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  • 特許-エピタキシャルウェーハの欠陥評価方法 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-18
(45)【発行日】2023-12-26
(54)【発明の名称】エピタキシャルウェーハの欠陥評価方法
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/66 20060101AFI20231219BHJP
   H01L 21/20 20060101ALI20231219BHJP
   C30B 29/08 20060101ALI20231219BHJP
   C30B 25/02 20060101ALI20231219BHJP
【FI】
H01L21/66 L
H01L21/20
C30B29/08
C30B25/02
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2020208892
(22)【出願日】2020-12-17
(65)【公開番号】P2022096021
(43)【公開日】2022-06-29
【審査請求日】2022-12-19
(73)【特許権者】
【識別番号】000190149
【氏名又は名称】信越半導体株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100102532
【弁理士】
【氏名又は名称】好宮 幹夫
(74)【代理人】
【識別番号】100194881
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 俊弘
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 温
【審査官】正山 旭
(56)【参考文献】
【文献】特表2015-501533(JP,A)
【文献】特開2018-163951(JP,A)
【文献】特開2004-349522(JP,A)
【文献】国際公開第2014/192870(WO,A1)
【文献】特開2000-188285(JP,A)
【文献】特開2011-216549(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/66
H01L 21/20
C30B 29/08
C30B 25/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
エピタキシャルウェーハの欠陥評価方法であって、
前記エピタキシャルウェーハを、ハロゲン化水素と水素とを含む還元性雰囲気で、
前記ハロゲン化水素の前記還元性雰囲気中における濃度を5%以上とし、300℃~800℃の温度で3秒以上の熱処理を行うか、又は
前記ハロゲン化水素の前記還元性雰囲気中における濃度を1%以上5%未満とし、300℃~800℃の温度で15秒以上の熱処理を行うことで、
前記エピタキシャルウェーハの表面に欠陥を顕在化させて検出し、評価を行うことを特徴とするエピタキシャルウェーハの欠陥評価方法。
【請求項2】
前記ハロゲン化水素を塩化水素とし、かつ、該塩化水素の前記還元性雰囲気中における濃度を30%以下とすることを特徴とする請求項1に記載のエピタキシャルウェーハの欠陥評価方法。
【請求項3】
前記塩化水素の前記還元性雰囲気中における濃度を10%以下とすることを特徴とする請求項2に記載のエピタキシャルウェーハの欠陥評価方法。
【請求項4】
前記エピタキシャルウェーハを、基板とエピタキシャル層の組成が異なるヘテロエピタキシャルウェーハとすることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか一項に記載のエピタキシャルウェーハの欠陥評価方法。
【請求項5】
前記エピタキシャルウェーハを、基板がシリコンであり、かつ、エピタキシャル層がシリコンゲルマニウム又はゲルマニウムであるものとすることを特徴とする請求項1から請求項4のいずれか一項に記載のエピタキシャルウェーハの欠陥評価方法。
【請求項6】
前記エピタキシャルウェーハの欠陥を、エピタキシャル層由来の積層欠陥又は貫通転位とすることを特徴とする請求項1から請求項5のいずれか一項に記載のエピタキシャルウェーハの欠陥評価方法。
【請求項7】
