(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-18
(45)【発行日】2023-12-26
(54)【発明の名称】保護コーティングを有するプロセスチャンバプロセスキット
(51)【国際特許分類】
H01L 21/3065 20060101AFI20231219BHJP
H01L 21/31 20060101ALI20231219BHJP
【FI】
H01L21/302 101G
H01L21/302 101C
H01L21/31 C
(21)【出願番号】P 2020568515
(86)(22)【出願日】2019-05-21
(86)【国際出願番号】 US2019033259
(87)【国際公開番号】W WO2019240915
(87)【国際公開日】2019-12-19
【審査請求日】2022-05-20
(32)【優先日】2018-06-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】390040660
【氏名又は名称】アプライド マテリアルズ インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】APPLIED MATERIALS,INCORPORATED
【住所又は居所原語表記】3050 Bowers Avenue Santa Clara CA 95054 U.S.A.
(74)【代理人】
【識別番号】110002077
【氏名又は名称】園田・小林弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】ウー, ジアン
(72)【発明者】
【氏名】リウ, ウェイ
(72)【発明者】
【氏名】ワーン, リンリン
(72)【発明者】
【氏名】グアリーニ, テレサ クレーマー
(72)【発明者】
【氏名】ビーバン, マルコム
(72)【発明者】
【氏名】ハウリルチャック, ララ
【審査官】加藤 芳健
(56)【参考文献】
【文献】特表2016-525287(JP,A)
【文献】特開平11-238722(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/3065
H01L 21/31
H05H 1/46
C23C 16/50
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
プラズマ処理チャンバ内で使用されるチャンバコンポーネントであって、
粗い非平面表面を含む金属ベース材料であって、前記粗い非平面表面が、
0.102μm(4マイクロインチ
)から
2.03μm(80マイクロインチ
)の間の平均表面粗さ(Ra)を有する、金属ベース材料と、
前記粗い非平面表面上に形成され
たシリカコーティング
と、を含み、
前記シリカコーティングが、前記粗い非平面表面のRaよりも小さいRaを有する表面
を有し、
前記シリカコーティングが、約0.2ミクロンから約10ミクロンの間の厚さ
を有し、
前記シリカコーティングが、体積で1%未満の多孔
度を有し、
前記形成されたシリカコーティングの前記表面が、2E
12atoms/cm
2未満のアルミニウムを含有する
ように、前記形成されたシリカコーティングが、前記金属ベース材料から前記形成されたシリカコーティングにアルミニウム原子が浸出することを阻止する、
チャンバコンポーネント。
【請求項2】
前記金属ベース材料が、アルミニウムを含む、請求項1に記載のチャンバコンポーネント。
【請求項3】
前記金属ベース材料が、ガス分配シャワーヘッドを含む、請求項1に記載のチャンバコンポーネント。
【請求項4】
前記金属ベース材料が、ノズルアセンブリを含む、請求項1に記載のチャンバコンポーネント。
【請求項5】
前記金属ベース材料が、バッフルを含む、請求項1に記載のチャンバコンポーネント。
【請求項6】
前記金属ベース材料が、ライナーを含む、請求項1に記載のチャンバコンポーネント。
【請求項7】
前記ライナーが、カソードライナーを含む、請求項6に記載のチャンバコンポーネント。
【請求項8】
プラズマ処理環境で使用するためのチャンバコンポーネントを製造するための方法であって、
粗い非平面表面を含む金属ベース材料から前記チャンバコンポーネントの本体を形成することと、
