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特許7405768硬化性樹脂組成物、ドライフィルム、硬化物および電子部品
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-18
(45)【発行日】2023-12-26
(54)【発明の名称】硬化性樹脂組成物、ドライフィルム、硬化物および電子部品
(51)【国際特許分類】
   G03F 7/027 20060101AFI20231219BHJP
   G03F 7/004 20060101ALI20231219BHJP
   G03F 7/032 20060101ALI20231219BHJP
   H05K 3/28 20060101ALI20231219BHJP
【FI】
G03F7/027 502
G03F7/004 512
G03F7/032 501
H05K3/28 F
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2020561178
(86)(22)【出願日】2019-10-16
(86)【国際出願番号】 JP2019040684
(87)【国際公開番号】W WO2020129381
(87)【国際公開日】2020-06-25
【審査請求日】2022-09-13
(31)【優先権主張番号】P 2018236998
(32)【優先日】2018-12-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】591021305
【氏名又は名称】太陽ホールディングス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100100354
【弁理士】
【氏名又は名称】江藤 聡明
(74)【代理人】
【識別番号】100167106
【弁理士】
【氏名又は名称】倉脇 明子
(74)【代理人】
【識別番号】100194135
【弁理士】
【氏名又は名称】山口 修
(74)【代理人】
【識別番号】100206069
【弁理士】
【氏名又は名称】稲垣 謙司
(74)【代理人】
【識別番号】100185915
【弁理士】
【氏名又は名称】長山 弘典
(72)【発明者】
【氏名】チャ ハヌル
(72)【発明者】
【氏名】福田 晋一朗
(72)【発明者】
【氏名】中居 弘進
(72)【発明者】
【氏名】椎名 桃子
【審査官】外川 敬之
(56)【参考文献】
【文献】特開2011-048313(JP,A)
【文献】特開2011-185962(JP,A)
【文献】特開2011-215392(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G03F 7/027
G03F 7/004
G03F 7/032
H05K 3/28
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
(A)アルカリ可溶性樹脂、
(B)光重合開始剤、
(C)分子量が300~1000の2個のエチレン性不飽和基を有する化合物、及び
(D)熱硬化性成分、
を含む硬化性樹脂組成物であって、
0.2mlの前記硬化性樹脂組成物を2枚の直径35mmのステンレス板センサーで挟み、これを25℃で60秒間放置した後に、せん断応力を0.0001Paから1.0E+4Paの応力に変化させた場合の粘度変化量が、20Pa以下であり、
(D)熱硬化性成分が、結晶性エポキシ化合物および非結晶性エポキシ化合物を含む、
硬化性樹脂組成物。
【請求項2】
(C)分子量が300~1000の2個のエチレン性不飽和基を有する化合物の粘度は、25℃において15~200mPa・sである、請求項1に記載の硬化性樹脂組成物。
【請求項3】
(C)分子量が300~1000の2個のエチレン性不飽和基を有する化合物の配合量は、固形分換算で(A)アルカリ可溶性樹脂100質量部に対して5~40質量部である、請求項1または2に記載の硬化性樹脂組成物。
【請求項4】
前記硬化性樹脂組成物が、高電圧回路のプリント配線板の製造に用いられる、請求項1~のいずれか1項に記載の硬化性樹脂組成物。
【請求項5】
請求項1~のいずれか1項に記載の硬化性樹脂組成物をフィルムに塗布乾燥してなる樹脂層を有することを特徴とするドライフィルム。
【請求項6】
請求項1~のいずれか1項に記載の硬化性樹脂組成物または請求項に記載のドライフィルムを硬化させた硬化物。
【請求項7】
請求項に記載の硬化物を有する電子部品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、硬化性樹脂組成物及びそのドライフィルム、これらの硬化物並びにその硬化物を有する電子部品に関する。
【背景技術】
【0002】
プリント配線板には、回路パターンの導体層を有する基材上にソルダーレジストが形成されている。このようなソルダーレジストに限らず、プリント配線板の層間絶縁材やフレキシブルプリント配線板のカバーレイ等の永久保護膜の材料としては、従来、種々の硬化性樹脂組成物が提案されている。種々の硬化性樹脂組成物の中でも、環境問題への配慮から、現像液として希アルカリ水溶液を用いるアルカリ現像型の硬化性樹脂組成物が広く採用されている(例えば、特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2014-156583号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
このような硬化性樹脂組成物は、基板に塗布された後に光及び/又は熱等により硬化されるが、塗布後の状態の膜中に気泡が生じる場合がある。膜中に存在する気泡を除去するには、気泡が膜外に抜けるまで放置する必要がある。しかしながら、使用する硬化性樹脂組成物の種類や塗布される基板の回路パターンによっては気泡が抜けにくく、残存しやすい場合がある。特に、近年、高電圧回路用のプリント配線板を製造するために、回路パターンが従来よりも厚く形成され、これに伴いソルターレジストの厚みも大きく形成する必要があるが、塗布された硬化性樹脂組成物の膜が厚いほど、膜中に発生した気泡が外部に抜けるのに時間がかかり、生産効率が低下するという実情がある。気泡が残存したまま硬化性樹脂組成物を硬化すると、所定の薬品やめっき液が染み込むなどの問題が生じる恐れがある。
【0005】
気泡を抜けやすくするには硬化性樹脂組成物の粘度を単純に低下させることが手段として考えられるが、単純に粘度を低下させると硬化性樹脂組成物に本来求められる機能(耐熱性、乾燥性、無電解金めっき性、柔軟性など)が損なわれる可能性がある。その一方で、硬化性樹脂組成物は、近年開発が盛んに行われているフレキシブル基板に求められる折り曲げ性に優れることも求められる。
【0006】
したがって、本発明の目的は、基板に塗布された硬化性樹脂組成物の膜中に発生する気泡が抜けやすく、耐熱性、乾燥性、無電解金めっき性、柔軟性及び折り曲げ性に優れる硬化性樹脂組成物を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的は、(A)アルカリ可溶性樹脂、(B)光重合開始剤、(C)分子量が300~1000の2個のエチレン性不飽和基を有する化合物、及び(D)熱硬化性成分を含み、0.2mlの前記硬化性樹脂組成物を2枚の直径35mmのステンレス板センサーで挟み、これを25℃で60秒間放置した後に、せん断応力を0.0001Paから1.0E+4Paの応力に変化させた場合の粘度変化量が、20Pa以下である硬化性樹脂組成物により達成される。
