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特許7405913硬化性シリコーン光学的透明接着剤およびその使用
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-18
(45)【発行日】2023-12-26
(54)【発明の名称】硬化性シリコーン光学的透明接着剤およびその使用
(51)【国際特許分類】
   C09J 183/04 20060101AFI20231219BHJP
   C09J 11/06 20060101ALI20231219BHJP
   C09J 7/38 20180101ALI20231219BHJP
【FI】
C09J183/04
C09J11/06
C09J7/38
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2022108144
(22)【出願日】2022-07-05
(62)【分割の表示】P 2020505409の分割
【原出願日】2018-08-03
(65)【公開番号】P2022130696
(43)【公開日】2022-09-06
【審査請求日】2022-08-03
(31)【優先権主張番号】62/540,786
(32)【優先日】2017-08-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】391008825
【氏名又は名称】ヘンケル・アクチェンゲゼルシャフト・ウント・コムパニー・コマンディットゲゼルシャフト・アウフ・アクチェン
【氏名又は名称原語表記】Henkel AG & Co. KGaA
【住所又は居所原語表記】Henkelstrasse 67,D-40589 Duesseldorf,Germany
(74)【代理人】
【識別番号】100106297
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 克博
(72)【発明者】
【氏名】リウ、 ユーシア
(72)【発明者】
【氏名】アハーン、 マシュー
(72)【発明者】
【氏名】ナルタナ、 アビラーミ
【審査官】澤村 茂実
(56)【参考文献】
【文献】中国特許出願公開第106497505(CN,A)
【文献】国際公開第2018/225430(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C09J 1/00-201/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)95~99.999%の60~150℃の高温の有機溶媒中の
(i)1~30%の50,000g/molより大きい数平均分子量を有するヒドロキシ末端シロキサンポリマー、
(ii)10~50%の50,000g/mol未満の数平均分子量を有する(メタ)アクリルオキシアルキルアルコキシ末端シロキサンポリマー、
(iii)10~50%の反応性シリコーン樹脂、
(iv)0.001~1%の(v1)-6以下のpKa値を有する酸または(v2)15以上のpKa値を有する塩基触媒、
の反応生成物、および
(b)0.001~5%の光開始剤の混合物を含むUV硬化性シリコーン光学的透明接着剤組成物であって、
反応性シリコーン樹脂が、四官能性シロキシ単位(SiO 4/2 )およびトリオルガノシロキシ単位(R SiO 1/2 )を有し、Rが、ヒドロキシ基およびメチル基であり、SiO 4/2 のR SiO 1/2 に対する単位のモル比が、1:2~2:1であるUV硬化性シリコーン光学的透明接着剤組成物
【請求項2】
(メタ)アクリルオキシアルキルアルコキシ末端シロキサンポリマーが、(メタ)アクリレートおよびアルコキシシリル官能基の両方の末端官能基を有するポリジメチルシロキサンポリマーであり、
(iii)反応性シリコーン樹脂の数平均分子量が、500~200,000g/molであり、
(v)触媒が、KOH、NaOH、LiOH、有機リチウム試薬、グリニャール試薬、メタンスルホン酸、硫酸、およびそれらの混合物からなる群から選択される、
請求項1に記載のUV硬化性シリコーン光学的透明接着剤。
【請求項3】
請求項1または2に記載のUV硬化性シリコーン光学的透明接着剤の硬化組成物を含む物品。
【請求項4】
UV硬化性シリコーン感圧接着剤を形成する方法であって、
(1)60~150℃の有機溶媒中で混合することにより
(i)1~30%の50,000g/molより大きい数平均分子量を有するヒドロキシ末端シロキサンポリマー、
(ii)10~50%の30,000g/mol未満の数平均分子量を有する(メタ)アクリルオキシアルキルアルコキシ末端シロキサンポリマー、
(iii)10~50%の反応性シリコーン樹脂、
(iv)0.1~10%の(メタ)アクリルオキシアルキルアルコキシ官能性シラン、
(v)0.001~1%の(v1)-6以下のpKa値を有する酸または(v2)15以上のpKa値を有する塩基触媒、
の反応生成物を60~150℃の高温の有機溶媒中で調製し、
(2)室温で0.001~5%の光開始剤を添加する工程を含み、
反応性シリコーン樹脂が、四官能性シロキシ単位(SiO 4/2 )およびトリオルガノシロキシ単位(R SiO 1/2 )を有し、Rが、ヒドロキシ基およびメチル基であり、SiO 4/2 のR SiO 1/2 に対する単位のモル比が、1:2~2:1である方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ディスプレイ電子デバイス、例えば、LCDディスプレイ、LEDディスプレイ、フレキシブルで折り畳み可能なディスプレイ、およびタッチスクリーンを接着するのに適した、ラミネートフィルムまたは封入剤としての硬化性シリコーン光学的透明接着剤に関する。
【背景技術】
【0002】
光学的透明接着剤フィルム(OCA)または液体光学的透明接着剤(LOCA)は、ディスプレイデバイスの異なる層間の空隙を埋めるためおよびディスプレイの画質と耐久性を向上させるためにディスプレイデバイスのカバーガラス、タッチパネル、およびその他の層の接着に使用される。
【0003】
LCDおよびLEDディスプレイの光学的透明接着剤は、長期使用後に剥離し、光が漏れることがよくある。接着剤の剥離は、動的および静的な折り畳みが常に行われるため、柔軟で折り畳み可能なディスプレイデバイスでは特に深刻である。デバイスの長期間の使用と長期の折り畳みにより、この応力が悪化し、界面での歪みの蓄積と剥離が発生する可能性があり、その結果、ディスプレイの画質が低下する。
【0004】
多くの既存のOCAフィルムは、弾性率が高く、基板のウェットアウトが不十分で、アセンブリプロセス中のギャップ充填が不十分であり、この問題は、電極、バスバー、インクステップ、集積回路などの基材上の成分によって作られるへこみを含む基材のために悪化する。
【0005】
ディスプレイデバイスのこの応力とひずみの蓄積に対処するために多くの努力がなされてきた。例えば、国際公開2016141546号は、層間剥離および応力を低減するためのシリコーンLOCA組成物を開示している。しかしながら、接着剤組成物は、500時間後の高温/高湿条件下で光学特性の損失を被る。同様に、国際公開第2016/141547号は、応力およびひずみの蓄積に対処するためのシリコーンベースのLOCA組成物を開示している。しかし、光透過率は、高温/高湿条件を被る。
【0006】
US2015/0056757号は、感圧接着特性を有する電子ディスプレイデバイス用の硬化性ポリイソブチレンベースの封入剤フィルムを開示している。ポリイソブチレンベースのフィルムは、95℃を超える温度エージングにさらされると変色する傾向がある。
【0007】
国際公開2016/025965号は、感圧接着剤特性を有する低弾性率ホットメルト接着剤を開示している。ホットメルト接着剤は、スチレンブロック共重合体に基づく。また、スチレン系ブロック共重合体フィルムは高温および紫外線エージング条件下では、変色する傾向がある。
【0008】
感圧フィルムであるシリコーンベースの光学的透明接着剤を提供する努力はほとんどなされていない。より最近では、フレキシブルデバイス用のシリコーンアセンブリ層が国際公開2016196460号に記載された。物理的に架橋されたシリコーンエラストマーと共有結合で架橋されたシリコーンエラストマーの混合物は、シリコーンポリユリア(polyuria)とシリコーンポリオキサミドポリマーであり、最初に混合物として形成される。その後、シリコーン樹脂とブレンドされる。ブレンドされたシリコーン樹脂は、シリコーンアセンブリ層の凝集力を効果的に強化することができず、これにより、凝集力が低下する。
【0009】
