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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-18
(45)【発行日】2023-12-26
(54)【発明の名称】プログラム、及び情報処理装置
(51)【国際特許分類】
   G06F 3/12 20060101AFI20231219BHJP
【FI】
G06F3/12 353
G06F3/12 305
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2020041320
(22)【出願日】2020-03-10
(65)【公開番号】P2021144350
(43)【公開日】2021-09-24
【審査請求日】2023-01-16
(73)【特許権者】
【識別番号】000006747
【氏名又は名称】株式会社リコー
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(72)【発明者】
【氏名】宮部 和弘
【審査官】白石 圭吾
(56)【参考文献】
【文献】特開2015-166918(JP,A)
【文献】特開2019-209690(JP,A)
【文献】特開2015-088019(JP,A)
【文献】特開2003-248570(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06F 3/09-3/12
H04N 1/00
B41J 29/00-29/70
B41J 5/00-5/52;21/00-21/18
G03G 13/34;15/00;15/36;21/00;21/02;21/14;21/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
印刷を制御するプログラムであって、
印刷処理を開始した後に、前記印刷処理に関する設定情報を設定するための設定画面を表示可能であるか否かを判断する判断処理と、
前記設定画面を表示可能である場合、前記設定画面を表示する表示処理と、
前記設定画面で設定された設定情報を用いて、前記印刷処理を制御する印刷制御処理と、
をコンピュータに実行させ
前記判断処理は、前記コンピュータが前記印刷の印刷データを生成する場合、前記設定画面を表示可能であると判断し、前記コンピュータが前記印刷の印刷データを生成しない場合、前記設定画面を表示可能でないと判断する、プログラム。
【請求項2】
印刷を制御するプログラムであって、
印刷処理を開始した後に、前記印刷処理に関する設定情報を設定するための設定画面を表示可能であるか否かを判断する判断処理と、
前記設定画面を表示可能である場合、前記設定画面を表示する表示処理と、
前記設定画面で設定された設定情報を用いて、前記印刷処理を制御する印刷制御処理と、
をコンピュータに実行させ、
前記プログラムは、プリンタドライバであり、
前記判断処理は、前記プリンタドライバがポイントアンドプリント機能でインストールされたプリンタドライバではない場合、及び前記プリンタドライバがポイントアンドプリント機能でインストールされたプリンタドライバであり、かつ前記コンピュータが前記印刷の印刷データを生成する場合に、前記設定画面を表示可能であると判断するプログラム。
【請求項3】
前記判断処理は、前記プリンタドライバがポイントアンドプリント機能でインストールされたプリンタドライバであり、かつ前記コンピュータが前記印刷データを生成しない場合に、前記設定画面を表示可能でないと判断する、請求項に記載のプログラム。
【請求項4】
前記設定画面を表示する所定の機能が有効に設定されている場合に、前記判断処理を実行する、請求項1乃至のいずれか一項に記載のプログラム。
【請求項5】
前記プログラムは、前記コンピュータに印刷データを生成する処理を実行させ、
前記所定の機能は、前記設定画面で設定された設定情報に基づいて前記印刷データを暗号化する暗号化機能を含む、請求項に記載のプログラム。
【請求項6】
前記プログラムは、前記コンピュータに印刷データを生成する処理を実行させ、
前記所定の機能は、前記設定画面で設定された設定情報に基づいて前記印刷データを外部装置に登録する印刷データの登録機能を含む、請求項に記載のプログラム。
【請求項7】
前記表示処理は、前記設定画面を表示可能でない場合、前記印刷を継続するか、前記印刷処理を中止するかを選択する選択画面を表示する、請求項1乃至のいずれか一項に記載のプログラム。
【請求項8】
印刷を制御するプログラムであって、
印刷処理を開始した後に、前記印刷処理に関する設定情報を設定するための設定画面を表示可能であるか否かを判断する判断処理と、
前記設定画面を表示可能である場合、前記設定画面を表示する表示処理と、
前記設定画面で設定された設定情報を用いて、前記印刷処理を制御する印刷制御処理と、
をコンピュータに実行させ、
前記設定画面を表示する所定の機能が有効に設定されている場合に、前記判断処理を実行する、プログラム。
【請求項9】
印刷を制御するプログラムであって、
印刷処理を開始した後に、前記印刷処理に関する設定情報を設定するための設定画面を表示可能であるか否かを判断する判断処理と、
前記設定画面を表示可能である場合、前記設定画面を表示する表示処理と、
前記設定画面で設定された設定情報を用いて、前記印刷処理を制御する印刷制御処理と、
をコンピュータに実行させ、
前記表示処理は、前記設定画面を表示可能でない場合、前記印刷を継続するか、前記印刷処理を中止するかを選択する選択画面を表示する、プログラム。
【請求項10】
印刷を制御する情報処理装置であって、
印刷処理を開始した後に、前記印刷処理に関する設定情報を設定するための設定画面を表示可能であるかを判断する判断部と、
前記設定画面を表示可能である場合、前記設定画面を表示する表示制御部と、
前記設定画面で設定された設定情報を用いて、前記印刷処理を制御する印刷制御部と、