前記顕在化した欠陥を、走査型電子顕微鏡又は表面欠陥検査装置を用いて検出し、評価することを特徴とする請求項1から請求項6のいずれか一項に記載のエピタキシャルウェーハの欠陥評価方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、エピタキシャルウェーハの欠陥評価方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年の半導体素子では、微細化に加え、シリコン以外の異種材料の採用も進んでいる。例えば、高移動度のチャネル材料としてのシリコンゲルマニウムやゲルマニウム、ゲートオールアラウンド構造やナノシート構造における犠牲層としてのシリコンゲルマニウム、高効率のパワーデバイス材料としてのシリコンカーバイドや窒化ガリウムなど多岐に渡っている。したがって、デバイス工程においては、異種材料をエピタキシャル成長させるヘテロエピタキシャル工程が今後増加していくと考えられる。ヘテロエピタキシャルでは基板とエピタキシャル層の格子不整合に由来する応力が発生し、エピタキシャル層に積層欠陥が発生する原因となることがある。したがって、半導体基板の結晶欠陥だけではなく、エピタキシャル層由来の欠陥の評価技術が今後ますます重要になるといえる。
【0003】
特許文献1は半導体単結晶基板において、水素雰囲気下800~1100℃の熱処理によって結晶欠陥を顕在化する技術である。特許文献2は600~700℃で2~6時間の熱処理後、1100~1150℃で1~2時間の熱処理を行い、結晶欠陥を顕在化させる2段階熱処理による結晶欠陥顕在化の技術である。特許文献3はサファイア基板にGaNを成長させたヘテロエピタキシャルウェーハを塩化水素+窒素雰囲気で500~900℃の熱処理を行って欠陥を検出する方法に関する技術である。上記のような欠陥の顕在化後の欠陥検出技術があるが、水素雰囲気下で800℃以上の高温、2段階の熱処理を要する長時間、または、塩化水素+窒素を含む雰囲気で行う技術である。
【0004】
しかし、エピタキシャル層由来の欠陥の評価技術は現状豊富ではなく、また、異種材料の中にはゲルマニウムなど高温・長時間下の熱処理に不安定な材料もあることから、エピタキシャルウェーハの欠陥を、短時間・低温条件にて顕在化・評価することのできる欠陥評価方法が求められている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2011-119528
【文献】特開2019-26537
【文献】特開2000-188285
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、上記事情に鑑みなされたもので、エピタキシャルウェーハの欠陥を、より短時間・低温条件にて顕在化し精度良く評価することのできるエピタキシャルウェーハの欠陥評価方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、本発明では、
エピタキシャルウェーハの欠陥評価方法であって、
前記エピタキシャルウェーハを、ハロゲン化水素と水素とを含む還元性雰囲気で、
前記ハロゲン化水素の前記還元性雰囲気中における濃度を5%以上とし、300℃~800℃の温度で3秒以上の熱処理を行うか、又は
前記ハロゲン化水素の前記還元性雰囲気中における濃度を1%以上5%未満とし、300℃~800℃の温度で15秒以上の熱処理を行うことで、
前記エピタキシャルウェーハの表面に欠陥を顕在化させて検出し、評価を行うエピタキシャルウェーハの欠陥評価方法を提供する。
【0008】
このような熱処理を行うことでエピタキシャルウェーハの欠陥をより短時間・低温条件にて顕在化させることができ、欠陥の検出が容易となる。
【0009】
また、前記ハロゲン化水素を塩化水素とし、かつ、該塩化水素の前記還元性雰囲気中における濃度を30%以下とすることが好ましい。
【0010】
塩化水素であればエッチング作用により確実に欠陥を顕在化できる。また、濃度を30%以下とすることでエッチング速度が速くなりすぎてエピタキシャル膜がすべてエッチングされるようなことを防止できる。
【0011】
また、前記塩化水素の前記還元性雰囲気中における濃度を10%以下とすることが好ましい。
【0012】
塩化水素の濃度が10%以下であれば、エッチング量を時間で制御することが極めて容易にできる。
【0013】
また、前記エピタキシャルウェーハを、基板とエピタキシャル層の組成が異なるヘテロエピタキシャルウェーハとすることが好ましい。
【0014】
さらに、前記エピタキシャルウェーハを、基板がシリコンであり、かつ、エピタキシャル層がシリコンゲルマニウム又はゲルマニウムであるものとすることがより好ましい。
【0015】
本発明のエピタキシャルウェーハの欠陥評価方法は、特に、このような高温・長時間下の熱処理に不安定な材料に好適に用いることができる。