したがって、当技術分野では、感圧接着特性、低弾性率、高い凝集強度、および良好な接着性を有するシリコーン光学的透明接着剤が必要である。本発明はこの必要性を満たす。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、ディスプレイ電子デバイスの基材層を封止および接着するのに有用な感圧接着剤特性を有する硬化性シリコーン光学的透明接着剤組成物を提供する。硬化したシリコーンの光学的透明接着剤フィルムは、折り畳みによる応力とひずみの蓄積を減らし、広範囲の温度と湿度条件で長時間光透過と光学効果を強化する。
【0011】
本発明の一態様は、(a)約95~約99.999%の
(i)約1~約30%の約50,000g/molより大きい数平均分子量を有するヒドロキシ末端シロキサンポリマー;
(ii)約10~約50%の約30,000g/mol未満の数平均分子量を有するヒドロキシ末端シロキサンポリマー
(iii)約10~約50%の反応性シリコーン樹脂
(iv)約0.1~約10%のビニルアルコキシ官能性シラン
(v)約0.001~約1%の(v1)-6以下のpKa値を有する酸または(v2)15以上のpKa値を有する塩基触媒の反応生成物:
(b)約0.1~約10%のヒドリド官能性シロキサンポリマー、および;
(c)約0.001~約5%の熱硬化触媒を含む熱硬化性シリコーン光学的透明接着剤に関する。
【0012】
硬化すると、熱硬化シリコーン光学的透明接着剤は、25℃で約1.5×10dyn/cm未満のせん断弾性率(G’)およびASTM D1876による2つのPET基材間の約1オンス/インチを超えるT剥離接着を有する。
【0013】
本発明のさらに別の態様は、熱硬化性シリコーン光学的透明接着剤を形成する方法であって、
(1)約60~約150℃の有機溶媒中で混合することにより
(i)約1~約30%の約50,000g/molより大きいMnを有するヒドロキシ末端シロキサンポリマー;
(ii)約10~約50%の約30,000g/molのMnを有するヒドロキシ末端シロキサンポリマー
(iii)約10~約50%の反応性シリコーン樹脂
(iv)約0.1~約10%のビニルアルコキシ官能性シラン
(v)約0.001~約1%の(v1)-6以下のpKa値を有する酸または(v2)15以上のpKa値を有する塩基触媒の反応生成物を調製し、
(2)室温で約0.1~約5%の(b)ヒドリド官能性シロキサンポリマーと(c)約0.001~約5%の熱硬化触媒を添加する工程を含む方法に関する。
【0014】
本発明の別の態様は、(a)約95~約99.999%の
(i)約1~約30%の約50,000g/molより大きいMnを有するヒドロキシ末端シロキサンポリマー;
(ii)約10~約50%の約50,000g/mol未満のMnを有する(メタ)アクリルオキシアルキルアルコキシ末端シロキサンポリマー
(iii)約10~約50%の反応性シリコーン樹脂
(iv)約0.001~約1%の(v1)-6以下のpKa値を有する酸または(v2)15以上のpKa値を有する塩基触媒の反応生成物:
(b)約0.001~約5%の光開始剤の混合物を含むUV硬化性シリコーン光学的透明接着剤組成物に関する。
【0015】
硬化すると、UV硬化シリコーン光学的透明接着剤は、25℃で約1.5×10dyn/cm未満のせん断弾性率(G’)およびASTM D1876による2つのPET基材間の約1オンス/インチを超えるT剥離接着の両方のバランスを有する。
【0016】
本発明のさらなる態様では、UV硬化性シリコーン感圧接着剤を形成する方法であって、
(1)約60~約150℃の有機溶媒中で混合することにより
(i)約1~約30%の約50,000g/molより大きいMnを有するヒドロキシ末端シロキサンポリマー;
(ii)約10~約50%の約50,000g/mol未満のMnを有する(メタ)アクリルオキシアルキルアルコキシ末端シロキサンポリマー
(iii)約10~約50%の反応性シリコーン樹脂
(iv)約0.001~約1%の(v1)-6以下のpKa値を有する酸または(v2)15以上のpKa値を有する塩基触媒の反応生成物を調製し、
(2)室温で約0.001~約5%の熱硬化触媒を添加する工程を含む方法に関する。
【0017】
本発明のこれらおよび他の態様は、以下の詳細な説明に記載される。いかなる場合でも、上記の要約は、本明細書に記載の請求項によってのみ定義される請求項の主題に対する限定として解釈されるべきではない。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1図1は、熱硬化したシリコーン感圧接着剤フィルムのRDA温度曲線(30%、10rad/sを超えるひずみでの温度に対する弾性率曲線とタンデルタの関係)である。
図2図2は、UV硬化したシリコーン感圧接着剤フィルムのRDA温度曲線(30%、10rad/sを超えるひずみでの温度に対する弾性率曲線とタンデルタの関係)である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
(発明の詳細な説明)
別に定義されない限り、本明細書で使用されるすべての技術用語および科学用語は、当業者によって一般に理解されるのと同じ意味を有する。矛盾がある場合は、定義を含む本明細書が支配する。好ましい方法および材料を以下に記載するが、本開示の実施または試験において、本明細書に記載のものと類似または同等の方法および材料を使用することができる。本明細書で言及されるすべての出版物、特許出願、特許および他の参考文献は、参照によりその全体が組み込まれる。本明細書で開示される材料、方法、および例は、例示のみであり、限定することを意図していない。
【0020】
明細書および特許請求の範囲で使用される場合、「含む」という用語は、「からなる」および「から本質的になる」実施形態を含み得る。本明細書で使用される「含む(comprise(s))」、「含む(include(s))」、「有する(having)」、「持つ(has)」、「できる(can)」、「含む(contain(s))」、およびそれらの変形の用語は、指定された成分/工程の存在を必要とする制限のない暫定の語句、用語、または単語であることを意図し、他の成分/工程の存在を許容する。しかし、そのような記載は、組成物またはプロセスも指定された成分/ステップ「からなる」および「から本質的になる」として記載するものと解釈されるべきであり、そこから生じる可能性のある不純物を含み、他の成分/工程を除外する。
【0021】
本出願の明細書および特許請求の範囲の数値は、特にポリマーまたはポリマー組成物に関するものであるとき、異なる特性の個々のポリマーを含有し得る組成物の平均値を示す。さらに、反対に示されていない限り、数値は、同じ有効数字に縮小された場合に同じとなる数値、およびその値を決定するため本出願に記載されたタイプの従来の測定技術の実験誤差未満だけ記載値と異なる数値を含むと理解されるべきである。
【0022】
本明細書に開示されるすべての範囲は、記載されたエンドポイントを含み、独立して組み合わせ可能である(例えば、「2~10」の範囲は、端点2と10とすべての中間値を含む)。本明細書に開示される範囲および任意の値の端点は、正確な範囲または値に限定されず、これらの範囲および/または値に近似する値を含むために十分に不正確である。
【0023】
本明細書で使用される近似言語は、それが関連する基本機能に変化をもたらさずに変化し得る任意の定量的表現を修正するために適用され得る。したがって、例えば「約;about」などの用語によって修飾された値は、場合によっては、指定された正確な値に限定されないことがある。少なくともいくつかの例では、近似言語は、値を測定するための機器の精度に対応するかもしれない。修飾子「約;about」は、2つの端点の絶対値によって定義される範囲を開示するものと見なすべきである。例えば、「約2~約4」の表現はまた、「2~4」の範囲を開示している。「約;about」は、示された数のプラスまたはマイナス10%を指しうる。たとえば、「約10%」は9%~11%の範囲を示してよく、「約1」は0.9~1.1を意味してよい。「約;about」の他の意味は、四捨五入などの文脈から明らかであるかもしれない。たとえば、「約1」は0.5~1.4を意味する場合もある。
【0024】
本明細書で使用される場合、「本質的に含まない」という用語は、組成物が指定された成分を微量より多く含まないことを意味する。
【0025】
本明細書で使用するとき、用語「硬化性シリコーン光学的透明接着剤」は、溶媒を除去すると薄膜にすぐに形成される溶媒との接着剤混合物である。
【0026】
本明細書における「放射線硬化」という用語は、化学線照射によるフィルムの硬化性部分の強化、硬化、または加硫を指す。化学線は、電子ビーム硬化、紫外線(UV)、可視光硬化など、材料の化学変化を引き起こす電磁放射である。この硬化の開始は、適切な光開始剤の添加により達成される。シリコーンの光学的透明接着剤の硬化は、紫外線(UV)または可視光への直接露光、またはポリエステル、ポリアミド、ポリカーボネート、ガラスなどでできた透明基板またはカバーシートを介した間接露光によって実現される。
