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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-18
(45)【発行日】2023-12-26
(54)【発明の名称】洗浄装置、及び洗浄方法
(51)【国際特許分類】
   B08B 3/02 20060101AFI20231219BHJP
   H01L 21/683 20060101ALI20231219BHJP
   H01L 21/304 20060101ALI20231219BHJP
【FI】
B08B3/02 A
H01L21/68 N
H01L21/304 643A
H01L21/304 643C
【請求項の数】 11
(21)【出願番号】P 2020207871
(22)【出願日】2020-12-15
(65)【公開番号】P2022094786
(43)【公開日】2022-06-27
【審査請求日】2023-07-19
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】316011226
【氏名又は名称】AIメカテック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100107836
【弁理士】
【氏名又は名称】西 和哉
(72)【発明者】
【氏名】稲尾 吉浩
(72)【発明者】
【氏名】千葉 正樹
(72)【発明者】
【氏名】池田 孝生
【審査官】高橋 祐介
(56)【参考文献】
【文献】特開平11-067705(JP,A)
【文献】特開2003-103228(JP,A)
【文献】特開2000-223460(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B08B 3/02
H01L 21/683
H01L 21/304
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
矩形状の基板を前記基板の四つの角部が突出した状態で吸着し、鉛直軸周りに回転する吸着部と、
前記基板の被吸着面に向けて洗浄液を吐出するノズルと、
前記吸着部と前記ノズルとを収容し、上方側に開口部を備えるカップと、
を有し、
前記鉛直軸から前記鉛直軸に対する放射方向に向かって、前記ノズルの吐出口、前記基板の前記角部、前記カップの外郭が配置され、
前記ノズルは、前記カップの内面に洗浄液の吐出方向が向くように傾けて設けられるとともに、前記基板が1回転するときに、前記四つの角部の全てに洗浄液が直接当たるように設けられる、洗浄装置。
【請求項2】
前記基板は、短辺及び長辺を有する矩形状である、請求項1に記載の洗浄装置。
【請求項3】
前記開口部は、前記カップに対する前記基板の搬入又は搬出が可能な大きさに形成される、請求項1又は請求項2に記載の洗浄装置。
【請求項4】
前記ノズルは、前記四つの角部における全ての領域に洗浄液が直接当たるように設けられる、請求項1から請求項のいずれか一項に記載の洗浄装置。
【請求項5】
前記ノズルは、2流体ノズルである、請求項1から請求項のいずれか一項に記載の洗浄装置。
【請求項6】
前記ノズルは、複数配置される、請求項1から請求項のいずれか一項に記載の洗浄装置。
【請求項7】
前記ノズルの少なくとも一つは、前記基板の前記角部より内側の領域に向けて洗浄液を吐出する、請求項に記載の洗浄装置。
【請求項8】
前記ノズルは、前記鉛直軸に対する任意の放射方向において並んで配置される、請求項又は請求項に記載の洗浄装置。
【請求項9】
前記ノズルは、前記鉛直軸に対する複数の放射方向において前記鉛直軸からの距離が異なる位置にそれぞれ配置される、請求項又は請求項に記載の洗浄装置。
【請求項10】
吐出される洗浄液の少なくとも一部が前記基板に当たらない状態が発生する前記ノズルは、前記カップの内面に洗浄液の吐出方向が向くように傾けて設けられる、請求項6から請求項9のいずれか一項に記載の洗浄装置。
【請求項11】
矩形状の基板を前記基板の四つの角部が突出した状態で吸着部に吸着させ、前記基板を鉛直軸周りに回転させることと、
前記鉛直軸から前記鉛直軸に対する放射方向に向かって、前記基板の被吸着面に向けて洗浄液を吐出するノズルの吐出口、前記基板の前記角部、前記吸着部と前記ノズルとを収容して上方側に開口部を備えるカップの外郭が配置され、前記カップの内面に洗浄液の吐出方向が向くように傾けて設けられるノズルに、前記基板が1回転するときに、前記四つの角部の全てに洗浄液が直接当たるように吐出させることと、
