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特許7404855静電潜像現像剤用キャリア、二成分現像剤、補給用現像剤、画像形成装置、プロセスカートリッジ並びに画像形成方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-18
(45)【発行日】2023-12-26
(54)【発明の名称】静電潜像現像剤用キャリア、二成分現像剤、補給用現像剤、画像形成装置、プロセスカートリッジ並びに画像形成方法
(51)【国際特許分類】
   G03G 9/113 20060101AFI20231219BHJP
   G03G 9/107 20060101ALI20231219BHJP
【FI】
G03G9/113 361
G03G9/107 321
G03G9/107 311
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2019230464
(22)【出願日】2019-12-20
(65)【公開番号】P2021099401
(43)【公開日】2021-07-01
【審査請求日】2022-10-17
(73)【特許権者】
【識別番号】000006747
【氏名又は名称】株式会社リコー
(74)【代理人】
【識別番号】100090527
【弁理士】
【氏名又は名称】舘野 千惠子
(72)【発明者】
【氏名】増子 健一
(72)【発明者】
【氏名】牧部 豊
(72)【発明者】
【氏名】大光司 真人
(72)【発明者】
【氏名】庭山 桂
(72)【発明者】
【氏名】竹内 健都
【審査官】塚田 剛士
(56)【参考文献】
【文献】特開2000-221733(JP,A)
【文献】特開平11-202560(JP,A)
【文献】特開2000-098667(JP,A)
【文献】特開2016-212254(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G03G 9/113
G03G 9/107
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
磁性を有する芯材粒子と前記芯材粒子表面を被覆する被覆層とを含む静電潜像現像剤用キャリアであって、
前記芯材粒子は飽和磁化が80~110emu/gであり、前記被覆層は少なくとも1種の微粒子を含み、前記微粒子は硫酸バリウムを含有し、前記被覆層表面のBa露出量が0.5~4.0atomic%であることを特徴とする静電潜像現像剤用キャリア。
【請求項2】
前記硫酸バリウムの円相当径が400~1000nmであることを特徴とする請求項に記載の静電潜像現像剤用キャリア。
【請求項3】
請求項1または2に記載の静電潜像現像剤用キャリアおよびトナーを有することを特徴とする二成分現像剤。
【請求項4】
請求項1または2に記載の静電潜像現像剤用キャリアおよびトナーを含む補給用現像剤であって、前記静電潜像現像剤用キャリア1質量部に対して前記トナーを2~50質量部含有することを特徴とする補給用現像剤。
【請求項5】
静電潜像担持体と、前記静電潜像担持体を帯電させる帯電手段と、前記静電潜像担持体上に静電潜像を形成する露光手段と、前記静電潜像担持体上に形成された静電潜像を、請求項またはに記載の現像剤を用いて現像してトナー像を形成する現像手段と、前記静電潜像担持体上に形成されたトナー像を記録媒体に転写する転写手段と、前記記録媒体に転写されたトナー像を定着させる定着手段とを有することを特徴とする画像形成装置。
【請求項6】
静電潜像担持体と、前記静電潜像担持体の表面を帯電させる帯電部材と、前記静電潜像担持体上に形成された静電潜像を請求項またはに記載の現像剤を用いて現像する現像部と、前記静電潜像担持体をクリーニングするクリーニング部材を有することを特徴とするプロセスカートリッジ。
【請求項7】
静電潜像担持体上に静電潜像を形成する工程と、前記静電潜像担持体上に形成された静電潜像を、請求項3またはに記載の現像剤を用いて現像してトナー像を形成する工程と、前記静電潜像担持体上に形成されたトナー像を記録媒体に転写する工程と、前記記録媒体に転写されたトナー像を定着させる工程とを有することを特徴とする画像形成方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、静電潜像現像剤用キャリア、二成分現像剤、補給用現像剤、画像形成装置、プロセスカートリッジ並びに画像形成方法に関する。
【背景技術】
【0002】
電子写真方法は、帯電および露光手段を用いて感光体表面に静電潜像を形成した後、この静電潜像を現像剤により現像してトナー像を得、このトナー像を転写部材に転写後定着して可視像を得るものである。静電潜像を現像する方法としては、パウダークラウド法、カスケード法、磁気ブラシ法等が挙げられるが、通常は磁気ブラシ法が用いられている。
【0003】
この磁気ブラシ法には、静電潜像現像剤用キャリアおよびトナーを含有する二成分現像剤が用いられている(例えば特許文献1~5参照)。二成分系乾式現像剤は、フェライト粉等からなる磁性キャリアに樹脂、着色剤等からなるトナー粒子が、両粒子の摩擦により発生した電気力により保持されており、静電潜像に近接すると、静電潜像が形成する電界によるトナー粒子に対する潜像方向への吸引力がトナー粒子とキャリア粒子間の接合力に打ち勝ち、トナー粒子が静電潜像上に吸引付着されて静電潜像が可視化されるものである。そして、現像剤は現像によって消費されたトナーを補充しながら反復使用される。
【0004】
このような電子写真方法を用いた機器としては、従来まで広く一般に用いられてきた複写機のみならず、近年ではコンピューターの普及によりその出力機器としてレーザービームプリンターも多く利用されるようになってきており、これに伴って高画質化の要求も次第に高まってきている。
【0005】
このような高画質化を達成するために、現像剤側からまず考えられる手段としてはトナーおよびキャリアの小粒径化が挙げられる。トナー粒径を小さくした場合、トナーの現像性を確保するためトナー濃度を上げるのと同時にキャリアの粒径を小さくする必要がある。キャリアの小粒径化は、上述の磁気ブラシを緻密に形成できることから階調性やベタ均一性の向上が期待できると同時に、キャリア自体が軽量化されるため現像剤の劣化防止の面でも有利である。
【0006】
しかし、このようにキャリアの粒径を小さくした場合にはキャリア付着という問題が生じる。 通常キャリアは磁気力により現像スリーブ上に保持されているが、同時に静電誘導或いは電荷注入による電荷がキャリアに存在し、感光体上の電荷との間に静電力が働いている。キャリアの粒径が小さくなるほど粒子1個当たりに働く磁気力が弱くなることから、感光体との静電力がスリーブの保持力に打ち勝って、キャリアが感光体上に付着しやすくなってしまう。
【0007】
さらに、近年市場が拡大しているプロダクションプリンティングの分野では、これまで以上に高画質化の要求が高まっていることに加えて、画像出力速度の高速化も求められている。画像出力速度が上げるためには、現像スリーブの回転速度も必然的に上がるが、キャリアが遠心力によって受ける力が大きくなるため、キャリア付着に対して不利な条件となる。
【0008】
こうした問題を解決する手段として、芯材粒子の飽和磁化を高めることでキャリアが現像スリーブ側に引き寄せられる磁気拘束力を高めるという方法が知られている。しかし、一般的に芯材粒子に用いられる磁性体粒子は、飽和磁化を高めると電気抵抗が低下する傾向がある。これは、芯材粒子の電気抵抗を調整する方法として酸化処理の度合いを調整するという手段があるが、酸化処理がなされた部分は高抵抗となるが、飽和磁化が下がる傾向にある。即ち、電気抵抗と飽和磁化はトレードオフの関係となるため、飽和磁化が高い芯材粒子は電気抵抗が低くなる傾向がある。
