(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-18
(45)【発行日】2023-12-26
(54)【発明の名称】情報処理装置、情報処理装置の更新方法及び更新プログラム
(51)【国際特許分類】
G06F 8/65 20180101AFI20231219BHJP
H04N 1/00 20060101ALI20231219BHJP
B41J 29/38 20060101ALI20231219BHJP
【FI】
G06F8/65
H04N1/00 C
B41J29/38 104
B41J29/38 102
(21)【出願番号】P 2019198951
(22)【出願日】2019-10-31
【審査請求日】2022-08-24
(73)【特許権者】
【識別番号】000006747
【氏名又は名称】株式会社リコー
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(72)【発明者】
【氏名】小池 和正
【審査官】北川 純次
(56)【参考文献】
【文献】特開2008-165554(JP,A)
【文献】特開2009-259197(JP,A)
【文献】特開2015-055917(JP,A)
【文献】特開2005-228200(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06F 8/65
H04N 1/00
B41J 29/38
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ハイバネーションによる起動機能を有する情報処理装置であって、
前記ハイバネーションに利用する起動イメージであるスナップショットイメージの更新を、ファームウェアの更新タイミングとずらして実行する更新制御部
と、
第1のプロセッサを有するコントローラと、
第2のプロセッサを有し、前記更新制御部を有する操作部と、
を備え
、
前記コントローラは、前記コントローラに保持される更新用パッケージのうち、前記コントローラのファームウェアの更新時に、前記操作部の更新用ファームウェアを前記操作部に送信し、前記コントローラのファームウェアの更新タイミングとずらして前記操作部の更新用スナップショットイメージを前記操作部に送信するパッケージ転送制御部を有し、
前記更新制御部は、前記パッケージ転送制御部からの前記更新用ファームウェアの受信時に前記操作部のファームウェア更新を実行し、前記パッケージ転送制御部からの前記更新用スナップショットイメージの受信時に前記操作部の前記スナップショットイメージの更新を実行する、
情報処理装置。
【請求項2】
前記更新制御部は、前記スナップショットイメージの更新を、前記ファームウェアの更新から所定時間後に実行する、
請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項3】
前記更新制御部は、前記スナップショットイメージの更新を指定時刻に実行する、
請求項1または2に記載の情報処理装置。
【請求項4】
前記更新制御部は、前記スナップショットイメージの更新を、ユーザ利用頻度の低い時刻に実行する、
請求項1~3のいずれか1項に記載の情報処理装置。
【請求項5】
ハイバネーションによる起動機能を有する情報処理装置の更新方法であって、
前記情報処理装置は、第1のプロセッサを有するコントローラと、第2のプロセッサを有し、更新制御部を有する操作部と、を備え、
前記ハイバネーションに利用する起動イメージであるスナップショットイメージの更新を、ファームウェアの更新タイミングとずらして実行する更新ステップを含
み、
前記更新ステップは、
前記コントローラが、前記コントローラに保持される更新用パッケージのうち、前記コントローラのファームウェアの更新時に、前記操作部の更新用ファームウェアを前記操作部に送信し、前記コントローラのファームウェアの更新タイミングとずらして前記操作部の更新用スナップショットイメージを前記操作部に送信するパッケージ転送制御ステップと、
前記操作部の前記更新制御部が、前記パッケージ転送制御ステップにおける前記コントローラからの前記更新用ファームウェアの受信時に前記操作部のファームウェア更新を実行し、前記パッケージ転送制御ステップにおける前記コントローラからの前記更新用スナップショットイメージの受信時に前記操作部の前記スナップショットイメージの更新を実行する更新制御ステップと、