前記本体上
の、前記粗い非平面表面の上にシリカの層を
形成することと、
前記シリカの層および前記金属ベース材料を加熱することと、
を含み、
前記シリカの層が、
前記粗い非平面表面のRa表面粗さよりも小さいRa表面粗さを有する表面
を有し、
前記シリカの層が、約0.2ミクロンから約10ミクロンの間の厚さ
を有し、
前記シリカの層が、体積で1%未満の多孔
度を有し、
形成された前記シリカの層の前記表面が、2E
12atoms/cm
2未満のアルミニウムを含有する
ように、前記形成されたシリカの層が、前記金属ベース材料から前記形成されたシリカの層にアルミニウム原子が浸出することを阻止する、
方法。
【請求項9】
前記金属ベース材料が、アルミニウムを含
み、前記粗い非平面表面のRa表面粗さが、0.102μm(4マイクロインチ)から2.03μm(80マイクロインチ)の間である、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記金属ベース材料が、ガス分配シャワーヘッドを含む、請求項8に記載の方法。
【請求項11】
前記金属ベース材料が、ノズルアセンブリを含む、請求項8に記載の方法。
【請求項12】
前記金属ベース材料が、バッフルを含む、請求項8に記載の方法。
【請求項13】
前記金属ベース材料が、ライナーを含む、請求項8に記載の方法。
【請求項14】
前記ライナーが、カソードライナーを含む、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
方法であって、窒素または酸素を含むプラズマで、
粗い非平面表面を含む金属ベース材料であって、前記粗い非平面表面が、
0.102μm(4マイクロインチ
)から
2.03μm(80マイクロインチ
)の間の平均表面粗さ(Ra)を有する、金属ベース材料と、
前記粗い非平面表面上に形成された平面シリカコーティング
とを含む、チャンバコンポーネントを含むプロセスチャンバをプラズマ処理することであって、前記平面シリカコーティングが、前記粗い非平面表面のRaよりも小さいRaを有する表面
を有し、前記平面シリカコーティングが、約0.2ミクロンから約10ミクロンの間の厚さ
を有し、前記平面シリカコーティングが、体積で1%未満の多孔
度を有し、
且つ、前記形成された平面シリカコーティングの前記表面が、2E
12atoms/cm
2未満のアルミニウムを含有する
ように、前記形成された平面シリカコーティングが、前記金属ベース材料から前記形成された平面シリカコーティングにアルミニウム原子が浸出することを阻止する、プロセスチャンバ
をプラズマ処理することと、
基板であって、スタックが前記基板上に配置されている基板を、前記プロセスチャンバ内に配置することと、
前記基板上に配置された前記スタックを、プラズマ処理することと、
を含む方法。
【請求項16】
前記粗い非平面表面は前記金属ベース材料の金属表面であり、前記形成されたシリカコーティングの前記表面は、0atoms/cm
2
を上回るアルミニウムを含有する、請求項1から7のいずれか一項に記載のチャンバコンポーネント。
【請求項17】
前記粗い非平面表面はくぼみを有し、前記シリカコーティングが前記くぼみを埋め、
前記シリカコーティングは完全に結晶化される、請求項1から7のいずれか一項に記載のチャンバコンポーネント。
【請求項18】
前記粗い非平面表面は前記金属ベース材料の金属表面であり、前記形成されたシリカの層の前記表面は、0atoms/cm
2
を上回るアルミニウムを含有する、請求項8から14のいずれか一項に記載の方法。
【請求項19】
前記粗い非平面表面は前記金属ベース材料の金属表面であり、前記形成された平面シリカコーティングの前記表面は、0atoms/cm
2
を上回るアルミニウムを含有する、請求項15に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[0001]本開示は、一般に、プラズマ処理チャンバ装置で使用するためのツールおよびコンポーネントに関する。より具体的には、本開示は、腐食性プラズマ環境に耐性のあるプラズマ処理チャンバコンポーネントを製造するための方法に関する。
【背景技術】
【0002】