【0027】
本明細書における「熱硬化」または「熱硬化性」という用語は、熱によってもたらされるポリマー鎖の架橋による材料の硬化性部分の硬化または加硫を指す。
【0028】
本明細書における「水分硬化」という用語は、空気中の水または水分によってもたらされるポリマー鎖の架橋による材料の硬化性部分の硬化または加硫を指す。
【0029】
本明細書で使用される場合、ポリマーまたはオリゴマーは、約2モノマー単位以上のモノマー単位からなる高分子である。本明細書では、ポリマーとオリゴマー、またはポリマーのとオリゴマーのを交換可能に使用する。
【0030】
本明細書で使用される「反応性」という用語は、酸または塩基、または有機金属触媒の存在下で縮合反応を受ける分子の能力を指す。
【0031】
本明細書で使用する用語「感圧接着剤」または「PSA」は、交換可能に使用され、わずかな圧力を加えるだけでほとんどの基材に瞬時に接着し、永続的に粘着性を保つ粘弾性材料を指す。
【0032】
本明細書で使用される「アルキル」という用語は、C1~C24炭素およびその部分の炭素原子間の単結合のみを含む一価の線状、環状または分岐部分を指し、例えばメチル、エチル、プロピル、イソプロピル、n-ブチル、sec-ブチル、イソブチル、tert-ブチル、n-ペンチル、n-ヘキシル、ヘプチル、2,4,4-トリメチルペンチル、2-エチルヘキシル、n-オクチル、n-ノニル、n-デシル、n-ウンデシル、n-ドデシル、n-ヘキサデシル、n-オクタデシルおよびn-エイコシルを含む。
【0033】
本明細書で使用する「アリール」という用語は、少なくとも1つの環が芳香族である単環(例えば、フェニル)または複数の縮合(縮合)環(例えば、ナフチル、ジヒドロフェナントレニル、フルオレニル、またはアントリル)を有する6~24個の炭素原子の一価不飽和芳香族炭素環基を指す。好ましい例には、フェニル、メチルフェニル、エチルフェニル、メチルナフチル、エチルナフチルなどが含まれる。
【0034】
本明細書で使用される場合、「アルコキシ」という用語は、-O-R基を指し、Rは上記で定義されたアルキルである。
【0035】
本明細書で使用するとき、シリコーンMQ樹脂中の用語「Me」はメチル基を指す。
【0036】
本明細書で使用される「(メタ)アクリルオキシ基」という用語は、アクリルオキシ基とメタクリルオキシ基の両方を表す。
【0037】
本明細書で使用される場合、上記の基はさらに置換または非置換であってもよい。置換されている場合、基上の水素原子は、アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、シクロアルケニル、シクロアルキニル、アリール、ヘテロアリール、ヘテロアリシクリル、アラルキル、ヘテロアラルキル、(ヘテロアリシクリル)アルキル、ヒドロキシ、保護ヒドロキシル、アルコキシ、アリールオキシ、アシル、エステル、メルカプト、アルキルチオ、アリールチオ、シアノ、ハロゲン、カルボニル、チオカルボニル、O-カルバミル、N-カルバミル、O-チオカルバミル、N-チオカルバミル、C-アミド、N-アミド、S-スルホンアミド、N-スルホンアミド、C-カルボキシ、保護されたC-カルボキシ、O-カルボキシ、イソシアナト、チオシアナト、イソチオシアナト、ニトロ、シリル、スルフェニル、スルフィニル、スルホニル、ハロアルキル、ハロアルコキシ、トリハロメタンスルホニル、トリハロメタンスルホンアミド、およびアミノ(モノおよびジ置換アミノ基を含む)、およびその保護誘導体から独立して選択される1つ以上の基である置換基で置き換えられる。アリールが置換される場合、アリール基上の置換基は、シクロアルキル、シクロアルケニル、シクロアルキニル、およびヘテロシクリルを含む、アリール基に縮合した非芳香族環を形成してもよい。
【0038】
本明細書で使用する「光学的透明」または「光学的透明度」という用語は、(1)ASTM E903に従って500nmで測定した90%以上のフィルムの透過率、(2)ASTM D1003に従って測定された1%以下のフィルムのヘイズおよび(3)ASTM D1003に従って測定された1%以下のフィルムの黄色度bを指す。
【0039】
本明細書で使用される場合、交換可能に使用される用語「光学的透明接着剤」および「OCA」は、光学的透明性を有する接着剤を指す。
【0040】
本明細書で使用される場合、交換可能に使用される用語「液体光学的透明接着剤」および「LOCA」は、液体の形態で光学的透明性を有する接着剤を指す。
【0041】
本明細書で使用される用語「ディスプレイデバイス」および「ディスプレイ電子デバイス」は、交換可能に使用され、カバー前面シートと基板裏面シートとの間に回路または活性層などの様々な構成要素を有し、電子の流れを操作することによって動作する物品を指し、たとえば、フレキシブルで折り畳み可能なディスプレイ、屋外ディスプレイ、LCDディスプレイ、LEDディスプレイなどのディスプレイ;ディフューザー;剛性補償器;ヒーター;柔軟な偏光子;タッチスクリーン;柔軟な薄膜太陽電池;携帯電話;タブレットPC;テレビ;ノートPC;デジタルカメラ;フォトフレーム;カーナビゲーションなどが挙げられる。
【0042】
明細書で使用される場合、交換可能に使用される「フィルム」、「テープ」、および「封入剤」という用語は、デバイス内の構成要素および/または基板をデバイスに一緒に接着する自立型の接着剤を指す。
【0043】
本発明の一態様は、
(a)約95~約99.999%の
(i)約1~約30%の約750,000g/molより大きい数平均分子量を有する高分子量ヒドロキシ末端シロキサンポリマー;
(ii)約10~約50%の約30,000g/mol未満の数平均分子量を有する低分子量ヒドロキシ末端シロキサンポリマー
(iii)約10~約50%の反応性シリコーン樹脂
(iv)約0.1~約10%のビニルアルコキシ官能性シラン
(v)約0.001~約1%の(v1)-6以下のpKa値を有する酸または(v2)15以上のpKa値を有する塩基触媒の反応生成物:
(b)約0.1~約10%のヒドリド官能性シロキサンポリマー、および;
(c)約0.001~約5%の熱硬化触媒を含む熱硬化性シリコーン光学的透明接着剤に関する。
【0044】
熱硬化性シリコーンOCAの場合、反応生成物は
(i)約1~約30%の約50,000g/molより大きい数平均分子量を有する高分子量ヒドロキシ末端シロキサンポリマー;
(ii)約10~約50%の約30,000g/mol未満の数平均分子量を有する低分子量ヒドロキシ末端シロキサンポリマー
(iii)約10~約50%の反応性シリコーン樹脂
(iv)約0.1~約10%のビニルアルコキシ官能性シラン
(v)約0.001~約1%の(v1)-6以下のpKa値を有する酸または(v2)15以上のpKa値を有する塩基触媒を約60~約150℃の高温の有機溶媒中で混合することにより形成する。
【0045】
2種類の反応性シロキサンポリマーを使用して、反応生成物を形成する。第1のタイプの反応性シロキサンポリマーは、数平均分子量(Mn)が50,000g/molを超える、好ましくは約75,000~約1,000,000g/molの高分子量ポリマーである。高分子量の反応性シロキサンポリマーは、高い凝集力、剥離接着性、伸びを提供する。第2のタイプの反応性シロキサンポリマーは、数平均分子量(Mn)が30,000g/mol未満、好ましくは約5,000~約20,000g/molの低分子量ポリマーである。シロキサンポリマーの第2のタイプは、調整可能な接着剤の架橋密度と粘度を提供する。高分子量および低分子量の反応性シロキサンポリマーを併用して、接着剤フィルムの架橋密度と弾性率を調節する。
【0046】
両方の反応性シロキサンポリマーについて、それらは、α、ω-エンドキャップされたOH、Hまたはアルコキシ基を有するポリジオルガノシロキサンポリマーである。好ましい実施形態では、ポリジオルガノシロキサンポリマーは、ポリジアルキルシロキサン、ポリジアリールシロキサン、少なくとも2つ以上の(RR’SiO)単位を有するポリアルキルアリールシロキサンポリマー(式中、RおよびR’は独立してアルキルまたはアリール)である。最も好ましい実施形態では、ポリジオルガノシロキサンポリマーは、ヒドロキシル末端ポリジメチルシロキサンポリマー(PDMS)である。他のポリジオルガノシロキサンポリマーには、メチルビニル、メチルエチル、メチルエポキシアルキルおよび3,3,3-トリフルオロプロピルメチルの1つ以上のジオルガノ置換基を有するシロキサンポリマーが含まれる。
【0047】
