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特許7405814リチウム二次電池用正極活物質、その製造方法およびこれを含む正極を含むリチウム二次電池
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  • 特許-リチウム二次電池用正極活物質、その製造方法およびこれを含む正極を含むリチウム二次電池 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-18
(45)【発行日】2023-12-26
(54)【発明の名称】リチウム二次電池用正極活物質、その製造方法およびこれを含む正極を含むリチウム二次電池
(51)【国際特許分類】
   H01M 4/525 20100101AFI20231219BHJP
   H01M 4/36 20060101ALI20231219BHJP
   H01M 4/505 20100101ALI20231219BHJP
   C01G 53/00 20060101ALI20231219BHJP
【FI】
H01M4/525
H01M4/36 C
H01M4/36 E
H01M4/505
C01G53/00 A
【請求項の数】 19
(21)【出願番号】P 2021184817
(22)【出願日】2021-11-12
(65)【公開番号】P2022082508
(43)【公開日】2022-06-02
【審査請求日】2021-11-12
(31)【優先権主張番号】10-2020-0157592
(32)【優先日】2020-11-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(31)【優先権主張番号】17/102,332
(32)【優先日】2020-11-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】590002817
【氏名又は名称】三星エスディアイ株式会社
【氏名又は名称原語表記】SAMSUNG SDI Co., LTD.
【住所又は居所原語表記】150-20 Gongse-ro,Giheung-gu,Yongin-si, Gyeonggi-do, 446-902 Republic of Korea
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】尹 弼相
(72)【発明者】
【氏名】金 玄凡
(72)【発明者】
【氏名】朴 商仁
(72)【発明者】
【氏名】劉 容贊
【審査官】渡部 朋也
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2019/0173076(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2018/0248180(US,A1)
【文献】特表2018-531500(JP,A)
【文献】特開2018-092931(JP,A)
【文献】国際公開第2020/137296(WO,A1)
【文献】特表2018-532236(JP,A)
【文献】特開2018-014326(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M 4/525
H01M 4/36
H01M 4/505
C01G 53/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも2つ以上の一次粒子が凝集して成され、前記一次粒子の少なくとも一部分が放射形配列構造を有する二次粒子を含む第1正極活物質;および
モノリス(monolith)構造を有する第2正極活物質を含み、
前記第1正極活物質および前記第2正極活物質は全てニッケル系正極活物質であり、
前記第1正極活物質はボロン含有化合物でコーティングされておらず、
前記第2正極活物質の表面はボロン含有化合物でコーティングされているものである、リチウム二次電池用正極活物質。
【請求項2】
前記第2正極活物質で、前記ボロン含有化合物は酸化ホウ素(boron oxide)、ホウ酸リチウム(lithium borate)、またはこれらの組み合わせである、請求項1に記載のリチウム二次電池用正極活物質。
【請求項3】
前記第2正極活物質で、前記ボロン含有化合物はB、LiBO、Li12、Li、Li1118、Li、LiBO、またはこれらの組み合わせである、請求項1または2に記載のリチウム二次電池用正極活物質。
【請求項4】
前記第2正極活物質全体重量に対するボロンの含量は0.01モル%~0.3モル%である、請求項1から3のいずれか一項に記載のリチウム二次電池用正極活物質。
【請求項5】
前記第2正極活物質は前記リチウム二次電池用正極活物質総重量を基準にして10重量%~50重量%含まれている、請求項1から4のいずれか一項に記載のリチウム二次電池用正極活物質。
【請求項6】
前記第2正極活物質の平均粒径は0.05μm~10μmである、請求項1から5のいずれか一項に記載のリチウム二次電池用正極活物質。
【請求項7】
前記第1正極活物質で、前記二次粒子は放射形配列構造を含むか、または
不規則多孔性構造(irregular porous structure)を含む内部と放射形配列構造を含む外部を含有する、請求項1から6のいずれか一項に記載のリチウム二次電池用正極活物質。
【請求項8】
前記第1正極活物質で、前記一次粒子はプレート形状を有し、
前記一次粒子のうちの少なくとも一部は長軸が放射形方向に配列された、請求項1から7のいずれか一項に記載のリチウム二次電池用正極活物質。
【請求項9】
前記第1正極活物質で、前記一次粒子の平均長さは0.01μm~5μmである、請求項1から8のいずれか一項に記載のリチウム二次電池用正極活物質。
【請求項10】
前記第1正極活物質で、前記二次粒子の平均粒径は1μm~20μmである、請求項1から9のいずれか一項に記載のリチウム二次電池用正極活物質。
【請求項11】
前記第1正極活物質は下記化学式1で表されるものである、請求項1から10のいずれか一項に記載のリチウム二次電池用正極活物質:
[化学式1]
Li(Ni1-x-y-zCoMn)O
上記化学式1中、Mはボロン(B)、マグネシウム(Mg)、カルシウム(Ca)、ストロンチウム(Sr)、バリウム(Ba)、チタン(Ti)、バナジウム(V)、クロム(Cr)、鉄(Fe)、銅(Cu)、ジルコニウム(Zr)、およびアルミニウム(Al)からなるグループより選択される元素であり、
0.95≦a≦1.3であり、0<x<0.5、0≦y<0.5、0≦z<0.5、x≦(1-x-y-z)、y≦(1-x-y-z)、z≦(1-x-y-z)である。
【請求項12】
前記第2正極活物質は下記化学式1で表されるものである、請求項1から11のいずれか一項に記載のリチウム二次電池用正極活物質:
[化学式1]
Li(Ni1-x-y-zCoMn)O
上記化学式1中、Mはボロン(B)、マグネシウム(Mg)、カルシウム(Ca)、ストロンチウム(Sr)、バリウム(Ba)、チタン(Ti)、バナジウム(V)、クロム(Cr)、鉄(Fe)、銅(Cu)、ジルコニウム(Zr)、およびアルミニウム(Al)からなるグループより選択される元素であり、
0.95≦a≦1.3であり、0<x<0.5、0≦y<0.5、0≦z<0.5、x≦(1-x-y-z)、y≦(1-x-y-z)、z≦(1-x-y-z)である。
【請求項13】
第1前駆体を酸化性ガス雰囲気下で第1熱処理して第1ニッケル系酸化物を得る段階と、
第2前駆体を酸化性ガス雰囲気下で第2熱処理して第2ニッケル系酸化物を得る段位であって、前記第2ニッケル系酸化物がモノリス構造を有する、段階と、
前記第2ニッケル系酸化物とボロン含有前駆体を混合し第3熱処理して、ボロン含有化合物がコーティングされた第2ニッケル系酸化物を得る段階と、
前記第1ニッケル系酸化物と前記ボロン含有化合物がコーティングされた第2ニッケル系酸化物を混合して、第1正極活物質、およびモノリス構造を有しながらボロン含有化合物がコーティングされた第2正極活物質を含む正極活物質を得る段階とを含み、
