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▶ ビーエーエスエフ ソシエタス・ヨーロピアの特許一覧

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-18
(45)【発行日】2023-12-26
(54)【発明の名称】担体材料を用いた効率的な湿潤剤
(51)【国際特許分類】
   C09K 23/42 20220101AFI20231219BHJP
   C04B 24/02 20060101ALI20231219BHJP
   C04B 24/32 20060101ALI20231219BHJP
   C04B 20/10 20060101ALI20231219BHJP
   C04B 28/14 20060101ALI20231219BHJP
【FI】
C09K23/42
C04B24/02
C04B24/32 A
C04B20/10
C04B28/14
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2021506928
(86)(22)【出願日】2019-08-01
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2021-12-09
(86)【国際出願番号】 EP2019070798
(87)【国際公開番号】W WO2020035327
(87)【国際公開日】2020-02-20
【審査請求日】2022-08-01
(31)【優先権主張番号】18188791.0
(32)【優先日】2018-08-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】508020155
【氏名又は名称】ビーエーエスエフ ソシエタス・ヨーロピア
【氏名又は名称原語表記】BASF SE
【住所又は居所原語表記】Carl-Bosch-Strasse 38, 67056 Ludwigshafen am Rhein, Germany
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【弁理士】
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100098501
【弁理士】
【氏名又は名称】森田 拓
(74)【代理人】
【識別番号】100116403
【弁理士】
【氏名又は名称】前川 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100134315
【弁理士】
【氏名又は名称】永島 秀郎
(74)【代理人】
【識別番号】100135633
【弁理士】
【氏名又は名称】二宮 浩康
(74)【代理人】
【識別番号】100162880
【弁理士】
【氏名又は名称】上島 類
(72)【発明者】
【氏名】ベルンハルト・ファイヒテンシュラーガー
(72)【発明者】
【氏名】マルティン・ピヒラー
(72)【発明者】
【氏名】ミハエル・シナベック
(72)【発明者】
【氏名】ファビアン・ニーダーマイアー
(72)【発明者】
【氏名】マリア・ミュラー
(72)【発明者】
【氏名】クリストフ・ヘッセ
【審査官】福山 駿
(56)【参考文献】
【文献】特開2004-091288(JP,A)
【文献】特表2017-518957(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2011/0306705(US,A1)
【文献】特表2018-513089(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2008/0102274(US,A1)
【文献】特開2009-173515(JP,A)
【文献】特表2001-513750(JP,A)
【文献】特表2015-516993(JP,A)
【文献】特開2012-197209(JP,A)
【文献】特開2011-046590(JP,A)
【文献】特開2011-184236(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C09K 23/00-23/56
C04B 28/14
C04B 24/02
C04B 24/32
C04B 20/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
湿潤剤、並びに微粉状担体を含む、湿潤剤組成物であって、
湿潤剤が、
(ii)式
HO(CH CH O) -(CH CH(CH )O) -(CH CH O)
(式中、
1≦x≦100、
1≦y≦100、
1≦z≦100、
10%≦(44x+44z)/(44x+58y+44z)≦90%)、
の、エチレンオキシド及びプロピレンオキシドから形成されるブロックコポリマーであり、
(iii)式
RO(CH CH O) -(CH CH(CH )O) -H
(式中、
2≦x≦80、
y=0、
R=C 8~18 -アルキル又は1、2若しくは3個の二重結合を有するC 8~18 -アルケニル)
の脂肪アルコールアルコキシレートであり、又は
(iv)これらの組合せであり、
担体が、窒素収着を用いたBET法により決定した1から200m /gの比表面積を有するケイ酸カルシウム水和物である、湿潤剤組成物
【請求項2】
湿潤剤が
ii)式
HO(CHCHO)-(CHCH(CH)O)-(CHCHO)
(式中
≦x≦100、
1≦y≦100、
1≦z≦100、
10%≦(44x+44z)/(44x+58y+44z)≦80%)
の、エチレンオキシド及びプロピレンオキシドから形成されるブロックコポリマーであり、
(iii)式
RO(CHCHO)-(CHCH(CH)O)-H
(式中、
2≦x≦80
y=0
R=C8~18-アルキル又は1、2若しくは3個の二重結合を有するC8~18-アルケニル)
の脂肪アルコールアルコキシレートであり、
或いは
(iv)これらの組合せである、
請求項1に記載の湿潤剤組成物。
【請求項3】
担体が、窒素収着を用いたBET法により決定した10m/g超から200m /gの比表面積を有する、請求項1又は2記載の湿潤剤組成物。
【請求項4】
湿潤剤組成物が、いかなるアニオン性湿潤剤をも含まない、請求項1からのいずれか一項に記載の湿潤剤組成物。
【請求項5】
湿潤剤が、担体の質量に対して、1~50質量%の量で存在する、請求項に記載の湿潤剤組成物。
【請求項6】
湿潤剤が、担体の質量に対して、10~40質量%の量で存在する、請求項に記載の湿潤剤組成物。
【請求項7】
請求項1からのいずれか一項に記載の湿潤剤組成物及び少なくとも1種の鉱物バインダーを含む乾燥混合物。
【請求項8】
鉱物バインダーが、水硬性バインダーであって、
湿潤剤組成物が、少なくとも1種の水硬性バインダーの質量に対して、0.01~1質量%の量で存在する、請求項に記載の乾燥混合物。
【請求項9】
請求項又はに記載の乾燥混合物を、水と混合することにより得ることができる、湿潤混合物。
【請求項10】
水が、乾燥混合物中に存在する鉱物バインダーに対して、少なくとも20質量%の量で使用される、請求項に記載の湿潤混合物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、乾燥又は湿潤形態の鉱物バインダーを含む組成物、例えば、モルタル組成物、コンクリート組成物、プラスター組成物、スクリード組成物及び同様の組成物に関する。特に、本発明は、鉱物バインダーを含む前述の組成物において使用することができる湿潤剤に関する。
【背景技術】
【0002】
湿潤剤は、微粉状乾燥混合物、つまり鉱物(すなわち、水硬性又は非水硬性)バインダーを含む微粉状混合物、特に石膏ベース及びセメント質のモルタル(スパックリングコンパウンド等)の加工を促進する界面活性物質である。微粉状乾燥混合物において、湿潤剤は、第1に、すぐ加工できるバインダー組成物、例えばフレッシュモルタルを、可能な限り短時間に得ることを可能にするために、微粉状乾燥混合物の水への湿潤を加速する役目を有する。第2に、湿潤剤は、最小量の水にであっても、微粉状乾燥混合物の湿潤を可能にする、それ故に、容易に加工することができ且つ迅速に固まり且つ乾燥して、収縮が最小限の人工石組成物を形成するモルタル組成物(フレッシュモルタル)を提供する役目を有する。
【0003】
これらの高頻度で石膏ベース及びセメント質である乾燥混合物は、微粉状であるが、湿潤剤はしばしば、液体又はワックス状であり、自由流動粉末として得ることが困難である。そうした高頻度で石膏ベース及びセメント質である微粉状乾燥混合物において、したがって、緩徐溶解の結果としての製剤で得られることは少なく、更に粉末としての流動性はほとんどないワックス状固体が使用される。
【0004】
EP 2 006 258 Bは、櫛型ポリマーを含む石膏組成物を開示している。
【0005】
WO 2014/114784 A1は、分散剤、少なくとも1種の非ポリマースルホン酸化合物及びケイ酸カルシウム水和物粒子を含む、水硬性固化組成物のための添加剤を開示している。
【0006】
WO 2014/114782 A1は、ケイ酸カルシウム水和物ベースの硬化促進剤組成物、特に、そうした硬化促進剤組成物を、アニオン性及び/又はアニオン生成基並びにポリエチレン側鎖を含む少なくとも1種の水溶性ポリマー分散剤の存在下で、水酸化カルシウム及び酸化カルシウムから選択されるカルシウム源を水溶性ケイ酸化合物と反応させることにより調製する方法を開示している。
【0007】
WO 2015/185333 A1は、混合水の添加後に超可塑剤の分散作用の迅速な経時的発現を示し、同時にセメント質系の迅速な硬化を示す、セメント質バインダー系を記載している。組成物は、5~50質量%のケイ酸カルシウム水和物、10~60質量%の、ポリエチレン基を含む少なくとも1種の水溶性の、酸基含有ポリマー、及び5~40質量%の少なくとも1種のポリアルキレングリコールエーテルを含む。
【0008】
EP 1 518 923 A1は、本質的に、a)脂肪アルコールアルコキシレート、b)非晶質シリカ、c)担体材料及びd)任意選択で慣習的な助剤から構成され、且つ洗剤及び洗浄用組成物における使用に好適である、界面活性剤含有組成物を記載している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【文献】EP 2 006 258 B