を含む、
情報処理装置の更新方法。
【請求項6】
ハイバネーションによる起動機能を有する情報処理装置の更新プログラムであって、
前記情報処理装置は、第1のプロセッサを有するコントローラと、第2のプロセッサを有し、更新制御部を有する操作部と、を備え、
前記ハイバネーションに利用する起動イメージであるスナップショットイメージの更新を、ファームウェアの更新タイミングとずらして実行する更新機能
をコンピュータに実現させ
、
前記更新機能は、
前記コントローラにより、前記コントローラに保持される更新用パッケージのうち、前記コントローラのファームウェアの更新時に、前記操作部の更新用ファームウェアを前記操作部に送信し、前記コントローラのファームウェアの更新タイミングとずらして前記操作部の更新用スナップショットイメージを前記操作部に送信するパッケージ転送制御機能と、
前記操作部の前記更新制御部により、前記パッケージ転送制御機能による前記コントローラからの前記更新用ファームウェアの受信時に前記操作部のファームウェア更新を実行し、前記パッケージ転送制御機能による前記コントローラからの前記更新用スナップショットイメージの受信時に前記操作部の前記スナップショットイメージの更新を実行する更新制御機能と、
を含む、
情報処理装置の更新プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報処理装置、情報処理装置の更新方法及び更新プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
システムファームウェア更新時にハイバネーションのための起動イメージ(スナップショットイメージ)を更新する手法が知られている。
【0003】
特許文献1には、更新時にプログラムとの整合チェックを行い、整合が取れる場合はファームウェアの更新だけをそのまま行い、整合が取れない場合のみスナップショットイメージを削除、上書き、更新することで、更新時間を短縮する手法が開示されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、特許文献1に記載される従来の更新手法では、あくまでファームウェアとスナップショットイメージとの整合が取れるときのみ更新時間を短縮可能であり、整合が取れない場合にはスナップショットイメージの更新時間を待たなければならない。
【0005】
本発明は、スナップショットイメージの更新を効率よく行うことを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述した課題を解決するために、本発明の一観点に係る情報処理装置は、ハイバネーションによる起動機能を有する情報処理装置であって、前記ハイバネーションに利用する起動イメージであるスナップショットイメージの更新を、ファームウェアの更新タイミングとずらして実行する更新制御部と、第1のプロセッサを有するコントローラと、第2のプロセッサを有し、前記更新制御部を有する操作部と、を備え、前記コントローラは、前記コントローラに保持される更新用パッケージのうち、前記コントローラのファームウェアの更新時に、前記操作部の更新用ファームウェアを前記操作部に送信し、前記コントローラのファームウェアの更新タイミングとずらして前記操作部の更新用スナップショットイメージを前記操作部に送信するパッケージ転送制御部を有し、前記更新制御部は、前記パッケージ転送制御部からの前記更新用ファームウェアの受信時に前記操作部のファームウェア更新を実行し、前記パッケージ転送制御部からの前記更新用スナップショットイメージの受信時に前記操作部の前記スナップショットイメージの更新を実行する。
【発明の効果】
【0007】
スナップショットイメージの更新を効率よく行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】実施形態に係る情報処理装置のハードウェア構成図
【
図2】情報処理装置の更新のためのパッケージの構成の一例を示す図
【
図3】実施形態に係る情報処理装置の更新処理のフローチャート
【
図4】
図3の更新処理に係る情報処理装置の機能ブロック図
【
図5】更新実施時刻決定フローの詳細のフローチャート
【
図6】本実施形態のスナップショットイメージ更新処理のフローチャート
【
図7】ハイバネーション無効化フラグによる起動モードの選択フロー
【
図9】スナップショットイメージ更新の設定画面の一例