【0009】
キャリア付着改善のために高飽和磁化芯材粒子を選択すると、芯材粒子の電気抵抗が低いことに起因する問題に留意しなければならない。具体的には、長期間のランによって芯材粒子表面を被覆する被覆層(コート膜)が失われることで芯材粒子が露出し、抵抗が急激に下がり、ベタキャリア付着が悪化する問題が生じる。
【0010】
このような課題を解決するためには、コート膜厚を厚くする、コート膜中に無機微粒子を含有させるといった、コート膜耐久性を向上させる方法をとることが考えられる。しかし、コート膜の耐久性を向上させるということは、キャリアへ付着したトナースペント物がコート膜が失われるのと同時に除去されて、キャリア表面がフレッシュな状態を維持する効果が得られにくくなる。近年は消費電力低減の為にトナーが低温定着化する傾向にあり、また、プリント速度の高速化も相まって、キャリアへのトナースペントが一段と生じ易くなっている。さらに、高画質化の要求からトナーは多くの添加剤を含有する傾向にあり、これらがキャリアにスペントして、トナー帯電量の低下、トナー飛散および地肌汚れに対する余裕度が低下しているのが現状である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明は、上記の様な技術課題に基づき、キャリア付着の課題を解決できる高飽和磁化芯材を用いつつ、経時での抵抗および帯電の変動を抑え、経時でのトナー飛散、地肌かぶり、エッジキャリア付着、ベタキャリア付着を抑制し、優れた品質の画像を形成し得る、静電潜像現像剤用キャリアを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記課題は、下記構成1)により解決される。
1)磁性を有する芯材粒子と前記芯材粒子表面を被覆する被覆層とを含む静電潜像現像剤用キャリアであって、
前記芯材粒子は飽和磁化が80~110emu/gであり、前記被覆層は少なくとも1種の微粒子を含み、前記微粒子は硫酸バリウムを含有し、前記被覆層表面のBa露出量が0.5~4.0atomic%であることを特徴とする静電潜像現像剤用キャリア。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、キャリア付着の課題を解決できる高飽和磁化芯材を用いつつ、経時での抵抗および帯電の変動を抑え、経時でのトナー飛散、地肌かぶり、エッジキャリア付着、ベタキャリア付着を抑制し、優れた品質の画像を形成し得る、静電潜像現像剤用キャリアを提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本発明のプロセスカートリッジの一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明の静電潜像現像剤用キャリア(以下、単にキャリアと言うことがある)について詳細に説明する。
本発明のキャリアは、磁性を有する芯材粒子と前記芯材粒子表面を被覆する被覆層とを含み、前記芯材粒子は飽和磁化が80~110emu/gであり、前記被覆層は少なくとも1種の微粒子を含み、前記微粒子は硫酸バリウムを含有することを特徴とする。
【0016】
本発明は、(1)キャリア付着の発生を抑えるために高飽和磁化の芯材粒子を用いること、(2)高飽和磁化芯材粒子は低抵抗であり、長期間のランにより被覆層(コート膜)が失われた際に抵抗が急激に低下することを防ぐため、微粒子を添加してコート膜耐久性を高めること、(3)コート膜耐久性を高めることでトナースペント物が除去されにくくなり、トナー帯電が下がることを防ぐため、前述の微粒子として帯電性能付与効果がある硫酸バリウムを選択すること、が重要である。
【0017】
(芯材粒子)
本発明において、キャリア付着の発生を抑えるため芯材粒子は高飽和磁化であるものを選択する。具体的には、飽和磁化が80~110emu/gであることが好ましく、90~100emu/gであることがさらに好ましい。飽和磁化が80emu/gより小さいと、キャリアにかかる現像スリーブ側への磁気拘束力が十分ではなく、キャリア付着が悪化する。飽和磁化が110emu/gより大きいと、現像時に静電潜像担持体(以下、感光体と呼ぶことがある)上の静電潜像に対向した現像スリーブ上のキャリアとトナーにより構成されるブラシ状の穂立ちが固く締った状態となり、階調性や中間調の再現が悪くなり、濃度ムラ悪化などの不具合を生じる。
【0018】
芯材粒子の材料としては、飽和磁化が80~110emu/gである磁性体であれば特に限定されないが、鉄、コバルト等の強磁性金属;マグネタイト、ヘマタイト、フェライト等の酸化鉄;各種合金や化合物;これらの磁性体を樹脂中に分散させた樹脂粒子等が挙げられる。中でも、高飽和磁化としやすいマグネタイトが特に好適に用いられる。
【0019】
芯材粒子の飽和磁化は、例えばBHU-60型磁化測定装置(理研測定社製)を用いて測定することができる。具体的に述べると測定試料を約1.0g秤量し内径7mmφ、高さ10mmのセルにつめ、前記の装置にセットする。測定は印加磁場を徐々に加え最大3,000エルステッドまで変化させる。次いで印加磁場を減少せしめ、最終的に試料のヒステリシスカーブを得る。 これより、飽和磁化を求める。
【0020】
(微粒子)
本発明における被覆層は少なくとも1種の微粒子を含み、前記微粒子は硫酸バリウムを含有する。
硫酸バリウムは負帯電トナーとの帯電性に優れるため、初期から長期間使用後までの間、キャリアに優れた帯電性能を付与させることを目的として用いている。また、硫酸バリウムは白色であり、例えば被覆層を構成する樹脂から脱離した場合でもトナーの色味への影響が少ないことから、好適に用いられる。
【0021】
本発明のキャリアは、被覆層表面のBa露出量が0.3~4.0atomic%であることが好ましく、1.0~3.0atomic%であることがさらに好ましい。Ba露出量を上記範囲とすると、硫酸バリウムがキャリア表面に露出された状態となる。硫酸バリウムはトナーとの帯電性が高いため、表層にある硫酸バリウムは長時間の高画像面積での出力後も帯電性を保つことができる。Ba露出量が0.3 atomic%以上であることにより、硫酸バリウムが十分にキャリア表面に露出し、長期間の使用にわたってトナー帯電を維持する効果が十分に得られる。またBa露出量が4.0atomic%以下であることにより、硫酸バリウム粒子が含有量が適切であり、長期間のランにより硫酸バリウムが被覆層から脱離しにくく、芯材粒子露出を防止し、抵抗低下に伴うベタキャリア付着悪化等の不具合を抑制できる。
【0022】
被覆層表面におけるBa露出量はAXIS/ULYRA(島津/KRATOS製)にて実施した。ビーム照射領域は、おおよそ900μm×600μm程度で、キャリア25個×17の範囲を検出している。また、侵入深さは0~10nmであり、被覆層表面付近の情報を検出している。具体的な測定方法は、測定モード:Al:1486.6eV、励起源:モノクローム(Al)、検知方式:スペクトルモード、マグネットレンズ:OFFにて実施した。まず、広域スキャンによって検出元素を特定し、その次に、検出元素毎にナロースキャンにてピークを検出させた。その後、付属のピーク解析ソフトにて全検出元素に対するBaのatomic%を算出した。
【0023】