【文献】WO 2014/114784 A1
【文献】WO 2014/114782 A1
【文献】WO 2015/185333 A1
【文献】EP 1 518 923 A1
【文献】WO 2010/026155 A1
【文献】WO 2011/026720 A1
【文献】WO 2011/029711
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
こうした背景の下、第1の態様において、本発明の目的は、自由流動粉末として存在する湿潤剤組成物であって、組成物中で湿潤剤が、組成物の水との混合時に(例えば、微粉状乾燥混合物の成分として)、迅速に溶解し、したがって乾燥混合物の湿潤を加速するため及び乾燥混合物の最小量の水における湿潤を可能にするために利用可能であるように存在する、湿潤剤組成物を提供することである。
【0011】
更なる態様において、本発明の目的は、この湿潤剤組成物及び鉱物バインダーを含み、それ故に少量の水が使用された場合でさえも、水と混合するときに迅速に湿潤されうる、微粉状乾燥混合物を提供することである。
【0012】
第3の態様において、本発明の目的は、前述の微粉状乾燥混合物(言及の湿潤剤組成物及び鉱物バインダーを含む)を水と混合することによって得られる、バインダー組成物を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明の目的の第1の態様は、湿潤剤及び微粉状担体を含む湿潤剤組成物を提供することにより達成されうることが、驚くべきことに見出されている。
【0014】
本発明の目的の第2の態様は、前述の湿潤剤組成物及び鉱物バインダーを含む乾燥混合物を提供することにより達成されうる。
【0015】
本発明の目的の第3の態様は、前述の乾燥混合物(言及の湿潤剤組成物及び鉱物バインダーを含む)を水と混合することにより得られる湿潤混合物を提供することにより達成されうる。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本発明は、一般的及び好ましい実施形態の説明により、以下に、より詳細に記載される。
【0017】
本発明の第1の態様において、湿潤剤及び微粉状担体を含む湿潤剤組成物が溶解した形態で提供される。この湿潤剤組成物の成分を以下に記載する。
【0018】
- 湿潤剤
本出願の文脈において、用語「湿潤剤」は、両親媒性を有する化合物、つまり化合物が、親水性を有する少なくとも1つの分子中の領域と疎水性を有する少なくとも1つの分子中の領域とを有すること、を意味する。親水性分子部分の性質に応じて、カチオン性湿潤剤、アニオン性湿潤剤及び非イオン性湿潤剤に区別される。カチオン性湿潤剤は、親水性分子部分として、正電荷をもつ官能基、例えば第四級アンモニウム基(-N+R3)等を有する。アニオン性湿潤剤は、親水性分子部分として、負電荷をもつ官能基、例えばカルボキシレート基(-COO-)、スルホン酸基(-SO3-)又は硫酸基(-OSO3-)等を有する。非イオン性湿潤剤は、親水性分子部分として、電荷をもたない、つまり中性の官能基、例えば水酸基(-OH)又はエーテル基、特にメチレンオキシ基(-O-CH2-)又はエチレンオキシ基(-O-CH2CH2-)等を有する。これら官能基の各々は、親水性分子部分中に1回又は複数回存在してよい。例えば、エチレンオキシ基等のエーテル基は、例えば10個のエチレンオキシ基が互いに直鎖状に結合しているポリエーテル基の形態で存在してよい。
【0019】
分子部分の疎水性は、相対的な特性であり、つまり疎水性部分としての分子部分の評価は、それぞれ、親水性と分類されるもう一方の分子部分に対してなされる。カチオン性及びアニオン性湿潤剤に関して、カチオン性又はアニオン性に帯電した基を含む分子部分は、親水性として分類することができるため、親水性及び疎水性分子部分間の区別は、比較的明白である。非イオン性湿潤剤に関して、区別は、一般に分子中に存在する基の疎水性を比較することによりなされる。例えば、ポリエーテル基(例えば、互いに結合する10個のエチレンオキシ基から形成される)は、同一分子中に存在するアルキル基と比較して、親水性と分類されうる。しかし、そうしたポリエーテル基は、例えば、カチオン性若しくはアニオン性基、例えばカルボキシレート基(-COO-)の場合、又は同一分子中に1つ若しくは複数のヒドロキシル基(-OH)が存在する場合、疎水性と分類されることもまた可能である。これは、当業者には公知である。
【0020】
本発明の文脈において、非イオン性湿潤剤が好ましい。
【0021】
特に、分子部分がエチレンオキシドオリゴマーによって形成される非イオン性湿潤剤が好ましい。エチレンオキシドオリゴマーは、xが1から100までの値をとってよい、以下の式によって表されうる構造単位からなる。
-(CH2CH2O)x-H
【0022】
簡潔にするため、エチレンオキシドから誘導される構造単位(-CH2CH2O-)はまた、本出願の文脈において、略語EOによっても表される。したがって、式-(CH2CH2O)x-Hのエチレンオキシドオリゴマーはまた、省略形-EOx-によっても表される。これらのエチレンオキシドオリゴマーは、直鎖状であり、つまり、繰り返しエチレンオキシド構造単位が、いかなる分子鎖の分枝をも有することなく、互いに結合している。
【0023】
説明のように、分子部分の親水性又は疎水性の分類は分子中の環境に依存する。ポリエーテル基は、親水性又は疎水性として分類されうる。本発明に関連して好ましい非イオン性湿潤剤においてエチレンオキシドオリゴマーにより形成される分子部分は、親水性分子部分として、さもなければ疎水性分子部分として機能してよい。
【0024】
以下のクラスの非イオン性湿潤剤は、エチレンオキシドオリゴマーを含み、したがって好ましい非イオン性湿潤剤を構成する。
【0025】
(1)エチレンオキシドオリゴマー及びプロピレンオキシドオリゴマーから形成されるブロックコポリマー
このタイプの非イオン性湿潤剤は、2個の末端エチレンオキシドオリゴマーブロック及び1個の中央プロピレンオキシドオリゴマーブロックからなり、且つEO-POブロックコポリマーとも称される。これらのブロックコポリマーは、一般式
HO(CH2CH2O)x-(CH2CH(CH3)O)y-(CH2CH2O)zH
(式中、
1≦x≦100、
1≦y≦100、
1≦z≦100)
を有する。
【0026】
したがって、末端エチレンオキシドオリゴマーブロックの各々は、エチレンオキシドオリゴマーを構成する。ポリプロピレンオキシドオリゴマーブロックは、疎水性分子部分であるとみなされてよく、エチレンオキシドオリゴマーブロックは親水性分子部分とみなされてよい。
【0027】
中央プロピレンオキシドオリゴマーブロックは、yが1から100までの値をとってよい、以下の式によって表されうる構造単位からなる。
-(CH2CH(CH3)O)y-
【0028】
簡潔のために、プロピレンオキシドから誘導される構造単位(-CH2CH(CH3)O-)はまた、本出願の文脈において、略語POによっても表される。したがって、式-(CH2CH(CH3)O)y-のプロピレンオキシドオリゴマーはまた、省略形-POy-によっても表されうる。これらのプロピレンオキシドオリゴマーは、直鎖状であり、つまり、繰り返しプロピレンオキシド構造単位が、いかなる分子鎖の分枝をも有することなく、互いに結合している。したがって、構造単位中に存在するメチル基は、プロピレンオキシドオリゴマーの分枝であるとはみなされない。
【0029】
一般式
HO(CH2CH2O)x-(CH2CH(CH3)O)y-(CH2CH2O)zH
(式中、
1≦x≦100、
1≦y≦100、
1≦z≦100、
5%≦(44x+44z)/(44x+58y+44z)≦90%)
のEO-POブロックコポリマーが、好ましい。
【0030】
一般式
HO(CH2CH2O)x-(CH2CH(CH3)O)y-(CH2CH2O)zH
(式中、
1≦x≦100、
1≦y≦100、
1≦z≦100、
10%≦(44x+44z)/(44x+58y+44z)≦80%)
のEO-POブロックコポリマーが、より好ましい。
【0031】
したがって、総分子質量(44x+58y+44zとして表される)に対するエチレンオキシドオリゴマーブロック(44x+44zとして表される)の質量割合は、5%以上、且つ90%以下でありうる。
【0032】
一般式
HO(CH2CH2O)x-(CH2CH(CH3)O)y-(CH2CH2O)zH
(式中、
1≦x≦90、
13≦y≦70、
1≦z≦90、
10%≦(44x+44z)/(44x+58y+44z)≦80%)
のEO-POブロックコポリマーが、更により好ましい。
【0033】
したがって、これらのEO-POブロックコポリマーにおいて、中央プロピレンオキシドオリゴマーブロックは、754から4060g/molまでの範囲の質量を有する。
【0034】
したがって、総分子質量(44x+58y+44zとして表される)に対するエチレンオキシドオリゴマーブロック(44x+44zとして表される)の質量割合は、10%以上、且つ80%以下でありうる。この関係は、例えば、x、y及びzが以下の値をとる場合に、満たされる。
(a)x=z=1及びz=13
(b)x=z=90及びz=35
(c)x=5、z=6及びz=70
(d)x=1、z=2及びz=15
(e)x=20、z=21及びz=47
(f)x=z=2及びz=56
(g)x=z=36及びz=56
【0035】
一般式
HO(CH2CH2O)x-(CH2CH(CH3)O)y-(CH2CH2O)zH
(式中、
10≦x≦90、
25≦y≦60、
10≦z≦90、
10%≦(44x+44z)/(44x+58y+44z)≦80%)
のEO-POブロックコポリマーが、特に好ましい。
【0036】
したがって、これらのEO-POブロックコポリマーにおいて、中央プロピレンオキシドオリゴマーブロックは、1450から3480g/molまでの範囲の質量を有する。
【0037】
総分子質量(44x+58y+44zとして表される)に対するエチレンオキシドオリゴマーブロック(44x+44zとして表される)の質量割合は、10%以上、且つ80%以下である。この関係は、例えば、x、y及びzが以下の値をとる場合に、満たされる。
(a)x=z=10及びz=60
(b)x=z=90及びz=35
(c)x=5、z=5及びz=25
(d)x=z=45及びz=60
(e)x=20、z=21及びz=47
【0038】