【
図11】実施形態のパッケージ更新時の更新フローを示す図
【
図12】実施形態のスナップショットイメージ更新時の更新フローを示す図
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、添付図面を参照しながら実施形態について説明する。説明の理解を容易にするため、各図面において同一の構成要素に対しては可能な限り同一の符号を付して、重複する説明は省略する。
【0010】
図1は、実施形態に係る情報処理装置1のハードウェア構成図である。
【0011】
情報処理装置1は、例えば、MFP(Multifunction Peripheral/Printer/Product)と称される複合機、つまりファクシミリ、スキャナ、コピー、あるいはプリンタなどの画像処理機能、通信機能を有する装置である。情報処理装置1は、例えば本体部にCPU101などのプロセッサ(第1のプロセッサ)を有するコントローラ100を備え、さらにCPU101とは別のプロセッサ(第2のプロセッサ)を有する操作部110を備える、単一の装置である。
【0012】
コントローラ100は、演算装置としてのCPU101(SoCなど)を有する。CPU101には記憶装置としてのDRAM103が接続される。また、コントローラ100は、外部へのインタフェース(I/F)としてUSB I/F106(USBホスト機能)を有し、USB I/F106を介して、USBメモリ108が接続される。また、ユーザの操作入力を受け付ける操作部110は、コントローラ100のCPU101に接続されるが、たとえばUSB I/F106を介して接続される。
【0013】
CPU101には、画像処理や各種I/Fの機能のためのASIC102が接続されている。ASIC102には、ユーザーデータの管理用の不揮発メモリとして小容量のNVRAM105が接続されている。NVRAM105内には、ソフトウェアの設定値等が保存される。
【0014】
また、ASIC102には、オプションプログラムの搭載手段としてSDカードI/F107(SDカードスロット)も接続されている。SDカードI/F107にはSDカード109が挿入接続される。また、ASIC102には、システムの起動用のプログラム格納先としてSSD104が接続されている。また、コントローラ100には、大容量外部記憶装置としてHDD110が接続されている場合もある。また、ASIC102にはエンジン111が接続される。
【0015】
本実施形態は、操作部110の更新に関する手法である。操作部110もコントローラ100と同様に、その内部にeMMC、RAM、CPU等のコンポーネントを持つ。
【0016】
図2は、情報処理装置の更新のためのパッケージ200の構成の一例を示す図である。情報処理装置1のファームウェアを更新する際には、
図2に示すようなパッケージファイル200がインストールされる。
【0017】
パッケージファイル200は、
図2に示すように、コントローラ100のシステムファームウェア(図中のCTLシステム更新イメージ)201と、操作部110のシステムファームウェア(図中の操作部システム更新イメージ)202と、そのファームウェア202から作成した操作部110の用のスナップショットイメージ203とを含んでいる。スナップショットイメージ203には、操作部ファームウェア202に対応するスナップショットイメージが格納されている。
【0018】
パッケージファイル200は
図2のような構成であるため、従来、一度の更新作業でパッケージ200の中身すべてを更新した場合、スナップショットイメージ203の更新まで更新者は待機する必要がある。一般にスナップショットイメージ203は搭載しているRAMメモリの容量に比例して大きくなるため、サイズが増大しがちであり、更新時間がネックになる。
【0019】
そこで本実施形態では、情報処理装置1の更新処理を
図3に示すフローチャートの手順で行う。
図3は、実施形態に係る情報処理装置1の更新処理のフローチャートである。
【0020】
まず、上記パッケージ200がコントローラ100のSDカードスロット107より取得されると、パッケージ200がコントローラ100側のストレージ(CTLストレージ)(例えばHDD112)へ解凍・展開される(S101)。展開されたパッケージ200のうちCTLシステム更新イメージ201により、コントローラ100側のシステムの更新処理が実施される(S102)。
【0021】
