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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-18
(45)【発行日】2023-12-26
(54)【発明の名称】光コネクタおよび光接続構造
(51)【国際特許分類】
   G02B 6/38 20060101AFI20231219BHJP
【FI】
G02B6/38
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2021561076
(86)(22)【出願日】2019-11-28
(86)【国際出願番号】 JP2019046617
(87)【国際公開番号】W WO2021106157
(87)【国際公開日】2021-06-03
【審査請求日】2022-02-21
(73)【特許権者】
【識別番号】000004226
【氏名又は名称】日本電信電話株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100098394
【弁理士】
【氏名又は名称】山川 茂樹
(74)【代理人】
【識別番号】100153006
【弁理士】
【氏名又は名称】小池 勇三
(74)【代理人】
【識別番号】100064621
【弁理士】
【氏名又は名称】山川 政樹
(74)【代理人】
【識別番号】100121669
【弁理士】
【氏名又は名称】本山 泰
(72)【発明者】
【氏名】鹿間 光太
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 昇男
(72)【発明者】
【氏名】坂本 健
【審査官】林 祥恵
(56)【参考文献】
【文献】特開昭56-067813(JP,A)
【文献】特開2001-215362(JP,A)
【文献】特開2011-118329(JP,A)
【文献】特開2004-029633(JP,A)
【文献】特開平06-160741(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2007/0122079(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02B 6/26-6/27
G02B 6/30-6/34
G02B 6/36-6/40
G02B 6/42-6/43
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
周囲をクラッドに囲まれた導波コアを有する光ファイバを対向して接続するための光コネクタであって、
前記光ファイバを収容するガイド孔を備えた円筒形のフェルールと、
前記ガイド孔の一端の光ファイバ引き出し側に配置され、前記フェルールと一体化したフランジと、
一対の前記フェルールが当該フェルールの中心軸が一致するようにして対向して収容されるスリーブを備え、
前記スリーブの周囲に、磁石又は金属性磁性材料を含む連結部品を備え、
前記連結部品と前記フランジの少なくとも一方は磁石を含み、
前記光ファイバの軸方向に対する前記連結部品の長さは、前記フランジから突出する2つの前記フェルールの長さの和より所定の距離だけ短く設定されており、
前記連結部品と前記フランジに引力が働くことにより、前記対向するファイバのコア同士が密着して接触してフィジカルコンタクト接続され
前記磁石における前記光ファイバの軸方向に垂直な断面の大きさが、2mm×2mm以上6mm×6mm以下であり、
前記所定の距離が0.3mm以下であることを特徴とする光コネクタ。
【請求項2】
請求項1に記載の光コネクタであって、
前記連結部品は、前記光ファイバの軸方向に沿ってN極とS極を有する磁石を含み、
前記フランジは、金属性磁性材料を含み、
前記連結部品と前記フランジに引力が働くように、前記連結部品と前記フランジとが配置されていることを特徴とする光コネクタ。
【請求項3】
請求項1に記載の光コネクタであって、
前記連結部品は、前記光ファイバの軸方向に沿ってN極とS極を有する磁石を含み、
前記フランジは、前記光ファイバの軸方向に沿ってN極とS極を有する磁石を含み、
前記連結部品と前記フランジに引力が働くように、当該連結部品と当該フランジとの対向する面が、反対の極となるように配置されていることを特徴とする光コネクタ。
【請求項4】
請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の光コネクタであって、
前記連結部品は、複数の磁石から構成され、
前記複数の磁石それぞれは、前記光ファイバの軸方向に、N極とS極との対を有
前記複数の磁石それぞれが、隣接する前記磁石の対向する極性が反対になるように、軸対称に配置され、
前記フランジは金属性磁性材料を含み、
前記連結部品と前記フランジに引力が働くように、前記連結部品と前記フランジとが配置されていることを特徴とする光コネクタ。
【請求項5】
請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の光コネクタであって、
前記連結部品は、前記光ファイバの軸方向と直交する方向に沿って、軸対称にN極とS極をそれぞれ少なくとも1以上の対を有する磁石を含み、
前記フランジは、前記光ファイバの軸方向と直交する方向に沿って、軸対称にN極とS極をそれぞれ少なくとも1以上の対を有する磁石を含み、
前記連結部品と前記フランジに引力が働くよう、当該連結部品と当該フランジとの対向する面が、反対の極となるように配置されていることを特徴とする光コネクタ。
【請求項6】
請求項1から請求項のいずれか一項に記載の光コネクタを備え、
接続された一対の前記フランジと前記連結部品との各々の外周部の少なくとも1面以上と接するように設置されたプレートを備え、
前記プレートは金属性磁性材料を含むことを特徴とする光接続構造。
【請求項7】
周囲をクラッドに囲まれた導波コアを有する光ファイバを対向して接続するための光コネクタであって、
前記光ファイバを収容するガイド孔を備えた円筒形のフェルールと、
前記ガイド孔の一端の光ファイバ引き出し側に配置され、前記フェルールと一体化したフランジと、
一対の前記フェルールが当該フェルールの中心軸が一致するようにして対向して収容されるスリーブを備え、
前記スリーブの周囲に、磁石又は金属性磁性材料を含む連結部品を備え、
前記連結部品と前記フランジの少なくとも一方は磁石を含み、