【0016】
また、前記エピタキシャルウェーハの欠陥を、エピタキシャル層由来の積層欠陥又は貫通転位とすることが好ましい。
【0017】
本発明のエピタキシャルウェーハの欠陥評価方法は、このような欠陥を評価するのに好適に用いることができる。
【0018】
また、前記顕在化した欠陥を、走査型電子顕微鏡又は表面欠陥検査装置を用いて検出し、評価することが好ましい。
【0019】
走査型電子顕微鏡を用いることによって、欠陥の形状、サイズ、組成、欠陥密度等の詳細な分析をすることができ、表面欠陥検査装置を用いることによって、欠陥密度や分布を短時間で正確に分析することができる。
【発明の効果】
【0020】
以上のように、本発明のエピタキシャルウェーハの欠陥評価方法であれば、エピタキシャルウェーハの欠陥を、より短時間・低温条件にて顕在化し精度良く評価することができる。したがって、本発明のエピタキシャルウェーハの欠陥評価方法は高温・長時間下の熱処理に不安定な材料に好適に用いることができる。さらに還元性雰囲気中のハロゲン化水素(塩化水素)の濃度を10%以下とすればエッチング量を時間で容易に制御することができるので、詳細な分析を行う上でも有用である。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】本発明のエピタキシャルウェーハの欠陥評価方法を説明するフロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
上述のように、エピタキシャルウェーハの欠陥を、より短時間・低温条件にて顕在化し精度良く評価することのできるエピタキシャルウェーハの欠陥評価方法の開発が求められていた。
【0023】
本発明者はエピタキシャルウェーハをハロゲン化水素からなる気体のエッチャントと水素とを含む還元性雰囲気で300℃~800℃の温度で、ハロゲン化水素からなる気体の濃度を5%以上とし、3秒以上の熱処理を行うか、またはハロゲン化水素からなる気体の濃度を1%以上5%未満とし、15秒以上の熱処理を行うことで、エピタキシャルウェーハの表面に欠陥を顕在化させて検出できることが判り、本発明を完成させた。
【0024】
即ち、本発明は、エピタキシャルウェーハの欠陥評価方法であって、前記エピタキシャルウェーハを、ハロゲン化水素と水素とを含む還元性雰囲気で、前記ハロゲン化水素の前記還元性雰囲気中における濃度を5%以上とし、300℃~800℃の温度で3秒以上の熱処理を行うか、又は前記ハロゲン化水素の前記還元性雰囲気中における濃度を1%以上5%未満とし、300℃~800℃の温度で15秒以上の熱処理を行うことで、前記エピタキシャルウェーハの表面に欠陥を顕在化させて検出し、評価を行うエピタキシャルウェーハの欠陥評価方法である。
【0025】
以下、本発明について詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0026】
図1に本発明のエピタキシャルウェーハの欠陥評価方法を説明するフロー図を示す。まず、エピタキシャルウェーハを準備する(フロー図中の工程(1))。次にこのエピタキシャルウェーハをハロゲン化水素と水素とを含む還元性雰囲気で熱処理してエピタキシャルウェーハの表面に欠陥を顕在化させる(フロー図中の工程(2))。このときの熱処理は、ハロゲン化水素の還元性雰囲気中における濃度を5%以上として300℃~800℃の温度で3秒以上(熱処理条件1)の熱処理、又はハロゲン化水素の還元性雰囲気中における濃度を1%以上5%未満として300℃~800℃の温度で15秒以上(熱処理条件2)の熱処理のいずれかを行う。そしてウェーハ表面に顕在化した欠陥の検出及び評価を行う(フロー図中の工程(3))。以下、各工程についてさらに詳細に説明する。
【0027】
<工程(1)>
本発明により評価するエピタキシャルウェーハとしては特に限定はされないが、基板とエピタキシャル層の組成が異なるヘテロエピタキシャルウェーハとするのが好ましく、例えばシリコンウェーハ上にシリコンゲルマニウム(SiGe)またはゲルマニウム(Ge)をエピタキシャル成長させたウェーハ(基板がシリコンであり、かつ、エピタキシャル層がシリコンゲルマニウム又はゲルマニウムであるウェーハ)とすることができる。
【0028】
エピタキシャル成長条件は原料ガスとしてSiGe膜を成長させる場合は例えばモノシラン(SiH)ガスとモノゲルマン(GeH)ガスを用いることができる。また、Ge膜を成長させる場合は、モノゲルマン(GeH)ガスを用いることができる。なお、Ge膜、およびSiGe膜は、ノンドープの膜でもよいし、カーボン(C)、リン(P)、ボロン(B)等がドーピングされた膜でもよい。成長温度は例えば600~700℃、特には650℃とすることができる。雰囲気ガスは水素、圧力は例えば10~20Torr(1333~2666Pa)、特には15Torr(1999.5Pa)とすることができる。