【0008】
(D)熱硬化性成分が、結晶性エポキシ化合物を含むことが好ましい。
【0009】
(D)熱硬化性成分が、さらに非結晶性エポキシ化合物を含むことが好ましい。

【0010】
(C)分子量が300~1000の2個のエチレン性不飽和基を有する化合物の粘度は、25℃において15~200mPa・sであることが好ましい。
【0011】
(C)分子量が300~1000の2個のエチレン性不飽和基を有する化合物の配合量は、固形分換算で(A)アルカリ可溶性樹脂100質量部に対して5~40質量部であることが好ましい。
【0012】
前記硬化性樹脂組成物が、高電圧回路のプリント配線板の製造に用いられることが好ましい。
【0013】
本発明のドライフィルムは、前記いずれかの硬化性樹脂組成物をフィルムに塗布乾燥してなる樹脂層を有することを特徴とする。
【0014】
本発明の硬化物は、上記前記いずれかの硬化性樹脂組成物、または、前記ドライフィルムを硬化させたことを特徴とする。
【0015】
本発明の電子部品は、前記硬化物を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、基板に塗布された硬化性樹脂組成物の膜中に発生する気泡が抜けやすく、耐熱性、乾燥性、無電解金めっき性、柔軟性及び折り曲げ性に優れる硬化性樹脂組成物を提供することができる。したがって、品質及び信頼性の高い硬化性樹脂組成物の硬化物及びその硬化物を有する電子部品を提供することが可能である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明を詳細に説明する。上述したように、本発明の硬化性樹脂組成物は、(A)アルカリ可溶性樹脂、(B)光重合開始剤、(C)分子量が300~1000の2個のエチレン性不飽和基を有する化合物、及び(D)熱硬化性成分を含み、0.2mlの硬化性樹脂組成物を2枚の直径35mmのステンレス板センサーで挟み、これを25℃で60秒間放置した後に、せん断応力を0.0001Paから1.0E+4Paの応力に変化させた場合の粘度変化量が、20Pa以下である。本発明者は、上記の所定の成分を含み、且つ上記で定義された粘度変化量が20Pa以下という小さな値を有することで、本発明の目的が達成されることを見出した。以下、各成分について詳細に説明する。
【0018】
[(A)アルカリ可溶性樹脂]
アルカリ可溶性樹脂は、フェノール性水酸基、チオール基およびカルボキシル基のうち1種以上の官能基を含有し、アルカリ溶液に可溶な樹脂であり、好ましくはフェノール性水酸基を2個以上有する化合物、カルボキシル基含有樹脂、フェノール性水酸基およびカルボキシル基を有する化合物、チオール基を2個以上有する化合物が挙げられる。アルカリ可溶性樹脂としては、カルボキシル基含有樹脂やフェノール系水酸基含有樹脂を用いることができるが、カルボキシル基含有樹脂が好ましい。
【0019】
カルボキシル基含有樹脂は、光照射により重合ないし架橋して硬化する成分であり、カルボキシル基が含まれることによりアルカリ現像性とすることができる。また、光硬化性や耐現像性の観点から、カルボキシル基の他に、分子内にエチレン性不飽和結合を有することが好ましいが、エチレン性不飽和二重結合を有さないカルボキシル基含有樹脂のみを使用してもよい。エチレン性不飽和結合としては、アクリル酸もしくはメタアクリル酸またはそれらの誘導体由来のものが好ましい。カルボキシル基含有樹脂の中でも、共重合構造を有するカルボキシル基含有樹脂、ウレタン構造を有するカルボキシル基含有樹脂、エポキシ樹脂を出発原料とするカルボキシル基含有樹脂、フェノール化合物を出発原料とするカルボキシル基含有樹脂が好ましい。カルボキシル基含有樹脂の具体例としては、以下に列挙するような化合物(オリゴマーまたはポリマーのいずれでもよい)が挙げられる。
【0020】
(1)2官能またはそれ以上の多官能エポキシ樹脂に(メタ)アクリル酸を反応させ、側鎖に存在する水酸基に無水フタル酸、テトラヒドロ無水フタル酸、ヘキサヒドロ無水フタル酸等の2塩基酸無水物を付加させたカルボキシル基含有感光性樹脂。ここで、2官能またはそれ以上の多官能エポキシ樹脂は固形であることが好ましい。
【0021】
(2)2官能エポキシ樹脂の水酸基を、さらにエピクロロヒドリンでエポキシ化した多官能エポキシ樹脂に、(メタ)アクリル酸を反応させ、生じた水酸基に2塩基酸無水物を付加させたカルボキシル基含有感光性樹脂。ここで、2官能エポキシ樹脂は固形であることが好ましい。
【0022】
(3)1分子中に2個以上のエポキシ基を有するエポキシ化合物に、1分子中に少なくとも1個のアルコール性水酸基と1個のフェノール性水酸基を有する化合物と、(メタ)アクリル酸等の不飽和基含有モノカルボン酸とを反応させ、得られた反応生成物のアルコール性水酸基に対して、無水マレイン酸、テトラヒドロ無水フタル酸、無水トリメリット酸、無水ピロメリット酸、アジピン酸等の多塩基酸無水物を反応させて得られるカルボキシル基含有感光性樹脂。
【0023】
(4)ビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノールS、ノボラック型フェノール樹脂、ポリ-p-ヒドロキシスチレン、ナフトールとアルデヒド類の縮合物、ジヒドロキシナフタレンとアルデヒド類との縮合物等の1分子中に2個以上のフェノール性水酸基を有する化合物と、エチレンオキシド、プロピレンオキシド等のアルキレンオキシドとを反応させて得られる反応生成物に、(メタ)アクリル酸等の不飽和基含有モノカルボン酸を反応させ、得られる反応生成物に多塩基酸無水物を反応させて得られるカルボキシル基含有感光性樹脂。
【0024】
(5)1分子中に2個以上のフェノール性水酸基を有する化合物とエチレンカーボネート、プロピレンカーボネート等の環状カーボネート化合物とを反応させて得られる反応生成物に、不飽和基含有モノカルボン酸を反応させ、得られる反応生成物に多塩基酸無水物を反応させて得られるカルボキシル基含有感光性樹脂。
【0025】
(6)脂肪族ジイソシアネート、分岐脂肪族ジイソシアネート、脂環式ジイソシアネート、芳香族ジイソシアネート等のジイソシアネート化合物と、ポリカーボネート系ポリオール、ポリエーテル系ポリオール、ポリエステル系ポリオール、ポリオレフィン系ポリオール、アクリル系ポリオール、ビスフェノールA系アルキレンオキシド付加体ジオール、フェノール性ヒドロキシル基およびアルコール性ヒドロキシル基を有する化合物等のジオール化合物の重付加反応によるウレタン樹脂の末端に、酸無水物を反応させてなる末端カルボキシル基含有ウレタン樹脂。
【0026】
(7)ジイソシアネートと、ジメチロールプロピオン酸、ジメチロール酪酸等のカルボキシル基含有ジアルコール化合物と、ジオール化合物との重付加反応によるカルボキシル基含有ウレタン樹脂の合成中に、ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート等の分子中に1つの水酸基と1つ以上の(メタ)アクリロイル基を有する化合物を加え、末端(メタ)アクリル化したカルボキシル基含有ウレタン樹脂。
【0027】