前記光ファイバの軸方向に対する前記連結部品の長さは、前記フランジから突出する2つの前記フェルールの長さの和と同一、又は所定の距離だけ短く設定されており、
前記連結部品と前記フランジに引力が働くことにより、前記対向するファイバのコア同士が密着して接触している光コネクタを備え、
前記連結部品の外周部を囲むように設置されたプレートを備え、
前記プレートは磁石を含み、
前記プレートと前記連結部品の各々に引力が働くように、当該プレートと当該連結部品との対向する面が、反対の極となるように配置され、
前記プレートの内壁部と前記フランジの外壁部の間に空隙が設けられ、
前記プレートと前記フランジとの間に斥力が働くように、当該プレートと当該フランジとの対向する面が、同じ極となるように配置されていることを特徴とする光接続構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光ファイバ接続部品であって、特に、磁石により光ファイバ同士を保持押圧することで小型化を図った光コネクタおよび光接続構造に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、動画サービスや、IoT(Internet of Things)、クラウドサービスなどによるトラフィックの増加に伴い、データセンタ内やデータセンタ間の通信容量の大幅な拡大が求められている。通信容量の拡大を実現するために、従来の電気信号を用いた短距離通信方式に代わり、光通信で用いられる光伝送技術などを用いた光インタコネクション技術の導入が進んでいる。
【0003】
この光インタコネクション技術においては、プラガブルトランシーバと呼ばれる光トランシーバ形態が良く用いられる。前記プラガブルトランシーバにおいては、その金属筐体内に光送受信器をはじめとする各種光部品と、それらを制御するための電気回路部品およびプリント基板などが収容されている。また、筐体には外部から光コネクタを挿抜することが可能なガイド構造が備えてあり、前記ガイド構造に適合する光コネクタを挿入することで、前記筐体内の光送受信器と光学的に結合することが可能となっている。
【0004】
前述のように、通信容量増大のニーズに伴い、前記プラガブルトランシーバのサイズは年々小型化しており、前記光コネクタのためのガイド構造と同等程度までに筐体が小型化している。そのため、今後の更なる筐体の小型化に向けては、ガイド機構も小型化する、すなわち、ガイド機構に適合する光コネクタのサイズを、さらに小型化していくことが求められている。
【0005】
また、前記小型筐体内で、光ファイバ同士を接続する用途もあり、本用途においても極力小型な光コネクタが求められている。さらには、筐体を排したボード上での光インタコネクションの導入が今後進展していくと考えられ、その際にも、ボード上での光接続部の専有面積を低減するため、小型な光コネクタの需要が高まっている。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0006】
【文献】長瀬亮、保刈和男、”光コネクタ“ NTT技術ジャーナル、2007年12月号, pp.74-78.
【文献】Y. Abe, K. Shikama, S. Yanagi, and T. Takahashi, “Physical-contact-type fan-out device for multicore fibre,” Electronics Letters, vol. 49, Issue 11, pp. 711-712, 2013.
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
一般的にプラガブルトランシーバ用の光コネクタをはじめとする、光ファイバ同士を接続する光コネクタとしては、SCコネクタやLCコネクタに代表される、円筒フェルールを用いたものが知られている。
【0008】
非特許文献1に示すように、円筒フェルールには、その中心軸に沿って、光ファイバのクラッド外径よりもわずかに大きい孔を備えてあり、光ファイバは接着固定されて、先端は球面の研磨加工が施されている。
【0009】
また、フェルールはフランジと呼ばれる金属部品と圧入により一体化されている。フェルール端と逆側のフランジ後方にはコイルばねが備えており、このコイルばねとフランジが脱落しないように一体化するストップリング部品、および、それらの周囲を囲むように配置されるプラスチックのハウジング部品から、光コネクタは構成されている。前記フェルール同士を、アダプタ内の割スリーブに挿入し、アダプタハウジングと前記コネクタハウジングが機械的に締結することで、光ファイバ同士の接続がなされる。
【0010】
このとき、前記フェルール同士は割スリーブ内において、前記バネによる圧縮力によって押圧される。この押圧によって、前記フェルール内の光ファイバ同士が密着接続することが可能となっており、空気によるフレネル反射を防止することが可能となっている。このような接続方法はフィジカルコンタクト接続(以下「PC接続」という。)と呼ばれ、フェルールおよびバネを用いたPC接続技術は、光コネクタで広く用いられている手法である。
【0011】
しかしながら、本構造の光コネクタはバネ部品や、ハウジング部品などの機械的な締結構造を用いるため、小型化に限界がある。小型化の1方策として、非特許文献2に示されるように、前記ハウジング部品を排して、フランジと一体化したフェルール同士を割スリーブ内に挿入し、フランジ同士を板バネで挟むことでPC接続に必要な押圧力を発現させる構造も提案されている。しかしながら、このような板バネを用いる方式では、外部の板バネ部品のサイズが大きいことや、挿抜の際の操作性が悪化するなどの問題があった。
【0012】