反応性シリコーン樹脂は、ケージ状のSi-O-Si構造のRSiO1/2(M単位)、RSiO2/2(D単位)、RSiO3/2(T単位)および/またはSiO4/2(Q単位)の組み合わせを含むシロキサンポリマーの3-Dネットワークである。これは、US2,676、182およびUS2,814,601の手順に従って作成でき、さまざまな商業的供給源からも入手できる。好ましいシリコーン樹脂は、M単位とQ単位の両方を有し、MQ樹脂としても知られている。MQ樹脂のM単位の好ましいR基は、メチル、ヒドロキシルおよびメトキシの混合物である。本発明における有用な反応性MQシリコーン樹脂は、0.05~5重量パーセントのシリコーン結合ヒドロキシル基を含み、各Qに対して0.5~1.5M単位のモル比でMおよびQ単位をさらに含む。MQ樹脂は、トルエン、キシレン、ヘプタンなどに溶解する。SiO4/2(Q単位)とRSiO1/2(M単位)のモル比は、1:2~2:1の範囲である。1つの好ましいR基は、ヒドロキシル基とメチル基の組み合わせであり、各Si-Meに対して0.001~1個のSi-OHを含む。好ましいMQ樹脂は、官能化シリコーン樹脂の数平均分子量(Mn)が約500~約200,000g/molである。
【0048】
他の有用な反応性シリコーン樹脂には、M単位用のビニル、フェニル、(メタ)アクリルオキシアルキル、およびそれらの混合物を含むシリコーンMQ樹脂が含まれる。シリコーンMQ樹脂は、MeSiOSiMe、ViMeSiOSiMeVi、MeViPhSiOSiPhViMe、MeSiNHSiMe、またはMeSiCl、MeViSiCl、MeViPhSiCl、(メタ)アクリルオキシプロピルジメチルSiClなどのトリオルガノシランでさらに処理して、シリコーン樹脂中のSi-OHの量を減らすこともできる。
【0049】
ビニルアルコキシ官能性シランは、ビニル官能基とメトキシ官能基の両方を含み、R’(R”O)Si(ビニル)4-nを含み、nは1~3、x+y=4-n、y≧1、R’、R”は独立してアルキルまたはアリール基である。
【0050】
ビニルアルコキシ官能性シランの例は、ビニルトリメトキシシラン、ビニルメチルジメトキシシラン、ビニルジメチルメトキシシラン、ビニルトリエトキシシランなどである。ビニルアルコキシ官能性シランは、典型的には、溶媒を考慮せずに硬化性シリコーンOCA全体の0.01~20重量パーセント、より好ましくは0.1~10重量パーセントの量で使用される。
【0051】
反応混合物に有用な触媒は、任意の酸または塩基、およびそれらの混合物であり得る。好ましい触媒は、炭化水素溶媒中で-6以下または15以上のpKa値を有するpKa値を有する。好ましい触媒の例は、KOH、NaOH、LiOH、有機リチウム試薬、グリニャール試薬、メタンスルホン酸、硫酸、およびそれらの混合物である。触媒の他の例には、スズ、チタン、アルミニウム、ビスマスなどの金属の有機金属塩が含まれる。上記の複数のタイプの触媒を組み合わせて使用することもできる。
【0052】
反応に特に好ましい触媒には、有機リチウム試薬が含まれる。好ましい有機リチウム試薬には、メチル、n-ブチル、sec-ブチル、t-ブチル、n-ヘキシル、2-エチルヘキシルおよびn-オクチルリチウムなどのアルキルリチウムが含まれる。他の有用な触媒には、フェニルリチウム、ビニルリチウム、リチウムフェニルアセチリド、リチウム(トリメチルシリル)アセチリド、リチウムシラノレートおよびリチウムシロキサノレートが含まれる。一般に、反応混合物中のリチウムの量は、反応物の重量に基づいて1ppm~約10,000ppm、好ましくは約5ppm~約1,000ppmである。触媒系で使用される有機リチウム触媒の量は、シラノール基含有反応物の反応性および重合可能なエチレン性不飽和基を含むアルコキシシランの反応性に依存する。選択される量は、当業者により容易に決定され得る。反応後、有機リチウム触媒を二酸化炭素と反応させ、炭酸リチウムとして沈殿させ、遠心分離、ろ過などの固液分離手段によって反応混合物から除去することができる。
【0053】
反応生成物は、典型的には、脂肪族炭化水素、芳香族炭化水素、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、ケトン、アセテート、水およびそれらの混合物から選択される有機溶媒または共溶媒中で形成される。好ましい溶媒には、キシレン、トルエン、ヘプタン、テトラヒドロフラン、およびそれらの混合物が含まれる。
【0054】
反応生成物は縮合反応を受け、これらの反応物間のSi-O-Siコベナント(covenant)結合を介して軽く架橋したネットワークの生成物を生成する。同時に、反応は副産物として水とアルコールを放出する。反応物のシランおよび/またはシロキサンポリマーの多くは、ビニル、(メタ)アクリレート、アルコキシおよび/またはHのような官能基を含むため、反応生成物は、対応する触媒の存在下で熱、UV、水または水分を介してさらに架橋することができる。したがって、これらの反応物の縮合反応生成物は、本明細書に記載のUV硬化性、熱硬化性、水分硬化性、または二重硬化性の感圧接着剤を与えるようにさらに調合することができる。
【0055】
本発明の熱硬化性感圧接着剤組成物は、上記とヒドリド(SiH)官能性シロキサンポリマーと熱硬化触媒との反応生成物をさらに含む。本明細書における「熱または熱硬化」という用語は、オーブン内の熱、赤外線(IR)、近赤外線、またはマイクロ波への曝露による接着剤の硬化性部分の強化、硬化または加硫を指す。熱硬化温度は、50~200℃、好ましくは60~150℃である。熱硬化の開始は、適切な熱硬化触媒の添加により達成される。
【0056】
ヒドリド官能性シロキサンポリマーは、SiHヒドリド官能基を有するポリジオルガノシロキサンポリマーである。好ましい実施形態では、ポリジオルガノシロキサンポリマーは、ポリジアルキルシロキサン、ポリジアリールシロキサン、ポリアルキルアリールシロキサンポリマーであり、少なくとも2つ以上の(RR’SiO)単位を有し、RおよびR’はアルキルまたはアリールである。最も好ましい実施形態において、ヒドリド官能性シロキサンポリマーは、(1)SiMeHの末端官能基、(2)SiMeHのペンダント官能基、または(3)それらの混合物を有するポリジメチルシロキサンポリマーである。
【0057】
SiMeHのペンダント官能基を有するシロキサンポリマーは、(SiR’R”O)-(SiRH)-の構造を有し、式中、R、R’、およびR”は独立してアルキル、アリール基である。n/(m+n)のモルパーセントは、約0.1~50%、好ましくは約1~20%である。
【0058】
ヒドリド官能性シロキサンポリマーは、反応性シリコン樹脂の数平均分子量が約134~100,000g/mol、好ましくは約200~約50,000g/molである。
【0059】
本発明の熱硬化性シリコーン感圧接着剤組成物の触媒は、Pt、Rh、Ruの遷移金属錯体である。好ましい触媒は、シュパイアー触媒HPtCl、カルシュテット触媒またはアルケンで安定化された白金(O)である。初期の主族金属、ルイス酸性アラン、ボランおよびホスホニウム塩、ならびにN-複素環カルベンを含む非遷移金属触媒の有用性も開示されている。
【0060】
本発明における熱硬化性シリコーンOCAには2つの形態、1つの成分としての1K、または2つの成分としての2Kがある。
【0061】
1K熱硬化性感圧接着剤に関しては、ヒドリド官能性シロキサンポリマーおよび熱硬化触媒が加えられて、1K熱硬化性感圧接着剤が形成される。当該技術分野で周知のように、阻害剤が1K熱硬化性感圧接着剤溶液に添加される。阻害剤の例には、アセチレンアルコール、アセチレンα、α’-ジオール、2-メチル-3-ブチン-2-オール、エチニルシクロヘキサノール(ECH)、2,4,7,9-テトラメチル-5-デシン-4,7-ジオール(TMDD)、4,7-ジメチルデカ-5-イン-4,7-ジオール、3,6-ジメチルオクト-4-イン-3,6-ジオール、テトラデカ-7-イン-6,9-ジオール、3,6-ジイソプロピル-2,7-ジメチルオクト-4-イン-3,6-ジオール、1,3-ジビニルテトラメチルジシロキサン;ビニルトリメチルシラン、ジビニルジメチルシラン、3-メチル-3ブチン-3-オール、マレイン酸ジメチル、フマル酸ジメチル、フマル酸ジエチル、およびそれらの混合物などのα-アセチレン化合物が含まれる。
【0062】
2K熱硬化性感圧接着剤に関しては、パートAには反応溶液が含まれ、熱硬化触媒が添加される。反応の固形分は約20~80%で、溶媒を追加または除去することで調整できる。パートBは、100%のヒドリド官能性シロキサンポリマーまたは反応溶液とヒドリド官能性シロキサンポリマーの混合物である。パートAとパートBを組み合わせて、最終的な硬化性接着剤組成物を形成する。オープンタイムは1~24時間である。
【0063】
1Kおよび2Kの両方の熱硬化性接着剤の場合、接着剤は1平方メートルあたりの指定されたグラム重量(GPSM)でコーティングとして剥離ライナーに塗布され、硬化した接着剤フィルムを形成するために、50~200℃、好ましくは60~150℃のオーブンで溶剤が蒸発し、接着剤が同時に硬化する。完全に硬化した接着剤フィルムの上に第2のライナーを適用する。次いで、積層フィルムは、後で使用するために輸送または保管することができる。