【0029】
<工程(2)>
次に、このエピタキシャルウェーハに対して、該エピタキシャルウェーハの作製に用いたのと同一のエピタキシャル成長装置または別の装置において、ハロゲン化水素(ハロゲン化水素からなる気体のエッチャント)と水素とを含む還元性雰囲気で、ハロゲン化水素の還元性雰囲気中における濃度を5%以上とし、300℃~800℃の温度で3秒以上(熱処理条件1)の熱処理を行うか、又はハロゲン化水素の還元性雰囲気中における濃度を1%以上5%未満とし、300℃~800℃の温度で15秒以上(熱処理条件2)の熱処理を行う。
【0030】
本発明において、ハロゲン化水素と水素とを含む還元性雰囲気としては、濃度1%以上のハロゲン化水素と水素を含んでいれば特に限定はされず、例えば、これらに加えて窒素、アルゴン等を含んでいてもよい。本発明における還元性雰囲気としては、ハロゲン化水素と水素のみからなる還元性雰囲気であることが好ましい。本発明では、ハロゲン化水素と水素を含む還元性雰囲気で熱処理を行うことによって、特に水素雰囲気の場合と比較して短時間・低温条件にて欠陥を顕在化することができる。
【0031】
また、ハロゲン化水素は、塩化水素とすることが好ましい。また、還元性雰囲気中の塩化水素の濃度は30%以下とすることが好ましい。塩化水素であればエッチング作用により確実に欠陥を顕在化できる。また、30%以下とすることでエッチング速度が速くなりすぎてエピタキシャル膜がすべてエッチングされるようなことを防止できる。また、塩化水素の濃度が10%以下であれば、エッチング量を時間で制御することが極めて容易にできるためより好ましい。なお、本発明において、還元性雰囲気中のハロゲン化水素の濃度は体積比率である。
【0032】
<熱処理条件1>
熱処理条件1では、熱処理を、ハロゲン化水素の還元性雰囲気中における濃度を5%以上とし、300℃~800℃の温度で3秒以上とする。
【0033】
ハロゲン化水素の還元性雰囲気中における濃度は5%以上であれば特に限定はされないが、エッチング量の制御のしやすさの観点から好ましくは30%以下、より好ましくは20%以下、さらに好ましくは10%以下である。
【0034】
熱処理温度は300℃~800℃である。エピタキシャルウェーハの熱安定性をより確実に確保する観点から、熱処理温度は好ましくは700℃以下、より好ましくは600℃以下、さらに好ましくは500℃以下、極めて好ましくは400℃以下である。また、欠陥の顕在化をより確実にする観点からは、熱処理温度は好ましくは400℃以上、より好ましくは500℃以上、さらに好ましくは600℃以上、極めて好ましくは700℃以上である。
【0035】
熱処理温度300℃未満では装置の温度制御範囲外となり実用的ではない。熱処理温度800℃を超える温度では、シリコンゲルマニウムのラフネス悪化や格子緩和による転位発生といった熱安定性上の問題があり実用的ではない。
【0036】
また、熱処理時間としては3秒以上であれば特に限定はされないが、好ましくは300秒以下、より好ましくは60秒以下、さらに好ましくは45秒以下、極めて好ましくは30秒以下である。熱処理時間は、欠陥の顕在化をより確実にする観点からはより長い方が好ましく、エピタキシャルウェーハの熱安定性をより確実に確保する観点からはより短い方が好ましい。
【0037】
<熱処理条件2>
熱処理条件2では、熱処理を、ハロゲン化水素の還元性雰囲気中における濃度を1%以上5%未満とし、300℃~800℃の温度で15秒以上とする。
【0038】
熱処理温度の上限、下限、及び好ましい範囲については、熱処理条件1の場合と同様である。また、熱処理時間としては15秒以上であれば特に限定はされないが、好ましくは300秒以下、より好ましくは60秒以下、さらに好ましくは45秒以下、極めて好ましくは30秒以下である。熱処理時間は、欠陥の顕在化をより確実にする観点からはより長い方が好ましく、エピタキシャルウェーハの熱安定性をより確実に確保する観点からはより短い方が好ましい。
【0039】
上記のような熱処理条件1又は2で熱処理することにより、欠陥部分とその他の部分のエッチングレートの差を利用し、欠陥部にピットが形成されることで、欠陥を高感度に顕在化させることができる。
【0040】
このような熱処理を行うことでより短時間・低温条件にてエピタキシャル層由来の積層欠陥または貫通転位といった欠陥を顕在化させることができる。