本発明は、上記課題を解決するためになされたもので、機械的な締結部品やばね部品などを用いることなく、PC接続を実現することが可能な小型光コネクタを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上述したような課題を解決するために、本発明に係る光コネクタは、周囲をクラッドに囲まれた導波コアを有する光ファイバを対向して接続するための光コネクタであって、前記光ファイバを収容するガイド孔を備えた円筒形のフェルールと、前記ガイド孔の一端の光ファイバ引き出し側に配置され、前記フェルールと一体化したフランジと、一対の前記フェルールが当該フェルールの中心軸が一致するようにして対向して収容されるスリーブを備え、前記スリーブの周囲に、磁石又は金属性磁性材料を含む連結部品を備え、前記連結部品と前記フランジの少なくとも一方は磁石を含み、前記光ファイバの軸方向に対する前記連結部品の長さは、前記フランジから突出する2つの前記フェルールの長さの和より所定の距離だけ短く設定されており、前記連結部品と前記フランジに引力が働くことにより、前記対向するファイバのコア同士が密着して接触してフィジカルコンタクト接続され前記磁石における前記光ファイバの軸方向に垂直な断面の大きさが、2mm×2mm以上6mm×6mm以下であり、前記所定の距離が0.3mm以下であることを特徴とする。
また、本発明に係る光接続構造は、周囲をクラッドに囲まれた導波コアを有する光ファイバを対向して接続するための光コネクタであって、前記光ファイバを収容するガイド孔を備えた円筒形のフェルールと、前記ガイド孔の一端の光ファイバ引き出し側に配置され、前記フェルールと一体化したフランジと、一対の前記フェルールが当該フェルールの中心軸が一致するようにして対向して収容されるスリーブを備え、前記スリーブの周囲に、磁石又は金属性磁性材料を含む連結部品を備え、前記連結部品と前記フランジの少なくとも一方は磁石を含み、前記光ファイバの軸方向に対する前記連結部品の長さは、前記フランジから突出する2つの前記フェルールの長さの和と同一、又は所定の距離だけ短く設定されており、前記連結部品と前記フランジに引力が働くことにより、前記対向するファイバのコア同士が密着して接触している光コネクタを備え、前記連結部品の外周部を囲むように設置されたプレートを備え、前記プレートは磁石を含み、前記プレートと前記連結部品の各々に引力が働くように、当該プレートと当該連結部品との対向する面が、反対の極となるように配置され、前記プレートの内壁部と前記フランジの外壁部の間に空隙が設けられ、前記プレートと前記フランジとの間に斥力が働くように、当該プレートと当該フランジとの対向する面が、同じ極となるように配置されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、フィジカルコンタクト接続を実現することができ、より小型な光コネクタを実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1図1は、本発明の第1の実施の形態に係る光コネクタの斜視図である。
図2図2は、本発明の第1の実施の形態に係る光コネクタの上面図である。
図3A図3Aは、本発明の第1の実施の形態に係る光コネクタの断面図(A-A’)である。
図3B図3Bは、本発明の第1の実施の形態に係る光コネクタの断面図(B-B’)である。
図4図4は、本発明の第1の実施の形態に係る光コネクタの組み立ての態様を示す断面図(A-A’)である。
図5図5は、第1の実施の形態に係る光コネクタの変形例の斜視図である。
図6図6は、本発明の第2の実施の形態に係る光コネクタの断面図(A-A’)である。
図7図7は、本発明の第3の実施の形態に係る光コネクタの斜視図である。
図8図8は、本発明の第3の実施の形態に係る光コネクタの断面図(A平行面)である。
図9図9は、本発明の第4の実施の形態に係る光コネクタの断面図(A-A’)である。
図10A図10Aは、本発明の第5の実施の形態に係る光接続構造の接続前の断面図(A-A’)である。
図10B図10Bは、本発明の第5の実施の形態に係る光接続構造の接続後の断面図(A-A’)である。
図11A図11Aは、本発明の第5の実施の形態の変形例に係る光接続構造の接続前の断面図(A-A’)である。
図11B図11Bは、本発明の第5の実施の形態の変形例に係る光接続構造の接続後の断面図(A-A’)である。
図12A図12Aは、本発明の第6の実施の形態に係る光接続構造の斜視図である。
図12B図12Bは、本発明の第6の実施の形態の変形例に係る光接続構造の斜視図である。
図13図13は、本発明の第7の実施の形態に係る光接続構造の断面図(A-A’)である。
図14図14は、本発明の第8の実施の形態に係る光コネクタの断面図(A-A’)である。
図15図15は、本発明の第9の実施の形態に係る光コネクタの断面図(A-A’)である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
<第1の実施の形態>
以下、本発明の第1の実施の形態に係る光コネクタ100について、図1~5を参照して説明する。
【0017】
図1に本発明の第1の実施の形態に係る光コネクタ100の斜視図、図2に上面図を示す。図2では、中心軸を含み、光コネクタ100の上面に垂直な面をA-A’で示す(以下「A垂直面」という。)。「A垂直面」に対して、中心軸を含み、光コネクタ100の上面に平行な面を、以下「A平行面」という。また、中心軸と垂直であり、かつ、光コネクタ100の上面に垂直な面をB-B’で示す(以下「B垂直面」という。)。また、以下、本発明の実施の形態の説明において、A-A’に平行な方向、すなわち光ファイバ107の軸方向をA方向、B-B’に平行な方向をB方向とする。また、図3AにA垂直面での断面図(A-A’)、図3BにB垂直面での断面図(B-B’)を示す。ここで、中心軸は、光ファイバ107の中心軸と略同一である。
【0018】
光コネクタ100は、フランジ103とフェルール104からなる光コネクタプラグ101と、連結部品105とスリーブ106からなる光コネクタアダプタ102を備える。図1に示すように、光コネクタプラグ101を対向して光コネクタアダプタ102内のスリーブ106に収容して突き合わせることにより、光ファイバ107同士の接続がなされる構造である。
【0019】
光コネクタプラグ101においては、フェルール104の基端がフランジ103に圧入により装着されている。光ファイバ107は表面を被覆されており(光ファイバ被覆108)、フェルール104内では光ファイバ被覆108は除去されている。フェルール104は、光ファイバ107の外径よりわずかに大きい内径のマイクロホール(挿通孔)を中心軸に備えている。このマイクロホール内に、被覆を除去した光ファイバ107が収容され、光ファイバ107とフェルール104および光ファイバ107とフランジ103が接着剤によって固着されている。なお、図面上では、接着剤の図示は省略している。光ファイバ107及びフェルール104の先端は、凸球面状に研磨加工されており、PC接続に適した形に適切に研磨されている。