前記第2ニッケル系酸化物とボロン含有前駆体を混合して第3熱処理する温度は300℃~500℃である、リチウム二次電池用正極活物質製造方法。
【請求項14】
前記ボロン含有前駆体は、HBO、B、CB(OH)、(CO)B、[CH(CHO]B、C1319BO、C、(CO)B、またはこれらの組み合わせである、請求項13に記載のリチウム二次電池用正極活物質製造方法。
【請求項15】
前記第2ニッケル系酸化物100重量部に対する前記ボロン含有前駆体の含量は0.01重量部~0.35重量部である、請求項13または14に記載のリチウム二次電池用正極活物質製造方法。
【請求項16】
前記第2ニッケル系酸化物を得る段階は、前記第2前駆体を前記第2熱処理して得られた結果物を粉砕して、モノリス構造の粒子を形成することを含む、請求項13から15のいずれか一項に記載のリチウム二次電池用正極活物質製造方法。
【請求項17】
前記第2前駆体は、BET測定法によって測定される比表面積が1m/g~30m/gである第2複合金属水酸化物をリチウム系物質と混合して得られたものである、請求項13から16のいずれか一項に記載のリチウム二次電池用正極活物質製造方法。
【請求項18】
前記第1ニッケル系酸化物と前記ボロン含有化合物がコーティングされた第2ニッケル系酸化物の混合比は重量比を基準にして9:1~5:5である、請求項13から17のいずれか一項に記載のリチウム二次電池用正極活物質製造方法。
【請求項19】
請求項1~12のうちのいずれか一項のリチウム二次電池用正極活物質を含む正極;
負極;および
前記正極と前記負極の間に介されている電解質を含む、リチウム二次電池。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
リチウム二次電池用正極活物質、その製造方法およびこれを含む正極を含むリチウム二次電池に関するものである。
【背景技術】
【0002】
携帯用電子機器、通信機器などが発展するにつれて高エネルギー密度のリチウム二次電池に対する開発の必要性が高まっている。
【0003】
リチウム二次電池の正極活物質としては、リチウムニッケルマンガンコバルト複合酸化物、リチウムコバルト酸化物などが使用される。このような正極活物質を用いる場合、充放電が繰り返されるにつれて正極活物質に発生するクラックによってリチウム二次電池の長期寿命が低下し、抵抗が増加し、容量特性が満足な水準に到達しなくなり、これに対する改善が要求される。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
充放電の繰り返しによる正極活物質の構造崩壊と壊れ現象が少なく、正極活物質と電解液の副反応が抑制されたリチウム二次電池用正極活物質とその製造方法を提供し、容量が高く容量維持率と寿命特性などに優れたリチウム二次電池を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
一実施形態によれば、少なくとも2個以上の一次粒子が凝集して成され、前記一次粒子の少なくとも一部分が放射形配列構造を有する二次粒子を含む第1正極活物質;およびモノリス(monolith)構造を有する第2正極活物質を含み、前記第1正極活物質および前記第2正極活物質は全てニッケル系正極活物質であり、前記第2正極活物質の表面はボロン含有化合物でコーティングされているものであるリチウム二次電池用正極活物質が提供される。
【0006】
他の一実施形態によれば、第1前駆体を酸化性ガス雰囲気下で第1熱処理して第1ニッケル系酸化物を得て、第2前駆体を酸化性ガス雰囲気下で第2熱処理して第2ニッケル系酸化物を得て、前記第2ニッケル系酸化物とボロン含有前駆体を混合し第3熱処理してボロン含有化合物がコーティングされた第2ニッケル系酸化物を得て、前記第1ニッケル系酸化物と前記ボロン含有化合物がコーティングされた第2ニッケル系酸化物を混合して、第1正極活物質およびボロン含有化合物がコーティングされた第2正極活物質を含む正極活物質を得ることを含み、前記第2ニッケル系酸化物はモノリス構造の粒子を含むリチウム二次電池用正極活物質製造方法が提供される。
【0007】
また他の一実施形態によれば、前述のリチウム二次電池用正極活物質を含む正極と、負極、そして前記正極と前記負極の間に介されている電解質を含むリチウム二次電池が提供される。
【発明の効果】
【0008】
一実施形態によるリチウム二次電池用正極活物質は、充放電の繰り返しによる構造崩壊と壊れ現象が少なく、電解液との副反応が抑制される。また容量減少のないモノリス構造の素材を提供することによってこれを含むリチウム二次電池は容量が高く容量維持率と寿命特性などが非常に優れている。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】一実施形態による一次粒子の形状を示す模式図である。
図2】一実施形態による二次粒子で放射形の定義を説明するための図である。
図3】一実施形態による二次粒子の断面構造を示す模式図である。
図4】一実施形態によるリチウム二次電池用正極活物質を含む正極を備えたリチウム二次電池の構造を概略的に示したものである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、添付した図面を参照して本発明の実施形態について本発明の属する技術分野における通常の知識を有する者が容易に実施することができるように詳しく説明する。本発明は様々な互いに異なる形態で実現でき、ここで説明する実施形態に限定されない。図面で本発明を明確に説明するために説明上不必要な部分は省略し、明細書全体にわたって同一または類似の構成要素については同一の参照符号を付した。
【0011】
様々な実施形態において、同一の構成を有する構成要素については同一の符号を使用して代表的に一実施形態で説明し、その他の実施形態では一実施形態と異なる構成についてのみ説明する。
【0012】
一実施形態で各種粒子の大きさ、粒径、長さなどについては、計測法によって数値化して集団の平均大きさを表現する方法があるが、汎用的に使用されるものとして分布の最大値を示すモード径、積分分布曲線の中央値に相当するメジアン径、各種平均直径(数平均、長さ平均、面積平均、質量平均、体積平均など)などがある。本発明においては特に言及しない限り平均大きさ、平均粒径、平均長さとは体積平均値であり得、またはD50(分布率が50%になる地点の粒径)を測定したものを意味し得る。これは回折による粒子の大きさを分析する粒子大きさ分析器を通じて測定したものを意味することもあり、または走査電子顕微鏡写真などを通じて測定したものを意味することもある。
【0013】
一実施形態でモノリス(monolith)構造とは、モルフォロジー(morphology)上それぞれの粒子が互いに区別される独立した相(phase)として互いに分離および/または分散して存在する構造を意味する。上記モノリス構造は、単一体構造、単結晶、単結晶粒子、又は非応集粒子などを意味し、これは粒子内に粒子境界(grain boundary)を持たずに単独で存在し、一つの粒子からなることを意味する。
【0014】
以下、図1図3を参照して一実施形態によるリチウム二次電池用正極活物質を説明する。
【0015】
一実施形態によるリチウム二次電池用正極活物質は、少なくとも2個以上の一次粒子が凝集して成された二次粒子を含む第1正極活物質と、モノリス(monolith)構造を有する第2正極活物質を含む。前記二次粒子の少なくとも一部分は放射形配列構造を有しており、第1正極活物質と第2正極活物質の両方ともニッケル系正極活物質である。前記第2正極活物質の表面はボロン含有化合物でコーティングされている。
【0016】
以下、本実施形態による第1正極活物質について説明する。