【0041】
<工程(3)>
上述の熱処理によって表面に顕在化した欠陥を検出し、評価する方法としては特に限定はされないが、例えば、走査型電子顕微鏡や表面欠陥検査装置等を用いて行うことができる。走査型電子顕微鏡を用いることによって、エピタキシャル層の欠陥の形状、サイズ、組成、欠陥密度等の詳細な分析をすることができる。また、表面欠陥検査装置を用いることによって、エピタキシャル層の欠陥密度や分布を短時間で正確に分析することができる。
【実施例
【0042】
以下、実施例及び比較例を用いて本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0043】
(実施例1)
評価するエピタキシャルウェーハとして、直径300mmのシリコンウェーハ上にシリコンゲルマニウムをエピタキシャル成長させたウェーハを用いた。このエピタキシャルウェーハに対して、枚葉式エピタキシャル成長装置において、水素+塩化水素雰囲気下で塩化水素の混合比率を1%、5%、10%、30%とし、600℃にて15秒間及び30秒間の熱処理を行った。また、混合比率を5%、10%、30%とし、600℃にて3秒間の熱処理を行った。熱処理後の欠陥数についてSP3(KLA-Tencor社製)のDCO(Darkfield Composite Oblique)モード60nmupにて測定を行った。エピタキシャルウェーハに熱処理を行わなかったときの欠陥数と比較したときの検出欠陥増加率は2倍以上であった。
【0044】
(実施例2)
評価するエピタキシャルウェーハとして、実施例1と同様のシリコンゲルマニウムエピタキシャルウェーハを用いて、枚葉式エピタキシャル成長装置において、水素+塩化水素雰囲気下で塩化水素の混合比率5%とし、300,400,600,800℃にて3秒間の熱処理を行った。熱処理後の欠陥数についてSP3のDCO(Darkfield Composite Oblique)モード60nmupにて測定を行った。エピタキシャルウェーハに熱処理を行わなかったときの欠陥数と比較したときの検出欠陥増加率は2倍以上であった。
【0045】
(比較例1)
評価するエピタキシャルウェーハとして、実施例1と同様のシリコンゲルマニウムエピタキシャルウェーハを用いて、枚葉式エピタキシャル成長装置において、水素+塩化水素雰囲気下で塩化水素の混合比率1%とし、600℃にて3秒間の熱処理を行った。エピタキシャルウェーハに熱処理を行わなかったときの欠陥数と比較したときの検出欠陥増加率は0.99倍であった。
【0046】
(比較例2)
評価するエピタキシャルウェーハとして、実施例1と同様のシリコンゲルマニウムエピタキシャルウェーハを用いて、枚葉式エピタキシャル成長装置において、水素雰囲気下600℃にて3秒間、15秒間、30秒間の熱処理を行った。熱処理後の欠陥数についてSP3のDCO(Darkfield Composite Oblique)モード60nmupにて測定を行った。エピタキシャルウェーハに熱処理を行わなかったときの欠陥数と比較したときの検出欠陥増加率は1.1倍未満であった。
【0047】
(比較例3)
評価するエピタキシャルウェーハとして、実施例1と同様のシリコンゲルマニウムエピタキシャルウェーハを用いて、枚葉式エピタキシャル成長装置において、水素雰囲気下300,400,600,800℃にて3秒間の熱処理を行った。熱処理後の欠陥数についてSP3のDCO(Darkfield Composite Oblique)モード60nmupにて測定を行った。エピタキシャルウェーハに熱処理を行わなかったときの欠陥数と比較したときの検出欠陥増加率は1.1倍未満であった。
【0048】
実施例1と比較例1、2をまとめたものを表1に示す。塩化水素の混合比率1%以上30%以下の範囲において、塩化水素混合比率1%熱処理時間3秒の場合を除いて検出欠陥増加率が2倍以上となり、エピタキシャルウェーハの欠陥を顕在化し、より高感度に検出可能である。
【0049】
【表1】
【0050】
実施例2と比較例3をまとめたものを表2に示す。熱処理温度300度以上800℃以下の範囲において、水素+塩化水素雰囲気下では検出欠陥増加率が2倍以上となり、エピタキシャルウェーハの欠陥を顕在化し、より高感度に検出可能である。
【0051】
【表2】
【0052】
なお、本発明は、上記実施形態に限定されるものではない。上記実施形態は例示であり、本発明の特許請求の範囲に記載された技術的思想と実質的に同一な構成を有し、同様な作用効果を奏するものは、いかなるものであっても本発明の技術的範囲に包含される。
図1