を有し、
前記表示制御部は、前記設定画面を表示可能でない場合、前記印刷を継続するか、前記印刷処理を中止するかを選択する選択画面を表示する、情報処理装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プログラム、及び情報処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
Windows(登録商標)2000からWindows7までのWindowsOS(Operating System)では、Version3(以降「V3」と称する)プリンタドライバと呼ばれるプリンタドライバのアーキテクチャが採用されている。また、Windows8以降のWindowsOSでは、V3プリンタドライバに加え、Version4(以降「V4」と称する)プリンタドライバと呼ばれる新しいプリンタドライバのアーキテクチャが採用されている。
【0003】
V3プリンタドライバにおいて、印刷開始後の印刷設定の変更を、スプール形式の違いやプリンタドライバのインストール環境に関係なく可能とする情報処理装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
V3プリンタドライバでは、例えば、ベンダ等が独自のランゲージモニタ(Language Monitor)やポートモニタ(Port Monitor)等を用意して、印刷を開始した後に、設定画面等を表示し、印刷処理の設定内容を変更することができる。
【0005】
しかし、V4プリンタドライバでは、独自のランゲージモニタやポートモニタの利用が制限されているため、V3プリンタドライバと同様の手法で、印刷を開始した後に、設定画面等を表示して、印刷処理の設定内容を変更することができないという問題がある。
【0006】
本発明の一実施形態は、上記の問題点に鑑みてなされたものであって、V4プリンタドライバ、又は同様の制限を有するプリンタドライバにおいて、印刷を開始した後に、設定画面を表示して、印刷処理の設定内容を変更できるようにする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するため、本発明の一実施形態に係るプログラムは、印刷を制御するプログラムであって、印刷処理を開始した後に、前記印刷処理に関する設定情報を設定するための設定画面を表示可能であるか否かを判断する判断処理と、前記設定画面を表示可能である場合、前記設定画面を表示する表示処理と、前記設定画面で設定された設定情報を用いて、前記印刷処理を制御する印刷制御処理と、をコンピュータに実行させ、前記判断処理は、前記コンピュータが前記印刷の印刷データを生成する場合、前記設定画面を表示可能であると判断し、前記コンピュータが前記印刷の印刷データを生成しない場合、前記設定画面を表示可能でないと判断する。
【発明の効果】
【0008】
本発明の一実施形態によれば、V4プリンタドライバ、又は同様の制限を有するプリンタドライバにおいて、印刷を開始した後に、設定画面を表示して、印刷処理の設定内容を変更できるようになる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】一実施形態に係る情報処理システムのシステム構成の例を示す図である。
図2】一実施形態に係るコンピュータのハードウェア構成の例を示す図である。
図3】一実施形態に係るクライアント装置のソフトウェア構成の例を示す図である。
図4】V4プリンタドライバ及びストアデバイスアプリがアクセス可能な記憶領域について説明するための図である。
図5】一実施形態に係るクライアント装置の機能構成の例を示す図である。
図6】一実施形態に係る印刷処理の例を示すフローチャートである。
図7】一実施形態に係る判断処理の例を示すフローチャートある。
図8】第1の実施形態に係る印刷処理の例を示すフローチャートである。
図9】第1の実施形態に係る設定画面の例を示す図である。
図10】第1の実施形態に係る選択画面の例を示す図である。
図11】第2の実施形態に係る情報処理システムのシステム構成の例を示す図である。
図12】第2の実施形態に係る印刷処理の例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。
【0011】
<システム構成>
まず、本実施形態に係る情報処理システム1のシステム構成について、図1を用いて説明する。図1は、一実施形態に係る情報処理システム1のシステム構成の例を示す図である。
【0012】
図1に示すように、本実施形態に係る情報処理システム1は、クライアント装置10と、画像形成装置20と、サーバ装置30とを含み、これらの装置は、例えば、LAN(Local Area Network)等のネットワークNを介して互いに通信可能に接続されている。
【0013】
クライアント装置(情報処理装置)10は、印刷を制御するプログラムであるプリンタドライバがインストールされた、例えば、PC(Personal Computer)、タブレット端末等の情報処理装置である。クライアント装置10は、例えば、ユーザからの印刷指示を受け付けると、プリンタドライバによって印刷処理を制御する。
【0014】
なお、印刷対象データとは、例えば、画像データや文書データ等の印刷対象となる電子データである。また、印刷データとは、例えば、印刷対象データを、画像形成装置20が印刷可能なPDL(Page Description Language)形式等に変換した電子データである。
【0015】
画像形成装置20は、例えばプリンタ、MFP(Multifunction Peripheral)等の印刷機能を有する電子機器である。画像形成装置20は、クライアント装置10、又はサーバ装置30等から受信した印刷データを印刷することができる。
【0016】
サーバ装置30は、例えば、PC等の情報処理装置である。サーバ装置30は、例えば、プリンタドライバがインストールされており、クライアント装置10から受信した印刷対象データから印刷データを作成して、作成した印刷データを画像形成装置20に送信する機能を有している。
