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特許7405842ヘリウム着火抑制のためのセラミックフォーム
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-18
(45)【発行日】2023-12-26
(54)【発明の名称】ヘリウム着火抑制のためのセラミックフォーム
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/683 20060101AFI20231219BHJP
   H01L 21/3065 20060101ALI20231219BHJP
   H01L 21/205 20060101ALI20231219BHJP
   H02N 13/00 20060101ALI20231219BHJP
【FI】
H01L21/68 R
H01L21/302 101G
H01L21/205
H02N13/00 D
【請求項の数】 16
(21)【出願番号】P 2021516871
(86)(22)【出願日】2019-08-08
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-01-11
(86)【国際出願番号】 US2019045812
(87)【国際公開番号】W WO2020072131
(87)【国際公開日】2020-04-09
【審査請求日】2022-08-08
(31)【優先権主張番号】16/149,076
(32)【優先日】2018-10-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】592010081
【氏名又は名称】ラム リサーチ コーポレーション
【氏名又は名称原語表記】LAM RESEARCH CORPORATION
(74)【代理人】
【識別番号】110000028
【氏名又は名称】弁理士法人明成国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ピルグリム・グレゴリー・エイ.
【審査官】鈴木 孝章
(56)【参考文献】
【文献】特開2015-195346(JP,A)
【文献】特開2018-101773(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2017/0352568(US,A1)
【文献】特開2014-209615(JP,A)
【文献】特開2017-157726(JP,A)
【文献】特開2013-232641(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/683
H01L 21/3065
H01L 21/205
H02N 13/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板支持アセンブリであって、
基板支持面と接続するための上面、および、ベースプレートと接続するように構成された下面を有する誘電体ブロックと、
前記誘電体ブロックの前記下面から前記誘電体ブロックの前記上面に伸びて、前記誘電体ブロックの前記上面に配置された前記基板支持面の孔を通る複数のプラグ流路であって、前記複数のプラグ流路は、基板があるときは前記基板支持面と前記基板の下面との間の温度伝導領域に前記誘電体ブロックを通じてガスを導入するように構成され、前記複数のプラグ流路の各々は、対応するセラミックフォームプラグを含むためのプラグ領域を有し、各セラミックフォームプラグは、本体、および、前記本体全体に一体的に分散した予備成形孔マトリックスを有し、
前記各セラミックフォームプラグは、接合層によって前記複数のプラグ流路のそれぞれのプラグ流路の内壁に固定され
前記複数のプラグ流路のそれぞれは、前記プラグ領域と前記基板支持面の前記孔とを接続するガス供給孔を有し、
前記ガス供給孔の流路断面積は、前記プラグ流路の流路断面積よりも小さく、
前記セラミックフォームプラグは、前記ガス供給孔に配置される突起を有する、基板支持アセンブリ。
【請求項2】
請求項1に記載のアセンブリであって、
前記セラミックフォームプラグは、プラズマ処理手順の間に前記アセンブリが電界を受けるときに、前記複数のプラグ流路を通って流れるガスの着火を抑制するように構成されている、アセンブリ。
【請求項3】
請求項1に記載のアセンブリであって、
前記セラミックフォームプラグは、前記ガスが前記複数のプラグ流路を通って流れ、プラズマ処理の間に電界を受けたときに前記ガスの平均自由行程を低減することにより、前記複数のプラグ流路を通って流れるガスの励起を低減するように構成されている、アセンブリ。
【請求項4】
請求項1に記載のアセンブリであって、
前記基板支持面は、前記基板があるときは前記基板の前記下面に接触するための最小接触面積(MCA)パッドを備え、前記MCAパッドの高さは、前記温度伝導領域の高さを規定する、アセンブリ。
【請求項5】
請求項1に記載のアセンブリであって、さらに、
前記誘電体ブロックの前記下面と接続する前記ベースプレートであって、前記ベースプレートは、前記複数のプラグ流路にそれぞれ前記ガスを供給するための複数のガス分配流路を備え、前記誘電体ブロックは、前記複数のプラグ流路の各々が前記複数のガス分配流路のそれぞれのガス分配流路と一直線になるように前記ベースプレートに対して設置される、前記ベースプレートを備える、アセンブリ。
【請求項6】
請求項1に記載のアセンブリであって、
前記複数のセラミックフォームプラグの各々の形状は、それぞれの前記プラグ流路の前記プラグ領域の形状に対応する、アセンブリ。
【請求項7】
請求項2に記載のアセンブリであって、
前記複数のセラミックフォームプラグが抑制するように構成されている前記ガスの着火は、前記ガスのイオン化、前記ガスからのプラズマ形成、およびアーキングによる放電を含む、アセンブリ。
【請求項8】
請求項3に記載のアセンブリであって、
前記セラミックフォームプラグは、前記複数のプラグ流路にセラミックフォームプラグがないときの前記ガスの前記平均自由行程と比べて、前記ガスの前記平均自由行程が所定圧力に対して1分から100分の1倍の間で低減するように構成されている、アセンブリ。
【請求項9】
請求項1に記載のアセンブリであって、
前記セラミックフォームプラグは、30%から95%の気孔率を有する、アセンブリ。
【請求項10】
請求項1に記載のアセンブリであって、
前記予備成形孔マトリックスは、直径が100ナノメートルから500マイクロメートルの平均孔寸法を有する、アセンブリ。
【請求項11】
請求項5に記載のアセンブリであって、さらに、
前記誘電体ブロックの前記下面と前記ベースプレートの上面との間に配置された複数の円形カラーであって、前記円形カラーの開口は、前記複数のガス分配流路の各々とそれぞれの前記プラグ流路の前記セラミックフォームプラグとの間にシールが存在するように、前記複数のガス分配流路および前記複数のプラグ流路の各々と一直線になる、複数の円形カラーを備える、アセンブリ。
【請求項12】
静電チャック(ESC)を組み立てる方法であって、
基板支持面と接続するための上面、および、ベースプレートと接続するための下面を有する誘電体ブロックを提供する工程であって、前記誘電体ブロックは、前記誘電体ブロックの前記下面から前記誘電体ブロックの前記上面に伸びる複数のプラグ流路を備え、各プラグ流路はプラグ領域を有する、工程と、
セラミックフォームプラグを各プラグ流路の前記プラグ領域に挿入する工程であって、前記セラミックフォームプラグは、本体、および、前記本体全体に一体的に分散した予備成形孔マトリックスを有する、工程と、
ガスが前記複数のプラグ流路にそれぞれ前記ガスを供給するための複数のガス分配流路から流れ出るときに、前記ガスが前記複数のプラグ流路に挿入されたそれぞれの前記セラミックフォームプラグに流れ込むように、前記誘電体ブロックの前記複数のプラグ流路が前記ベースプレートのそれぞれの複数のガス分配流路と一直線になる間に、前記誘電体ブロックの前記下面を前記ベースプレートの上面と結合する工程と、を含み
前記方法は、さらに、前記挿入する工程の前に、前記セラミックフォームプラグを前記プラグ流路の前記プラグ領域に固定するために、前記プラグ流路の前記プラグ領域の内壁と前記セラミックフォームプラグの外面との間に接合材料を加える工程を含み、
前記複数のプラグ流路のそれぞれは、前記プラグ領域と前記基板支持面の孔とを接続するガス供給孔を有し、
前記ガス供給孔の流路断面積は、前記プラグ流路の流路断面積よりも小さく、
前記セラミックフォームプラグは、前記ガス供給孔に配置される突起を有する、方法。
【請求項13】
請求項12に記載の方法であって、
前記セラミックフォームプラグの底面は、前記誘電体ブロックの前記下面と実質的に同一平面である、方法。
【請求項14】
請求項12に記載の方法であって、さらに、