本発明に用いる硫酸バリウムは、円相当径が400~1000nmであることが好ましく、500~900nmであることがさらに好ましい。硫酸バリウムを前記の粒子径とすることによって、被覆層に対して硫酸バリウムが凸の状態で存在することとなる。凸となった硫酸バリウム表面は現像器内において、トナー、キャリア、現像スクリュ等との摩擦によって、常にストレスが与えられるため、一時的にトナー樹脂、ワックス、添加剤などがスペントしても、すぐに上記ストレスによって削られるため、硫酸バリウムが常時露出した状態を保つことができる。一方、硫酸バリウム凸部間に存在する凹部にはトナー樹脂、ワックス、添加剤などがスペントするが、これらに覆われることによって電気的にはトナーと同帯電性となるため、これ以上スペント物が堆積することがない。前記凹部は、トナーを帯電することはできないが、凹部となっているためにトナーとの摩擦確率も低く、トナー帯電に対する寄与が小さい。このため、硫酸バリウムが凸となって存在している部位がキャリアの帯電能力を決定するため、長期に渡って安定した帯電能力を保持することができる。硫酸バリウムの円相当径が400nm以上であることにより、硫酸バリウムが被覆層に対して凸の状態で露出する度合いが大きくなり、長期に渡って帯電能力を保持することができる。また、円相当径が1000nm以下であることにより、被覆層の厚みに対する硫酸バリウムのサイズ適切となり、被覆層からの脱離を防止できる。
【0024】
硫酸バリウムの円相当径は、例えば以下の方法で測定することができる。キャリアを包埋樹脂(Devcon 社、2 液混合、30 分硬化型エポキシ樹脂)に混ぜ込み、一晩以上置いて硬化させ、機械研磨により大まかな断面試料を作製する。これにクロスセクションポリッシャー(JEOL 製 SM-09010)を用い、加速電圧5.0kV、ビーム電流120μAの条件で断面の仕上げを行った。これを、走査型電子顕微鏡(Carl Zeiss製Merlin)を用いて、加速電圧0.8kV、倍率30000倍の条件で撮影する。撮影した画像をTIFF画像に取り込み、Media Cybernetics社製のImage-Pro Plusを用いて、硫酸バリウム100粒子の円相当径を測定し、その平均値を使用する。
【0025】
被覆層中の硫酸バリウムの含有量は、被覆層中の樹脂成分に対して例えば50~300質量%であり、75~200質量%が好ましい。
【0026】
(導電性微粒子)
本発明の被覆層に含まれる微粒子としては、上述した硫酸バリウム以外にも、抵抗の制御や長期間使用した際の被覆層の削れを抑制する目的で、導電性微粒子を使用してもよい。導電性微粒子は酸化アルミニウム、二酸化チタン、酸化亜鉛、二酸化珪素、酸化ジルコニウムなどの基体に二酸化スズや酸化インジウムを層として形成したフィラー、カーボンブラックなどを使用できるが、基体としては酸化アルミニウム、二酸化チタンが好ましい。
【0027】
被覆層中の導電性微粒子の含有量は、例えば50~500質量%であり、100~300質量%が好ましい。
【0028】
被覆層は、樹脂および必要に応じてその他の成分を含有することができる。
被覆層に用いられる樹脂としては、必要な帯電性を付与できる公知の材料を使用できる。具体的にはシリコーン樹脂、アクリル樹脂、またはこれらを併用して使用することが好ましい。これは、アクリル樹脂は接着性が強く脆性が低いので耐磨耗性に非常に優れた性質を持つが、その反面、表面エネルギーが高いため、スペントし易いトナーとの組み合わせでは、トナー成分スペントが蓄積することによる帯電量低下など不具合が生じる場合がある。その場合、表面エネルギーが低いためトナー成分のスペントがし難く、膜削れが生じるためのスペント成分の蓄積が進み難い効果が得られるシリコーン樹脂を併用することで、この問題を解消することができる。しかし、シリコーン樹脂は接着性が弱く脆性が高いので、耐磨耗性が悪いという弱点も有するため、この2種の樹脂の性質をバランス良く得ることが重要であり、これによりスペントがし難く耐磨耗性も有する被覆層を得ることが可能となる。これは、シリコーン樹脂は表面エネルギーが低いためトナー成分のスペントがし難く、膜削れが生じるためのスペント成分の蓄積が進み難い効果が得られるためである。
【0029】
本明細書でいうシリコーン樹脂とは、一般的に知られているシリコーン樹脂全てを指し、オルガノシロサン結合のみからなるストレートシリコーンや、アルキド、ポリエステル、エポキシ、アクリル、ウレタンなどで変性したシリコーン樹脂などが挙げられるが、これに限るものではない。例えば、市販品としてストレートシリコーン樹脂としては、信越化学製のKR271、KR255、KR152、東レ・ダウコーニング・シリコン社製のSR2400、SR2406、SR2410等が挙げられる。この場合、シリコーン樹脂単体で用いることも可能であるが、架橋反応する他成分、帯電量調整成分等を同時に用いることも可能である。さらに、変性シリコーン樹脂としては、信越化学製のKR206(アルキド変性)、KR5208(アクリル変性)、ES1001N(エポキシ変性)、KR305(ウレタン変性)、東レ・ダウコーニング・シリコン社製のSR2115(エポキシ変性)、SR2110(アルキド変性)などが挙げられる。
【0030】
縮重合触媒としては、チタン系触媒、スズ系触媒、ジルコニウム系触媒、アルミニウム系触媒が揚げられるが、本発明では、これら各種触媒のうち、優れた結果を齎らすチタン系触媒の中でも、特にチタンジイソプロポキシビス(エチルアセトアセテート)が触媒として最も好ましい。これは、シラノール基の縮合反応を促進する効果が大きく、且つ触媒が失活しにくいためであると考えられる。
【0031】
本明細書でいうアクリル樹脂とは、アクリル成分を有する樹脂全てを指し、特に限定するものではない。また、アクリル樹脂単体で用いることも可能であるが、架橋反応する他成分を少なくとも1つ以上同時に用いることも可能である。ここでいう架橋反応する他成分とは、例えばアミノ樹脂、酸性触媒などが挙げられるが、これに限るものではない。ここでいうアミノ樹脂とはグアナミン、メラミン樹脂等を指すが、これらに限るものではない。また、ここでいう酸性触媒とは、触媒作用を持つもの全てを用いることができる。例えば、完全アルキル化型、メチロール基型、イミノ基型、メチロール/イミノ基型等の反応性基を有するものであるが、これらに限るものではない。
【0032】
また、被覆層は、アクリル樹脂とアミノ樹脂の架橋物を含有することがさらに好ましい。
これにより、適度な弾性を維持したまま、被覆層同士の融着を抑制することができる。
アミノ樹脂としては、特に限定されないが、キャリアの帯電付与能力を向上させることができるため、メラミン樹脂、ベンゾグアナミン樹脂が好ましい。また、適度にキャリアの帯電付与能力を制御する必要がある場合には、メラミン樹脂および/又はベンゾグアナミン樹脂と、他のアミノ樹脂を併用してもよい。
アミノ樹脂と架橋し得るアクリル樹脂としては、ヒドロキシル基および/又はカルボキシル基を有するものが好ましく、ヒドロキシル基を有するものがさらに好ましい。これにより、芯材粒子や導電性微粒子との密着性をさらに向上させることができ、導電性微粒子の分散安定性も向上させることができる。このとき、アクリル樹脂は、水酸基価が10mgKOH/g以上であることが好ましく、20mgKOH/g以上がさらに好ましい。
【0033】
本発明において、被覆層を形成するための組成物は、シランカップリング剤を含有することが好ましい。
これにより、導電性微粒子を安定に分散させることができる。