【0017】
(ポイントアンドプリントについて)
WindowsOS(Operating System)のプリンタドライバには、ポイントアンドプリント(Point & Print)と呼ばれるインストール形式が存在する。
【0018】
例えば、図1に示すように、ネットワークNに、クライアント装置10、画像形成装置20、及びサーバ装置30が接続されているとき、クライアント装置10は、サーバ装置30をプリントサーバとして、画像形成装置20に印刷を行うことができる。
【0019】
このような情報処理システム1では、クライアント装置10に、サーバ装置30と同じプリンタドライバをインストールすることになる。しかし、ネットワークN上の複数のクライアント装置10に、サーバ装置30と同じプリンタドライバを個別にインストールすると、非常にコストがかかってしまうという問題がある。
【0020】
このような問題を解決する手段として、WindowsOSによって提供されるポイントアンドプリント機能を利用して、サーバ装置30からクライアント装置10にプリンタドライバをダウンロードして、インストールすることができる。
【0021】
なお、ポイントアンドプリントでは、クライアント装置10側で印刷データを生成するクライアントサイドレンダリングと、サーバ装置30側で印刷データを生成するサーバサイドレンダリングとを変更することができる。
【0022】
(課題及び解決手段について)
図1に示すような情報処理システム1において、クライアント装置10を利用するユーザの印刷操作等によって印刷を開始した後に、例えば、ポップアップウィンドウ等の設定画面の表示を表示する、様々な機能(所定の機能)を実行したいという要求がある。この所定の機能には、例えば、設定画面で入力されたパスワードを用いて印刷データを暗号化する暗号化機能、設定画面で設定された情報を用いて、印刷データをドキュメントサーバ等に登録するサーバ登録機能等が含まれる。また、所定の機能には、例えば、設定画面に印刷プレビューを表示して、印刷設定の変更を受け付けるプレビュー機能や、設定画面で設定された情報を用いて、印刷データを画像形成装置20等に登録する機能等も含まれ得る。
【0023】
このような所定の機能を実現するため、例えば、特許文献1に示されるような、V3(Version 3)プリンタドライバを利用した従来のシステムでは、ベンダ等が開発した独自のランゲージモニタや、ポートモニタ等を利用して、所定の機能を実現していた。
【0024】
しかし、V4(Version 4)プリンタドライバでは、OSの制限により、ベンダ等が開発した独自のランゲージモニタや、ポートモニタ等を利用することができない。そのため、V4プリンタドライバでは、V3プリンタドライバと同様の手法で、印刷を開始した後に、設定画面の表示する所定の機能を実現することができないという問題がある。
【0025】
そこで、クライアント装置10は、V4プリンタドライバ環境において、ユーザに設定情報の入力されるための設定印刷を表示可能であるかを確認し、表示可能である場合には設定画面を表示して入力された設定情報に基づいて印刷処理を制御する機能を有している。これにより、クライアント装置10は、V4プリンタドライバにおいても、印刷を開始した後に設定画面の表示を伴う様々機能を実現することができるようになる。なお、具体的な処理内容については後述する。
【0026】
<ハードウェア構成>
クライアント装置10、及びサーバ装置30は、例えば、図2に示すようなコンピュータ200のハードウェア構成を有している。
【0027】
図2は、一実施形態に係るコンピュータのハードウェア構成の例を示す図である。コンピュータ200は、例えば、CPU(Central Processing Unit)201、ROM(Read Only Memory)202、RAM(Random Access Memory)203、HD(Hard Disk)204、HDD(Hard Disk Drive)コントローラ205、ディスプレイ206、外部機器接続I/F(Interface)207、ネットワークI/F208、キーボード209、ポインティングデバイス210、DVD-RW(Digital Versatile Disk Rewritable)ドライブ212、メディアI/F214、及びバスライン215等を備えている。
【0028】
これらのうち、CPU201は、コンピュータ200の全体の動作を制御する。ROM202は、例えば、IPL(Initial Program Loader)等のコンピュータ200の起動に用いられるプログラムを記憶する。RAM203は、例えば、CPU201のワークエリア等として使用される。HD204は、例えば、プログラム等の各種データを記憶する。HDDコントローラ205は、CPU201の制御に従ってHD204に対する各種データの読み出し又は書き込みを制御する。
【0029】
ディスプレイ206は、例えば、カーソル、メニュー、ウィンドウ、文字、又は画像などの各種の情報を表示する。外部機器接続I/F207は、各種の外部機器を接続するためのインタフェースである。外部機器には、例えば、USB(Universal Serial Bus)メモリ等が含まれる。ネットワークI/F208は、ネットワーク101を利用してデータ通信をするためのインタフェースである。
【0030】
キーボード209は、文字、数値、各種指示などの入力のための複数のキーを備えた入力手段の一種である。ポインティングデバイス210は、各種指示の選択や実行、処理対象の選択、カーソルの移動などを行う入力手段の一種である。DVD-RWドライブ212は、着脱可能な記録媒体の一例としてのDVD-RW211に対する各種データの読み出し又は書き込みを制御する。なお、DVD-RW211は、DVD-RWに限らず、他の記録媒体であっても良い。メディアI/F214は、例えば、フラッシュメモリやメモリカード等のメディア213に対するデータの読み出し又は書き込み(記憶)を制御する。バスライン215は、上記の各構成要素を電気的に接続するためのアドレスバス、データバス及び各種の制御信号等を含む。
