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特許7404876情報処理装置、情報処理方法及びプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-18
(45)【発行日】2023-12-26
(54)【発明の名称】情報処理装置、情報処理方法及びプログラム
(51)【国際特許分類】
   H04N 1/00 20060101AFI20231219BHJP
   G03G 21/00 20060101ALI20231219BHJP
   B41J 29/38 20060101ALN20231219BHJP
【FI】
H04N1/00 C
G03G21/00 388
G03G21/00 510
B41J29/38 104
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2020001259
(22)【出願日】2020-01-08
(65)【公開番号】P2021111841
(43)【公開日】2021-08-02
【審査請求日】2022-11-17
(73)【特許権者】
【識別番号】000006747
【氏名又は名称】株式会社リコー
(74)【代理人】
【識別番号】100085660
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 均
(72)【発明者】
【氏名】福田 政宏
(72)【発明者】
【氏名】長谷川 隆
(72)【発明者】
【氏名】永田 拡章
【審査官】豊田 好一
(56)【参考文献】
【文献】特開2012-195784(JP,A)
【文献】特開2019-181754(JP,A)
【文献】特開2010-068089(JP,A)
【文献】特開2012-058930(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04N 1/00
G03G 21/00
B41J 29/38
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1モードおよび第2モードを含む何れかのモードへ移行する移行部と、
ログ情報を記憶可能な第1記憶部と、
前記ログ情報を記憶可能な第2記憶部と、
前記ログ情報を解析可能な解析部とを具備し、
前記第1記憶部の前記ログ情報は、前記第1モードおよび前記第2モードのうち前記第1モードにおいて解析可能であり、
前記第2記憶部の前記ログ情報は、前記第2モードにおいて解析可能であり、
前記第2モードへ移行する場合、前記第1記憶部の前記ログ情報を前記第2記憶部に記憶させる制御部と、
前記第2モードへ移行する契機が成立してから前記第2モードへ移行するまでに前記第1記憶部から前記第2記憶部へ記憶できる最大情報量を算出する算出部とを具備する
情報処理装置。
【請求項2】
前記最大情報量に応じて、前記制御部が前記第1記憶部から前記第2記憶部へ記憶させる前記ログ情報を決定する決定部
を具備する請求項に記載の情報処理装置。
【請求項3】
前記移行部は、第1契機および第2契機を含む契機で前記第2モードへ移行可能であり、
前記算出部は、前記第1契機で前記第2モードへ移行する場合と、前記第2契機で前記第2モードへ移行する場合とで、異なる値の前記最大情報量を算出する
請求項またはに記載の情報処理装置。
【請求項4】
第1モードおよび第2モードへ移行させる移行部と、ログ情報を記憶可能な第1記憶部と、前記ログ情報を記憶可能な第2記憶部と、前記ログ情報を解析可能な解析部とを具備する装置を制御するための情報処理方法であって、
前記第1記憶部の前記ログ情報は、前記第1モードおよび前記第2モードのうち前記第1モードで解析可能であり、
前記第2記憶部の前記ログ情報は、前記第2モードで解析可能であり、
前記第2モードへ移行する契機が成立してから前記第2モードへ移行するまでに前記第1記憶部から前記第2記憶部へ記憶できる最大情報量を算出し、
前記第2モードへ移行する場合、前記第1記憶部の前記ログ情報を前記第2記憶部に記憶させるステップを具備する
情報処理方法。
【請求項5】
第1モードおよび第2モードへ移行させる移行部と、ログ情報を記憶可能な第1記憶部と、前記ログ情報を記憶可能な第2記憶部と、前記ログ情報を解析可能な解析部とを具備する装置を制御するためのプログラムであって、
前記第1記憶部の前記ログ情報は、前記第1モードおよび前記第2モードのうち前記第1モードで解析可能であり、
前記第2記憶部の前記ログ情報は、前記第2モードで解析可能であり、
前記第2モードへ移行する契機が成立してから前記第2モードへ移行するまでに前記第1記憶部から前記第2記憶部へ記憶できる最大情報量を算出し、