(8)ジイソシアネートと、カルボキシル基含有ジアルコール化合物と、ジオール化合物との重付加反応によるカルボキシル基含有ウレタン樹脂の合成中に、イソホロンジイソシアネートとペンタエリスリトールトリアクリレートの等モル反応物等、分子中に1つのイソシアネート基と1つ以上の(メタ)アクリロイル基を有する化合物を加え、末端(メタ)アクリル化したカルボキシル基含有ウレタン樹脂。
【0028】
(9)(メタ)アクリル酸等の不飽和カルボン酸と、スチレン、α-メチルスチレン、低級アルキル(メタ)アクリレート、イソブチレン等の不飽和基含有化合物との共重合により得られるカルボキシル基含有感光性樹脂。
【0029】
(10)後述するような多官能オキセタン樹脂に、アジピン酸、フタル酸、ヘキサヒドロフタル酸等のジカルボン酸を反応させ、生じた1級の水酸基に、2塩基酸無水物を付加させたカルボキシル基含有ポリエステル樹脂に、さらにグリシジル(メタ)アクリレート、α-メチルグリシジル(メタ)アクリレート等の1分子中に1つのエポキシ基と1つ以上の(メタ)アクリロイル基を有する化合物を付加してなるカルボキシル基含有感光性樹脂。
【0030】
(11)上述した(1)~(10)のいずれかのカルボキシル基含有樹脂に、1分子中に環状エーテル基と(メタ)アクリロイル基を有する化合物を付加させたカルボキシル基含有感光性樹脂。
【0031】
なお、ここで(メタ)アクリレートとは、アクリレート、メタクリレートおよびそれらの混合物を総称する用語で、以下他の類似の表現についても同様である。
【0032】
カルボキシル基含有樹脂の酸価は、40~150mgKOH/gであることが好ましい。カルボキシル基含有樹脂の酸価が40mgKOH/g以上とすることにより、アルカリ現像が良好になる。また、酸価を150mgKOH/gを以下とすることで、正常なレジストパターンの描画をし易くできる。より好ましくは、50~130mgKOH/gである。
【0033】
上記したような(A)アルカリ可溶性樹脂の配合量は、全組成物中に、好ましくは5~60質量%、より好ましくは10~60質量%、さらに好ましくは20~60質量%、特に好ましくは30~50質量%である。5~60質量%の場合、塗膜強度が良好であり、組成物の粘性が適度で、塗布性等を向上できる。
【0034】
[(B)光重合開始剤]
(B)光重合開始剤としては、光重合開始剤や光ラジカル発生剤として公知のものであれば、いずれのものを用いることもできる。
【0035】
(B)光重合開始剤としては、例えば、ビス-(2,6-ジクロロベンゾイル)フェニルフォスフィンオキサイド、ビス-(2,6-ジクロロベンゾイル)-2,5-ジメチルフェニルフォスフィンオキサイド、ビス-(2,6-ジクロロベンゾイル)-4-プロピルフェニルフォスフィンオキサイド、ビス-(2,6-ジクロロベンゾイル)-1-ナフチルフォスフィンオキサイド、ビス-(2,6-ジメトキシベンゾイル)フェニルフォスフィンオキサイド、ビス-(2,6-ジメトキシベンゾイル)-2,4,4-トリメチルペンチルフォスフィンオキサイド、ビス-(2,6-ジメトキシベンゾイル)-2,5-ジメチルフェニルフォスフィンオキサイド、ビス-(2,4,6-トリメチルベンゾイル)-フェニルフォスフィンオキサイド等のビスアシルフォスフィンオキサイド類;2,6-ジメトキシベンゾイルジフェニルフォスフィンオキサイド、2,6-ジクロロベンゾイルジフェニルフォスフィンオキサイド、2,4,6-トリメチルベンゾイルフェニルフォスフィン酸メチルエステル、2-メチルベンゾイルジフェニルフォスフィンオキサイド、ピバロイルフェニルフォスフィン酸イソプロピルエステル、2,4,6-トリメチルベンゾイルジフェニルフォスフィンオキサイド(IGM社製Omnirad TPO)等のモノアシルフォスフィンオキサイド類;1-ヒドロキシ-シクロヘキシルフェニルケトン、1-[4-(2-ヒドロキシエトキシ)-フェニル]-2-ヒドロキシ-2-メチル-1-プロパン-1-オン、2-ヒドロキシ-1-{4-[4-(2-ヒドロキシ-2-メチル-プロピオニル)-ベンジル]フェニル}-2-メチル-プロパン-1-オン、2-ヒドロキシ-2-メチル-1-フェニルプロパン-1-オン等のヒドロキシアセトフェノン類;ベンゾイン、ベンジル、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインn-プロピルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンゾインn-ブチルエーテル等のベンゾイン類;ベンゾインアルキルエーテル類;ベンゾフェノン、p-メチルベンゾフェノン、ミヒラーズケトン、メチルベンゾフェノン、4,4’-ジクロロベンゾフェノン、4,4’-ビスジエチルアミノベンゾフェノン等のベンゾフェノン類;アセトフェノン、2,2-ジメトキシ-2-フェニルアセトフェノン、2,2-ジエトキシ-2-フェニルアセトフェノン、1,1-ジクロロアセトフェノン、1-ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2-メチル-1-[4-(メチルチオ)フェニル]-2-モルフォリノ-1-プロパノン、2-ベンジル-2-ジメチルアミノ-1-(4-モルフォリノフェニル)-ブタノン-1、2-(ジメチルアミノ)-2-[(4-メチルフェニル)メチル)-1-[4- (4-モルホリニル)フェニル]-1-ブタノン、N,N-ジメチルアミノアセトフェノン等のアセトフェノン類;チオキサントン、2-エチルチオキサントン、2-イソプロピルチオキサントン、2,4-ジメチルチオキサントン、2,4-ジエチルチオキサントン、2-クロロチオキサントン、2,4-ジイソプロピルチオキサントン等のチオキサントン類;アントラキノン、クロロアントラキノン、2-メチルアントラキノン、2-エチルアントラキノン、2-tert-ブチルアントラキノン、1-クロロアントラキノン、2-アミルアントラキノン、2-アミノアントラキノン等のアントラキノン類;アセトフェノンジメチルケタール、ベンジルジメチルケタール等のケタール類;エチル-4-ジメチルアミノベンゾエート、2-(ジメチルアミノ)エチルベンゾエート、p-ジメチル安息香酸エチルエステル等の安息香酸エステル類;1,2-オクタンジオン,1-[4-(フェニルチオ)-,2-(O-ベンゾイルオキシム)]、エタノン,1-[9-エチル-6-(2-メチルベンゾイル)-9H-カルバゾール-3-イル]-,1-(O-アセチルオキシム)等のオキシムエステル類;ビス(η5-2,4-シクロペンタジエン-1-イル)-ビス(2,6-ジフルオロ-3-(1H-ピロール-1-イル)フェニル)チタニウム、ビス(シクロペンタジエニル)-ビス[2,6-ジフルオロ-3-(2-(1-ピル-1-イル)エチル)フェニル]チタニウム等のチタノセン類;フェニルジスルフィド2-ニトロフルオレン、ブチロイン、アニソインエチルエーテル、アゾビスイソブチロニトリル、テトラメチルチウラムジスルフィド等を挙げることができる。これらの中でもモノアシルフォスフィンオキサイド類、オキシムエステル類が好ましく、2,4,6-トリメチルベンゾイルジフェニルフォスフィンオキサイド、エタノン,1-[9-エチル-6-(2-メチルベンゾイル)-9H-カルバゾール-3-イル]-,1-(O-アセチルオキシム)がより好ましい。(B)光重合開始剤は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0036】