【0064】
硬化した接着剤フィルムは、電子デバイスの組立ライン上で異なる層間に積層され、デバイス内でそれらを接合してもよい。硬化フィルムは、積層を促進し、層間に閉じ込められた空気(ボイド)を除去するために、真空および/または圧力下で適用されることが好ましい。ラミネートプロセスを改善するために、熱を任意に使用してもよい。電子デバイスの有機活性成分は高温の温度で分解する可能性があるため、ラミネーションプロセスの任意の温度は110℃未満であり、一部の用途では約80℃未満であることが好ましい。
【0065】
硬化すると、熱硬化したシリコーン光学的透明接着剤は、25℃で約1.5x10dyn/cm未満のせん断弾性率(G’)とASTM D 1876による2つのPET基板間の約1オンス/インチより大きいT-剥離接着のバランスを有する。
【0066】
本発明のさらに別の態様は、熱硬化性シリコーン光学的透明接着剤を形成する方法であって、
(1)約60~約150℃の有機溶媒中で混合することにより
(i)約1~約30%の約50,000g/molより大きい数平均分子量を有する高分子量ヒドロキシ末端シロキサンポリマー;
(ii)約10~約50%の約30,000g/mol未満の数平均分子量を有する低分子量ヒドロキシ末端シロキサンポリマー
(iii)約10~約50%の反応性シリコーン樹脂
(iv)約0.1~約10%のビニルアルコキシ官能性シラン
(v)約0.001~約1%の(v1)-6以下のpKa値を有する酸または(v2)15以上のpKa値を有する塩基触媒の反応生成物を調製し、
(2)室温で約0.1~約10%の(b)ヒドリド官能性シロキサンポリマーと(c)約0.001~約5%の熱硬化触媒を添加する工程を含む方法に関する。
【0067】
ヒドロキシル末端シロキサンポリマー、反応性シリコーン樹脂、ビニルアルコキシシランの縮合反応は、有機溶媒中の酸または塩基触媒の存在下で起こる。縮合反応は、室温または高温または約150℃で起こる。好ましい温度は、約60~約120℃の範囲である。典型的には、反応は約1~約24時間である。
【0068】
必要に応じて、ヘキサメタジシラザンを添加して、縮合反応の最後に残留ヒドロキシル基と反応させることができる。塩基触媒を使用する場合はCOガスを導入するか、酸触媒を縮合反応に使用する場合はNaCOを添加することにより、反応を終了する。混合物の固形分は約20~80%で、溶媒を追加または除去することで調整できる。得られた接着剤溶液は、熱硬化性感圧接着剤フィルムの製造に容易に使用される。
【0069】
本発明の別の態様は、(a)約95~約99.999%の
(i)約1~約30%の約50,000g/molより大きい数平均分子量を有する高分子量ヒドロキシ末端シロキサンポリマー;
(ii)約10~約50%の約50,000g/mol未満の数平均分子量を有する(メタ)アクリルオキシアルキルアルコキシ末端シロキサンポリマー
(iii)約10~約50%の反応性シリコン樹脂
(iv)場合により、約0.1~約10%の(メタ)アクリルオキシアルキルアルコキシ官能性シラン
(v)約0.001~約1%の(v1)-6以下のpKa値を有する酸または(v2)15以上のpKa値を有する塩基触媒の反応生成物:
(b)約0.001~約5%の光開始剤の混合物を含むUV硬化性シリコーン光学的透明接着剤組成物に関する。
【0070】
熱硬化性シリコーン光学的透明接着剤と同様に、UV硬化性シリコーン光学的透明接着剤組成物の反応生成物も同じ(i)高分子量ヒドロキシ末端シロキサンポリマー、(iii)反応性シリコーン樹脂、(iv)本明細書に記載の酸または塩基触媒を必要とする。反応生成物は有機溶媒中で形成される。
【0071】
(メタ)アクリルオキシアルキルアルコキシ末端シロキサンポリマーは、α、ω-エンドキャップRR’R”2-nSiOを有するポリジオルガノシロキサンポリマーであり、Rは、(メタ)アクリルオキシエチル、または(メタ)アクリルオキシプロピルであり、R’は、アルコキシであり、R”は、アルキルである。(メタ)アクリルオキシアルキルアルコキシ末端シロキサンポリマーは、(メタ)アクリレートおよびアルコキシシリル官能基の両方の末端官能基を有するシロキサンポリマーである。好ましいアルコキシシリル官能基は、トリメトキシシリル、ジメトキシメチルシリル、トリエトキシシリルおよび/またはジエトキシメチルシリル官能基である。好ましい実施形態では、(メタ)アクリルオキシアルキルアルコキシ末端シロキサンポリマーは、(メタ)アクリルオキシプロピルジメトキシシリル、(メタ)アクリルオキシプロピルメチルメトキシシリル、(メタ)アクリルオキシエチルジメトキシシリル、(メタ)アクリルオキシエチルメチルメトキシシリルの末端官能基を有するポリジメチルシロキサンまたはその混合物である。
【0072】
特に好ましいアクリルオキシアルキルアルコキシ末端ポリジメチルシロキサンは、Henkel Corporationから入手可能であるか、米国特許第5,300,608号または第6,140,444号に従って製造され、その内容はその全体が参照により組み込まれる。
【0073】
ペンダント(メタ)アクリルオキシ官能基を有するヒドロキシまたはアルコキシ末端シロキサンポリマーは、(メタ)アクリルオキシアルキルアルコキシ末端シロキサンポリマーの代替物またはその混合物としても使用できる。アクリルオキシアルキルアルコキシ末端ポリジメチルシロキサンを置換または混合するために有利に使用できる他の(メタ)アクリルオキシアルキルアルコキシ官能性シロキサンポリマーは、(メタ)アクリルオキシアルキルアルコキシ官能性アクリルシロキサンブロックまたはグラフト共重合体である。例は、ペンダントポリジメチルシロキサンとペンダント(メタ)アクリルオキシアルキルおよびアルコキシシリル官能基を含むポリアクリレートである。アクリル-シロキサンコポリマーに含まれるポリジメチルシロキサンの量は、典型的には、全組成物の10~50重量パーセント、より好ましくは1~30重量パーセントの量で使用される。
【0074】
(メタ)アクリルオキシアルキルアルコキシ末端シロキサンポリマーの数平均分子量は約500~50,000g/molである。(メタ)アクリルオキシアルキルアルコキシ末端シロキサンポリマーの好ましい平均分子量は、約1000~30,000g/molである。
【0075】
UV硬化性シリコーン光学的透明接着剤は、(v)約0.1~約10%の(メタ)アクリルオキシアルキルアルコキシ官能性シランを任意に含む。
【0076】
(メタ)アクリルオキシアルキルアルコキシ官能性シランは、XSi(OR’)R”3-nであり、式中、nは、1~3であり、R’、R”は、アルキルまたはアリール基である。
Xは、メタクリルオキシアルキルまたはアクリルオキシアルキル基である。本発明において有用な(メタ)アクリルオキシアルキルアルコキシ官能性シランの例は、(γ-アクリルオキシメチル)フェネチルトリメトキシシラン、(γ-アクリルオキシメチル)トリメトキシシラン、(γ-アクリルオキシプロピル)メチルビス(トリメチルシロキシ)シラン、(γ-アクリルオキシプロピル)メチルジメトキシシラン、(γ-アクリルオキシプロピル)メチルジエトキシシラン、(γ-アクリルオキシプロピル)トリメトキシシラン、(γ-アクリルオキシプロピル)トリス(トリメチルシロキシ)シラン、(γ-メタクリルオキシプロピル)ビス(トリメチルシロキシ)メチルシラン、(γ-メタクリルオキシメチル)ビス(トリメチルシロキシ)メチルシラン、(γ-メタクリルオキシメチル)メチルジメトキシシラン、(γ-メタクリルオキシメチルフェネチル)トリス(トリメチルシロキシ)シラン、(γ-メタクリルオキシメチル)トリス(トリメチルシロキシ)シラン、(γ-メタクリルオキシプロピル)メチルジメトキシシラン、(γ-メタクリルオキシプロピル)メチルジエトキシシラン、(γ-メタクリルオキシプロピル)トリエトキシシラン、(γ-メタクリルオキシプロピル)トリイソプロポキシシラン、(γ-メタクリルオキシプロピル)トリメトキシシラン、(γ-メタクリルオキシプロピル)トリス(メトキシエトキシ)シラン、(γ-メタクリルオキシプロピル)トリス(トリメチルシロキシ)シランである。好ましくは、(メタ)アクリルオキシ基を有する(メタ)アクリルオキシアルキルアルコキシ官能性シランは、(メタ)アクリルオキシアルキルアルコキシ官能性シランが(メタ)アクリルオキシプロピルトリメトキシシラン、(メタ)アクリルオキシプロピルメチルジメトキシシラン、(メタ)アクリルオキシエチルトリメトキシシラン、または(メタ)アクリルオキシエチルメチルジメトキシシランから選択される。
【0077】
反応生成物は縮合反応を受け、これらの反応物間のSi-O-Siコベナント(covenant)結合を介して軽く架橋したネットワークの生成物を生成する。
【0078】