前記第2モードへ移行する場合、前記第1記憶部の前記ログ情報を前記第2記憶部に記憶させる処理をコンピュータに実行させる
プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報処理装置、情報処理方法及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、ログ情報を記憶部に記憶し、当該ログ情報を解析可能な情報処理装置が知られている(例えば、特許文献1)。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
上述の情報処理装置では、記憶部のログ情報が解析されている際に、モードが移行(例えば、省エネルギーモードへ移行)する場合があった。以上の場合、移行後のモードによっては、記憶部のログ情報が解析できないという不都合が生じ得た。以上の事情を考慮して、本発明は、モード移行時にログ情報の解析が不可能になる不都合を抑制することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0004】
上記課題を解決するために、本発明の情報処理装置は、第1モードおよび第2モードを含む何れかのモードへ移行する移行部と、ログ情報を記憶可能な第1記憶部と、ログ情報を記憶可能な第2記憶部と、ログ情報を解析可能な解析部とを具備し、第1記憶部のログ情報は、第1モードおよび第2モードのうち第1モードにおいて解析可能であり、第2記憶部のログ情報は、第2モードにおいて解析可能であり、第2モードへ移行する場合、第1記憶部のログ情報を第2記憶部に記憶させる制御部と、第2モードへ移行する契機が成立してから第2モードへ移行するまでに第1記憶部から第2記憶部へ記憶できる最大情報量を算出する算出部とを具備する。
【発明の効果】
【0005】
本発明によれば、モード移行時にログ情報の解析が不可能になる不都合が抑制される。
【図面の簡単な説明】
【0006】
図1】情報処理装置の一例であるMFPを説明するための図である。
図2】情報処理装置の一例であるMFPのハードウェア構成を説明するための図である。
図3】情報処理装置の機能ブロック図である。
図4】情報処理装置が記憶する各情報を説明するための図である。
図5】記憶部が記憶するログ情報の具体例を説明するための図である。
図6】情報処理装置の移行時処理のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0007】
<第1実施形態>
図1は、本発明の情報処理装置の一例であるMFP(Multifunction Peripheral Product Printer)100の具体例を説明するための図である。なお、MFP以外の装置を情報処理装置として採用してもよい。
【0008】
MFP100は、プログラムにより各種の動作(コピー動作など)を実行する。また、MFP100は、動作を実行する毎に当該動作のログ情報Jを蓄積して記憶する。以上のログ情報Jは、例えば、動作の内容および実行日時を含む。なお、ログ情報Jに含まれる情報は適宜に変更され得る。
【0009】
MFP100は、自己診断処理を実行可能である。以上の自己診断処理は、MFP100における不具合(故障など)を発見するため、予め定めれらた契機で実行される。具体的には、MFP100は、自己診断処理において、蓄積されたログ情報Jを順次に解析して不具合を発見する。
【0010】
図1に示す通り、MFP100には、端末装置200が通信可能に接続される。例えば、端末装置200を適宜に操作することで、MFP100に自己診断処理を実行させることができる。また、自己診断処理の結果(不具合の有無)が、端末装置200のディスプレイに表示される。
【0011】
ただし、自己診断処理が実行される契機は以上の例に限定されない。また、MFP100と端末装置200とは、有線通信してもよいし無線通信してもよい。さらに、MFP100と端末装置200とがネットワークを介して通信する構成としてもよい。
【0012】
図2は、MFP100のハードウェア構成図である。図2は、MFPのハードウェア構成図である。図2に示されているように、MFP100は、コントローラ110、近距離通信回路120、エンジン制御部130、操作パネル140、ネットワークI/F150を備えている。
【0013】
コントローラ110は、コンピュータの主要部であるCPU101、システムメモリ(MEM-P)102、ノースブリッジ(NB)103、サウスブリッジ(SB)104、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)105、記憶部であるローカルメモリ(MEM-C)106、HDDコントローラ107、および、記憶部であるHD108を具備する。NB103とASIC105との間は、AGP(Accelerated Graphics Port)バス161で接続される。
