。
天井部43の上端には、円穴形状の開口52が設けられている。また、天井部43の外側面53は、下側に向かうほど天井部43の中心から離れるように、すなわち、開口52から天井部43の外縁54に向かうほどに外側面53が下がる向きで保持具40の高さ方向に対して傾斜している。
【0057】
天井部43は、分割可能な二本の柱部42のそれぞれの分割位置と連続する位置(分かり易くは、接続部47の直上位置)において、二つの天井部断片43a,43bに分割することが可能である。このような構成により、天井部43が底部41及び柱部42の分割に連動して二つの天井部断片43a,43bに分割された状態が第一状態となる。他方、天井部断片43a,43bが互い接合して天井部43が構成された状態が第二状態となる。
【0058】
第二の実施形態では、上記のごとく構成された保持具40が、複数のパーツに分割することができ、図16及び図17に示す例では二つのパーツに分割される。ただし、保持具40を分割した際のパーツの数は、二つに限定されず、三つ以上であってもよい。また、保持具40を分割した際の複数のパーツの各々は、底部41の一部分としての底部断片41a,41bと、天井部43の一部分としての天井部断片43a,43b、及び、把持部48を含む柱部42の一部分としての柱部断片42a,42bを有する。
【0059】
そして、保持具40の状態は、複数のパーツうちの一つが他のパーツから外れることで第一状態となり、一つのパーツが他のパーツに取り付けられて複数のパーツが組み合わさることで第二状態となる。このような構成であれば、既に説明した第一の実施形態の保持具10が奏する効果と同様の効果に加え、天井部43を取り外さなくとも保持具40の状態が切り替えられるという効果も発揮され得る。
【0060】
<<第三の実施形態>>
保持具は、瓶を保持する際には3次元形状であるが、それ以外の時(非使用時)には嵩張らないように展開されるのが望ましい。そこで、展開可能に構成された保持具を、第三の実施形態として以下、詳細に説明する。
【0061】
図18は、第三の実施形態における保持具(以下、保持具60という。)の、展開時の状態を示す斜視図である。図19は、保持具60の組み立て時の状態を示す斜視図である。
保持具60は、図18及び図19に示すように、底部61、柱部をなす延在部62及び天井部63を有する。柱部をなす延在部62の中途位置には、把持部68が設けられている。
保持具60は、使用時(すなわち、第二状態にあるとき)には、図19に示すように3次元的に組み立てられ、底部61、柱部をなす延在部62及び天井部63によって囲まれた領域が、内部空間64をなしている。
なお、保持具60の各部の形状及び材質等については、上記の第一の実施形態に係る保持具10、及び第二の実施形態に係る保持具40と略同様である。
【0062】
底部61は、図18及び図19に示すように、外側部分61aと、環状の内側部分61bとを有し、これらの間、及び内側部分61bの内側に穴65を備える。また、内側部分61bの外周面からは放射状にリブ66が延びている。
【0063】
また、矩形形状である底部61の外縁をなす四辺のそれぞれには、図18に示すように、延在部62の下端と底部61とを接続する接続部67が設けられている。接続部67は、第二の実施形態における接続部47と同様、例えば所謂リビングヒンジによって構成されており、接続部67の肉厚を他の部分よりも薄くして折り曲げ自在に構成されている。つまり、接続部67は、保持具60の展開又は組み立てにおける折り曲げ起点として機能する。
【0064】
延在部62は、その一端が接続部67を介して底部61の外縁に回動可能に接続された部材である。保持具60の使用時において、延在部62は、底部61に対して起立して保持具60の高さ方向に延びて柱部となる。また、延在部62は、保持具60が内部空間64内に瓶30を保持している状態(すなわち、第二状態)では、瓶30の胴部32の脇に位置する。
延在部62は、図19に示すように、前述したように保持具60の使用時には柱部となり、また、その中途位置にある部分が把持部68として機能する。具体的に説明すると、延在部62の内側端部62iの一部が切り欠かれることにより形成された切り欠き部69によって把持部68が構成されている。
【0065】
保持具60は、図19に示すように、底部61の外縁をなす四辺のそれぞれに配置された計四本の延在部62を有する。それぞれの延在部62は、二つの延在部断片62a~62hに分割することが可能である。二つの延在部断片のうち、一方の延在部断片62a,62c,62e,62gは、それぞれ、対をなすもう一方の延在部断片62b,62d,62f,62hと接触する箇所に、凹部である第五係合部70を備える。一方、延在部断片62b,62d,62f,62hは、それぞれ、対をなす延在部断片62a,62c,62e,62gと接触する箇所に、第五係合部70と係合する凸部である第六係合部71を備える。