一般式
HO(CH2CH2O)x-(CH2CH(CH3)O)y-(CH2CH2O)zH
(式中、
10≦x≦90、
35≦y≦50、
10≦z≦90、
10%≦(44x+44z)/(44x+58y+44z)≦80%)
のEO-POブロックコポリマーが、最も好ましい。
【0039】
したがって、これらのEO-POブロックコポリマーにおいて、中央プロピレンオキシドオリゴマーブロックは、2030から2900g/molまでの範囲の質量を有する。
【0040】
したがって、総分子質量(44x+58y+44zとして表される)に対するエチレンオキシドオリゴマーブロック(44x+44zとして表される)の質量割合は、10%以上、且つ80%以下である。この関係は、例えば、x、y及びzが以下の値をとる場合に、満たされる。
(a)x=z=10及びz=50
(b)x=z=90及びz=35
(c)x=5、z=5及びz=35
(d)x=z=45及びz=60
(e)x=20、z=21及びz=47
【0041】
エチレンオキシドオリゴマー及びプロピレンオキシドオリゴマーから形成されるそうしたブロックコポリマーは、例えば、商標名「Pluronic(登録商標)PE」で、BASF SE社から市販されている。
【0042】
(2)脂肪アルコールアルコキシレート
このタイプの非イオン性湿潤剤は、1つの分子部分としてのエチレンオキシドオリゴマー及びもう1つの分子部分としてのアルコキシ基からなる。これらの脂肪アルコールアルコキシレートは、一般式
RO(CH2CH2O)x-(CH2CH(CH3)O)y-H
(式中、
2≦x≦80、
0≦y≦80、
R=C8~18-アルキル又は1、2若しくは3個の二重結合を有するC8~18-アルケニル)
を有する。
【0043】
一般式
RO(CH2CH2O)x-(CH2CH(CH3)O)y-H
(式中、
2≦x≦80、
2≦y≦80、
R=C12~18-アルキル又は1、2若しくは3個の二重結合を有するC12~18-アルケニル)
の脂肪アルコールアルコキシレートが、より好ましい。
【0044】
10≦x≦80、
y=0、
R=C16~18-アルキル又は1、2若しくは3個の二重結合を有するC16~18-アルケニル、
である前記の一般式の脂肪アルコールアルコキシレートが、更により好ましい。
【0045】
30≦x≦80、
y=0、
R=C16~18-アルキル又は1、2若しくは3個の二重結合を有するC16~18-アルケニル、
である前記の一般式の脂肪アルコールアルコキシレートが、特に好ましい。
【0046】
2≦x≦10、
2≦y≦10、
R=C12~14-アルキル、
である前記の一般式の脂肪アルコールアルコキシレートが、同様に特に好ましい。
【0047】
そうした脂肪アルコールアルコキシレートは、例えば商標名「Lutensol(登録商標)AT」、「Dehypon(登録商標)」、例えば「Dehypon(登録商標)LS 54」、及び「Disponil(登録商標)A」で、BASF SE社から市販されている。
【0048】
(3)ポリエチレングリコール
このタイプの非イオン性湿潤剤は、1つの分子部分としてのエチレンオキシドオリゴマー及びもう1つの分子部分としてのアルコキシ基からなる。これらのポリエチレングリコールは、一般式
HO(CH2CH2O)x-H
(式中、3≦x≦210、好ましくは5≦x≦150、より好ましくは10≦x≦100、更により好ましくは10≦x≦60、最も好ましくは10≦x≦40)
を有する。
【0049】
そうしたポリエチレングリコールは、例えば、商標名「Pluriol(登録商標)E」、例えば「Pluriol(登録商標)E 600」で、BASF SE社から市販されている。
【0050】
本発明に関連して、使用される湿潤剤は、単一の化合物又は2種以上の異なる化合物の組合せであってよい。例として、上記の化合物クラス(1)から(3)までからの互いに独立した2種以上を、互いに組み合わせて使用することが、一実施形態として可能である。したがって例として言及されたこの実施形態に関連して、エチレンオキシドオリゴマー及びプロピレンオキシドオリゴマーから形成された2種以上のブロックコポリマーの組合せ、又は、エチレンオキシドオリゴマー及びプロピレンオキシドオリゴマーから形成されたブロックコポリマーと脂肪アルコールアルコキシレートとの組合せを使用することが可能である。
【0051】
- 担体
担体は、その表面に湿潤剤が適用されて本発明による湿潤剤組成物を形成する、微粉状材料である。
【0052】
担体は、粒子サイズ及び材料に関して特に限定されず、つまり粒子サイズ及び材料は、互いに独立して、選択されてよく、ここで、担体は、乾燥混合物又は湿潤混合物の成分としての湿潤剤組成物の製造、貯蔵及び使用の条件下で安定であるべきであり、且つ担体は、湿潤剤の分解又は湿潤剤の特性の低下を防止するために湿潤剤に対して十分に不活性であるべきである。更に、担体材料はまた、本発明の更なる態様による乾燥混合物及び本発明の更なる態様による湿潤混合物の特性を損なうべきではない。
【0053】
担体は一般に、5~500μmの粒子サイズを有し、本出願の文脈における担体に関連しての用語「粒子サイズ」は、乾燥混合物の成分である鉱物バインダーに関連しての用語「粒子サイズ」と同一の意味をもち、且つ同一の方法によって決定されうる。担体の粒子サイズは、例えば、鉱物バインダーの粒子サイズと同様であるように、すなわち担体のd50が、鉱物バインダーのd50の80%以上であり、且つ鉱物バインダーのd50の120%以下であるよう、選択されてよい。小さな粒子サイズを有する担体の選択は一般に、湿潤剤組成物及び乾燥混合物の好ましい流動特性につながるが、特に小さい粒子サイズを有する粒子の割合がより高いために、湿潤剤組成物及び乾燥混合物の一般に望ましくないより高い細塵含量につながる可能性がある。逆に、湿潤剤組成物及び乾燥混合物の細塵含量は、有利には、大きな粒子サイズの担体を選択することにより低く保つことができるが、これは湿潤剤組成物及び乾燥混合物の流動特性に負の影響を与える可能性がある。
【0054】
湿潤剤は、担体材料の表面に存在するよう意図されているので、単位質量当たり大きな表面積を、つまり、大きな比表面積を有することが、担体にとって有利である。例えば、10m2/g超、20m2/g超、30m2/g超、又はなお40m2/g超の比表面積を有する担体材料を使用することができる。比表面積は、当業者に公知の方法によって、例えば、窒素を用いるBET法によって、決定することができる。
【0055】
好ましい実施形態において、担体は、無機材料である。例えば、担体は、更なる好ましい実施形態において、二酸化ケイ素、ケイ酸塩及びアルミノケイ酸塩、アルカリ土類金属炭酸塩、アルカリ土類金属リン酸塩、微粉状非晶質ロックメルト(rock melt)、並びにこれらの混合物から選択されてよい。
【0056】
なお更なる好ましい実施形態において、担体は、アルカリ土類金属炭酸塩、アルカリ土類金属リン酸塩、アルカリ土類金属ケイ酸塩、アルカリ土類金属ケイ酸塩水和物及びこれらの混合物から、好ましくは炭酸マグネシウム、炭酸カルシウム、リン酸マグネシウム、リン酸カルシウム、ケイ酸マグネシウム、ケイ酸カルシウム、ケイ酸マグネシウム水和物、ケイ酸カルシウム水和物、及びこれらの混合物から、特にケイ酸マグネシウム水和物、ケイ酸カルシウム水和物及びこれらの混合物から、選択されてよい。
【0057】
同様になお更なる好ましい実施形態において、担体は、層状ケイ酸塩及び層状アルミノケイ酸塩、並びにこれらの混合物、特にベントナイト、カオリン、モンモリロナイト及びこれらの混合物、天然二酸化ケイ素、例えばキーゼルグール(kieselguhr)、非晶質二酸化ケイ素、熱分解法二酸化ケイ素、沈降二酸化ケイ素、及びこれらの混合物から選択されてよい。
【0058】
特に好ましい実施形態において、担体は、ケイ酸カルシウム水和物、特に、窒素収着を用いたBET法により決定した1から200m2/gの、特に好ましくは30~150m2/gの、比表面積を有するケイ酸カルシウム水和物を含む。
【0059】
更なる特に好ましい実施形態において、担体は、ケイ酸カルシウム水和物、特に、窒素収着を用いたBET法により決定した1から200m2/gの、特に好ましくは30~150m2/gの、比表面積を有するケイ酸カルシウム水和物からなる。
【0060】
ケイ酸カルシウム水和物の組成は、以下の実験式により一般に記載することができる:
a CaO,SiO2, b Al2O3, c H2O, d X,e W
(式中、
Xは、アルカリ金属であり、
Wは、アルカリ土類金属であり、
0.1≦a≦2、好ましくは0.66≦a≦1.8、
0≦b≦1、好ましくは0≦b≦0.1、
1≦c≦6、好ましくは1≦c≦6.0、
0≦d≦1、好ましくは0≦d≦0.4、
0≦e≦2、好ましくは0≦e≦0.1である)。
【0061】
ケイ酸カルシウム水和物は、好ましくは少なくとも部分的に、以下の結晶構造の1つ又は複数である:フォシャジャイト、ヒレブランダイト、ゾノトライト、ネコアイト、クリノトバモライト、トバモライト-9Å(リバーサイドライト)、トバモライト-11Å、トバモライト-14Å(プロンビエライト)、ジェンナイト、メタジェンナイト、カルシウムコンドロダイト、アフィライト、α-Ca2[SiO3(OH)](OH)、デルライト、ジャフェイト、ローゼンハーナイト、キラライト及び/又はスオルナイト、特に好ましくはゾノトライト、トバモライト-9Å(リバーサイドライト)、トバモライト-11Å、トバモライト-14Å(プロンビエライト)、ジェンナイト、メタジェンナイト、アフィライト及び/又はジャフェイト。更なる好ましい一実施形態において、ケイ酸カルシウム水和物は、非晶質形態である。ケイ酸カルシウム水和物におけるカルシウムのケイ素に対するモル比は、好ましくは0.6から2、好ましくは0.8から1.8、特に好ましくは0.9から1.6、とりわけ好ましくは1.0から1.5である。ケイ酸カルシウム水和物におけるカルシウムの水に対するモル比は、好ましくは0.6から6、特に好ましくは0.6から2、とりわけ好ましくは0.8から2である。
【0062】
担体材料として本発明において使用するのに適したケイ酸カルシウム水和物の製造に関して、その内容が全て、本出願に組み込まれる特許出願WO 2015/185333A1、WO 2014/114784 A1、WO 2014/114782 A1、WO 2010/026155 A1、WO 2011/026720 A1及びWO 2011/029711もまた参照される。