【0031】
<ソフトウェア構成>
クライアント装置10は、例えば、図4に示すようなソフトウェア構成を有している。
【0032】
図4は、一実施形態に係るクライアント装置のソフトウェア構成の例を示す図である。図4に示すように、本実施形態に係るクライアント装置10は、アプリケーション301と、OS302と、プリンタドライバ303と、ストアデバイスアプリ304とを有する。
【0033】
アプリケーション301は、例えば文書作成ソフト、画像閲覧・編集ソフト、ブラウザ等、ユーザの印刷指示に応じて、OS302に印刷の指示(要求)を行うことができるアプリケーションソフトである。アプリケーション301には、ストアアプリ311と、デスクトップアプリ321とが含まれる。
【0034】
ストアアプリ311は、例えば、Windows(登録商標)8/WindowsRT及びそれ以降のバージョンのWindowsOSにアプリケーションを提供する「Windowsストア」から、入手可能なアプリケーションである。ストアアプリ311では、「ストアアプリ UI」が用いられる。なお、Windows8及びWindows8.1では、OS302によって提供される「Modern UI」又は「Metro UI」とも称されるUIからストアアプリ311が呼び出される。
【0035】
一方、デスクトップアプリ321は、例えば、Windows7以前のバージョンのWindowsOSにおいても使用可能なアプリケーションである。
【0036】
OS302は、Windows8/WindowsRT及びそれ以降のバージョンのWindowsOSである。
【0037】
プリンタドライバ303は、例えば、V4プリンタドライバである。V4プリンタドライバは、例えば、図4に示すように、拡張設定部313と、設定制御部323と、描画部333とを含む。
【0038】
拡張設定部313は、プリンタ拡張とも称され、デスクトップアプリ321から印刷を行う場合に、ベンダ独自の印刷設定画面を表示する。
【0039】
設定制御部323は、禁則スクリプトとも称され、例えば、印刷設定の組み合わせが正当であるか否かを検証する。拡張設定部313は、例えば、設定制御部323により正当でないと検証された印刷設定の組み合わせを非表示にすること等ができる。
【0040】
描画部333は、アプリケーション301において印刷指示が行われた印刷対象データから印刷データを作成する。
【0041】
ストアデバイスアプリ304は、ストアアプリ311から印刷を行う場合に、ベンダ独自の印刷設定画面を表示する。なお、ストアデバイスアプリ304は、ストアアプリ311と同様に、「Windowsストア」から入手可能なアプリケーションである。
【0042】
デスクトップアプリ321から印刷を行う場合、プリンタドライバ303は、拡張設定部313により表示された印刷設定画面で設定された設定内容に基づいて、印刷データを作成することができる。一方で、ストアアプリ311から印刷を行う場合、プリンタドライバ303は、ストアデバイスアプリ304により表示された印刷設定画面で設定された設定内容に基づいて、印刷データを作成することができる。
【0043】
拡張設定部313及びストアデバイスアプリ304は、ベンダ独自の印刷設定画面を表示するUI部305を構成する。
【0044】
<V4プリンタドライバ303及びストアデバイスアプリ304がアクセス可能な記憶領域>
次に、V4プリンタドライバ303及びストアデバイスアプリ304がアクセス可能な記憶領域について、図4を用いて説明する。図4は、V4プリンタドライバ303及びストアデバイスアプリ304がアクセス可能な記憶領域について説明するための図である。
【0045】
図4に示すように、拡張設定部313、設定制御部323、描画部333、及びストアデバイスアプリ304は、PropertyBag400と呼ばれる記憶領域にアクセスすることができる。なお、このような記憶領域へのアクセスは、例えば、OS302によって提供されるAPI(Application Programming Interface)を用いて行うことができる。
【0046】
図4に示すように、PropertyBag400には、DriverPropertyBag410と、QueuePropertyBag420と、UserPropertyBag430とが含まれる。
【0047】
DriverPropertyBag410は、V4プリンタドライバ303を作成するときに決定された構成情報等を記憶する記憶領域である。拡張設定部313、設定制御部323、描画部333、及びストアデバイスアプリ304は、DriverPropertyBag410から各種情報の読み出しが可能である。一方で、拡張設定部313、設定制御部323、描画部333、及びストアデバイスアプリ304は、DriverPropertyBag410に対して、情報の書き込みを行うことはできない。
【0048】
QueuePropertyBag420は、論理プリンタ(プリンタアイコン)毎の設定情報等を記憶する記憶領域である。拡張設定部313及びストアデバイスアプリ304は、QueuePropertyBag420に対して、各種情報の読み出し及び書き込みが可能である。また、設定制御部323及び描画部333は、QueuePropertyBag420に対して、各種情報の読み出しが可能である。
【0049】
なお、論理プリンタとは、例えば、OS302のプリンタフォルダ等にプリンタアイコンとして表示される仮想的なプリンタである。例えば、クライアント装置10の利用者は、1つの画像形成装置20に対して、設定情報(例えば、用紙サイズや向き、印刷品質等)が異なる複数の論理プリンタを作成することができる。
【0050】