ここで、後述の設定において、スナップショットイメージ203の更新設定に即時更新が選択されているか否かが判定される(S103)。即時更新が選択されている場合(S103のYes)、操作部110のeMMCへ操作部パッケージ(操作部システム更新イメージ202及びスナップショットイメージ203)が送信される(S104)。操作部110上で動作するOSは、受け取ったスナップショットイメージ203を用いて保持しているスナップショットイメージを更新し(S105)、操作部システム更新イメージ202により操作部110のシステムを更新する(S106)。ハイバネーション無効化フラグはオフに設定され(S107)、ハイバネーション起動可能に設定される。
【0022】
一方、即時更新が設定されていない場合(S103のNo)、操作部110へは操作部システム更新イメージ202のみが送信され(S108)、スナップショットイメージ203はコントローラ100のHDD112へ留めておき、余計な送信時間を増やさないようにする。操作部110のOSは、受け取ったイメージが操作部システム更新イメージ202のみの場合は、操作部システム更新イメージ202による操作部110のシステムの更新のみをまず行う(S109)。その後、ハイバネーション無効化フラグをオンに設定することで、ハイバネーション起動を一時無効化し、ハイバネーション起動しないようにする(S110)。そして、後述する更新時刻決定フローに基づくタイマーをセットして(S111)、本制御フローを終了する。
【0023】
図3に示す更新処理を実行することにより、特にスナップ更新設定が即時更新でない場合には、更新者の実質的な更新時間としてはスナップショットイメージ203の更新は含まれないことになり、更新者の待機時間を減らすことが可能である。
【0024】
図4は、
図3の更新処理に係る情報処理装置1の機能ブロック図である。
図4に示すように、コントローラ100は、パッケージ保持部121と、パッケージ転送制御部122とを備え、操作部110は、パッケージ保持部131と、更新設定部132と、更新制御部133とを備える。
【0025】
パッケージ保持部121は、SDカードスロット107などを介してコントローラ100に入力された更新用のパッケージファイル200を保持する。パッケージ保持部121は、
図3のフローチャートでは、ステップS101を実行する。
【0026】
パッケージ転送制御部122は、パッケージ保持部121に格納されているパッケージファイル200のうち、更新設定部132による更新設定情報に応じて送信するデータを選択して操作部110に転送する。本実施形態では、パッケージ転送制御部122は、更新設定部132による更新設定情報に応じて、操作部パッケージ(操作部システム更新イメージ202及びスナップショットイメージ203)を転送するか、または、操作部システム更新イメージ202のみを転送するか、スナップショットイメージ203のみを転送するかを切り替える。パッケージ転送制御部122は、
図3のフローチャートでは、ステップS103、S104、S108を実行する。
【0027】
パッケージ保持部131は、コントローラ100から転送された更新用データを保持する。本実施形態では、操作部パッケージ(操作部システム更新イメージ202及びスナップショットイメージ203)、操作部システム更新イメージ202のみ、またはスナップショットイメージ203のみ、いずれかのデータが格納される。
【0028】
更新設定部132は、ユーザによるスナップショットイメージ203の更新設定を受け付け、コントローラ100のパッケージ転送制御部122に更新設定情報を出力する。
【0029】
更新制御部133は、パッケージ保持部131に格納されている更新用データに応じて、操作部110のスナップショットイメージ203の更新を制御する。本実施形態では、更新設定部132は、パッケージ保持部131に操作部パッケージ(操作部システム更新イメージ202及びスナップショットイメージ203)が格納されている場合にはファームウェア更新と同時にスナップショットイメージの更新も行う。一方、パッケージ保持部131に操作部システム更新イメージ202のみ、または、スナップショットイメージ203のみが格納されている場合には、ファームウェア更新または、スナップショットイメージ更新の一方のみを実行する。更新制御部133は、
図3のフローチャートでは、ステップS105~S107、S109~S111を実行する。
【0030】