【0063】
ケイ酸カルシウム水和物はまた、種々の粒子サイズ、及び種々の比表面積で市販されている。本発明と関連して担体として使用可能なケイ酸カルシウム水和物のタイプは、例えば、Circosil(登録商標)の名称で、Cirkel GmbH & Co.KG社、Haltern am See、Germanyから市販されている。
【0064】
- 湿潤剤組成物
本発明による湿潤剤組成物は、(i)アニオン性、カチオン性、非イオン性及びこれら湿潤剤の組合せから選択される湿潤剤、並びに(ii)微粉状担体を含む。これらの成分は、一般的に及び好ましい実施形態に関して、上に記載されている。
【0065】
これは科学的に証明されてはいないが、湿潤剤は担体の表面に微細に分割された形態で配置されていると考えられ、この微細に分割された形態のために特に迅速に水性相へ移行することが可能であり、本発明の更なる態様による湿潤混合物を、本発明の更なる態様による乾燥混合物と水を混合することにより製造する場合、湿潤剤が水性相中で迅速に利用可能であることを意味する。この方法で、湿潤剤の所望の特性が、活性になること及び乾燥混合物の成分の速やかな湿潤をもたらすことが可能である。
【0066】
湿潤剤組成物中の湿潤剤と担体との量比は、特に限定されないが、担体の表面が完全に湿潤剤で覆われると、湿潤剤がロードされた担体粒子の望ましくない大量の塊状化及び膠着につながることがあるので、担体への湿潤剤のローディングを、担体の表面が完全に湿潤剤で覆われることがないよう、十分に低く保つことが望ましい。特に、この場合、湿潤剤はもはや担体の表面に微細に分割された形態で存在することはなく、したがって水性相への所望の迅速な移行はもはや保証されないであろう。
【0067】
しかし、他方で、担体の高ローディングは、担体をできる限り効率的に使用するためには、一般に望ましい。これらの効果の最適な組合せの概算は一般に、湿潤剤が、湿潤剤組成物中に、担体の質量に対して、1~50質量%、好ましくは10~40質量%、特に好ましくは20~35質量%の量で存在する場合に達成されうる。
【0068】
湿潤剤をこの量で含む湿潤剤組成物は、高温(例えば、約70℃まで)においてでさえも、湿潤剤が約30℃の融点を有する場合でさえも、貯蔵安定性があるという利点を更に有する。これは、湿潤剤組成物の望ましくない凝集が起こらないこと、貯蔵に使用される容器への湿潤剤組成物の接着又は付着が起こらないこと及びブリーディング、つまり、湿潤剤組成物からの湿潤剤の漏出、が起こらないことを特に意味する。
【0069】
湿潤剤と担体との量比を更に最適化することが必要な場合、当業者であれば、本出願の教示に基づき、簡潔な実験を計画し、実行することができる。例えば、当業者であれば、できる限り最短の湿潤時間を達成できる湿潤剤と担体との量比を確かめるために、本出願の実施例において記載されるように、特定の湿潤剤及び特定の担体を含む湿潤剤組成物の湿潤時間を、湿潤剤と担体との種々の量比に関して、決定することができる。
【0070】
湿潤剤組成物の好ましい実施形態において、湿潤剤は非イオン性であり、更なる好ましい実施形態において、湿潤剤は、一般論として及び好ましい実施形態に関して上に記載された、エチレンオキシドオリゴマー及びプロピレンオキシドオリゴマー、脂肪アルコールアルコキシレート及びポリエチレングリコール、から形成されるブロックコポリマー、並びにこれら湿潤剤の組合せから選択される。
【0071】
湿潤剤組成物の好ましい実施形態において、担体は、無機材料であり、更なる好ましい実施形態において、担体は、一般論として及び好ましい実施形態に関して上に記載された、二酸化ケイ素、ケイ酸塩及びアルミノケイ酸塩、アルカリ土類金属炭酸塩、アルカリ土類金属リン酸塩、微粉状非晶質ロックメルト、アルカリ土類金属ケイ酸塩、アルカリ土類金属ケイ酸塩水和物並びにこれらの混合物から選択される。
【0072】
湿潤剤組成物の更なる好ましい実施形態において、
(i)湿潤剤は、湿潤剤が、一般論として及び好ましい実施形態に関して上に記載された、エチレンオキシドオリゴマー及びプロピレンオキシドオリゴマー、脂肪アルコールアルコキシレート及びポリエチレングリコール、から形成されるブロックコポリマー、並びにこれら湿潤剤の組合せから特に選択されてよい、非イオン性であり、且つ
(ii)担体は、担体が、一般論として及び好ましい実施形態に関して上に記載された、二酸化ケイ素、ケイ酸塩及びアルミノケイ酸塩、アルカリ土類金属炭酸塩、アルカリ土類金属リン酸塩、微粉状非晶質ロックメルト、アルカリ土類金属ケイ酸塩、アルカリ土類金属ケイ酸塩水和物及びこれらの混合物から特に選択されてよい、無機材料である。
【0073】
湿潤剤組成物のなお更なる好ましい実施形態において、
(i)湿潤剤は、一般論として及び好ましい実施形態に関して上に記載された、エチレンオキシドオリゴマー及びプロピレンオキシドオリゴマー、脂肪アルコールアルコキシレート及びポリエチレングリコール、から形成されるブロックコポリマー、並びにこれら湿潤剤の組合せから選択され、且つ
(ii)担体は、炭酸マグネシウム、炭酸カルシウム、リン酸マグネシウム、リン酸カルシウム、ケイ酸マグネシウム、ケイ酸カルシウム、ケイ酸マグネシウム水和物、ケイ酸カルシウム水和物、及びこれらの混合物から、特にケイ酸マグネシウム水和物、ケイ酸カルシウム水和物及びこれらの混合物から、選択される。
【0074】
湿潤剤組成物のなお更なる好ましい実施形態において、
(i)湿潤剤は、一般論として及び好ましい実施形態に関して上に記載された、エチレンオキシドオリゴマー及びプロピレンオキシドオリゴマー、脂肪アルコールアルコキシレート及びポリエチレングリコール、から形成されるブロックコポリマー、並びにこれら湿潤剤の組合せから選択され、且つ
(ii)担体は、ケイ酸カルシウム水和物、特に、窒素収着を用いたBET法により決定した1から200m2/gの、特に好ましくは30~150m2/gの、比表面積を有するケイ酸カルシウム水和物を含む。
【0075】
湿潤剤組成物のこれらの実施形態全てにおいて、湿潤剤は一般に、担体の質量に対して、1~50質量%、好ましくは10~40質量%、特に好ましくは20~35質量%の量で存在する。
【0076】
特に好ましい実施形態において、湿潤剤組成物は、少なくとも1種の非イオン性湿潤剤を含むが、いかなるアニオン性湿潤剤をも含まない。
【0077】
更なる好ましい実施形態において、湿潤剤組成物は、少なくとも1種の非イオン性湿潤剤を含むが、いかなるアニオン性湿潤剤をも含まず、且つ、少なくとも1種の非イオン性湿潤剤は、エチレンオキシドオリゴマー及びプロピレンオキシドオリゴマー、脂肪アルコールアルコキシレート、ポリエチレングリコール、から形成されるブロックコポリマー、並びにこれらの組合せから選択される。エチレンオキシドオリゴマー及びプロピレンオキシドオリゴマー、脂肪アルコールアルコキシレート及びポリエチレングリコール、から形成される好適なブロックコポリマーは、上に詳細に記載されている。
【0078】
なお更なる好ましい実施形態において、湿潤剤組成物は、少なくとも1種の非イオン性湿潤剤を含むが、いかなるアニオン性湿潤剤をも含まず、且つ、少なくとも1種の非イオン性湿潤剤は、エチレンオキシドオリゴマー及びプロピレンオキシドオリゴマー、脂肪アルコールアルコキシレート、ポリエチレングリコール、から形成されるブロックコポリマー、並びにこれらの組合せから選択され、ここで、少なくとも1種の非イオン性湿潤剤は、担体の質量に対して、1~50質量%、好ましくは10~40質量%、特に好ましくは20~35質量%の量で存在する。
【0079】
湿潤剤組成物は、更なる成分、例えば自由流動助剤、例えば炭酸カルシウム又は商標名Sipernat(登録商標)及びAerosil(登録商標)(Evonik Industries AG社、Essen、Germany)で市販されているヒュームドシリカを含んでよい。これらの更なる成分は一般に、湿潤剤組成物の質量に対して、1~5質量%、好ましくは1~3質量%の量で存在してよい。
【0080】
- 湿潤剤組成物の調製
湿潤剤組成物は、湿潤剤を担体の表面に適用するのに適した任意の方法によって調製されてよい。
【0081】
例えば、微粉状担体を混合しながら、好適な形態の担体に湿潤剤を適用することが可能である。湿潤剤が室温で液体である場合、湿潤剤の均一なローディングを達成するために、好ましくは担体を混合しながら、湿潤剤を室温で担体上に噴霧することができる。湿潤剤が室温で固体である場合、湿潤剤を加熱することによって液体形態に変換し、担体上に噴霧することが考えられる。
【0082】
同様に任意選択で実行できる加熱をしながら、湿潤剤を好適な溶媒中に分散又は溶解し、且つこうして得られた分散体又は溶液を担体上に噴霧することもまた考えられる。使用される溶媒は例えば、水、一価又は二価アルコール、例えばエタノール、プロパノール、イソプロパノール、ブタノール、それらのエーテル誘導体、例えばブチルグリコール(すなわち、エチレングリコールモノブチルエーテル)及びカルボン酸とのエステル誘導体、例えば酢酸エチル又は酢酸ブチルグリコール(すなわち、酢酸2-ブトキシエチル)、並びにこれら溶媒の混合物であってよい。この場合、次いで、担体及び湿潤剤の混合物から溶媒を除去する必要がある。この観点から、比較的低沸点の共沸混合物を形成する少なくとも2種の溶媒の混合物を用いることが有利であることがある。溶媒又は溶媒混合物は減圧及び/又は高温下での蒸発により除去することができる。溶媒が、溶媒中の担体及び湿潤剤の噴霧可能な懸濁物又は分散体を製造するのに十分な量で使用される場合、溶媒はまた、例えば噴霧乾燥によって除去することもできる。溶媒、担体及び湿潤剤の混合物が噴霧不可能ではあるが、十分に流動可能である場合、ローラー乾燥又はベルト乾燥を使用することができる。湿潤剤及び担体の乾燥混合物は、例えば、最終湿潤剤組成物において塊状化した担体粒子が存在せず、むしろ湿潤剤組成物の粒子サイズが本質的に(非被覆)担体の粒子サイズに相当するように、湿潤剤被覆担体粒子の集塊を分解するために、任意選択で後処理されてよい。
【0083】
- 乾燥混合物
本発明の更なる態様において、乾燥混合物は、前述の湿潤剤組成物及び鉱物バインダーを含んで提供される。
【0084】
本出願の文脈において、用語「乾燥混合物」は、前述の湿潤剤組成物及び少なくとも1種の鉱物バインダー、並びにまた任意選択の成分として、骨材及び/又はアジュバントを含む微粉状組成物を意味する。湿潤剤組成物の存在を除いては、乾燥混合物は、その組成において、当業者に公知の慣習的な乾燥混合物との違いはない。