【0020】
光コネクタアダプタ102においては、連結部品105の貫通孔内にスリーブ106が配置されている。上述のように、光コネクタプラグ101を対向して光コネクタアダプタ102内のスリーブ106に収容することにより、スリーブ106の両側から一対のフェルール104が収容され、光ファイバ107が対向して接続される。
【0021】
なお、本発明においては、光ファイバ107の種類や材質、フェルール104の種類や材質は公知のいずれでも適用できる。例えば、石英系光ファイバやプラスチック光ファイバでもよく、フェルール104関してもジルコニア、結晶化ガラス、ホウケイ酸ガラス、プラスチックなどいずれを用いてもよい。また光ファイバ107の周囲には被覆108が施されているが、さらにその周囲に公知のチューブやナイロン被覆などを2重以上に設けてもよい。
【0022】
また、スリーブ106については、フェルール104の外径よりも僅かに大きい内径を有する円筒形のスリーブ、或いは、フェルール104の外径よりも僅かに小さい内径を有し、A方向に割りを設けた割スリーブのいずれを用いてもよい。さらに、スリーブ材料についても、ジルコニアや金属、プラスチックなどいずれを用いても同様の効果を発現できる。
【0023】
連結部品105において略中心軸上に形成した貫通孔内にスリーブ106が固定される。スリーブ106の内に光ファイバ107を装着したフェルール104を有する。
ここで、連結部品105は、永久磁石からなる。永久磁石の材料としては、発現させたい磁力に応じて、公知の磁石のいずれを用いてもよい。例えば、ネオジム磁石である。ほかに、フェライト磁石、アルニコ磁石、サマリウムコバルト磁石、KS鋼、MK鋼、ネオジウム鉄ボロン磁石などを用いることができる。ここで、永久磁石からなる連結部品105は、図2に示すようにA方向に沿ってN極、S極に磁化されている。
【0024】
また、フランジ103は、金属の磁性材料からなる。例えば、安価で機械加工に優れた材料としては、SUS430である。ほかに、鉄、ニッケル、コバルト、或いは、鉄系の合金であるステンレス(SUS)の磁性を有するものなどを用いることができる。なお、第2の実施の形態に後述するように、フランジ103に永久磁石を用いてもよい。また、フランジ103が永久磁石の場合は、連結部品105を上記のような金属の磁性材料あるいは公知の軟磁性体などを用いてもよい。
【0025】
この構造を採用することにより、以下の効果を奏する。従来の光コネクタでは、光ファイバのコア間のギャップを無くして密着状態とするPC接続を実現するために、フランジの光ファイバの引出側の端部にコイルばねや板ばねを用いる必要がある。そこで、そのバネの反力に抗するための機械的な締結部品を必要としていた。
【0026】
一方、本実施の形態に係る構造では、ばね等の弾性力を用いることなく、磁石による引力によって、フェルール104端の光ファイバ107同士を密着接続させるための押圧力を加えることが可能となる。そこで、磁石による引力が部材を保持する効果も発現するため、バネの反力に抗するための機械的な締結部品がなくても、安定的なPC接続を保つことができる。すなわち、部材点数を少なくすることができるので、PC接続を保ちながら、光コネクタの小型化を実現することが可能となる。
【0027】
ここで、連結部品105およびフランジ103の対向する面同士は、磁石による引力のベクトルをA方向に安定させるために、平行であることが好ましい。
【0028】
また、上記の連結部品105およびフランジ103の対向する面は、A方向に対して垂直であることが同様の観点で好ましい。しかしながら、上記平行性、垂直性が完全ではなくても、フェルール104同士は同一のスリーブ106に収容されることから、フェルール104の外径とスリーブ106の内径のクリアランスが小さく設定されていれば、フェルール104同士のA方向の突合せ角度は大幅にずれることは無く、光学的な結合損失の低下は無視できる。すなわち、実用的な機械加工精度で担保できる平行度、直交度でも良好な光学特性は達成できる。
【0029】
また、連結部品105のA方向の長さは、各々のフランジ103から突出するフェルール104の長さの和と同等、又は所定の長さだけ短く設定されている。そこで、フェルール104の先端は必ず接触することができる構造となっている。
【0030】
ここで、連結部品105の長さが上記フェルール104の長さの和よりも短い場合、連結部品105とフランジ103の対向面の間には空隙が生じることになる。一般に空隙が大きくなると磁石による引力が小さくなるが、実用的な機械加工精度で充分担保できる0.3mm程度以下の空隙であれば、引力は大幅に減少しない。したがって、連結部品105の長さは、フェルール104の突出し長さの和と同等、又は、フェルール104の突出し長さの和より0.3mm程度短い長さ以下であることが望ましい。
【0031】
上記の空隙と、PC接続に必要な押圧力を鑑みて、磁石および磁性材料の材料、サイズを設定すればよい。実用的には、連結部品105とフランジ103間に1N以上程度の押圧力を発現させれば、安定してPC接続を実現できる。連結部品105とフランジ103間の磁力を計算すると、磁石材料をネオジム磁石、フランジ103をSUS430としたときには、磁石サイズを3×3×3mm程度とすれば、上記3N程度の押圧力を十分発現させることが可能であることがわかった。
【0032】
本実施の形態に係る光コネクタ100を試作した。フランジ103にはSUS430フランジ、フェルール104には1.25mmφ外径のジルコニアフェルール、光ファイバ107には石英系のシングルモード光ファイバを用いた。連結部品105にはネオジム磁石を用いた。連結部品105の長さを3.2mmとして、フェルール104の突出し長さを1.65mm程度とした。図4に示すように、光ファイバ107を固着したフェルール104を対向させてスリーブ106を介して接続させたところ、PC接続を実現できることを確認した。
【0033】
また、このときの接続損失は、0.1dBであり、この値はスリーブ106とフェルール104の高い寸法精度により達成されている。また、反射減衰量は50dB以上であることを確認し、従来の光コネクタと遜色ない光学特性を実現することができた。
【0034】