前記結合する工程の前に、前記誘電体ブロックを前記ベースプレートに固定するために、前記誘電体ブロックの前記下面と前記ベースプレートの前記上面との間に接合材料層を加える工程を含む、方法。
【請求項15】
静電チャック(ESC)であって、
基板を支持するための複数の最小接触面積(MCA)パッドを有する基板支持面と、
前記基板支持面と接続する上面、および、ベースプレートと接続するための下面を有する誘電体ブロックであって、前記誘電体ブロックは、前記誘電体ブロックの前記下面から前記誘電体ブロックの前記上面に伸びて、前記基板支持面の孔を通る複数のプラグ流路を備え、前記複数のプラグ流路は、前記基板があるときは前記基板支持面と前記基板の下面との間の温度伝導領域に前記誘電体ブロックを通じて熱伝導ガスを導入するように構成された、誘電体ブロックと、
前記複数のプラグ流路のそれぞれのプラグ領域に挿入された複数のセラミックフォームプラグであって、各セラミックフォームプラグは、本体、および、前記本体全体に一体的に分散した予備成形孔マトリックスを有する、複数のセラミックフォームプラグと、
熱伝導ガスを前記複数のセラミックフォームプラグに供給するための複数のガス分配流路を備えるベースプレートであって、前記ベースプレートの上面は、前記複数のガス分配流路が前記複数のセラミックフォームプラグとそれぞれ一直線になるように、前記誘電体ブロックの前記下面と接続する、ベースプレートと、
を備え、
前記ESCがプラズマ処理手順の間に電界を受けるときに、前記熱伝導ガスが前記誘電体ブロックを通って前記温度伝導領域に流れるときは、前記セラミックフォームプラグは、前記熱伝導ガスの着火の抑制を可能にし、
前記複数のセラミックフォームプラグは、前記熱伝導ガスの平均自由行程を1分の1から100分の1倍の間で低減するように構成されており、
前記複数のプラグ流路のそれぞれは、前記プラグ領域と前記基板支持面の前記孔とを接続するガス供給孔を有し、
前記ガス供給孔の流路断面積は、前記プラグ流路の流路断面積よりも小さく、
前記セラミックフォームプラグは、前記ガス供給孔に配置される突起を有する、ESC。
【請求項16】
請求項15に記載のESCであって、
前記複数のセラミックフォームプラグは、30%から90%の気孔率を有し、直径が100ナノメートルから500マイクロメートルの平均孔寸法を有する、ESC。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、静電チャック(ESC)の設計を向上させるためのシステムおよび方法に関し、特に、ESC内部の熱伝導ガスの着火を排除するためのシステムおよび方法に関する。
【背景技術】
【0002】
いくつかの新しい半導体製造プロセスは、プラズマを生成するために非常に高い高周波(RF)電力を用いる。低RF電力レベルを用いる従来の解決法と比べて、高RF電力は、ESC(本明細書では、チャックまたはウエハサセプタとも呼ばれる)に印加されるRF電流および総電圧を増加させる。
【0003】
また、いくつかの新しいプラズマエッチングプロセスは、従来用いられていたよりも大幅に低いRF周波数(例えば、2MHz以下)を要求する。低いRF周波数は、ESCセラミック全体に印加されるRF電圧の増加を引き起こす。セラミック全体に印加される高電圧は、ウエハとベースプレートとの間に放電(すなわち、アーキング)を生じさせ、ガス供給孔において熱伝導ガス(例えば、Heまたは他の化学物質)の着火を引き起こす可能性がある。この現象は通常、ガス着火とも呼ばれる。
【0004】
ESCにおけるアーキングは、ESCおよび/または他のチャンバ構成部品に損害を与える可能性がある。さらにかかるアーキングは、製造プロセスの中断を生じさせる場合があるかもしれない。ESCの破損は、時に進みが速く、極めて有害で、容易に検出されるが、ある時には知らないうちに多くのウエハに影響を及ぼしうる緩やかな劣化であり、ウエハへの損害は製造プロセスの後半にしか検出されない。
【0005】
これに関連して実施形態が生じる。
【発明の概要】
【0006】
半導体製造装置のチャンバにおけるESCは、冷却ガスの着火を排除するために提示される。1つのウエハ支持体は、高周波電源に接続されたベースプレート、誘電体ブロック、ウエハ底面を冷却するためのガス供給流路、および、ガス供給流路に挿入されていないとガス着火を引き起こすセラミックフォームプラグを備える。誘電体ブロックはベースプレートの上に位置し、チャンバの動作中にウエハを支持する。本明細書におけるガス供給流路は、セラミックフォームプラグを所定位置に保持する能力からプラグ流路と呼ばれてよい。セラミックフォームプラグは、ガス供給流路を通って流れながら熱伝導ガスの平均自由行程を低減するような寸法範囲の孔を有するように形成される。それによりセラミックフォームプラグは、所定のガス分子が電界により所定方向に比較的長距離加速できる可能性を低減する。その結果、ガスの全運動エネルギは低減し、着火事象の可能性も低減する。
【0007】
本明細書におけるガスの平均自由行程とは、ガス分子が次の衝突までに進むことができる平均距離である。ガスの平均自由行程は、とりわけ分子の寸法、ガスの圧力、ガスの温度、およびガスが占める空間の形状を含む多くの要素に依存する。本明細書で考えられる実施形態は、ガスが占める区域の形状態様を変更することにより、所定温度で所定ガスの平均自由行程を低減するためである。特に本明細書に記載の改良点は、セラミックフォームなどの材料を用いることで所定区域により多くの表面積をもたらすことを含む。表面積の増加は、セラミックフォームの予備成形孔マトリックスによって提供される。セラミックフォームの孔マトリックスの結果として、ガス分子は、セラミックフォームのない区域におけるガス分子と同じ進行距離または同じ期間において、平均してより多くの衝突または進行先変更を経験させられる。
【0008】
いくつかの実施形態では、セラミックフォームは、セラミックフォームのない区域内のガス分子の衝突ごとに平均して2回以上の衝突を提供する。例えば、充填材料がない区域のガス分子が100ミクロンの累積距離において平均して1回の衝突を生じる場合、セラミックフォームは、同じ100ミクロンの距離で2回以上衝突するよう方向転換される、または形成されるように、ガス分子の平均自由行程を低減するように構成されている。それにより、平均自由行程は基本的に約2分の1以下に減少する。他の実施形態では、平均自由行程は約100分の1以下に減少してよい。例えば、所定圧力のヘリウムなどのガスの平均自由行程が充填材料なしの所定区域において100ミクロンである場合、セラミックフォームの孔の平均寸法に応じて、セラミックフォームは平均自由行程を約50ミクロンまたは100ナノメートルにまで低減できると考えられる。
【0009】
一実施形態では、基板支持アセンブリが提供される。このアセンブリは、基板支持面と接続するための上面と、ベースプレートと接続するように構成された下面とを有する誘電体ブロックを備える。アセンブリはまた、誘電体ブロックの下面から誘電体ブロックの上面に伸びて、誘電体ブロックの上面の上方に配置された基板支持面の孔を通る、複数のプラグ流路も備える。複数のプラグ流路は、誘電体ブロックを通って、基板があるときは基板支持面と基板の下面との間の温度伝導領域にガスを導入するように構成されている。プラグ流路の各々は、対応するセラミックフォームプラグを含むためのプラグ領域を有し、各セラミックフォームプラグは、本体と、本体全体に一体的に分散した予備成形孔マトリックスとを有する。
【0010】
別の実施形態では、静電チャック(ESC)を組み立てるための方法が提供される。この方法は、基板支持面と接続するための上面と、ベースプレートと接続するための下面と、を有する誘電体ブロックを提供する工程を含む。誘電体ブロックは、誘電体ブロックの下面から誘電体ブロックの上面に伸びる複数のプラグ流路を備え、各プラグ流路はプラグ領域を有する。この方法はさらに、各プラグ流路のプラグ領域にセラミックフォームプラグを挿入する工程を含む。セラミックフォームプラグは、本体と、本体全体に一体的に分散した予備成形孔マトリックスと、を有する。この方法はさらに、複数のガス分配流路からガスが流れ出たときに、複数のプラグ流路に挿入されたそれぞれのセラミックフォームプラグにガスが流れ込むように、誘電体ブロックの複数のプラグ流路がベースプレートのそれぞれの複数のガス分配流路と一直線になる間に誘電体ブロックの下面をベースプレートの上面と結合する工程を提供する。
【0011】