UserPropertyBag430は、論理プリンタ毎に、ユーザ毎の設定情報等を記憶する記憶領域である。拡張設定部313、設定制御部323、及びストアデバイスアプリ304は、UserPropertyBag430に対して、各種情報の読み出し及び書き込みが可能である。
【0051】
また、拡張設定部313及び描画部333は、さらに、独自記憶領域401に対して、各種情報の読み出し及び書き込みが可能である。
【0052】
独自記憶領域401は、例えばレジストリやファイル等を用いて実現され、PropertyBag400とは異なる記憶領域である。独自記憶領域401は、V4プリンタドライバ303を提供するベンダ等によって定義される。
【0053】
ストアデバイスアプリ304は、OS302の課す制約により、PropertyBag400以外の記憶領域に対してアクセスすることはできない。また、設定制御部323は、上述したDevmodePropertyBag及びPropertyBag400以外の記憶領域に対してアクセスすることはできない。すなわち、ストアデバイスアプリ304及び設定制御部323は、独自記憶領域401に対して、各種情報の読み出しや書き込み等を行うことができない。
【0054】
このことは、ストアアプリ311に課されている制約と同様であり、例えば、ストアデバイスアプリ304及び設定制御部323が、OS302が使用するレジストリ等を変更し、OS302の動作に悪影響を与えることを防ぐためである。このような技術は、「サンドボックス」等と称されている。
【0055】
<機能構成>
図6は、一実施形態に係るクライアント装置10の機能構成の例を示す図である。クライアント装置10は、例えば、図2のCPU201で、V4プリンタドライバであるプリンタドライバ303を実行することにより、拡張設定部313、設定制御部323、及び描画部333等を実現している。なお、本実施形態では、拡張設定部313、及び設定制御部323は、一般的なV4プリンタドライバの構成と同様で良いので、ここでは説明を省略する。
【0056】
本実施形態に係る描画部333は、例えば、印刷データ生成部501、判断部502、表示制御部503、及び印刷制御部504等を含む。
【0057】
印刷データ生成部501は、例えば、OS302から通知される印刷命令に含まれる印刷対象データと、印刷設定情報(PrintTicket等)に基づいて、画像形成装置20で印刷可能な印刷データを生成する。なお、印刷データ生成部501の機能は、一般的なV4プリンタドライバの描画部333の機能と同様で良い。
【0058】
判断部502は、クライアント装置10が、印刷処理を開始した後に、印刷処理に関する設定情報を設定するための設定画面を表示可能であるか否かを判断する判断処理を実行する。
【0059】
例えば、判断部502は、プリンタドライバ303が、ポイントアンドプリント機能でインストールされたプリンタドライバであるか否かを判断する。また、判断部502は、プリンタドライバ303が、ポイントアンドプリント機能でインストールされたプリンタドライバである場合、前述したクライアントサイドレンダリングであるか、サーバサイドレンダリングであるかを判断する。
【0060】
また、判断部502は、プリンタドライバ303が、ポイントアンドプリント機能でインストールされたプリンタドライバであり、かつクライアントサイドレンダリングである場合、設定画面を表示可能であると判断する。さらに、判断部502は、プリンタドライバ303が、ポイントアンドプリント機能でインストールされたプリンタドライバでない場合にも、設定画面を表示可能であると判断する。このように、判断部502は、クライアント装置10の印刷データ生成部501が、印刷データを生成する場合に、設定画面を表示可能であると判断する。
【0061】
一方、判断部502は、プリンタドライバ303が、ポイントアンドプリント機能でインストールされたプリンタドライバであり、かつサーバサイドレンダリングである場合、設定画面を表示可能でないと判断する。このように、判断部502は、クライアント装置10の印刷データ生成部501が、印刷データを生成しない場合、設定画面を表示可能でないと判断する。
【0062】
表示制御部503は、判断部502により、設定画面を表示可能であると判断された場合、印刷処理に関する設定情報を設定するための設定画面を表示して、ユーザによって入力される設定情報を受け付ける表示処理を実行する。
【0063】
また、表示制御部503は、判断部502により、設定画面を表示可能でないと判断された場合、所定の機能を実行しないで印刷処理を実行するか、印刷処理を中止するかを選択する選択画面を表示し、ユーザによる選択操作を受け付ける。
【0064】
印刷制御部504は、表示制御部503が表示した設定画面に対して、ユーザが設定した設定情報を用いて、印刷処理を制御する印刷制御処理を実行する。
【0065】
例えば、印刷制御部504が制御する印刷処理には、設定画面で設定されたユーザのパスワードを用いて、印刷データを暗号化する暗号化機能が含まれる。この場合、表示制御部503は、ユーザのパスワード(印刷処理に関する設定情報の一例)等を設定するための設定画面を表示して、ユーザによって入力されたパスワードを受け付ける。また、印刷制御部504は、設定画面に入力されたパスワードを用いて、印刷データを暗号化し、例えば、OS302を介して、サーバ装置30、又は画像形成装置20等に送信する。
【0066】
別の一例として、印刷制御部504が制御する印刷処理には、設定画面で設定された設定情報を用いて、ドキュメントサーバ、又は画像形成装置20等に印刷データを登録する印刷データの登録機能が含まれる。この場合、表示制御部503は、ドキュメントサーバや画像形成装置20等に印刷ジョブを登録するための設定情報(例えば、ユーザID、パスワード等)を設定するための設定画面を表示して、ユーザによって入力された設定情報を受け付ける。また、印刷制御部504は、設定画面に入力された設定情報を用いて、印刷データ、印刷設定情報、ユーザを識別するユーザID等を含む印刷ジョブを作成し、例えば、OS302を介して、ドキュメントサーバや画像形成装置20等に登録する。