【0014】
CPU101は、MFP100の全体制御を行う制御部である。NB103は、CPU101と、MEM-P102、SB104、およびAGPバス161とを接続するためのブリッジであり、MEM-P102に対する読み書きなどを制御するメモリコントローラと、PCI(Peripheral Component Interconnect)マスタおよびAGPターゲットとを有する。
【0015】
MEM-P102は、コントローラ110の各機能を実現させるプログラムやデータの格納用メモリであるROM102a、プログラムやデータの展開、及びメモリ印刷時の描画用メモリなどとして用いるRAM102bとを含む。なお、RAM102bに記憶されているプログラムは、インストール可能な形式又は実行可能な形式のファイルでCD-ROM、CD-R、DVD等のコンピュータで読み取り可能な記録媒体に記録して提供するように構成してもよい。
【0016】
SB104は、NB103とPCIデバイス、周辺デバイスとを接続するためのブリッジである。ASIC105は、画像処理用のハードウェア要素を有する画像処理用途向けのIC(Integrated Circuit)であり、AGPバス161、PCIバス162、HD108およびMEM-C106を相互に接続するブリッジとして機能する。
【0017】
ASIC105は、PCIターゲットおよびAGPマスタ、ASIC906の中核をなすアービタ(ARB)、MEM-C106を制御するメモリコントローラ、ハードウェアロジックなどにより画像データの回転などを行う複数のDMAC(Direct Memory Access Controller)、並びに、スキャナ部2およびプリンタ部4との間でPCIバス162を介したデータ転送を行うPCIユニットとからなる。ASIC105には、USB(Universal Serial Bus)のインターフェースや、IEEE1394(Institute of Electrical and Electronics Engineers 1394)のインターフェースを接続するようにしてもよい。
【0018】
HD108は、画像データの蓄積、印刷時に用いるフォントデータの蓄積、フォームの蓄積を行うためのストレージである。また、HD108は、上述のログ情報を蓄積して記憶する。HDDコントローラ107は、CPU101の制御にしたがってHD108に対するデータの読出又は書込を制御する。
【0019】
MEM-C106は、コピー用画像バッファおよび符号バッファとして用いるローカルメモリである。AGPバス161は、グラフィック処理を高速化するために提案されたグラフィックスアクセラレータカード用のバスインタフェースであり、MEM-P102に高スループットで直接アクセスすることにより、グラフィックスアクセラレータカードを高速にすることができる。
【0020】
近距離通信回路120には、近距離通信回路120aが備わっている。近距離通信回路120は、NFC、Bluetooth(登録商標)等の通信回路である。エンジン制御部130は、スキャナ部2およびプリンタ部4を含んで構成される。また、操作パネル140は、現在の設定値や選択画面等を表示させ、操作者からの入力を受け付けるタッチパネル等のパネル表示部140a、並びに、濃度の設定条件などの画像形成に関する条件の設定値を受け付けるテンキー及びコピー開始指示を受け付けるスタートキー等からなる操作パネル140bを備える。
【0021】
コントローラ110は、MFP100全体の制御を行い、例えば、描画、通信、操作パネル140からの入力等を制御する。スキャナ部2又はプリンタ部4には、誤差拡散やガンマ変換などの画像処理部分が含まれている。
【0022】
なお、MFP100は、操作パネル140のアプリケーション切り替えキーにより、ドキュメントボックス機能、コピー機能、プリンタ機能、およびファクシミリ機能を順次に切り替えて選択することが可能となる。ドキュメントボックス機能の選択時にはドキュメントボックスモードとなり、コピー機能の選択時にはコピーモードとなり、プリンタ機能の選択時にはプリンタモードとなり、ファクシミリモードの選択時にはファクシミリモードとなる。
【0023】
また、ネットワークI/F150は、通信ネットワークを利用してデータ通信をするためのインターフェースである。近距離通信回路120およびネットワークI/F150は、PCIバス162を介して、ASIC105に電気的に接続される。
【0024】