を含む、洗浄方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、洗浄装置、及び洗浄方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、基板を洗浄する洗浄装置が知られている。特許文献1(特開2007-222754号公報)では、基板の回転中心から異なる距離だけ離れた位置に設けられた裏面洗浄用のノズルから、上方及び基板の回転中心側の斜め上方に向けて洗浄液を吐出する洗浄装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2007-222754号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来技術に係る洗浄装置では、基板を回転させながら基板の裏面に洗浄液を吐出する場合、遠心力による洗浄液の広がりが発生するものの、基板の全ての角部にまで広がることは期待できない。この結果、従来技術では、洗浄できない部分が発生する可能性がある。
【0005】
本発明は、洗浄できない部分が発生することを抑制する洗浄装置、及び洗浄方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の態様に従えば、矩形状の基板を基板の四つの角部が突出した状態で吸着し、鉛直軸周りに回転する吸着部と、基板の被吸着面に向けて洗浄液を吐出するノズルと、吸着部とノズルとを収容し、上方側に開口部を備えるカップと、を有し、鉛直軸から鉛直軸に対する放射方向に向かって、ノズルの吐出口、基板の角部、カップの外郭が配置され、ノズルは、カップの内面に洗浄液の吐出方向が向くように傾けて設けられるとともに、基板が1回転するときに、四つの角部の全てに洗浄液が直接当たるように設けられる、洗浄装置が提供される。
【0007】
本発明の態様に従えば、矩形状の基板を基板の四つの角部が突出した状態で吸着部に吸着させ、基板を鉛直軸周りに回転させることと、鉛直軸から鉛直軸に対する放射方向に向かって、基板の被吸着面に向けて洗浄液を吐出するノズルの吐出口、基板の角部、吸着部とノズルとを収容して上方側に開口部を備えるカップの外郭が配置され、カップの内面に洗浄液の吐出方向が向くように傾けて設けられるノズルに、基板が1回転するときに、四つの角部の全てに洗浄液が直接当たるように吐出させることと、を含む、洗浄方法が提供される。
【発明の効果】
【0008】
本発明の態様によれば、洗浄できない部分が発生することを抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】第1実施形態に係る洗浄装置の例を示す図である。
図2】第1実施形態に係る洗浄装置の例を示す図である。
図3】第1実施形態に係る洗浄装置を制御する制御装置の構成例を示す図である。
図4】第2実施形態に係る洗浄装置の例を示す図である。
図5】第2実施形態に係る洗浄装置の例を示す図である。
図6】第2実施形態に係る洗浄装置の例を示す図である。
図7】第2実施形態に係る洗浄装置の例を示す図である。
図8】第3実施形態に係る下部供給部のノズルを1流体ノズルとして複数配置する例を示す図である。
図9】第3実施形態に係る下部供給部のノズルを2流体ノズルとして複数配置する例を示す図である。
図10】第3実施形態に係る下部供給部を複数配置する場合の例を示す図である。
図11】第3実施形態に係る下部供給部を複数配置する場合の例を示す図である。
図12】第3実施形態に係る下部供給部を複数配置する場合の例を示す図である。
図13】第3実施形態に係る下部供給部を複数配置する場合の例を示す図である。
図14】第3実施形態に係る下部供給部を複数配置する場合の例を示す図である。
図15】第3実施形態に係る下部供給部を複数配置する場合の例を示す図である。
図16】第3実施形態に係る下部供給部を複数配置する場合の例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の実施形態について図面を参照して説明する。本発明は、以下で説明する実施形態に限定されない。また、図面では、実施形態の各構成を分かりやすくするために、一部を大きく又は強調して、或いは一部を簡略化して表しており、実際の構造又は形状、縮尺等が異なる場合がある。