別の実施形態では、静電チャック(ESC)が提供される。ESCは、基板を支持するための複数の最小接触面積(MCA)パッドを有する基板支持面を備える。ESCはまた、基板支持面と接続する上面と、ベースプレートと接続する下面と、を有する誘電体ブロックも備える。誘電体ブロックは、誘電体ブロックの下面から誘電体ブロックの上面に伸びて基板支持面の孔を通る複数のプラグ流路を備える。複数のプラグ流路は、誘電体ブロックを通じて、基板があるときは基板支持面と基板の下面との間の温度伝導領域に熱伝導ガスを導入するように構成されている。ESCはさらに、複数のプラグ流路のそれぞれのプラグ領域に挿入された複数のセラミックフォームプラグを備える。各セラミックフォームプラグは、本体と、本体全体に一体的に分散した予備成形孔マトリックスと、を有する。さらにESCは、複数のセラミックフォームプラグに熱伝導ガスを供給するための複数のガス分配流路を含むベースプレートを備える。ベースプレートは、複数のガス分配流路が誘電体ブロックのそれぞれのフォームプラグと一直線になるように誘電体ブロックの下面と接続する上面を備える。
【0012】
他の態様は、添付の図面と併せて説明される発明を実施するための形態から明らかになるだろう。
【図面の簡単な説明】
【0013】
実施形態は、添付の図面と併せて説明される以下の発明を実施するための形態を参照して十分に理解されるだろう。
【0014】
図1A】一実施形態による、処理中の静電チャック(ESC)の基板支持アセンブリの一部。
【0015】
図1B図1Aに示されたものに類似するが、複数のアルミナボールで充填されたガス供給流路を備える、一実施形態によるESCの基板支持アセンブリの一部。
【0016】
図2】一実施形態による、ガス供給流路の一部を充填するセラミックフォームプラグを有するESCの基板支持アセンブリの図。
【0017】
図3A】一実施形態による、誘電体ブロックのガス供給流路にセラミックフォームプラグを取り付ける方法。
図3B】一実施形態による、誘電体ブロックのガス供給流路にセラミックフォームプラグを取り付ける方法。
図3C】一実施形態による、誘電体ブロックのガス供給流路にセラミックフォームプラグを取り付ける方法。
図3D】一実施形態による、誘電体ブロックのガス供給流路にセラミックフォームプラグを取り付ける方法。
図3E】一実施形態による、誘電体ブロックのガス供給流路にセラミックフォームプラグを取り付ける方法。
図3F】一実施形態による、誘電体ブロックのガス供給流路にセラミックフォームプラグを取り付ける方法。
図3G】一実施形態による、誘電体ブロックのガス供給流路にセラミックフォームプラグを取り付ける方法。
【0018】
図4】一実施形態による、着火抑制のためのセラミックフォームプラグを実装するプラズマ処理システムの図。
【0019】
図5A】特定の実施形態による、ボイドの有無およびばらつきを示すためにアルミナボールが詰められた異なるガス供給流路の断面図。
図5B】特定の実施形態による、ボイドの有無およびばらつきを示すためにアルミナボールが詰められた異なるガス供給流路の断面図。
図5C】特定の実施形態による、ボイドの有無およびばらつきを示すためにアルミナボールが詰められた異なるガス供給流路の断面図。
【0020】
図6】特定の実施形態による、アルミナボールが詰められた複数のガス供給流路の図。
【0021】
図7】一実施形態による、ガス着火抑制のためのセラミックフォームプラグを実装するESCの追加図。
【0022】
図8】いくつかの実施形態により用いられうるガス供給孔の円形配置を示すESCの上面図。
【0023】
図9】特定の実施形態による、セラミックフォームプラグとして実装されうる様々な実施形態のセラミックフォーム形状。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下の実施形態は、ESC内の熱伝導ガス着火を排除するためのシステム、方法、および装置を説明する。提示の実施形態は、ESC内でアーキングおよび着火が起こることが発見されたガス供給流路の内部にセラミックフォームプラグを形成および使用することにより、ESCにおけるアーキングを排除し、ガス(例えば、He)着火の潜在的問題を解決するための解決策について説明する。
【0025】
プラズマリアクタで用いられるESCは、チャック面とクランプされたウエハの裏面との間にヘリウム(He)を熱輸送材料として分配する。ヘリウムは、ESCの誘電体上部の供給孔を通じて分配される。供給孔内のヘリウムガスは、高バイアス電圧、またはわずかなバイアス電圧においてさえ化学変化(例えば、イオン化)し、プラズマになる。その結果、ウエハ裏面のエッチングが起こる可能性がある。特定の状況では、ESCのベースプレートとウエハとの間でアーキングが生じる可能性もある。ウエハ裏面の意図しないエッチングは、ウエハ上に見てわかる模様を形成するため、顧客視点からは望ましくない。それよりもおそらくアーキングはより有害となる可能性があり、ウエハおよびESCに損害を与える、またはそれらを破壊する可能性すらある。
【0026】
本明細書において「着火」と呼ばれるこれらの発生は、ガス分子およびその解離した電子の平均自由行程を特定の圧力で限定することによって抑制されることがわかる。その1つの方法は、アルミナボールなどの充填材をヘリウム供給孔に取り付けて、特定のガス分子がアルミナボールまたは供給孔壁に衝突するまで制限なく長距離を進むことができないようにすることを含む。しかし、アルミナボール間の空間の大きさに違いがあるように、アルミナボールの充填に関して変動性があることも認められた。例えば、アルミナボール間の空間は意図したものよりずっと大きくなってボイドになる可能性もあり、それによりガス分子が所望の距離を超えて制限なく進むことができるようになる。その結果、アルミナボールが充填されてもヘリウム供給孔内でガス着火が起こることが認められた。
【0027】
加えて、ヘリウム供給孔内部のボイドの大きさに関して差異があり、それが次に、供給孔間およびESC間のヘリウム着火の頻度および規模に関する差異を引き起こす。より小径のアルミナボールの使用はボイドの存在を低減するのに役立つかもしれないが、かかる直径のアルミナボールを有する供給孔を通って流れるヘリウムのコンダクタンスは、その密な充填により「窒息」させられる可能性がある。妥当な背圧で適切なヘリウムの流れを維持することは、処理中の熱均一性のため、および、ヘリウム孔を詰まりから保護するために重要である。よって、ヘリウム着火の抑制のために、充填材を通るヘリウムの高コンダクタンスを維持しながらヘリウム供給孔の充填材内部のボイドを排除することによる改善された方法またはシステムが望ましい。本明細書に記載の内容は、その両方を達成する。
【0028】
セラミックフォームは、様々な方法で形成できる。多くの場合、セラミックフォームは、とりわけアルミナ、ジルコニア、炭化シリコンなどのセラミックから形成される。これらのセラミックフォームは、バルク材を貫通する高密度の気孔を有するように形成できる。例えば、セラミックフォームは全体積の最大90%の気孔率で形成でき、個々の気孔は数ミクロンの大きさである。加えて、気孔の大きさは製造中に厳密に制御できる。小径でも多数の気孔を組み合わせたセラミックフォームを充填材として用いることは、適切なレベルの熱伝導ガスの流れを可能にしながら向上した着火抑制をもたらすだろうと考えられる。これは、セラミックフォームの特定の体積における高い全気孔体積により高レベルのヘリウム流を維持しながら、ヘリウムおよび励起電子の平均自由行程を制限するからである。
【0029】
本明細書に記載の改善されたシステムおよび方法は、熱輸送材料としてのヘリウムに関するが、本開示の利点は多くの異なる他の熱輸送材料にも当てはまることが理解されるだろう。本明細書におけるヘリウムへの言及は例示目的であり、限定する意図はない。
【0030】
図1Aは、一実施形態による処理中のESC101の基板支持アセンブリの一部を示す。ESC101は、ベースプレート104と接続する誘電体ブロック100を備える。誘電体ブロック100は、とりわけアルミナなどのセラミック材料で形成されてよく、非導電性である。ベースプレート104はアルミニウムなどの導電性材料で形成されるが、他の導電性材料も可能である。ベースプレート104は、ESC101に電力を供給する高周波(RF)電源112に接続される。他の実施形態では、ベースプレート104は接地として機能してよい。さらに他の実施形態では、誘電体ブロック100に埋め込まれたRFグリッド(図示せず)が接地として機能してよい(図3E参照)。誘電体ブロック100とベースプレート104との間の接合層は、2つを互いに固定するのに用いられてよい。基板110は、基板支持面124の最小接触面積(MCA)パッド108によってESC101の上面に載ることが示されている。基板110は、上面110bに処理が施される。
【0031】
ベースプレート104は、ガス源と流体接続するガス分配流路106を備えることが示されている。ガス分配流路106は、ガス供給孔128を通じてガスを温度伝導領域118に供給する誘電体ブロック100のガス供給流路102と一直線上にあり、ガスをガス供給流路102に分配する。温度伝導領域118は、基板110の下面110aと誘電体ブロック100の基板支持体の上面124aとの間の距離によって規定された高さ118aを有することが示されている。いくつかの実施形態では、高さ118aは約1ミクロンから約1mm、または約5ミクロンから約100ミクロン、または約10ミクロンである。