シランカップリング剤としては、特に限定されないが、r-(2-アミノエチル)アミノプロピルトリメトキシシラン、r-(2-アミノエチル)アミノプロピルメチルジメトキシシラン、r-メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、N-β-(N-ビニルベンジルアミノエチル)-r-アミノプロピルトリメトキシシラン塩酸塩、r-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、r-メルカプトプロピルトリメトキシシラン、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、ビニルトリアセトキシシラン、r-クロルプロピルトリメトキシシラン、ヘキサメチルジシラザン、r-アニリノプロピルトリメトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、オクタデシルジメチル[3-(トリメトキシシリル)プロピル]アンモニウムクロライド、r-クロルプロピルメチルジメトキシシラン、メチルトリクロルシラン、ジメチルジクロロシラン、トリメチルクロロシラン、アリルトリエトキシシラン、3-アミノプロピルメチルジエトキシシラン、3-アミノプロピルトリメトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、1,3-ジビニルテトラメチルジシラザン、メタクリルオキシエチルジメチル(3-トリメトキシシリルプロピル)アンモニウムクロライド等が挙げられ、二種以上併用してもよい。
【0034】
シランカップリング剤の市販品としては、AY43-059、SR6020、SZ6023、SH6026、SZ6032、SZ6050、AY43-310M、SZ6030、SH6040、AY43-026、AY43-031、sh6062、Z-6911、sz6300、sz6075、sz6079、sz6083、sz6070、sz6072、Z-6721、AY43-004、Z-6187、AY43-021、AY43-043、AY43-040、AY43-047、Z-6265、AY43-204M、AY43-048、Z-6403、AY43-206M、AY43-206E、Z6341、AY43-210MC、AY43-083、AY43-101、AY43-013、AY43-158E、Z-6920、Z-6940(東レ・シリコーン社製)等が挙げられる。
【0035】
シランカップリング剤の添加量は、シリコーン樹脂に対して、0.1~10質量%であることが好ましい。シランカップリング剤の添加量が0.1質量%以上であることにより、芯材粒子、導電性微粒子およびシリコーン樹脂の接着性が向上し、長期間のランでの被覆層脱落を防止でき、10質量%以下であることにより、長期間のランでのトナーフィルミングの発生を防止できる。
【0036】
本発明において、被覆層は、膜の欠損箇所がないものであり、平均膜厚は0.05~0.50μmであることが好ましい。平均膜厚が0.05μm以上であることにより、長期間の欄での被覆層破壊および膜削れを防止でき、0.50μm以下であることにより、画像へのキャリア付着を防止でき、また、抵抗調節効果が充分発揮される。
前記被覆層の平均膜厚は、例えば、透過型電子顕微鏡(TEM)を用いて、キャリア断面を観察して測定することができる。
【0037】
本発明において使用されるキャリアの芯材粒子の重量平均粒径としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、10μm~80μmが好ましく、30μm~70μmがより好ましい。ここで、重量平均粒径は、レーザー回折乃至散乱法によって求めた前記芯材粒子の粒度分布における積算値50%での粒径をいう。重量平均粒径は、例えば、マイクロトラック粒度分布計HRA9320-X100(Honewell社製)を用いて測定することができる。
【0038】
本発明のキャリアは、例えば、前記樹脂等を溶剤に溶解させて塗布溶液を調製した後、該塗布溶液を前記芯材粒子の表面に公知の塗布方法により均一に塗布し、乾燥した後、焼付を行うことにより製造することができる。前記塗布方法としては、例えば、浸漬法、スプレー法、ハケ塗り法などが挙げられる。
前記溶剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、トルエン、キシレン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、セルソルブ、ブチルアセテート、などが挙げられる。
前記焼付の方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、外部加熱方式であってもよいし、内部加熱方式であってもよい。
前記焼付の装置としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、固定式電気炉、流動式電気炉、ロータリー式電気炉、バーナー炉、マイクロウエーブを備えた装置などが挙げられる。
【0039】
(トナー)
本発明の現像剤は、本発明のキャリアおよびトナーを有する。
トナーは、結着樹脂、着色剤、離型剤、帯電制御剤、外添剤等を含有することができ、モノクロトナーおよびカラートナーのいずれであってもよい。また、定着ローラにトナー固着防止用オイルを塗布しないオイルレスシステムに適用するために、トナー粒子は、離型剤を含有してもよい。このようなトナーは、一般に、フィルミングが発生しやすいが、本発明のキャリアは、フィルミングを抑制することができるため、本発明の現像剤は、長期に亘り、良好な品質を維持することができる。
さらに、カラートナー、特に、イエロートナーは、一般に、キャリアの被覆層の削れによる色汚れが発生するという問題があるが、本発明の現像剤は、色汚れの発生を抑制することができる。
【0040】
トナーは、粉砕法、重合法等の公知の方法を用いて製造することができる。例えば、粉砕法を用いてトナーを製造する場合、まず、トナー材料を混練することにより得られる溶融混練物を冷却した後、粉砕し、分級して、母体粒子を作製する。次に、転写性、耐久性をさらに向上させるために、母体粒子に外添剤を添加し、トナーを作製する。
このとき、トナー材料を混練する装置としては、特に限定されないが、バッチ式の2本ロール;バンバリーミキサー;KTK型2軸押出し機(神戸製鋼所社製)、TEM型2軸押出し機(東芝機械社製)、2軸押出し機(KCK社製)、PCM型2軸押出し機(池貝鉄工社製)、KEX型2軸押出し機(栗本鉄工所社製)等の連続式の2軸押出し機;コ・ニーダ(ブッス社製)等の連続式の1軸混練機等が挙げられる。
【0041】
また、冷却した溶融混練物を粉砕する際には、ハンマーミル、ロートプレックス等を用いて粗粉砕した後、ジェット気流を用いた微粉砕機、機械式の微粉砕機等を用いて微粉砕することができる。なお、平均粒径が3~15μmとなるように粉砕することが好ましい。
さらに、粉砕された溶融混練物を分級する際には、風力式分級機等を用いることができる。なお、母体粒子の平均粒径が5~20μmとなるように分級することが好ましい。
また、母体粒子に外添剤を添加する際には、ミキサー類を用いて混合攪拌することにより、外添剤が解砕されながら母体粒子の表面に付着する。
【0042】
結着樹脂としては、特に限定されないが、ポリスチレン、ポリp-スチレン、ポリビニルトルエン等のスチレンおよびその置換体の単独重合体;スチレン-p-クロロスチレン共重合体、スチレン-プロピレン共重合体、スチレン-ビニルトルエン共重合体、スチレン-アクリル酸メチル共重合体、スチレン-アクリル酸エチル共重合体、スチレン-メタクリル酸共重合体、スチレン-メタクリル酸メチル共重合体、スチレン-メタクリル酸エチル共重合体、スチレン-メタクリル酸ブチル共重合体、スチレン-α-クロロメタクリル酸メチル共重合体、スチレン-アクリロニトリル共重合体、スチレン-ビニルメチルエーテル共重合体、スチレン-ビニルメチルケトン共重合体、スチレン-ブタジエン共重合体、スチレン-イソプレン共重合体、スチレン-マレイン酸エステル共重合体等のスチレン系共重合体;ポリメタクリル酸メチル、ポリメタクリル酸ブチル、ポリ塩化ビニル、ポリ酢酸ビニル、ポリエチレン、ポリエステル、ポリウレタン、エポキシ樹脂、ポリビニルブチラール、ポリアクリル酸、ロジン、変性ロジン、テルペン樹脂、フェノール樹脂、脂肪族又は芳香族炭化水素樹脂、芳香族系石油樹脂等が挙げられ、二種以上併用してもよい。
【0043】