【0085】
骨材の粒子サイズは特に限定されない。骨材が、メッシュサイズ4mmの篩を通過するような粒子サイズを有する場合、乾燥混合物はまた、乾燥モルタルとも称される。骨材が、メッシュサイズ4mmの篩を通過しないような粒子サイズを有する場合、乾燥混合物はまた、乾燥コンクリートとも称される。
【0086】
骨材は、堆積物及び岩粒子、例えば、非破砕砂、非破砕砂利、並びに破砕岩粒子、例えば破砕石、砕石片、破砕砂及び破砕岩から選択されてよい。
【0087】
破砕砂は、典型的に、0から2ミリメートルの間の粒子サイズを有する角状の破砕鉱物質を言う。砕石片は、典型的に、2から32ミリメートルの間の粒子サイズを有する角状の破砕鉱物質を言う。破砕石は、典型的に、32から63ミリメートルの間の粒子サイズを有する角状の破砕鉱物質を言う。砂は、典型的に、0.063から2ミリメートルの間の粒子サイズを有する鉱物粒からなる堆積物を言う。砂利は、典型的に、2から63ミリメートルの間の粒子サイズを有する鉱物粒からなる堆積物を言う。
【0088】
言及されうる乾燥混合物中に存在するアジュバントは、特に、顔料、染料、レオロジー調整剤(増粘剤、可塑剤)、水和調整剤(遅延剤、加速剤)、超可塑剤、消泡剤及び空気連行剤を含む。これらのアジュバントは、性質及び量において、当業者に公知の通常の乾燥混合物中に典型的に存在するアジュバントとの違いはない。
【0089】
本発明の乾燥混合物は、本発明の湿潤剤組成物を、一般に湿潤剤組成物中に存在する湿潤剤が、乾燥混合物の成分の、すなわち、鉱物バインダー及び言及の任意選択の成分(骨材及び/又はアジュバント)の質量に対して、0.01~1質量%の量で存在するような量で、含む。
【0090】
好ましい実施形態において、乾燥混合物は、湿潤剤組成物を、湿潤剤組成物中に存在する湿潤剤が、乾燥混合物の成分の質量に対して、0.03~0.5質量%の量で存在するような量で、含む。
【0091】
更なる好ましい実施形態において、乾燥混合物は、湿潤剤組成物を、湿潤剤組成物中に存在する湿潤剤が、乾燥混合物の成分の質量に対して、0.05~0.3質量%の量で存在するような量で、含む。
【0092】
なお更なる好ましい実施形態において、乾燥混合物は、湿潤剤組成物を、湿潤剤組成物中に存在する湿潤剤が、乾燥混合物の成分の質量に対して、0.1~0.2質量%の量で存在するような量で、含む。
【0093】
- 鉱物バインダー
鉱物バインダーは、水硬性バインダー及び非水硬性バインダーから選択され、且つ単一の水硬性バインダー、単一の非水硬性バインダー、2種以上の水硬性バインダーの組合せ、2種以上の非水硬性バインダーの組合せ、或いは1種又は複数の水硬性バインダーと1種又は複数の非水硬性バインダーとの組合せであってよい。
【0094】
用語「水硬性バインダー」及び「非水硬性バインダー」は、当業者には公知である。
【0095】
本出願の文脈において、用語「水硬性バインダー」は、空気中及び水中の両方で、具体的には特に水との化学反応(水和とも称する)により硬化し、且つその後固体のままである、鉱物バインダーを意味する。
【0096】
本出願の文脈において、用語「非水硬性バインダー」は、空気中のみで、例えば、空気の成分、例えば水分若しくは二酸化炭素を空気から吸収するか又は乾燥する、つまり、水分を周囲の空気中に放出することにより硬化する、鉱物バインダーを意味する。
【0097】
言及されうる本発明の文脈において使用可能な水硬性バインダーの例は、石膏、ジオポリマー、セメント、特にポルトランドセメント(Portland cement)又は高アルミナセメント及びフライアッシュ、シリカヒューム、スラグ、スラグ砂及び粉砕石灰石又は焼石灰とのその混合物、スルホアルミン酸カルシウム、潜在水硬性バインダー、例えば、消石灰、生石灰又はセメントと組み合わせたポゾランを含む。
【0098】
本出願の文脈において、用語「石膏」は、石膏の任意の公知の形態、特に硫酸カルシウム二水和物、硫酸カルシウムα-半水和物、硫酸カルシウムβ-半水和物又は無水硫酸カルシウムを言う。
【0099】
言及されうる本発明に関連して使用可能な非水硬性バインダーの例は、石灰、すなわち、一般に、消石灰(Ca(OH)2;水和石灰とも称される)を含むが、生石灰(CaO;焼石灰とも称される)、軽焼炭酸マグネシウム(MgO;苛性焼成マグネサイト)及びロームをもまた含む。消石灰は、空気から二酸化炭素(CO2)を吸収することにより硬化して、炭酸カルシウムを形成し、且つ水を放出する。生石灰は水との反応により、消石灰に変換されうる。
【0100】
鉱物バインダーは、典型的に、5~500μmの粒子サイズを有するが、粒子サイズは本出願の文脈において、特に限定されない。本出願の文脈において、用語「粒子サイズ」は、レーザー回折により、例えばCILAS 1064タイプの機器を用いて決定されうる、粒子サイズ質量分布の中央値(d50)に相当する。
【0101】
- 湿潤混合物
本発明の更なる態様において、前述の乾燥混合物を水と混合することにより得ることができる湿潤混合物が、提供される。
【0102】
本発明の湿潤組成物は、乾燥混合物の湿潤を加速し、且つ少量の水により混合物を構成することを可能にすることができる。しかし、原則として、乾燥混合物からの湿潤混合物の製造は、当業者に公知であって、且つコンクリート、モルタル、プラスター等を製造するために典型的に使用される方法によって行われる。例えば、当業者は、湿潤混合物を製造するために乾燥混合物と混合すべき水の量は特に知っている。
【0103】
典型的には、湿潤混合物は、乾燥混合物を、乾燥混合物中に存在する鉱物バインダーに対して、少なくとも20質量%の量の水と混合することにより製造される;例として、乾燥混合物中に存在する鉱物バインダーに対して、20~150質量%の水を使用してよい。更なる実施形態において、水との混合は、各場合において乾燥混合物中に存在する鉱物バインダーに対して、例えば、20~100質量%、好ましくは20~60質量%、より好ましくは25~55質量%、更により好ましくは30~50質量%、特に35~45質量%の量で行うことができる。
【0104】
本発明は特に、以下に明記の実施形態をもまた含む。
【0105】
(1)(i)アニオン性、カチオン性、非イオン性湿潤剤及びこれら湿潤剤の組合せからなる群から選択される湿潤剤、並びに(ii)微粉状担体を含む、湿潤剤組成物。
【0106】
(2)湿潤剤が非イオン性である、(1)による湿潤剤組成物。
【0107】
(3)湿潤剤が、以下の式
-(CH2CH2O)x-H
(式中、xは1から210までの値をとってよい)
によって表される構造単位を含む、(1)又は(2)による湿潤剤組成物。
【0108】
(4)湿潤剤が、エチレンオキシド及びプロピレンオキシドから形成されるブロックコポリマーである、(1)~(3)のいずれかによる湿潤剤組成物。
【0109】
(5)湿潤剤が、脂肪アルコールアルコキシレートである、(1)~(3)のいずれかによる湿潤剤組成物。
【0110】
(6)湿潤剤が、ポリエチレングリコールである、(1)~(3)のいずれかによる湿潤剤組成物。
【0111】
(7)湿潤剤が、式
HO(CH2CH2O)x-H
(式中、3≦x≦210)
のポリエチレングリコールである、(6)による湿潤剤組成物。
【0112】
(8)湿潤剤が、式
HO(CH2CH2O)x-H
(式中、5≦x≦150)
のポリエチレングリコールである、(6)又は(7)による湿潤剤組成物。
【0113】
(9)湿潤剤が、式
HO(CH2CH2O)x-H
(式中、10≦x≦100)
のポリエチレングリコールである、(6)又は(7)による湿潤剤組成物。
【0114】
(10)湿潤剤が、式
HO(CH2CH2O)x-H
(式中、10≦x≦60)
のポリエチレングリコールである、(6)又は(7)による湿潤剤組成物。
【0115】
(11)湿潤剤が、式
HO(CH2CH2O)x-H
(式中、10≦x≦40)
のポリエチレングリコールである、(6)又は(7)による湿潤剤組成物。
【0116】
(12)湿潤剤が、式
HO(CH2CH2O)x-(CH2CH(CH3)O)y-(CH2CH2O)zH
(式中、
1≦x≦100、
1≦y≦100、
1≦z≦100)
の、エチレンオキシド及びプロピレンオキシドから形成されるブロックコポリマーである、(4)による湿潤剤組成物。
【0117】
(13)湿潤剤が、式
HO(CH2CH2O)x-(CH2CH(CH3)O)y-(CH2CH2O)zH
(式中、
1≦x≦100、
1≦y≦100、
1≦z≦100、
5%≦(44x+44z)/(44x+58y+44z)≦90%)
の、エチレンオキシド及びプロピレンオキシドから形成されるブロックコポリマーである、(4)又は(12)による湿潤剤組成物。
【0118】
(14)湿潤剤が、式
HO(CH2CH2O)x-(CH2CH(CH3)O)y-(CH2CH2O)zH
(式中、
1≦x≦100、
1≦y≦100、
1≦z≦100、
10%≦(44x+44z)/(44x+58y+44z)≦80%)
の、エチレンオキシド及びプロピレンオキシドから形成されるブロックコポリマーである、(4)又は(12)による湿潤剤組成物。
【0119】
(15)湿潤剤が、式
HO(CH2CH2O)x-(CH2CH(CH3)O)y-(CH2CH2O)zH
(式中、
1≦x≦90、
13≦y≦70、
1≦z≦90、
10%≦(44x+44z)/(44x+58y+44z)≦80%)
の、エチレンオキシド及びプロピレンオキシドから形成されるブロックコポリマーである、(4)又は(12)による湿潤剤組成物。
【0120】
(16)湿潤剤が、式
HO(CH2CH2O)x-(CH2CH(CH3)O)y-(CH2CH2O)zH
(式中、
10≦x≦90、
25≦y≦60、
10≦z≦90、
10%≦(44x+44z)/(44x+58y+44z)≦80%)
の、エチレンオキシド及びプロピレンオキシドから形成されるブロックコポリマーである、(4)又は(12)による湿潤剤組成物。
【0121】
(17)湿潤剤が、式
HO(CH2CH2O)x-(CH2CH(CH3)O)y-(CH2CH2O)zH
(式中、
10≦x≦90、
35≦y≦50、
10≦z≦90、
10%≦(44x+44z)/(44x+58y+44z)≦80%)