[0001]半導体処理には、様々な化学的および物理的プロセスが含まれ、それらにより、基板上に微細な集積回路が作製される。集積回路を構成する材料の層は、化学気相堆積、物理気相堆積、エピタキシャル成長などによって作製される。材料の層のいくつかは、フォトレジストマスクと、ウェットまたはドライエッチング技術を使用して、パターニングされる。集積回路を形成するために利用される基板は、シリコン、ヒ化ガリウム、リン化インジウム、ガラス、または他の適切な材料であり得る。
【0003】
[0002]典型的な半導体処理チャンバは、プロセスゾーンを画定するチャンバ本体、ガス供給部からプロセスゾーンにガスを供給するように適合されたガス分配アセンブリ、基板支持アセンブリ上に配置された基板を処理するためにプロセスガスにエネルギーを与えるために利用されるガスエナジャイザー、例えばプラズマ発生器、およびガス排気部を含む。プラズマ処理中、エネルギーを与えられたガスは、処理チャンバコンポーネント、例えば処理中に基板を保持する静電チャック、の露出部分をエッチングおよび侵食するイオンおよび反応性の高い種で、多くの場合、構成される。さらに、処理副生成物が、通常、反応性の高いフッ素で定期的に洗浄されるチャンバコンポーネントに堆積することが多い。チャンバ本体内から処理副生成物を除去するために使用されるインシトゥ(その場)洗浄手順が、処理チャンバコンポーネントの完全性を、さらに侵食する可能性がある。処理中および洗浄中の反応種からの攻撃は、チャンバコンポーネントの寿命を縮め、保守頻度を高める。さらに、チャンバコンポーネントの侵食された部分からのフレークは、基板処理中に粒子汚染の原因となる可能性がある。さらに、チャンバコンポーネントのベース材料からの微量金属が、チャンバコンポーネントから浸出して、基板を汚染する可能性がある。したがって、チャンバコンポーネントは、一般に、いくつかのプロセスサイクルの後に、かつチャンバコンポーネントが基板処理中に一貫性のないまたは望ましくない特性を提供する前に、交換される。しかしながら、チャンバコンポーネントを頻繁に交換すると、処理チャンバの耐用年数が短くなり、チャンバのダウンタイムが長くなり、メンテナンスの頻度が高くなり、基板の歩留まりが低下する。
【0004】
[0003]したがって、プラズマ処理チャンバ環境に対してより耐性のあるチャンバコンポーネントを形成するための改善された方法が必要である。
【発明の概要】
【0005】
[0004]本明細書に記載の実施形態は、一般に、プラズマプロセスチャンバ用のチャンバコンポーネントを製造するための方法および装置に関する。一実施形態において、プラズマ処理チャンバ内で使用されるチャンバコンポーネントが提供され、チャンバコンポーネントは、4マイクロインチから80マイクロインチの間のRa表面粗さを有する粗い非平面の第1の表面を含む金属ベース材料と、粗い非平面表面上に形成された平面シリカコーティングであって、粗い非平面表面のRa表面粗さよりも小さいRa表面粗さを有する表面と、約0.2ミクロンから約10ミクロンの間の厚さと、体積で1%未満の多孔度とを有し、2E12atoms/cm2未満のアルミニウムを含有する平面シリカコーティングと、を含む。
【0006】
[0005]本開示の上記の特徴を詳細に理解することができるように、上記で簡単に要約した本開示のより具体的な説明を、実施形態を参照することによって行うことができ、そのいくつかを添付の図面に示す。しかしながら、添付の図面は、本開示の典型的な実施形態のみを示し、したがって、本開示は他の等しく有効な実施形態を認めることができるので、その範囲を限定すると見なされるべきではないことに留意されたい。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1A】処理チャンバ内で使用され得るプラズマ処理チャンバコンポーネントの一実施形態の断面図を示す。
【
図1B】
図1Aのプラズマ処理チャンバコンポーネントの拡大図である。
【
図3】本明細書に記載されているようなチャンバコンポーネント上の耐プラズマコーティングの試験を示すデータシートである。
【発明を実施するための形態】
【0008】
[0010]理解を容易にするために、図面に共通する同一の要素は、可能であれば、同一の参照番号を使用して示してある。1つの実施形態の要素および特徴は、さらなる列挙なしに他の実施形態に有益に組み込まれ得ることが、企図される。