【0066】
それぞれの延在部62は、非使用時には、接続部67を起点として倒れて底部61と横並びの位置で配置されるようになる。このとき、それぞれの延在部62は、延在部断片62a~62hに分割される。このような状態に至ることで保持具60が展開されて、図19に示す立体的な形状から、図18に示すように解かれて広げられる。
【0067】
一方、使用時には、それぞれの延在部62を構成する延在部断片62a~62hが接続部67を起点として底部61に対して起立し、対をなす延在部断片62a~62h同士が互いに接合して、延在部断片62a~62hに設けられた第五係合部70と第六係合部71とが係合する。これにより、それぞれの延在部62が柱部として機能するようになる。
なお、第五係合部70及び第六係合部71の係合構造は、上記の第一の実施形態における第一係合部21及び第二係合部22の係合構造と略同様である。
【0068】
天井部63は、延在部62の上端に載せられている。
天井部63の上端には、円穴形状の開口72が設けられている。また、天井部63の外側面73は、下側に向かうほど天井部63の中心から離れるように、すなわち、開口72から天井部63の外縁74に向かうほどに外側面73が下がる向きで保持具60の高さ方向に対して傾斜している。
【0069】
天井部63は、延在部62の分割位置に連続する位置において、四つの天井部断片63a~63dに分割することが可能である。そして、保持具60が展開されると、天井部63が延在部62の分割に連動して天井部断片63a~63dに分割される。他方、保持具60の使用に際して、各天井部断片63a~63dが対応する天井部断片63a~63d(具体的には、天井部断片63aと天井部断片63b,63d、及び、天井部断片63cと天井部断片63b,63d)と接合することで天井部63ができ上がる。
【0070】
以上のように、第三の実施形態の保持具60は、展開可能に構成されており、展開時(すなわち、非使用時)には、保持具60の状態は、内部空間64が開放される第一状態となる。他方、組み立て時(すなわち、使用時)には、保持具60の状態は、第二状態となる。上記のごとく構成された保持具60であれば、既に説明した第一の実施形態の保持具10が奏する効果と同様の効果に加え、天井部63を取り外さなくとも保持具60の状態が切り替えられる。
また、上記の保持具60を射出成形する際には、展開状態の保持具60の形状で成形すれば、成形後に金型を一方向で取り外すことができるので、成形作業が容易となる。
さらに、非使用時に保持具60を展開すれば、その状態の保持具60を平積みして保管することができる。
【0071】
<<第四の実施形態>>
上記の第一~第三の実施形態の保持具では、底部に穴が設けられていることとした。このような構成において、例えば、瓶内の液体が底部に垂れたとき等の事態に備えて、上記の穴の位置にて底部に垂れた液体を受ける部材を備え付けてもよい。かかる構成の保持具を、第四の実施形態として以下、詳細に説明する。
なお、第四の実施形態の保持具は、後述する液体吸収部を備えている点以外では、第一の実施形態、第二の実施形態又は第三の実施形態のいずれかの保持具と同じ構造であってもよい。以下では、第一の実施形態の保持具に液体吸収部を備え付けた構造を一例に挙げて説明する。
【0072】
図20は、第四の実施形態における保持具(以下、保持具80という。)の第二状態を示す斜視図である。
保持具80は、図20に示すように本体部11、及び本体部11の上部に対して取り外し可能に固定される天井部12を有する。本体部11は、底部13、柱部14及び連結部15を有し、底部13、柱部14及び連結部15によって囲まれた領域が、内部空間16をなしている。
そして、第四の実施形態では、底部13に対して液体吸収部81が取り外し可能に取り付けられている。
なお、保持具80のうち、液体吸収部81以外の部分については、第一の実施形態と同様であるため説明を省略することとする。
【0073】
液体吸収部81は、例えば底部13の上面又は下面に取り外し可能に取り付けられている部材である。図20のケースでは、底部13の上面に液体吸収部81を備えているケースを図示している。
液体吸収部81は、例えば瓶30内の液体が瓶30の開口部34から保持具10の各部を伝って垂れ落ちたときに、その液体が保持具80の外に拡散しないようにするために底部13に留めておくために備えられた吸収剤である。液体吸収部81は、液体を吸収して内部に保持し得る材料によって構成される。例えば、SAP(Superabsorbent polymer)のような吸水性ポリマー材料、海綿体等のような多孔質部材、及び、オイルマットのような液体吸収性を有する布又は繊維体等が、液体吸収部81の好適な材料として挙げられる。
【0074】