(B)光重合開始剤の配合量は、(A)アルカリ可溶性樹脂100質量部対して、好ましくは0.01~30質量部、より好ましくは0.01~20質量部である。(B)光重合開始剤の配合量が、0.01質量部以上の場合、銅上での光硬化性が良好となり、塗膜が剥離しにくく、耐薬品性などの塗膜特性が良好となる。一方、(B)光重合開始剤の配合量が、30質量部以下の場合、(B)光重合開始剤の光吸収が良好となり、深部硬化性が向上する。
【0037】
[(C)分子量が300~1000の2個のエチレン性不飽和基を有する化合物]
本発明の硬化性樹脂組成物は、(C)分子量が300~1000の2個のエチレン性不飽和基を有する化合物(以下、化合物(C)ともいう)を必須成分として含むものである。
ここで、エチレン性不飽和基の数が1個の化合物の場合、光硬化の際に感度が低下してしまうため、指触乾燥性、柔軟性、折り曲げ性等が低下すると考えられ、エチレン性不飽和基の数が3個以上の場合、気泡が抜けにくくなってしまう。一方で、エチレン性不飽和基の数が2個で分子量が300未満の化合物であると指触乾燥性や金めっき耐性等が低下し、エチレン性不飽和基の数が2個で分子量が1000超であると気泡が抜けにくくなってしまう。
よって、本発明の硬化性樹脂組成物は、(A)成分、(B)成分および(D)成分とともに(C)分子量が300~1000の2個のエチレン性不飽和基を有する化合物を含む必要がある。
分子量が300~1000の2個のエチレン性不飽和基を有する化合物としては、脂肪族、芳香族、脂環式、または芳香脂肪族であってよく、例えば、エチレングリコール、メトキシテトラエチレングリコール、プロピレングリコール、1,3-プロパンジオール、ブタンジオール、ペンタンジール、ヘキサンジオール、ヘプタンジール、ヘキサンジオール、オクタンジオール、デカンジオール、ネオペンチルグリコールなどのグリコールのエチレンオキサイド付加物またはプロピレンオキサイド付加物のジアクリレート類;ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコールなどのグリコールまたはこれらのエチレンオキサイド付加物やプロピレンオキサイド付加物のジアクリレート類;及び/又はこれらのアクリレートに対応する各メタクリレート類等が挙げられる。具体的には、新中村化学工業社製APG-700、ダイセル・オルネクス社製EBECRYL145、新中村化学工業社製A-PTMG-65などを使用することができる。これらは、要求特性に合わせて、単独で、または、2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0038】
化合物(C)の分子量の好ましい範囲は350~950であり、より好ましくは350~900であり、特に好ましくは400~850である。分子量が300を下回ると硬化性樹脂組成物の取扱や塗布時に必要な粘度を確保することができず、分子量が1000を超えると十分な泡抜け性が得られない可能性がある。ここで、「泡抜け性」とは、基板に塗布された硬化性樹脂組成物中に発生した気泡の抜けやすさのことをいう。
【0039】
(C)分子量が300~1000の2個のエチレン性不飽和基を有する化合物の粘度は、泡抜け性の観点から、好ましくは、25℃において、15~200mPa・s、特に好ましくは20~150mPa・sである。この粘度は、JIS Z 8803に従って測定した粘度のことを指す。
【0040】
(C)分子量が300~1000の2個のエチレン性不飽和基を有する化合物の配合量は、固形分換算で、(A)アルカリ可溶性樹脂100質量部に対して、例えば、5~100質量部の割合であり、好ましくは5~70質量部、より好ましくは5~40質量部の割合である。(C)分子量が300~1000の2個のエチレン性不飽和基を有する化合物の配合量がこの範囲内であると、泡抜け性が特に向上し、その他の硬化性樹脂組成物に求められる無電解金めっき性、耐熱性、柔軟性、折り曲げ性等も更に向上する。特に、泡抜け性と指触乾燥性とのバランスの観点から(C)分子量が300~1000の2個のエチレン性不飽和基を有する化合物の配合量の下限値としては5質量部であることが好ましく、上限値としては40質量部である。
【0041】
[(D)熱硬化性成分]
本発明による光硬化性熱硬化性樹脂組成物に含まれる(D)熱硬化性成分としては、ブロックイソシアネート化合物、アミノ樹脂、マレイミド化合物、ベンゾオキサジン樹脂、カルボジイミド樹脂、シクロカーボネート化合物、多官能エポキシ化合物、多官能オキセタン化合物、エピスルフィド樹脂、メラミン誘導体などの公知慣用の熱硬化性樹脂が使用できる。これらの中でも好ましい熱硬化性成分は、1分子中に2個以上の環状エーテル基および環状チオエーテル基のいずれか少なくとも1種(以下、環状(チオ)エーテル基と略称する)を有する熱硬化性成分である。これら環状(チオ)エーテル基を有する熱硬化性成分は、市販されている種類が多く、その構造によって多様な特性を付与することができる。
【0042】
分子中に2つ以上の環状(チオ)エーテル基を有する熱硬化性成分は、分子中に3、4または5員環の環状エーテル基、または環状チオエーテル基のいずれか一方または2種類の基を2個以上有する化合物であり、例えば、分子中に少なくとも2つ以上のエポキシ基を有する化合物、すなわち多官能エポキシ化合物、分子中に少なくとも2つ以上のオキセタニル基を有する化合物、すなわち多官能オキセタン化合物、分子中に2個以上のチオエーテル基を有する化合物、すなわちエピスルフィド樹脂などが挙げられる。
【0043】
多官能エポキシ化合物としては、例えば、三菱ケミカル社製のjER828、jER834、jER1001、jER1004、DIC社製のEPICLON840、EPICLON850、EPICLON1050、EPICLON2055、新日鐵住友化学社製のエポトートYD-011、YD-013、YD-127、YD-128、ダウケミカル社製のD.E.R.317、D.E.R.331、D.E.R.661、D.E.R.664、住友化学社製のスミ-エポキシESA-011、ESA-014、ELA-115、ELA-128、旭化成社製のA.E.R.330、A.E.R.331、A.E.R.661、A.E.R.664等(何れも商品名)のビスフェノールA型エポキシ樹脂;三菱ケミカル社製のjERYL903、DIC社製のEPICLON152、EPICLON165、新日鐵住友化学社製のエポトートYDB-400、YDB-500、ダウケミカル社製のD.E.R.542、住友化学社製のスミ-エポキシESB-400、ESB-700、旭化成社製のA.E.R.711、A.E.R.714等(何れも商品名)のブロム化エポキシ樹脂;三菱ケミカル社製のjER152、jER154、ダウケミカル社製のD.E.N.431、D.E.N.438、DIC社製のEPICLONN-730、EPICLONN-770、EPICLONN-865、新日鐵住友化学社製のエポトートYDCN-701、YDCN-704、日本化薬社製のEPPN-201、EOCN-1025、EOCN-1020、EOCN-104S、RE-306、住友化学社製のスミ-エポキシESCN-195X、ESCN-220、旭化成社製のA.E.R.ECN-235、ECN-299等(何れも商品名)のノボラック型エポキシ樹脂;DIC社製のEPICLON830、三菱ケミカル社製jER807、新日鐵住友化学社製のエポトートYDF-170、YDF-175、YDF-2004等(何れも商品名)のビスフェノールF型エポキシ樹脂;新日鐵住友化学社製のエポトートST-2004、ST-2007、ST-3000(商品名)等の水添ビスフェノールA型エポキシ樹脂;三菱ケミカル社製のjER604、新日鐵住友化学社製のエポトートYH-434、住友化学社製のスミ-エポキシELM-120等(何れも商品名)のグリシジルアミン型エポキシ樹脂;株式会社ダイセル製のセロキサイド2021P等(商品名)の脂環式エポキシ樹脂;三菱ケミカル社製のYL-933、ダウケミカル社製のT.E.N.