の、エチレンオキシド及びプロピレンオキシドから形成されるブロックコポリマーである、(4)又は(12)による湿潤剤組成物。
【0122】
(18)湿潤剤が、式
RO(CH2CH2O)x-(CH2CH(CH3)O)y-H
(式中、
2≦x≦80、
0≦y≦80、
R=C8~18-アルキル又は1、2若しくは3個の二重結合を有するC8~18-アルケニル)
の脂肪アルコールアルコキシレートである、(5)による湿潤剤組成物。
【0123】
(19)湿潤剤が、式
RO(CH2CH2O)x-(CH2CH(CH3)O)y-H
(式中、
2≦x≦80、
2≦y≦80、
R=C8~18-アルキル又は1、2若しくは3個の二重結合を有するC8~18-アルケニル)
の脂肪アルコールアルコキシレートである、(5)又は(18)による湿潤剤組成物。
【0124】
(20)湿潤剤が、式
RO(CH2CH2O)x-(CH2CH(CH3)O)y-H
(式中、
2≦x≦80、
2≦y≦80、
R=C12~18-アルキル又は1、2若しくは3個の二重結合を有するC12~18-アルケニル)
の脂肪アルコールアルコキシレートである、(5)又は(18)による湿潤剤組成物。
【0125】
(21)湿潤剤が、式
RO(CH2CH2O)x-(CH2CH(CH3)O)y-H
(式中、
2≦x≦80、
2≦y≦80、
R=C16~18-アルキル又は1、2若しくは3個の二重結合を有するC16~18-アルケニル)
の脂肪アルコールアルコキシレートである、(5)又は(18)による湿潤剤組成物。
【0126】
(22)湿潤剤が、式
RO(CH2CH2O)x-(CH2CH(CH3)O)y-H
(式中、
2≦x≦10、
2≦y≦10、
R=C8~18-アルキル又は1、2若しくは3個の二重結合を有するC8~18-アルケニル)
の脂肪アルコールアルコキシレートである、(5)又は(18)による湿潤剤組成物。
【0127】
(23)湿潤剤が、式
RO(CH2CH2O)x-(CH2CH(CH3)O)y-H
(式中、
2≦x≦10、
2≦y≦10、
R=C12~14-アルキル)
の脂肪アルコールアルコキシレートである、(5)又は(18)による湿潤剤組成物。
【0128】
(24)湿潤剤が、式
RO(CH2CH2O)x-(CH2CH(CH3)O)y-H
(式中、
2≦x≦80、
y=0、
R=C8~18-アルキル又は1、2若しくは3個の二重結合を有するC8~18-アルケニル)
の脂肪アルコールアルコキシレートである、(5)又は(18)による湿潤剤組成物。
【0129】
(25)湿潤剤が、式
RO(CH2CH2O)x-(CH2CH(CH3)O)y-H
(式中、
2≦x≦80、
y=0、
R=C12~18-アルキル又は1、2若しくは3個の二重結合を有するC12~18-アルケニル)
の脂肪アルコールアルコキシレートである、(5)又は(18)による湿潤剤組成物。
【0130】
(26)湿潤剤が、式
RO(CH2CH2O)x-(CH2CH(CH3)O)y-H
(式中、
2≦x≦80、
y=0、
R=C16~18-アルキル又は1、2若しくは3個の二重結合を有するC16~18-アルケニル)
の脂肪アルコールアルコキシレートである、(5)又は(18)による湿潤剤組成物。
【0131】
(27)湿潤剤が、式
RO(CH2CH2O)x-(CH2CH(CH3)O)y-H
(式中、
30≦x≦80、
y=0、
R=C8~18-アルキル又は1、2若しくは3個の二重結合を有するC8~18-アルケニル)
の脂肪アルコールアルコキシレートである、(5)又は(18)による湿潤剤組成物。
【0132】
(28)湿潤剤が、式
RO(CH2CH2O)x-(CH2CH(CH3)O)y-H
(式中、
30≦x≦80、
y=0、
R=C12~18-アルキル又は1、2若しくは3個の二重結合を有するC12~18-アルケニル)
の脂肪アルコールアルコキシレートである、(5)又は(18)による湿潤剤組成物。
【0133】
(29)湿潤剤が、式
RO(CH2CH2O)x-(CH2CH(CH3)O)y-H
(式中、
30≦x≦80、
y=0、
R=C16~18-アルキル又は1、2若しくは3個の二重結合を有するC16~18-アルケニル)
の脂肪アルコールアルコキシレートである、(5)又は(18)による湿潤剤組成物。
【0134】
(30)担体が、無機材料である、(1)~(29)のいずれかによる湿潤剤組成物。
【0135】
(31)担体が、二酸化ケイ素、ケイ酸塩及びアルミノケイ酸塩、アルカリ土類金属炭酸塩、アルカリ土類金属リン酸塩、微粉状非晶質ロックメルト、並びにこれらの混合物からなる群から選択される、(1)~(29)のいずれかによる湿潤剤組成物。
【0136】
(32)担体が、アルカリ土類金属炭酸塩、アルカリ土類金属リン酸塩、アルカリ土類金属ケイ酸塩、アルカリ土類金属ケイ酸塩水和物及びこれらの混合物から選択される、(1)~(29)のいずれかによる湿潤剤組成物。
【0137】
(33)担体が、炭酸マグネシウム、炭酸カルシウム、リン酸マグネシウム、リン酸カルシウム、ケイ酸マグネシウム、ケイ酸カルシウム、ケイ酸マグネシウム水和物、ケイ酸カルシウム水和物、及びこれらの混合物から選択される、(1)~(29)のいずれかによる湿潤剤組成物。
【0138】
(34)担体が、ケイ酸マグネシウム水和物、ケイ酸カルシウム水和物及びこれらの混合物から選択される、(1)~(29)のいずれかによる湿潤剤組成物。
【0139】
(35)担体が、層状ケイ酸塩及び層状アルミノケイ酸塩、並びにこれらの混合物から選択される、(1)~(29)のいずれかによる湿潤剤組成物。
【0140】
(36)担体が、ベントナイト、カオリン、モンモリロナイト及びこれらの混合物から選択される、(1)~(29)のいずれかによる湿潤剤組成物。
【0141】
(37)担体が、天然二酸化ケイ素、例えばキーゼルグール、非晶質二酸化ケイ素、熱分解法二酸化ケイ素、沈降二酸化ケイ素、及びこれらの混合物から選択される、(1)~(29)のいずれかによる湿潤剤組成物。
【0142】
(37)担体が、ケイ酸カルシウム水和物である、(1)~(29)のいずれかによる湿潤剤組成物。
【0143】
(38)担体が、窒素収着を用いたBET法により決定した10m2/g超の比表面積を有する、(1)~(37)のいずれかによる湿潤剤組成物。
【0144】
(39)担体が、窒素収着を用いたBET法により決定した20m2/g超の比表面積を有する、(1)~(37)のいずれかによる湿潤剤組成物。
【0145】
(40)担体が、窒素収着を用いたBET法により決定した30m2/g超の比表面積を有する、(1)~(37)のいずれかによる湿潤剤組成物。
【0146】
(41)担体が、窒素収着を用いたBET法により決定した40m2/g超の比表面積を有する、(1)~(37)のいずれかによる湿潤剤組成物。
【0147】
(42)担体が、窒素収着を用いたBET法により決定した1から200m2/gの比表面積を有する、(1)~(37)のいずれかによる湿潤剤組成物。
【0148】
(43)担体が、窒素収着を用いたBET法により決定した30から150m2/gの比表面積を有する、(1)~(37)のいずれかによる湿潤剤組成物。
【0149】
(44)担体が、ケイ酸マグネシウム水和物、ケイ酸カルシウム水和物及びこれらの混合物から選択され、且つ窒素収着を用いたBET法により決定した10m2/g超の比表面積を有する、(1)~(29)のいずれかによる湿潤剤組成物。
【0150】
(45)担体が、ケイ酸マグネシウム水和物、ケイ酸カルシウム水和物及びこれらの混合物から選択され、且つ窒素収着を用いたBET法により決定した20m2/g超の比表面積を有する、(1)~(29)のいずれかによる湿潤剤組成物。
【0151】
(46)担体が、ケイ酸マグネシウム水和物、ケイ酸カルシウム水和物及びこれらの混合物から選択され、且つ窒素収着を用いたBET法により決定した30m2/g超の比表面積を有する、(1)~(29)のいずれかによる湿潤剤組成物。
【0152】
(47)担体が、ケイ酸マグネシウム水和物、ケイ酸カルシウム水和物及びこれらの混合物から選択され、且つ窒素収着を用いたBET法により決定した40m2/g超の比表面積を有する、(1)~(29)のいずれかによる湿潤剤組成物。
【0153】
(48)担体が、ケイ酸マグネシウム水和物、ケイ酸カルシウム水和物及びこれらの混合物から選択され、且つ窒素収着を用いたBET法により決定した1から200m2/gの比表面積を有する、(1)~(29)のいずれかによる湿潤剤組成物。
【0154】
(49)担体が、ケイ酸マグネシウム水和物、ケイ酸カルシウム水和物及びこれらの混合物から選択され、且つ窒素収着を用いたBET法により決定した30から150m2/gの比表面積を有する、(1)~(29)のいずれかによる湿潤剤組成物。
【0155】
(50)担体が、ケイ酸マグネシウム水和物、ケイ酸カルシウム水和物及びこれらの混合物から選択され、且つ窒素収着を用いたBET法により決定した30から150m2/gの比表面積を有し、且つ湿潤剤が式
HO(CH2CH2O)x-H
(式中、3≦x≦210)
のポリエチレングリコールである、(1)~(3)のいずれかによる湿潤剤組成物。
【0156】
(51)担体が、ケイ酸マグネシウム水和物、ケイ酸カルシウム水和物及びこれらの混合物から選択され、且つ窒素収着を用いたBET法により決定した30から150m2/gの比表面積を有し、且つ湿潤剤が式
HO(CH2CH2O)x-H
(式中、5≦x≦150)
のポリエチレングリコールである、(1)~(3)のいずれかによる湿潤剤組成物。
【0157】
(52)担体が、ケイ酸マグネシウム水和物、ケイ酸カルシウム水和物及びこれらの混合物から選択され、且つ窒素収着を用いたBET法により決定した30から150m2/gの比表面積を有し、且つ湿潤剤が式
HO(CH2CH2O)x-H
(式中、10≦x≦100)
のポリエチレングリコールである、(1)~(3)のいずれかによる湿潤剤組成物。
【0158】
(53)担体が、ケイ酸マグネシウム水和物、ケイ酸カルシウム水和物及びこれらの混合物から選択され、且つ窒素収着を用いたBET法により決定した30から150m2/gの比表面積を有し、且つ湿潤剤が式
HO(CH2CH2O)x-H
(式中、10≦x≦60)
のポリエチレングリコールである、(1)~(3)のいずれかによる湿潤剤組成物。
【0159】
(54)担体が、ケイ酸マグネシウム水和物、ケイ酸カルシウム水和物及びこれらの混合物から選択され、且つ窒素収着を用いたBET法により決定した30から150m2/gの比表面積を有し、且つ湿潤剤が式