前記第1正極活物質は、少なくとも2個以上の一次粒子が凝集された二次粒子を含む。前記一次粒子のうちの少なくとも一部はプレート形状を有することができる。一次粒子は、厚さが長軸長さ(面方向)より小さく形成されてもよい。ここで、長軸長さは一次粒子の最も広い面を基準にして最大長さを意味し得る。即ち、一次粒子は一方の軸方向(即ち、厚さ方向)の長さ(t)が他の方向(即ち、面方向)の長軸長さ(a)に比べて小さく形成されている構造を有することができる。
【0017】
図1は、一実施形態による一次粒子の形状を示す模式図である。
図1を参照すれば、一実施形態による一次粒子は、(A)六角形などの多角形ナノ板形状、(B)ナノディスク形状、(C)直六面体形状など、基本的にプレート形構造を有しながらも多様な細部形状を有することができる。図1で“a”は一次粒子の長軸の長さを意味し、“b”は短軸の長さを意味し、“t”は厚さを意味する。
【0018】
一方、一次粒子の厚さtは面方向の長さa、bに比べて小さく形成されていてもよい。面方向の長さaはbに比べて長いかまたは同一であってもよい。一実施形態では、一次粒子で厚さtが定義された方向を厚さ方向と定義し、長さa、bが含まれている方向を面方向と定義する。
【0019】
一実施形態による第1正極活物質は、二次粒子内部と外部にそれぞれ不規則多孔性構造を有することができる。“不規則多孔性構造”は、気孔大きさおよび形態が規則的でなくて均一性のない気孔を有する構造を意味する。不規則多孔性構造を含む内部は外部と同様に一次粒子を含む。内部に配置される一次粒子は、外部に配置される一次粒子とは異なり、規則性なく配列されていてもよい。
【0020】
ここで、“外部”とは、二次粒子の中心から表面までの総距離中、最表面から30長さ%~50長さ%、例えば、40長さ%の領域または二次粒子の最外殻から2μm以内、または4μm以内、または6μm以内の領域をいう。また、“内部”とは、二次粒子の中心から表面までの総距離中、中心から50長さ%~70長さ%、例えば、60長さ%の領域または二次粒子の最外殻から2μm以内、または4μm以内、または6μm以内の領域を除いた残り領域をいう。
【0021】
一方、一実施形態による第1正極活物質の二次粒子は外部に150nm未満、例えば10nm~148nmの大きさを有する開気孔(open pore)を有することができる。開気孔は、電解液が出入りできる露出された気孔である。一実施形態によれば、開気孔は二次粒子の表面から平均的に150nmの以下、例えば0.001nm~100nm、例えば1nm~50nmの深さまで形成できる。
【0022】
一実施形態による第1正極活物質は、少なくとも一部の一次粒子の長軸が放射形方向に配列されて形成された二次粒子を含むことができる。前記一次粒子の少なくとも一部は放射形配列構造を有することができる。図2は、一実施形態による二次粒子で放射形の定義を説明するための図である。
【0023】
一実施形態で“放射形”配列構造とは、図2に示されているように一次粒子の厚さ(t)方向が二次粒子の中心から表面に向かう方向(R)と垂直または垂直方向と±5°の角を成すように配列されることを意味する。
【0024】
一方、前記二次粒子を構成する一次粒子の平均長さは0.01μm~5μmであり得る。例えば、0.01μm~2μm、0.01μm~1μm、より具体的に0.02μm~1μm、0.05μm~0.5μmであってもよい。ここで“平均長さ”は、一次粒子の面方向で平均長軸長さと平均短軸長さの平均長さ、または一次粒子が球形である場合、平均粒径を意味する。
【0025】
前記二次粒子を構成する一次粒子の平均厚さは、例えば50nm以上、例えば100nm以上、例えば200nm以上、例えば300nm以上、例えば400nm以上、例えば500nm以上、例えば600nm以上、例えば700nm、例えば800nm以上、例えば900nm以上、例えば1μm以上、例えば1.2μm以上、例えば1.4μm以上であってもよく、例えば13μm以下、例えば12μm以下、例えば11μm以下、例えば10μm以下、例えば9μm以下、例えば8μm以下、例えば7μm以下、例えば6μm以下、例えば5μm以下、例えば4μm以下、例えば3μm以下、例えば2μm以下であってもよい。そして、前記平均厚さと前記平均長さの比は1:1~1:10、例えば1:1~1:8、例えば1:1~1:6である。
【0026】
このように一次粒子の平均長さ、平均厚さ、および平均厚さと平均長さの比が前述の比(ratio)を満足し、一次粒子の大きさが小さいながら外部で一次粒子が放射形に配列されている時、表面側に相対的に多くの粒界の間のリチウム拡散通路と外部へリチウム伝達が可能な結晶面が多く露出されてリチウム拡散度が向上し高い初期効率および容量の確保が可能である。また、一次粒子が放射形に配列されている場合、その間に表面から露出された気孔も中心方向に向かうようになって表面からのリチウム拡散を促進させる。放射形に配列された一次粒子によってリチウムの脱離および/または挿入時に均一な収縮、膨張が可能であり、リチウム脱離時に粒子が膨張する方向である(001)方向側に気孔が存在して緩衝作用を果たし、プレート形一次粒子の大きさが小さいため収縮膨張時にクラックが起こる確率が低くなり、内部の気孔が追加的に体積変化を緩和させて、充放電時に一次粒子間に発生するクラックが減少して寿命特性が向上し抵抗増加が減少できる。
【0027】
二次粒子内部には閉気孔が存在し、外部には閉気孔および/または開気孔が存在し得る。閉気孔は電解質などが含まれにくいのに対し、開気孔は気孔内部に電解質などを含有することができる。本明細書において、閉気孔は気孔の壁面が全て閉構造に形成されて他の気孔と連結されていない独立気孔であり、開気孔は気孔の壁面のうちの少なくとも一部が開構造に形成されて粒子外部と連結された連続気孔と言える。
【0028】
一実施形態によるリチウム二次電池用正極活物質は前記のような第1正極活物質を含んでおり、クラックが発生してもクラックが発生した面と電解液との直接的な接触を最少化して、表面抵抗増加が抑制される。
【0029】
図3は、一実施形態による二次粒子の断面構造を示す模式図である。
図3を参照すれば、二次粒子11は、プレート形状を有する一次粒子13が放射形方向に配列された構造を有する外部14と、一次粒子13が不規則的に配列された内部12を含む。
【0030】
内部12には一次粒子の間の空の空間が外部に比べてさらに存在し得る。そして、内部での気孔大きさおよび気孔度は外部での気孔大きさおよび気孔度に比べて大きくて不規則的である。図3で、矢印はリチウムイオンの移動方向を示したものである。
【0031】
本発明の一実施形態による二次粒子は内部が多孔性構造を有して内部までのリチウムイオンの拡散距離が減る効果があり、外部は表面側に放射形方向に配列されて表面にリチウムイオンが挿入されるのが容易になる。そして、リチウム二次電池用正極活物質一次粒子の大きさが小さくて結晶粒の間のリチウム伝達経路を確保しやすくなる。そして、一次粒子の大きさが小さく一次粒子の間の気孔が充放電時に起こる体積変化を緩和させて充放電時体積変化時に受ける応力が最少化される。
【0032】
本発明の一実施形態による二次粒子の平均粒径は1μm~20μmであり得る。例えば、1μm~18μm、または1μm~16μm、または1μm~15μm、または1μm~10μm、または5μm~20μm、または5μm~18μm、または5μm~15μmであってもよい。一例として、1μm~5μmまたは10μm~20μmであってもよい。
【0033】
一実施形態による二次粒子は、放射形一次粒子と非放射形一次粒子を含むことができる。非放射形一次粒子の含量は放射形一次粒子と非放射形一次粒子の総重量100重量部を基準にして20重量%以下、例えば0.01重量%~10重量%、具体的に0.1重量%~5重量%含むことができる。二次粒子で放射形一次粒子以外に非放射形一次粒子を前述の含量範囲で含む場合、リチウムの拡散が容易であって寿命特性が改善されたリチウム二次電池を製造することができる。
【0034】
以下、本実施形態による第2正極活物質について説明する。