、EPPN-501、EPPN-502等(何れも商品名)のトリヒドロキシフェニルメタン型エポキシ樹脂;三菱ケミカル社製のYL-6056、YX-4000、YL-6121(何れも商品名)等のビキシレノール型もしくはビフェノール型エポキシ樹脂またはそれらの混合物;日本化薬社製EBPS-200、株式会社ADEKA社製EPX-30、DIC社製のEXA-1514(商品名)等のビスフェノールS型エポキシ樹脂;三菱ケミカル社製のjER157S(商品名)等のビスフェノールAノボラック型エポキシ樹脂;三菱ケミカル社製のjERYL-931等(商品名)のテトラフェニロールエタン型エポキシ樹脂;日産化学社製のTEPIC等(何れも商品名)の複素環式エポキシ樹脂;日本油脂社製ブレンマーDDT等のジグリシジルフタレート樹脂;新日鐵住友化学社製ZX-1063等のテトラグリシジルキシレノイルエタン樹脂;新日鐵化学社製ESN-190、ESN-360、DIC社製HP-4032、EXA-4750、EXA-4700等のナフタレン基含有エポキシ樹脂;DIC製HP-7200、HP-7200H等のジシクロペンタジエン骨格を有するエポキシ樹脂;日本油脂社製CP-50S、CP-50M等のグリシジルメタアクリレート共重合系エポキシ樹脂;さらにシクロヘキシルマレイミドとグリシジルメタアクリレートの共重合エポキシ樹脂;エポキシ変性のポリブタジエンゴム誘導体(例えば株式会社ダイセル製エポリード PB-3600等)、CTBN変性エポキシ樹脂(例えば新日鐵住友化学社製のYR-102、YR-450等)等が挙げられるが、これらに限られるものではない。これらのエポキシ樹脂は、1種または2種以上を組合せて用いることができる。これらの中でも、特にノボラック型エポキシ樹脂、変性ノボラック型エポキシ樹脂、複素環式エポキシ樹脂、ビキシレノール型エポキシ樹脂、ジシクロペンタジエン骨格を有するエポキシ樹脂またはそれらの混合物が好ましい。
【0044】
多官能オキセタン化合物としては、ビス[(3-メチル-3-オキセタニルメトキシ)メチル]エーテル、ビス[(3-エチル-3-オキセタニルメトキシ)メチル]エーテル、1,4-ビス[(3-メチル-3-オキセタニルメトキシ)メチル]ベンゼン、1,4-ビス[(3-エチル-3-オキセタニルメトキシ)メチル]ベンゼン、(3-メチル-3-オキセタニル)メチルアクリレート、(3-エチル-3-オキセタニル)メチルアクリレート、(3-メチル-3-オキセタニル)メチルメタクリレート、(3-エチル-3-オキセタニル)メチルメタクリレートやそれらのオリゴマーまたは共重合体等の多官能オキセタン類の他、オキセタンアルコールとノボラック樹脂、ポリ(p-ヒドロキシスチレン)、カルド型ビスフェノール類、カリックスアレーン類、カリックスレゾルシンアレーン類、またはシルセスキオキサンなどの水酸基を有する樹脂とのエーテル化物などが挙げられる。その他、オキセタン環を有する不飽和モノマーとアルキル(メタ)アクリレートとの共重合体なども挙げられる。
【0045】
分子中に2つ以上の環状チオエーテル基を有するエピスルフィド樹脂としては、例えば、三菱ケミカル社製のYL7000(ビスフェノールA型エピスルフィド樹脂)や、新日鐵住友化学(株)製YSLV-120TEなどが挙げられる。また、同様の合成方法を用いて、ノボラック型エポキシ樹脂のエポキシ基の酸素原子を硫黄原子に置き換えたエピスルフィド樹脂なども用いることができる。
【0046】
本発明では(D)熱硬化性成分として結晶性エポキシ化合物を使用することが好ましい。これにより泡抜け性の向上効果がより確実なものとなる。結晶性エポキシ化合物とは、結晶性の強いエポキシ樹脂を意味し、融点以下の温度では、高分子鎖が規則正しく配列し、固形樹脂でありながらも、溶融時には液状樹脂並みの低粘度となる熱硬化性のエポキシ樹脂をいう。また、結晶性エポキシ化合物に加えて、非結晶性エポキシ化合物を含んでいることも好ましい。結晶性エポキシ化合物と非結晶性エポキシ化合物を併用することにより、結晶性エポキシ化合物の分散性が向上し、はんだ耐熱性、柔軟性、折り曲げ性を向上させることができる。このような観点から結晶性エポキシ化合物と非結晶性エポキシ化合物との配合比率は、質量比で40:60~75:25であることが好ましい。
【0047】
結晶性エポキシ化合物としては、ビフェニル構造、スルフィド構造、フェニレン構造、ナフタレン構造等を有する結晶性エポキシ樹脂を用いることができる。ビフェニルタイプのエポキシ樹脂は、例えば、三菱ケミカル社製「jER(登録商標)YX4000」、「jER(登録商標)YX4000H」、「jER(登録商標)YL6121H」、「jER(登録商標)YL6640」、「jER(登録商標)YL6677」として提供されており、ジフェニルスルフィド型エポキシ樹脂は、例えば、新日鐵住友化学社製「エポトート(登録商標)YSLV-120TE」として提供されており、フェニレン型エポキシ樹脂は、例えば、新日鐵住友化学社製「エポトート(登録商標)YDC-1312」として提供されており、ナフタレン型エポキシ樹脂は、例えば、DIC社製「EPICLON(登録商標)HP-4032」、「EPICLON(登録商標)HP-4032D」、「EPICLON(登録商標)HP-4700」として提供されている。また、結晶性エポキシ樹脂として新日鐵住友化学社製「エポトート(登録商標)YSLV-90C」、日産化学社製「TEPIC-S」(トリグリシジルイソシアヌレート)を用いることもできる。この中でもはんだ耐熱性の特性に優れることより、ビフェニル型のエポキシ樹脂である三菱ケミカル社製「jER(登録商標)YX4000」が好ましい。本発明の樹脂組成物においては、これらを1種単独で用いてもよいが、2種以上を併用してもよい。
【0048】
熱硬化性成分の配合量は、固形分基準で(A)アルカリ可溶性樹脂100質量部に対して10~100質量部が好ましい。特に、分子中に2つ以上の環状(チオ)エーテル基を有する熱硬化性成分の配合量は、固形分基準で(A)アルカリ可溶性樹脂のカルボキシル基1当量に対して、環状(チオ)エーテル基が、好ましくは0.5~3.0当量、より好ましくは、0.8~2.5当量となる範囲である。熱硬化性成分の配合量が上記範囲であると、耐熱性、耐アルカリ性、電気絶縁性、硬化被膜の強度などが良好である。
【0049】
[その他の成分]
本発明の硬化性樹脂組成物は、消泡剤を配合してもよい。消泡剤としては、例えば、シリコン系消泡剤、非シリコン系消泡剤等が挙げられるが、中でも、現像液の汚染を低減できることや、シルク(マーキングインキ)の密着性不良を引き起こしにくいとの観点から、非シリコン系消泡剤を用いることが好ましい。消泡剤は、1種を用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0050】
シリコン系消泡剤としては、例えば、KS-66(信越化学工業(株)製)等が挙げられる。非シリコン系消泡剤としては、FOAMKILLER NSI-0.00(青木油脂工業(株)製)等が挙げられる。
【0051】