【0032】
チャンバの動作中に、プラズマは基板110の上で生成され、プラズマへの暴露で基板110が加熱されてよい。基板110が高温になりすぎるのを防ぐために、ヘリウムなどの熱輸送材料がガス分配流路106、ガス供給流路102、およびガス供給孔128を通じて温度伝導領域118に供給される。温度伝導領域118に供給されるガスは通常、基板110よりも低温である。その結果、熱伝導ガスが基板110の下面110aと分子的に相互作用するときに起こる熱伝導により、熱伝導ガスは基板110から熱を吸収する。
【0033】
処理中に、ガス分配流路106、ガス供給流路102、および温度伝導領域118の内部の熱伝導ガスは、磁気誘導および電場電位によって励起されてよい。いくつかの実施形態では、RF場の電界成分はイオンや電子などの荷電粒子の直線加速により貢献し、RF場の磁気誘導成分はガスのイオン化(例えば、ガス分子からの電子の除去)により貢献する。ガスはイオン化および加速するときにより励起され、プラズマ生成事象および放電事象(例えば、アーキング)を生じさせる可能性がある。例えば、イオン化したガス分子は、より高速度まで加速するとより大きいエネルギを有する他のガス分子と衝突し、結果としてプラズマの生成を促すより多くのイオン化事象を生じさせる。プラズマは、生成されると基板110の下面110aのエッチングおよびアーキング116をもたらすことが認められた。また、アーキング事象は、ベースプレート104と基板110との間で起こることが認められた。
【0034】
熱伝導ガスの励起の原因となる1つの要素は、供給される間のその分子および電子の平均自由行程である。平均自由行程とは、ガス分子または電子が他の分子または固体物質のいずれかとの連続する衝突の間に進む平均距離である。熱伝導ガスの平均自由行程が大きいほどガスのイオンは特定の方向に大きく直線的に加速するため、より多くの運動エネルギを蓄えることができる。ガスの運動エネルギの増加は、ガス分子が互いに行う連続的な衝突のエネルギを増加させ、これらの衝突事象がイオン化事象を引き起こす可能性を高める。増加した衝突エネルギの全体的な影響は、プラズマの生成またはアーキングである可能性がある。同様のことは、ガスイオンよりも高速で加速する電子にも当てはまる。
【0035】
概略例のHe分子経路114が説明目的で示されている。経路114は原寸に比例して描かれていないが、図1Bおよび図2にそれぞれ示された経路122および経路204を参照して、相対平均自由行程および衝突密度を示すのに役立つ。ガス分配流路106、ガス供給流路102、および温度伝導領域118によって規定される圧力は真空条件下で比較的低いため(例えば、133.322Pa(1Torr)から13332.2Pa(100Torr))、熱伝導ガスの平均自由行程は比較的大きい可能性がある。例えば、5332.89Pa(40Torr)で室温におけるHeプラズマの平均自由行程は数十センチメートルであり、イオンおよび電子が高速度に加速するのに十分な距離である。経路114は、連続する衝突の間に比較的少ない衝突および長い距離を含む結果、励起および着火を受けやすいことが示されている。
【0036】
よって、熱伝導ガスの着火を抑制する1つの方法は、そのガスの平均自由行程を低減することだと考えられる。ESC101を通って進む間に熱伝導ガスの分子の平均自由行程が低減されたときは、分子は次の衝突まで所定方向にそれほど長く加速しない。その結果、ガスの全運動エネルギは低く保たれ、ガス着火の一因となるイオン化事象の可能性は低減する。ガスの平均自由行程は、次の数式で見積もられる。
【0037】
【数1】
【0038】
数式(1)において、Rは気体定数、Tは温度、dはガス分子の公称径、NAはアボガドロ数、Pは圧力である。一面では、圧力Pの増加は熱伝導ガスの平均自由行程を低減させるだろう。しかし、それにより基板110の下面110aにおける裏面圧が増加し、ESC101からの基板110の離座をもたらす可能性がある。さらに、圧力の増加が熱伝導ガスの平均自由行程を低減したとしても、結果として生じた濃度の増加は、イオン化事象またはアーキング事象の可能性を高めるかもしれない。その結果、ガスが進む空間の形状を変更することなどによる、ガスの平均自由行程を低減する異なる方法が考えられる。
【0039】
図1Bは、図1Aの図に類似するが、一実施形態による複数のアルミナボール120が充填されたガス供給流路102を有するESC103の基板支持アセンブリの一部を示す。図1Bに示された実施形態に関して、アルミナボールは直径が約200ミクロンである。アルミナボール120は、ガス供給流路102内部の空間の形状を変化させ、ガス供給流路102を通って進む熱伝導ガスの平均自由行程を効果的に低減する。ガス供給流路102を直径200ミクロンのアルミナボールで充填することにより、200ミクロンの平均ボイドスペースが生じると推定される。同様に、アルミナボール120を有するガス供給流路102を通って流れるガスの平均自由行程は数百ミクロンと推定される。その結果、着火事象は低減されるかもしれないが、百ミクロンの空間は荷電粒子が高速に加速するのに十分な距離であるため、着火事象は大幅には低減されない。
【0040】
ガス供給流路102をアルミナボール120で充填した結果、例示的なHe分子経路122が生じることが示されている。経路122は、アルミナボール120の存在によるより多くの衝突、およびその結果として、より少ない連続進行区間(例えば、連続する衝突の間の距離)が生じることを示す。しかし、ガス供給流路102の内部にアルミナボール120が設置されても、エッチングおよびアーキング116などの着火事象が起こることが認められた。着火事象は、アルミナボール120が存在しても、ガス供給流路102内部のボイドによって引き起こされると考えられる。例えばボイド126は、ガス供給流路102の上端付近のアルミナボール120が存在しないところに形成されることが示されており、連続した進行区間を可能にする。
【0041】
経路122は、連続した進行区間(例えば、間に衝突のない直線距離)を有する領域126a、領域130a、領域130b、および領域130cを示す。そのため、領域126a、領域130a、領域130b、および領域130cは、エッチングおよびアーキング116などの着火事象の可能性が高まるイオンおよび電子のイオン化カスケードを誘発するのに十分な速度に加速することを可能にする。そのため改善された方法またはシステムは、ガス供給流路102内部のボイドの存在を低減しながら熱伝導ガスの平均自由行程を低減するためのものと考えられる。
【0042】
図2は、一実施形態による、ガス供給流路102のプラグ領域203を充填するセラミックフォームプラグ200を有するESC201の基板支持アセンブリの上部図を示す。セラミックフォームプラグ200は、予備成形されてESC201の組み立て時に誘電体ブロック102に取り付けられてよい、または、誘電体ブロック100が形成されるのと同時に成形(例えば、焼成)されてよい。他の実施形態では、開始剤、触媒、および有機モノマと共に、セラミックスラリがプラグ領域203に注入されてよい。セラミックスラリは、セラミック粒子、水、および分散剤を含んでよい。セラミックスラリは次に、発泡剤を用いて発泡体を形成する。十分な発泡後に、有機モノマはポリマを形成する。次に発泡体内のガスはポリマを圧迫して、結果として生じたセラミックフォームプラグ200の気孔を形成する。その後、発泡セラミックは焼結または「焼成」されて、セラミックフォームプラグ200の本体200d全体に一体的に分散した孔マトリックスを有することが示されたセラミックフォームプラグ200の孔マトリックス205が残される。
【0043】
ESC201は、基板100が載るMCAパッド108を備える基板支持面124を有することが示されている。基板支持面124の下面124bは、誘電体ブロック100の上面100aと接続する。温度伝導領域118は、基板110の下面110aと基板支持面124の上面124aとの間に存在することが示されている。また、誘電体ブロック100の下面100bは、接合層によってベースプレート104の上面104aと接続する。ベースプレート104は、RF電源112から給電されてよい、または接地されてよい。他の実施形態では、RFグリッドが誘電体ブロック100に埋め込まれ、接地として機能する。
【0044】
図2では、セラミックフォームプラグ200は、接合層202を有するガス供給流路102のプラグ領域203の垂直壁203aに結合される。接合層202は、任意の適した接合材料からなってよい。いくつかの実施形態では、接合層は約0.01mmから約2mmの厚さ、または約0.1mmから約1mmの厚さ、または約0.2mmから約0.5mmの厚さであってよい。いくつかの実施形態では、接合層202は、何十万もの処理サイクルを通して、または、少なくともESC101の寿命の間、完全な状態を維持するエポキシ材料またはポリマ材料からなってよい。