【0009】
[0011]
図1Aは、処理チャンバ内で使用され得るプラズマ処理チャンバコンポーネント100の一実施形態の断面図を示す。
図1Bは、
図1Aのプラズマ処理チャンバコンポーネント100の拡大図である。議論の目的のために、チャンバコンポーネント100は、長方形の断面を有するものとして
図1Aに示されているが、チャンバコンポーネント100は、チャンバ本体、チャンバ本体上部ライナー、チャンバ本体下部ライナー、チャンバ本体プラズマドア、カソードライナー、チャンバリッドガスリング、スロットルゲートバルブスプール、プラズマスクリーン、ペデスタル、基板支持アセンブリ、シャワーヘッド、ガスノズル等を含むがこれらに限定されない任意のチャンバ部品の形態をとることができることが理解される。
【0010】
[0012]チャンバコンポーネント100は、使用時に処理チャンバ内のプラズマ環境に曝される少なくとも1つの露出面114を有する。チャンバコンポーネント100は、本体102の非平面(粗い)表面106の外面112上に配置された耐プラズマコーティング104を有する本体102を含む。耐プラズマコーティング104は、非平面表面106のくぼみおよび谷を埋め(例えば、非平面表面106を平坦化する)、非平面表面106よりもはるかに滑らかな表面を作製する。
【0011】
[0013]チャンバコンポーネント100の本体102は、アルミニウム、ステンレス鋼ならびにそれらの合金などの金属材料、またはセラミック材料である。耐プラズマコーティング104は、完全に結晶化されたシリカ材料(例えば、二酸化ケイ素(SiO2))材料である。耐プラズマコーティング104の厚さ116は、約0.2ミクロン(μm)から約10μm、またはそれより大きい。耐プラズマコーティング104は、体積で約1%未満の多孔度を有する。外面112は、約4マイクロインチ(μ”)から約80μ”の平均表面粗さ(Ra)に仕上げられている。しかしながら、耐プラズマコーティング104は、外面112のRaよりも小さいRaを有する。
【0012】
[0014]耐プラズマコーティング104は、外面112にシリカ材料を塗布、散布、または噴霧するなどの技術を使用して適用される。次に、耐プラズマコーティング104は、コーティングされたチャンバコンポーネント100を炉内に配置することによってアニールされる。加熱は、耐プラズマコーティング104の表面張力を緩和し、耐プラズマコーティング104を共形または平坦かつ滑らかにする。加熱は、摂氏約200度以下の温度であり得る。加熱は、約1時間行うことができる。
【0013】
[0015]
図2は、プラズマ処理システム200を概略的に示す。プラズマ処理システム200は、処理容積部241を画定するチャンバ本体225を含む。チャンバ本体225は、処理容積部241からの基板201の出入りを可能にするために、密封可能なスリットバルブトンネル224を含む。チャンバ本体225は、側壁226およびリッド243を含む。側壁226およびリッド243は、金属またはセラミック材料から製造することができ、本明細書に記載の耐プラズマコーティング104を含むことができる。プラズマ処理システム200は、チャンバ本体225のリッド243上に配置されたアンテナアセンブリ270を、さらに備える。高周波(RF)電源215およびマッチングネットワーク217が、プラズマ生成のためのエネルギーを提供するためにアンテナアセンブリ270に結合されている。
【0014】
[0016]アンテナアセンブリ270は、プラズマ処理システム200の対称軸273(例えば、縦軸)と同軸に配置された1つ以上のコイルアンテナを備える。
図2に示されるように、プラズマ処理システム200は、リッド243上に配置された外側コイルアンテナ271および内側コイルアンテナ272を含む。一実施形態では、コイルアンテナ271、272は、独立して制御することができる。プラズマ処理システム200には2つの同軸のアンテナが記載されているが、1つのコイルアンテナ、3つ以上のコイルアンテナ構成などの他の構成が考えられることに留意されたい。
【0015】