一実施形態による第2正極活物質はモノリス構造を有する。即ち、第2正極活物質は多数の結晶粒子が凝集された形態でない粒子別にそれぞれ独立したおよび/または区分された相(phase)を成すように互いに分離および/または分散している形態であるが、2個または3個の粒子が互いに付着された形態なども含むこともできる。
【0035】
第2正極活物質の形状は特に制限されず、球形、楕円形、プレート形、棒形、などランダム(random)な形状を有することができる。
【0036】
前記第2正極活物質の表面はボロン含有化合物でコーティングされている。前記ボロン含有化合物は、例えば、酸化ホウ素(boron oxide)、ホウ酸リチウム(lithium borate)、またはこれらの組み合わせであってもよく、例えば、B、LiBO、Li12、Li、Li1118、Li、LiBO、またはこれらの組み合わせであってもよい。
【0037】
一般に正極活物質は充放電の繰り返しによって構造が崩壊することがあり、特にニッケル系正極活物質は表面にNiOが形成されながら構造崩壊が発生することがある。正極活物質の構造が崩壊すれば陽イオン混合(cation mixing)現象が発生し、これによりガスが発生するか寿命特性が悪くなる問題が生じることもある。また、充放電の繰り返しによって正極活物質が壊れる現象が発生することがあり、これによって正極活物質と電解液の副反応が増加し、これにより電池の容量が低下し寿命特性が悪くなる。しかし、ボロン含有化合物でコーティングされた第2正極活物質は正極活物質表面で酸素原子の離脱が防止され構造崩壊が抑制され、充放電の繰り返しによる壊れる現象が抑制される。また、正極活物質が壊れても電解液との副反応が抑制できる。また、第2正極活物質の表面に存在するボロン含有化合物によって電解液に存在するリチウムイオンを粒子内部に容易に受け入れて放電容量を改善することができる。これにより、ボロン含有化合物でコーティングされた第2正極活物質を導入した一実施形態によるリチウム二次電池は容量が高く優れた容量維持率と寿命特性などを示すことができる。
【0038】
前記ボロン含有化合物は前記第2正極活物質の全体表面に連続的にコーティングされたものであってもよく、またはアイランド形態にコーティングされたものであってもよい。
【0039】
前記第2正極活物質全体重量に対するボロンの含量は0.3モル%以下であってもよく、例えば、0.01モル%~0.3モル%であってもよく、または0.1モル%~0.3モル%であってもよい。モノリス構造の第2正極活物質を含む場合、充電と放電を繰り返すにつれて現れる正極活物質の構造崩壊と壊れ現象を効果的に抑制することができ、正極活物質と電解液の副反応を防止することができ、これによりリチウム二次電池の容量を高めながら容量維持率、寿命特性などを向上させることができる。一方、モノリス構造は粒子内部へのリチウムの拡散が難しいが、表面にボロン含有化合物をコーティングすることによってリチウムの拡散を容易なようにし、正極活物質表面の酸素原子の離脱を効果的に防止することができる。ボロンの含量が前記範囲である場合、このような効果を極大化することができる。一方、ボロンの含量が0.3モル%より高ければ電池の高温寿命特性が悪くなることがある。
【0040】
一実施形態による第2正極活物質は前記リチウム二次電池用正極活物質総重量を基準にして、10重量%~50重量%で含むことができる。例えば、10重量%以上、15重量%以上、20重量%以上、25重量%以上含まれていてもよく、例えば、50重量%以下、45重量%以下、40重量%以下、35重量%以下含まれていてもよい。
【0041】
一実施形態で、前記第1正極活物質内の一次粒子と第2正極活物質は互いに区別される大きさを有している。第2正極活物質の平均粒径は、0.05μm~10μmであり得る。例えば、0.1μm~10μm、または0.1μm~8μm、または0.1μm~7μm、または0.1μm~6μm、または0.1μm~5μm、または1μm~4μmであってもよい。このように上述の第1正極活物質の一次粒子と第2正極活物質が互いに区別される大きさを有することによって、一実施形態によるリチウム二次電池用正極活物質の密度をさらに高めることができる。
【0042】
一方、一実施形態による第1正極活物質および第2正極活物質はそれぞれ下記化学式1で表されるニッケル系正極活物質である。
[化学式1]
Li(Ni1-x-y-zCoMn)O
上記化学式1中、Mはボロン(B)、マグネシウム(Mg)、カルシウム(Ca)、ストロンチウム(Sr)、バリウム(Ba)、チタン(Ti)、バナジウム(V)、クロム(Cr)、鉄(Fe)、銅(Cu)、ジルコニウム(Zr)、およびアルミニウム(Al)からなるグループより選択される元素であり、
0.95≦a≦1.3、0<x<0.5、0≦y<0.5、0≦z<0.5、x≦(1-x-y-z)、y≦(1-x-y-z)、z≦(1-x-y-z)である。このように化学式1のようなニッケル系正極活物質ではニッケルの含量がコバルトの含量に比べて大きく、ニッケルの含量がマンガンの含量に比べて大きく、ニッケルの含量が前記Mに該当する元素の含量に比べて大きい。
【0043】
化学式1中、0.95≦a≦1.3、例えば1.0≦a≦1.1、0<x≦0.33、例えば0.1≦x≦0.33であってもよく、0≦y≦0.5、例えば0.05≦y≦0.3、0≦z≦0.05、0.33≦(1-x-y-z)≦0.95であってもよく、0.5≦(1-x-y-z)≦0.95であってもよい。
【0044】
例えば、前記化学式1中、0≦z≦0.05であり、0<x≦0.33であり、0≦y≦0.33であってもよい。
【0045】
例えば、前記化学式1中、(1-x-y-z)≧0.4、例えば(1-x-y-z)≧0.5、例えば(1-x-y-z)≧0.6であってもよい。
【0046】
前記ニッケル系正極活物質でニッケルの含量は遷移金属(Ni、Co、またはMnなど)の総含量を基準にして50モル%以上、例えば55モル%以上、例えば60モル%以上であってもよく、例えば95モル%以下、例えば90モル%以下、例えば80モル%以下、例えば70モル%以下、例えば60モル%以下、例えば63モル%以下であってもよく、例えば50モル%~95モル%、例えば70モル%~95モル%、例えば80モル%~95モル%であってもよい。ニッケル系正極活物質で、ニッケルはアルミニウムまたはマンガンなどの含量およびコバルトの含量に比べて高い含量を有する。
【0047】
前記ニッケル系正極活物質でニッケルの含量は遷移金属総1モルを基準にして他のそれぞれの遷移金属に比べて大きい。このように第1正極活物質と第2正極活物質としてそれぞれニッケルの含量の大きいニッケル系正極活物質を用いる場合、これを含む正極を採用したリチウム二次電池を使用する時、リチウム拡散度が高く、伝導度が良く、同一電圧でさらに高い容量を得ることができる。
【0048】
一実施形態によれば、前述の第1正極活物質と第2正極活物質を含むリチウム二次電池用正極活物質の圧縮密度(press density)は、例えば3.3g/cc以上、3.35g/cc以上、3.4g/cc以上、3.45g/cc以上、3.5g/cc以上であり得る。一実施形態でリチウム二次電池用正極活物質の圧縮密度は、3gのリチウム二次電池用正極活物質を圧縮密度測定器に挿入後、3トンの力で30秒間圧縮する方法によって得ることができる。これにより、一実施形態によるリチウム二次電池用正極活物質が大きさが互いに異なる第1正極活物質と第2正極活物質を含んでも、優れた水準の極板密度を有する正極を確保することができる。
【0049】
以下、本発明の他の実施形態によるリチウム二次電池用正極活物質について説明する。
本実施形態によるリチウム二次電池用正極活物質は2個以上の一次粒子が凝集されて成る二次粒子を含み、前記一次粒子の少なくとも一部分が放射形配列構造を成す二次粒子を含む第1正極活物質;および表面にボロン含有化合物がコーティングされたモノリス構造を有する第2正極活物質を含む。また、本実施形態の前記二次粒子はモノリス構造を有する粒子を追加的にさらに含むことができる。本実施形態の正極活物質は前記第1正極活物質の二次粒子がモノリス構造を有する粒子を追加的にさらに含むことを除いては前記本発明の一実施形態と実質的に同一の構成を含む。よって、以下では実質的に同一の構成については詳細な説明を省略する。