【0045】
セラミックフォームプラグ200は、ガスを流すことができると同時に流れる間のガスの平均自由行程を制限できる多数の空所、「セル」、または孔を有する。予備成形された孔マトリックス205がどのように見えるかを示すために、セラミックフォームプラグ200の一領域の拡大図204が例示目的で示されている。孔206は、ガスが通ることができる空間を示すことが指摘される。孔206は、セラミックフォームプラグ200の本体200dにわたって相互接続するセラミック材料208内部の空所またはボイドである。孔206は、孔206の寸法を概算する直径206aを伴う。孔206はおそらく形状が円形または球形ではないため、直径206aは孔206の全体形状についての孔206の平均直径を表してよい。このように平均直径とは、全ての孔について各離散した孔206の平均直径206の平均測定値である。所定のセラミックフォームプラグ200に関して、本体200dの孔マトリックス205内部には、約103から約109、または約104から約107、または約104から約1・106のいずれかの個別の孔が配置されてよい。孔206の正確な数は、他の考慮すべき事柄の中でもプラグ領域203の寸法、所望の気孔率、所望の平均自由行程、所望の圧力、熱伝導ガスの種、RF場の強度、に依存するだろう。いずれの場合も、セラミックフォームプラグ200の本体200d全体の孔の配置に均一性があるように、孔は本体200d全体に一体的に分散すると考えられる。
【0046】
別の面では、平均直径は、ボイドスペース内の各点の平均値である、ボイドスペース内の一点から各方向に最も近い壁までの平均距離の測定値であってよい。例えば、仮定p1は、セラミックフォームプラグ200の本体200d内部のボイドスペースにある点である。放射線q1、放射線q2、・・・、放射線qnが点p1からあらゆる方向で最も近い壁に引かれた場合、これらの放射線の平均qは、点p1と点p1に最も近い表面との間の平均距離である。セラミックフォームプラグ200のボイドスペースにおける全ての点、p1、p2、・・・、pmについて平均qの平均である平均rは、ボイドスペースの各点を最も近い表面から分離する平均距離である。よって、平均rまたは2*平均rは、セラミックフォームプラグ200の孔の「孔寸法」または「平均直径」の測定値として用いられてもよい。孔マトリックス内の空間を表すために、孔の寸法および直径の他の測定値が用いられてもよい。
【0047】
いくつかの実施形態では、孔寸法はセラミックフォームプラグ200にわたってより高い均一性を有してよいが、他の実施形態では、孔寸法により多くの違いがあってよい。しかしセラミックフォームプラグ200は、大きなボイド(例えば、約200ミクロンよりも大きい、または50ミクロンよりも大きい、または10ミクロンよりも大きい)がセラミックフォームプラグ200に形成されないような均一性を有すると予想される。さらに孔寸法は、ガスの平均自由行程を制限するほど十分に小さいと同時に、媒体を通してガスの適した流れを可能にするほど十分に大きいと考えられる。いくつかの実施形態では、セラミックフォームプラグ200の孔は、約100nmから約1mm、約1ミクロンから約500ミクロン、または約10ミクロンから約100ミクロンの範囲の直径を有すると考えられる。
【0048】
孔の寸法に加えて、セラミックフォームプラグ200は、約20%から約99%、または約50%から約95%、または約60%から約80%の気孔率を有すると考えられる。気孔率とは、材料の全体積(例えば、セラミックフォームプラグ200の本体200d)で割ったボイド(例えば、孔、開口、流路、隙間)の体積分率によって規定される材料のボイドスペースの測定値である。セラミックフォームプラグ200の気孔率は、セラミックフォームプラグ200がガスの平均自由行程を制限するのに十分な固形材料を有しながら流れを「窒息」または制限しすぎないような範囲内であると考えられる。
【0049】
セラミックフォームプラグ200を通じてヘリウムを流すことで生じる例示的なヘリウム分子経路204が示されている。経路204は、セラミックフォームプラグ200のセラミック材料との多数の衝突を示し、経路114と比べてヘリウムの平均自由行程がどのようにして低減されたかも示す。例えば、経路204の全直線進行距離の平均は、経路114の10~50分の1であってよい。また経路204は、セラミックフォームプラグ200が経路122または経路114に見られるようなヘリウムまたは電子の連続移動区間(例えば、領域126a、領域130a、領域130b、および領域130c)を可能にしないことを示す。その結果、セラミックフォームプラグ200を通って流れるガスは、過度に加速および励起されない。それによる全体的な効果は、ガス着火の抑制である。
【0050】
図3A図3Dは、一実施形態による、セラミックフォームプラグ200を誘電体ブロック100のガス供給流路102のプラグ領域203に取り付ける方法を示す。図3Aは、取り付けに備えた誘電体ブロック100の一部および予備成形されたセラミックフォームプラグ200を示す。誘電体ブロック100は、プラグ領域203およびガス供給孔128を有するガス供給流路102を備える。プラグ領域203は、垂直壁203aおよび上部水平壁203bを備える。プラグ領域203の垂直壁203aには接合層202が加えられていることが示されている。いくつかの実施形態では、接合層202はプラグ領域203の上部水平壁203bに加えられてもよい。ガス供給流路102は、セラミックフォームプラグ200を含む際の使用について説明するためにプラグ流路と呼ばれてもよい。
【0051】
接合層202は、セラミックフォームプラグ200をガス供給流路102に固定するために、プラグ領域203の垂直壁203aおよび/または上部水平壁203bに加えられたことが示されているが、他の実施形態も可能である。例えば接合層202は、セラミックフォームプラグ200の上面200bまたは垂直面200aに、またはプラグ領域203の表面203aおよび203bの両方に、およびセラミックフォームプラグ200の表面200aおよび200bに加えられてよい。接合層202は、何千サイクルもの処理工程で劣化しないように、セラミックフォームプラグ200をプラグ領域203に固定するためにエポキシ材料またはポリマ材料を備えてよい。
【0052】
図3Bでは、セラミックフォームプラグ200は、図3Cに示されるように誘電体ブロック100の下面110bから突出しなくなるまでガス供給流路102のプラグ領域203に挿入されることが示されている。そのためセラミックフォームプラグ200は、上面200bがプラグ領域203の上部水平壁203bと接続するまで機械的に挿入されると考えられる。また、いくつかの実施形態では、セラミックフォームプラグ200がプラグ領域203に完全に挿入されたときにセラミックフォームプラグ200の下面200cが誘電体ブロック100の下面100bと実質的に同一平面になるように、セラミックフォームプラグ200は、プラグ領域203の高さ203eと実質的に一致する高さ200eに成形されると考えられる。しかし、セラミックフォームプラグ200の高さ200eは、セラミックフォームプラグ200の下面200fが誘電体ブロック100の下面100bから突出する、または凹むように、プラグ領域203の高さ203eよりもそれぞれ大きい、または小さい場合があってもよい。
【0053】
また、セラミックフォームプラグ200の幅200fは、セラミックフォームプラグ200が接合層202のための空間を可能にしながらプラグ領域203に収まるように、プラグ領域203の開口203gの幅203fよりも小さいと考えられる。そのため幅200fは、接合層202の所望厚さなどの様々な適用に応じて、約100nmから約1mm、または約1ミクロンから約100ミクロンだけ開口203gの幅203fよりも小さくてよい。一般にセラミックフォームプラグ200の断面は、円形、楕円形、三角形、長方形、五角形、六角形、七角形、八角形などを含む様々な形状を有してよい。他の実施形態では、セラミックフォームプラグ200の断面は、セラミックフォームプラグ200の高さ200eまたは長さにわたる形状および面積で異なってよい。つまり、例えばセラミックフォームプラグ200は、プラグ領域203が取り得る様々な形状の要求に合うように、円筒形、準円筒形、円錐形、ピラミッド形であってよく、テーパ状または傾斜状のエッジ、フランジ、カットアウトなどを含んでもよい。
【0054】