【0011】
[第1実施形態]
図1及び図2は、第1実施形態に係る洗浄装置の例を示す図である。図1は、第1実施形態に係る洗浄装置を側面から見た断面図である。図2は、第1実施形態に係る洗浄装置を上方から見た図である。図1及び図2に示すように、洗浄装置1は、カップ2と、基板支持装置3と、上部供給部4と、下部供給部5とを主に備え、基板支持装置3上に載置された矩形状の基板10を洗浄する。矩形状の基板10は、四つの角部(角部10a、10b、10c、10d)有する。矩形状の基板10は、短辺及び長辺を有する。例えば、矩形状の基板10は、短辺が510mmであり、長辺が515mmである。カップ2は、上部供給部4、下部供給部5、及び基板支持装置3の基板支持部31を収容し、上方側に開口部(後述する中間開口部23a、上部開口部24a等)を備える。なお、本明細書において「角部」とは、基板10の中心から基板10の短辺(基板10が正方形の場合は中心から4つの辺のいずれか)までの最短距離よりも長い距離に位置する部分を指す。
【0012】
カップ2は、洗浄装置1の上部において外郭を形成し、立ち上がり壁21と、トレイ22と、中間カバー23と、トップカバー24と、底板部25と、外周壁部26と、外周立ち上がり壁部27とを備える。また、カップ2は、底板部25と、外周壁部26とを一体に有する。立ち上がり壁21は、トレイ22、中間カバー23、トップカバー24、底板部25、外周壁部26、及び外周立ち上がり壁部27よりも径方向内側に配置され、上方に向かって筒状に延びて形成される。立ち上がり壁21は、平面視において円環状であり、径方向外側の少なくとも一部を接合面としてトレイ22に接合される。円環状である立ち上がり壁21の中央部には、下部開口部21aが形成される。
【0013】
トレイ22は、中間カバー23、トップカバー24、及び基板支持部31の下方に配置され、平面視において円環状である。トレイ22の上面には、径方向外側に向かって下方に傾斜した傾斜面22aが形成される。トレイ22は、基板支持部31の下方において、基板支持部31よりも径方向外側に延びており、洗浄液を受ける。トレイ22の外周端部は、外周壁部26との間に、径方向に隙間をあけて設けられる。傾斜面22a上の洗浄液は、径方向外側に向けて流れ、トレイ22の外周端部と外周壁部26との隙間から、底板部25に流れ落ちて回収される。底板部25は、内部に空間を有し、洗浄液を回収する用途で使用される。
【0014】
底板部25は、平面視で円環状に形成される。底板部25の外周部には、図示しない複数のドレン穴が形成される。外周壁部26は、底板部25の外周部から上方に向かって立ち上がるように形成される。外周壁部26には、周方向の複数箇所に図示しない排気孔が形成される。外周壁部26の上端には、径方向外側に突出する外周フランジ部が形成されてもよい。カップ2において径方向外側に飛散した洗浄液は、外周壁部26から底板部25へと流れ落ちて回収される。
【0015】
中間カバー23は、外周立ち上がり壁部27の下端から径方向内側に延びて形成される。中間カバー23は、基板支持部31上に載置される矩形状の基板10の上面よりも上方に位置する。中間カバー23は、水平面内に沿って位置する。中間カバー23を含む水平面内の中央部には、中間開口部23aが形成される。中間開口部23aは、中間開口部23aを通して矩形状の基板10の搬入又は搬出が可能に、内径が矩形状の基板10の対角寸法よりも大きく設定される。外周立ち上がり壁部27は、上方に向かって筒状に延びて形成される。外周立ち上がり壁部27の上端には、径方向内側に突出する図示しない上端受け部が一体に形成される。
【0016】
トップカバー24は、外周立ち上がり壁部27の上端から径方向内側に延びて形成される。トップカバー24は、水平面内に沿って位置する。トップカバー24を含む水平面内の中央部には、上部開口部24aが形成される。上部開口部24aは、中間開口部23aと同様に、上部開口部24aを通して矩形状の基板10の搬入又は搬出が可能に、内径が矩形状の基板10の対角寸法よりも大きく設定される。矩形状の基板10は、上部開口部24a及び中間開口部23aを通して、基板支持部31に対して上下方向に搬入及び搬出可能である。中間カバー23、トップカバー24、及び外周立ち上がり壁部27を含むカバー部材は、カップ2(立ち上がり壁21、トレイ22、底板部25、及び外周壁部26を含むカップ本体)に対して取り外し可能に構成される。また、トップカバー24は、外周立ち上がり壁部27に対して取り外し可能に構成される。