【0050】
具体的に、前記第1正極活物質で、モノリス構造を有する粒子は前記二次粒子の外部に付着されるか内部に分散されていてもよい。例えば、前記モノリス構造を有する粒子は前記二次粒子と凝集(物理的および/または化学的に結合)されているか、または前記二次粒子と物理的および/または化学的結合をなさないまま二次粒子に形成された気孔を埋めているか気孔壁と接触していてもよい。
【0051】
以下、図4を参照して一実施形態によるリチウム二次電池用正極活物質を含む正極を備えたリチウム二次電池の構造および製造方法を説明する。
【0052】
図4は、一実施形態によるリチウム二次電池用正極活物質を含む正極を備えたリチウム二次電池の構造を概略的に示したものである。
【0053】
図4を参照すれば、リチウム二次電池21は、一実施形態によるリチウム二次電池用正極活物質を含む正極23、負極22、およびセパレータ24を含む。
【0054】
正極23および負極22は、集電体上に正極活物質層形成用組成物および負極活物質層形成用組成物をそれぞれ塗布および乾燥して製作される。
【0055】
正極活物質形成用組成物は正極活物質、導電剤、バインダー、および溶媒を混合して製造され、正極活物質としては前述の化学式1で表されるニッケル系活物質を使用する。
【0056】
前記バインダーは、活物質と導電剤などの結合と集電体に対する結合に助力する成分として、正極活物質の総重量100重量部を基準にして1~50重量部で添加される。このようなバインダーの非限定的な例としては、ポリフッ化ビニリデン、ポリビニルアルコール、カルボキシメチルセルロース(CMC)、デンプン、ヒドロキシプロピルセルロース、再生セルロース、ポリビニルピロリドン、テトラフルオロエチレン、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン-プロピレン-ジエンターポリマー(EPDM)、スルホン化EPDM、スチレンブタジエンゴム、フッ素ゴム、多様な共重合体などが挙げられる。その含量は正極活物質の総重量100重量部を基準にして2~5重量部を使用する。バインダーの含量が前記範囲である時、集電体に対する活物質層の結着力が良好である。
【0057】
前記導電剤としては当該電池に化学的変化を誘発せずに導電性を有するものであれば特に制限されるわけではなく、例えば、天然黒鉛や人造黒鉛などの黒鉛;カーボンブラック、アセチレンブラック、ケッチェンブラック、チャンネルブラック、ファーネスブラック、ランプブラック、サーマルブラックなどのカーボン系物質;炭素繊維や金属繊維などの導電性繊維;フッ化カーボン;アルミニウム、ニッケル粉末などの金属粉末;酸化亜鉛、チタン酸カリウムなどの導電性ウィスカー;酸化チタンなどの導電性金属酸化物;ポリフェニレン誘導体などの導電性素材などが使用できる。
【0058】
前記導電剤の含量は、正極活物質の総重量100重量部を基準にして2~5重量部を使用する。導電剤の含量が前記範囲である時、最終的に得られた電極の伝導度特性に優れる。
【0059】
前記溶媒の非限定的な例として、N-メチルピロリドンなどを使用する。
前記溶媒の含量は、正極活物質100重量部を基準にして1~10重量部を使用する。溶媒の含量が前記範囲である時、活物質層を形成するための作業が容易である。
【0060】
前記正極集電体は3~500μmの厚さであって、当該電池に化学的変化を誘発せずに高い導電性を有するものであれば特に制限されるわけではなく、例えば、ステンレススチール、アルミニウム、ニッケル、チタン、熱処理炭素、またはアルミニウムやステンレススチールの表面にカーボン、ニッケル、チタン、銀などで表面処理したものなどが使用できる。集電体はその表面に微細な凹凸を形成して正極活物質の接着力を高めることもでき、フィルム、シート、ホイル、ネット、多孔質体、発泡体、不織布体など多様な形態が可能である。
【0061】
これと別途に、負極活物質、バインダー、導電剤、溶媒を混合して負極活物質層形成用組成物を準備する。
【0062】
前記負極活物質は、リチウムイオンを吸蔵および放出することができる物質が使用される。前記負極活物質の非限定的な例として、黒鉛、炭素のような炭素系材料、リチウム金属、その合金、シリコンオキシド系物質などを使用することができる。本発明の一実施形態によれば、シリコンオキシドを使用する。
【0063】
前記バインダーは、負極活物質の総重量100重量部を基準にして1~50重量部で添加される。このようなバインダーの非限定的な例は正極と同一の種類を使用することができる。
【0064】
導電剤は、負極活物質の総重量100重量部を基準にして1~5重量部を使用する。導電剤の含量が前記範囲である時、最終的に得られた電極の伝導度特性に優れる。
【0065】
前記溶媒の含量は、負極活物質の総重量100重量部を基準にして1~10重量部を使用する。溶媒の含量が前記範囲である時、負極活物質層を形成するための作業が容易である。
【0066】
前記導電剤および溶媒は、正極製造時と同一の種類の物質を使用することができる。
前記負極集電体としては、一般に3~500μmの厚さで製造される。このような負極集電体は、当該電池に化学的変化を誘発せずに導電性を有するものであれば特に制限されるわけではなく、例えば、銅、ステンレススチール、アルミニウム、ニッケル、チタン、熱処理炭素、銅やステンレススチールの表面にカーボン、ニッケル、チタン、銀などで表面処理したもの、アルミニウム-カドミウム合金などが使用できる。また、正極集電体と同様に、表面に微細な凹凸を形成して負極活物質の結合力を強化させることもでき、フィルム、シート、ホイル、ネット、多孔質体、発泡体、不織布体など多様な形態に使用できる。
【0067】
前記過程によって製作された正極と負極の間にセパレータを介する。
前記セパレータは、気孔直径が0.01~10μmであり、厚さは一般に5~300μmであるものを使用する。具体的な例として、ポリプロピレン、ポリエチレンなどのオレフィン系ポリマー;またはガラス繊維で製造されたシートや不織布などが使用される。電解質としてポリマーなどの固体電解質が使用される場合には固体電解質がセパレータを兼ねることもできる。
【0068】
リチウム塩含有非水系電解質は、非水電解液とリチウム塩からなる。非水電解質としては非水電解液、有機固体電解質、無機固体電解質などが使用される。
【0069】
前記非水電解液としては、非限定的な例として、N-メチル-2-ピロリジノン、プロピレンカーボネート、エチレンカーボネート、ブチレンカーボネート、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、γ-ブチロラクトン、1,2-ジメトキシエタン、2-メチルテトラヒドロフラン、ジメチルスルホキシド、1,3-ジオキソラン、ホルムアミド、N,N-ジメチルホルムアミド、ジオキソラン、アセトニトリル、ニトロメタン、ホルム酸メチル、酢酸メチル、リン酸トリエステル、トリメトキシメタン、ジオキソラン誘導体、スルホラン、メチルスルホラン、1,3-ジメチル-2-イミダゾリジノン、プロピレンカーボネート誘導体、テトラヒドロフラン誘導体、エーテル、プロピオン酸メチル、プロピオン酸エチルなどの非プロトン性有機溶媒が使用できる。
【0070】
前記有機固体電解質としては、非限定的な例として、ポリエチレン誘導体、ポリエチレンオキシド誘導体、ポリプロピレンオキシド誘導体、リン酸エステルポリマー、ポリエステルスルフィド、ポリビニルアルコール、ポリフッ化ビニリデンなどが使用できる。
【0071】
前記無機固体電解質としては、非限定的な例として、LiN、LiI、LiNI、LiN-LiI-LiOH、LiSiO、LiSiO-LiI-LiOH、LiSiS、LiSiO、LiSiO-LiI-LiOH、LiPO-LiS-SiSなどが使用できる。
【0072】