圧力定着用の結着樹脂としては、特に限定されないが、低分子量ポリエチレン、低分子量ポリプロピレン等のポリオレフィン;エチレン-アクリル酸共重合体、エチレン-アクリル酸エステル共重合体、スチレン-メタクリル酸共重合体、エチレン-メタクリル酸エステル共重合体、エチレン-塩化ビニル共重合体、エチレン-酢酸ビニル共重合体、アイオノマー樹脂等のオレフィン共重合体;エポキシ樹脂、ポリエステル、スチレン-ブタジエン共重合体、ポリビニルピロリドン、メチルビニルエーテル-無水マレイン酸共重合体、マレイン酸変性フェノール樹脂、フェノール変性テルペン樹脂等が挙げられ、二種以上併用してもよい。
【0044】
着色剤(顔料又は染料)としては、特に限定されないが、カドミウムイエロー、ミネラルファストイエロー、ニッケルチタンイエロー、ネーブルスイエロー、ナフトールイエローS、ハンザイエローG、ハンザイエロー10G、ベンジジンイエローGR、キノリンイエローレーキ、パーマネントイエローNCG、タートラジンレーキ等の黄色顔料;モリブデンオレンジ、パーマネントオレンジGTR、ピラゾロンオレンジ、バルカンオレンジ、インダンスレンブリリアントオレンジRK、ベンジジンオレンジG、インダンスレンブリリアントオレンジGK等の橙色顔料;ベンガラ、カドミウムレッド、パーマネントレッド4R、リソールレッド、ピラゾロンレッド、ウォッチングレッドカルシウム塩、レーキレッドD、ブリリアントカーミン6B、エオシンレーキ、ローダミンレーキB、アリザリンレーキ、ブリリアントカーミン3B等の赤色顔料;ファストバイオレットB、メチルバイオレットレーキ等の紫色顔料;コバルトブルー、アルカリブルー、ビクトリアブルーレーキ、フタロシアニンブルー、無金属フタロシアニンブルー、フタロシアニンブルー部分塩素化物、ファーストスカイブルー、インダンスレンブルーBC等の青色顔料;クロムグリーン、酸化クロム、ピグメントグリーンB、マラカイトグリーンレーキ等の緑色顔料;カーボンブラック、オイルファーネスブラック、チャンネルブラック、ランプブラック、アセチレンブラック、アニリンブラック等のアジン系色素、金属塩アゾ色素、金属酸化物、複合金属酸化物等の黒色顔料等が挙げられ、二種以上を併用してもよい。
【0045】
離型剤としては、特に限定されないが、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン、脂肪酸金属塩、脂肪酸エステル、パラフィンワックス、アミド系ワックス、多価アルコールワックス、シリコーンワニス、カルナウバワックス、エステルワックス等が挙げられ、二種以上併用してもよい。
【0046】
また、トナーは、帯電制御剤をさらに含有してもよい。帯電制御剤としては、特に限定されないが、ニグロシン;炭素数が2~16のアルキル基を有するアジン系染料);C.I.Basic Yello 2(C.I.41000)、C.I.Basic Yello 3、C.I.Basic Red 1(C.I.45160)、C.I.Basic Red 9(C.I.42500)、C.I.Basic Violet 1(C.I.42535)、C.I.Basic Violet 3(C.I.42555)、C.I.Basic Violet 10(C.I.45170)、C.I.Basic Violet 14(C.I.42510)、C.I.Basic Blue 1(C.I.42025)、C.I.Basic Blue 3(C.I.51005)、C.I.Basic Blue 5(C.I.42140)、C.I.Basic Blue 7(C.I.42595)、C.I.Basic Blue 9(C.I.52015)、C.I.Basic Blue 24(C.I.52030)、C.I.Basic Blue25(C.I.52025)、C.I.Basic Blue 26(C.I.44045)、C.I.Basic Green 1(C.I.42040)、C.I.Basic Green 4(C.I.42000)等の塩基性染料;これらの塩基性染料のレーキ顔料;C.I.Solvent Black 8(C.I.26150)、ベンゾイルメチルヘキサデシルアンモニウムクロライド、デシルトリメチルクロライド等の4級アンモニウム塩;ジブチル、ジオクチル等のジアルキルスズ化合物;ジアルキルスズボレート化合物;グアニジン誘導体;アミノ基を有するビニル系ポリマー、アミノ基を有する縮合系ポリマー等のポリアミン樹脂;モノアゾ染料の金属錯塩;サルチル酸;ジアルキルサルチル酸、ナフトエ酸、ジカルボン酸のZn、Al、Co、Cr、Fe等の金属錯体;スルホン化した銅フタロシアニン顔料;有機ホウ素塩類;含フッ素4級アンモニウム塩;カリックスアレン系化合物等が挙げられるが、二種以上併用してもよい。なお、ブラック以外のカラートナーにおいては、白色のサリチル酸誘導体の金属塩等が好ましい。
【0047】
外添剤としては、特に限定されないが、シリカ、酸化チタン、アルミナ、炭化珪素、窒化珪素、窒化ホウ素等の無機粒子;ソープフリー乳化重合法により得られる平均粒径が0.05~1μmのポリメタクリル酸メチル粒子、ポリスチレン粒子等の樹脂粒子が挙げられ、二種以上併用してもよい。中でも、表面が疎水化処理されているシリカ、酸化チタン等の金属酸化物粒子が好ましい。さらに、疎水化処理されているシリカおよび疎水化処理されている酸化チタンを併用し、疎水化処理されているシリカよりも疎水化処理されている酸化チタンの添加量を多くすることにより、湿度に対する帯電安定性に優れるトナーが得られる。
【0048】
(二成分現像剤)
本発明の二成分現像剤において、トナーとキャリアの混合割合は、キャリア100質量部に対しトナー2.0質量部~12.0質量部が好ましく、2.5質量部~10質量部がより好ましい。
また、本発明の補給用現像剤は、本発明のキャリアとトナーとを含み、現像装置内の余剰の現像剤を排出しながら画像形成を行う画像形成装置に適用することで、極めて長期に渡って安定した画像品質が得られる。つまり、現像装置内の劣化したキャリアと、補給用現像剤中の劣化していないキャリアを入れ替え、長期間に渡って帯電量を安定に保ち、安定した画像が得られる。本方式は、特に高画像面積印字時に有効である。高画像面積印字時は、キャリアへのトナースペントによるキャリア帯電劣化が主なキャリア劣化であるが、本方式を用いることで、高画像面積時には、キャリア補給量も多くなるため、劣化したキャリアが入れ替わる頻度があがる。これにより、極めて長期間に渡って安定した画像を得られる。
【0049】
補給用現像剤の混合比率は、キャリア1質量部に対してトナーを2~50質量部の配合割合とすることが好ましい。トナーが2質量部未満の場合には、補給キャリア量が多すぎ、キャリア供給過多となり現像装置中のキャリア濃度が高くなりすぎるため、現像剤の帯電量が増加しやすい。また、現像剤帯電量が上がることにより、現像能力が下がり画像濃度が低下してしまう。また50質量部を超えると、補給用現像剤中のキャリア割合が少なくなるため、画像形成装置中のキャリアの入れ替わりが少なくなり、キャリア劣化に対する効果が期待できなくなる。
【0050】
(画像形成装置)
本発明の画像形成装置は、静電潜像担持体と、前記静電潜像担持体を帯電させる帯電手段と、前記静電潜像担持体上に静電潜像を形成する露光手段と、前記静電潜像担持体上に形成された静電潜像を、本発明の前記現像剤を用いて現像してトナー像を形成する現像手段と、前記静電潜像担持体上に形成されたトナー像を記録媒体に転写する転写手段と、前記記録媒体に転写されたトナー像を定着させる定着手段とを有し、さらに必要に応じてその他の手段を有してなる。
【0051】
(画像形成方法)
本発明の画像形成方法は、静電潜像担持体上に静電潜像を形成する工程(静電潜像担持体を帯電させる帯電工程と、前記静電潜像担持体上に静電潜像を形成する露光工程とを含む)と、静電潜像担持体上に形成された静電潜像を、本発明の現像剤を用いて現像してトナー像を形成する工程と、静電潜像担持体上に形成されたトナー像を記録媒体に転写する工程と、記録媒体に転写されたトナー像を定着させる工程とを有し、さらに必要に応じてその他の工程を有してなる。