図3Cは、結合された誘電体ブロック100およびベースプレート104も示す。上記のように、誘電体ブロック100をベースプレート104に固定するために接合材料層210が用いられてよい。接合材料層210は、ベースプレート104の上面104aに加えられることが示されている。次に誘電体ブロック100およびベースプレート104は、ガス分配流路106がそれぞれのガス供給流路102と一直線になる間に押し合わされる。よって接合層210は、誘電体ブロック100の下面100bと接触し、誘電体ブロック100をベースプレート104に固定する。図3Dは、ガス供給流路102のプラグ領域203の内側にしっかりと保持されたセラミックフォームプラグ200と共に結合された誘電体ブロック100およびベースプレート104を示す。
【0055】
図3Eおよび図3Fは、例えば図3A図3Cに示された方法を用いて、ガス供給流路102のそれぞれのプラグ領域203に取り付けられた後のセラミックフォームプラグ200の追加的実施形態を示す。図3Eは、プラグ領域203の高さ203eよりも小さい高さ200eを有するセラミックフォームプラグ200を示す。いくつかの実施形態では、接地として機能する、誘電体ブロック100に埋め込まれたRFグリッド300がある。これらの実施形態では、高周波は基板を通って温度伝導領域を通り、RFグリッド300に衝突する前にガス供給流路102内部で容量結合プラズマを生成する可能性がある。よってセラミックフォームプラグ200は、下方の距離302とはいかないまでも、少なくともRFグリッド300が配置されているところまで伸びると考えられる。RFグリッド300はガス供給流路102が占める空間に伸びないため、RF場は基本的にRFグリッド300を通ってガス供給流路102の領域に進んでよい。よって距離302は、電界強度、RFグリッド300の形状、ガス供給流路102の形状、およびガス供給流路102に入る電界強度に応じて、数ミリメートルから数センチメートルであると考えられる。図3Eは、いかなる場合でもセラミックフォームプラグ200の下面200cが誘電体ブロック100の下面100bから凹んでよいことを示す。
【0056】
図3は、一実施形態による、ガス供給孔128に伸びる突起200gを有するセラミックフォームプラグ200の実施形態を示す。特定の実施形態では、RF場は、ガスがプラグ領域203からガス供給孔128に進むようにガスを励起してよい。よって、セラミックフォームプラグ200を少なくともある部分についてガス供給孔128に伸びるようにすることも望ましいだろう。図の実施形態では、セラミックフォームプラグ200は、ガス供給孔128の形状および幅128bに対応する幅200iおよび形状(例えば、横断面)の突起200gを有するように成形されている。突起200gは、ガス供給孔128に伸びる、ガス供給孔128の高さ128aよりも小さい高さ200hを有することが示されている。しかし他の実施形態では、突起200gは実質的にガス供給孔128の高さ128aに相当する高さ200hを有してよい。このように、突起200gの上面200jは、誘電体ブロック100の上面または基板支持面124と実質的に同一平面であってよい。さらに他の実施形態では、突起200gの高さ200hは、望まれない場合に基板に接触しない限り、ガス供給孔128の高さ128aよりもわずかに大きくてよい。
【0057】
図3Gは、一実施形態による、ガス供給孔128を通る熱伝導ガス流を最適化するための、セラミックフォームプラグ200を伴うプレナム306の実施形態を示す。プレナム306は、セラミックフォームプラグ200の上面200bに直接取り付けられてよい、もしくは埋め込まれてよい、または上部水平壁203bに結合されてよい。いずれの場合も、プレナム306は多数の孔がガス供給孔128(例えば、熱伝導ガス分子をガス供給孔128に導くことに余り都合のよくない孔)として機能することを可能にする。例えば、セラミックフォームプラグ200が取り付けられたときにセラミックフォームプラグ200内部の孔が上部水平壁203bに近接する位置で上面200b付近にある場合、その孔を通って進む分子の大部分は、ガス供給孔128に進む分子とは対照的に上部水平壁203bに接触する可能性が高い。よってプレナム306は、ガス供給孔128への流れに比較的直接貢献する領域308の孔の数を増やすことができると考えられる。
【0058】
プレナム306はリング状であり、上面306aはプラグ領域203の上部水平壁203bと接続し、下面306bはセラミックフォームプラグ200の上面200bと接続してよい。プレナム306は、約50ミクロンから約2ミリメートル、または約100ミクロンから約1ミリメートル、または約200ミクロンから約500ミクロンの高さ306eを有してよい。また、プレナム306は、セラミックフォームプラグの外径200kに相当する、またはそれよりも小さい外径306cを有してよい。プレナム306の内径306dは、外径306cよりも約50ミクロンから約1ミリメートル小さくてよい。
【0059】
図3A図3Gで説明された実施形態は、挿入前に形成されたセラミックフォームプラグ200を示すが、他の実施形態も考えられる。一実施形態では、セラミックフォームプラグ200はin-situで形成される。この実施形態では、セラミック粒子(例えば、セラミックスラリ)を有する液体セラミックフォーム前駆体または懸濁液が、ガス供給孔128または開口203gのいずれかを通じてガス供給流路102に注入されてよい。液体フォーム前駆体または懸濁液は、混合スラリを形成するために有機モノマ、開始剤、および触媒と共に注入される。次に混合スラリは発泡剤を用いて発泡され、孔になるボイドスペースを形成する。次に孔は、有機モノマの重合作用によって安定化する。最終的なポリマ形成は同時に、セラミック材料が焼成後に取るであろう構造にセラミック材料を成形する。この点において、孔の寸法は、用いる発泡剤および用いる有機ポリマの種類に基づいて厳密に制御できる。いくつかの実施形態では、ポリマによって形成されたポケットの寸法はミクロン規模に制御でき、その結果、セラミック材料の孔の寸法も同様に制御できる。発泡および重合の後に、結果として生じた発泡セラミック構造は次に焼成され、液体前駆体、有機ポリマ、溶媒などの一部は気化されるだろう。
【0060】
図2図3A図3Gにおいて、セラミックフォームプラグ200は接合層210によってプラグ領域203に固定されることが示されているが、他の実施形態も考えられる。例えば上記のように、セラミックフォームプラグ200は誘電体ブロック100と共にin-situで形成できるため、セラミックフォームプラグ200を誘電体ブロック100に固定するための追加の材料を必要としない。別の実施形態では、セラミックフォームプラグ200はベースプレート104、またはスリーブ706、または誘電体ブロックの下面100bに押し付けられるいくつかの他の構成部品によって所定位置に保持されてよい。
【0061】
図4は、一実施形態による、着火抑制のためのセラミックフォームプラグ200を実装するプラズマ処理システム400の図を示す。プラズマ処理システム400は、誘電体ブロック100、およびチャック412の上に設置されたベースプレート104を有するESC101を備えることが示されている。ESC101は、RF電源416から整合器414を介して給電される。またESC101は、熱伝導材料としてHe源418から弁420を介してヘリウムが供給される。RF電源416および弁420の両方は、コントローラ422によって制御されることが示されている。ベースプレート104は、ヘリウムを複数のガス分配流路106に分配する供給ライン410のネットワークを含むことも示されている。
【0062】
プラズマ処理システム400は、接地424された上部電極402も備える。他の実施形態では、ベースプレート104が接地され、上部電極402はRF電源416から給電されてよい。シュラウド404は、上部電極402から基板110を環状に囲むエッジリング406に伸びる。シュラウド404は、プラズマ408が存在するときはその集束を助ける。
【0063】
基板110は、複数の最小接触面積(MCA)パッド108を備えるESC101の基板支持面124の上に載っていることが示されている。いくつかの実施形態では、基板支持面124は、誘電体ブロック100に加えられる追加層で形成される。例えばいくつかの実施形態では、基板支持面124は、MCAパッド108として機能する、突起を有する誘電体ブロック100の上面100aを覆う膜であってよい。他の実施形態では、基板支持面124は誘電体ブロック100(例えば、基板支持面124として機能するように形成された誘電体ブロック100)と一体であってよい。いずれの場合も、ガス供給流路102から流れるガスが拡散して基板110に接触するための空間を有するように、基板110の下面110aと基板支持面124との間には温度伝導領域118が存在することが示されている。いくつかの実施形態では、ガスは基板110とエッジリング406との間の空間を通って温度伝導領域118から排出してよい。他の実施形態では、温度伝導領域118に導入された熱伝導ガスが誘電体ブロック100の上面100a、ベースプレート104、およびチャック412の内部の追加排出ラインを通って排出されるように、温度伝導領域118は密閉シールされてよい。いくつかの実施形態では、MCAパッド108および温度伝導領域118の高さは、約1ミクロンから約100ミクロン、約5ミクロンから約50ミクロン、または約10ミクロンである。