前記リチウム塩は前記非水系電解質に溶解されやすい物質であって、非限定的な例として、LiCl、LiBr、LiI、LiClO、LiBF、LiB10Cl10、LiPF、LiCFCO、LiAsF、LiSbF、LiAlCl、CHSOLi、CFSOLi、(CFSONLi、リチウムクロロボレート、低級脂肪族カルボン酸リチウム、テトラフェニルホウ酸リチウム、イミドなどが使用できる。
【0073】
このように前述の正極23、負極22、およびセパレータ24をワインディングするか畳んで電池ケース25に収容する。次いで、前記電池ケース25に有機電解液を注入しキャップ(cap)アセンブリ26で密封して、図4に示されているようなリチウム二次電池21が完成される。
【0074】
前記電池ケース25は円筒型、角型、薄膜型などであり得る。例えば、前記リチウム二次電池21は大型薄膜型電池であってもよい。前記リチウム二次電池はリチウムイオン電池であり得る。前記正極および負極の間にセパレータが配置されて電池構造体が形成できる。前記電池構造体がバイセル構造に積層された後、有機電解液に含浸され、得られた結果物がパウチに収容されて密封されればリチウムイオンポリマー電池が完成される。また、前記電池構造体は複数個積層されて電池パックを形成し、このような電池パックが高容量および高出力が要求される全ての機器に使用できる。例えば、ノートパソコン、スマートフォン、電気車両などに使用できる。
【0075】
また、前記リチウム二次電池は高温で貯蔵安定性、寿命特性および高率特性が優れるので電気車両(electric vehicle、EV)に使用できる。例えば、プラグインハイブリッド車両(plug-in hybrid electric vehicle、PHEV)などのハイブリッド車両に使用できる。
【0076】
一実施形態によるリチウム二次電池は前述のリチウム二次電池用正極活物質を使用して極板密度に優れ、これによる電気化学的特性に優れる。
【0077】
以下、前述の一実施形態によるリチウム二次電池用正極活物質の製造方法を説明する。
一実施形態によるリチウム二次電池用正極活物質の製造方法は、第1前駆体を通じて第1ニッケル系酸化物を形成し、第2前駆体を用いて第2ニッケル系酸化物を得た後、前記第2ニッケル系酸化物とボロン含有前駆体を混合し第3熱処理してボロン含有化合物がコーティングされた第2ニッケル系酸化物を得て、第1ニッケル系酸化物とボロン含有化合物がコーティングされた第2ニッケル系酸化物を混合して第1正極活物質およびボロン含有化合物がコーティングされた第2正極活物質を含む正極活物質を得ることを含むことができる。以下、具体的に説明する。
【0078】
まず、第1前駆体を酸化性ガス雰囲気下で第1熱処理して第1ニッケル系酸化物を得ることができる。
【0079】
具体的に、前記酸化性ガス雰囲気は酸素または空気のような酸化性ガスを用いることができる。前記第1熱処理は、例えば、800℃~900℃で実施できる。第1熱処理時間は熱処理温度などによって可変的であるが、例えば5~15時間実施する。
【0080】
一実施形態による第1前駆体にはLi、Ni、Co、Mn、選択的にボロン(B)、マグネシウム(Mg)、カルシウム(Ca)、ストロンチウム(Sr)、バリウム(Ba)、チタン(Ti)、バナジウム(V)、クロム(Cr)、鉄(Fe)、銅(Cu)、ジルコニウム(Zr)およびアルミニウム(Al)からなるグループより選択される元素がそれぞれ化学量論比を満足する範囲内で所定のモル比で含まれていてもよい。
【0081】
一方、第1前駆体は、第1複合金属水酸化物をリチウム系物質と混合して得られたものであり得る。
【0082】
第1複合金属水酸化物は、前述のグループから選択される元素のうち、少なくともニッケルを含む元素と水酸化基が化学量論比を満足する範囲内で結合されているものであり得る。例えば、前記第1複合金属水酸化物はニッケル系複合金属水酸化物であってもよく、一例としてニッケル-コバルト-アルミニウム水酸化物、またはニッケル-コバルト-マンガン水酸化物であってもよい。
【0083】
前記リチウム系物質は一実施形態によるリチウム二次電池用正極活物質が正極活物質として機能するためのリチウム供給源である。一実施形態によるリチウム系物質の種類は特に制限されず、例えば、LiCO、LiOH、これらの水和物、またはこれらの組み合わせであってもよい。
【0084】
即ち、前記第1前駆体はニッケル系複合金属水酸化物とリチウム系物質の混合物であり得る。このような第1前駆体を酸化性ガス雰囲気下で第1熱処理して得られる第1ニッケル系酸化物はリチウムニッケル系複合酸化物であってもよく、例えば、リチウムニッケル-コバルト-アルミニウム酸化物、リチウムニッケル-コバルト-マンガン酸化物であってもよい。
【0085】
一方、これと別途に、第2前駆体を酸化性ガス雰囲気下で第2熱処理する過程を経て、その結果物を粉砕することによって、モノリス構造の粒子を含む第2ニッケル系酸化物を得ることができる。これをボロンが含まれている物質と混合して第3熱処理して、ボロン含有化合物がコーティングされた第2ニッケル系酸化物を得ることができる。
【0086】
具体的に、前記酸化性ガス雰囲気は酸素または空気のような酸化性ガスを用いることができる。前記第2熱処理は、例えば、800℃~1000℃で実施できる。第2熱処理時間は熱処理温度などによって可変的であるが、例えば、5~20時間実施する。前記第2前駆体は、第2複合金属水酸化物を前述のようなリチウム系物質と混合して得られたものであり得る。
【0087】
第2複合金属水酸化物は、前述の第1複合水酸化物と同様に、Li、Ni、Co、Mn、選択的にボロン(B)、マグネシウム(Mg)、カルシウム(Ca)、ストロンチウム(Sr)、バリウム(Ba)、チタン(Ti)、バナジウム(V)、クロム(Cr)、鉄(Fe)、銅(Cu)、ジルコニウム(Zr)、およびアルミニウム(Al)からなるグループより選択される元素がそれぞれ化学量論比を満足する範囲内で所定のモル比で含まれているものであってもよく、その中でも少なくともニッケルを含む元素と水酸化基が化学量論比を満足する範囲内で結合されているものであってもよい。前記第2複合金属水酸化物は例えばニッケル系複合金属水酸化物であってもよく、一例としてニッケル-コバルト-アルミニウム水酸化物、またはニッケル-コバルト-マンガン水酸化物であってもよい。
【0088】
前記第2複合金属水酸化物は、平均粒径が例えば0.5μm以上、1.0μm以上、1.5μm以上、2.0μm以上、例えば10μm以下、8μm以下、6μm以下、5μm以下、4μm以下であるものを使用することができる。
【0089】
一実施形態でBET測定法によって測定される前記第2複合金属水酸化物の比表面積は、1m/g~30m/gであり得る。例えば、2m/g~25m/g、具体的に5m/g~25m/gであってもよい。第2複合金属水酸化物の比表面積が前記範囲を満足する場合、第2ニッケル系酸化物が後述の粉砕過程でモノリス構造を有する前述の平均粒径範囲の粒子に細かく粉砕でき、残留リチウムの含量を低減することができる。
【0090】
第2前駆体を酸化性ガス雰囲気下で第2熱処理して得られる第2ニッケル系酸化物はリチウムニッケル系複合酸化物であってもよく、例えば、リチウムニッケル-コバルト-アルミニウム酸化物、リチウムニッケル-コバルト-マンガン酸化物であってもよい。
【0091】
その後、第2熱処理された物質を粉砕することによって、前述の平均粒径範囲に属するモノリス構造の粒子を含む第2ニッケル系酸化物を得る。前記第2ニッケル系酸化物は、前述の第1ニッケル系酸化物に比べて小さい平均粒径を有している。粉砕過程は、ジェットミル(jet mill)など既に公知された粉砕装置などを用いて行うことができる。
【0092】
得られたモノリス構造の粒子は前述の平均粒径範囲に属し、前述のように粒子別に凝集されず分散して存在し得る。一方、一実施形態ではリチウム系物質と第2複合金属水酸化物の投入量、および/または混合比は特に制限されないが、モノリス構造を有する第2正極活物質を形成することができる条件を満足し、これと同時に、ニッケル系活物質製造後に過度なリチウム塩、未反応のリチウム系物質が残留するのを最少化することができる範囲内に調節できる。