本実施の形態に係る光コネクタ100の大きさは、B垂直面での断面の大きさが3mm×3mmであり、長さが9mmである。従来のLC形などの小型光コネクタの大きさが、B垂直面での断面の大きさが7mm×9mmであり、長さが30mmなので、本実施の形態に係る光コネクタは顕著に小型化を実現できる。ここで、光コネクタ100の大きさは、B垂直面での断面の大きさが2mm×2mm以上6mm×6mm以下であり、長さが6mm以上10mm以下とすることができる。
【0035】
<第1の実施の形態の変形例>
次に、第1の実施の形態に係る光コネクタの変形例を説明する。
【0036】
図5に、第1の実施の形態に係る光コネクタの変形例を示す。本変形例においては、第1の実施の形態に係る光コネクタ100を多連に連結させた多連光コネクタ110である。連結部品105に用いた永久磁石の磁力により光コネクタ100を多連に連結させることが可能になる。このように、光コネクタ100を多連に並べて配置することで隙間のない多連光コネクタ110を提供できる。
【0037】
<第2の実施の形態>
次に、本発明の第2の実施の形態に係る光コネクタ200を説明する。
【0038】
図6に、本発明の第2の実施の形態に係る光コネクタ200の断面図(A-A’)を示す。基本は第1の実施の形態と同じであるが、連結部品205を永久磁石とするだけでなく、フランジ203も永久磁石としている。
【0039】
ここで、フランジ203の極性は、A方向に磁化されており、連結部品205と磁石による引力を及ぼしあう組合せとするため、フランジ203と連結部品205との対向する面での極性が反対になるように設定される。すなわち、一方の面がN極であれば他方の面がS極としている。これにより、第1の実施の形態での効果と同様に、機械的な押圧・保持構造を排して小型なPC接続の光コネクタを実現できる。
【0040】
また、フランジ203も磁石とすることにより、連結部品205とフランジ203の間での極性が確定してしまうので、連結部品205とフランジ203の極性の選択の自由度が制約されてしまう。その反面、磁石による引力をより大きく発現させることができるという効果を奏する。
【0041】
以上により、連結部品205およびフランジ203のサイズをより小さくしても、十分な押圧力を発現させることが可能となり、より小型な光コネクタおよび光接続構造を提供することが可能となる。
【0042】
<第3の実施の形態>
次に、本発明の第3の実施の形態に係る光コネクタ300を説明する。
【0043】
図7に本発明の第3の実施の形態に係る光コネクタ300の斜視図を、図8にA平行面309(図7に一点鎖線で示す)での断面図を示す。構成は第1の実施の形態とほぼ同じであるが、連結部品305の構成が異なる。
【0044】
本実施の形態における連結部品305は、半割構造になっており、一対の半体3051、3052からなる。半体3051は、A方向(光ファイバの軸方向)の一方向に磁化しており、一方の端部(本実施の形態において、以下、図8において左側の端部を示す。)がN極であり、他方の端部(本実施の形態において、以下、図8において右側の端部を示す。)がS極である。一方、半体3052の極性は、A方向(光ファイバの軸方向)において、半体3051の磁化方向とは反対方向に磁化しており、一方の端部がS極で他方の端部がN極である。
【0045】
このように、半体3051と半体3052とは、光コネクタ300の中心軸を含み、上面に垂直な平面(A断面)で対称をなしており、半体3051と半体3052との対向する面は反対の極性を有している。
【0046】
この連結部品305の構成により、第1の実施の形態での効果と同様に、機械的な押圧・保持構造を排して小型なPC接続の光コネクタを実現できる。さらに、磁石による引力をより大きく発現させることができる。
【0047】
以上により、連結部品305およびフランジ303のサイズをより小さくしても、十分な押圧力を発現させることが可能となり、より小型な光コネクタおよび光接続構造を提供することが可能となる。
【0048】
ここで、本実施の形態では、連結部品305を一対の半体3051と3052からなる2分割(半割)の構成としたが、複数に分割した構成であり一対でなくても複数の部材(磁石)からなる対となる構成であればよく、それぞれの対となる部材(磁石)が、対向する面で反対の極性を有すればよい。
【0049】
すなわち、連結部品305は、前記光ファイバの軸方向と直交する方向に沿って、軸対称にN極とS極をそれぞれ少なくとも1以上の対を有する磁石を含み、分割した連結部品の対となる磁石同士に引力が働くよう、磁石間の対向する面が反対の極となるように配置されている構成であればよい。
【0050】
また、本実施の形態では、連結部品305が直方体であり、対となる半体が中心軸を含む上面に垂直な平面(A断面)で対称をなしている構成としたが、N極の半体とS極の半体が対称であれば他の面を対称面としてもよく、N極の半体とS極の半体が対称に配置される構成であればよい。連結部品305が円筒形状であれば、中心軸を含む平面を対称面とすればよい。
【0051】
<第4の実施の形態>
次に、本発明の第4の実施の形態に係る光コネクタ400を説明する。
【0052】
図9に、本発明の第4の実施の形態に係る光コネクタ400の断面図(A-A’)を示す。構成は第3の実施の形態とほぼ同じであるが、フランジ403にも永久磁石を用いており、かつ、フランジ403も連結部品405と同様に、半体4031と半体4032との半割構造の構成を有する(図9においては上下に分割する半割構造である)。
【0053】
第3の実施の形態と同様に、連結部品405において、半体4051は、A方向(光ファイバの軸方向)の一方向に磁化しており、一方の端部(本実施の形態において、以下、図9において左側の端部を示す。)がN極で他方の端部(本実施の形態において、以下、図9において右側の端部を示す。)がS極である。一方、半体4052の極性は、A方向(光ファイバの軸方向)において、半体4051の磁化方向とは反対方向に磁化しており、一方の端部がS極で他方の端部がN極である。
【0054】
このように、半体4051と半体4052とは、光コネクタ400の中心軸を含み、上面に垂直な平面(A断面)で対称をなしており、連結部品405の半体4051と半体4052との対向する面は反対の極性を有している。
【0055】
一方、フランジ403において、半体4031は、A方向(光ファイバの軸方向)の一方向に磁化しており、一方の端部がN極で他方の端部がS極である。一方、半体4032の極性は、A方向(光ファイバの軸方向)において、半体4031の磁化方向とは反対方向に磁化されており、一方の端部がS極で他方の端部がN極である。