第四の実施形態では、例えば保持具80を持ち上げて瓶30内の液体を他の容器に注いだ後に保持具80を元の位置に置いた際に開口部34から液体が垂れ落ちた場合であっても、その液体を液体吸収部81により吸収する。このため、垂れ落ちた液体が保持具80の周辺を汚す事態を回避することができる。
なお、液体吸収部81の代わりに、液体を受ける受け皿又はトレーを底部13の下面(厳密には、穴17の下)に配置してもよい。
【0075】
<<第五の実施形態>>
上記の第一の実施形態の保持具10の変形例として、例えば、底部13及び連結部15の形状を変更してもよい。かかる構成の保持具を、第五の実施形態として以下、詳細に説明する。
なお、以下では、第五の実施形態の保持具(以下、保持具110)のうち、第一の実施形態の保持具10と同様の部分については、説明を省略することとし、主に、第一の実施形態の保持具10と相違する部分について説明する。
【0076】
図21は、保持具110を瓶30に装着して使用した状態を示す斜視図である。図22は、保持具110の第一状態を示す上方から見たときの斜視図である。図23は、保持具110の第一状態を示す下方から見たときの斜視図である。図24は、保持具110の第二状態を示す斜視図である。図25は、保持具110の第二状態を示す正面図である。図26は、保持具110の第二状態を示す平面図である。図27は、保持具110の第二状態を示す底面図である。図28は、天井部112の斜視図である。
なお、保持具110の第二状態を示す背面図、右側面図及び左側面図は、図24の正面図と同一に表れる。
【0077】
底部113は、図21図27に示すように、中央部が比較的大径の円孔をなすように打ち抜かれた方形状の外側部分113aと、外側部分113aが打ち抜かれた箇所に配置された環状の内側部分113bと、を有する。外側部分113aと内側部分113bの間、及び、内側部分113bの内側には、内部空間116と保持具110の外側とを連絡する穴117が設けられている。また、内側部分113bの外周面から外側部分113aの内周面まで延びているリブ118が一定ピッチで複数設けられている。
【0078】
連結部115は、図21図25に示すように、底部113の四隅に配置された柱部114のうち、隣り合う2つの柱部114の上端部分を連結し、内部空間116を取り囲むように枠状に配置されている。連結部115の内側(内部空間116側)には、複数のリブ115aが一定ピッチ(底部113のリブ118と同間隔)で設けられている。また、連結部115の上面において天井部112と接する箇所には、天井部112を取り付けるために形成された凹部からなる第一係合部121a、及び、その第一係合部121aと連接する凹部からなるガイド部121bを有する立ち上がり部121を有する。第一係合部121aである凹部は、天井部112側に設けられた第二係合部122aと係合する形状をなしている。
【0079】
一方、図28に示すように、天井部112の裏面において本体部111の上端と接触する箇所には、立ち上がり部121に沿った形状であって、天井部112を本体部111に取り付けるための凸部である第二係合部122aが設けられたリブ122を有する。第二係合部122aは、本体部111に設けられた第一係合部121aと係合する形状であり、第一係合部121aに対応した位置にそれぞれ配置され、計四カ所に設けられている。
【0080】
ここで、第一係合部121aと第二係合部122aとによる係合方法について説明する。
例えば、前述の第一実施形態と同様、図12に示すように、本体部111に対して天井部112を僅かにずらした状態で、四カ所の第二係合部122aをそれぞれ対応する第一係合部121aと連接するガイド部121bに挿入する。そして、天井部112を本体部111側に押し込みながら本体部111に対して図12中の矢印方向へ捻るように回転させる。これにより、第二係合部122aは、ガイド部121bから第一係合部121aに移動した後、第一係合部121aに引っ掛かって留められた状態となり、第一係合部26と固定される。
【0081】
第五の実施形態の保持具110においても、第一の実施形態の保持具10と同様、保持具110の一部である天井部112は、保持具110の他の部分である本体部111に固定することができ、また、本体部111から外れて分離することができる。これにより、保持具110の状態が、前述の第一状態と第二状態との間で自在に切り替えられる。特に、保持具110においては、底部113及び連結部115にそれぞれリブ118及びリブ115aを適宜設けたことにより、保持具自体の強度が増すので、瓶30をより一層安全に保持することができる。
【0082】
<<その他の実施形態>>
以上までに、本発明の具体な実施形態として、五つの例を挙げて説明してきたが、本発明は、上記の実施形態に限定されるものではない。