【0017】
基板支持装置3は、基板支持部(基板支持テーブル)31と、支持軸32と、第1負圧流路33と、第2負圧流路34と、内周吸着部35と、外周吸着部36とを備え、矩形状の基板10が洗浄される際に、矩形状の基板10を吸着した状態で回転する。基板支持部31の上面は、円盤状に形成される。円盤状に形成された基板支持部31の上面は、矩形状の基板10を載置可能であり、矩形状の基板10を支持する支持面となる。基板支持部31の外周部には、下方に筒状に突出するスカート部31aが形成される。スカート部31aは、立ち上がり壁21の径方向外側に間隔をあけて配置される。スカート部31aは、立ち上がり壁21の上端よりも下方に延びて形成される。スカート部31aの下端は、トレイ22の傾斜面22aとの間に、上下方向に間隔をあけて設けられる。このように、スカート部31a及び立ち上がり壁21により、ラビリンス構造が形成される。この結果、スカート部31aとトレイ22の傾斜面22aとの隙間を通して、スカート部31a及び立ち上がり壁21よりも径方向内側に、洗浄液の飛沫等が浸入しにくくなる。
【0018】
基板支持部31は、下面に支持軸32を一体に有する。支持軸32は、上下方向に延びる円柱状に形成される。支持軸32は、図示しない電動モータ等の回転駆動源に接続される。これにより、支持軸32は、鉛直軸Cv周りに回転自在に構成される。支持軸32の内部には、第1負圧流路33と、第2負圧流路34とが設けられる。第1負圧流路33及び第2負圧流路34は、支持軸32の内部に互いに独立して設けられてよい。支持軸32の下部には、図示しない真空ポンプ等の負圧発生源が、図示しない配管を介して接続される。負圧発生源で発生する負圧は、第1負圧流路33を介して、内周吸着部35に付与される。すなわち、第1負圧流路33は、内周吸着部35で矩形状の基板10を吸着するための負圧を付与する用途で用いられる。また、負圧発生源で発生する負圧は、第2負圧流路34を介して、外周吸着部36に付与される。すなわち、第2負圧流路34は、外周吸着部36で矩形状の基板10を吸着するための負圧を付与する用途で用いられる。なお、第1負圧流路33と第2負圧流路34とで、別の負圧発生源を用いてもよいし、1つの負圧発生源を用いてもよい。
【0019】
内周吸着部35及び外周吸着部36を含む洗浄装置1の吸着部は、矩形状の基板10を該基板10の四つの角部10a、10b、10c、10dが突出した状態で吸着し、基板支持部31による鉛直軸Cv周りの回転により、鉛直軸Cv周りに回転する。内周吸着部35は、基板支持部31の上面(矩形状の基板10を支持する支持面)において内周部に設けられ、矩形状の基板10の内周部(又は中央部分)を吸着する。内周吸着部35は、基板支持部31の上面における内周部に吸着溝を有する。基板支持装置3は、基板支持部31の上面において矩形状の基板10を支持した状態で、内周吸着部35の吸着溝と矩形状の基板10との間に形成される溝内空間に、第1負圧流路33を通して負圧が作用されることで、矩形状の基板10の内周部(又は中央部分)を吸着する。
【0020】
外周吸着部36は、基板支持部31の上面(矩形状の基板10を支持する支持面)において外周部に設けられ、矩形状の基板10の内周部よりも外側の部分を吸着する。外周吸着部36は、平面視で円環状に設けられてもよい。外周吸着部36は、基板支持部31の上面における外周部に吸着溝を有する。基板支持装置3は、基板支持部31の上面において矩形状の基板10を支持した状態で、外周吸着部36の吸着溝と矩形状の基板10との間に形成される溝内空間に、第2負圧流路34を通して負圧が作用されることで、矩形状の基板10の内周部よりも外側の部分を吸着する。なお、内周吸着部35と外周吸着部36とを吸着部として備える構成に限られず、例えば、内周吸着部35と外周吸着部36とのうち一方を備える構成であってもよいし、内周吸着部35及び外周吸着部36を含む領域に、1つの吸着部を備える構成であってもよい。
【0021】