図4に示す情報処理装置1のコントローラ100のパッケージ保持部121及びパッケージ転送制御部122の各機能は、コントローラ100のCPU101、DRAM103等のハードウェア上に所定のコンピュータソフトウェア(更新プログラム)を読み込ませることにより、CPU101の制御のもとで各種ハードウェアを動作させるとともに、DRAM103やHDD112におけるデータの読み出し及び書き込みを行うことで実現される。また、
図4に示す操作部110のパッケージ保持部131、更新設定部132、更新制御部133の各機能は、操作部110のCPU、RAM等のハードウェア上に所定のコンピュータソフトウェア(更新プログラム)を読み込ませることにより、CPUの制御のもとで各種ハードウェアを動作させるとともに、RAMやHDDにおけるデータの読み出し及び書き込みを行うことで実現される。すなわち、本実施形態の情報処理装置1の更新プログラムをコンピュータ上で実行させることで、情報処理装置1のコントローラ100は、
図4のパッケージ保持部121及びパッケージ転送制御部122として機能し、情報処理装置1の操作部110は、
図4のパッケージ保持部131、更新設定部132、更新制御部133として機能する。
【0031】
図5は、更新実施時刻決定フローの詳細のフローチャートである。
図5のフローチャートは、
図3のステップS111にて実施される。このフローでは、後述する設定により、セットするタイマー値が異なる。
【0032】
まず時間差指定が選択されているか否かが判定される(S201)。時間差指定が選択されている場合は(S201のYes)、現時刻に指定時間を足した値にタイマー値がセットされる(S202)。
【0033】
一方、時間差指定が選択されていない場合(S201のNo)には、時刻指定が選択されているか否かが判定される(S203)。時刻指定が選択されている場合は(S203のYes)、指定された時刻にタイマー値がセットされる(S204)。時刻指定が選択されていない場合は(S203のNo)、後述する時刻別利用カウンタのうち、最も小さいカウンタ値となっている時刻にタイマー値がセットされる(S205)。
【0034】
次に、
図6を参照して、
図3のフローチャートのステップS103にてスナップ更新設定が即時更新でない場合の、スナップショットイメージの更新処理について説明する。
図6は、本実施形態のスナップショットイメージ更新処理のフローチャートである。
【0035】
まず更新実施時刻決定フローにて設定されたタイマーが発火、すなわち現時刻がタイマー値の時刻に到達するまで待機する(S301のNo)。タイマーが発火すると(S301のYes)、操作部110の電源がオフかどうかが判定され(S302)、電源がオフの場合(S302のYes)はコントローラ100(CTL)により操作部110の電源がオンに切り替えられる(S303)。
【0036】
次に、コントローラ100のパッケージ転送制御部122により操作部110に更新開始の通知を投げ(S304)、同時に、HDD112へ留めていたスナップショットイメージ203が送信され、操作部110はスナップショットイメージ203を取得する(S305)。
【0037】
操作部110のOS(更新制御部133)は、受け取ったスナップショットイメージ203を用いて、自身のスナップショットイメージの更新を行い(S306)、ハイバネーションイメージの有効化を行う。
【0038】
更新完了後、ハイバネーション起動を有効にするために、ハイバネーション無効化フラグがオフに設定され(S307)、本制御フローを終了する。
【0039】
図7は、ハイバネーション無効化フラグによる起動モードの選択フローである。
図7の処理は例えば操作部110のOSにより実施される。機器起動が開始されると(S401)、ハイバネーション無効化フラグがオンか否かが判定される(S402)。
【0040】
ハイバネーション無効化フラグがオフであり(S402のNo)、ハイバネーションが有効になっている場合のみ、スナップショットイメージを利用した起動が実施される。ハイバネーション無効化フラグがオンの場合にはスナップショットイメージを利用しない起動が実施される(S404)。
【0041】
図8を参照して、
図5のステップS205で用いる時刻別利用カウンタについて説明する。
図8は、印刷に基づく時刻別利用カウンタの例である。
図8は、情報処理装置1が印刷機能を有する場合の例である。
【0042】
図8に示すように、時刻を所定間隔で区分し(