【0067】
このように、本実施形態に係るクライアント装置10は、プリンタドライバ303の描画部333が、設定画面を表示して設定情報を受け付ける表示処理、及び設定された設定情報を用いて所定の機能を実行する印刷制御処理を実行する。従って、例えば、特許文献1に開示された従来の技術のように、独自のランゲージモニタやポートモニタ等を用いなくても、印刷を開始した後に、設定画面を表示して、印刷処理の設定内容を変更できるようになる。
【0068】
また、本実施形態に係るクライアント装置10は、設定画面を表示可能であるか否か、すなわち、設定画面で設定された設定情報を印刷データに反映することができるか否かを判断し、設定画面を表示可能なときに設定画面を表示する。従って、クライアント装置10は、設定画面で設定された設定情報を印刷データに反映することができるときにだけ、設定画面を表示することができる。
【0069】
さらに、クライアント装置10は、設定画面を表示可能でないときに、所定の機能を実行しないで印刷処理を継続するか、印刷処理を中止するかを選択する選択画面を表示することができる。
【0070】
<処理の流れ>
続いて、本実施形態に係るクライアント装置10が実行する印刷制御方法の処理の流れについて説明する。
【0071】
(印刷処理)
図6は、一実施形態に係る印刷処理の例を示すフローチャートである。この処理は、クライアント装置10が実行する印刷処理の概要を示している。
【0072】
ステップS601において、クライアント装置10の判断部502は、印刷処理を開始した後に、印刷処理に関する設定情報を設定するための設定画面を表示可能であるか否かを判断する判断処理を実行する。なお、判断処理の処理内容については後述する。
【0073】
ステップS602において、クライアント装置10の表示制御部503は、判断部502によって、設定画面を表示可能と判断されたか否かに応じて、処理を分岐させる。判断部502によって設定画面を表示可能と判断された場合、表示制御部503は、処理をステップS603に移行させる。一方、判断部502によって設定画面を表示可能でないと判断された場合、表示制御部503は、処理をステップS605に移行させる。
【0074】
ステップS603に移行すると、表示制御部503は、ユーザによる設定操作を受け付ける設定画面を、例えば、ディスプレイ206等に表示して、ユーザによって入力される設定情報を受け付ける。
【0075】
ステップS604において、クライアント装置10の印刷制御部504は、設定画面で設定された設定情報を用いて、印刷データ生成部501が生成した印刷データに、所定の機能(例えば、印刷データの暗号化等)を実行する印刷処理を制御する。
【0076】
一方、ステップS602からステップS605に移行すると、表示制御部503は、印刷処理を継続するか、印刷処理を中止するかを選択するための選択画面を、例えば、ディスプレイ206等に表示して、ユーザによる選択操作を受け付ける。
【0077】
ステップS606において、クライアント装置10の印刷制御部504は、印刷の継続が選択されたか否かを判断する。印刷の継続が選択された場合、印刷制御部504は、処理をステップS607に移行させる。一方、印刷の中止が選択された場合、印刷制御部504は、ステップS607の処理を中止して、図6の処理を終了する。
【0078】
ステップS607に移行すると、印刷制御部504は、通常の印刷処理を実行する。
【0079】
(判断処理)
図7は、一実施形態に係る判断処理の例を示すフローチャートである。この処理は、図6のステップS601で、クライアント装置10の判断部502が実行する判断処理の例を示している。
【0080】
ステップS701において、判断部502は、プリンタドライバ303が、ポイントアンドプリント機能でインストールされたプリンタドライバであるか否かを判断する。プリンタドライバ303が、ポイントアンドプリント機能でインストールされたプリンタドライバでない場合、判断部502は、処理をステップS702に移行させる。一方、プリンタドライバ303が、ポイントアンドプリント機能でインストールされたプリンタドライバである場合、判断部502は、処理をステップS703に移行させる。
【0081】
ステップS702に移行すると、判断部702は、設定画面を表示可能であると判断する。
【0082】
一方、ステップS703に移行すると、判断部502は、クライアント装置10側で印刷データを生成するか否かを判断する。例えば、判断部502は、ポイントアンドプリントの設定が、クライアント装置10側で印刷データを生成するクライアントサイドレンダリングであるか、サーバ装置30側で印刷データを生成するサーバサイドレンダリングであるかを判断する。
【0083】
クライアント装置10が印刷データを生成する場合、すなわち、クライアントサイドレンダリングである場合、判断部502は、処理をステップS702に移行させて、設定画面を表示可能と判断する。
【0084】
一方、クライアント装置10が印刷データを生成しない場合、すなわち、サーバサイドレンダリングである場合、判断部502は、処理をステップS704に移行させて、設定画面を表示可能でないと判断する。
【0085】
なお、上記の処理は、判断部502が実行する判断処理の一例である。例えば、判断部502は、クライアント装置10の印刷データ生成部501が印刷データを生成する場合、設定画面を表示可能と判断し、印刷データ生成部501が印刷データを生成しない場合に、設定画面を表示可能でないと判断しても良い。
【0086】
図6、7の処理により、クライアント装置10は、V4プリンタドライバ環境において、設定画面を表示可能であるか否かを判断し、可能な場合には、設定画面を表示して入力された設定情報に基づいて印刷処理を実行することができるようになる。