消泡剤の配合量は、固形分換算で、(A)アルカリ可溶性樹脂100質量部に対して、0.01~30.00質量部であることが好ましい。
【0052】
本発明の硬化性樹脂組成物は、着色剤を配合してもよい。着色剤の具体例としては、フタロシアニン・ブルー、フタロシアニン・グリーン、アイオジン・グリーン、ジスアゾイエロー、ロイコクリスタルバイオレット、カーボンブラック、ナフタレンブラック、ソルベント・ブルー等が挙げられる。着色剤は、1種を用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0053】
また、本発明の硬化性樹脂組成物には、組成物の調製や、基板やキャリアフィルムに塗布する際の粘度調整等の目的で、有機溶剤を含有させることができる。有機溶剤としては、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン類;トルエン、キシレン、テトラメチルベンゼン等の芳香族炭化水素類;セロソルブ、メチルセロソルブ、ブチルセロソルブ、カルビトール、メチルカルビトール、ブチルカルビトール、プロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、トリプロピレングリコールモノメチルエーテル等のグリコールエーテル類;酢酸エチル、酢酸ブチル、乳酸ブチル、セロソルブアセテート、ブチルセロソルブアセテート、カルビトールアセテート、ブチルカルビトールアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ジプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、炭酸プロピレン等のエステル類;オクタン、デカン等の脂肪族炭化水素類;石油エーテル、石油ナフサ、ソルベントナフサ等の石油系溶剤など、公知慣用の有機溶剤が使用できる。これらの有機溶剤は、単独で、または二種類以上組み合わせて用いることができる。
【0054】
本発明の硬化性樹脂組成物には、更に、電子材料の分野において公知慣用の他の添加剤を配合してもよい。他の添加剤としては、熱重合禁止剤、紫外線吸収剤、シランカップリング剤、可塑剤、難燃剤、帯電防止剤、老化防止剤、抗菌・防黴剤、レベリング剤、増粘剤、密着性付与剤、チキソ性付与剤、光開始助剤、増感剤、光塩基発生剤、熱可塑性樹脂、エラストマー、ウレタンビーズなどの有機フィラー、無機フィラー、離型剤、表面処理剤、分散剤、分散助剤、表面改質剤、安定剤、蛍光体、セルロース樹脂等が挙げられる。
【0055】
上述したように、本発明の硬化性樹脂組成物は、0.2mlの硬化性樹脂組成物を2枚の直径35mmのステンレス板センサーで挟み、これを25℃で60秒間放置した後に、せん断応力を0.0001Paから1.0E+4Paの応力に変化させた場合の粘度変化量が、20Pa以下である。せん断応力による粘度変化の幅が小さいことで泡抜け性が向上する。上記の粘度変化量は10Pa以下であることが更に好ましい。
【0056】
本発明の硬化性樹脂組成物は、ドライフィルム化して用いても液状として用いてもよい。液状として用いる場合は、1液性でも2液性以上でもよい。
【0057】
本発明のドライフィルムは、キャリアフィルム上に、本発明の硬化性樹脂組成物を塗布、乾燥させることにより得られる樹脂層を有する。ドライフィルムを形成する際には、まず、本発明の硬化性樹脂組成物を上記有機溶剤で希釈して適切な粘度に調整した上で、コンマコーター、ブレードコーター、リップコーター、ロッドコーター、スクイズコーター、リバースコーター、トランスファロールコーター、グラビアコーター、スプレーコーター等により、キャリアフィルム上に均一な厚さに塗布する。その後、塗布された組成物を、通常、50~130℃の温度で1~30分間乾燥することで、樹脂層を形成することができる。塗布膜厚については特に制限はないが、一般に、乾燥後の膜厚で、10~150μm、好ましくは20~60μmの範囲で適宜選択される。
【0058】
キャリアフィルムとしては、プラスチックフィルムが用いられ、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)等のポリエステルフィルム、ポリイミドフィルム、ポリアミドイミドフィルム、ポリプロピレンフィルム、ポリスチレンフィルム等を用いることができる。キャリアフィルムの厚さについては特に制限はないが、一般に、10~150μmの範囲で適宜選択される。
【0059】
キャリアフィルム上に本発明の硬化性樹脂組成物からなる樹脂層を形成した後、膜の表面に塵が付着することを防ぐ等の目的で、さらに、膜の表面に、剥離可能なカバーフィルムを積層することが好ましい。剥離可能なカバーフィルムとしては、例えば、ポリエチレンフィルムやポリテトラフルオロエチレンフィルム、ポリプロピレンフィルム、表面処理した紙等を用いることができる。カバーフィルムとしては、カバーフィルムを剥離するときに、樹脂層とキャリアフィルムとの接着力よりも小さいものであればよい。
【0060】
なお、本発明においては、上記カバーフィルム上に本発明の硬化性樹脂組成物を塗布、乾燥させることにより樹脂層を形成して、その表面にキャリアフィルムを積層するものであってもよい。すなわち、本発明においてドライフィルムを製造する際に本発明の硬化性樹脂組成物を塗布するフィルムとしては、キャリアフィルムおよびカバーフィルムのいずれを用いてもよい。
【0061】
本発明の硬化性組成物を用いて硬化物を形成するには、その組成物を基板上に塗布し、溶剤を揮発乾燥した後に得られた樹脂層に対し、露光(光照射)を行うことにより、露光部(光照射された部分)が硬化する。具体的には、接触式または非接触方式により、パターンを形成したフォトマスクを通して選択的に活性エネルギー線により露光、もしくは、レーザーダイレクト露光機により直接パターン露光して、未露光部をアルカリ水溶液(例えば、0.3~3質量%炭酸ソーダ水溶液)により現像することにより、レジストパターンが形成される。さらに約100~180℃の温度に加熱して熱硬化(ポストキュア)させることにより、耐熱性、耐薬品性、耐吸湿性、密着性、電気特性等の諸特性に優れた硬化皮膜(硬化物)を形成することができる。
【0062】
本発明の硬化性樹脂組成物は、例えば、上記有機溶剤を用いて塗布方法に適した粘度に調整して、基材上に、ディップコート法、フローコート法、ロールコート法、バーコーター法、スクリーン印刷法、カーテンコート法等の方法により塗布した後、約60~100℃の温度で組成物中に含まれる有機溶剤を揮発乾燥(仮乾燥)させることで、タックフリーの樹脂層を形成することができる。また、上記組成物をキャリアフィルムまたはカバーフィルム上に塗布し、乾燥させてフィルムとして巻き取ったドライフィルムの場合、ラミネーター等により本発明の組成物の層が基材と接触するように基材上に貼り合わせた後、キャリアフィルムを剥がすことにより、樹脂層を形成できる。
【0063】
上記基材としては、あらかじめ銅等により回路形成されたプリント配線板やフレキシブルプリント配線板の他、紙フェノール、紙エポキシ、ガラス布エポキシ、ガラスポリイミド、ガラス布/不繊布エポキシ、ガラス布/紙エポキシ、合成繊維エポキシ、フッ素樹脂・ポリエチレン・ポリフェニレンエーテル,ポリフェニレンオキシド・シアネート等を用いた高周波回路用銅張積層板等の材質を用いたもので、全てのグレード(FR-4等)の銅張積層板、その他、金属基板、ポリイミドフィルム、PETフィルム、ポリエチレンナフタレート(PEN)フィルム、ガラス基板、セラミック基板、ウエハ板等を挙げることができる。