例えば、上記実施形態(具体的には、第一の実施形態)では、底部13、把持部19を含む柱部14、及び連結部15が本体部11を構成することとした。ただし、これに限定されるものではなく柱部14、連結部15及び天井部12を一体化して本体部を構成し、かかる本体部に対して底部13を着脱可能に取り付けられる構成であってもよい。このとき、例えば、柱部14の下端を底部13に設けられた溝又は穴に差し込んで本体部と底部13とを固定してもよい。
【0083】
また、上記の実施形態(例えば、第一の実施形態)では、本体部11が有する連結部15の上端に設けられた係合部と、天井部12に設けられた係合部とが互いに係合することで、本体部11に天井部12が取り付けられることとした。ただし、これに限定されるものではなく、例えば、連結部15が設けられていない構成において柱部14の上端に、天井部12と係合する係合部が設けられており、それを利用して天井部12を本体部11に取り付けてもよい。
【0084】
また、上記の実施形態(例えば、第一の実施形態)では、連結部15において、柱部14の直上に位置する部分に第一係合部21が設けられているが、これに限定されるものではない。連結部15において、柱部14の直上位置を避けた位置、例えば、連結部15の中間位置に第一係合部21を設けてもよい。
【0085】
また、上記の実施形態では、天井部12,43,63の外側面24,53,73に滑らかな傾斜を設け、開口23,52,72から天井部の外縁25,54,74に向かうにつれて外側面24,53,73が下がる構成とした。ただし、これに限定されるものではなく、例えば、外側面24,53,73に段差を設け、開口23,52,72側よりも外縁25,54,74側で外側面24,53,73の位置が下がるような構成であってもよい。
【0086】
また、上記の実施形態では、保持具10,40,60,80の状態を第一状態と第二状態との間で切り替えられることとした。ここで、保持具10,40,60,80は、出荷する段階で既に瓶を保持した状態(すなわち、第二状態)にあり、ユーザ側では、第二状態から第一状態への切り替えが規制されてもよい。例えば、保持具10,40,60,80の状態を第二状態から第一状態へ切り替える際に、専用工具又は専門技術等を必要とする構成としてもよい。
【符号の説明】
【0087】
10 保持具
11 本体部
12 天井部
13 底部
13a 外側部分
13b 第一内側部分
13c 第二内側部分
14 柱部
14a コーナ部分
14b リブ状部分
14c 内側端部
15 連結部
16 内部空間
17 穴
18 リブ
19 把持部
20 切り欠き部
21 第一係合部
21a 表面
21b 裏面
22 第二係合部
22a ストッパ
23 開口
24 外側面
25 外縁
26 第一係合部
26a 表面
26b 裏面
27 第二係合部
27a ストッパ
30 瓶
31 首部
32 胴部
33 取っ手
34 開口部
35 肩部
40 保持具
41 底部
41a,41b 底部断片
41c 外側部分
41d 内側部分
42 柱部
42a,42b 柱部断片
42c 内側端部
43 天井部
43a,43b 天井部断片
44 内部空間
45 穴
46 リブ
47 接続部
48 把持部
49 切り欠き部
50 第三係合部
51 第四係合部
52 開口
53 外側面
54 外縁
60 保持具
61 底部
61a 外側部分
61b 内側部分
62 延在部
62a~62h 延在部断片
62i 内側端部
63 天井部
63a~63d 天井部断片
64 内部空間
65 穴
66 リブ
67 接続部
68 把持部
69 切り欠き部
70 第五係合部
71 第六係合部
72 開口
73 外側面
74 外縁
80 保持具
81 液体吸収部
110 保持具
111 本体部
112 天井部
113 底部
113a 外側部分
113b 内側部分
114 柱部
114b リブ状部分
114c 内側端部
115 連結部
116 内部空間
117 穴
118 リブ
119 把持部
121 立ち上がり部
121a 第一係合部
121b ガイド部
122 リブ
122a第二係合部
123 開口
124 外側面
125 外縁
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11A
図11B
図11C
図12
図13A
図13B
図13C
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21
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図23
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図25
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図28