[0017]内側コイルアンテナ272は、小さなピッチでらせん状に巻かれ、内側アンテナ容積部274を形成する1つ以上の導電体を含む。電流が、1つ以上の導電体を通過すると、磁場が、内側コイルアンテナ272の内側アンテナ容積部274に確立される。以下に論じるように、本開示の実施形態は、内側コイルアンテナ272の内側アンテナ容積部274内の磁場を使用してプラズマを生成するために、内側アンテナ容積部274内にチャンバ拡張容積部を提供する。
【0016】
[0018]内側コイルアンテナ272および外側コイルアンテナ271は、例えば、チャンバ壁の特定の形状に合うように、またはチャンバ本体225内で対称性もしくは非対称性を達成するように、用途に応じて他の形状を有し得ることに留意されたい。一実施形態では、内側コイルアンテナ272および外側コイルアンテナ271は、超直方体の形状で内側アンテナ容積部を形成することができる。
【0017】
[0019]プラズマ処理システム200は、処理容積部241内に配置された基板支持体240を、さらに含む。基板支持体240は、処理中に基板201を支持する。一実施形態では、基板支持体240は、静電チャックである。バイアス電源220およびマッチングネットワーク221が、基板支持体240に接続され得る。バイアス電源220は、処理容積部241内で生成されたプラズマにバイアス電位を提供する。
【0018】
[0020]示された実施形態では、基板支持体240は、リング状のカソードライナー256によって囲まれている。プラズマ封じ込めスクリーンまたはバッフル252が、カソードライナー256の上部を覆い、基板支持体240の周辺部分を覆う。基板支持体240は、腐食性プラズマ処理環境に適合しないかまたは脆弱である材料を含むことがあり、カソードライナー256およびバッフル252は、それぞれ、基板支持体240をプラズマから隔離し、処理容積部241内にプラズマを封じ込める。一実施形態では、カソードライナー256およびバッフル252は、処理容積部241内に封じ込められたプラズマに対して耐性のある高純度耐プラズマコーティング104を含み得る。上記のようなカソードライナー256およびバッフル252上の耐プラズマコーティング104は、カソードライナー256およびバッフル252の耐用年数を改善する。
【0019】
[0021]プラズマスクリーン250が、基板201の表面にわたってのプラズマの帯電種および中性種の空間分布を制御するために、基板支持体240の上部に配置される。一実施形態では、プラズマスクリーン250は、チャンバ壁から電気的に絶縁された実質的に平坦な部材を含み、平坦な部材を通って垂直に延びる複数の開口を含む。プラズマスクリーン250は、処理容積部241内のプロセス環境に耐性のある、上記のような高純度耐プラズマコーティング104を含み得る。
【0020】
[0022]リッド243は、1種以上の処理ガスの流入を可能にするための開口部244を有する。一実施形態では、開口部244は、処理される基板201の中心に対応するプラズマ処理システム200の中心軸の近くに配置され得る。
【0021】
[0023]プラズマ処理システム200は、開口部244を覆ってリッド243上に配置されたチャンバ拡張部251を含む。一実施形態では、チャンバ拡張部251は、アンテナアセンブリ270のコイルアンテナの内側に配置されている。チャンバ拡張部251は、開口部244を介して処理容積部241と流体連通する拡張容積部242を画定する。
【0022】
[0024]プラズマ処理システム200は、処理容積部241および拡張容積部242の開口部244に隣接して配置されたバッフルノズルアセンブリ255として示されるガス分配シャワーヘッドを含む。バッフルノズルアセンブリ255は、1種以上の処理ガスを、拡張容積部242を通って処理容積部241に向ける。一実施形態では、バッフルノズルアセンブリ255は、処理ガスが拡張容積部242を通過することなく処理容積部241に入ることを可能にするバイパス経路を有する。バッフルノズルアセンブリ255は、アルミニウムから製造することができ、上記のように耐プラズマコーティング104を含むことができる。
【0023】
[0025]拡張容積部242は、内側アンテナ容積部274内にあるので、拡張容積部242内の処理ガスは、処理容積部241に入る前に、内側コイルアンテナ272の磁場に曝される。拡張容積部242の使用は、内側コイルアンテナ272または外側コイルアンテナ271に印加される電力を増加させることなく、処理容積部241内のプラズマ強度を増加させる。