UV硬化性光学的透明接着剤組成物は、反応生成物組成物および光開始剤をさらに含む。本発明において使用可能な光開始剤(b)は、UVおよび/または可視光によりフリーラジカルを生成し、接着剤を硬化させる。本明細書におけるUV硬化性という用語は、化学線照射による接着剤の硬化性部分の架橋、強化、硬化または加硫を指す。化学線は、電子線硬化を含む材料の化学変化を引き起こす電磁放射線である。ほとんどの場合、このような放射は、紫外線(UV)または可視光である。放射線硬化の開始は、適切な光開始剤の添加により達成される。接着剤の硬化は、紫外線(UV)または可視光への直接露光、またはポリエステル、ポリアミド、ポリカーボネート、ガラスなどでできた透明カバーシートを介した間接露光によって実現される。
【0079】
放射線硬化性接着剤用の光開始剤の選択は、放射線および熱硬化の当業者によく知られており、接着剤が使用される特定の用途に大きく依存する。光開始剤は、UV開裂可能な光開始剤であり、1つ以上のタイプの光開始剤および任意で1つ以上の光増感剤を含んでもよい。1つ以上の光開始剤および光増感剤を含むラジカル光重合開始システムは、Fouassier、J-P、光開始、光重合および光硬化の基礎および応用(Photoinitiation, Photopolymerization and Photocuring Fundamentals and Applications)1995年、Hanser/Gardner Publications、Inc.、ニューヨーク、NYで見出だすことができる。適切なラジカル光開始剤には、2-ヒドロキシ-2-メチルプロピオフェノンや1-ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトンなどのアセトフェノン誘導体;ビス(2,4,6-トリメチルベンゾイル)フェニルホスフィンオキシドなどのアシルホスフィンオキシド誘導体;およびベンゾインメチルエーテルおよびベンゾインエチルエーテルなどのベンゾインエーテル誘導体などのI型α開裂開始剤が含まれる。II型の光開始剤も硬化性接着剤に適しており、ベンゾフェノン、イソプロピルチオキサントン、およびアントロキノンが含まれる。前述の化合物の多くの置換誘導体も使用できる。適切な光開始剤は、樹脂や接着剤中の他の添加剤とは異なる光吸収スペクトルを示すものである。
【0080】
一実施形態において、UV硬化性シリコーン光学的透明接着剤フィルムは、光学的に透明なカバーシートまたはフロントシートを通して硬化され、光開始剤は、カバーまたは基材シートが透明である波長の放射線を吸収できなければならない。たとえば、接着剤がソーダライムガラスのカバープレートを通して硬化される場合、光開始剤は320nmを超えるUV吸収が必要である。320nm未満の紫外線は、ソーダライムガラスのカバープレートに吸収され、接着剤フィルムの光開始剤に到達できない。この例では、光開始剤へのエネルギーの移動を増強するために、赤方偏移光開始剤、または光開始剤を1つの光開始システムとして含む光増感剤を使用すると有益である。接着剤が400nm以下でカットオフ吸収があるPETフィルムを通して硬化する場合、光開始剤または光増感剤は400nmより大きいUV吸光度を有さなければならない。特に、アシルホスフィンオキシドを有する光開始剤部分、例えばモノアシルホスフィンオキシド(MAPO)およびビス(アシル)ホスフィンオキシド(BAPO)が好ましい。そのような光開始剤の例には、BASFから市販されているIRGACURE(登録商標)819、IRGACURE(登録商標)2022、LUCIRIN(登録商標)TPO、LUCIRIN(登録商標)TPO-Lが含まれるが、これらに限定されない。UV放射の範囲は、必要に応じて修正することができ、そのような修正は、当業者の専門知識の範囲内である。
【0081】
UV硬化性シリコーン光学的透明接着剤に使用される光開始剤の量は、典型的には、溶媒は占めない、接着剤の総重量に基づいて、約0.001~約10重量%、好ましくは約0.01~約5重量%の範囲である。
【0082】
UV硬化性シリコーン光学的透明接着剤組成物はさらに、水分の存在下で組成物の湿気硬化を開始する湿気硬化触媒を含んでもよい。本発明のUVおよび水分二重硬化性シリコーン光学的透明接着剤に典型的に使用される水分硬化触媒には、水分硬化を促進するのに有用であることが当業者に知られているものが含まれる。触媒には、金属および非金属触媒が含まれる。本発明で有用な金属触媒の金属部分の例には、スズ、チタン、ジルコニウム、鉛、鉄コバルト、アンチモン、マンガン、ビスマスおよび亜鉛化合物が含まれる。一実施形態では、組成物の湿気硬化を促進するのに有用なスズ化合物には、ジメチルジネオデカノエートスズ(FOMREZ UL-28 Aの商品名でMomentive Performance Materials Inc.から入手可能)、ジブチルスズジラウレート、ジブチルスズジアセテート、ジブチルスズジメトキシド、スズオクトエートイソブチルスズトリセロエート、ジブチルスズオキシド、可溶化ジブチルスズオキシド、ジブチルスズビスジイソオクチルフタレート、ビス-トリプロポキシシリルジオクチルスズ、ジブチルスズビス-アセチルアセトン、シリル化ジブチルスズジオキシド、カルボメトキシフェニルスズトリス-ウベレート、イソブチルスズトリセロエート、ジメチルスズジブチレート、ジメチルスズジネオデカノエート、トリエチルスズタルトレート、ジブチルスズジベンゾエート、スズオレイン酸、ナフテン酸スズ、ブチルスズトリ-2-エチルヘキシルヘキソエート、スズブチレート、ジオクチルスズジデシルメルカプチド、ビス(ネオデカノイルオキシ)ジオクチルスタンナン、ジメチルビス(オレオイルオキシ)スタンナンが含まれるが、これらに限定されない。1つの好ましい実施形態では、湿気硬化触媒は、ジメチルジネオデカノエートスズ(FOMREZ UL-28の商品名でMomentive Performance Materials Inc.から入手可能)、ジオクチルスズジデシルメルカプチド(FOMREZ UL-32の商品名でMomentive Performance Materials Inc.から入手可能)、ビス(ネオデカノイルオキシ)ジオクチルスタンナン(FOMREZ UL-38の商品名でMomentive Performance Materials Inc.から入手可能)、ジメチルビス(オレオイルオキシ)スタンナン(FOMREZ UL-50の商品名でMomentive Performance Materials Inc.から入手可能)、およびそれらの組み合わせからなる群から選択される。より好ましくは、湿気硬化触媒はジメチルジネオデカノエートスズである。本発明による湿気およびUV硬化性接着剤組成物において、湿気硬化触媒は、溶媒は占めない、接着剤の総重量に基づいて、0.1~5重量%、好ましくは0.1~5重量%の量で存在する。
【0083】
硬化性シリコーン光学的透明接着剤は、必要に応じて、シラン接着促進剤、加水分解性ポリマー/オリゴマー接着促進剤をさらに含むことができる。有用なシラン接着促進剤の例には、C3~C24アルキルトリアルコキシシラン、(メタ)アクリルオキシプロピルトリアルコキシシラン、クロロプロピルメトキシシラン、ビニルメトキシシラン、ビニルエトキシシラン、ビニルトリスメトキシエトキシシラン、ビニルベンジルプロピルメトキシシラン、アミノプロピルトリメトキシシラン、ビニルアセトキシシラン、グリシドキシプロピルトリアルコキシシラン、β-(3,4-エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、メルカプトプロピルメトキシシラン、アミノプロピルトリアルコキシシランなどが含まれるが、これらに限定されない。しかし、電子デバイスでの使用を目的とした接着剤には、活性有機成分と反応して分解するシラン接着促進剤を添加するべきでない。有用な官能性ポリマーおよび/またはオリゴマー接着促進剤の例には、加水分解可能なPDMSポリマーまたはオリゴマー、例えば、トリアルコキシシリル(メタ)アクリレート、ジアルコキシシリル(メタ)アクリレートまたはメタクリレート基でエンドキャップされたPDMが含まれるが、これらに限定されない。接着促進剤は、典型的には、硬化性シリコーンPSA全体の0.2~40重量パーセント、より好ましくは1~20重量パーセントの量で使用される。特に好ましいポリマーおよび/またはオリゴマー接着促進剤は、米国特許第5,300,608号に従って、Henkel Corporationの(メタ)アクリルオキシアルキルジメトキシ末端PDMSである。しばしば、当技術分野で知られているように、触媒は、より良い結果のために接着促進剤と一緒に、典型的には硬化性シリコーンOCA全体の0.001~5重量パーセントの量である。有用なそのような触媒の例には、アミン、接着促進触媒およびスズ触媒、例えばジブチルスズジラウレートが含まれるが、これらに限定されない。
【0084】