HO(CH2CH2O)x-H
(式中、10≦x≦40)
のポリエチレングリコールである、(1)~(3)のいずれかによる湿潤剤組成物。
【0160】
(55)担体が、ケイ酸マグネシウム水和物、ケイ酸カルシウム水和物及びこれらの混合物から選択され、且つ窒素収着を用いたBET法により決定した30から150m2/gの比表面積を有し、且つ湿潤剤が式
HO(CH2CH2O)x-(CH2CH(CH3)O)y-(CH2CH2O)zH
(式中、
1≦x≦100、
1≦y≦100、
1≦z≦100)
の、エチレンオキシド及びプロピレンオキシドから形成されるブロックコポリマーである、
(1)~(3)のいずれかによる湿潤剤組成物。
【0161】
(56)担体が、ケイ酸マグネシウム水和物、ケイ酸カルシウム水和物及びこれらの混合物から選択され、且つ窒素収着を用いたBET法により決定した30から150m2/gの比表面積を有し、且つ湿潤剤が式
HO(CH2CH2O)x-(CH2CH(CH3)O)y-(CH2CH2O)zH
(式中、
1≦x≦100、
1≦y≦100、
1≦z≦100、
5%≦(44x+44z)/(44x+58y+44z)≦90%)
の、エチレンオキシド及びプロピレンオキシドから形成されるブロックコポリマーである、(1)~(3)のいずれかによる湿潤剤組成物。
【0162】
(57)担体が、ケイ酸マグネシウム水和物、ケイ酸カルシウム水和物及びこれらの混合物から選択され、且つ窒素収着を用いたBET法により決定した30から150m2/gの比表面積を有し、且つ湿潤剤が式
HO(CH2CH2O)x-(CH2CH(CH3)O)y-(CH2CH2O)zH
(式中、
1≦x≦100、
1≦y≦100、
1≦z≦100、
10%≦(44x+44z)/(44x+58y+44z)≦80%)
の、エチレンオキシド及びプロピレンオキシドから形成されるブロックコポリマーである、(1)~(3)のいずれかによる湿潤剤組成物。
【0163】
(58)担体が、ケイ酸マグネシウム水和物、ケイ酸カルシウム水和物及びこれらの混合物から選択され、且つ窒素収着を用いたBET法により決定した30から150m2/gの比表面積を有し、且つ湿潤剤が式
HO(CH2CH2O)x-(CH2CH(CH3)O)y-(CH2CH2O)zH
(式中、
1≦x≦90、
13≦y≦70、
1≦z≦90、
10%≦(44x+44z)/(44x+58y+44z)≦80%)
の、エチレンオキシド及びプロピレンオキシドから形成されるブロックコポリマーである、(1)~(3)のいずれかによる湿潤剤組成物。
【0164】
(59)担体が、ケイ酸マグネシウム水和物、ケイ酸カルシウム水和物及びこれらの混合物から選択され、且つ窒素収着を用いたBET法により決定した30から150m2/gの比表面積を有し、且つ湿潤剤が式
HO(CH2CH2O)x-(CH2CH(CH3)O)y-(CH2CH2O)zH
(式中、
10≦x≦90、
25≦y≦60、
10≦z≦90、
10%≦(44x+44z)/(44x+58y+44z)≦80%)
の、エチレンオキシド及びプロピレンオキシドから形成されるブロックコポリマーである、(1)~(3)のいずれかによる湿潤剤組成物。
【0165】
(60)担体が、ケイ酸マグネシウム水和物、ケイ酸カルシウム水和物及びこれらの混合物から選択され、且つ窒素収着を用いたBET法により決定した30から150m2/gの比表面積を有し、且つ湿潤剤が式
HO(CH2CH2O)x-(CH2CH(CH3)O)y-(CH2CH2O)zH
(式中、
10≦x≦90、
35≦y≦50、
10≦z≦90、
10%≦(44x+44z)/(44x+58y+44z)≦80%)
の、エチレンオキシド及びプロピレンオキシドから形成されるブロックコポリマーである、(1)~(3)のいずれかによる湿潤剤組成物。
【0166】
(61)担体が、ケイ酸マグネシウム水和物、ケイ酸カルシウム水和物及びこれらの混合物から選択され、且つ窒素収着を用いたBET法により決定した30から150m2/gの比表面積を有し、且つ湿潤剤が式
RO(CH2CH2O)x-(CH2CH(CH3)O)y-H
(式中、
2≦x≦80、
0≦y≦80、
R=C8~18-アルキル又は1、2若しくは3個の二重結合を有するC8~18-アルケニル)
の脂肪アルコールアルコキシレートである、(1)~(3)のいずれかによる湿潤剤組成物。
【0167】
(62)担体が、ケイ酸マグネシウム水和物、ケイ酸カルシウム水和物及びこれらの混合物から選択され、且つ窒素収着を用いたBET法により決定した30から150m2/gの比表面積を有し、且つ湿潤剤が式
RO(CH2CH2O)x-(CH2CH(CH3)O)y-H
(式中、
2≦x≦80、
2≦y≦80、
R=C8~18-アルキル又は1、2若しくは3個の二重結合を有するC8~18-アルケニル)
の脂肪アルコールアルコキシレートである、(1)~(3)のいずれかによる湿潤剤組成物。
【0168】
(63)担体が、ケイ酸マグネシウム水和物、ケイ酸カルシウム水和物及びこれらの混合物から選択され、且つ窒素収着を用いたBET法により決定した30から150m2/gの比表面積を有し、且つ湿潤剤が式
RO(CH2CH2O)x-(CH2CH(CH3)O)y-H
(式中、
2≦x≦80、
2≦y≦80、
R=C12~18-アルキル又は1、2若しくは3個の二重結合を有するC12~18-アルケニル)
の脂肪アルコールアルコキシレートである、(1)~(3)のいずれかによる湿潤剤組成物。
【0169】
(64)担体が、ケイ酸マグネシウム水和物、ケイ酸カルシウム水和物及びこれらの混合物から選択され、且つ窒素収着を用いたBET法により決定した30から150m2/gの比表面積を有し、且つ湿潤剤が式
RO(CH2CH2O)x-(CH2CH(CH3)O)y-H
(式中、
2≦x≦80、
2≦y≦80、
R=C16~18-アルキル又は1、2若しくは3個の二重結合を有するC16~18-アルケニル)
の脂肪アルコールアルコキシレートである、(1)~(3)のいずれかによる湿潤剤組成物。
【0170】
(65)担体が、ケイ酸マグネシウム水和物、ケイ酸カルシウム水和物及びこれらの混合物から選択され、且つ窒素収着を用いたBET法により決定した30から150m2/gの比表面積を有し、且つ湿潤剤が式
RO(CH2CH2O)x-(CH2CH(CH3)O)y-H
(式中、
2≦x≦10、
2≦y≦10、
R=C8~18-アルキル又は1、2若しくは3個の二重結合を有するC8~18-アルケニル)
の脂肪アルコールアルコキシレートである、(1)~(3)のいずれかによる湿潤剤組成物。
【0171】
(66)担体が、ケイ酸マグネシウム水和物、ケイ酸カルシウム水和物及びこれらの混合物から選択され、且つ窒素収着を用いたBET法により決定した30から150m2/gの比表面積を有し、且つ湿潤剤が式
RO(CH2CH2O)x-(CH2CH(CH3)O)y-H
(式中、
2≦x≦10、
2≦y≦10、
R=C12~14-アルキル)
の脂肪アルコールアルコキシレートである、(1)~(3)のいずれかによる湿潤剤組成物。
【0172】
(67)担体が、ケイ酸マグネシウム水和物、ケイ酸カルシウム水和物及びこれらの混合物から選択され、且つ窒素収着を用いたBET法により決定した30から150m2/gの比表面積を有し、且つ湿潤剤が式
RO(CH2CH2O)x-(CH2CH(CH3)O)y-H
(式中、
2≦x≦80、
y=0、
R=C8~18-アルキル又は1、2若しくは3個の二重結合を有するC8~18-アルケニル)
の脂肪アルコールアルコキシレートである、(1)~(3)のいずれかによる湿潤剤組成物。
【0173】
(68)担体が、ケイ酸マグネシウム水和物、ケイ酸カルシウム水和物及びこれらの混合物から選択され、且つ窒素収着を用いたBET法により決定した30から150m2/gの比表面積を有し、且つ湿潤剤が式
RO(CH2CH2O)x-(CH2CH(CH3)O)y-H
(式中、
2≦x≦80、
y=0、
R=C12~18-アルキル又は1、2若しくは3個の二重結合を有するC12~18-アルケニル)
の脂肪アルコールアルコキシレートである、(1)~(3)のいずれかによる湿潤剤組成物。
【0174】
(69)担体が、ケイ酸マグネシウム水和物、ケイ酸カルシウム水和物及びこれらの混合物から選択され、且つ窒素収着を用いたBET法により決定した30から150m2/gの比表面積を有し、且つ湿潤剤が式
RO(CH2CH2O)x-(CH2CH(CH3)O)y-H
(式中、
2≦x≦80、
y=0、
R=C16~18-アルキル又は1、2若しくは3個の二重結合を有するC16~18-アルケニル)
の脂肪アルコールアルコキシレートである、(1)~(3)のいずれかによる湿潤剤組成物。
【0175】
(70)担体が、ケイ酸マグネシウム水和物、ケイ酸カルシウム水和物及びこれらの混合物から選択され、且つ窒素収着を用いたBET法により決定した30から150m2/gの比表面積を有し、且つ湿潤剤が式
RO(CH2CH2O)x-(CH2CH(CH3)O)y-H
(式中、
30≦x≦80、
y=0、
R=C8~18-アルキル又は1、2若しくは3個の二重結合を有するC8~18-アルケニル)
の脂肪アルコールアルコキシレートである、(1)~(3)のいずれかによる湿潤剤組成物。
【0176】
(71)担体が、ケイ酸マグネシウム水和物、ケイ酸カルシウム水和物及びこれらの混合物から選択され、且つ窒素収着を用いたBET法により決定した30から150m2/gの比表面積を有し、且つ湿潤剤が式
RO(CH2CH2O)x-(CH2CH(CH3)O)y-H
(式中、
30≦x≦80、
y=0、
R=C12~18-アルキル又は1、2若しくは3個の二重結合を有するC12~18-アルケニル)
の脂肪アルコールアルコキシレートである、(1)~(3)のいずれかによる湿潤剤組成物。
【0177】
(72)担体が、ケイ酸マグネシウム水和物、ケイ酸カルシウム水和物及びこれらの混合物から選択され、且つ窒素収着を用いたBET法により決定した30から150m2/gの比表面積を有し、且つ湿潤剤が式
RO(CH2CH2O)x-(CH2CH(CH3)O)y-H
(式中、
30≦x≦80、
y=0、
R=C16~18-アルキル又は1、2若しくは3個の二重結合を有するC16~18-アルケニル)
の脂肪アルコールアルコキシレートである、(1)~(3)のいずれかによる湿潤剤組成物。