【0056】
このように、フランジ403の半体4031と半体4032とは、光コネクタ400の中心軸を含み、上面に垂直な平面(A断面)で対称をなしており、半体4031と半体4032との対向する面は反対の極性を有している。
【0057】
本構成において、フランジ403の半体4031と半体4032との間で対向する面において、半体4031は一方の端部でN極を有し、他方の端部でS極を有する。また、半体4032は一方の端部でS極を有し、他方の端部でN極を有する。この構成により、フランジ403の半体4031と半体4032との間には引力が働く。
【0058】
一方、連結部品405の半体4051と半体4052との間で対向する面において、半体4051は一方の端部でN極を有し、他方の端部でS極を有する。また、半体4052は一方の端部でS極を有し、他方の端部でN極を有する。この構成により、連結部品405の半体4051と半体4052との間には引力が働く。
【0059】
したがって、本構成によれば、フランジ403における半体4031と半体4032との間に引力が働くとともに、連結部品405における半体4051と半体4052との間にも引力が働く。
【0060】
さらに、本構成においては、フランジ403の半体4031と連結部品405の半体4051との間で対向する面において、半体4031は他方の端部でS極を有し、半体4051は一方の端部でN極を有する。また、半体4031は一方の端部でN極を有し、半体4051は他方の端部でS極を有する。この構成により、フランジ403の半体4031と連結部品405の半体4051との間には引力が働く。
【0061】
一方、フランジ403の半体4032と連結部品405の半体4052との間で対向する面において、半体4032は他方の端部でN極を有し、半体4052は一方の端部でS極を有する。また、半体4032は一方の端部でS極を有し、半体4052は他方の端部でN極を有する。この構成により、フランジ403の半体4032と連結部品405の半体4052との間には引力が働く。
【0062】
したがって、本構成によれば、フランジ403と連結部品405それぞれの半体の対向する面での極性は反対に設定されるので、フランジ403と連結部品405の間に引力が働く。
【0063】
このように、フランジ403の半体4031と連結部品405の半体4051又はフランジ403の4032と連結部品405の半体4052が対向するので、このフランジ403と連結部品405の間で最も磁石の引力が大きくなる。その結果、半体4031と半体4032からなるフランジ403と、半体4051と半体4052からなる連結部品405との軸回り回転角度が規定される。
【0064】
例えば、フランジ403の半体4031と連結部品405の半体4051又はフランジ403の4032と連結部品405の半体4052が対向する所定の軸回りの回転角度からズレが生じると、ズレが生じた角度(位置)で、フランジ403と連結部品405の間にS極とN極との引力が生じると同時に、S極とS極、N極とN極の斥力も生じる。この引力と斥力が働くことにより、フランジ403と連結部品405とは元の所定の軸回りの回転角度に戻るので、フランジ403と連結部品405の軸回り回転角度は安定して規定される。
【0065】
このフランジ403と連結部品405の構成により、第3の実施の形態での効果と同様に、機械的な押圧・保持構造を排して小型なPC接続の光コネクタを実現できる。さらに、磁石による引力をより大きく発現させることができ、より一層小型な光コネクタおよび光接続構造を提供することが可能となる。
【0066】
また、上述の通り、フランジ403の半体4031と連結部品405の半体4051又はフランジ403の4032と連結部品405の半体4052が対向する所定の軸回り回転角度で最も磁石の引力が大きくなるので、半体4031と半体4032からなるフランジ403と、半体4051と半体4052からなる連結部品405の軸回り回転角度が安定して規定される。
【0067】
そこで、本実施の形態の光コネクタ400を用いて光ファイバ407を接続する場合、予め光ファイバ407とフェルール404との間、およびフェルール404とフランジ403との間の軸周り方向の回転角度を規定した状態で一体化した光コネクタ400により、光ファイバ407を接続できるので、接続対象間の光ファイバ407の軸周り方向の回転角をそろえて接続することが可能となる。これにより、光ファイバ407の回転調心が必要な、偏波保持光ファイバやマルチコア光ファイバなどを用いた際も、軸周り方向の回転角度を容易に揃えることができる。
【0068】
ここで、本実施の形態では、フランジ403を一対の半体4031と4032からなる2分割(半割)の構成としたが、複数に分割した構成であり一対でなくても複数の部材(磁石)からなる対となる構成であればよく、それぞれの対となる部材(磁石)が、対向する面で反対の極性を有すればよい。また、連結部品405を一対の半体4051と4052からなる2分割(半割)の構成としたが、複数に分割した構成であり一対でなくても複数の部材(磁石)を含む部材からなる対となる構成であればよく、それぞれの対となる部材(磁石)が、対向する面で反対の極性を有すればよい。さらに、フランジ403と連結部品405との間に引力が働くよう、フランジ403と連結部品405との対向する面が、反対の極となるように配置されていればよい。
【0069】
すなわち、フランジ403は、前記光ファイバの軸方向と直交する方向に沿って、軸対称にN極とS極をそれぞれ少なくとも1以上の対を有する磁石を含み、連結部品405は、前記光ファイバの軸方向と直交する方向に沿って、軸対称にN極とS極をそれぞれ少なくとも1以上の対を有する磁石を含み、フランジ403と連結部品405との間に引力が働くよう、フランジ403と連結部品405との対向する面が、反対の極となるように配置されていればよい。
【0070】
また、本実施の形態では、連結部品405が直方体であり、対となる半体が中心軸を含む上面に垂直な平面(A断面)で対称をなしている構成としたが、N極の半体とS極の半体が対称であれば他の面を対称面としてもよく、N極の半体とS極の半体が対称に配置される構成であればよい。連結部品405が円筒形状であれば、中心軸を含む平面を対称面とすればよい。
【0071】
<第5の実施の形態>