【0087】
続いて、より具体的な印刷処理の例について、第1、2の実施形態を例示して説明する。
【0088】
[第1の実施形態]
第1の実施形態では、印刷を開始した後に設定画面を表示する所定の機能が、印刷データを暗号化する暗号化機能である場合の印刷処理の例について説明する。
【0089】
<処理の流れ>
図8は、第1の実施形態に係る印刷処理の例を示すフローチャートである。
【0090】
ステップS801において、クライアント装置10の判断部502は、暗号化機能が有効であるか否かを判断する。例えば、判断部502は、OS302から通知される印刷命令に含まれる印刷対象データと、印刷設定情報(PrintTicket等)のうち、印刷設定情報において、暗号化機能が「有効」に設定されているか否かを判断する。
【0091】
暗号化機能が「有効」である場合、判断部502は、処理をステップS802に移行させる。一方、暗号化機能が「無効」である場合、判断部502は、処理をステップS810に移行させる。
【0092】
ステップS802に移行すると、判断部502は、ユーザのパスワードが設定済であるか否かを判断する。例えば、判断部502は、OS302から通知される印刷命令に含まれる印刷設定情報に、ユーザのパスワードが設定されているか否かを判断する。
【0093】
ユーザのパスワードが設定済でない場合、判断部502は、処理をステップS803に移行させる。一方、ユーザのパスワードが設定済である場合、判断部502は、処理をステップS806に移行させる。
【0094】
ステップS803において、判断部502は、ユーザのパスワードを入力するための設定画面(例えば、ポップアップ画面等)を表示可能であるか否かを判断する。例えば、判断部502は、図7で説明した判断処理を実行する。
【0095】
ステップS804において、クライアント装置10の表示制御部503は、判断部502によって、設定画面を表示可能と判断されたか否かに応じて、処理を分岐させる。判断部502によって設定画面を表示可能と判断された場合、表示制御部503は、処理をステップS805に移行させる。一方、判断部502によって設定画面を表示可能でないと判断された場合、表示制御部503は、処理をステップS808に移行させる。
【0096】
ステップS805に移行すると、表示制御部503は、例えば、図9に示すようなパスワードの設定画面900を、ディスプレイ206等に表示して、ユーザによるパスワードの入力を受け付ける。
【0097】
図9は、第1の実施形態に係る設定画面の例を示す図である。図9の例では、パスワードの設定画面900には、パスワードの設定欄901が表示されている。ユーザは、パスワードの設定欄901に、パスワードを入力して、「OK」ボタン902を選択することにより、パスワードを設定することができる。
【0098】
ステップS806に移行すると、クライアント装置10の印刷制御部504は、ステップS805で設定されたユーザのパスワード、又は予め設定されたユーザのパスワードを用いて、印刷データ生成部501が生成した印刷データを暗号化する。
【0099】
ステップS807において、印刷制御部504は、暗号化した印刷データを出力する。例えば、印刷制御部504は、OS302を介して、サーバ装置30、又は画像形成装置20等に、暗号化した印刷データを送信する。
【0100】
一方、ステップS804からステップS808に移行すると、表示制御部503は、暗号化を行わずに印刷処理を継続するか、印刷処理を中止するかを選択する選択画面を、ディスプレイ206等に表示して、ユーザによる選択操作を受け付ける。
【0101】
図10は、表示制御部503が、ステップS804で表示する選択画面1000の例を示している。図10の例では、選択画面1000には、暗号化をせずに印刷処理を継続するか、印刷処理を中止するかを選択するためのプルダウンメニュー1001が表示されている。ユーザは、プルダウンメニュー1001で、印刷処理を継続するか否かを選択して、「OK」ボタン1200を選択することにより、クライアント装置10に、処理を継続するか否かを指示することができる。
【0102】
ステップS809において、クライアント装置10の印刷制御部504は、ユーザによって、印刷処理の継続が選択されたか否かに応じて、処理を分岐させる。ユーザによって印刷処理の継続が選択された場合、印刷制御部504は、処理をステップS810に移行させる。一方、ユーザによって印刷処理の中止が選択された場合、印刷制御部504は、ステップS810の処理を中止して、図8の処理を終了する。
【0103】
ステップS810に移行すると、印刷制御部504は、暗号化していない印刷データを出力する。例えば、印刷制御部504は、OS302を介して、サーバ装置30、又は画像形成装置20に、印刷データ生成部501が生成した、暗号化されていない印刷データを送信する。
【0104】
上記の処理により、V4プリンタドライバにおいても、印刷を開始した後に、ユーザのパスワードを入力する設定画面を表示して、設定されたパスワードを用いて、印刷データを暗号化することができるようになる。
【0105】
[第2の実施形態]
第2の実施形態では、印刷を開始した後に設定画面を表示する所定の機能が、印刷データを、ドキュメントサーバ等に登録する印刷データの登録機能である場合の印刷処理の例について説明する。
【0106】
<システム構成>
図11は、第2の実施形態に係る情報処理システムのシステム構成の例を示している。図11に示すように、第2の実施形態に係る情報処理システム1は、図1で説明した一実施形態に係る情報処理システム1に、ドキュメントサーバ1100を追加した構成となっている。
【0107】
ドキュメントサーバ1100は、例えば、コンピュータ200の構成を有する情報処理装置、又は複数の情報処理装置を含むシステムである。例えば、クライアント装置10を利用しているユーザは、印刷データ、印刷設定情報、及びユーザID等を含む印刷ジョブを、ドキュメントサーバ110に登録することができる。