上部供給部4は、基板支持部31の上方に間隔をあけて配置される。上部供給部4は、洗浄液を吐出するノズル4aを一体に有する。また、上部供給部4は、基板支持部31の上方において、径方向に移動可能であってもよい。上部供給部4は、ノズル4aにより、基板支持部31上に支持された矩形状の基板10の上面に対して、上方から洗浄液を供給(吐出)する。図1及び図2において、上部供給部4は、1つである場合を例に挙げているが、1列に複数並べられた構成でもよい。上部供給部4が複数である場合、例えば、基板支持部31の径方向に並べられた構成でもよい。上部供給部4には、配管を通して、図示しない洗浄液供給源から洗浄液が供給される。上部供給部4は、洗浄液供給源から供給された洗浄液を、ノズル4aから下方に向かって吐出する。上部供給部4から吐出された洗浄液は、基板支持部31に支持された矩形状の基板10の上面に供給される。
【0022】
下部供給部5は、基板支持部31に支持される矩形状の基板10の下側に設けられる。下部供給部5は、基板支持部31の径方向外側に設けられる。下部供給部5は、トレイ22の傾斜面22a上に支持台6を介して固定され、洗浄液を吐出するノズル5aを一体に有する。下部供給部5のノズル5aは、鉛直方向と平行に配置される。下部供給部5は、ノズル5aにより、基板支持部31上に支持された矩形状の基板10の被吸着面となる下面に対して、下方から洗浄液を供給(吐出)する。下部供給部5のノズル5aは、例えば、2流体ノズルである。下部供給部5は、矩形状の基板10が鉛直軸Cv周りに1回転するときに、該基板10の四つの角部10a、10b、10c、10dにおける全ての領域にノズル5aからの洗浄液が当たるように設けられる。図2では、下部供給部5によって吐出される洗浄液が矩形状の基板10に当たる箇所をハッチングで表している。図2では、下部供給部5の上方に、平面視において鉛直軸Cvからの距離が最も遠い角部10cが位置する場合を例に挙げている。つまり、平面視における、下部供給部5、矩形状の基板10の角部10c(又は10a)、及びカップ2の外郭の位置関係は、鉛直軸Cvから該鉛直軸Cvに対する放射方向(径方向外側の方向)に向かって、下部供給部5のノズル5aの吐出口、矩形状の基板10の角部10c(又は10a)、カップ2の外郭が配置される。なお、下部供給部5のノズル5aは、2流体ノズルであることが好ましいが、矩形状の基板10が1回転するときに角部10a、10b、10c、10dの全ての領域に洗浄液が当たるのであれば、1流体ノズルであってもよい。
【0023】
図3は、第1実施形態に係る洗浄装置を制御する制御装置の構成例を示す図である。図3に示すように、制御装置100は、吸着制御部110と、駆動制御部120と、供給制御部130とを有し、洗浄装置1の動作を統括して制御する。吸着制御部110は、真空ポンプ等の負圧発生源を制御し、第1負圧流路33を介した内周吸着部35への負圧の付与と、第2負圧流路34を介した外周吸着部36への負圧の付与とを行う。駆動制御部120は、電動モータ等の回転駆動源を制御し、支持軸32の鉛直軸Cv周りの回転を実現する。供給制御部130は、上部供給部4及び下部供給部5を制御し、ノズル4a及びノズル5aからの洗浄液の吐出を実現する。
【0024】
上述したように、洗浄装置1は、遠心力による洗浄液の広がりに頼ることなく、矩形状の基板10の全ての角部10a、10b、10c、10dの領域に洗浄液が直接当たるように下部供給部5を設けるので、洗浄できない部分が発生することを抑制することができる。
【0025】
[第2実施形態]
第2実施形態では、上述した実施形態と同様の構成については同一の符号を付し、同様の構成についての詳細な説明を省略する場合がある。図4図7は、第2実施形態に係る洗浄装置の例を示す図である。図4及び図6は、第2実施形態に係る洗浄装置を側面から見た断面図である。図5及び図7は、第2実施形態に係る洗浄装置を上方から見た図である。また、図4及び図5では、下部供給部5の上方に、平面視において鉛直軸Cvからの距離が最も遠い角部10cが位置する場合を例に挙げる。図6及び図7では、矩形状の基板10の回転により、下部供給部5のノズル5aから吐出される洗浄液の少なくとも一部が該基板10に当たらない状態である場合を例に挙げる。第2実施形態は、下部供給部5を傾けて配置することが第1実施形態とは異なる。
【0026】