【0064】
Heなどの熱伝導材料がセラミックフォームプラグ200を通って温度伝導領域118に流れるときは、基板110はいくらかの裏面圧を受ける。いくつかの実施形態では、裏面圧は約13.3322Pa(約0.1Torr)から約13332.2Pa(約100Torr)、または約133.322Pa(約1Torr)から約6666.12Pa(約50Torr)、または約1999.84Pa(約15Torr)から約5332.89Pa(約40Torr)である。また、複数のセラミックフォームプラグ200を通る熱伝導材料の全流量は、基板110への適切な熱伝導量を確保するために約0.1L/分から約1L/分、または約0.4L/分でなければならない。
【0065】
RF電源426から供給される電力は、約0.1kVから約10kV、または約2.5kVから約3kVであると考えられるが、他の範囲も可能である。また、プラズマ処理システム400は、約-60℃から約800℃、または約-40℃から約250℃、または約50℃の様々な温度で動作すると考えられる。
【0066】
図5A~5Cは、特定の実施形態による、ボイドの有無およびばらつきを示すためにプラグ領域203に約200ミクロンの直径のアルミナボール120を充填した異なるガス供給流路102a~102cの断面画像を示す。図5A~5Cの画像では、ガス供給流路102a~102cは、断面化される前にアルミナボール120を入れるために誘電体ブロック100から取り外され、エポキシ材料が充填された。その後に断面の光学画像が撮像された。
【0067】
例えば図5Aは、わずかだが小容量のボイド500を表す、十分に充填されたガス供給流路102aを示す。ガス供給流路102a、102b、102cには、ひどく幅広ではないがいくらかの長さ(例えば、最大数ミリメートル)に伸びるボイド502が存在する可能性があることに注意されたい。図5Bは、図5Aで示されたものよりも少数で異なるボイド504を有する別のガス供給流路102bを示す。図5Cは、充填が余り十分でない第3のガス供給流路102cを示す。図5Cに示されるガス供給流路102c内部のボイド506は、図5Aおよび5Bのものよりも多数で、サイズが大きく、変化に富む。よって図5A~5Cは、ガス供給流路102a~102cがアルミナボール120で十分に充填されたようであっても、それらの内部でボイドがどのように発達しうるかを示す。また、図5A~5Cが提供する図では見ることができないボイド(例えば、ガス供給流路102a~102cの壁に沿ったボイド)があるかもしれないが、それらは各アルミナボール120が壁203aに一点で接触した結果によるものである。よって、細長いボイドの可能性がある。図5A~5Cに示されたボイド500、502、504、および506は、ガス分子および電子が別の分子または固体物質との連続する衝突の間に加速することを可能にする。その結果、着火事象がその中で起こりやすい。
【0068】
図6は、特定の実施形態による、約200ミクロンの直径のアルミナボール120を充填したいくつかのガス供給流路102a~102cの図を示す。図6A~6Dの画像では、ガス供給流路102d~102gは、断面化される前にアルミナボール120を入れるために誘電体ブロック100から取り外され、エポキシ材料が充填された。続いて、断面の走査電子顕微鏡画像(SEM)が撮像された。アルミナボール120は重力によりガス供給流路102d~102gの底部に沈むため、破線円で示されたボイド600~604はガス供給流路102d~102gの上部に形成されてよい。
【0069】
図7は、一実施形態による、ガス着火抑制のためのセラミックフォームプラグ200を実装するESC101のさらなる図を示す。ESC101は、少なくとも介在する接合層210を伴う誘電体ブロック100およびベースプレート104を備えることが示されている。多数のガス供給孔128が円形状に配置されていることが示されている。1つのガス供給孔128の断面図700が拡大して示されている。誘電体ブロック100およびベースプレート104は、接合層210によって結合されている。ガス供給流路(セラミックフォームプラグ200を含むことができることから図7ではプラグ流路708と呼ばれる)は、誘電体ブロック100の下面100bから誘電体ブロック100の上面100aに伸びることが示されている。セラミックフォームプラグ200は、プラグ流路708の空間を埋めるように成形される。
【0070】
本実施形態では、フォームプラグ200の形状は、ある程度湾曲または傾斜した上面200bを有する準円筒形である。この形状は、例えば傾斜710またはテーパを含んでよい。また、底面200c付近のフォームプラグ200は、フランジ712を有することが示されている。フォームプラグ200を含むプラグ領域203の形状は、セラミックフォームプラグ200が挿入されるとセラミックフォームプラグ200の形状と実質的に一致するような対応の形状を有する。図7の実施形態では、フォームプラグ200の下面200cは、誘電体ブロック100の下面100bと実質的に同一平面であることにも注意されたい。
【0071】
図7は、ガス分配流路106からプラグ流路708のセラミックフォームプラグ200への熱伝導ガス流を可能にするよう機能する、誘電体ブロック100とベースプレート104との間の継ぎ目702も示す。継ぎ目702は、カラー704およびスリーブ706を有することが示されている。カラー704は、接合材料が染み込んでガス分配流路106を通ってプラグ流路708に流れるガス流を制限しないように、熱伝導ガスのためのシールとして、および接合層210の材料に対するバリアとして機能する。よってカラー704は、シールを形成するために下面100bおよびベースプレート104の上面104aに接触してよいと考えられる。
【0072】
スリーブ706は、ガス分配流路106のレッジ106bの上に載る下面706bを有し、ベースプレート104の上面104aを通って伸びる。いくつかの実施形態では、スリーブ706は、セラミックフォームプラグ200の下面200cおよび誘電体ブロック100の下面100bの両方と接続する上面706aを有するだろう。いくつかの実施形態では、スリーブ706は、誘電体ブロック100およびベースプレート104が押し合わされた、または結合されたときに、接合層210の高さ210aを規定するように機能する。また、いくつかの実施形態では、誘電体ブロック100がベースプレート104と結合する前および最中に、スリーブ706はカラー702を所定位置に保持するように機能する。さらにスリーブ706は、プラグ流路708およびセラミックフォームプラグ200をガス分配流路106およびカラー704と一直線にすることを助けるように機能してよい。さらにスリーブ706は、ガス分配流路106のいくらかの容積を取るように機能してもよい。ガス供給孔128、セラミックフォームプラグ200、プラグ流路708、カラー704、スリーブ706、およびガス分配流路106の各々は、誘電体ブロック100をベースプレート104に結合する間、およびその後に、互いとおよび中心軸714と実質的に共線の垂直(例えば、長手方向の)軸を有するだろうと考えられる。別の実施形態では、スリーブ706も同様に、アルミナボール、マルチルーメン構造、または別のセラミックフォームを含む別の多孔質プラグで充填されてよい。他の実施形態では、スリーブ706は用いられない。
【0073】
図8は、いくつかの実施形態により用いられうる18の個別のガス供給孔128の円形配置を示すESC101の上面図である。ガス供給孔128は、誘電体ブロック101の外端の方に配置され、互いに均一に離れている。他にも、本明細書の記載および精神の範囲内の多くの可能なガス供給孔128の配置があることが理解されるだろう。様々な適用のニーズに応じて、異なる数のガス供給孔128が用いられてよいことも理解されるだろう。よって、図8に示されたものは例示を意図し、限定を意図しない。
【0074】
他の実施形態では、例えばガス供給孔128の同心リングがあってよい。様々な実施形態では、同心リングに配置されたガス供給孔128は、異なる同心区画の間で熱伝導ガスの移送を可能にするために、リングの放射状の切り込みを介して接続されてよい。
【0075】
図9は、特定の実施形態による、セラミックフォームプラグとして実装されうる様々なセラミックフォームの形状を示す。図9に示されたセラミックフォーム形状は、例示のみを目的とする。セラミック発泡物は、形状本体全体に一体的に分散した予備成形孔マトリックスを有することが示されている。孔マトリックスは、孔マトリックスを通って流れるガスの平均自由行程を制限するために、平均直径で100ナノメートルから500マイロメートルの範囲の孔を有すると考えられる。セラミックフォームの孔寸法は製造中に厳密に制御でき、様々な適用のニーズに合うように調節できる。セラミックフォームプラグの形状は、プラグ流路の形状に合うように調節もできる。いくつかの実施形態では、セラミックフォームプラグは準円筒形であってよい。