【0052】
<静電潜像担持体>
前記静電潜像担持体としては、その材質、形状、構造、大きさ、等については、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
前記形状としては、例えば、ドラム状が挙げられる。
前記材質としては、例えば、アモルファスシリコン、セレン等の無機感光体、ポリシラン、フタロポリメチン等の有機感光体、などが挙げられる。これらの中でも、長寿命性の点でアモルファスシリコン等が好ましい。
前記アモルファスシリコン感光体としては、例えば、支持体を50℃~400℃に加熱し、該支持体上に真空蒸着法、スパッタリング法、イオンプレーティング法、熱CVD法、光CVD法、プラズマCVD法等の成膜法により形成されるa-Siからなる光導電層を有する感光体(以下、「a-Si系感光体」と称することがある)を用いることができる。これらの中でも、プラズマCVD法、即ち、原料ガスを直流又は高周波あるいはマイクロ波グロー放電によって分解し、支持体上にa-Si堆積膜を形成する方法が好ましい。
【0053】
<帯電工程及び帯電手段>
前記帯電工程は、例えば、前記帯電手段を用いて前記静電潜像担持体の表面に電圧を印加することにより行うことができる。
前記帯電手段としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、例えば、導電性又は半導電性のローラ、ブラシ、フィルム、ゴムブレード等を備えたそれ自体公知の接触帯電器、コロトロン、スコロトロン等のコロナ放電を利用した非接触帯電器、などが挙げられる。
帯電手段の形状としてはローラの他にも、磁気ブラシ、ファーブラシ等、どのような形態をとってもよく、電子写真装置の仕様や形態にあわせて選択可能である。磁気ブラシを用いる場合、磁気ブラシは例えばZn-Cuフェライト等、各種フェライト粒子を帯電部材として用い、これを支持させるための非磁性の導電スリーブ、これに内包されるマグネットローラによって構成される。又はブラシを用いる場合、例えば、ファーブラシの材質としては、カーボン、硫化銅、金属又は金属酸化物により導電処理されたファーを用い、これを金属や他の導電処理された芯金に巻き付けたり張り付けたりすることで帯電器とする。
前記帯電手段は、上記のような接触式の帯電器に限定されるものではないが、帯電器から発生するオゾンが低減された画像形成装置が得られるので、接触式の帯電器を用いることが好ましい。
【0054】
<露光工程及び露光手段>
前記露光工程は、例えば、前記露光手段を用いて前記静電潜像担持体の表面を像様に露光することにより行うことができる。
前記露光手段としては、前記帯電手段により帯電された前記静電潜像担持体の表面に、形成すべき像様に露光を行うことができる限り特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、複写光学系、ロッドレンズアレイ系、レーザー光学系、液晶シャッタ光学系、などの各種露光器が挙げられる。
なお、本発明においては、前記静電潜像担持体の裏面側から像様に露光を行う光背面方式を採用してもよい。
【0055】
<現像工程及び現像手段>
前記現像手段は、前記静電潜像を、前記現像剤を用いて現像して可視像を形成する手段である。
前記可視像の形成は、例えば、前記静電潜像を本発明の現像剤を用いて現像することにより行うことができる。
前記現像手段としては、前記現像剤を用いて現像することができる限り、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、前記現像剤を収容し、前記静電潜像に該現像剤を接触又は非接触的に付与可能な現像器を少なくとも有するものが好ましく、トナー入り容器を備えた現像器などがより好ましい。
前記現像手段は、乾式現像方式のものであってもよいし、湿式現像方式のものであってもよく、また、単色用現像器であってもよいし、多色用現像器であってもよく、例えば、前記現像剤を摩擦攪拌させて帯電させる攪拌器と、回転可能なマグネットローラとを有してなるもの、などが好適に挙げられる。
前記現像手段内では、例えば、前記トナーと前記キャリアとが混合攪拌され、その際の摩擦により該トナーが帯電し、回転するマグネットローラの表面に穂立ち状態で保持され、磁気ブラシが形成される。該マグネットローラは、前記静電潜像担持体(感光体)近傍に配置されているため、該マグネットローラの表面に形成された前記磁気ブラシを構成する前記トナーの一部は、電気的な吸引力によって該静電潜像担持体(感光体)の表面に移動する。その結果、前記静電潜像が該トナーにより現像されて該静電潜像担持体(感光体)の表面に該トナーによる可視像が形成される。
【0056】
<転写工程及び転写手段>
前記転写手段としては、前記可視像を記録媒体に転写する手段であれば、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、中間転写体を用い、該中間転写体上に可視像を一次転写した後、該可視像を前記記録媒体上に二次転写する手段が好ましく、前記トナーとして二色以上、好ましくはフルカラートナーを用い、可視像を中間転写体上に転写して複合転写像を形成する第一次転写手段と、該複合転写像を記録媒体上に転写する第二次転写手段とを有することが好ましい。
前記転写は、例えば、転写帯電器を用いて前記静電潜像担持体(感光体)を帯電することにより行うことができ、前記転写手段により行うことができる。前記転写手段としては、可視像を中間転写体上に転写して複合転写像を形成する第一次転写手段と、該複合転写像を記録媒体上に転写する第二次転写手段とを有する態様が好ましい。
なお、前記中間転写体としては、特に制限はなく、目的に応じて公知の転写体の中から適宜選択することができ、例えば、転写ベルトなどが好適に挙げられる。
前記転写手段(前記第一次転写手段、前記第二次転写手段)は、前記静電潜像担持体(感光体)上に形成された前記可視像を前記記録媒体側へ剥離帯電させる転写器を少なくとも有するのが好ましい。前記転写手段は、1つであってもよいし、2つ以上であってもよい。前記転写手段としては、コロナ放電によるコロナ転写器、転写ベルト、転写ローラ、圧力転写ローラ、粘着転写器などが挙げられる。
【0057】
なお、記録媒体としては、代表的には普通紙であるが、現像後の未定着像を転写可能なものであれば、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、OHP用のPETベース等も用いることができる。
【0058】
<定着工程及び定着手段>
前記定着手段は、記録媒体に転写された転写像を定着部材により定着させる手段であり、各色のトナーに対し前記記録媒体に転写する毎に行う手段であってもよいし、各色のトナーに対しこれを積層した状態で一度に同時に行う手段であってもよい。
前記定着部材としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、公知の加熱加圧部材が好ましい。前記加熱加圧部材としては、加熱ローラと加圧ローラとの組み合わせ、加熱ローラと加圧ローラと無端ベルトとの組み合わせ、などが挙げられる。
前記加熱加圧部材における加熱は、通常、80℃~200℃が好ましい。
【0059】
<その他の工程及びその他の手段>
前記その他の工程としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、除電工程、クリーニング工程、リサイクル工程、制御工程などが挙げられる。