【0064】
上記揮発乾燥又は熱硬化は、熱風循環式乾燥炉、IR炉、ホットプレート、コンベクションオーブン等(蒸気による空気加熱方式の熱源を備えたものを用いて乾燥機内の熱風を向流接触せしめる方法およびノズルより支持体に吹き付ける方式)を用いて行うことができる。
【0065】
上記活性エネルギー線照射に用いられる露光機としては、高圧水銀灯ランプ、超高圧水銀灯ランプ、メタルハライドランプ、水銀ショートアークランプ等を搭載し、350~450nmの範囲で紫外線を照射する装置であればよく、さらに、直接描画装置(例えば、コンピューターからのCADデータにより直接レーザーで画像を描くレーザーダイレクトイメージング装置)も用いることができる。直描機のランプ光源またはレーザー光源としては、最大波長が350~410nmの範囲にあるものでよい。画像形成のための露光量は膜厚等によって異なるが、一般には20~1000mJ/cm、好ましくは20~800mJ/cmの範囲内とすることができる。
【0066】
上記現像方法としては、ディッピング法、シャワー法、スプレー法、ブラシ法等によることができ、現像液としては、水酸化カリウム、水酸化ナトリウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、リン酸ナトリウム、ケイ酸ナトリウム、アンモニア、アミン類等のアルカリ水溶液が使用できる。
【0067】
本発明の硬化性樹脂組成物は、パッケージ基板などのプリント配線板上に硬化被膜(硬化物)を形成するために好適に使用され、より好適には、永久皮膜を形成するために使用され、さらに好適には、ソルダーレジスト、層間絶縁層、カバーレイを形成するために、特に好適にはソルダーレジストを形成するために使用される。また、車載用途等の高温状態に晒されるプリント配線板のソルダーレジスト等の永久被膜の形成に好適に使用できる。
【0068】
また、本発明は、本発明の硬化性樹脂組成物を硬化してなる硬化物、及びその硬化物を有する電子部品も提供する。本発明の硬化性樹脂組成物を用いることで、品質、耐久性及び信頼性の高い電子部品が提供される。なお、本発明において電子部品とは、電子回路に使用する部品を意味し、プリント配線板、トランジスタ、発光ダイオード、レーザーダイオード等の能動部品の他抵抗、コンデンサ、インダクタ、コネクタ等の受動部品も含まれ、本発明の硬化性組成物の硬化物がこれらの絶縁性硬化塗膜として、本発明の効果を奏するものである。
【0069】
本発明の硬化性樹脂組成物は泡抜け性に優れるため、特に、ハイブリッド自動車などに使用される高電圧回路用のプリント配線板の製造に好適に使用することができる。すなわち、課題の欄に記載したように、高電圧回路用のプリント配線板の回路パターンは、従来のプリント配線板に形成される回路パターンよりも厚く形成されるため、従来の硬化性樹脂組成物を塗布した場合に気泡が抜けにくくなる場合があるが、本発明の硬化性樹脂組成物は泡抜け性に優れるため、高電圧回路用のプリント配線板の製造に好適に使用することができる。なお、本発明において、高電圧とは200V以上のことをいう。高電圧回路のプリント配線板の回路パターン(銅などから形成される)の厚さは、例えば、60μm以上、特に70~100μmである。
【実施例
【0070】
以下、実施例、比較例により本発明をさらに詳細に説明するが、本発明は実施例、比較例により制限されるものではない。なお、配合量を表す部は、特に記載が無い限り、質量部である。
【0071】
<組成物の調製>
表1に示す成分を攪拌機にて予備混合した後、3本ロールミルで混練し、硬化性樹脂組成物を調製した。
【0072】
【表1】
【0073】
<合成例>
表中のアルカリ可溶性樹脂*3は以下のように合成した。
[アルカリ可溶性樹脂*3の合成]
冷却管、攪拌機を備えたフラスコに、ビスフェノールA456部、水228部、37%ホルマリン649部を仕込み、40℃以下の温度を保ち、25%水酸化ナトリウム水溶液228部を添加した、添加終了後50℃で10時間反応した。反応終了後40℃まで冷却し、40℃以下を保ちながら37.5%リン酸水溶液でpH4まで中和した。その後静置し水層を分離した。分離後メチルイソブチルケトン300部を添加し均一に溶解した後、蒸留水500部で3回洗浄し、50℃以下の温度で減圧下、水、溶媒等を除去した。得られたポリメチロール化合物をメタノール550部に溶解し、ポリメチロール化合物のメタノール溶液1230部を得た。
得られたポリメチロール化合物のメタノール溶液の一部を真空乾燥機中室温で乾燥したところ、固形分が55.2%であった。
冷却管、攪拌機を備えたフラスコに、得られたポリメチロール化合物のメタノール溶液500部、2,6-キシレノール440部を仕込み、50℃で均一に溶解した。均一に溶解した後50℃以下の温度で減圧下メタノールを除去した。その後シュウ酸8部を加え、100℃で10時間反応した。反応終了後180℃、50mmHgの減圧下で溜出分を除去し、ノボラック樹脂A550部を得た。
温度計、窒素導入装置兼アルキレンオキシド導入装置および撹拌装置を備えたオートクレーブに、ノボラック樹脂A130部、50%水酸化ナトリウム水溶液2.6部、トルエン/メチルイソブチルケトン(質量比=2/1)100部を仕込み、撹拌しつつ系内を窒素置換し、次に加熱昇温し、150℃、8kg/cmでプロピレンオキシド60部を徐々に導入し反応させた。反応はゲージ圧0.0kg/cmとなるまで約4時間を続けた後、室温まで冷却した。この反応溶液に3.3部の36%塩酸水溶液を添加混合し、水酸化ナトリウムを中和した。この中和反応生成物をトルエンで希釈し、3回水洗し、エバポレーターにて脱溶剤して、水酸基価が189g/eq.であるノボラック樹脂Aのプロピレンオキシド付加物を得た。これは、フェノール性水酸基1当量当りプロピレンオキシドが平均1モル付加しているものであった。
得られたノボラック樹脂Aのプロピレンオキシド付加物189部、アクリル酸36部、p-トルエンスルホン酸3.0部、ハイドロキノンモノメチルエーテル0.1部、トルエン140部を撹拌機、温度計、空気吹き込み管を備えた反応器に仕込み、空気を吹き込みながら攪拌して、115℃に昇温し、反応により生成した水をトルエンと共沸混合物として留去しながら、さらに4時間反応させたのち、室温まで冷却した。得られた反応溶液を5%NaCl水溶液を用いて水洗し、減圧留去にてトルエンを除去したのち、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテートを加えて、固形分67%のアクリレート樹脂溶液を得た。
次に、撹拌器および還流冷却器の付いた4つ口フラスコに、得られたアクリレート樹脂溶液322部、ハイドロキノンモノメチルエーテル0.1部、トリフェニルホスフィン0.3部を仕込み、この混合物を110℃に加熱し、テトラヒドロ無水フタル酸60部を加え、4時間反応させ、冷却後、取り出した。このようにして得られた感光性のカルボキシル基含有樹脂溶液は、固形分70%、固形分酸価81mgKOH/gであった。以下、このカルボキシル基含有感光性樹脂の溶液をアルカリ可溶性樹脂溶液*3と称す。
【0074】
*1:ビスフェノールF型酸変性エポキシアクリレート樹脂(固形分65%)、日本化薬社製ZFR-1401H