【0076】
上述の実施形態は明確な理解のためにいくらか詳細に説明されたが、添付の特許請求の範囲内で特定の変更および修正が可能なことは明らかだろう。従って、本実施形態は制限的ではなく例示的と考えられるべきであり、本明細書に記載の詳細に限定されるべきでないが、添付の特許請求の範囲およびその同等物の範囲内で修正されてよい。また、本開示は以下の形態としても実現可能である。
[形態1]
基板支持アセンブリであって、
基板支持面と接続するための上面、および、ベースプレートと接続するように構成された下面を有する誘電体ブロックと、
前記誘電体ブロックの前記下面から前記誘電体ブロックの前記上面に伸びて、前記誘電体ブロックの前記上面に配置された前記基板支持面の孔を通る複数のプラグ流路であって、前記複数のプラグ流路は、基板があるときは前記基板支持面と前記基板の下面との間の温度伝導領域に前記誘電体ブロックを通じてガスを導入するように構成され、前記複数のプラグ流路の各々は、対応するセラミックフォームプラグを含むためのプラグ領域を有し、各セラミックフォームプラグは、本体、および、前記本体全体に一体的に分散した予備成形孔マトリックスを有する、基板支持アセンブリ。
[形態2]
形態1に記載のアセンブリであって、
前記セラミックフォームプラグは、プラズマ処理手順の間に前記アセンブリが電界を受けるときに、前記複数のプラグ流路を通って流れるガスの着火を抑制するように構成されている、アセンブリ。
[形態3]
形態1に記載のアセンブリであって、
前記セラミックフォームプラグは、前記ガスが前記複数のプラグ流路を通って流れ、プラズマ処理の間に電界を受けたときに前記ガスの平均自由行程を低減することにより、前記複数のプラグ流路を通って流れるガスの励起を低減するように構成されている、アセンブリ。
[形態4]
形態1に記載のアセンブリであって、
前記基板支持面は、前記基板があるときは前記基板の前記下面に接触するための最小接触面積(MCA)パッドを備え、前記MCAパッドの高さは、前記温度伝導領域の高さを規定する、アセンブリ。
[形態5]
形態1に記載のアセンブリであって、さらに、
前記誘電体ブロックの前記下面と接続する前記ベースプレートであって、前記ベースプレートは、前記複数のプラグ流路にそれぞれ前記ガスを供給するための複数のガス分配流路を備え、前記誘電体ブロックは、前記複数のプラグ流路の各々が前記複数のガス分配流路のそれぞれのガス分配流路と一直線になるように前記ベースプレートに対して設置される、前記ベースプレートを備える、アセンブリ。
[形態6]
形態1に記載のアセンブリであって、
各セラミックフォームプラグは、接合層によって前記複数のプラグ流路のそれぞれのプラグ流路の内壁に固定される、アセンブリ。
[形態7]
形態1に記載のアセンブリであって、
前記複数のセラミックフォームプラグの各々の形状は、それぞれの前記プラグ流路の前記プラグ領域の形状に対応する、アセンブリ。
[形態8]
形態2に記載のアセンブリであって、
前記複数のセラミックフォームプラグが抑制するように構成されている前記ガスの着火は、前記ガスのイオン化、前記ガスからのプラズマ形成、およびアーキングによる放電を含む、アセンブリ。
[形態9]
形態3に記載のアセンブリであって、
前記セラミックフォームプラグは、前記複数のプラグ流路にセラミックフォームプラグがないときの前記ガスの前記平均自由行程と比べて、前記ガスの前記平均自由行程が所定圧力に対して1分から100分の1倍の間で低減するように構成されている、アセンブリ。
[形態10]
形態1に記載のアセンブリであって、
前記セラミックフォームプラグは、30%から95%の気孔率を有する、アセンブリ。
[形態11]
形態1に記載のアセンブリであって、
前記予備成形孔マトリックスは、直径が100ナノメートルから500マイクロメートルの平均孔寸法を有する、アセンブリ。
[形態12]
形態5に記載のアセンブリであって、さらに、
前記誘電体ブロックの前記下面と前記ベースプレートの上面との間に配置された複数の円形カラーであって、前記円形カラーの開口は、前記複数のガス分配流路の各々とそれぞれの前記プラグ流路の前記セラミックフォームプラグとの間にシールが存在するように、前記複数のガス分配流路および前記複数のプラグ流路の各々と一直線になる、複数の円形カラーを備える、アセンブリ。
[形態13]
静電チャック(ESC)を組み立てる方法であって、
基板支持面と接続するための上面、および、ベースプレートと接続するための下面を有する誘電体ブロックを提供する工程であって、前記誘電体ブロックは、前記誘電体ブロックの前記下面から前記誘電体ブロックの前記上面に伸びる複数のプラグ流路を備え、各プラグ流路はプラグ領域を有する、工程と、
セラミックフォームプラグを各プラグ流路の前記プラグ領域に挿入する工程であって、前記セラミックフォームプラグは、本体、および、前記本体全体に一体的に分散した予備成形孔マトリックスを有する、工程と、
ガスが前記複数のガス分配流路から流れ出るときに、前記ガスが前記複数のプラグ流路に挿入されたそれぞれの前記セラミックフォームプラグに流れ込むように、前記誘電体ブロックの前記複数のプラグ流路が前記ベースプレートのそれぞれの複数のガス分配流路と一直線になる間に、前記誘電体ブロックの前記下面を前記ベースプレートの上面と結合する工程と、
を含む、方法。
[形態14]
形態13に記載の方法であって、
前記セラミックフォームプラグの底面は、前記誘電体ブロックの前記下面と実質的に同一平面である、方法。
[形態15]
形態13に記載の方法であって、さらに、
前記結合する工程の前に、前記誘電体ブロックを前記ベースプレートに固定するために、前記誘電体ブロックの前記下面と前記誘電体ブロックの前記上面との間に接合材料層を加える工程を含む、方法。
[形態16]
形態13に記載の方法であって、さらに、
前記挿入する工程の前に、前記セラミックフォームプラグを前記プラグ流路の前記プラグ領域に固定するために、前記プラグ流路の前記プラグ領域の内壁と前記セラミックフォームプラグの外面との間に接合材料を加える工程含む、方法。
[形態17]
静電チャック(ESC)であって、
基板を支持するための複数の最小接触面積(MCA)パッドを有する基板支持面と、
前記基板支持面と接続する上面、および、ベースプレートと接続するための下面を有する誘電体ブロックであって、前記誘電体ブロックは、前記誘電体ブロックの前記下面から前記誘電体ブロックの前記上面に伸びて、前記基板支持面の孔を通る複数のプラグ流路を備え、前記複数のプラグ流路は、前記基板があるときは前記基板支持面と前記基板の下面との間の温度伝導領域に前記誘電体ブロックを通じて熱伝導ガスを導入するように構成された、誘電体ブロックと、
前記複数のプラグ流路のそれぞれのプラグ領域に挿入された複数のセラミックフォームプラグであって、各セラミックフォームプラグは、本体、および、前記本体全体に一体的に分散した予備成形孔マトリックスを有する、複数のセラミックフォームプラグと、
熱伝導ガスを前記複数のセラミックフォームプラグに供給するための複数のガス分配流路を備えるベースプレートであって、前記ベースプレートの上面は、前記複数のガス分配流路が前記複数のセラミックフォームプラグとそれぞれ一直線になるように、前記誘電体ブロックの前記下面と接続する、ベースプレートと、
を備える、ESC。
[形態18]
形態17に記載のESCであって、
前記ESCがプラズマ処理手順の間に電界を受けるときに、前記熱伝導ガスが前記誘電体ブロックを通って前記温度伝導領域に流れるときは、前記セラミックフォームプラグは、前記熱伝導ガスの着火の抑制を可能にする、ESC。
[形態19]
形態17に記載のESCであって、
前記熱伝導ガスが前記複数のセラミックフォームプラグを通って流れるときは、前記複数のセラミックフォームプラグは、前記熱伝導ガスの流れの制約を低減するために30%から90%の気孔率を有し、前記熱伝導ガスが前記セラミックフォームプラグを通って流れるときは、前記予備成形マトリックスは、前記熱伝導ガスの平均自由行程を低減するために直径が100ナノメートルから500マイクロメートルの平均孔寸法を有する、ESC。
[形態20]
形態17に記載のESCであって、
プラズマ処理手順の間に前記ESCが電界を受けるときは、前記複数のセラミックフォームプラグは、前記熱伝導ガスの着火を抑制するために前記熱伝導ガスの平均自由行程を1分の1から100分の1倍の間で低減するように構成されている、ESC。
図1A
図1B
図2
図3A
図3B
図3C
図3D
図3E
図3F
図3G
図4
図5A
図5B
図5C
図6
図7
図8
図9