上述した通り、MFP100は、動作を実行する毎に当該動作のログ情報Jを蓄積して記憶する。以上のログ情報Jは、例えば、上述のHD108に不揮発的に記憶される。MFP100は、自己診断処理において、HD108からログ情報Jを順次に読出し、当該ログ情報Jを解析する。
【0025】
ただし、MFP100は、通常モード(第1モード)および省エネモード(第2モード)に移行可能に構成される。以上の省エネモードでは、HD108への電力の供給が停止する。HD108へ電力が供給されない期間では、HD108が記憶する情報へアクセス(読出し)不可能になる。したがって、省エネモードでは、HD108のログ情報Jの解析が不可能になる。
【0026】
本実施形態では、各種の契機で省エネモードへ移行する。例えば、MFP100の電源をON/OFFするための電源ボタンがOFF操作された契機(以下「第1契機」という)で、通常モードから省エネモードへ移行する。また、予め定められた時間にわたり、MFP100に対して印刷の指示がされない契機(以下「第2契機」という)で、通常モードから省エネモードへ移行する。詳細には後述するが、第1契機が成立してから省エネモードが開始されるまでの時間と、第2契機が成立してから省エネモードが開始されるまでの時間とは相違する。
【0027】
仮に、HD108のログ情報Jが、他の記憶装置(ストレージ)に転送されない構成を想定する。上述した通り、省エネモードでは、HD108のログ情報Jの解析が不可能になる。したがって、上述の構成では、通常モードで自己診断処理を実行している最中に、省エネモードへ移行する契機が成立すると問題になる。以上の場合、省エネモードへ移行した後に、ログ情報Jが解析できないという不都合が生じる。
【0028】
以上の事情を考慮して、本実施形態では、自己診断処理の最中に省エネモードへ移行した場合であっても、ログ情報Jの解析が継続できる構成を採用した。以上の構成について以下で詳細に説明する。
【0029】
図3は、情報処理装置10(MFP100)の機能ブロック図である。図3に示す通り、情報処理装置10は、移行部11、第1記憶部12、第2記憶部13、解析部14、制御部15、算出部16および決定部17を含んで構成される。上述のCPU101がプログラムを実行することで、各機能が実現される。
【0030】
移行部11は、上述の第1契機(電源ボタンのOFF操作)および第2契機(特定期間にわたり印刷指示なし)を含む契機で通常モードから省エネモードへ移行させる。なお、通常モードが消費電力が相違する複数種類のモードで構成されてもよい。同様に省エネモードが消費電力が相違する複数種類のモードで構成されてもよい。
【0031】
第1記憶部12は、ログ情報Jを記憶可能である。ログ情報Jが生成される毎に、当該ログ情報Jが生成された順序で第1記憶部12に記憶(蓄積)される。また、通常モードにおける自己診断処理では、第1記憶部12のログ情報Jが順次に解析される。例えば、上述のHD108が第1記憶部12として機能する。通常モードでは、第1記憶部12が記憶するログ情報Jを読出し可能である。一方、省エネモードでは、第1記憶部12が記憶するログ情報Jを読出し不可能である。
【0032】
第2記憶部13は、ログ情報Jを記憶可能である。詳細には後述するが、自己診断処理の最中に省エネモードへ移行する契機が成立した場合、第1記憶部12のログ情報Jが第2記憶部13へ記憶(転送)される。具体的には、第1記憶部12のログ情報Jのうち、自己診断処理で解析が終了していない(未処理の)ログ情報Jが第2記憶部13へ転送される。
【0033】
省エネモードにおいて、第2記憶部13のログ情報Jは読出しできる。したがって、第2記憶部13が記憶するログ情報Jは、省エネモードにおいて解析可能である。以上の第2記憶部13としては、省エネモードにおいてログ情報Jを読出し可能に保持する適宜な記憶装置が採用され得る。例えば、第2記憶部13は、フラッシュメモリが好適に採用され得る。
【0034】
解析部14は、ログ情報Jを解析する。具体的には、解析部14は、自己診断処理においてログ情報Jを解析する。以上の本実施形態の構成では、解析部14は、通常モード(第1モード)および省エネモード(第2モード)のうち通常モードで第1記憶部12のログ情報Jを解析可能であり、省エネモードで第2記憶部13のログ情報Jを解析可能である。
【0035】
制御部15は、第1記憶部12のログ情報Jが解析されている際に、省エネモードへ移行する場合、ログ情報Jを第2記憶部13に記憶(転送)させ、第2記憶部13に記憶したログ情報Jを解析させる。以上の制御部15によれば、仮に、自己診断処理の最中に、省エネモードへ移行する契機が成立した場合(例えば、電源ボタンがOFF操作された場合)であっても、第2記憶部のログ情報Jにより自己診断処理が継続できるという利点がある。