次に、本発明の第5の実施の形態に係る光接続構造500を説明する。
【0072】
図10Aに本発明の第5の実施の形態に係る光接続構造500の接続前の断面図を示し、図10Bに接続後の断面図を示す。構成は第1の実施の形態とほぼ同じであるが、光コネクタの一方の端部の短尺光ファイバ509が、光導波路デバイス510と、接着剤514によって接続、一体化されており、光導波路デバイスのコア513と短尺光ファイバ509のコアが低損失に光結合している。
【0073】
ここで、光導波路デバイスとしては、光の伝搬機構を有する平面光波回路(Planar Lightwave Circuit)や、光発光素子、光受光素子、光変調素子、光機能素子(例えばスプリッタ、波長合分波器、光スイッチ、偏波制御素子、光フィルタ)などである。光導波路デバイスの材料として例えば、シリコンやゲルマニウムなどの半導体や、インジウムリン(InP)やガリウムヒ素(GaAs)、インジウムガリウムヒ素(InGaAs)等に代表されるIII-V族半導体、ニオブ酸リチウムなどの強誘電体やポリマー、石英ガラスなどである。
【0074】
このような構造とすることで、小型の光接続構造を実現できる。さらに、短尺光ファイバ509を介することで、疑似的に光導波路デバイスと光ファイバの小型な光コネクタ接続を提供することができる。
【0075】
<第5の実施の形態の変形例>
次に、本発明の第5の実施の形態の変形例を説明する。
【0076】
図11Aに本発明の第5の実施の形態の変形例に係る光接続構造520の接続前の断面図を示し、図11Bに接続後の断面図を示す。構成は第5の実施の形態とほぼ同じであるが、光導波路デバイス510と接続する側のフランジが除かれている。以上により、より小型な光接続構造を実現することができる。
【0077】
本変形例では、連結部品505はフェルール504が挿入されたスリーブ506を介して短尺光ファイバ付フェルール5041に固定されているが、連結部品505も含めて、光導波路デバイス510に接着固定してもよい。また、連結部品505は、予めどちらかのフランジ503に固着した状態としてもよいし、接続時に連結部品505を介して固着してもよい。
【0078】
なお、本実施の形態および変形例に用いる光コネクタには、第1~第4の実施の形態のいずれを用いてもよい。
【0079】
<第6の実施の形態>
次に、本発明の第6の実施の形態に係る光接続構造600を説明する。
【0080】
図12Aに本発明の第6の実施の形態に係る光接続構造600の斜視図を示す。本実施の形態に係る光接続構造600は光コネクタ610とプレート609から構成される。
【0081】
プレート609は、光コネクタ610のフランジ603と連結部品605の各々の外周部の1面と接するように配置される。プレート609の形状は長方形であり、光コネクタ610(フランジ603と連結部品605からなる外周部の1面)と略同等の大きさである。プレートは、金属や他の磁性材料からなる。例えばSUS430のプレートである。
【0082】
本実施の形態に係る光接続構造により、第5の実施の形態と同様に、小型の光接続構造を実現できる。さらに、プレート609により、磁力線を閉じ込められるので、磁石による引力をさらに高めることができ、より小型な光コネクタおよび光接続構造を提供することが可能となる。
【0083】
また、プレートを磁性材料とすることで、外部への磁力の影響を低減することができ、周囲部材への磁石の吸着防止や、磁場による悪影響を排除できるという効果も奏する。
【0084】
<第6の実施の形態の変形例>
次に、本発明の第6の実施の形態の変形例を説明する。
【0085】
図12Bに、本発明の第6の実施の形態の変形例に係る光接続構造620の斜視図を示す。本実施の形態に係る光接続構造620は、上述の光接続構造600と同様の構成を有するが、プレート629が、光コネクタ610のフランジ603と連結部品605の各々の外周部の4面と接するように配置される点で異なる。
【0086】
光接続構造600に比べて、4面でプレート629に覆われているので、磁力線の閉じ込め効果が大きく、さらに磁石による引力を高めることができ、より小型な光コネクタおよび光接続構造を提供することが可能となる。
【0087】
また、プレートを磁性材料とすることで、外部への磁力の影響を低減することができ、周囲部材への磁石の吸着防止や、磁場による悪影響を排除できるという効果も増加する。
【0088】
本実施の形態とその変形例では、光コネクタ610の外周の1面又は4面にプレートを配置する構成を示したが、1面又は4面に限らず、光コネクタ610のフランジ603と連結部品605の各々の外周部の少なくとも1面以上と接するように配置されればよい。
【0089】
本実施の形態とその変形例では、プレート609の大きさは、光コネクタ610(フランジ603と連結部品605からなる外周部の1面)と略同等としたが、光コネクタ610より大きくてもよい。
【0090】
また、本実施の形態とその変形例において、フランジ603と連結部品605との外形サイズが異なる場合でも、プレートの形状に、フランジ603と連結部品605の各々の外形に適合するように段差形状などを設ければ同様に用いることができる。また、第1の実施の形態の変形例に係る多連光コネクタを用いる場合には、多連光コネクタを囲み、その外周部と接するサイズのプレートを用いてもよい。
【0091】
なお、本実施の形態および変形例に用いる光コネクタには、第1~第4の実施の形態のいずれを用いてもよい。
【0092】
<第7の実施の形態>
次に、本発明の第7の実施の形態に係る光接続構造700を説明する。
【0093】
図13に、本発明の第7の実施の形態に係る光接続構造700の断面図を示す。構造は第6の実施の形態とほぼ同様であるが、プレート709に永久磁石を用いている点で異なる。さらに、連結部品705の断面積に比べて、フランジ703の断面積を小さく設定している。また、プレート709は、図12Bに示す第6の実施の形態の変形例と略同様に、光コネクタ710の外周を囲むように配置されている。
【0094】
プレート709は、連結部品705の近傍に配置され、連結部品705と少なくとも一面以上は接し、フランジ703とはいずれの面に対しても空隙が生じるように設定されている。
【0095】
さらに、プレート709は、連結部品705と引力が生じるようにN極とS極が所定位置に磁化されている。一方、フランジ703とは斥力が生じるようにN極とS極が所定位置に磁化されている。