本発明のさらなる態様では、UV硬化性シリコーン感圧接着剤を形成する方法であって、
(1)約60~約150℃の有機溶媒中で混合することにより
(i)約1~約30%の約100,000g/molより大きい数平均分子量を有する高分子量ヒドロキシ末端シロキサンポリマー;
(ii)約10~約50%の約50,000g/mol未満の数平均分子量を有する(メタ)アクリルオキシアルキルアルコキシ末端シロキサンポリマー
(iii)約10~約50%の反応性シリコーン樹脂
(iv)約0.1~約10%の(メタ)アクリルオキシアルキルアルコキシ官能性シラン
(v)約0.001~約1%の(v1)-6以下のpKa値を有する酸または(v2)15以上のpKa値を有する塩基触媒の反応生成物を混合することにより調製し、:
(b)約0.001~約5%の光開始剤を室温で添加する工程を含む方法に関する。
【0085】
湿気硬化触媒および他の任意の成分、シラン、加水分解性ポリマーおよび/またはオリゴマー接着促進剤は、反応生成物にまたは光開始剤とともに添加することができる。
【0086】
混合物の固形分は約20~80%で、溶媒を添加または除去することで調整できる。
【0087】
本発明の硬化性シリコーン光学的透明接着剤溶液は、約20~40℃の範囲で、約100~約100,000cpsのブルックフィールド粘度範囲、好ましくは25~30℃で約1,000~約10,000cpsの範囲を有する。そのような粘度範囲により、周囲温度で接着剤を15~250μm厚のフィルムにコーティングすることが可能になる。粘度は、20%~80%の固体%で調整できる。接着剤溶液は、実験室で溶液フィルムアプリケーターを使用して、実験室テスト用にPSAフィルムにコーティングできる。コーティング手順は、当業者に周知である。接着剤は、接着剤溶液をコーティングとして剥離ライナー上に特定のグラム重量/平方メートル(GPSM)で塗布し、空気または高温のオーブンで溶媒を蒸発させることにより、PSAフィルムとして形成できる。接着剤が熱硬化性の場合、フィルムは完全に硬化するか、接着剤がUV硬化性または二重硬化性の場合、硬化していないが溶剤を含まないPSAフィルムのままである。2つの剥離ライナーの間にラミネートPSAフィルムを形成するために、第2の剥離ライナーが実質的に溶媒を含まないPSAフィルム上に適用される。典型的な剥離ライナーには、フルオロシリコーン剥離コーティングを有するPETフィルム、クラフト紙が含まれる。
【0088】
硬化性シリコーンOCAフィルムは、完全硬化フィルムまたはUV硬化フィルムで提供できる。本発明の光学的透明フィルムを利用する電子デバイスは、さまざまな方法で組み立てられる。一実施形態では、シリコーンOCAは、上記のように2つの剥離ライナーの間にフィルムとして送達される。1つの剥離ライナーを除去した後、露出した接着剤フィルムをデバイスの前面カバーシートまたは背面基板のいずれかにラミネートする。その後、他方の剥離ライナーを除去し、露出した接着面を残りの前面シートまたは基材にラミネートする。ラミネーションの品質を高め、ボイドや空気の閉じ込めを回避するためにオートクレーブ内の圧力、熱および/または真空下のラバーローラーラミネーターを使用したラミネートプロセスを用いてもよい。OCAフィルムがまだUVで硬化していない場合、積層デバイスはUV照射で硬化する。別の実施形態では、接着剤フィルムは、前面カバーシートと背面基板の両方に同時に積層される。
【0089】
本発明のUV硬化性OCAは、200nm~700nm、好ましくは450nm~500nmの範囲の波長を含む電磁照射に曝露することにより上部基板を通して硬化される。硬化度は、相当する処方化学に特徴的である吸収ピークでのIR吸収の減少を測定することにより決定できる。これは、当業者には十分に確立されている。Fusion UV Systemsから入手可能なシステムなど、連続的な高輝度発光システムを使用してUV照射を行うことができる。メタルハライドランプ、LEDランプ、高圧水銀ランプ、キセノンランプ、キセノンフラッシュランプなどは、約1~約5J/cmのエネルギー範囲でUV硬化に使用できる。
【0090】
本明細書に記載の光学的透明フィルムは、その場でのコーティングを必要とせず、したがって、LOCA上の単純な積層および組立プロセスを有する。電極、バスバー、インクステップ、集積回路などの基板上の成分によって作成されたくぼみを含む基板の場合、低弾性率は、組み立てプロセス中に基板の良好なウェットアウトと良好なボイド充填を提供する。
【0091】
別の実施形態では、接着剤は最初にUV硬化され、次に硬化状態で前面カバーシートおよび背面基板上に積層される。硬化した感圧接着剤フィルムは、まだ十分な粘着性とグラブを有し、基材に接着する。
【0092】
硬化すると、UV硬化シリコーン光学的透明接着剤は、25℃で約1.5×10dyn/cm未満のせん断弾性率(G’)およびASTM D1876による2つのPET基材間の約1オンス/インチを超えるT-剥離接着力の両方のバランスを有する。
【0093】
本発明の完全に硬化したOCAフィルムまたはUV硬化性OCAフィルムを、LCD、LED、タッチパネルディスプレイデバイスのカバーレンズとディスプレイモジュール基板との間に組み込むいくつかの方法がある。本発明の硬化OCAフィルムまたはUV硬化性OCAは、好ましくはカバーレンズに適用される。硬化したOCAフィルムまたはUV OCAフィルムは、通常2つの剥離ライナーの間で保護され、第1のライナーはより薄く(25~50μm)、除去しやすく、もう一方はより厚く(75~100μm)、より高い剥離力を有する。硬化したOCAフィルムまたはUV OCAは、第1のライナーが除去された後、ゴムロールで一方向に押してラミネートすることによりカバーレンズに適用される。次に、第2の剥離ライナーが除去され、接着剤フィルムの露出面が、好ましくは真空(<0.1MPa)および/またはオートクレーブ内の圧力(<0.5MPa)下でディスプレイモジュール基板に積層される。気泡のない接着には真空条件が好ましい。加熱も、好ましくは約40~約80℃の範囲で適用することができる。
【0094】
好ましい実施形態では、上部基板は、ガラスまたはポリマーフィルム、好ましくは、特にポリエチレンテレフタレート、ポリメチル(メタ)アクリレート、ポリイミドフィルム、および/またはトリアセテートセルロース(TAC)を含むプラスチックフィルムから選択される。別の好ましい実施形態では、上部基板は、反射体、カバーレンズ、タッチパネル、リターダーフィルム、リターダーガラス、LCD、レンチキュラレンズ、ミラー、防眩または反射防止フィルム、アンチスプリントフィルム、ディフューザー、または電磁干渉フィルターである。たとえば、3Dテレビアプリケーションの場合、ガラスまたはフィルムリターダーがパッシブ3D TVのLCDに接着されるか、TN LCDまたはレンチキュラーレンズが肉眼3D用の通常のTFT LCDに接着される。ベース基板は、上部に偏光フィルムを備えたLCDモジュールである。ベース基板は、好ましくは液晶ディスプレイ、プラズマディスプレイ、発光ダイオード(LED)ディスプレイ、電気泳動ディスプレイ、および陰極線管ディスプレイから選択されるディスプレイパネルであることができる。
【0095】
一実施形態では、UV硬化性接着剤は、柔軟な光起電性モジュール/セル(本明細書では交換可能に使用される)用の封入剤として有用である。光起電モジュールアセンブリには、光を電気エネルギーに変換できる任意の物品または材料を含む。光電池を形成する際、硬化性接着剤フィルムを含む封入剤シートまたはロールが、光電池モジュールアセンブリに積層される。封入剤を含む柔軟な光電池は、十分な太陽光または反射太陽光が光電池に到達するように十分に透明で、使用中の折り畳みや曲げに十分に耐えることができなければならない。
【0096】
本発明のシリコーン硬化光学的透明なフィルムは、特に-40~200℃の温度範囲で、UVまたは熱硬化時に低い弾性率を有し、貯蔵中のコールドフローが最小またはゼロである。硬化した光学的透明フィルムは、輸送および応力下の保管温度に耐えることができる。シートとロールは、後で望ましいサイズと形状にダイカットできる。硬化した光学的透明フィルムは、基材に対して良好な剥離強度を有する。柔軟な電子デバイスが長時間曲げられたり、垂直位置で硬いデバイスにさらされたりする場合、接着剤層と基板の間の層間剥離を避けるために、剥離接着と軟弾性率のバランスが重要である。低弾性率は、接着剤が柔らかく、粗い基材を簡単に濡らして空隙を埋めることができることを示す。弾性率が低いため、接着剤フィルムは、LCDなどの電子ディスプレイデバイスにムラを加えず、ディスプレイデバイスの性能を大幅に向上させる。広範囲の温度で硬化した後、光学的透明接着剤フィルムが柔らかい場合、ムラを最小限に抑えることができる。弾性率の測定は、当業者に周知である。本明細書に記録されている弾性率の値は、フォトレオメーターまたはRDAで測定される。硬化した接着剤のせん断弾性率(G’)は、硬化後、20℃および10rad/秒で1.5×10dyn/cm未満であることが好ましい。