【0036】
ところで、省エネモードへ移行する契機が成立してから、実際に省エネモードへ移行するまでの期間(以下「省エネ移行期間」という)の時間は、当該契機毎に予め定められる(有限である)のが通常である。また、省エネモードへ移行した後の期間では、第1記憶部12のログ情報Jを読み出せないため、当該ログ情報Jを第2記憶部13へ転送できなくなる。以上の事情から、省エネモードへ移行する契機が成立した時点(省エネ移行期間の開始時点)における未解析(残り)のログ情報Jの個数(情報量)によっては、省エネ移行期間において転送しきれない場合がある。
【0037】
仮に、省エネ移行期間の開始時において、ログ情報Jn-1、ログ情報Jn、ログ情報Jn+1…の複数個のログ情報Jが未処理の場合を想定する。また、省エネ移行期間においてログ情報Jを転送し続けた場合、ログ情報Jn-1の転送は完了し、その後、ログ情報Jnの転送の途中で、当該省エネ移行期間が終了する場合を想定する。
【0038】
以上の場合、仮に、省エネ移行期間の時間によらず、未処理のログ情報Jを省エネ移行期間において転送し続ける対比例では、転送が中断されたログ情報Jnが第2記憶部13において適切に記憶されないという不都合がある。以上の事情を考慮して、本実施形態の情報処理装置10は、以上の不都合が抑制できる構成を具備する。具体的には、情報処理装置10は、算出部16および決定部17を具備する。
【0039】
算出部16は、省エネモードへ移行するまでに第1記憶部12から第2記憶部13へ記憶(転送)できる情報量の最大値(以下「最大転送量」という)を算出する。また、決定部17は、最大転送量に応じて、制御部15が第1記憶部12から第2記憶部13へ記憶させるログ情報Jを決定する。具体的には、決定部17は、省エネ移行期間で転送するログ情報Jを、ログ情報Jの情報量の合計値が最大転送量以下になる様に決定する。以上の構成では、上述の不都合が抑制される。
【0040】
図4(a)および図4(b)は、情報処理装置10が記憶する各情報を説明するための図である。情報処理装置10(決定部17)は、以上の各情報を用いて、省エネ移行期間に転送するログ情報Jを決定する。
【0041】
図4(a)は、ログ情報テーブルの概念図である。上述した通り、ログ情報Jは第1記憶部12に蓄積して記憶される。ログ情報テーブルは、第1記憶部12が記憶する各ログ情報Jに関する情報を当該ログ情報Jに対応させる。例えば、ログ情報テーブルは、動作の種別を示すログ項目(搬送、ジャム、コピー)、ログID、および、ログ情報Jの情報量を当該ログ情報Jに対応させる。
【0042】
図4(b)は、最大転送量の具体例を説明するための図である。上述した通り、最大転送量は、省エネ移行期間で転送できる情報量の最大値である。以上の最大転送量は、省エネ移行期間の時間の長さに応じて可変である。また、省エネ移行期間の時間の長さは、省エネモードに移行する契機(第1契機、第2契機)に応じる。したがって、最大転送量は、省エネモードに移行する契機に応じて可変である。なお、情報処理装置10は、約100MB/秒の転送速度でログ情報Jを転送可能であるもとのする。
【0043】
例えば、第1契機(電源ボタンのOFF操作)で省エネモードへ移行する際の省エネ移行期間は約3秒間である。したがって、第1契機で省エネモードへ移行する際の最大転送量は約300MBである。また、第2契機(特定時間にわたり印刷指示なし)で省エネモードへ移行する際の省エネ移行期間は約2秒間である。したがって、第2契機で省エネモードへ移行する際の最大転送量は約200MBである。
【0044】
なお、最大転送量は、省エネモードへ移行する契機が成立する前に算出され、予め定められた記憶装置に記憶される。ただし、省エネモードへ移行する契機が成立した直後に最大転送量が算出される構成としてもよい。情報処理装置10(決定部17)は、省エネモードへ移行する契機が成立すると、当該契機に応じた最大転送量を超えない範囲で、転送するログ情報Jを決定する。
【0045】
以上の本実施形態では、省エネモードへ移行する契機に応じて、最大転送量が可変に決定される。したがって、例えば最大転送量が一律である(例えば、約200MBで固定の)構成と比較して、省エネ移行期間において多くのログ情報Jが転送できるという利点がある。
【0046】
なお、本実施形態において、省エネ移行期間が延長され得る構成としてもよい。例えば、本実施形態では、仮に1個のログ情報Jの情報量が最大転送量を超える場合、省エネ移行期間においてログ情報Jが転送されない。以上の本実施形態に替えて、1個のログ情報Jの情報量が最大転送量を超える場合(本来はログ情報Jが転送されない場合)、当該ログ情報Jが送信可能な長さに省エネ移行期間が延長される構成としてもよい。