*2:複合系酸変性エポキシアクリレート樹脂(固形分52%)、日本化薬社製UXE-3000
*3:上記合成例
*4:ポリプロピレングリコール(#700)ジアクリレート、粘度68mPa・s(25℃)、新中村化学工業社製APG-700
*5:PO変性ネオペンチルグリコールジアクリレート、粘度20mPa・s(25℃)、ダイセル・オルネクス社製EBECRYL145
*6:ポリテトラメチレングリコール#650ジアクリレート、粘度140mPa・s(25℃)、新中村化学工業社製A-PTMG-65
*7:1,10-デカンジオールジアクリレート、粘度10mPa・s(25℃)、新中村化学工業社製A-DOD-N
*8:エトキシ化グリセリントリアクリレート、新中村化学工業社製A-GLY-20E
*9:ビフェニル型結晶性エポキシ化合物、三菱ケミカル社製YX-4000
*10:非結晶性エポキシ化合物、新日鐵住金化学HP-7200L CA85
*11:非結晶性エポキシ化合物、新日鐵住金化学YDF-2001 CA75
*12:EASTMAN製CAP-504-0.2DPM30
*13:ビス(η5-2,4-シクロペンタジエン-1-イル)-ビス(2,6-ジフルオロ-3-(1H-ピロール-1-イル)-フェニル)チタニウム、BASF製JMT-784
*14:2-メチル-1-[4-(メチルチオ)フェニル]-2-モルホリノプロパン-1-オン、IGM Resins B.V.製Omnirad 369E
*15:クライアントケミカルズ社製エクソリットOP-935
*16:ジメチコンとケイ酸の混合物、信越シリコーン社製シメチコンKS-66
*17:ジプロピレングリコールメチルエーテル
【0075】
<硬化物形成条件>
乾燥:80℃30分、露光:DI200mJ/cm、ポストキュア:150℃60分。
<評価方法>
(1)泡抜け性
Cu厚70μmの回路パターンが形成された基板に調製した組成物をスクリーン印刷法で塗布し、印刷直後から一定時間(約10~15分)を放置後に、一定面積(50mm*50mm)内において回路間にある泡の数が印刷直後から放置後までに泡が減少した率を確認した。
発生時より減少率が30%以下であるものを×とし、30%超50%以下であるものを△とし、50%超70%以下を○とし、70%超90%以下を◎とした。
【0076】
(2)指触乾燥性
上記の組成物を、それぞれパターン形成された銅箔基板上にスクリーン印刷法で全面塗布し、80℃の熱風循環式乾燥炉で30分間乾燥後、光硬化させた基板にPETフィルムを押し当て、60秒後、ネガフィルムを剥がした時のフィルムの張り付き状態を評価した。
フィルムを剥がすときに、抵抗があり、塗膜が剥がれてしまうものを×とし、フィルムを剥がすときに、抵抗があり、塗膜にはっきり跡がついているものを△とし、フィルムを剥がすときに、全く抵抗がないが、塗膜に跡が少しついているものを○とし、フィルムを剥がすときに、全く抵抗がなく、塗膜に跡が残らないものを◎とした。
【0077】
(3)無電解金めっき
PI基材のCu厚70μmの回路パターンが形成された基板に実施例と比較例の組成物を上記の基板作製条件で塗布し硬化したものをNi3.00μm以上、Au0.030μm以上の無電解金めっき処理し、テープピール試験時に皮膜剥がれを評価した。
剥がれ部が5か所以上であるものを×とし、3~4か所であるものを△とし、1~2か所であるものを○とし、剥がれがなかったものを◎とした。
【0078】
(4)はんだ耐熱性
PI基材のCu厚70μmの回路パターンが形成された基板に実施例と比較例の組成物を上記の基板作製条件で塗布し硬化したものをIPAフラックスで塗布して288℃のはんだ曹でDipし、10秒3回かけた後にテープピールし、皮膜剥がれを評価した。
剥がれや膨れ発生部が5か所以上であるものを×とし、3~4か所であるものを△とし、1~2か所であるものを○とし、剥がれがなかったものを◎とした。
【0079】
(5)柔軟性
実施例と比較例の組成物を上記基板作製条件で膜厚が50±5μmよう塗布し、硬化した塗膜を基材から剥がし、引張試験機を用いて、速度1mm/minで引張、試料が切断(破断)したときの伸び率を以下の式によって算出し、柔軟性を評価した。
*引張伸び(%)=100×(L-Lo)/Lo
*Lo:試験前の試料長さ L:破断時の試料長さ
3%以下であるものを×とし、3%超5%以下であるものを△とし、5%超10%以下を○とし、10%超を◎とした。
【0080】
(6)折り曲げ性
PI基材に実施例と比較例の組成物をスクリーン印刷法で膜厚20μmになるよう塗布し、乾燥後、上記露光量で光硬化させたサンプルを3インチ円柱に曲げたり、180°で折ったりすることで表面が剥がれるかを評価した。
全て剥離したものを×とし、一部が剥離したものを△とし、全く剥離しなかったものを○とした。
【0081】
(7)難燃性
PI基材に上記条件で塗布し硬化したフィルム試験片(200±5×50±1×t mm)を円筒状に巻き、クランプに垂直に取付け、20mm炎による3秒間接炎を2回行い、その燃焼挙動により以下の表に示すVTM-0、VTM-1、VTM-2、Notの判定を行った。
VTM-2であったものを×とし、VTM-1であったものを△とし、VTM-0であったものを○とした。
【0082】
【表2】
【0083】
(8)電気特性
FP4基材に上記条件で膜厚50±5μmになるよう塗布、硬化し、耐電圧試験装置を用い電圧をかけていき、絶縁性が失ったときの電圧を測定した。
3.0kV以下であったものを×とし、3.0超4.0kV以下であったものを△とし、4.0超5.0kV以下であったものを○とした。
【0084】
(9)粘度-1
上記の各実施例と比較例の組成物をコーンプレート型粘度計にて室温測定で5rpm回転時の粘度を評価した。
150mPa・sを超えたものを×とし、150~120mPa・sであったものを△とし、120mPa・s未満100mPa・s以上であったものを◎とし、100mPa・s未満70mPa・s以上であったものを△とした。
【0085】
(10)粘度-2
粘度-1と同様の方法で、コーンプレート型粘度計にて室温測定で5rpm回転時の粘度と50rpm回転時の粘度をそれぞれ測定し、比較チクソ値(5rpm/50rpm)を評価した。
1.5以上であったものを×とし、1.3以上1.5未満であったものを△とし、1.1以上1.3未満であったものを◎とした。
【0086】
(11)粘度-3
各組成物を動的粘弾性測定装置:RS6000(RheoStress RS6000)を使用し、上側直径35mmの1°カットされたステンレス板センサーと下側直径35mmの同質の平行板の間に挟み、1Hzのオシレーションモードにて25℃で60秒間放置した後に、せん断応力を0.001Paから1.0E+4Paに変化させた場合の粘度変化量を評価した。
せん断応力時の粘度がMAX値とMIN値の差が100Pa超であったものを×とし、50Pa超100Pa以下であったものを△とし、50Pa以下20Pa超であったものを○とし、20Pa以下であったものを◎とした。
【0087】
<評価結果>
上記表1に示す結果から、本発明で定義される所定の成分を含み、且つ粘度-3の評価が20Pa以下である実施例1~6の硬化性樹脂組成物は、泡抜け性に優れるとともに、指触乾燥性、無電解金めっき特性、はんだ耐熱性、柔軟性、折り曲げ性、難燃性、電気特性も優れていることが認められた。
一方、比較例1及び2では、泡抜け性に劣るだけでなく、指触乾燥性、無電解金めっき特性、はんだ耐熱性、柔軟性、折り曲げ性にも劣ることが認められた。