【0096】
本実施の形態に係る光接続構造700によれば、第5、第6の実施の形態と同様に小型の光接続構造を実現できる。
【0097】
さらに、以下の効果を奏する。本構造では、プレート709とフランジ703の間に斥力を生じさせることができるため、フランジ703はプレート709の間の中心に配置されるようにバランスされた力を受ける。そこで、プレート709に外力が加わり変形した際も、フランジ703と連結部品705の位置関係に生じるずれを抑制できるので、フランジ703と光コネクタアダプタ702(連結部品705とスリーブ706)との間の引力を安定して働かせることができる。したがって、機械的に安定したPC接続を、小型の光接続構造でも達成できる。
【0098】
本実施の形態では、光コネクタ710の外周を囲むようにプレートを配置する構成を示したが、外周の4面を囲む構成に限らず、光コネクタ710のフランジ703と連結部品705の各々の外周部の少なくとも1面以上と接するように配置されればよい。
【0099】
本実施の形態では、プレート709の大きさは、光コネクタ710(フランジ703と連結部品705からなる外周部の1面)と略同等であっても、光コネクタ710より大きくてもよい。
【0100】
また、本実施の形態とその変形例において、フランジ703と連結部品705との外形サイズが異なる場合でも、プレートの形状に、フランジ703と連結部品705の各々の外形に適合するように段差形状などを設ければ同様に用いることができる。また、第1の実施の形態の変形例に係る多連光コネクタを用いる場合には、多連光コネクタを囲み、その外周部と接するサイズのプレートを用いてもよい。
【0101】
<第8の実施の形態>
次に、本発明の第8の実施の形態に係る光コネクタ800を説明する。
【0102】
図14に本発明の第8の実施の形態に係る光コネクタ800の断面図を示す。構造は第1の実施の形態とほぼ同様であるが、フランジ803と連結部品805の間に磁性材料からなる箔809が挿入されている。例えば、磁性材料からなる箔809は、ドーナツ形状のSUS430のシムリング箔である。
【0103】
本実施の形態に係る光コネクタ800によれば、第5~第7の実施の形態と同様に小型の光接続構造を実現できる。さらに、フランジ803と連結部品805の間の空隙を磁性材料が埋めるので、実効的に空隙を小さくできる。したがって、フランジ803と連結部品805の間の空隙が大きい場合に、その空隙を磁性材料で埋めることにより、引力の低下を抑制することができる。
【0104】
<第9の実施の形態>
次に、本発明の第9の実施の形態に係る光コネクタ900を説明する。
【0105】
図15に、本発明の第9の実施の形態に係る光コネクタ900の断面図を示す。構造は第1の実施の形態とほぼ同様であるが、連結部品905の端部に、フェルール904を通す開口を有する円形状のSUS箔909が挟まれている。このSUS箔909を挟むことにより、連結部品905の内部のスリーブ906を収容する孔の内径の一領域を実効的に低減できる
【0106】
本実施の形態に係る光コネクタ900によれば、第5~第8の実施の形態と同様に小型の光接続構造を実現できる。さらに、連結部品905からのスリーブ906の脱落を防止することができ、操作性を高めることができる。
【0107】
本実施の形態では、開口を有する円形状のSUS箔を用いたが、形状はこれに限らない。スリーブ906の脱落を防ぐために同様の効果を奏するものであれば、その構造は任意である。例えば、連結部品905の内部の孔の両端部に突起構造を設けてもよい。または、連結部品905の両端にドーナツ状のSUS430シムリング箔を貼り付けてもよい。すなわち、実効的な連結部品905の内部の孔の開口(径)を、スリーブ906の外径よりも小さく、かつ、フェルール904の外径よりも大きく設定できる機構(以下、「スリーブ脱落防止機構」という。)を有すれば、同様の効果を奏することができる。
【0108】
本発明に係る実施の形態では、連結部品、フランジ、プレートに永久磁石が用いられたが、永久磁石に限らない。永久磁石ではない磁石ではなくても、所定の期間、磁力を保持できればよい。本発明に係る光コネクタが主に光通信システム等に適用されることを考慮すれば、少なくとも10年間、上述の通り、1N以上程度の磁力を保持できる磁石であればよい。
【0109】
本発明に係る実施の形態では、連結部品、フランジ、プレートに各部品全体が磁石又は磁性材料からなる構成を示したが、これに限らない。各部品の一部に磁石又は磁性材料を含む構成であっても、各部品において磁石又は磁性材料による引力又は斥力が働き機能する構成であれば、同様の効果を奏する。
【0110】
本発明に係る光コネクタおよび光接続構造について、従来利用された環境下では外力の影響が大きくその外力に対抗するための機構が重視されたが、近年は外力の影響が少ない環境下での利用が増加したため外力への対抗より小型化が重視されるようになった。その結果、本発明に係る光コネクタでは、外力に対抗する効果は少ないが、小型化に顕著に効果を奏する磁石を用いる構造が採用された。
【0111】
本発明の第7の実施の形態に係る光接続構造は、磁石を用いる構造を採用して小型化を実現して、さらに外力に対抗できる顕著な効果を奏する。
【0112】
また、本発明の実施の形態では、フランジおよび連結部品の形状を断面が正方形である直方体の例を示したが、その形状は当然任意の形状を用いることができる。例えば、断面形状が長方形でも多角形でもよく、断面形状が円あるいは楕円である円筒形状などでもよい。
【0113】
本発明の第1~第9の実施の形態に係る光コネクタおよび光接続構造の構成部、部品などの寸法を記載したが、この寸法に限ることはなく、各構成部、部品などが機能する寸法であればよい。
【産業上の利用可能性】
【0114】
本発明は、小型の光コネクタおよび光接続構造に関するものであり、光通信等の機器・システムに適用することができる。
【符号の説明】
【0115】
100 光コネクタ
101 光コネクタプラグ
102 光コネクタアダプタ
103 フランジ
104 フェルール
105 連結部品
106 スリーブ
107 光ファイバ
図1
図2
図3A
図3B
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10A
図10B
図11A
図11B
図12A
図12B
図13
図14
図15