【0047】
図5(a)および図5(b)は、ログ情報Jを転送する場合の具体例を説明するための図である。図5(a)は、通常モードにおけるログ情報Jを説明するための図である。
【0048】
図5(a)は、自己診断処理中の期間の具体例を想定する。具体的には、図5(a)の具体例では、自己診断処理が開始される際に、n個(nは5以上の整数)のログ情報(J1~Jn)が第1記憶部12に記憶される場合を想定する。以上のログ情報Jは、ログ情報J1、ログ情報J2、ログ情報J3…の順序で、情報処理装置10(解析部14)により解析される。図5(a)に示す時点では、第1記憶部12の各ログ情報Jのうちログ情報J1の解析が終了し、ログ情報J2が解析中(未処理)であり、ログ情報J3以降のログ情報Jが未処理の場合を想定する。
【0049】
上述の図5(a)の時点において、省エネモードへ移行する契機が成立した場合、ログ情報J2以降のログ情報J(未処理のログ情報J)が第1記憶部12から第2記憶部13へ転送される。ただし、未処理のログ情報Jの情報量の合計が最大転送量より大きい場合、一部のログ情報Jのみが第2記憶部13へ転送される。
【0050】
例えば、図5(a)の具体例では、ログ情報J2およびログ情報J3の情報量の合計値は、最大転送量以下である(J2+J3≦最大転送量)。一方、ログ情報J2からログ情報J4までの各ログ情報Jの情報量の合計値は、最大転送量を超える(J2+J3+J4>最大転送量)。以上の場合、図5(a)の時点で省エネモードへ移行する契機が成立すると、ログ情報J2およびログ情報J3が第2記憶部13へ転送される。
【0051】
図5(b)は、上述の図5(a)の時点において、省エネモードへ移行する契機が成立した場合の具体例である。図5(b)には、省エネ移行期間が終了した後の期間(省エネモード)における具体例が示される。以上の図5(b)の具体例では、ログ情報J2およびログ情報J3が第2記憶部13へ記憶される。情報処理装置10の解析部14は、省エネモードにおいて、ログ情報J2およびログ情報J3を継続して解析する。
【0052】
以上の具体例では、ログ情報J2の解析中に省エネモードへ移行する契機が成立した場合であっても、自己診断処理が継続され、ログ情報J2およびログ情報J3が解析される。また、省エネモードへ移行する契機が成立する前の自己診断処理において、ログ情報J1が解析される。以上の場合、ログ情報J1からログ情報J3を解析した結果が、端末装置200のディスプレイに表示される。
【0053】
なお、第1記憶部12に記憶されるログ情報Jの全てが解析されなかった場合、その旨が端末装置200のディスプレイに表示される構成としてもよい。また、解析されなかったログ情報Jが特定される情報が表示される構成としてもよい。さらに、解析が終了した後に、第2記憶部13に転送されたログ情報Jが自動で消去される構成としてもよい。ただし、第1記憶部12には、転送されたログ情報Jを含め、全てのログ情報Jが不揮発的に記憶される。
【0054】
図6は、モード移行時処理のフローチャートである。モード移行時処理は、省エネモードへ移行する契機が成立した際にログ情報Jを転送可能にするために実行される。
【0055】
モード移行時処理を開始すると、情報処理装置10は、ログ情報Jを解析中であるか(自己診断処理中であるか)否かを判定する(S101)。ログ情報Jを解析中ではないと判断した場合(S101:No)、情報処理装置10は、モード移行時処理を終了する。一方、ログ情報Jを解析中であると判断した場合(S101:Yes)、情報処理装置10は、省エネモードへ移行する契機が成立したか否かを判定する(S102)。
【0056】
省エネモードへ移行する契機が成立していないと判断した場合(S102:No)、情報処理装置10は、モード移行時処理を終了する。一方、省エネモードへ移行する契機が成立したと判断した場合(S102:Yes)、情報処理装置10は、電源ボタンがOFF操作されたか否かを判定する(S103)。すなわち、情報処理装置10は、第1契機が成立したか第2契機が成立したかを判定する。
【0057】
第1契機が成立した場合(S103:Yes)、情報処理装置10は、最大転送量を「300MB」に設定する(S104)。一方、第2契機が成立した場合(S103:No)、情報処理装置10は、最大転送量を「200MB」に設定する(S105)。以上のステップS104およびステップS105で設定される最大転送量は、予め算出されている。最大転送量を設定した後に、情報処理装置10は、転送処理(S106)を実行する。
【0058】