図4図7に示すように、下部供給部5は、基板支持部31に支持される矩形状の基板10の下側に設けられる。下部供給部5は、基板支持部31の径方向外側に設けられる。下部供給部5は、トレイ22の傾斜面22a上に支持台6を介して固定され、洗浄液を吐出するノズル5aを一体に有する。下部供給部5のノズル5aは、鉛直方向から傾いて配置される。例えば、下部供給部5のノズル5aは、カップ2の内面に洗浄液の吐出方向が向くように傾けられる(図6及び図7参照)。下部供給部5は、ノズル5aにより、基板支持部31上に支持された矩形状の基板10の被吸着面となる下面に対して、下方から洗浄液を供給(吐出)する。下部供給部5のノズル5aは、例えば、2流体ノズルである。下部供給部5は、矩形状の基板10が鉛直軸Cv周りに1回転するときに、該基板10の四つの角部10a、10b、10c、10dにおける全ての領域にノズル5aからの洗浄液が当たるように設けられる。図5では、下部供給部5によって吐出される洗浄液が矩形状の基板10に当たる箇所をハッチングで表している。
【0027】
上述したように、洗浄装置1は、カップ2の内面に洗浄液の吐出方向が向くように、下部供給部5が傾けて配置されるので、下部供給部5から吐出された洗浄液がカップ2外に飛散することを抑制することができる。
【0028】
[第3実施形態]
第3実施形態では、上述した実施形態と同様の構成については同一の符号を付し、同様の構成についての詳細な説明を省略する場合がある。第3実施形態では、上述した実施形態で説明した構成に加えて、下部供給部5を複数配置する場合を例に挙げる。
【0029】
下部供給部5を複数配置するにあたり、1流体ノズルと2流体ノズルとによる洗浄液の吐出について説明する。図8は、第3実施形態に係る下部供給部のノズルを1流体ノズルとして複数配置する例を示す図である。図8では、下部供給部5のノズル5aから吐出される洗浄液をハッチングにより表している。また、複数の下部供給部5同士の間隔を13mm程度とし、矩形状の基板10と下部供給部5のノズル5aの吐出口との間隔を15mm~20mm程度とする場合を例に挙げる。図8に示すように、1流体ノズルとした下部供給部5を複数配置し、矩形状の基板10に対して洗浄液が吐出される場合、各下部供給部5から吐出された洗浄液は、矩形状の基板10の全ての領域に直接当たらない可能性がある。
【0030】
図9は、第3実施形態に係る下部供給部のノズルを2流体ノズルとして複数配置する例を示す図である。図9では、下部供給部5のノズル5aから吐出される洗浄液をハッチングにより表している。また、複数の下部供給部5同士の間隔を13mm程度とし、矩形状の基板10と下部供給部5のノズル5aの吐出口との間隔を15mm~20mm程度とする場合を例に挙げる。図9に示すように、2流体ノズルとした下部供給部5を複数配置し、矩形状の基板10に対して洗浄液が吐出される場合、各下部供給部5から吐出された洗浄液は、矩形状の基板10の全ての領域に直接当たる。
【0031】
1流体ノズルと2流体ノズルとのこのような特性を踏まえ、図10図16を用いて、下部供給部5を複数配置する場合を説明する。図10図16は、第3実施形態に係る下部供給部を複数配置する場合の例を示す図である。なお、図10図16では、説明の便宜上、矩形状の基板10、基板支持部31、及び下部供給部5を主に図示し、このほかの構成については図示を省略して説明する。第3実施形態に係る洗浄装置1の構成は、下部供給部5を複数配置する構成を除いて、上述した実施形態と同様である。また、図10図16では、複数の下部供給部5のそれぞれを区別するために、鉛直軸Cvにより近い下部供給部5から、下部供給部51~下部供給部58として表している。
【0032】
具体的には、複数の下部供給部5は、矩形状の基板10が1回転するときに、基板支持部31に支持された面を除く矩形状の基板10の下面の全ての領域に、洗浄液が直接当たるように配置される。例えば、複数の下部供給部5は、鉛直軸Cvに対する任意の放射方向において並んで配置されてもよい。例えば、複数の下部供給部5は、鉛直軸Cvに対する複数の放射方向において鉛直軸Cvからの距離が異なる位置にそれぞれ配置されてもよい。例えば、複数の下部供給部5の少なくとも一つは、矩形状の基板10の角部より内側の領域に向けて(傾けて)洗浄液を吐出してもよい。
【0033】