図8の例では毎時ごと)、各時刻ごとにカウンタ値が設定される。このカウンタ値は、該当時刻に印刷が行われる度に1加算される。すなわち、このカウンタ値は、各時刻の利用頻度を表す。
図8の例では、23時台に10回の印刷が行われ、24時台に7回の印刷が行われ、0時台には印刷が行われていないことが示されており、23時台の利用頻度が最多であることが示されている。
【0043】
図8に示す時刻別利用カウンタを利用して、
図5のステップS205では、最も小さいカウンタ値となっている時刻(例えば1時台)にタイマー値を設定することができる。これにより、ユーザの最も利用頻度の低い時間帯にスナップショットイメージの更新を実行することができ、情報処理装置1の負荷を軽減できる。
【0044】
図9は、スナップショットイメージ更新の設定画面300の一例である。
図9に示すように、操作部110のタッチパネルなどの画面に表示されるユーザインタフェースとしての設定画面300を介して、上記の更新処理に係る各種設定値の選択、入力が可能である。入力された値は、例えば操作部110のeMMC上に保持される。
【0045】
図9の設定画面300では、時間差指定の入力欄301と、時刻指定の入力欄302と、「自動」の選択欄303と、「即時」の選択欄304とが表示されている。時間差指定の入力欄301に時間を入力すると、
図5の更新実施時刻決定フローのステップS202にて、現時刻に指定時間を足した値にタイマー値がセットされる。時刻指定の入力欄302に時間を入力すると、
図5の更新実施時刻決定フローのステップS204にて、指定された時刻にタイマー値がセットされる。「自動」の選択欄303が選択されると、
図5の更新実施時刻決定フローのステップS205にて、時刻別利用カウンタのうち、最も小さいカウンタ値となっている時刻にタイマー値がセットされる。「即時」の選択欄304が選択されると、
図3のステップS103にてステップS104に進み、上記の本実施形態のスナップショットイメージ更新処理は行われず、スナップショットイメージはファームウェア更新と同時に更新される。
【0046】
【0047】
図10は、従来の情報処理装置の更新フローを示す図である。
図10に示すように、例えばSDカード109経由で更新用のパッケージファイル200がコントローラ100に入力されると、第1段階では、パッケージ200が解凍されてコントローラ100内のストレージに格納される。
【0048】
第2段階では、ストレージに格納されたパッケージ200のうちCTLシステム更新イメージ201(ファームウェア)を用いてCTLシステムが更新される。
【0049】
第3段階では、ストレージに格納されたパッケージ200のうち操作部パッケージ204がUSB経由などで操作部110に転送され、操作部110内のストレージに格納される。
【0050】
第4段階では、操作部110のストレージ内で操作部パッケージ204が解凍されて操作部システム更新イメージ202(ファームウェア)とスナップショットイメージ203が展開される。
【0051】
第5段階では、操作部システム更新イメージ202を用いて操作部システムが更新され、同時に、スナップショットイメージ203を用いてスナップショットが更新される。
【0052】
このように従来の更新手法では、スナップショットの更新も、操作部パッケージ更新時に一度に纏めて実施されるため、更新が遅いという問題があった。
【0053】
これに対して本実施形態では、
図11、
図12に示すように、パッケージ更新と、スナップショット更新とを個別に行う。
【0054】
図11は、実施形態のパッケージ更新時の更新フローを示す図である。第1、第2段階は
図10と同様なので説明を省略する。第3段階では、コントローラ100のストレージに格納されたパッケージ200の操作部パッケージ204のうち、操作部ファームウェア(操作部システム更新イメージ)202のみが、USB経由などで操作部110に転送され、操作部110内のストレージに格納される。
【0055】
第4段階では、操作部システム更新イメージ202を用いて操作部システムのみが更新され、スナップショット更新は行われない。そのため、スナップショット更新の分だけ更新時間を短縮できる。
【0056】
第5段階では、スナップショットイメージは無効化し、
図12のスナップショット更新まではハイバネーション起動を行わない。
【0057】