【0024】
[0026]プラズマ処理システム200は、真空を提供し、処理容積部241を排気するために、ポンプ230、およびスロットルバルブ235を含む。スロットルバルブ235は、ゲートバルブスプール254を含み得る。ゲートバルブスプール254は、アルミニウムから製造することができる。プラズマ処理システム200は、プラズマ処理システム200の温度を制御するためのチラー245を、さらに含む。スロットルバルブ235は、ポンプ230とチャンバ本体225との間に配置することができ、チャンバ本体225内の圧力を制御するように動作可能であり得る。
【0025】
[0027]プラズマ処理システム200はまた、1種以上の処理ガスを処理容積部241に供給するためのガス供給システム202を含む。ガス供給システム202は、チャンバ本体225の下などに直接隣接して配置されたハウジング205内に配置されている。ガス供給システム202は、1つ以上のガスパネル204に配置された1つ以上のガス源をバッフルノズルアセンブリ255に選択的に結合して、処理ガスをチャンバ本体225に供給する。ガス供給システム202は、バッフルノズルアセンブリ255に接続されて、処理容積部241にガスを供給する。ハウジング205は、ガスを交換するときのガス遷移時間を短縮し、ガス使用量を最小限に抑え、ガス浪費を最小限に抑えるために、チャンバ本体225に近接して配置されている。
【0026】
[0028]プラズマ処理システム200は、チャンバ本体225内で基板201を支持する基板支持体240を上昇および下降させるためのリフトシステム227を、さらに含む。
【0027】
[0029]示された実施形態では、チャンバ本体225は、アルミニウムであり得、上記のような耐プラズマコーティング104を含むことができる下部ライナー222および上部ライナー223によって保護されている。
【0028】
[0030]ガス供給システム202を使用して、以下でさらに説明するように、少なくとも2種の異なるガス混合物を瞬間的な速度でチャンバ本体225に供給することができる。任意選択の実施形態では、プラズマ処理システム200は、トレンチがチャンバ本体225内に形成されているときにエッチングされたトレンチの深さおよび堆積された膜厚を測定するように動作可能であり、反応器の状態を決定するために他のスペクトル特徴を使用する能力を有するスペクトルモニタを含むことができる。プラズマ処理システム200は、様々な基板サイズ、例えば、最大約300mmまたはそれ以上の基板直径に対応することができる。
【0029】
[0031]上記の処理システム200の様々なチャンバコンポーネントが、上記のような耐プラズマコーティング104を使用して製造され得る。これらのチャンバコンポーネントは、プラズマ処理環境に頻繁に曝される。例えば、耐プラズマコーティング104は、チャンバ本体225、チャンバ本体上部ライナー223、チャンバ本体下部ライナー222、チャンバ本体プラズマドア224、カソードライナー256、チャンバリッドガスリング、スロットルゲートバルブスプール254、プラズマスクリーン250、バッフルノズルアセンブリ255、バッフル252、およびペデスタルまたは基板支持体240に適用され得る。
【0030】
[0032]
図3は、チャンバコンポーネント100上の耐プラズマコーティング104の試験を示すデータシート300である。耐プラズマコーティング104の試験は、耐プラズマコーティング104の中または上において微量金属が低レベルであることを示した。これは、耐プラズマコーティング104が、チャンバコンポーネント100の本体102からの金属原子がコーティング104に浸出するのを効果的に阻止することを、証明している。例えば、耐プラズマコーティング104中のアルミニウム濃度は、約2E12原子/平方センチメートル(atoms/cm
2)未満であった。他の多くの微量金属が、耐プラズマコーティング104の中または上に存在したが、臨界レベルを下回っていた。
【0031】
[0033]開示されたプロセスチャンバおよびそのコンポーネントは、1つ以上の基板処理工程で使用することができる。以下の説明は、そのような例示的なプロセスの1つを提供するが、他のプロセスも企図されている。
【0032】