図10に示すように、複数の下部供給部5は、鉛直軸Cvに対する複数の放射方向において鉛直軸Cvからの距離が異なる位置にそれぞれ配置される。具体的には、矩形状の基板10が1回転するときに、矩形状の基板10の下面の全ての領域に洗浄液が直接当たるように、複数の放射方向において鉛直軸Cvからの距離が近い順に、下部供給部51、下部供給部52、下部供給部53、下部供給部54、下部供給部55、下部供給部56、下部供給部57、下部供給部58を配置させる。図10に示す例では、下部供給部51~58を、同一直線上において鉛直軸Cvからの距離が異なる位置にそれぞれ配置させている。また、図10に示す下部供給部51~58は、1流体ノズルである。1流体ノズルは、吐出される洗浄液の広がりが2流体ノズルよりも小さい。また、任意の放射方向に下部供給部51~58を配置させようとすると、矩形状の基板10の下面の全ての領域に洗浄液を直接当てることが困難であるため、複数の放射方向(2以上の放射方向)において鉛直軸Cvからの距離が異なる位置に下部供給部51~58のそれぞれを配置させる。また、例えば、1流体ノズルである下部供給部51にかえて、2流体ノズルである下部供給部51’を配置させ、矩形状の基板10の角部より内側の領域に向けて(傾けて)洗浄液を吐出させてもよい。
【0034】
図11に示すように、複数の下部供給部5は、鉛直軸Cvに対する複数の放射方向において鉛直軸Cvからの距離が異なる位置にそれぞれ配置される。具体的には、矩形状の基板10が1回転するときに、矩形状の基板10の下面の全ての領域に洗浄液が直接当たるように、複数の放射方向において鉛直軸Cvからの距離が近い順に、下部供給部51、下部供給部52、下部供給部53、下部供給部54、下部供給部55、下部供給部56、下部供給部57、下部供給部58を配置させる。図11に示す例では、下部供給部51~58を、それぞれ異なる放射方向において鉛直軸Cvからの距離が異なる位置にそれぞれ配置させている。また、図11に示す下部供給部51は2流体ノズルであり、下部供給部52~58は1流体ノズルである。2流体ノズルである下部供給部51は、矩形状の基板10の角部より内側の領域に向けて(傾けて)洗浄液を吐出させてもよい。なお、下部供給部51は、図10と同様に、1流体ノズルであってもよい。
【0035】
図12に示すように、複数の下部供給部5は、鉛直軸Cvに対する任意の放射方向において並んで配置される。具体的には、矩形状の基板10が1回転するときに、矩形状の基板10の下面の全ての領域に洗浄液が直接当たるように、鉛直軸Cvに対する任意の放射方向において鉛直軸Cvからの距離が近い順に、下部供給部51、下部供給部52、下部供給部53、下部供給部54を配置させる。図12に示す例では、下部供給部51~54を、鉛直軸Cvから一方向の同一直線上において鉛直軸Cvからの距離が異なる位置にそれぞれ配置させている。また、図12に示す下部供給部51~54は、2流体ノズルである。2流体ノズルは、吐出される洗浄液の広がりが1流体ノズルよりも大きい。従って、2流体ノズルを使用する場合は、鉛直軸Cvに対する任意の放射方向(一方向の同一直線上)に、1流体ノズルを使用するよりも少ない数の下部供給部5を配置させることで、矩形状の基板10が1回転するときに、矩形状の基板10の下面の全ての領域に洗浄液を直接当てることができる。なお、下部供給部51については、矩形状の基板10の角部より内側の領域に向けて(傾けて)洗浄液を吐出させてもよい。
【0036】
図13に示すように、複数の下部供給部5は、鉛直軸Cvに対する複数の放射方向において鉛直軸Cvからの距離が異なる位置にそれぞれ配置される。具体的には、矩形状の基板10が1回転するときに、矩形状の基板10の下面の全ての領域に洗浄液が直接当たるように、複数の放射方向において鉛直軸Cvからの距離が近い順に、下部供給部51、下部供給部52、下部供給部53、下部供給部54を配置させる。図13に示す例では、下部供給部51~54を、それぞれ異なる放射方向において鉛直軸Cvからの距離が異なる位置にそれぞれ配置させている。また、図13に示す下部供給部51~54は、2流体ノズルである。このように、2流体ノズルを使用する場合であっても、鉛直軸Cvに対する任意の放射方向において並んで配置するだけではなく、鉛直軸Cvに対する複数の放射方向において鉛直軸Cvからの距離が異なる位置にそれぞれ配置させてもよい。なお、下部供給部51については、矩形状の基板10の角部より内側の領域に向けて(傾けて)洗浄液を吐出させてもよい。
【0037】