転送処理において、情報処理装置10は、第1記憶部12が記憶する未処理のログ情報Jを第2記憶部13へ転送する。具体的には、第1記憶部12が記憶する未処理のログ情報Jを、ログ情報Jの情報量の合計値が最大転送量以下になる様に、ログ情報Jを第2記憶部13へ転送する。
【0059】
転送処理を実行した後に、情報処理装置10は、デバイス切換処理(S107)を実行する。デバイス切換処理では、自己診断処理において解析されるログ情報Jを読み出す記憶部が第1記憶部12から第2記憶部13へ切換られる。デバイス切換処理を実行した後に、情報処理装置10はモード移行時処理を終了する。なお、自己診断処理が終了すると、情報処理装置10は、ログ情報Jを読み出す記憶部を第1記憶部12へ戻す。
【0060】
以上の各処理を実行する装置は、適宜に変更可能である。また、上述の各機能(判定部等)は、一又は複数の処理回路によって実現することが可能である。ここで、本明細書における「処理回路」とは、電子回路により実装されるプロセッサのようにソフトウェアによって各機能を実行するようプログラミングされたプロセッサや、上記で説明した各機能を実行するよう設計されたASIC(Application Specific Integrated Circuit)、DSP(digital signal processor)、FPGA(field programmable gate array)や従来の回路モジュール等のデバイスを含むものとする。
【0061】
<本実施形態の態様例の作用、効果のまとめ>
<第1態様>
本態様の情報処理装置(10)は、第1モード(通常モード)および第2モード(省エネモード)を含む何れかのモードへ移行させる移行部(11)と、ログ情報(J)を記憶可能な第1記憶部(12)と、ログ情報を記憶可能な第2記憶部(13)と、ログ情報を解析可能な解析部(14)とを具備し、第1記憶部のログ情報は、第1モードおよび第2モードのうち第1モードにおいて解析可能であり、第2記憶部のログ情報は、第2モードにおいて解析可能であり、第2モードへ移行する場合、第1記憶部のログ情報を第2記憶部に記憶させる制御部(15)をさらに具備する。以上の本態様によれば、モード移行時にログ情報の解析が不可能になる不都合が抑制される。
【0062】
<第2態様および第3態様>
本態様の情報処理装置は、第2モードへ移行する契機が成立してから第2モードへ移行するまでに第1記憶部から第2記憶部へ記憶できる最大情報量(最大転送量)を算出する算出部(16)を具備する。また、他の態様の情報処理装置は、最大情報量に応じて、制御部が第1記憶部から第2記憶部へ記憶させるログ情報を決定する決定部(17)を具備する。以上の構成によれば、1のログ情報の転送途中で、第2モードへ移行してしまう不都合が抑制される。
【0063】
<第4態様>
本態様の情報処理装置は、移行部は、第1契機および第2契機を含む契機で第2モードへ移行可能であり、算出部は、第1契機で第2モードへ移行する場合と、第2契機で第2モードへ移行する場合とで、異なる値の最大情報量を算出する。以上の本態様によれば、省エネ移行期間においてより多くのログ情報が転送可能になる。
【0064】
<第5態様>
本態様の情報処理方法は、第1モードおよび第2モードへ移行させる移行部と、ログ情報を記憶可能な第1記憶部と、ログ情報を記憶可能な第2記憶部と、ログ情報を解析可能な解析部とを具備する装置を制御するための情報処理方法であって、第1記憶部のログ情報は、第1モードおよび第2モードのうち第1モードで解析可能であり、第2記憶部のログ情報は、第2モードで解析可能であり、第2モードへ移行する場合、第1記憶部のログ情報を第2記憶部に記憶させるステップを具備する。以上の本態様では、上述の第1態様と同様な効果が奏せられる。
【0065】
<第6態様>
本態様のプログラムは、第1モードおよび第2モードへ移行させる移行部と、ログ情報を記憶可能な第1記憶部と、ログ情報を記憶可能な第2記憶部と、ログ情報を解析可能な解析部とを具備する装置を制御するためのプログラムであって、第1記憶部のログ情報は、第1モードおよび第2モードのうち第1モードで解析可能であり、第2記憶部のログ情報は、第2モードで解析可能であり、第2モードへ移行する場合、第1記憶部のログ情報を第2記憶部に記憶させる処理をコンピュータに実行させる。以上の本態様では、上述の第1態様と同様な効果が奏せられる。
【符号の説明】
【0066】
10…情報処理装置、11…移行部、12…第1記憶部、13…第2記憶部、14…解析部、15…制御部、16…算出部、17…決定部。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0067】
【文献】特開2014-204380公報
図1
図2
図3
図4
図5
図6