図12は、実施形態のスナップショットイメージ更新時の更新フローを示す図である。第1段階では、スナップショットイメージを更新できるタイミングになったら、コントローラ100のストレージに格納されたパッケージ200の操作部パッケージ204のうち、スナップショットイメージ203のみが、USB経由などで操作部110に転送され、操作部110内のストレージに格納される。
【0058】
第2段階では、スナップショットイメージ203を用いてスナップショットのみが更新される。
【0059】
第3段階では、スナップショットイメージは有効化しておき、次回起動時以降はハイバネーション起動となるようにする。
【0060】
このように、本実施形態の情報処理装置1では、操作部110の更新制御部133が、ハイバネーションに利用する起動イメージであるスナップショットイメージの更新を、ファームウェアの更新タイミングとずらして実行する。この構成により、ファームウェア更新時にはスナップショットイメージの更新を待つ時間が不要となるので、ファームウェアの更新を効率良く行うことが可能となる。また、スナップショットイメージの更新もファームウェアの更新に依存せずに適切なタイミングで実行可能となるので、スナップショットイメージの更新を効率よく行うことが可能となる。
【0061】
また、本実施形態では、
図5のステップS202、
図9の時間差指定入力欄301を参照して説明したように、スナップショットイメージの更新を、ファームウェアの更新から所定時間後に実行することができる。これにより、ファームウェア更新と確実に異なるタイミングでスナップショットイメージ更新を実行できる。
【0062】
また、本実施形態では、
図5のステップS204、
図9の時刻指定入力欄302を参照して説明したように、スナップショットイメージの更新を指定時刻に実行することもできる。これにより、例えば装置の利用時間帯を確実に回避してスナップショットイメージ更新を実行することが可能となり、利便性が向上する。
【0063】
また、本実施形態では、
図5のステップS205、
図9の「自動」選択欄303を参照して説明したように、スナップショットイメージの更新を、ユーザ利用頻度の低い時刻に実行することもできる。これにより、装置の利用時間帯が明確に決まっていない場合でも、利用頻度最小の時間帯を自動的に選択してスナップショットイメージ更新を実行することが可能となり、ユーザの更新時刻設定の負担を軽減できる。
【0064】
また、本実施形態では、コントローラ100のパッケージ転送制御部122が、コントローラ100に保持される更新用パッケージ200のうち、コントローラ100のファームウェアの更新時に、操作部110の更新用ファームウェア(操作部システム更新イメージ202)を操作部110に送信し、コントローラ100のファームウェアの更新タイミングとずらして操作部110の更新用スナップショットイメージ203を操作部110に送信する。操作部110の更新制御部133は、パッケージ転送制御部122からの操作部110の更新用ファームウェア202の受信時に操作部110のファームウェア更新を実行し、パッケージ転送制御部122からの更新用スナップショットイメージ203の受信時に操作部110のスナップショットイメージの更新を実行する。この構成により、操作部110の更新制御部133は、コントローラ100から更新用データを受信するたびに当該データを用いて更新処理を行なうことで、ファームウェア更新とスナップショットイメージ更新のタイミングを容易にずらして実行することが可能となり、簡易な構成で所望の更新処理を実現できる。
【0065】
以上、具体例を参照しつつ本実施形態について説明した。しかし、本開示はこれらの具体例に限定されるものではない。これら具体例に、当業者が適宜設計変更を加えたものも、本開示の特徴を備えている限り、本開示の範囲に包含される。前述した各具体例が備える各要素およびその配置、条件、形状などは、例示したものに限定されるわけではなく適宜変更することができる。前述した各具体例が備える各要素は、技術的な矛盾が生じない限り、適宜組み合わせを変えることができる。
【符号の説明】
【0066】
1 情報処理装置
100 コントローラ
110 操作部
122 パッケージ転送制御部
133 更新制御部
200 パッケージファイル
202 操作部システム更新イメージ(操作部の更新用ファームウェア)
203 スナップショットイメージ(更新用スナップショットイメージ)
【先行技術文献】
【特許文献】
【0067】