【0178】
(73)湿潤剤が、担体の質量に対して、1~50質量%の量で存在する(1)~(72)のいずれかによる湿潤剤組成物。
【0179】
(74)湿潤剤が、担体の質量に対して、10~40質量%の量で存在する(1)~(72)のいずれかによる湿潤剤組成物。
【0180】
(75)湿潤剤が、担体の質量に対して、20~35質量%の量で存在する(1)~(72)のいずれかによる湿潤剤組成物。
【0181】
(76)湿潤剤が、少なくとも1種の非イオン性湿潤剤であり、且つ湿潤剤組成物が、いかなるアニオン性湿潤剤をも含まない、(1)~(72)のいずれかによる湿潤剤組成物。
【0182】
(77)少なくとも1種の非イオン性湿潤剤が、(4)及び(12)~(17)のいずれかによるエチレンオキシドオリゴマー及びプロピレンオキシドオリゴマーから形成されるブロックコポリマー、(5)及び(18)~(29)のいずれかによる脂肪アルコールアルコキシレート、(6)~(11)のいずれかによるポリエチレングリコール、及びこれら非イオン性湿潤剤の組合せから選択される、(76)による湿潤剤組成物。
【0183】
(78)湿潤剤が、担体の質量に対して、1~50質量%の量で存在する(76)又は(77)による湿潤剤組成物。
【0184】
(79)湿潤剤が、担体の質量に対して、10~40質量%の量で存在する(76)又は(77)による湿潤剤組成物。
【0185】
(80)湿潤剤が、担体の質量に対して、20~35質量%の量で存在する(76)又は(77)による湿潤剤組成物。
【0186】
(81)(1)~(80)のいずれかによる湿潤剤組成物及び少なくとも1種の鉱物バインダーを含む、乾燥混合物。
【0187】
(82)鉱物バインダーが、水硬性バインダー、非水硬性バインダー及びこれらの組合せから選択される、(81)による乾燥混合物。
【0188】
(83)鉱物バインダーが、石膏、ジオポリマー、セメント、ポルトランドセメント、高アルミナセメント、セメントとフライアッシュ、シリカヒューム、スラグ、スラグ砂及び粉砕石灰石又は焼石灰との混合物、ポルトランドセメントとフライアッシュ、シリカヒューム、スラグ、スラグ砂及び粉砕石灰石又は焼石灰との混合物、高アルミナセメントとフライアッシュ、シリカヒューム、スラグ、スラグ砂及び粉砕石灰石又は焼石灰との混合物、スルホアルミン酸カルシウム、及び潜在水硬性バインダー、例えば、消石灰、生石灰又はセメントと組み合わせたポゾラン、から選択される水硬性バインダーである、(81)又は(82)による乾燥混合物。
【0189】
(84)鉱物バインダーが、消石灰、生石灰、軽焼炭酸マグネシウム、ローム及びこれらの混合物から選択される非水硬性バインダーである、(81)又は(82)による乾燥混合物。
【0190】
(85)湿潤剤組成物が、少なくとも1種の水硬性バインダーの質量に対して、0.01~1質量%の量で存在する、(81)~(84)のいずれかによる乾燥混合物。
【0191】
(86)湿潤剤組成物が、少なくとも1種の水硬性バインダーの質量に対して、0.03~0.5質量%の量で存在する、(81)~(84)のいずれかによる乾燥混合物。
【0192】
(87)湿潤剤組成物が、(4)~(80)のいずれかにおいて規定される、(81)~(84)のいずれかによる乾燥混合物。
【0193】
(88)(81)~(87)のいずれかによる乾燥混合物を、水と混合することにより得ることができる、湿潤混合物。
【0194】
(89)水が、乾燥混合物中に存在する鉱物バインダーに対して、少なくとも20質量%の量で使用される、(88)による湿潤混合物。
【0195】
(90)水が、乾燥混合物中に存在する鉱物バインダーに対して、少なくとも20~150質量%の量で使用される、(88)による湿潤混合物。
【0196】
(91)水が、乾燥混合物中に存在する鉱物バインダーに対して、少なくとも20~100質量%の量で使用される、(88)による湿潤混合物。
【0197】
(92)水が、乾燥混合物中に存在する鉱物バインダーに対して、少なくとも20~60質量%の量で使用される、(88)による湿潤混合物。
【0198】
(93)水が、乾燥混合物中に存在する鉱物バインダーに対して、少なくとも25~55質量%の量で使用される、(88)による湿潤混合物。
【0199】
(94)水が、乾燥混合物中に存在する鉱物バインダーに対して、少なくとも30~50質量%の量で使用される、(88)による湿潤混合物。
【0200】
(95)水が、乾燥混合物中に存在する鉱物バインダーに対して、少なくとも35~45質量%の量で使用される、(88)による湿潤混合物。
【実施例
【0201】
(実施例1)
湿潤剤組成物の調製
使用された湿潤剤は、名称「Pluronic(登録商標)PE 9400」(BASF SE社、Ludwigshafen、Germany)のブロックコポリマーである。
【0202】
このブロックコポリマーは、一般式
HO(CH2CH2O)x-(CH2CH(CH3)O)y-(CH2CH2O)zH
を有し、プロピレンオキシド(PO)から誘導される繰り返し単位の中央ブロック及びエチレンオキシド(EO)から誘導される繰り返し単位の末端ブロックからなる。繰り返しPO単位の中央ブロックは、約47のPO単位(y≒47)に相当する、約2750g/molのモル質量を有する。繰り返しPO単位の中央ブロックは、総分子量の約60%に相当し、すなわち、繰り返しEO単位の末端ブロックは、総分子量の約40%に相当する。したがって、2つの末端ブロックの各々は、約21のEO単位(x+z≒42)に相当する、約925g/molのモル質量を有する。
【0203】
使用された担体は、Circosil(登録商標)0.1(Cirkel GmbH & Co.KG社、Haltern am See、Germany)である。Circosil(登録商標)0.1は、(Nova Station Cタイプの機器(Quantachrome Instruments社、Boynton Beach、Florida 33426、USA)及びQuantachrome NovaWinソフトウェアによる窒素を用いたBET法;脱気温度60.0℃、脱気時間5時間、吸着温度77.3K、各回の平衡時間120秒、5つの相対圧において測定;で決定した)40.39m2/gの比表面積を有するケイ酸カルシウム水和物粉末である。d50粒子サイズは、100μmである(篩分級物を水に分散し、粒子サイズをCILAS 1064タイプの機器(CILAS社、Orleans、France)を用いて、レーザー回折法により測定することにより決定した)。
【0204】
30質量部の湿潤剤を45℃に加熱し、70質量部の担体上に噴射する。集中混合を達成するために、担体材料を、工程中、撹拌する。湿潤剤を全て、担体に添加した後、混合を15分間続ける。
【0205】
(実施例2)
湿潤剤組成物の調製
実施例1で使用した30質量部の湿潤剤を実施例1と同じ方法で、70質量部のキーゼルグール(「Celite 400 LC」、Lehmann&Voss&Co. KG社、Hamburg、Germany)に適用した。
【0206】
(比較例1)
乾燥混合物の製造
製造された乾燥混合物は、以下の組成を有する、石膏ベースのスパックリングコンパウンドである。
【0207】
硫酸カルシウムβ-半水和物 250.00g
硫酸カルシウムα-半水和物 100.00g
粉砕石灰石(「Omyacarb 15 AL」) 150.00g
セルロースエーテル(「Tylose MH 60000 P6」) 3.50g
アクリルアミドベースのレオロジー調整剤(「Starvis(登録商標)T 50 F」) 0.20g
デンプンエーテルベースのレオロジー調整剤(「Starvis(登録商標)SE 35」) 0.25g
ポリマーベースの遅延剤(「HyCon(登録商標)R 7200」) 0.04g
乾燥混合物の総質量 503.99g
【0208】
(実施例3)
乾燥混合物の製造
乾燥混合物として、比較例1による石膏ベースのスパックリングコンパウンドを、2.53gの実施例1からの湿潤剤組成物の添加により製造する。したがって、総混合物(506.52g)は、0.5質量%の湿潤剤組成物及び0.15質量%の湿潤剤を含む。
【0209】
(実施例4)
乾燥混合物の製造
乾燥混合物として、石膏ベースのスパックリングコンパウンドを、比較例3にあるような組成物により製造する。しかし、実施例1で調製した湿潤剤組成物の代わりに、実施例2で調製した湿潤剤組成物を用いる。
【0210】
(比較例2)
乾燥混合物の製造
乾燥混合物として、比較例1による石膏ベースのスパックリングコンパウンドを、0.76gのPluronic(登録商標)PE 9400の添加により(担体材料なしに)製造する。したがって、総混合物(504.75g)は、0.15質量%の湿潤剤を含む。
【0211】
(比較例3)
乾燥混合物の製造
乾燥混合物として、比較例1による石膏ベースのスパックリングコンパウンドを、2.53gのPluronic(登録商標)PE 9400の添加により(担体材料なしに)製造する。したがって、総混合物(506.52g)は、0.5質量%の湿潤剤を含む。
【0212】
湿潤時間の試験方法
10gの乾燥混合物を粉末漏斗に入れ、そこから乾燥混合物を、26mmの充填高さに設定するのに十分な(約100mlの)温度23℃の水道水(水の硬度約11dH)を入れた内径約70mmのビーカー内に落下させる。粉末漏斗は、粉末漏斗と水の表面との間の乾燥混合物の落下高さが50mmとなるように取り付ける。乾燥混合物が水の表面下に完全に沈むのに必要とした時間を測定する。この時間は、湿潤時間を意味する。
【0213】
以下の湿潤時間を、実施例3及び実施例4、並びに比較例1から比較例3による乾燥混合物について測定した。
【0214】
【表1】
【0215】
湿潤剤なしの乾燥混合物についての湿潤時間を、基準点として100%と定義する。これらのデータは、非担持の湿潤剤、つまり担体上に位置していない湿潤剤、の添加により、湿潤時間を75%に低減しうることを示す(比較例2)。この湿潤時間を、非担持の湿潤剤の添加を増加することによっても、更に減少することはできない(比較例3)。担持された湿潤剤の添加(実施例3及び実施例4)は、混合物中の湿潤剤の含量が比較例2より高くない場合でさえも、湿潤時間を、それぞれ、54%及び63%に低減することを可能にする。
【0216】
したがって、本発明による湿潤剤組成物は、湿潤剤の使用を増大することなく、乾燥混合物の湿潤時間を低減することを可能にする。