【0093】
一実施形態で第2前駆体内のリチウムを除いた残りの金属元素(Me)に対するリチウム(Li)のモル比(Li/Me)は、例えば0.8以上、0.85以上、0.9以上、0.95以上、例えば1.0以上であってもよく、例えば1.2以下、例えば1.1以下、例えば1.05以下であってもよい。
【0094】
一方、第1複合金属水酸化物と第2複合金属水酸化物内のNi、Co、Mn、そして選択的な元素間のモル比は最終的に前述の化学式1で表されるニッケル系正極活物質を製造するための範囲内で自由に選択できるが、少なくともNiのモル比がCo、Mn、および選択的な他の元素それぞれのモル比に比べて大きく調節できる。または、一実施形態による第2前駆体が前述の第1前駆体と同一のモル比を有するように調節されていてもよい。
【0095】
その後、前記モノリス構造の第2ニッケル系酸化物とボロン含有前駆体を混合して第3熱処理することによって、第2ニッケル系酸化物にボロン含有化合物をコーティングする過程を行う。ここで、ボロン含有前駆体は、熱処理過程を通じて第2ニッケル系酸化物の表面にボロン含有化合物として存在し得る材料を意味する。例えば、前記ボロン含有前駆体は、ホウ酸(HBO)、B、CB(OH)、(CO)B、[CH(CHO]B、C1319BO、C、(CO)B、またはこれらの組み合わせであり得る。
【0096】
前記第2ニッケル系酸化物とボロン含有前駆体を混合して第3熱処理を行う温度は約300℃~約500℃であってもよい。第3熱処理時間は熱処理温度などによって可変的であるが、例えば3~15時間であってもよい。このような温度範囲と時間範囲で第3熱処理を行う場合、ボロン含有化合物が均一にコーティングされた第2ニッケル系酸化物を得ることができる。
【0097】
前記第2ニッケル系酸化物100重量部に対する前記ボロン含有前駆体の含量は、0.01重量部~0.35重量部、または0.1重量部~0.35重量部、または0.1重量部~0.3重量部であり得る。このような含量範囲でコーティングする場合、ボロン含有化合物が均一にコーティングされた第2ニッケル系酸化物を得ることができる。
【0098】
その後、前記第1ニッケル系酸化物、および前記ボロン含有化合物がコーティングされた第2ニッケル系酸化物を混合する過程を行う。一実施形態で、前記第1ニッケル系酸化物とボロン含有化合物がコーティングされた第2ニッケル系酸化物の混合比は重量比を基準にして、例えば9:1~5:5、例えば8:2~5:5、例えば8:2~6:4、例えば7:3であってもよい。
【0099】
製造されたリチウム二次電池用正極活物質は前述のように一次粒子が凝集して成された二次粒子を含む第1正極活物質と、モノリス構造を有しながらボロン含有化合物がコーティングされた第2正極活物質を含み、第1正極活物質の二次粒子内で一次粒子のうちの少なくとも一部は放射形に配列されている。このように製造された正極活物質とこれを含むリチウム二次電池は前述のように安定性と電気化学的特性に優れる。
【0100】
以下、本発明の具体的な実施例を提示する。但し、下記に記載された実施例は本発明を具体的に例示するか説明するためのものに過ぎず、これによって本発明が制限されてはならない。
【実施例
【0101】
実施例1
1.複合金属水酸化物製造工程
(1)第1複合金属水酸化物製造工程
先ず、第1ニッケル系酸化物を製造するために後述の共沈法を通じてニッケル系活物質前駆体(Ni0.945Co0.04Al0.015OH)を合成した。下記製造過程でニッケル系活物質前駆体を形成する金属原料としては硫酸ニッケル、硫酸コバルト、および硝酸アルミニウムを使用した。
【0102】
[1段階:2.5kW/m、NHOH 0.40M、pH10.5~11.5、反応時間6時間]
まず、反応器に濃度が0.40Mであるアンモニア水を入れた。攪拌動力2.5kW/m、反応温度50℃で金属原料および錯化剤をそれぞれ85ml/minおよび10ml/minの速度で投入しながら反応を始めた。
【0103】
pHを維持するためにNaOHを投入しながら6時間反応を実施した。反応の結果得られたコア粒子の平均サイズが約6.5μm~7.5μm範囲であることを確認して2段階を次の通り実施した。
【0104】
[2段階:2.0kW/m、NHOH 0.45M、pH11~12、反応時間18時間]
反応温度50℃を維持しながら金属原料および錯化剤をそれぞれ85ml/minおよび12ml/minの速度に変更して投入して錯化剤の濃度が0.45Mが維持されるようにした。pHを維持するためにNaOHを投入しながら6時間反応した。この時、攪拌動力は1段階より低い2.0kW/mに低めて反応を行った。このような反応を実施して得られたコアおよび中間層を含む生成物粒子の平均サイズが13.5μm~14μmであることを確認して3段階を次の通り実施した。
【0105】
[3段階:1.5kW/m、NHOH 0.45M、pH10.5~11.5、反応時間14時間]
反応温度50℃を維持しながら金属原料および錯化剤の投入速度および錯化剤の濃度は前記2段階と同一にした。pHを維持するためにNaOHを投入しながら14時間反応した。この時、攪拌動力は2段階より低い1.5kW/mに低めて反応を行った。
【0106】
[後工程]
前記結果物を洗浄した後、洗浄された結果物を約150℃で24時間熱風乾燥して、第1複合金属水酸化物(Ni0.945Co0.04Al0.015OH)を得た。
【0107】
(2)第2複合金属水酸化物製造工程
これと別個に、硫酸ニッケル(NiSO・6HO)、硫酸コバルト(CoSO・7HO)および硫酸マンガン(MnSO・HO)を88:8:4モル比になるように溶媒である蒸留水に溶かして混合溶液を準備する。錯化合物形成のためにアンモニア水(NHOH)希釈液と、沈殿剤として水酸化ナトリウム(NaOH)を準備する。その後、反応器に金属原料混合溶液、アンモニア水、水酸化ナトリウムをそれぞれ反応器内部に投入する。その次に、攪拌を行いながら約20時間反応を行う。その後、反応器内のスラリー溶液をろ過および高純度の蒸留水で洗浄後、24時間乾燥して第2複合金属水酸化物(Ni0.88Co0.08Mn0.04(OH))粉末を得る。得られた第2複合金属水酸化物粉末は平均粒径が4.0μmであり、BET測定法によって測定される比表面積は15m/gである。
【0108】
2.正極活物質製造工程
(1)第1ニッケル系酸化物製造工程
第1ニッケル系酸化物を製造するために、得られた第1複合金属水酸化物とLiOHを1:1モル比で混合して第1前駆体を得て、これを酸素雰囲気で約700℃で10時間第1熱処理することによって、第1ニッケル系酸化物(LiNi0.945Co0.04Al0.015)を得た。
得られた第1ニッケル系酸化物の平均粒径は13.8μmであった。
【0109】
(2)第2ニッケル系酸化物製造工程
その後、得られた第2複合金属水酸化物とLiOHをLi/(Ni+Co+Mn)=1.05を満足するように混合して第2前駆体を得て、これを焼成炉に投入し、酸素雰囲気で910℃で8時間第2熱処理を実施して第2ニッケル系酸化物(Li1.05Ni0.88Co0.08Mn0.04)を得た。その後、得られた第2ニッケル系酸化物を約30分間粉砕して、モノリス構造を有する多数の第2ニッケル系酸化物に分離/分散させる。
得られたモノリス構造の第2ニッケル系酸化物の平均粒径は3.7μmである。
【0110】
(3)第2ニッケル系酸化物のボロンコーティング工程
得られたモノリス構造の第2ニッケル系酸化物とホウ酸を0.19重量%(または0.3モル%)で乾式混合機で混合した後、350℃で8時間第3熱処理した。これによって表面に酸化ホウ素とホウ酸リチウムがコーティングされたモノリス構造の第2ニッケル系酸化物を得る。
【0111】
(4)第1ニッケル系酸化物と第2ニッケル系酸化物混合工程