図14に示すように、複数の下部供給部5は、鉛直軸Cvに対する任意の放射方向において並んで配置される。具体的には、矩形状の基板10が1回転するときに、矩形状の基板10の下面の全ての領域に洗浄液が直接当たるように、鉛直軸Cvに対する任意の放射方向において鉛直軸Cvからの距離が近い順に、下部供給部51、下部供給部52、下部供給部53、下部供給部54を配置させる。図14に示す例では、下部供給部51~54を、鉛直軸Cvから一方向の同一直線上において鉛直軸Cvからの距離が異なる位置にそれぞれ配置させている。また、図14に示す下部供給部51~54は、2流体ノズルである。加えて、下部供給部51を除く下部供給部52~54は、基板支持部31の径方向外側に向けて(傾けて)洗浄液を吐出させる。また、例えば、下部供給部51にかえて、2流体ノズルである下部供給部51’を配置させ、矩形状の基板10の角部より内側の領域に向けて(傾けて)洗浄液を吐出させてもよい。
【0038】
図15図16とは、矩形状の基板10が回転する状況を表しており、複数の下部供給部5の配置は同一である。図15及び図16に示すように、複数の下部供給部5は、鉛直軸Cvに対する複数の放射方向において鉛直軸Cvからの距離が異なる位置にそれぞれ配置される。具体的には、矩形状の基板10が1回転するときに、矩形状の基板10の下面の全ての領域に洗浄液が直接当たるように、複数の放射方向において鉛直軸Cvからの距離が近い順に、下部供給部51、下部供給部52、下部供給部53、下部供給部54を配置させる。図15及び図16に示す例では、下部供給部51~54を、それぞれ異なる放射方向において鉛直軸Cvからの距離が異なる位置にそれぞれ配置させている。また、図15及び図16に示す下部供給部51~54は、2流体ノズルである。加えて、下部供給部51については矩形状の基板10の角部より内側の領域に向けて(傾けて)洗浄液を吐出させ、下部供給部52~54については基板支持部31の径方向外側に向けて(傾けて)洗浄液を吐出させる。図16に示す状況では、下部供給部54から吐出される洗浄液の全てと、下部供給部53から吐出される洗浄液の一部とが、矩形状の基板10の下面に直接当たらない。上述したように、下部供給部53及び下部供給部54は、基板支持部31の径方向外側に向けて(傾けて)洗浄液を吐出しているため、吐出された洗浄液はカップ2の内面に当たるようになっている。なお、図10図16では、1流体ノズル又は2流体ノズルの下部供給部5からの洗浄液を、上方に又は傾けて吐出する場合の下部供給部5の様々な配置を例に挙げているが、図示した配置の例に限られない。
【0039】
上述したように、洗浄装置1は、矩形状の基板10が1回転するときに、基板支持部31に支持された面を除く矩形状の基板10の下面の全ての領域に、洗浄液が直接当たるように配置され、その配置は、鉛直軸Cvに対する任意の放射方向において並んで配置されてもよいし、鉛直軸Cvに対する複数の放射方向において鉛直軸Cvからの距離が異なる位置にそれぞれ配置されてもよい。この結果、洗浄装置1は、基板支持部31に支持された矩形状の基板10の下面について、洗浄できない部分が発生することを抑制できる。
【0040】
以上、本発明を実施形態により説明したが、本発明の技術的範囲は、上記実施形態に記載の範囲に限定されない。本発明は、上記実施形態に、多様な変更又は改良を加えることが可能であることが当業者に明らかである。また、上記実施形態に、多様な変更又は改良を加えた形態についても、本発明の技術的範囲に含まれ得ることが、特許請求の範囲の記載から明らかである。
【0041】
なお、明細書の全体において、任意の部分が任意の構成要素を「含む」、「有する」、「備える」とするとき、特記がない限り、他の構成要素を除くことを意味せず、他の構成要素をさらに含むことができることを意味する。
【符号の説明】
【0042】
1 洗浄装置
2 カップ
3 基板支持装置
4 上部供給部
4a ノズル
5 下部供給部
5a ノズル
6 支持台
10 基板(矩形状の基板)
10a 基板の角部
10b 基板の角部
10c 基板の角部
10d 基板の角部
21 立ち上がり壁
21a 下部開口部
22 トレイ
22a 傾斜面
23 中間カバー
23a 中間開口部
24 トップカバー
24a 上部開口部
25 底板部
26 外周壁部
27 外周立ち上がり壁部
31 基板支持部
31a スカート部
32 支持軸
33 第1負圧流路
34 第2負圧流路
35 内周吸着部
36 外周吸着部
100 制御装置
110 吸着制御部
120 駆動制御部
130 供給制御部
Cv 鉛直軸
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16