[0034]一例では、チャンバ本体225などのプロセスチャンバが、その中に基板が配置されていない状態で、H2プラズマで処理される。基板をチャンバに導入する前のチャンバ本体225のプラズマ処理は、Plasma Every Wafer(PEW)と呼ばれ得る。プロセスチャンバのプラズマ処理、すなわちPEWは、O2、N2、NH3、Ar、H2、He、またはそれらの組み合わせなどの1種以上のガスをチャンバ本体225に導入し、1種以上のガスにエネルギーを与えて、プラズマを形成することを含み得る。あるいは、PEWは、酸素、窒素、水素、アンモニア、水酸化物またはそれらの組み合わせのラジカルおよび/またはイオンを含むプラズマをチャンバ本体225に導入することを含んでもよく、プラズマは、チャンバ本体225の外側の遠隔プラズマ源で形成される。
【0033】
[0035]一実施形態では、NH3ガスおよびArガスが、チャンバ本体225に導入される。別の実施形態では、O2ガスおよびH2ガスが、チャンバ本体225に導入される。別の実施形態では、O2ガスおよびArガスが、チャンバ本体225に導入される。別の実施形態では、O2ガスが、チャンバ本体225に導入される。さらに別の実施形態では、N2ガスが、チャンバ本体225に導入される。典型的には、基板を導入する前のチャンバ本体225のプラズマ処理は、プロセスチャンバ内に酸素または窒素を含むプラズマを導入または形成することを含む。
【0034】
[0036]いくつかの実施形態では、1種以上のガスは、RF電源によってエネルギーを与えられる。RF電力は、2%から70%のデューティサイクルでパルス化されてもよく、約100Wから約2500Wの範囲であり得る。RF電力は、約100Wから約2500Wの範囲の連続波であってもよい。チャンバ本体225は、チャンバ本体225のプラズマ処理の間、約10ミリトール(mT)から約200mTの範囲のチャンバ圧力を有し得る。基板支持体240などの基板支持ペデスタルの温度であり得るプロセス温度は、20℃から約500℃の範囲であり得る。
【0035】
[0037]その後、基板(任意選択で、その上にゲートスタックを有する)が、チャンバ本体225内で水素含有プラズマによって処理される。基板の水素含有プラズマ処理は、H2ガスなどの水素含有ガス、または水素含有ガスおよびArガスなどの不活性ガスをチャンバ本体225に導入し、H2ガスまたはH2ガス/Arガスにエネルギーを与え、水素含有プラズマを形成することを、含み得る。チャンバ本体225の耐用年数を改善し(チャンバ本体225内のコンポーネントの水素含有プラズマ攻撃をさらに軽減する)、H*ラジカル濃度を調整するために、ArガスをH2ガスに加えることができる。いくつかの実施形態では、H2ガスまたはH2ガス/Arガスは、RF電源215などのRF電源によってエネルギーを与えられる。RF電力は、2%から60%のデューティサイクルでパルス化されてもよく、約100Wから約2500Wの範囲であり得る。RF電力は、約100Wから約2500Wの範囲の連続波であってもよい。チャンバ本体225は、基板の水素含有プラズマ処理の間、約10mTから約200mTの範囲のチャンバ圧力を有し得る。基板支持体の温度であり得るプロセス温度は、20℃から約500℃の範囲であり得る。基板は、水素含有プラズマによって約10秒間から360秒間処理され得る。一実施形態では、チャンバ圧力は、約100mTであり、H2ガスは、約25標準立方センチメートル毎分(sccm)でチャンバ本体225に流入され、Arガスは、約975sccmでチャンバ本体225に流入され、RF電力は、約500Wであり、プロセス温度は、約400℃であり、基板は、水素含有プラズマで約30~90秒間処理される。基板が水素含有プラズマで処理された後、基板は、チャンバ本体225から除去され得る。
【0036】
[0038]他のさらなるプロセスがチャンバ本体225内で実行され得ることが企図される。さらに、コーティングされたチャンバコンポーネントは、他の追加のプロセスと共に利用され得ることが企図される。
【0037】
[0039]上記の例および説明を用いて、本開示の実施形態の特徴および精神が説明される。当業者は、多数の修正および変更が行われ得ることに容易に気付くであろう。したがって、上記の開示は、添付の請求項の範囲によってのみ限定されると解釈されるべきである。