【0108】
また、ユーザは、例えば、画像形成装置20を用いて、ドキュメントサーバ110に登録した印刷ジョブの一覧を表示して、印刷したい印刷ジョブを選択することにより、選択した印刷ジョブを画像形成装置20で印刷することができる。
【0109】
<処理の流れ>
図12は、第2の実施形態に係る印刷処理の例を示すフローチャートである。
【0110】
ステップS1201において、クライアント装置10の判断部502は、印刷データの登録機能が有効であるか否かを判断する。例えば、判断部502は、OS302から通知される印刷命令に含まれる印刷設定情報において、印刷データの登録機能が「有効」に設定されているか否かを判断する。
【0111】
印刷データの登録機能が「有効」である場合、判断部502は、処理をステップS1202に移行させる。一方、サーバ登録機能が「無効」である場合、判断部502は、処理をステップS1208に移行させる。
【0112】
ステップS1202に移行すると、判断部502は、印刷データをドキュメントサーバ1100等に登録するために必要な情報(例えば、ユーザID、ドキュメントサーバ1100のパスワード等)を設定するための設定画面を表示可能であるか否かを判断する。例えば、判断部502は、図7で説明した判断処理を実行する。
【0113】
ステップS1203において、クライアント装置10の表示制御部503は、判断部502によって、設定画面を表示可能と判断されたか否かに応じて、処理を分岐させる。判断部502によって設定画面を表示可能と判断された場合、表示制御部503は、処理をステップS1204に移行させる。一方、判断部502によって設定画面を表示可能でないと判断された場合、表示制御部503は、処理をステップS1206に移行させる。
【0114】
ステップS1204に移行すると、表示制御部503は、印刷データをドキュメントサーバ1100に登録するために必要な情報を設定するドキュメントサーバの設定画面を、ディスプレイ206等に表示して、ユーザによる設定情報の入力を受け付ける。
【0115】
ステップS1205において、クライアント装置10の印刷制御部504は、ステップS1204で設定された設定情報(例えば、ユーザID、ドキュメントサーバ1100のパスワード等)を用いて、ドキュメントサーバ1100に印刷ジョブを登録する。この印刷ジョブには、例えば、印刷データ生成部501が生成した印刷データ、印刷設定情報、及びユーザを識別するユーザID等が含まれる。
【0116】
一方、ステップS1203からステップS1206に移行すると、表示制御部503は、印刷処理を継続するか、中止するかを選択する選択画面を、ディスプレイ206等に表示して、ユーザによる選択操作を受け付ける。
【0117】
ステップS1207において、クライアント装置10の印刷制御部504は、ユーザによって、印刷処理の継続が選択されたか否かに応じて、処理を分岐させる。ユーザによって印刷処理の継続が選択された場合、印刷制御部504は、処理をステップS1208に移行させる。一方、ユーザによって印刷処理の中止が選択された場合、印刷制御部504は、ステップS1208の処理を中止して、図12の処理を終了する。
【0118】
ステップS1208に移行すると、印刷制御部504は、通常の印刷処理を実行する。例えば、印刷制御部504は、印刷データ生成部501が生成した印刷データを、OS302を介して、サーバ装置30、又は画像形成装置20に送信する。
【0119】
上記の処理により、V4プリンタドライバにおいても、印刷を開始した後に、設定画面を表示して、設定画面で設定された設定情報を用いて、印刷データをドキュメントサーバ1100に登録する印刷データの登録処理を実行することができるようになる。
【0120】
なお、上記の処理では、印刷データの登録先がドキュメントサーバ(外部装置の一例)1100であるものとして説明を行ったが、印刷データの登録先は、画像形成装置(外部装置の別の一例)20等であっても良い。
【0121】
この場合、クライアント装置10の表示制御部503は、図12のステップS1204において、画像形成装置20に印刷データを登録するための情報(例えば、ユーザを識別するユーザID等)を設定する設定画面を表示すれば良い。また、印刷制御部504は、図12のステップS1205において、設定画面で設定された設定情報(ユーザID等)を用いて、画像形成装置20に印刷ジョブを登録すれば良い。
【0122】
以上、本発明の各実施形態によれば、V4プリンタドライバ、又は同様の制限を有するプリンタドライバにおいて、印刷を開始した後に、印刷設定画面等を表示して印刷処理の設定内容を変更できるようになる。
【0123】
<補足>
上記で説明した各実施形態の各機能は、一又は複数の処理回路によって実現することが可能である。ここで、本明細書における「処理回路」とは、電子回路により実装されるプロセッサのようにソフトウェアによって各機能を実行するようプログラミングされたプロセッサや、上記で説明した各機能を実行するよう設計されたASIC(Application Specific Integrated Circuit)、DSP(digital signal processor)、FPGA(field programmable gate array)や従来の回路モジュール等のデバイスを含むものとする。
【符号の説明】
【0124】
1 情報処理システム
10 クライアント装置(コンピュータ、情報処理装置)
20 画像形成装置(外部装置の別の一例)
30 サーバ装置(外部装置の一例)
303 プリンタドライバ(プログラム)
502 判断部
503 表示制御部
504 印刷制御部
900 設定画面
【先行技術文献】
【特許文献】
【0125】
【文献】特開2013-088869号公報
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12