第1ニッケル系酸化物、およびボロン含有化合物がコーティングされた第2ニッケル系酸化物を重量比8:2で混合して、第1正極活物質、およびボロン含有化合物がコーティングされた第2正極活物質を含む正極活物質を製造した。
【0112】
比較例1
実施例1で第2ニッケル系酸化物にボロン含有化合物をコーティングしないことを除いては実施例1と同様な方法で正極活物質を製造した。
【0113】
比較例2
実施例1で第2ニッケル系酸化物の製造工程が下記の通りであり、ボロン含有化合物をコーティングしないことを除いては実施例1と同様な方法で正極活物質を製造した。
【0114】
(2)第2ニッケル系酸化物製造工程
その後、得られた第2複合金属水酸化物とLiOHをLi/(Ni+Co+Mn)=1.00を満足するように混合した後、焼成炉に投入し、酸素雰囲気で725℃で20時間第2熱処理を実施して第2ニッケル系酸化物(LiNi0.88Co0.08Mn0.04)を得た。
得られた第2ニッケル系酸化物の平均粒径は4.6μmであった。
【0115】
比較例3
第1ニッケル系酸化物の製造工程が下記の通りであることを除いて実施例1と同様の方法で正極活物質を製造した。
【0116】
(1)第1ニッケル系酸化物製造工程
第1ニッケル系酸化物を製造するために、得られた第1複合金属水酸化物とLiOHを1:1モル比で、ホウ酸を0.084重量%(または0.125モル%)で乾式混合して第1前駆体を得て、これを酸素雰囲気で約700℃で10時間第1熱処理することによって、表面にボロン含有化合物がコーティングされた第1ニッケル系酸化物(LiNi0.945Co0.04Al0.015)を得た。
得られた第1ニッケル系酸化物の平均粒径は13.8μmであった。
【0117】
コインハーフセルの製造
実施例1、比較例1および比較例2それぞれに対して、次のような過程を通じてそれぞれのコインハーフセルを製造する。
得られたリチウム二次電池用正極活物質96g、ポリビニリデンフルオライド2gおよび溶媒であるN-メチルピロリドン137g、導電剤であるカーボンブラック2gの混合物をミキサーを用いて気泡を除去して均一に分散した正極活物質層形成用スラリーを製造する。
【0118】
前記正極活物質層形成用スラリーをアルミニウム箔上にコーティングして薄い極板形態に作った後、これを135℃で3時間以上乾燥させた後、圧延と真空乾燥過程を経て正極を製作する。
【0119】
前記正極と相対極としてリチウム金属対極を使用して2032タイプのコインハーフセル(coin half cell)を製造する。前記正極とリチウム金属対極の間には多孔質ポリエチレン(PE)フィルムからなるセパレータ(厚さ:約16μm)を介し、電解液を注入して2032typeコインセルを製作する。この時、前記電解液はエチレンカーボネート(EC)とエチルメチルカーボネート(EMC)を3:5の体積比で混合した溶媒に溶解された1.1M LiPFが含まれている溶液を使用する。
【0120】
評価例1:充放電容量、充放電効率および寿命特性
製造された実施例1、比較例1~比較例3のコインハーフセルを45℃で1Cの定電流で上限電圧4.3Vまで充電した後、放電終止電圧3.0Vまで1Cで放電して初期放電容量を測定し、継続して50回サイクルまでの放電容量を測定して容量維持率を評価し、その結果を下記表1に示した。
【0121】
【表1】

表1を参照すれば、モノリス構造の第2正極活物質を使用する比較例1の場合、モノリス構造でない、1次粒子が組み立てられた構造の一般的なニッケル系酸化物を使用する比較例2と比較して50回容量維持率は改善されるが、初期放電容量が減少するのを確認することができる。
【0122】
しかし、ボロン含有化合物がコーティングされたモノリス構造の第2正極活物質を使用する実施例1の場合、比較例1と異なり、初期放電容量の減少なく50回容量維持率を改善することができる。また、モノリス構造の第2ニッケル系酸化物を混合することによって体積当り容量を追加的に改善することができる。
【0123】
比較例3はボロン含有化合物がコーティングされた第1正極活物質とボロン含有化合物がコーティングされたモノリス構造の第2正極活物質を適用した電池であって、表1を参照すれば実施例1に比べて初期放電容量と体積当り容量が顕著に低いということが分かる。
【0124】
一方、モノリス構造の第2ニッケル系酸化物でボロンのコーティング効果を確認するために、正極活物質として第2ニッケル系酸化物のみ適用した、実施例2~6および比較例4の電池を次の通り製造する。
【0125】
実施例2
(i)実施例1の第2ニッケル系酸化物のボロンコーティング工程で第2ニッケル系酸化物とホウ酸を0.06重量%(または0.1モル%)で乾式混合機で混合した後、325℃で8時間熱処理したことと(ii)正極活物質としてボロン含有化合物がコーティングされたモノリス構造の第2ニッケル系酸化物のみを使用したことを除いては実施例1と同様の方法でコインハーフセルを製造する。
【0126】
比較例4
正極活物質として前記比較例1で製造したボロン含有化合物をコーティングしていないモノリス構造の第2ニッケル系酸化物のみを使用したことを除いては比較例1と同様の方法でコインハーフセルを製造する。
【0127】
実施例3
(i)実施例1の第2ニッケル系酸化物のボロンコーティング工程で第2ニッケル系酸化物とホウ酸を0.06重量%(または0.1モル%)で乾式混合機で混合した後、350℃で8時間熱処理したことと(ii)正極活物質としてボロン含有化合物がコーティングされたモノリス構造の第2ニッケル系酸化物のみを使用したことを除いては実施例1と同様の方法でコインハーフセルを製造する。
【0128】
実施例4
正極活物質として前記実施例1で製造したボロン含有化合物がコーティングされたモノリス構造の第2ニッケル系酸化物のみを使用したことを除いては実施例1と同様の方法でコインハーフセルを製造する。
【0129】
実施例5
(i)実施例1の第2ニッケル系酸化物のボロンコーティング工程で第2ニッケル系酸化物とホウ酸を0.32重量%(または0.5モル%)で乾式混合機で混合した後、350℃で8時間熱処理したことと(ii)正極活物質としてボロン含有化合物がコーティングされたモノリス構造の第2ニッケル系酸化物のみを使用したことを除いては実施例1と同様の方法でコインハーフセルを製造する。
【0130】
実施例6
(i)実施例1の第2ニッケル系酸化物のボロンコーティング工程で第2ニッケル系酸化物とホウ酸を0.06重量%(または0.1モル%)で乾式混合機で混合した後、375℃で8時間熱処理したことと(ii)正極活物質としてボロン含有化合物がコーティングされたモノリス構造の第2ニッケル系酸化物のみを使用したことを除いては実施例1と同様の方法でコインハーフセルを製造する。
【0131】
評価例2:充放電容量、充放電効率および寿命特性
実施例2~6と比較例4のコインハーフセルを45℃で1Cの定電流で上限電圧4.3Vまで充電した後、放電終止電圧3.0Vまで1Cで放電して初期放電容量を測定し、継続して50回サイクルまでの放電容量を測定して容量維持率を評価し、その結果を下記表2に示した。
【0132】
【表2】
【0133】
表2を参照すれば、添加するボロンの含量が0.1mol%である場合、325℃~375℃熱処理時、比較例4のボロンをコーティングせずに熱処理することより放電容量が全て改善されるのを確認することができる。350℃でボロンが0.3mol%コーティングされた実施例4の充放電効率が最も優れていた。一方、45℃で50回容量維持率はボロンが0.3モル%以上添加されれば急激に低くなる傾向を確認することができる。
【0134】
以上で本発明を先に記載したところにより好ましい実施例を通じて説明したが、本発明はこれに限定されず次に記載する特許請求の範囲の概念と範囲を逸脱しない限り、多様な修正および変形が可能であるということを本発明の属する技術分野に務める者は容易に理解するはずである。
【符号の説明】
【0135】
21:リチウム二次電池
22:負極
23:正極
24:セパレータ
25:電池ケース
26:キャップアセンブリ
図1
図2
図3
図4