前記その他の手段としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、除電手段、クリーニング手段、リサイクル手段、制御手段などが挙げられる。
【0060】
-除電工程及び除電手段-
前記除電手段としては、特に制限はなく、前記静電潜像担持体に対し除電バイアスを印加することができる手段であれば、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、除電ランプなどが挙げられる。
【0061】
-クリーニング工程及びクリーニング手段-
前記クリーニング手段としては、前記静電潜像担持体上に残留する前記電子写真トナーを除去することができる手段であれば、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、磁気ブラシクリーナ、静電ブラシクリーナ、磁気ローラクリーナ、ブレードクリーナ、ブラシクリーナ、ウエブクリーナなどが挙げられる。
【0062】
-リサイクル工程及びリサイクル手段-
前記リサイクル手段としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、公知の搬送手段などが挙げられる。
【0063】
-制御工程及び制御手段-
前記制御手段としては、前記各手段の動きを制御することができる手段であれば、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、シークエンサー、コンピュータ等の機器が挙げられる。
【0064】
(プロセスカートリッジ)
本発明のプロセスカートリッジは、静電潜像担持体と、前記静電潜像担持体の表面を帯電させる帯電部材と、前記静電潜像担持体上に形成された静電潜像を本発明の現像剤を用いて現像する現像部と、前記静電潜像担持体をクリーニングするクリーニング部材を有する。
【0065】
図1に、本発明のプロセスカートリッジの一例を示す。プロセスカートリッジ(10)は、感光体(11)、感光体(11)を帯電する帯電部材(12)、感光体(11)上に形成された静電潜像を本発明の現像剤を用いて現像してトナー像を形成する現像部(13)および感光体(11)上に形成されたトナー像を記録媒体に転写した後、感光体(11)上に残留したトナーを除去するクリーニング部材(14)が一体に支持されており、プロセスカートリッジ(10)は、複写機、プリンタ等の画像形成装置の本体に対して着脱可能である。
以下、プロセスカートリッジ(10)を搭載した画像形成装置を用いて画像を形成する方法について説明する。まず、感光体(11)が所定の周速度で回転駆動され、帯電部材(12)により、感光体(11)の周面が正又は負の所定電位に均一に帯電される。次に、スリット露光方式の露光装置、レーザービームで走査露光する露光装置等の露光装置(不図示)から感光体(11)の周面に露光光が照射され、静電潜像が順次形成される。さらに、感光体(11)の周面に形成された静電潜像は、現像部(13)により、本発明の現像剤を用いて現像され、トナー像が形成される。次に、感光体(11)の周面に形成されたトナー像は、感光体(11)の回転と同期されて、給紙部(不図示)から感光体(11)と転写装置(不図示)の間に給紙された転写紙に、順次転写される。さらに、トナー像が転写された転写紙は、感光体(11)の周面から分離されて定着装置(不図示)に導入されて定着された後、複写物(コピー)として、画像形成装置の外部へプリントアウトされる。一方、トナー像が転写された後の感光体(11)の表面は、クリーニング部材(14)により、残留したトナーが除去されて清浄化された後、除電装置(不図示)により除電され、繰り返し画像形成に使用される。
【実施例
【0066】
以下、実施例および比較例を挙げて、本発明をさらに具体的に説明するが、本発明は、これらに限定されるものではない。なお、「部」は特記しない限り質量部を表わす。また、実施例5、7とあるのは、本発明に含まれない参考例5、7とする。
【0067】
(芯材粒子)
[芯材C1]
飽和磁化が95emu/g、重量平均粒径が35μmのマグネタイト粒子を芯材C1として用いた。
【0068】
[芯材C2]
飽和磁化が83emu/g、重量平均粒径が35μmのマグネタイト粒子を芯材C2として用いた。
【0069】
[芯材C3]
飽和磁化が105emu/g、重量平均粒径が35μmのマグネタイト粒子を芯材C3として用いた。
【0070】
[芯材C4]
飽和磁化が75emu/g、重量平均粒径が35μmのMnフェライト粒子を芯材C4として用いた。
【0071】
[芯材C5]
飽和磁化が116emu/g、重量平均粒径が35μmのマグネタイト粒子を芯材C5として用いた。
【0072】
(帯電性能付与微粒子)
[帯電性能付与微粒子F1]
硫酸バリウム粒子(円相当径650nm)を帯電性能付与微粒子F1として用いた。
【0073】
[帯電性能付与微粒子F2]
硫酸バリウム粒子(円相当径430nm)を帯電性能付与微粒子F2として用いた。
【0074】
[帯電性能付与微粒子F3]
硫酸バリウム粒子(円相当径360nm)を帯電性能付与微粒子F3として用いた。
【0075】
[帯電性能付与微粒子F4]
硫酸バリウム粒子(円相当径960nm)を帯電性能付与微粒子F4として用いた。
【0076】
[帯電性能付与微粒子F5]
硫酸バリウム粒子(円相当径1040nm)を帯電性能付与微粒子F5として用いた。
【0077】
[帯電性能付与微粒子F6]
アルミナ粒子(円相当径600nm)を帯電性能付与微粒子F6として用いた。
【0078】
(導電性微粒子製造例)
[導電性微粒子製造例1]
酸化アルミニウム(住友化学製AKP-30)100gを水1リットルに分散させ懸濁液とし、この液を70℃に加温した。その懸濁液に塩化第二錫135gと五酸化りん4.0gを2N塩酸1.7リットルに溶かした溶液と12重量%アンモニア水とを懸濁液のPHが7~8になるように2時間40分かけて滴下した。滴下後、懸濁液を濾過、洗浄して得られたケーキを110℃で乾燥した。次にこの乾燥粉末を窒素気流中で500℃1時間処理し、導電性微粒子P1を得た
【0079】
(キャリア製造例)
[キャリア製造実施例1]
2官能または3官能のモノマーから作成された重量平均分子量15,000のメチルシリコーンレジン(固形分25%)50部、帯電性能付与微粒子C1を25部、導電性微粒子P1を11部、触媒としてチタンジイソプロポキシビス(エチルアセトアセテート)TC-750(マツモトファインケミカル社製)2部、シランカップリング剤としてSH6020(東レ・シリコーン社製)0.3部を、トルエンで希釈して、固形分10wt%の樹脂溶液を得た。この樹脂溶液を芯材C1 1000部に流動床型コーティング装置を使用して、流動槽内の温度を各70℃に制御して塗布・乾燥した。得られたキャリアを電気炉中にて、180℃/2時間焼成し、キャリアAを得た。
【0080】
[キャリア製造実施例2]
キャリア製造実施例1において、芯材としてC2を用いた以外は全く同様にして、キャリアBを得た。
【0081】
[キャリア製造実施例3]
キャリア製造実施例1において、芯材としてC3を用いた以外は全く同様にして、キャリアCを得た。
【0082】
[キャリア製造実施例4]
キャリア製造実施例1において、帯電性能付与微粒子としてF1を8質量部用いた以外は全く同様にして、キャリアDを得た。
【0083】
[キャリア製造実施例5]
キャリア製造実施例1において、帯電性能付与微粒子としてF1を5質量部用いた以外は全く同様にして、キャリアEを得た。
【0084】
[キャリア製造実施例6]
キャリア製造実施例1において、帯電性能付与微粒子としてF1を36質量部用いた以外は全く同様にして、キャリアFを得た。
【0085】
[キャリア製造実施例7]
キャリア製造実施例1において、帯電性能付与微粒子としてF1を40質量部用いた以外は全く同様にして、キャリアGを得た。
【0086】