【0097】
T-剥離接着試験は、当業者に周知の測定であるASTM D1876に従って、Instronで行った。T剥離テストASTM D1876は、2つの接着された柔軟な接着剤を徐々に分離するのに必要な力を評価する。接着剤の硬化レベル、接着剤の厚さ、接着剤、コンディショニングなどの試験片の調製のバリエーションは、プロセスとアプリケーションの最適化のための洞察を与える。本発明の硬化シリコーンOCAは、好ましくは、2つのPET基材間で1オンス/インチのT剥離接着力を有する。
【0098】
ASTM E903およびASTM D1003に従って、AgilentのCary 300を使用して、硬化OCAフィルムの光学特性(T%、ヘイズ%、黄色度b)を測定できる。硬化したシリコーン接着剤フィルムが少なくとも90%、好ましくはガラススライド間で>99%、500~900 nmの範囲で、ヘイズと黄色度b<1%の場合、接着剤は光学的に透明であると見なされる。
【0099】
光学的透明フィルムは、柔軟で折り畳み可能なディスプレイデバイス、特に光学的透明度および/またはタッチ感覚を必要とするディスプレイデバイスの製造に特に適している。さらに、本発明の接着剤フィルムは、デバイス内で単層または多層形態であってもよい。
【実施例
【0100】
<例>
ヒドロキシ末端ポリジメチルシロキサン(Mn95,000g/mol)は、Wackerから市販されている。
【0101】
ヒドロキシ末端ポリジメチルシロキサン(Mn13,000g/mol)、カルシュテット触媒、ビニルトリメトキシシラン、ヒドリド末端ポリジメチルシロキサン(Mn 6,000g/mol)、メタクリロプロポキシトリメトキシシランはGelestから入手できる。
【0102】
PDMS-DAは、Henkelから市販されているメタクリルオキシプロピルトリメトキシ末端ポリジメチルシロキサン(Mn22,000g/mol)である。
【0103】
シリコーンMQ樹脂は、Dow Corning、MomentiveおよびWackerから市販されているヒドロキシル官能性シリコーン樹脂(Mn~5000g/mol)である。
【0104】
ヘプタンおよびn-ブチルリチウム(ヘキサン中1.6M)(nBuLi)はAldrichから市販されている。
【0105】
LUCIRIN TPOは、BASFから市販されている光開始剤である。
【0106】
<試験温度掃引テスト>
温度変化に対する弾性率(G’)、損失弾性率(G”)、およびtanδを得るためにレオメトリックスダイナミックメカニカルアナライザー(ModelRDA 700)を使用した。この機器は、Rhiosソフトウェアバージョン4.3.2によって制御された。直径8mmで、約2mmのギャップで隔てられた平行プレートを使用した。試料を装填し、約-100℃に冷却し、時間プログラムを開始した。プログラムテストでは、5℃間隔で、各温度で10秒間の浸漬時間(soak time)を取って、温度を上昇させた。対流オーブンを窒素で連続的に通気した。周波数は10rad/sに維持した。試験開始時の初期ひずみは0.05%であった(プレートの外縁部で)。ソフトウエア内のオートストレインオプションを使用して、テスト中に正確に測定可能なトルクを維持した。このオプションは、ソフトウェアによって許容される最大の歪みが80%になるように構成されていた。オートストレインプログラムは、保証されていれば、以下の手順で各温度上昇時のひずみを調整した。トルクが200g-cm未満であった場合、歪みを、現在の値の25%だけ増加させた。トルクが1200g-cmを上回った場合、現在の値の25%だけ減少させた。200~1200g-cmのトルクでは、その温度上昇時に歪みを変化させなかった。せん断貯蔵または弾性率(G’)およびせん断損失弾性率(G”)は、ソフトウェアによってトルクおよび歪みデータから計算される。tanδ(タンデルタ)としても知られている、それらの比、G”/G’も計算した。
【0107】
<T-剥離試験>
T-剥離接着試験は、Instron Sintech 1/Dを用いて、ASTM D1876に従って実施した。手順は以下の通りであった:(1)接着剤フィルムを2枚の2~3ミルのPETフィルムの間に移す;(2)UVA&Vの1~5J/cmの照射量でD-バルブ(Fusion Systems)を用いて積層接着剤をUV硬化させる;(3)試料を幅1.0インチ×長さ6~12インチの細長いストリップに切断する;(4)23℃、相対湿度50%の条件下で12時間養生する;(5)T-剥離試験片の各端部をインストロンの別々の試験グリップでクランプし、23℃および50%相対湿度でT-剥離接着試験を、ボンドラインの長さに12.0インチ/分の速度で行う。
【0108】
<透過率試験>
ASTM E903およびASTM D1003に従って、AgilentのCary300分光光度計を用いて光学特性(T%、ヘイズ%および黄色度b)を測定した。透過率の試験方法は次のとおりである:(1)イソプロパノールで3回拭き取った75mm×50mm平滑マイクロスライド(Dow Corning、Midland、MIから入手のガラススライド)上に接着剤の小さなフィルムを置く;(2)第2のガラススライドを力を掛けながら接着剤に付着する;(3)UVA&Vを1~5J/cmでD-バルブ(Fusion Systems)により、接着剤を硬化させる;分光器で300~900nmの光透過率を測定する。
【0109】
<例1~7>
熱硬化性シリコーン光学的透明接着剤を作製する手順は以下の通りである。ヒドロキシル末端ポリジメチルシロキサン(MW95Kおよび13K)、シリコーンMQ樹脂(33g)、ビニルトリメトキシシラン、およびヘプタン(60g)の混合物を、Nガスブランケットで2時間還流攪拌した。n-BuLi(0.3mL、ヘキサン中1.6M)を混合物に添加し、これをさらに1時間混合した。反応混合物をCOで1時間、続いてNで1時間パージした。ヒドリド末端ポリジメチルシロキサンとカルシュテット触媒を混合物に添加した。生成物を室温まで冷却し、ガラス瓶に詰めた。成分と特性を表1に示す。例1(C)および7のRDAT曲線、例1(C)および7のレオロジーデータを図1に示す。線■は例1のせん断弾性率G’であり、線□は例1のtanδである。線▲は、例7のせん断弾性率G’であり、線△は例7のtanδである。
【0110】
【表1】
【0111】
例1(C)は、T-剥離とせん断弾性率G’の良好なバランスを有する。しかし、これは架橋せず、50℃を超える温度で流れた。これは図1に示され、比較1のG’およびtan(δ)は、より高い温度(より低いG’)で流れた。例2(C)および3(C)は、高分子量ポリジメチルシロキサンのみまたは高い含有量では、T-剥離および弾性率のバランスを取ることができず、弾性率が25℃で約1.5×10dyn/cmの所望の範囲外であることを示す。例4(C)は、低シリコーンMQ樹脂を使用すると、T-剥離の接着が低下することを示す。例5~7は、T-剥離およびせん断弾性率G’の良好なバランスを有し、それらは完全に架橋されている。図1では、例7のG’は高温(25~200℃)で平坦であり、これらの高温での流れに抵抗する。これらの接着剤はすべて、%T>90%、ヘイズ<1%およびb<1%である。
【0112】
<例8~9>
UV硬化性シリコーン光学的透明接着剤を作製する手順は以下の通りである。ヒドロキシ末端ポリジメチルシロキサン(MW95Kおよび13K)、シリコーンMQ樹脂、アクリレート末端ポリジメチルシロキサン、メタクリロプロポキシトリメトキシイルシラン、およびヘプタン(60g)の混合物をNガスブランケットで2時間還流攪拌した。N-BuLi(0.3mL、ヘキサン中1.6M)を加え、混合物をさらに1時間混合した。反応混合物をCOで1時間、続いてNで1時間パージした。TPOを添加した。生成物を室温まで冷却し、ガラス瓶に詰めた。成分および特性を表2に示す。例1(C)および9のRDA T曲線、例1(C)および9のレオロジーデータを図2に示す。線■は例1(C)のせん断弾性率G’であり、線□は例1のtanδである。線▲は、例9のせん断弾性率G’であり、線△は例9のtanδである。
【0113】
【表2】
【0114】
例8および例9の両方で%T>90%、ヘイズ<1%およびb<1%である許容可能なT-剥離およびG’値の範囲を有する。図2に示されるように例9のG’は高温(25~200℃)で平坦であり、これらの高温での流れに抵抗する。
【0115】
当業者には明らかであるように、本発明の精神および範囲から逸脱することなく、本発明の多くの修正および変更を行うことができる。特定の本明細書で説明される実施形態は、例としてのみ提供され、本発明は、添付の特許請求の範囲の用語、およびそのような特許請求の範囲が権利を有する均等物の完全な範囲によってのみ限定される。
図1
図2