[キャリア製造実施例8]
キャリア製造実施例1において、帯電性能付与微粒子としてF2を用いた以外は全く同様にして、キャリアHを得た。
【0087】
[キャリア製造実施例9]
キャリア製造実施例1において、帯電性能付与微粒子としてF3を用いた以外は全く同様にして、キャリアIを得た。
【0088】
[キャリア製造実施例10]
キャリア製造実施例1において、帯電性能付与微粒子としてF4を用いた以外は全く同様にして、キャリアJを得た。
【0089】
[キャリア製造実施例11]
キャリア製造実施例1において、帯電性能付与微粒子としてF5を用いた以外は全く同様にして、キャリアKを得た。
【0090】
[キャリア製造比較例1]
キャリア製造実施例1において、帯電性能付与微粒子を用いなかった以外は全く同様にして、キャリアaを得た。
【0091】
[キャリア製造比較例2]
キャリア製造実施例1において、帯電性能付与微粒子としてF6を用いた以外は全く同様にして、キャリアbを得た。
【0092】
[キャリア製造比較例3]
キャリア製造実施例1において、芯材としてC4用いた以外は全く同様にして、キャリアcを得た。
【0093】
[キャリア製造比較例4]
キャリア製造実施例1において、芯材としてC5用いた以外は全く同様にして、キャリアdを得た。
【0094】
得られた各キャリアの特性を表1に示す。
【0095】
【表1】
【0096】
(トナー製造例)
[ポリエステル樹脂Aの合成例]
温度計、攪拌機、冷却器および窒素導入管の付いた反応槽中にビスフェノールAのPO付加物(水酸基価 320)443部、ジエチレングリコール135部、テレフタル酸422部およびジブチルチンオキサイド2.5部を入れて、200℃で酸価が10になるまで反応させて、[ポリエステル樹脂A]を得た。本樹脂のTgは63℃、ピーク個数平均分子量6000であった。
【0097】
[ポリエステル樹脂Bの合成例]
温度計、攪拌機、冷却器および窒素導入管の付いた反応槽中にビスフェノールAのPO付加物(水酸基価 320)443部、ジエチレングリコール135部、テレフタル酸422部およびジブチルチンオキサイド2.5部を入れて、230℃で酸価が7になるまで反応させて、[ポリエステル樹脂B]を得た。本樹脂のTgは65℃、ピーク個数平均分子量16000であった。
【0098】
[母体トナー粒子1の製造]
・ポリエステル樹脂A・・・・40部
・ポリエステル樹脂B・・・・60部
・カルナバワックス・・・・1部
・カーボンブラック(#44 三菱化学社製)・・・・15部
上記のトナー構成材料を、ヘンシェルミキサー(三井鉱山社製のヘンシェル20Bで1500rpmで3分間)で混合し、一軸混練機(Buss社製の小型ブス・コ・ニーダー)にて以下の条件で混練を行い(設定温度:入口部100℃、出口部50℃で、フィード量:2kg/Hr)、[母体トナーA1]を得た。
【0099】
更に、[母体トナーA1]を混練後圧延冷却し、パルペライザーで粉砕し、更に、I式ミル(日本ニューマチック社製IDS-2型にて、平面型衝突板を用い、エアー圧力:6.8atm/cm、フィード量:0.5kg/hrの条件)にて微粉砕を行い、更に分級を行って(アルピネ社製の132MP)、[母体トナー粒子1]を得た。
【0100】
(外添剤処理)
「母体トナー粒子1」100部に対し、外添剤として疎水性シリカ微粒子(R972:日本アエロジル社製)を1.0部添加し、ヘンシェルミキサーで混合してトナー粒子を得た(以下「トナー1」という)。
【0101】
〔現像剤A~K、a~dの作成〕
キャリア製造例で得られたキャリアA~K、a~d(93部)に対して、トナー製造例で得られたトナー1(母体トナー粒子1の平均粒径=7.2μm)を7.0部加えて、ボールミルで20分攪拌して、現像剤A~K、a~dを作成した。
【0102】
(評価)
得られた現像剤を用いて、ランニング評価を実施した。リコー社製 RICOH Pro C9100(リコー製デジタルカラー複写機・プリンタ複合機)に実施例および比較例の現像剤A~K、a~dを用いて、画像面積率40%で1万枚、および100万枚のランニング後のトナー飛散、地肌かぶり、エッジキャリア付着、ベタキャリア付着、濃度ムラを評価した。
【0103】
<トナー飛散>
本発明の重要な狙いの一つに、帯電性能付与微粒子によって、使用開始から長期間に渡って安定した帯電能力が得られるということがある。その狙いを評価する方法の一つとして、トナー飛散評価がある。
1万枚、および100万枚ランニング後に現像剤担持体下部に溜まったトナーの量を吸引、回収し、トナー重量を測定した。評価基準を以下に示す。
0mg以上~50mg未満 : ◎(大変良好)
50mg以上~100mg未満 : ○(良好)
100mg以上~250mg未満 : △(使用可能)
250mg以上 : ×(不良)
【0104】
<地肌かぶり>
本発明の重要な狙いの一つに、帯電性能付与微粒子によって、使用開始から長期間に渡って安定した帯電能力が得られるということがある。その狙いを評価する方法の一つとして、地肌かぶり評価がある。
1万枚、および100万枚ランニング後に白紙画像を現像中に停止させ、現像後の感光体上のトナーをテープ転写し、未転写のテープの画像濃度との差(ΔID)を938スペクトロデンシトメーター(X-Rite社製)により測定を行なった。評価基準を以下に示す。
0以上~0.005未満 : ◎(大変良好)
0.005以上~0.01未満 : ○(良好)
0.01以上~0.02未満 : △(使用可能)
0.02以上 : ×(不良)
【0105】
<エッジキャリア付着>
マシンを環境評価室(10℃15%の低温低湿環境)に入れて一日放置した後、エッジキャリア付着を評価した。現像条件(帯電電位(Vd):-630V、現像バイアス:DC-500V)にて170μm×170μmを1マスとして、ベタ部と白紙を縦横交互に配置させた画像をA3サイズで出力し、1マス1マスの境目にあるキャリア付着による画像の白抜け個数をカウントした。評価基準を以下に示す。
0個 : ◎(大変良好)
1~3個 : ○(良好)
4~10個 : △(使用可能)
11個以上 : ×(不良)
【0106】
<ベタキャリア付着>
ベタ画像を所定の現像条件(帯電電位(Vd):-600V、画像部(ベタ原稿)にあたる部分の感光後の電位:-100V、現像バイアス:DC -500V)にて作像中に電源をOFFにする等の方法で作像を中断し、転写後の感光体上のキャリア付着の個数を数えて評価を実施した。なお、評価する領域は感光体上の10mm×100mmの領域とした。評価基準を以下に示す。
0個 : ◎(大変良好)
1~3個 : ○(良好)
4~10個 : △(使用可能)
11個以上 : ×(不良)
【0107】
<濃度ムラ>
ベタ画像およびハーフトーン画像を出力、観察して、ムラ画像を目視にて評価した。◎は画像上に濃度ムラが全くない状態、○はわずかに観察されるが問題とはしないレベルである状態、△は濃度ムラが目立つがぎりぎり問題とならないレベルである状態、×は濃度ムラが目立ち問題となるレベルである状態となる。
【0108】
以上、評価結果を表2に示す。
【表2】
【0109】
表1および2の結果から、実施例の現像剤は、キャリア付着の課題を解決できる高飽和磁化芯材を用いつつ、経時での抵抗および帯電の変動を抑え、経時でのトナー飛散、地肌かぶり、エッジキャリア付着、ベタキャリア付着を抑制し、優れた品質の画像を形成し得ることが分かった。
【符号の説明】
【0110】
10 プロセスカートリッジ
11 感光体
12 帯電部材
13 現像部
14 クリーニング部材
【先行技術文献】
【特許文献】
【0111】
【文献】特許6488866号公報
【文献】特公平2-38948号公報
【文献】特許3769762号公報
【文献】特公平8-20776号公報
【文献】特開2003-21927号公報
図1